(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】プラズマ処理を利用したシリコンゴムの接合方法
(51)【国際特許分類】
C08J 7/00 20060101AFI20241203BHJP
B29C 65/14 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
C08J7/00 306
C08J7/00 CFH
B29C65/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539420
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 KR2022018990
(87)【国際公開番号】W WO2023128316
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192691
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516172190
【氏名又は名称】アプライド プラズマ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ジェボン
(72)【発明者】
【氏名】チェ インホ
【テーマコード(参考)】
4F073
4F211
【Fターム(参考)】
4F073AA01
4F073BA33
4F073BB01
4F073CA01
4F073CA64
4F073CA69
4F073HA01
4F073HA04
4F073HA07
4F073HA11
4F073HA12
4F211AA45
4F211AG01
4F211AG03
4F211AH17
4F211AH63
4F211AH67
4F211AR02
4F211AR06
4F211AR11
4F211AR12
4F211AR20
4F211TA13
4F211TC01
4F211TD07
4F211TH24
(57)【要約】
本発明は、プラズマ処理を利用したシリコンゴムの接合方法に関し、より具体的に、前記シリコンゴムの一表面をプラズマ処理させることで、親水性で表面改質させ、表面改質された部位を利用してシリコンゴムとシリコンゴムを互いに接合させることに特徴がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンゴムの一表面をプラズマ処理させるステップを含み、
前記プラズマ処理は1気圧で300℃未満のプラズマ温度で行われることである、シリコンゴムの表面改質方法。
【請求項2】
前記シリコンゴムはシート(sheet)形態であり、
前記シリコンゴムシートの厚さは0.1um~150mmである、請求項1に記載のゴムの表面改質方法。
【請求項3】
前記プラズマ処理に使用される気体は空気または二酸化炭素(CO2)である、請求項1に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記空気の供給流量は1L/Wh~10L/Whであり、
二酸化炭素(CO2)を使用する場合、前記二酸化炭素(CO2)の供給流量は1L/Wh~3L/Whである、請求項3に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記プラズマの出力は0.05WATT/mm2~0.8WATT/mm2であり、
二酸化炭素(CO2)を使用する場合、前記プラズマの出力は0.15WATT/mm2~0.5WATT/mm2である、請求項3に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項6】
前記プラズマの放電周波数は1khz~27.12Mhzである、請求項1に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理エネルギーは0.05WATT/mm2~0.8WATT/mm2である、請求項1に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項8】
前記プラズマ処理間隔は1mm~50mmである、請求項1に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項9】
前記表面改質されたシリコンゴムの水に対する表面エネルギーは表面処理前の表面エネルギーに比べて10mN/m~60mN/m高くなったものである、請求項1に記載のシリコンゴムの表面改質方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法を通じて一表面が表面改質されたシリコンゴムを他のシリコンゴムと圧着して接合させるステップを含む、シリコンゴムの接合方法。
【請求項11】
前記圧着は0.1kg/cm2~10kg/cm2の圧力で1秒~60秒間行われることである、請求項10に記載のシリコンゴムの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理を利用したシリコンゴムの接合方法に関し、より具体的に、前記シリコンゴムの一表面をプラズマ処理させることで親水性で表面改質させ、表面改質された部位を利用してシリコンゴムとシリコンゴムを互いに接合させることに特徴がある。
【背景技術】
【0002】
最近、先端産業の急激な発展に伴い、化学的に優れた安定性が要求されている新素材の開発が活発に行われている。
【0003】
新素材のうちゴムと類似した弾性体素材として、他の有機素材(ゴム、プラスチックなど)とは異なり、高機能性産業素材であるシリコンゴムは、高温安定性、低温安定性、超電気絶縁性、耐火難燃性、無味・無毒性、永久不変性、地球環境性、耐薬品性、耐化学性、耐紫外線放射線性、生化学的不活性、透明性、多様な機械的特性などの長所により、如何なる形態の他の弾性体よりも広く使用されている。
【0004】
すなわち、前記シリコンゴムは、前記のような長所により、自動車内外装部品接合コーティング、衣類靴接合、電線製造、医療用器機製造、電信柱保護フィルム、消費財製造など、各種シリコンゴム接合分野で多様に使用されている。
【0005】
しかし、このようなシリコンゴムは、大部分の高分子化合物のように疎水性で製造されて低い表面エネルギーなどによりシリコンゴム間の接着と併せて他の材質との接着もまた難しいことから、その応用が制限される短所がある。よって、前記シリコンゴムを互いに接合させるために、通常的に特殊接着剤を使用したり、熱融着方式を使用したりする。
【0006】
ただし、前記のように特殊接着剤を使用する場合、別途の接着剤を使用するため環境に優しくなく、熱融着方式を使用する場合には製品に損傷を与える可能性があり、シリコンゴムの形状が変形されることがあり、エネルギー消耗が大きく発生するなど、多様な問題が引き起こされる可能性がある。
【0007】
よって、本発明者らは、前記のような問題を解決するために研究していたところ、シリコンゴムの表面にプラズマ処理を行う場合、疎水性の表面に極性基が形成されてシリコンゴム間に接着が円滑に行われることができることを見出して、本発明を完成するようになった。
【0008】
これと関連して、韓国登録特許第10-1330149号は、シリコンゴム接着用接着剤について開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、プラズマ処理を利用したシリコンゴムの表面改質方法を提供することにその目的がある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記表面改質されたシリコンゴムの接合方法を提供することにある。
【0011】
その他の本発明の詳細な目的は、以下に記載される具体的な内容を通じてこの技術分野の専門家や研究者に自明に把握されて理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の技術的課題を達成するための技術的手段として、
本発明の一側面は、
シリコンゴムの一表面をプラズマ処理させるステップを含み、
前記プラズマ処理は1気圧で300℃未満のプラズマ温度で行われることである、シリコンゴムの表面改質方法を提供する。または、常圧、常温で行われてもよい。
【0013】
前記シリコンゴムはシート(sheet)形態であり、前記シリコンゴムシートの厚さは0.1T~5Tであってよく、それ以上であってもよい。または、前記シリコンゴムシートの厚さが0.1um~150mmに該当してもよい。
【0014】
前記プラズマ処理に使用される気体は空気または酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)であってよい。
【0015】
前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記空気の供給流量は1L/Wh~10L/Whであり、二酸化炭素(CO2)を使用する場合、前記二酸化炭素(CO2)の供給流量は1L/Wh~3L/Whであってよい。
【0016】
前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記プラズマの出力は0.05WATT/mm2~0.8WATT/mm2であり、二酸化炭素(CO2)を使用する場合、前記プラズマの出力は0.15WATT/mm2~0.5WATT/mmm2であってよい。
【0017】
前記プラズマの放電周波数は1khz~27.12Mhzであってよい。
【0018】
前記プラズマ処理間隔は1mm~50mmであってよい。
【0019】
前記プラズマ処理エネルギーは0.05WATT/mm2~0.8WATT/mm2であってよい。
【0020】
前記表面改質されたシリコンゴムの水に対する表面エネルギーは表面処理前の表面エネルギーに比べて10mN/m~60mN/m高くなったものであってよい。
【0021】
また、本発明の他の一側面は、
前記方法を通じて一表面が表面改質されたシリコンゴムを他のシリコンゴムと圧着して接合させるステップを含む、シリコンゴムの接合方法を提供する。
【0022】
前記圧着は、気泡除去のためのものであって、0.1kg/cm2~10kg/cm2の圧力で0.1秒~60秒間行われるものであってよい。
【0023】
一方、これに先って、本明細書は、特許登録請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者らは、自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0024】
よって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点において、これらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解されたい。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明によるプラズマ処理を利用して、シリコンゴムの表面を改質させ、前記改質された表面を利用してシリコンゴム間に接着を行う場合、別途の接着剤を使用せずにも優れた接着性能を示すことができるため、環境に優しいものであり得る。
【0026】
また、シリコンゴムそのものに損傷が起きず、より簡便にこれを接着させることができるため、非常に効率的なものであり得る。
【0027】
その他、本発明の効果は、以下に記載される具体的な内容を通じて、または本発明を実施する工程中にこの技術分野の専門家や研究者に自明に把握されて理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一具現例によるシリコンゴムの表面改質およびその接着過程を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例により本発明が限定されず、本発明は、後述する請求の範囲により定義されるだけである。
【0030】
さらに、本発明で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に相違に意味しない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書全体において、ある構成要素を「含む」とすることは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0031】
本願の第1側面は、
シリコンゴムの一表面をプラズマ処理させるステップを含み、
前記プラズマ処理は常圧、常温で行われることであるシリコンゴムの表面改質方法を提供する。または1気圧で300℃未満のプラズマ温度で行われてよい。
【0032】
以下、本願の第1側面によるシリコンゴムの表面改質方法を詳しく説明する。
【0033】
本願の一具現例において、前記シリコンゴムはシート(sheet)形態であってよい。すなわち、
図1に示したように、一定の厚さおよび長さを有するものであってよく、前記シリコンゴムシートの厚さは約0.1T~5Tであってよく、本発明の一実施例によれば、約1Tであってよい。
【0034】
一方、前記シリコンゴムシートの長さは大きく制限がなく、適用しようとする分野に適した長さを採用して使用すればよいものであってよい。また、前記シリコンゴムの材質は大きく制限がなく、一般的に使用されるシリコンゴムシートを使用するものであってよい。
【0035】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理は、常温の周囲温度で表面処理が可能な低温/常圧プラズマ表面処理装置を利用して電圧印加下に一定の反応ガスを吹き込んで行われるものであってよい。
【0036】
本願の一具現例において、シリコンゴムの表面改質方法は、シリコンゴムの一表面をプラズマ処理させるステップを含むものであってよい。すなわち、前記プラズマ処理したシリコンゴムの一表面を利用して他のシリコンゴムとの接合を行うものであってよい。ただし、前記シリコンゴムは、一表面のみをプラズマ処理することに限定して解釈してはならず、必要に応じて両表面にすべてシリコンゴムを接合しなければならない場合には、当然に他表面もまたプラズマ処理するものと理解されなければならない。
【0037】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理に使用される気体は空気または二酸化炭素(CO2)であってよい。このとき、前記空気は酸素を含む大気の空気を意味するものであってよい。一方、前記空気または二酸化炭素は、純度99%以上の高純度気体であってよく、好ましくは、約99.9%の純度を有するものであってよい。
【0038】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記空気の供給流量は1L/Wh~10L/Whであってよく、好ましくは3L/Wh~5L/Wh本発明の一実施例によれば、2L/Wh~4L/Whのものであってよい。一方、前記空気の供給流量が1L/Wh未満である場合、供給される空気の含量が少ないため、シリコンゴムの表面改質が円滑に行われないことがあり、10L/Wh超過である場合、既に表面改質に必要な空気の含量を超えるため、非経済的なものであり得る。
【0039】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記プラズマの出力(プラズマ発生時の印加電圧)は、0.05WATT/mm2~0.8WATT/mm2であってよく、最も好ましい範囲は、0.25WATT/mm2~0.4WATT/mm2であってよい。
【0040】
一方、本発明の一実施例によれば、前記プラズマ処理に空気を使用する場合、前記プラズマの出力は0.25WATT/mm2~0.4WATT/mm2であってよい。前記プラズマの出力が0.05WATT/mm2未満である場合、印加される電圧が少ないためプラズマ処理が円滑に行われないことがあり、0.8WATT/mm2超過である場合、既に必要な印加電圧を超えたため非経済的なものであり得る。一方、前記プラズマ発生時の印加電圧は、増加するほど放電密度が高くなり、シリコンゴム表面に活性官能基の発達が増加することにつれ接着力が向上するものであってよい。
【0041】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理に二酸化炭素(CO2)を使用する場合、前記二酸化炭素(CO2)の供給流量は1L/Wh~3L/Whであってよく、最も好ましい範囲は2L/Wh~3L/Whであってよく、本発明の一実施例によれば、2L/Wh~2.5L/Whであってよい。
【0042】
一方、前記二酸化炭素(CO2)の供給流量が1L/Wh未満である場合、供給される二酸化炭素の含量が少ないため、シリコンゴムの表面改質が円滑に行われないことがあり、3L/Wh超過である場合、既に表面改質に必要な二酸化炭素の含量を超えるため、非経済的なものであり得る。
【0043】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理に二酸化炭素(CO2)を使用する場合、前記プラズマの出力(プラズマ発生時の印加電圧)は0.15WATT/mm2~0.5WATT/mm2であってよく、最も好ましい範囲は、0.25WATT/mm2~0.4WATT/mm2であってよい。
【0044】
一方、本発明の一実施例によれば、前記プラズマ処理に二酸化炭素を使用する場合、前記プラズマの出力は0.25WATT/mm2~0.4WATT/mm2であってよい。前記プラズマの出力が0.1WATT/mm2未満である場合、印加される電圧が少ないため、プラズマ処理が円滑に行われないことがあり、0.5WATT/mm2超過である場合、既に必要な印加電圧を超えたため、非経済的なものであり得る。一方、前記プラズマ発生時の印加電圧は、増加するほど放電密度が高くなり、シリコンゴム表面に活性官能基の発達が増加することにつれ接着力が向上するものであってよい。
【0045】
本願の一具現例において、前記プラズマの放電周波数は1khz~27.12Mhzであってよい。具体的に、前記放電周波数は低温/常圧プラズマ表面処理装置の周波数を意味するものであって、RF周波数が適用されるものであってよい。このとき、前記プラズマの放電周波数は、本発明の一実施例によれば、約30khz~60khzであってよい。一方、前記プラズマ表面処理装置の変圧器もまた、RFパワーを使用するものであってよい。
【0046】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理エネルギーは0.05WATT/mm2~0.8WATT/mm2であってよい。最も好ましい範囲は0.25WATT/mm2~0.4WATT/mm2であってよい。本発明の一実施例によれば、約0.4WATT/mm2であってよい。一方、前記プラズマ処理は、前記速度範囲で1回行うことが好ましい。前記プラズマ処理エネルギーが0.05WATT/mm2未満である場合、エネルギーが低すぎて表面改質が円滑に行われないことがあり、0.8WATT/mm2超過である場合、非効率的なものであり得る。
【0047】
本願の一具現例において、前記プラズマ処理間隔は1mm~50mmであってよく、好ましくは1mm~20mmであってよく、本発明の一実施例によれば、約10mmであってよい。このとき、前記プラズマ処理間隔とは、シリコンゴムの一表面とプラズマ供給源である反応ガスとの間隔を意味するものであってよい。一方、前記プラズマ処理間隔が1mm未満または50mm超過である場合、シリコンゴムの一表面とプラズマ供給源である反応ガス間の間隔が狭すぎるか、遠すぎるため、プラズマによるシリコンゴムの表面改質が円滑に行われない問題が発生することができる。
【0048】
本願の一具現例において、前記表面改質されたシリコンゴムの水に対する表面エネルギーは、表面処理前の表面エネルギーに比べて10mN/m以上高くなったものであってよい。
【0049】
このとき、前記表面接触角は、具体的に表面改質されたシリコンゴムの一表面上での接触角を意味するものであってよい。
【0050】
すなわち、本来シリコンゴムの表面は、シリコン(Si)および炭化水素からなっており、疎水性の性質を有するが、前記表面にプラズマ処理を行う場合、シリコン(Si)または炭化水素(CH2など)にラジカルが発生して、前記ラジカルが酸素基と再結合することでヒドロキシ基(-OH)またはカルボニル基(-C=O-)などのような極性基が導入されることで、親水性の性質を有するようになるものであってよい。
【0051】
よって、親水性の性質を有する表面改質されたシリコンゴムの一表面は、前記のように低い水に対する接触角を有するようになるものであってよい。
【0052】
本願の第2側面は、
前記本願の第1側面による方法を通じて、一表面が表面改質されたシリコンゴムを他のシリコンゴムと圧着して接合させるステップを含む、シリコンゴムの接合方法を提供する。
【0053】
本願の第1側面と重複する部分に対しては詳しい説明を省略したが、本願の第1側面について説明した内容は、第2側面でその説明が省略されたとしても同一に適用されることができる。
【0054】
以下、本願の第2側面による前記シリコンゴムの接合方法を詳しく説明するようにする。
【0055】
本願の一具現例において、前記シリコンゴムの接合は2個以上のシリコンゴムを接合させるものであってよく、このとき、前記接合されるシリコンゴムの表面は、それぞれ本願の第1側面による方法を通じて表面改質されているものであってもよく、このうち一つのシリコンゴム表面だけが表面改質されているものであってもよい。すなわち、
図1には2個のシリコンゴムを接合させる過程のみを示したが、他の表面にも他のシリコンゴムが接合できるものと理解されなければならず、このとき、それぞれの表面のうちいずれか一つ以上は、前記本願の第1側面に沿って表面改質されているものと理解されなければならない。
【0056】
本願の一具現例において、前記圧着は0.1kg/cm2~10kg/cm2の圧力で行われるものであってよく、好ましくは0.1kg/cm2~5kg/cm2の圧力で行われるものであってよく、本発明の一実施例によれば、約1kg/cm2の圧力で行われるものであってよい。一方、前記圧着が0.1kg/cm2未満の圧力で行われる場合、圧力が小さすぎてシリコンゴム間の接合が円滑に行われないことがあり、10kg/cm2超過の圧力で行われる場合、圧力が大きいすぎるため、シリコンゴムが変形される問題が発生することができる。
【0057】
本願の一具現例において、前記圧着は1秒~60秒間行われるものであってよく、好ましくは1秒~20秒間行われるものであってよく、さらに好ましくは1秒~10秒間行われるものであってよい。一方、本発明の一実施例によれば、約5秒間行われるものであってよい。前記圧着が1秒未満の時間の間に行われる場合、圧着時間が短すぎてシリコンゴム間の接合が円滑に行われないことがあり、60秒超過の時間の間に行われる場合、既に接合のための時間を超えるため、非効率的なものであり得る。
【0058】
本願の一具現例において、前記シリコンゴムの接合方法を通じて接合されたシリコンゴムは、接合前のシリコンゴムの切断強度に比べて約300倍以上の切断強度を有するようになるものであってよい。
【0059】
より具体的に、接合前のシリコンゴムの切断強度は、約0.5kgf/cm2未満のものであってよいが、
図1に示したように、シリコンゴム2個を接合させる場合、接合されたシリコンゴムの切断強度は、約30kgf/cm2以上のものであってよい。
【0060】
よって、前記のような方法で接合されたシリコンゴムは、前記のような優れた物性により、自動車内外装部品接合コーティング、衣類靴接合、電線製造、医療用器機製造、電信柱保護フィルム、消費財製造など、各種シリコンゴム接合分野で多様に適用可能なものであってよい。
【0061】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
製造例1.空気を利用したシリコンゴムの表面改質(出力:500W)
【0062】
50mm×50mmサイズおよび1Tの厚さを有する一般シリコンシートを準備した。
【0063】
前記準備されたシリコンシートの一表面に下記のような条件でプラズマ処理を行った。
【0064】
-周辺温度:常温
-プラズマ温度:60℃未満
-使用ガス:空気(clean dry air、CDA)
-ガス供給流量:4L/Wh~5.5L/Wh
-プラズマ方式:大気圧プラズマ
-放電周波数:30khz~27.12Mhz
-出力:500W
-プラズマエネルギー:0.25WATT/mm2
-プラズマ処理間隔:10mm
製造例2.空気を利用したシリコンゴムの表面改質(出力:1,000W)
【0065】
前記製造例1で出力を1,000Wで行ったことを除いては、同じ方法でシリコンゴムの表面改質を行った。
製造例3.二酸化炭素を利用したシリコンゴムの表面改質(出力:550W)
【0066】
前記製造例1で使用ガスとして二酸化炭素(CO2)を使用し、ガス供給流量を1L/Wh~2L/Whにし、出力を550Wで行ったことを除いては、同じ方法でシリコンゴムの表面改質を行った。
製造例4.二酸化炭素を利用したシリコンゴムの表面改質(出力:800W)
【0067】
前記製造例3で出力を800Wで行ったことを除いては、同じ方法でシリコンゴムの表面改質を行った。
実施例.シリコンゴムシートの接合
【0068】
前記製造例1~4でそれぞれ表面改質させたシリコンゴムシート同士接合を行った。すなわち、例えば、製造例1で表面改質させたシリコンゴムシートは、同じ方法(製造例1の方法)で表面改質させたシリコンゴムシートと接合させ、製造例2~4によって表面改質させたシリコンゴムシートもまた、それぞれ同一に接合させた。
【0069】
このとき、前記シリコンゴム間の圧着圧力は1kg/cm2であり、圧着時間は5秒であり、圧着後には常圧大気条件で60秒間放置した。
実験例1.接触角測定実験
【0070】
前記製造例1~4において、それぞれ表面改質させたシリコンゴムの一表面に対して、水に対する接触角を測定して、下記表1に示した。
【0071】
【0072】
前記表1に示したように、プラズマ処理前のシリコンシートの接触角は、3回測定結果、約90度程度の接触角を示して疎水性の性質を有することが確認された。ただし、プラズマ処理後の接触角は、製造例1~3の場合、5度未満で測定されて優れた親水性の性質で表面改質されたことを確認することができ、製造例4の場合、3回測定結果、約60度未満で測定されて、同様に親水性の性質で表面改質されたことを確認することができた。
実験例2.切断強度測定実験
【0073】
接合前のシリコンゴムシートの切断強度と前記実施例によって接合させたシリコンゴムシートの切断強度を測定して、下記表2に示した。
【0074】
【0075】
前記表2に示したように、接合前のシリコンシートの切断強度は0.5kgf/cm2未満の低い強度値を示したのに対し、本発明の実施例によって接合させたシリコンシートの切断強度は30kgf/cm2以上の高い強度値を示して、優れた切断強度を有することを確認することができた。よって、本発明によって表面改質させたシリコンゴムシートを接合させる場合、優れた物性を有するようになり、多様な産業分野で有用に使用され得ることを確認することができた。
【0076】
以上、図面を参照して好ましい実施例とともに本発明について詳細に説明したが、このような図面と実施例に本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではない。よって、本発明の技術的思想の範囲内で多様な変形例または均等な範囲の実施例が存在することができる。そのため、本発明による技術的思想の権利範囲は請求の範囲によって解析されなければならず、これと同等または均等な範囲内の技術思想は、本発明の権利範囲に属するものと解釈されなければならない。
【国際調査報告】