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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】電気外科切除器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20241204BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B18/18 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024522529
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022081501
(87)【国際公開番号】W WO2023104424
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】2117879.3
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK14
4C160KK19
4C160KK36
4C160KK37
(57)【要約】
様々な実施形態が、電気外科切除器具であって、高周波電磁エネルギー及び/またはマイクロ波電磁エネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造、及びエネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具先端であって、第1のジョーと第2のジョーとを備える、器具先端を含む電気外科切除器具を提供する。第1のジョーは、互いに電気的に絶縁された第1の対の電極を備える。第1の対の電極がエネルギー伝達構造に結合される。第1のジョー及び第2のジョーは、第1のジョー及び第2のジョーが互いに並んで置かれる閉位置と、第2のジョーが、生体組織を受け入れるための隙間によって第1のジョーから離隔されている開位置との間で相互に対して移動可能である。第1のジョーは、閉位置の第2のジョーを越えて遠位方向に延びる。第1のジョーは遠位端面を含み、第1の対の電極は遠位端面に露出している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科切除器具であって、
高周波電磁エネルギー及び/またはマイクロ波電磁エネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造、
前記エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具先端であって、前記器具先端が第1のジョーと第2のジョーを含む、前記器具先端、を備え、
前記第1のジョーは、互いに電気的に絶縁された第1の対の電極を備え、
前記第1の対の電極が前記エネルギー伝達構造に結合され、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに並んで置かれる閉位置と、前記第2のジョーが、生体組織を受け入れるための隙間によって前記第1のジョーから離隔されている開位置との間で相互に対して移動可能であり、
前記第1のジョーは、前記閉位置の前記第2のジョーを越えて遠位方向に延び、
前記第1のジョーは遠位端面を含み、前記第1の対の電極は前記遠位端面に露出している、前記電気外科切除器具。
【請求項2】
前記第1のジョーは、前記閉位置で前記第2のジョーに面する内面と、前記閉位置で前記第2のジョーから外方に向く外面とを有する第1の平面誘電体要素を備え、前記第1の対の電極は、内側電極と外側電極とを備え、前記内側電極は、前記第1の平面誘電体要素の前記内面に配置され、前記外側電極は前記第1の平面誘電体要素の前記外面に配置され、及び/または、
前記第2のジョーは、前記閉位置で前記第1のジョーに面する内面と、前記閉位置で前記第1のジョーから外方に向く外面とを有する第2の平面誘電体要素を備え、
前記第2のジョーは、
前記第2の平面誘電体要素の前記内面に配置された内側電極、及び/または、
前記第2の平面誘電体要素の前記外面に配置された外側電極、を備える、請求項1に記載の電気外科切除器具。
【請求項3】
前記第1のジョーの前記内側電極は、前記第1の平面誘電体要素の前記内面に形成された第1の導電層を含み、及び/または
前記第1のジョーの前記外側電極は、前記第1の平面誘電体要素の前記外面に形成された第2の導電層を含み、及び/または
前記第2のジョーの前記内側電極は、前記第2の平面誘電体要素の前記内面に形成された第1の導電層を含み、及び/または、
前記第2のジョーの前記外側電極は、前記第2の平面誘電体要素の前記外面に形成された第2の導電層を含む、請求項2に記載の電気外科切除器具。
【請求項4】
前記第1のジョーが、前記第2のジョーに向かって突出する第1の歯を含み、前記第1の歯が前記遠位端面の一部を形成する、請求項1~3の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項5】
前記第1のジョーは、前記第2のジョーに面する前面と、前記第2のジョーから外方に向く背面とを含み、
前記第1の対の電極は前記遠位端面において前記前面に延び、
前記第1の対の電極は前記遠位端面の前記背面から離隔される、請求項1~4の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項6】
前記第2のジョーが、前記第1のジョーに向かって突出する少なくとも1つの第2の歯を含み、
前記第2の歯が前記遠位端面に面する前面と、遠位端面から外方に向く後面とを含み、
前記閉位置では、前記前面及び/または前記後面が遠位に傾いている、請求項1~5の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項7】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの可動式のジョーを作動させるための制御ワイヤをさらに含み、
前記可動式のジョーは、前記制御ワイヤが前記可動式のジョーと係合するために通って延びる開口部を含み、
前記制御ワイヤの端部が丸みを帯びており、及び/または、
前記制御ワイヤが曲げられている、請求項1~6の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項8】
前記制御ワイヤの前記丸みを帯びた端部は、前記開口部の内径よりも大きい直径を有する、請求項7に記載の電気外科切除器具。
【請求項9】
前記可動式のジョーが、前記開口部に隣接する面取り部を含み、
前記制御ワイヤの前記丸みを帯びた端部が前記面取り部の中に少なくとも部分的に配置されている、請求項8に記載の電気外科切除器具。
【請求項10】
前記エネルギー伝達構造は、誘電材料によって外側導体から分離された内側導体を有する同軸伝送線を備え、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの静止式のジョーの前記平面誘電体要素は、前記エネルギー伝達構造の前記遠位端に延び、
前記器具先端は、
前記エネルギー伝達構造の前記内側導体を前記第1の対の電極の前記内側電極に接続する接続要素、及び
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの前記可動式のジョーと前記エネルギー伝達構造の前記遠位端との間に配置された誘電ブロック、をさらに備え、
前記接続要素は、前記静止式のジョーの前記平面誘電体要素と前記誘電ブロックとの間に挟まれ、
前記誘電ブロックは、接着剤成分と、前記接着剤成分に浸漬された粒子とを含む接着剤を使用して、前記静止式のジョーの前記平面誘電体要素に取り付けられる、請求項2~9の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項11】
キャビティが前記誘電ブロックと、前記エネルギー伝達構造の前記遠位端との間に設けられ、
前記キャビティが前記接着剤で充填されている、請求項10に記載の電気外科切除器具。
【請求項12】
電気外科器械であって、
高周波電磁エネルギー及びマイクロ波電磁エネルギーを供給するための電気外科発電機、
患者の体内に挿入するための機器コードを有する外科用スコープ装置であって、前記機器コードは、前記外科用スコープ装置を貫いて延びる機器チャネルを有する、前記外科用スコープ装置、及び
前記外科用スコープ装置の前記機器チャネルを通して挿入される先行請求項のいずれかに記載の電気外科切除器具、
を備える、前記電気外科器械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織を切断、凝固、及び切除するための電気外科切除器具及び電気外科器械に関する。特に、本発明は、生体組織の切断、止血(すなわち、血液の凝固を促進することによる壊れた血管の封止)及び組織/または切除のために、高周波(RF)エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを送達することができる電気外科切除器具及び電気外科器械に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的切除は、ヒトまたは動物の体内から器官の部分を除去する手段である。器官は、血管が多い場合がある。組織が切断される(すなわち、分割または離断される)際、小さい血管が損傷されるか、または破裂する。初期の出血に続いて、出血点を塞ぐことを試みて血液が凝血塊に変えられる凝固カスケードが起こる。手術中、患者が失う血液が可能な限り少ないことが望ましく、したがって出血のない切断を実現しようとして、様々な装置が開発されてきた。内視鏡の処置の場合、出血が発生し、血液の流れが術者の視界を遮る可能性があるため、適切に対処されないことはまた、望ましくない。
【0003】
鋭利なブレードの代わりに、RFエネルギーを用いて生体組織を切断することが知られている。RFエネルギーを使用して切断する方法は、電流が組織マトリックスを通過するときに(細胞のイオン含有により補助される)、組織を横切る電子の流れに対するインピーダンスが熱を発生させるという原理を使用して動作する。純粋な正弦波が組織マトリックスに適用されるとき、組織の水分を気化させるのに十分な熱が細胞内で発生する。したがって、細胞の内圧が膨大に上昇して細胞膜では制御できなくなり、その結果、細胞が破裂する。これが広範囲にわたって発生すると、組織が切断されたことが見てとれる。上記の処置は、脂肪の少ない組織ではうまく機能するが、脂肪組織では電子の通過を補助するイオン成分がより少ないため、効率が低くなる。これは、脂肪の蒸発潜熱が水の蒸発潜熱よりもはるかに大きいため、細胞の内容物を蒸発させるのに必要なエネルギーがはるかに大きいことを意味する。
【0004】
RF凝固は、組織に低効率の波形を適用することで作用するものであり、それにより、気化させる代わりに、細胞の内容物が約65℃に加熱され、乾燥により組織の水分を除去し、血管壁のタンパク質を変性させる。この変性は凝固カスケードへの刺激として作用し、そのため凝固が促進される。同時に、その壁のコラーゲンは、棒状からコイルの分子に変性し、血管が収縮してサイズが小さくなり、血餅にアンカーポイントを付し、詰まる領域が小さくなる。しかし、脂肪組織が存在すると、電気的効果が減少するため、RF凝固の効率が低下する。したがって、脂肪性の出血を塞ぐことが非常に難しい場合がある。組織は、きれいで白い縁になるかわりに、黒く焼けたような外観になる。
【0005】
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを使用する組織の切除は、生体組織が主に水から構成されているという事実に基づいている。人間の軟器官組織は、通常、水分含有が70%~80%である。水分子には永続的な電気双極子モーメントがあり、これは、分子全体に電荷の不均衡が存在することを意味する。この電荷の不均衡から、分子が回転して電気双極子モーメントを印加電場の極性と整合させる際に、時間により変化する電場の印加によって生成される力に応じて、分子が運動する。マイクロ波周波数では、急速な分子の振動が摩擦の加熱を引き起こし、その結果、熱の形で場のエネルギーが散逸する。これは誘電加熱として知られている。この原理はマイクロ波切除療法において利用され、この療法では、マイクロ波周波数の局所的な電磁界を加えることにより、標的組織中の水分子が急速に加熱され、組織の凝固及び細胞死がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最も一般的には、本発明は、高周波(RF)電磁エネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーを使用して生体組織の切断及び封止を容易にする複数の操作様式を提供するエネルギー送達構造を有する電気外科切除器具(または電気外科切除機器)を提供する。特に、本発明は、内視鏡、胃鏡、または気管支鏡などの外科用スコープ装置の機器チャネルを通して器具を挿入可能にするのに十分コンパクトな作動及びエネルギー送達の組み合わせ機構に関する。この装置は、腹腔鏡外科や開腹手術、つまり腹腔を開いて肝葉の無血切除を行うためにも使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、GB2567480で議論されている電気外科切除器具の概念の発展を表すものである。本発明の電気外科切除器具は一対のジョーを備え、第1のジョーは第1の対の電極を備え、第2のジョーは任意選択で単一電極(すなわち、第2のジョーには電極が1つだけ存在する)または第2の対の電極(つまり、2つの電極が第2のジョーに存在する)を備える。これにより、電気外科切除器具は、(i)ジョーが閉じているときのRFベースの滑走切断、(ii)RFエネルギー及び加えられた圧力の組み合わせを使用して、ジョーの間に把持された組織に対して実行されるハサミタイプの切断、及び(iii)マイクロ波エネルギー及び加えられた圧力の組み合わせを使用してジョーの間に掴まれた組織に対して実行される凝固または血管封止動作、という3つの相補的な方式に従って動作できるようになる。本発明者らは、本明細書に記載のように切除器具に2つ、3つ、または4つの電極を設けることにより、EMエネルギーを使用して組織を切断及び凝固する器具の能力を向上させることができることを発見した。特に、このような電極の配置により、複数のRF場をジョー全体に確立し得ることができ、その結果、より滑らかでより均一な切断が可能となる。同様に、そのような電極構成は、より均一なマイクロ波場を放出することを可能にすることにより、マイクロ波エネルギーを使用したより効果的な組織の凝固及び切除をもたらし得る。疑念を避けるため、「単一電極」とは、第2のジョーが電極を1つだけ備えており、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを送達するための他の電極が第2のジョーには設けられていないということである旨を理解されたい。
【0008】
電気外科切除器具であって、高周波電磁エネルギー及び/またはマイクロ波電磁エネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造、エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具先端(または機器先端またはスコープ装置の先端)であって、第1のジョーと第2のジョーとを備える、器具先端を含む電気外科切除器具を提供し、第1のジョーは、互いに電気的に絶縁された第1の対の電極を備え、第1の対の電極がエネルギー伝達構造に結合され、第1のジョー及び第2のジョーは、第1のジョー及び第2のジョーが互いに並んで置かれる閉位置と、第2のジョーが、生体組織を受け入れるための隙間によって第1のジョーから離隔されている開位置との間で相互に対して移動可能であり、第1のジョーは、閉位置の第2のジョーを越えて遠位方向に延び、第1のジョーは遠位端面を含み、第1の対の電極は遠位端面に露出している。
【0009】
電気外科切除器具は、電気外科機器(電気外科切除機器など)及び/または電気外科用(スコープ)装置(切除機能を有する)と考えることができる。電気外科切除器具は、(血)管を封止するためのマイクロ波放射を(均一に)放射するように構成され得る。電気外科切除器具は、第1の対の電極が遠位端面で露出される際に、遠位端面での切断または切除機能をさらに提供する。これにより、遠位端面の対の電極の間に電流を流すことができる。電気外科切除器具は、ジョー間だけでなく、遠位端面での切断をももたらす。第1のジョーが閉位置において第2のジョーを越えて延びるとき、遠位端面は、電気外科切除器具の最も遠位の表面である。すなわち、電気外科切除器具が遠位方向に移動させられるまたは押されるときに、最初に遠位端面が組織に接触する(閉位置で)。電気外科切除器具は、小さい外径を有し、その結果、遠位端面がまた小さい面積を有する。電気外科切除器具の外径は、電気外科切除器具が移動され得るスコープ装置または内視鏡のキャビティよりも小さい。これにより、遠位端面での正確な切断が可能となる。特に、電気外科切除器具は、例えば、キャビティへのアクセスを得るために、問題箇所までのその経路を切断することができる。
【0010】
エネルギー伝達構造は、誘電材料によって外側導体から分離された内側導体を有する同軸伝送線を備えてもよい。第1の対の電極は、第1の対の電極が、エネルギー伝達構造によって伝達される高周波電磁エネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、エネルギー伝達構造に結合され得る。任意選択で、器具先端は、エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波電磁エネルギーを放出するためのマイクロ波場放出構造として動作可能である。
【0011】
エネルギー伝達構造は、器具先端がシャフトの遠位端から突出するように、シャフト(または外側シース)の内腔に配置され得る。シャフトは、同軸伝送線が挿入できる任意の適切なシャフトであり得る。シャフトは可撓性であってもよく、例えば、曲げること、または治療部位に到達するための他の操縦をすることに適している。可撓性シャフトにより、装置を内視鏡などの外科用スコープ装置で使用できるようにすることができる。他の例で、シャフトは、例えば開腹手術または腹腔鏡で使用するために剛性であることがある。
【0012】
同軸伝送線は、RF EMエネルギーとマイクロ波EMエネルギーの両方を伝達するように適合され得る。あるいは、エネルギー伝達構造は、RF EMエネルギーとマイクロ波EMエネルギーのための異なるルートを備え得る。例えば、マイクロ波EMエネルギーは同軸伝送線を介して送達され得るが、RF EMエネルギーはツイストペア線などを介して送達され得る。同軸伝送線は、可撓性同軸ケーブルの形態であってもよい。
【0013】
第1のジョー及び第2のジョーは、これらが開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であるように、エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられる。ジョー間の様々な種類の相対的な動きを使用することができる。第1のジョーと第2のジョーとの間の相対な動きは、回転運動及び/または並進運動を含むことができる。第1のジョー及び第2のジョーの少なくとも一方は、第1のジョーと第2のジョーとの間の相対な動きを可能にするために、エネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能に取り付けられ得る。いくつかの場合には、第1及び第2のジョーのうちの一方のみがエネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能に取り付けられ得るが、他の場合には、第1及び第2のジョーの両方がエネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能に取り付けられ得る。
【0014】
例として、第1のジョーと第2のジョーは、例えば第1のジョーと第2のジョーとの間の角度の開きを調整できるように、互いに対して枢動可能であり得る。この例は、ハサミ型クロージャに似ている場合がある。第1のジョー及び/または第2のジョーは、エネルギー伝達構造の遠位端に枢動可能に取り付けられ得る。
【0015】
別の例では、組織が間に把持されると第1のジョーと第2のジョーの間の隙間が均一になることが有益であり得、例えば供給されるエネルギーがジョーの全長に沿って均一になることを確実にする。この例では、第1のジョーと第2のジョーは、それらが互いに対して移動するときに平行を保つように構成され得る。例えば、ジョーが開位置にあるとき第1のジョーと第2のジョーは平行であり得、またスライドして互いを過ぎて閉位置に至るとき第1のジョーと第2のジョーは平行のままであり得る。
【0016】
第1のジョー及び第2のジョーは、開位置と閉位置との間で移動され得る。開位置とは、第1のジョーと第2のジョーとが互いに最も離れている位置である。閉位置とは、第1のジョーと第2のジョーとが互いに最も近い位置、または互いに重なる位置である。開位置と閉位置との間には、複数の中間位置がある。第1のジョー及び第2のジョーは、開位置と閉位置との間に途切れずに配置することができ、または開位置と閉位置との間に複数の別個の中間位置がある。
【0017】
第1のジョーは第1のブレード要素を備えてもよく、及び/または第2のジョーは第2のブレード要素を備えてもよい。次に、ジョーが閉位置にあるとき、第1のブレード要素は第2のブレード要素と並んで置かれることができ、ジョーが開位置にあるとき、第1のブレード要素と第2のブレード要素との間に、生体組織を受け入れるための隙間が存在し得る。
【0018】
第1のブレード要素及び第2のブレード要素は、第1及び第2のジョーが開位置から閉位置に移動するときに、第1及び第2のジョーの間の隙間に配置された組織を切断するように構成され得る。したがって、第1のブレード要素及び第2のブレード要素はそれぞれ、組織を切断するために配置された切断(例えば鋭利な)ブレードを含んでもよい。切断境界面は、ジョーが閉じられたときにジョー間の組織が切断される領域に対応して、第1のジョーと第2のジョーとの間に画定され得る。
【0019】
第1のブレード要素と第2のブレード要素は、第1のジョーと第2のジョーが開位置と閉位置との間で移動するときに、例えば剪断力の適用を通じて組織の機械的切断を行う際に、スライドして互いを過ぎていくように配置され得る。したがって、第1及び第2のブレード要素によって行われる切断は、ハサミタイプの切断機構に似ている場合がある。
【0020】
閉位置では、第1のジョー及び第2のジョーの両方が、遠位方向に対して平行に配向される。言い換えれば、閉位置では、第1のジョーは第2のジョーに平行に配置される。開位置において、第1のジョー及び第2のジョーの一方、任意選択で静止式または非可動式のジョーは、遠位方向に平行に配置されたままである。遠位方向は、電気外科切除器具の長手方向に平行であり得る。閉位置では、第1のジョーは、第2のジョーよりも遠位方向に長くてもよく、第1のジョーは、第2のジョーから遠位方向に突出する。
【0021】
第1及び/または第2のブレード要素は、1つまたは複数の鋸歯状の部分(例えば、歯)を含んでもよい。鋸歯状の部分は、ジョーの間の隙間に位置する組織を把持して切断することを容易にすることができる。
【0022】
電気外科切除器具は、第1のジョーに対する第2のジョーの動きを制御するためのアクチュエータを備え得る。アクチュエータは、ジョー間の相対的な運動を制御するための任意の適切なタイプのアクチュエータを備えることができる。例として、アクチュエータは、エネルギー伝達構造(例えばシャフトの内側)に沿って延び、ジョーの一方または両方の位置を制御するためにその全長に沿って移動可能な制御ロッドを備え得る。制御ロッドは、第1のジョーと第2のジョーの一方または両方と係合する取り付け機構を有してもよく、これにより、制御ロッドの長手方向の動きが、第1のジョーに対する第2のジョーの動きを引き起こす。取り付け機構は、ジョーの一方または両方に対する押す力及び引く力を伝達するためのフックまたは任意の適切な係合であってもよい。
【0023】
第1の対の電極は第1のジョーに配置され、第1の対における第1の電極はRF EMエネルギーの活性電極として機能し、第1の対における第2の電極はRF EMエネルギーの戻り電極として機能する。このようにして、エネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーは、第1の対の電極を介して組織に送達され得る。第1の対の電極は、標的組織を切断するために、エネルギー伝達構造からのRF EMエネルギーを用いて、第1のRF切断場を確立することができる。第1の対の電極は、第1のジョーの表面に露出され得、その結果、それらは標的組織に接触してRF EMエネルギーを標的組織に送達することができる。特に、第1の対の電極は、RF EMエネルギーを遠位端面の標的組織に送達するために、標的組織に接触することができる。
【0024】
単一電極または第2の対の電極が第2のジョーに配置され、RF EMエネルギーの活性電極及び/または戻り電極として機能し得る。特に、単一電極は、第1のジョーの内側電極が戻り電極として動作可能な場合に活性電極として動作可能であるか、または第1のジョーの内側電極が活性電極として動作可能な場合に戻り電極として動作可能である。このようにして、単一電極は、標的組織を切断するために、第1のジョーの第1の対の電極と協働して、エネルギー伝達構造からのRF EMエネルギーによって第2のRF切断場を確立することができる。第2のジョーの単一電極は、標的組織に接触してRF EMエネルギーを標的組織に送達できるように、第2のジョーの表面に露出することができる。
【0025】
したがって、RF EMエネルギーがエネルギー伝達構造によって伝達されるとき、第1のRF切断場が第1の対の電極によって確立され、第2のRF切断場が、単一電極、または第2のジョーの第2の対の電極と第1の対の電極とのうちの1つによって、ジョーの間に確立される。したがって、RF切断は、第1のジョー、また2つのジョーの間でも発生する可能性がある。これにより、組織のより広い領域にわたってRF切断を実行できるようになり、より均一なRF切断を実行できるようになり得る。
【0026】
さらに、3つの電極が、エネルギー伝達構造からマイクロ波EMエネルギーを放出(または放射)するためのマイクロ波場放出構造を画定するように機能する。そのため、エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波EMエネルギーが、標的組織を凝固及び/または切除するべく電極から標的組織内に放射され得る。放出されるマイクロ波場(複数可)の特定の形状は、ジョーの電極の配置によって異なる。例えば、両方のジョーの電極は、一緒にマイクロ波場放出構造を形成し、共通のマイクロ波場が両方のジョーにわたって放出されるようにしてもよい。対にした電極を使用してマイクロ波EMエネルギーを放射すると、ジョー全体にわたる放出されるマイクロ波場の均一性と対称性が向上し、マイクロ波EMエネルギーによる組織の治療の有効性が向上し得る。
【0027】
任意選択の実施形態では、第1のジョーは、第2のジョーに面する内面と、第2のジョーから外方に向く外面とを有する第1の平面誘電体要素を備え、第1の対の電極は、内側電極と外側電極とを備え、内側電極は、第1の平面誘電体要素の内面に配置され、外側電極は第1の平面誘電体要素の外面に配置される。第2のジョーは、閉位置で第1のジョーに面する内面と、閉位置で第1のジョーから外方に向く外面とを有する第2の平面誘電体要素を備え得る。第2のジョーは、第2の平面誘電体要素の内面に配置された内側電極、及び/または第2の平面誘電体要素の外面に配置された外側電極を備え得る。
【0028】
これにより、ジョーが閉じられたとき、電極が横方向に互いに対して実質的に整列することができる。このことは、ジョーが閉じているとき、広い領域にわたる標的組織の効果的な治療を可能にすることができる。さらに、第1のジョーが第2のジョーよりも長いので、この構成は、第1の対の電極を使用して遠位端面において組織を切断/切除することを可能にする。
【0029】
第1の平面誘電体要素及び第2の平面誘電体要素は、互いに実質的に平行であってもよく、例えば、第1の平面誘電体要素の内面によって画定される平面は、第2の平面誘電体要素の内面によって画定される平面に対して実質的に平行であってもよい。第1の平面誘電体要素と第2の平面誘電体要素はそれぞれ、第1のジョーと第2のジョーが互いに対して可動である平面と平行に整列することができる。
【0030】
第1及び第2の平面誘電体要素のそれぞれは、セラミック(例えばアルミナ)などの誘電体(すなわち絶縁)材料の一片によって形成され得る。本明細書において、「平面」の要素に言及することは、その幅及び長さよりも実質的に薄い厚さを有する平坦な材料の一片を意味し得る。各平面誘電体要素は、縦方向に整列した全長の次元、横方向に整列した厚さの次元、及び全長の次元と厚さの次元の両方に直交する幅の次元を有し得る。平面誘電体要素の平面は、全長と幅の次元が存在する平面、すなわち幅の次元に直交する平面である。各平面誘電体要素の内面及び外面は、平面誘電体要素の平面に平行であり得る、すなわちそれらは幅の次元に対して直交し得る。各平面誘電体要素の内面及び外面は、その幅に関して平面誘電体要素の反対側に配置され得る。
【0031】
遠位端面は、第1のジョーで長手方向に沿って見たときに見える第1のジョーの表面であり得る。
【0032】
各ジョーにおいて平面誘電体要素を使用し、その上に電極が配置されることが、器具先端の製造を大いに促進する可能性がある。これは、例えば表面の上に導電性材料を堆積することにより、及び/または表面に導電性要素を取り付けることにより、電極をその内面及び/または外面に容易に形成することができるためである。対照的に、従来技術の切除器具では、ジョーは通常、絶縁材料でコーティングされた導電性材料で作られ、絶縁材料がエッチングで除去されたジョーの領域によって電極が画定される。絶縁材料をエッチングして電極を画定するのは、面倒で時間のかかるプロセスとなる場合がある。さらに、組織が絶縁材料に付着し、器具先端の洗浄が困難になることがあることを見出した。したがって、ジョーで平面誘電体要素を使用することは、器具先端の製造を促進するだけでなく、組織が器具先端に付着するのを回避することができる。
【0033】
場合によっては、第1の平面誘電体要素が第1のブレード要素を画定することができる。例えば、第1の平面誘電体要素は、ジョーの間に位置する組織に接触し、ジョーが閉じられたときに組織を切断するように構成された刃先を備えることができる。次に、第1の対の電極の内側電極は、第1の平面誘電体要素の刃先またはその近くに形成され得る。
【0034】
同様に、第2の平面誘電体要素は第2のブレード要素を画定し得、例えば、第2の平面誘電体要素は、ジョーの間に位置する組織に接触して切断するように構成された刃先を備え得る。次に、単一電極が内側電極であるかまたは第2の対の電極の内側電極である場合、第2の対の内側電極は、第2の平面誘電体要素の刃先またはその近くに形成され得る。
【0035】
第1の平面誘電体要素が第1のブレード要素を画定し、第2の平面誘電体要素が第2のブレード要素を画定する場合、第1の平面誘電体要素の内面は、ジョーが開位置と閉位置の間で移動するときに第2の平面誘電体要素の内面を横切ってスライドするように配置され得る。
【0036】
任意選択の実施形態では、第1のジョーにおける第1の対の電極の内側電極は、第1の平面誘電体要素の内面に形成された第1の導電層を含み得、第1のジョーの外側電極は、第1の平面誘電体要素の外面に形成された第2の導電層を含み、第2のジョーの内側電極は、第2の平面誘電体要素の内面に形成された第1の導電層を含み、及び/または第2のジョーの外側電極は、第2の平面誘電体要素の外面に形成された第2の導電層を含む。
【0037】
したがって、各内側電極は、それぞれの平面誘電体要素の直接内面に、導電性材料のそれぞれの層によって形成され得、及び/または、各外側電極は、それぞれの平面誘電体要素の直接外面に、導電性材料のそれぞれの層によって形成され得る。例えば、導電性材料の層は、任意の適切な堆積技術を使用して堆積することができ、あるいは導電性材料の層は、さもなければ内面及び/または外面に(例えば、接着剤を介して)取り付けることができる。各内側電極の導電層は、金などの任意の適切な導電性材料で形成することができる。第2のジョーの単一電極が、単一電極が内側または外側電極となるように、第2の平面誘電体要素の内面または外面に形成され得る。
【0038】
第1及び/または第2のジョーの第1の導電層は、長手方向に延びてもよい、すなわち、第1及び/または第2の平面誘電体要素の長さの全部または一部に沿って延びてもよい。同様に、第1及び/または第2のジョーの第2の導電層は、長手方向に延びてもよい、すなわち、第1及び/または第2の平面誘電体要素の長さの全部または一部に沿って延びてもよい。
【0039】
好ましくは、第1のジョーは、第2のジョーの方に向いている内面を有する第3の平面誘電体要素を含み得て、第3の平面誘電体要素は、第1のジョーの内側電極の内面に配置される。加えて、または代わりに、第2のジョーは、第1のジョーの方に向く内面を有する第4の平面誘電体要素を含み得て、第4の平面誘電体要素は、第2のジョーの単一電極の内面に配置される。例えば、第3及び/または第4の平面誘電体要素は、内側電極間に絶縁バリアを設ける誘電コーティングとして適用され得る。例えば、コーティングは、セラミック(例えば、アルミナ)コーティング、ダイヤモンド状コーティング、エナメルコーティング、またはシリコンベースのペイントコーティングであってもよい。このコーティングはさらにパリレンNでコーティングされて、細孔に浸透して絶縁体を防水にする絶縁コーティングを封止する(例えば深さ2~10マイクロメートルの層でコーティングされる)ことができる。あるいは、誘電コーティングは、熱可塑性ポリマー、例えばポリエーテルまたはケトン(PEEK)などであってもよい。誘電コーティングは、内側電極が実質的にブレード要素の上面のみで露出することを確実にでき、これによりEMエネルギーが所望の領域に集中することを確実にすることができる。このように第3及び/または第4の誘電体要素を設けることにより、エネルギーが優先的に組織に向けられるように、2つの内側電極間の電気的破壊または放電のリスクを最小限に抑えることを確実にできる。このような配置は、ジョー間の対称性を改善することもでき、これにより、ひいては器具先端によって放出されるRF及びマイクロ波エネルギーの対称性を改善することができる。
【0040】
さらに、場合によっては、第1及び/または第2の対の電極の外側電極は、第1の平面誘電体要素の外面に形成された第3の導電層を含んでもよい。第3の導電層は、上述した第1及び第2の導電層と同様にして形成することができる。当然、いくつかの例では、第2のジョーの単一電極を同様の方法で形成することができる。
【0041】
したがって、電極を形成するのにいずれのジョーの絶縁層のパターニング及びエッチングも必要とされないことがあり、それにより器具先端の製造が非常に容易になり得る。
【0042】
第1の対の電極は、組織が第1の平面誘電体要素の前面と接触している場合に、第1の対の電極が組織と接触するように、第1の平面誘電体要素の前面と同一平面であってもよい。同様に、第2の対の電極の内側電極及び/または外側電極は、組織が第2の平面誘電体要素の前面と接触している場合に、第2の対の電極の内側電極及び/または外側電極が組織と接触するように、第2の平面誘電体要素の前面と同一平面であってもよい。
【0043】
第1のジョーは、第1の導電性シェルであり得る第1のカバーをさらに備え得る。第1のカバーは、第1の平面誘電体要素の外面に取り付けられ得る。第1の対の電極の外側または第2の導電層は、第1のカバーと、第1の平面誘電体要素との間に配置され得る。第1のカバーは、第2の導電層と電気的に接触し、したがって、第1の対の電極の外側電極の少なくとも一部を形成するように配置され得る。したがって、外側電極は、対応する平面誘電体要素の外面に取り付けられた導電性シェル(第1のカバー)を備えることができる。第1のカバーまたは第1の導電性シェルは、第1のジョーの外面を画定することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2のジョーは、同様に、第2の導電性シェルであり得る第2のカバーを備え得る。第2のカバーは、第2の平面誘電体要素の外面に取り付けられる。第2の対の電極の外側または第2の導電層は、第2のカバーと第2の平面誘電体要素との間に配置され得る。第2のカバーは、外側または第2の導電層と電気的に接触し、したがって、第2のジョーの外側電極の少なくとも一部を形成するように配置され得る。
【0045】
したがって、第1及び/または第2のカバーは、外側電極の一部を画定し、かつそれが取り付けられる平面誘電体要素を保護するという二重の目的を果たし得る。第1及び/または第2のカバーは、対応する平面誘電体要素の外面に(例えば、接着剤及び/または機械での固定によって)取り付けられる導電性材料の一片から形成され得る。ステンレス鋼などの任意の適切な導電性材料を導電性シェルに使用することができる。
【0046】
第1及び/または第2のカバーの表面積は、第1及び第2の対の電極の内側(第1)及び/または外側(第2)導電層の表面積よりも大きくてもよい。例えば、第1及び/または第2のカバーは、平面誘電体要素の外面の全部または大部分を覆う比較的厚い導電性材料のブロックから形成され得る一方、内側(第1)及び/または外側(第2)導電層は、第1及び/または第2の平面誘電体要素の内面及び/または外面の比較的薄い及び/または狭い導電層として形成され得る。したがって、第1及び/または第2のカバーは、内側電極と比較して外側電極の表面積を増加させる機能を果たせる。
【0047】
本発明者らは、異なるサイズを有する間隔をあけた一対の電極を使用して組織のRF切断を行う場合、組織は2つの電極のうちの小さい方の近傍で切断される傾向があることを見出した。したがって、内側電極と比較して大きな表面積を有する導電性シェル(第1及び/または第2のカバー)を使用すると、内側電極の近くで組織のRF切断が生じるのを確実にすることができる。このことは、RF EMエネルギーを使用して、ジョーの間に位置する組織で、明確に定められた切断を行うことを可能にし得る。特に、このことは、RF EMエネルギーによって生じる切断が、ブレード要素間の切断境界面またはその近くに位置することを確実にするように機能することができる。
【0048】
有利には、第1のジョーの外側電極と第2のジョーの外側電極(第2ジョーの単一電極にすることもできる)は、互いに電気的に結合され得る。これは、先端によって放出されるRF及び/またはマイクロ波EM場の対称性、特に第1のジョーの内側電極、及び第1のジョーと第2のジョーとの間の領域に関する対称性を設けるのに役立ち得る。例えば、第1のジョーの外側電極及び第2のジョーの外側電極は両方共、これらがエネルギー伝達構造を介して電気的に結合されるように、エネルギー伝達構造の共通導体に結合され得る。さらに、第1のジョーの内側電極及び第2のジョーの内側電極は両方共、これらがエネルギー伝達構造を介して電気的に結合されるように、エネルギー伝達構造の共通導体に結合され得る。
【0049】
器具先端は、第1のジョーの外側電極及び第2のジョーの外側電極をエネルギー伝達構造の遠位端に接続するベース構造をさらに備え得る。例えば、ベース構造は、第1のジョーの外側電極をエネルギー伝達構造の遠位端にしっかりと接続する第1のベース部と、第2のジョーが枢動可能に接続される第2のベース部とを含んでもよく、第2のジョーが、第2のベース部に対して枢動可能であるようにする。
【0050】
ベース構造は、エネルギー伝達構造の端部でジョーを支えるための任意の適切な構造であってもよい。ベース構造は、例えば、一端でエネルギー伝達構造の遠位端に固定され、他端で第1及び第2のジョーに接続されるアームを備えることができる。このようなベース構造は、エネルギー伝達構造(典型的に可撓性であり得る)の遠位端を補強し、器具先端への長手方向の力の伝達を容易にするのに貢献し得る。ベース構造は、剛性材料(例えば、ステンレス鋼などの金属)を含んでもよい。
【0051】
第1のジョー及び/または第2のジョーは、第1のジョーと第2のジョーとの間の相対的な動きを可能にするために、ベース構造に移動可能に接続され得る。例えば、第1のジョー及び/または第2のジョーは、ベース構造に枢動可能に接続され得る。
【0052】
場合によっては、第1のベース部は第1のカバーの一部であってもよい、すなわち、第1のカバーはベース構造の一部を形成してもよい。例えば、第1のベース部は、第1のジョーとエネルギー伝達構造の遠位端との間に延びる第1のカバーの一部であり得る。これは、第1のジョーとエネルギー伝達構造の遠位端との間の強固な接続を確保するとともに、第1の対における外側電極とエネルギー伝達構造との間の電気接続を容易にするのに役立ち得る。
【0053】
ベース構造は、第1のカバーを同軸伝送線の遠位端の内側導体及び外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含んで(例えば、それで作られて)よい。このようにして、第1のカバーは、ベース構造を介して同軸伝送線の導体に直接接続され得る。例えば、第1のベース部は、第1の導電性シェルを内側導体及び外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含んでもよい。
【0054】
加えて、または代わりに、ベース構造は、第2のジョーの内側または外側電極を、同軸伝送線の遠位端の内側導体及び外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含んで(例えば、それらで作られて)よい。このようにして、第2のジョーの内側電極は、ベース構造を介して同軸伝送線の導体に直接接続され得る。例えば、第2のベース部は、第2のジョーの内側電極を内側導体及び外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含んでもよい。
【0055】
第1のカバーと第2のジョーの外側電極が互いに電気的に結合されている場合、ベース構造は、第1及び第2のカバーのそれぞれを、同軸伝送線の遠位端の内側導体と外側導体のうちの第1の導体に接続する導電性材料を含んで(例えば、それらで作られて)よい。したがって、第1の導電性シェル及び第2のジョーの内側電極は、ベース構造を介して電気的に結合され得る。
【0056】
ベース構造は、第1及び/または第2のジョーの内側電極が同軸伝送線の遠位端の内側導体及び外側導体のうちの第2の導体に電気的に接続されるキャビティを画定することができる。このようにして、ベース構造は、第1及び/または第2のジョーの内側電極と、内側導体及び外側導体のうちの第2の導体との間の電気接続を保護する役割を果たすことができる。ベース構造の導電性材料はまた、キャビティ内部の電気接続に電磁シールドを設ける役割を果たすことができる。キャビティは、ベース構造の内部に画定された空間またはボイドであり得る。
【0057】
キャビティは誘電材料を含んでもよい。これは、キャビティにおける電気接続が電気的に絶縁されることを確実にすることができ、キャビティ内側の電気接続と周囲のベース構造との間の絶縁破壊を回避するようにする。誘電材料は、任意の適切な種類の誘電材料であってよい。例として、熱硬化性プラスチック、シリコーン、エポキシまたは樹脂などの電気ポッティング材料をキャビティにおける誘電材料として使用することができる。
【0058】
ベース構造は、キャビティの中に誘電材料を注入するために、ベース構造の側壁に形成された開口部を備え得る。例えば、開口部は、ベース構造の側壁に形成された孔または開口であってもよい。これにより、エネルギー伝達構造の遠位端で器具先端を組み立てた後、誘電材料をキャビティの中に注入することが可能になり得る。これにより、器具先端の組み立てが容易になり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のジョーの外側電極と第2のジョーの外側電極は、両方共、内側導体と外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続され、第1のジョーの内側電極は、内側導体と外側導体のうちの第2の導体に電気的に接続される。このような電極の構成により、第1のジョーの一対の電極間に第1のRF切断場を確立することができ、第1のジョーの内側導体と第2のジョーの内側導体との間に第2のRF切断場を確立することが可能になり得る。2つのRF場は、ブレード要素間の切断境界面に関して実質的に対称であり得、これにより、ジョーの間に保持された組織の非常に均一な切断がもたらされ得る。さらに、このような電極構成により、実質的に対称的なマイクロ波場がジョー全体に放出され得て、ジョーの周囲にある組織のマイクロ波での切除及び/または凝固が可能になる。
【0060】
有利には、第1の対の電極と単一電極は、エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波EMエネルギーを放出するためのマイクロ波場放出構造として共に動作可能であり得る。つまり、3つの電極すべてが協力してマイクロ波EMエネルギーを放出することができる。
【0061】
任意の実施形態では、第1のジョーは、(開位置において)第2のジョーに向かって突出する第1の歯を含み、第1の歯は、遠位端面の一部を形成する。
【0062】
第1の歯は、第1のジョーの前面または第1のジョーの刃先から突出し得る。第1のジョーの前面は、開位置において第2のジョーに面する。第1の歯は、第1のジョーの刃先の遠位端を画定し得る。第1の歯がない場合、第1のジョーの刃先は、遠位端面まで延び得る。第1の歯は、遠位端面と切刃との間に配置されてもよい。特に、第1の歯の側面は、遠位端面の一部を画定し得る。したがって、第1のジョーの遠位端面において長手方向に沿って見ると、第1の歯の側面が見える。第1の歯は、第1の誘電平面要素の一体部分であり得る。言い換えれば、第1の歯は、第1のジョーの一部を画定する。
【0063】
任意選択で、第1の歯は、電気外科切除器具の閉位置において、第2のジョーの遠位端面と並んで配置される。これは、第1のジョーの遠位端が、第2のジョーの遠位端から遠位に突出する(閉位置において)ことを意味する。第1のジョーは、第1の歯の幅の分、第2のジョー(閉位置において)よりも長い。閉位置では、第2のジョーは、第2のジョーと少なくとも部分的に並んで配置され、例えば、第1のジョーの刃先は、側方から見たときに、閉位置で第2のジョーの刃先と重なる。しかしながら、第2のジョーは、第1のジョーと比較して第2のジョーのより短く長手方向に延びているために、閉位置において第1の歯と重ならない。
【0064】
任意選択の実施形態では、第1のジョーは、第2のジョーに面する前面と、第2のジョーから外方に向く背面とを含み、任意選択で、第1の対の電極は、遠位端面において前面に延び、及び/または第1の対の電極は、遠位端面において背面から離隔される。
【0065】
第1のジョーの前面は、第1のジョーの、刃先によって画定される側であってもよい。例えば、第1の平面誘電体要素は、前面、内面、外面、及び背面を含む。第1の平面誘電体要素の前面は、第2のジョーの方に面する。第1の平面誘電体要素の前面は、前面の実質的な部分を設け、第1の対の電極がまた、前面に寄与し得る。第1の歯は、前側の一部を画定し得る。同様に、第1のジョーの背面は、第1の平面誘電体要素の背面によって部分的に設けられ得る。第1のカバーがまた、第1のジョーの背面に寄与し得る。
【0066】
第1の対の電極、特に内側及び外側導電層は、狭い層として刃先に沿って延びる。したがって、第1の対の電極、特に内側及び外側導電層は、第1の平面誘電体要素の完全な内面及び外面をそれぞれ覆わない。しかしながら、第1の対の電極、特に内側及び外側導電層は、第1の歯の完全な領域を覆い、遠位端面まで延びることができる。第1の対の電極、特に内側及び外側導電層は、前面から背面まで遠位端面に沿って延び、第1の対の電極、特に内側及び外側導電層と背面との間に隙間がある。これは、第1の対の電極、特に内側及び外側導電層が背面に露出しないことを意味する。これにより、電気外科切除器具が閉位置にある場合、電気外科切断が第1のジョーの背面で起こらず、遠位端面でのみ起こることが可能になる。
【0067】
第1の対の電極、特に内側及び外側導電層は、第1の歯の領域(遠位端面を含む)において、刃先に沿った領域と比較して広い。第1のジョーの内側導電層及び/または外側導電層は、内面及び/または外面の第1の歯を(完全に)覆ってもよい。あるいは、第1のジョーの外側導電層は、外面の第2の歯を覆わない。
【0068】
任意選択の実施形態では、第1のジョー及び第2のジョーの可動式のジョーは、第1のジョー及び第2のジョーの静止式のジョーに向かって突出する少なくとも1つの第2の歯を含むか、または第2のジョーは、第1のジョーに向かって突出する少なくとも1つの第2の歯を含み、任意選択で、第2の歯は、遠位端面に面する前面と、遠位端面から外方に向く後面とを含み、さらに任意選択で、閉位置では、前面及び/または後面は、遠位端面に向かって傾斜している。
【0069】
静止式のジョーは第1のジョーであってもよく、可動式のジョーは第2のジョーであってもよい。しかし、静止式のジョーが第1のジョーであってもよく、可動式のジョーが第2のジョーであってもよい。第1のジョー及び第2のジョーの両方が可動式であることも可能である。可動式とは、それぞれのジョーがベース構造またはエネルギー伝達構造に対して移動可能であることであると定義される。
【0070】
第2の歯または複数の歯は、第2のジョーなどのそれぞれのジョーの刃先から突出する。第2の歯は、第2の平面誘電体要素など、それぞれの平面誘電体要素の一体部分であり得る。第2のジョーの内側導電層及び/または外側導電層は、内面及び/または外面の第2の歯を(完全に)覆ってもよい。あるいは、第2のジョーの外側導電層は、外面の第2の歯を覆わない。第2の歯の1つは、第2のジョーの遠位端面の一部を形成し得る。特に、第1の歯の配置に関するすべての言及及び記載は、第2の歯に等しく適用される。
【0071】
第2の歯は、(第2の平面誘電体要素の内面の一体部分であり得る)内面、(第2の平面誘電体要素の外面の一体部分であり得る)外面、前面、及び/または後面を含む。第2の歯の前面は、第2のジョーの遠位端に配置される第2の歯のうちの1つのための遠位端面の一体部分であってもよい。前面及び後面は、第2の歯の対向面である。前面と後面とは、第2のジョーの長手方向に、互いに離隔して配置され得る。
【0072】
前面及び/または後面は、閉位置において、すなわち、第2のジョーの長手方向が器具先端または第1のジョーの長手方向に平行であるとき、第2のジョーの長手方向及び器具先端の長手方向に対して傾斜する。傾斜角は、10°~89°、好ましくは60°~85°、より好ましくは75°~85°であってもよい。これは、第2の歯が器具先端の遠位端に向かってわずかに傾くことを意味する。このことは、第2のジョーが開位置から閉位置に移動する間に、第2の歯の前面(第2の歯の内面、外面、前面、及び後面によって囲まれる面)が、内面、外面、前面、または後面のうちの1つが組織に接触する前に、最初に組織に接触することを可能にする。
【0073】
任意選択の実施形態では、電気外科切除器具は、第1のジョー及び第2のジョーの可動式のジョーを作動させるための制御ワイヤをさらに備え、任意選択で、可動式のジョーは、可動式のジョーとの係合のために制御ワイヤが延びる開口部を含み、さらに任意選択で、制御ワイヤの端部は、丸みを帯びる。加えてまたは代わりに、制御ワイヤは曲げられている。
【0074】
制御ワイヤは、上述のアクチュエータの例であり得る。制御ワイヤは、制御ワイヤの引く動きまたは押す動きが、例えば、閉位置から開位置へ、またはその逆のような可動式のジョーの動きを生じるように、可動式のジョーに結合される。制御ワイヤは、開口部によって可動式のジョーに結合され得る。制御ワイヤの一部は、開口部を通って延びる。開口部は、第2のジョーの貫通孔であってもよい。開口部は、第2のカバーに配置され得る。開口部は、制御ワイヤがシャフトを通って延びる長手方向に垂直な延びる方向を有し得る。したがって、制御ワイヤは、曲がりを含むことができる。好ましくは、制御ワイヤは、シャフトの延びる方向から開口部の方向への単一のみの曲がりを含む。これは、90°の曲がりであり得る。あるいは、制御ワイヤは、2つの曲がり(bendingまたはbend)(例えば、コーナーまたは角部)を含む。第1の曲がりは、シャフトの制御ワイヤの延びる方向を、開口部の制御ワイヤの延びる方向に接続する。第2の曲がりは、制御ワイヤの端部と開口部との間に位置する。第1の曲がり及び/または第2の曲がりは、90°の曲がりであってもよい。制御ワイヤの端部は、シャフトの制御ワイヤが延びるのと平行な平面で延び得る。特に、第1の曲がり及び第2曲がりは、側面から視てS字状である。第2の曲がりは、ワイヤの端部が開口部を通って引かれることを防止することができる。したがって、第2の曲がりは、当接として作用し得る。
【0075】
開口部の内径は、制御ワイヤの外径よりも大きくてもよい。したがって、制御ワイヤは、制御ワイヤの丸みを帯びた端部または第2の曲がりがないところにおいて、開口部に対して移動することができる。丸みを帯びた端部は、制御ワイヤの端部が組織または電気外科切除器具の他の部分と連結または付着するリスクを低減する。
【0076】
任意選択の実施形態で、制御ワイヤの丸みを帯びた端部は、開口部の内径よりも大きい直径を有する。
【0077】
制御ワイヤは、溶接、特にレーザー溶接によって丸みをつけてもよく、制御ワイヤの直径及び開口部の内径よりも大きい直径を有する丸みを帯びた端部をもたらす。制御ワイヤは、開口部に挿入された後に丸みをつけられる。これにより、丸みを帯びた端部と制御ワイヤの曲がりとの間の開口部における制御ワイヤの固定がもたらされる。
【0078】
任意選択の実施形態では、可動式のジョーは、開口部に隣接する面取り部を含み、任意選択で、制御ワイヤの丸みを帯びた端部は、面取り部の内部に少なくとも部分的に配置される。
【0079】
面取り部は、漏斗形状を有し、開口部と流体連通し得る。面取り部は、内径からの開口部の直径から、第2のカバーの表面における増加した直径に対する開口部への漸進的な延長を構成し得る。制御ワイヤの丸みを帯びた端部は、面取り部に部分的に受け入れられてよく、その結果、丸みを帯びた端部の小さな部分のみが第2のカバーから突出することになり得る。これにより、制御ワイヤが電気外科切除器具の組織または他の部分と偶然に係合するリスクがさらに低減される。
【0080】
任意選択の実施形態では、第1のジョー及び第2のジョーの静止式のジョーの平面誘電体要素は、エネルギー伝達構造の遠位端まで延び、任意選択で、器具先端は、エネルギー伝達構造の内側導体を第1の対の電極の内側電極に接続する接続要素、及び/または第1のジョー及び第2のジョーの可動式のジョーとエネルギー伝達構造の遠位端との間に配置される誘電ブロックをさらに備える。接続要素は、任意選択で、静止式のジョーの平面誘電体要素と誘電ブロックとの間に挟まれ、任意選択で、誘電ブロックは、好ましくは接着剤成分と、接着剤成分に浸漬された粒子とを含む接着剤を使用して、静止式のジョーの平面誘電体要素に取り付けられる。
【0081】
静止式のジョー、任意選択で第1のジョーの平坦な誘電体要素は、第1のジョーを画定する部分と、接続部分を画定する部分とを含むことができる。したがって、第1のジョーの第1の平面誘電体要素と、接続部分とは、一体構成要素の一部と見なすことができる。第1のジョーを画定する部分は、第1の対の電極に対応する長手方向の長さを有し得るが、接続部分は、エネルギー伝達構造に向かって延びる(第1の)平面誘電体要素の部分である。
【0082】
接続要素が平面誘電体要素の接続部分に延びることができる一方、内側及び/または外側導電層は、第1のジョーを画定する(第1の)平面誘電体要素の部分に配置される。接続要素は、内側導電層と一体の構成要素であってもよく、したがって、内側導電層と同じ材料から製造されてもよい。接続要素は、エネルギー伝達構造の内側導体に電気的に接続され得る。
【0083】
誘電ブロックは、アルミナを含むセラミックなどの誘電材料から作られ、第1及び/または第2の平面誘電体要素と同じ誘電材料から作られ得る。誘電ブロックは、可動式(第2)のジョーとエネルギー伝達構造との間に長手方向に配置される。誘電ブロックは、可動式のジョーとエネルギー伝達構造との間に障壁を設ける。誘電ブロックは、可動式のジョーの高さに対応する高さを有し得る。第1の平面誘電体要素及び誘電ブロックは、それらの間に接続要素を挟む。第1の平面誘電体要素及び誘電ブロックは、スリーブまたは導電性リングによって取り囲まれ得る。
【0084】
誘電ブロックは、例えば歯冠を歯に取り付けるために歯科医に使用される接着剤を使用して、第1の平面誘電体要素に接着させてもよい。接着剤は、G-CEM結合、3M(商標)RelyX(商標)Ultimate、または3M(商標)RelyX(商標)Ultimate 2であってもよい。接着剤は、接着剤の接着特性を与える接着成分を含むことができる。接着剤成分は、(UV)光硬化性であってもよい。接着剤成分は、モノマーの重合によって接着剤特性をもたらすモノマーを含み得る。接着剤成分は、ジウレタンメタクリレートを含み得る。
【0085】
接着剤は、フッ化イッテルビウム(III)などの1つ以上の充填剤を含んでもよい。誘電体、ポリマー、及び/またはセラミック材料から作られた粒子は、接着剤成分に浸漬される。粒子は、マイクロミリメートル範囲及び/またはナノメーター範囲、例えば50nmまたは100nm~50μm~100μmの平均直径を有する。粒子は、ガラス粉末を含み得る。(ガラス粉末)粒子の表面は改質し得る。粒子は、接着剤の機械的及び電気的特性を与える。例えば、粒子は、接着剤成分と比較して、電極の近くで生成されるプラズマ(スパークなど)に対する感受性が低い。したがって、粒子は、接着剤の変性を低減し、第1の平面誘電体要素に対する誘電ブロックのより安定した接着をもたらす。
【0086】
任意選択の実施形態では、誘電ブロックとエネルギー伝達構造の遠位端との間にキャビティが設けられ、任意選択で、キャビティは接着剤で充填される。
【0087】
キャビティは、上述のキャビティであってもよい。接着剤は、ポッティング材料の代わりに使用することができ、キャビティを充填することができる誘電材料の例である。接着剤は、第1のベース部、第2のベース部、及び誘電ブロックを(最初に)互いに取り付けることを助ける。第1のベース部、第2のベース部、及び誘電ブロックは、第1のベース部及び第2のベース部の上に押し付けられ、したがって、第1のベース部及び第2のベース部を取り囲むスリーブまたは導電性リングによって、互いに恒久的に固定され得る。
【0088】
器具先端は、外科用スコープ装置の機器チャネルの内側に嵌るように寸法決めすることができる。したがって、別の態様では、高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを供給する電気外科用発電機、患者の体内に挿入するための機器コードを有する外科用スコープ装置であって、機器コードが通って延びる機器チャネルを有する外科用スコープ装置、及び、上述のような、外科用スコープ装置の機器チャネルを通して挿入される電気外科切除器具を含む電気外科器械を設ける。
【0089】
この器械は、電気外科切除器具を制御するためのハンドピースを備えていてもよい。ハンドピースは、シャフトの近位端、例えば外科用スコープ装置の外側に取り付けることができる。
【0090】
本明細書では、「外科用スコープ装置」という用語は、侵襲的処置の最中に患者の体内に導入される剛性または可撓性の(例えば、操作可能な)導管である挿入管を備えた任意の外科用装置という意味で使用されてよい。挿入管は、機器チャネルと(例えば、光を伝えて挿入管の遠位端で治療部位を照らす、及び/またはその画像をキャプチャするための)光チャネルとを含み得る。機器チャネルは、侵襲的な外科用器具を受け入れるのに適した直径を有し得る。機器チャネルの直径は5mm以下であってよい。
【0091】
本明細書において、「内側」という用語は、機器チャネル及び/または同軸電送線の中心(例えば、軸)に、半径方向により近いことを意味する。「外側」という用語は、機器チャネル及び/または同軸伝送線の中心(軸)から、半径方向により遠いことを意味する。
【0092】
「導電性」という用語は、本明細書では、文脈上別の意味が示される場合を除き、電気的に導通することを意味するために使用される。
【0093】
本明細書では、「近位」及び「遠位」という用語は、細長い器具の端部を示す。使用時、近位端は、RFエネルギー及び/またはマイクロ波エネルギーを供給するための発電機により近く、一方、遠位端は、発電機からより遠い。
【0094】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を示すのに広く使われ得るが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を示す。検討された具体的な周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzである。対照的に、本明細書は、「高周波」または「RF」を使用して、例えば最大300MHz、好ましくは10kHz~1MHz、最も好ましくは400kHzという、少なくとも3桁低い周波数範囲を示す。
【0095】
本発明は態様及び記載された好ましい特徴の組み合わせを含むが、そのような組み合わせが、明らかに容認できないかまたは明らかに避けられる場合は除く。
【0096】
本発明の原理を示す実施形態及び実験は、ここで添付の図を参照して検討される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】本発明の実施形態である電気外科システムの概略図である。
図2】本発明の実施形態による、開位置の電気外科切除器具の斜視図である。
図3】中間位置にあり、作動ワイヤを含む、図2の電気外科切除器具の別の斜視図である。
図4】閉位置の図2の電気外科切除器具の斜視図である。
図5】閉位置の図2の電気外科切除器具の別の斜視図である。
図6】閉位置の図2の電気外科切除器具の別の斜視図である。
図7】閉位置にある図2の電気外科切除器具の遠位端面に対する正面図である。
図8】中間位置の図2の電気外科切除器具の別の斜視図である。
図9】中間位置の図2の電気外科切除器具のさらなる斜視図である。
図10】中間位置にある図2の電気外科切除器具の分解図である。
図11】導電性リングが見えている、図9の電気外科切除器具の斜視図である。
図12】組み立て前の電気外科切除器具の部分を示す斜視図である。
図13】組み立て前の図12の電気外科切除器具の部分を示す分解斜視図である。
図14】完全な組み立て前の図12の電気外科切除器具の部分を示す分解斜視図である。
図15】本発明の実施形態である電気外科器械と共に使用できる機器シャフトの内容物の斜視図である。
図16図16に示される機器シャフトの断面図である。
図17】本発明の実施形態による電気外科切除器具の器具先端を示す概略図である。
図18】本発明のさらなる実施形態による電気外科切除器具の器具先端を示す概略図である。
図19】本発明のさらなる実施形態による電気外科切除器具の器具先端を示す概略図である。
図20】本発明のさらなる実施形態による電気外科切除器具の器具先端を示す概略図である。
図21】本発明のさらなる実施形態による電気外科切除器具の器具先端を示す概略図である。
図22】閉位置の本発明の実施形態による電気外科切除器具の器具先端の斜視図である。
図23】中間位置の図22の電気外科切除器具の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本発明の態様及び実施形態を、添付の図面を参照してここで説明する。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。本文において言及されるすべての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
図1は、本発明の実施形態である電気外科システム100の概略図である。システム100は、器具先端118からの高周波(RF)またはマイクロ波電磁(EM)エネルギーを使用して生体組織を治療(例えば切断または封止)するように構成されている。システム100は、RF及びマイクロ波EMエネルギーを制御可能に供給するための発電機102を含む。この目的のための適切な発電機は、参照により本明細書に組み込まれるWO2012/076844に記載されている。発電機102は、境界面ケーブル104によってハンドピース106に接続されている。ハンドピース106はまた、注射器などの流体送達装置108から流体供給107を受け取るように接続され得るが、これは必須ではない。必要であれば、ハンドピース106は、アクチュエータ109、例えば親指で操作されるスライダまたはプランジャによって動作可能な器具作動機構を収容してもよい。例えば、器具作動機構は、本明細書で論じられるように、切除器具のジョーの開閉を操作するために使用され得る。ハンドピースには他の機構も含まれ得る。例えば、器具先端118において針を展開するための針移動機構(ハンドピースの適切なトリガによって操作可能)を設けることができる。ハンドピース106の機能は、発電機102、流体送達装置108、及び器具作動機構からの入力を、ハンドピース106の遠位端から延びる単一の可撓性シャフト112の中に、必要であり得るいずれかの他の入力と結合することである。
【0100】
可撓性シャフト112は、外科用スコープ装置114の機器(作動)チャネル全体の長さを通して挿入可能である。可撓性シャフト112は、外科用スコープ装置114の機器チャネルを通過し、内視鏡の挿入管の遠位端で(例えば、患者の体内に)突出するような形の器具先端118を有する。器具先端118は、生体組織を掴んで切断するためのブレード要素を有する一対のジョーと、発電機102から伝達されるRFまたはマイクロ波EMエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達構造とを含む。任意選択で、器具先端118はまた、流体送達装置108から搬送される流体を送達するための格納可能な皮下針を含んでもよい。ハンドピース106は、器具先端118のジョーを開閉するための作動機構を含む。ハンドピース106はまた、外科用スコープ装置114の機器チャネルに対して器具先端118を回転させるための回転機構を含んでもよい。
【0101】
器具先端118の構造は、作動チャネルを通過するのに適している最大外径を有するように配置することができる。通常、内視鏡などの外科用スコープ装置の作動チャネルの直径は、4.0mm未満であり、例えば、2.8mm、3.2mm、3.7mm、3.8mmのいずれか1つである。可撓性シャフト112は、これより小さい最大直径、例えば2.65mmを有してもよい。可撓性シャフト112の長さは、1.2m以上、例えば、2m以上であることができる。他の例では、器具先端118は、シャフトが作動チャネルを通るように挿入された後(及び機器コードが患者に導入される前に)、可撓性シャフト112の遠位端に取り付けられ得る。あるいは、可撓性シャフト112は、その近位接続を行う前に、遠位端から作動チャネルに挿入することができる。これらの構成では、遠位端組立体118は、外科用スコープ装置114の作動チャネルよりも大きい寸法を有することが許容され得る。上記のシステムは、器具を患者の体内に入れる1つの方法である。他の技法も可能である。例えば、この器具は、カテーテルを使用して挿入することもできる。
【0102】
本明細書の例は、外科用スコープ装置に関連して示されているが、電気外科切除器具は、開腹手術または腹腔鏡を伴う使用に適した装置において具体化され得ることを理解されたい。
【0103】
図2~11は、本発明の実施形態である電気外科切除器具の器具先端200を示す。器具先端200は、例えば、図1に関連して上述した器具先端118に対応させ得る。図2は、器具先端200の第1の側面の第1の概略図を示し、器具先端200の第1の側面を示し、図8及び9は、器具先端200の第2の側面の概略図を示す。図12~14は、図2~11の器具先端200の特定の特徴を示すために提示されている器具先端200の別の実施形態の構造を示す。
【0104】
器具先端200は、同軸ケーブル202(図12~14に示す)の形態であるエネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられる。同軸ケーブル202は、上述の可撓性シャフト112に対応し得る可撓性シャフト204を貫いて延びる。特に、可撓性シャフト204は、同軸ケーブル202が貫いて延びる内腔を画定し、器具先端200が可撓性シャフト204の遠位端から突出する。同軸ケーブル202は、電気外科用発電機(例えば、上述の発電機102)から器具先端200にRF及びマイクロ波EMエネルギーを伝達するように配置されている。
【0105】
器具先端200は、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能な第1のジョー206及び第2のジョー208を有する。具体的には、図示の例では、第1のジョー206は静止している、すなわち同軸ケーブル202の遠位端に対して固定されているが、一方で、第2のジョー208は、第1のジョー208に枢動可能に取り付けられている。第1のジョー206は、静止式のジョーまたは固定したジョーと考えることができ、第2のジョー208は、可動式のジョーと考えることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。第2のジョー208は、静止式のジョーであり得、第1のジョー206は、可動式のジョーであり得る。
【0106】
第1のジョー206に対する第2のジョー208の動きを制御するために、制御ワイヤまたは(またはロッド)210の形態のアクチュエータが第2のジョー208に接続される(例えば、図3及び14を参照)。制御ワイヤ210は、可撓性シャフト204の内腔内部に配置され、第2のジョー208を移動させるために内腔内部で長手方向にスライド可能である。制御ワイヤ210の近位端は、制御ワイヤ210を介して第2のジョー208の動きを制御するように動作可能なハンドピース(例えば、ハンドピース106)に接続され得る。図2は、開位置にあるジョー206、208を示しており、ジョー206、208の間に組織を受け入れることができる隙間が画定されている。図4~7は、ジョー206、208間に間隙がなく、ジョー206、208が互いに平行に延びる、閉位置にあるジョー206、208を描写している。図3、及び8~11は、(完全)開位置と閉位置との間の位置である中間位置を示す。
【0107】
第1のジョー206は第1のブレード要素212を備え、第2のジョー208は第2のブレード要素214を備える。各ブレード要素は、ジョー間の隙間に位置する組織に接触し、ジョーが閉位置に移動したときに組織を切断するように配置された縁部を備え得る。具体的には、第2のブレード要素214は、第2のジョー208が閉位置に向かって移動するときに第1のブレード要素212を横切ってスライドするように配置され、その結果、ジョー206、208の間の隙間に位置する組織に剪断力が加えられる。したがって、ジョー間の隙間に位置する組織は、第2のジョー208を閉位置に向かって枢動させることによって切断することができる。
【0108】
第1のブレード要素212は、第1のジョー206の第1の平面誘電体要素216によって画定され、第2のブレード要素214は、第2のジョー208の第2の平面誘電体要素218によって画定される。特に、第1の平面誘電体要素216は、閉位置で第2の平面誘電体要素218に向いている内面220を含み、第2のジョー208が第1のジョー206に対して枢動するとき、それを越えて第2の平面誘電体要素218の内面222がスライドし、2つの平面誘電体要素間に剪断運動が生じるようにする。第1及び第2の平面誘電体要素216、218のそれぞれは、セラミック(例えば、アルミナ)または他の適切な電気絶縁材料から作製され得る。第1及び第2の平面誘電体要素216、218はそれぞれ、第2のジョー208が第1のジョー206に対して枢動する平面と平行な平面を画定する。
【0109】
第2の平面誘電体要素218は、第2のブレード要素214の鋸歯状の部分として機能する一対の突起(または第2の歯)223を含む。したがって、第2の歯223は、ジョー間の隙間に位置する組織を掴むように機能し、組織の保持及び/または切断を容易にすることができる。第1の平面誘電体要素216は、第1のブレード要素212の鋸歯状の部分として機能する同様の突起(図示せず)を含んでもよい。第2の歯223は、表面223aと後面223bとを有する。後面223bは、閉位置において可撓性シャフト204に面する。前面223aは、後面223bと比較して反対側の部位であり、閉位置において可撓性シャフト204から外方に向く。言い換えれば、前面223aは、器具先端200の遠位端面227に向かって面し、一方、後面223bは、遠位端面227から外方に向く。閉位置では、前面223a及び/または後面223bは、器具先端200の延びる方向に対して傾斜している。前面223a及び/または後面223bは、器具先端200の延びる方向と90°未満の角度を画定する。第2の歯223は、平坦な組織に面するとき、より良好な組織との係合のために、前方に面している。第1のジョー206に面し、前面223aと後面223bとの間に配置された第2の歯223の面は、前面223aと比較して、最初に組織に接触する。
【0110】
一実施形態では、器具先端200は、組織にエネルギーを送達するための2つの電極を備え、ジョー206、208の一方は一対の電極を備え、他方のジョー206、208は電極を備えない。別の実施形態では、器具先端200は、組織にエネルギーを送達するための3つの電極を備え、1つのジョー206、208は一対の電極を備え、他方のジョー206、208は単一電極を備える。
【0111】
図示のさらなる実施形態では、第1のジョー206は、第1の平面誘電体要素216の内面220に形成された内側電極224と、第1の平面誘電体要素216の外面に配置された外側電極226とを含む。したがって、第1の平面誘電体要素216は、内側電極224を第1のジョー206の外側電極226から互いに電気的に絶縁するように機能する。内側電極224及び/または外側電極226は、第1の平面誘電体要素216の上に堆積された導電層を含むことができる。外側電極226はまた、金属(例えば、鋼)などの導電性材料から、または非導電性材料から作られた第1のカバー229を含み得る。第1のカバー229は、外側電極226及び/または第1の平面誘電体要素216の導電層を覆う。任意選択で、第1のカバー229は、第1の平面誘電体要素216全体を覆う。
【0112】
第2のジョー208は、第2の平面誘電体要素218の外面に形成された外側電極228、及び第2の平面誘電体要素218の内面に配置された内側電極230を含む。したがって、第2の平面誘電体要素218は、第1のジョー208の外側電極228から内側電極230を互いに電気的に絶縁するように機能する。内側電極230及び/または外側電極228は、第2の平面誘電体要素218の上に堆積された導電層を含むことができる。外側電極228はまた、金属(例えば、鋼)などの導電性材料から、または非導電性材料から作られた第2のカバー231を含み得る。第2のカバー231は、外側電極228及び/または第2の平面誘電体要素218の導電層を覆う。任意選択で、第2のカバー231は、第2の平面誘電体要素218全体を覆う。第1の平面誘電体要素216の内側電極224は、開位置及び/または閉位置において、第2の平面誘電体要素218の内側電極230に接触する。
【0113】
当然、いくつかの実施形態では、単一電極は、第2のジョー208の内面222に形成されてもよく、第1のジョー206は、第1の平面誘電体要素216の内側電極224及び内面220に形成された誘電コーティングまたは第3の平面誘電体要素を有利に備え得、ジョーが閉じているとき、内側電極224と第2のジョーの単一電極との間に電気的接続が存在しないことを確実にする。しかし、第3の平面誘電体要素またはコーティング材料は、図21及び22に関して後述するように、内側電極224が第1のジョー206の上面に沿って露出し、そこからRF及び/またはマイクロ波エネルギーが確実に放出され得るように配置され得る。このコーティング、または第3の平面誘電体要素は、第1のジョー206の内側電極224と第2のジョー208の内側電極228とを互いに電気的に絶縁するように機能する。しかし、単一電極が外側電極228である場合、第2の平面誘電体要素218は、第1のジョーの内側電極224との電気的接続が存在しないことを確実にするように機能する。
【0114】
第1のジョー206の内側電極224及び/または第2のジョー208の内側電極230は、第1の平面誘電体要素216の内面220及び第2の平面誘電体要素216の内面222にそれぞれ堆積される、伝導性材料(例えば、金)の層または膜を含むことができる。内側電極224及び/または内側電極230は、この内面220及び内面222の一部をそれぞれ覆い、第1のブレード要素212(すなわち、第1の平面誘電体要素216の)及び第2のブレード要素214(すなわち、第2の平面誘電体要素218の)の刃先に沿ってそれぞれ延びる。
【0115】
第1のジョー206の外側電極226及び/または第2のジョー208の外側電極228は、第1の平面誘電体要素216の外面及び第2の平面誘電体要素216の外面にそれぞれ堆積される、伝導性材料(例えば、金)の層または膜を含むことができる。第1のジョー206の外側電極226の導電層は、第1の平面誘電体要素216と第1のカバー229との間に挟まれ得る。第2のジョー208の外側電極228の導電層は、第2の平面誘電体要素218と第2のカバー231との間に挟まれ得る。
【0116】
第1の対の電極を含む第1のジョー206または第2のジョー208の一方は、閉位置にある他方のジョー206、208よりも長い。図2~11に示す実施形態では、第1のジョー206は、閉位置において第2のジョー208よりも長い。したがって、第1のジョー206は、閉位置において第2のジョー208を越えて延びる。第1のジョー206の遠位端面227は、器具先端200の最も遠位の表面である。第1のジョー206の内側電極224及び外側電極226、特にその導電層は、遠位端面227に沿って延びる。例えば、内側電極224及び外側電極226は、遠位端面が組織に接触すると、内側電極224及び外側電極226も組織に接触するように、遠位端面と同一平面になっている。
【0117】
第1及び第2のジョー206、208の長い方は、第1及び第2のジョー206、208の短い方に向かって突出する第1の歯232を含む。図2~11に示す実施形態で、第1の歯232は、第1のジョー206に配置されている。任意選択で、第1のジョー206は、第1のジョー206の方向に第1の歯232の幅の分、第2のジョー208よりも長い。したがって、閉位置では、第1の歯232は、第2のジョー232によって覆われない。第1の歯232は、第1の平面誘電体要素216の一体部分であり得る。
【0118】
第1のジョー206は、第2のジョー208に面する前面と、第2のジョー208から外方に向く背面とを含むことができる。刃先は、前面の縁であり得る。前面及び/または背面は、内側電極220、第1の平面誘電体要素216、外側電極222、及び/または第1のカバー231によって設けられ得る。
【0119】
内側電極224及び外側電極226、特にその導電層は、第1の歯232の前面まで遠位端面227に沿って延びる。第1の歯232の前面は、第2のジョー208に面し、第1の遠位端面227に隣接する表面であり得る。第1の歯232は、第1のブレード要素212の刃先の遠位端を画定することができる。内側電極224、特にその導電層は、第1の歯232に対応する第1の平面誘電体要素216の内面220の全領域を覆うことができる。外側電極226、特にその導電層は、第1の歯232に対応する第1の平面誘電体要素216の外面222の全領域を覆うことができる。
【0120】
内側電極224及び外側電極226、特にその導電層は、第1のジョー206の背面に向かって遠位端面227に沿って延びるが、背面から離隔して終端する。内側電極224及び外側電極226、特にその導電層は、背面と接触せず、または同一平面ではない。内側電極224/外側電極226の導電層と背面との間に隙間がある。したがって、裏面に接触する組織は、内側電極224及び外側電極226の導電層に接触しない。
【0121】
第1のカバー229は、第1の平面誘電体要素216の外面に取り付けられる(例えば、接着される)第1の導電性シェルの形態であり得る。第1のカバー229は、第1の平面誘電体要素216の外面全体を覆い、第1の平面誘電体要素216の厚さと同様の厚さを有する導電性材料の一片である。第1のカバー229の外面は、第1のジョー206の外面として機能する。第1のカバー229の外面は、第1のジョー206が滑らかな外面を有するように丸みをつけることができる。第1のカバー229は、第1の誘電体要素216に形成された溝と係合するよう形成された突起を備えて、2つの部品間で滑るのを回避し、部品が互いに対して正確に配向されることを確実にすることができる。
【0122】
第2のジョー208の内側及び/または外側電極228、230は、第1のジョー206の内側電極224及び/または外側電極226と同様の方法で形成され得る。例えば、第2のジョー208の内側及び外側電極228、230は、第2の平面誘電体要素218の内面222及び外面それぞれに堆積された導電性材料(例えば、金)の層またはフィルムを含み得る。これにより、内側電極230の導電層は内面222の一部を覆い、ジョーが閉じているとき第1のブレード要素と第2のブレードとの間の切断境界面に位置するように、第2のブレード要素214(すなわち、第2の平面誘電体要素218)の刃先に沿って延びる。このような実施形態では、第2のジョー208の外面は、第2の平面誘電体要素218の外面によって形成され、これは第2のジョー208が滑らかな外面を有するように丸みをつけることができる。外側電極228の導電層は、第2の平面誘電体要素218の外面に(例えば)接着されて取り付けられ、第2の平面誘電体要素218の厚さと同様である厚さを有する第2の導電性シェルの形態である第2のカバー231で覆われ得る。
【0123】
4つの電極224、226、228、230は、同軸ケーブル202の遠位端に電気的に接続されており、その結果、電極は、同軸ケーブル202によって伝達されるRF及びマイクロ波EMエネルギーを送達することができる。電極が同軸ケーブル202に接続される方法については、以下でより詳細に論じる。
【0124】
図10及び12に見られるように、器具先端200は、接続要素258及び誘電ブロック264を含む。接続要素258はワイヤであり得、第1の平面誘電体要素216の接続部分256に沿って長手方向に延び、内側電極224を内側導体234の遠位端に電気的に接続する。接続要素258は、接続部分256に沿って延びる内側電極224の一部であってもよく、例えば、接続要素258及び内側電極224は、第1の平面誘電体要素216の内面220に一緒に堆積され得る。第2のジョー208の内側電極230は、接続要素258と電気的にスライド接触させることができる、すなわち、第2のジョー208が第1の位置と第2の位置との間で移動すると、第2のジョー208の内側電極230は、接続要素258をスライドする。
【0125】
誘電ブロック264は、接続要素258と導電性の第2のベース部248との間の電気的破壊を回避するために、第2のベース部248と第1の平面誘電体要素216との間(特に接続部分256)に取り付けられる。例えば、誘電ブロック264は、アルミナなどのセラミック材料で作製することができる。接続要素258は、誘電ブロック264と接続部分256との間に挟まれる。誘電ブロック264は、接着剤成分、及び接着剤成分に浸漬された粒子を含み得る接着剤を用いて、所定の位置に固定され得る。粒子は、アルミナまたはガラスのような誘電またはセラミック材料から作ることができる。粒子は、電極224、226、228、230によって生成されるプラズマによる接着剤の変性を低減する。
【0126】
キャビティ235は、第1のベース部244と第2のベース部248(後述)との間に形成され、その中で内側導体234が接続要素258(したがって内側電極224、230)に電気的に接続されるように形作られる。キャビティ235は、内側導体234の遠位端とベース構造242との間の電気的破壊の危険性を低減するために、ポッティング材料、または前述の接着剤などの誘電材料で充填されてもよい。キャビティ235を誘電材料または接着剤で充填することはまた、器具先端200を補強し、第1及び第2のベース部244、248を一緒に保持するのにも役立ち得る。第2のベース部248は、誘電材料または接着剤をキャビティ235の中に注入することができる注入ポートを含むことができる。接着剤中の粒子は、誘電材料と同様の誘電特性を備える。
【0127】
次に、器具先端200の構造について図12~14を参照して論じ、これらは器具先端200の組み立ての様々な段階を示す。
【0128】
同軸ケーブル202は、誘電材料238によって分離される内側導体234及び外側導体236を含む。さらに、同軸ケーブル202は、絶縁材料で作られた外側シース240を含む。第1のジョー206及び第2のジョー208は、ベース構造242を介して同軸ケーブル202の遠位端に取り付けられる。ベース構造242は、第1のジョー206を同軸ケーブル202の遠位端にしっかりと接続する、導電性材料で作られた第1のベース部244を含む。第1のベース部244は、同軸ケーブル202の遠位端と第1のカバー229との間に延びるアームを備える。図示の例では、第1のカバー229及び第1のベース部244は、単一の導電性材料片として一体的に形成される。しかしながら、他の例では、これらは互いに接続された別個の部品として形成されてもよい。第1のベース部244は、同軸ケーブル202の遠位端が受け入れられるチャネルを含む第1の取り付け部分246を含む。同軸ケーブル202の外側シース240の長さは、同軸ケーブルの遠位端付近で除去され、その結果、外側導体236が露出する。したがって、外側導体236は、第1の取り付け部分246内のチャネル内の第1のベース部244と電気的に接触している。同軸ケーブル202の遠位端は、適切な導電性エポキシを使用して第1の取り付け部分246のチャネルに固定され得る。その結果、第1のカバー229(したがって、第1のジョー206及び第2のジョー208の外側電極226、228)は、第1のベース部244を介して外側導体236に電気的に接続される。
【0129】
ベース構造242はさらに、第2のジョー208を同軸ケーブル202の遠位端に枢動可能に取り付ける第2のベース部248を備える。第2のベース部248は、第1のベース部244と同じ材料(例えばステンレス鋼)であり得る導電性材料で作られている。第2のベース部248は、第1のベース部244と第2のベース部248が電気的に接触するように、第1のベース部244の第1の取り付け部分246に固定される第2の取り付け部分250を含む。第1の取り付け部分246及び第2の取り付け部分250は、ベース部が互いに固定されるときに互いに係合する相補的な形状の係合面を有する。図14に示すように、第1のベース部244及び第2のベース部248は、第1及び第2の取り付け部分246、250の周りに嵌合してそれらを共に保持する導電性リング252を介して共に固定される。導電性リング252を第1及び第2の取り付け部分の上の所定の位置に固定するために、導電性リング252の内側に接着剤(例えば、上述のもの)を注入することができる。ベース構造242を一緒に保持することに加えて、導電性リング252は、マイクロ波エネルギーがジョーの電極に到達する前に放射されるのを防ぐマイクロ波シールドとして機能することができる。
【0130】
第2のベース部248は、第2の取り付け部分250から長手方向に延び、第2のジョー208が枢動可能に取り付けられるアームを含む。図示の例では、第2のジョー208は、リベット254を介して第2のベース部240に枢動可能に取り付けられている。外側電極228、特に第2のカバー231は、(導電性材料で作られた)リベット254を介して第2のベース部248と電気的に接触している。したがって、第2のジョー208の外側電極228は、リベット254、第2のベース部248、取り付け部分246、及び第1のベース部244で形成される導電経路を介して、同軸ケーブル202の外側導体236に電気的に接続される。したがって、第1のジョー206の外側電極226と第2のジョー208の外側電極228の両方は、ベース構造242を介して外側導体236に電気的に接続される。
【0131】
第2のベース部248は、制御ワイヤ210が第2のジョー208に接続するために延びる通路(図示せず)を含み得る。第2のカバー231は、制御ワイヤ210の遠位端がそれを通って延びる、開口部251aを含んでもよい。第2のカバーシェル231には、第1のジョー206に対する第2のジョー208の開位置と閉位置との間の動きを制限するように機能する制限ピン253(図13に示す)を設けることもできる。これにより、第2のジョー208の位置を、より正確に制御できるようになり得る。
【0132】
開口部251aは、内径を有する貫通孔であり得、面取り部251b(図4参照)を有する。面取り部251bは、開口部251aに隣接し、流体連通している。面取り部251bは、漏斗状である。制御ワイヤ210は、丸みを帯びた遠位端を有する(図3図14参照、異なる実施形態を開示している)。制御ワイヤ210の遠位端は、レーザー溶接によって丸みをつけることができる。制御ワイヤ210の丸みを帯びた遠位端は、開口部251aの内径よりも大きい外径を有する。これにより、制御ワイヤ210の遠位端が開口部251aに取り付けられる。制御ワイヤ210の丸みを帯びた遠位端の一部のみが面取り部251bから突出するように、制御ワイヤ210の丸みを帯びた遠位端の一部が面取り部251bに収容されている。これと丸みを帯びた遠位端は、制御ワイヤ210の遠位端が組織に引っ掛かるリスクを低減する。
【0133】
第1のジョー206の内側電極224及び第1のジョー208の内側電極230は、同軸ケーブル202の内側導体234に電気的に接続される。図10及び12に示すように、第1の平面誘電体要素216は、第1のブレード要素212と同軸ケーブル202の遠位端との間に延びる接続部分256を含む。内側導体234の遠位端は、同軸ケーブル202の遠位端を越えて突出し、それが第1の平面誘電体要素216の接続部分256に位置するようにする。
【0134】
図10及び12では、明確にするために、内側電極224が露出した状態で、第1のジョー206が示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、ジョー206、208が閉じているときに第1のジョーの内側電極224と第2のジョー208の内側電極230との間に電気的接続がないことを確実にするために、誘電コーティング225が第1のジョー206及び内側電極224の内面に適用される。誘電コーティング材料225は、図13に示すように、内側電極224が第1のジョー206の上面に沿って露出し、そこからRF及び/またはマイクロ波エネルギーが確実に放出され得るように配置され得る。
【0135】
器具先端200を組み立てるには、図12に示すように、第1のベース部244及び第1のジョー208をまず組み立て、同軸ケーブル202の遠位端に接続することができる。図13に示すように、第2のジョー208は、リベット254を介して第2のベース部248に接続されている。次に、誘電ブロック264を第1の平面誘電体要素216の内面220に接着することができ(図13に示すように)、その後、第2のベース部248は、第1のベース部244に取り付けられる。次いで、誘電ポッティング材料または接着剤が、第1のベース部244と第2のベース部248との間のキャビティ235の中に注入され得る。キャビティ235には材料が充填されていなくてもよい。次に、導電性リング252を同軸ケーブル202上で、また第1及び第2の取り付け部分246、250の上にスライドさせて、第1及び第2のベース部244、248を一緒に保持することができる。上述したように、接着剤を使用して導電性リング252を第1及び第2の取り付け部分246、250上に固定することができる。次いで、制御ワイヤ210は、カバー231の開口部251aを通して通され、第2のジョー208の開口部251aに固定され得る(図3及び14に示されるように)。この目的のために、制御ワイヤ210の遠位端は、丸みを帯びるようにし得る。最後に、可撓性シャフト204を同軸ケーブル202上に引っ張り、例えば接着剤を使用して導電性リング252に固定することができる。
【0136】
図2~14を参照して説明した実施形態では、ジョーの一方のみが可動である。しかしながら、他の実施形態では、例えばジョーのハサミのような開閉をもたらすために、両方のジョーを同軸ケーブル202の遠位端に移動可能に取り付けることができる。異なる実施形態では、電極への異なる電気接続が使用され得ることにも留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のジョー206の内側電極224及び第2のジョー208の内側電極230を外側導体236に接続し得るが、第2のジョー208の外側電極228及び第1のジョー206の外側電極226を、内側導体に接続することができる。様々な電極の構成が、図17~21を参照して以下に説明される。
【0137】
図15は、器具先端に向かって移動するときの機器シャフト612の切り欠き斜視図である。機器シャフト612は、同軸ケーブル626及び制御ロッド636を搬送するための内腔を画定する外側スリーブ648を備える。この例では、同軸ケーブル626及び制御ロッド636は、長手方向に延びるインサート650に保持される。インサート650は、例えばPEEKなどの変形可能なポリマーまたは同様の機械的特性を有する他のプラスチックから形成される押出部である。図16においてより明確に示されるように、インサート650は、その外面の周りに切り取られた一続きのサブルーメン664を有する円筒状要素である。サブルーメン664は、インサート650の外面を突き破って、その周囲に複数の別個の足部662を画定する。サブルーメン664は、同軸ケーブル626または制御ロッド636などの構成要素を搬送するようなサイズにすることができ、またはスリーブ648の内腔に沿って流体が流れるのを可能にする目的で存在させることができる。
【0138】
インサートが密閉されたいずれのサブルーメンを含まないことは、有益である場合がある。完全に密閉されたサブルーメンは、曲がった状態で保管されると変形が残りがちになる可能性がある。このような変形は、使用中にぎくしゃくした動きをもたらし得る。
【0139】
インサート650は、同軸ケーブル626を受け入れるためのサブルーメンを備え得る。この例では、同軸ケーブル626は、誘電材料656によって外側導体654から分離されている内側導体658を備える。外側導体654は、シャフトがシャフトの屈曲を伴うときインサートと同軸ケーブルとの間の相対的な長手方向の移動を可能にするために、例えばPTFEまたは他の適切な低摩擦材料から形成された保護カバーまたはシース652を順次有し得る。
【0140】
別のサブルーメンは、制御ロッド636が貫通して延びる標準的なPFTEチューブ660を受け入れるように配置され得る。代替実施形態では、制御ロッド636には、使用前に低摩擦(例えば、PFTE)コーティングを施すことができ、その結果、別個のPFTEチューブは必要ではなくなる。
【0141】
インサートは、同軸ケーブル626及び制御ロッド636とともに取り付けられたときに、スリーブ648の内腔を満たす、すなわち、それの中にぴったりと嵌合するように配置される。これは、インサートが、シャフト612が曲げられている間及び回転している間の同軸ケーブル、制御ロッド、及びスリーブ間の相対的な動きを制限するように機能することを意味する。さらに、スリーブ648を充填することにより、インサートは、スリーブが過度に回転されても潰れて回転を失うのを防止するのに役立つ。インサートは、そのような動きに抵抗する剛性を示す材料から作られることが好ましい。
【0142】
インサートの存在により、機器シャフト612の変形によって引き起こされる制御ロッドの移動の「損失」を、さらに防止することができる。
【0143】
上述の押し出されたインサートは、スリーブの内側に引っかかり、スリーブの軸の周りに制御ロッドを巻き付けるのを妨げるカム状の足部を設ける。これにより、上で説明した移動の損失が減少する。
【0144】
図17~21は、本発明の実施形態による電気外科切除器具における可能な電極構成を示す概略図である。
【0145】
図17は、第1のジョー902及び第2のジョー904を有する電気外科切除器具の器具先端900の一部の概略的な断面図を示す。第1及び第2のジョー902、904は、互いに対して移動可能(例えば、枢動可能)であり、各ジョーは、ジョーの間に位置する組織を切断するためのそれぞれのブレード要素を含む。本発明の好ましい実施形態では、図2に関して上述したように、第1のジョー902は静止式のジョーであってもよく、第2のジョー904は可動式のジョーであってもよい。第1のジョー902は、内側電極906と外側電極908を含み、これらは、誘電材料要素910によって分離されている。内側電極906は電気外科切除器具の同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続されるが、外側電極908は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。第2のジョー904は単一電極914を備え、これはまた同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続されている。単一電極914は、内側電極または外側電極のいずれかとして形成することができ、第1のジョーの内側電極または外側電極と同様の方法で設ける、すなわち、誘電材料要素910に取り付けることができる。図17~19に示す概略図において、単一電極914は、第2のジョー904の内側電極としてみなされるが、接続及び放出場の説明は、単一電極が内側電極であっても外側電極であっても実質的に同じであることを理解されたい。図17~19の「+」及び「-」の符号は、各電極が同軸ケーブルの内側導体と外側導体のどちらに接続されているかを示しており、「+」は電極が内側導体に接続されていることを示し、「-」は電極が外側導体に接続されていることを示す。
【0146】
第1のジョー902の内側電極906と第2のジョー904の内側電極914との間の電気的接続を防止するために、第1のジョー902は、内側電極906の内面に配置された第2の誘電材料要素912を備える。第2の誘電材料要素912は、第1の誘電材料要素910と同じ誘電材料で作製することができ、例えば、第1のジョー902に取り付けられる平面誘電体要素の形態とすることができる。加えて、または代わりに、一片の誘電材料が、内側電極914の内面を覆い、内側電極906と内側電極912との間に位置するように、第2のジョー904に設けられてもよい。2つの内側電極間の電気的破壊のリスクを確実に最小限に抑えるのに、内側電極のそれぞれを誘電材料で覆うことが好ましい場合がある。これはまた、ジョー間の対称性を改善することができ、これにより、ひいては器具先端によって放出されるRF及びマイクロ波エネルギーの対称性を改善することができる。
【0147】
図18及び19に示す電極構成では、RF EMエネルギーが同軸ケーブルを介して電極に伝達されるときに、2つのRF切断場が生成され得る。第1のRF切断場は、両方共第1のジョー902のものである内側電極906と外側電極908との間に確立され得、内側電極906は活性電極として機能し、外側電極908はRF EMエネルギーに対する第1の戻り電極として機能する。第2のRF切断場は、第1のジョー902の内側電極906と第2のジョー904の単一の内側電極914との間に確立され得、第1のジョー902の内側電極906は、活性電極として機能し、第2のジョー904の内側電極914は、RF EMエネルギーの第2の戻り電極として機能する(または、逆も然り‐図19を参照されたい)。結果として、RF切断場は、第1のジョー902の内側電極906に関して実質的に対称であり得、これにより、組織の均一なRF切断が可能になり得る。
【0148】
マイクロ波EMエネルギーが同軸ケーブルを介してジョー902、904の電極に送達されると、ジョーの周囲にマイクロ波場が確立され得る。特に、電極は、マイクロ波エネルギーを放出するためのマイクロ波場放出構造(またはアンテナ構造)として協働することができる。第1のジョー902の内側電極906は、マイクロ波エネルギーを放出するためのマイクロ波エミッタとして機能する。第2のジョー904の外側電極908及び内側電極914は、放出されたマイクロ波エネルギーを形成する接地導体として機能する。このようなマイクロ波場放出構造は、ジョーの周囲に実質的に対称的なマイクロ波場を放出する結果となり得る。
【0149】
図20及び21は、第1のジョー1002及び第2のジョー1004を有する電気外科切除器具の器具先端1000の一部の概略的な断面図を示す。第1及び第2のジョーは、互いに対して移動可能(例えば、枢動可能)であり、各ジョーは、ジョーの間に位置する組織を切断するためのそれぞれのブレード要素を含む。本発明の好ましい実施形態では、図2に関して上述したように、第1のジョー1002は静止式のジョーであってもよく、第2のジョー1004は可動式のジョーであってもよい。
【0150】
図20では、第1のジョー1002は、誘電材料要素1010によって分離される、内側電極1006及び外側電極1008を含む。内側電極1006は電気外科切除器具の同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続されるが、外側電極1008は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。第2のジョー1004は、誘電材料要素1016によって分離される、内側電極1012及び外側電極1014を備える。内側電極1012は電気外科切除器具の同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続されるが、外側電極1016は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。内側電極1006及び1012は、図10及び12に関連して説明したように、互いに接触することができる。
【0151】
図21で、内側電極1006は電気外科切除器具の同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続されるが、外側電極1008は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。第2のジョー1004の内側電極1012は電気外科切除器具の同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続されるが、第2のジョー1004の外側電極1016は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。第1のジョー1002の内側電極1006と第2のジョー1004の内側電極1012との間の電気的接続を防止するために、第2のジョー1004は、内側電極1012の内面に配置された第2の誘電材料要素1018を備える。第2の誘電材料要素1012は、第2の誘電材料要素1016と同じ誘電材料で作製することができ、例えば、第1のジョー1002に取り付けられる平面誘電体要素の形態とすることができる。加えて、または代わりに、一片の誘電材料が、内側電極1006の内面を覆い、内側電極1006と内側電極1012との間に位置するように、第1のジョー1002に設けられてもよい。2つの内側電極間の電気的破壊のリスクを確実に最小限に抑えるには、内側電極のそれぞれを誘電材料で覆うことが好ましい場合がある。これはまた、ジョー間の対称性を改善することができ、これにより、ひいては器具先端によって放出されるRF及びマイクロ波エネルギーの対称性を改善することができる。
【0152】
図20及び21に示す電極構成では、RF EMエネルギーが同軸ケーブルを介して電極に伝達されるときに、2つのRF切断場が生成され得る。第1のRF切断場は、両方共第1のジョー1002のものである内側電極1006と外側電極1008との間に確立され得、外側電極1008は第1の活性電極として機能し、内側電極1006はRF EMエネルギーに対する戻り電極として機能する。図21の実施形態では、第2のRF切断場は、第1のジョー1002の内側電極1006と第2のジョー1004の内側電極1012との間に確立され得、第2のジョー1004の内側電極1012は、第2の活性電極として機能し、第1のジョー1002の内側電極1006は、RF EMエネルギーへの戻り電極として機能する。結果として、RF切断場は、第1のジョー1002の内側電極1006に関して実質的に対称であり得、これにより、組織の均一なRF切断が可能になり得る。
【0153】
マイクロ波EMエネルギーが同軸ケーブルを介してジョー1002、1004の電極に送達されると、ジョーの周囲にマイクロ波場が確立され得る。特に、電極は、マイクロ波エネルギーを放出するためのマイクロ波場放出構造(またはアンテナ構造)として協働することができる。第2のジョー1004の内側電極1014及び第1のジョー1002の外側電極1008は、マイクロ波エネルギーを放出するマイクロ波エミッタとして機能する。第1のジョー1002の内側電極1006は、放出されたマイクロ波エネルギーを形成する接地導体として機能する。このようなマイクロ波場放出構造は、ジョーの周囲に実質的に対称的なマイクロ波場を放出する結果となり得る。
【0154】
図22及び23は、電気外科切除器具の器具先端200の更なる実施形態を説明する。図22及び23の実施形態は、図1~14の実施形態と同じ特徴を有するが、以下の違いを除く。制御ワイヤ210は、丸みを帯びた遠位端を含んではいない。その代わりに、制御ワイヤ210は、開口部251aの上方、すなわち、制御ワイヤ210の端部と開口部251aとの間で曲げられる。この曲がりは、第2の曲がりと考えることができる。第1の曲がりは、開口部251aにて延びる制御ワイヤ210の部分と、シャフト204に沿った制御ワイヤ210の延長部との間の曲がりである。第1の曲がり及び/または第2の曲がりは、90°の曲がりであってもよい。曲げられた制御ワイヤ210は、側面図でS字状を有し得る。制御ワイヤ210の端部は、第2のカバー231に接触してまたは上方に配置され得る。制御ワイヤ210の端部は、第2のカバー231の側面に位置していなくてもよい。
【0155】
上述の説明、もしくは以下の特許請求の範囲、もしくは添付の図面で開示し、その具体的な形態でもしくは開示した機能を行うための手段の形で表した特徴、または開示した結果を得るための方法もしくはプロセスを、必要に応じて、別個に、またはこのような特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用してもよい。
【0156】
本発明を、上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示が与えられた場合、多くの均等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は、例示的であり限定的でないと判断される。記載される実施形態への様々な変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行ってもよい。
【0157】
誤解を避けるために、本明細書に提供する理論的な説明は、読者の理解を深めることを目的として提供されている。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望むものではない。
【0158】
本明細書で使用される任意のセクションの見出しは構成の目的のみのためであり、記載される対象物の限定として解釈されるべきではない。
【0159】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書を通して、文脈が特別に要求しない限り、「含む/備える(comprise)」及び「含む(include)」という単語、ならびに変形、例えば、「含む/備える(comprises)」、「含む/備えること(comprising)」及び「含むこと(including)」は、明示された構成要素もしくはステップ、または構成要素もしくはステップの群を包含するが、他の構成要素もしくはステップ、または構成要素もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
【0160】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確にそうでないと示されない限り、複数の指示物を包含することに留意されたい。範囲は、「約」ある特定の値から及び/または「約」別の特定の値までとして、本明細書において表現され得る。かかる範囲が表現されるとき、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が近似として表現される場合に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関連する用語「約」は、任意であり、例えば、±10%を意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科切除器具であって、
高周波電磁エネルギー及び/またはマイクロ波電磁エネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造、
前記エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具先端であって、前記器具先端が第1のジョーと第2のジョーを含む、前記器具先端、を備え、
前記第1のジョーは、互いに電気的に絶縁された第1の対の電極を備え、
前記第1の対の電極が前記エネルギー伝達構造に結合され、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーは、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが互いに並んで置かれる閉位置と、前記第2のジョーが、生体組織を受け入れるための隙間によって前記第1のジョーから離隔されている開位置との間で相互に対して移動可能であり、
前記第1のジョーは、前記閉位置の前記第2のジョーを越えて遠位方向に延び、
前記第1のジョーは遠位端面を含み、前記第1の対の電極は前記遠位端面に露出し、
前記遠位端面は、前記閉位置で、前記電気外科切除器具が遠位方向に移動されるとき、前記遠位端面が最初に組織に接触するように配置され、
前記第1のジョーは、前記第2のジョーに向かって突出する第1の歯を含み、前記第1の歯は、前記遠位端面の一部を形成する、前記電気外科切除器具。
【請求項2】
前記第1のジョーは、前記閉位置で前記第2のジョーに面する内面と、前記閉位置で前記第2のジョーから外方に向く外面とを有する第1の平面誘電体要素を備え、前記第1の対の電極は、内側電極と外側電極とを備え、前記内側電極は、前記第1の平面誘電体要素の前記内面に配置され、前記外側電極は前記第1の平面誘電体要素の前記外面に配置され、及び/または、
前記第2のジョーは、前記閉位置で前記第1のジョーに面する内面と、前記閉位置で前記第1のジョーから外方に向く外面とを有する第2の平面誘電体要素を備え、
前記第2のジョーは、
前記第2の平面誘電体要素の前記内面に配置された内側電極、及び/または、
前記第2の平面誘電体要素の前記外面に配置された外側電極、を備える、請求項1に記載の電気外科切除器具。
【請求項3】
前記第1のジョーの前記内側電極は、前記第1の平面誘電体要素の前記内面に形成された第1の導電層を含み、及び/または
前記第1のジョーの前記外側電極は、前記第1の平面誘電体要素の前記外面に形成された第2の導電層を含み、及び/または
前記第2のジョーの前記内側電極は、前記第2の平面誘電体要素の前記内面に形成された第1の導電層を含み、及び/または、
前記第2のジョーの前記外側電極は、前記第2の平面誘電体要素の前記外面に形成された第2の導電層を含む、請求項2に記載の電気外科切除器具。
【請求項4】
前記第1のジョーは、前記第2のジョーに面する前面と、前記第2のジョーから外方に向く背面とを含み、
前記第1の対の電極は前記遠位端面において前記前面に延び、
前記第1の対の電極は前記遠位端面の前記背面から離隔される、請求項1~3の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項5】
前記第2のジョーが、前記第1のジョーに向かって突出する少なくとも1つの第2の歯を含み、
前記第2の歯が前記遠位端面に面する前面と、遠位端面から外方に向く後面とを含み、
前記閉位置では、前記前面及び/または前記後面が遠位に傾いている、請求項1~4の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項6】
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの可動式のジョーを作動させるための制御ワイヤをさらに含み、
前記可動式のジョーは、前記制御ワイヤが前記可動式のジョーと係合するために通って延びる開口部を含み、
前記制御ワイヤの端部が丸みを帯びており、及び/または、
前記制御ワイヤが曲げられている、請求項1~5の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項7】
前記制御ワイヤの前記丸みを帯びた端部は、前記開口部の内径よりも大きい直径を有する、請求項6に記載の電気外科切除器具。
【請求項8】
前記可動式のジョーが、前記開口部に隣接する面取り部を含み、
前記制御ワイヤの前記丸みを帯びた端部が前記面取り部の中に少なくとも部分的に配置されている、請求項7に記載の電気外科切除器具。
【請求項9】
前記エネルギー伝達構造は、誘電材料によって外側導体から分離された内側導体を有する同軸伝送線を備え、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの静止式のジョーの前記平面誘電体要素は、前記エネルギー伝達構造の前記遠位端に延び、
前記器具先端は、
前記エネルギー伝達構造の前記内側導体を前記第1の対の電極の前記内側電極に接続する接続要素、及び
前記第1のジョー及び前記第2のジョーの前記可動式のジョーと前記エネルギー伝達構造の前記遠位端との間に配置された誘電ブロック、をさらに備え、
前記接続要素は、前記静止式のジョーの前記平面誘電体要素と前記誘電ブロックとの間に挟まれ、
前記誘電ブロックは、接着剤成分と、前記接着剤成分に浸漬された粒子とを含む接着剤を使用して、前記静止式のジョーの前記平面誘電体要素に取り付けられる、請求項2~8の一項に記載の電気外科切除器具。
【請求項10】
キャビティが前記誘電ブロックと、前記エネルギー伝達構造の前記遠位端との間に設けられ、
前記キャビティが前記接着剤で充填されている、請求項9に記載の電気外科切除器具。
【請求項11】
電気外科器械であって、
高周波電磁エネルギー及びマイクロ波電磁エネルギーを供給するための電気外科発電機、
患者の体内に挿入するための機器コードを有する外科用スコープ装置であって、前記機器コードは、前記外科用スコープ装置を貫いて延びる機器チャネルを有する、前記外科用スコープ装置、及び
前記外科用スコープ装置の前記機器チャネルを通して挿入される先行請求項のいずれかに記載の電気外科切除器具、
を備える、前記電気外科器械。
【国際調査報告】