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特表2024-545687パウチ型電池ケースおよびこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】パウチ型電池ケースおよびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20241203BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241203BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20241203BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20241203BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241203BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20241203BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/129
H01M50/121
H01M50/133
H01M50/119
H01M50/131
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536497
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2022021111
(87)【国際公開番号】W WO2023121363
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187274
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】サン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・キョン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】デ・ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】フン・ヒ・リム
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD03
5H011KK01
5H011KK03
(57)【要約】
本発明は、成形時にクラックの発生が少なく、外部衝撃による損傷が少ない高強度の電池ケースに関し、本発明の電池ケースは、ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一面に配置される基材層と、前記ガスバリア層の他面に配置されるシーラント層とを含むパウチフィルム積層体からなり、電極組立体を収容するように窪んだ形状を有する少なくとも一つ以上のカップ部と、前記カップ部の周縁の少なくとも一部に位置するテラスとを含み、前記カップ部は、底面と、前記底面を囲んだ複数個の周縁面とを含み、前記底面と互いに隣り合う一対の周縁面が接するコーナーにおいてガスバリア層の厚さが30μm超である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一面に配置される基材層と、前記ガスバリア層の他面に配置されるシーラント層とを含むパウチフィルム積層体からなるパウチ型電池ケースであって、
前記パウチ型電池ケースは、電極組立体を収容するための少なくとも一つ以上のカップ部と、前記カップ部の周縁の少なくとも一部に位置するテラスとを含み、
前記カップ部は、底面と、前記底面を取り囲む複数個の周縁面とを含み、
互いに隣り合う一対の前記周縁面と前記底面とが接するコーナーにおけるガスバリア層の厚さが30μm超である、パウチ型電池ケース。
【請求項2】
前記コーナーにおける前記ガスバリア層の厚さは、前記テラスにおける前記ガスバリア層の厚さの50%~70%である、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項3】
前記テラスにおけるガスバリア層の厚さは、60μm以上である、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項4】
前記コーナーの曲率半径が0.5~5.0mmである、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項5】
前記パウチ型電池ケースは、前記カップ部が形成された下部ケースと、前記下部ケースの上部に折り畳まれて前記カップ部を密封する上部ケースと、前記上部ケースと下部ケースを連結するフォールディング部とを含む、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項6】
前記フォールディング部と前記カップ部の離隔距離が0.5mm~3mmである、請求項5に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項7】
前記上部ケースにカップ部が形成されている、請求項5に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項8】
前記カップ部の深さが5.0mm以上である、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項9】
前記カップ部の引張強度が200N以上である、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項10】
前記基材層は、ポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの積層構造である、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項11】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さが5μm~20μmであり、
前記ナイロンフィルムの厚さが10μm~30μmである、請求項10に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項12】
前記ガスバリア層は、アルミニウム合金薄膜を含む、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項13】
前記アルミニウム合金薄膜は、鉄を1.2wt%~1.7wt%含む、請求項12に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項14】
前記アルミニウム合金薄膜は、結晶粒度が10μm~13μmである、請求項12に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項15】
前記シーラント層の厚さが60μm~100μmである、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項16】
前記シーラント層は、ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、ポリプロピレン-ブチレン-エチレン共重合体またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項17】
正極、セパレータ、負極が積層されて形成される電極組立体と、
前記電極組立体を収納するパウチ型電池ケースとを含み、前記パウチ型電池ケースが請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のパウチ型電池ケースである、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月24日付けの韓国特許出願第10-2021-0187274号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、パウチ型電池ケースに関し、より詳細には、外部ストレスによる損傷が少ない高強度の電池ケースと、これを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、ポータブルゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power Tool)および電動自転車(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッドカーのような高出力を要する大型製品、余剰発電電力や新再生エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置、およびバックアップ用電力貯蔵装置にも適用され使用されている。
【0004】
通常、二次電池は、電極活物質スラリーを正極集電体および負極集電体に塗布して正極と負極を製造し、これをセパレータ(Separator)の両側に積層することで、所定の形状の電極組立体(Electrode Assembly)を形成した後、電池ケースに電極組立体を収納し、電解質を注入した後、シールする方法により製造される。
【0005】
二次電池は、電極組立体を収容するケースの材質に応じて、パウチ型(Pouch Type)および缶型(Can Type)などに分けられる。パウチ型(Pouch Type)は、柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。
【0006】
パウチ型電池ケースは、柔軟性を有するパウチフィルム積層体にプレス加工を施し、電極組立体を収容するためのカップ部を形成することにより製造される。その後、前記電池ケースのカップ部に電極組立体を収納し、電解液を注入した後、シール部をシールして、二次電池を製造する。
【0007】
このようなプレス加工のうち、絞り(Drawing)成形は、プレス装置にパウチフィルムを挿入し、パンチでパウチフィルム積層体に圧力を印加して、パウチフィルム積層体を延伸させることにより行われる。パウチフィルム積層体は、一般的に、金属材質のガスバリア層の一面にポリエチレンテレフタレートなどの高分子フィルムを積層し、他面にシーラント層が積層された複数の層で形成される。
【0008】
最近、電気自動車用バッテリやESSバッテリのように、高容量電池に対するニーズが高まるにつれて、より多くの電極組立体を収納することができる電池ケースに対するニーズが増加している。これに伴い、パウチ型電池ケースのカップ部の成形深さを増加させるか、上部ケースと下部ケースにそれぞれカップ部を成形して収容空間の体積を増加させる2カップ成形法が試みられている。しかし、カップ部の成形深さを増加させるか、2カップ成形を行う場合、成形過程でパウチフィルム積層体に加えられる引張力が大きくなるため、クラックやピンホールが発生しやすく、特に、延伸時に応力が集中するカップ部の下端コーナーでクラックやピンホールの発生が増加する問題がある。このように、クラックやピンホールが発生すると、外部衝撃に脆くなり、電池ケースが損傷しやすく、電池安全性が低下する。
【0009】
韓国公開特許10-2015-0130002号(特許文献1)には、二次電池用ケースの製造時に、カップ部(収納部)エッジに追加部材を接合するか、延伸圧力を異ならせてカップ部のエッジのバリア層の厚さを厚く形成することで、高成形(high-molding)時にもクラックやピンホールを抑制することができる二次電池用ケースが開示されている。しかし、特許文献1に記載のように、カップ部のエッジに追加部材を接合する場合、成形時に延伸性が低下し、追加部材の接合によって段差が発生するか、シーラント層や基材層の厚さが不均一になり、シール耐久性および絶縁性などに悪影響を及ぼす。また、追加部材の接合時にパウチフィルム積層体の厚さが不均一になり、巻き取りが難しいという問題もある。一方、カップ部のエッジの厚さを厚くするために、成形圧力を調節する場合、延伸が不均一に行われ、成形後、しわが発生し、これによって外観およびシール品質に悪影響を及ぼし得る。
【0010】
したがって、成形性、シール性および絶縁性を低下させることなく、カップ部のコーナーにおけるクラックの発生を最小化することができるパウチ型電池ケースの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、カップ部のコーナーのクラックの発生を最小化することができるパウチ型電池ケースおよびこれを含む二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一側面において、本発明は、ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一面に配置される基材層と、前記ガスバリア層の他面に配置されるシーラント層とを含むパウチフィルム積層体からなるパウチ型電池ケースであって、前記パウチ型電池ケースは、電極組立体を収容するように窪んだ形状を有する少なくとも一つ以上のカップ部と、前記カップ部の周縁の少なくとも一部に位置するテラスとを含み、前記カップ部は、底面と、前記底面を取り囲む複数個の周縁面とを含み、互いに隣り合う一対の前記周縁面と前記底面とが接するコーナーにおけるガスバリア層の厚さが30μm超、好ましくは30μm超70μm以下、より好ましくは30μm超60μm以下であるパウチ型電池ケースを提供する。
【0013】
前記コーナーにおけるガスバリア層の厚さは、前記テラスにおけるガスバリア層の厚さの50%~70%、好ましくは50%~65%、さらに好ましくは55%~65%であることができる。
【0014】
前記コーナーの曲率半径は0.5~5.0mm、好ましくは1.0~4.0mm、より好ましくは2.0~3.5mmであることができる。
【0015】
前記電池ケースは、2個のカップ部を含み、前記2個のカップ部の間に形成されたフォールディング部を含むことができる。
【0016】
前記テラスにおいてガスバリア層の厚さは、60μm以上、好ましくは60μm~100μm、さらに好ましくは60μm~80μmであることができる。
【0017】
前記カップ部の深さが5.0mm以上、好ましくは5.0~20mm、より好ましくは6.5mm~20mmであることができる。
【0018】
前記カップ部の引張強度は、200N以上、好ましくは200N~300N、より好ましくは210N~260Nであることができる。
【0019】
他の側面において、本発明は、正極、セパレータ、負極が積層されて形成される電極組立体と、前記電極組立体を収納するパウチ型電池ケースとを含み、前記パウチ型電池ケースが前記本発明によるパウチ型電池ケースである二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による電池ケースは、ガスバリア層の厚さが60μm以上と厚いパウチフィルム積層体を用いて、カップ成形後、カップ部のコーナーでガスバリア層の残存厚さが30μmを超えるように厚く形成されるようにすることで、延伸条件が過酷な場合にも、カップ部のコーナーにおいてクラックまたはピンホールのような亀裂の発生を効果的に抑制できるようにした。このように、本発明の電池ケースは、カップ部のコーナーのクラックやピンホールが少ないため、物流工程や充放電時に発生する外部衝撃に対する抵抗性が高く、電池ケースの損傷による電解質の漏れ、水分浸透などを防止することができ、電池安定性を確保することができる。
【0021】
また、本発明による電池ケースは、カップ部のコーナーでのガスバリア層の厚さを未成形領域であるテラスのガスバリア層の厚さの50%~70%になるように十分に延伸することで、カップ部の深さを深く形成することができ、これにより、電極組立体の収容空間の体積を増加させることができ、高エネルギー密度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による二次電池の分解斜視図である。
図2】本発明の他の実施形態による電池ケースを図示した図である。
図3図1および図2のAの部分拡大図である。
図4】本発明のパウチフィルム積層体を図示した断面図である。
図5】実験例1での電池ケースの切断位置を示す図である。
図6】実験例1の切断したサンプルとサンプル断面の写真である。
図7】実験例3の引張強度測定用サンプルの製造のための電池ケースの裁断位置を示す図である。
図8】実施例1の電池ケースの外観を撮影した写真である。
図9】比較例5の電池ケースの外観を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は、自己の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0025】
本発明者らは、電池組立体の収容空間が広くて高いエネルギー密度を実現することができ、物流工程や充放電過程で発生する外部ストレス(stress)による損傷、特に、脆弱部であるカップ部のコーナーでの損傷を抑制することができる電池ケースを製造するために鋭意研究を重ねた結果、カップ成形後、カップ部のコーナーのガスバリア層の残存厚さが30μmを超えるように電池ケースを形成する場合、前記のような目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による二次電池1の分解斜視図であり、図2は、本発明の他の実施形態による電池ケースを図示した図である。また、図3は、図1および図2のA部分を拡大した部分拡大図であり、図4は、本発明の電池ケースを製造するためのパウチフィルム積層体の一実施形態を図示した図である。以下、図1図4を参照して、本発明について説明する。
【0027】
図1を参照すると、本発明による二次電池1は、パウチ型電池ケース100(以下、「電池ケース」)と、前記電池ケース100に収容された電極組立体200とを含むことができる。
【0028】
パウチ型電池ケース100は、柔軟性を有するパウチフィルム積層体をプレス成形装置に挿入し、前記パウチフィルム積層体の一部領域にパンチで圧力を加えて延伸させることで、窪んだ形状のカップ部を形成する方法により製造される。
【0029】
ここで、前記パウチフィルム積層体は、図4に図示されているように、ガスバリア層20と、前記ガスバリア層20の一面に配置される基材層10と、前記ガスバリア層20の他面に配置されるシーラント層30とを含む。
【0030】
以下、図4を参照して、本発明で使用されるパウチフィルム積層体の各層について具体的に説明する。
【0031】
基材層
基材層10は、電池ケースの最外層に配置されて電極組立体を外部衝撃から保護し、電気的に絶縁させるためのものである。
【0032】
前記基材層10は、ポリマー材質からなることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、およびテフロン(登録商標)からなる群から選択される1種以上のポリマー材質からなることができる。
【0033】
前記基材層10は、単層構造であってもよく、図4に図示されているように、互いに異なるポリマーフィルム12、14が積層された多層構造であってもよい。基材層10が多層構造である場合、ポリマーフィルムの間に接着層16aが介在されることができる。
【0034】
一方、前記基材層10は、全厚が10μm~60μm、好ましくは20μm~50μm、さらに好ましくは30μm~50μmであることができる。基材層が多層構造である場合、前記厚さは、接着層を含む厚さである。基材層10が前記範囲を満たす時に、耐久性、絶縁性および成形性に優れる。基材層の厚さが薄すぎると、耐久性が低下し、成形過程で基材層の破損が発生し得、厚すぎると、成形性が低下し得、パウチフィルム積層体の全厚が増加し、電池収容空間が減少して、エネルギー密度が低下し得る。
【0035】
一実施形態によると、前記基材層10は、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthyleneTerephtalate;PET)フィルムとナイロン(Nylon)フィルムの積層構造であることができる。ここで、前記ナイロンフィルムが、ガスバリア層20側、すなわち、内側に配置され、ポリエチレンテレフタレートフィルムが、電池ケースの表面側に配置されることが好ましい。
【0036】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、耐久性および電気絶縁性に優れ、PETフィルムが表面側に配置される時に、耐久性および絶縁性に優れる。ただし、PETフィルムの場合、ガスバリア層20を構成するアルミニウム合金薄膜との接着性が弱く、延伸挙動も相違するため、PETフィルムをガスバリア層側に配置する場合、成形過程で基材層とガスバリア層の剥離が発生し得、ガスバリア層が均一に延伸されず、成形性が低下する問題が発生し得る。これに対し、ナイロンフィルムは、ガスバリア層20を構成するアルミニウム合金薄膜と延伸挙動が類似するため、ポリエチレンテレフタレートとガスバリア層との間にナイロンフィルムを配置する場合、成形性の改善効果を得ることができる。
【0037】
前記ポリエチレンテレフタレートフィルムは、その厚さが5μm~20μm、好ましくは5μm~15μm、さらに好ましくは7μm~15μmであることができ、前記ナイロンフィルムは、その厚さが10μm~40μm、好ましくは10μm~35μm、さらに好ましくは15μm~25μmであることができる。ポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの厚さが前記範囲を満たす時に、成形性および成形後の剛性に優れる。
【0038】
ガスバリア層
ガスバリア層20は、電池ケースの機械的強度を確保し、二次電池への外部のガスまたは水分などの出入りを遮断し、電解質の漏れを防止するためのものである。
【0039】
前記ガスバリア層20は、その厚さが60μm以上、好ましくは60μm~100μm、さらに好ましくは60μm~80μmであることができる。パウチフィルム積層体のガスバリア層の厚さが60μm以上である場合、カップ部の成形深さを6.5mm以上と深く形成する場合にも、カップ部のコーナーでのガスバリア層の残存厚さを30μmを超えるように形成することができる。また、パウチフィルム積層体のガスバリア層の厚さが前記範囲を満たす場合、成形性が改善して、カップ部の成形深さを増加させるか、2カップの成形時にも、クラックおよび/またはピンホールの発生が少なくて、成形後、外部ストレスに対する抵抗性が改善する。パウチフィルム積層体のガスバリア層の厚さが60μm未満である場合、カップ部の成形後、カップ部のコーナーでのガスバリア層の厚さを30μm以上に維持するためには、成形深さを減少させるか、コーナーの延伸時に圧力を減少させる必要があるが、成形深さが減少すると、電極組立体収容空間の体積が減少して高エネルギー密度の実現が難しく、コーナー延伸圧力を減少させる場合、延伸が不均一となりしわが発生し得る。
【0040】
一方、前記ガスバリア層20は、金属材質からなることができ、具体的には、アルミニウム合金薄膜からなることができる。
【0041】
前記アルミニウム合金薄膜は、アルミニウムと、前記アルミニウム以外の金属元素、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種または2種以上を含むことができる。
【0042】
好ましくは、前記アルミニウム合金薄膜は、鉄(Fe)含有量が1.2wt%~1.7wt%、好ましくは1.3wt%~1.7wt%、より好ましくは1.3wt%~1.45wt%であることができる。アルミニウム合金薄膜内の鉄(Fe)含有量が1.2wt%未満である場合には、アルミニウム合金薄膜の強度が低下して成形時にクラックおよびピンホールが発生し得、1.7wt%を超える場合には、アルミニウム合金薄膜の柔軟性が低下して成形性および屈曲性の向上に限界がある。
【0043】
また、前記アルミニウム合金薄膜は、結晶粒度が10μm~13μm、好ましくは10.5μm~12.5μm、さらに好ましくは11μm~12μmであるアルミニウム合金薄膜を含む。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が前記範囲を満たす時に、カップ成形時にピンホール(Pinhole)や亀裂の発生なく成形深さを増加させることができる。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が13μmを超える場合、アルミニウム合金薄膜の強度が低下し、延伸時に内部応力の分散が難しくなるためクラックやピンホールの発生が増加し、結晶粒度が10μm未満である場合には、アルミニウム合金薄膜の柔軟性が低下して、成形性および屈曲性の向上に限界が生じる。
【0044】
前記結晶粒度は、アルミニウム合金薄膜の組成およびアルミニウム合金薄膜の加工法に応じて変化し、アルミニウム合金薄膜の厚さ方向の断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観測して測定することができる。具体的には、本発明では、走査電子顕微鏡を用いて、アルミニウム合金薄膜の厚さ方向の断面SEMイメージを取得し、前記SEMイメージで観察される結晶粒のうち任意の30個の結晶粒の最大径を測定した後、これらの平均値を結晶粒度として評価した。
【0045】
具体的には、前記アルミニウム合金薄膜は、合金番号AA8021のアルミニウム合金であることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
シーラント層
シーラント層30は、熱圧着により接着されて、電池ケースを密封するためのものであり、パウチフィルム積層体1の最内層に位置する。
【0047】
シーラント層30は、電池ケースとして成形された後に電解質および電極組立体と接触する面であるため、絶縁性および耐食性を有する必要があり、内部を完全に密閉して内部と外部との間の物質移動を遮断しなければならないため、高いシール性を有する必要がある。
【0048】
前記シーラント層30は、ポリマー材質からなることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、およびテフロン(登録商標)からなる群から選択される1種以上からなることができ、中でも、引張強度、剛性、表面硬度、耐磨耗性、耐熱性などの機械的物性と耐食性などの化学的物性に優れたポリプロピレン(PP)を含むことが特に好ましい。
【0049】
より具体的には、前記シーラント層30は、ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン(Cast Polypropylene;CPP)、酸変性ポリプロピレン(Acid Modified Polypropylene)、ポリプロピレン-ブチレン-エチレン共重合体またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
前記シーラント層30は、単層構造であってもよく、互いに異なるポリマー材質からなる2以上の層を含む多層構造であってもよい。
【0051】
前記シーラント層は、全厚が60μm~100μm、好ましくは60μm~90μm、さらに好ましくは70μm~90μmであることができる。シーラント層の厚さが薄すぎると、シール耐久性および絶縁性が低下し得、厚すぎると、屈曲性が低下し、パウチフィルム積層体の全厚が増加して、体積に対するエネルギー密度が低下し得る。
【0052】
本発明によるパウチフィルム積層体は、全厚が160μm~200μm、好ましくは180μm~200μmであることができる。パウチフィルム積層体の厚さが前記範囲を満たす時に、パウチ積層体の厚さの増加による電池収容空間の減少、密封耐久性の低下などを最小化し、且つ成形深さを増加させることができる。
【0053】
前記のような本発明のパウチフィルム積層体は、当該技術分野において周知のパウチフィルム積層体の製造方法により製造されることができる。例えば、本発明のパウチフィルム積層体は、ガスバリア層20の上面に接着剤により基材層10を付着し、前記ガスバリア層20の下面に共押出や接着層によりシーラント層30を形成する方法により製造されることができるが、これに限定されるものではない。
【0054】
前記のように製造されたパウチフィルム積層体を成形装置に挿入し、前記パウチフィルム積層体の一部領域にパンチで圧力を加えてカップ部を形成することで、電池ケース100を製造する。ここで、前記圧力は、0.3MPa~1MPa、好ましくは0.3MPa~0.8MPa、より好ましくは0.4MPa~0.6MPa程度であることができる。カップ部の成形時に、圧力が低すぎると、絞りが過剰に発生して、しわが発生し得、高すぎると、絞りがよく行われず、成形深さが低くなり得る。
【0055】
一方、前記パンチの移動速度は、20mm/min~80mm/min、好ましくは30mm/min~70mm/min、より好ましくは40mm/min~60mm/minであることができる。パンチの移動速度が速すぎると、カップ部110の周縁面112が十分に延伸されず圧縮力が作用し、座屈(buckling)によるしわ(wrinkle)が発生し得、パンチの移動速度が遅すぎると、成形時にカップ部のコーナーに集中する応力が大きくなってピンホールやクラックの発生が増加し得る。
【0056】
図1および図2を参照すると、本発明による電池ケース100は、窪んだ形状を有するカップ部110と、カップ部110の周縁の少なくとも一部に位置したテラス120とを含む。
【0057】
前記カップ部110は、電極組立体200を収容するための収容空間Bを有し、前記テラス120は、パウチフィルム積層体で成形されていない部分、すなわち、カップ部110以外の残りの領域を意味する。
【0058】
図3を参照すると、前記カップ部110は、底面111および周縁面112を含むことができる。周縁面112は、底面112とテラス120を連結することができる。周縁面112は、複数個、より詳細には、4個が備えられることができる。
【0059】
底面111は、電極組立体200の一面をカバーすることができ、周縁面112は、電極組立体200の周縁を囲むことができる。
【0060】
また、カップ部110は、周縁面112とテラス120が接する第1エッジ113と、底面111と周縁面112が接する第2エッジ114と、複数個の周縁面112のうち互いに隣り合う一対の周縁面112が接する第3エッジ115とを含むことができる。各エッジ113、114、115は、所定の曲率半径を有するようにラウンド状に形成されることができる。
【0061】
また、カップ部110は、複数個の周縁面112のうち互いに隣り合う一対の周縁面112と底面111が接するコーナー116を含むことができる。すなわち、コーナー116は、互いに接した一対の第2エッジ114と第3エッジ115が重なり合う部分であることができる。前記コーナー116は、所定の曲率半径を有することができる。
【0062】
カップ部110の周縁面112が4個備えられることから、各エッジ113、114、115およびコーナー116もそれぞれ4個で形成されることができる。
【0063】
本発明による電池ケースにおいて、前記コーナー116部分のガスバリア層の厚さが30μm超、好ましくは30μm超70μm以下、より好ましくは30μm超60μm以下である。
【0064】
コーナー116は、カップ部の成形時に延伸応力が集中する部分であり、延伸が最も多く行われるため、他の部分に比べてより薄く形成され、クラックやピンホールの発生も最も多くて、外部衝撃に最も脆い。特に、2カップ成形時には、近接した距離で2個のパンチによって圧力が加えられるため、コーナーに集中する応力がさらに増加して、このような問題がさらにひどくなる傾向にある。本発明は、このような問題を解決するために、カップ部のコーナー116部分のガスバリア層の厚さが30μmを超えるように厚く形成することで、クラックの発生を抑制し、外部衝撃による損傷を最小化できるようにした。
【0065】
一方、前記コーナー116において前記ガスバリア層の厚さは、前記テラス120における前記ガスバリア層の厚さの50%~70%、好ましくは50%~65%、さらに好ましくは55%~65%であることができる。コーナー116のガスバリア層の厚さが、未成形された領域であるテラス120でのガスバリア層の厚さの50%未満になるように延伸する場合には、コーナー116での延伸が過剰に行われて、クラックの発生が増加し、70%を超える場合には、カップ部の収容空間Bの体積が減少して、電池のエネルギー密度が減少する。
【0066】
一方、テラス120は、成形が行われていない領域であり、この部分でのガスバリア層の厚さは、成形前のパウチフィルム積層体のガスバリア層の厚さとほほ同一である。したがって、前記テラス120でのガスバリア層の厚さは、60μm以上、好ましくは60μm~100μm、さらに好ましくは60μm~80μmであることができる。
【0067】
一方、コーナー116の曲率半径は、0.5~5.0mm、好ましくは1.0~4.0mm、より好ましくは2.0~3.5mmに形成されることができる。コーナー116の曲率半径は、コーナー116の内面に対する曲率半径であることができる。コーナー116の曲率半径が小さすぎると、コーナーにおいてガスバリア層の厚さを30μm以上に維持することが困難であり、曲率半径が大きすぎると、カップ部の収容空間が減少して、エネルギー密度が低下し得る。
【0068】
具体的には、第1エッジ113と第2エッジ114との間のクリアランスCLは、2mm以下、好ましくは0.3mm~1mmであることができる。クリアランスが前記範囲を満たす場合、カップ部110内で空き空間がさらに減少するため、二次電池のエネルギー密度が向上し、二次電池の外観がより改善することができる。ここで、前記クリアランスCLは、第1エッジ113と周縁面112の境界点を垂直に通過する仮想の第1垂直線と、第2エッジ114と周縁面112の境界点を垂直に通過する仮想の第2垂直線との距離を意味し得る。
【0069】
一方、本発明による電池ケース100は、下部ケース101と、上部ケース102と、前記下部ケースと上部ケースを連結するフォールディング部130とを含むことができる。
【0070】
具体的には、本発明による電池ケース100は、図1に図示されているように、下部ケース101と上部ケース102それぞれにカップ部110が形成されて2個のカップ部を含む2カップ形態の電池ケースであってもよく、図2に図示されているように、下部ケース101にのみカップ部110が形成された1カップ形態の電池ケースであってもよい。2カップ形態の電池ケースの場合、電極組立体および電解質の収容後、上部ケースのカップ部と下部ケースのカップ部が互いに対向するように上部ケースを折り畳む(folding)ことから、1カップ形態の電池ケースに比べて厚さがより厚い電極組立体を収容することができ、これにより、高エネルギー密度の実現に有利であるという利点がある。
【0071】
一方、本発明において、カップ部の深さは、5.0mm以上、好ましくは5.0~20mm、より好ましくは6.5mm~20mmであることができる。より具体的には、1カップ形態の電池ケースの場合には、カップ部の深さが7.0~17mm、好ましくは9.0~15mmであることができ、2カップ形態の電池ケースの場合には、それぞれのカップ部の深さが5.0~12mm、好ましくは6mm~10mm、より好ましくは7mm~10mmであることができる。
【0072】
カップ部の深さが6.5mm未満である場合には、電極組立体収容空間Bの体積が小さくて、高エネルギー密度を達成することが困難である。一方、カップ部の深さが増加すると、エネルギー密度の面では有利であるが、カップ部成形過程でクラックやピンホールが発生し、電池安全性が低下し得る。
【0073】
一方、前記フォールディング部130は、下部ケース101と上部ケース102を連結し、カップ部110に電極組立体200を収納し、電解液を注入した後に折り畳まれて、上部ケース102が下部ケース101のカップ部110を密封することができるようにする。フォールディング部130が含まれる場合、下部ケース101と上部ケース102が一体に連結され、それによりシール工程を行う時に、シールするサイドの個数が減少し、工程性が向上する効果がある。
【0074】
前記フォールディング部130は、カップ部110と離隔して形成され、前記フォールディング部130とカップ部110の離隔距離は、0.5mm~3mm、好ましくは0.5mm~2mm程度であることができる。フォールディング部130がカップ部110に過剰に近く形成されると、フォールディングがスムーズに行われず、フォールディング部130がカップ部110と過剰に遠く形成されると、二次電池の全体積が増加して、体積に対するエネルギー密度が減少し得る。2カップケースの場合、前記フォールディング部は、それぞれのカップ部に対して前記離隔距離を満たすように形成されることができる。
【0075】
前記のような本発明の電池ケースは、電極組立体の収容空間が広くて高いエネルギー密度を実現することができ、カップ部の剛性に優れ、物流工程や充放電過程で発生する外部ストレス(stress)による損傷を最小化することができる。具体的には、本発明による電池ケースは、カップ部の引張強度が200N以上、好ましくは200N~300N、より好ましくは210N~260Nと高くて、外部衝撃に対する抵抗性に優れる。ここで、前記カップ部の引張強度は、電池ケースのカップ部を幅×長さが15mm×80mmになるように裁断してサンプルを製造した後、前記サンプルをUTM装置にグリップギャップ(Grip gap)30mmで固定し、50mm/minの引張速度で引っ張った時に破断が発生する強度を意味する。
【0076】
前記のような電池ケース100に電極組立体200を収納し、電解液を注入した後、フォールディング部130を折り畳み、上部ケース102が下部ケース101の上部に位置するようにした後、テラス120をシールして、二次電池を製造する。
【0077】
電極組立体200は、交互に積層された複数個の電極および複数個のセパレータを含むことができる。複数個の電極は、セパレータを挟んで交互に積層され、互いに反対の極性を有する正極および負極を含むことができる。
【0078】
また、電極組立体200には、互いに溶接された複数個の電極タブ230が備えられることができる。複数個の電極タブ230は、複数個の電極210に連結されることができ、電極組立体200から外部に突出し、電極組立体200の内部と外部との間に電子が移動することができる通路として作用することができる。複数個の電極タブ230は、電池ケース100の内部に位置することができる。
【0079】
正極に連結された電極タブ230と負極に連結された電極タブ230は、電極組立体200に対して互いに異なる方向に突出することができる。ただし、これに限定されるものではなく、正極に連結された電極タブ230と負極に連結された電極タブ230が互いに平行に同一方向に突出することも可能である。
【0080】
複数個の電極タブ230には、二次電池の外部に電気を供給するリード240がスポット(Spot)溶接などで連結されることができる。リード240は、一端が複数個の電極タブ230と連結され、他端が電池ケース100の外部に突出することができる。
【0081】
リード240の一部は、絶縁部250で周縁が囲まれることができる。例えば、絶縁部250は、絶縁テープを含むことができる。前記絶縁部250は、下部ケース101のテラス120と上部ケース102との間に位置することができ、このような状態で、テラス120と上部ケース102は互いに熱融着されることができる。この場合、テラス120および上部ケース102の一部は、絶縁部250と熱融着されることができる。したがって、絶縁部250は、電極組立体200から生成される電気がリード240を介して電池ケース100に流れることを防止し、電池ケース100のシールを維持させることができる。
【0082】
電解質は、二次電池1の充放電時に、電極の電気化学的反応によって生成されるリチウムイオンを移動させるためのものであり、リチウム塩と高純度有機溶媒類の混合物である非水系有機電解液または高分子電解質を用いたポリマーを含むことができる。さらに、電解質は、硫化物系、酸化物系またはポリマー系の固体電解質を含むこともでき、このような固体電解質は、外力によって変形しやすい柔軟性を有することもできる。
【0083】
以下、具体的な実施例により、本発明をより具体的に説明する。
【0084】
実施例1
厚さ60μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜(製造会社:SAMAアルミニウム)の一面に、厚さ25μmのナイロンフィルム(商品名:Nylon 6、製造会社:HYOSUNG)と厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(製造会社:HYOSUNG)をウレタン接着剤を用いてドライラミネーション方式で積層して基材層を形成した。次に、前記アルミニウム合金薄膜の他面に酸変性ポリプロピレン(PPa)およびポリプロピレンを共押出して厚さ80μmのシーラント層を形成し、パウチフィルム積層体を製造した。
【0085】
前記パウチフィルム積層体を266mm×240mmのサイズに裁断した後、ダイ(Die)とパンチ(Punch)を備えた2カップ成形装置に装着し、圧力0.5MPa、速度50mm/minでパンチを下降させて成形深さが9.1mmになるように絞り成形を行って、2個のカップ部を含む電池ケースを製造した。ここで、2カップ成形装置の金型条件は、下記[表1]に示されているとおりである。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例2
厚さ60μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜の代わりに厚さ80μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜を使用した以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0088】
実施例3
成形深さが6.2mmになるように絞り成形を行った以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0089】
実施例4
厚さ60μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜の代わりに厚さ80μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜を使用し、成形深さが6.2mmになるように絞り成形を行った以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0090】
実施例5
圧力0.1MPa、速度50mm/minでパンチを下降させて成形深さが11.5mmになるように絞り成形を行った以外は、実施例1と同じ方法でフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0091】
比較例1
厚さ60μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜の代わりに厚さ40μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜を使用した以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0092】
比較例2
厚さ60μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜の代わりに厚さ40μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜を使用し、成形深さが6.2mmになるように絞り成形を行った以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0093】
比較例3
厚さ60μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜の代わりに厚さ40μmのAA8021アルミニウム(Al)合金薄膜を使用し、成形深さが11.5mmになるように絞り成形を行った以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0094】
比較例4
成形深さが11.5mmになるように絞り成形を行った以外は、実施例1と同じ方法でパウチフィルム積層体および電池ケースを製造した。
【0095】
実験例1
実施例1~5および比較例1~4で製造された電池ケースのカップ部の間、すなわちフォールディング部方向のコーナーを45度に切断してサンプルを製造した。図5に電池ケースの切断位置を図示した。その後、前記サンプルの切断された断面を観察して、カップ部の底面と周縁面が接するコーナーでのガスバリア層の厚さを測定し、成形前のガスバリア層の厚さに対する前記カップ成形後のコーナーのガスバリア層の厚さの比の百分率を残存率として示した。図6に切断されたサンプル(A)と、前記サンプルの断面の写真(B)を図示した。
【0096】
測定結果は、下記[表2]に示した。
【0097】
【表2】
【0098】
実験例2:クラック発生の評価
実施例1~5および比較例1~4の方法でそれぞれ10個ずつの電池ケースを製造した後、それぞれの電池ケースのカップ部の4個の角部をLED照明で照らしてクラックが発生したか否かを目視で確認した。10個のうちクラックが発生した電池ケースの個数が2個以下である場合をOKと、クラックが発生した電池ケースの個数が3個以上である場合をNGと表示した。測定結果は、下記表3に示した。
【0099】
実験例3:引張強度の測定
実施例1~5および比較例1~4の方法により製造された電池ケースのカップ部を幅×長さが15mm×80mmになるように裁断してサンプルを製造した。図7には、電池ケースの裁断位置(ボックス領域)が図示されている。その後、それぞれのサンプルをUTM装置にグリップギャップ(Grip gap)30mmで固定した後、50mm/minの引張速度で引っ張って破断が発生する強度を引張強度として測定した。測定結果は、下記表に示した。
【0100】
【表3】
【0101】
前記[表3]により、カップ部のコーナーのガスバリア層の厚さが30μmを超える実施例1~4の電池ケースは、コーナーのクラックの発生が少ないのに対し、ガスバリア層の厚さが30μm以下である比較例1~4の電池ケースは、コーナーのクラックの発生が高く示されている。
【0102】
また、実施例1~4の電池ケースは、カップ部の引張強度が200N以上と高く示されているのに対し、比較例1および2は、200N以下と低く示されており、比較例3および比較例4の場合、試験開始時にすぐ破断し、引張強度の測定が不可能であった。
【0103】
実験例4
実施例1および実施例5によって製造された電池ケースの外観を観察した。図8は、実施例1の電池ケースの外観を撮影した写真であり、図9は、実施例5の電池ケースの外観を撮影した写真である。
【0104】
図8および図9に示されているように、実施例1の電池ケースでは、しわが観察されていないが、圧力を低く調節して成形された実施例5の電池ケースは、テラス部分にしわが発生したことを確認することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 二次電池
10 基材層
20 ガスバリア層
30 シーラント層
100 電池ケース
101 下部ケース
102 上部ケース
110 カップ部
120 テラス
130 フォールディング部
200 電極組立体
図1
図2
図3
図4
図5
図6(A)】
図6(B)】
図7
図8
図9
【国際調査報告】