(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ケーブルモジュール、ガス絶縁機器およびケーブルモジュールを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H02G 15/08 20060101AFI20241203BHJP
H02B 13/035 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H02G15/08
H02B13/035 351
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532830
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2022083938
(87)【国際公開番号】W WO2023099613
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モン,グオヂュー
(72)【発明者】
【氏名】バイ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,ヂーグオ
【テーマコード(参考)】
5G017
5G375
【Fターム(参考)】
5G017AA25
5G017BB21
5G017FF02
5G375AA01
5G375DA36
5G375DB07
5G375DB22
(57)【要約】
本開示は、着脱可能な破断特徴部を有するケーブルモジュール、ケーブルモジュールを備えるガス絶縁機器、およびケーブルモジュールを製造するための方法に関する。着脱可能な電気接続部を有する高電圧ガス絶縁機器用のケーブルモジュールは、第1の開口部(11)および第2の開口部(12)が設けられたエンクロージャ(1)と、導電性インサート(21)が設けられ、第1の開口部(11)の周りでエンクロージャ(1)の第1のフランジ(13)に固定された絶縁体(2)と、エンクロージャ(1)の内側に位置決めされた第1の端部(41)、およびエンクロージャ(1)の外側に位置決めされ、外部ケーブルに接続されるように構成された第2の端部(42)を備える、エンクロージャ(1)の壁を貫通するケーブル端子コネクタ(4)と、導電性インサート(21)に電気的に接続された第1の導体(31)、ケーブル端子コネクタ(4)の第1の端部(41)に電気的に接続された第2の導体(32)、および第1の導体(31)を第2の導体(32)に着脱可能かつ電気的に接続する第3の導体(33)を含む複数の導体と、ケーブル端子コネクタ(4)の第1の端部(41)に固定的に接続された第4の導体(34)とを備え、第3の導体(33)は第2の開口部(12)の中心軸(A2)に実質的に沿ってエンクロージャ(1)に対して移動可能であるように構成され、第1の導体(31)に対して固定的に接続、または第1の導体(31)から分離されるように構成され、かつ第2の導体(32)は、第2の開口部(12)の中心軸(A2)に垂直な方向に沿って第4の導体(34)に対して移動可能であるように構成され、および第4の導体(34)に埋設された第2の電気接点(62)を介して第4の導体(34)に電気的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な電気接続部を有する高電圧ガス絶縁機器用のケーブルモジュールであって、
第1の開口部(11)および第2の開口部(12)が設けられたエンクロージャ(1)と、
導電性インサート(21)が設けられ、前記第1の開口部(11)の周りで前記エンクロージャ(1)の第1のフランジ(13)に固定された絶縁体(2)と、
前記エンクロージャ(1)の内側に位置決めされた第1の端部(41)、および前記エンクロージャ(1)の外側に位置決めされ、外部ケーブルに接続されるように構成された第2の端部(42)を備える、前記エンクロージャ(1)の壁を貫通するケーブル端子コネクタ(4)と、
前記導電性インサート(21)に電気的に接続された第1の導体(31)、前記ケーブル端子コネクタ(4)の前記第1の端部(41)に電気的に接続された第2の導体(32)、および前記第1の導体(31)を前記第2の導体(32)に着脱可能かつ電気的に接続する第3の導体(33)を含む複数の導体と、
前記ケーブル端子コネクタ(4)の前記第1の端部(41)に固定的に接続された第4の導体(34)と
を備え、
前記第3の導体(33)が前記第2の開口部(12)の中心軸(A2)に実質的に沿って前記エンクロージャ(1)に対して移動可能であるように構成され、前記第1の導体(31)に固定的に接続、または前記第1の導体(31)から分離され、かつ
前記第2の導体(32)が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に垂直な方向に沿って前記第4の導体(34)に対して移動可能であるように構成され、および前記第4の導体(34)に埋設された第2の電気接点(62)を介して前記第4の導体(34)に電気的に接続される、ケーブルモジュール。
【請求項2】
前記第3の導体(33)が、ボルト(5)を介して前記第1の導体(31)に着脱可能に接続され、前記ボルトの中心軸が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)と一致する、先行する請求項に記載のケーブルモジュール。
【請求項3】
前記第3の導体(33)が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に沿って前記第2の導体(32)に対して移動可能であるように構成され、かつ前記第2の導体(32)に埋設された第1の電気接点(61)を介して前記第2の導体(32)に電気的に接続される、先行する請求項1に記載のケーブルモジュール。
【請求項4】
前記第2の導体(32)には、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に沿って前記第2の導体(32)全体を貫通する通路(32a)が設けられ、かつ前記第3の導体(33)が、前記第1の電気接点(61)が埋設された前記通路(32a)内で移動可能であるように構成される、先行する請求項に記載のケーブルモジュール。
【請求項5】
前記第1の開口部(11)の中心軸(A1)が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に対して垂直である、先行する請求項のいずれか1項に記載のケーブルモジュール。
【請求項6】
前記第1の導体(31)の外形が、前記第1の開口部(11)の前記中心軸(A1)に垂直な断面上で前記第1の開口部(11)の輪郭によって画定される領域を超えない、最初の4つの請求項のいずれか1項に記載のケーブルモジュール。
【請求項7】
高電圧検出センサと一体化され、前記第2の開口部(12)の周りで前記エンクロージャ(1)の第2のフランジ(14)に固定された第1のカバー(7)をさらに備える、最初の4つの請求項のいずれか1項に記載のケーブルモジュール。
【請求項8】
前記エンクロージャ(1)には第3の開口部(15)がさらに設けられ、前記ケーブルモジュールが、防爆膜と一体化され、前記第3の開口部(15)の周りで前記エンクロージャ(1)の第3のフランジ(16)に固定された第2のカバー(8)をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のケーブルモジュール。
【請求項9】
先行する請求項のいずれか1項に記載の着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールを備える、高電圧ガス絶縁機器。
【請求項10】
着脱可能な電気接続部を有する高電圧ガス絶縁機器用のケーブルモジュールを製造するための方法であって、
第1の開口部(11)および第2の開口部(12)を有するエンクロージャ(1)を提供することと、
導電性インサート(21)を有する絶縁体(2)を提供することと、
前記導電性インサート(21)に電気的に接続された第1の導体(31)を提供し、かつ前記第1の開口部(11)の周りの前記エンクロージャ(1)の第1のフランジ(13)に、前記絶縁体(2)と前記第1の導体(31)とのアセンブリを固定することと、
第1の端部(41)および第2の端部(42)を有するケーブル端子コネクタ(4)を提供することと、
前記ケーブル端子コネクタ(4)の前記第1の端部(41)に電気的に接続された第2の導体(32)を提供し、かつ前記第1の端部(41)が前記エンクロージャ(1)の内側に位置決めされ、前記第2の端部(42)が前記エンクロージャ(1)の外側に位置決めされて外部ケーブルに接続されるように、前記ケーブル端子コネクタ(4)と前記第2の導体(32)とのアセンブリをエンクロージャ(1)の壁に貫通させることと、
前記第1の導体(31)を前記第2の導体(32)に着脱可能かつ電気的に接続する第3の導体(33)を提供することであって、前記第3の導体(33)が、前記第2の開口部(12)の中心軸(A2)に実質的に沿って前記エンクロージャ(1)に対して移動可能であるように構成され、前記第1の導体(31)に固定的に接続、または前記第1の導体(31)から分離される、ことと、
前記ケーブル端子コネクタ(4)の前記第1の端部(41)に固定的に接続された第4の導体(34)を提供することであって、前記第2の導体(32)が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に垂直な方向に沿って前記第4の導体(34)に対して移動可能であるように構成され、かつ前記第4の導体(34)に埋設された第2の電気接点(62)を介して前記第4の導体(34)に電気的に接続される、ことと
を含む、方法。
【請求項11】
前記第3の導体(33)が、ボルト(5)を介して前記第1の導体(31)に着脱可能に接続され、前記ボルトの中心軸が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)と一致する、先行する請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の導体(31)と前記第3の導体(33)との前記接続または分離が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に沿って、前記第2の開口部(12)から前記エンクロージャ(1)内に工具を挿入することによって実施される、先行する請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の導体(33)が、前記第2の開口部(12)の前記中心軸(A2)に沿って前記第2の導体(32)に対して移動可能であるように構成され、かつ前記第2の導体(32)に埋設された第1の電気接点(61)を介して前記第2の導体(32)に電気的に接続される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、高電圧電力伝送の技術分野に関する。具体的には、本開示は、着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュール、ケーブルモジュールを備えるガス絶縁機器、およびケーブルモジュールを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas-Insulated Switchgear)およびガス絶縁送電線(GIL:Gas-Insulated Transmission Line)などのガス絶縁機器は、高電圧電力伝送技術の分野で広く使用されている。より具体的には、ガス絶縁開閉装置(GIS)は、ケーブルモジュール、断路器モジュール、回路遮断器モジュールなどの複数の高電圧機能モジュールからなる一種のコンパクトな金属封入開閉装置と見なされる場合がある。これらの機能モジュールのうち、ケーブルモジュール(「ケーブル端子モジュール」とも呼ばれる)は、対応するケーブル端子コネクタインターフェースを有する外部ケーブル(「クライアントケーブル」とも呼ばれる)がGISの他の機能モジュールとインターフェースする共通領域と見なされる場合がある。
【0003】
現在、GIS自体の機能的完全性が、ケーブルモジュールの組み立て後にクライアントのために現場で独立して検証され得るように、外部ケーブルをGISから一時的に電気的に絶縁することができるようにするために、ケーブルモジュールには着脱可能な電気接続部が必要である。しかしながら、着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールは、特に多くの補助構成要素が必要とされ、ケーブルモジュールのサイズが増大するため、通常は非常に複雑で実施が困難である。
【0004】
例えば、
図1は、従来技術における着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールの概略断面図である。
図1に示すように、ケーブルモジュールは、第1の開口部101および第2の開口部102を有するエンクロージャ100と、絶縁体200、および絶縁体200内に配置された導電性インサートに電気的に接続されたツイスト導体300であって、絶縁体200とツイスト導体300とのアセンブリが、第1の開口部101の周りでエンクロージャ100のフランジに取り付けられたアダプタ103によってエンクロージャ100に固定される、絶縁体200およびツイスト導体300と、第2の開口部102の周りでエンクロージャ100のフランジに取り付けられたカバー104と、エンクロージャ100の壁を貫通してエンクロージャ100の内部に入り、その第1の端部401がエンクロージャ100の内側のツイスト導体300に着脱可能かつ電気的に接続されて着脱可能な破断構造を形成し、その第2の端部402がエンクロージャ100の外側の外部ケーブルに接続されるように適合されたケーブル端子コネクタ400とを備える。
【0005】
従来技術における上述の技術的解決策の欠点は、そのようなケーブルモジュールでは、構成要素の数および複雑な構造のために材料費および人件費が高く、着脱可能な破断構造は現場で組み立てまたは分解することが困難であることにある。より具体的には、ツイスト導体300をケーブル端子コネクタ400から分離する必要がある場合には、分解作業を実施するために、カバー104をエンクロージャ100から取り外し、第2の開口部102からエンクロージャ100内に工具を挿入する必要がある。しかしながら、第2の開口部102の中心軸は、ツイスト導体300とケーブル端子コネクタ400の第1の端部401との間の接続インターフェースと位置合わせされず、さらに、ツイスト導体300およびケーブル端子コネクタ400は、工具の挿入方向に垂直な方向に沿って接続または分離され、これらはすべて、現場での着脱可能な破断構造の分解および組み立ての困難性を高める。
【0006】
さらに、ツイスト導体300のサイズに起因して、絶縁体200とツイスト導体300とのアセンブリの外形は、絶縁体200を固定するためのアダプタ103のフランジ孔105の輪郭によって画定される領域を超え、したがって、絶縁体200、ツイスト導体300およびそのようなアダプタ103がエンクロージャ100に取り付けられる前に最初に互いに組み立てられるように、そのようなアダプタ103を使用しなければならないことが分かる。このように、アダプタ103は、エンクロージャ100と一体的に形成されるのではなく、エンクロージャ100とは独立した補助構成要素であるため、構成要素の数が増加するだけでなく、人件費も増加する。
【0007】
中国特許出願公開第105846336号明細書は、直接接続モジュールおよびそれを備える開閉装置を記載している。直接接続モジュールは、2つの軸方向開口部および半径方向開口部を有する管状シェルと、一端がシェル内に延在し、他端が2つの軸方向開口部のうちの1つに固定的に接続されたオイルガスケーシングと、半径方向開口部に固定的に接続された絶縁体と、シェル内に配設され、一端が絶縁体に固定的に接続された半径方向導体と、シェル内に配設され、一端がオイルガスケーシングに固定的に接続され、他端が半径方向導体の他端に接続され、1つの可撓性接続部が設けられた軸方向導体とを備える。
【0008】
特開昭59155811号公報は、回路と、機器内の回路の実質的に直線部分に配設され、回路の軸に実質的に垂直な方向に着脱可能である接続導体と、外部と接続するための外部接続端子を有し、外部接続端子の突出方向に面する樋部に開口部を有するケーブル端子装置とを備えるガス絶縁開閉装置を記載し、ガス絶縁機器とケーブルとはケーブル端子装置のタンク内で互いに接続されている。
【0009】
独国特許出願公開第202014003281号明細書は、単相または三相端子ケーブル機器を組み立てるための完全なセットを記載している。端子ケーブル機器は、分配器を高電圧ケーブルに接続することを意図している。完全なセットは、基本的なジャケット、ジャケットの減衰器、下側閉鎖要素を含む。ケーブルとの接続部の1つまたは3つの先端は、ジャケットを有する。ジャケットの減衰器は、両側から開放されており、基本的なジャケットの開放端に締結されることを意図している。下側閉鎖要素は、基本的なジャケットまたはジャケットの減衰器の開口端に選択で固定することを意図しており、その中で1つまたは3つの通路開口部が達成される。
【0010】
欧州特許出願公開第3276763号明細書は、ガス絶縁開閉装置(GIS)と高電圧電気ケーブルとの間のケーブルボックスを記載しており、ケーブルボックスは、ケーブルボックスエンクロージャと、GISのGIS端子と、電気ケーブルのケーブル端部、ケーブル端部をGIS端子に接続するための導体バーとを有し、前記導体バーは、ケーブル端部をGIS端子に接続する第1の位置と、ケーブル端部をケーブルボックスエンクロージャに接続する第2の位置との間でそれが移動することができるように、ケーブルボックスエンクロージャ内に移動可能に設けられている。
【0011】
国際公開第2016/000931号は、とりわけ、ハウジング内に突出し、内部導体を有する3つの絶縁ケーブル接続要素と、中空体として設計され、ケーブル接続要素の反対側に位置する側からハウジング内に同様に突出し、かつ3つのケーブル端部補強材のうちの1つを各々に挿入することができる3つの相接続部分とを備えるケーブル終端部を記載している。ケーブル接続要素および相接続部分の各々は、三角形の角を形成する。これらの三角形は、オフセットが生成されるように、それぞれの平面内で互いに対して回転される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
概要
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。
【0013】
上記を考慮して、本開示は、その着脱可能な破断構造の迅速で安全かつ簡便な分解および組み立てを可能にする、着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールを提供することを目的とし、それによって作業時間および人件費を大幅に削減する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本開示の第1の態様は、第1の開口部および第2の開口部が設けられたエンクロージャと、導電性インサートが設けられ、第1の開口部の周りでエンクロージャの第1のフランジに固定された絶縁体と、エンクロージャの壁を貫通し、エンクロージャの内側に位置決めされた第1の端部、およびエンクロージャの外側に位置決めされ、外部ケーブルに接続されるように構成された第2の端部を備えるケーブル端子コネクタと、導電性インサートに電気的に接続された第1の導体、ケーブル端子コネクタの第1の端部に電気的に接続された第2の導体、および第1の導体を第2の導体に着脱可能かつ電気的に接続する第3の導体を含む複数の導体であって、第3の導体が、第2の開口部の中心軸に実質的に沿ってエンクロージャに対して移動可能であるように構成され、第1の導体に固定的に接続、または第1の導体から分離される、複数の導体とを備える、着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールを提供する。
【0015】
したがって、第3の導体の可動方向は、第2の開口部から挿入された工具の移動方向と実質的に一致するため、着脱可能な破断構造の分解および組み立て作業の両方が非常に簡便であり、それによって現場での作業時間および人件費を大幅に節約する。
【0016】
本開示の好ましい形態によれば、第3の導体は、ボルトを介して第1の導体に着脱可能に接続され、ボルトの中心軸は、第2の開口部の中心軸と一致する。
【0017】
本開示の好ましい実施形態によれば、第3の導体は、第2の開口部の中心軸に沿って第2の導体に対して移動可能であるように構成され、第2の導体に埋設された第1の電気接点を介して第4の導体に電気的に接続される。
【0018】
本開示の好ましい実施形態によれば、第2の導体には、第2の開口部の中心軸に沿って第2の導体の全体を貫通する通路が設けられており、第3の導体は、第1の電気接点が埋設された通路内を移動可能であるように構成されている。
【0019】
本開示の好ましい実施形態によれば、ケーブルモジュールは、ケーブル端子コネクタの第1の端部に固定的に接続された第4の導体をさらに備え、第2の導体は、第2の開口部の中心軸に垂直な方向に沿って第4の導体に対して移動可能に構成され、第4の導体に埋設された第2の電気接点を介して第2の導体に電気的に接続される。
【0020】
本開示の好ましい実施形態によれば、第1の開口部の中心軸は、第2の開口部の中心軸に対して垂直である。
【0021】
本開示の好ましい実施形態によれば、第1の導体の外形は、第1の開口部の中心軸に垂直な断面において、第1の開口部の外形によって画定される領域を超えない。
【0022】
本開示の好ましい実施形態によれば、ケーブルモジュールは、高電圧検出センサと一体化され、第2の開口部の周りでエンクロージャの第2のフランジに固定された第1のカバーをさらに備える。
【0023】
本開示の好ましい実施形態によれば、エンクロージャには第3の開口部がさらに設けられ、ケーブルモジュールは、防爆膜と一体化され、第3の開口部の周りでエンクロージャの第3のフランジに固定された第2のカバーをさらに備える。
【0024】
本開示の第2の態様は、本開示の第1の態様による着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールを備える、GISまたはGILなどのガス絶縁機器を提供する。
【0025】
本開示の第3の態様は、着脱可能な電気接続部を有するケーブルを製造するための方法であって、第1の開口部および第2の開口部を有するエンクロージャを提供することと、導電性インサートを有する絶縁体を提供することと、導電性インサートに電気的に接続された第1の導体を提供し、第1の開口部の周りのエンクロージャの第1のフランジに、絶縁体と第1の導体とのアセンブリを固定することと、第1の端部および第2の端部を有するケーブル端子コネクタを提供することと、ケーブル端子コネクタの第1の端部に電気的に接続された第2の導体を提供し、第1の端部がエンクロージャの内側に位置決めされ、第2の端部がエンクロージャの外側に位置決めされて外部ケーブルに接続されるように、ケーブル端子コネクタと第2の導体とのアセンブリをエンクロージャの壁に貫通させることと、第1の導体を第2の導体に着脱可能かつ電気的に接続する第3の導体を提供することであって、第3の導体が第2の開口部の中心軸に実質的に沿ってエンクロージャに対して移動可能であるように構成され、第1の導体に固定的に接続、または前記第1の導体から分離される、こととを含む方法を提供する。
【0026】
本開示の好ましい実施形態によれば、第1の導体と第3の導体との接続または分離は、第2の開口部の中心軸に沿って第2の開口部からエンクロージャに工具を挿入することによって実施される。
【0027】
本開示による着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールは、製造が容易で材料費が安価な比較的簡単な構造であるため、種々のガス絶縁機器に広く使用することができる。
【0028】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a/an/the)要素、機器、構成要素、手段、ステップなど」へのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、機器、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例を指すものとして広く解釈されるべきである。
【0029】
図面の簡単な説明
本開示の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して詳細に説明される以下の好ましい実施形態によって、よりよく理解されるであろう。図面において、同じ参照番号は同じまたは類似の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来技術の着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールの概略断面図である。
【
図2】本開示による着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールの一実施形態の概略斜視図である。
【
図3】ケーブルモジュールの着脱可能な電気接続部が組み立てられた状態にある、
図2に示すケーブルモジュールの概略断面図である。
【
図4】ケーブルモジュールの着脱可能な電気接続部が分解された状態にある、
図2に示すケーブルモジュールの概略断面図である。
【
図5】
図2に示すケーブルモジュールの概略分解斜視図である。
【
図6】
図2に示すケーブルモジュールの概略分解断面図である。
【
図7】
図2に示すケーブルモジュールの接地構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は本開示の説明および記載に使用されるだけでなく、必要に応じて本開示の定義付けにも役立つことに留意されたい。
【0032】
詳細な説明
実施形態の実施および使用については、以下で詳細に説明する。しかしながら、説明された特定の実施形態は、単に本開示を実施および使用する特定の方法を例示することを意図しており、本開示の保護範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0033】
本明細書において、「ケーブルモジュール」とは、ガス絶縁開閉装置(GIS)およびガス絶縁送電線(GIL)などのガス絶縁機器の一部を構成する高電圧機能モジュールの一種を指し、外部ケーブルがガス絶縁機器の他の機能モジュールとインターフェースする共通領域と見なされることに留意されたい。
【0034】
さらに、図に示すケーブルモジュールは、三相ガス絶縁機器の一部を構成する三相ケーブルモジュールであることに留意されたい。すなわち、図示の実施形態によるケーブルモジュールは、円周方向に沿って均等に分布し、絶縁体に配置された3つの導電性インサートおよび3つの外部ケーブルにそれぞれ接続されるように構成された3つのケーブル端子コネクタを備える。したがって、以下に説明するケーブルモジュールの着脱可能な電気接続部は、3つのケーブル端子コネクタのいずれか1つと対応する導電性インサートとの間の着脱可能な電気接続部に適用されてもよい。
【0035】
本明細書において、方向関係を示す技術用語は、一種の絶対概念として理解されるべきではない。例えば、「に平行である」、「に垂直である」、「と一致する」、および「(方向に)沿っている」という用語は、それぞれ「に実質的に平行である」、「に実質的に垂直である」、「と実質的に一致する」、および「(方向に)実質的に沿っている」と理解されるべきである。
【0036】
図2~
図6は、本開示による着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールの好ましい実施形態を示す。図に示すように、本開示によるケーブルモジュールは、主に、エンクロージャ1と、絶縁体2と、ケーブル端子コネクタ4と、複数の導体31、32、33とを備える。
【0037】
エンクロージャ1は、略円筒形状を有し、絶縁体2を取り付けるための第1の開口部11と、工具孔として使用される第2の開口部12とが設けられている。好ましくは、図示の実施形態によれば、第1の開口部11の中心軸A1は、第2の開口部12の中心軸A2に対して垂直である。絶縁体2は、導電性インサート21が設けられ、第1の開口部11の周りでエンクロージャ1の第1のフランジ13に固定されるように配置された、鉢形絶縁体である。ケーブル端子コネクタ4は、第1の開口部11とは反対側のエンクロージャ1の壁を貫通するように配置され、エンクロージャ1の内側に位置決めされた第1の端部41と、エンクロージャ1の外側に位置決めされ、外部ケーブルに接続されるように構成された第2の端部42とを備える。
【0038】
第1の導体31は、導電性インサート21に電気的に接続されて第1のアセンブリを形成するように、例えばボルトを介して導電性インサート21に固定されるように配置されている。好ましくは、図示の実施形態によれば、第1の導体31の外形は、第1の開口部11の中心軸A1に垂直な断面、すなわち、第2の開口部12の中心軸A2に平行な断面において、第1の開口部11の外形によって画定される領域を超えない。したがって、第1のアセンブリは、補助アダプタを使用せずに、絶縁体2を介してエンクロージャ1の第1のフランジ13に直接固定されてもよい。
【0039】
第2の導体32は、ケーブル端子コネクタ4の第1の端部41に電気的に接続されて第2のアセンブリを形成するように配置され、第2の開口部12の中心軸A2に沿って第2の導体32の全体を貫通する通路32aが設けられている。好ましくは、図示の実施形態によれば、第2のアセンブリは、ケーブル端子コネクタ4の第1の端部41に固定的に接続され、第2の導体32の一端が挿入される第4の導体34をさらに備える。この場合、第2の導体32は、第2の開口部12の中心軸A2に垂直な方向に沿って第4の導体34に対して移動可能であるように配置され、そして、第2の導体32の端部の周りに配置されて第4の導体34に埋設されたコイルスプリングなどの電気接点62を介して第4の導体34に電気的に接続されている。
【0040】
第3の導体33は、第2の導体32の通路32aに挿入されるように配置され、そして、通路32aに埋設されたコイルスプリングなどの電気接点61を介して第2の導体32に電気的に接続されている。第3の導体33は、第2の開口部12の中心軸A2に実質的に沿って通路32a内の第2の導体32に対して(したがってエンクロージャ1に対して)移動可能であり、第1の導体31に固定的に接続、または第1の導体31から分離され、それにより、第1の導体31と第2の導体32との間の着脱可能な電気接続部、すなわち、第1のアセンブリと第2のアセンブリとの間の着脱可能な電気接続部を達成する。
【0041】
第3の導体33の可動方向(すなわち、通路32aの延在方向)は、第2の開口部12の中心軸A2に絶対的に沿わなくてもよいことが考えられる。実際には、第3の導体33の可動方向は、第3の導体33が第2の開口部12を通過可能であれば、第2の開口部12の中心軸A2に平行であるがわずかに離間していてもよく、または第2の開口部12の中心軸A2に対してわずかに傾斜していてもよい。
【0042】
好ましくは、図示の実施形態によれば、第3の導体33は、第3の導体33を貫通して第1の導体31にねじ込まれるボルト5を介して第1の導体31に着脱可能に接続され、ボルト5の中心軸は第2の開口部12の中心軸A2と一致する。すなわち、第1の導体31を第2の導体32に電気的に接続する必要がある場合には、ボルト5を締めることによって第3の導体33を第1の導体31に確実かつ固定的に接続するために、ねじ締め工具などの工具が第2の開口部12の中心軸A2に沿って第2の開口部12からエンクロージャ1内に挿入される。同様に、第1の導体31を第2の導体32から電気的に絶縁する必要がある場合には、ボルト5を緩めることによって第3の導体33を第1の導体31から分離するために、ねじ締め工具などの工具が第2の開口部12の中心軸A2に沿って第2の開口部12からエンクロージャ1内に挿入される。
【0043】
ケーブルモジュールの組み立て中、最初に、第1の導体31がエンクロージャ1の内部の所定の位置に位置決めされるように、絶縁体2および第1の導体31によって形成された第1のアセンブリが、第1の開口部11の周りでエンクロージャ1の第1のフランジ13に直接固定され、次いで、ケーブル端子コネクタ4の第1の端部41、第2の導体32、および第4の導体34がエンクロージャ1の内部の所定の位置に位置決めされるように、ケーブル端子コネクタ4、第2の導体32、および場合により第4の導体34によって形成された第2のアセンブリが、第1の開口部11の反対側のエンクロージャ1の壁を貫通し、最後に、第3の導体33が、第1のアセンブリを第2のアセンブリに着脱可能かつ電気的に接続するように、第2の開口部12を貫通する工具によって配置される。第3の導体33は、第2のアセンブリがエンクロージャ1に挿入される前に第2の導体32の通路32aに予め挿入されてもよく、または第3の導体33は、第2のアセンブリがエンクロージャ1に挿入された後に、工具によって第2の開口部12から第2の導体32の通路32aに挿入されてもよいことが理解され得る。
【0044】
本開示による着脱可能な電気接続部を有するケーブルモジュールは、製造が容易であり、材料費が低い比較的単純な構造を有することが分かる。さらに、ケーブルモジュールは、その着脱可能な破断構造の迅速で安全で簡便な分解および組み立てを可能にし、それによって現場での作業時間および人件費を大幅に削減する。
【0045】
さらに、第2の開口部12の中心軸A2の方向に沿った第2の導体32に対する第3の導体33の移動可能性、および第2の開口部12の中心軸A2に垂直な方向に沿った、場合による第4の導体34に対する第2の導体32の移動可能性に起因して、そのような着脱可能な破断構造は、2つの方向の両方における製造公差または動作中の熱膨張/収縮によって引き起こされる位置ずれを補償してもよく、それによってこれらの構成要素の損傷を効果的に回避し、ケーブルモジュールの寿命を延ばす。
【0046】
さらに、図示の実施形態によれば、ケーブルモジュールは、高電圧検出センサと一体化され、第2の開口部12の周りでエンクロージャ1の第2のフランジ14に固定された第1のカバー7をさらに備える。代替的に、第1のカバー7は、膨張ポート71および密度計72とさらに一体化されてもよい。変形例では、第1のカバー7は、他の機能と一体化されることなく第2の開口部12を覆うためにのみ使用されてもよい。
【0047】
さらに、図示の実施形態によれば、エンクロージャ1には、第3の開口部15がさらに設けられ、ケーブルモジュールは、防爆膜と一体化され、第3の開口部15の周りでエンクロージャ1の第3のフランジ16に固定された第2のカバー8をさらに備える。代替的に、第2のカバー8は、さらに吸湿剤と一体化されていてもよい。
【0048】
図7は、ケーブルモジュールの接地構造の概略断面図である。
図7に示すように、第2の開口部12を開放して第3の導体33を取り出す際に、ケーブル側の接地は、第2の導体32の通路32aに部分的に挿入され、エンクロージャ1の第2のフランジ14に固定された略T字状の金属片9によって簡便に達成されてもよい。
【0049】
本開示の技術的内容および特徴を上記のように開示した。しかしながら、本開示の創造的なアイデアの下で、当業者は上記で開示された概念に対して様々な変更および改良を加えることが考えられるが、これらの変更および改良はすべて本開示の保護範囲に属する。上記の実施形態の説明は限定的ではなく例示的なものであり、本開示の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】