(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】光学撮像アプリケーション用のキャリブレーション補助
(51)【国際特許分類】
G01J 3/52 20060101AFI20241204BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241204BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20241204BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20241204BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20241204BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20241204BHJP
C09B 23/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G01J3/52
A61B1/00 511
A61B1/00 630
G02B23/24 B
G02B23/26 D
G02B21/36
G02B5/22
C09B23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518282
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022076183
(87)【国際公開番号】W WO2023046729
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500262120
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ストラスブール
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE STRASBOURG
(71)【出願人】
【識別番号】509025832
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】520276855
【氏名又は名称】アンスティテュ ドゥ ルシェルシェ コントル レ カンセール ドゥ ラパレイユ ディジェスティフ(イルカッド)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT DE RECHERCHE CONTRE LES CANCERS DE L‘APPAREIL DIGESTIF(IRCAD)
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】クリムチェンコ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ディアナ,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】アショカ,アニラ オスケール
【テーマコード(参考)】
2G020
2H040
2H052
2H148
4C161
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA05
2G020DA23
2G020DA32
2G020DA34
2G020DA66
2H040FA13
2H040FA14
2H040GA00
2H052AF14
2H052AF25
2H148CA01
2H148CA04
2H148CA09
2H148CA12
4C161AA00
4C161BB08
4C161CC06
4C161TT01
4C161WW17
(57)【要約】
本発明は、別個の領域(11~19)を形成する本体(1)と、前記領域上に配置された、500nm以上2000以下に含まれる波長のスペクトル範囲で可視であるポリマー材料とを含む、光学撮像アプリケーション用のキャリブレーション装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学撮像アプリケーション用のキャリブレーション装置であって、少なくとも2つの別個の領域(11~19)を形成する本体(1)と、前記領域上に配置された材料とを備え、
-前記材料が、少なくとも1つの疎水性ポリマーと、500nm以上2000nm以下に含まれる波長のスペクトル範囲で可視である少なくとも1つの色素とを含み、
-前記少なくとも1つの疎水性ポリマーが連続マトリックスを形成し、
-前記少なくとも1つの色素が、前記材料中の前記疎水性ポリマーの所定の重量パーセンテージで、前記ポリマーマトリックス内に均一に分布しており、
-前記少なくとも1つの色素の重量パーセンテージが、前記領域の各々において異なる、
キャリブレーション装置。
【請求項2】
前記本体(1)が、前記少なくとも2つの別個の領域をそれぞれ形成する少なくとも2つの凹部(11~19)を備える、請求項1に記載のキャリブレーション装置。
【請求項3】
前記材料がコーティングの形態である、請求項1または2に記載のキャリブレーション装置。
【請求項4】
前記疎水性ポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-コ-メタクリル酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、セルローストリアセテート、ニトロセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、およびポリ(エチレングリコール)とのそれらのコポリマーから選択される、請求項1~3いずれか一項に記載のキャリブレーション装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの色素が、蛍光色素、りん光色素および化学発光色素を含む発光色素の中から選択される、請求項1~4いずれか一項に記載のキャリブレーション装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの色素が、
i)以下の式(I)のシアニン色素であって
【化1】
式中、
-nが、1、2、3または4に等しい整数であり、
-X
-が対イオンであり、
-Wが、S、NおよびOを含む群から選択されるヘテロ原子、または2つのメチル置換基を有する炭素原子(C(CH
3)
2)であり、
-R
1、R
2およびR
3が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、1~24個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、
-R
4およびR
5が、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または1~24個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、
-R
6およびR
7が同一であり、水素原子を表すか、またはそれらがそれぞれ結合している炭素原子と一緒に縮合ベンゼン環を形成する、
シアニン色素と、
ii)下記の式(II)の色素
【化2】
と、
iii)下記の式(III)の色素であって、
【化3】
式中、
-AおよびBが、以下からなる群から独立して選択され、
【化4】
および
-XおよびYが、それぞれ独立してSおよびSeからなる群から選択され、
-Zが、独立して、NおよびPのうちの1つであり、
-R
9、R
10、R
11およびR
12が、それぞれ独立して、「アルキル」が-(CH
2)
n-である式-アルキル-リンカーのものであり、さらに式中、nは、1以上14以下であり、さらに「リンカー」は、スルホン、ホスホニック、カルボキシル、ヒドロキシル、NETS-エステル、マレイミド、アミン、-SH、スルホン酸およびヒドラジドからなる群から選択される、
色素と
を含む群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの色素が、以下の式(IV)の7.5シアニンの中から選択される蛍光色素およびそれらの類似体である、請求項1~5のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置:
【化5】
式中、
-R
13およびR
14が、同一または異なり、以下:
・水素、
・非置換、または(C
1-C
5)アルキル、アリール、およびR
11が(C
1-C
20)アルキルである-COOR
11から選択される1つまたは2つの置換基で置換された(C
1-C
20)アルキル、シクロ(C
3-C
20)アルキル、(C
2-C
20)アルケニル、(C
2-C
20)アルキニル、複素環式基、シクロ(C
3-C
20)アルケニル、ヘテロシクロ(C
2-C
20)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ(C
1-C
20)アルキル、(C
1-C
20)アルキルアリール、および(C
1-C
20)アルキルヘテロアリールから選択される基、ならびに
・式
【化6】
の基であって、式中、Eが-O-、-S-、-Se-、-NH-、-CH
2-から選択され、R
15が(C
1-C
20)アルキル、シクロ(C
3-C
20)アルキル、(C
2-C
20)アルケニル、(C
2-C
20)アルキニル、複素環式基、シクロ(C
3-C
20)アルケニル、ヘテロシクロ(C
2-C
20)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ(C
1-C
20)アルキル、(C
1-C
20)アルキルアリール、(C
1-C
20)アルキルヘテロアリールから選択され、R
15が非置換であるか、または(C
1-C
5)アルキル、アリール、もしくはR
16が(C
1-C
20)アルキルである-COOR
16から選択される1~3個の置換基で置換されている基、
からなる群から独立して選択され、
-A
1が、以下の式:
【化7】
の基であり、A
2が、以下の式:
【化8】
であるか、
-またはA
1が、以下の式:
【化9】
の基であり、A
2が、以下の式:
【化10】
であり、
式中、
-R
18およびR
20が、独立して水素、ハロゲン、(C
1-C
10)アルキル、-OR
21、-NR
21R
22、-NO
2、-CF
3、-CN、-S R
21、-N
3、-C(=O)R
21、-OC(=)OR
21、-C(=O)NR
21R
22、-NR
21C(=O)R
22からなる群から選択され、R
21およびR
22が、独立して水素、非置換(C
1-C
10)アルキル、非置換(C
2-C
10)アルケニル、非置換(C
2-C
10)アルキニル、シクロ(C
3-C
10)アルキル、複素環式基、シクロ(C
3-C
10)アルケニル、ヘテロシクロ(C
2-C
10)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C
1-C
10)アルキル、ヘテロ(C
1-C
10)アルキル、(C
1-C
10)アルキルアリール、(C
1-C
10)アルキルヘテロアリールからなる群から選択され、
-R
17およびR
19が、独立して、最終的に疎水性基で置換された(C
1-C
20)アルキル、最終的に疎水性基で置換されたシクロ(C
3-C
20)アルキル、最終的に疎水性基で置換された(C
2-C
20)アルケニル、(C
2-C
20)アルキニル、最終的に疎水性基で置換された複素環式基、最終的に疎水性基で置換されたシクロ(C
3-C
20)アルケニル、最終的に疎水性基で置換されたヘテロシクロ(C
2-C
20)アルケニル、最終的に疎水性基で置換されたアリール、最終的に疎水性基で置換されたヘテロアリール、最終的に疎水性基で置換されたヘテロ(C
1-C
20)アルキル、最終的に疎水性基で置換された(C
1-C
20)アルキルアリール、最終的に疎水性基で置換された(C
1-C
20)アルキルヘテロアリールからなる群から選択され、前記疎水性基がメチル、エチル、メトキシ、エチルオキシから選択され、
Xが対イオンである。
【請求項8】
式(I)の前記少なくとも1つの色素が蛍光色素であり、以下の式の5.5.シアニンである、請求項6に記載のキャリブレーション装置。
【化11】
【請求項9】
前記対イオンX
-が、
-無機対イオン、
-有機対イオン、または
-テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラフェニルボレート、テトラキス[3,5-ビス-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、テトラキス[3,5-ビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ボレートおよびテトラキス[ペルフルオロ-tert-ブトキシ]アルミネートから選択される嵩高い有機対イオン
から選択される、請求項5~8のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置。
【請求項10】
各領域における前記少なくとも1つの色素の重量パーセンテージが、前記材料中の疎水性ポリマーの0.001~30重量%、特に0.01~1.0重量%である、請求項1~9のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置を製造するための方法であって、前記キャリブレーション装置の前記本体(1)の前記領域(11~19)上に前記材料を配置する工程を含む方法。
【請求項12】
対象物を撮像するための、および/または撮像装置を較正するための方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置を照明する工程と、このキャリブレーション装置から光信号を取得する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記光信号を取得する工程が、近赤外カメラまたはマルチスペクトルもしくはハイパースペクトル撮像システムを含む撮像装置を使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記取得された光信号に基づいて、前記撮像装置と前記キャリブレーション装置との間の距離を定量化する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
対象物を分析する方法であって、前記対象物から光信号を取得する工程と、そのように取得された光信号を用いて前記対象物の画像を構築する工程とを含み、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法を用いて取得された光信号に基づいて、この画像を補正する工程を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光学撮像アプリケーションおよびシステムに関する。
より具体的には、本発明は、そのようなアプリケーションのための、「キャリブレーション補助」とも呼ばれるキャリブレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学撮像アプリケーション、例えば光学撮像装置を使用する外科手術では、キャリブレーション補助を使用して装置を較正する。典型的には、キャリブレーション補助は、近赤外範囲での吸収を有する蛍光色素を含む。
従来の光学色素は、色素の組織への漏出、輝度の低さ、急速な化学的および光化学的分解(退色)につながる、コーティング安定性の低下をもたらし得る。
光学撮像アプリケーションの状況では、改善されたキャリブレーション装置および対応する方法を提供することが真に必要とされている。
【発明の説明】
【0003】
本発明の第1の目的は、光学撮像アプリケーション用のキャリブレーション装置であり、それは少なくとも2つの別個の領域を形成する本体と、前記領域上に配置された材料とを備え、
-前記材料は、少なくとも1つの疎水性ポリマーと、500nm以上2000nm以下に含まれる波長のスペクトル範囲で可視である少なくとも1つの色素とを含み、
-前記少なくとも1つの疎水性ポリマーは連続マトリックスを形成し、
-前記少なくとも1つの色素は、前記材料中の疎水性ポリマーの所定の重量パーセンテージで、前記ポリマーマトリックス内に均一に分布しており、
-前記少なくとも1つの色素の重量パーセンテージは、前記領域の各々において異なる。
前記領域またはスポットは、凹面、凸面または平面であり得る。
一実施形態では、本体は、前記少なくとも2つの別個の領域をそれぞれ形成する少なくとも2つの凹部を含む。
【0004】
一実施形態では、本体は、前記領域を画定する平面を含む。
前記光学撮像アプリケーションは、外科用光学撮像アプリケーションであり得る。
本発明の特定の実施形態によれば、前記材料は、コーティングの形態、例えばコーティング膜の形態である。本明細書で使用される「コーティング膜」という用語は、先に定義されたように、500nm以上2000nm以下に含まれる波長のスペクトル範囲で可視である少なくとも1つの色素を含むポリマーの溶液を塗布した後に形成される、単層または多層の乾燥薄層を指す。
【0005】
前記コーティング膜は均質で安定しており、滑らかな表面上に良好な接着性を有する。
本発明によれば、前記領域上に配置された材料は、前記色素を封入する固体ポリマーマトリックスである。この実施形態は、キャリブレーション装置を、例えば殺菌組成物との接触によって容易に殺菌できるようにする。
【0006】
特に有利な実施形態によれば、前記疎水性ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート-コ-メタクリル酸)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、セルローストリアセテート、ニトロセルロース、ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、およびポリ(エチレングリコール)とのそれらのコポリマーから選択される。
【0007】
好ましい実施形態では、材料は発光材料である。
より具体的には、前記少なくとも1つの色素は、蛍光色素、りん光色素および化学発光色素を含む発光色素の中から選択されてもよい。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの色素は、500nm以上1300nm以下、さらにより好ましくは700nm以上900nm以下の波長を有する光によって可視である。
【0009】
本発明の特定の好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1つの色素は、以下を含む群から選択される。
i)以下の式(I)のシアニン色素であって、
【化1】
式中、
-nは、1、2、3または4に等しい整数であり、
-X
-は対イオンであり、
-Wは、S、NおよびOを含む群から選択されるヘテロ原子、または2つのメチル置換基を有する炭素原子(C(CH
3)
2)であり、
-R
1、R
2およびR
3は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、1~24個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、
-R
4およびR
5は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、または1~24個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、
R
6およびR
7は同一であり、水素原子を表すか、またはそれらがそれぞれ結合している炭素原子と一緒に縮合ベンゼン環を形成する、シアニン色素。
【0010】
【0011】
iii)以下の式(III)の色素
【化3】
(III)
であって、式中、
-AおよびBは、以下からなる群から独立して選択され、
【0012】
【化4】
および
-XおよびYは、それぞれ独立してSおよびSeからなる群から選択され、
-Zは、独立してNおよびPのうちの1つであり;
-R
9、R
10、R
11およびR
12は、それぞれ独立して、「アルキル」が-(CH
2)
n-である式-アルキル-リンカーのものであり、さらに式中、nは、1以上14以下であり、さらに「リンカー」は、スルホン、ホスホニック、カルボキシル、ヒドロキシル、NETS-エステル、マレイミド、アミン、-SH、スルホンおよびヒドラジドからなる群から選択される、色素。
【0013】
本発明の特定の好ましい実施形態では、式(I)の前記少なくとも1つの色素は蛍光色素であり、以下の式の5.5.シアニンである。
【0014】
【化5】
前記少なくとも1つの色素はまた、以下の式(IV)の7.5シアニンの中から選択される蛍光色素およびそれらの類似体であり得、
【0015】
【0016】
式中、
-R13およびR14は、同一または異なり、以下からなる群から独立して選択され:
・水素、
・非置換、または(C1-C5)アルキル、アリール、およびR11が(C1-C20)アルキルである-COOR11から選択される1つまたは2つの置換基で置換された(C1-C20)アルキル、シクロ(C3-C20)アルキル、(C2-C20)アルケニル、(C2-C20)アルキニル、複素環式基、シクロ(C3-C20)アルケニル、ヘテロシクロ(C2-C20)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ(C1-C20)アルキル、(C1-C20)アルキルアリール、および(C1-C20)アルキルヘテロアリールから選択される基、ならびに
【0017】
・式
【化7】
の基であって、式中、Eは-O-、-S-、-Se-、-NH-、-CH
2-から選択され、R
15は、(C
1-C
20)アルキル、シクロ(C
3-C
20)アルキル、(C
2-C
20)アルケニル、(C
2-C
20)アルキニル、複素環式基、シクロ(C
3-C
20)アルケニル、ヘテロシクロ(C
2-C
20)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ(C
1-C
20)アルキル、(C
1-C
20)アルキルアリール、(C
1-C
20)アルキルヘテロアリールから選択され、R
15は非置換であるか、または(C
1-C
5)アルキル、アリール、もしくはR
16が(C
1-C
20)アルキルである-COOR
16から選択される1~3個の置換基で置換されている、基、
-A
1は、以下の式の基であり:
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
-R18およびR20は、独立して水素、ハロゲン、(C1-C10)アルキル、-OR21、-NR21R22、-NO2、-CF3、-CN、-S R21、-N3、-C(=O)R21、-OC(=)OR21、-C(=O)NR21R22、-NR21C(=O)R22からなる群から選択され、R21およびR22は、独立して水素、非置換(C1-C10)アルキル、非置換(C2-C10)アルケニル、非置換(C2-C10)アルキニル、シクロ(C3-C10)アルキル、複素環式基、シクロ(C3-C10)アルケニル、ヘテロシクロ(C2-C10)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C1-C10)アルキル、ヘテロ(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルキルアリール、(C1-C10)アルキルヘテロアリールからなる群から選択され;
-R17およびR19は独立して、最終的に疎水性基で置換された(C1-C20)アルキル、最終的に疎水性基で置換されたシクロ(C3-C20)アルキル、最終的に疎水性基で置換された(C2-C20)アルケニル、(C2-C20)アルキニル、最終的に疎水性基で置換された複素環式基、最終的に疎水性基で置換されたシクロ(C3-C20)アルケニル、最終的に疎水性基で置換されたヘテロシクロ(C2-C20)アルケニル、最終的に疎水性基で置換されたアリール、最終的に疎水性基で置換されたヘテロアリール、最終的に疎水性基で置換されたヘテロ(C1-C20)アルキル、最終的に疎水性基で置換された(C1-C20)アルキルアリール、最終的に疎水性基で置換された(C1-C20)アルキルヘテロアリールからなる群から選択され、前記疎水性基はメチル、エチル、メトキシ、エチルオキシから選択され;
-X-は対イオンである。
【0023】
前記式(IV)の色素の中でも、特に以下の式(IVa)の色素を挙げることができる:
【化12】
【0024】
式中、
-A1、A2、R14、およびEは、先に定義した通りであり;
-R22およびR23は、同一であるかまたは異なり、水素原子、アリール、(C1-C5)アルキル、または-COOR24から独立して選択され、R24は(C1-C20)アルキルである。
【0025】
本発明のより具体的な実施形態では、蛍光色素は、以下の式(Iva1):
【化13】
で表され、式中、
-A1、A2、R
14、およびEは、先に定義した通りであり;
-R
22およびR
23は、同一または異なり、アリールから独立して選択される。
対イオンの存在は、本発明の材料中の光学活性色素、特に蛍光色素の凝集および自己消光を減少させるのに寄与し得る。
【0026】
本発明に関して、対イオンは、
-無機対イオン、
-有機対イオン、または
-テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラフェニルボレート、テトラキス[3,5-ビス-(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、テトラキス[3,5-ビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシ-2-プロピル)フェニル]ボレートおよびテトラキス[ペルフルオロ-tert-ブトキシ]アルミネートから選択される嵩高い有機対イオン
から選択され得る。
【0027】
本明細書で使用される「嵩高い有機対イオン」という用語は、芳香族および/または脂肪族残基を有する大きな有機アニオンを意味する。
【0028】
無機対イオンの例としては、塩化物、過塩素酸塩、スルホネート、ナイトレート、テトラフルオロボレートおよびヘキサフルオロホスフェートが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0029】
有機対イオンの例としては、アセテート、ホルメート、プロピオネート、脂肪酸のアニオン、ベンゾエートおよびトシレートが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、「アルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、示された数の炭素原子を有する分岐または非分岐飽和炭化水素基を指す。本明細書で使用される場合、xおよびyがそれぞれ異なる正の整数である「(Cx-Cy)アルキル」という用語は、x~y個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。例えば、本明細書で使用される「(C1-C20)アルキル」、「(C1-C10)アルキル」、「(C8-C20)アルキル」、「(C12-C18)アルキル」という用語は、それぞれ、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、8~20個の炭素原子または12~18個の炭素原子を有するアルキル基を指す。
【0031】
アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドセニル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシルおよびn-イコシルであり得るが、これらに限定されない。
【0032】
「ヘテロ(C1-C10)アルキル」、「ヘテロ(C1-C20)アルキル」、および「ヘテロ(C8-C20)アルキル」という用語は、それぞれ、1つ以上の炭素原子が酸素、窒素、リンまたは硫黄で置き換えられている、上で定義した(C1-C10)アルキル基、(C1-C20)アルキル基または(C8-C20)アルキル基を指す。
【0033】
ヘテロアルキルの例は、アルキルオキシ(メトキシ、エトキシ等)、アルキルメルカプト(メチルメルカプト、エチルメルカプト等)、またはアルキルオキシエチル(メトキシエチル等)などであり得る。
【0034】
「シクロアルキル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子で構成される環式飽和炭素系環を指す。「シクロ(3-20)アルキル」、「シクロ(3-10)アルキル」または「シクロ(8-20)アルキル」という用語は、それぞれ、3~20個の炭素原子、3~10個の炭素原子または8~20個の炭素原子で構成されるシクロアルキルを指す。
【0035】
シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロテトラデシル、シクロヘキサデシル、シクロヘプタデシル、シクロオクタデシル、シクロノナデシルおよびシクロイコシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、示された数の炭素原子の分岐または非分岐炭化水素基を指す。「(C2-C20)アルケニル」、「(C2-C10)アルケニル」または「(C8-C20)アルケニル」という用語は、それぞれ2~20個の原子のアルケニル基、2~10個の炭素原子のアルケニル基または8~20個の炭素原子のアルケニル基を意味する。
【0037】
アルケニル基の例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、1-ヘプテニル、1-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、1-デセニル、1-ウンデセニル、1-ドデセニル、1-トリデセニル、1-テトラデセニル、1-ペンタデセニル、1-ヘキサデセニル、1-ヘプタデセニル、1-オクタデセニル、1-ノナデセニル、1-エイコセニル、1,3-ブタジエニルおよび1,4-ペンタジエニルである。
【0038】
「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子で構成され、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む環式不飽和炭素系環を指す。「シクロ(3-20)アルケニル」、「シクロ(3-10)アルケニル」および「シクロ(8-20)アルケニル」という用語は、それぞれ、3~20個の炭素原子を有するシクロアルケニル、3~10個の炭素原子を有するシクロアルケニルまたは8~20個の炭素原子を有するシクロアルケニルを意味する。
【0039】
シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と、酸素、窒素、リンまたは硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とを含む複素環式不飽和炭素系環を指す。「ヘテロシクロ(C2-C20)アルケニル」、「ヘテロシクロ(C2-C10)アルケニル」および「ヘテロシクロ(C8-C20)アルケニル」という用語は、それぞれ、2~20個の炭素原子を有する、2~10個の炭素原子を有する、または8~20個の炭素原子を有するヘテロシクロアルケニルを指す。
【0041】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、2つの炭素間の少なくとも1つの三重結合を含む、示された数の炭素原子の分岐または非分岐炭化水素基を意味する。「(C2-C20)アルキニル」、「(C2-C10)アルキニル」または「(C8-C20)アルキニル」という用語は、それぞれ2~20個の炭素原子、2~10個の炭素原子、または8~20個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、オクチニルなどが挙げられる。
【0042】
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、単独で、または別の基の一部として、環部分に6~10個の炭素を含む単環式および二環式芳香族基を指す。アリールの例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0043】
「(C1-C20)アルキルアリール」および「(C1-C10)アルキルアリール」という用語は、それぞれ(C1-C20)アルキル基または(C1-C10)アルキル基で置換されていると定義されるアリール基を指す。
【0044】
「ヘテロアリール」という用語は、1つ以上の炭素原子が酸素、窒素、リンまたは硫黄で置き換えられているアリール基、例えば4-ピリジル、2-イミダゾリル、3-ピラゾリルおよびイソキノリニル基を指す。
「アリール(C1-C10)アルキル」という用語は、アリールで置換されていると前に定義された(C1-C10)アルキルを指す。
【0045】
「(C1-C20)アルキルヘテロアリール」および「(C1-C10)アルキルヘテロアリール」という用語は、それぞれ(C1-C20)アルキル基または(C1-C10)アルキル基で置換されていると前に定義されるヘテロアリール基を意味する。
【0046】
「複素環式基」という用語は、1つ以上の炭素原子が酸素、窒素、リンまたは硫黄原子で置き換えられている炭素環基を指す。複素環式基は、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニルなどであり得る。複素環式基の例としては、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリジニル、ピリジル、キノリル、ピリミジニルが挙げられる。
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0047】
好ましくは、各領域における少なくとも1つの色素の重量パーセンテージは、前記材料中の疎水性ポリマーの0.001~30重量%、特に0.01~1.0重量%である。
【0048】
本発明のキャリブレーション装置に存在する材料は、1つまたは複数のポリマー層中に、材料の特性、特に機械的特性および/または光学特性を改善する機能を有するポリマーまたは有機小分子であり得る、1つまたは複数の添加剤をさらに含むことができる。
【0049】
本発明の第2の目的は、本発明の第1の目的によるキャリブレーション装置を製造するための方法であって、キャリブレーション装置の本体の前記領域上に前記材料を配置する工程を含む、方法である。
方法は、キャリブレーション補助の本体の付加的製造の工程を含むことができる。
【0050】
一実施形態では、好ましくは、材料を受け入れる前記領域が平面である場合、キャリブレーション装置の本体の前記領域上に前記材料を配置する工程は、前記領域上に材料を印刷する工程を含む。
本発明の第1の目的によるキャリブレーション装置は、対象物の撮像および/または撮像装置の較正に用いることができる。
【0051】
したがって、本発明の第3の目的は、対象物を撮像するための、および/または撮像装置を較正するための方法であって、本発明の第1の目的によるキャリブレーション装置を照明する工程と、このキャリブレーション装置から光信号を取得する工程とを含むことを特徴とする、方法である。
【0052】
一実施形態では、光信号を取得する工程は、近赤外カメラまたはマルチスペクトルもしくはハイパースペクトル撮像システムを含む撮像装置を使用して実行される。
方法はまた、取得された光信号に基づいて、撮像装置とキャリブレーション装置との間の距離を定量化する工程を含むことができる。
これにより、光信号を規格化することができる。
【0053】
本発明の第4の目的は、対象物を分析する方法であって、方法は、前記対象物から光信号を取得する工程と、そのように取得された光信号を用いて前記対象物の画像を構築する工程とを含み、本発明の第3の目的による方法を用いて取得された光信号に基づいて、この画像を補正する工程を含むことを特徴とする。
【0054】
本発明の第5の目的は、外科用光学撮像アプリケーションの状況における第1の目的によるキャリブレーション装置、ならびに/または第2および/もしくは第3および/もしくは第4の目的による方法の使用である。
例えば、本発明の第3の目的による方法は、光学撮像装置を較正するために外科手術の前に使用することができる。
【0055】
本発明の第3および/または第4の目的による方法は、外科手術中に使用して、キャリブレーション装置によって放出された信号、患者に投与された任意の外因性フルオロフォアによって放出された信号および/または患者に生来存在する内因性フルオロフォアによって放出された信号の間の比を作成することによって信号を定量化することができる。
【0056】
さらに、本発明の第3および/または第4の目的による方法は、外科手術後に使用して、外科的に取り出された検体によって放出される信号を評価および定量化することができる。
【0057】
本発明の第6の目的は、定量化方法であって、方法は、本発明の第4の目的による方法を使用し、機械および/またはディープラーニングアルゴリズムを備えるコンピュータを使用して、構築された画像を分析することを含む。
【0058】
本発明、ならびにそれに関連するすべての態様、実施形態および利点は、添付の図面を含む以下に提供される特定の実施形態の詳細な説明を考慮すると、より容易に明らかになるであろう。
以下では、本発明の非限定的な実施形態が、添付の概略図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の一実施形態による、「キャリブレーション補助」と呼ばれるキャリブレーション装置の前面の平面図を示す。円は、光学活性ポリマー材料が堆積される空洞を表す。
【
図2】堆積した膜中のポリマーに対するそれぞれの色素負荷量に対応する、(透明材料から調製された)キャリブレーション補助の異なる位置で測定された平均蛍光強度を表す曲線を示す。
【
図3】キャリブレーション補剤の光安定性を示す連続曲線を示し、前記曲線の各々は、0~3時間の連続照明後のそれぞれの時間間隔で、それぞれの色素負荷量に対応するキャリブレーション補助の異なる位置での平均蛍光強度を表す。
【
図4】堆積した膜中のポリマーに対するそれぞれの色素負荷量に対応する、(黒色材料から調製された)キャリブレーション補助の異なる位置で測定された平均蛍光強度を表すキャリブレーション曲線を示す。
【
図5】
図1のキャリブレーション補助の前面の写真を示す。
【
図6】近赤外励起下での
図5のキャリブレーション補助の前面の写真を示す。
【実施形態の詳細な説明】
【0060】
図1および
図5に示すキャリブレーション補助は、概して平行六面体形状の本体1を含む。
図1を参照すると、本体1は、実質的に平坦な前面2を画定する剛性基板である。
この例では、前記前面2は、約3cmの長さD1および約1、6cmの幅D2を有する。
【0061】
本体1は、前記前面2に実質的に垂直な方向に沿ってそれぞれ延在する9つのウェル11~19を形成する凹部または空洞を含み、これらのウェル11~19の各々は前面2まで開いている。
【0062】
したがってウェル11~19の各々は、ウェルの開口部で前記前面2に接続された本体1のそれぞれの境界面によって境界付けられている。
【0063】
この例では、ウェル11~19の各々は、前記境界面が約15,7mm
2であり、約4,7mm
3の総体積を画定するように、約2mmの直径および約1,5mmの深さを有する。
図1を参照すると、ウェル11~19は、前面2にわたって規則的に分布する3本の行および3本の列で配置されている。
【0064】
より具体的には、ウェル11、12および13は、前記行の第1行を画定し、ウェル14、15および16は、前記行の第2行を画定し、ウェル17、18および19は、前記行の第3行を画定する。ウェル11、14および17は、前記列の第1列を画定し、ウェル12、15および18は、前記列の第2列を画定し、ウェル13、16および19は、前記列の第3列を画定する。
【0065】
この実施形態では、隣接する列の各ペアは、約1cmの距離D3で離間され、隣接する行の各ペアは、約0、4cmの距離D4で離間される。
したがって、ウェル11~19、および本体1の前記境界面はしたがって、互いとは別個の分離領域を画定する。
本体1は、任意の製造プロセスによって得ることができる。
【0066】
この例では、本体1は、透明なフォトポリマー樹脂を使用する付加的製造によって加工され、次いで、超音波処理下で15分間イソプロピルアルコールで洗浄して過剰の非重合樹脂を除去し、次いで硬化のために30分間365nmの紫外線下にさらに保持され、最後にイソプロピルアルコールで再度洗浄し、真空下で乾燥される。
【0067】
当然ながら、本体1は様々な幾何学的形状および寸法を有することができ、ウェル11~19は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、サイズ、数およびそれぞれの配置に関して異なっていてもよい。
本発明によれば、ウェル11~19は、光学活性ポリマー材料で充填される。
材料は、以下の式:
【0068】
【化14】
の蛍光色素であって、式中、X
-が、以下の式を有する嵩高い対イオン(テトラフェニルボレート、または「TPB」)である蛍光色素を含む溶液
【0069】
【化15】
、および生体適合性ポリマー、例えば、溶媒としてのアセトニトリル中のポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)溶剤から調製されている。
【0070】
上述の例では、前記溶液は、
図1に示す基板1のウェル11~19に注入される。代替的実施形態では、溶液は、キャリブレーション補助を形成する基板の外面の別個の分離された領域上に印刷される。
【0071】
この例では、「色素負荷量」または「色素濃度」とも呼ばれる、材料中の疎水性ポリマーの重量による色素の重量パーセンテージは、前記分離された領域において様々な値を有する。
【0072】
この例では、色素装填量を、溶液の総重量に対して0.02重量%~0.5重量%まで変化させた。PMMAの最終濃度を各溶液について30mg/mlに調整した。
3D印刷したキャリブレーションカードの各ウェルに、所望の濃度の2μlの蛍光溶液を充填した:
-1行目のウェル11、12および13では0.02重量%、
-2行目のウェル14、15および16では0.1重量%、ならびに
-3行目のウェル17、18および19では0,5重量%。
【0073】
次いで、カードをヒュームフード内に30分間放置してアセトニトリルを蒸発させた。微量のアセトニトリルをさらに蒸発させるために、カードを真空下で30分間さらに乾燥させた。
【0074】
このように、キャリブレーション補助は、近赤外撮像装置で可視化され得る。
一実施形態では、前記撮像装置は、740nmリング発光ダイオード励起源および近赤外カメラを備える。
励起源は、キャリブレーション補助およびカメラを照明して、前記蛍光材料までの蛍光信号を取得するために使用される。
【0075】
画像は、好ましくは、室温で100msの露光時間でカメラから取得される。
図2および
図6を参照すると、このようにして取得された画像の分析は、色素負荷量の増加が蛍光信号の平均強度の増加を引き起こすことを示す。
別の実験では、蛍光材料の光安定性を検証するために、キャリブレーション補助を最大3時間照明した。
【0076】
図3は、3時間後でも有意な光退色がなかったことを示す。
さらなる実験では、キャリブレーション補助の本体1を製造するために使用された前記フォトポリマー樹脂は、黒色樹脂であった。上記のものと同じ色素溶液を使用した。色素負荷は、2行目のウェル14、15および16では0.02重量%であり、3行目のウェル17、18および19では015重量%であった。1列目のウェル11、12および13に、色素を含まないアセトニトリル中の30mg/mlのPMMA溶液を充填した。
【0077】
予想通り、上記の撮像装置で取得した画像において、1列目のウェル11、12および13から蛍光は観察されなかった。
図4を参照すると、画像分析は、色素負荷量0から0,1%で、蛍光信号の平均強度が線形増加することを示す。
このような曲線を検量線として使用して、未知試料の蛍光強度を定量化することができる。
【0078】
別の実施形態では、キャリブレーション補助の本体1は透明であり、照明中に黒い表面上に配置される。上記の説明は、本実施形態に同様に適用される。
【0079】
本発明のキャリブレーション補助は、例えば光学センサ、刺激応答スマートマテリアル、医療撮像および画像誘導手術を含む多くの用途に使用することができる。
【国際調査報告】