(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20241203BHJP
F04C 18/02 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F04B39/00 102P
F04B39/00 103J
F04C18/02 311B
F04B39/00 102H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535821
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022020633
(87)【国際公開番号】W WO2023121160
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187551
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0175100
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウン ギ
(72)【発明者】
【氏名】ナ,スン キュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ボク ギ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ユ チョル
【テーマコード(参考)】
3H003
3H039
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AA05
3H003AB06
3H003AC03
3H003AD03
3H003BA02
3H003BB02
3H003BB06
3H003CA02
3H003CB02
3H003CB04
3H039AA12
3H039BB02
3H039BB04
3H039CC02
3H039CC03
3H039CC19
3H039CC32
(57)【要約】
【課題】運転中に回転軸の軸方向振動を抑制して、騷音増加を抑制して、回転軸を支持するベアリングの損傷を防止できる電動圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明は、ハウジングと、ハウジング内に配置され冷媒を圧縮する圧縮機構と、圧縮機構に必要な動力を発生するモータと、モータから圧縮機構に動力を伝達する回転軸と、回転軸を支持する軸受と、回転軸を圧縮機構側に押圧する弾性部材と、を備える電動圧縮機を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、前記ハウジングの内部で冷媒を圧縮する圧縮機構、前記圧縮機構に必要な動力を発生させるモーター、前記モーターの動力を前記圧縮機側に伝達する回転軸、前記回転軸を支持するベアリング、及び前記回転軸を前記圧縮機構側に加圧するための弾性部材を含む、ことを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記ベアリングは前記弾性部材と前記回転軸の間に配置されるスラストベアリングを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記回転軸は前記モーターを貫通して延長される第1端部及び前記第1端部の反対側に延長されて前記圧縮機構と連結される第2端部を含み、前記ハウジングは前記第1端部、前記弾性部材及び前記スラストベアリングが挿入される軸受溝を含み、前記弾性部材は前記軸受溝の基底面に支持されて、前記スラストベアリングは前記弾性部材により前記第1端部の先端面に密着される、ことを特徴とする請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記スラストベアリングは板形の滑りベアリングで形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記ベアリングは前記軸受溝の内部で前記第1端部の外周面を支持する第1ラジアルベアリングをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記第1ラジアルベアリングはブッシュタイプの滑りベアリングで形成される、ことを特徴とする請求項5に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記軸受溝の内径は前記滑りベアリングの外径より大きく形成されて、前記軸受溝の内周面と前記滑りベアリングの外周面間にはアダプターが配置される、ことを特徴とする請求項6に記載の電動圧縮機。
【請求項8】
前記軸受溝の内径は前記第1ラジアルベアリングが転がりベアリングで形成される場合、前記転がりベアリングの外径と同等水準に形成される、ことを特徴とする請求項7に記載の電動圧縮機。
【請求項9】
前記回転軸は前記モーターを貫通して延長される第1端部及び前記第1端部の反対側に延長されて前記圧縮機構と連結される第2端部を含み、前記第1端部は第1部位及び前記第1部位から前記モーターの反対側に延長される第2部位を含み、前記第1部位の外径は前記第2部位の外径より大きく形成されて、前記第1部位と前記第2部位間には段差面が形成されて、前記ベアリングは前記第2部位の外周面を支持する第1ラジアルベアリングを含み、前記弾性部材は前記第1ラジアルベアリングと前記段差面の間に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項10】
前記ベアリングは前記弾性部材と前記段差面の間に配置されるスラストベアリングをさらに含み、前記弾性部材は前記第1ラジアルベアリングに支持されて、前記スラストベアリングは前記弾性部材により前記段差面に密着される、ことを特徴とする請求項9に記載の電動圧縮機。
【請求項11】
前記弾性部材は前記第1ラジアルベアリングと前記段差面に支持される、ことを特徴とする請求項9に記載の電動圧縮機。
【請求項12】
前記第1ラジアルベアリングは前記第2部位の外周面に支持される内輪、前記内輪を収容して前記ハウジングに支持される外輪及び前記内輪と前記外輪間に介在されるボールを含み、前記弾性部材は前記内輪に支持される、ことを特徴とする請求項9に記載の電動圧縮機。
【請求項13】
前記第2端部の外周面を支持する第2ラジアルベアリングをさらに含み、前記第2ラジアルベアリングは前記第2端部の外周面に圧入される内輪、前記内輪を収容して前記ハウジングに支持される外輪及び前記内輪と前記外輪の間に介在されるボールを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項14】
前記内輪は前記ボールの一側が挿入されるインナートラックを含み、前記外輪は前記ボールの他側の挿入されるアウタートラックを含み、前記インナートラックは前記ボールの中心を基準に前記圧縮機構側に配置されるインナートラック一側面及び前記インナートラック一側面の反対側に配置されるインナートラック他側面を含み、前記アウタートラックは前記ボールの中心を基準に前記圧縮機構側に配置されるアウタートラック一側面及び前記アウタートラック一側面の反対側に配置されるアウタートラック他側面を含み、前記回転軸が前記圧縮機構側に加圧されれば、前記内輪が前記回転軸を通じて前記圧縮機構側に加圧されて、前記ボールが前記インナートラック他側面と前記アウタートラック一側面により軸方向でも支持される、ことを特徴とする請求項13に記載の電動圧縮機。
【請求項15】
前記弾性部材はウェーブスプリング、円錐コイルスプリング、ワイヤースプリングの中の1つで形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に係り、さらに詳細には、モーターの駆動力で冷媒を圧縮できるようにした電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に圧縮機は冷媒ガスなどの流体を圧縮する機器で、建物の空調システム、車両用空調システムなどに適用される。
【0003】
前記圧縮機は圧縮方式によってピストンの往復運動を通じて冷媒を圧縮する往復式圧縮機と回転運動をしながら圧縮を行う回転式圧縮機に分類され、前記往復式圧縮機は動力伝達方式によってクランクを使用して複数個のピストンに動力を伝達するクランク式圧縮機、斜板が設置される回転軸に動力を伝達する斜板式圧縮機などに分類され、前記回転式圧縮機は回転するロータリー軸とベインを使用するベインロータリー式圧縮機、旋回スクロールと固定スクロールを使用するスクロール式圧縮機に分類される。
【0004】
また、前記圧縮機は駆動方式によってエンジンを使用する機械式圧縮機及びモーターを使用する電動式圧縮機(以下、電動圧縮機)に分類される。
【0005】
【0006】
添付の
図1を参照すれば、従来の電動圧縮機は、ハウジング(2’)、ハウジング(2’)の内部で冷媒を圧縮する圧縮機構(4’)、圧縮機構(4’)の駆動に必要な動力を発生させるモーター(6’)及びモーター(6’)の動力を圧縮機構(4’)に伝達する回転軸(7’)を含む。
【0007】
ここで、回転軸(7’)はモーター(6’)を貫通して、圧縮機構(4’)の反対側に延長される第1端部及び圧縮機構(4’)側に延長される第2端部を含み、前記第1端部は第1ラジアルベアリング(91’)により支持されて、前記第2端部は第2ラジアルベアリング(92’)により支持される。
【0008】
そして、第1ラジアルベアリング(91’)はハウジング(2’)に支持される第1外輪、前記第1外輪の内周部に収容されて前記第1端部の外周面を支持する第1内輪及び前記第1外輪と前記第1内輪の間に介在される第1ボールを含む。
【0009】
第2ラジアルベアリング(92’)はハウジング(2’)に支持される第2外輪、前記第2外輪の内周部に収容されて前記第2端部の外周面を支持する第2内輪及び前記第2外輪と前記第1内輪の間に介在される第2ボールを含む。
【0010】
しかし、このような従来の電動圧縮機においては、運転中に回転軸(7’)が軸方向に振動して、騷音が増加し、回転軸(7’)を支持するベアリングが損傷するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、運転中に回転軸の軸方向振動を抑制して、騷音増加を抑制して、回転軸を支持するベアリングの損傷を防止できる電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述の目的を達成するために、ハウジング、前記ハウジングの内部で冷媒を圧縮する圧縮機構、前記圧縮機構に必要な動力を発生させるモーター、前記モーターの動力を前記圧縮機側に伝達する回転軸、前記回転軸を支持するベアリング、及び前記回転軸を前記圧縮機構側に加圧するための弾性部材を含む電動圧縮機を提供する。
【0013】
前記ベアリングは前記弾性部材と前記回転軸間に配置されるスラストベアリングを含むことができる。
【0014】
前記回転軸は前記モーターを貫通して延長される第1端部及び前記第1端部の反対側に延長されて前記圧縮機構と連結される第2端部を含み、前記ハウジングは前記第1端部、前記弾性部材及び前記スラストベアリングが挿入される軸受溝を含み、前記弾性部材は前記軸受溝の基底面に支持されて、前記スラストベアリングは前記弾性部材により前記第2端部の先端面に密着されることができる。
【0015】
前記スラストベアリングは板形の滑りベアリングで形成されることができる。
【0016】
前記軸受溝の内部で前記第2端部の外周面を支持する第1ラジアルベアリングをさらに含むことができる。
【0017】
前記第1ラジアルベアリングはブッシュタイプの滑りベアリングで形成されることができる。
【0018】
前記軸受溝の内径は前記滑りベアリングの外径より大きく形成されて、前記軸受溝の内周面と前記滑りベアリングの外周面間にはアダプターが配置されることができる。
【0019】
前記軸受溝の内径は前記第1ラジアルベアリングが転がりベアリングで形成される場合、前記転がりベアリングの外径と同等水準で形成されることができる。
【0020】
前記回転軸は前記モーターを貫通して延長される第1端部及び前記第1端部の反対側に延長されて前記圧縮機構と連結される第2端部を含み、前記第1端部は第1部位及び前記第1部位から前記モーターの反対側に延長される第2部位を含み、前記第1部位の外径は前記第2部位の外径より大きく形成されて、前記第1部位と前記第2部位間には段差面が形成されて、前記ベアリングは前記第2部位の外周面を支持する第1ラジアルベアリングを含み、前記弾性部材は前記第1ラジアルベアリングと前記段差面の間に配置されることができる。
【0021】
前記ベアリングは前記弾性部材と前記段差面の間に配置されるスラストベアリングをさらに含み、前記弾性部材は前記第1ラジアルベアリングに支持されて、前記スラストベアリングは前記弾性部材により前記段差面に密着されることができる。
【0022】
前記弾性部材は前記第1ラジアルベアリングと前記段差面に支持されることができる。
【0023】
前記第1ラジアルベアリングは前記第2部位の外周面に支持される内輪、前記内輪を収容して前記ハウジングに支持される外輪及び前記内輪と前記外輪の間に介在されるボールを含み、前記弾性部材は前記内輪に支持されることができる。
【0024】
前記第1端部の外周面を支持する第2ラジアルベアリングをさらに含み、前記第2ラジアルベアリングは前記第1端部の外周面に圧入される内輪、前記内輪を収容して前記ハウジングに支持される外輪及び前記内輪と前記外輪の間に介在されるボールを含むことができる。
【0025】
前記内輪は前記ボールの一側が挿入されるインナートラックを含み、前記外輪は前記ボールの他側の挿入されるアウタートラックを含み、前記インナートラックは前記ボールの中心を基準に前記圧縮機構側に配置されるインナートラック一側面及び前記インナートラック一側面の反対側に配置されるインナートラック他側面を含み、前記アウタートラックは前記ボールの中心を基準に前記圧縮機構側に配置されるアウタートラック一側面及び前記アウタートラック一側面の反対側に配置されるアウタートラック他側面を含み、前記回転軸が前記圧縮機構側に加圧されれば、前記内輪が前記回転軸を通じて前記圧縮機構側に加圧されて、前記ボールが前記インナートラック他側面と前記アウタートラック一側面により軸方向でも支持されることができる。
【0026】
前記弾性部材はウェーブスプリング、円錐コイルスプリング、ワイヤースプリングの中の1つで形成されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による電動圧縮機は、ハウジング、前記ハウジングの内部で冷媒を圧縮する圧縮機構、前記圧縮機構に必要な動力を発生させるモーター、前記モーターの動力を前記圧縮機側に伝達する回転軸、前記回転軸を支持するベアリング、及び前記回転軸を前記圧縮機構側に加圧するための弾性部材を含むことによって、運転中に前記回転軸の軸方向振動を抑制して、騷音増加を抑制し、前記回転軸を支持するベアリングの損傷を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本発明の一実施例による電動圧縮機を図示する断面図である。
【
図5】本発明の他の実施例による電動圧縮機で軸受溝を図示する断面図である。
【
図6】本発明の他の実施例による電動圧縮機で軸受溝を図示する断面図である。
【
図7】本発明の他の実施例による電動圧縮機で軸受溝を図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による電動圧縮機を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図2は本発明の一実施例による電動圧縮機を図示する断面図であり、
図3は
図2のA部分の拡大図であり、
図4は
図2のB部分の拡大図である。
【0031】
添付の
図2ないし
図4を参照すれば、本発明の一実施例による電動圧縮機は、ハウジング(2)、ハウジング(2)の内部で冷媒を圧縮する圧縮機構(4)、圧縮機構(4)に必要な動力を発生させるモーター(6)及びモーター(6)の動力を圧縮機構(4)に伝達する回転軸(7)、回転軸(7)を支持するベアリング及びモーター(6)を制御するインバータ(8)を含む。
【0032】
ハウジング(2)はセンターハウジング(22)、センターハウジング(22)に結合されてモーター(6)が収容されるモーター収容空間(S1)を形成するフロントハウジング(24)、フロントハウジング(24)を基準にセンターハウジング(22)の反対側でフロントハウジング(24)に結合されてインバータ(8)が収容されるインバータ収容空間(S2)を形成するインバータカバー(26)、及びセンターハウジング(22)を基準にフロントハウジング(24)の反対側でセンターハウジング(22)に結合されて圧縮機構(4)が収容される圧縮機構収容空間(S3)を形成するリアハウジング(28)を含む。
【0033】
ここで、センターハウジング(22)はモーター収容空間(S1)と圧縮機構収容空間(S3)を区画するセンターハウジング隔壁(222)、及びセンターハウジング隔壁(222)の外周部に沿って延長されるセンターハウジング環形壁(224)を含み、センターハウジング隔壁(222)には後述する回転軸(7)の第2端部(74)が挿入される軸受孔(222a)が形成される。
【0034】
そして、フロントハウジング(24)はモーター収容空間(S1)とインバータ収容空間(S2)を区画するフロントハウジング隔壁(242)及びフロントハウジング隔壁(242)の外周部に沿って延長されてセンターハウジング環形壁(224)と締結されるフロントハウジング環形壁(244)を含み、フロントハウジング隔壁(242)には後述する回転軸(7)の第1端部(72)が挿入される軸受溝(242a)が形成される。
【0035】
圧縮機構(4)は固定設置される固定スクロール(42)及び固定スクロール(42)に噛み合って固定スクロール(42)と共に圧縮室を形成して回転軸(7)により旋回運動される旋回スクロール(44)を含む。ここで、本実施例の場合、圧縮機構(4)は、いわゆるスクロール方式で形成されるが、これに限定されるのではなく、往復動方式、ベインロータリー方式など他の形態に形成される。
【0036】
モーター(6)はフロントハウジング環形壁(244)に支持される固定子(62)及び固定子(62)の内部に位置し、固定子(62)との相互作用により回転される回転子(64)を含む。
【0037】
回転軸(7)は回転軸(7)と結合されるが、回転子(64)を貫通して、圧縮機構(4)の反対側に延長されて軸受溝(242a)に挿入される第1端部(72)及び圧縮機構(4)側に延長されて軸受孔(222a)に挿入される第2端部(74)を含む。
【0038】
ベアリングは軸受溝(242a)の内部で第1端部(72)の外周面を支持する第1ラジアルベアリング(91)、軸受孔(222a)の内部で第2端部(74)の外周面を支持する第2ラジアルベアリング(92)を含む。
【0039】
第1ラジアルベアリング(91)はブッシュタイプの滑りベアリングで形成されて、第1ラジアルベアリング(91)の外周面は軸受溝(242a)の内周面に支持されて、第1ラジアルベアリング(91)の内周面は第1端部(72)の外周面を支持する。
【0040】
ここで、第1端部(72)の外径は第1ラジアルベアリング(91)の内径より小さいか、同じに形成されて、第1端部(72)が第1ラジアルベアリング(91)に挿入される時、圧入されない。
【0041】
そして、第1ラジアルベアリング(91)の内周面には例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの材質で形成されるコーティング層が備えられる。
【0042】
第2ラジアルベアリング(92)は軸受孔(222a)の内周面に支持される第2外輪(922)、第2外輪(922)の内周部に収容されて第2端部(74)の外周面を支持する第2内輪(924)、及び第2外輪(922)と第2内輪(924)の間に介在される第2ボール(926)を含む転がりベアリングで形成される。
【0043】
ここで、第2端部(74)の外径は第2内輪(924)の内径より多少大きく形成されて、第2端部(74)が第2内輪(924)に圧入される。
【0044】
第2内輪(924)は第2ボール(926)の一側が挿入される第2インナートラック(924t)を含む。
【0045】
第2インナートラック(924t)は第2ボール(926)の中心を基準に圧縮機構(4)側に配置される第2インナートラック一側面(924ta)及び第2ボール(926)の中心を基準に第2インナートラック一側面(924ta)の反対側に配置される第2インナートラック他側面(924tb)を含む。
【0046】
第2外輪(922)は第2ボール(926)の他側の挿入される第2アウタートラック(922t)を含む。
【0047】
第2アウタートラック(922t)は第2ボール(926)の中心を基準に圧縮機構(4)側に配置される第2アウタートラック一側面(922ta)及び第2ボール(926)の中心を基準に第2アウタートラック一側面(922ta)の反対側に配置される第2アウタートラック他側面(922tb)を含む。
【0048】
ここで、第2インナートラック(924t)と第2アウタートラック(922t)は公差などにより第2ボール(926)より曲率半径が多少大きく形成されて、第2内輪(924)が第2外輪(922)を基準に軸方向に振動される。
【0049】
しかし、本実施例の場合、後述する弾性部材(93)とスラストベアリング(94)が備えられることによって、第2ボール(926)が第2インナートラック他側面(924tb)と第2アウタートラック一側面(922ta)により軸方向でも支持されて、第2内輪(924)の軸方向振動が抑制されるが、これに係る詳細な説明は後述する。
【0050】
一方、ベアリングは回転軸(7)を圧縮機構(4)側に加圧するための弾性部材(93)及び弾性部材(93)と回転軸(7)の間に配置されるスラストベアリング(94)をさらに含む。
【0051】
弾性部材(93)は例えばウェーブスプリングで形成される。
【0052】
そして、弾性部材(93)は軸受溝(242a)に挿入されて、軸受溝(242a)の基底面に支持されて、第1端部(72)の先端面に対向されるように配置される。
【0053】
スラストベアリング(94)は例えば板形の滑りベアリングで形成される。
【0054】
そして、スラストベアリング(94)は軸受溝(242a)に挿入されて、弾性部材(93)と第1端部(72)の先端面の間に介在されて、弾性部材(93)により第1端部(72)の先端面に密着される。
【0055】
そして、スラストベアリング(94)の表面には、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポーリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの材質で形成されるコーティング層が備えられる。
【0056】
インバータ(8)は制御に必要な複数の素子(84)が実装される基板(82)を含む。
【0057】
以下、本実施例による電動圧縮機の作用効果について説明する。
【0058】
すなわち、モーター(6)に電源が印加されれば、回転子(64)と回転軸(7)が回転されて圧縮機構(4)に動力を伝達して、モーター収容空間(S1)に低温低圧の冷媒が流入して、モーター収容空間(S1)の冷媒は圧縮機構(4)に流入して高温高圧に圧縮された後、前記ハウジング(2)の外部に排出される。
【0059】
この過程で、回転軸(7)は第1ラジアルベアリング(91)及び第2ラジアルベアリング(92)により支持され、回転軸(7)を主に回転半径方向に支持するように形成された第1ラジアルベアリング(91)、及び第2ラジアルベアリング(92)によっては軸方向に支持されるのに限界があって、軸方向振動が発生し得る。
【0060】
これを考慮して、本実施例の場合、弾性部材(93)が備えられ、回転軸(7)が圧縮機構(4)側に加圧されて、回転軸(7)に圧入された第2内輪(924)が
図4に図示されるように回転軸(7)と共に圧縮機構(4)側に加圧される。それにより、第2ボール(926)が第2内輪(924)と第2外輪(922)の間で回転軸(7)の回転半径方向に支持されるだけではなく、第2インナートラック他側面(924tb)と第2アウタートラック一側面(922ta)により軸方向でも支持され、回転軸(7)の軸方向振動が抑制され、それによる騷音増加及び第2ラジアルベアリング(92)の損傷が防止できる。
【0061】
そして、弾性部材(93)の自体振動吸収力によっても回転軸(7)の軸方向振動が抑制される。
【0062】
ここで、弾性部材(93)と回転軸(7)の間にスラストベアリング(94)が備えられることによって、弾性部材(93)と回転軸(7)の直接接触が防止される。それにより、弾性部材(93)と回転軸(7)が互いを損傷させることが防止される。
【0063】
そして、本実施例の場合、弾性部材(93)がウェーブスプリングで形成されて、スラストベアリング(94)が板形の滑りベアリングで形成されるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、弾性部材(93)は例えば、コイルスプリング、円錐コイルスプリングなどで形成でき、スラストベアリング(94)は他の形態のベアリングで形成されることができる。ただし、サイズ縮小のためには、弾性部材(93)はウェーブスプリングで形成され、スラストベアリング(94)は板形の滑りベアリングで形成されることが好ましい。
【0064】
一方、本実施例の場合、第1ラジアルベアリング(91)がブッシュタイプの滑りベアリングで形成されることによって、第2ラジアルベアリング(92)のような転がりベアリングで形成される場合より回転軸(7)の軸方向振動による損傷を少なくする。
【0065】
そして、第1ラジアルベアリング(91)がブッシュタイプの滑りベアリングで形成されることによって、第1ラジアルベアリング(91)が転がりベアリングで形成される場合に比べて、回転慣性が小さくなる。それにより、電動圧縮機の効率が向上し、騷音と振動が減少し、耐久性が向上する。
【0066】
そして、第1ラジアルベアリング(91)がブッシュタイプの滑りベアリングで形成されることによって、第1ラジアルベアリング(91)が転がりベアリングで形成される場合に比べて、軸受溝(242a)の直径が減少できる。それにより、電動圧縮機の重量及び原価が削減できる。
【0067】
ここで、本実施例の場合、第1ラジアルベアリング(91)が滑りベアリングで形成されて、軸受溝(242a)の内径が前記滑りベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91)の外径に対応するように形成されるが、これに限定されるものではない。
【0068】
例えば、本発明の他の実施例による電動圧縮機で軸受溝(242a’)部位を図示する
図5を参照すれば、第1ラジアルベアリング(91)が前述した実施例のように、滑りベアリングで形成されるが、軸受溝(242a’)の内径が第1ラジアルベアリング(91)の外径より大きく形成される。すなわち、軸受溝(242a’)の内径は転がりベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91’)(従来の第1ラジアルベアリング(91))の外径と同等水準に形成される。その代わりに、軸受溝(242a’)の内周面と前記滑りベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91)の外周面の間にはアダプター(95)が備えられる。この場合、前記滑りベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91)を使用する電動圧縮機のフロントハウジング(24)が前記転がりベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91’)を使用する電動圧縮機のフロントハウジング(24’)と共用化して、仕様2元化による原価上昇が防止できる。
【0069】
または、図示していないが、軸受溝(242a’)の内径が転がりベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91’)の外径と同等水準に形成されるが、すべりタイプの第1ラジアルベアリング(91)とアダプター(95)の代りに転がりベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91’)が使用できる。すなわち、転がりベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91’)は軸受溝(242a’)の内周面に支持される第1外輪、前記第1外輪の内周部に収容されて第1端部(72)の外周面を支持する第1内輪及び前記第1外輪と前記第1内輪の間に介在される第1ボールを含む。この場合、第1ラジアルベアリング(91’)が回転軸(7)の軸方向振動に相対的に脆弱な転がりベアリングで形成され、弾性部材(93)が備えられており、回転軸(7)の軸方向振動による転がりベアリングタイプの第1ラジアルベアリング(91’)の損傷が防止できる。ただし、前述したような効果を得るために、第1ラジアルベアリングは滑りベアリングで形成されることが好ましい。
【0070】
一方、本実施例の場合、弾性部材(93)が軸受溝(242a)の基底面と回転軸(7)の第1端部(72)の先端面の間に備えられるが、これに限定されるものではない。
【0071】
すなわち、例えば、
図6に図示されるように、回転軸(7)の第1端部(72)は第1部位(72a)及び第1部位(72a)からモーターの反対側に延長される第2部位(72b)を含み、第1部位(72a)の外径は第2部位(72b)の外径より大きく形成されて、第1部位(72a)と第2部位(72b)の間には段差面(72c)が形成される。この時、第1ラジアルベアリング(91’)は第2部位(72b)の外周面を支持して、第1ラジアルベアリング(91’)と段差面(72c)の間に弾性部材(93)とスラストベアリング(94)が備えられ、弾性部材(93)は第1ラジアルベアリング(91’)に支持されて、スラストベアリング(94)は弾性部材(93)により段差面(72c)に密着される。ここで、弾性部材(93)は回転できるので第1ラジアルベアリング(91’)との摩擦減少のために第1ラジアルベアリング(91’)の第1内輪に支持されることが好ましい。
【0072】
一方、
図6に図示される実施例の場合、スラストベアリング(94)が備えられるが、これに限定されるのではない。すなわち、
図7に図示されるように、スラストベアリング(94)がなく、弾性部材(93)は第1ラジアルベアリング(91’)と回転軸(7)の第1端部(72)の段差面(72c)に支持されることもできる。
【0073】
ここで、
図6に図示される実施例の弾性部材(93)は円錐コイルスプリングで形成されて、
図7に図示される実施例の弾性部材(93)はウェーブスプリングで形成されるが、これに限定されるものではなく、他のスプリングで形成されることもできる。
【符号の説明】
【0074】
2、2’ ハウジング
4、4’ 圧縮機構
6、6’ モーター
7、7’ 回転軸
8 インバータ
22 センターハウジング
24、24’ フロントハウジング(
26 インバータカバー
28 リアハウジング
42 固定スクロール
44 旋回スクロール
62 固定子
64 回転子
72 第1端部
72a 第1部位
72b 第2部位
72c 段差面
74 第2端部
82 基板
84 素子
91、91’ 第1ラジアルベアリング
92、92’ 第2ラジアルベアリング
93 弾性部材
94 スラストベアリング
95 アダプター
222 センターハウジング隔壁
222a 軸受孔
224 センターハウジング環形壁
242 フロントハウジング隔壁
242a、242a’ 軸受溝
244 フロントハウジング環形壁
922 第2外輪
922t 第2アウタートラック
922ta 第2アウタートラック一側面
922tb 第2アウタートラック他側面
924 第2内輪
924t 第2インナートラック
924ta 第2インナートラック一側面
924tb 第2インナートラック他側面
926 第2ボール
【国際調査報告】