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特表2024-545612メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法
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  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図1
  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図2A
  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図2B
  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図3A
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  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図4
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  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図6
  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図7A
  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図7B
  • 特表-メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】メタデバイス及びフォトニクスベースのバイオセンシングを備える装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20241203BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G01N21/17 N
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531380
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 US2022050970
(87)【国際公開番号】W WO2023097050
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,037
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ディオンヌ,ジェニファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】サフィール,ファリーア
(72)【発明者】
【氏名】フーリ-ヤクーブ,ブトルス ティ.
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE02
2G059EE12
2G059FF03
2G059KK01
4B029AA07
4B029BB15
4B029BB20
4B029CC02
4B029FA12
4B029FA15
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】特定の実施例において、本開示の方法、半導体構造、及び様態は、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)であって、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有し、GMRピクセルの両端に光学系を有し、メタサーフェスセンサのGMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を緩和する、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセルを備える。特定のより具体的な実施例において、本開示の例示的な様態は、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセルのアレイを含む機能化メタサーフェスセンサを対象とし、各ピクセルは、別個の受容体又はプローブ分子を付着させるために機能化される。
【選択図】図3A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)であって、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有し、前記GMRピクセルの両端に光学系を有し、メタサーフェスセンサの前記GMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を緩和する、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセルを備える、
装置。
【請求項2】
前記GMRピクセルの表面は、1つ以上の各受容体及び/又はプローブ分子の別個のセットの付着のために機能化され、
サンプル及び前記機能化されたGMRピクセルに向けられた光に応答して、前記機能化されたGMRピクセルは、複数の他の種類の分子構造のうち、生物学的サンプルの別個の種類の分子構造に選択的に付着する、
請求項1の装置。
【請求項3】
前記キャビティ部は、複数のナノブロックを有し、
前記GMRピクセルのブロックは、前記GMRピクセルの表面に向けられた光に反応し、フォトニクスバンドギャップの形成を引き起こし、
前記バンドギャップ内の周波数を備えるフォトニクスモードは伝播が許されず、前記バンドギャップの端に対応する周波数は、前記ナノブロックの寸法に基づいて調整される、
請求項1の装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記GMRピクセルの両端及び前記キャビティ部の対向する側に、1つ以上のナノブロックの第1のセット及び1つ以上のナノブロックの第2のセットを含む、請求項1の装置。
【請求項5】
前記GMRピクセルは、複数の同様に構築された前記GMRピクセルの1つであり、それぞれ、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有し、前記GMRピクセルの両端に光学系を有し、前記メタサーフェスセンサの前記GMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を最適に緩和し、
前記複数の同様に構築された前記GMRピクセルの異なる1つに選択的にアクセスし、応答性を判別する論理回路をさらに備える、
請求項1の装置。
【請求項6】
前記同様に構築されたGMRピクセルの1つの表面は、1つ以上の各受容体及び/又はプローブ分子の別個のセットの付着のために機能化され、
前記同様に構築されたGMRピクセルの別の1つの表面は、1つ以上の各受容体及び/又はプローブ分子の異なる別個のセットの付着のために機能化され、
各前記表面は、生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子を区別するために集合的に機能化される、
請求項1の装置。
【請求項7】
前記光学系は、共振モードを含むことによりフォトニクスミラーとして機能又は作用する、請求項1の装置。
【請求項8】
前記キャビティ部は、異なる寸法の複数のナノブロックを有し、1つの前記異なる寸法は、別の前記異なる寸法とナノブロックの長さにより区別可能である、請求項7の装置。
【請求項9】
メタサーフェスセンサのガイドモード共振メタサーフェスセンサピクセル(「GMRピクセル」)であって、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有するGMRピクセルに光を向けることと、
前記GMRピクセルの両端の光学系を介して、前記GMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を緩和することと、
を備える方法。
【請求項10】
前記キャビティ部は、1000超である特定の高QでGMRを補助する複数のナノブロックを有する、請求項9の方法。
【請求項11】
前記キャビティ部は、10超である特定の高QでGMRを補助する、請求項9の方法。
【請求項12】
前記キャビティ部は、異なる長さの複数のナノブロックであって、前記複数のナノブロックの各端部が集合的に整列して光学系の端部間の少なくとも一部のテーパ状寸法を形成するように寸法決めされる、複数のナノブロックを有する、請求項9の方法。
【請求項13】
ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)のアレイを含む機能化メタサーフェスセンサであって、各前記GMRピクセルが、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有し、別個の受容体又はプローブ分子の付着のために機能化される、機能化メタサーフェスセンサと、
各前記GMRピクセルの両端に結合され、前記GMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を最適に緩和する、光学系と、
前記別個の受容体又はプローブ分子の1つずつにおける生物学的サンプルにより操作された前記向けられた光に応答して、前記生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子を区別する、光応答性データ処理回路と、
を備える装置。
【請求項14】
前記GMRピクセルの少なくとも1つは、前記向けられた光によりエネルギー付与され得る材料を有し、前記材料のバンドギャップ未満の照明波長エネルギーに対応する長さを有する、請求項13の装置。
【請求項15】
前記GMRピクセルの少なくとも1つは、数千超の特定の高QでGMRを補助するキャビティ部を有する、請求項13の装置。
【請求項16】
前記光学系は、フォトニクスミラーとして作用し、
前記異なる種類の生物学的分子は、核酸、タンパク質、病原体、及び小分子の1つ以上を指す又は含む、
請求項13の装置。
【請求項17】
前記機能化メタサーフェスセンサ、前記光学系、及び前記光応答性データ処理回路は、あらゆる蛍光又は光学タグの認識に依存することなく、単一のチップ上で、単一のサンプルから、異なるタンパク質と共に、複数の別個のDNA及びRNA配列を検出できるように協同して構成される、請求項13の装置。
【請求項18】
前記メタサーフェスバイオセンサピクセルの1つずつの付着のために、別個の受容体又はプローブ分子をさらに備える、請求項13の装置。
【請求項19】
前記メタサーフェスバイオセンサピクセルの1つずつは、バイオプリンティングされる、請求項13の装置。
【請求項20】
前記機能化メタサーフェス、前記光学系、及び前記光応答性データ処理回路は、ナノフォトニクス導波路装置を提供するように協同して構成され、
各前記GMRピクセルは、放射損失の形態で前記光を一定だけ再放射する導波路として作用し、
前記光学系は、前記GMRピクセルの前記少なくとも1つから散乱した光子に関連するQ因子を低減させる、
請求項13の装置。
【請求項21】
ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)1つずつを別個の受容体又はプローブ分子に付着させることにより、前記GMRピクセルのアレイを含むメタサーフェスセンサを機能化することと、
前記GMRピクセルの各端部に固定される光学系を含み、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を含む複数の前記GMRピクセルのそれぞれにより、前記メタサーフェスセンサに光を向け、光を閉じ込め、光の散乱に起因するエネルギー損失を緩和することと、
回路を使用して、前記GMRピクセルの1つずつにおける生物学的サンプルにおり操作された前記向けられた光に応答し、前記前記生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子を区別することと、
を備える方法。
【請求項22】
あらゆる蛍光又は光学タグの認識に依存することなく、前記前記生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子を区別することをさらに備える、請求項21の方法。
【請求項23】
回路を使用して、前記メタサーフェスセンサに光を向けることをさらに備え、
前記回路は、前記向けられた光に応答するためのCCD及び論理回路を備える、
請求項21の方法。
【請求項24】
前記GMRピクセルの1つずつに対する前記別個の受容体又はプローブ分子は、音響液滴吐出を通してパターン化される、請求項21の方法。
【請求項25】
前記GMRピクセルの1つずつの表面機能化解像度をカスタマイズ又は整合させて、前記GMRピクセルの隣接する1つ又は分析用サンプルの特定の別個の対象種に対して別個のバイオマーカーを検出することをさらに含む、請求項21の方法。
【請求項26】
前記別個の受容体又はプローブ分子は、目的の抗体と結合するための非特異的吸着を最小化する材料を適用することにより、前記GMRピクセルの表面に付着する、請求項21の方法。
【請求項27】
前記GMRピクセルは、核酸、タンパク質、並びに疾患、感染及び環境への露出を示す特定の物質の1つ以上から選択される2つ以上のクラスのバイオマーカーとの分子結合を提供するように、単一のチップ上に機能化され、
前記区別は、前記GMRピクセルの1つずつからの散乱光強度の変化を通して検出される分子結合に基づく、
請求項21の方法。
【請求項28】
前記区別は、前記向けられた光に応答する、対象バイオマーカーが前記GMRピクセルの1つ以上の表面に結合すると敏感に変化する鋭い散乱スペクトルの現れに基づく、請求項21の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特定の例示的な文脈において、本開示の様態は、特定の品質係数でGMRを補助する様態を有するガイドモード共振メタサーフェスピクセル構造及び設計を備え、ゲノム、プロテオーム、トランスクリプトーム、エピゲノム、メタボローム、及び/又はマイクロバイオームに関連する生体分子及び化学種の分析を含む、装置及び方法を対象とする。当該分析は、生物や生態系の健康を理解し、モニタリングし、治療するために重要である。1つのサンプル又は検体から、核酸及びタンパク質の両方等の複数のバイオマーカーのデータを統合することで、複雑な生物学的プロセス又は遺伝子型-表現型-環境型の関係について、個々のバイオマーカー単独の分析よりも深い洞察が得られる。
【0002】
そのような分析のために、効率的で、費用効果が高く、便利な装置及び/又は方法を提供することは困難である。さらに、そのような方法で多数のバイオマーカー及び/又は複数のクラスのバイオマーカーを分析する試みは、複雑で負担が大きい。このようなことが、臨床や研究等の様々な用途における課題となっている。
【背景技術】
【0003】
本開示により提示される様々な実施例/実施形態は、上記のような課題及び/又は以下の開示から明らかになり得る他の課題を対象とする。例えば、これらの開示される態様のいくつかは、エネルギーの緩和又は最適化を使用又は活用する方法および装置を対象とする。特定の実施例において、サンプルの別個の様態を検出するために、生物学的資料により操作され、次に、別個の受容体又はプローブ分子により処理される。
【0004】
特定の実施例において、方法及び装置(例えば、電子装置)は、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)であって、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有し、GMRピクセルの両端に光学系を有し、メタサーフェスセンサのGMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を緩和する、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセルを備える。特定のより具体的な実施例において、本開示の例示的な様態は、ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセルのアレイを含む機能化メタサーフェスセンサを対象とし、各ピクセルは、別個の受容体又はプローブ分子を付着させるために機能化される。
【0005】
(上記の方法及び装置の1つ以上に関連し得る又はそれらに基づき得る)本開示のより具体的な他の例示的な態様において、そのような機能化メタサーフェスセンサは、高Qガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)のアレイを含んでよく、各ピクセルは、少なくとも1つの別個の受容体及び/又は少なくとも1つのプローブ分子のセットを付着させるために機能化される。向けられた光によりエネルギー付与され得る各GMRピクセルは、キャビティ部の両側に光学系を有してよく、光学系は、フォトニクスミラーとして機能し、エネルギーの漏れを防ぎ、エネルギーをキャビティ部に向かって反射できる。
【0006】
上記の態様に関連し得る又はそれに基づき得るより具体的な様態に関して、本開示は:本明細書において記載される又は特徴付けられるような例示的な態様及び実施形態におけるような部分的又は完全に製造された装置;本明細書において記載される又は特徴付けられるような当該装置を使用する(例えば、試験、測定、及び/又は研究/臨床設定における)方法;並びに本明細書においてされる又は特徴付けられるような部分的又は完全に製造された装置を製造する方法を対象とする。
【0007】
本明細書に説明される実施例にも基づき得るより具体的な実施例において、様態は、以下の:GMRピクセルのブロックは、GMRピクセルの表面に向けられた光に反応し、フォトニクスバンドギャップの形成を引き起こし、バンドギャップ内の周波数を備えるフォトニクスモードは伝播が許されず、バンドギャップの端に対応する周波数はナノブロックの寸法に基づいて調整されること;光学系は、GMRピクセルの両端及びキャビティ部の対向する側に、1つ以上のナノブロックの第1のセット及び1つ以上のナノブロックの第2のセットを含むこと;光学系は、共振モードを含むことによりフォトニクスミラーとして機能又は作用すること;キャビティ部は、異なる寸法のナノブロックを有し、1つの異なる寸法は、別の異なる寸法とナノブロックの長さにより区別可能であること;キャビティ部は、設計及び用途に応じて特徴付けられる特定の高Q(例えば、Qは10より大きい範囲にあり、多くの例及び用途において、高Qは数千又は数万である)でGMRを補助する複数のナノブロックを有し、キャビティ部は、異なる長さの複数のナノブロックを有し、異なる長さは、複数のナノブロックの各端部が集合的に整列して光学系の端部間の少なくとも一部のテーパ状寸法を形成するように寸法決めされること(例えば、図6に示される);キャビティ部は、異なる寸法の複数のナノブロックを有し、1つの異なる寸法は、別の異なる寸法とナノブロックの長さにより区別可能であること;及びGMRピクセルの少なくとも1つは、向けられた光によりエネルギーが付与され得る材料を有し、材料のバンドギャップ未満の照明波長エネルギーに対応する長さを備える少なくとも1つの部分を有すること、の1つ以上(の組み合わせ)を対象とする。
【0008】
1つの特定の実施例において、本開示は、装置のために本明細書に開示される上記の様態の特定の様態を有する方法を対象とする。例えば、本開示に係るそのような方法の1つは、メタサーフェスセンサを機能化するステップ、及び/又は複数のGMRピクセルの各端部に光学系を固定するステップを含む。メタサーフェスセンサを機能化するステップは、GMRピクセルの1つずつに別個の受容体又はプローブ分子を付着させることにより、(例えば、高Q)ガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)のアレイを含むように特徴付けされるメタサーフェスセンサに関する。複数のGMRピクセルの各端部に光学系を固定するステップは、メタサーフェスセンサに向けられた光に応答して、光の閉じ込め、光の散乱によるエネルギー損失を最適に緩和する。上記のこのアプローチにおいて、回路及び機能化は、生物学的サンプルにより走査された後、向けられた光を許容し、それにより、生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子がGMRピクセルにおいて区別可能になる。
【0009】
より具体的な実施形態において、上記の方法は、生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子区別すること;及び/又はメタサーフェスセンサに向けて光を向ける回路を使用することをさらに含み、回路は、CCDと、向けられた光に応答する論理回路を備える。
【0010】
上記の種類の方法に適用可能な関連するさらなる実施形態において、方法は、音響液滴吐出を介して各GMRピクセルに別個の受容体又はプローブ分子をパターン化することを含んでよい、及び/又はGMRピクセルの1つずつの表面機能化解像度をカスタマイズ又は整合させて、GMRピクセルの隣接する1つ又は分析用サンプルの特定の別個の対象種に対して別個のバイオマーカーを検出することを含んでよい。
【0011】
上記の種類の方法に関するさらなる実施例において、別個の受容体又はプローブ分子は、目的の抗体と結合するための非特異的吸着を最小化する材料を適用することにより、GMRピクセルの表面に付着してよい。
【0012】
上記の方法及び/又は装置に関するより具体的な実施例において、(例えば、そのような装置の一部である)電子装置は、メタサーフェスバイオセンサピクセルの1つずつに付着するための別個の受容体又はプローブ分子を含んでよい。
【0013】
上記の実施例及び様態の1つ以上に基づき得る他の関連する様態によれば、本開示は、バイオプリンティングされたメタサーフェスバイオセンサピクセルの1つずつを対象とする。
【0014】
さらなる別の関連する様態によれば、本開示は、本明細書の図面に示される構造の1つ以上により特徴付けられる1つ以上の美的又は装飾的な設計の様態(例えば、ピクセル構造及び/又はメタサーフェスアレイ)を対象とする。
【0015】
上記の説明は、本開示の各様態、実施形態、又は全ての実装例を説明することを意図しない。以下の図面及び詳細な説明も、様々な実施形態を例示する。
【0016】
実験例を含む様々な実施形態の例は、本開示に係る、付される図面に関する以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示に係る、無限長の共振器(直線の実線(黒線))、10μmまで切り詰められた導波路装置(曲線の実線(青線))についての構造摂動Δdの関数として計算されたQ因子を図示し、全品質因子(水平の破線(赤線)は、散乱損失に関連する最大品質因子により制限される。
【0018】
図2図2A及び2Bは、本開示に係る、バンドギャップの異なる(より低い)周波数への変位に影響を与える導波路に沿ったシリコンナノブロックの長さの変化に関する関連グラフである。
【0019】
図3図3Aは、本開示に係る、無限に長い場合の感知ピクセル設計及びQ因子対Δd(ナノメートル)の関連グラフを示し、ピクセル設計は、特定の高QでGMRを補助する2つの異なる長さ(長さは水平方向の寸法である)のブロックを備え、同様の長さの少なくとも1つ(例えば、5つ)のブロックを含む光学系部を両端に備えるキャビティ部を示す。
【0020】
図3図3Bは、本開示に係る、少なくとも1つのピクセルのブロックが固定される上部表面を備える基板構造の斜視図である、図3Aの感知ピクセル設計の例を示す。
【0021】
図4図4は、(本開示に係る、関連グラフの二重セット及びミラー強度を計算するための式に関して)このような例示的な感知ピクセル設計タイプの使用が、導波路内にガイドモード共振を含むためのミラー素子を有さない装置と比較して、どのようにQを最大で一桁増加させ得るかを示す。
【0022】
図5図5は、本開示の特定の具体的な実施例に係る、そのようなQの桁の増加(~8000から~80000)の視覚化を補助する(X軸及びY軸に沿ってミクロン単位の寸法を備える)ピクセル設計の例を示す。
【0023】
図6図6は、本開示の特定の具体的な実施例に係る、他の同様に構築された実験例の高Qピクセル構造(例えば、~10μmの長さを有し、テーパ状寸法を形成するように集合的に整列したブロックと光を反射するための光学系を提供する1つのピクセルの端部のブロックとを備えるキャビティ部を有する)の走査型電子顕微鏡画像の例を示す。
【0024】
図7図7Aは、どのように(図6の例の図示されるような)複数のピクセルのスペクトル応答が各ピクセルの位置における強度を通して同時に測定され得るかを示す
【0025】
図7図7Bは、例示的なパターン化されたメタサーフェスの解像度における表面機能化のために、液滴生成又は化学的転移を使用して機能化された多重化メタサーフェスに対応する画像を示す。
【0026】
図8図8Bは、本開示に係る、GMRピクセルのアレイを含むセンサシステムの透視図である。
【0027】
本明細書で説明される様々な実施形態は、変更及び代替形態に従順であるが、その態様は、図面において例として示され、詳細に説明される。しかしながら、本開示を記載される特定の実施形態に限定する意図はないことが理解される。むしろ、その意図は、特許請求の範囲において画定される態様を含む、本開示の範囲内の全ての変更例、同等例、及び代替を網羅することである。加えて、本出願を通して使用される「実施例」の用語は、例示のためのものであり、限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の様態は、ナノ構造化シリコンブロック及び/又は膜を有する光学メタ構造及び/又はメタサーフェス(しばしば「メタデバイス」と総称される)を含む様々な異なる種類の装置、システム、及び方法に適用可能であると考えられる、これらは、設計に応じて多くの用途を有してよい。本開示の1つの特定の様態の例によれば、そのような光学メタデバイスは、パターン化したシリコンナノ構造に沿って光を共振的に捕捉する各メタ表面により、及び/又はメタデバイス用に設計された各ピクセルのキャビティ部により支持されるガイドモード共振(GMR)を伴うことにより、バイオマーカーの表面結合を検出する。このバイオマーカーの表面結合についての特定の態様は、本開示に係る他の特定の態様のうちの1つを例示し、メタデバイスにより操作される光のための1つ以上のGMRに関連する、共振モードを含むフォトニクスミラーのセットとして集合的に機能又は作用する、その上に複数のナノ構造を有する1つ以上のメタデバイスにより利益を得てよい。この種類の設計は、比較的短い(又は短くなった)センサ装置について特に有益である。以下の説明は特定の装置及び方法で例示されるような当該様態を指すが、かかる説明は、1つ以上の当該様態の説明を補助する例示的な文脈を提供するのみのものであり、本開示は必ずしも限定されない。
【0029】
そのような光学メタデバイスが、複数のナノ構造を有する1つ以上のメタデバイスを使用して思料により走査される光について高QGMRを支持することにより、本開示に係るバイオマーカーの表面結合に使用される、特定の具体的な様態の例によれば、この種類の設計は、高いQで大きな損失が無く、導波路端部からの散乱に起因する損失が最小になるため、比較的短い(又は短くなった)センサ装置について特に有益である。より具体的な構造において、複数のナノ構造(又はブロック)が各ピクセルの端部においてフォトニクスミラーとして作用するように利用されるため、光が中心(キャビティ部)に向けて反射され、比較的短いセンサデバイス内に高Q共振モードを含む。
【0030】
特定の具体的な実施例において、シリコンナノ構造と周囲の媒質との間の著しい屈折率コントラストに起因して、導波路デバイスに沿って著しいブラッグ散乱が存在する。これにより、バンドギャップ内の周波数を有するフォトニクスモードが伝搬しないフォトニクスバンドギャップが形成される。本開示の特定のより具体的な態様において、導波路チェーンに沿ってブロックの寸法を変えることにより、バンドギャップの端に対応する周波数を調整することができる。
【0031】
従って、以下の説明では、本明細書において提示される特定の実施例を説明するために、様々な特定の詳細が示される。しかしながら、1つ以上の他の実施例及び/又はこれらの実施例の変形例が、以下に示される全ての特定の詳細なしに実施され得る点、当業者にとって明らかである。他の例において、本明細書における実施例の説明を不明瞭にしないように、周知の特徴は詳細に説明されない。図示を容易にするために、異なる図において、同一の記号及び/又は参照番号が、同一の要素又は同一の要素の追加の例を指すために使用され得る。また、態様及び特徴は、いくつかの場合において個別の図に記載されることがあるが、組み合わせが明示的に示されない又は組み合わせとして明示的に記載されない場合であっても、1つの図又は実施形態からの特徴を別の図又は実施形態の特徴と組み合わせることができる点が理解される。
【0032】
さらに、本開示の特定の態様は、本開示の特定の部分に記載又は特徴付けされ得るような例示的な態様及び実施形態におけるような完全に製造された装置だけでなく、本明細書に記載又は特徴付けされる特定の例示的な態様及び実施形態と一致するより完全な装置へと組み立てられる及び含まれる部分的に製造された装置及び/又は装置の要素(例えば、光学系又はフォトニクスミラー、高Qピクセル構造、メタサーフェスアレイ等)の態様も対象とする。また、本開示の特定の他の態様は、そのような装置(又はその要素)を使用する(例えば、試験、測定、及び/又は研究/臨床設定において)方法を対象とする。
【0033】
本開示の様態の例は、生物学的サンプルにより操作され、次に別個の受容体又はプローブ分子により処理されることにより操作されたサンプルの別個の様態を検出するために、エネルギーの最適化を含む方法及び装置を対象とする。特定の実施例において、方法及び半導体構造は、それぞれ少なくとも1つの別個の受容体又はプローブ分子の付着のために機能化された高Qガイドモード共振メタサーフェスバイオセンサピクセル(「GMRピクセル」)のアレイを含む機能化されたメタサーフェスセンサを対象とする。光学系は、GMRピクセルの各端部に結合されて、(生物学的サンプルにより)サンプル操作された光を閉じ込め、光の散乱に起因するエネルギー損失を最適に緩和し、さらに、生物学的サンプル中の異なる種類の生物学的分子を区別するために、光応答回路及びデータ処理回路は、別個の受容体又はプローブ分子の1つずつによりサンプル操作された光に応答する。GMRピクセルの1つ以上は、向けられた光によりエネルギー付与され得る材料を有してよく、材料のバンドギャップ未満の照明波長エネルギーに対応する長さを有する少なくとも1つの部分を有し、GMRピクセルの少なくとも1つは、キャビティ部と、キャビティ部の両側に各フォトニクスミラーとして作用する(例えば、光にエネルギーをキャビティ部に向けることにより光の散乱に起因するエネルギー損失を緩和又は防止する)1つ以上のブロックのセットとを含む光学系を有してよい。
【0034】
様々な実施形態の様態は、請求の範囲、明細書、及び図面に記載されるような装置(例えば、システム、デバイス、アセンブリ、部品、材料等)、及びそのような装置を1つ以上含む任意の様々な種類の工程(例えば、使用方法及び製造方法)を対象とする。本明細書の教示に対して様々な程度で組み合わせることができる他の実施形態、実験、及び用途の詳細に関する情報については、優先権が主張される2021年11月24日に出願された米国仮出願番号63/283037(STFD.438P1 S21-418)(付録付き)に開示される教示及び基礎となる参考文献を参照することができる(また、許可される限り、かかる主題は、その全体、及び具体的には補足及び/又は明確化に有用であり得るさらなる実施例及びより詳細な実施形態が参照により組み込まれる)。
【0035】
特定により具体的な実施形態の例において、本開示は、高速、ラベルフリー、高いスループット、及び多重化バイオマーカー分析のための光学プラットフォームを対象とする。このプラットフォームは、あらゆる蛍光又は光学タグの認識に依存することなく、単一のチップ上で、単一のサンプルから、異なるタンパク質と共に、複数の別個のDNA及びRNA配列を検出することができる。特定のより具体的な様態において、本開示は、対象DNA及びRNA配列決定のための小型、高速、潜在的低コストのプラットフォームを提供することを対象とし、多重化された遺伝学的及びトランスクリプトーム解析のために、何千もの別個の核酸プローブ配列が例示的な感知装置にわたって配列されてよい。さらに、タンパク質及び代謝産物も同じプラットフォーム上で検出可能であり遺伝子型-表現型-環境型の関連を決定するためのマルチオミクスデータセットを可能にする。そのような様態によりビッグデータの取得が可能になり、疾病の早期発見、癌や感染症の治療モニタリング、神経疾患の進行の理解、農業や環境設定における毒素の検出等が改善できる。
【0036】
特定のより具体的な実施形態の例において、本開示の様態は、ナノフォトニクス導波路ベースの装置が放射損失を顕在化させるシステムにおいて使用するための方法を対象とし、装置は、導波路の切り詰められた端部から散乱する光子に関連するQ因子の低減を考慮又は軽減する。特定のより具体的な関連する実施形態は、高品質(高Q)因子メタサーフェスを備える又は含む装置又は方法を対象とする(Qは、核酸、タンパク質、病原体、及び小分子の検出に関連する等、バイオセンシングサンプルと共に使用するために、少なくとも数千、いくつかの場合では1000超又は10000超(例えば、~12000、~15000、~20000、又はそれ以上)である)。別の例において、高Qは、1000から40000又は60000の範囲にあることを特徴とする。そのような実施例において、1つ以上のフォトニクスミラー素子は、ガイドモード共振(GMR)を空間的に閉じ込めること及び/又は散乱損失を防止することを補助し;そのようなフォトニクスミラーの使用は、小型で個別にアドレス指定可能なバイオ感知ピクセルを生成するために切り詰められたメタサーフェス装置の寸法に関連して使用され;及び/又は設計は、本明細書の図面に示される構造の1つ以上の美的又は装飾的な設計の様態(例えば、高Qピクセル構造の1つ以上の組み合わせ及び/又はメタサーフェスに関連して示されるそのような構造のアレイ)を対象とする。
【0037】
さらなる特定の様態において、本開示は、個々の様態として又は2つ以上の組み合わせとして利用又は実施される以下の:(a)高密度にパターン化された個々にアドレス可能な感知装置を可能にする、及び/又は大規模に多重化及び並列化されたバイオマーカー検出のためのプラットフォームとして作用し得る感知素子の高密度マイクロアレイを可能にするのに十分である、切り詰めを可能とし、共振装置を比較的小さなフットプリントに縮小するメタサーフェス設計特徴を備える高Qピクセル感知素子設計;(b)自由空間放射制御及び高放射Q因子;(c)端部散乱によるQの損失を緩和するフォトニクスミラー;(d)メタサーフェスアレイの作製及び光学的特徴付け;(e)メタサーフェス機能化及び多重化機能化方法;(f)多重化メタサーフェス機能化;(g)タンパク質検出のためのメタサーフェス機能化;及び(h)そのようなメタサーフェス関連様態又は設計の音響バイオプリンティング、の1つを対象とする(そのような様態は、それぞれ、本明細書に提示される他の実施例に関して限定無しに例示される)。
【0038】
上記の様態の特定のものと一致するより具体的な実施例に関して、そのような製造された装置又は製造方法は、そのようなメタサーフェス関連様態又は設計のバイオプリンティング(例えば、音響バイオプリンティング)を含んでよい。他の関連する様態によれば、本開示は、プリンティングベースのチップ表面の表面機能化を対象とする又は含んでよい。これらの様態に関して、バイオプリンティングは、個々のメタサーフェスバイオセンサピクセルに別個の受容体分子を付着させることに利用される。バイオプリンティングの小さな液滴サイズは、感知ピクセルのアレイの空間パターン化を可能にし、個々のピクセルは、隣接するピクセル素子から別個のバイオマーカーを検出するように調整されてよい。
【0039】
本開示に係る特定の具体的な実施形態の例において、音響バイオプリンティング法は、化学又は生物学的に機能されたバイオセンサー群又は固有の表面機能化を有する個々の共振器を提供するために使用される。音響プリンティングの1つの形態は、集束ノズルを使用せずに液滴を吐出する集束音波を使用する。このように、液滴直径は、音響トランスデューサーの共振周波数の関数であり、液滴直径は、共振周波数に反比例する。従って、液滴体積は、プリンターの共振周波数を変化させることにより変化させることができる。本開示に関連するさらなる特定の実験的概念実証の取り組みにおいて、本発明者らは、直径300μm~15μm又は体積4.5nL~2pLの液滴を生成する5MHz~147MHzで変化する4つの共振周波数により、安定した生物学的プリンティングを実証した(添付スライドのスライド1で実証)。プリンターは、(図3B、6及び8に示されるように)生物学的機能化のアレイをチップ上にプリント及び堆積させるために使用されてよい。プリンターは、異なる化学物質と共に使用されてよく、GMR/共振器のアレイ上に抗体を堆積させ、チップ上にインキュベートされた対象タンパク質(例えば、COVIDスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン)と共にこのプローブ抗体の結合による共振器周波数の変位を測定するために使用されてよい。これらの取り組みに関して、そのようなプリンターは、蛍光タグ付けされたタンパク質を再度使用して単一のバイオセンサピクセル上に2ピコリットルの液滴を堆積するために使用されてよいことが実証された。
【0040】
本開示に一致して、そのような装置及び/又は方法は、(本明細書に開示される他の実施例のうち)あらゆる蛍光又は光学タグの認識に依存することなく、単一のチップ上で、単一のサンプルから、異なるタンパク質と共に、複数の別個のDNA及びRNA配列を検出できるように協同して構成される、機能化メタサーフェスセンサ、光学系、及び光応答性データ処理回路を備える、上記に特徴付けられるような装置を作製するために使用されてよい。さらに、別個の受容体又はプローブ分子は、付着のために構成されてよく、いくつかの実装例において、メタサーフェスバイオセンサピクセルの1つずつに付着してよい。特定の用途において、そのような装置は、核酸、タンパク質、病原体、及び小分子の1つ以上を含む異なる種類の生物学的分子を検出及び区別するために使用されてよい。
【0041】
本開示の特定の具体的な様態は、バイオマーカーの表面結合を検出するナノ構造シリコン膜を含む又はそれから構成される光学メタサーフェスを利用する高Q感知素子設計を対象とする又は含む。これらのメタサーフェスは、パターン化されたシリコンナノ構造に沿って光を共振的に捕捉し、GMRに起因する強い電磁場集中及び鋭い散乱スペクトルをもたらす。GMRは、レーザー又は発光ダイオードからの自由空間照明を介して励起され、散乱光は、カメラセンサに向けられる。本開示と一致する方法で開発された特定のメタサーフェス設計特徴によれば、そのような高Q感知の様態は、共振装置を切り詰め、小さなフットプリントに縮小し、1平方センチメートル当たり100万素子を超える密度でパターン化された個々にアドレス可能な感知装置を可能にする。これらの設計特徴は、感知素子の高密度マイクロアレイを可能とし、大規模多重化及び並列化されたバイオマーカー検出用のプラットフォームとして作用し得る。
【0042】
上記に関連し、より具体的な様態によれば、本開示は、例として核酸、タンパク質、病原体、及び低分子の直接検出を含む様々な種類のバイオセンシングに関連して使用するための高Q解説光学メタサーフェス又は高品質因子メタサーフェスを対象とする又は含む。そのようなより具体的な様態は、小型で個々のアドレス可能なバイオセンシングピクセルを作製するためにメタサーフェス装置の寸法を切り詰めた時、GMRを空間的に閉じ込め、散乱損失を防止するフォトニクスミラー素子の使用を活用する及び/又は含む。さらに、従来の(例えば、CMOSベースの)製造工程と組み合わされた時、本開示に係るメタサーフェス感知素子は、1平方センチメートル当たり数百素子を超える密度、いくつかの場合では、1平方センチメートル当たり多数(例えば、百、数百、又は百万)の素子を超える密度でパターン化できる。高Q共振からの鋭い散乱に起因して、対象分子の光学的タグ付けは必要なく(使用してもよい)、代わりに、分子結合が、各ピクセルからの散乱光強度の変化を通して敏感に検出される。高密度センサアレイにより、単一の画像から豊富なデータセットを取得することが可能となる。
【0043】
説明は、特定のより具体的な(例えば、実験的/概念事象的な)様態及び実施形態を示すために図と共に提示される本開示の様々なより具体的な実施例に移る。従って、上記で主に特徴付けられたように、本開示のそのような実施例は、メタサーフェスセンサのGMRピクセルに向けられた光に応答して、光を閉じ込め、光の散乱に起因するエネルギー損失を緩和する、特定のQでGMRを補助するキャビティ部を有し、GMRピクセルの両端に光学系を有するガイドモード共振メタサーフェスピクセル(「GMRピクセル」)を含む異なる種類の装置を対象とする。本開示のより具体的な実施例は、切り詰めを可能にし、共振装置をより小さなフットプリントに縮小し、高密度(例えば、1平方センチメートル当たり100個から100万個を超える素子)で個々のパターン化されたアドレス可能な感知装置を可能にする、及び/又は大規模に多重化及び並列化されたバイオマーカー検出のためのプラットフォームとして作用し得る感知素子の高密度マイクロアレイを可能にする、メタサーフェス設計特徴を備える高Qピクセル感知素子設計を有する装置を対象とする。
【0044】
特定の実験的なメタサーフェス設計によれば、ナノ構造ブロックのチェーンは、シリコン、窒化シリコン、窒化ガリウム、二酸化チタン、及び/又は二酸化ハフニウム等の高屈折率材料にパターン化される。ナノ構造の一次元チェーンは、ナノパターン化されたチェーンの長さに沿って局在するガイドモードを補助する導波路を構成してよい。構造的摂動は、導波路装置の長手方向に含まれ、高Qガイドモード共振における自由空間結合を可能にする。チェーンに沿った構造的摂動により、GMR内で結合した光子が最終的に自由空間に再放射される際のモードの放射損失に関連する品質因子を直接制御できる。しかしながら、フォトニクスモードの総合的な品質因子は、ナノフォトニクス装置の全ての関連する光子損失メカニズムの組み合わせとして考慮される。本開示に関連して、無限に長く(又はフォトニクスモード伝搬長よりはるかに長く)、ナノフォトニクス装置を構成する材料のバンドギャップ未満の照明波長エネルギーで動作する(従って、材料吸収を無視できる割合又はゼロへと低減する)導波路装置を考慮すると、放射損失のみがセンサ設計に関連すると考えられ、上記のように幾何学的摂動により制御できる。しかしながら、個々の感知素子の高密度マイクロアレイを作製するために必要とされるような、より小型の感知ピクセルを構築するために導波路装置の長さは短くされるため、導波路の切り詰められた端部から散乱する光子に関連するQ因子が考慮される。導波路装置の長さが短くなるにつれて、ガイドモード共振は導波路の端部の境界からますます散乱するようになり、センサの総Q因子及び性能が低下する。従って、高Q小型感知ピクセルを容易にするために、これまで考慮されていなかった追加の設計要素が使用されてよい。
【0045】
図1において、黒実線110により示される無限長の共振器について及び青実線120により示される10μmまで切り詰められた導波路装置について、構造的摂動Δdの関数として、計算されたQ因子が示される。短くなった構造の切り詰められた端部からの散乱に起因して、総品質因子は、破線130により示される散乱損失に関連する最大品質因子により制限される。
【0046】
導波路の端部からの散乱に起因する損失を最小化するために、短くなった感知装置内に共振モードを閉じ込めるフォトニクスミラーとして作用する追加のナノ構造が利用される。シリコンナノ構造と周囲の媒質との間に顕著な屈折率コントラストがあるため、導波路装置に沿って顕著なブラッグ散乱が存在する。これにより、バンドギャップ内の周波数を有するフォトニクスモードが伝搬しないフォトニクスバンドギャップが形成される。導波路チェーンに沿ってブロックの寸法を変えることにより、バンドギャップの端に対応する周波数を調整することができる。
【0047】
図2A及び2Bは、本開示の様態に係る、導波路に沿ったシリコンナノブロックの長さの変化の観点から、構造上の例示的なシリコンナノブロックが、どのようにバンドギャップをより低い周波数へと変位させるように効果的に増加され得るかを示す関連グラフである。より具体的には、図2A及び2Bは、構造の実験例について、バンド構造の位置を異なる周波数へと移動させるためにどのように寸法を調整できるかを含む、特定の構造的様態を備えるシリコンブロックのチェーンの動作様態を図示する周波数対バンドギャップのプロットを示す。
【0048】
より具体的には、図2A及び2Bの(青)線215、215’、及び220に対応するプロットは、特定の構造(例えば、高さ600nm、幅160nm、長さ600nm、及び間隔330nmを有する)に対応するシリコンブロックのチェーンのバンド構造を示す。バンド構造の位置を異なる周波数へと移動させるために、絶対寸法は調整されてよい。図2Aの(赤)線216及び216’は、(下記の図3Aの概略図における光含有光学系と同様に)長いブロックを有するフォトニクスミラー様のセグメントの光応答を示し、各ブロックの長さ寸法が~1300nmであり(他の寸法は全て固定される)、青線から周波数の変位をもたらすシリコンブロックの同様のチェーンのバンド構造を示す。図2Aの青線215’は赤線(216及び216’)バンド構造のバンドギャップ内の周波数における共振モードを有するため、これら2つの異なる寸法(短くて600nm、長くて1300nm)のブロックは、図3Aに概略的に図示されるような高Qピクセル共振器を構成するために使用されてよい。
【0049】
本開示によれば、2つの異なるブロック長さを有するセクションを備える感知ピクセルを設計することにより、バンド端状態に対応する共振モードを有するキャビティ部と、キャビティ部のモード周波数がミラーバンドギャップ内に位置するようにバンドギャップが変位したミラー部とを設計することができる。共振器の両端部あるミラー部は、導波路の両端からガイドモード共振が散乱することを防ぎ、代わりにモードをキャビティ部へと反射させる役割を果たす。さらに、ミラー強度は、ミラー部をテーパ状にして直線的に変化するミラー強度プロファイルを作成することにより、共振器内のフォトニクスモードを最適に局在させるように系統的に設計されてよい。
【0050】
図3Aは、感知ピクセル設計及びQ因子対Δd(ナノメートル)の関連グラフの例を示し、Q因子はシリコンブロックで構成された無限長のチェーン対短い有限チェーンに関する。これらの図3Aのプロットに図示されるように、本開示の実施例のようにフォトニクスミラー構造を使用しないと、共振器装置のQ因子は、装置の物理的サイズを小さくするほどに急激に低下する。しかしながら、ピクセル装置の端部にそのようなフォトニクスミラー素子を追加することにより、(例えば、~10~20μm程度の)小さい装置においても高Q因子が維持される。
【0051】
図3Bは、少なくとも1つのピクセルのブロック固定される(ピクセルのアレイが固定されてよい)第1の表面と、(反対側と同一の外観を有してよい)左側の第1の長い側面と、(上部の反対側と同一の外観を有してよい)シートの底部近傍の第2の短い側面とを備える基板構造を示す、図3Aの感知ピクセル設計の例の透過図を示す。図3Aの感知ピクセル設計の実施例の図(及び異なるブロック長さを示す異なる表面を示す図6の左右における同様の構造)は、本開示に係るそのような設計の美的様態を示すために有用である。
【0052】
図4は、(本開示に係る、関連グラフの二重セット及びミラー強度を計算するための式に関して)このような例示的な感知ピクセル設計タイプの使用が、導波路内にガイドモード共振を含むためのミラー素子を有さない装置と比較して、どのようにQを最大で一桁増加させ得るかを示す。
【0053】
図5において例として示されるように、本様態設計戦略によれば、導波路内にガイドモード共振を含むためのミラー素子を有さない装置と比較して、Qを一桁増加させることができる(図5のそのような各装置の特徴の右側のスケールの例は、-2500から2500である。)。
【0054】
メタサーフェスピクセルは、電子ビームリソグラフィーを利用して、透明サファイア基板上のシリコン膜に作製される。図6は、作製された長さ10μmの高Qピクセル構造の走査型電子顕微鏡写真を示す。共振モードの空間的局在化に起因して、このような例示的な実施形態では、各ピクセルは30μmのフットプリントしか必要としない。この小さなフットプリントにより、1平方センチメートル当たり最大300万フィーチャーのピクセル密度が可能になる。自由空間から垂直入射で照明されると、ナノ構造は、カメラ検出器に向かって透過光及び反射光を強く散乱する。複数のピクセルのスペクトル応答は、図7Aに見られるように、各ピクセルの位置における強度を通して同時に測定することができ、明るいスポットは、個々の共振器からの散乱信号を表す。
【0055】
例示的なメタサーフェスの機能化により、選択的な対象の結合及び検出が可能になる。そのような装置の多重化能力を実現するために、表面は、別個の受容体又はプローブ分子を個々のメタサーフェスバイオセンサピクセルに付着させ、同時に表面上の非特異的結合を防止するように機能化される。さらに、単一のチップ上の核酸、タンパク質、病原体全体、及び/又は小分子を検出することを可能にするプローブ分子のアレイによる個々の共振器の機能化を可能にするために、表面機能化化学及びパターニング方法論の利用が効果的である。表面の化学的機能化は、例えば(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)又は11-アミノウンデシルトリエトキシシラン(AUTES)によるメタサーフェスの共有結合的シラン化に依存する。次に、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミド(MBS)エステルによるアミン-スルフィドリル架橋を使用して、プローブ結合に必要なチオール化分子を結合させる。これらの初期工程は、多重化チップ全体にわたって一括して行うことができる。
【0056】
大規模に多重化された生体分子検出のために、各共振器の個々の機能化が行われる。1つの例において、(集積回路)チップは、1)単一のサンプルから多数のバイオマーカーを多重検出するため、又は2)多数のサンプルから単一のバイオマーカーを検出するために利用される。
【0057】
バイオマーカーのアレイを多重検出するために、ピコリットルからマイクロリットル量の別個の受容体分子を、個々のメタサーフェスバイオセンサピクセルに付着させ、分析用に単一の生物学的サンプル上に流す。逆の場合、1つの工程において、1つのバイオマーカーを多重検出するために、1つのプローブ分子により表面が全体機能化され、例示的なチップ上にピコリットルからマイクロリットル量の別個のサンプルが堆積される。
【0058】
一つの実施形態において、プローブ分子のパターニングに音響バイオプリンティング(音響液滴吐出法)が利用される。音響プリンティングは、流体の自由表面から液滴を吐出するために超音波を使用することにより機能する。無線周波数(RF)バースト信号を使用して、共振周波数でトランスデューサーを励起し、液面に力を加える超音波を発生させる。トランスデューサーの焦点が液体と空気との界面に一致し、音場の強度が十分に高い場合、発生する放射圧は表面張力の力よりも大きくなり、レイリーテイラー不安定性に起因する液滴が流体表面から吐出される。吐出された液滴の直径は、トランスデューサーの周波数に反比例し、5MHz及び300MHzの超音波は、それぞれ、300μm及び5μmの液滴直径を生成する。吐出される液滴のサイズ、速度、方向性は、他の市販のピエゾ及びサーマルインクジェットプリンターのような物理ノズルを必要とせず、音波により完全に制御される。ノズルを使用しない技術として、音響液滴吐出は、生物学的サンプルの取り扱いにおいて類のない利点を有し、特に、ノズルからのせん断力による目詰まり、サンプル汚染、細胞生存率、及びバイオマーカー構造の低下をなくす。さらに、音響液滴吐出(ADE)は、高スループットの液滴生成を可能にし、単一の吐出ヘッドで最大25kHzの速度で液体を処理する。さらに、このプラットフォームは音響波に依存しているため、これらの波は、サンプルの汚染を回避し、無菌性を維持しながら、音響エネルギーの損失を最小限に抑えて適合したカップリング媒体を伝播することができる。
【0059】
本開示の別の例示的な態様によれば、音響バイオプリンティングを使用して生成された小さな液滴サイズ(ピコリットル~マイクロリットル)により、例示的なピクセルアレイの空間解像度及びパターニングと表面機能化か解像度とを一致させることが可能になり、個々のピクセルが、隣接する要素から又は分析用の別個の患者サンプルから、別個のバイオマーカーを検出するように調整され得る。
【0060】
そのような多重化メタサーフェスは、例示的なパターン化されたメタサーフェスの解像度で表面機能化を可能にする任意の液滴生成方法又は化学移動方法を使用して機能化されてよいことが理解される。他の実施形態は、インクジェットプリンティング、ナノコンタクトプリントスタンピング、マイクロコンタクトプリンティング、及びピペッティングが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
そのような一例が図7Bに示され、バイオプリンティングにより、物理寸法~10~100μmの異なる分析物を含む正確に配置された液滴を介して、そのような機能化(例えば、1ミリメートルのスケールを使用)が提供される。特定の実験例において、個々の光共振器装置の物理寸法(~10数ミクロン)近傍の異なる化学物質をバイオプリンティングすることにより、多重化生体分子検出が可能となる。
【0062】
核酸検出のためのメタサーフェス機能化を伴う特定のさらなる実験例において、表面機能化のために、相補的核酸配列をプローブ分子として使用することができる。MBSによる機能化の後、対象分子に相補的な配列を有するチオール化核酸プローブを表面に付着させる。プローブ濃度及び表面密度は、最初のシラン自己組織化単分子膜を10PTMS(トリメトキシ(プロピル)シラン)で希釈することにより、対象核酸鎖とのハイブリダイゼーション効率が最も高くなるように調整してよい。シラン化を介したこの十分に研究された表面機能化アプローチは、本開示に関連して、再現可能及び制御可能なオリゴヌクレオチド付着のためにすでに検証されている。
【0063】
例示的なシラン分子及びMBSによる全体機能化の完了後、そのような製造方法の1つは、次に、プローブ分子を表面に付着させる。一つの実施形態において、表面は、非特異的吸着を最小化するように最適化された、双性イオン性ポリエチレングリコール(PEG)化マトリックスの単分子層で機能化される。このマトリックスは、2-{2-[2-(1-メルカプトウンデク-11-イルオキシ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシニトリロ三酢酸(HS-C11-(EG)3-NTA)及び(2-[2-(2-[11-メルカプトウンデシルオキシ)-エトキシ]-エトキシ]-エトキシ]-エトキシ)ジメチルアンモニオ)アセテートの2分子の最適比率で構成され、1つ目は、最終的に目的の抗体に結合し、2つ目は単分子層の密度を増加させる。続いて、塩化ニッケル塩とのインキュベーションによりNTA分子に結合する。その後、このNi(II)-NTA錯体は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のRBD領域と例示的なメタサーフェスとの結合を可能にする。スパイクタンパク質はポリヒスチジンタグで修飾され、金属イオンに対するスパイクタンパク質の親和性を向上させ、それにより、例示的な単分子膜のNi(II)-NTA錯体との結合親和性を向上させた。重要なことは、この機能化は、抗体認識部位を方向づけ、一次抗体との結合可能性が向上させる。別の実施形態において、表面は、チオール化ビオチンポリエチレングリコール(PEG)で機能化され、その後、ストレプトアビジンタンパク質とインキュベートされる。ストレプトアビジン分子とのインキュベーションの後、チップは、ビオチン化された又はビオチン分子がタンパク質に共有結合するように修飾されたプローブ分子とインキュベートされ、ストレプトアビジン末端表面単分子層と特異的に結合することが可能になる。プローブ分子による自己組織化単分子層を構築するための表面機能化が完了すると、チップは、例えばPDMS流体セルのような密閉されたホルダーに配置され、患者の液体サンプル(例えば、血液、血清、血漿、尿、唾液等)を汚染することなくチップ上に導入可能になり、光学的な問診及び読み出しを同時に行うこと、並びにシステムの動力学的結合反応をモニタリングすることが可能になる。
【0064】
特定の実施例及び特定の用途に関連して、本開示の態様は、ヒト、動物、及び生態系の健康を診断し、監視するための臨床及び研究環境において応用される。例えば、多くの遺伝子変異及びタンパク質のシグネチャーを並行して検出することは、様々な癌、心血管疾患、及び神経疾患の治療に重要である。代謝物と環境DNA及びタンパク質との両方を同定することは、しばしば、海洋生物多様性及び海洋毒素の拡散をモニタリングするために重要である。本開示によれば、特定のプラットフォームベースの態様は、単一のサンプル中の複数の分析物を測定することの限界に起因して以前は利用できなかった疾患について、より良い理解のためのマルチバイオマーカー関連の研究を可能にする。例示的な臨床設定において、本開示の他の態様は、治療計画に関連するバイオマーカー又は代謝物レベルの縦断的データを作成し、患者の治療計画の迅速な調整又は最適化を可能にする、迅速かつ低コストの装置を提供する。
【0065】
特定の文脈において、既存の方法、装置、又は材料に対する利点及び改善点は、1平方cm当たり1000000フィーチャーを超える密度でパターン化された感知素子による大規模な多重化能力、及びより正確な又はより早い診断のために単一のチップ上の複数のクラスのバイオマーカー(核酸及びタンパク質の両方等)を分析する可能性を含む。またPCR、ELISA、質量分析法、及びその他の方法よりもはるかに高いスループットで遺伝子及びタンパク質の多重検出を迅速に行うことができる。メタサーフェス素子は、対象バイオマーカーがシリコン表面に結合すると敏感に変化する鋭い散乱スペクトルを示し、追加の処理及び高価な試薬を必要とする光学的タグ付け工程の必要性を否定する。増幅及びタグ付けが不要なため、PCR、NGS、又は蛍光ベースのタンパク質アレイと比較して、サンプル処理が最小限で済み、結果も数時間から数日ではなく数分で得られる。結合信号による高速な信号読み出しは、数分以内(例えば数分以内、場合によっては10分以内)に検出される。
【0066】
図8は、本開示に係る、上記の説明の様態と一致する、システムの例の透過図である。図示及び説明されるように、システムは、多重化されたメタサーフェスセンサを(例えば、下から)照射する光源(例えば、レーザー又はLED)と、個々のメタサーフェスバイオセンサピクセルに別個の受容体又はプローブ分子を付着させるように機能化されたセンサと、例示的なプローブ1、2、及びのブローアップで示される機能化されたセンサに応答して操作(例えば、透過光又は反射透過光)された後に光学的読み出しのために光を捕捉するCCD検出器とを含んでよい。
【0067】
具体例として、上記の特徴的な図及び説明は、そのような構造及び装置の製造に使用され得る特定の態様(及びいくつか場合、利点)の説明に役立つように提供されることが認識及び理解される。これらの構造及び装置は、各図に関連して記載された例示的な構造及び装置、並びに他の装置を含み、そのような記載された各実施形態は、本明細書に記載され、上記仮出願の付録にも記載される米国特許第11391866号及びPCT特許出願WO2022076832(それぞれ、光学素子の材料の種類、寸法及び動作、GMRの議論及び高Q応答、並びに特定の高QのGMRを特徴付ける範囲等の設計概念の点で重複する主題について、参照により組み込まれる)にも見られるように、他のそのような装置及び実施例により調整及び/又はそれらと組み合わせることができる1つ以上の関連する態様を有する。
【0068】
また、当業者は、本開示で使用される様々な用語を、その普通の意味により認識できる。例として、本明細書は、層、ブロック、モジュール、デバイス、システム、ユニット、コントローラ、及び/又は他の回路タイプの図等の用語として、又はそのような用語を使用して示さ得る様々な電子装置、光学素子、材料層、回路等により、実施例を実施するために有用な態様を説明及び/又は例示することができる。そのような材料は、半導体及び/又は半導体材料が含んでよく、光学系、回路素子、及び/又は関連回路は、特定の実施例がどのような形態又は構造、工程、機能、動作、活動等により実施され得るかを例示するために、他の要素とともに使用されてよい。また、本明細書において、上/下、左/右、上部/底部、上方/下方等の配置を例示する用語は、図に示すような要素の相対的な位置を指すために使用されてよいことが理解される。用語は、表記上の便宜のためのみに使用され、実際の使用において、開示される構造は、図に示される向きとは異なる向きであり得ることが理解される。 従って、用語は限定的に解釈されるべきではない。
【0069】
上記の説明及び図示に基づいて、本明細書で図示及び説明される例示的な実施形態及び用途に厳密に従うことなく、様々な実施形態に様々な変形及び変更を加えることができる点、当業者にとって明らかである。例えば、図に例示されるような方法は、本明細書における実施形態の1つ以上の態様を保持したまま様々な順序で実施される工程を含んでよく、又はより少ないもしくはより多くの工程を含んでよい。そのような変更は、特許請求の範囲に画定される態様を含む、本開示の様々な態様の真の精神及び範囲から逸脱するものではない。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】