(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】吸着ベースのクラウス法テールガス処理
(51)【国際特許分類】
C01B 17/04 20060101AFI20241203BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20241203BHJP
B01D 53/04 20060101ALI20241203BHJP
F25J 3/00 20060101ALI20241203BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C01B17/04 V
B01D53/26 231
B01D53/04 230
F25J3/00
B01D53/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536310
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022052989
(87)【国際公開番号】W WO2023114385
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GR
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リトクスース、ゲオルギオス
(72)【発明者】
【氏名】デュヴァル、セバスティアン エー.
(72)【発明者】
【氏名】オスマン、ラシド エム.
【テーマコード(参考)】
4D006
4D012
4D047
4D052
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006MB04
4D006PA01
4D006PB18
4D006PB63
4D006PB64
4D006PC80
4D012BA01
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4D012CK01
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4D052AA02
4D052CD00
4D052DA03
4D052DA04
4D052DB01
4D052GA01
4D052GB08
4D052HA03
(57)【要約】
硫黄回収方法は、水素化反応器内でクラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して水素化ガス流を生成することと、水素化ガス流をクエンチ塔に供給し、液体の水を凝縮してクエンチガス流を生成することと、クエンチガス流を第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給して、クエンチガス流から水を吸着することにより第1の出口ガス流を生成することと、第1の出口ガス流を第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給して、第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することにより第2の副生ガス流を生成することと、第2の副生ガス流を二酸化炭素流と富化窒素流とに分離することと、富化窒素流を用いて第2段の吸着容器を再生することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄回収方法であって、
水素化反応器内で、クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む水素化ガス流を生成することと、
前記水素化ガス流をクエンチ塔に供給して、液体の水を凝縮して水凝縮物流とすることにより、クエンチガス流を生成することと、
前記クエンチガス流を第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給して、前記クエンチガス流から水を吸着することにより、第1の出口ガス流を生成することと、
前記第1の出口ガス流を第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給して、前記第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することにより、第2の副生ガス流を生成することと、
前記第2の副生ガス流の少なくとも一部を二酸化炭素流と富化窒素流とに分離することと、
前記富化窒素流の一部を前記第2段の吸着容器に供給することにより、前記第2段の吸着容器を再生して、第2の出口ガス流を生成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の副生ガス流の第1の部分を、極低温分離を用いて、前記二酸化炭素流と前記富化窒素流とに分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の副生ガス流の第1の部分を、分離膜を用いて、前記二酸化炭素流と前記富化窒素流とに分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分離膜に真空を適用することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素流を、熱酸化装置に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記二酸化炭素流を、エジェクタを介して前記熱酸化装置に供給することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記富化窒素流の第1の部分を前記第1段の吸着容器に供給することにより前記第1段の吸着容器を再生し、水を脱着させることによって第1の副生ガス流を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の副生ガス流を前記水素化ガス流と合流させて合流流を形成し、前記合流流を前記クエンチ塔に供給することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化ガス流からの熱を用いて、熱交換器内で前記富化窒素流を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
圧縮機で前記クエンチガス流を加圧することと、前記加圧されたクエンチガス流を冷却することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記クエンチガス流を収集ドラムに供給し、第2の水凝縮物流を介して液体の水を回収することにより、前記第1段の吸着容器に供給される吸着供給物を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記水凝縮物流を、サワー水ストリッパに供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の副生ガス流の第2の部分を、熱酸化装置に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の出口ガス流を、反応炉に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
クラウス法テールガスから硫黄を回収するシステムであって、
クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して、水素化ガス流を生成するように構成された水素化反応器と、
前記水素化反応器に流体接続され、前記水素化ガス流を受け取り、液体の水を水凝縮物流に凝縮することによって、クエンチガス流を生成するように構成されたクエンチ塔と、
第1段の吸着容器を含む第1段の吸着ユニットであって、前記第1段の吸着容器が、第1段の吸着サイクル中に前記クエンチ塔に流体接続され、前記クエンチガス流を受け取り、前記クエンチガス流から水を吸着することによって第1の出口ガス流を生成するように構成されている、第1段の吸着ユニットと、
第2段の吸着容器を含む第2段の吸着ユニットであって、前記第2段の吸着容器が、第2段の吸着サイクル中に前記第1段の吸着容器に流体接続され、前記第1の出口ガス流を受け取り、前記第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することによって第2の副生ガス流を生成するように構成されている、第2段の吸着ユニットと、
前記第2の副生ガス流の少なくとも一部を受け取り、前記第2の副生ガス流の一部を二酸化炭素流と富化窒素流とに分離するように構成された二酸化炭素分離要素と、
を含み、
前記第2段の吸着容器が、第2段階の再生サイクル中に、前記富化窒素流の一部を受け取るように構成されている、
システム。
【請求項16】
前記二酸化炭素分離要素が、前記第2の副生ガス流の一部を、前記二酸化炭素流と前記富化窒素流とに分離するように構成された分離膜を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記二酸化炭素分離要素が、極低温分離要素を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記二酸化炭素流を受け取るように構成された熱酸化装置を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
エジェクタを備え、前記熱酸化装置が、前記エジェクタから前記二酸化炭素流を受け取るように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1段の吸着容器が、第1段階の再生サイクル中に、前記富化窒素流の第1の部分を受け取り、水を脱着させることによって第1の副生ガス流を生成するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の副生ガス流の第2の部分を受け取るように構成された熱酸化装置を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2段の吸着容器に流体接続され、前記第2段階の再生サイクル中に、前記第2段の吸着ユニットで生成された第2の出口ガスを受け取るように構成された反応炉を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記富化窒素流からの熱で前記水素化ガス流を冷却するように構成された熱交換器を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1段の吸着容器が、親水性モレキュラーシーブを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記第2段の吸着容器が、Cu-Y型ゼオライトを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1段の吸着ユニットが、並列に流体接続された複数の第1段の吸着容器を備え、前記第2段の吸着ユニットが、並列に流体接続された複数の第2段の吸着容器を備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
硫黄回収方法であって、
水素化反応器内で、クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む水素化ガス流を生成することと、
前記水素化ガス流をクエンチ塔に供給して、液体の水を凝縮して水凝縮物流とすることにより、クエンチガス流を生成することと、
前記クエンチガス流を第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給して、前記クエンチガス流から水を吸着することにより、第1の出口ガス流を生成することと、
前記第1の出口ガス流を第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給して、前記第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することにより、第2の副生ガス流を生成することと、
前記第2段の吸着容器を再生して第2の出口ガス流を生成することであって、前記第2段の吸着容器を再生することが、前記第2の副生ガス流の一部と窒素流とを前記第2段の吸着容器に供給することを含む、第2の出口ガス流を生成することと、
を含む方法。
【請求項28】
前記第2段の吸着容器を再生することが、前記窒素流を、極低温タンクから前記第2段の吸着容器に供給することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2段の吸着容器を再生することが、
第1の期間の間、前記第2の副生ガス流の一部を、前記第2段の吸着容器に供給することと、
前記第1の期間に続く第2の期間の間、前記窒素ガス流を、前記第2段の吸着容器に供給することと、
を含む、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
(関連出願の相互参照)
本出願は2021年12月15日に出願されたギリシャ特許出願第20210100882号、及び2022年9月15日に出願された米国特許出願第17/945,809号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
硫黄回収とは、硫化水素を硫黄元素に変換することである。硫化水素は、天然ガスの処理や、硫黄を含有する原油の精製から生じる副生成物であり得る。従来の硫黄回収法は、クラウス法である。従来のクラウス法では、95%~98%の硫化水素を回収することができる。クラウス法からのテールガスは、例えば、5%未満の硫化水素など、残りの(残留)硫化水素を有することができる。クラウス法のテールガスを処理することで、この残留硫化水素を回収することができる。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、硫黄回収方法は、
水素化反応器内でクラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む水素化ガス流を生成することと、
前記水素化ガス流をクエンチ塔に供給して、液体の水を凝縮して水凝縮物流とすることにより、クエンチガス流を生成することと、
前記クエンチガス流を第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給して、前記クエンチガス流から水を吸着することにより、第1の出口ガス流を生成することと、
前記第1の出口ガス流を第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給して、前記第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することにより、第2の副生ガス流を生成することと、
前記第2の副生ガス流の少なくとも一部を二酸化炭素流と富化窒素流とに分離することと、前記富化窒素流の一部を前記第2段の吸着容器に供給して第2の出口ガス流を生成することにより、前記第2段の吸着容器を再生することと、
を含む。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上の任意の組合せを含むことができる。
【0005】
前記方法は、前記第2の副生ガス流の第1の部分を、極低温分離を用いて、前記二酸化炭素流と前記富化窒素流とに分離することを含む。
【0006】
前記方法は、前記第2の副生ガス流の第1の部分を、分離膜を用いて、前記二酸化炭素流と前記富化窒素流とに分離することを含む。場合によっては、前記方法は、前記分離膜に真空を適用することを含む。
【0007】
前記方法は、前記二酸化炭素流を熱酸化装置に供給することを含む。場合によっては、前記方法は、前記二酸化炭素流をエジェクタを介して前記熱酸化装置に供給することを含む。
【0008】
前記方法は、前記富化窒素流の第1の部分を前記第1段の吸着容器に供給することにより前記第1段の吸着容器を再生し、水を脱着させることによって第1の副生ガス流を生成することを含む。場合によっては、前記方法は、前記第1の副生ガス流を前記水素化ガス流と合流させて合流流を形成し、前記合流流をクエンチ塔に供給することを含む。
【0009】
前記方法は、前記水素化ガス流からの熱を用いて、熱交換器内で前記富化窒素流を加熱することを含む。
【0010】
前記方法は、圧縮機で前記クエンチガス流を加圧することと、前記加圧されたクエンチガス流を冷却することとを含む。
【0011】
前記方法は、前記クエンチガス流を収集ドラムに供給し、第2の水凝縮物流を介して液体の水を回収することにより、前記第1段の吸着容器に供給される吸着供給物を生成することを含む。
【0012】
前記方法は、前記水凝縮物流をサワー水ストリッパに供給することを含む。
【0013】
前記方法は、前記第2の副生ガス流の第2の部分を熱酸化装置に供給することを含む。
【0014】
前記方法は、前記第2の出口ガスを反応炉に供給することを含む。
【0015】
一態様では、クラウス法テールガスから硫黄を回収するシステムは、
クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して、水素化ガス流を生成するように構成された水素化反応器と、
前記水素化反応器に流体接続され、前記水素化ガス流を受け取り、液体の水を水凝縮物流に凝縮することによって、クエンチガス流を生成するように構成されたクエンチ塔と、
第1段の吸着容器を含む第1段の吸着ユニットであって、前記第1段の吸着容器が、第1段の吸着サイクル中に前記クエンチ塔に流体接続され、前記クエンチガス流を受け取り、前記クエンチガス流から水を吸着することによって第1の出口ガス流を生成するように構成されている、第1段の吸着ユニットと、
第2段の吸着容器を含む第2段の吸着ユニットであって、前記第2段の吸着容器が、第2段の吸着サイクル中に前記第1段の吸着容器に流体接続され、前記第1の出口ガス流を受け取り、前記第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することによって第2の副生ガス流を生成するように構成されている、第2段の吸着ユニットと、
前記第2の副生ガス流の少なくとも一部を受け取り、前記第2の副生ガス流の一部を二酸化炭素流と富化窒素流とに分離するように構成された二酸化炭素分離要素と、
を含み、
前記第2段の吸着容器が、第2段階の再生サイクル中に、前記富化窒素流の一部を受け取るように構成されている、
システム。
【0016】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上の任意の組合せを含むことができる。
【0017】
前記二酸化炭素分離要素は、前記第2の副生ガス流の一部を前記二酸化炭素流と前記富化窒素流とに分離するように構成された分離膜を含む。
【0018】
前記二酸化炭素分離要素は、極低温分離要素を含む。
【0019】
前記システムは、前記二酸化炭素流を受け取るように構成された熱酸化装置を含む。場合によっては、前記システムはエジェクタを含み、前記熱酸化装置は前記エジェクタから前記二酸化炭素流を受け取るように構成されている。
【0020】
前記第1段の吸着容器は、第1段階の再生サイクル中に、前記富化窒素流の第1の部分を受け取り、水を脱着させることによって第1の副生ガス流を生成するように構成されている。
【0021】
前記システムは、前記第2の副生ガス流の第2の部分を受け取るように構成された熱酸化装置を含む。
【0022】
前記システムは、前記第2段の吸着容器に流体接続され、前記第2段階の再生サイクル中に、前記第2段の吸着ユニットで生成された第2の出口ガスを受け取るように構成された反応炉を含む。
【0023】
前記システムは、前記富化窒素流からの熱で前記水素化ガス流を冷却するように構成された熱交換器を含む。
【0024】
前記第1段の吸着容器が、親水性モレキュラーシーブを含む。
【0025】
前記第2段の吸着容器が、Cu-Y型ゼオライトを含む。
【0026】
前記第1段の吸着ユニットが、並列に流体接続された複数の第1段の吸着容器を含み、前記第2段の吸着ユニットが、並列に流体接続された複数の第2段の吸着容器を含む。
【0027】
一態様では、硫黄回収方法は、
水素化反応器内で、クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物を硫化水素に変換して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む水素化ガス流を生成することと、
前記水素化ガス流をクエンチ塔に供給して、液体の水を凝縮して水凝縮物流とすることにより、クエンチガス流を生成することと、
前記クエンチガス流を第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給して、前記クエンチガス流から水を吸着することにより、第1の出口ガス流を生成することと、
前記第1の出口ガス流を第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給して、前記第1の出口ガス流から硫化水素を吸着することにより、第2の副生ガス流を生成することと、
前記第2段の吸着容器を再生して第2の出口ガス流を生成することであって、前記第2段の吸着容器を再生することが、前記第2の副生ガス流の一部と窒素流とを前記第2段の吸着容器に供給することを含む、第2の出口ガス流を生成することと、
を含む。
【0028】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上の任意の組合せを含むことができる。
【0029】
前記第2段の吸着容器を再生することが、前記窒素流を、極低温タンクから前記第2段の吸着容器に供給することを含む。
【0030】
前記第2段の吸着容器を再生することが、第1の期間の間、前記第2の副生ガス流の一部を、前記第2段の吸着容器に供給することと、前記第1の期間に続く第2の期間の間、前記窒素ガス流を、前記第2階の吸着容器に供給することと、を含む。
【0031】
1つ以上の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、クラウス法テールガス処理システムの図である。
【
図2】
図2は、クラウス法テールガス処理システムの図である。
【
図3】
図3は、クラウス法テールガス処理システムの図である。
【
図4】
図4は、クラウス法テールガス処理システムの図である。
【
図5】
図5は、クラウス法テールガス処理システムの図である。
【
図6】
図6は、クラウス法テールガス処理システムの図である。
【
図8】
図8は、Cuイオンでイオン交換されたY型ゼオライト(「CuY」)上の硫化水素のシミュレートされた吸着等温線のプロットである。
【
図11】
図11は、水除去吸着容器内の水のシミュレートされた破過曲線のプロットである。
【
図13A】
図13Aは、硫化水素除去吸着容器内の二酸化炭素及び窒素のシミュレートされた破過曲線のプロットである。
【
図13B】
図13Bは、硫化水素除去吸着容器内の硫化水素のシミュレートされた破過曲線のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここでは、ハイレベルの硫黄回収を容易化する、クラウス法テールガス処理システムにおける硫化水素吸着容器の再生へのアプローチについて記述する。いくつかのアプローチでは、硫化水素吸着容器の再生のために2段階プロセスが採用されている。第1段階では、二酸化炭素及び窒素を含む清浄ガスのスリップ流(slip stream)を硫化水素吸着容器に供給して、容器内の吸着剤材料から硫化水素を脱着させる。次いで、清浄ガスの供給が停止され、さらなる再生のために高純度窒素流が、硫化水素吸着容器に供給される。いくつかのアプローチでは、清浄ガスのスリップ流は、例えば分離膜によって、二酸化炭素流と窒素流とに分離され、次いで窒素流が再生のために硫化水素吸着容器に導かれる。二酸化炭素流は、熱酸化装置に供給され得る。
【0034】
クラウス法テールガス処理システムにおける吸着剤の再生に対するこれらのアプローチは、吸着剤再生中の硫化水素スパイクの発生を回避するのに役立ち得る。加えて、これらのアプローチは、ハイレベルの硫黄回収、例えば、99%より多い、99.5%より多い、99.9%より多い、又は99.95%より多い硫黄回収を容易化することができ、回収された硫化水素は、クラウス法の供給ガスにリサイクルされる。
【0035】
図1は、クラウス法テールガス処理システム100の概略図を示す。クラウス法テールガス処理方法及びシステムのさらなる説明は、米国特許第10,662,061号に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。システム100は、第1の熱交換器102と、水素化反応器104と、クエンチ塔(quench tower)106と、第2の熱交換器108と、第1段の吸着ユニット110と、第2段の吸着ユニット112と、第3の熱交換器114と、第4の熱交換器116とを含む。
【0036】
テールガス流120は、第1の熱交換器102において加熱されて、加熱されたテールガス流122を生成する。加熱されたテールガス流122は、水素化反応器104に導入されて、水素化ガス流124を生成する。水素化ガス流124は、クエンチ塔106に導入されて、クエンチされたクエンチガス流126及び水凝縮物流128を生成する。クエンチガス流126は、第2の熱交換器108で冷却されて、冷却されたクエンチガス流130を生成する。冷却されたクエンチガス流130は、第1段の吸着ユニット110に導入されて、第1の出口ガス流132及び第1の副生成物流136を生成する。第1の出口ガス流132は、第4の熱交換器116で冷却されて、冷却された第1の出口ガス流134を生成する。冷却された第1の出口ガス流134は、第2段の吸着ユニット112に導入されて、第2の出口ガス流140及び第2の副生成物流138を生成する。
【0037】
いくつかの例では、例えば
図1に示すように、ガス供給物142は第3の熱交換器114において加熱されて、第1の再生ガス流144及び第2の再生ガス流146を生成する。供給物142は、空気(図示のように)、又は二酸化炭素及び窒素を含む比較的清浄なガスとすることができる。第1の再生ガス流144は、第1段の吸着ユニット110に導入される。第2の再生ガス流146は、第2段の吸着ユニット112に導入される。
【0038】
テールガス流120は硫黄含有化合物、例えば、上流クラウスユニットによって完全には回収されなかった硫黄含有化合物を含むクラウス法テールガスを含む。硫黄含有化合物は、硫黄元素、硫化水素、硫黄酸化物、及びそれらのアニオン性対応物(anionic counterparts)などの形態で存在し得る。本明細書で使用するとき、用語「硫黄元素」は、S、S2、S3、S4、S5、S6、S7、及びS8などの形態で存在し得る硫黄の全ての相を指す。硫黄酸化物の非限定的な例としては、SO、SO2、SO3、SO4、S2O、S2O2、S6O、S6O2、S7O、S7O2、S8O、S9O、及びS10Oが挙げられる。テールガス流120中のクラウス法テールガスは、二酸化炭素、水、窒素、水素、及びそれらの組合せを含むこともできる。
【0039】
第1の熱交換器102は、水素化反応器104内で水素化反応が起こり得る温度までガス流を加熱することができる任意の熱交換器であり得る。第1の熱交換器102は、加熱されたテールガス流122が約200℃~約300℃、例えば約220℃~約280℃、又は約240℃~約260℃、例えば約250℃の温度を有するように、テールガス流120を加熱することができる。加熱後、加熱されたテールガス流122は、テールガス流120について上述した、硫黄含有化合物、二酸化炭素、水、窒素、水素、及びその組合せを依然として含む。
【0040】
水素化反応器104は、硫化水素以外の加熱されたテールガス流122中の硫黄含有化合物を硫化水素に還元することができる、触媒反応器又は非触媒反応器などの任意の反応器であり得る。いくつかの例では、加熱されたテールガス流122に含まれる水素は、加熱されたテールガス流122中の硫黄含有化合物を硫化水素に還元するために使用される。いくつかの例では、補給(make-up)水素ガス流(図示せず)が水素化反応器104に導入される。いくつかの例では、水素化反応中に水が副生成物として生成される。その結果、水素化ガス流124に含まれる硫黄含有化合物は、実質的に硫化水素のみとなる。水素化ガス流124はまた、二酸化炭素、水、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0041】
クエンチ塔106は水素化ガス流124から水を凝縮し、回収することができる任意の装置とすることができる。水素化ガス流124に含まれる水の大部分が凝縮され、水凝縮物流128を介して実質的に回収される。水素化ガス流124に含まれる水の大部分は除去されるが、クエンチ塔106から出力されるクエンチガス流126は、依然として残留量の気相水(gas phase water)を含み得る。例えば、クエンチガス流126は、約0モル%~約20モル%、例えば、約3モル%~約15モル%、又は約4モル%~約10モル%、例えば、約8モル%の範囲の気相水含有量を有することができる。クエンチガス流126はまた、硫化水素(例えば、クラウス法テールガス中に予め存在する硫化水素、水素化反応器104内で生成される硫化水素、又はその両方)、二酸化炭素、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。クエンチガス流126は、約20℃~約170℃、例えば、約30℃~約100℃、又は約40℃~約80℃、例えば、約43℃の範囲の温度を有する。
【0042】
第2の熱交換器108は、ガス流を、第1段の吸着ユニット110において吸着が起こる温度まで冷却することができる任意の熱交換器であり得る。第2の熱交換器108は、冷却されたクエンチガス流130が、約0℃~約70℃、例えば、約10℃~約40℃、又は約15℃~約30℃、例えば、約21℃の範囲の温度を有するように、クエンチガス流126を冷却することができる。クエンチガス流126が冷却されると、冷却されたクエンチガス流130の気相水含有量は、約0モル%~約10モル%、例えば、約0モル%~約5モル%、又は約0モル%~約1モル%、例えば、約0.46モル%の範囲まで減少する。冷却されたクエンチガス流130は、硫化水素(例えば、クラウス法テールガス中に予め存在する硫化水素、水素化反応器104内で生成される硫化水素、又はその両方)、二酸化炭素、水、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0043】
第1段の吸着ユニット110は、直列又は並列に流体接続された1つ以上の第1段の吸着容器150を含む。1つ以上の第1段の吸着容器150の各々は、第1の吸着剤で充填されている。
【0044】
いくつかの例では、第1の吸着剤は、湿潤ガス流(冷却されたクエンチガス流130など)からの水を概ね排除しながら、硫化水素を選択的に捕捉することができる任意の吸着剤を含む。第1の吸着剤に使用される非限定的な例示材料としては、MFI型又はCHA型などの骨格を有するオールシリカゼオライトが挙げられる。オールシリカゼオライトは、疎水性材料であり、水などの極性分子を、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素などの極性の低い分子から分離するために使用することができる。吸着サイクル中、冷却されたクエンチガス流130の成分は、第1段の吸着ユニット110の1つ以上の第1段の吸着容器150を通して導入される。冷却されたクエンチガス流の水以外の成分(例えば、硫化水素)は、第1の吸着剤の細孔内に捕捉される。水は第1の吸着剤を通過し、その後、第1の副生成物流136を介して収集される。再生サイクル中、第1の再生ガス流144の成分は、1つ以上の第1段の吸着容器150に入り、第1の吸着剤を再生する。脱着(desorption)は1つ以上の第1段の吸着容器150内で起こり、第1の吸着剤は、捕捉された硫化水素を放出して、実質的に水の非存在下で第1の出口ガス流132を生成する。
【0045】
いくつかの例では、第1の吸着剤は、硫化水素を概ね排除しながら、湿潤ガス流(冷却されたクエンチガス流130など)からの水を選択的に捕捉することができる任意の吸着剤を含む。第1の吸着剤に使用される非限定的な例示材料には、米国特許第9,701,537号に記載されている親水性3Aモレキュラーシーブなどのモレキュラーシーブが含まれる。米国特許第9,701,537号に記載の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。吸着サイクル中、冷却されたクエンチガス流130の成分は、第1段の吸着ユニット110の1つ以上の第1段の吸着容器150を通して導入される。水(及び比較的少量の硫化水素)は、第1の吸着剤の細孔内に捕捉される。水以外の成分(例えば、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素)は、第1の吸着剤を通過して、実質的に水が存在しない状態で第1の出口ガス流132を生成する。再生サイクル中、第1の再生ガス流144の成分は1つ以上の第1段の吸着容器150に入り、第1の吸着剤を再生する。脱着は1つ以上の第1段の吸着容器150内で起こり、ここで、第1の吸着剤は、捕捉された水(及び比較的少量の硫化水素)を放出し、これは、第1の副生成物流136を介して収集される。
【0046】
いくつかの例では、第1段の吸着ユニット110は、並列に流体接続された少なくとも3つの第1段の吸着容器150を含む。運転中の任意の時点で、少なくとも3つの第1段の吸着容器150のうちの1つが吸着サイクルを実施しており、少なくとも3つの第1段の吸着容器150のうちの1つが再生サイクルを実施しており、少なくとも3つの第1段の吸着容器150のうちの1つが待機している。このようにして、冷却されたクエンチガス流130の成分を第1段の吸着ユニット110に連続的に供給することができ、第1段の吸着ユニット110から第1の出口ガス流132の連続的な流れ(continuous flow)を生成することができる。
【0047】
第4の熱交換器116は、第2段の吸着ユニット112において吸着が起こる温度までガス流を冷却することができる任意の熱交換器であり得る。第4の熱交換器116は、冷却された第1の出口ガス流134が、約0℃~約70℃、例えば約10℃~約40℃、又は約15℃~約30℃、例えば約25℃の温度を有するように、第1の出口ガス流132を冷却することができる。第1の出口ガス流132は、硫化水素、二酸化炭素、窒素、及びこれらの組合せを含むことができ、これらはすべて、第1段の吸着ユニット110の生成物である。
【0048】
第2段の吸着ユニット112は、直列又は並列に流体接続された1つ以上の第2段の吸着容器152を含む。1つ以上の第2段の吸着容器152の各々は、第2の吸着剤で充填されている。いくつかの例では、第2の吸着剤は、二酸化炭素及び窒素を排除しながら硫化水素を選択的に捕捉することができる任意の吸着剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤は、硫化水素と二酸化炭素との間の破過時間の差、及び硫化水素と窒素との間の破過時間の差を有する任意の吸着剤を含むことができる。第2の吸着剤に使用される非限定的な例示材料としては、モレキュラーシーブ(例えば、モレキュラーシーブ4Aなど)や、MFI型、CHA型、FAU型、MOR型、DDR型、FER型、又はMWW型などの骨格を有する疎水性ゼオライトや、MOF又はZIFなどの疎水性ゼオライトが挙げられる。
【0049】
吸着サイクル中、冷却された第1の出口ガス流134の成分は、第2段の吸着ユニット112の1つ以上の第2段の吸着容器152を通して導入される。硫化水素は、第2の吸着剤の細孔内に捕捉される。硫化水素以外の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は第2の吸着剤を通過し、その後、第2の副生成物流138を介して収集される。再生サイクル中、第2の再生ガス流146の成分は1つ以上の第2段の吸着容器152に入り、第2の吸着剤を再生する。脱着は1つ以上の第2段の吸着容器152で起こり、第2の吸着剤は、捕捉された硫化水素を放出して、実質的に二酸化炭素及び窒素の非存在下で、第2出口ガス流140を生成する。
【0050】
いくつかの例では、第2段の吸着ユニット112は、並列に流体接続された少なくとも3つの第2段の吸着容器152を含む。運転中の任意の時点で、少なくとも3つの第2段の吸着容器152のうちの1つが吸着サイクルを実施しており、少なくとも3つの第2段の吸着容器152のうちの1つが再生サイクルを実施しており、少なくとも3つの第2段の吸着容器152のうちの1つが待機している。このようにして、冷却された第1の出口ガス流134の成分を第2段の吸着ユニット112に連続的に供給することができ、第2段の吸着ユニット112から第2の出口ガス流140の連続的な流れを生成することができる。
【0051】
ガス供給物142は、吸着剤材料を再生するための再生ガスとして好適な任意の酸素含有ガスの空気供給物(air feed)とすることができる。ガス供給物142として使用するための非限定的な例示ガスとしては、空気、酸素富化空気、純酸素、及びこれらの組合せが挙げられる。いくつかの例では、空気供給物142は、空気である。空気供給物142の代わりに、又は空気供給物142に加えて、ガスが、再生ガスとして採用され得る。例えば、再生ガスは、窒素又は二酸化炭素のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
第3の熱交換器114は、第1段の吸着ユニット110及び第2段の吸着ユニット112の各々において吸着剤の再生が起こる温度までガス流を加熱することができる任意の熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ熱交換器、プレート型熱交換器など)であり得る。第3の熱交換器114は、第1の再生ガス流144及び第2の再生ガス流146の各々が、約150℃~約350℃、例えば、約200℃~約300℃、又は約230℃~約290℃、例えば、約260℃の温度を有するように、空気供給物142を加熱することができる。
【0053】
第2の出口ガス流140は硫化水素を含む。第2の出口ガス流140は少なくとも約95重量%、例えば、少なくとも約98重量%、又は少なくとも約99重量%の硫化水素含有量を有する。いくつかの例では、第2の出口ガス流140は、クラウスユニットのための供給ガスとして使用される。
【0054】
図2は、クラウス法テールガス処理のためのシステム200の概略図である。システム200は、水素化反応器204と、第1の熱交換器205と、クエンチ塔206と、圧縮機207と、第2の熱交換器208と、収集ドラム209と、第1段の吸着ユニット210と、第2段の吸着ユニット212と、第3の熱交換器214とを含む。
【0055】
テールガス流220が水素化反応器204に導入されて、水素化ガス流222を生成する。水素化ガス流222は、第1の熱交換器205を介して冷却され、冷却された水素化ガス流224を生成する。冷却された水素化ガス流224は、クエンチ塔206に導入されて、クエンチガス流226及び第1の水凝縮物流228を生成する。クエンチガス流226は、圧縮機207によって加圧されて、加圧されたクエンチガス流227を生成する。加圧されたクエンチガス流227は、第2の熱交換器208によって冷却されて、冷却されたクエンチガス流229を生成する。冷却されたクエンチガス流229は、収集ドラム209に導入されて、第2の水凝縮物流231及び吸着供給流230を生成する。
【0056】
いくつかの例では、第1の水凝縮物流228及び第2の水凝縮物流231は、さらなる処理のためにサワー水ストリッパ260に導入される。本明細書で使用する場合、「サワー水ストリッパ(sour water stripper)」という用語は、硫化水素を含有する水(サワー水と呼ばれる)から硫化水素を除去する装置又は器具を指す。例えば、収集ドラムによって分離された液体水(liquid water)には、硫化水素が含まれる場合がある。液体水をサワー水ストリッパに導入することができ、サワー水ストリッパに蒸気を注入して、硫化水素が放出されるようにサワー水を加熱することによって、化学平衡をシフトさせる。
【0057】
吸着供給流230は、第1段の吸着ユニット210の第1段の吸着容器250に導入されて、第1の出口ガス流232を生成する。第1の出口ガス流232は、第2段の吸着ユニット212の第2段の吸着容器255に導入されて、第2の副生成物流238を生成する。第2の副生成物流238は、第1の部分239と第2の部分242とに分離される。いくつかの例では、導管継手(例えば、T型配管(pipe tee))は、第2の副生成物流238の流れを2つの部分239及び242に分岐(分割)する。流れ制御弁は、部分239又は部分242又はその両方を搬送する導管に沿って配置され得る。他の導管/制御装置も適用可能である。
【0058】
第2の副生成物流の第1の部分239及び第1の副生成物流236は、さらなる処理のために熱酸化装置262に導入される。本明細書で使用する場合、「熱酸化装置」という用語は、熱焼却炉と呼ばれることもあり、高温で特定のガスを熱分解して、それらを大気中に放出する装置又は器具を指す。例えば、ガス流を熱酸化装置に導入することができ、熱酸化装置では、ガス流に含まれる任意の微量の硫化水素は、酸化されて二酸化硫黄になり、その後、大気に放出される。熱酸化装置262は、例えば、直接燃焼式熱酸化装置、再生熱酸化装置(RTO)、触媒熱酸化装置等とすることができる。
【0059】
第2の副生成物流238の第2の部分242は、次の段落で説明する再生ガスとして使用される。いくつかの例では、第2の副生成物流238の大部分は、熱酸化装置262に送られる第1の部分239に分岐され、再生ガスとして利用される第2の部分242を構成する第2の副生成物流238の量は、第2の副生成物流238のスリップ流である。本明細書で使用する場合、「スリップ流(slip stream)」という用語は、主流(main stream)の少量(例えば、20%未満)の分流を意味する。
【0060】
第2の副生成物流238の第2の部分242は、第1の熱交換器205を介して加熱され、水素化ガス流222からの熱交換によって、第2の副生成物流の加熱された第2の部分243を生成する。いくつかの例では(
図2に示されるように)、第2の副生成物流の第2の部分243は、第3の熱交換器214を介してさらに加熱されて、第2の副生成物流の加熱された第2の部分245を生成する。第2の副生成物流の加熱された第2の部分245は、第1の再生ガス流244と第2の再生ガス流246とに分離される。第1の再生ガス流244は、第1段の吸着ユニット210の第1段の吸着容器251に導入されて、第1の副生成物流236を生成する。
【0061】
第2の再生ガス流246は、第2段の吸着ユニット212の第2段の吸着容器256に導入され、第2出口ガス流240を生成する。第2の出口ガス流240は、さらなる処理のために、クラウスユニットの反応炉264に導入される。本明細書で使用する場合、「反応炉」という用語は、典型的にはクラウスユニットの上流部分に含まれ、硫化水素及び他の硫黄含有化合物の硫黄元素への変換を開始させる装置又は器具を指す。反応炉は、通常、硫化水素が硫黄元素に変換されるように、850℃を超える温度で運転される。
【0062】
テールガス流220は硫黄含有化合物、例えば、上流のクラウスユニットによって完全には回収されなかった硫黄含有化合物を含むクラウス法テールガスを含む。硫黄含有化合物は、硫黄元素、硫化水素、硫黄酸化物、及びそれらのアニオン性対応物などの形態で存在し得る。硫黄酸化物の非限定的な例としては、SO、SO2、SO3、SO4、S2O、S2O2、S6O、S6O2、S7O、S7O2、S8O、S9O、及びS10Oが挙げられる。テールガス流120中のクラウス法テールガスは、二酸化炭素、水、窒素、水素、及びそれらの組合せを含むこともできる。
【0063】
いくつかの例では、テールガス流220は、水素化反応が水素化反応器204において起こり得る温度まで予熱される。例えば、テールガス流220は、約200℃~約300℃、例えば、約220℃~約280℃、又は約240℃~約260℃、例えば、約250℃の温度に予熱される。
【0064】
水素化反応器204は、硫化水素以外のテールガス流220中の硫黄含有化合物を硫化水素に還元することができる、触媒反応器又は非触媒反応器などの任意の反応器であり得る。いくつかの例では、テールガス流220に含まれる水素が、テールガス流220中の硫黄含有化合物を硫化水素に還元するために使用される。いくつかの例では、補給水素ガス流(図示せず)が水素化反応器204に導入される。いくつかの例では、水素化反応中に水が副生成物として生成される。その結果、水素化ガス流222に含まれる硫黄含有化合物は、実質的に硫化水素のみとなる。水素化ガス流222はまた、二酸化炭素、水、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0065】
第1の熱交換器205は、別々のガス流を加熱する代わりに、クエンチ塔206の運転に適した温度までガス流を冷却することができる任意の熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ熱交換器、プレート型熱交換器など)であり得る。
図2の例では、第1の熱交換器205は、水素化ガス流222と第2の副生成物流の第2の部分242(後の段落で説明する)との間の相互交換(cross exchange)による熱伝達を可能にするガス-ガス式熱交換器である。第1の熱交換器205は、冷却された水素化ガス流224が、約20℃~約170℃、例えば、約30℃~約100℃、又は約40℃~約80℃、例えば、少なくとも約43℃の温度を有するように、水素化ガス流222を冷却する。冷却された水素化ガス流224は、硫黄含有化合物、二酸化炭素、水、窒素、水素、及びそれらの組合せを含む。いくつかの例では、第1の熱交換器205は、加熱された第2の部分243が約150℃~約350℃、例えば、約200℃~約300℃、又は約230℃~約290℃、例えば、少なくとも約260℃の温度を有するように、副生成物流の第2の部分242を加熱する。
【0066】
いくつかの例では、第3の熱交換器214を使用して、第2の副生成物流の第2の部分243を加熱し、第1段の吸着ユニット210及び第2段の吸着ユニット212の各々についての吸着剤再生の温度要件を満たすことができる。第3の熱交換器214は、第1段の吸着ユニット210及び第2段の吸着ユニット212の各々において吸着剤再生が起こる温度までガス流を加熱することができる任意の熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ熱交換器、プレート型熱交換器など)であり得る。いくつかの例では、第3の熱交換器214は、蒸気(例えば、凝縮蒸気(condensing steam))、蒸気凝縮液(steam condensate)、油、又は別の熱伝達流体を使用する。第3の熱交換器214は、加熱された第2の副生成物流245(したがって、第1の再生ガス流244及び第2の再生ガス流246のそれぞれ)が、約150℃~約350℃、例えば、約200℃~約300℃、又は約230℃~約290℃、例えば、約260℃の温度を有するように、第2の副生成物流の第2の部分243を加熱することができる。いくつかの例では、制御された昇温(temperature ramp)が再生中に実施され、この場合、第2の副生成物流の第2の部分243は、例えば米国特許出願第17/166,821号明細書に記載されているように、経時的に400℃まで様々な温度に加熱される。米国特許出願第17/166,821号明細書に記載の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
クエンチ塔206は。加熱された水素化ガス流224から水を凝縮し、回収することができる任意の装置であり得る。加熱された水素化ガス流224に含まれる水の大部分は、凝縮され、第1の水凝縮物流228を介して実質的に回収される。水素化ガス流224に含まれる水の大部分が除去されるが、クエンチ塔206から出力されるクエンチガス流226は依然として残留量の気相水を含み得る。例えば、クエンチガス流226は、約0モル%~約20モル%、例えば、約3モル%~約15モル%、又は約4モル%~約10モル%、例えば、約8モル%の範囲の気相水含有量を有することができる。クエンチガス流226はまた、硫化水素(例えば、クラウス法テールガス中に予め存在する硫化水素、水素化反応器204内で生成される硫化水素、又はその両方)、二酸化炭素、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。クエンチガス流226は、約20℃~約170℃、例えば、約30℃~約100℃、又は約40℃~約80℃、例えば、約43℃の範囲の温度を有する。クエンチ塔206は、クエンチタワー、クエンチ容器、クエンチカラム、クエンチ凝縮器、クエンチ熱交換器などであってもよい。
【0068】
圧縮機207は、クエンチガス流226の圧力を上昇させることができる任意のタイプの加圧装置又は器具であり得る。圧縮機207は、機械式圧縮機であり得る。例えば、圧縮機207は、ダイヤフラム定量ポンプであり得る。クエンチガス流226の圧力は、加圧されたクエンチガス流227が約1バール~約10バール、例えば、約1バール~約5バール、又は約2バール~約4バール、例えば、約3バールの範囲の圧力を有するように、圧縮機207を介して上昇させられる。単位「バール(bar)」は、本明細書で使用する場合、バール(Gauge:ゲージ)[「バール(g)」又は「バールg」]である。
【0069】
第2の熱交換器208は、第1段の吸着ユニット210において吸着が起こる温度までガス流を冷却することができる任意の熱交換器(例えば、シェルアンドチューブ熱交換器、プレート型熱交換器など)であり得る。第2の熱交換器208は、冷却されたクエンチガス流229が約0℃~約50℃、例えば約5℃~約40℃、又は約10℃~約30℃、例えば約15℃の範囲の温度を有するように、加圧されたクエンチガス流227を冷却することができる。加圧されたクエンチガス流227が冷却されると、冷却されたクエンチガス流229の気相水含有量は、約0モル%~約10モル%、例えば、約0モル%~約5モル%、あるいは約0モル%~約1モル%、例えば、約0.46モル%の範囲に減少する。冷却されたクエンチガス流229は、硫化水素(例えば、クラウス法テールガス中に予め存在する硫化水素、水素化反応器204内で生成される硫化水素、又はその両方)、二酸化炭素、水、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0070】
収集ドラム209は、流体流を気相流と液相流とに分離することができる任意のタイプの分離装置(例えば、分離容器)であり得る。冷却されたクエンチガス流229は、収集ドラム209内で分離されて、第2の水凝縮物流231(液相流)及び吸着供給流230(気相流)を生成する。吸着供給流230は、硫化水素(例えば、クラウス法テールガス中に予め存在する硫化水素、水素化反応器204内で生成された硫化水素、又はその両方)、二酸化炭素、水、窒素、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0071】
いくつかの例では、第1の水凝縮物流228は、クエンチ塔206から収集された水に溶解した微量の硫化水素を含む。いくつかの例では、第2の水凝縮物流231は、収集ドラム209から収集された水に溶解した微量の硫化水素を含む。第1の水凝縮物流228及び第2の水凝縮物流231のそれぞれは、水から硫化水素を除去するなどのさらなる処理のために、サワー水ストリッパ260に導入され得る。
【0072】
第1段の吸着ユニット210は、並列に流体接続された第1段の吸着容器250、251、252を含む。運転中の任意の時点で、第1段の吸着容器250、251、252のうちの1つが吸着サイクルを実施しており、第1段の吸着容器250、251、252のうちの1つが再生サイクルを実施しており、第1段の吸着容器250、251、252のうちの1つが待機している。このようにして、吸着供給流230の成分を第1段の吸着ユニット210に連続的に供給することができ、第1段の吸着ユニット210から第1の出口ガス流232及び第1の副生成物流236の連続的な流れを生成することができる。
【0073】
第1段の吸着容器250、251、252の各々、は第1の吸着剤で充填される(例えば、パッキングされる(packed))。第1の吸着剤は、容器250、251、252内の第1の吸着剤の床(bed)内にあってもよい。いくつかの例では、第1の吸着剤は、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素を排除しながら、湿潤ガス流(吸着供給流230など)から水を選択的に捕捉することができる任意の吸着剤を含む。第1の吸着剤に使用される非限定的な例示材料には、親水性3Aモレキュラーシーブが含まれる。吸着サイクル中、吸着供給流230の成分は、第1段の吸着容器250、251、252のうちの1つを通して導入される。水(及び比較的少量の硫化水素)は、第1の吸着剤の細孔内に捕捉される。水以外の成分(例えば、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素)は、第1の吸着剤を通過して、実質的に水が存在しない状態で第1の出口ガス流232を生成する。再生サイクル中、第1の再生ガス流244の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は、第1の段階の吸着容器250、251、252の1つに入り、第1の吸着剤を再生する。脱着は、第1段の吸着容器250、251、252のうちの1つで起こり、そこでは、第1の吸着剤は、捕捉された水(及び比較的少量の硫化水素)(及び場合により微量の二酸化炭素及び窒素)を放出し、これらは、第1の副生成物流236を介して収集される。
【0074】
図2の例では、第1段の吸着容器250は吸着サイクルを実施しており、第1段の吸着容器251は再生サイクルを実施しており、第1段の吸着容器252は待機モードにある。吸着サイクル中、吸着供給流230の成分は、第1段の吸着容器250を通して導入される。水(及び比較的少量の硫化水素)は、第1の吸着剤の細孔内に捕捉される。いくつかの例では、微量の二酸化炭素及び窒素が第1の吸着剤の細孔内に捕捉される。水以外の成分(例えば、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素)は、第1の吸着剤を通過して、実質的に水の非存在下で第1の出口ガス流232を生成する。
【0075】
再生サイクル中、第1の再生ガス流244の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は、第1段の吸着容器251に入り、第1の吸着剤を再生する。脱着は、第1段の吸着容器251で起こり、そこでは、第1の吸着剤は、捕捉された水及び捕捉された比較的少量の硫化水素(及び場合により微量の二酸化炭素及び窒素)を放出し、これらは、第1の副生成物流236を介して収集される。
【0076】
第2段の吸着ユニット212は、並列に流体接続された第2段の吸着容器255、256、257を含む。運転中の任意の時点で、第2段の吸着容器255、256、257のうちの1つが吸着サイクルを実施しており、第2段の吸着容器255、256、257のうちの1つが再生サイクルを実施しており、第2段の吸着容器255、256、257のうちの1つが待機している。このようにして、第1の出口ガス流232の成分を第2段の吸着ユニット212に連続的に供給することができ、第2段の吸着ユニット212から第2の出口ガス流240及び第2の副生成物流238の連続的な流れを生成することができる。
【0077】
第2段の吸着容器255、256、257の各々は、第2の吸着剤で充填又はパッキングされている。第2の吸着剤は、容器255、256、257内の吸着剤床として構成されてもよい。いくつかの例では、第2の吸着剤は、二酸化炭素及び窒素を排除しながら硫化水素を選択的に捕捉することができる任意の吸着剤を含む。いくつかの例では、第2の吸着剤は、硫化水素と二酸化炭素との間の破過時間の差、及び硫化水素と窒素との間の破過時間の差を有する任意の吸着剤を含む。第2の吸着剤に使用される非限定的な例示材料としては、モレキュラーシーブ(例えば、モレキュラーシーブ4Aなど)や、MFI型、CHA型、FAU型、MOR型、DDR型、FER型、及びMWW型などの骨格を有する疎水性ゼオライトや、MOF及びZIFなどの疎水性ゼオライトが挙げられる。具体例では、第2の吸着剤には、対イオンとして銅の陽イオンを含むFAU型ゼオライトの誘導体であるCu-Y型ゼオライトが含まれる。
【0078】
吸着サイクル中、第1の出口ガス流232の成分は、第2段の吸着ユニット212の1つ以上の第2段の吸着容器255、256、257を通して導入される。硫化水素は、第2の吸着剤の細孔内に捕捉される。硫化水素以外の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は第2の吸着剤を通過し、その後、第2の副生成物流238を介して収集される。再生サイクル中、第2の再生ガス流246の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は1つ以上の第2段の吸着容器255、256、257に入り、第2の吸着剤を再生する。脱着は、1つ以上の第2段の吸着容器255、256、257内で起こり、そこでは、第2の吸着剤は、捕捉された硫化水素(及び任意に微量の二酸化炭素及び窒素)を放出して、第2出口ガス流240を生成する。第2の出口ガス流240は、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素を含む。
【0079】
図2の例では、第2段の吸着容器255は吸着サイクルを実施しており、第2段の吸着容器256は再生サイクルを実施しており、第2段の吸着容器257は待機モードにある。吸着サイクル中、第1の出口ガス流232の成分は、第2段の吸着容器255を通して導入される。硫化水素は、第2の吸着剤の細孔内に捕捉される。いくつかの例では、微量の二酸化炭素及び窒素が第2の吸着剤の細孔内に捕捉される。硫化水素以外の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は、第2の吸着剤を通過して、実質的に硫化水素の非存在下で第2の副生成物流238を生成する。再生サイクル中、第2の再生ガス流246の成分(例えば、二酸化炭素及び窒素)は第2段の吸着容器256に入り、第2の吸着剤を再生する。脱着は、第2段の吸着容器256内で起こり、第2の吸着剤は捕捉された硫化水素(及び任意に微量の二酸化炭素及び窒素)を放出し、これは第2出口ガス流240を介して収集される。
【0080】
第2の出口ガス流240は、硫化水素、二酸化炭素、及び窒素を含む。第2の出口ガス流240は、約0重量%~約99重量%、例えば、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約30重量%、又は約10重量%~約20重量%、例えば、約13.3重量%の硫化水素含有量を有する。第2の出口ガス流240は、約0重量%~約99重量%、例えば、約20重量%~約95重量%、約30重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、又は約60重量%~約70重量%、例えば、約66.7重量%の二酸化炭素含有量を有する。第2の出口ガス流240は、約0重量%~約99重量%、例えば、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約25重量%、例えば、約20.0重量%の窒素含有量を有する。いくつかの例では、第2の出口ガス流240は、クラウスユニットのための供給ガスとして使用される。例えば、
図2に示すように、第2の出口ガス流240は、クラウスユニットの反応炉264に導入される。
【0081】
図3は、クラウス法テールガス処理システム300の概略図である。システム200に関して記載された特徴に類似するシステム300の特徴には、同様の参照番号が付されている。
図3のシステム300は、二酸化炭素及び窒素のスリップ流を利用する、昇温再生スキームを実施する。昇温再生スキームのさらなる説明は、米国特許出願第17/166,821号に記載されており、米国特許出願第17/166,821号の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
システム300は、クラウス法テールガスを含むテールガス流320を受け取り、クラウス法テールガス中の硫黄含有化合物を硫化水素に水素化して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び水の少なくとも一方を含む水素化ガス流322を生成するための、水素化反応器204(例えば、反応容器)を含む。いくつかの例では、水素化ガスは、硫化水素以外の硫黄含有化合物を含まない。いくつかの例では、水素化ガス中の硫化水素以外の任意の硫黄含有化合物は、水素化ガス中に微量しか含まれない(又は、容易に測定できない)場合がある。
【0083】
水素化ガス流322は、第1の熱交換器205を介して冷却され、冷却された水素化ガス流324を生成する。クエンチ塔206は、冷却された水素化ガス流324を受け取り、水素化ガス中の水を凝縮させて、硫化物、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含むクエンチガス流326を生成する。凝縮水(若干の硫化水素を含む)は、クエンチ塔206において第1の水凝縮物流328として回収され、これはサワー水ストリッパ(SWS)塔260に送られ得る。
【0084】
クエンチガス流326は、圧縮機207によって加圧されて、加圧されたクエンチガス流327を生成する。加圧されたクエンチガス流327は、第2の熱交換器208によって冷却されて、冷却されたクエンチガス流329を生成する。冷却されたクエンチガス流329は、収集ドラム209に導入されて、第2の水凝縮物流331及び吸着供給流330を生成する。第2の水凝縮物流331は、SWS塔260に送られ得る。
【0085】
吸着供給流330は、第1段の吸着ユニット210に導入される。図示する例では、第1段の吸着容器250は吸着サイクルを実施しており、第1段の吸着容器251は再生サイクルを実施しており、第1段の吸着容器252は待機モードにある。吸着供給流330は、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250に供給され、吸着供給流330からの水を第1の吸着剤に吸着し、それによって硫化水素、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第1の出口ガス流332を生成する。いくつかの例では、吸着供給流330中の水の大部分(例えば、ほとんど又は実質的にすべて)が、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250内の第1の吸着剤に吸着される。比較的少量の硫化水素が、吸着供給流330から第1の吸着剤に吸着され得る。いくつかの例では、第1の出口ガス流332は、水を含まないか、微量又は測定不能な量の水のみを含む。
【0086】
第1の出口ガス流332は、第2段の吸着ユニット212に導入される。図示する例では、第2段の吸着容器255は吸着サイクルを実施しており、第2段の吸着容器256は再生サイクルを実施しており、第2段の吸着容器257は待機モードにある。第1の出口ガス流332は、吸着サイクルで動作する第2段の吸着容器255に供給され、第1の出口ガス流332からの硫化水素を第2の吸着剤に吸着し、それによって、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2の副生成物流338を生成する。いくつかの例では、第2の副生成物流338が硫化水素を含まないか、微量又は測定不能な量の硫化水素を含む。
【0087】
第2の副生成物流338は、第1の部分339と第2の部分342とに分離される。第2の副生成物流の第1の部分339は、さらなる処理のために熱酸化装置262に導入される。第2の副生成物流338のスリップ流であり得る第2の副生成物流の第2の部分342は、再生ガスとして使用される。
【0088】
第2の副生成物流338の第2の部分342は、第1の熱交換器205を介して加熱され、水素化ガス流322からの熱交換によって、第2の副生成物流の加熱された第2の部分343を生成する。いくつかの例では(
図3に示すように)、第2の副生成物流の第2の部分343が第3の熱交換器214を介してさらに加熱されて、第2の副生成物流の加熱された第2の部分345を生成する。第2の副生成物流の加熱された第2の部分345は、第1の再生ガス流344と第2の再生ガス流346とに分離される。
【0089】
再生サイクルで動作する第1段の吸着容器251は、第1の再生ガス流344を再生ガスとして受け取る。第1段の吸着容器251内の第1の吸着剤は、例えば昇温(temperature ramp)ごとに加熱されて、第1段の吸着容器251内の第1の吸着剤から成分を選択的に脱着し、脱着された成分と二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方とを含む第1の副生成物流336を生成する。再生サイクルにおける昇温中に、温度が徐々に上昇するに従って、硫化水素は最初に脱着されるが、吸着された水は一般に最初に第1の吸着剤に吸着されたままである。温度が上昇するに従って、水は第1の吸着剤から脱着し始める。
【0090】
第1の吸着剤の温度が、水が第1の副生成物流336に脱着し始める(ブレークスルー)レベルに達する場合、及び/又は第1の副生成物流336中の硫化水素の濃度がより低い場合、いくつかの例では、昇温の第2の部分の間、第1の吸着剤から脱着される成分は水を含むか、又は第1の副生成物流336中の硫化水素の濃度が閾値未満であるか、又はその両方である。昇温の第2の部分は、時間的に遅く、一般に昇温の第1の部分よりも高温である。
【0091】
運転中、第1段の吸着容器251は、昇温の第1の部分の間に脱着された成分が主に硫化水素を含む場合、昇温の第1の部分の間に、第1の副生成物流336を第1の副生成物流336Aとしてクラウスユニットの反応炉264に排出する。昇温の第2の部分の間に、水が第1の副生成物流336中に脱着し始め、及び/又は第1の副生成物流336中の水素濃度が特定の値より低くなる。この第2の部分では、第1の副生成物流336は、第1の副生成物流336Bとしてクエンチ塔206に送られ、水を処理し、再生ガスの不活性成分がクラウス反応炉264に導入されるのを回避する。
【0092】
第2の再生ガス流346は、第2段の吸着ユニット212の第2段の吸着容器256に導入される。再生サイクルにおいて、硫化水素は、第2段の吸着容器256内の第2の吸着剤から脱着され、硫化水素、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2出口ガス流340を生成する。第2の出口ガス流340は、さらなる処理のためにクラウスユニットの反応炉264に導入される。
【0093】
図4は、第2段の吸着容器のための2段階の再生サイクルを実施するクラウス法テールガス処理システム400の概略図である。システム200に関して記載された特徴と類似するシステム400の特徴には、同様の参照番号が付されている。
【0094】
システム400はクラウス法テールガスを含むテールガス流420を受け取り、クラウス法テールガス中の硫黄含有化合物を硫化水素に水素化して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び水の少なくとも一方を含む水素化ガス流422を生成するための、水素化反応器204(例えば、反応容器)を含む。いくつかの例では、水素化ガスは、硫化水素以外の硫黄含有化合物を含まない。いくつかの例では、水素化ガス中の硫化水素以外の任意の硫黄含有化合物は、水素化ガス中に微量しか含まれない(又は、容易に測定できない)場合がある。
【0095】
水素化ガス流422は、第1の熱交換器205を介して冷却され、冷却された水素化ガス流424を生成する。クエンチ塔206は冷却された水素化ガス流424を受け取り、水素化ガス中の水を凝縮して、硫化物、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含むクエンチガス流426を生成する。凝縮水(若干の硫化水素を含む)は、クエンチ塔206において第1の水凝縮物流428として回収され、これはサワー水ストリッパ(SWS)塔260に送られ得る。
【0096】
クエンチガス流426は、圧縮機207によって加圧されて、加圧されたクエンチガス流427を生成する。加圧されたクエンチガス流427は、第2の熱交換器208によって冷却されて、冷却されたクエンチガス流429を生成する。冷却されたクエンチガス流429は、収集ドラム209に導入されて、第2の水凝縮物流431及び吸着供給流430を生成する。第2の水凝縮物流431は、SWS塔260に送られ得る。
【0097】
吸着供給流430は、第1段の吸着ユニット210に導入される。図示する例では、第1段の吸着容器250は吸着サイクルを実施しており、第1段の吸着容器251は再生サイクルを実施しており、第1段の吸着容器252は待機モードにある。吸着供給流430は、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250に供給され、吸着供給流430からの水を第1の吸着剤に吸着し、それによって硫化水素、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第1の出口ガス流432を生成する。いくつかの例では、吸着供給流430中の水の大部分(例えば、ほとんど又は実質的にすべて)が、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250内の第1の吸着剤に吸着される。比較的少量の硫化水素が、吸着供給流430から第1の吸着剤に吸着され得る。いくつかの例では、第1の出口ガス流432は、水を含まないか、微量又は測定不能な量の水のみを含む。
【0098】
第1の出口ガス流432は、第2段の吸着ユニット212に導入される。図示する例では、第2段の吸着容器255は吸着サイクルを実施しており、第2段の吸着容器256は再生サイクルを実施しており、第2段の吸着容器257は待機モードにある。第1の出口ガス流432は、吸着サイクルで動作する第2段の吸着容器255に供給され、第1の出口ガス流432からの硫化水素を第2の吸着剤に吸着し、それによって、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2の副生成物流438を生成する。いくつかの例では、第2の副生成物流438が硫化水素を含まないか、微量又は測定不能な量の硫化水素を含む。
【0099】
第2の副生成物流438は、第1の部分439と第2の部分442とに分離される。第2の副生成物流の第1の部分439は、さらなる処理のために熱酸化装置262に導入される。第2の副生成物流438のスリップ流であり得る第2の副生成物流の第2の部分442は、再生ガスとして使用される。
【0100】
第2の副生成物流438の第2の部分442は、第1の熱交換器205を介して加熱され、水素化ガス流422からの熱交換によって、第2の副生成物流の加熱された第2の部分443を生成する。いくつかの例では(
図4に示すように)、第2の副生成物流の第2の部分443が第3の熱交換器214を介してさらに加熱されて、第2の副生成物流の加熱された第2の部分445を生成する。熱交換器205、214は、第2の副生成物流を、その再生サイクルにおいて吸着容器から硫化水素を脱着するのに十分な温度に加熱する。第2の副生成物流の加熱された第2の部分445は、第1の再生ガス流444と第2の再生ガス流446とに分離される。
【0101】
第1の再生ガス流444は、再生サイクルを実施している第1段の吸着容器251に供給され、第1の吸着剤を再生する。脱着は、第1段の吸着容器251で起こり、そこでは、第1の吸着剤は、捕捉された水及び捕捉された比較的少量の硫化水素(及び場合により微量の二酸化炭素及び窒素)を放出し、これらは、第1の副生成物流436を介して収集される。第1の副生成物流436は、クエンチ塔206に送られる。
【0102】
再生サイクルを実施している第2段の吸着容器256の再生は、2段階プロセスである。第1段階では、二酸化炭素及び窒素を含む第2副生成物ガスのスリップ流である第2の再生ガス流446が、第2段の吸着容器256に導入される。第1段階に続いて、再生ガス流446の流れが停止され、再生の第2段階が生じる。第2段階では、高純度窒素ガス流452が、第2段の吸着容器256に導入される。高純度窒素ガスは、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、又は少なくとも99.95%の純度を有することができる。高純度窒素ガス流452は、ランケット用又はパージ用に現場で利用可能な窒素源などの窒素源、例えば、極低温窒素タンクから供給される。再生サイクルにおいて、硫化水素は、第2段の吸着容器256内の第2の吸着剤から脱着され、硫化水素並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2出口ガス流440を生成する。第2の出口ガス流440は、さらなる処理のためにクラウスユニットの反応炉264に導入される。
【0103】
第2段の吸着容器256のための2段階の再生サイクルでは、再生が、先ず二酸化炭素及び窒素を含むスリップ流を使用して、次に高純度窒素を使用して達成され、利点を有することができる。例えば、この2段階再生サイクルは、第2段の吸着容器256からの硫化水素の除去を容易化することができ、その結果、吸着サイクル中の硫化水素吸着能力を向上させることができる。
【0104】
図5は、クラウス法テールガス処理システム500の概略図である。システム200に関して記載された特徴と類似するシステム500の特徴には、同様の参照番号が付されている。
【0105】
システム500はクラウス法テールガスを含むテールガス流520を受け取り、クラウス法テールガス中の硫黄含有化合物を硫化水素に水素化して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び水の少なくとも一方を含む水素化ガス流522を生成するための、水素化反応器204(例えば、反応容器)を含む。いくつかの例では、水素化ガスは、硫化水素以外の硫黄含有化合物を含まない。いくつかの例では、水素化ガス中の硫化水素以外の任意の硫黄含有化合物は、水素化ガス中に微量しか含まれない(又は、容易に測定できない)場合がある。
【0106】
水素化ガス流522は、第1の熱交換器205を介して冷却され、冷却された水素化ガス流524を生成する。クエンチ塔206は冷却された水素化ガス流524を受け取り、水素化ガス中の水を凝縮して、硫化物、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含むクエンチガス流526を生成する。凝縮水(若干の硫化水素を含む)は、クエンチ塔206において第1の水凝縮物流528として回収され、これはサワー水ストリッパ(SWS)塔260に送られ得る。
【0107】
クエンチガス流526は、圧縮機207によって加圧されて、加圧されたクエンチガス流527を生成する。加圧されたクエンチガス流527は、第2の熱交換器208によって冷却されて、冷却されたクエンチガス流529を生成する。冷却されたクエンチガス流529は、収集ドラム209に導入されて、第2の水凝縮物流531及び吸着供給流530を生成する。第2の水凝縮物流531は、SWS塔260に送られ得る。
【0108】
吸着供給流530は、第1段の吸着ユニット210に導入される。図示する例では、第1段の吸着容器250は吸着サイクルを実施しており、第1段の吸着容器251は再生サイクルを実施しており、第1段の吸着容器252は待機モードにある。吸着供給流530は、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250に供給され、吸着供給流530からの水を第1の吸着剤に吸着し、それによって硫化水素、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第1の出口ガス流532を生成する。いくつかの例では、吸着供給流530中の水の大部分(例えば、ほとんど又は実質的にすべて)が、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250内の第1の吸着剤に吸着される。比較的少量の硫化水素が、吸着供給流530から第1の吸着剤に吸着され得る。いくつかの例では、第1の出口ガス流532は、水を含まないか、微量又は測定不能な量の水のみを含む。
【0109】
第1の出口ガス流532は、第2段の吸着ユニット212に導入される。図示する例では、第2段の吸着容器255は吸着サイクルを実施しており、第2段の吸着容器256は再生サイクルを実施しており、第2段の吸着容器257は待機モードにある。第1の出口ガス流532は、吸着サイクルで動作する第2段の吸着容器255に供給され、第1の出口ガス流532からの硫化水素を第2の吸着剤に吸着し、それによって、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2の副生成物流538を生成する。いくつかの例では、第2の副生成物流538が硫化水素を含まないか、微量又は測定不能な量の硫化水素を含む。
【0110】
第2の副生成物流538は、第1の部分539と第2の部分542とに分離される。第2の副生成物流の第1の部分539は、さらなる処理のために熱酸化装置262に導入される。第2の副生成物流538のスリップ流であり得る第2の副生成物流の第2の部分542は、再生ガスとして使用される。
【0111】
第2の副生成物流538の第2の部分542は、流れの第2の部分542から二酸化炭素ガス(CO
2)を分離するCO
2分離要素550を通して導かれる。
図5の例では、CO
2分離要素550は、真空ポンプ554によって提供される真空下で二酸化炭素ガスを分離するCO
2選択膜である。いくつかの例では、CO
2分離要素550は、極低温で流れの第2の部分542からCO
2を分離することができる極低温分離要素である。(例えば、CO
2選択膜又は極低温分離要素からの)CO
2分離要素550の出力は、二酸化炭素流556及び富化窒素(enriched nitrogen)流552である。
【0112】
二酸化炭素流556は、熱酸化装置262に導かれる。CO
2分離要素550を出る富化窒素流552は、第1の熱交換器205を介して加熱され、水素化ガス流れ522からの熱交換によって、加熱された富化窒素流543を生成する。いくつかの例では(
図5に示すように)、加熱された富化窒素流543は、第3の熱交換器214を介してさらに加熱されて、加熱された富化窒素流545を生成する。熱交換器205、214は、富化窒素流を、それらの再生サイクルにおいて吸着容器から硫化水素を脱着するのに十分な温度に加熱する。加熱された富化窒素流545は、第1の再生ガス流544と第2の再生ガス流546とに分離され、これらは共に富化窒素流である。
【0113】
第1の再生ガス流544(富化窒素流)は、再生サイクルを実施している第1段の吸着容器251に供給されて、第1の吸着剤を再生する。脱着は、第1段の吸着容器251で起こり、そこでは、第1の吸着剤は捕捉された水及び捕捉された比較的少量の硫化水素(及び場合により微量の二酸化炭素及び窒素)を放出し、これらは、第1の副生成物流536を介して収集される。第1の副生成物流536は、クエンチ塔206に送られる。
【0114】
再生サイクルを実施している第2段の吸着容器256の再生のために、第2の再生ガス流546(富化窒素流)が、再生用の第2段の吸着容器256に導入される。再生サイクルにおいて、硫化水素は、第2段の吸着容器256内で第2の吸着剤から脱着され、硫化水素並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2出口ガス流540を生成する。第2の出口ガス流540は、さらなる処理のためにクラウスユニットの反応炉264に導入される。
【0115】
富化窒素流を用いた第1段の吸着容器251及び第2段の吸着容器256の再生は、例えば、第1段の吸着容器251及び第2段の吸着容器256からの硫化水素の除去を容易にし、吸着サイクル中の硫化水素吸着能力を向上させるという利点を有し得る。
【0116】
図6は、クラウス法テールガス処理システム600の概略図である。システム200に関して記載された特徴に類似するシステム600の特徴には、同様の参照番号が付されている。
【0117】
システム600はクラウス法テールガスを含むテールガス流620を受け取り、クラウス法テールガス中の硫黄含有化合物を硫化水素に水素化して、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び水の少なくとも一方を含む水素化ガス流622を生成するための、水素化反応器204(例えば、反応容器)を含む。いくつかの例では、水素化ガスは、硫化水素以外の硫黄含有化合物を含まない。いくつかの例では、水素化ガス中の硫化水素以外の任意の硫黄含有化合物は、水素化ガス中に微量しか含まれない(又は、容易に測定できない)場合がある。
【0118】
水素化ガス流622は、第1の熱交換器205を介して冷却され、冷却された水素化ガス流624を生成する。クエンチ塔206は冷却された水素化ガス流624を受け取り、水素化ガス中の水を凝縮して、硫化物、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含むクエンチガス流626を生成する。凝縮水(若干の硫化水素を含む)は、クエンチ塔206において第1の水凝縮物流628として回収され、これはサワー水ストリッパ(SWS)塔260に送られ得る。
【0119】
クエンチガス流626は、圧縮機207によって加圧されて、加圧されたクエンチガス流627を生成する。加圧されたクエンチガス流627は、第2の熱交換器208によって冷却されて、冷却されたクエンチガス流629を生成する。冷却されたクエンチガス流629は、収集ドラム209に導入されて、第2の水凝縮物流631及び吸着供給流630を生成する。第2の水凝縮物流631は、SWS塔260に送られ得る。
【0120】
吸着供給流630は、第1段の吸着ユニット210に導入される。図示する例では、第1段の吸着容器250は吸着サイクルを実施しており、第1段の吸着容器251は再生サイクルを実施しており、第1段の吸着容器252は待機モードにある。吸着供給流630は、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250に供給され、吸着供給流630からの水を第1の吸着剤に吸着し、それによって硫化水素、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第1の出口ガス流632を生成する。いくつかの例では、吸着供給流630中の水の大部分(例えば、ほとんど又は実質的にすべて)が、吸着サイクルで動作する第1段の吸着容器250内の第1の吸着剤に吸着される。比較的少量の硫化水素が、吸着供給流630から第1の吸着剤に吸着され得る。いくつかの例では、第1の出口ガス流632は、水を含まないか、微量又は測定不能な量の水のみを含む。
【0121】
第1の出口ガス流632は、第2段の吸着ユニット212に導入される。図示する例では、第2段の吸着容器255は吸着サイクルを実施しており、第2段の吸着容器256は再生サイクルを実施しており、第2段の吸着容器257は待機モードにある。第1の出口ガス流632は、吸着サイクルで動作する第2段の吸着容器255に供給され、第1の出口ガス流632からの硫化水素を第2の吸着剤に吸着し、それによって、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2の副生成物流638を生成する。いくつかの例では、第2の副生成物流638が硫化水素を含まないか、微量又は測定不能な量の硫化水素を含む。
【0122】
第2の副生成物流638は、第1の部分639と第2の部分642とに分離される。第2の副生成物流の第1の部分639は、さらなる処理のために熱酸化装置262に導入される。第2の副生成物流638のスリップ流であり得る第2の副生成物流の第2の部分642は、再生ガスとして使用される。
【0123】
第2の副生成物流638の第2の部分642は、流れの第2の部分642から二酸化炭素ガス(CO
2)を分離するCO
2分離要素650を通して導かれる。
図6の例では、CO
2分離要素650は、流れ642から二酸化炭素ガスを分離するCO
2選択膜である。いくつかの例では、CO
2分離要素650は、極低温で流れの第2の部分642からCO
2を分離することができる極低温分離要素である。(例えば、CO
2選択膜又は極低温分離要素からの)CO
2分離要素650の出力は、二酸化炭素流656及び富化窒素流652である。
【0124】
二酸化炭素流656は、エジェクタ650を介して熱酸化装置262に導かれる。CO2分離要素650を出る富化窒素流れ652は、第1の熱交換器205を介して加熱され、水素化ガス流れ622からの熱交換によって、加熱された富化窒素流643を生成する。いくつかの例では(
図6に示すように)、加熱された富化窒素流643が第3の熱交換器214を介してさらに加熱されて、加熱された富化窒素流645を生成する。熱交換器205、214は、富化窒素を、それらの再生サイクルにおいて吸着容器から硫化水素を脱着するのに十分な温度に加熱する。第2の副生成物流の加熱された第2の部分645は、第1の再生ガス流644と第2の再生ガス流646とに分離され、これらは共に富化窒素流である。
【0125】
第1の再生ガス流644(富化窒素流)は、再生サイクルを実施している第1段の吸着容器251に供給されて、第1の吸着剤を再生する。脱着は、第1段の吸着容器251で起こり、そこでは、第1の吸着剤は捕捉された水及び捕捉された比較的少量の硫化水素(及び場合により微量の二酸化炭素及び窒素)を放出し、これらは、第1の副生成物流636を介して収集される。第1の副生成物流636は、クエンチ塔206に送られる。
【0126】
再生サイクルを実施している第2段の吸着容器256の再生のために、第2の再生ガス流646(富化窒素流)が、再生用の第2段の吸着容器256に導入される。再生サイクルにおいて、硫化水素は、第2段の吸着容器256内で第2の吸着剤から脱着され、硫化水素並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む第2出口ガス流640を生成する。第2の出口ガス流640は、さらなる処理のためにクラウスユニットの反応炉264に導入される。
【0127】
富化窒素流を用いた第1段の吸着容器251及び第2段の吸着容器256の再生は、例えば、第1段の吸着容器251及び第2段の吸着容器256からの硫化水素の除去を容易にし、吸着サイクル中の硫化水素吸着能力を向上させるという利点を有し得る。
【0128】
図7Aを参照すると、クラウス法テールガスから硫化水素を除去するための例示的なプロセスにおいて、クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物は、水素化反応器内で硫化水素に変換されて、水素化ガス流が生成される(700)。水素化ガス流は、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。水素化ガス流は、クエンチ塔に供給され、液体の水を凝縮して水凝縮物流にすることにより、クエンチされたガス流が生成される(702)。クエンチガス流は、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。
【0129】
クエンチガス流は、圧縮機で加圧され、冷却され、第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給され、クエンチガス流から第1段の吸着容器の吸着剤に水を吸着させることによって、第1の出口ガス流が生成される(704)。いくつかの例では、冷却され、加圧され、クエンチされたガス流は、収集ドラムに供給されて、液体の水を回収することによって吸着供給物を生成し、吸着供給物が第1段の吸着容器に供給される。第1の出口ガス流は、硫化水素と、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方とを含む。第1の出口ガス流は、第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給され、第2段の吸着容器の吸着剤に硫化水素を吸着することにより、第2の副生ガス流が生成される(706)。第2の副生ガス流は、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。
【0130】
第2の副生ガス流の第1の部分は、二酸化炭素流と富化窒素流とに分離される(708)。いくつかの例では、第2の副生ガス流の第2の部分を窒素流と二酸化炭素流とに分離することは、二酸化炭素分離膜に真空を適用することによって達成される。いくつかの例では、分離は、エジェクタを介して二酸化炭素流を熱酸化装置に流すことによって達成される。いくつかの例では、分離は、極低温分離プロセスである。
【0131】
二酸化炭素流は、熱酸化装置(710)に導かれる。富化窒素流は、例えば水素化ガス流からの熱を用いて、上流で加熱することができる。富化窒素流の第1の部分は、第1段の吸着容器内の吸着剤からの水の脱着による第1段の吸着容器内の吸着剤の再生のために、第1段の吸着容器に供給され、第1段の吸着容器内の吸着剤から水を脱着させることにより、第1の副生ガス流が生成される(712)。第1の副生ガス流は、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。いくつかの例では、第1の副生ガス流は、クエンチ塔に供給される水素化ガス流と合流する。
【0132】
富化窒素流の第2の部分は、第2段の吸着容器内の吸着剤の再生のために、第2段の吸着容器に供給される(714)。再生サイクル中に第2段の吸着容器から出力される第2の副生ガス流の第2部分は、硫化水素を含む第2の出口ガスである。第2の出口ガスは、クラウス法テールガスを生成したクラウスユニットの反応炉などの、反応炉に供給され得る。
【0133】
第2の副生ガス流の第3の部分は、熱酸化装置に供給される。いくつかの例では、第2の副生ガス流の第1の部分及び第2の部分が一緒になって、第2の副生ガス流のスリップ流となる。
【0134】
図7Bを参照すると、クラウス法テールガスから硫化水素を除去するための例示的なプロセスにおいて、クラウス法テールガス流中の硫黄含有化合物は、水素化反応器内で硫化水素に変換されて、水素化ガス流が生成される(750)。水素化ガス流は、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。水素化ガス流は、クエンチ塔に供給され、液体に水を凝縮して水凝縮物流にすることにより、クエンチガス流が生成される(752)。クエンチガス流は、硫化水素、水、並びに二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。
【0135】
クエンチガス流は、圧縮機で加圧され、冷却され、第1段の吸着ユニットの第1段の吸着容器に供給され、クエンチガス流から第1段の吸着容器の吸着剤に水を吸着させることによって、第1の出口ガス流が生成される(754)。いくつかの例では、冷却され、加圧され、クエンチされたガス流は、収集ドラムに供給されて、液体の水を回収することによって吸着供給物を生成し、吸着供給物が第1段の吸着容器に供給される。第1の出口ガス流は、硫化水素と、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方とを含む。第1の出口ガス流は、第2段の吸着ユニットの第2段の吸着容器に供給され、第2段の吸着容器の吸着剤に硫化水素を吸着することにより、第2の副生ガス流が生成される(756)。第2の副生ガス流は、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。第2の副生ガス流は、例えば、水素化ガス流からの熱で加熱される。
【0136】
第2の副生ガス流の第1の部分は、第1段の吸着容器内の吸着剤からの水の脱着による第1段の吸着容器内の吸着剤の再生のために、第1段の吸着容器に供給され、第1段の吸着容器内の吸着剤から水を脱着させることにより、第1の副生ガス流が生成される(758)。第1の副生ガス流は、二酸化炭素及び窒素の少なくとも一方を含む。いくつかの例では、第1の副生ガス流は、クエンチ塔に供給される水素化ガス流と合流する。
【0137】
第2の副生ガス流の第2の部分は、第2段の吸着容器内の吸着剤の再生のために、第2段の吸着容器に供給される(760)。一定時間が経過した後、第2段の吸着容器への第2副生成物流の第2部分の供給が停止され(762)、高純度窒素流が、例えば、極低温タンクから、第2段の吸着容器に供給される(764)。再生サイクル中の第2段の吸着容器からの出力は、硫化水素を含む第2の出口ガスである。第2の出口ガスは、クラウス法テールガスを生成したクラウスユニットの反応炉などの反応炉に供給され得る。
【実施例】
【0138】
実施例1:第2段階吸着剤材料としてのCuYゼオライト
【0139】
この実施例では、Cuイオンでイオン交換されたY型ゼオライト(「CuYゼオライト」又は「CuY」と呼ばれる)を、二酸化炭素から硫化水素を分離する第2段の吸着サイクルのための吸着剤材料として使用した。CuYの高い極性は、吸着剤材料と硫化水素との間の高い親和性をもたらす。
【0140】
化学過程が起こらないという仮定に基づいて硫化水素のCuYへの吸着を決定するために、グランドカノニカルモンテカルロ(GCMC:Grand Canonical Monte Carlo)シミュレーションが実施された。GCMCシミュレーションでは、固体及び気体の系全体に関して、系が平衡に達するまで6×106のモンテカルロステップを実行し、統計的平均を得るために追加の6×106ステップを実施した。シミュレーションは、混合物中に他の競合ガスが存在しないという仮定の下で行われた。
【0141】
各熱力学点における系上の吸着されたガス分子の吸着容量(mmol/g:1グラム当たりのミリモル数)が算出された。結果を
図8に示す。これらの結果は、CuY上の1%H
2Sの吸着容量が、1バールg及び298ケルビン(K)において0.8mmol/gに近づくことを示している。
【0142】
実施例2:吸着ベースのテールガス処理プロセスのシミュレーション
【0143】
アスペンシミュレーション(Aspen simulation)を実施し、共燃焼(co-firing)及び3段階クラウス構成(3-stage Claus configuration)での、超希薄ガス(ultra-lean gas)プラント(20%のH2S酸性ガス流)のクラウス法テールガス組成を決定した。酸性ガス流は、1日当たり5000万標準立方フィート(MMSCFD)と定義した。シミュレーションでは、水素化反応器から水除去段階までの吸着ベースのテールガス処理方法を取り扱った。
【0144】
図9は、このシミュレーションのためのプロセスフロー
図900を示す。水素化反応器からの硫黄回収ユニット(SRU)供給流910は、圧縮機902に入り、圧縮機からの圧縮されたガス出力は、冷却器904に供給される。冷却器からの冷却されたガス出力は、分離器905によって、水吸着容器に導かれる第1の流れ906と、サワー水ストリッパに導かれる第2の流れ908とに分離される。表1は、SRU供給流から水吸着容器へのシミュレーションされたガス組成物のフローを示す。なお、「lbmol/h」は、「ポンドモル/時」を表す。
【0145】
【0146】
実施例3:吸着ベースのテールガス処理プロセスのシミュレーション
【0147】
テールガス処理プロセスの水除去段階のアスペンシミュレーションを実施して、特定のガスの流れと、24時間の吸着サイクルのための吸着容器のサイズを決定した。
【0148】
図10は、このシミュレーションのためのプロセスフロー
図950を示す。分離器905からの第1の流れ906(
図9参照)は、吸着剤材料としてモレキュラーシーブ3Aを有する水吸着容器952に導かれる。吸着容器952の直径は3.3メートル(m)であり、高さは8. 6mである。吸着サイクルは、24時間(86400秒)であった。
【0149】
図11は、86400秒の吸着サイクルにおける水除去吸着容器952内の水の破過曲線を示す。y軸ラベルは、molH
2O/moltot(水のモル数をガス混合物の総モル数で除したもの)である。表2は、分離器905から水吸着容器952へのシミュレーションされたガス組成物の流れ(流れS1)と、水吸着容器952から硫化水素吸着容器へのシミュレーションされたガス組成物の流れ(流れS2)とを示す。
【0150】
【0151】
実施例4:吸着ベースのテールガス処理プロセスのシミュレーション
【0152】
テールガス処理プロセスの硫化水素除去段階のアスペンシミュレーションを実施して、特定のガスの流と、24時間の吸着サイクルのための吸着容器のサイズを決定した。
【0153】
図12は、このシミュレーションのためのプロセスフロー
図50を示す。水吸着容器952(
図10)からの流れS1は、吸着剤材料としてCuYゼオライトを有する硫化水素吸着容器52に導かれる。吸着容器52の直径は4.63メートル(m)であり、高さは12.1mである。吸着サイクルは、24時間(86400秒)であった。
【0154】
図13Aは、86400秒の吸着サイクルにおける硫化水素吸着容器52内の窒素(曲線54)及び二酸化炭素(曲線56)の破過曲線を示す。
図13Bは、硫化水素吸着容器52内の硫化水素の破過曲線を示す。
図13A及び
図13Bのy軸ラベルは、molH
2O/moltot(水のモル数をガス混合物の総モル数で除したもの)である。
【0155】
表3は、水吸着容器952から硫化水素吸着容器52へのシミュレートされたガス組成物の流れ(流れS3)と、硫化水素吸着容器52から熱酸化剤への、及び/又は再生スリップストリームとしてのシミュレートされたガス組成物の流れ(流れS4)とを示す。
【0156】
【0157】
本主題の特定の実施形態について説明した。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【国際調査報告】