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▶ アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/46 20060101AFI20241203BHJP
   B25B 21/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B25B13/46 E
B25B21/00 F
B25B21/00 530Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535497
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2022062231
(87)【国際公開番号】W WO2023111906
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118151.6
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ジル,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ドッズ,トニー
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン,テレサ
(57)【要約】
トルクレンチ(1)のドライブ(11)アセンブリ(10)であって、ドライブ(11)アセンブリ(10)は:内部スプライン(13a;14a)を有するラチェット(14);ラチェット(14)内に取り外し可能に収容されるよう配置されたシャフト(11b)であって、ラチェット(14)を通過すると共に、ラチェット(14)の回転でシャフト(11b)を回転されるように、ラチェット(14)のスプラインと噛合するよう配置された外部スプライン(11a)を有するシャフト(11b)を備えるドライブ(11);並びに、ラチェット(14)に着座するよう配置され、及び、ラチェット(14)の内部スプライン(13a;14a)に適合する内部スプライン(13a;14a)を有するドライブスリーブ(13)を含む。ドライブスリーブ(13)及びラチェット(14)は、ドライブスリーブ(13)がラチェット(14)に着座した時にドライブスリーブ(13)及びラチェット(14)の相対的回転を防止するよう配置された協働する特徴を備える。工具の使用容易性の向上が可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクレンチのドライブアセンブリであって:
内部スプラインを有するラチェット;
前記ラチェット内に取り外し可能に収容されるよう配置されたシャフトであって、前記ラチェットを通過すると共に、前記ラチェットの回転で前記シャフトが回転されるように、前記ラチェットの前記スプラインと噛合するよう配置された外部スプラインを有する前記シャフトを備えるドライブ;並びに
前記ラチェットに着座するよう配置され、及び、前記ラチェットの前記内部スプラインに適合する内部スプラインを有するドライブスリーブ
を備え、
前記ドライブスリーブ及びラチェットは、前記ドライブスリーブが前記ラチェットに着座した時に前記ドライブスリーブ及びラチェットの相対的回転を防止するよう配置された協働する特徴を備える、ドライブアセンブリ。
【請求項2】
前記ドライブスリーブ及びラチェットは、前記ドライブスリーブが前記ラチェットに着座した時に前記ドライブスリーブ及びラチェットの相対的回転を防止するよう配置された複数の対の協働する特徴を備える、請求項1に記載のドライブアセンブリ。
【請求項3】
前記ドライブスリーブ及びラチェットの前記協働する特徴は、前記ラチェットにおけるキー溝及び前記ドライブスリーブにおけるキーを備え、前記キーは、前記キー溝に嵌合するよう配置されている、請求項1又は請求項2に記載のドライブアセンブリ。
【請求項4】
前記ラチェット及びドライブスリーブは各々、使用時に前記シャフトの長さと平行に延びるリップを有し、前記ドライブスリーブの前記リップは前記ラチェットの前記リップ内に摺動して収容されるよう配置されており、及び、前記協働する特徴は前記リップに設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のドライブアセンブリ。
【請求項5】
前記協働する特徴は、係合した時に、前記ラチェットの前記内部スプラインを前記ドライブスリーブのものと位置合わせするよう、前記内部スプラインに対して配向されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のドライブアセンブリ。
【請求項6】
第2のドライブスリーブをさらに備え、前記第2のドライブスリーブは、前記ラチェットの前記第1のドライブスリーブから離れた側に着座するよう配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のドライブアセンブリ。
【請求項7】
前記筐体内で前記又は各ドライブスリーブを所定位置に保持するよう配置された1つ以上のリテーナをさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のドライブアセンブリ。
【請求項8】
前記ドライブはスクエアドライブである、請求項1~7のいずれか一項に記載のドライブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のドライブアセンブリを備える、トルクレンチ。
【請求項10】
前記トルクレンチは油圧トルクレンチである、請求項9に記載のトルクレンチ。
【請求項11】
トルクレンチを形成するコンポーネントのキットであって:
筐体;
前記筐体に装着されるよう配置され、及び、内部スプラインを有するラチェット;
前記筐体内に取り外し可能に収容されるよう配置されたシャフトであって、前記ラチェットを通過すると共に、前記ラチェットの回転で前記シャフトが回転されるように、前記ラチェットの前記スプラインと噛合するよう配置された外部スプラインを有する前記シャフトを備えるドライブ;並びに
前記筐体内の前記ラチェットに着座するよう配置され、及び、前記ラチェットの前記内部スプラインに適合する内部スプラインを有するドライブスリーブ
を備え、
前記ドライブスリーブ及びラチェットは、前記ドライブスリーブが前記ラチェットに着座した時に前記ドライブスリーブ及びラチェットの相対的回転を防止するよう配置された協働する特徴を備える、キット。
【請求項12】
前記キットは複数の交換可能なドライブを備える、請求項11に記載のコンポーネントのキット。
【請求項13】
前記キットは複数のドライブスリーブを備える、請求項11又は請求項12に記載のコンポーネントのキット。
【請求項14】
前記ラチェット、ドライブ及びドライブスリーブは、一緒になって、請求項1~8のいずれか一項に記載のドライブアセンブリを形成する、請求項11~13のいずれか一項に記載のコンポーネントのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工具に関し、特に、非排他的に、油圧レンチなどの工具のドライブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧トルクレンチなどのトルクレンチは従来技術において周知であり、例えばナット、ボルト又は他の締結具にトルクを加える場合に広く用いられている。Atlas Copcoは、他の供給者と同様に、着脱可能なドライブ(典型的には、スクエアドライブであるが、例えばヘキサゴンドライブ又はソケットドライブといった異なる形状のドライブが使用され得る)を備える油圧トルクレンチを提供する。1つ以上ドライブスリーブを用いて、ドライブの挿入及び/又は位置決めを補助し得る。1つ以上の着脱可能なリテーナを用いてドライブ及びドライブスリーブを所定の位置にを保持し得る。
【0003】
回転の方向を逆転させるためには、スクエアドライブコンポーネントを取り外して、工具の反対側に位置させることが必要である。駆動方向を変更する際、操作者は、特にレンチ、スクエアドライブ(及びソケット)及び1つ以上のリテーナといった複数のコンポーネントを同時に取り扱わなければならない。リテーナは、容易に落として紛失してしまう可能性があり、潜在的に工具は危険又は不安定となってしまい、結果的に他のコンポーネントが位置ずれしてしまう場合がある。特に、ドライブスリーブは、スクエアドライブが取り外されると自由に回転し得る。一般に、操作者は、工具の反対側からドライブを再挿入するためには、ドライブスリーブを手動で再度位置合わせすることが必要である。同じ考察がドライブを交換する場合(例えば、異なる形状若しくはサイズ、又は、過度な摩耗の場合)に適用される。
【0004】
工具の使用容易性を向上させることが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、トルクレンチのドライブアセンブリが提供されており、ドライブアセンブリは:
内部スプラインを有するラチェット;
ラチェット内に取り外し可能に収容されるよう配置されたシャフトであって、ラチェットを通過すると共に、ラチェットの回転でシャフトが回転されるように、ラチェットのスプラインと噛合するよう配置された外部スプラインを有する前記シャフトを備えるドライブ;並びに
ラチェットに着座するよう配置され、及び、ラチェットの内部スプラインに適合する内部スプラインを有するドライブスリーブ
を備える。
【0006】
ドライブスリーブ及びラチェットは、ドライブスリーブがラチェットに着座した時にドライブスリーブ及びラチェットの相対的回転を防止するよう配置された協働する特徴を備える。
【0007】
その結果、ドライブスリーブは、ドライブが取り外された時にラチェットとは独立して回転不能であり、従って、ユーザーエクスペリエンスが向上されると共に、ドライブの変更プロセスが迅速化される(例えば、方向又はドライブタイプを変更する時)。
【0008】
従来技術のドライブアセンブリと比して、例えばドライブの取り外し及び再挿入時に、ドライブスリーブ及びラチェットの位置合わせが容易となり得る。
【0009】
ドライブスリーブ及びラチェットは、ドライブスリーブがラチェットに着座した時にドライブスリーブ及びラチェットの相対的回転を防止するよう配置された複数の対の協働する特徴を含み得る。
【0010】
ドライブスリーブ及びラチェットの協働する特徴は、ラチェットにおけるキー溝及びドライブスリーブにおけるキーを備えていてもよく、キーはキー溝に嵌合するよう配置されている。
【0011】
ラチェット及びドライブスリーブは各々、使用時にシャフトの長さと平行に延びるリップを有し得、ドライブスリーブのリップは、ラチェットのリップ内に摺動して収容されるように配置されている。協働する特徴はリップに設けられていてもよい。
【0012】
協働する特徴は、係合した時に、ラチェットの内部スプラインをドライブスリーブのものと位置合わせするよう、内部スプラインに対して配向されている。
【0013】
ドライブアセンブリはさらに、筐体内でドライブスリーブを所定位置に保持するよう配置されたリテーナ(又は、複数のリテーナ)を備えていてもよい。
【0014】
ドライブアセンブリは第2のドライブスリーブをさらに備えていてもよく、第2のドライブスリーブは、ラチェットの第1のドライブスリーブから離れた側に着座するよう配置されている。第2のドライブスリーブはまた、ラチェットの内部スプラインに適合する内部スプラインを有し得る。ラチェットは、ラチェットの第1のリップから離れた側に、使用時にシャフトの長さと平行に延びる第2のリップを備えていてもよく、第2のドライブスリーブのリップは、ラチェットの第2のリップ内に摺動して収容されるよう配置されている。協働する特徴はリップに設けられていてもよい。
【0015】
第1及び第2のドライブスリーブは同等であり得る。
【0016】
複数のドライブスリーブを有する実施形態において、ドライブアセンブリは、筐体内で各ドライブスリーブを所定位置に保持するよう配置された1つ以上のリテーナを備えていてもよい。
【0017】
ドライブはスクエアドライブであり得る。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係るドライブアセンブリを備えるトルクレンチが提供されている。
【0019】
トルクレンチは油圧ドライブトルクレンチであり得る。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、トルクレンチを形成するためのコンポーネントのキットが提供されており、キットは:
筐体;
筐体に装着されるよう配置され、及び、内部スプラインを有するラチェット;
筐体内に取り外し可能に収容されるよう配置されたシャフトであって、ラチェットを通過すると共に、ラチェットの回転がシャフトを回転させるように、ラチェットのスプラインと噛合するよう配置された外部スプラインを有するシャフトを備えるドライブ;並びに
筐体内のラチェットに着座するよう配置され、及び、ラチェットの内部スプラインに適合する内部スプラインを有するドライブスリーブ
を備える。
【0021】
ドライブスリーブ及びラチェットは、ドライブスリーブがラチェットに着座した時にドライブスリーブ及びラチェットの相対的回転を防止するよう配置された協働する特徴を備える。
【0022】
キットは複数の交換可能なドライブを備えていてもよい。
【0023】
キットは複数のドライブスリーブを備えていてもよい。2つのドライブスリーブを有する実施形態において、一方はラチェットの各側に着座し得、及び、各々は、ラチェットの内部スプラインに適合する内部スプラインを有し得る。
【0024】
コンポーネントのキットのラチェット、ドライブ及びドライブスリーブは、一緒になって、第1の態様に関して記載されているとおり、ドライブアセンブリを形成し得る。
【0025】
ここで、添付の図面を参照して記載した、本発明の実施形態の説明を以下に単なる一例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1はスクエアドライブ油圧レンチの斜視図を示し、ドライブが設置された、工具の文脈におけるスクエアドライブを示す。
図2図2は、ドライブが取り外された、図1に示すスクエアドライブ油圧レンチの斜視図を示す。
図3図3は、ドライブアセンブリに焦点をあてた、図1及び2に示すスクエアドライブ油圧レンチの一部の断面斜視図を示す。
図4図4は、上記の図に示す油圧レンチのドライブスリーブ及びラチェットの斜視図を示す。
図5図5は、ドライブが設置され、線Cを付した、図1に示されているものと同様のスクエアドライブ油圧レンチの平面図を示す。
図6図6は、図5のスクエアドライブ油圧レンチの線Cに沿った断面図を示す。
図7図7は、図5の油圧レンチのラチェット及びドライブスリーブの斜視図を示し、ドライブスリーブ及びラチェットの特徴A及びBがそれぞれ強調されている。
図8図8は、図7に示されているドライブスリーブの特徴Aの拡大斜視図を示す。
図9図9は、図7に示されているラチェットの特徴Bの拡大斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態は主にスクエアドライブに関して図示及び記載されているが、異なるドライブが他の実施形態において使用されてもよいことが認識されるであろう。「スクエアドライブ」という用語は従って、例示的な例としてのみ使用され、限定的であることは意図されていない。
【0028】
図1は、工具1であって、より具体的には本発明の実施形態のスクエアドライブ油圧レンチ1を示す。
【0029】
工具1は、ドライブアセンブリ10が装着された筐体2を備える。工具はさらに、反作用アーム3及び旋回アセンブリ4を備える。反作用アーム3及び旋回アセンブリ4は、当業者に公知である任意のタイプのものであり得、及び/又は、一方若しくは両方は他の実施形態においては存在していなくてもよい。例えば、旋回アセンブリ4は異なる形態のホースコネクタで置き換えられて、油圧工具1をポンプ(図示せず)に結合可能とされてもよく、又は、完全に異なる電源が非油圧工具(例えば電動工具)のために結合されてもよい。
【0030】
ドライブアセンブリ10は、より具体的には、示されている実施形態におけるスクエアドライブ11である、ドライブ11を備える。異なるドライブ11は他の実施形態において使用されてもよい。
【0031】
ドライブアセンブリ10はまた、ラチェット14を備える。ラチェット14は、工具1に電源が供給された時にラチェット14を回転させるよう、工具1の筐体2中の機構(図示せず)と噛み合うよう配置された外側歯又はスプライン14dを有する。技術分野において公知であるいずれかの好適な機構を用いてラチェットを回転させてもよい。
【0032】
記載の実施形態において、ドライブアセンブリ10は筐体2を貫通する穿孔又は通路2a内に収容されている。図示の実施形態において、通路2aは、入口及び出口付近では少なくとも実質的に円筒形であり、ラチェット14を収納するよう中間部分が広がっている。
【0033】
ドライブアセンブリ10は一対のドライブスリーブ13を備え;ドライブスリーブは、ドライブ11を支持及び位置決めするよう、通路2aの端部の各々に挿入されるよう配置されている。ドライブスリーブ13は、開口のための略円筒形のライニングを提供すると共にガイドとして機能するために、ブッシングとも呼ばれ得る。
【0034】
ドライブスリーブ13の各々は、ラチェット14、より具体的には、ラチェットのスプライン軸を筐体2の穿孔2aと位置合わせさせるためのものである。ドライブスリーブ13はまた、筐体2及びドライブ11を位置合わせされた状態に維持するためのベアリング面を提供する。図示の実施形態において、各ドライブスリーブ13は筐体2内において保持クリップ12によって保持されている。
【0035】
例えば保持クリップといった1つ以上のリテーナ12が、使用時にドライブスリーブ13を筐体2中に保持するために用いられる。図示の実施形態において、保持クリップ12は、ドライブ11が筐体から取り外された時であっても、筐体2内に保持されるよう配置されている。図1において、保持クリップ12は隠れているが、これらは図3及び6においては視認可能である。特に、上方の保持クリップ12は、図1に示されている向きでスクエアドライブリテーナ5によって隠されている。ドライブリテーナ5は、スクエアドライブ11が工具1から滑り出ることを防止する。図示のドライブリテーナ5の設計は単なる一例として提供されており、限定的であることは意図されておらず、他の実装においては代替的なコンポーネント又は特徴で置き換えられていてもよい。
【0036】
他の実施形態において、単一のドライブスリーブ13のみが用いられ得、又は、3つ以上のドライブスリーブ13が用いられてもよい。ドライブスリーブ13は実質的にリング状又は円筒形の形状である。各ドライブスリーブ13の外面は通路2aとすべり嵌めとされるよう配置されており、図示の実施形態においては滑らかである。ドライブスリーブ13は、抵抗をほとんど又はまったく伴わずに通路内において回転し、及び、通路に摺動して出入り可能に配置されている。
【0037】
図示の実施形態において、ラチェット14及びドライブスリーブ13は各々少なくとも実質的に円形の貫通する開口部を有し;開口部は、位置合わせされて、ドライブ11が中に受け入れられるように配置されている。ラチェット14及びドライブスリーブ13は各々内部スプラインを有する。図示の実施形態において、これらの内部スプライン13a,14aは、通路の長さ方向と平行に、且つ、円形の貫通する開口部の断面に垂直の向きとされる。図示の実施形態において、ドライブスリーブ13の内部スプライン13aは、幅及び間隔の両方においてラチェット14aのものと適合する。代替的な実施形態において、ドライブスリーブ13はラチェット14よりも少ない内部スプライン13aを有し得るが、しかしながら、これらのスプライン13aはなお、ラチェット14のスプライン14aと位置合わせされるよう位置されている(いくつかのラチェットスプライン14aはドライブスリーブスプライン13aと対になっていなくてもよい)。
【0038】
ドライブ11は、少なくとも実質的に円筒形のシャフト11b及びヘッド11cを有する。ドライブ11はスクエアドライブであるために、ヘッド11cは図示の実施形態において少なくとも実質的に正方形断面を有する。異なる形状及び/又はサイズのヘッドが他の実施形態において提供されていてもよい。
【0039】
シャフト11bは筐体2を貫通するよう、より具体的には、通路2a中において、ドライブスリーブ13-ラチェット14-ドライブスリーブ13の順番で貫通するよう配置されている。ドライブ11は、使用時に、ドライブスリーブ13及びラチェット14の内部スプライン13a,14aと位置合わせされていると共に噛合して配置される外部スプライン11aをシャフト11b上に有する。
【0040】
工具1に電源が供給された際におけるラチェット14の回転は従って、スプライン11a,14aの相互作用によってドライブ11を回転させる。ドライブスリーブ13は、ラチェット14及びドライブ11と共に回転するよう配置されている。
【0041】
ドライブスリーブ13は、筐体2と、ドライブアセンブリ10の残りとの間に結合の形成を補助する。
【0042】
図示の実施形態において、各ドライブスリーブ13は小さな差し込み部13bを有し、すなわち、ラチェット14に隣接するよう配置されたドライブスリーブ13の縁部が、パイプについて公知であるとおり、ラチェット14の拡大された縁部に進入して継ぎ手を形成するような形状とされている(「差し込み部」という用語は、本明細書において、簡潔さのために、米国英語における蛇口の意味ではなく、英国英語における、他のパイプの拡大された端部に進入して継ぎ手を形成するパイプの端部の意味で使用されている)。ラチェット14は、ラチェット14の両側に、段差付開口又は端ぐり14eを対応して有する。ドライブスリーブ13の各々について、差し込み部13bは、ドライブスリーブ13が通路2aに挿入された時に、使用時にラチェット14の対応する側における端ぐり14e内に位置されるように配置される。この形態は形状のために上記において端ぐり14eと記載されているが、この用語は、この形態が穿孔によって形成されるものであることに限定することは意図されておらず、ラチェット14は、いずれかの好適な方法で製造され得ることが認識されるであろう。
【0043】
特に、図示の実施形態において、ラチェット14は、外側歯及び内部スプライン14aを有する中央はめ歯様部分と、はめ歯様部分の両側に外方に伸びる円形のリム14bとを備える。リム14bはまたリップ14bとも称され得、図示の実施形態において、リップ14bの内表面により端ぐり14eが提供されている。内部スプライン14aは円形のリム14bの手前で止まっている。少なくとも内部スプライン14aが形成されていないために、リム14bは従って、ラチェット14のはめ歯様部分よりも広い開口を提供する。これに対応して、各ドライブスリーブ13の一方の側は内向きに段が形成されており、差し込み部13bとして機能するより狭いリム又はネックが形成されている。ネック13bは、ラチェット14のリム14b内に嵌合するようなサイズ及び形状とされている。
【0044】
代替的に、差し込み部及び端ぐり配置構成13b,14eは、通路2a/内部スプライン13a,14aと平行に延在するリップ13b,14bをそれぞれ有するラチェット14及びドライブスリーブ13として記載され得、ここで、リップ13b,14bは、ドライブスリーブ13のリップ13bがラチェット14のリップ14b内に摺動して収容可能であるようなサイズ及び形状とされている。記載の実施形態において、協働する特徴はリップ13b,14bに設けられている。
【0045】
リップ13b,14bは、ドライブスリーブ13がラチェット14に着座した時にドライブスリーブ13とラチェット14との相対的回転を防止するよう配置された協働する特徴13c,14cを備える。協働する特徴は噛み合っており、従って、ラチェット14と一緒に回転するようにドライブスリーブ13をラチェット14に結合する。代替的な実施形態において、ドライブスリーブ13及びラチェット14は異なる設計を有し得、任意に、差し込み部又は端ぐりを伴っていなくてもよく、又は、逆ではなくラチェット14のリムがドライブスリーブ13に嵌合していてもよく、及び/又は、協働する特徴13c,14cがそれぞれの異なる部位に設けられていてもよい。
【0046】
記載の実施形態において、ラチェット14の協働する特徴は2つのキー溝又はチャネル14cを備える。チャネル14cは内部スプライン14a、従って、通路2aの長さと平行に配置されており、リム14bの高さ方向に延在している。チャネル14cは図示の実施形態において互いに対向して位置されており、ドライブスリーブ13が2つの異なる向きでラチェット14に嵌合可能であるよう対称である。ドライブスリーブ13の協働する特徴は2つのキー又は突出部13cを備える。突出部13cは、チャネル14cにすべり嵌めされるよう位置され、サイズ及び形状とされている。突出部13cは、ドライブスリーブ13の狭いリム13bから、リム13bの高さ方向に沿って外方に延在するブロックの形態とされている。ドライブスリーブ13のリップ/差し込み部13bは従って、協働する特徴13c,14cが位置合わせされて一緒に嵌合する2つの位置でのみ、ラチェット14のリム14bに設けられた端ぐり14eに摺動することが可能である。
【0047】
協働する特徴13c,14cは、ドライブスリーブ13のリム13bがラチェット14に挿入された時、ドライブスリーブ13の内部スプライン13aが必然的にラチェット14の内部スプライン14aと位置合わせされるように位置される。
【0048】
代替的又は追加の実施形態においては、単一のキー13c及びキー溝14cのみが設けられていてもよく、又は、3対以上のキー及びキー溝が設けられていてもよい。いくつかの実施形態において、使用時に1つ以上のキー溝14cが空のままであるよう、キー13cよりも多くのキー溝14cが設けられていてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のキーが、ラチェット14及びドライブスリーブ13のキー溝に位置していてもよい。
【0049】
図示の実施形態において、キー13c及びキー溝14cは一定の幅を有する。代替的又は追加の実施形態において、他の協働する特徴に近づいて噛合するよう設計された縁部に向かって、キー溝14cはより広くてもよく、及び/又は、キー13cは狭くてもよい(すなわち、ラチェット14の内部スプライン14aから離れたリム14bの縁部、及び、ラチェット14にもっとも近いドライブスリーブ13の縁部)。この形状は、協働する特徴13c,14cの初期の係合を容易とし、これらの部分を一緒に所定の位置にガイドし得る。協働する特徴13c,14cの形状は、次いで、通路2a中にさらに押し込むにつれて、ドライブスリーブ13をラチェット14との正しい位置合わせでガイドし得る。同様に、図7及び8にもっとも明確に示されているとおり、各ドライブスリーブ13の内部スプライン13aは、図示の実施形態においては、ドライブスリーブ13の長さの大部分において比較的浅く、差し込み部13bの近傍においてのみその径方向の延在度が大きく、従って、ラチェットスプライン14と出会った時に適合するようになっている。ドライブスリーブ13の整形された内部スプライン13aは、ドライブスリーブ13に挿入されるに伴ってドライブ11を正しい向きにガイドするために補助し得る。代替的な実施形態において、スプライン13aの形状はドライブスリーブ13の長さに沿って変化しなくてもよい。代替的な実施形態は、軸方向に短く延在し、差し込み部13bの領域に位置され、及び、さらに延在しない(径方向範囲では)スプラインを有し得る。
【0050】
さらなる代替的又は追加の実施形態において、既述のキー及びキー溝の代わりに、又は、並びに、異なる協働する特徴13c,14cが設けられていてもよい。例えば、ラチェット14は、その内部スプライン14aと平行な方向に延在する1つ以上のピン又は他の突出部を備えていてもよく、及び、ドライブスリーブ13は、その内部スプライン13aと平行な方向に伸びて、ラチェット14のピン又は他の突出部を収容するよう配置された1つ以上の開口部又は開口を備えていてもよく、又は、その逆でもよい。このような実施形態において、差し込み部及び端ぐりは設けられていなくてもよく、協働する特徴は、使用時に相互に当接するよう配置されたドライブスリーブ13及びラチェット14の対向面から延在し得る。
【0051】
記載の実施形態において、協働する特徴13c,14cは、ドライブスリーブ13が、単にこれらを通路2a中及びラチェット14上に摺動させることで挿入可能であるよう、通路2aと平行/内部スプライン13a,14aと平行な向きとされている。代替的な実施形態において、協働する特徴13c,14cは異なる向きであってもよく、例えば、協働する特徴13c,14cを完全に係合するためにドライブスリーブ13及びラチェット14の相対的回転が必要であるよう、ねじ山又はバヨネット型の配置構成が形成される。
【0052】
使用時には、ドライブ11は、第1のドライブスリーブ13、次いで、ラチェット14、次いで、第2のドライブスリーブ13を介して筐体2に挿入される。次いで、ドライブ11は、駆動方向の変更が必要である場合若しくはそのような時には、取り外され、工具1の他の側から再挿入され、又は、ドライブ11は、取り外され、異なるドライブ11と置き換えられ得る。協働する特徴13c,14cがなければ、ドライブ11が取り外された際にドライブスリーブ13は通路2a内を自由に回転することとなり、1つ以上のドライブスリーブ13とラチェット14との間に位置ずれが生じる。従って、協働する特徴13c,14cの使用により、使用者にとって、ドライブ11を再挿入するために内部スプライン13a,14aを手動で再度位置合わせする必要性が回避される。
【0053】
協働する特徴13c,14cは、ドライブスリーブ13を筐体2に完全に挿入するために、協働する特徴13c,14cが正しく位置合わせされなければならないように配置される。協働する特徴13c,14cは、ドライブスリーブ13がラチェット14に着座するようドライブスリーブ13が完全に挿入された際に(すなわち、その対向面間で接触が生じる)、ドライブスリーブ13とラチェット14とが確実に正しい位置合わせされるように内部スプライン13c,14cに対して配向される。協働する特徴13c,14cはまた、ドライブスリーブ13が、ドライブ11が取り外された時にラチェットとは独立して回転できないことを保証する。
【0054】
図示の実施形態において、ラチェット14のリップ14b及びドライブスリーブ13は対称であると共に、2つのドライブスリーブ13が交換可能であるように同一の協働する特徴を有する。他の実施形態において、ラチェット14の各側における協働する特徴は、例えば各ドライブスリーブ13がラチェット14の片側にのみ嵌合可能であるよう異なっていてもよい。3つ以上のドライブスリーブ13が設けられた実施形態において、例えば、より長い通路2aを有するより広い工具1の場合、追加のドライブスリーブ13は、通路2aに挿入されて、第1のドライブスリーブ13の外側縁部と噛合してもよい。追加の協働する特徴が設けられて、ラチェット14の同じ側におけるドライブスリーブ13が相互に噛合可能とされてもよい。
【0055】
一旦完全に挿入されると、ドライブスリーブ13は、1つ以上の保持クリップ12、及び/又は、技術分野において公知である他のリテーナを用いて所定の場所に固定可能である。
【0056】
図1及び2に示す工具1はまた、バックラッシュ防止機構を提供する工具1内の反作用つめ、及び、任意に、工具1がトルクを加えるために使用されていた対象物にロックされてしまった場合に、ラチェット14から反作用つめを脱係合させるために使用され得る図1に示されている反作用つめレバー7などの技術分野において標準的な種々の他の特徴を備えていてもよい。当該技術分野において共通であり、当業者に周知である特徴は、本明細書において詳細には記載されていないが、必要に応じて存在し得ることが認識されるであろう。
図1
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図8
図9
【国際調査報告】