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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】安定したリパーゼ製剤及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/46 20060101AFI20241203BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241203BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241203BHJP
   C12N 9/20 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K38/46 ZNA
A61P1/18
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61K9/14
A61K9/16
A61K47/26
A61K47/36
C12N9/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535834
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022052986
(87)【国際公開番号】W WO2023114383
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,313
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522489886
【氏名又は名称】ファースト ウェイブ バイオファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン,ディネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ストーバー,テッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076BB01
4C076BB05
4C076DD66
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE37
4C076EE38
4C076FF04
4C076FF25
4C076GG09
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084DC22
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA661
4C084ZB111
4C084ZB211
4C084ZC191
(57)【要約】
リパーゼの組成物及び製剤、ならびにその治療方法及び製造方法が開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、
(a)リパーゼと、
(b)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含み、
約37℃の環境に15分間曝露した後、前記組成物が、少なくとも125の平均比活性(nmoles/分/mg)を呈する、前記医薬組成物。
【請求項2】
約37℃の環境に30分間曝露した後、前記組成物が、少なくとも110の活性(nmoles/分/mg)を呈する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
約37℃の環境に45分間曝露した後、前記組成物が、少なくとも100の活性(nmoles/分/mg)を呈する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
約37℃の環境に90分間曝露した後、前記組成物が、少なくとも75の活性(nmoles/分/mg)を呈する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記曝露が、インビボである、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
ヒト対象への経口投与後の前記曝露である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、噴霧乾燥される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、顆粒化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、噴霧乾燥され、顆粒化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、噴霧乾燥され、圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、顆粒化され、圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記リパーゼ及び前記賦形剤が、噴霧乾燥され、顆粒化され、圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記リパーゼが、非ブタリパーゼである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記リパーゼが、ブタリパーゼである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記非ブタリパーゼが、トリアシルグリセロールヒドロラーゼである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記非ブタリパーゼが、約30kDa~約45kDaの分子量を有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記非ブタリパーゼが、約38kDaの分子量を有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記非ブタリパーゼが、約295~約310個のアミノ酸を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記非ブタリパーゼが、約301個のアミノ酸を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記非ブタリパーゼが、Yarrowia lipolyticaから産生される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記非ブタリパーゼが、LIP2遺伝子によってコードされる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記非ブタリパーゼが、アドルリパーゼである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記ブタリパーゼが、パンクレリパーゼである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項25】
賦形剤が、オリゴ糖である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記噴霧乾燥が、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、50ミクロン~約150ミクロン、約60ミクロン~約120ミクロン、約65ミクロン~約85ミクロン、または約70ミクロン~約82ミクロンのD50を有する粒子を形成する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記賦形剤が、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、及びアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項28】
リパーゼ対前記1つ以上の賦形剤の比率が、約1:5~約5:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:1または約1:2である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記噴霧乾燥が、約3~約5、約2~約7、または約6のpHで行われる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記噴霧乾燥が、約125℃超、もしくは約100℃~約250℃、もしくは約150℃~約180℃、もしくは約155℃~約165℃、もしくは約162℃の入口温度、及び/または約150℃未満、もしくは約50℃~約125℃、もしくは約60℃~約100℃の出口温度で行われる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記噴霧乾燥が、約80%超、約90%超、約95%超、または約99%超の収率で前記リパーゼを産生する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が、腸溶性物質を含む、先行請求項のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項33】
請求項1~32のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、膵外分泌不全を治療する方法。
【請求項34】
請求項1~32のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、急性または慢性膵炎を治療する方法。
【請求項35】
請求項1~32のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法。
【請求項36】
請求項1~32のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、リパーゼの有効性を増加させる方法。
【請求項37】
前記不全が、膵臓癌に起因するなどの膵臓切除によって引き起こされる、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記不全が、年齢に関連するか、またはシュワッハマン・ダイアモンド症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、HIV、セリアック病、もしくは炎症性腸疾患に起因する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記不全が、潰瘍性大腸炎またはクローン病に起因する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記リパーゼの少なくとも一部分を前記患者の十二指腸に送達する、請求項33~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
請求項1~32のいずれかに記載の組成物形態を形成するために、リパーゼ及び薬学的に許容される賦形剤を組み合わせることを含む、医薬組成物を調製するプロセス。
【請求項42】
組成物であって、
(a)リパーゼと、
(b)1つ以上の賦形剤であって、約37℃の環境に15分間曝露した後、前記組成物が、少なくとも125の平均比活性(nmoles/分/mg)を呈する、前記1つ以上の賦形剤と、を含む、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定したリパーゼ組成物及び剤形、治療方法、ならびに調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Yarrowia lipolytica由来のリパーゼ2(LIP2)(すなわち、アドルリパーゼ)は、自己酵母組換えリパーゼである。アドルリパーゼの標的化された適応症は、嚢胞性線維症、慢性膵炎、及び膵外分泌が関与する他の適応症に起因する膵外分泌不全(EPI)の代償である。EPIの症候学は、本質的に、トリグリセリドをモノグリセリド及び遊離脂肪酸に加水分解する酵素である膵リパーゼ欠乏症に起因する。
【0003】
EPIの最も一般的な原因である慢性膵炎(CP)は、その正常な構造及び機能を変化させる膵臓の長期にわたる炎症であり、これは、患者の約60%においてEPIに関連する。EPIの別の頻繁な病因である嚢胞性線維症(CF)は、最も影響を受けた個体の慢性罹患率及び寿命の減少に関連する重篤な遺伝性疾患である。CFを有する患者の約80~90%がEPIを発症する。加えて、EPIは、通常、がんまたはCPの合併症の結果として行われる、膵臓の外科的切除後に一般的である。EPIの他のあまり一般的でない病因には、胃の手術、ある特定の腸疾患(例えば、重度のセリアック病、小腸切除、及び人工経腸栄養法)、及び膵臓疾患(例えば、膵臓外傷、膵臓壊死を伴う重度の急性膵臓炎、及び膵臓癌)が含まれる。
【0004】
古典的にブタ膵臓抽出物(PPE、ブタ膵臓補充療法(PERT)とも称される)に依存するEPIの代償は、PPEの調製に使用される動物成分及び従来型及び非従来型感染性薬剤の伝播の関連するリスクのために、食品医薬品局(FDA)の懸念となっている。さらに、プロテアーゼ及び/または胃保護剤の存在に関連する可能性のある線維化性結腸疾患のリスクがあるため、特にCFにおいて、与えられ得るPPEの用量は制限され得る。
【0005】
一般に、リパーゼは、多くの薬学的及び工業的用途を有する。
【0006】
したがって、当該技術分野では、EPIの治療のために、アドルリパーゼなどのリパーゼを含む医薬組成物及び工業用組成物の必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【0007】
ある特定の実施形態では、本発明は、温度が安定したリパーゼ剤形、治療方法、及び製造方法を対象とする。
【0008】
ある特定の実施形態では、本発明は、温度が安定したリパーゼ工業用組成物、使用方法、及び製造方法を対象とする。
【0009】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)リパーゼと、(b)約37℃の環境に15分間曝露した後、組成物が、少なくとも125の活性(nmoles/分/mg)を呈する1つ以上の賦形剤と、を含む組成物を対象とする。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される組成物及び剤形を製造するためのプロセスを対象とする。
【0011】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される剤形を投与することを含む、膵外分泌不全を治療する方法を対象とする。ある特定の実施形態では、不全は、急性または慢性膵炎、嚢胞性線維症、膵切除術(膵臓癌などのがんと関連するかまたは関連しない)、年齢関連、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、HIV、セリアック病、または炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎またはクローン病など)のうちの1つ以上によって引き起こされ得る。
【0012】
本発明はまた、ある特定の実施形態では、対象に、本明細書に開示される組成物のうちのいずれかを投与することによって、状態(例えば、結腸疾患または結腸への活性剤の標的化投与によって治療可能な他の状態)を治療する方法を対象とする。送達は、結腸疾患または状態を治療するためのものであり得、また、結腸内での吸収に好適である薬物で全身状態を治療するためにも使用され得る。
【0013】
本発明はまた、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される製剤を経口投与することによって、活性剤を患者の結腸に送達する方法を対象とする。ある特定の実施形態では、活性剤の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が患者の結腸に送達される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アドルリパーゼ活性に対する温度の影響を示す。
図2】アドルリパーゼ構造に対する温度の影響を示す。
図3】様々な製剤におけるアドルリパーゼ活性に対する温度の影響を示す。
図4】パンクレリパーゼ(Creon(登録商標))活性に対する温度の影響を示す。
図5】ブタリパーゼ活性に対する温度の影響を示す。
図6】実施例1のプロセス及び粒子サイズデータの概略図を示す。
図7】実施例1のプロセス及び粒子サイズデータの概略図を示す。
図8】実施例1の顆粒化製剤及び非顆粒化製剤の活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、安定したリパーゼ組成物、医薬組成物、治療方法、使用方法、及び調製方法を開発することによって、最新技術を進歩させる。
【0016】
本発明によって、リパーゼ組成物(例えば、アドルリパーゼ、パンクレリパーゼ、ブタリパーゼ、PERT)が、温度による経時的な活性の喪失を呈することが発見された。実施例に記載されているように、25℃(室温)での活性のあまり顕著でない喪失または完全な保持を伴う37℃(生理学的温度)での活性の喪失があることが見出された。pH及び緩衝液は、この喪失に著しい影響を及ぼさなかったようである。これは、投与後の生理学的温度への導入時に(例えば、胃腸管へ)活性剤が急速に分解するため、リパーゼ薬学的療法において重要である。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)アドルリパーゼと、(b)例えば、実施例1のアッセイによって測定された場合、例えば、約37℃の環境に15分間曝露した後、組成物が、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、または少なくとも160の活性(nmoles/分/mg)を呈する、安定した1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を対象とする。
【0018】
ある特定の実施形態では、約37℃の環境に30分間曝露した後、アドルリパーゼ組成物は、例えば、実施例1のアッセイによって測定された場合、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、または少なくとも140の活性(nmoles/分/mg)を呈する。
【0019】
ある特定の実施形態では、約37℃の環境に45分間曝露した後、アドルリパーゼ組成物は、例えば、実施例1のアッセイによって測定された場合、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、または少なくとも155の活性(nmoles/分/mg)を呈する。
【0020】
ある特定の実施形態では、約37℃の環境に90分間曝露した後、アドルリパーゼ組成物は、例えば、実施例1のアッセイによって測定された場合、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、または少なくとも130の活性(nmoles/分/mg)を呈する。
【0021】
ある特定の実施形態では、本発明は、(a)リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)と、(b)例えば、実施例1のアッセイによって測定された場合、例えば、約37℃の環境に90分間曝露した後、組成物が、50%以下、40%以下、35%以下、25%以下、20%以下、10%以下、または5%以下減少する活性(nmoles/分/mg)を呈する、安定した1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を対象とする。
【0022】
ある特定の実施形態では、曝露は、インビボである。他の実施形態では、曝露は、インビトロである。
【0023】
ある特定の実施形態では、曝露は、ヒト対象への経口投与後である。
【0024】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥される。
【0025】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、顆粒化及び/または押し出される。造粒は、例えば、湿式造粒または乾式造粒であり得る。乾式造粒は、粉末状または固体物質から粒状または顆粒を形成し、粒状材料を生成するプロセスである。典型的には、造粒は、より大きな顆粒、例えば、0.01~3.0mmのサイズ範囲(D50)への微粒子の凝集を伴う。凝集プロセスは、例えば、ブレンドの使用、ブレンドを圧縮するための圧力の適用(ローラーまたは錠剤/スラグの圧縮)、固体材料を細かい顆粒またはペレットに細断または粉砕し、ふるうことを含み得る。湿式造粒は非常に類似しているが、混合プロセスに溶媒を組み込んで凝集を生成し、顆粒が形成されると溶媒を除去する乾燥方法を含み得る。
【0026】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、圧縮される。
【0027】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥され、造粒され、及び/または押し出される。
【0028】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥され、圧縮される。
【0029】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、顆粒化され、及び/または押し出され、圧縮される。
【0030】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥され、造粒され、及び/または押し出され、圧縮される。
【0031】
ある特定の実施形態では、リパーゼは、非ブタリパーゼである。
【0032】
ある特定の実施形態では、リパーゼは、ブタリパーゼである。
【0033】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、トリアシルグリセロールヒドラーゼである。
【0034】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約30kDa~約45kDaの分子量を有する。
【0035】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約36~40kDaまたは約36kDa、約37kDa、約39kDaもしくは約40kDaの分子量を有する。
【0036】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約295~約310個のアミノ酸を含む。
【0037】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約301個のアミノ酸を含む。
【0038】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、Yarrowia lipolyticaから産生される。
【0039】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、LIP2遺伝子によってコードされる。
【0040】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、アドルリパーゼである。
【0041】
ある特定の実施形態では、ブタリパーゼは、パンクレリパーゼである。
【0042】
ある特定の実施形態では、賦形剤は、オリゴ糖である。
【0043】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、50ミクロン~約150ミクロン、約60ミクロン~約120ミクロン、約65ミクロン~約85ミクロン、または約70ミクロン~約82ミクロンのD50を有する粒子を形成する。
【0044】
ある特定の実施形態では、賦形剤は、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、及びアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、またはそれらの混合物を含む。
【0045】
ある特定の実施形態では、リパーゼ対1つ以上の賦形剤の比率は、約1:5~約5:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:1または約1:2である。
【0046】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約3~約5、約2~約7、または約6のpHで行われる。
【0047】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約125℃超、もしくは約100℃~約250℃、もしくは約150℃~約180℃、もしくは約155℃~約165℃、もしくは約162℃の入口温度、及び/または約150℃未満、もしくは約50℃~約125℃、もしくは約60℃~約100℃の出口温度で行われる。
【0048】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約80%超、約90%超、約95%超、または約99%超の収率でリパーゼを産生する。
【0049】
ある特定の実施形態では、組成物は、腸溶性物質を含む。
【0050】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、膵外分泌不全を治療する方法を対象とする。
【0051】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、急性または慢性膵炎を治療する方法を対象とする。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、嚢胞性線維症を治療する方法を対象とする。
【0053】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、リパーゼの有効性を増加させる方法を対象とする。
【0054】
ある特定の実施形態では、不全は、膵臓癌に起因するなどの膵臓切除によって引き起こされる。
【0055】
ある特定の実施形態では、不全は、年齢に関連しているか、またはシュワッハマン・ダイアモンド症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、HIV、セリアック病、もしくは炎症性腸疾患に起因する。
【0056】
ある特定の実施形態では、不全は、潰瘍性大腸炎またはクローン病に起因する。
【0057】
ある特定の実施形態では、リパーゼの少なくとも一部分は、患者の十二指腸に送達される。
【0058】
本発明のある特定の実施形態は、本明細書に開示される組成物を形成するために、リパーゼ及び薬学的に許容される賦形剤を組み合わせることを含む、医薬組成物を調製するプロセスを対象とする。
【0059】
他の実施形態
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される製剤は、非ブタリパーゼなどのリパーゼを含む、遅延または即時または持続放出経口剤形である。代替的な実施形態では、剤形は、リパーゼを包含するか、またはリパーゼで分散された腸溶性物質を含む。
【0060】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるような噴霧乾燥リパーゼを対象とする。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される製剤は、追加のリパーゼまたは活性剤であり得る第2の薬剤を含む。第2の薬剤は、脂溶性ビタミン、プロテアーゼ、アミラーゼ、ブタ膵臓酵素補充、他の非ブタ補充、またはそれらの組み合わせから選択され得る。ある特定の実施形態では、ビタミンは、A、D、E、Kまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、第2の活性剤は、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、またはそれらの組み合わせである。
【0062】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び第2の活性剤は、各々独立して、即時放出、遅延放出、持続放出、またはそれらの組み合わせである。
【0063】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、カプセルに含まれ、カプセルは、任意選択で、例えば、カプセル上にコーティングされるか、またはカプセル内に分散された、腸溶性物質を含む。他の実施形態では、腸溶性物質は、活性剤で噴霧乾燥されるか、または噴霧乾燥された活性剤は、腸溶性物質と混合される。
【0064】
ある特定の実施形態では、剤形は、アドルリパーゼを、1日当たり約0.5g~1日当たり約10g、1日当たり約2g~1日当たり約5g、または1日当たり約2g~1日当たり約4gの量で含む。ある特定の実施形態では、投与は、1日当たり約1.6g、1日当たり約2.2g、または1日当たり約4.4gである。
【0065】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、任意選択で、例えば、錠剤上にコーティングされるか、または錠剤内に分散された、腸溶性物質を含む錠剤を含む。
【0066】
ある特定の実施形態では、リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)は、例えば、乾燥混合、湿式造粒、または共噴霧乾燥もしくは共凍結乾燥によって、任意選択で腸溶性物質を含む粉末の形態であり得る。
【0067】
ある特定の実施形態では、製剤は、粉末または粒子であり、カプセル、サシェ、または粉末紙に含まれる。
【0068】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、天然に存在する物質または非天然に存在する物質を含む。
【0069】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、セルロース物質、アクリルポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む。
【0071】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、メタクリル酸ポリマー、セルロースアセテートフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー、ポリビニルアセテートフタレートポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0072】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、シェラック、またはそれらの組み合わせを含む。
【0073】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチル メチルセルロースサクシネート、ヒドロキシエチル セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチル メチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチル メチルセルロースアセテートフタレート、カルボキシエチル セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチル セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチル セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート、エチルピコリン酸セルロースアセテート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0074】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約4未満、約3未満、または約2未満のpHで不溶性または実質的に不溶性である。
【0075】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約4未満、約3未満、または約2未満のpHで、割れないか、破壊しないか、または破裂しない。
【0076】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約5超、約5.5超、約6超、約7超、または約8超のpHで可溶性または実質的に可溶性である。
【0077】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約5超、約5.5超、約6超、約7超、または約8超のpHで、割れないか、破壊しないか、または破裂しない。
【0078】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、50rpm、75rpm、または100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、30分で、約20%未満、約18%未満、約15%未満、約12%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0079】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、60分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0080】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、90分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0081】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、120分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0082】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、30分で、活性剤のうちの1つ以上の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0083】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、60分で、活性剤のうちの一方または両方の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0084】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、90分で、活性剤のうちの一方または両方の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0085】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、120分で、活性剤のうちの一方または両方の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0086】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、15分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0087】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、30分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0088】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、50rpm、75rpm、または100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0または6.5または6.6の緩衝液pHの1つ以上の点で)、45分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0089】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、60分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0090】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、それを必要とする患者の十二指腸におけるリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)の放出を標的とする。
【0091】
ある特定の実施形態では、リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)リパーゼは、凍結乾燥または噴霧乾燥などの乾燥を含むプロセスによって調製される。
【0092】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、オリゴ糖、例えば、マルトデキストリンなどの安定剤を利用する。
【0093】
ある特定の実施形態では、乾燥した非ブタリパーゼは、粉末または粒子の形態である。粒子は、例えば、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、50ミクロン~約150ミクロン、約60ミクロン~約120ミクロン、約65ミクロン~約85ミクロン、または約70ミクロン~約82ミクロンのD50を有する粒子サイズを有し得る。
【0094】
ある特定の実施形態では、安定剤は、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、及びアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、アルギニン、グリシン、CaCl、またはそれらの混合物である。
【0095】
ある特定の実施形態では、活性剤対安定剤の比は、約1:5~約5:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:1または約1:2である。
【0096】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約3~約5、約2~約7、約4または約6のpHで行われる。
【0097】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約125℃超、約150℃超、または約100℃~約250℃、または約150℃~約180℃、または約155℃~約165℃の温度で行われる。
【0098】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約80%超、約90%超、約95%超、または約99%超の収率で非ブタリパーゼを産生する。
【0099】
ある特定の実施形態では、治療方法は、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、K、及びそれらの組み合わせ)、プロテアーゼ、アミラーゼ、ブタ膵臓酵素補充、他の非ブタ補充、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、3つの酵素:リパーゼ、プロテアーゼ、及びアミラーゼの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの第2の活性剤の同時投与なしの、本明細書に開示される非ブタリパーゼ製剤のみである。
【0100】
ある特定の実施形態では、剤形は、溶液または懸濁液の形態で供給チューブによって投与されるか、または粉末の形態で食品に振りかけるか、またはカプセル、粉末、錠剤、液体もしくは半固体などの経口剤形として投与される。
【0101】
本明細書に開示されるある特定の方法では、リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)の少なくとも一部分は、患者の十二指腸に送達される。この一部分は、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約85%、または少なくとも約95%であり得る。
【0102】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、個々の患者または対象において、約70~約99、約75~約98、約80~約92、約85~約92、約86~約92、または約90~約92のCFA%を提供する(すなわち、治療後に)。ある特定の実施形態では、治療される患者(すなわち、治療前)は、個々の患者または対象において、約80未満、約60未満、約40未満、約15~約80、または約30~約60のCFA%を有する。
【0103】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、個々の患者または対象において、約90~約99、約92~約99、約95~約99、または約99~約99のCNA%を提供する。
【0104】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、患者または対象の集団において、約90~約99、約92~約99、約95~約99、または約99~約99のCNA%を提供する。
【0105】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、平均に対して、約3%~約12%、約4%~約10%、約2%~約6%、約3%~約6%、約4%、約5%、または約6%のCFA増加を提供する。
【0106】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、約5%~約50%、約10%~約45%、約15%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%、約35%、または約40%の最大の個々の相対CFA増加を提供する。
【0107】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される組成物及び製剤を調製することを対象とする。
【0108】
他の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、工業的方法及び使用、例えば、生体触媒;洗剤;食品;環境産業;糖、アルカン、植物油、デンプン加水分解物、エタノール、及びグリセロールを含む様々な炭素源からのクエン酸及び香りの製造;疎水性基質の分解;有機化合物の分解;油流出、脂肪族及び芳香族化合物、有機汚染物質、2,4,6-トリニトロトルエン、ならびに金属で汚染された環境のバイオレメディエーション;ならびにベータ-ヒドロキシブチレート、L-ドーパ、及び乳化剤の合成プロセスのために利用される。
【0109】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、酵母Yarrowia lipolyticaから分泌される耐酸性リパーゼ(LIP2)である。それはトリアシルグリセロールリパーゼのファミリーに属する。それはa/b加水分解酵素の共通の折り畳みを共有し、結晶構造は解析されている。
【0110】
LIP2は、39アミノ酸シグナルペプチドの切断後にグリコシル化成熟形態として培養培地中で分泌される301アミノ酸タンパク質である。代替的な切断は、N末端配列不均一性をもたらすリパーゼ上で実証されている。主なN末端配列は、噴霧乾燥粉末中のSTETSHIDQESYNFFとして同定された。このタンパク質は、MS1819またはアドルリパーゼとも称される。
【0111】
2つのN-グリコシル化部位が残基N113及びN134で同定されており、質量分析法による分析によって、各部位が以下の糖部分GlcNAc2-Manx(x=8)を有することが明らかになった。5つの主要なグリコフォームは、等電点電気泳動ゲル(IEF)によって証明されている。ある特定の実施形態では、原薬は、(バルク乾燥物重量に基づいて)1:3~3:1または2:1の比で、マルトデキストリンの添加後の噴霧乾燥活性剤バルク溶液として定義される。他の実施形態では、原薬は、マルトデキストリンを1:3または3:1または2:1の比で、及び腸溶性ポリマー(例えば、HPMCAS)を1:10~10:1または約5:1の比で噴霧乾燥させることによって調製される活性剤として定義される。活性物質はまた、1~15%の塩を有し得る。
【0112】
配列は、以下のとおりである(配列番号1):
VYTSTETSHIDQESYNFFEKYARLANIGYCVGPGTKIFKPFNCGLQCAHFPNVELIEEFHDPRLIFDVSGYLAVDHASKQIYLVIRGTHSLEDVITDIRIMQAPLTNFDLAANISSTATCDDCLVHNGFIQSYNNTYNQIGPKLDSVIEQYPDYQIAVTGHSLGGAAALLFGINLKVNGHDPLVVTLGQPIVGNAGFANWVDKLFFGQENPDVSKVSKDRKLYRITHRGDIVPQVPFWDGYQHCSGEVFIDWPLIHPPLSNVVMCQGQSNKQCSAGNTLLQQVNVIGNHLQYFVTEGVCGI。
【0113】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されており、当然、本明細書に記載され、かつ特許請求される本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。当業者の技量内であろう、現在公知であるかまたは後に開発されるすべての均等物の置換、及び製剤における変更または実験計画における小さな変更を含む本発明のそのような変形形態は、本明細書に組み込まれている発明の範囲内に含まれるものとして解釈されたい。
【0114】
実施例1
アドルリパーゼ粉末を噴霧乾燥によって調製した(w/w%):54.4%のアドルリパーゼ:27%のマルトデキストリン:10%のHPMCAS:8.4%の塩。他の実施形態は、40%~75%のアドルリパーゼ、10~40%のマルトデキストリン、5~20%のHPMCAS、及び1~15%の塩を有し得る。
【0115】
アドルリパーゼ噴霧乾燥粉末(69%)微結晶性セルロース(30%、10%×3)及び1%ステアリン酸マグネシウムを用いて造粒を調製した。
【0116】
微結晶性セルロースを3つの分量で添加し、続いて、5分間幾何学的に混合し、混合物を425ミクロンメッシュによりふるいにかけ、次いで、1000psiで100mgの錠剤に圧縮し、続いて、850ミクロンメッシュにより造粒して、111マイクログラムのD50を有する粉末を提供した。別の分量を2000psiで200mgの錠剤に圧縮し、続いて、850ミクロンメッシュにより造粒して、455ミクロンのD50を有する粉末を提供した。プロセス及び粒子サイズデータの概略図を図7A及び7Bに表す。
【0117】
噴霧乾燥粉末及び顆粒の活性を、以下の手順に従って試験した。
活性方法
議論しているすべての製剤開発データを生成するために使用した活性方法の詳細:
●比色活性アッセイ(96ウェル)
● スコープ:アドルリパーゼは、DMPTBを加水分解して遊離チオール基を放出するリパーゼである。このチオール基は、DTNB(エルマン試薬)と反応し、TNB(着色生成物)を生成する。TNBの生産は、標準曲線を使用して定量化され、値は、アドルリパーゼの酵素活性を計算するために使用される。
○DMPTB 2,3-ジメルカプト-1-プロパノールトリブチレート
○DTNB 5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)
○TNB 2-ニトロ-5-チオ安息香酸
●試料調製
○50mMトリス中で0.5mg/mLのリパーゼ溶液を調製する
○50μgのリパーゼ(上から)を0.05%のTriton X-100、0.6mMのDMPTB、及び0.8mMのDTNBと混合し、すぐに測定を開始する
●分析
○波長:412nm
○分析の種類/モード:速度論
○合計持続時間:30分、30秒ごとに読み取り(61読み取り)
○TNBの線形性曲線をプロットし、スロープ及びインターセプト値を取得して活性を計算する
【0118】
結果を図8に示す。
【0119】
図2は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を利用したアドルリパーゼ構造に対する温度の影響を示す。SEC方法の詳細を以下に記載する。
●高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
●移動相
○20mMリン酸塩/100mM NaCl、pH6
●試料調製
○移動相で1.5mg/mLのリパーゼ溶液を調製する
●分析
○カラム:TSKgel G2000SWXL
○流量:0.5ml/分
○カラム温度:20℃
○波長:280nm
○実行時間:40分
○クロマトグラムの全ピーク面積に基づいて純度を計算する
○参照標準とのピーク面積比較によりアッセイを計算する
【0120】
説明を簡潔にするために、本開示の方法の実施形態は、一連の動作として描写され、説明される。しかしながら、本開示に従った動作は、様々な順序で及び/または同時に、ならびに本明細書に提示及び説明されていない他の動作とともに行われ得る。さらに、開示される主題に従って方法を実装するために、すべての例示される動作が必要とされ得るわけではない。加えて、当業者は、方法が、状態図またはイベントを介して一連の相互に関連する状態として代替的に表され得ることを理解し、把握するであろう。
【0121】
上記の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、特定の材料、寸法、プロセスパラメータなどの多くの具体的な詳細が述べられている。特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせられ得る。「例」または「例示的な」という単語は、本明細書では、例(example)、実例(instance)、または実例(illustration)として役立つことを意味するために使用される。本明細書に「例」または「例示的」として説明されるいかなる態様または設計も、必ずしも、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利と解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という単語の使用は、具体的な様式で概念を提示することが意図される。本出願で使用される場合、「または」は、排他的な「または」ではなく包含的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別様に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」とは、あらゆる自然な包括的置換を意味することが意図される。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBの両方を含む場合には、「XはAまたはBを含む」は、あらゆる上記の実例の下で満たされる。さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、別様に指定されない限り、または単数形を対象とする文脈から明確でない限り、一般に「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。「一実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、または「一実施形態(one embodiment)」に対する本明細書全体での言及は、その実施形態と関係して記載される特定の機能、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で出現するフレーズ「一実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」は、必ずしもすべて同じ実施形態を言及しているわけではない。
【0122】
本明細書全体にわたる数値範囲への参照は、限定するものと解釈されるべきではなく、列挙された数値範囲内の範囲の外側の限界ならびに各数及び/またはより狭い範囲を包含するものとして理解されるべきである。
【0123】
本発明を、その特定の例示的な実施形態を参照して説明された。したがって、明細書及び図面は、限定する意味ではなくて例示的なものと見なされる。本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な修正が当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】