(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】基体、インフレータ、及びエアバッグを備えるヘルメット
(51)【国際特許分類】
A42B 3/06 20060101AFI20241203BHJP
A42B 1/08 20060101ALI20241203BHJP
A42B 1/02 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A42B3/06
A42B1/08 A
A42B1/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532805
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022080927
(87)【国際公開番号】W WO2023110215
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133519.1
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】バックハンス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ウェドベルグ,ウルバン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンストロム,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スヴァンテッソン,ヨナス
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107AA03
3B107AA06
3B107BA02
3B107BA05
3B107BA07
3B107CA02
3B107DA01
3B107DA03
3B107DA21
3B107EA01
3B107EA04
(57)【要約】
【解決手段】 ヘルメット(5)は、後端から前端への第1の方向に、及びリムを形成する下端から上端への第2の方向に延在する基体(10)を備え、基体(10)は、ヘルメット(5)が着用されたときに、ユーザの前額部の前に位置している前額部領域(16)を有する。更に、ヘルメット(5)は、基体(10)の後端において基体(10)に取り付けられているインフレータ(50)と、インフレータ(50)と流体連通し、前額部領域(16)において基体(10)に取り付けられている保護部分(46)を備えるエアバッグ(40)と、を備える。インフレータ(50)は、保護部分(46)から離れて位置し、エアバッグ(40)は、インフレータ(50)と保護部分(46)との間に延在するホース形状充填部分(42)を更に備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット(5)であって、
後端から前端への第1の方向(X)に、及びリムを形成する下端から上端への第2の方向(Y)に延在する基体(10)であって、前記基体(10)は、前記ヘルメット(5)が着用されたときにユーザの前額部の前に位置している前額部領域(16)を有する、基体(10)と、
前記基体(10)の前記後端において前記基体(10)に取り付けられているインフレータ(50)と、
前記インフレータ(50)と流体連通し、前記前額部領域(16)において前記基体(10)に取り付けられている保護部分(46)を備えるエアバッグ(40)と、を備え、
前記エアバッグが、前記インフレータ(50)と前記保護部分(46)との間に延在するホース形状充填部分(42)を更に備えることを特徴とする、ヘルメット(5)。
【請求項2】
開口部(17)が前記前額部領域の下に位置することを特徴とする、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記基体(10)が、本体(20)と、外側シェル(24)と、を備え、未展開の前記エアバッグ(40)が、前記本体(20)と前記外側シェル(24)との間に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘルメット。
【請求項4】
溝(30)が前記本体(20)内に延在し、未展開の前記エアバッグ(40)の少なくとも一部がこの溝に位置することを特徴とする、請求項3に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記溝(30)が、前記エアバッグ(40)の前記保護部分(46)を収容する前額部部分(36)と、前記エアバッグ(40)の前記充填部分(42)を収容する接続部分(32)と、を備えることを特徴とする、請求項4に記載のヘルメット。
【請求項6】
前記保護部分(46)及び前記充填部分(42)の両方は、前記エアバッグが展開されたときに、前記溝(30)の外に少なくとも部分的に延在することを特徴とする、請求項5に記載のヘルメット。
【請求項7】
前記基体(10)が、本体(20)と、外側シェル(24)と、を備え、前記エアバッグ(40)が、前記外側シェル(24)の外側に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載のヘルメット。
【請求項8】
前記外側シェル(24)が溝部分を備えるように、溝(30’)が前記外側シェル(24)内に延在し、未展開の前記エアバッグ(40)の少なくとも一部がこの溝(30’)に位置することを特徴とする、請求項7に記載のヘルメット。
【請求項9】
前記外側シェルの前記溝部分が、前記本体(20)の溝内に延在することを特徴とする、請求項8に記載のヘルメット。
【請求項10】
前記外側シェル(24)の内面の少なくとも90%が、前記本体(20)に接触していることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項11】
前記保護部分(46)及び前記充填部分(42)の両方は、前記エアバッグが展開されたときに、前記溝(30’)の外に少なくとも部分的に延在することを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項12】
前記外側シェル(24)が、少なくとも1つの装着孔(52)を備え、前記エアバッグ(40)が、前記装着孔(52)に少なくとも部分的に重なる少なくとも1つの開口部(50)を備え、装着要素(60)が、前記開口部(50)及び前記装着孔(52)を通って延在することを特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項13】
前記装着要素(60)が、ヘッド(62)と、シャフト(64)と、前記シャフト(64)から本質的に垂直に延在するロッキングクロスピース(66)と、を備え、前記ロッキングクロスピース(66)が、その幅を超える長さを有し、前記装着孔(52)が、前記クロスピース(66)の前記長さよりも小さい幅を有する横長形状を有することを特徴とする、請求項12に記載のヘルメット。
【請求項14】
前記装着ピース(60)が、一体型であることを特徴とする、請求項13に記載のヘルメット。
【請求項15】
前記開口部(50)が、前記エアバッグ(40)の装着ラグ(47)に位置することを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項16】
前記本体(20)が、前記装着要素(60)の位置に中空部(21)を示すことを特徴とする、請求項7~15のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項17】
未展開の前記エアバッグ(40)の少なくとも一部が、追加のカバー(70)によって覆われることを特徴とする、請求項7~16のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項18】
前記エアバッグ(40)が、平坦な可撓性材料からなる2つの本質的に合同部品(40a、40b)又は部分を備え、これらの部品又は部分の各々が、前記保護部分(46)の半分及び前記充填部分(42)の半分を形成することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項19】
一体織り部品であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項20】
前記エアバッグ(40)が、実質的にT字形状であり、前記基体(10)に対称的に配設されることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項21】
前記エアバッグ(40)が、非分岐型流路を画定し、前記充填部分(42)が、前記基体(10)に非対称的に配設されることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載のヘルメット。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のヘルメットにおいて使用されるように適合されたエアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のヘルメット、及び請求項22に記載のそのようなヘルメットの一部として使用されるように適合されたエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なタイプのヘルメットは、広く普及しており、オートバイの乗り手によって主に使用されている。そのようなヘルメットは、後端から前端への第1の方向に、及びリムを形成する下端から上端への第2の方向に延在する基体を備える。ユーザによって使用されるとき、ヘルメットの基体は、顔の少なくとも一部、特に、目、鼻、及び口を除いて、基本的に頭部の全てを覆う。したがって、基体は、ヘルメットが着用されたときに、ユーザの前額部の前に位置する前額部領域を備える。この前額部領域の下に、基体は、ヘルメットが着用されたときにユーザの顔の少なくとも一部の前に位置している開口部を有する。ヘルメットがいわゆるフルヘルメットである場合、基体は、ここで言及した開口部の下に顎領域を有し、この開口部は、閉じた境界を有する孔である。
【0003】
基体は、通常、本体と、本体の内側の緩衝材と、本体の外側の保護外側シェルと、を備える。本体は、通常、相対的に厚く(数cm)、Styrofoamのような本質的に安定した発泡した衝撃吸収材料で作製される。本体の外面は、通常、ポリカーボネート又は繊維強化プラスチック材料のような硬質材料で作製される剛性外側シェルによって覆われる。バイザーは、基体の開口部がバイザーによって閉じることができるように、基体に取り付けることができる。
【0004】
そのようなヘルメットは、特にフルヘルメットの形態において、事故の場合にユーザの頭部に良好な保護を与える。
【0005】
一般的な国際公開第2021/160817(A1)号から、インフレータと、インフレータと流体連通するエアバッグと、を提供することが既知であり、インフレータ及びエアバッグの両方は、ヘルメットの基体に取り付けられている。エアバッグは、基体の前額部領域において基体に取り付けられており、インフレータは、基体の後端において基体に取り付けられている。更に、エアバッグが膨張して運転者の前額部に追加の保護を与えるように、インフレータからのガスがパイプを通ってエアバッグによって囲まれたガス空間内に流入する方式でインフレータとエアバッグとを接続する剛性パイプが提供される。
【0006】
これは、以下の概念から得られる:オートバイ(又はヘルメットを着用している人によって使用される他の車両)が正面衝突のために停止する場合、ヘルメットの前額部領域が高速で物体(例えば、別の車両)に衝突することがしばしば起こることが判明した。したがって、減速は、この場合、しばしば非常に大きく、ヘルメット自体が無傷のままであっても、特にユーザの首が非常に大きい力を受けるので、ユーザは、深刻な、更には致命的な傷害を受ける可能性が高い。したがって、減速のための付加的な距離が提供されるように、前額部の領域のみに緩衝材(すなわち、エアバッグの保護部分)を提供することによって、ユーザに対するリスクが、低減され得る。
【0007】
保護部分を専ら基体の前額部領域に提供することは、この保護部分がその全容積まで非常に迅速に膨張することができるように、エアバッグの小容積のみがガスによって充填される必要があるという利点を有する。これは、展開のための時間が通常非常に短いので、ユーザに所望の付加的な保護を与えるために非常に重要である。更に、小さいインフレータしか必要とされない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この先行技術から出発して、本発明の目的は、一般的なタイプのヘルメットを更に改良することである。
【0009】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有するヘルメットによって解決される。そのようなヘルメットの一部として使用されるように適合されたエアバッグは、請求項22に定義される。
【0010】
一般的な国際公開第2021/160817(A1)号に説明されているヘルメットのように、本発明によるヘルメットは、基体に取り付けられているインフレータと、インフレータと流体連通して取り付けられ、ガスで充填されたときにエアバッグの少なくとも一部が基体の外側に展開するように基体に取り付けられているエアバッグと、を備える。
【0011】
本発明によれば、エアバッグは、ガスによって充填されたときに基体の相対的に小さい表面、すなわち上で言及される前額部領域の少なくとも一部のみを覆う保護部分だけでなく、インフレータと保護部分46との間に延在するホース形状充填部分も有する。
【0012】
エアバッグアセンブリのために利用可能な非常に限られた空間のために、インフレータは、保護部分から離れている必要があり、このインフレータのための最適な場所は、(先行技術から既知であるように)ヘルメットの基体の後端であり、したがってエアバッグの保護部分から離れていることが判明しているが、相対的に長く細い充填チューブが保護領域の充填速度を制限することが判明している。したがって、エアバッグの充填部分は、保護部分とインフレータとの間に延在する。この充填部分は、保護目的ではなく充填目的のためにのみ機能するので、その容積が(保護部分と比較して)小さいように成形され、これは、追加的に保護部分の迅速な充填につながる。
【0013】
先行技術から既知であるような剛性充填パイプに対するこのような充填部分の主な利点は、展開中にその容積を増加させることであり、これは、小さい貯蔵容積しか必要としないが、ガス流のための相対的に大きい断面を依然として提供することを意味する。
【0014】
追加の利点は、以下の通りである:充填部分は、軽量であり、可撓性があり、剛性要素を含まない。保護部分と充填部分との間に追加のシーリングが必要とされないので、必要なシーリングの数が低減され、したがって、気密性が増加する。最後に、組み立ては、簡単になる。
【0015】
一実施形態では、未展開のエアバッグは、ヘルメットの通常の使用中に外側シェルによって保護されるように、本体と外側シェルとの間に位置する。この目的のために、本体は、未展開のエアバッグが本体と外側シェルとの間のこの溝内に位置するように、その外面(一般的な刊行物から概して既知であるように)に溝を備えることが好ましい。エアバッグに展開の可能性を与えるために、外側シェルは、好ましくは、エアバッグの保護部分がヘルメットの本体から展開することができるように、少なくとも前額部領域において事前設定された破断線を示す。溝は最小深さを有することが好ましいので、事前設定された破断線はまた、エアバッグの充填部分に沿って延在し、充填部分も、その直径が未展開状態から展開状態に拡大するように展開することができることが更に好ましい。
【0016】
別の実施形態では、エアバッグは、外側シェルの外側上に位置する。これは、その完全性が完全に保たれるように、外側シェルがいかなる分割線なども有する必要がないという利点を有する。
【0017】
また、この場合、エアバッグを溝の内側に、ここでは、外側シェル内に延在する溝内に位置することが好ましい。外側シェルと本体との間の緊密な接触を確実にするために、外側シェルの溝部分は、好ましくは、(エアバッグのない従来のヘルメットの場合と同様に)外側シェルの内面の少なくともほぼ全体が本体に接触するように、本体の溝内に延在する。
【0018】
エアバッグを外側シェルの上部に配置することは、基体へのエアバッグの装着プロセスが容易であり、必要な装着要素が発泡本体と相互作用する必要がないという利点を更に有する。これは、事故の場合にユーザが装着要素によって負傷するリスクを最小化した。
【0019】
好ましい実施形態では、外側シェルは、少なくとも1つの装着孔を備え、エアバッグは、当該装着孔に少なくとも部分的に重なる少なくとも1つの開口部を備え、装着要素は、装着孔及び開口部を通って延在する。
【0020】
装着要素は、ヘッドと、シャフトと、クロスピースから本質的に垂直に延在するロッキングクロスピースと、を備えることができ、当該クロスピースは、その幅を超える長さを有し、装着孔は、クロスピースの長さよりも小さい幅を有する横長形状を有する。したがって、固定手順は、非常に単純である:装着要素は、ロック解除位置からロック位置に回転されるだけでよい。開口部は、特に、エアバッグの装着ラグに位置することができる。通常、本体は、装着要素の位置に中空部を必要とする。
【0021】
エアバッグを保護するために、未展開のエアバッグの少なくとも一部が追加のカバーによって覆われることがしばしば好ましい。
【0022】
エアバッグの一実施形態では、エアバッグは、実質的にT字形状(マッシュルーム形状と呼ぶこともできる)であり、充填部分が基体の長手方向中央面に延在するように、基体に対称的に配設される。これは、ヘルメットが完全に対称的であり、完全に対称的に挙動するという利点を有する。この場合、ガスの流路は、充填部分と保護部分との間の遷移点で分岐する。
【0023】
別の実施形態では、エアバッグは、実質的にC字形状であり、保護部分の迅速な充填を考慮して好まれ得る非分岐型流路を画定する。この場合、充填部分は、基体に非対称的に配設され、すなわち、基体の側部領域に沿って延在する。
【0024】
従来のヘルメットと同様に、ヘルメットの基体の本体は、通常、Styrofoamのような発泡プラスチック材料からなり、外側シェルは、通常、硬質プラスチック材料、例えば、繊維強化プラスチックからなるが、ABSのような非繊維強化プラスチックが使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、本発明は、図を考慮して好ましい実施形態によってより詳細に説明される。
【
図1】
図1は、本体と緩衝材とから構成されている本発明のヘルメットの第1の実施形態のサブアセンブリ。
【
図3】
図3は、
図2に示された2つの切断物から縫合したエアバッグ。
【
図4】
図4は、
図3に示されたエアバッグ、インフレータ及び制御要素が基体の本体に取り付けられた後の
図1に示されるもの。
【
図5】
図5は、ヘルメットの装着プロセスが完了するように、外側シェルが本体に取り付けられた後の
図4に示されるもの。
【
図6】
図6は、エアバッグが展開状態にあるように、インフレータが始動された後の
図5に示されるもの。
【
図7】
図7は、
図3に従った表現におけるエアバッグの第2の実施形態。
【
図8】
図8は、
図1に従った表現における本発明のヘルメットの基体の別の実施形態。
【
図12b】
図12bは、装着要素のロッキングクロスピースがエアバッグにおける開口部及び外側シェルにおける装着孔を通って押し込まれた後の
図12aに示されたアイテム。
【
図12c】
図12cは、装着要素が、ロック位置にあるように、90°回転された後の
図12bに示されるもの。
【
図15】
図15は、追加のカバーが外側シェルに取り付けられた後の、したがって完全に組み立てられたヘルメットの
図14に示されるもの。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図17及び
図18を視野に入れて、先行技術のヘルメットが説明される。図示されたヘルメットは、オートバイ、四輪バイク(quad)、三輪バイク(trike)などの運転者のためのヘルメットの最も重要なタイプである、フルヘルメットである。このヘルメットは、基体10を有し、追加的にバイザー(図面においては図示されていない)を備えることができる。基体10は、後端から前端への第1の方向(X方向)に、及び(リムを形成する)下端から上端への第2の方向(Z方向)に延在する。「後」、「前」、「下」、「上」という用語は、ヘルメットが運転者によって通常着用される状態を指す。基体10は、本体20と、本体20の内面に位置している緩衝材22と、本体の外側にある外側シェル24と、を備える。本体20は、通常、Styrofoamのような発泡した、したがって衝撃吸収材料で作製され、内層20の外面を覆う剛性外側シェル24は、例えば、繊維強化プラスチック材料から構成することができる。先進的なヘルメットでは、本体20は、ここでも2つ以上の層を含むことができる。言及されるように、ヘルメット5は、基体20が、下前領域を形成する顎領域15を備えるようなフルヘルメットである。開口部17は、この顎領域15と前額部領域16との間に位置する。この開口部17は、ヘルメットが着用されたときにユーザの顔の前に位置する。
【0027】
図1は、
図9に従った表現における本発明のヘルメットの基体のサブアセンブリを(すなわち、外側シェルを除く基体の全て)示す。先行技術との違いは、一般的な国際公開第2021/160817(A1)号から既知であるように、本体20がその外面に溝30を有することである。この溝30は、本体20の後端におけるインフレータ部分31と、前額部領域における前額部部分36と、インフレータ部分31と前額部部分36とを接続する接続部分32と、を有する。本体20は、先行技術のヘルメットの本体と同じ材料から作製することができる。
【0028】
特に
図1から分かるように、溝30の接続部分32は、Y方向に相対的に小さい幅を有し、溝30は、前額部部分36で幅が広くなっている。更に、接続部分46は、インフレータ部31よりも浅い深さを有する。
【0029】
図2は、本体20に取り付けられるエアバッグが縫合される2つの切断物40a及び40bを示す。2つの切断物40a、40bは、それらが両方とも充填部分42a、42b及び保護部分46a、46bを有するように合同であることが容易に分かる。2つの切断物を使用する代わりに、例えば、膝エアバッグ緩衝材又はサイドエアバッグ緩衝材から既知であるように、1つの切断物のみを使用し、それを折り畳み線に沿って折り畳むことも当然ながら可能である。装着ラグ47は、切断物の縁部領域に提供されており、それによって、エアバッグ、特にその保護部分が本体20に取り付けられる。これらの装着ラグ47は、通常、切断物の主要領域と一体である。完全なエアバッグ40は、
図3から分かるように、単一の縫い目48によってこれらの2つの切断物から縫合されることができる。この第1の実施形態では、エアバッグは、対称的であり、したがって、ガスの流路が分岐されるようにT字形状(又はマッシュルーム形状)である。他の実施形態では、エアバッグはまた、既知の一体織り技術によって一体に作製することができる。
【0030】
このエアバッグ40、インフレータ50、及びインフレータ50のための制御要素54は、ここでは、インフレータ50が溝のインフレータ部31に配置され、エアバッグ40の充填部分42が溝30の接続部分32に位置し、及びエアバッグ40の保護部分46が溝30の前額部部分36に位置し、並びに各々開口部50を有する装着ラグ47の手段によって本体20に接続されるように、本体20に取り付けられる。制御要素54は、通常、決定された閾値を超える加速又は減速の場合にインフレータ50を始動することができるようなセンサを備える。
【0031】
最終組み立てステップにおいて、外側シェル24は、本体20に取り付けられる。
【0032】
インフレータ50が始動されるときに、ガスは、エアバッグの充填部分42に流れ込み、次いで、そこから保護部分46に流れ込み、保護部分46は、
図6から分かるように、基体10から延在する。したがって、ユーザの頭部及び頸部に作用する力が低減されるように、この領域における衝撃を和らげる緩衝材が、ユーザの前額部の前に提供される。
【0033】
ここで説明した実施形態では、エアバッグを含む完全なヘルメットは、対称的である。
図7から分かるように、エアバッグが実質的にC字形状であるように、非対称的な幾何学的形状がまた、使用され得る。この場合、充填部分42(したがって溝の接続部分)は、X-Z平面内の中央平面からずれた基体10の一方の側に延在する。この場合、ガスの流路は、分岐していない。
【0034】
図8~
図16は、本発明によるヘルメットの別の実施形態を示す。1つの主な違いは、エアバッグが本体20と外側シェル24との間ではなく、外側シェル24の上部に位置していることである。この実施形態の1つの利点は、外側シェル24が分割線などを有する必要がなく、従来のヘルメットの外側シェルと同じくらい頑丈であることである。
【0035】
また、この実施形態では、エアバッグ40及びインフレータを収容するための溝30’が設けられているが、エアバッグは外側シェル24の外側に位置しているので、この溝30’は、外側シェル24内に延在する。外側シェル24の内面が本体の外面に接触していることが所望されるため、本体はまた、外側シェル24の溝部分が延在する溝を備える(
図8及び
図9参照)。外側シェル24の厚さは、好ましくは本質的に一定である。外側シェル24内の溝30’の形状は、
図1aに示す実施形態の本体20内の溝30の形状と実質的に同じである。
【0036】
例えば、
図10から分かるように、装着孔52は、装着ラグ47における開口部50の位置で外側シェル24に提供される。これらの装着孔52は、幅を超える長さを有する横長形状を有する。
【0037】
図11a~
図11dは、エアバッグにおける開口部50及び外側シェル24における装着孔52を使用することによって、エアバッグ40を外側シェルに装着するために設計された装着要素を示す。この実施形態では、4対の開口部50/装着孔52が存在するので、当然ながら、4つの装着要素60も必要である。
【0038】
図11bは、
図11aにおける方向R3からの側面図であり、
図11cは、
図11aにおける方向R4からの底面図であり、
図11dは、
図11aにおける方向R5からの上面図である。装着要素60は、円形の下面を有するヘッド62と、下面から延在するシャフト64と、シャフト64の端部にあるロッキングクロスピース66と、を備える。このロッキングクロスピース66の長さは、装着孔52の長さよりも僅かに小さく、ロッキングクロスピース66の幅は、装着孔52の幅よりも僅かに小さい。更に、ロッキングクロスピースの長さは、装着孔52の幅を超える。装着要素がねじ回しを用いて回転させることができるように、スリット63は、ヘッド62の上面に配設されている。
【0039】
図12a~
図12cは、エアバッグ40の装着ラグ47が、ここで説明した装着要素60の手段によって外側シェル24にどのように装着されるかを示す。エアバッグ40は、開口部50が装着孔52と本質的に面一になるように、外側シェル24の溝30’内に配置される。開口部50は、本質的に装着孔52と同じ形状を有することができる)。次いで、装着要素60のロッキングクロスピースは、開口部50及び装着孔52を通して押し込まれる。本体20は、ロッキングクロスピースが本体20と干渉しないように、各装着孔52の下に中空部を備えることに留意されたい。最後に、装着要素54は、装着ラグ47を外側シェル24に固定するように、90°回転される(
図12c)。これらのステップは、当然ながら、開口部/装着孔の各対に対して実行される(
図13参照)。
【0040】
エアバッグを環境から保護するために、かつ視覚的外観を向上させるために、エアバッグ40及びインフレータ50を覆う追加のカバー70は、外側シェル24に取り付けられることができる(
図14及び
図15)。このカバーは、第1の実施形態を考慮して説明されるように、エアバッグが基体から展開することができるように、その少なくとも一部が展開するエアバッグによって移動されることを可能にするために、分割線及び/又はヒンジを備えることができる。代替として、追加のカバーは、エアバッグが展開するときに外側シェルから完全に係合解除することができる。
【0041】
当然ながら、エアバッグを外側シェルの外側に位置させる原理はまた、
図7を考慮して説明される幾何学的形状に適用され得る。
【符号の説明】
【0042】
5 ヘルメット
10 基体
15 顎領域
16 前額部領域
17 開口部
20 本体
21 中空部
22 緩衝材
24 外側シェル
30 本体における溝
30’ 外側シェルにおける溝
31 インフレータ部分
32 接続部分
36 前額部部分
40 エアバッグ
40a、b 切断物
42 充填部分
42a、b 切断物の充填部分
46 保護部分
46a、b 切断物の保護部分
47 装着ラグ
47a、b 切断物の装着ラグ
48 縫い目
50 インフレータ
54 制御要素
50 装着ラグにおける開口部
52 外側シェルにおける装着孔
60 装着要素
62 ヘッド
63 ヘッドにおけるスリット
64 シャフト
66 ロッキングクロスピース
70 追加のカバー
【国際調査報告】