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特表2024-545647圧延製品を製造するためのプラントおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】圧延製品を製造するためのプラントおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 11/00 20060101AFI20241203BHJP
   B21B 1/00 20060101ALI20241203BHJP
   B21B 1/46 20060101ALI20241203BHJP
   B21B 13/22 20060101ALI20241203BHJP
   B22D 11/12 20060101ALI20241203BHJP
   B22D 11/04 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C21D11/00 102
B21B1/00 B
B21B1/46 B
B21B13/22
B22D11/12 D
B22D11/04 311E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534674
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 IT2022050320
(87)【国際公開番号】W WO2023112064
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021000031217
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512288949
【氏名又は名称】ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ベネデッテイ ジャンピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】ボリグ パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ブルフォーネ マッテオ レミー
【テーマコード(参考)】
4E002
4E004
4K038
【Fターム(参考)】
4E002AA01
4E002AD04
4E002BA01
4E002BC02
4E002BC07
4E002BD02
4E002BD03
4E002BD06
4E002BD08
4E002CA08
4E004AA05
4K038AA01
4K038BA01
4K038DA01
(57)【要約】
コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、あるいはエンドレスモードで金属ストリップ(P)を製造する方法は、圧延プラント(10)であって、スラブを製造するように構成される連続鋳造機(11)と、前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉(16)と、前記スラブの前記厚さを減少させ、中間圧延製品を得るように構成される少なくとも一つの粗加工スタンド(25)と、前記中間圧延製品の前記厚さを減少させ、前記ストリップ(P)を得るように構成される複数の仕上げスタンド(31)と、最後の前記仕上げスタンド(31)の出口に関連付けられる前記金属ストリップ(P)の前記温度が830℃から860℃の間に含まれるように、前記少なくとも一つの粗加工スタンド(25)および前記複数の仕上げスタンド(31)の間に配置され、各動作モードで前記中間圧延製品を加熱する急速加熱装置(28)と、を備える圧延プラント(10)で行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終厚さ(SF)が0.6mmから25mmの間に含まれる金属ストリップ(P)を、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、およびエンドレスモードを含むグループの中から選択されるいずれか一つの動作モードで動作するように構成される圧延プラント(10)で製造する方法であって、
前記圧延プラント(10)は、少なくとも
初期厚さが50mmから160mmの間に含まれる薄いスラブを製造するように構成される連続鋳造機(11)と、
前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉(16)と、
中間圧延製品を製造するために、少なくとも一つの前記スラブの前記厚さを減少させるように構成される少なくとも一つの粗加工スタンド(25)と、
前記金属ストリップ(P)を得るために前記中間圧延製品の前記厚さを減少させるように構成される複数の仕上げスタンド(31)と、
選択的に作動可能なエレメントからなり、前記粗加工スタンド(25)および前記複数の仕上げスタンド(31)の間に配置され、前記中間圧延製品を加熱するように構成される急速加熱装置(28)と、
を備え、
前記急速加熱装置(28)は、4.0mm、好ましくは2.5mmよりも小さい前記最終厚さ(SF)を有する前記金属ストリップ(P)を製造するように、前記コイルツーコイルモードあるいは前記セミエンドレスモードに作動されることが維持され、最後の前記仕上げスタンド(31)の出口に関連付けられる前記金属ストリップ(P)の前記温度が830℃から860℃の間に含まれるように、前記中間圧延製品を加熱する、圧延プラント(10)で製造することを特徴とする、圧延方法。
【請求項2】
前記動作モードは、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードであり、
前記複数の仕上げスタンド(31)に関連付けられる前記中間圧延製品の圧延速度(V)は、約12m/s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の圧延方法。
【請求項3】
前記圧延速度(V)は、一定の値であることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧延方法。
【請求項4】
同じ前記最終厚さ(SF)に対し、前記圧延速度(V)は、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードについて、実質的に同じであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧延方法。
【請求項5】
前記圧延速度は、前記プラント(10)の動作コスト(COPEX)を最小化する速度に関連付けられる最適化値(VL-OPT)に調整され、
前記プラント(10)の前記動作コスト(COPEX)は、下記の式により形成され、
OPEX(V,SF)=CHI(V,SF)+CRI(V,SF)
ここで、CHI(V、SF)は、前記急速加熱装置(28)の電力供給のための動作コストであり、CRI(V、SF)は、前記最後の仕上げスタンド(31)の前記出口に関連付けられる、約830℃から約860℃に含まれる前記温度に達していないことによる低下した前記ストリップ(P)の品質と、前記中間圧延製品の閉塞のリスクとによって代表される動作コストであることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の圧延方法。
【請求項6】
最終厚さ(SF)が0.6mmから25mmの間に含まれる金属ストリップ(P)を、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、およびエンドレスモードを含むグループの中から選択されるいずれか一つの動作モードで動作するように構成される圧延プラント(10)であって、
前記圧延プラント(10)は、少なくとも
初期厚さが50mmから160mmの間に含まれる薄いスラブを製造するように構成される連続鋳造機(11)と、
前記連続鋳造機(11)により製造された前記スラブを切断するように構成される第一の選択的作動可能な剪断機(15)と、
前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉(16)と、
中間圧延製品を製造するために、少なくとも一つの前記スラブの前記厚さを減少させるように構成される少なくとも一つの粗加工スタンド(25)と、
前記金属ストリップ(P)を得るために前記中間圧延製品の前記厚さを減少させるように構成される複数の仕上げスタンド(31)と、
選択的に作動可能なエレメントからなり、前記粗加工スタンド(25)および前記複数の仕上げスタンド(31)の間に配置され、前記中間圧延製品を加熱するように構成される急速加熱装置(28)と、
事前定義された長さに基づいた前記金属ストリップ(P)を切断するように構成される第二の選択的作動可能な剪断機(35)と、
前記動作モードを定義するように、前記第一の選択的作動可能な剪断機(15)および前記第二の選択的作動可能な剪断機(35)の機能を命令するように構成される管理及び制御ユニット(40)と、
を備え、
前記管理及び制御ユニット(40)は、さらに、4.0mm、好ましくは2.5mmよりも小さい前記最終厚さ(SF)を有する前記金属ストリップ(P)を製造するために、前記急速加熱装置(28)が前記コイルツーコイルモードあるいは前記セミエンドレスモードに作動させることを維持するように構成されることを特徴とする、圧延プラント(10)。
【請求項7】
前記管理及び制御ユニット(40)は、さらに、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードにおいて、前記複数の仕上げスタンド(31)の前記圧延速度(V)が約12m/sよりも小さい値に設置するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の圧延プラント(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これに限定されないが、例えば、ロールまたはコイルを形成するように巻かれた金属ストリップなどの平坦圧延製品を製造するための方法およびプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールまたはコイルを形成するように巻かれた金属ストリップを製造するための、薄いスラブを製造する連続鋳造機、いわゆる「薄スラブ鋳造機」の下流に少なくとも1つの圧延機をライン状に配置した圧延プラントが知られている。
【0003】
このタイプの圧延プラントの例は、本願の出願人による国際公開第2011/141790号および国際公開第2021/140531号に記載され、鋳造機の下流に複数の粗加工スタンドまたは粗加工機と、複数の仕上げスタンドまたは仕上げ機とが配置され、それらの間に、通常はいくつかのインダクタモジュールからなる誘導炉である急速加熱装置が介在する鋳造機で構成される。
【0004】
仕上げスタンドの下流には、冷却シャワーを備えた出口テーブル(ランアウトテーブルとも呼ばれる)と、最後にストリップを巻いてコイルを製造する2つの巻取りリールがある。
【0005】
仕上げ圧延機における圧延をオーステナイト範囲で、つまり金属組織の相変態を起こさずに行うためには、ストリップは約850℃以上の温度で圧延機の最後の仕上げスタンドから出なければならない。
【0006】
したがって、仕上げスタンドにおける圧延質量流量は、圧延機の最終スタンドの出口で少なくとも約850℃の前記最適温度を有するストリップが得られるように設定されなければならない。
【0007】
質量流量は、ストリップの厚さと速度の積である。鋳造では、質量流量は通常、測定単位mm*m/minで表されるが、圧延では、通常、測定単位mm*m/sで表される。
【0008】
国際公開第2011/141790号は、さらに、そのようなプラントを「コイルツーコイル」モード、「セミエンドレス」モード、または「エンドレス」モードで動作させることができるように設計および構成する方法も教示している。特に、圧延プロセスが実行されるモードは、製造される鋼の品質、その鋼の品質に対して可能な最大鋳造速度、ストリップの最終厚さ、および生産コストに基づいて、前記3つのモードから選択される。
【0009】
上述の3つの圧延モードの特性は、下記のようにまとめられる。
【0010】
エンドレスモードについては、鋳造スラブは圧延機に直接かつ連続的に供給されるため、いわゆる圧延「質量流量」は鋳造質量流量と等しくなければならない。動作中、圧延スタンドへの進入がないため、エンドレスモードはロールの摩耗と閉塞のリスクを軽減し、定置圧延を可能にするため、0.7mm~1.5mmの極薄厚さの製造に最適である。さらに、エンドレスモードでは、製造される最初のストリップを除いて、ストリップヘッドは圧延機の最後の仕上げスタンドおよび巻き取りリールの間で搬送されない。これは、プロセスの安定性の向上に貢献する。ただし、エンドレスモードは、非常に低速で鋳造する必要がある一部の鋼種には使用できない。さらに、このモードでは圧延機が鋳造質量流量に適応する必要があるため、最終仕上げスタンドの出口でのストリップの温度は鋳造質量流量および急速加熱装置による熱の寄与に依存する。
【0011】
このため、最大鋳造質量流量が定義されている場合、ストリップの最終温度は、急速加熱装置によって供給される電力に作用することによってのみ制御される。さらに、エンドレス圧延では、ストリップの最終速度は鋳造質量流量およびストリップの最終厚さに関係する。
【0012】
コイルツーコイルモードおよびセミエンドレスモードについては、鋳造および圧延機の間に連続性がなく、各スラブは鋳造装置の出口で振り子剪断機による剪断手段で形成されるため、鋳造質量流量と圧延質量流量とが異なる。コイルツーコイルモードでは、個々のスラブの重量は単一コイルの重量に相当するが、セミエンドレスモードでは、各スーパースラブの重量は定義された「n」個のコイルの重量に相当し、巻き取りリールの前に位置する高速剪断機によって定義される。これらのモードでは、薄スラブ鋳造機で鋳造可能な鋼材の全範囲を生産できる。それどころか、圧延される各スラブ(またはスーパースラブ)について、圧延機に入る必要があり、これにより、ストリップが非常に薄いため、最後の仕上げスタンドに入る難しさゆえ、コイルツーコイルモードの場合は最終厚さが1.5mm未満、またはコイルツーコイルモードの場合は最終厚さが1.2mm未満のストリップの製造が複雑になる。
【0013】
コイルツーコイルモードおよびセミエンドレスモードにおいて、圧延製品の正確な最終温度を得るために、通常、鋳造質量流量の2.0~3.0倍の圧延質量流量の値に作用することができる。したがって、ストリップの最終厚さが決定されると、圧延機の質量流量は圧延速度に作用して変更できるため、通常は急速加熱装置のスイッチはオフのままになる。
【0014】
コイルツーコイルおよびセミエンドレスモードでは、速度による空気力学的な効果により、最後の仕上げスタンドから出るストリップヘッドが危険な上昇をしないように、最後の仕上げスタンドから出て巻き上げリールに向かうストリップの最高速度を制限する必要がある。
【0015】
通常、ストリップヘッドの最大速度は約11m/s~12m/sに制限されている。
【0016】
この速度制限により、特に薄いストリップの場合、最終仕上げスタンドの出口で少なくとも850℃の最適温度に到達できない場合がある。
【0017】
このような場合を克服するために、ヘッドが巻取りリールに入った後、ストリップの通過を速くして温度損失を減らすために、仕上げ圧延機の圧延スタンドのいわゆる「スピードアップ」が行われ、ストリップの本体およびテールが少なくとも約850℃の目標温度で最後の圧延スタンドから出ることを可能にする。
【0018】
この「スピードアップ」とは、圧延機のスタンドのロールの回転速度を増加させ、その結果、ヘッドが巻取りリールに巻き取られた後のストリップの圧延速度を、最後の仕上げスタンドの出口で前記最適温度を得るのに十分な圧延質量流量が得られるような速度値まで増加させることである。
【0019】
この速度の増加は、平均して40%~50%であり、場合によっては80%に達することもある。
【0020】
さらに、この速度の増加は、ストリップのヘッドが第1の速度(たとえば12m/s)で圧延され、ストリップの本体とテールが第1の速度よりも速い第2の速度(たとえば18m/s)で圧延されることを意味する。このような単一ストリップの圧延速度の変動は、圧延プロセスに過渡現象(transient)を発生させ、ストリップの幾何学的パラメータ、主に「クラウン」、平坦度および厚さと、リールの巻き取り温度との両方の制御を妨げる。
【0021】
したがって、設定された約12m/sの限界速度でヘッドが圧延される場合、最適な出口温度を得るために必要な質量流量が逆に高い場合、ヘッドは最適な温度よりも低い温度で製造される。
【0022】
これは鋼の望ましくない相変化を引き起こし、金属ストリップの機械的および幾何学的特性が最終コイルの長さの展開に沿って均一ではないことを意味する。
【0023】
また、「スピードアップ」のためには、粗圧延機や仕上げ圧延機のスタンドや巻取リールにも大型の電動モーターを搭載する必要がある。
【0024】
これらの大型電気モーターは、プラントをエンドレスモードで機能させるにはオーバーサイズであるため、高額な初期投資(CAPEX)に対してプラントの稼働率が低下する。
【0025】
さらに、「スピードアップ」に伴い、ストリップのテールがヘッドよりも高速で排出されるため、ストリップが全長にわたってほぼ一定である、約550℃~600℃の温度で巻き取りリールに確実に巻き取られるようにするために、冷却シャワーの動的制御が必要である。また、ストリップの速度に応じてより長い冷却セグメントが必要となるため、これによりランオフテーブルがかなり長くなる。
【0026】
したがって、本発明の第1の目的は、上述の3つの動作モードで動作可能なプラントにおける圧延スタンドの「スピードアップ」を回避、または少なくとも大幅に低減できる平坦圧延製品を製造し、圧延機の最終仕上げスタンドの出口でストリップの温度を常に最適値に保つために、プラントを提供し、改良された方法を完成することである。
【0027】
本発明の別の目的は、従来技術で知られているプラントと比較して、よりコンパクトで、建設コストが低い、平坦圧延製品を製造するためのプラントを提供することである。
【0028】
本発明の別の目的は、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、またはエンドレスモードで圧延プロセスを実行することを可能にする平圧延製品を製造し、常に高い利用率を得ることができるプラントを提供し、方法を完成することである。
【0029】
本発明の別の目的は、製造されるストリップのサイズおよび機械的特性の両方の最終品質を改善できる平坦圧延製品を製造でいるプラントを提供し、方法を完成することである。
【0030】
出願人は、現在の技術の欠点を克服し、これらおよび他の目的および利点を得るために、本発明を発明し、テストし、具現化した。
【発明の概要】
【0031】
本発明は、独立請求項に記載され、特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴または主要な発明のアイデアの変形を説明する。
【0032】
上述の目的に対応し、本発明に係る最終厚さが0.6mmから25mmの間に含まれる金属ストリップを、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、およびエンドレスモードを含むグループの中から選択されるいずれか一つの動作モードで動作するように構成される圧延プラントで製造する方法について、前記圧延プラントは、少なくとも初期厚さが50mmから160mmの間に含まれる薄いスラブを製造するように構成される連続鋳造機と、前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉と、中間圧延製品を製造するために、少なくとも一つの前記スラブの前記厚さを減少させるように構成される少なくとも一つの粗加工スタンドと、前記金属ストリップを得るために前記中間圧延製品の前記厚さを減少させるように構成される複数の仕上げスタンドと、選択的に作動可能なエレメントからなり、前記粗加工スタンドおよび前記複数の仕上げスタンドの間に配置され、前記中間圧延製品を加熱するように構成される急速加熱装置と、を備える。
本発明の一態様によれば、前記急速加熱装置は、4.0mm、好ましくは2.5mmよりも小さい前記最終厚さを有する前記金属ストリップを製造するように、前記コイルツーコイルモードあるいは前記セミエンドレスモードに作動されることが維持され、最後の前記仕上げスタンドの出口に関連付けられる前記金属ストリップの前記温度が830℃から860℃の間に含まれるように、前記中間圧延製品を加熱する。
【0033】
本発明のその他の態様によれば、前記動作モードは、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードである場合、前記最後の圧延スタンドの出口において、前記複数の仕上げスタンドに関連付けられる前記金属ストリップの圧延速度は、約12m/s以下である。
【0034】
本発明のその他の態様によれば、前記仕上げスタンドにおける前記圧延速度は、実質的に一定である。
【0035】
本発明のその他の態様によれば。同じ前記最終厚さに対し、前記仕上げスタンドにおける前記圧延速度(V)は、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードについて、実質的に同じである。
【0036】
本発明のその他の態様によれば、前記圧延速度は、前記プラントの動作コストを最小化する速度に関連付けられる最適化値に調整され、下記のように計算される。
OPEX(V,SF)=CHI(V,SF)+CRI(V,SF)
【0037】
ここで、CHI(V、SF)は、前記急速加熱装置の電力供給のための動作コストであり、CRI(V、SF)は、前記最後の仕上げスタンドの前記出口に関連付けられる、約830℃から約860℃に含まれる前記温度に達していないことによる低下した前記ストリップの品質と、前記圧延速度の増加に起因する前記中間圧延製品の閉塞のリスクとによって代表される動作コストである。
【0038】
本発明の一態様によれば、最終厚さが0.6mmから25mmの間に含まれる金属ストリップを、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、およびエンドレスモードを含むグループの中から選択されるいずれか一つの動作モードで動作するように構成される圧延プラントは、少なくとも初期厚さが50mmから160mmの間に含まれる薄いスラブを製造するように構成される連続鋳造機と、前記連続鋳造機により製造された前記スラブを切断するように構成される第一の選択的作動可能な剪断機と、前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉と、中間圧延製品を製造するために、少なくとも一つの前記スラブの前記厚さを減少させるように構成される少なくとも一つの粗加工スタンドと、前記金属ストリップを得るために前記中間圧延製品の前記厚さを減少させるように構成される複数の仕上げスタンドと、選択的に作動可能なエレメントからなり、前記粗加工スタンドおよび前記複数の仕上げスタンドの間に配置され、前記中間圧延製品を加熱するように構成される急速加熱装置と、事前定義された長さに基づいた前記金属ストリップを切断するように構成される第二の選択的作動可能な剪断機と、を備える。
本発明のその他の態様によれば、このプラントは、さらに、前記動作モードを定義するために、少なくとも前記複数の剪断機の機能を命令するように構成され、かつ、4.0mm、好ましくは2.5mmよりも小さい前記最終厚さを有する前記金属ストリップを製造するために、前記急速加熱装置が前記常にコイルツーコイルモードあるいは前記セミエンドレスモードに作動されることを維持するように構成される管理及び制御ユニットを備える。
【0039】
本発明の別の態様によれば、前記管理及び制御ユニットは、さらに、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードにおける前記仕上げスタンドに対応し、前記複数の仕上げスタンドの前記圧延速度が約12m/sよりも小さい値に設置するように構成される。
本発明のこれらおよびその他の態様、特性、および利点は、限定される例ではなく、下記の例示的な実施形態を添付の図面に併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明に係る、平坦圧延製品を製造するためのプラントの一実施形態の概要図である。
図2】規定の質量流量について、平坦圧延製品の最終厚さとそれに必要な圧延速度とを関係付けるグラフである。
図3】製造されるストリップの規定の最終厚さについて、製造されるコイルに関して、本発明に係るプラントにおける動作コストと圧延速度とを関連付けるグラフである。
図4】本発明に係る方法による最適の圧延速度と平坦圧延製品の最終厚さとを関係付けるグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書において使用される表現および用語、ならびに同様に説明される添付図面の各図は、本発明をより良く図示し説明するという唯一の機能を有し、本発明の権利範囲が特許請求の範囲によって規定されるため、それらの機能は非限定的な例を提供することであることを明確にしなければならない。
【0042】
理解を容易にするために、図面において同一の共通要素を識別するために可能な限り同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらに説明することなく、他の実施形態に好適に組み合わせることができ、または他の実施形態に組み込むことができることが理解されたい。
【0043】
図1を参照すると、これは、例えば0.6mm~25mmの最終厚さSFを有する金属ストリップPなどの平坦圧延製品を圧延するための本発明によるプラント10を示す。
【0044】
プラント10は、「コイルツーコイル」、「セミエンドレス」、および「エンドレス」から選択される動作モードで圧延方法を実行するように構成され、好ましい鋳造物、すなわち、厚さが50mmから160mmの間のスラブを製造するための金型12を有する連続鋳造機11を備える。
【0045】
プラント10は、第1のウォータースケーリング装置14および第1の切断装置、この場合は振り子剪断機15を備え、振り子剪断機15は、コイルツーコイル動作モードで、所望の重量、例えば25トンのロールまたはコイルを得るような長さのスラブセグメントを切断する。一方、セミエンドレス動作モードでは、振り子剪断機15は、コイルツーコイルモードのスラブよりも2~5倍の重量を有するスラブセグメント(スーパースラブ)を切断する。エンドレス動作モードの定常状態条件では、振り子剪断機15は、型12から出てくるスラブを全く切断しない。
【0046】
振り子剪断機15の下流には、スラブまたはスラブセグメントがそれらの温度を回復または維持するために導入されるトンネル炉16が配置されている。
【0047】
ここで示す例では、トンネル炉16は、同じ圧延機を共有する第1の鋳造ラインと平行な第2の鋳造ラインの使用を可能にするシャトル機能を備えた横移動型の最後から2番目のモジュール17を備える。このモジュール17は、例えばローリングシリンダの閉塞および/または交換の場合に、複数のスラブセグメントを一時的に収容するために使用することもできる。
【0048】
さらに、トンネル炉16は、上記と同じ理由でラインが中断された場合に、代わりにパーキング機能を有することができる最終モジュール18を備える。
【0049】
トンネル炉16の下流には、オキシ切断装置19、第2のウォータースケーリング装置20、垂直またはエッジングスタンド21、および第3のウォータースケーリング装置23が順に配置され、これらは公知タイプの構成であり、詳しくは説明しない。
【0050】
プラント10はまた、スラブの厚さを減少させて中間圧延製品を製造するための少なくとも1つの粗加工スタンド25と、金属ストリップPを製造するために、中間圧延製品の厚さをさらに減少させる複数の仕上げスタンド31とを備える圧延機を含む。
【0051】
示される例示的な解決策では、1つまたは複数の粗加工スタンド25の下流に、中間圧延製品の仕上げスタンド31への進入を容易にするために、中間圧延製品のヘッドおよびテールをトリミングするクロップハサミ26が配置されている。
【0052】
プラント10はまた、粗加工スタンド25と仕上げスタンド31との間に配置され、例えば選択的に作動可能な要素からなる誘導炉を備える急速加熱装置28を含む。
【0053】
さらに、好ましくは、この急速加熱装置28は、クロップハサミ26の下流に配置される。
【0054】
急速加熱装置28の下流には、第4のウォータースケーリング装置29と複数の仕上げスタンド31とが順次配置されている。
【0055】
第4のウォータースケーリング装置29は、中間圧延製品の表面において、使用中に急速加熱装置28の出口で形成されるスケーリングをクリーニングする機能を有する。
【0056】
仕上げスタンド31の下流には、ストリップPを冷却するための冷却装置が配置され、この冷却装置は、複数のシャワー34を含み、その出口には最終切断装置、この場合にフライング剪断機35、及び2つの巻線リール36,38が順に配置されている。
【0057】
フライング剪断機35は、「セミエンドレス」および「エンドレス」動作モードでのみ使用され、コイルの所望の最終重量を得るために所定の長さでストリップPを切断する。
【0058】
本発明の一態様によれば、急速加熱装置28は、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、エンドレスモードにおいて、中間圧延製品を選択的かつ調整可能な方式で加熱するように構成されている。
【0059】
圧延のための最適な値に達し、かつ、最後の仕上げスタンド31の出口でストリップPが約830℃~約860℃、好ましくは約850℃の最適温度を有することを保証するために、中間圧延製品が加熱される温度は、他のパラメータの中でも特に、少なくとも開始スラブの厚さおよびストリップPの最終厚さSFの関数として選択される。
【0060】
これにより、最後の仕上げスタンド31の出口で前記最適温度を得るためにコイルツーコイルまたはセミエンドレス動作モードで必要とされる圧延質量流量MFの値を低減することが可能になる。
【0061】
単純に非限定的な例として、図2のグラフを参照すると、ストリップPの最終厚さSFが横軸に示され、コイルツーコイルまたはセミエンドレス動作モードでの圧延速度が縦軸に示されている。曲線Aは、急速加熱装置28の熱入力がない場合の、コイルツーコイルまたはセミエンドレスモードで必要とされる圧延質量流量MFの傾向を、最終厚さSFの関数として表す一方、曲線Bは、最終厚さSFの関数として、急速加熱装置28の熱入力による、最終厚さSFの関数としての、コイルツーコイルまたはセミエンドレスモードで必要とされる圧延質量流量MFの傾向を示す。
【0062】
コイルツーコイルまたはセミエンドレス動作モードにおける圧延質量流量MFの減少により、最適な圧延末端温度を有するストリップPを得るために、全体として必要なプラント10からの最大圧延速度を減少させる。これにより、コイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモードでの圧延中におけるいわゆる「スピードアップ」を回避、または少なくとも大幅に低減することができ、かつ、圧延スタンド25,31および巻き取りリール36,38に既知のプラントよりも小さいサイズの電気モーターを装備することができるため、プラント10の全体的なコスト(CAPEX)が削減される。
【0063】
プラント10はまた、粗加工スタンド25および仕上げスタンド31に接続され、それらが動作する圧延速度Vを設定するように構成された、電子的でプログラム可能なタイプの管理および制御ユニット40を備える。
【0064】
特に、管理および制御ユニット40は、コイルツーコイルおよびセミエンドレス動作モードにおいて、圧延速度を最大値が約12m/sに制限するように構成されている。
【0065】
さらに、管理および制御ユニット40は、振り子剪断機15およびフライング剪断機35にも接続され、プラント10の動作モードを定義および選択ために、それらの動作を管理するように構成されている。
【0066】
特に、管理制御ユニット40は、連続鋳造機11からの出口でスラブを切断する必要がある場合に、振り子剪断機15を駆動するように構成されている。
【0067】
さらに、管理制御ユニット40は、ストリップPが一方の巻取りリール36,38に到達する前にストリップPを切断する必要がある場合に、フライング剪断機35を駆動するように構成されている。
【0068】
例えば、コイルツーコイル動作モードでは、管理制御ユニット40は、製造されるコイルの重量に対応する重量を有するスラブを製造するために振り子剪断機15を作動させ、フライング剪断機35を停止状態に保つ。
【0069】
あるいは、セミエンドレス動作モードでは、管理及び制御ユニット40は、振り子剪断機15を作動させて、「n」個のコイルの重量に対応する重量を有するスラブを生産し、かつ、フライング剪断機35を作動させて、単一のコイルに対応する所定の長さでストリップPを切断する。
【0070】
あるいは、エンドレス動作モードでは、管理および制御ユニット40は、振り子剪断機15を非作動状態に保ち、フライング剪断機35を作動させてストリップPを単一のコイルに対応する所定の長さに切断する。
【0071】
管理および制御ユニット40はまた、約4.0mmよりも小さい、好ましくは2.5mmよりも小さい最終厚さSFを有するストリップを製造し、かつ、例えば中間圧延製品を構成する1つ以上の選択的に作動可能な要素を作動させることによって、供給される熱出力、したがって中間圧延製品の加熱を調整するために、急速加熱装置28を常にコイルツーコイルまたはセミエンドレスモードに作動していることを保つように構成されている。
【0072】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「常に作動している」という表現は、圧延中の中間圧延製品の少なくとも一部が急速加熱装置28に対応して通過するときに急速加熱装置28が作動していることを意味することを明記しなければならない一方、1つの中間圧延製品の通過および次の別の中間圧延製品の通過までの間において、それは、非作動化(inactive)であり、停止される(deactivated)可能性がある。
【0073】
好ましくは、急速加熱装置28は、急速加熱装置28に対応する中間圧延製品の通過の全過程において作動する。
【0074】
具体的には、管理および制御ユニット40は、最後の仕上げスタンド31の出口に関連付けて、約830℃~約860℃の間に含まれる温度で、好ましくは約850℃のストリップPを得るために、各動作モードにおいて、急速加熱装置28を構成する選択的に作動可能な要素の少なくとも1つを活性状態に保つように構成される。
【0075】
本発明はまた、圧延がコイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモードで行われる場合でも、急速加熱装置28を作動状態に維持して、最終厚さSFは約4.0mmよりも小さく、好ましくは約2.5mmよりも小さいストリップPを製造する方法にも関する。
【0076】
そうすることにより、同じ最終厚さSFに対して、急速加熱装置28によって中間圧延製品に与えられる熱入力により、コイルツーコイルまたはセミエンドレス動作モードで必要とされる圧延質量流量MFが減少し、同時に、最後の仕上げスタンド31からの出口に対応して、ストリップPの目標温度が、約830℃~約860℃の間に含まれる温度、好ましくは約850℃に達する。
【0077】
コイルツーコイルまたはセミエンドレス動作モードで必要な圧延質量流量MFの低減により、より低い圧延速度V、好ましくは12m/s未満で圧延を実行できると同時に、最終仕上げスタンド31の出口における約850℃の最適温度に達し、ストリップPのヘッドについて、いわゆる「スピードアップ」を防ぐ、または少なくとも低減することができる。
【0078】
より具体的には、コイルツーコイルモードでは、本発明に係る方法は、急速加熱装置28の作動のおかげで、ストリップPのヘッドについて、スピードアップを行わず、最適な圧延終了温度である約850℃に即座に到達することを可能にし、最終厚さSFの値について、約2.0mmよりも大きく、好ましくは約1.5mmよりも大きい、そして、最終厚さの値が0.6mmから1.5mmの間に含まれる場合、スピードアップの値を約15%~25%の値に制限する。このような控えめなスピードアップは、約850℃の最適な圧延終了温度を常に一定に維持しながら、同時に加熱装置28から必要な熱入力を低減するために都合よく適用される。
【0079】
さらに、急速加熱装置28のおかげで達成される中間圧延製品の温度の上昇により、仕上げスタンド31における厚さの大きな減少を実現することができ、したがって、1.2mmよりもさらに薄い厚さのストリップPを製造することができる。コイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモード。
【0080】
これにより、エンドレスモードで鋳造できない鋼、つまり、例えば、HSLAタイプの鋼のようなより硬度の高い鋼について、コイルツーコイルまたはセミエンドレスモードで達成できる薄肉の範囲を拡大できるという利点がある。
【0081】
圧延速度の低減により、一方では中間圧延製品の仕上げスタンド31への進入も容易になり、他方ではストリップPの巻取りリール36,38への移送も容易になる。
【0082】
さらに、同じ最終厚さSFについては、仕上げスタンド31における圧延速度は、前記動作モードのそれぞれについて実質的に同じである。
【0083】
コイルツーコイルまたはセミエンドレスモードでは、圧延速度の変化がないこと、または少なくともその減少により、ストリップPの温度をヘッドおよびテールの間で一定に保つこと、また、鋼グレードおよびストリップPの最終用途の関数に応じた最も適切な温度制御(例えば、熱機械処理)を選択することの両方を可能にする。
【0084】
別の利点は、コイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモードでほぼ一定の圧延速度で圧延を実行することにより、ストリップPの最終形状、例えばそれのクラウンおよび平坦度の両方の高度な制御が可能になるという事実にあり、この両方が有利的にコイルの全長に亘った均一になり、かつ、コイルの全長に亘ってストリップPの機械的特性に対する高度な制御も可能になり、有利的にコイルの全長に亘って一定かつ均一である。
【0085】
この最後の利点は、特に、エンドレスモードで鋳造できない鋼、つまり、例えばHSLAタイプの鋼など、より硬度の高い鋼の高品質な生産にとって非常に重要である。
【0086】
最後に、圧延速度の低下により、冷却装置内に存在するシャワー34の数を減らすことができ、従って、従来技術のプラントと比較してその長さを約20%~30%短縮することができる。
【0087】
本発明の別の態様によれば、圧延がコイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモードで発生する場合、この方法は、圧延速度を最適値VL-OPTに設定することも提供する。
ここに示す例では、最適圧延速度VL-OPTは、最終厚さSFを設定した後、次の関数を最小化にできる圧延速度である。
OPEX(V,SF)=CHI(V,SF)+CRI(V,SF)
【0088】
ここで、CHI(V、SF)は、急速加熱装置28の電力供給のための動作コストであり、CRI(V、SF)は、圧延速度Vに関連し、結果として生じる閉塞のリスクの増加によって表される動作コストである。これは、圧延速度の増加と、最適な圧延終了温度に達しない場合に得られるストリップPの品質の低下とによるものである。
【0089】
例えば、図3は、ストリップPの特定の最終厚さSF、例えば1.2mmに対応する、圧延速度Vが横軸に示され、関数COPEX(V,SF)の値が縦軸に示されたグラフを示す。特に、曲線Cは関数CHI(V、SF)を表し、曲線Dは関数CRI(V、SF)を表し、曲線Eは関数COPEX(V、SF)を表す。
【0090】
速度VL-OPTに対応して、関数COPEX(V,SF)が最小値(この場合は約10m/s)を取ることが明らかである。
【0091】
したがって、最適な圧延速度VL-OPTは、最大電力で急速加熱装置28を使用して(すなわち、急速加熱装置28からの出口における最大許容温度の限界で、選択的に作動可能な要素をすべて作動させる)達成できる圧延速度VLE(例えば、約6m/s)と、急速加熱装置28を使用せずに達成できる圧延速度VLC(例えば、約14m/s)との間に含まれ、ストリップPにとって、VLEおよびVLCの両方の速度における最適な圧延終了温度に達する。
【0092】
見てわかるように、VLE未満ではコストCRI(V、SF)が増加する。これは、急速加熱装置28が最大出力であるにもかかわらず、ストリップPが最適温度よりも低い圧延終了温度で製造され、従って、低品質のためである。
【0093】
さらに、VLE未満では、コストCHI(V、SF)も増加する。これは、ストリップが減速して前進し、したがって同じ電力が供給されても、急速加熱装置28の生産トン当たりの消費量(kWh/ton)が増加するためである。
【0094】
一方、VLCより上では、急速加熱装置28が非作動であるため、コストCHI(V、SF)はゼロになるが、閉塞のリスクがますます高くなるため、コストCRI(V、SF)は指数関数的に増加する。
【0095】
また、図4のグラフは、非限定的な例として、コイルツーコイルモードまたはセミエンドレスモードにおけるストリップPの最終厚さSFと最適圧延速度VL-OPTとの間の関係を示す。特に、最適圧延速度VL-OPTの値が縦軸に示され、最終厚さSFの値が横軸に示されている。
【0096】
具体的には、曲線Fは、加熱なしで最後の仕上げスタンド31に対応する約850℃の温度を有するストリップPを得るために、コイルツーコイルまたはセミエンドレス圧延モードで必要とされる圧延速度の値を表す。約14m/sよりも高い、すなわち、図3のグラフの速度VLCよりも高い圧延速度は、約1.2mmより小さい最終厚さSFを有するストリップPに対応するであることを留意されたい。
【0097】
さらに、曲線Gは、約0.6mm~約2.5mmの間に含まれる最終厚さSFを有し、急速加熱装置28の熱入力により、最後の仕上げスタンド31に対応する約850℃の温度を有するストリップPを得るためにコイルツーコイル圧延モードまたはセミエンドレス圧延モードで必要とされる最適圧延速度VL-OPTの値を表す。これらの場合、空力効果によりストリップPのヘッドが上昇しないように、最適な圧延速度VL-OPTは、常に12m/sの最大値よりも低いことに留意されたい。
【0098】
さらに、約2.5mm未満の最終厚さSFを有するストリップPの場合、急速加熱装置28の熱入力による最適な圧延速度VL-OPTは、急速加熱装置28を使用しない場合に必要な圧延速度よりも常に低いことも明らかである。
【0099】
さらに、曲線Hで示すように、約850℃の最適な圧延終了温度を常に一定に保ちながら、急速加熱装置28に必要なエネルギー消費を同時に削減するために、最終厚さSFが約0.6mm~約1.4mmの間に含まれる最終厚さを有するストリップPの場合、約15%~25%の値に制限された適度なスピードアップを好適に実行することができる。
【0100】
2.5mmよりも大きい最終厚さSFを有するストリップPの場合、最適圧延速度VL-OPTは、急速加熱装置28の熱入力なしで、最後の仕上げスタンド31に対応する約850℃の温度を有するストリップPを得るために、コイルツーコイル圧延モードまたはセミエンドレス圧延モードで必要な圧延速度に相当する。
【0101】
これにより、動作コストを最小限に抑えながら、特定の最終厚さSFを有するストリップPをコイルツーコイルおよび/またはセミエンドレスモードで圧延できる最適な圧延速度VL-OPTを特定することができる。
【0102】
特許請求の範囲によって定義される本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明した平坦圧延製品を製造するための方法およびプラント10に対して修正および/または部品の追加を行うことができることは明らかである。
【0103】
また、本発明をいくつかの特定の例を参照して説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載されている特徴を有しており、したがってすべてが特許請求の範囲によって定義される保護分野に含まれる、平坦圧延製品を製造するための方法およびプラント10の他の多くの同等の形態を確実に実現できることも明らかである。
【0104】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照の唯一の目的は、その読みやすさを目的とするものであり、同じ特許請求の範囲によって定義される保護分野に関する制限要素として考慮されてはならない。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終厚さ(SF)が0.6mmから25mmの間に含まれる金属ストリップ(P)を、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、およびエンドレスモードを含むグループの中から選択されるいずれか一つの動作モードで動作するように構成される圧延プラント(10)で製造する方法であって、
前記圧延プラント(10)は、少なくとも
初期厚さが50mmから160mmの間に含まれる薄いスラブを製造するように構成される連続鋳造機(11)と、
前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉(16)と、
中間圧延製品を製造するために、少なくとも一つの前記スラブの前記厚さを減少させるように構成される少なくとも一つの粗加工スタンド(25)と、
前記金属ストリップ(P)を得るために前記中間圧延製品の前記厚さを減少させるように構成される複数の仕上げスタンド(31)と、
選択的に作動可能なエレメントからなり、前記粗加工スタンド(25)および前記複数の仕上げスタンド(31)の間に配置され、前記中間圧延製品を加熱するように構成される急速加熱装置(28)と、
を備え、
前記急速加熱装置(28)は、4.0mm、好ましくは2.5mmよりも小さい前記最終厚さ(SF)を有する前記金属ストリップ(P)を製造するように、前記コイルツーコイルモードあるいは前記セミエンドレスモードに作動されることが維持され、最後の前記仕上げスタンド(31)の出口に関連付けられる前記金属ストリップ(P)の前記温度が830℃から860℃の間に含まれるように、前記中間圧延製品を加熱する、圧延プラント(10)で製造することを特徴とする、圧延方法。
【請求項2】
前記動作モードは、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードであり、
前記複数の仕上げスタンド(31)に関連付けられる前記中間圧延製品の圧延速度(V)は、約12m/s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の圧延方法。
【請求項3】
前記圧延速度(V)は、一定の値であることを特徴とする、請求項1に記載の圧延方法。
【請求項4】
同じ前記最終厚さ(SF)に対し、前記圧延速度(V)は、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードについて、実質的に同じであることを特徴とする、請求項1に記載の圧延方法。
【請求項5】
前記圧延速度は、前記プラント(10)の動作コスト(COPEX)を最小化する速度に関連付けられる最適化値(VL-OPT)に調整され、
前記プラント(10)の前記動作コスト(COPEX)は、下記の式により形成され、
OPEX(V,SF)=CHI(V,SF)+CRI(V,SF)
ここで、CHI(V、SF)は、前記急速加熱装置(28)の電力供給のための動作コストであり、CRI(V、SF)は、前記最後の仕上げスタンド(31)の前記出口に関連付けられる、約830℃から約860℃に含まれる前記温度に達していないことによる低下した前記ストリップ(P)の品質と、前記中間圧延製品の閉塞のリスクとによって代表される動作コストであることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の圧延方法。
【請求項6】
最終厚さ(SF)が0.6mmから25mmの間に含まれる金属ストリップ(P)を、コイルツーコイルモード、セミエンドレスモード、およびエンドレスモードを含むグループの中から選択されるいずれか一つの動作モードで動作するように構成される圧延プラント(10)であって、
前記圧延プラント(10)は、少なくとも
初期厚さが50mmから160mmの間に含まれる薄いスラブを製造するように構成される連続鋳造機(11)と、
前記連続鋳造機(11)により製造された前記スラブを切断するように構成される第一の選択的作動可能な剪断機(15)と、
前記スラブを特定の温度で維持する、および/または前記スラブを特定の温度に加熱するように構成される炉(16)と、
中間圧延製品を製造するために、少なくとも一つの前記スラブの前記厚さを減少させるように構成される少なくとも一つの粗加工スタンド(25)と、
前記金属ストリップ(P)を得るために前記中間圧延製品の前記厚さを減少させるように構成される複数の仕上げスタンド(31)と、
選択的に作動可能なエレメントからなり、前記粗加工スタンド(25)および前記複数の仕上げスタンド(31)の間に配置され、前記中間圧延製品を加熱するように構成される急速加熱装置(28)と、
事前定義された長さに基づいた前記金属ストリップ(P)を切断するように構成される第二の選択的作動可能な剪断機(35)と、
前記動作モードを定義するように、前記第一の選択的作動可能な剪断機(15)および前記第二の選択的作動可能な剪断機(35)の機能を命令するように構成される管理及び制御ユニット(40)と、
を備え、
前記管理及び制御ユニット(40)は、さらに、4.0mm、好ましくは2.5mmよりも小さい前記最終厚さ(SF)を有する前記金属ストリップ(P)を製造するために、前記急速加熱装置(28)が前記コイルツーコイルモードあるいは前記セミエンドレスモードに作動させることを維持するように構成されることを特徴とする、圧延プラント(10)。
【請求項7】
前記管理及び制御ユニット(40)は、さらに、前記コイルツーコイルモードまたは前記セミエンドレスモードにおいて、前記複数の仕上げスタンド(31)の前記圧延速度(V)が約12m/sよりも小さい値に設置するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の圧延プラント(10)。
【国際調査報告】