(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物、その製造方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 8/14 20060101AFI20241203BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/9761 20170101ALI20241203BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20241203BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20241203BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20241203BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241203BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K8/14
A61K8/365
A61K8/37
A61K8/49
A61K8/55
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/9761
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K8/98
A61Q5/12
A61Q7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536217
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2023076491
(87)【国際公開番号】W WO2023160458
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210166059.2
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524141533
【氏名又は名称】山東大学
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】524227826
【氏名又は名称】斉魯師範学院
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】杜 娜
(72)【発明者】
【氏名】陳 楠
(72)【発明者】
【氏名】駱 興偉
(72)【発明者】
【氏名】王 春省
(72)【発明者】
【氏名】侯 万国
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD051
4C083AD052
4C083BB53
4C083CC33
4C083CC37
4C083DD23
4C083DD45
4C083EE22
4C083EE28
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物及びその製造方法と応用に関し、該複合物は漢方薬草活性物と嚢胞を含む。前記漢方薬草活性物は嚢胞中に被覆される:親水性物質はその親水性微小領域、すなわち水核中に被覆される、疎水性物質は嚢胞の二層膜間に増溶する。本発明の漢方薬草活性物@嚢胞複合物中の薬草活性物と嚢胞の2種類の物質は一体であり、嚢胞の核殻二層膜構造は漢方薬草抽出物中の親水性と疎水性活性成分を同時に溶解することができるだけでなく、その自身の選択透過性と徐放性能によって、頭皮と毛嚢の周囲に安定な漢方薬草活性物@嚢胞微生態環境を形成し、それによって薬効の最適な利用を得、養髪育髪と養髪育髪の効果を達成する。本発明はより良い浸透性、分散性と徐放性を有し、プロセスが簡単で、化粧品と薬物輸送と制御放出の分野で良好に応用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物であって、
漢方薬草活性物と嚢胞と、を備え、前記漢方薬草活性物は嚢胞中に被覆され、親水性物質はその親水性微小領域、つまり水核中に被覆され、疎水性物質は嚢胞の二層膜の間に増溶する、
養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項2】
前記複合物の粒径が80nm~5μmであり、
前記嚢胞は二層膜嚢胞であり、二層膜厚は3~7nmの間にある、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項3】
漢方薬草活性物@嚢胞複合物中の漢方薬草活性物の含有量範囲が30~100g/Lである、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項4】
前記嚢胞は両親媒性分子系から形成され、両親媒性分子の濃度範囲は0.1~20g/Lであり、前記両親媒性分子は嚢胞前駆体と呼ばれる、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項5】
前記漢方薬草活性物は、以下の原料薬物から抽出され、
何首烏、墨旱蓮、沙参、白術、沢潟、赤シャクヤク、青皮、黄柏、精、制首烏、絞股藍、側柏葉、センキュウ、天麻、烏梅炭、地膚子、赤車軸草、阿膠、
好ましくは、漢方薬草抽出液の原料薬物の重量部数配合比は、
何首烏5~15部、墨旱蓮5~15部、沙参20~50部、白術20~50部、沢潟5~15部、赤シャクヤク20~50部、青皮5~15部、黄柏5~15部、黄精20~50部、制首烏20~50部、絞股藍20~50部、側柏葉20~50部、センキュウ5~15部、天麻5~15部、烏梅炭5~15部、地膚子5~15部、赤車軸草20~50部、阿膠20~50部である、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項6】
前記嚢胞前駆体は、モノ脂肪酸グリセリド、モノアルキルリン酸エステル及びその塩、2ーヒドロキシ脂肪酸及びその塩、ニコチン酸及びその誘導体、トリブロック共重合体の1つ又はそれらの組み合わせから選択する、
請求項4に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項7】
前記モノ脂肪酸グリセリドは直鎖モノ脂肪酸グリセリドであり、好ましくは、C8~C18鎖長の直鎖単脂肪酸グリセリド、さらに好ましくは、オクタン酸グリセロール、デカン酸グリセロール、ラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸グリセロール、ペンタデカン酸グリセロール、パルミチン酸グリセロールであり、
好ましくは、前記モノアルキルリン酸エステル及びその塩は直鎖アルキルリン酸エステル及びその塩であり、さらに好ましくは、C8~C16鎖長の直鎖モノアルキルリン酸エステルまたはその塩、より好ましくは、オクチルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、デシルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ラウリルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、パルミシルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩でり、
好ましくは、前記2ーヒドロキシ脂肪酸及びその塩は2ーヒドロキシ直鎖脂肪酸及びその塩であり、さらに好ましくは、C8~C16鎖長の2ーヒドロキシ直鎖脂肪酸及びその塩、より好ましくは、2ーヒドロキシオクタン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシデカン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシラウリン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシカルミン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩であり、
好ましいは、ニコチン酸及びその誘導体は、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、トコフェロールニコチン酸エステルであり、
好ましくは、前記トリブロック共重合体の化学組成式は、PEOxーPPOyーPEOx、13≦x≦133、29≦y≦65、より好ましくは、PEO77ーPPO29ーPEO77、PEO13ーPPO30ーPEO13、PEO24ーPPO35ーPEO24、PEO133ーPPO50ーPEO133、PEO19ーPPO30ーPEO19、PEO100ーPPO65ーPEO100、PEO26ーPPO40ーPEO26である、
請求項6に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項8】
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法でたって、
原料薬物に混合溶媒を加えて抽出し、抽出物を収集し、嚢胞前駆体を加え、混合、アルコール沈殿、遠心分離、濾過、濃縮し、漢方薬草活性物@嚢胞複合物を得る、
を含む、養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法。
【請求項9】
前記混合溶媒はエタノールー水混合液であり、
前記エタノールー水混合液のエタノールの体積百分率濃度が40%~80%であり、
前記抽出の回数は1~5回、前記抽出の時間は1~5時間、前記抽出温度は55℃~80℃である、
請求項8に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の化粧品分野への応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物及びその製造に関するものであり、化粧品技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
髪は人体の構成部分の一つであり、髪の変化は人体の生理病理変化と密接な関係がある。現代人たちは生活リズムが速く、労働時間が長く、精神的ストレスが大きく、仕事や息継ぎが不規則で、脱髪はますます多くの現代人たちの悩みとなり、若年化の傾向を呈している。中国では近年、脱髪者の数がうなぎ上りで、6人に1人が脱髪している。統計によると、全世界の人口脱髪率は32.13%に達し、脱髪患者の数は年々増加している。毛髪の成長に役立ち、抜け毛や切れ毛を減らす養髪育髪系化粧品の需要はますます旺盛になり、効能の要求も高まっている。
髪から油が出たり、乾燥したり、脱髪したりするのは髪に問題があるだけではありません。元をたどると、実は頭皮と毛嚢の問題です。頭皮と髪は土壌と草木の関係であり、良い土壌は良い草木を生み出し、同じ理にかなって、良い頭皮は良い髪を持つことができる。だから、頭皮ケアこそ脱髪問題を解決する鍵です。現在、脱髪を治療する製品の種類は多く、その中で西洋薬はホルモン類が多く、長期使用は体に一定の副作用をもたらす可能性があり、薬を止めて回復しやすい。2015年以来、国の政策による漢方医・漢方薬への支持が深まるにつれ、漢方薬系化粧品の数は年々増加している。実は、漢方医が髪疾患を治療する歴史は古く、多くの医薬古典が髪を養う良方を記載し、今に伝えられている。漢方薬草抽出物にはフラボノイド、タンニン、シュウ酸、果酸、サポニン、アミノ酸、微量元素などの多種の天然成分が含まれ、血管拡張、消炎抗菌、抗酸化、免疫調節などの機能を有し、脱髪を効果的に治療し、毛髪の成長を促進することができる。しかし、漢方薬草抽出物中の活性成分は種類が多く、複雑であり、物理化学的性質なども大きく異なるため、同一の溶媒に同時に溶解することが難しく、活性物の分散と吸収に影響し、薬効の発揮を阻害する。
嚢胞は両親媒性分子が集まって形成された核殻構造を有する閉じた二分子層であり、多種の物質を包含し、物質の極性に応じて異なる部位に増溶することができる。親水性物質はその親水性微小領域、すなわち水核の中に包含される、疎水性物質は両親媒性分子の炭化水素鎖中間層に可溶化する。したがって、漢方薬草抽出物中の親水性と疎水性活性成分はすべて嚢胞に同時に溶解と負荷を増加させることができ、難溶性活性物の溶解度と分散性を高め、しかも嚢胞二層膜構造による選択浸透性と徐放性性能は、活性物を頭皮上で安定し、持続的に放出させることができる。活性物は嚢胞系の加持下で、頭皮表面、毛嚢周囲に微生態環境を生成し、イオン導入による毛嚢への損傷を減少させ、根源から毛嚢の活力を有効に引き出し、それによって薬効の最適な利用を得て、養髪と育髪の効果を達成する。
【0003】
特許文献1は、脂溶性の悪い薬物のバイオアベイラビリティまたは吸収を改善するために、薬草活性成分とホスファチジルコリンを結合することにより、活性成分の溶解性を増加させた。しかし、ホスファチジルコリンによって形成されるリポソームは浸透性が悪く、活性成分の放出に不利である。また、この特許文献に開示されている漢方薬成分は主に内服用であり、漢方薬草抽出物の外用時の溶解性及び生体吸収度を確定することはできない。
【0004】
特許文献2は、脱髪予防及び毛髪成長のためのヘアケア組成物を開示し、より具体的には、カチオン/アニオン界面活性剤を含む混合嚢胞により頭皮及び毛髪の吸着を促進する脱髪予防ヘアケア組成物に関する。しかし、カチオン/アニオン界面活性剤を混合すると、静電相互作用により沈殿が生じやすく、比較的狭い配合範囲でのみ嚢胞構造が形成される。また、酸、アルカリ、塩などの強い電解質、さらには荷電した漢方薬草抽出物の影響を受けやすく、その嚢胞構造を破壊し、沈殿が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】インド特許文献IN1764MUM2014A
【特許文献2】韓国特許文献KR1020090059445A
【発明の概要】
【0006】
既存の漢方薬草活性成分、特に脂溶性活性成分は、分子状態の可溶化が製品中に入り込み頭皮と毛嚢に作用することが難しく、最適な薬効を発揮できないため、脱養髪育髪防止効果は大きく割引される。また、既存製品中の活性成分のほとんどは使用瞬間だけ頭皮に高濃度作用が発生し、活性物の緩慢な持続放出環境が不足し、一定の動態有効濃度に維持できないため、吸収効果が悪い。本発明は従来技術の不足及び既存製品の欠陥に対して、安全で有効な脱髪防止と養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物及びその製造方法を提供する。嚢胞の核殻二層膜構造は漢方薬草抽出物中の親水性と疎水性活性成分を同時に可溶化できるだけでなく、その自身の選択浸透性と徐放性能によって、頭皮と毛嚢の周囲に安定した漢方薬草活性物@嚢胞微生態環境を形成し、それによって薬効の最適な利用を得て、養髪と育髪の効果を達成する。
【0007】
本発明に記載された養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物は、2つの特徴がある:1つは漢方薬草活性物と嚢胞が共存して形成された複合体、第二に、漢方薬草活性物@嚢胞複合物は養髪育髪効果がある。
【0008】
本発明の目的の1つは、嚢胞中に被覆され、嚢胞と共存する漢方薬草活性物@嚢胞複合物を提供することである。前記複合物は特定の核殻構造を有し、寸法制御可能、安定性が良い。
【0009】
本発明の別の目的は漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法、すなわち漢方薬草活性物誘導下で自発的に嚢胞を形成すると同時に製造し、この方法は技術が簡単で、操作が便利で、大規模生産に適している。
【0010】
本発明の第3の目的は、上記の漢方薬草活性物@嚢胞複合物の応用を提供し、前記漢方薬草活性物@嚢胞複合物は養髪育髪効果があり、化粧品分野に応用できる。
【0011】
本発明の技術的態様は以下の通りである:
養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物であって、該複合物は漢方薬草活性物と嚢胞を含み、前記漢方薬草活性物は嚢胞中に被覆される:親水性物質はその親水性微小領域、つまり水核中に被覆される、疎水性物質は嚢胞の二層膜間に増溶する。
【0012】
本発明によれば、前記複合物の粒径は80nm~5μmであることが好ましい;粒子の大部分は80~900nm、さらに好ましくは粒子径は200~800nm、少量系の複合物粒子径は1~5μm。
【0013】
本発明によれば、前記嚢胞は二層膜嚢胞であり、二層膜厚は3~7nmであることが好ましい。
本発明によれば、漢方薬草活性物@嚢胞複合物中の漢方薬草活性物の含有量範囲は30~100g/Lであることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、好ましくは、前記嚢胞は両親媒性分子系から形成され、両親媒性分子の濃度範囲は0.1~20g/L、さらに好ましくは0.2~10g/Lである。本発明は前記両親媒性分子を嚢胞前駆体と呼ぶ。
【0015】
本発明によれば、前記漢方薬草活性物は、以下の原料薬物から抽出されることが好ましい。
何首烏、墨旱蓮、沙参、白術、沢潟、赤シャクヤク、青皮、黄柏、黄精、制首烏、絞股藍、側柏葉、センキュウ、天麻、烏梅炭、地膚子、赤車軸草、阿膠、
さらに好ましくは、漢方薬草抽出液の原料薬物の重量部数配合比は、
何首烏5~15部、墨旱蓮5~15部、沙参20~50部、白術20~50部、沢潟5~15部、赤シャクヤク20~50部、青皮5~15部、黄柏5~15部、黄精20~50部、制首烏20~50部、絞股藍20~50部、側柏葉20~50部、センキュウ5~15部、天麻5~15部、烏梅炭5~15部、地膚子5~15部、赤車軸草20~50部、阿膠20~50部、
より好ましいのは、何首烏10部、墨旱蓮10部、沙参30部、白術30部、沢潟12部、赤シャクヤク30部、青皮12部、黄柏15部、黄精30部、制首烏30部、絞股藍30部、側柏葉30部、センキュウ12部、天麻12部、烏梅炭10部、地膚子10部、赤車軸草25部、阿膠35部である。
【0016】
本発明によれば、好ましくは、前記嚢胞前駆体は、モノ脂肪酸グリセリド、モノアルキルリン酸エステル及びその塩、2ーヒドロキシ脂肪酸及びその塩、ニコチン酸及びその誘導体、トリブロック共重合体の1つ又は組み合わせから選択可能である。
【0017】
本発明によれば、前記モノ脂肪酸グリセリドは直鎖モノ脂肪酸グリセリドであることが好ましく、さらに好ましくは、C8~C18鎖長の直鎖単脂肪酸グリセリド、より好ましくは、オクタン酸グリセロール、デカン酸グリセロール、ラウリン酸グリセロール、ミリスチン酸グリセロール、ペンタデカン酸グリセロール、パルミチン酸グリセロールである。
本発明によれば、前記モノアルキルリン酸エステル及びその塩は直鎖アルキルリン酸エステル及びその塩であることが好ましい、さらに好ましくは、C8~C16鎖長の直鎖モノアルキルリン酸エステルまたはその塩、より好ましくは、オクチルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、デシルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ラウリルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、パルミシルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩である。
【0018】
本発明によれば、好ましくは、前記2ーヒドロキシ脂肪酸及びその塩は2ーヒドロキシ直鎖脂肪酸及びその塩であり、さらに好ましくは、C8~C16鎖長の2ーヒドロキシ直鎖脂肪酸及びその塩、より好ましくは、2ーヒドロキシオクタン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシデカン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシラウリン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシカルミン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩である。
【0019】
本発明によれば、ニコチン酸及びその誘導体は、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、トコフェロールニコチン酸エステルであることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、好ましくは、前記トリブロック共重合体の化学組成式は、PEOxーPPOyーPEOx、13≦x≦133、29≦y≦65、より好ましくは、PEO77ーPPO29ーPEO77、PEO13ーPPO30ーPEO13、PEO24ーPPO35ーPEO24、PEO133ーPPO50ーPEO133、PEO19ーPPO30ーPEO19、PEO100ーPPO65ーPEO100、PEO26ーPPO40ーPEO26である。
【0021】
本発明の漢方薬草活性物@嚢胞複合物は均一で安定な系であり、常温で1年以上安定して放置することができる。
【0022】
本発明による漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法は、以下の工程を含む:
原料薬物に混合溶媒を添加して抽出し、抽出物を収集し、嚢胞前駆体を添加し、混合、アルコール沈殿、遠心分離、濾過、濃縮し、漢方薬草活性物@嚢胞複合物を得る。
本発明によれば、好ましくは、前記混合溶媒はエタノールー水混合液である。本発明によれば、好ましくは、前記エタノールー水混合液のエタノールの体積百分率濃度は40%~80%、さらに好ましくは55%~70%である。
【0023】
本発明によれば、好ましくは、前記抽出の回数は1~5回であり、前記抽出毎の時間は1~5時間である、前記抽出温度は55℃~80℃である。
最も好ましくは、抽出の回数は4回であり、各抽出時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
【0024】
本発明によれば、前記漢方薬草活性物@嚢胞複合物は漢方薬草活性物誘導下で自発的に嚢胞を形成すると同時に作製される。
【0025】
本発明によれば、前記漢方薬草活性物@嚢胞複合物の応用は化粧品分野に用いられる。
本発明の技術的特徴と有益な効果は以下の通りである:
既存の漢方薬草活性成分、特に脂溶性活性成分は、分子状態の可溶化が製品中に入り込み頭皮と毛嚢に作用することが難しく、最適な薬効を発揮できないため、脱養髪育髪防止効果は大きく割引される。また、既存製品中の活性成分のほとんどは使用瞬間だけ頭皮に高濃度作用が発生し、活性物の緩慢な持続放出環境が不足し、一定の動態有効濃度に維持できないため、吸収効果が悪い。本発明は従来技術の不足及び既存製品の欠陥に対して、安全で有効な脱髪防止と養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物及びその製造方法を提供する。嚢胞の核殻二層膜構造は漢方薬草抽出物中の親水性と疎水性活性成分を同時に可溶化できるだけでなく、その自身の選択浸透性と徐放性能によって、頭皮と毛嚢の周囲に安定した漢方薬草活性物@嚢胞微生態環境を形成し、それによって薬効の最適な利用を得て、養髪と育髪の効果を達成する。
1、本発明は漢方薬草活性物@嚢胞複合物を提供し、活性物は嚢胞中に被覆し、難溶性活性物の溶解度と分散性を高めた。親水性物質はその親水性微小領域、つまり水核の中に被覆されている、疎水性物質は嚢胞の二層膜間に増溶する。
2、本発明の漢方薬草活性物@嚢胞微環境技術は活性物を安定、持続的に放出させ、かつ活性成分抽出物の安定性を高め、より良い養髪育髪効果を達成し、薬物輸送と制御放出と化粧品などの分野で重要な応用将来性がある。
3、本発明の漢方薬草活性物@嚢胞複合物の分散溶媒はエタノールー水混合液であり、純水などの溶媒より、より優れた浸透性と殺菌能力を有する。
4、本発明の漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法は簡単で、反応が温和で、大規模生産に適している。
5、本発明の漢方薬草活性物@嚢胞複合物は均一安定系であり、漢方薬草活性物の含有量範囲は30~100g/Lであり、複合物の粒子径は好ましくはナノスケール(200~800nm)であり、少量系の複合物粒子径は1~5μmに達することができるであり、常温で1年以上安定して放置できる。
6、本発明における漢方薬草抽出液のpH値は5~6であり、Zeta電位は約ー15±5.0mVであるため、非イオン界面活性剤またはアニオン界面活性剤を嚢胞前駆体として選択し、漢方薬草から抽出した活性物の失活または沈殿の発生を回避した。特に非イオン界面活性剤類の嚢胞前駆体は、水またはアルコール中に良好な溶解性能を有し、イオン状態を呈しないため安定性が高く、酸、アルカリまたは強電解質無機塩の影響を受けにくい。また、他のタイプの界面活性剤との適合性が良く、複合的に使用することができる。
7、本発明における複合物はチンキ溶媒(エタノールー水混合液)を採用し、その中の短鎖アルコールは常用の嚢胞破壊剤であるため、ほとんどの相嚢胞系はチンキ溶液中に安定して存在できない。本発明における嚢胞複合物はチンキ溶媒中で自発的に形成することができ、安定して存在し、より優れた経皮能力を有し、これも本発明の剤形の利点である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例1漢方薬草活性物@ラウリン酸グリセリド嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真である。
【
図2】実施例2漢方薬草活性物@モノドデシルホスフェート一ナトリウム嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と光学顕微鏡写真である。
【
図3】実施例3漢方薬草活性物@ニコチン酸(0.5g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真である。
【
図4】実施例4漢方薬草活性物@ニコチン酸(1g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真である。
【
図5】実施例5漢方薬草活性物@2ーヒドロキシオクタン酸ナトリウム嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図及び透過型電子顕微鏡写真である。
【
図6】実施例6における未被覆活性物のPEO
77-PPO
29-PEO
77(5g/L)嚢胞の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真である。
【
図7】実施例6漢方薬草活性物@PEO
77-PPO
29-PEO
77(5g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真である。
【
図8】実施例7漢方薬草活性物@PEO
77-PPO
29-PEO
77(10g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真である。
【
図9】実施例8漢方薬草活性物@PEO
13ーPPO
30ーPEO
13嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と光学顕微鏡写真である。
【
図10】試験例1漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス毛髪成長実験の外観写真である。
【
図11】試験例1漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス背部毛嚢光鏡図である。
【
図12】試験例1漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス背中炎症因子蛍光染色図。
【
図13】比較例1において嚢胞前駆体が添加されていない漢方薬草抽出液の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図14】比較例2に対して添加順序を変更したラウリン酸グリセリドと漢方薬草抽出液の混合物の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図15】比較例3漢方薬草活性物とTween80の混合物の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図16】比較例4漢方薬草活性物とステアリン酸グリセリド混合物の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図17】比較例5漢方薬草活性物とPEO
77-PPO
29-PEO
77(1g/L)混合物の透過型電子顕微鏡写真である。
【
図18】比較例6漢方薬草活性物とPEO
13-PPO
30-PEO
13(25g/L)混合物の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に具体例を組み合わせて本発明をさらに説明するが、この実施例はより詳細な具体的な説明のためのものであり、本発明をいかなる形でも制限するものではない。特に図示しない限り、本発明で用いられる試薬、方法、および装置は、当技術分野における通常の試薬、方法、および装置である。
【0028】
特に断らない限り、以下の例で用いた試薬と材料は市販されている。
実施例で用いた薬剤は以下の通りである:
何首烏、墨旱蓮、沙参、白術、沢潟、赤シャクヤク、青皮、黄柏、黄精、制首烏、絞股藍、側柏葉、センキュウ、天麻、烏梅炭、地膚子、赤車軸草、阿膠。
活性成分の抽出過程は以下の通りである:
原料薬物に混合溶媒を添加して抽出し、抽出物を収集し、嚢胞前駆体を添加し、混合、アルコール沈殿、遠心分離、濾過、濃縮し、薬草活性物@嚢胞複合物を得る。
【0029】
実施例1
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンクに入れ、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、ラウリン酸グリセリド0.3gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@ラウリン酸グリセリド嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた漢方薬草活性物@ラウリン酸グリセリド嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真を
図1に示す。
図1から、本実施例の製品内には大量の嚢胞が存在し、嚢胞粒径分布は700nm程度であり、また負染色透過型電子顕微鏡写真には大量の粒径が200nm程度の凝集体が観察された。
【0030】
実施例2
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、モノドデシルリン酸一ナトリウム1.5gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@モノドデシルリン酸一ナトリウム嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた漢方薬草活性物@モノドデシルホスフェート一ナトリウム嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真を
図2に示す。
図2から、本実施例の製品内には大量のナノスケールの嚢胞とミクロンスケールの嚢胞が共存しており、粒径分布はそれぞれ10~100nmと1~5μmの間。
【0031】
実施例3
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、ニコチン酸0.5gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@ニコチン酸(0.5g/L)嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた漢方薬草活性物@ニコチン酸(0.5g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真を
図3に示す。
図3から、本実施例製品内には、粒径200nm程度の嚢胞が大量に存在し、均一に分散していることがわかる。
【0032】
実施例4
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、ニコチン酸1gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@ニコチン酸(1g/L)嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた漢方薬草活性物@ニコチン酸(1g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真を
図4に示す。
図4から、本実施例製品内には、粒径200~400nm程度の嚢胞が大量に存在し、均一に分散していることがわかる。
【0033】
実施例5
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、2ーヒドロキシオクタン酸ナトリウム3.6gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@2ーヒドロキシオクタン酸ナトリウム嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた漢方薬草活性物@2ーヒドロキシオクタン酸ナトリウム嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真を
図5に示す。
図5から、本実施例の製品内には大量の嚢胞が存在し、嚢胞粒径分布は600nm程度であり、また負染色透過型電子顕微鏡写真には大量の粒径が200nm程度の凝集体も観察できることがわかる。
【0034】
実施例6
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、PEO
77-PPO
29-PEO
77を5g加え、渦攪拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@PEO
77-PPO
29-PEO
77(5g/L)嚢胞複合物を得ることができる。
漢方薬草活性物を被覆していないPEO
77ーPPO
29ーPEO
77(5g/L)嚢胞と本実施例で得られた薬草活性物@PEO
77ーPPO
29ーPEO
77(5g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真をそれぞれ
図6と
図7に示す。未被覆活性物前の嚢胞は均一に分散し、粒径は200~400nmであった(
図6)。一方、活性物被覆後の漢方薬草活性物@嚢胞の粒径は著しく増大し、約700~800nmであり、膜壁は厚くなった(
図7)。
【0035】
実施例7
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、PEO
77-PPO
29-PEO
77を10g加え、渦攪拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@PEO
77-PPO
29-PEO
77(10g/L)嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた漢方薬草活性物@PEO
77-PPO
29-PEO
77(10g/L)嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と透過型電子顕微鏡写真を
図8に示す。
図8から、本実施例の製品内には大量の嚢胞が存在し、嚢胞粒径は200nm程度であり、均一に分散していることがわかる。
【0036】
実施例8
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、PEO
13-PPO
30-PEO
13を5g加え、渦攪拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@PEO
13-PPO
30-PEO
13嚢胞複合物を得ることができる。
本実施例で得られた薬草活性物@PEO
13-PPO
30-PEO
13嚢胞複合物の動的光散乱粒径分布図と光学顕微鏡写真を
図9に示す。
図9から、本実施例の製品内に大量の嚢胞ミクロン級嚢胞が存在し、粒径分布が広く、約2~4μmであることがわかる程度である。
【0037】
実施例9
(1)それぞれ何首烏15g、墨旱蓮5g、沙参20g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク40g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏35g、絞股藍25g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、ラウリン酸グリセリド0.3gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@ラウリン酸グリセリド嚢胞複合物IIを得ることができる。
【0038】
実施例10
(1)それぞれ何首烏5g、墨旱蓮5g、沙参35g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク35g、青皮12g、黄柏10g、黄精40g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭5g、地膚子15g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、モノドデシルリン酸一ナトリウム1.5gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@モノドデシルリン酸一ナトリウム嚢胞複合物IIを得ることができる。
【0039】
実施例11
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮20g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク20g、青皮12g、黄柏15g、黄精20g、制首烏35g、絞股藍30g、側柏葉35g、センキュウ12g、天麻10g、烏梅炭15g、地膚子12g、赤車軸草20g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、PEO77-PPO29-PEO77を10g加え、渦攪拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@PEO77-PPO29-PEO77(10g/L)嚢胞複合物IIを得ることができる。
【0040】
実施例12
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は2時間であり、抽出の温度は80℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、ラウリン酸グリセリド0.3gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@ラウリン酸グリセリド嚢胞複合物IIIを得ることができる。
【0041】
実施例13
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は5時間であり、抽出の温度は60℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、ラウリン酸グリセリド0.3gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮することにより、漢方薬草活性物@ラウリン酸グリセリド嚢胞複合物IVを得ることができる。
【0042】
試験例1、漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス毛髪成長試験
文献調査によると、本実験では脱髪モデルの構築対象としてC57BL/6マウスを選択した。マウスの毛髪は黒であり、独特の毛髪周期同期性を示すことができる。そして、このマウス胴体皮膚のメラニン細胞は毛嚢中にのみ存在し、しかも成長期のみメラニンを合成した。毛髪の成長期には、毛玉部メラニン細胞によってメラニンが絶えず生成され、毛嚢角質形成細胞に伝達されるため、皮膚の外観が黒くなる。退行期にはメラニン生成が減少し、皮膚は灰色黒色になった。休止期に毛玉部の微縮消失により毛嚢はメラニンの生成を停止し、皮膚はピンク色に変化した。休止期の毛髪は抜去後に局所的に高度に同期した新しい毛髪周期を誘導することができ、組織学的にはこのマウスの自然周期の変化と一致しているため、皮膚色の変化から毛髪周期の変化を推定することができる。
【0043】
動物モデリング:C57BL/6マウス、雌、7週齢、体重18-20g。動物剃毛器を用いて簡単な剃毛を行った後、脱髪クリームを用いて脱髪を行い、脱髪面積は2×3cm2、皮膚はピンク色であることがモデリングに成功した。
【0044】
投与方法:上記モデリングに成功したマウスをランダムに6群に分け、各群5匹、グループ毎に毎日2回(朝、晩)対応薬物を投与し、塗布時間は同じで、塗布量は毎回0.4mL、21日間反復投与した。ブランク群に55%チンキ溶媒を塗布処理し、陽性対照群に3%ミノキシジルチンキ剤を投与し、薬物治療群に本発明の実施例調製サンプルを投与した。
【0045】
ここで、次の操作を行います。
投与群Aに漢方薬草活性物抽出液を投与した処理、
投与群Bに実施例2の複合物を投与した処理、
投与群Cに実施例7の複合物を投与した処理、
塗布方法:綿棒を用いて脱髪ゾーンに均一に塗布する。
評価指標:投与後毎日マウス脱髪区の皮膚色変化状況(毎日固定時間)を観察し、7日ごとに1組の写真を撮影し、各マウスの毛髪除去区の皮膚色がピンク色から灰色に変化した時間と灰色から毛が生えた時間を記録し、各群のマウスの毛髪長の平均値を記録し、そしてマウスの体重変化の平均値を記録した。
【0046】
21日間反復投与したマウスを脱頸処理し、動物剃毛器を用いて簡単に剃毛し、ハサミを用いて背中の皮膚を2×2cm
2の形状に剪定し、生理食塩水を用いて表面毛髪を洗い流し、その後4%パラホルムアルデヒドに24~36h浸漬し、裁断した皮膚組織切片及びHEを染色した後、光学顕微鏡下で組織切片断面、縦断面毛嚢個数及び毛嚢形態を観察し、各群のマウスは(×10)を採取した視野の下で毛包の個数、そしてSPSS.26
【0047】
裁断した皮膚組織を切片し、炎症因子であるILー6とTNFーαを選択して標識染色した後、蛍光共焦点顕微鏡下でマウス皮膚組織の視野(×200)下での炎症を観察した(陽性領域は緑色)。
漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス毛髪成長試験の結果を
図10、表1及び表2に示す。投与群のマウス脱髪区の皮膚色が黒くなる時間は空白群より明らかに短い、投与群のマウスの新生毛髪長は投与群でいずれも空白群より有意に優れ、漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス毛髪成長効果は、嚢胞前駆体を添加していない漢方薬草抽出物系より優れている。以上より、実施例2及び実施例7はいずれもマウス毛モデルの毛髪成長を促進する良好な特性を示した。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
「
**」は対照群との間に非常に顕著な差異があることを示し、P<0.01
漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス背部毛嚢光鏡実験結果を
図11、表3に示す。空白群は毛嚢数が少なく、毛嚢の色が薄くなり、下端が退化し、退行期にあり、陽性対照群と投与群A、B、Cの毛嚢数が多く、毛嚢分布がより緊密で、毛乳頭が大きく、毛球内のメラニン色素が明らかで、毛嚢はまだ成長期にある。また、投与群B、Cは投与群Aの毛嚢数よりやや多く、マウスの毛モデルの毛髪成長を促進する良好な特性を示した。
【0052】
漢方薬草活性物@嚢胞複合物のマウス背部炎症因子蛍光染色実験の結果を
図12に示す。各群のマウスの炎症状況には明らかな差はなく、マウスの皮膚組織中の炎症因子の分泌が正常であり、投与群A、B、Cは投与21日以内にマウスの成長に対する毒性効果を示さなかった。
【0053】
試験例2、漢方薬草活性物@嚢胞複合物の人体頭髪成長試験
(1)実施例1、2、4、5、7、8について人体頭髪成長実験を行った。
(2)被験者は120人、男性60人、女性60人、年齢:26~60歳で、被験者の入選基準を満たしていた。被験者をランダムに6グループ、各グループ20人に分けた。
(3)実施例1、2、4、5、7、8で調製した漢方薬草活性物@嚢胞複合物を用いて治療を行った。
(4)5 mL漢方薬草活性物@嚢胞複合物を頭皮部に塗布し、毎日2回、全身及び局所副作用の有無を観察し、そして詳細に結果を記録し、毎週1回検査し、4週間観察し、結果は表4を参照。
(5)治療効果の標準は(a)に分けて効果がある:明らかな脱髪がなく、大量の新しい毛髪の生成がある、(b)有効:脱髪は制御され、少量の新しい毛髪生成がある、(c)無効:治療前後に明らかな変化がない、(d)有害:全身または局所に副作用があることを生じる。
(6)漢方薬草活性物@嚢胞複合物の人体試用試験結果を表1に示す。
【0054】
【0055】
表4から、実施例1、2、4、5、7、8はいずれも人体の髪の成長を促進する良好な特性を示した。
【0056】
比較例1
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠75gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650 mLの三次水と800 mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物を渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮し、試料を層分けし、底部に沈殿析出があり、常温で均一で安定した溶液を形成できない。
比較例1には、漢方薬草抽出液の透過型電子顕微鏡写真を
図13に示す嚢胞前駆体は添加されていない。抽出液中の活物質は分散性が悪く、凝集が深刻である。これは嚢胞前駆体が漢方薬草抽出液中の活性物の分散性、均一性と安定性に重要な役割を果たしていることを示している。
【0057】
比較例2
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンクに入れ、ラウリン酸グリセリド0.3g、650mL三次水と800mLエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮、試料層化、大量の油滴析出、分散性が悪く、常温で均一で安定な漢方薬草活性物@嚢胞複合物を形成できない。
比較例2では、嚢胞前駆体の添加順序を変更した。ラウリン酸グリセリドと漢方薬草抽出液の混合物の透過型電子顕微鏡写真は
図14に示すように、サンプル内抽出物の分散性が悪く、凝集が深刻であり、嚢胞前駆体の添加順序が漢方薬草抽出物の溶解性及び分散性に影響することを説明した。
【0058】
比較例3
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、Tween80を5g加え、渦攪拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮し、サンプル中に球状嚢胞構造が発見されず、凝集が深刻で、48時間後に層分けが現れ、常温で均一で安定な漢方薬草活性物@嚢胞複合物を形成できなかった。
比較例3の嚢胞前駆体はTween80であり、薬草活性物との混合物の透過型電子顕微鏡写真を
図15に示す。Tween80は漢方薬草抽出物中に嚢胞構造を形成できず、抽出物の凝集が深刻で、分散性が悪く、活性成分がカプセル化され、放出されない。
【0059】
比較例4
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物にステアリン酸グリセリド0.4gを添加し、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮、サンプル分散性が悪く、嚢胞構造が発見されず、凝集が深刻で、30分後に層分けが現れ、常温で均一で安定な漢方薬草活性物@嚢胞複合物を形成できなかった。
比較例4漢方薬草活性物とステアリン酸グリセリド混合物の透過型電子顕微鏡写真を
図16に示す。混合試料には油滴状物のみが観察され、ステアリン酸グリセリドは漢方薬草抽出物中に嚢胞構造を形成できず、系溶解性及び分散性が悪く、活性成分はカプセル化及び放出できないことを説明した。
【0060】
比較例5
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、PEO
77-PPO
29-PEO
771gを加え、渦撹拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮し、サンプル分散性が悪く、球状嚢胞構造が発見されず、24時間後に層分けが出現し、常温で均一で安定した漢方薬草活性物@嚢胞複合物を形成できなかった。
比較例5漢方薬草活性物とPEO
77-PPO
29-PEO
77(1g/L)混合物の透過型電子顕微鏡写真を
図17に示す。嚢胞前駆体PEO
77-PPO
29-PEO
77は濃度が低すぎると、漢方薬草抽出物系内で嚢胞を形成できず、サンプルの溶解性及び分散性が悪く、活性成分はカプセル化及び放出できない。
【0061】
比較例6
(1)それぞれ何首烏10g、墨旱蓮10g、沙参30g、白術30g、沢潟12g、赤シャクヤク30g、青皮12g、黄柏15g、黄精30g、制首烏30g、絞股藍30g、側柏葉30g、センキュウ12g、天麻12g、烏梅炭10g、地膚子10g、赤車軸草25g、阿膠35gを混合し、粉末状態に粉砕した。
(2)操作(1)中の漢方薬粉末を抽出タンク内に置き、650mLの三次水と800mLのエタノールを加え、30分間浸漬し、アルコール沈殿、濃縮、抽出し、漢方薬草抽出物を得た。ここで、抽出の回数は4回であり、毎回前記抽出の時間は4時間であり、抽出の温度は70℃である。
(3)操作(2)で得られた漢方薬草抽出物に、PEO
13-PPO
30-PEO
1325gを加え、渦攪拌、遠心分離、24時間静置、濾過、濃縮し、サンプル分散性が悪く、球状嚢胞構造が発見されず、常温で均一で安定な漢方薬草活性物@嚢胞複合物を形成できなかった。
比較例6漢方薬草活性物とPEO
13-PPO
30-PEO
13(25g/L)混合物の透過型電子顕微鏡写真を
図18に示す。嚢胞前駆体PEO
13-PPO
30-PEO
13が濃度が高すぎると、この系内で嚢胞を形成することができず、混合試料の溶解性及び分散性が悪く、凝集が深刻で、活性成分がカプセル化され放出されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物であって、
漢方薬草活性物と嚢胞と、を備え、前記漢方薬草活性物は嚢胞中に被覆される:親水性物質はその親水性微小領域、つまり水核中に被覆される、疎水性物質は嚢胞の二層膜の間に増溶
し、
漢方薬草活性物@嚢胞複合物の分散溶媒はエタノール‐水混合液であり、
前記嚢胞は両親媒性分子系から形成され、両親媒性分子の濃度範囲は0.1~20g/Lであり、前記両親媒性分子は嚢胞前駆体と呼ばれ、前記嚢胞前駆体は、モノ脂肪酸グリセリド、モノアルキルリン酸エステル及びその塩、2ーヒドロキシ脂肪酸及びその塩、ニコチン酸及びその誘導体、トリブロック共重合体の1つ又は組み合わせから選択し、
前記モノ脂肪酸グリセリドは、オクタン酸グリセリド、デカン酸グリセリド、ラウリン酸グリセリド、ミリスチン酸グリセリド、ペンタデカン酸グリセリド、パルミチン酸グリセリドであり、
前記モノアルキルリン酸エステル及びその塩は、オクチルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、デシルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ラウリルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、ミリスチルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、パルミチルリン酸エステル及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、
前記2ーヒドロキシ脂肪酸及びその塩は、2ーヒドロキシオクタン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシデカン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシラウリン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、2ーヒドロキシパルミチン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩であり、
前記ニコチン酸及びその誘導体はニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、トコフェロールニコチン酸エステルであり、
前記トリブロック共重合体の化学組成一般式は、PEO
77
ーPPO
29
ーPEO
77
、PEO
13
ーPPO
30
ーPEO
13
、PEO
24
ーPPO
35
ーPEO
24
、PEO
133
ーPPO
50
ーPEO
133
、PEO
19
ーPPO
30
ーPEO
19
、PEO
100
ーPPO
65
ーPEO
100
、PEO
26
ーPPO
40
ーPEO
26
である、
養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項2】
前記複合物の粒径が80nm~5μmであ
る、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項3】
前記嚢胞は二層膜嚢胞であり、二層膜厚は3~7 nmの間にある、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項4】
漢方薬草活性物@嚢胞複合物中の漢方薬草活性物の含有量範囲が30~100g/Lである、
請求項1に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか1項に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法でたって、
原料薬物に混合溶媒を加えて抽出し、
前記混合溶媒はエタノールー水混合液であり、抽出物を収集し、嚢胞前駆体を加え、混合、アルコール沈殿、遠心分離、濾過、濃縮し、漢方薬草活性物@嚢胞複合物を得る、
を含む、養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法。
【請求項6】
前記エタノールー水混合液のエタノールの体積百分率濃度が40%~80%
である、
請求項5に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法。
【請求項7】
前記抽出の回数は1~5回、前記抽出の時間は1~5時間、前記抽出温度は55℃~80℃である、
請求項5に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の製造方法。
【請求項8】
請求項
1~4のいずれか1項に記載の養髪育髪効果を有する漢方薬草活性物@嚢胞複合物の化粧品分野への応用。
【国際調査報告】