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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】油圧トルクレンチ
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/46 20060101AFI20241203BHJP
   B25B 21/00 20060101ALI20241203BHJP
   B25B 23/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B25B13/46 C
B25B21/00 C
B25B23/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535495
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2022062230
(87)【国際公開番号】W WO2023111905
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118145.8
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ジル,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ドッズ,トニー
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,テレサ
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC03
3C038EA03
(57)【要約】
油圧トルクレンチ(10)であって:筐体(12);筐体(12)内に回動可能に装着された駆動つめ(1);及び、駆動つめ(1)を駆動するために、駆動つめ(1)に駆動及び結合されるよう構成されたピストンロッド(2)を備える油圧トルクレンチ(10)が提供されている。駆動つめ(1)により回転駆動されるよう構成されたラチェットギア(3)。駆動つめ(1)をラチェットギア(3)と係合するよう付勢するように構成されたばね(4)。ラチェットギア(3)との係合から離れる駆動つめ(1)の回動移動を制限するように配置された移動リミッタ。駆動つめ(1)の移動を制限することにより、本発明者らは、ばね(3)が過度に伸びてしまうリスクを排除している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧トルクレンチであって:
筐体;
前記筐体中に回動可能に装着された駆動つめ;
前記駆動つめを駆動するために、前記駆動つめに結合されて駆動するように構成されたピストンロッド;
前記駆動つめにより回転駆動されるよう構成されたラチェットギア;
前記駆動つめを前記ラチェットギアと係合するよう付勢するように構成されたばね;及び
前記ラチェットギアとの係合から離れる前記駆動つめの回動移動を制限するよう配置された移動リミッタ
を備える、油圧トルクレンチ。
【請求項2】
前記移動リミッタは、前記ばねの弾性限界を超えて前記ばねが伸びないように、前記駆動つめの前記移動制限する、請求項1に記載の油圧トルクレンチ。
【請求項3】
前記移動リミッタは第1のドライブプレートを備え、前記第1のドライブプレートは第1のピンが装着される第1の開口部を含み、前記駆動つめは、前記第1のピンを受け入れる第1のスロットを備え、これにより、前記駆動つめの前記回動移動に対する前記制限が、前記第1のスロットの端部への前記第1のピンの前記動きに対応する、請求項1又は2に記載の油圧トルクレンチ。
【請求項4】
前記移動リミッタは第2のドライブプレートを備え、前記第1及び第2ドライブプレートは前記駆動つめの対向する側部に配置されており、前記第2のドライブプレートは第2のピンが装着される第2の開口部を備え、前記駆動つめは前記第2のピンを受け入れる第2のスロットを備え、これにより、前記駆動つめの前記回動移動に対する前記制限が、前記第2のスロットの端部に対する前記第2のピンの前記動きに対応する、請求項3に記載の油圧トルクレンチ。
【請求項5】
前記ラチェットギアは歯を備え、及び、前記駆動つめは、前記歯と係合するよう構成された突出アームと、前記駆動つめをシャフトに装着可能とするよう構成された開口部とを備え、前記第1のスロットは、前記突出アーム及び前記開口部の間の前記駆動つめに位置される、請求項3又は4に記載の油圧トルクレンチ。
【請求項6】
前記第1及び/又は第2のスロットは部分円弧を描く、請求項3~5のいずれか一項に記載の油圧トルクレンチ。
【請求項7】
前記筐体内に装着されたピストンに連結された油圧流体の入口を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の油圧トルクレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は油圧トルクレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧レンチは、一例として、国際公開第2018/130854号から従来技術において周知である。Atlas Copcoは、他の供給者と同様に、着脱可能なドライブ(典型的には、スクエアドライブであるが、例えばヘキサゴンドライブ又はソケットドライブといった異なる形状のドライブが使用され得る)を備える油圧トルクレンチを提供する。1つ以上ドライブスリーブを用いて、ドライブの挿入及び/又は位置決めを補助し得る。1つ以上の着脱可能なリテーナを用いてドライブを保持し得る。
【0003】
一般に、このような工具は、直線駆動及び後退ストロークを有する油圧シリンダによって繰り返し駆動されるラチェット機構を備える。ラチェット機構は、ドライブが一方向にのみ回転することを保証する。典型的には、ラチェット機構は、非対称の歯を有し、駆動つめにより駆動されるラチェットギアを備えることとなる。つめは、ばねなどの付勢手段によって、ラチェットに接触するよう付勢される。通常の使用時には、駆動つめは駆動ストロークの最中にラチェットギアを一方向に駆動するが、ラチェットギア歯の形状のために、つめが後退ストロークにおいて反対の直線方向に駆動されると、歯を乗り越えることとなる。
【0004】
しかしながら、トルクレンチがボルトを緩めるために用いられる時、ボルトが突然解放されて、工具を通じて衝撃が生じることがあることを、本発明者らは理解している。突然の解放により、ナット、ソケット、ドライブ及びラチェットギアが急速に回転される。特に、これにより、駆動つめがラチェットギアから脱係合して、弾き飛ばされる可能性あることを、本発明者らは理解している。
【0005】
この弾き飛ばされる動きが、ばね又は他の付勢手段の過度な伸長を引き起こして、潜在的にこれらに損傷を与える可能性があることを、本発明者らは理解している。付勢手段はラチェット機構が正しく機能するために不可欠であるため、これにより、信頼性の問題や部品の早期故障が引き起こされる可能性がある。
【0006】
従来技術の配置構成を図1及び図2に示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、本発明者らは、油圧トルクレンチであって:
筐体;
筐体中に回動可能に装着された駆動つめ;
駆動つめを駆動するために、駆動つめに結合されて駆動するように構成されたピストンロッド;
駆動つめにより回転駆動されるよう構成されたラチェットギア;
駆動つめをラチェットギアと係合するよう付勢するように構成されたばね;及び
ラチェットギアとの係合から離れる駆動つめの回動移動を制限するよう配置された移動リミッタ
を備える油圧トルクレンチを提供する。
【0008】
そのため、駆動つめの移動を制限することにより、本発明者らは、ばねが過度に伸びてしまうリスクを排除している。好ましい実施形態において、移動リミッタは、ばねの弾性限界を超えてばねが伸びないように駆動つめの移動を制限する。
【0009】
移動リミッタは第1のドライブプレートを備えていてもよく、ここで、第1のドライブプレートは第1のピンが装着される第1の開口部を含み、ここで、駆動つめは、第1のピンを受け入れる第1のスロットを備え、これにより、駆動つめの回動移動に対する制限が、第1のスロットの端部への第1のピンの動きに対応する。
【0010】
移動リミッタは第2のドライブプレートを備えていてもよく、ここで、第1及び第2のドライブプレートは駆動つめの対向する側部に配置されており、ここで、第2のドライブプレートは第2のピンが装着される第2の開口部を備え、ここで、駆動つめは第2のピンを受け入れる第2のスロットを備え、これにより、駆動つめの回動移動に対する制限が、第2のスロットの端部に対する第2のピンの動きに対応する。
【0011】
典型的には、ラチェットギアは歯を備え、及び、ここで、駆動つめは、歯と係合するよう構成された突出アームと、駆動つめをシャフトに装着可能とするよう構成された開口部とを備え、ここで、第1のスロットは、突出アーム及び開口部の間の駆動つめに位置される。
【0012】
第1及び/又は第2のスロットは部分円弧を描き得、並びに、丸みを帯びた端部を有し得る。
【0013】
油圧トルクレンチは、筐体内に装着されたピストンに連結された油圧流体の入口を備えていてもよい。
【0014】
ここで、添付の図面を参照して記載した、本発明の実施形態の説明を以下に単なる一例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、従来技術の工具の配置構成を示す。
図2図2は、従来技術の工具の配置構成におけるばねの損傷を示す。
図3図3は、本発明の実施例に係る工具の斜視図を示す。
図4図4は、本発明の実施例に係るドライブプレートを示す。
図5図5は、本発明の実施例に係る駆動つめを示す。
図6図6は、本発明の実施例に係るつめばね保護機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び2は従来技術に係る工具10を示し、図2は、図示の配置構成による問題であるばねの損傷を示す。図1は、工具10の内部の構成要素が視認可能であるよう切断された工具10の2つの側面図を示す。工具10は、例えば、ボルトを締め付け及び/又は緩めるために用いられる(工具10がどのように構成されているかに応じる)トルクレンチであり得る。
【0017】
工具10は、工具10の構成要素を収容する筐体12を備えていてもよい。各図は、ピストンロッド2、駆動つめ1、ラチェットギア3及び引張りコイルばね4を備える工具10を示す。これらの特徴は、まとめて「駆動機構」のコンポーネントであり得る。引張りコイルばね4は、他の好適な付勢手段で置き換えられてもよい。
【0018】
ピストンロッド2は油圧で駆動されるよう構成されていてもよく、工具アセンブリ10は、ピストンロッド2を油圧で駆動するよう構成された電源を備えていてもよい。
【0019】
上側の側面図においては、ピストンロッド2の前進ストローク中、すなわち、ピストンロッド2が駆動つめ1に向かう方向に駆動されている時の工具10が示されている。ピストンロッド2は、駆動つめ1に結合するよう構成されていてもよい。駆動つめ1は、ピストンロッド2のシャフトに装着されて、これら2つを結合するよう構成された開口部1aを備えていてもよい。駆動つめ1は、ピストンロッド2の動きに応じて移動するよう構成されていてもよい。図示の前進ストロークでは、ピストンロッド2は駆動つめ1に動きを伝達し得、駆動つめ1の動きが駆動つめ1とラチェットギア3を係合させて、ラチェットギア3を回転させ得る。ラチェットギア3は筐体12中に回転可能に装着され、これにより、駆動つめ1により回転され得;ラチェットギア3は開口部を備えていてもよく、及び、ラチェットギア3は、開口部を介してシャフトに装着されていてもよい。図示のラチェットギア3において、開口部は中央にある。
【0020】
ラチェットギア3は歯6を備えていてもよい。歯6は均一であるが非対称であり得、各歯6は第1の傾斜縁部及び第2の急勾配傾斜縁部を含み得、ここで、駆動つめ1の摺動部9は第1の傾斜縁部を摺動するよう構成されており、及び、第2の急勾配傾斜縁部は駆動つめ1の部分が乗り越えて摺動することを防止する。このように、ラチェットギア3が回転する「前進」方向が存在しており、駆動つめ1は、前進方向へのラチェットギア3の回転を駆動するよう構成されている。図1において、前進方向は、ラチェットギア3の周囲において曲線矢印で示されている。
【0021】
駆動つめ1は、ラチェットギア3と係合するよう、例えば歯6と係合するよう構成された突出アーム8を備えていてもよい。突出アーム8は、2つの隣接する歯6の間に嵌まるように構成されていてもよい。駆動つめ1が動くに伴って、摺動部9は、突出アーム8が2つの隣接する歯6間の凹部に着地するまで、駆動つめを歯6上で案内する。
【0022】
突出アーム8は、引張りコイルばね4由来の力により、2つの隣接する歯6間の凹部に付勢され得る。1つ以上のばね4が、歯6の頂点を通過した後に突出アーム8を凹部に付勢するよう設けられていてもよい。
【0023】
工具10の下方の側面図には、後退しているピストンロッド2が示されている。ピストンロッド2のこの動作は、駆動つめ1をラチェットギア3から脱係合させるよう構成されていてもよい。これにより、駆動つめ1による駆動力がなくなって、前進方向へのラチェットギア3の回転が停止され得る。
【0024】
図1は駆動つめ1の拡大図を含み、引張りコイルばね4を示す。駆動つめ1と歯6との確実な係合は、中立位置に戻ることにより駆動つめ1をラチェットギア3に向かって付勢するばね4に依存し得、引張りコイルばね4は、摺動部9が歯6の第1の傾斜側面及び/又は歯6の頂点を通過するに伴って拡張され得、例えば、突出アーム8が2つの隣接する歯6間の凹部に進入すると中立に戻る。
【0025】
一対の引張りコイルばね4が設けられていてもよく、各々は、駆動つめ1をラチェットギア3に向けて付勢し、それ故、突出アーム8を凹部に付勢するよう構成されている。例えば、3つ以上のばね4が設けられていてもよい。
【0026】
通常の動作下では、ばね4は許容範囲内内で機能し得る。
【0027】
図2は、駆動つめ1がラチェットギア3から脱係合した工具10を示す。引張りコイルばね4が損傷している。曲線矢印は、ラチェットギア3が前進方向に回転されたが、突出アーム8は歯6間の凹部のみならず歯6自体からも脱係合してしまっていることを示している。駆動つめ1はラチェットギア3から回転しすぎており、ばね4が過度に伸びてしまっている。
【0028】
これは、工具10(トルクレンチであり得る)がボルトを緩めるために用いられた結果であり得る。ボルトが突然緩んでしまった可能性がある。これにより、工具10に衝撃が与えられた可能性がある。この突然の解放により、ラチェットギア3を含む工具アセンブリ10の構成要素が、使用者により望まれないように動いてしまった可能性がある。ラチェットギア3が制御不能に回転された可能性があり、ラチェットギア3が前進方向に急速に回転し、駆動つめ1がラチェットギア3との係合からはじき出された可能性があることを意味する。
【0029】
その結果、引張りコイルばね4は、ばねの塑性限界を超えて過度に伸びてしまった可能性がある。これにより、図示したようにばねの損傷がもたらされ得る。
【0030】
引張りコイルばね4(又は、ばね4)は、ラチェットギア3及び駆動つめ1の機構が正しく機能するために不可欠であり得る。従って、ばねの損傷によって、信頼性の問題や部品の早期故障が引き起こされ得る。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る工具100を示す。図示の工具100は、工具100の構成要素を中に収容するよう構成された筐体12を備える。工具100は、トルクレンチ、例えばスクエアドライブ油圧レンチである。工具100は、例えば図3に示すとおり、製品又は製造業者の表示を含む場合がある(符号12a)。
【0032】
本工具100は、従来技術の工具10の一部である上記の特徴のいずれか(又は全て)を含み得、従って、全体を通して、同様の特徴については同様の符号が用いられている。
【0033】
ドライブアセンブリ30は筐体12に装着されている。工具100はさらに、反作用アーム32及び旋回アセンブリ34を備えていてもよい。反作用アーム32及び旋回アセンブリ34は、当業者に公知である任意のタイプのもの、及び/又は、一方若しくは両方は他の実施形態においては存在していなくてもよい。例えば、旋回アセンブリ34は、異なる形態のホースコネクタで置き換えられて、工具100をポンプ(図示せず)に結合可能とされてもよい。
【0034】
ドライブアセンブリ30は、より具体的には図示の実施形態のとおりスクエアドライブ31であり得る、ドライブ31を備えていてもよい。異なるドライブ31が他の実施形態において使用されてもよい。工具100は、ドライブ31が工具100から滑り出ることを防止するよう構成されたドライブリテーナ35を備えていてもよい。
【0035】
工具100はまた、バックラッシュ防止機構を提供する工具100内の反作用つめ、及び、任意に、工具100がトルクを加えるために使用されていた対象物にロックされてしまった場合に、ラチェットギア3から反作用つめを脱係合させるために使用され得る図3に示されている反作用つめレバー37などの技術分野において標準的な種々の他の特徴を備えていてもよい。
【0036】
工具100は、上記の駆動つめ1、ピストンロッド2及びラチェットギア3、並びに、付随する特徴のすべてを備えていてもよい。
【0037】
図4は、本工具100の駆動つめ1の断面を示す。ばねの過度な伸びとその後の損傷を防止するために、駆動つめ1は、保持ピン60を受け入れるよう構成された開口部を有する(図6を参照のこと)。保持ピン60は、直線的な縁部を有さない略円筒形である。工具100はドライブプレート40を備えていてもよい。駆動つめ1は2枚のドライブプレート40の間に配置されており、シャフト42に装着(例えば、開口部1aを介して)されている。シャフト42はピストンロッド2に結合するよう構成されており、2枚のドライブプレート40は、ピストンロッド2に対する結合の両側に位置され得る。各ドライブプレート40は、保持ピン60を受け入れるよう構成された開口部44を有する。
【0038】
駆動つめ1はスロット50を備えていてもよい。スロット50は保持ピン60を受け入れるよう構成されている。保持ピン60は、スロット50内における移動についてある程度の自由度を有するよう、サイズがスロット50よりも小さい。このように、スロット50中にある保持ピン60は駆動つめ1の通常の動きを妨げたり、又は、阻害したりしない。通常の動きとは、駆動つめ1がラチェットギア3の歯6と飛び越えること、及び、突出アーム8が歯6間の凹部に落ちることを可能とすることが含まれる。
【0039】
スロット50は、丸みを帯びた縁部を有するシャフト42と同軸の部分円弧を描いて、その中に配置された保持ピン60による使用中の鋭利な角部の摩耗を防止し、同様に、鋭利な角部によって生じ得る保持ピン60に対する損傷を防止する。
【0040】
スロット50は、例えば開口部1aと突出アーム8との間の駆動つめ1に配置される。
【0041】
工具100において、同一の保持ピン60は、最初に第1のドライブプレート40aを通過し、次いで、スロット50に入り得る。このように、駆動つめ1の動きは、第1のドライブプレート40aに固定されることによって制限された、スロット50中の保持ピン60により許容された範囲に限定され得る。
【0042】
ドライブプレート40は筐体12に配置されて、使用中にラチェットギア3の少なくとも一部を覆う。例えば、図6は、第1のドライブプレート40aが半透明で、その下でラチェットギア3が少なくとも部分的に覆われていることを示す、ラチェットギア3及びドライブプレート40の図を示す。ラチェットギア3からの駆動つめ1の過剰な脱係合を原因とする衝撃によるばねに対する損傷を防止するために、保持ピン60が、ラチェットギア3を覆う第1のドライブプレート40aの領域に隣接するがそこから隙間を空けて配置された開口部44を通して挿入される。保持ピン60がラチェットギア3の近くで挿入された場合、駆動つめ1は、ラチェットギア3からいかなる程度でも脱係合が妨げられ得、これは望ましくない。図6は、保持ピン60が第1のドライブプレート40a及びスロット50に挿入された時の駆動つめ1の動きの例示的な範囲を表す領域600を影で示す。図6中の曲線矢印は、範囲600の中で駆動つめ1がラチェットギア3から離れる揺動が許容され得る方向を示す。
【0043】
第2の保持ピン60が、第2のドライブプレート40bを介して開口部44に挿入されている。第2のドライブプレート40bは第1のドライブプレート40aの特徴のすべてを有し得ると共に、駆動つめ1がドライブプレート40a,40bの間に配置されるよう、第1のドライブプレート40aからシャフト42の反対側に、又は、その近傍に配置される。第2の保持ピン60は、第1の保持ピン60と実質的に平行に挿入される。第1及び第2のドライブプレート40a,40bは、実質的に同一の位置に開口部44を備える。
【0044】
駆動つめ1は、第2の保持ピン60を受け入れるよう構成された第2のスロット50を備えていてもよい。第2のスロット50は第1のスロット50と同じく構成されており、保持ピン60の動作をスロット50の範囲内にのみ限定して許容することにより、駆動つめ1の動作を限定する。
【0045】
ドライブプレート40a,40bの各々にピン60を設けることで、駆動つめ1の一部(スロット50を画定する部分及び保持ピン60を受け入れる部分)が、スロット50/ピン60を伴わない他の部分よりも早く摩耗することを防止し得る。各ピン60はまた、タスクの負荷を共有し得、従って、例えば、1本のピン60のみが設けられている場合のように頑強である必要性はない。加えて、駆動つめ1の両側にピン60を有することで、衝撃が生じた場合に片側のみにおける単一のピン60作用に基づいて、駆動つめ1が潜在的にねじれることが防止され得る。
【0046】
保持ピン60は各々、その全長に沿って均一な直径を有し得、又は、テーパー状であり得、又は、そうでなければ可変の直径を有し得る。例えば、ピン60は、ピン60が開口部44を完全に通り抜けてしまうことを防止するために、開口部44の直径を超える直径を有するマッシュルーム形の端部、又は、そうでなければ、大型部位を有し得る。
【0047】
ピン60が開口部44及び/又はスロット50から抜けることを防止するために、開口部44及び/又はスロット50を通して送られた後、ピン60にキャップ又は他のストッパが加えられる。これは、取り外し可能、及び、交換可能であり得る。
【0048】
保持ピン60は、衝撃荷重が存在する時に駆動つめ1の動きを阻止し得、従って、引張りコイルばね4の各々を保護し得る。
【0049】
第1及び/又は第2のドライブプレート40a,40bは、これに応じて、追加の保持ピン60を受け入れる1つ以上の追加の開口部を備えていてもよい。所望に応じて、スロット50は2つ以上のピン60を受け入れるよう構成されていてもよく、又は、駆動つめ1は、複数のピン60を収容する2つ以上のスロット50を備えていてもよい。各スロット50は、一緒に機能して、駆動つめ1の動作の範囲600を定義するために適切なサイズ及び/又は形状とされ得る。
【0050】
使用時においては、使用者による保持ピン60の所望の位置又は駆動つめ1の動作の所望の範囲600に基づいて、単一の保持ピン60は、ピン60を受け入れるよう構成された複数の開口部を有するドライブプレート40に挿入され得る。
【0051】
いずれの場合においても、各保持ピン60は、1つのドライブプレート40を通って複数のピン60がある場合でも、又は、1つ以上のピン60が各ドライブプレート40a,40bに挿入される場合でも、第1の保持ピン60の本明細書に記載の特徴のいずれか又はすべてを有し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】