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特表2024-545733信号干渉キャンセル方法、装置、及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-10
(54)【発明の名称】信号干渉キャンセル方法、装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/525 20150101AFI20241203BHJP
   H04L 27/01 20060101ALI20241203BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H04B1/525
H04L27/01
H04B1/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540596
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2022142857
(87)【国際公開番号】W WO2023131029
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210004327.0
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】岳亮
(72)【発明者】
【氏名】孫青岩
(72)【発明者】
【氏名】戴征堅
(72)【発明者】
【氏名】張作鋒
【テーマコード(参考)】
5K011
5K052
【Fターム(参考)】
5K011BA03
5K011DA02
5K011DA12
5K011DA27
5K011KA05
5K052AA01
5K052FF32
5K052FF33
5K052GG26
5K052GG31
5K052GG48
(57)【要約】
本願の実施例は、信号干渉キャンセル方法、装置、及び電子機器を開示する。前記方法は、送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得するステップ(S1000)と、第1サンプルデータ及び第2サンプルデータに基づいて、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含む干渉キャンセルパラメータを得るステップ(S2000)と、干渉キャンセルパラメータに基づいて送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得するステップ(S3000)と、キャンセル信号及び受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成するステップ(S4000)と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局に適用される信号干渉キャンセル方法であって、
送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得するステップと、
前記第1サンプルデータ及び前記第2サンプルデータに基づいて、干渉キャンセルパラメータを得るステップであって、前記干渉キャンセルパラメータは、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含むステップと、
前記干渉キャンセルパラメータに基づいて前記送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得するステップと、
前記キャンセル信号及び前記受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1サンプルデータ及び前記第2サンプルデータに基づいて、干渉キャンセルパラメータを得る前記ステップは、
前記第1サンプルデータを送信チャネルモデルに入力し、送信デジタル中間周波数信号を出力するステップと、
前記送信デジタル中間周波数信号を受動相互変調非線形モデルに入力し、受動相互変調信号を出力するステップと、
前記受動相互変調信号及び前記第2サンプルデータに基づいて、前記送信チャネルフィルタリング係数及び前記非線形モデル係数を得るステップと、
前記受動相互変調信号を受信チャネルモデルに入力し、受動相互変調キャンセル信号を出力するステップと、
前記受動相互変調キャンセル信号及び前記第2サンプルデータに基づいて、前記受信チャネルフィルタリング係数を得るステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1サンプルデータを送信チャネルモデルに入力し、送信デジタル中間周波数信号を出力する前記ステップは、
複数の前記第1サンプルデータを取得するステップと、
前記第1サンプルデータを送信信号行列に変換するステップと、
前記送信信号行列と送信チャネル行列との積に基づいて、前記送信デジタル中間周波数信号を得るステップと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記送信デジタル中間周波数信号を受動相互変調非線形モデルに入力し、受動相互変調信号を出力する前記ステップは、
複数の同じバンドの前記送信デジタル中間周波数信号を加算して、送信デジタル中間周波数結合信号を得るステップと、
前記送信デジタル中間周波数結合信号と非線形モデル行列との積に基づいて、前記受動相互変調信号を得るステップと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記受動相互変調信号及び前記第2サンプルデータに基づいて、前記送信チャネルフィルタリング係数及び前記非線形モデル係数を得る前記ステップは、
前記受動相互変調信号と前記第2サンプルデータとの間の第1コスト関数を生成するステップと、
前記第1コスト関数を解いて、前記送信チャネル行列の最適解を前記送信チャネルフィルタリング係数として得、前記非線形モデル行列の最適解を前記非線形モデル係数として得るステップと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記受動相互変調信号を受信チャネルモデルに入力し、受動相互変調キャンセル信号を出力する前記ステップは、
前記受動相互変調信号と受信チャネル行列との積に基づいて、前記受動相互変調キャンセル信号を得るステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記受動相互変調キャンセル信号及び前記第2サンプルデータに基づいて、前記受信チャネルフィルタリング係数を得る前記ステップは、
前記受動相互変調キャンセル信号と前記第2サンプルデータとの間の第2コスト関数を生成するステップと、
前記第2コスト関数を解いて、前記受信チャネル行列の最適解を前記受信チャネルフィルタリング係数として得るステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記干渉キャンセルパラメータに基づいて前記送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得する前記ステップは、
前記送信チャネルフィルタリング係数に基づいて、リアルタイムな前記送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理を行い、リアルタイムなフィルタリング信号を得るステップと、
同じバンドの前記リアルタイムなフィルタリング信号を加算して、結合フィルタリング信号を形成するステップと、
前記非線形モデル係数に基づいて、前記結合フィルタリング信号に対して非線形変換を行い、受動相互変調信号を得るステップと、
前記受信チャネルフィルタリング係数に基づいて、前記受動相互変調信号に対して受信チャネルフィルタリング処理を行い、前記キャンセル信号を得るステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非線形モデル係数に基づいて、前記結合フィルタリング信号に対して非線形変換を行い、受動相互変調信号を得る前記ステップは、
前記結合フィルタリング信号のタイプの数に応じて信号次数の組み合わせを決定し、様々なタイプの受動相互変調主信号を得るステップと、
前記受動相互変調主信号のモード値信号次数の組み合わせを決定し、前記結合フィルタリング信号に基づいて、様々なタイプの非線形基底信号を得るステップと、
前記受動相互変調主信号、前記非線形基底信号及び前記非線形モデル係数に基づいて、前記受動相互変調信号を得るステップと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キャンセル信号及び前記受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成する前記ステップは、
前記受信信号から前記キャンセル信号を減算して、前記出力信号を得るステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
信号干渉キャンセル装置であって、
送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得するための取得モジュールと、
前記第1サンプルデータ及び前記第2サンプルデータに基づいて、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含む干渉キャンセルパラメータを得るための計算モジュールと、
前記干渉キャンセルパラメータに基づいて前記送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を得るための処理モジュールと、
前記キャンセル信号及び前記受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成するための生成モジュールと、を含む、装置。
【請求項12】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで動作可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~10のいずれか1項に記載の信号干渉キャンセル方法を実現する、電子機器。
【請求項13】
プロセッサによって実行されると、請求項1~10のいずれか1項に記載の信号干渉キャンセル方法を実現するコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202210004327.0、出願日が2022年01月04日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全ての内容は引用により参考として本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、通信の技術分野に関し、例えば、信号干渉キャンセル方法、装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信の発展に伴い、通信トラフィックや通信カバレッジなどに対する要求はますます高くなり、その結果、通信基地局の送信電力はますます大きくなり、送信帯域幅はますます広くなる。さらに、周波数分割二重化(FDD:Frequency Division Duplexing)は、リモートRFユニット(RRU:Remote Radio Unit)で広く使用されており、大電力と広い帯域幅は深刻な受動相互変調干渉の問題を引き起こしてしまう。送信信号の帯域幅が十分に広い場合、送信信号によって生成される受動相互変調干渉信号は受信バンドに入る。相互変調干渉信号の電力が十分に大きい場合、受信信号のノイズフロアが増加し、受信信号の品質に影響を及ぼし、したがって基地局のカバレージに影響を及ぼす。
【0004】
既存のFDDベースのRRU基地局は、通常、マルチバンド・マルチアンテナ技術をサポートしている。つまり、1つのアンテナには、2つ以上のバンドの信号が設定されてもよく、また、複数の送信アンテナと受信アンテナが存在する。通常、これらのアンテナが共通アテンナアレイにあるため、より複雑な受動相互変調干渉成分が発生し、受信側により深刻な影響が生じる。したがってマルチバンド・マルチアンテナによる受動相互変調干渉をどのようにキャンセルするかは、通信信号の伝送品質及びユーザの使用エクスペリエンスに関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下は、本明細書で詳細に説明される主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0006】
本願の実施例は、マルチバンド・マルチアンテナにおける受動相互変調干渉をキャンセルし、通信信号の伝送品質及びユーザの使用エクスペリエンスを向上させることができる信号干渉キャンセル方法、装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様では、本願の実施例は、信号干渉キャンセル方法を提供し、前記方法は、
送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得するステップと、
前記第1サンプルデータ及び前記第2サンプルデータに基づいて、干渉キャンセルパラメータを得るステップであって、前記干渉キャンセルパラメータは、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含むステップと、
前記干渉キャンセルパラメータに基づいて前記送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得するステップと、
前記キャンセル信号及び前記受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成するステップと、を含む。
【0008】
第2態様では、本願の実施例は、信号干渉キャンセル装置を提供し、前記装置は、
送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得するための取得モジュールと、
前記第1サンプルデータ及び前記第2サンプルデータに基づいて、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含む干渉キャンセルパラメータを得るための計算モジュールと、
前記干渉キャンセルパラメータに基づいて前記送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を得るための処理モジュールと、
前記キャンセル信号及び前記受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成するための生成モジュールと、を含む。
【0009】
第3態様では、本願の実施例は、電子機器を提供し、前記電子機器は、
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで動作可能なコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、本願の実施例による信号干渉キャンセル方法を実現する。
【0010】
第4態様では、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、
プロセッサによって実行されると、本願の実施例による信号干渉キャンセル方法を実現するコンピュータプログラムを記憶した。
【0011】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書で説明され、明細書から部分的に明らかになるか、本願を実施することによって理解される。本願の目的及びその他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面において特に指摘されている構成によって達成、取得され得る。
図面は、本願の技術案の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を解釈するために使用され、本願の技術案を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の基地局のRRU構造図である。
図2】本願の実施例による信号干渉キャンセル方法の流れの模式図である。
図3図2のステップS2000の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図4図3のステップS2100の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図5図3のステップS2200の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図6図3のステップS2300の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図7図3のステップS2400の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図8図3のステップS2500の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図9図2のステップS3000の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図10図9のステップS3300の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図11図2のステップS4000の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図である。
図12】本願の実施例による信号干渉キャンセル装置の構造図である。
図13】本願の実施例による電子機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本願についてさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を解釈するためにのみ使用され、本願を限定するために使用されない。
【0014】
なお、本願の実施例の説明において、「第1」、「第2」などの記載は、単に技術的特徴を区別することを目的としたものであって、相対的重要性を指示又は暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したり、示された技術的特徴の前後関係を暗黙的に示したりするとは理解すべきではない。「少なくとも1つ」とは、1つ又は複数を意味し、「複数」とは、2つ又は2つ以上を意味する。「及び/又は」は、関連オブジェクトの関連関係を説明するものであり、3つの関係が存在し得ることを示し、例えば、A及び/又はBの場合、Aが単独で存在する場合、AとBが同時に存在する場合、Bが単独で存在する場合を示すことができる。ここで、A、Bは単数でも複数でもよい。符号「/」は、一般的に、前後の関連オブジェクトが「又は」の関係にあることを示す。「以下の少なくとも1項」及びそれに類似する表現は、これらの項の任意の組み合わせを指し、単数又は複数の項の任意の組み合わせを含む。例えば、a、b及びcのうちの少なくとも1項は、a、b、c、aとb、aとc、bとc、又はaとbとcとを表すことができ、a、b、cは、単一であっても、複数であってもよい。
【0015】
さらに、以下に記載される本願の各実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせてもよい。
【0016】
本願の実施例に係る信号干渉キャンセル方法は、受動相互変調干渉キャンセル(PIMC:Passive Inter-modulation Cancel)技術に基づいて、マルチバンド・マルチアンテナ技術の適用シナリオにおける信号受動相互変調干渉を除去するために、受信バンドにある受動相互変調干渉信号に対してデジタルドメイン上でフィルタリング及び非線形モデリング処理を行う。実際の応用において、通信システムの複数の送信アンテナと受信アンテナの共存により、発生する受動相互変調干渉現象は更に顕著であり、受信への影響も更に深刻である。そのため、信号干渉キャンセルの方式を採用することはマルチバンド・マルチアンテナにおける受動相互変調干渉を効果的にキャンセルし、通信信号の伝送品質とユーザ使用エクスペリエンスを向上させることができ、特にFDDベースの基地局のマルチバンド・マルチアンテナの適用シナリオに適している。例示的には、現在の通信ネットワークにおける受動相互変調干渉の典型的なシナリオは、FDDベースのRRU基地局におけるマルチバンド・マルチアンテナの応用環境である。
【0017】
図1を参照して、図1は、従来の基地局のRRU構造図を示す。図1に示すように、RRUには2つのRFポートがあり、RFケーブルと2つのアンテナによって接続されている。この2つのアンテナは、共通アテンナアレイにあり、すなわち同一のレドーム内にある。なお、実際には、複数のRFポートと複数のアンテナが存在してもよい。ここでは、2つのRFポートと2つのアンテナを例に説明する。
【0018】
図1に示したように、RRUの基本的な動作過程は以下の通りである。送信端では、RRUは、ベースバンドが光ファイバーを通じて送信したデジタルベースバンド信号をデジタルアップコンバート(DUC:Digital Up Converter)して、送信デジタル中間周波数信号に変換し、送信デジタル中間周波数信号は、デジタルアナログ変換器(DAC:Digital to Analog Converter)によって処理され、送信アナログ中間周波数信号に変換され、送信アナログ中間周波数信号は、送信局部発振器(TX_LO)によりミキシング処理されて、送信アナログRF信号に変換され、送信アナログRF信号は、送信デュプレクサ(TX_DUP)によりフィルタリングされてアンテナに送信され、最後に、アンテナは、送信アナログRF信号を電磁波に変換して自由空間に放射する。受信端では、アンテナは、自由空間で受信した電磁波を受信アナログRF信号に変換し、受信アナログRF信号は受信デュプレクサ(RX_DUP)によるフィルタリングを受けて、受信バンド外のスプリアス信号を除去された後、まず、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)によって増幅され、さらに受信局部発振器(RX_LO)によってミキシング処理され、受信アナログ中間周波数信号に変換され、受信アナログ中間周波数信号は、アナログデジタル変換器(ADC:Analog to Digital Converter)によって処理され、受信デジタル中間周波数信号に変換され、受信デジタル中間周波数信号は、さらにデジタルダウンコンバージョン(DDC:Digital Down Converters)処理を受けて受信ベースバンド信号に変換され、最後に、受信ベースバンド信号は、光ファイバーを通じてベースバンドに送信される。
【0019】
したがって、RRUは、全体としてデジタル信号処理とアナログ信号処理の2つの部分に分かれており、このうち、本願に係る信号干渉キャンセル装置は、RRUのデジタル信号処理部分にある。RRUは、動作時に受動相互変調干渉信号を生成するが、図1から分かるように、受動相互変調干渉信号は、主にディプレクサ及びディプレクサに続く受動デバイスで発生する。例示的には、受動デバイスは、RFケーブル、RFコネクタ、アンテナ、及びアンテナの外部の金属遮蔽物を含むが、これらに限定されない。受動相互変調信号を生成する信号源によって、受動相互変調を2種類に分けることができる。1つは、単一アンテナ内部の送信信号にのみ関連して、例えばデュプレクサ、RFケーブル、RFコネクタなどの内部で生成された受動相互変調干渉信号であり、もう1つは、2つのアンテナの送信信号に関連するもの、例示的には、例えば、アンテナ反射板、給電ネットワークのようなレドーム内部の金属部品で生成される受動相互変調干渉信号、及びレドームの外部の自由空間の金属遮蔽物で生成される受動相互変調干渉信号である。このように、この2つの受動相互変調信号を同時にキャンセルするには、受信信号に対して干渉をキャンセルするのに十分なデータを収集するために、複数のアンテナからの送信信号を使用する必要がある。
【0020】
通信信号の伝送品質を確保するために、従来の受動相互変調信号の干渉キャンセル方法は、基地局の受信バンドにある受動相互変調信号に対してデジタルドメインで非線形変換を行い、キャンセルするものであるが、マルチアンテナの送信信号間の結合関係を十分に表すことができず、しかも、キャンセル信号に対して結合処理と等化フィルタリング処理を行わないため、マルチバンド・マルチアンテナのシナリオにおいて高効率で正確な干渉キャンセルを実現できない。
【0021】
以上に基づいて、本願の実施例は、送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを定期的に取得して、干渉キャンセルパラメータを算出し、干渉キャンセルパラメータに基づいて送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得し、最終的に、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成することによって、マルチバンド・マルチアンテナにおける受動相互変調干渉をキャンセルする目的を達成し、通信信号の伝送品質及びユーザの使用エクスペリエンスを向上させる信号干渉キャンセル方法、装置、電子機器、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0022】
図2を参照して、図2は、本願の実施例による信号干渉キャンセル方法の流れを示す。図2に示すように、本願の実施例による信号干渉キャンセル方法は、以下のステップS1000~S4000を含む。
【0023】
S1000:送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得する。
【0024】
基地局が動作中に生成する干渉信号を検出するためには、送信信号及び受信信号を比較して計算する必要がある。したがって、マルチバンド・マルチアンテナのシナリオにおいて、効率的で正確な信号干渉キャンセルを確保するために、送信信号のうち全てのアンテナ及び全てのバンドをカバーする送信デジタル中間周波数信号の第1サンプルデータを収集する必要がある。また、送信信号と受信信号の間に受動デバイスによる干渉を受ける状況を迅速かつ正確に計算するために、基地局内で干渉キャンセルを行う必要がある受信信号の第2サンプルデータ、すなわちキャンセルするあるアンテナのあるバンドの信号のサンプルデータを収集する必要がある。
【0025】
例示的には、区別及び演算を容易にするために、ここでは、送信信号の第1サンプルデータをx、受信信号の第2サンプルデータをrxとして記載する。
【0026】
実際の応用において、第1サンプルデータ及び第2サンプルデータは、基地局内の既存のデータ収集モジュールによって定期的に収集、送信されてもよいが、これは従来技術であり、本明細書では詳しく説明しない。
【0027】
S2000:第1サンプルデータ及び第2サンプルデータに基づいて、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含む干渉キャンセルパラメータを得る。
【0028】
マルチバンド・マルチアンテナのシナリオで生成される受動相互変調干渉信号をキャンセルするためには、各バンド及びアンテナの第1サンプルデータに対して送信信号フィルタリング、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を行う必要があり、それにより、多くのアンテナ送信信号間の結合関係をより良く表現し、受動相互変調信号を得て、受動相互変調信号と第2サンプルデータとの間のコスト関数を計算することにより、最適解の送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を得る。
【0029】
図3を参照して、図3は、上記ステップS2000の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図3に示すように、ステップS2000は、少なくとも以下のステップS2100~S2500を含む。
【0030】
S2100:第1サンプルデータを送信チャネルモデルに入力し、送信デジタル中間周波数信号を出力する。
【0031】
図4を参照して、図4は、上記ステップS2100の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図4に示すように、ステップS2100は、少なくとも以下のS2110~S2130を含む。
【0032】
S2110:複数の第1サンプルデータを取得する。
【0033】
既存の通信基地局はすべてマルチバンド・マルチアンテナ技術をサポートしているので、マルチアンテナ・マルチバンドの適用シナリオにおいて、各アンテナ及び各バンドの受動相互変調干渉信号に対するキャンセル効果を実現するために、複数のアンテナの複数のバンドの送信信号の第1サンプルデータを定期的に収集して処理する必要がある。例示的には、複数の第1サンプルデータを取得するには、基地局内のすべてのアンテナ、すべてのバンドの送信デジタル中間周波数信号の第1サンプルデータを取得する必要がある。
【0034】
S2120:第1サンプルデータを送信信号行列に変換する。
【0035】
第1サンプルデータ中の各アンテナ及びバンドの送信信号情報を収集した後、第1サンプルデータのフィルタリング及び非線形変換処理を容易にするためには、第1サンプルデータをデータ行列の形式で記録して計算すること、すなわち、第1サンプルデータを送信信号行列に変換することが必要である。
【0036】
【0037】
S2130:送信信号行列と送信チャネル行列との積に基づいて、送信デジタル中間周波数信号を得る。
【0038】
【0039】
ここで、αijは送信信号xijに対応するチャネル等化フィルタのパラメータである。
【0040】
【0041】
ここで、Lαはαijの長さである。Lαは、送信チャネル等化フィルタのモデリング精度に影響し、具体的なチャネル等化フィルタパラメータの長さの選択は達成したいキャンセル性能と実現に必要な資源との間のトレードオフ決定を必要とする。
【0042】
【0043】
ここで、sijは、フィルタリングが完了した後の送信デジタル中間周波数信号である。
【0044】
S2200:送信デジタル中間周波数信号を受動相互変調非線形モデルに入力し、受動相互変調信号を出力する。
【0045】
図5を参照して、図5は、上記のステップS2200の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図5に示すように、ステップS2200は、少なくとも以下のステップS2210とS2220を含む。
【0046】
S2210:複数の同じバンドの送信デジタル中間周波数信号を加算して、送信デジタル中間周波数結合信号を得る。
【0047】
【0048】
ここで、Mは基地局の最大アンテナ数を表し、sはi番目のバンドの送信デジタル中間周波数結合信号である。
【0049】
S2220:送信デジタル中間周波数結合信号と非線形モデル行列との積に基づいて、受動相互変調信号を得る。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
S2300:受動相互変調信号及び第2サンプルデータに基づいて、送信チャネルフィルタリング係数及び非線形モデル係数を得る。
【0064】
図6を参照して、図6は、上記のステップS2300の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図6に示すように、ステップS2300は、少なくとも以下のステップS2310とS2320を含む。
【0065】
S2310:受動相互変調信号と第2サンプルデータとの間の第1コスト関数を生成する。
【0066】
【0067】
ここで、第1コスト関数J(α,ω)は、非線形モデルを用いて生成された結合受動相互変調信号yと受信信号rxとの間の誤差の二乗和を表し、第1コスト関数J(α,ω)は、パラメータαとωの関数である。誤差の二乗和が小さいほど、結合受動相互変調信号yと受信信号rxが似ていることを表し、すなわち受動相互変調モデリング精度も高くなる。このようにして、受動相互変調モデリング精度の問題は、第1コスト関数J(α,ω)が最小値になるような適切なパラメータα及びωを見つけることになる。
【0068】
S2320:第1コスト関数を解いて、送信チャネル行列の最適解を送信チャネルフィルタリング係数として得、非線形モデル行列の最適解を非線形モデル係数として得る。
結合受動相互変調信号yはパラメータαとωに関して非線形であるため、上記の第1コスト関数は非線形最小二乗最適化の問題であり、勾配降下法などの任意の非線形最適化アルゴリズムを用いてパラメータα及びωを求めることができる。ここでは詳しく説明しない。
【0069】
第1コスト関数J(α,ω)の最小値を求めて得られた送信チャネル行列の最適解αを送信チャネルフィルタリング係数とし、非線形モデル行列の最適解ωを非線形モデル係数とする。
【0070】
S2400:受動相互変調信号を受信チャネルモデルに入力し、受動相互変調キャンセル信号を出力する。
【0071】
パラメータαとωを算出して、上記式に代入すると、パラメータαとω及び送信信号xから結合受動相互変調信号yを算出できる。
【0072】
図7を参照して、図7は、上記ステップS2400の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図7に示すように、ステップS2400は、少なくとも以下のステップS2410とS2420を含む。
【0073】
S2410:受動相互変調信号と受信チャネル行列との積に基づいて受動相互変調キャンセル信号を得る。
【0074】
【0075】
ここで、Lβは、βの長さである。フィルタ係数長Lβは受動相互変調キャンセル信号のモデリング精度に影響し、具体的なフィルタ係数長の選択は達成したいキャンセル性能と実現に必要な資源との間のトレードオフ決定を必要とする。
【0076】
【0077】
ここで、zは受動相互変調キャンセル信号である。
【0078】
S2420:受動相互変調キャンセル信号を出力する。
【0079】
結合受動相互変調信号yは、受信チャネル等化フィルタリング処理により、受動相互変調キャンセル信号zに変換される。そして、受動相互変調キャンセル信号zを出力することにより、送信チャネルモデル、受動相互変調非線形モデル、及び受信チャネルモデルの順に第1サンプルデータが処理された受動相互変調キャンセル信号が得られる。
【0080】
S2500:受動相互変調キャンセル信号及び第2サンプルデータに基づいて、受信チャネルフィルタリング係数を得る。
【0081】
図8を参照して、図8は、上記のステップS2500の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図8に示すように、ステップS2500は、少なくとも以下のステップS2510とS2520を含む。
【0082】
S2510:受動相互変調キャンセル信号と第2サンプルデータとの間の第2コスト関数を生成する。
【0083】
【0084】
第2コスト関数J(β)は、受信チャネル等化フィルタリングを受けた受動相互変調キャンセル信号zと受信信号rxとの間の誤差の二乗和を表し、第2コスト関数はパラメータβの関数である。誤差の二乗和が小さいほど、受動相互変調キャンセル信号zと受信信号rxが似ていることを示し、受動相互変調モデリング精度も高くなる。このように、問題は、第2コスト関数が最小になるような適切なパラメータβを見つけることになる。
【0085】
S2520:第2コスト関数を解いて、受信チャネル行列の最適解を受信チャネルフィルタリング係数として得る。
【0086】
パラメータβを求めるためには、ここでも最小二乗法を用いて第2コスト関数を解く。受動相互変調キャンセル信号zはパラメータβに関して線形であるので、これは線形最小二乗最適化の問題であり、任意の線形最小二乗法を用いて解くことができる。
【0087】
第2コスト関数J(β)の最小値を求めて得られる受信チャネル行列の最適解βは、受信チャネルフィルタリング係数として用いられる。
【0088】
S3000:干渉キャンセルパラメータに基づいて、送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得する。
【0089】
上記のステップにより送信チャネルフィルタリング係数α、非線形モデル係数ω、及び受信チャネルフィルタリング係数βを求め、同様に上記のステップにより、リアルタイムな送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を行い、リアルタイムなキャンセル信号を得ることができる。
【0090】
図9を参照して、図9は、上記のステップS3000の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図9に示すように、ステップS3000は、少なくとも以下のステップS3100~S3400を含む。
【0091】
S3100:送信チャネルフィルタリング係数に基づいて、リアルタイムな送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理を行い、リアルタイムなフィルタリング信号を得る。
【0092】
【0093】
S3200:同じバンドのリアルタイムなフィルタリング信号を加算して、結合フィルタリング信号を形成する。
【0094】
【0095】
S3300:非線形モデル係数に基づいて、結合フィルタリング信号に対して非線形変換を行い、受動相互変調信号を得る。
【0096】
図10を参照して、図10は、上述のステップS3300の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図10に示すように、ステップS3300は、少なくとも以下のステップS3310~S3330を含む。
【0097】
S3310:結合フィルタリング信号のタイプの数に応じて信号次数の組み合わせを決定し、様々なタイプの受動相互変調主信号を得る。
【0098】
【0099】
ここで、cは、k番目の受動相互変調主信号である。
【0100】
S3320:受動相互変調主信号のモード値信号次数の組み合わせを決定し、結合フィルタリング信号に基づいて様々なタイプの非線形基底信号を得る。
【0101】
【0102】
ここで、bは、u番目の非線形基底信号である。
【0103】
S3330:受動相互変調主信号、非線形基底信号及び非線形モデル係数に基づいて、受動相互変調信号を得る。
【0104】
【0105】
ここで、dは、k番目の受動相互変調信号である。
【0106】
【0107】
【0108】
ここで、yは結合受動相互変調信号である。
【0109】
S3400:受信チャネルフィルタリング係数に基づいて、受動相互変調信号に対して受信チャネルフィルタリング処理を行い、キャンセル信号を得る。
【0110】
【0111】
ここで、zはキャンセル信号である。
【0112】
S4000:キャンセル信号及び受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成する。
【0113】
図11を参照して、図11は、上記のステップS4000の別の実施例の具体的な実施プロセスの模式図を示す。図11に示すように、ステップS4000は、少なくとも以下のステップS4100とS4200を含む。
【0114】
S4100:キャンセル信号及び受信信号を取得する。
【0115】
以上のステップにより、キャンセル信号zと受信信号rxを取得することによって、受信信号rxに対するリアルタイムな干渉キャンセル処理が容易になる。
【0116】
S4200:受信信号からキャンセル信号を減算して、出力信号を得る。
【0117】
【0118】
ここで、rxcは受動相互変調干渉をキャンセルした出力信号である。
【0119】
本願の実施例による信号干渉キャンセル方法は、長期的進化(LTE:Long Term Evolution)、5G技術及びそれらが混在するネットワークシナリオに適用され、マルチバンド・マルチアンテナにおける受動相互変調干渉を効果的にキャンセルし、通信信号の伝送品質及びユーザの使用エクスペリエンスを向上させることができる。
【0120】
図12を参照して、図12は、本願の実施例による信号干渉キャンセル装置の構造模式図であり、本願の実施例による信号干渉キャンセル方法の全体の流れには、信号干渉キャンセル装置における、取得モジュール500、計算モジュール600、処理モジュール700、及び生成モジュール800が関与する。
【0121】
このうち、取得モジュール500は、送信信号の第1サンプルデータ及び受信信号の第2サンプルデータを取得するものであり、計算モジュール600は、第1サンプルデータ及び第2サンプルデータに基づいて、送信チャネルフィルタリング係数、非線形モデル係数及び受信チャネルフィルタリング係数を含む干渉キャンセルパラメータを得るものであり、処理モジュール700は、干渉キャンセルパラメータに基づいて送信信号に対して送信チャネルフィルタリング処理、非線形変換及び受信チャネルフィルタリング処理を順次行い、キャンセル信号を取得するものであり、生成モジュール800は、キャンセル信号及び受信信号に基づいて、受動相互変調干渉をキャンセルすることができる出力信号を生成するものである。
【0122】
なお、上記の装置のモジュール間の情報のインタラクション、実行過程などの内容は、本願の方法の実施例と同一の構想に基づいているため、その具体的な機能及びこれらによる技術的効果は、具体的には方法の実施例の部分を参照してもよいが、ここでは詳しく説明しない。
【0123】
図13は、本願の実施例による電子機器900を示す。この電子機器900は、
プログラムを記憶するためのメモリ901と、
メモリ901に記憶されたプログラムを実行するためのプロセッサ902と、を含むが、これらに限定されず、プロセッサ902は、メモリ901に記憶されたプログラムを実行すると、上記の信号干渉キャンセル方法を実行する。
【0124】
プロセッサ902とメモリ901は、バス又は他の方法によって接続されてもよい。
【0125】
メモリ901は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、非一時的なソフトウェアプログラム及び非一時的なコンピュータ実行可能プログラム、例えば、本願の何れかの実施例に記載の信号干渉キャンセル方法を記憶するために使用されてもよい。プロセッサ902は、メモリ901に記憶された非一時的なソフトウェアプログラム及び命令を実行することによって、上記の信号干渉キャンセル方法を実現する。
【0126】
メモリ901は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能のために必要なアプリケーションを記憶することができるプログラム記憶領域と、上記の信号干渉キャンセル方法を実行することを記憶することができるデータ記憶領域とを含んでもよい。さらに、メモリ901は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、少なくとも1つの磁気ディスクメモリデバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的なソリッドステートストレージデバイスのような非一時的なメモリを含んでもよい。いくつかの実施形態では、メモリ901は、プロセッサ902に対して遠隔的に設置されたメモリを含んでもよく、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介してプロセッサ902に接続されてもよい。上記のネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動体通信ネットワーク及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0127】
上記の信号干渉キャンセル方法を実装するために必要な非一時的なソフトウェアプログラム及び命令は、メモリ901に記憶され、1つ又は複数のプロセッサ902によって実行されると、本願の任意の実施例による信号干渉キャンセル方法を実行する。
【0128】
本願の実施例はまた、上記の信号干渉キャンセル方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶した記憶媒体を提供する。
【0129】
一実施例では、この記憶媒体は、1つ又は複数の制御プロセッサ902、例えば、上記の電子機器900の1つのプロセッサ902によって実行されると、本願の任意の実施例による信号干渉キャンセル方法を上記の1つ又は複数のプロセッサ902に実行させることができるコンピュータ実行可能命令を記憶している。
【0130】
上記の実施例は単なる例示であり、別個の構成要素として示されたユニットは、物理的に分離されていてもよく、物理的に分離されていなくてもよく、すなわち、1つの場所に配置されてもよく、又は複数のネットワークユニットに分散されていてもよい。これらのモジュールの一部又は全部は、実際の必要に応じて、本実施例の形態の目的を達成するために選択されてもよい。
【0131】
上記で開示された方法におけるステップの全部又は一部、システムは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実装されてもよい。物理的構成要素の一部又はすべては、中央プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサなどのプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路などの集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含んでもよいコンピュータ読み取り可能な媒体上に配布してもよい。当業者に周知のように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(例えば、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性の、取り外し可能な、及び取り外し不可能な媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気カートリッジ、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、又は搬送波や他の送信機構のような変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含み得ることが、当業者には周知である。
【0132】
以上、本願のいくつかの実施について具体的に説明したが、本願は上記の実施形態に限定されるものではなく、当業者は本願の範囲に反することなく種々の均等な変形又は置換を行ってもよく、これらの均等な変形又は置換は、いずれも本願の特許請求の範囲によって定められた範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】