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特表2024-545608改良された水素回収のためのアンモニアクラッキングプロセス及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】改良された水素回収のためのアンモニアクラッキングプロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/56 20060101AFI20241203BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20241203BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C01B3/56 Z
C01B3/04 B
B01D53/047
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531265
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 US2022080747
(87)【国際公開番号】W WO2023107854
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/264,974
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ブラッドリー
【テーマコード(参考)】
4D012
4G140
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA07
4D012CB12
4D012CB17
4D012CD07
4D012CE03
4D012CF03
4D012CF04
4D012CG01
4D012CG02
4G140FA02
4G140FB02
4G140FB06
4G140FC03
4G140FD01
4G140FE01
(57)【要約】
アンモニアから水素を生成する方法が記載されている。この方法は、2段階水素PSA構成の使用を含む。アンモニアクラッキング反応ゾーンからの流出流は、第1の水素PSAユニットに送られ、そこで高純度高圧水素流と低圧テールガス流とに分離される。高圧水素流が回収され得る。低圧テールガス流は圧縮され、第2の水素PSAユニットに送られ、そこで第2の高圧流と第2の低圧テールガス流とに分離される。第2の高圧水素流は、更なる分離のために第1の水素PSAユニットに再循環され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアから水素を生成する方法であって、
アンモニアを含むアンモニア供給流(105)をアンモニアクラッキング反応ゾーン(110)において分解して、水素及び窒素を含む分解流出流(120)を生成することと、
第1の水素圧力スイング吸着(PSA)ユニット(160)において、前記分解流出流(120)を、第1の高圧水素流(165)と、一部の前記水素及び窒素を含む第1の水素低減テールガス流(170)とに分離することと、
前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)をコンプレッサー(175)で圧縮して、圧縮テールガス流(185)を形成することと、
前記圧縮テールガス流(185)の少なくとも一部を前記第1の水素PSAユニット(165)に再循環させることと、
前記第1の高圧水素流(165)を回収することと、を含む、方法。
【請求項2】
第2の水素PSAユニット(290)内の圧縮テールガス流(285)を、第2の高圧水素流(295)と、一部の水素及び窒素を含む第2の水素低減テールガス流(300)とに分離し、その後に、前記圧縮テールガス流(285)の少なくとも一部を前記第1の水素PSAユニット(260)に再循環させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の水素低減テールガス流(170)を第1の部分(180)及び第2の部分に分割することと、
前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)の前記第1の部分(170)を除去して窒素を除去することと、を更に含み、
前記コンプレッサー(175)で前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)を圧縮することが、前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)の前記第2の部分を圧縮することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記圧縮テールガス流(285)の少なくとも一部を前記第1の水素PSAユニット(260)に再循環させることが、前記第2の高圧水素流(295)を前記第1の水素PSAユニット(260)に再循環させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の水素低減テールガス流(170)の少なくとも一部(180)を、前記アンモニアクラッキング反応ゾーンのための熱源として燃焼させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の水素低減テールガス流(270)の少なくとも一部(280)を、前記アンモニアクラッキング反応ゾーンのための熱源として燃焼させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記アンモニア供給流(105)を前記分解流出流(120)とともに予熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の高圧水素流(165)が2000kPa~6000kPaの範囲の圧力を有し、前記第1の水素低減テールガス流(170)が100kPa~300kPaの範囲の圧力を有するか、又は、
前記第2の高圧水素流(265)が2000kPa~6000kPaの範囲の圧力を有し、前記第2の水素低減低圧テールガス流(270)が100kPa~300kPaの範囲の圧力を有するか、
又はその両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のPSAユニット(160)に入る前記分解流出流(220)の温度が30℃~50℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アンモニアから水素を生成するための装置であって、
入口及び出口を有するアンモニアクラッキング反応ゾーン(210)と、
入口、高圧水素出口、及び低圧テールガス出口を有する第1のPSAユニット(260)であって、前記アンモニアクラッキング反応器(210)の前記出口が、前記第1のPSAユニット(260)の前記入口と流体連通している、第1のPSAユニット(260)と、
入口及び出口を有するコンプレッサー(275)であって、前記コンプレッサー入口が前記第1のPSAユニット(260)の前記低圧テールガス出口と流体連通しており、前記コンプレッサー出口が前記第1のPSAユニット(260)の前記入口と流体連通している、コンプレッサー(275)と、
入口、高圧水素出口、及び低圧テールガス出口を有する第2のPSAユニット(290)であって、前記第2のPSAユニット(290)の前記入口が前記コンプレッサー出口と流体連通している、第2のPSAユニット(290)と、を備え、
前記第2のPSAユニット(290)の前記高圧水素出口は、前記第1のPSAユニット(260)の前記入口と流体連通している、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、2021年12月6日に出願された米国特許出願第63/264,974号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、既存の輸送インフラストラクチャで液体水素キャリアとして使用することができる。化石燃料ベースのアンモニア生成プロセスからの二酸化炭素副生成物が回収され、隔離される場合(ブルーアンモニア)、結果生じる水素は、低いカーボンフットプリントを有する。使用時に、ブルーアンモニアは、以下の吸熱平衡反応に従って、高温(例えば、850℃)でH2及びN2に分解される。
2NH=N+3H
【0003】
次いで、結果生じる生成物混合物(75モル%のH及び25モル%のN)を圧力スイング吸着(PSA)ユニットで分離して、高純度水素を回収する。
【0004】
いくつかの先行技術の方法は、単一のPSAユニットの使用を含む。いくつかの現在の小規模アンモニアクラッキング炉は、電気ヒーターを使用し、PSAテールガスは、プロセスを駆動するために追加の熱を提供する。
【0005】
他の先行技術の方法は、PSAユニットの後にPSAユニットからのテールガス流上の膜分離器が続く2段階構成を使用する。膜を用いる2段階設計の1つの欠点は、透過物をPSA供給物に戻して再循環させるために、膜透過物に追加の圧縮が必要とされることである。この結果、全体として高い比圧縮力要件が生じ、透過物用の追加のコンプレッサーが必要となる。
【0006】
したがって、使用時点での分離効率を改善し、水素回収の正味コストを削減するプロセスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】単一のPSAユニットを有する本発明によるプロセスの一実施形態を示す。
図2】2つのPSAユニットを有する本発明によるプロセスの第2の実施形態を示す。
図3図1及び2のプロセスについて、水素の燃焼による圧縮力対%熱負荷を比較するグラフである。
図4図1及び図2のプロセスについて、水素の燃焼による水素生成対%熱負荷を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の開示は、アンモニアクラッキングプロセスの分離セクションにおける比圧縮力(kW hr/MT H)を最小化するために、部分的なテールガス再循環を伴う単一PSAユニット又は2段階PSA構成を使用することによって、このニーズに対処する。
【0009】
このプロセスは、部分的なテールガス再循環を伴う単一のPSAユニット又は直列の2つの水素PSAユニットの使用を含む。部分的なテールガス再循環を伴う単一のPSAユニットにおいて、アンモニアクラッキング反応ゾーンからの分解流出流は、直接又は水洗浄容器における水洗浄の後のいずれかで水素PSAユニットに送られる。水素PSAユニットに入る流出流の温度は30~50℃である。分解流出流は、高純度高圧水素流と低圧テールガス流とに分離される。高圧水素流が回収され得る。低圧テールガス流は圧縮され、直接又は最初に水洗浄容器(存在する場合)のいずれかで水素PSAユニットに送られる。
【0010】
高圧水素流は、典型的には、99.0モル%超の水素、又は99.9モル%超の水素、又は99.97モル%超の水素を含む。低圧テールガス流は、典型的には、乾燥基準で50モル%~70モル%の窒素を含み、残りは水素(すなわち、30モル%~50モル%の水素)である。
【0011】
高圧水素流の圧力は、典型的には、2000kPa~6000kPa、又は2000kPa~5000kPa、又は2000kPa~4000kPa、又は2000kPa~3000kPaの範囲である。
【0012】
低圧テールガス流の圧力は、典型的には、100kPa~300kPa、又は100kPa~200kPaの範囲である。
【0013】
2段階PSA構成では、アンモニアクラッキング反応ゾーンからの分解流出流は、直接又は水洗浄容器における水洗浄の後のいずれかで第1の水素PSAユニットに送られる。分解流出流は、高純度高圧水素流と低圧テールガス流とに分離される。高圧水素流が回収され得る。低圧テールガス流は圧縮され、第2の水素PSAユニットに送られ、そこで第2の高圧水素流と第2の低圧テールガス流とに分離される。第2の低圧テールガス流は、アンモニアクラッキング反応器のための又はプラントの他の場所の燃料ガスとして使用するために回収され得る。第2の高圧水素流は、更なる分離のために、直接又は最初に水洗浄容器のいずれかで第1の水素PSAユニットに送り返され得る。代替的に、それは回収され、必要に応じて流を精製するために任意選択で更に処理され得る。第1の高圧水素流及び第1の低圧テールガス流は、単一のPSAユニットについて上述したとおりである。第2の高圧水素流は、典型的には、60モル%~90モル%の水素及び10モル%~40モル%の窒素を含む。第2の低圧テールガス流は、典型的には、乾燥基準で70モル%~90モル%の窒素を含み、残りは水素(すなわち、10モル%~30モル%の水素)である。
【0014】
2段階水素PSA設計は、単一の水素PSAユニットと比較して、より低い比圧縮力を提供する。同じ水素回収では、圧縮力は2段設計の方が低い。別の見方をすれば、同じ圧縮力に対して、水素回収は2段設計の方が大きい。これは、H生成物回収量がより高い、より低い燃料ガス負荷(より高い電気加熱負荷)において特に当てはまる。
【0015】
第2の水素PSAユニットからの高圧水素流は回収され、必要に応じて流を精製するために任意選択で更に処理され得る。代替的に、それは第1の水素PSAユニットに再循環され得る。
【0016】
第1の低圧テールガス流からの燃料ブリード流は、アンモニアクラッキング反応ゾーンの所望の加熱負荷を満たすように調整され得る。加えて、第2の水素PSAユニットからの水素回収は、アンモニアクラッキング反応ゾーンのための所望の量の燃料ガスを提供するために調整され得る。
【0017】
水素の燃焼による加熱負荷の大部分を提供し、電気又は補助燃料の加熱負荷を最小限に抑えることが望ましい場合には、単段PSA構成が好ましい。この場合、単段PSA配置は、より低い資本コスト及びほぼ同じ運転コストを提供する。目標が水素回収を最大にし、電気又は補助燃料からより多くの加熱負荷を提供することである場合、2段階PSA配置が好ましい。
【0018】
水素PSAユニットは従来のPSAユニットである。例えば、それらは、3つの圧力均等化ステップ(6-1-3サイクル)を有する6床PSAユニットであり得る。床の最小数は4であり、最大数は10以上であり得る。
【0019】
水素PSAユニットは、水、アンモニア、及び窒素を除去するための吸着剤層を含む。プロセスが水洗浄容器を含む場合、水が存在する。任意の好適な吸着剤が使用され得る。窒素吸着のための好適な吸着剤は、CaA、NaX、CaX、又はLiXを含むがこれらに限定されないモレキュラーシーブゼオライトであり得る。水及びアンモニアのための好適な吸着剤には、シリカゲル、活性アルミナ、又は活性炭が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
アンモニアクラッキング流出からの水素回収率は、典型的には80%~98%の範囲である。
【0021】
第1及び第2の水素PSAからの低圧テールガスは、典型的にはアンモニアクラッキングプロセスのための熱負荷の10%~90%を供給し、残りは電気加熱又は補助燃料によって供給される。
【0022】
図1は、部分的なテールガス再循環を伴う単一の水素PSAユニットを有するアンモニアクラッキングプロセス100を示す。アンモニアを含むアンモニア供給流105は、アンモニアクラッキング反応ゾーン110に送られる。アンモニアクラッキング反応ゾーン110は、任意の好適なアンモニアクラッキングゾーンであり得る。それは、アンモニアクラッキング反応器、及び1つ以上のバーナー、電気ヒーター、熱交換器などを備えた炉などの関連設備を含むことができる。好適なアンモニアクラッキングゾーンは、当業者に周知である。
【0023】
熱は、熱源115を使用してアンモニアクラッキング反応ゾーン110に入力される。アンモニアクラッキング反応ゾーン110からの流出流120は、H及びNの混合物を含み、典型的には700~1000℃の範囲の温度である。
【0024】
アンモニアクラッキング反応ゾーン110からの流出流120は、熱交換器125においてアンモニア供給流105と熱交換される。それは、任意選択の第2の冷却器130で更に冷却され得る。
【0025】
冷却された流出流135は、任意選択の水洗浄容器140に導入され得る。きれいな水流145を水洗浄容器140に導入して残留未反応アンモニアを除去し、アンモニアを含有する使用済み水流150を水洗浄容器140から除去する。
【0026】
洗浄された流出流155は、水素PSAユニット160に送られ、そこで高純度高圧水素流165と低圧テールガス流170とに分離される。低圧テールガス流170はコンプレッサー175に送られる。高圧水素流165の圧力は2000~6000kPaの範囲であり、一方、低圧テールガス流の圧力は100~300kPaである。第1の水素PSAユニットに入る洗浄された流出流155の温度は30~50℃である。
【0027】
低圧テールガス流170からのスリップ流180は、窒素の蓄積を防止するために除去され得る。
【0028】
圧縮テールガス流185は、水洗浄容器140に再循環され得る。
【0029】
しかしながら、このスキームは、図2に示される2段階プロセス200と比較して、より高い比圧縮力をもたらす。アンモニア供給流205は、アンモニアクラッキング反応ゾーン210に送られる。アンモニアクラッキング反応ゾーン210は、上述したように、任意の好適なアンモニアクラッキングゾーンであり得る。
【0030】
熱は、熱源215を使用してアンモニアクラッキング反応ゾーン210に入力される。アンモニアクラッキング反応ゾーン210からの流出流220は、熱交換器225においてアンモニア供給流205と熱交換される。それは、任意選択の第2の冷却器230で更に冷却され得る。
【0031】
冷却された流出流235は、任意選択の水洗浄容器240に導入され得る。きれいな水流245は水洗浄容器240に導入され、使用済み水流250は水洗浄容器240から除去される。
【0032】
洗浄された流出流255は、第1の水素PSAユニット260に送られ、そこで高純度高圧水素流265と低圧テールガス流270とに分離される。第1の水素PSAユニット260の温度及び圧力は、上述したものと同じである。
【0033】
低圧テールガス流270はコンプレッサー275に送られる。低圧テールガス流270からのスリップ流280が除去され得る。
【0034】
圧縮テールガス流285は、第2の水素PSAユニット290に送られ、そこで第2の高圧水素流295とテールガス流300とに分離される。テールガス流300は、例えば燃料として使用され得る。それは、熱源215のための燃料の少なくとも一部を提供することができる。
【0035】
第2の高圧水素流295は、第1の水素PSAユニット260に送り返され得る。
【0036】
実施例
図1に示すような本発明による部分テールガス再循環を伴う単一PSA設計と、図2に示すような本発明による2段階PSA構成の一実施形態との間で比較を行った。185MT/日の固定アンモニア供給速度について、これら2つの分離スキームを用いてアンモニアクラッキングプロセスのコンピューターシミュレーションを構築した。単一PSA設計では、燃料ガスがテールガスコンプレッサーの上流のスリップ流として取り出される。
【0037】
この燃料ガスは、クラッキングプロセスのための全熱負荷の一部を提供し、残りはクラッキング炉内の電気ヒーターから来る。
【0038】
2段階スキームは、圧縮テールガスに第2のPSAユニットを加え、塔頂ガスを第1のPSA供給物に再循環して戻す。燃料ガスが、第1のPSAテールガス流からスリップ流として取り出され、第2のPSAユニットからのテールガスと混合される。
【0039】
シミュレーション結果を図3~4に示す。任意の所与の燃料ガス熱負荷について、2段階設計は、単一PSAと比較して、より低い比圧縮力を提供する。これは、H生成物回収量がより高い、より低い燃料ガス負荷(より高い電気加熱負荷)において特に当てはまる。
【0040】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、この説明は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0041】
本発明の第1の実施形態は、アンモニアから水素を生成する方法であって、アンモニアを含むアンモニア供給流をアンモニアクラッキング反応ゾーンにおいて分解して、水素及び窒素を含む分解流出流を生成することと、第1の水素圧力スイング吸着(PSA)ユニットにおいて、分解流出流を、第1の高圧水素流と、一部の水素及び窒素を含む第1の水素低減テールガス流とに分離することと、第1の水素低減低圧テールガス流をコンプレッサーで圧縮して、圧縮テールガス流を形成することと、圧縮テールガス流の少なくとも一部を第1の水素PSAユニットに再循環させることと、第1の高圧水素流を回収することと、を含む方法である。本発明の実施形態は、第2の水素PSAユニット内の圧縮テールガス流を、第2の高圧水素流と、一部の水素及び窒素を含む第2の水素低減テールガス流とに分離し、その後に、前記圧縮テールガス流の少なくとも一部を前記第1の水素PSAユニットに再循環させることを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第1の水素低減テールガス流を第1の部分及び第2の部分に分割することと、第1の水素低減低圧テールガス流の第1の部分を除去して窒素を除去することと、を更に含み、コンプレッサーで第1の水素低減低圧テールガス流を圧縮することが、第1の水素低減低圧テールガス流の第2の部分を圧縮することを含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、圧縮テールガス流の少なくとも一部を第1の水素PSAユニットに再循環させることが、第2の高圧水素流を第1の水素PSAユニットに再循環させることを含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第2の高圧水素流を回収することを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、分解流出流を分離する前にアンモニアを除去するために、水洗浄容器内の分解流出流を水洗浄することを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、圧縮テールガス流の少なくとも一部を水洗浄容器に再循環させることを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第1の水素低減テールガス流の少なくとも一部を、アンモニアクラッキング反応ゾーンのための熱源として燃焼させることを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第2の水素低減テールガス流の少なくとも一部を、アンモニアクラッキング反応ゾーンの熱源として燃焼させることを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第1の水素低減テールガス流がアンモニアを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第2の水素低減低圧テールガス流がアンモニアを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、アンモニア供給流を分解流出流とともに予熱することを更に含む、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第1の高圧水素流が2000kPa~6000kPaの範囲の圧力を有し、第1の水素低減テールガス流が100kPa~300kPaの範囲の圧力を有する、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第2の高圧水素流が2000kPa~6000kPaの範囲の圧力を有し、第2の水素低減低圧テールガス流が100kPa~300kPaの範囲の圧力を有する、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第1のPSAユニットに入る分解流出流の温度が30℃~50℃の範囲である、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第1の水素低減テールガス流及び第2の水素低減テールガス流を、アンモニアクラッキング反応ゾーンの熱源として燃焼させることが、アンモニアクラッキング反応ゾーンの熱負荷の10%~90%を提供する、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、分解流出流からの水素回収率が80%~98%の範囲である、本項の先行する実施形態から本項の第1の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。
【0042】
本発明の第2の実施形態は、アンモニアから水素を生成するための装置であって、入口及び出口を有するアンモニアクラッキング反応ゾーンと、入口、高圧水素出口、及び低圧テールガス出口を有する第1のPSAユニットと、ここで、アンモニアクラッキング反応器の出口が第1のPSAユニットの入口と流体連通している、入口及び出口を有するコンプレッサーであって、コンプレッサー入口が第1のPSAユニットの低圧テールガス出口と流体連通しており、コンプレッサー出口が第1のPSAユニットの入口と流体連通している、コンプレッサーと、を備える装置である。本発明の実施形態は、入口、高圧水素出口、及び低圧テールガス出口を有する第2のPSAユニットを更に備え、第2のPSAユニットの入口がコンプレッサー出口と流体連通している、本項の先行する実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の実施形態は、第2のPSAユニットの高圧水素出口が第1のPSAユニットの入口と流体連通している、本項の先行する実施形態から本項の第2の実施形態までのうちの1つ、いずれか、又はすべてである。
【0043】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明のさまざまな変更及び修正を行い、さまざまな使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるさまざまな修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0044】
上記では、すべての温度は摂氏度で記載され、すべての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアから水素を生成する方法であって、
アンモニアを含むアンモニア供給流(105)をアンモニアクラッキング反応ゾーン(110)において分解して、水素及び窒素を含む分解流出流(120)を生成することと、
第1の水素圧力スイング吸着(PSA)ユニット(160)において、前記分解流出流(120)を、第1の高圧水素流(165)と、一部の前記水素及び窒素を含む第1の水素低減テールガス流(170)とに分離することと、
前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)をコンプレッサー(175)で圧縮して、圧縮テールガス流(185)を形成することと、
前記圧縮テールガス流(185)の少なくとも一部を前記第1の水素PSAユニット(165)に再循環させることと、
前記第1の高圧水素流(165)を回収することと、
任意選択で、窒素を除去するために前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)の一部(180)を除去し、その後、前記第1の水素低減低圧テールガス流(170)を圧縮することと、を含む方法。
【請求項2】
第2の水素PSAユニット(290)内の圧縮テールガス流(285)を、第2の高圧水素流(295)と、一部の水素及び窒素を含む第2の水素低減テールガス流(300)とに分離し、その後に、前記圧縮テールガス流(285)の少なくとも一部を前記第1の水素PSAユニット(260)に再循環させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アンモニアから水素を生成するための装置であって、
入口及び出口を有するアンモニアクラッキング反応ゾーン(210)と、
入口、高圧水素出口、及び低圧テールガス出口を有する第1のPSAユニット(260)であって、前記アンモニアクラッキング反応器(210)の前記出口が、前記第1のPSAユニット(260)の前記入口と流体連通している、第1のPSAユニット(260)と、
入口及び出口を有するコンプレッサー(275)であって、前記コンプレッサー入口が前記第1のPSAユニット(260)の前記低圧テールガス出口と流体連通しており、前記コンプレッサー出口が前記第1のPSAユニット(260)の前記入口と流体連通している、コンプレッサー(275)と、
入口、高圧水素出口、及び低圧テールガス出口を有する第2のPSAユニット(290)であって、前記第2のPSAユニット(290)の前記入口が前記コンプレッサー出口と流体連通している、第2のPSAユニット(290)と、を備え、
前記第2のPSAユニット(290)の前記高圧水素出口は、前記第1のPSAユニット(260)の前記入口と流体連通している、装置。
【国際調査報告】