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特表2024-545751ペロブスカイト材料層を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ペロブスカイト材料層を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20241204BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20241204BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20241204BHJP
   H10K 85/50 20230101ALI20241204BHJP
【FI】
H10K30/50
C09D11/00
H10K30/40
H10K85/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531495
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2022051100
(87)【国際公開番号】W WO2023097087
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,525
(32)【優先日】2021-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522187568
【氏名又は名称】キュービックピーブイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ミン トゥ
(72)【発明者】
【氏名】ダス,ヴィヴェック ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】サネヒラ,エリン
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル,マリッサ
【テーマコード(参考)】
3K107
4J039
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA03
4J039BA07
4J039BE12
4J039FA01
5F251AA11
5F251CB24
5F251CB29
5F251GA03
5F251XA32
(57)【要約】
基板上にハロゲン化鉛前駆体インクを堆積するステップと、前記ハロゲン化鉛前駆体インクを乾燥させて第1の薄膜を形成するステップと、前記第1の薄膜をアニールするステップと、ペロブスカイト材料層を形成するステップと、を有する方法において、前記ペロブスカイト材料層を形成するステップは、前記第1の薄膜上にハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを堆積するステップ、前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを乾燥させるステップ、前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インク上にハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを堆積するステップ、前記ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを乾燥させて第2の薄膜を形成するステップ、および前記第2の薄膜をアニールするステップ、を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップを有する方法であって、
前記ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップは、
ハロゲン化鉛前駆体インクを基板上に堆積するステップ、
前記ハロゲン化鉛前駆体インクを乾燥させて第1の薄膜を形成するステップ、
前記第1の薄膜をアニールするステップ、および
ペロブスカイト材料層を形成するステップ
を有し、
前記ペロブスカイト材料層を形成するステップは、
前記第1の薄膜上にハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを堆積させるステップと、
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを乾燥させるステップと、
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インク上に、ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを堆積させるステップと、
前記ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを乾燥させて第2の薄膜を形成するステップと、
前記第2の薄膜をアニールするステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化鉛は、ヨウ化鉛(II)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化鉛前駆体インクは、ブレードコーティングまたはスロットダイコーティングにより、前記基板上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の薄膜は、50℃で10分間アニールされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウムは、ヨウ化ベンジルアンモニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化ホルムアミジニウムは、ヨウ化ホルムアミジニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクおよび前記ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクは、ブレードコーティングまたはスロットダイコーティングにより、前記基板上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第2の薄膜は、157℃で5分間アニールされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロゲン化鉛前駆体インクは、酸化ニッケル基板上に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化ニッケル基板は、
電極材料上に酸化ニッケル前駆体インクを堆積させ、第3の薄膜を形成するステップと、
前記第3の薄膜をアニールするステップと、
を有するプロセスにより形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ペロブスカイト材料であって、
ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップを有する方法により調製され、
前記ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップは、
ハロゲン化鉛前駆体インクを基板上に堆積するステップ、
前記ハロゲン化鉛前駆体インクを乾燥させて第1の薄膜を形成するステップ、
前記第1の薄膜をアニールするステップ、および
ペロブスカイト材料層を形成するステップ、
を有し、
前記ペロブスカイト材料層を形成するステップは、
前記第1の薄膜上にハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを堆積させるステップと、
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを乾燥させるステップと、
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インク上に、ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを堆積させるステップと、
前記ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを乾燥させ、第2の薄膜を形成するステップと、
前記第2の薄膜をアニールするステップと、
を有する、ペロブスカイト材料。
【請求項12】
前記ハロゲン化鉛は、ヨウ化鉛(II)を含む、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項13】
前記ハロゲン化鉛前駆体インクは、ブレードコーティングまたはスロットダイコーティングにより、前記基板上に堆積される、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項14】
前記第1の薄膜は、50℃で10分間アニールされる、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項15】
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウムは、ヨウ化ベンジルアンモニウムを含む、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項16】
前記ハロゲン化ホルムアミジニウムは、ヨウ化ホルムアミジニウムを含む、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項17】
前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクおよび前記ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクは、ブレードコーティングまたはスロットダイコーティングにより、前記基板上に堆積される、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項18】
第2の薄膜は、157℃で5分間アニールされる、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項19】
前記ハロゲン化鉛前駆体インクは、酸化ニッケル基板上に堆積される、請求項11に記載のペロブスカイト材料。
【請求項20】
前記酸化ニッケル基板は、
電極材料上に酸化ニッケル前駆体インクを堆積させて第3の薄膜を形成するステップと、
前記第3の薄膜をアニールするステップと、
を有するプロセスにより形成される、請求項19に記載のペロブスカイト材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月28日に出願された「ペロブスカイト材料層を形成する方法」という名称の米国仮特許出願第63/283,525号の優先権を主張するものであり、その内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
太陽エネルギーまたは太陽放射線から電力を生成する光起電力装置(PV)の使用は、例えば、電源、低排出もしくはゼロエミッション、電力グリッドに依存しない発電、耐久性のある物理的構造(可動部品なし)、安定した信頼性のあるシステム、モジュール構造、比較的迅速な設置、安全な製造と使用、および良好な世論と使用の受け入れを含む、多くの利点を提供し得る。新たな高効率で低コストの光起電力技術としてのペロブスカイト光起電力装置は、鉛の漏洩のような障害に直面している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
PVは、光に晒された際に、電力を生じる光活性層としてペロブスカイト材料の層を組み込んでいる。ペロブスカイト光起電力装置の中には、鉛および他の金属イオンが含まれており、これらは漏れが生じ易い場合がある。従って、鉛および金属イオンの隔離技術ならびに材料の改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップを有する方法において、前記ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップは、基板上にハロゲン化鉛前駆体インクを堆積するステップと、前記ハロゲン化鉛前駆体インクを乾燥させて第1の薄膜を形成するステップと、前記第1の薄膜をアニールするステップと、を有する。いくつかの実施形態では、当該方法は、さらに、ペロブスカイト材料層を形成するステップを有し、該ペロブスカイト材料層を形成するステップは、ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを前記第1の薄膜上に堆積するステップと、前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インクを乾燥させるステップと、前記ハロゲン化ベンジルアンモニウム前駆体インク上にハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを堆積するステップと、前記ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクを乾燥させて第2の薄膜を形成するステップと、前記第2の薄膜をアニールするステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本開示のある実施形態による光起電装置の構成部材を示す概略図である。
図2】本開示のある実施形態による例示的なPV装置の構成部材を示す図である。
図3】本開示のある実施形態による例示的なPV装置の構成部材を示す図である。
図4】本開示のある実施形態による例示的なPV装置の構成部材を示す図である。
図5】本開示のある実施形態によるペロブスカイト材料のX線回折パターンを示す図である。
図6】ペロブスカイト材料層を製造するためのブレードコーティング設備の概略図である。
図7】ペロブスカイト材料層を形成するためのブレードコーティング設備の概略図である。
図8】ペロブスカイト材料層を製造するためのスロットダイコーティング設備の概略図である。
図9】本開示のある実施形態による光起電装置の構成部材を示す概略図である。
図10】ペロブスカイト材料層を製造するためのスロットダイコーティング設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の特徴および利点は、当業者には容易に理解される。当業者は、多くの変更を行うことができるため、そのような変更は、本発明の思想の範囲内である。
【0007】
本開示は、一般に、太陽放射線から電気エネルギーを生成する際の光起電力セルにおける材料の組成物、機器および使用方法に関する。また、本開示のある実施形態による材料の一部または全部は、任意の有機または他の電子デバイスに有利に使用することができ、いくつかの例としては、これに限られるものではないが、電池、電界効果トランジスタ(FET)、発光ダイオード(LED)、非線形光学装置、トランジスタ、電離放射線検出器、メモリスタ、キャパシタ、整流器、および/または整流アンテナが挙げられる。
【0008】
ある実施形態では、本開示は、PVおよび他の類似の装置(例えば、電池、ハイブリッドPV電池、マルチ接合PV、FET、LED、X線検出器、ガンマ線検出器、フォトダイオード、CCDなど)を提供することができる。一部の実施形態では、そのような装置は、改善された活物質、界面層(IFL)、および/または1つ以上のペロブスカイト材料を有し得る。ペロブスカイト材料は、PVまたは他の装置の1つ以上の各種態様に組み込まれてもよい。以下、各種実施形態によるペロブスカイト材料について、より詳細に説明する。
【0009】
(光起電力セルおよび他の電子装置)
いくつかのPVの実施形態は、図1に示されるようなペロブスカイト材料装置の例示的な描写を参照することによって説明される。ある実施形態による例示的なPVアーキテクチャは、実質的に、基板-アノード-IFL-活性層-IFL-カソードの形態であってもよい。一部の実施形態の活性層は、光活性であってもよく、および/または光活性材料を含んでもよい。当技術分野で知られるように、他の層および材料を電池に利用してもよい。さらに、「活性層」という用語の使用は、任意の他の層の特性を明示的または暗示的に制限したり、定義したりすることを意味するものではないことに留意する必要がある。例えば、ある実施形態では、IFLのいずれかまたは両方は、それらが半導体であり得る限り、活性であってもよい。特に、図1を参照すると、一般的なPVセル1000が示されており、PV内のいくつかの層の高度な界面の性質が示されている。PV1000は、ペロブスカイト材料PV実施形態のような、いくつかのPV装置に適用可能な一般的なアーキテクチャを表す。PVセル1000は、透明基板層1010および1070を含み、これらは、ガラス(または太陽放射線に対して同様に透明な材料)であってもよく、これにより、太陽放射線は層を透過できる。ある実施形態の透明層は、スーパーストレートまたは基板とも称され、これは、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、PMMA、PET、PEN、カプトン、または石英のような、各種硬質または軟質材料のいずれか1つ以上を含んでもよい。一般に、基板という用語は、製造中にデバイスが堆積される材料を表す際に使用される。光活性(PAM)層1040は、電子ドナーもしくはp型材料、および/または電子アクセプタもしくはn型材料、および/またはp型材料特性とn型材料特性の両方を示す両極性半導体材料、および/またはn型材料特性とp型特性のいずれも示さない真性半導体で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光活性層1040は、本願に記載のペロブスカイト材料であってもよい。活性層、すなわち図1に示すように、PAM層1040は、2つの導電性電極層1020と1060の間に挟まれている。図1において、電極層1020は、スズドープ酸化インジウム(ITO材料)、または本願に記載の他の材料のような、透明導電体であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の電極1060は、透明であってもよい。第2の電極層1060は、アルミニウム材料または他の金属、あるいは炭素のような他の導電性材料であってもよい。当該技術分野で知られる他の材料が使用されてもよい。またセル1100は、図1の例に示される界面層(IFL)1030を含む。IFLは、電荷分離を補助してもよい。他の実施形態では、IFL1030は、マルチレイヤIFLを含んでもよい。例えば、ペロブスカイト材料装置は、0、1、2、3、4、5、またはそれ以上の界面層を含んでもよい(5つの界面層3903、3905、3907、3909、および3911を含む図2の例示的な装置のように)。また、第2の電極1060に隣接してIFL 1050が存在してもよい。いくつかの実施形態では、第2の電極1060に隣接するIFL1050は、これに加えてまたはその代わりに、マルチレイヤIFLを有してもよい。ある実施形態によるIFLは、半導体特性であってもよく、固有、両極性、p型、またはp型のいずれかであってもよい。あるいは、誘電性特性であってもよい。ある実施形態では、装置のカソード側のIFL(例えば、図1に示されるIFL1050)は、p型であってもよく、装置のアノード側のIFL(例えば、図1に示されるIFL1030)は、n型であってもよい。しかしながら、他の実施形態では、カソード側IFLは、n型であり、アノード側IFLは、p型であってもよい。セル1100は、電極1060および1020、ならびに電池、モータ、コンデンサ、電気グリッド、または他の任意の電気負荷のような放電ユニットによって、電気リードに取り付けられてもよい。
【0010】
本開示の各種実施形態では、太陽電池および他の装置の各種態様における改善された材料および/または設計が提供され、これには、特に、活性材料(正孔輸送層および/または電子輸送層を含む)、界面層、および全体的な装置設計が含まれる。
【0011】
各種実施形態では、装置は、必要な場合、任意の2つの他の層および/または材料の間に、界面層を有する。ただし、装置は、必ずしも界面層も含む必要はない。例えば、ペロブスカイト材料装置は、0、1、2、3、4、5、またはそれ以上の界面層を含んでもよい(5つの界面層3903、3905、3907、3909、および3911を含む図2の例示的な装置のように)。界面層は、2つの層もしくは材料の間の電荷輸送および/または電荷収集を高める任意の好適な材料を含んでもよい。これは、界面層に隣接する材料の1つから電荷が輸送された後の電荷再結合の可能性を抑制しまたは低減することに役立ち得る。界面層は、さらに、その基板を物理的および電気的に均質化し、基板の粗さ、誘電率、密着性、欠陥(例えば、電荷トラップ、表面状態)の生成または消滅の変化を生じさせることができる。好適な界面材料は、Ag、Al、Au、B、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、H、In、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pt、Sb、Sc、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、Zr;前述の金属の任意の炭化物(例えば、SiC、Fe3C、WC、VC、MoC、NbC);前述の金属の任意のケイ化物(例えば、Mg2Si、SrSi2、Sn2Si);インジウムスズ酸化物、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化カドミウム(CdO)、およびフッ素ドープ酸化スズ(FTO)のような透明導電性酸化物(「TCO」)を含む、前述の金属の任意の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、SnO2、ZnO、NiO、ZrO2、HfO2);前述の金属の任意の硫化物(例えば、CdS、MoS2、SnS2);前述の金属の任意の窒化物(例えば、GaN、Mg3N2、TiN、BN、Si3N4);前記金属の任意のセレン化物(例えば、CdSe、FeS2、ZnSe);前記金属のいずれかのテルル化物(例えば、CdTe、TiTe2、ZnTe);前記金属の任意のリン化物(例えば、InP、GaP、GaInP);前記金属の任意のヒ素化物(例えば、CoAs3、GaAs、InGaAs、NiAs);前記金属の任意のアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb);前記金属の任意のハロゲン化物(例えば、CuCl、CuI、BiI3);前記金属の任意の擬似ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN、Fe(SCN)2);前記金属の任意の炭酸塩(例えば、CaCO3、Ce2(CO33);官能化または非官能化アルキルシリル基;グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本願の他の箇所で議論される任意のメソポーラス材料および/または界面材料;ならびにこれらの組み合わせ(ある実施形態では、組み合わされた材料の二重層、三重層、またはマルチレイヤを含む)のいずれか1つ以上を含んでもよい。一部の実施形態では、界面層は、ペロブスカイト材料を含んでもよい。さらに、界面層は、本願に記載される任意の界面材料のドープされた実施形態を含んでもよい(例えば、YドープZnO、Nドープ単一壁カーボンナノチューブ)。また界面層は、上記材料の3つを含む化合物(例えば、CuTiO3、Zn2SnO4)、または上記材料の4つを含む化合物(例えば、CoNiZnO)を含んでもよい。前述の材料は、平面、メソポーラス、または他のナノ構造形態(例えば、ロッド、球、フラワー、ピラミッド)、またはエアロゲル構造で存在してもよい。本願の参照として取り入れられている米国特許第11,171,290号には、本開示のIFL用の追加の種類の界面層および好適な材料が記載されている。
【0012】
また、いくつかのペロブスカイト材料PVセルは、2つ以上のペロブスカイト光活性層を含む、いわゆる「タンデム型」PV装置を有してもよい。図2には、2つの光活性材料2040および2060を含むタンデム型PV装置の例が示されている。いくつかの実施形態では、図2の光活性材料2040および2060の両がペロブスカイト材料であってもよい。図2は、2端子タンデム型PV装置2000が示されている。すなわち、2つの光活性材料は、単一のモノリシックPVセルに一体化されている。そのようなタンデム型PVセルでは、図2のIFL2050および2055のような2つの光活性層の間の界面層は、マルチレイヤまたは複合IFLを含んでもよい。いくつかの実施形態では、タンデム型PV装置の2つの光活性層の間に挟まれた層は、電極層を有してもよい。ある実施形態では、タンデム型PV装置は、図9に示される装置のような4端子装置であってもよい。4端子タンデム型PV装置は、2つのサブセルを有し、これらは相互に対して電気的に独立しているが、光学的には結合されていてもよい。
【0013】
2端子タンデム型PV装置は、上から下にまたは下から上に向かって、以下の層を順に有してもよい:第1の基板、第1の電極、第1の界面層、第1のペロブスカイト材料、第2の界面層、第2の電極、第3の界面層、第2のペロブスカイト材料、第4の界面層、および第3の電極。ある実施形態では、第1および第3の界面層は、正孔輸送界面層であってもよく、第2および第4の界面層は、電子輸送界面層であってもよい。他の実施形態では、第1および第3の界面層は、電子輸送界面層であってもよく、第2および第4の界面層は、正孔輸送界面層であってもよい。さらに別の実施形態では、第1および第4の界面層は、正孔輸送界面層であってもよく、第2および第3の界面層は、電子輸送界面層であってもよい。他の実施形態では、第1および第4の界面層は、電子輸送界面層であってもよく、第2および第3の界面層は、正孔輸送界面層であってもよい。タンデム型PV装置では、第1および第2のペロブスカイト材料は、異なるバンドギャップを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のペロブスカイト材料は、臭化鉛ホルムアミジニウム(FAPbBr3)であり、第2のペロブスカイト材料は、ヨウ化鉛ホルムアミジニウム(FAPbI3)である。他の実施形態では、第1のペロブスカイト材料は、メチルアンモニウム臭化鉛(MAPbBr3)であってもよく、第2のペロブスカイト材料は、ホルムアミジニウムヨウ化鉛(FaPbI3)であってもよい。他の実施形態では、第1のペロブスカイト材料は、メチルアンモニウム臭化鉛(MAPbBr3)であってもよく、第2のペロブスカイト材料は、メチルアンモニウムヨウ化鉛(MAPbI3)であってもよい。
【0014】
(ペロブスカイト材料)
ペロブスカイト材料は、PVまたは他の装置の1つ以上の態様に組み込まれてもよい。ある実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式がCwMyXzであってもよい。ここで、Cは、1つ以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物)を含み;Mは、1つ以上の金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrを含む)を含み;Xは、1つ以上のアニオンを含み;w、y、およびzは、1から20の間の実数を表す。一部の実施形態では、Cは、1つ以上の有機カチオンを含んでもよい。ある実施形態において、各有機カチオンCは、各金属Mよりも大きくてもよく、各アニオンXは、カチオンCおよび金属Mの両方と結合可能であってもよい。
【0015】
特定の実施形態では、Cはアンモニウム、一般式が[NR4+の有機カチオンを有してもよく、ここでR基は、同じ基であっても異なる基であってもよい。好適なR基としては、これに限られるものではないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy、ここで、x=1~20、y=1~42である、環状、分岐鎖、もしくは直鎖;ハロゲン化アルキル、CxHyXz、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI;任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つのNが環内に含まれる環状錯体(例えば、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロキノリン);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(ホスフェート);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸);およびそれらのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γ、およびより大きな誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);および任意のアルコキシまたは基-OCxHy、ここで、x=0~20、y=1~42;が含まれる。
【0016】
特定の実施形態では、Cは、ホルムアミジニウム、一般式が[R2NCRNR2の有機カチオンを含んでもよく、ここで、R基は同じ基であっても異なる基であってもよい。好適なR基としては、これに限られるものではないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy、ここで、x=1~20、y=1~42、環状、分岐鎖または直鎖;ハロゲン化アルキル、CxHyXz、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI;任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つのNが環内に含まれる環状錯体(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピリミジン、(アゾリジニリデンメチル(azolidinylidenemethyl)ピロリジン、トリアゾール);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(ホスフェート);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γおよびより大きな誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);および任意のアルコキシまたは基-OCxHy、ここで、x=0~20、y=1~42;が含まれる。
【0017】
【化1】
式1には、前述のような一般式[R2NCRNR2を有するホルムアミジニウムカチオンの構造を示す。式2には、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として機能し得る、いくつかのホルムアミジニウムカチオンの構造例を示す。
【0018】
【化2】
特定の実施形態では、Cは、グアニジニウム、一般式が[(R2N)2C=NR2の有機カチオンを含んでもよく、ここで、R基は、同じ基であっても、異なる基であってもよい。好適なR基としては、これに限られるものではないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy、ここで、、x=1~20、y=1~42、環状、分岐鎖または直鎖);ハロゲン化アルキル、CxHyXz、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI;任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、オクタヒドロピリミド[1,2-a]ピリミジン、ピリミド[1,2-a]ピリミジン、ヘキサヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール、ヘキサヒドピリミジン-2-イミン);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、硫化アルキル);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(ホスフェート);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γおよびより大きな誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);および任意のアルコキシまたは基OCxHy、ここで、x=0~20、y=1~42;が含まれる。
【0019】
【化3】
式3には、上前述のような一般式[(R2N)2C=NR2を有するグアニジニウムカチオンの構造を示す。式4には、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として機能し得るいくつかのグアニジニウムカチオンの構造の例を示す。
【0020】
【化4】
特定の実施形態では、Cは、エテンテトラミンカチオン、一般式が[(R2N)2C=C(NR22の有機カチオンを含んでも良く、ここで、R基は、同じ基であっても、異なる基であってもよい。好適なR基としては、これに限られるものではないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy、ここで、x=1~20、y=1~42である、環状、分岐鎖、または直鎖;ハロゲン化アルキル、CxHyXz、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI;任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデンヘキサヒドロピリミジン(ylidenehexahydropyrimidine)、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリノ[2,3-b]キノキサリン);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(ホスフェート);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γおよびより大きな誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5アンモニウム吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);および任意のアルコキシまたは基OCxHy、ここで、x=0~20、y=1~42である;が含まれる。
【0021】
【化5】
式5は、前述のような一般式が[(R2N)2C=C(NR22を有するエテンテトラミンカチオンの構造を示す。式6は、ペロブスカイト材料中でカチオン「C」として機能し得るいくつかのエテンテトラアミンイオンの構造の例を示す。
【0022】
【化6】
特定の実施形態では、Cは、イミダゾリウムカチオン、一般式が[CRNRCRNRCR]の芳香族環状有機カチオンを含んでもよく、ここでR基は、同じ基でも異なる基でもよい。好適なR基としては、これに限られるものではないが、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基またはそれらの異性体;任意のアルカン、アルケン、またはアルキンCxHy、ここで、x=1~20、y=1~42である、環状、分岐状または直鎖;ハロゲン化アルキル、CxHyXz、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、またはI;任意の芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);少なくとも1つの窒素が環内に含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン-2-イリデンヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリノ[2,3-b]キノキサリン);任意の硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);任意の窒素含有基(ニトロキシド、アミン);任意のリン含有基(ホスフェート);任意のホウ素含有基(例えば、ボロン酸);任意の有機酸(酢酸、プロパン酸)およびそのエステルまたはアミド誘導体;α、β、γおよびより大きな誘導体を含む任意のアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);任意のケイ素含有基(例えば、シロキサン);および任意のアルコキシまたは基-OCxHy、ここで、x=0~20、y=1~42である;が含まれる。
【0023】
【化7】
一部の実施形態では、Xは1つ以上のハロゲン化物を含んでもよい。特定の実施形態では、Xは、これに加えて、またはこれとは別に、第16族アニオンを含んでもよい。特定の実施形態では、第16族アニオンは、酸化物、硫化物、セレン化物、またはテルル化物であってもよい。特定の実施形態では、Xは、これに加えて、またはこれとは別に、1つ以上の擬似ハロゲン化物(例えば、シアン化物、シアン酸塩、イソシアン酸塩、雷酸塩、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアノアミド、およびトリシアノメタン酸塩)を含んでもよい。説明のため、および何ら限定を意味することなく、式CwMyXzを有するペロブスカイト材料の例示的な実施形態を以下に記載する。
【0024】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、以下の実験式CMX3を有してもよい。Mは、前記金属の1つを含み、Cは、前記カチオン、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物の1つ以上を含む。
【0025】
別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式C’M2X6を有してもよい。ここで、C’は、2+電荷を有するカチオンを含み、上記カチオン、ブタン二アンモニウム、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンもしくはカチオン様化合物のうちの1つ以上を含む。
【0026】
別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、実験式C’MX4を有してもよい。ここで、C’は、2+電荷を有するカチオンを含み、上記カチオン、ジアンモニウムブタン、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンまたはカチオン様化合物のうちの1つ以上を含む。そのような実施形態では、ペロブスカイト材料は、2D構造を有することができる。
【0027】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、以下の実験式C3M2X9を有してもよい。ここで、Cは、1つ以上の前記カチオン、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンまたはカチオン様化合物を含む。
【0028】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、以下の実験式CM2X7を有してもよい。Cは、1つ以上の前記カチオン、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンまたはカチオン様化合物を含む。
【0029】
一実施形態では、ペロブスカイト材料は、以下の実験式C2MX4を有してもよい。ここで、Cは、1つ以上の前記カチオン、第1族金属、第2族金属、および/または他のカチオンまたはカチオン様化合物を含む。また、ペロブスカイト材料は、混合イオン配合を有し、C、M、またはXは、2つ以上の種を有してもよい。一部の実施形態では、ペロブスカイト材料は、2つ以上のアニオンまたは3つ以上のアニオンを含んでもよい。一部の実施形態では、ペロブスカイト材料は、2つ以上のカチオンまたは3つ以上のカチオンを含んでもよい。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料は、2つ以上の金属または3つ以上の金属を含んでもよい。
【0030】
一例では、活性層におけるペロブスカイト材料は、CMX3-yX’y(0≧y≧3)の一般式を有してもよい。ここで、Cは、1つ以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、第1族金属、第2族金属、ホルムアミジニウム、グアニジニウム、エテンテトラミン、ホスホニウム、イミダゾリウム、および/または他のカチオンまたはカチオン様化合物)を含み;Mは、1つ以上の金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZr)を含み;XおよびX’は、1つ以上のアニオンを含む。一実施形態では、ペロブスカイト材料は、CPbI3-yClyを含んでもよい。別の例では、活性層中のペロブスカイト材料は、式C1-xC’xMX3(0≧x≧1)を有してもよい。ここで、CおよびC’は、前述のような1つ以上のカチオンを含む。別の例では、活性層におけるペロブスカイト材料は、式CM1-zM’zX3(0≧z≧1)を有してもよく、ここで、MおよびM’は、上述のような1つ以上の金属を含む。一例では、活性層中のペロブスカイト材料は、式C1-xC’xM1-zM’zX3-yX’y(0≧x≧1;0≧y≧3;0≧z≧1)を有してもよい。CおよびC’は、上記のような1つ以上のカチオンを含み;MおよびM’は、上記のような1つ以上の金属を含み;XおよびX’は、上記のような1つ以上のアニオンを含む。
【0031】
説明のため、いかなる限定も意味することなく、ペロブスカイト材料の例示的な実施形態は、Cs0.1FA0.9Pb(I0.9Cl0.13;Rb0.1FA0.9Pb(I0.9Cl0.13、Cs0.1FA0.9PbI3;FAPb0.5Sn0.5I3;FA0.83Cs0.17Pb(I0.6Br0.43;FA0.83Cs0.12Rb0.05Pb(I0.6Br0.43およびFA0.85MA0.15Pb(I0.85Br0.153であってもよい。
【0032】
(複合ペロブスカイト材料装置設計)
ある実施形態では、本開示により、1つ以上のペロブスカイト材料を含むPVおよび他の類似の装置(例えば、電池、ハイブリッドPVセル、FET、LED、非線形光学素子(NLO)、導波路等)の複合設計が提供されてもよい。例えば、1つ以上のペロブスカイト材料は、ある実施形態の第1および第2の活物質(例えば、図3の活物質3906aおよび3908a)のいずれかまたは両方として機能してもよい。より一般的に言えば、本開示のある実施形態は、1つ以上のペロブスカイト材料を含む活性層を有するPVまたは他の装置を提供する。そのような実施形態では、ペロブスカイト材料(すなわち、任意の1つまたは複数のペロブスカイト材料を含む材料)は、各種構造の活性層に使用されてもよい。さらに、ペロブスカイト材料は、以下により詳細に説明される活性層の任意の1つ以上の構成部材の機能を果たしてもよい。ある実施形態では、同じペロブスカイト材料は、複数のそのような機能を果たしてもよいが、他の実施形態では、複数のペロブスカイト材料が装置に含まれ、各ペロブスカイト材料が1つ以上のそのような機能を果たしてもよい。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料が果たす役割によらず、各種状態で調製され、および/または装置に存在してもよい。例えば、ある実施形態では、これは、実質的に固体であってもよい。溶液または懸濁液が装置内(例えば、装置の別の構成部材、例えば、メソポーラス、界面、電荷輸送、光活性、もしくは他の層、および/または電極上)にコーティングされ、あるいは堆積されてもよい。一部の実施形態におけるペロブスカイト材料は、装置の別の構成部材の表面にin-situで形成されてもよい(例えば、薄膜固体としての基層成膜により)。ペロブスカイト材料を含む層を形成する任意の他の好適な手段が使用されてもよい。
【0033】
一般に、ペロブスカイト材料装置は、第1の電極、第2の電極、およびペロブスカイト材料を含む活性層を有してもよく、活性層は、第1の電極と第2の電極との間に少なくとも一部が配置される。ある実施形態では、第1の電極は、アノードおよびカソードの一方であってもよく、第2の電極は、アノードおよびカソードの他方であってもよい。特定の実施形態による活性層は、任意の1つ以上の活性層成分を含んでもよく、これには、電荷輸送材料、液体電解質、メソポーラス材料、光活性材料(例えば、染料、ケイ素、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ガリウムヒ素、リン化ゲルマニウムインジウム、半導体ポリマー、他の光活性材料)、および界面材料の1つ以上が含まれる。これらの活性層成分の任意の1つ以上は、1つ以上のペロブスカイト材料を含んでもよい。ある実施形態では、活性層成分の一部または全部は、全体として、または一部が、サブ層に配置されてもよい。例えば、活性層は、界面材料を含む界面層、メソポーラス材料を含むメソポーラス層、および電荷輸送材料を含む電荷輸送層の任意の1つ以上を含んでもよい。さらに、ある実施形態では、界面層は、活性層の任意の2つ以上の他の層の間、および/または活性層部材と電極との間に含まれてもよい。層という言及は、最終配置(例えば、装置内で別々に規定可能な各材料の実質的に別個の部分)を含み、および/または層という言及は、各層における材料のその後の混合の可能性にかかわらず、構築中の装置の配置を意味し得る。
【0034】
ある実施形態では、層は、別個であり、実質的に連続した材料を含んでもよい(例えば、層は、図1に様式的に示されているような形態であってもよい)。
【0035】
一部の実施形態では、ペロブスカイト材料装置は電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。FETペロブスカイト材料装置は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、誘電体層、および半導体層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、FETペロブスカイト材料装置の半導体層は、ペロブスカイト材料であってもよい。
【0036】
ある実施形態によるペロブスカイト材料装置は、必要な場合、1つ以上の基板を含んでもよい。ある実施形態では、第1の電極および第2の電極の一方または両方は、基板上にコーティングされ、または他の方法で配置され、電極が実質的に基板と活性層との間に配置されてもよい。装置の部材の材料(例えば、基板、電極、活性層および/または活性層部材)は、各種実施形態において、全体または一部が硬質性または軟質性のいずれかであってもよい。一部の実施形態では、電極は、基板として機能してもよく、これにより、別個の基板の必要性がなくなる。
【0037】
さらに、特定の実施形態によるペロブスカイト材料装置は、必要な場合、反射防止層または反射防止コーティング(ARC)を含んでもよい。
【0038】
図2を参照して、ペロブスカイト材料装置に含まれ得る各種材料のある説明が部分的に行われる。図2は、ある実施形態によるタンデム型2端子ペロブスカイト材料装置3900の概略図である。図2およびペロブスカイト装置を示す本開示の他の図(例えば、図1、3~4、および9)では、装置の各種構成部材は、連続的な材料を含む別個の層として示されているが、そのような図は、概略的な図であることを理解する必要がある。従って、それに従う実施形態は、先に議論された「層」の使用と一致して、そのような別個の層、および/または実質的に相互混合された非連続層を有してもよい。装置3900は、第1の基板3901および第2の基板3913を含む。第1の電極3902は、第1の基板3901の内表面に配置され、第2の電極3912は、第2の基板3913の内表面に配置される。活性層3950は、2つの電極3902と3912との間に挟まれる。活性層3950は、メソポーラス層3904、第1および第2の光活性材料3906および3908、電荷輸送層(CTL)3910、ならびにいくつかの界面層を含む。図2には、さらに、実施形態による装置3900の例が示されており、活性層3950のサブ層は、界面層により分離され、さらに界面層は、各電極3902および3912上に配置される。特に、第2、第3、および第4の界面層3905、3907、および3909は、それぞれ、メソポーラス層3904、第1の光活性材料3906、第2の光活性材料3908、および電荷輸送層3910のそれぞれの間に配置される。第1および第5の界面層3903および3911は、それぞれ、(i)第1の電極3902とメソポーラス層3904との間、および(ii)電荷輸送層3910と第2の電極3912との間に配置される。従って、図2に示される例示的な装置のアーキテクチャは、基板-電極-活性層-電極-基板として、特徴付けることができる。活性層3950の構造は、界面層-メソポーラス層-界面層-光活性材料-界面層-光活性材料-界面層-電荷輸送層-界面層として、特徴付けることができる。一部の実施形態では、界面層は存在しなくてもよい。または、1つ以上の界面層は、活性層の全てではないが一部の部材および/または装置の部材の間にのみ、含まれてもよい。
【0039】
第1の基板3901および第2の基板3913の一方または両方のような基板は、可撓性であってもまたは剛性であってもよい。2つの基板が含まれる場合、少なくとも1つは、電磁(EM)放射線(例えば、UV、可視、またはIR放射線等)に対して透明または半透明である必要がある。1つの基板が含まれる場合、それは、同様に、透明または半透明であってもよいが、装置の一部がEM放射線を活性層3950に接触させることができる限り、これは必ずしも必要ではない。好適な基板材料は、ガラス、サファイア、酸化マグネシウム(MgO)、マイカ、ポリマー(例えば、PEN、PET、PEG、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、PMMA、ポリアミド、ビニル、カプトン)、セラミック、カーボン、複合材料(例えば、ガラス繊維、ケブラー(登録商標)、炭素繊維)、布(例えば、綿、ナイロン、絹、ウール)、木材、乾式壁、タイル(例えば、セラミック、複合材料、または粘土)、金属、鋼、銀、金、アルミニウム、マグネシウム、コンクリート、およびそれらの組み合わせのうちの任意の1つ以上を含む。
【0040】
前述のように、電極(例えば、図2の電極3902および3912のうちの1つ)は、アノードまたはカソードの一方であってもよい。一部の実施形態では、一方の電極がカソードとして機能し、他方の電極がアノードとして機能してもよい。電極3902および3912の一方または両方は、リード、ケーブル、ワイヤ、または装置3900へのおよび/または装置118からの電荷輸送を可能にする他の手段に結合されてもよい。電極は、任意の導電性材料で構成されてもよく、少なくとも1つの電極は、EM放射線に対して透明または半透明である必要があり、および/またはEM放射線は、活性層3950の少なくとも一部と接触することができるように配置される。好適な材料としては、インジウムスズ酸化物またはスズドープインジウム酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、酸化カドミウム(CdO)、亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、カーボン(およびその同素体)、ドープカーボン(例えば、窒素ドープ)、コア-シェル構成におけるナノ粒子(例えば、ケイ素-カーボンコア-シェル構造)、およびこれらの組み合わせの任意の1つ以上が挙げられる。
【0041】
メソポーラス材料(例えば、図2のメソポーラス層3904に含まれる材料)は、任意のポア含有材料を含んでもよい。ある実施形態において、ポアは、約1から約100nmの範囲の直径を有してもよい。他の実施形態において、ポアの直径は、約2から約50nmの範囲であってもよい。好適なメソポーラス材料には、本願の他の箇所で説明される任意の界面材料および/またはメソポーラス材料、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、前述の金属の任意の1つ以上の酸化物(例えば、アルミナ、セリア、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニア等)、前述の金属の任意の1つ以上の硫化物、前述の金属の任意の1つ以上の窒化物、およびそれらの組み合わせの任意の1つ以上が含まれる。ある実施形態では、IFLとして本願に開示の任意の材料は、メソポーラス材料であってもよい。他の実施形態では、図2に示す装置は、メソポーラス材料層を含まず、メソポーラスでない薄膜、または「コンパクトな」IFLのみを含んでもよい。
【0042】
光活性材料(例えば、図2の第1または第2の光活性材料3906または3908)は、シリコン(例えば、多結晶シリコン、単結晶シリコン、または非晶質シリコン)、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、セレン化銅インジウム、硫化銅亜鉛スズ、ガリウムヒ素、ゲルマニウム、リン化ゲルマニウムインジウム、リン化インジウム、1つ以上の半導体ポリマー(例えば、ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)およびその誘導体、またはP3HT);ポリヘプタデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCDTBT)のような、カルバゾール系コポリマー;ポリシクロペンタジチオフェン-ベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCDTBT)、ポリベンゾジチオフェニル-チエノチオフェンジイルおよびその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10)のような他のコポリマー;ポリ(トリアリールアミン)化合物およびその誘導体(例えば、PTAA);ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV)、およびそれらの組み合わせの任意の1つ以上のような、任意の光活性化合物を含んでもよい。
【0043】
特定の実施形態では、光活性材料は、これに加えて、またはこれとは別に、染料(例えば、N719、N3、他のルテニウム系染料)を含んでもよい。ある実施形態では、(組成に関わらず)染料は、別の層(例えば、メソポーラス層および/または界面層)上にコーティングされてもよい。一部の実施形態では、光活性材料は、1つ以上のペロブスカイト材料を含んでもよい。ペロブスカイト材料含有光活性物質は、固体形態であってもよく、または一部の実施形態では、ペロブスカイト材料を含む懸濁液または溶液を含む染料の形態をとってもよい。そのような溶液または懸濁液は、他の染料と同様の方法で、他の装置部材上にコーティングされてもよい。ある実施形態では、固体ペロブスカイト含有材料は、任意の好適な手段(例えば、蒸着、溶液成膜、固体材料の直接配置)で堆積されてもよい。各種実施形態による装置は、1、2、3、またはそれ以上の光活性化合物(例えば、1、2、3、またはそれ以上のペロブスカイト材料、染料、またはそれらの組み合わせ)を含んでもよい。複数の染料または他の光活性材料を含む特定の実施形態では、2つ以上の染料または他の光活性材料の各々は、1つ以上の界面層によって分離されてもよく、または少なくとも部分的に混合されてもよい。
【0044】
本願で使用される「電荷輸送材料」とは、電荷キャリア(電子または正孔)を収集し、および/または電荷キャリアを輸送することができる、任意の固体、液体、またはその他の材料を表す。電荷輸送材料(例えば、図2の電荷輸送層3910の電荷輸送材料)は、固体電荷輸送材料(すなわち、口語的にラベル付けされた固体電解質)を含んでもよく、または液体電解質および/またはイオン性液体を含んでもよい。ある実施形態によるPV装置では、電荷輸送材料は、電荷キャリアを電極に輸送できてもよい。電荷キャリアは、正孔(その輸送は、電荷輸送材料を、ちょうど適切にラベル化された「正孔輸送材料」にすることができる)および電子を有してもよい。PVまたは他の装置におけるカソードもしくはアノードのいずれかに対する電荷輸送材料の配置に応じて、正孔は、アノードに向かって輸送され、電子は、カソードに向かって輸送されてもよい。ある実施形態による電荷輸送材料の好適な例には、ペロブスカイト材料;I-/I3-;Co錯体;ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)およびその誘導体、またはP3HT);ポリヘプタデカニルカルバゾール ジチエニルベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCDTBT)のような、カルバゾール系コポリマー;ポリシクロペンタジチオフェン ベンゾチアジアゾールおよびその誘導体(例えば、PCDTBT)、ポリベンゾジチオフェニル-チエノチオフェンジイルおよびその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10)のような、他のコポリマー;ポリ(トリアリールアミン)化合物およびその誘導体(例えば、PTAA);スピロ-OMeTAD;ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV);フラーレンおよび/またはフラーレン誘導体(例えば、C60、PCBM);カーボンナノチューブ;グラファイト;グラフェン;カーボンブラック;非晶質炭素;グラッシーカーボン;カーボン繊維;ならびにそれらの組み合わせの任意の1つ以上が含まれてもよい。一部の実施形態の電荷輸送材料は、n型もしくはp型活性、両極性、および/または真性半導体材料であってもよい。電荷輸送材料は、装置の電極の1つに近接して配置されてもよい。一部の実施形態では、これは電極に隣接して配置されてもよいが、別の実施形態では、電荷輸送材料と電極との間に界面層が配置されてもよい(例えば、図2において第5の界面層3911で示されるように)。特定の実施形態では、電荷輸送材料の種類は、近接する電極に基づいて選択されてもよい。例えば、電荷輸送材料が正孔を集め、および/または正孔を輸送する場合、それは、アノードに近接され、アノードに正孔が輸送されてもよい。ただし、電荷輸送材料は、代わりに、カソードに近接して配置され、電子がカソードに輸送されるように選択または構築されてもよい。
【0045】
一例として、図3には、図2に示すペロブスカイト材料装置3900と同様の構造を有するタンデム型2端子ペロブスカイト材料装置3900aの実施形態を示す。図3は、活性層3906aおよび3908aを含むある実施形態によるペロブスカイト材料装置3900aの概略図である。いくつかの実施形態では、活性層3906aおよび3908aの一方または両方は、図2に関して上述した任意のペロブスカイト光活性材料を有してもよい。他の実施形態では、活性層3906aおよび3908aの一方または両方は、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、小分子光活性材料、ならびに結晶質および多結晶の半導体材料(例えば、シリコン、GaAs、InP、Ge)のような、本願に記載の任意の光活性材料を有してもよい。さらに別の実施形態では、活性層3906aおよび3908aの一方または両方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。実施形態において、活性層3906aおよび3908aの一方は、光活性材料を含んでもよく、他方は、LED、FET、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。層3901a、3902a、3903a、3904a、3905a、3907a(すなわち、再結合層)、3909a、3910a、3911a、3912a、および3913aのような、図3に示される他の層は、図2に関して本願に記載されるような、対応する層に類似していてもよい。
【0046】
さらに、いくつかの実施形態では、ペロブスカイト材料は、3つ以上の活性層を有してもよい。一例として、図4は、3つの活性層を含み、図2に示すペロブスカイト材料装置3900と同様の構造を有するタンデム型2端子ペロブスカイト材料装置3900bの実施形態を示す概略図である。図4は、活性層3904b、3906b、および3908bを有する。ある実施形態では、活性層3904b、3906b、および3908bの1つ以上は、図2および図3に関する前述の任意の光活性材料を含んでもよい。層3901b、3902b、3903b、3904b、3905b(すなわち、再結合層)、3907b(すなわち、再結合層)、3909b、3910b、3911b、3912b、および3913bのような、図4に示される他の層は、図2および3に関して記載されたような、対応する層に類似してもよい。
【0047】
ある実施形態では、タンデム型PV装置は、図9に示すように、4端子装置であってもよい。4端子装置2300は、互いに電気的に独立した2つのサブセル2400および2500を含んでもよい。ある実施形態では、4端子装置は、2つのサブセル2400および2500を有し、これらは、互いの上に機械的に積層され、光学的に結合され、その結果、前側サブセル2400を透過した光は、後側サブセル2500に到達する。4端子PV2300は、第1の基板層2310を有し、この基板層は、ガラス(または、同様に太陽放射線に対して透明な材料)であってもよく、太陽放射線は、この層を透過することができる。また、ある実施形態の透明層は、スーパーストレートまたは基板と称されてもよく、前述のような各種硬質または軟質材料の任意の1つ以上を有してもよい。
【0048】
前側サブセル2400の第1のPAM層2350は、電子ドナーもしくはp型材料、および/または電子アクセプタまたはn型材料、および/または両極性材料であって、p型材料特性とp型特性の両方を示す材料、および/またはn型特性とp型特性のいずれも示さない真性半導体から構成されてもよい。光活性層2350は、ある実施形態では、図2乃至3に関して示した任意の光活性材料を含んでもよい。活性層、または図9に示されるような光活性層2350は、2つの導電性電極層2320および2370の間に挟まれる。前述のように、ある実施形態の活性層は、必ずしも光活性である必要はないが、図63に示される装置では、光活性である。図9において、電極層6320は、フッ素ドープ酸化スズ(FTO材料)または本願に記載の他の材料のような、透明導電体であってもよい。他の実施形態では、第2の基板2390および第2の電極2370は、透明であってもよい。電極層2370は、インジウム亜鉛酸化物(IZO材料)材料、あるいは本願に記載され、または当該技術分野で知られた他の電極材料のような、透明導電体であってもよい。また前方サブセル2400は、界面層(IFL)2330、2340、2350、2355を含む。IFLは、前述の任意の好適な材料を含んでもよい。光活性層2350の両側に2つのIFLを有するように示されているが、前側サブセル2400は、光活性材料層2350の両側に、0、1、2、3、4、5、またはそれ以上の界面層を含んでもよい。ある実施形態によるIFLは、特性が半導体であってもよく、真性、両極性、p型、またはn型のいずれかであってもよく、または特性が誘電体であってもよい。ある実施形態では、装置のカソード側のIFL(例えば、図9に示されるIFL 2355および2360)は、n型であってもよく、装置のアノード側のIFL(例えば、図9に示されるIFL 2330および2340)は、p型であってもよい。ただし、他の実施形態では、カソード側IFLは、p型であり、アノード側IFLは、n型であってもよい。前側サブセル2400は、電極2320および2370、ならびにバッテリ、モータ、コンデンサ、電気グリッド、または任意の他の電気負荷のような放電ユニットにより、電気リードに取り付けられてもよい。
【0049】
PV装置2300の後側サブセル2500は、前面サブセル2400と同様のまたは異なるアーキテクチャを有してもよい。後側サブセル2500は、第2の光活性材料を含んでもよく、ある実施形態では、図2乃至図4に関して示した任意の光活性材料を含んでもよい。一例では、後側サブセル2500は、前側サブセル2400と同じまたは異なるアーキテクチャの電極、IFL、および他の層を有してもよい。ある実施形態では、前側サブセル2400および後側サブセル2500の光活性層の一方または両方は、図2乃至図4に関して示した任意の光活性材料を含んでもよく、あるいは一方は、光活性材料を含み、他方は、LED、FET、薄膜電池層、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。前側サブセル2400および後側サブセルの基板、電極、およびIFL等の層は、図2乃至図4に関して記載されたような、対応する層に類似していてもよく、これらの対応する層に適するものとして記載された任意の材料または構成を含んでもよい。
【0050】
前側サブセル2400と後側サブセル2500との間に、これらに隣接して、非導電層2380が配置されてもよい。本願で使用される「非導電層」は、電気的に非導電性の層を意味し、非導電層の熱特性を規定することを意図するものではなく、非導電層は、熱伝導性または熱絶縁性であってもよい。いくつかの実施形態では、非導電層2380は、これに限られるものではないが、接着剤、エポキシ、ガラス、ラミネート、ワックス、ポリマー、樹脂、エラストマー、熱硬化性樹脂、またはこれらの任意の組合せを有してもよい。いくつかの実施形態では、非導電層6010は、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリグリコール、ポリ有機酸、天然ゴム、合成ゴム、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリアリール、ポリ核酸、多糖類、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、アクリル、アクリルポリマー、アクリル樹脂、架橋多孔質樹脂、およびこれらの任意の組合せまたは誘導体を含んでもよい。特定の実施形態に適したポリマーの例には、これに限られるものではないが、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレングリコール(PEG/PEO)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ(アクリロニトリルブタジエンスチレン)(ABS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ブチレンゴム、ポリイソプレン、ポリウレタン(PU)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、尿素ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂(PF)、それらの誘導体、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。結合ポリマーのポリマー骨格の配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチックであってもよい。一例では、非導電層2380は透明である。別の例では、非導電層2380は透明ではない。
【0051】
例示的装置の別の概略的な図面に関し、ペロブスカイト装置の追加のより具体的な一例としての実施形態がさらに議論される。図2乃至図4および図9のこれらの描写の概略的な性質は、同様に、ある実施形態において図2乃至図4および図9の任意の1つまたは複数に従って構築され得る装置の種類を限定することを意図するものではない。すなわち、図2乃至図4および図9に示されるアーキテクチャは、任意の好適な手段(本願の他の箇所で明示的に議論されるもの、および本開示の利益を得ることが当業者に明らかな他の好適な手段の両方を含む)に従って、BHJ、電池、FET、ハイブリッドPVセル、直列マルチセルPV、並列マルチセルPV、および本開示の他の実施形態の他の同様の装置を提供するように適合され得る。
【0052】
(ペロブスカイト材料活性層の形成)
特定の実施形態では、ペロブスカイト材料は、以下に記載されるステップを用いて、PV装置内の活性層として、例えば、ブレードコーティング、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷により、基板層上に堆積されてもよい。
【0053】
まず、ハロゲン化鉛前駆体インクが形成される。制御された雰囲気環境(例えば、グローブ含有ポートホールを有する制御された雰囲気ボックスでは、空気フリー環境での材料操作が可能となる)において、清潔で乾燥した容器中に、ある量のハロゲン化鉛が採取されてもよい。好適なハロゲン化鉛には、これに限られるものではないが、ヨウ化鉛(II)、臭化鉛(II)、塩化鉛(II)、およびフッ化鉛(II)が含まれる。ハロゲン化鉛は、単一種のハロゲン化鉛を含んでもよく、あるいは正確な比率のハロゲン化鉛混合物を有してもよい。特定の実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、0.001~100モル%のヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物の任意の二元、三元、または四元比を有してもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、塩化鉛(II)とヨウ化鉛(II)を約10:90 mol:molの比で有してもよい。。他の実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、塩化鉛(II)とヨウ化鉛(II)を、約5:95、約7.5:92.5、または約15:85 mol:molの比で有してもよい。
【0054】
あるいは、他の鉛塩前駆体がハロゲン化鉛塩と共に、またはその代わりに使用され、前駆体インクが形成されてもよい。好適な前駆体塩は、鉛(II)または鉛(IV)と、以下のアニオンとの任意の組合せを有してもよい:硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、アセトニルアセトネート、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアン酸塩、雷酸塩、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアンアミド、トリシアノメタン酸塩、アミド、および過マンガン酸塩。
【0055】
また、前駆体インクは、さらに、前述のアニオンの塩として、以下の金属イオンBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、およびZrに対して、0から100%のモル比で、鉛(II)塩または鉛(IV)塩を有してもよい。
【0056】
次に、溶媒が容器に添加され、鉛固体が溶解され、ハロゲン化鉛前駆体インクが形成されてもよい。好適な溶媒は、これに限られるものではないが、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、アルキルニトリル、アリールニトリル、アセトニトリル、アルコキシアルコール、アルコキシエタノール、2-メトキシエタノール、グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、およびそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、鉛固体は、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。一部の実施形態では、溶媒は、さらに2-メトキシエタノールおよびアセトニトリルを含んでもよい。ある実施形態では、2-メトキシエタノールおよびアセトニトリルは、約25:75から約75:25、または少なくとも25:75の体積比で添加されてもよい。特定の実施形態では、溶媒は、体積基準で、約1:100から約1:1、または約1:100から約1:5の2-メトキシエタノールおよびアセトニトリル対DMFの比を有してもよい。特定の実施形態では、溶媒は、体積基準で、少なくとも約1:100の2-メトキシエタノールおよびアセトニトリル対DMFの比を有してもよい。
【0057】
ある実施形態では、鉛固体は、約20℃から約150℃の温度で溶解されてもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛固体は、約85℃で溶解される。鉛固体は、溶液を形成するために必要な十分な長さで溶解され、これは、最大約72時間の期間にわたって実施されてもよい。得られた溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクのベースを形成する。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、約0.001Mから約10Mの間、または約1Mのハロゲン化鉛濃度を有してもよい。
【0058】
必要に応じて、ある添加剤がハロゲン化鉛前駆体インクに添加され、最終的なペロブスカイトの結晶性および安定性に影響が及ぼされてもよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素酸塩(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面改質(SAM)剤(本明細書内で先に議論したもの)、またはそれらの組み合わせを有してもよい。ハロゲン化鉛前駆体インクに適したアミノ酸には、これに限られるものではないが、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。一実施形態では、塩化ホルムアミジニウムがハロゲン化鉛前駆体インクに添加されてもよい。他の実施形態では、本明細書内で先に議論した任意のカチオンのハロゲン化物が使用されてもよい。ある実施形態では、例えば、塩化ホルムアミジニウムと5-アミノ吉草酸塩酸塩との組み合わせを含む添加剤の組み合わせが、ハロゲン化鉛前駆体インクに添加されてもよい。
【0059】
ある実施形態では、塩化ホルムアミジニウムおよび/または5-アミノ吉草酸塩酸塩を含む添加剤が、得られるペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、各種濃度でハロゲン化鉛前駆体インクに添加されてもよい。ある実施形態では、添加剤は、約1nMから約1M、約1μMから約1M、または約1μMから約1mMの濃度で添加されてもよい。
【0060】
必要に応じて、特定の実施形態では、水がハロゲン化鉛前駆体インクに添加されてもよい。説明のためであって、本開示を特定の理論または機構に限定するものではないが、水の存在は、ペロブスカイト薄膜結晶成長に影響を及ぼす。通常の環境下では、水は、空気からの蒸気として吸収される。しかしながら、ハロゲン化鉛前駆体インクに特定の濃度で水を直接添加することにより、ペロブスカイトPVの結晶化度を制御することが可能となる。好適な水には、蒸留水、脱イオン水、または実質的に汚染物質(ミネラルを含む)を含まない任意の他の水源が含まれる。光I-Vスイープに基づき、ペロブスカイトPVの光-電力変換効率は、完全に乾燥した装置と比較して、水の添加により、ほぼ3倍になり得ることが見出されている。
【0061】
水は、得られるペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、各種濃度でハロゲン化鉛前駆体インクに添加されてもよい。ある実施形態では、水は、約1nL/mLから約1mL/mL、約1μL/mLから約0.1mL/mL、または約1μL/mLから約20μL/mLの濃度で添加されてもよい。
【0062】
次に、ハロゲン化鉛前駆体インクは、所望の基板上に堆積されてもよい。好適な基板層は、本開示において先に特定された任意の基板層を有してもよい。前述のように、ハロゲン化鉛前駆体インクは、各種手段によって堆積されてもよい。これには、これに限られるものではないが、ドロップキャスティング、スピンコーティング(スピンキャスティング)、スロットダイ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、原子層成膜、熱蒸発、スプレーコーティング、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。特定の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、約500rpmから約10,000rpmの速度で、約5秒から約600秒の時間、基板上にスピンコーティングされてもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、約3000rpmで約30秒間、基板上にスピンコートされてもよい。ハロゲン化鉛前駆体インクは、約0%相対湿度から約50%相対湿度の湿度範囲内の周囲雰囲気で、基板上に堆積されてもよい。次に、ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。
【0063】
次に、薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。次に、変換プロセスにより、ペロブスカイト材料活性層が完成されてもよい。このプロセスでは、前駆体膜は、0.001Mから10Mの間の濃度の溶媒または溶媒(例えば、DMF、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、水)の混合物と、塩(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、ヨウ化1,2,2-トリアミノビニルアンモニウム、ヨウ化水素酸5-アミノ吉草酸)とを含む溶液に浸漬され、またはこの溶液でリンスされる。また、特定の実施形態では、薄膜は、本段落の第1行目と同じ方法で、熱的にポストアニールされてもよい。
【0064】
ある実施形態では、鉛塩前駆体が基板上に堆積され、鉛塩薄膜が形成されてもよい。基板は、周囲温度にほぼ等しい温度を有し、または0℃から500℃の間の制御された温度を有してもよい。鉛塩前駆体は、ハロゲン化鉛前駆体インクに関して前述した任意の方法により、堆積されてもよい。特定の実施形態では、鉛塩前駆体の堆積は、シートツーシートまたはロールツーロールの製造方法を含んでもよい。鉛塩前駆体の堆積は、周囲圧力での各種雰囲気中で、または大気圧もしくは周囲圧より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)で、実施されてもよい。成膜の雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gのH2O/m3ガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、または前述のガスの任意の組み合わせを有してもよい。制御された湿度環境は、絶対湿度または相対湿度%が固定値に維持された環境、あるいは絶対湿度または相対湿度%が所定の設定点または所定の関数に従って変化する環境、を有してもよい。特定の実施形態では、成膜は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する、制御された湿度環境において実施されてもよい。他の実施形態では、成膜は、0 gH2O/m3ガス以上、20 gH2O/m3ガス以下の制御された湿度環境で実施されてもよい。特に記載がない限り、本願に記載の任意のアニール処理または堆積ステップは、前述の条件下で実施されてもよい。
【0065】
鉛塩前駆体は、液体、気体、固体、または溶液、懸濁液、コロイド、泡、ゲル、もしくはエアロゾルのような物質の、これらの状態の組み合わせであってもよい。ある実施形態では、鉛塩前駆体は、1つ以上の溶媒を含有する溶液であってもよい。例えば、鉛塩前駆体は、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、およびこれらの組み合わせの1つ以上を含有してもよい。鉛塩前駆体は、単一の鉛塩(例えば、ヨウ化鉛(II)、チオシアン酸鉛(II))、または本願に開示の任意の組み合わせ(例えば、PbI2+PbCl2;PbI2+Pb(SCN)2)を有してもよい。また、鉛塩前駆体は、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸ヨウ化水素酸)、1,8-ジヨードオクタン、1,8-ジチオオクタン、ハロゲン化ホルムアミジニウム、酢酸、トリフルオロ酢酸、ハロゲン化メチルアンモニウム、または水のような、1種以上の添加剤を含有してもよい。鉛塩前駆体は、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。次に、鉛塩薄膜は、ハロゲン化鉛前駆体インク薄膜に関する前述のものと同じ条件下で同じ時間、熱アニールされてもよい。アニール環境は、前述の鉛塩堆積環境および条件と同じ圧力および雰囲気を有してもよい。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3以上のガスおよび20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0066】
鉛塩前駆体が堆積された後、鉛塩薄膜上に第2の塩前駆体(例えば、ヨウ化ホルムアミジニウム、チオシアン酸ホルムアミジニウム、チオシアン酸グアニジニウム)が堆積されてもよい。鉛塩薄膜は、周囲温度とほぼ等しい温度を有してもよく、または0℃から500℃の間の制御された温度を有してもよい。ある実施形態では、第2の塩前駆体は、周囲温度で、または約25℃から125℃の高められた温度で、堆積されてもよい。第2の塩前駆体は、ハロゲン化鉛前駆体インクに関する前述の方法のいずれかにより、堆積されてもよい。第2の塩前駆体の堆積は、第1の塩前駆体に関する前述のものと同じ環境および同じ条件下で実施されてもよい。
【0067】
ある実施形態では、第2の塩前駆体は、1種以上の溶媒(例えば、第1の鉛塩前駆体に関する前述の1種以上の溶媒)を含有する溶液であってもよい。
【0068】
鉛塩前駆体および第2の塩前駆体の堆積後、基板がアニールされてもよい。基板をアニールすることにより、鉛塩前駆体および第2の塩前駆体がペロブスカイト材料(例えば、FAPbI3、GAPb(SCN)3、FASnI3)に変換されてもよい。アニールは、鉛塩堆積環境と同じ環境で、前述の条件と同じ条件下で、実施されてもよい。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3ガス以上20gH2O/m3ガス以下の制御された湿度環境で実施されてもよい。ある実施形態では、アニールは、50℃以上300℃以下の温度で実施されてもよい。
【0069】
例えば、特定の実施形態では、以下のプロセスにより、FAPbI3ペロブスカイト材料が形成されてもよい。まず、無水DMFに溶解された、PbI2とPbCl2のモル比が約90:10であるハロゲン化鉛(II)前駆体が、スピンコーティングまたはスロットダイ印刷により、基板上に堆積されてもよい。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度30%未満で約1時間(±15分)乾燥され、薄膜が形成されてもよい。薄膜は、その後、約50℃(±10℃)の温度で約10分間、熱アニールされてもよい。次に、無水イソプロピルアルコールに溶解された25から60mg/mL濃度のヨウ化ホルムアミジニウムを含むヨウ化ホルムアミジニウム前駆体が、スピンコーティングまたはスロットダイ印刷により、ハロゲン化鉛薄膜上に堆積されてもよい。ハロゲン化鉛前駆体およびヨウ化ホルムアミジニウム前駆体が堆積された後、基板は、約25%相対湿度(約4から7gH2O/m3空気)および約125から200℃の間でアニールされ、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI3)ペロブスカイト材料が形成されてもよい。
【0070】
別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、C’CPbX3を含んでもよい。ここで、C’は、1つ以上の第1族金属(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs)である。特定の実施形態では、M’は、セシウム(Cs)であってもよい。さらに別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、C’vCwPbyXzを含んでもよく、ここで、C’は、1つ以上の第1族金属であり、v、w、y、およびzは、1から20の間の実数を表す。特定の実施形態では、ペロブスカイト材料は、例えば、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、グラビアコーティング、ブレードコーティング、リバースグラビアコーティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷により、PV装置内の活性層として、基板層上に堆積されてもよい。
【0071】
まず、ハロゲン化鉛溶液が形成される。ハロゲン化鉛溶液は、前述のハロゲン化鉛前駆体インクと同じ方法および類似の組成のいずれかで調製されてもよい。他の鉛塩前駆体(例えば、ハロゲン化鉛前駆体インクに関する前述のもの)が、ハロゲン化鉛塩と共に、またはその代わりに使用され、鉛塩溶液が形成されてもよい。
【0072】
次に、第1族金属ハロゲン化物溶液が形成される。制御された雰囲気環境下、清浄な乾燥容器中で、ある量の第1族金属ハロゲン化物が質量採取されてもよい。好適な第1族金属ハロゲン化物には、これに限られるものではないが、ヨウ化セシウム、臭化セシウム、塩化セシウム、フッ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、臭化ルビジウム、塩化ルビジウム、フッ化ルビジウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウムが含まれる。第1族金属ハロゲン化物は、単一種の第1族金属ハロゲン化物を含んでもよく、あるいは第1族金属ハロゲン化物混合物を正確な比率で有してもよい。
【0073】
あるいは、他の第1族金属塩前駆体が、第1族金属ハロゲン化物塩と共に、またはその代わりに使用され、第1族金属の塩溶液が形成されてもよい。好適な前駆体第1族金属塩は、第1族金属と以下のアニオンとの任意の組合せを含んでもよい:硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、二クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアン酸塩、雷酸塩、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタニド、ジシアノニトロソメタニド、ジシアンアミド、トリシアノメタン酸塩、アミド、および過マンガン酸塩。
【0074】
次に、溶媒が容器に添加され、第1族金属ハロゲン化物固体が溶解され、第1族金属ハロゲン化物溶液が形成されてもよい。好適な溶媒は、これに限られるものではないが、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、およびこれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、鉛固体は、乾燥ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解される。第1族金属ハロゲン化物固体は、約20℃から約150℃の間の温度で溶解されてもよい。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物固体は、室温(すなわち、約25℃)で溶解される。第1族金属ハロゲン化物固体は、溶液を形成するため必要な限り、長く溶解されてもよく、これは、最大約72時間にわたって実施されてもよい。得られた溶液は、第1族金属ハロゲン化物溶液を形成する。ある実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液は、約0.001Mから約10Mの間、または約1Mの第1族金属ハロゲン化物濃度を有してもよい。ある実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液は、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ヒドロハロゲン化物(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面改質(SAM)剤(明細書において先に議論されたもの)、またはそれらの組み合わせを有してもよい。
【0075】
次に、ハロゲン化鉛溶液と第1族金属ハロゲン化物溶液とが混合され、薄膜前駆体インクが形成される。ハロゲン化鉛溶液および第1族金属ハロゲン化物溶液は、得られる薄膜前駆体インクが、ハロゲン化鉛のモル濃度の0%から25%の間となる第1族金属ハロゲン化物のモル濃度を有するような比率で、混合されてもよい。特定の実施形態では、薄膜前駆体インクは、ハロゲン化鉛のモル濃度の1%、5%、10%、15%、20%、または25%である第1族金属ハロゲン化物のモル濃度を有してもよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛溶液および第1族金属ハロゲン化物溶液は、混合中または混合後に撹拌されてもよい。
【0076】
次に、薄膜前駆体インクは、前述の任意の堆積手段を介して、所望の基板上に堆積されてもよい。好適な基板層は、本開示において先に特定された任意の基板層を有してもよい。特定の実施形態では、薄膜前駆体インクは、約500 rpmから約10,000rpmの速度で、約5秒から約600秒の時間にわたって、基板上にスピンコーティングされてもよい。一実施形態では、薄膜前駆体インクは、約3000rpmで約30秒間、基板上にスピンコーティングされてもよい。薄膜前駆体インクは、約0%相対湿度から約50%相対湿度の湿度範囲における周囲雰囲気で、基板上に堆積されてもよい。次に、薄膜前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度30%未満または7gH2O/m3未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。
【0077】
次に、薄膜は、約20℃から約300℃の温度で約24時間までの時間、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。次に、ペロブスカイト材料活性層は、変換プロセスによって完成され、該プロセスでは、前駆体膜は、溶媒または溶媒の混合物(例えば、DMF、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルム,クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、水)および塩(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、ヨウ化1,2,2-トリアミノビニルアンモニウム、ヨウ化水素酸5-アミノ吉草酸)を0.001Mから10Mの濃度で含む塩溶液に浸漬され、またはリンスされる。また、特定の実施形態では、ペロブスカイト材料薄膜は、この段落の第1行目と同じ方法で、熱的にポストアニールされてもよい。
【0078】
ある実施形態では、塩溶液は、制御された雰囲気環境において、清浄な乾燥容器中で塩を採取することにより、調製されてもよい。好適な塩には、これに限られるものではないが、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、ヨウ化イミダゾリウム、ヨウ化エテンテトラミン、ヨウ化1,2,2-トリアミノビニルアンモニウム、およびヨウ化水素酸5-アミノ吉草酸が含まれる。他の好適な塩は、「ペロブスカイト材料」という題名の章で前述した任意の有機カチオンが含まれてもよい。塩は、単一の種を有し、または正確な比率の塩混合物を有してもよい。次に、溶媒が容器に添加され、塩固体が溶解され、塩溶液が形成されてもよい。好適な溶媒には、前の段落に記載されたもの、およびそれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、ヨウ化ホルムアミジニウム塩固体がイソプロパノールに溶解される。塩固体は、約20℃から約150℃の間の温度で溶解されてもよい。一実施形態では、塩固体は、室温(すなわち約25℃)で溶解される。塩固体は、溶液を形成するために必要な、できるだけ長い時間にわたって溶解され、これは、最大約72時間にわたって行われてもよい。得られた溶液は、塩溶液を形成する。ある実施形態では、塩溶液は、約0.001Mから約10Mの塩濃度を有してもよい。ある実施形態では、塩溶液は、約1Mの塩濃度を有する。
【0079】
例えば、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、およびヨウ化メチルアンモニウム(MA)塩溶液を用いた前述のプロセスを使用して、一般式CsiMA1-iPbI3を有するペロブスカイト材料が得られてもよい。ここで、iは0から1の間の数に等しい。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ルビジウム溶液、およびヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を使用して、RbiFA1-iPbI3の化学式を有するペロブスカイト材料が得られてもよい。ここで、iは0と1の間の数に等しい。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、およびヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を使用して、CsiFA1-iPbI3の一般式を有するペロブスカイト材料が得られてもよい。ここで、iは、0と1の間の数に等しい。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化カリウム溶液、およびヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を使用して、一般式がKiFA1-iPbI3を有するペロブスカイト材料が得られてもよい。、ここで、iは0から1の数に等しい。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ナトリウム液、およびヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を使用することにより、NaiFA1-iPbI3の一般式を有するペロブスカイト材料が得られてもよい。ここで、iは0から1の間の数に等しい。別の例として、ヨウ化鉛(II)-塩化鉛混合溶液、ヨウ化セシウム溶液、およびヨウ化ホルムアミジニウム(FA)溶液を使用することにより、CsiFA1-iPbI3の一般式を有するペロブスカイト材料が得られ、ここで、iは0から1の間の数に等しく、yは0から3の間の数を表す。
【0080】
特定の実施形態では、前述のハロゲン化鉛溶液は、モル基準で90:10のPbI2対PbCl2の比を有してもよい。上記の方法により、ハロゲン化鉛溶液にヨウ化セシウム(CsI)溶液が添加され、10mol%のCsIを有する薄膜前駆体インクが形成されてもよい。この薄膜前駆体溶液を用いて、前述した方法により、FAPbI3ペロブスカイト材料が製造されてもよい。前述のように、CsI溶液を介してセシウムイオンを添加して、塩化物アニオンおよびセシウム原子が、FAPbI3結晶格子に取り込まれてもよい。これにより、塩化物イオンを添加せず、前述のように、セシウムまたはルビジウムイオンを添加する場合と比較して、より大きな程度の格子収縮が生じ得る。以下の表1には、10mol%ルビジウムおよび20mol%塩化物(例えば、10mol%PbCl2)、10mol%セシウム、および20mol%塩化物を含む10mol%セシウムを含む、FAPbI3ペロブスカイト材料の格子パラメータを示し、ここで、mol%濃度は、ハロゲン化鉛溶液中の鉛原子に対する添加剤の濃度を表す。表1から分かるように、セシウムおよび塩化物を添加したFAPbI3ペロブスカイト材料は、他の2つのペロブスカイト材料試料よりも小さな格子定数を有する。
【0081】
【表1】
また、データには、ルビジウム、セシウムおよび/または塩化物が添加されたFAPbI3ペロブスカイト材料が、Pm3-m立方構造を有することを示す。最大10mol%Rbおよび10mol%Cl、または10mol%Cs、または10mol%Csおよび10mol%Clを含むFAPbI3ペロブスカイトは、立方晶Pm3-m立方晶結晶構造を維持することが観察されている。図5には、表1に示された各サンプルに対応するX線回折パターンを示す。表2乃至4には、表1に示された3つのペロブスカイト材料についてのX線回折ピークおよび強度を提供する。データは、1.5度2θ/分の走査速度で、CuKα放射線源を使用して、Rigaku Miniflex 600上の周囲条件で収集された。
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
表5には、Cu-Kα線照射下での格子定数=6.3375Åの立方晶Pm3-m材料の幾何学的に予想されるX線回析パターンを示す。データから分かるように、10mol%Rbおよび10mol%Cl、10mol%Cs、ならびに10%Csおよび10%Clを用いて製造されたペロブスカイト材料は、それぞれ、立方晶Pm3-mペロブスカイト材料に対して予想されるパターンに一致する回折パターンを有する。
【0085】
【表5】
(ペロブスカイト材料層を形成する方法)
以下、ペロブスカイト材料の製造方法について説明する。そのような方法は、「ペロブスカイト材料」および「ペロブスカイト材料活性層の形成」という章において議論されたものを含む、任意の好適なペロブスカイト材料に適用されてもよい。
【0086】
特定の実施形態では、本方法は、ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップを有し、ここで、ハロゲン化鉛前駆体薄膜を形成するステップは、基板上にハロゲン化鉛前駆体インクを堆積させるステップと、ハロゲン化鉛前駆体インクを乾燥させ、第1の薄膜を形成するステップと、第1の薄膜をアニールするステップと、を有する。いくつかの実施形態では、本方法は、さらに、ペロブスカイト材料層を形成するステップを有し、ペロブスカイト材料層を形成するステップは、ベンジルアンモニウムハロゲン化物前駆体インクを第1の薄膜上に堆積するステップと、ベンジルアンモニウムハロゲン化物前駆体インクを乾燥させるステップと、ハロゲン化ホルムアミジニウム前駆体インクをベンジルアンモニウムハロゲン化物前駆体インク上に堆積するステップと、ホルムアミジニウムハロゲン化物前駆体インクを乾燥させ、第2の薄膜を形成するステップと、第2の薄膜をアニールするステップと、を有する。
【0087】
まず、段落[0061]~[0069]に記載のように、ハロゲン化鉛前駆体インクが形成される。次に、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)が所望の基板上に堆積され得る。好適な基板層は、本開示の先に特定された基板層のいずれかを有してもよい。特定の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)は、NiO薄膜上に堆積される。NiO薄膜の作製方法は、以下に示されている。
【0088】
本願ではNiOおよび/または酸化ニッケルと参照されるが、酸化ニッケルの形成に、ニッケルと酸素の各種比率が使用できることに留意する必要がある。従って、ある実施形態ではNiOに関して説明されるが、そのような説明は、酸素中のニッケルの必要な比率を定義することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、任意の1つ以上のニッケル-酸素化合物を有してもよく、各々は、NixOyで表されるニッケル酸化物比を有する。ここで、xは、約1から100の間の任意の値、整数または非整数であってもよい。ある実施形態では、xは、約1から3であってもよい(これも、整数である必要はない)。同様に、yは、0.1から100の間の任意の値、整数または非整数であってもよい。ある実施形態では、yは、2から4であってもよい(ここでもまた、整数である必要はない)。さらに、NixOyの各種結晶形態は、各種実施形態で存在してもよく、例えば、アルファ、ガンマ、および/または非晶質形態であってもよい。
【0089】
本開示のNiO前駆体インクは、硝酸ニッケルおよび/または酢酸ニッケルを含んでもよく、ジオール、水、およびアルコール-アミンを含む溶媒混合物に溶解された金属硝酸塩または金属酢酸塩を有してもよい。いくつかの実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、水およびアルコールを含む溶媒混合物に溶解された硝酸ニッケルおよび1種以上の金属酢酸塩を含む。他の実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、水、およびアルコール-アミンを含む溶媒混合物に溶解された、酢酸ニッケルおよび1種以上の金属硝酸塩を含むが、硝酸ニッケルを含まない。
【0090】
ある実施形態では、本開示のNiO前駆体インクは、本願に記載されるような他の金属を有してもよい。これらの金属は、NiO前駆体インクに含まれる金属ドーパントに応じて、得られる酸化ニッケル薄膜におけるドーパントとして機能し、正孔輸送または電子輸送の酸化ニッケル薄膜を生じてもよい。NiO前駆体インクを調製するための化合物の例には、これに限られるものではないが、無水硝酸ニッケル、硝酸ニッケル六水和物、硝酸ニッケル九水和物、硝酸ニッケル四水和物、硝酸ニッケル二水和物、および硝酸ニッケルの任意の誘導体水和物、ならびに無水酢酸ニッケル、酢酸ニッケル二水和物、酢酸ニッケル四水和物、および無水硝酸銅、硝酸銅一水和物、硝酸銅セスキ水和物、硝酸銅ヘミペンタ水和物、硝酸銅三水和物、硝酸銅六水和物、および硝酸銅の任意の誘導体水和物、ならびに無水酢酸銅、酢酸銅一水和物が含まれる。特定の実施形態では、本開示のNiO前駆体インクは、アルコール-アミン添加剤を含むジオール溶媒中の硝酸ニッケル(Ni(NO32)、金属酢酸塩、および水の混合物を使用して配合されてもよい。特定の実施形態では、金属酢酸塩は、酢酸ニッケル(Ni(CH3CO22)または酢酸銅(Cu(CH3CO22)の1つ以上であってもよく、さらにアミン、ジアミン、およびアセチルアセトン(およびそれらの誘導体)がNiO前駆体インクに含まれてもよい。
【0091】
ある実施形態では、酸化ニッケル前駆体インクは、エチレングリコール溶媒中に硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、水、およびエタノールアミンの混合物で調合されてもよい。他の実施形態では、酸化ニッケル前駆体インクは、エチレングリコール溶媒中に硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、水、エタノールアミン、およびアセチルアセトンの混合物で配合されてもよい。さらに他の実施形態では、酸化ニッケル前駆体インクは、エチレングリコール溶媒中に硝酸ニッケル、酢酸銅、水、およびエタノールアミンの混合物で配合されてもよい。さらに他の実施形態では、酸化ニッケル前駆体インクは、エチレングリコール溶媒中に硝酸ニッケル、酢酸銅、水、エタノールアミン、およびアセチルアセトンの混合物で配合されてもよい。他の実施形態では、酸化ニッケル前駆体インクは、エチレングリコール溶媒中の硝酸ニッケル、一般式M(CH3CO2yを有する金属酢酸塩;ここで、Mは任意の金属(例えば、Cu、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Se、Te、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Er、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ym、Yb、Lu、Ac、Th、Pa、およびU)であり、yは、金属M(例えば、y=2、ここでMはCu2であり、y=6、ここでMはW6+である)の酸化状態に対応する;水、およびエタノールアミンの混合物で調合されてもよい。ある実施形態では、硝酸ニッケルの水和物(例えば、Ni(NO32・aH2O)、酢酸ニッケルの水和物(例えば、Ni(CH3CO22・bH2O)、酢酸銅の水和物(例えば、Cu(CH3CO22・cH2O)、または金属酢酸の水和物(例えば、M(CH3CO2y・dH2O)が、酸化ニッケル前駆体インク配合物に含有されてもよい。ここで、前述の式におけるa、b、c、およびdは、水和物中のH2O分子の数に対応する。いくつかの実施形態では、NiO前駆体インクを調製するための化合物は、硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO32・6H2O)、酢酸ニッケル四水和物(Ni(CH3CO22・4H2O)、硝酸銅三水和物(Cu(NO32・3H2O)、および酢酸銅一水和物(Cu(CH3CO2)2・H2O)を含んでもよい。
【0092】
NiO前駆体インクを調製するための溶媒の例には、これに限られるものではないが、グリセロール;エチレングリコール;プロピレングリコール;メタノール;エタノール;および例えばアルコールおよびジオールのような、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む任意の他の化合物;アンモニア;アセトン;アセチルアセトン;および少なくとも1つのカルボニル基を含む任意の化合物;エチルアミン;および任意の他のアリールおよびアルキルアミン;エタノールアミン;および少なくとも1つのヒドロキシル基を含む任意のアミン;水;ジ-およびポリアミン;ならびにNiO前駆体インクを調製するための化合物を溶解することに適した他の任意の溶媒の1つ以上、が含まれてもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクを調製する溶媒は、エチレングリコール、エタノールアミン、および水を含んでもよい。
【0093】
特定のある実施形態では、溶媒は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を、体積比で12:1.46:1で有してもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、アルコールアミン、および水からなる溶媒混合物に溶解されたNi(NO32およびNi(CH3CO22で構成される。別の実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、アルコールアミン、および水からなる溶媒混合物に溶解されたNi(NO32および金属酢酸塩(M(CH3CO2y)で構成される。別の実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、アルコールアミン、および水からなる溶媒混合物に溶解されたNi(NO32、Ni(CH3CO22、および金属酢酸塩(M(CH3CO2y)で構成される。別の実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、アルコールアミン、および水からなる溶媒混合物に溶解されたNi(NO32、Ni(CH3CO22、および金属硝酸塩(M(NO3y)で構成される。別の実施形態では、NiO前駆体インクは、ジオール、アルコールアミン、および水からなる溶媒混合物に溶解されたNi(CH3CO22および金属硝酸塩(M(NO3y)で構成される。
【0094】
NiO前駆体インクの調製例は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を、それぞれ5から20:1から5:1から5の体積比で含む溶媒中に、0.7から0.8Mの硝酸ニッケル六水和物および50から110mMの酢酸ニッケル四水和物を含んでもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクの調製は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を12:1.46:1の体積比で含む溶媒中に、0.72Mの硝酸ニッケル六水和物および103mMの酢酸ニッケル四水和物を含んでもよい。ある実施形態では、NiO前駆体インクは、追加で0から20モル%の銅、および0から50モル%の酢酸塩を有してもよい。
【0095】
NiO前駆体インクの別の調製例は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水をそれぞれ、5から20:1から5:1から5の体積比で含む溶媒中に、0.7から0.8Mの硝酸ニッケルおよび50から110 mMの金属酢酸塩を含んでもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクの調製は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を12:1.46:1の体積比で含む溶媒中に、0.72Mの硝酸ニッケル六水和物および103mMの金属酢酸塩を含んでもよい。ある実施形態では、NiO前駆体インクは、追加で、0から20モル%の銅および0から50モル%の酢酸塩を含んでもよい。
【0096】
NiO前駆体インクの別の調製例は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水をそれぞれ、5から20:1から5:1から5の体積比で含む溶媒中に、0.7から0.8Mの硝酸ニッケル六水和物、50から110mMの酢酸ニッケル四水和物、および20から41.3mMの金属硝酸塩を含んでもよい。特定の実施形態では、金属硝酸塩は、硝酸銅三水和物であってもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクの調製は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を12:1.46:1の体積比で含む溶媒中に、0.72Mの硝酸ニッケル六水和物、103mMの酢酸ニッケル四水和物、および30mMの金属硝酸塩を含んでもよい。
【0097】
NiO前駆体インクの別の調製例は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を、それぞれ5から20:1から5:1から5の体積比で含む溶媒中に、0.7から0.8Mの硝酸ニッケル六水和物、50から110mMの酢酸ニッケル四水和物、および20から41.3mMの金属酢酸塩を含んでもよい。一部の実施形態では、金属硝酸塩は、酢酸銅であってもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクの調製は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を12:1.46:1の体積比で含む溶媒中に、0.72Mの硝酸ニッケル六水和物、103mMの酢酸ニッケル四水和物、および30mMの金属酢酸塩を含んでもよい。
【0098】
NiO前駆体インクの別の調製例は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を、それぞれ5から20:1から5:1から5の体積比で含む溶媒中に、0.7から0.8Mの金属硝酸塩および50から110mMの酢酸ニッケル四水和物を含んでもよい。特定の実施形態では、NiO前駆体インクの調製は、エチレングリコール、エタノールアミンおよび水を12:1.46:1の体積比で含む溶媒中に、0.72Mの金属硝酸塩および103mMの酢酸ニッケル四水和物を含んでもよい。
【0099】
NiO前駆体溶液を調製するための例示的な方法は、これに限られるものではないが、以下のステップを有してもよい。まず、ジオールと、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むアミン(「アルコール-アミン」)と、を含む溶媒が調製される。例えば、溶媒は、エチレングリコールにエタノールアミンを混合して調製されてもよい。次に、Ni(NO32・aH2Oが溶媒に添加される。ここで、aは0、4、6、または9であってよい。特定の実施形態では、硝酸ニッケルは、硝酸ニッケル六水和物(a=6)であってもよい。次に、Ni(CH3CO22・bH2Oが混合物に添加される。ここで、bは0、2、または4であってもよい。特定の実施形態では、酢酸ニッケルは、酢酸ニッケル四水和物であってもよい。次に、この混合物に水が添加される。次に、混合物が加熱される。最後に、混合物が冷却され、NiO前駆体インクが形成される。特定の実施形態では、各成分が混合物に添加される場合、混合物は、振動、撹拌、均質化、乱流の組み合わせ、渦混合、または任意の他の知られたの混合方法により、混合されてもよい。特定の実施形態では、NiO層は、不活性雰囲気、または高湿度(例えば、大気1リットル当たり4グラムH2O超)の雰囲気のいずれかで調製されてもよい。ある実施形態では、冷却ステップの前に水が添加され、硝酸ニッケル六水和物の最終濃度は、0.7から0.8Mとなり、酢酸ニッケル四水和物の最終濃度は、50から110mMである。
【0100】
いくつかの実施形態では、NiO薄膜が、電極材料、例えば、FTO基板またはITO基板上に堆積される。一例として、NiO薄膜が電極基板上に堆積されてもよい。特定の実施形態では、基板は、50×50×1.1mmまたは50×50×2.2mmのサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、NiOの堆積前に、酸素プラズマにより電極基板が洗浄される。NiO薄膜は、これに限られるものではないが、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷を含む各種手段により、堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、NiO薄膜は、スロットダイコーティングを用いて電極基板上に堆積される。ハロゲン化鉛前駆体のスロットダイコーティングは、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して約1気圧)、または大気圧もしくは周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)、の各種雰囲気中で実施されてもよい。一例として、NiO前駆体溶液は、スロットダイコーティングを用いて、約0.1から約50mm/s、約1から約25mm/s、または約1から約10mm/sのシャトル速度で、電極基板上に堆積される。特定の実施形態では、NiO前駆体溶液は、スロットダイコーティングを使用して、約4mm/秒のシャトル速度で電極基板上に堆積される。一例では、NiO前駆体溶液の分配速度は、約0.1から約50μl/秒、約1から約25μl/秒、または約1から約10μl/秒である。特定の実施形態では、NiO前駆体溶液の分配速度は、約5.5μl/sである。
【0101】
いくつかの実施形態では、NiO膜は、アニールのため熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルト)上に移動されてもよい。NiO薄膜は、約20℃から約400℃の温度で最大約24時間まで、熱的にアニールされてもよい。特定の実施形態では、NiO薄膜は、310℃で1.5から2時間、熱アニールされてもよい。アニール処理は、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して、約1気圧)、または大気圧もしくは周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気で実施されてもよい。アニール雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。ここで、「制御された湿度環境」は、絶対湿度または相対湿度%が一定の値に保持される環境、または、絶対湿度もしくは相対湿度%が所定の設定値または所定の関数に従って変化する環境を含む。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0102】
次に、いくつかの実施形態では、NiO薄膜を有する電極基板がホットプレートに配置されて、ハロゲン化鉛前駆体インクの堆積前に(例えば、少なくとも5分間または少なくとも10分間)冷却されてもよい。
【0103】
50×50mmの寸法を有する基板およびNiO層に関して説明したが、本願に記載のNiO成膜技術は、50×150mm、または150×150mmを含む各種サイズの基板に適用可能である。またそのような技術は、商業生産に適したサイズを含む、任意の好適なサイズにスケールアップされてもよい。例えば、特定の実施形態では、本願に記載の1つ以上の方法を使用して形成される基板およびNiO層の好適な寸法は、約1mから約2.4mの第1の寸法と、約0.6mから約1.5mの第2の寸法とを有してもよい。当業者には、本開示を享受し、基板およびNiO層(および他のタイプの層)のサイズが所与の材料および用途に対して本開示の技術を用いて調製されてもよいことが理解される。
【0104】
ハロゲン化鉛前駆体インクまたは薄膜前駆体インクは、段落[0070]および[0084]に記載されているように堆積されてもよい。
【0105】
1つ以上の実施形態では、本願に開示のPV装置の1つ以上の層に対して機械的またはレーザスクライビングが実施され、
1つ以上の層の少なくとも一部がアブレーション除去されてもよい。これらの層には、これに限られるものではないが、電極、基板、IFL、NiO層、ペロブスカイト材料層、電荷輸送層、メソポーラス層、非導電層、および/または絶縁層のような他の層が含まれる。特定の実施形態では、PV装置の形成の間に実施されるスクライブの回数は、1から5、1から4、1から3、または1から2回の範囲であってもよい。特定の実施形態では、第1のスクライブ(例えば、P1)は、本願に記載のPV装置の形成中にNiO層をスクライブするステップを有してもよい。特定の実施形態では、第1のスクライブは、例えば、NiO膜を2つ以上のストリップに分離してもよい。別の実施形態では、例えば、第1のスクライブは、ペロブスカイト層が形成され、IFLおよび絶縁層(例えば、フォトレジスト層)が堆積された後に行われてもよい。ある実施形態では、第2のスクライブ(例えば、P2)は、1つ以上のIFLの堆積後に実施されてもよい。特定の実施形態では、第2のスクライブは、PV装置の1つ以上のサブセルの電極の間に電気的接続を形成する経路を開いてもよい。ある実施形態では、第3のスクライブ(例えば、P3)は、電極層に対して実施されてもよい。例えば、特定の実施形態では、第3のスクライブは、2つのサブセルを相互に分離してもよい。特定の実施形態では、例えば、第4のスクライブ(例えば、P4)を実施して、PV装置の長いセルをより小さなセルに分離してもよい。例えば、ある実施形態では、第4のスクライブは、1つ以上の他のスクライブに対して垂直に行われてもよい。当業者には、本開示の利益を得て、所与の装置および用途に好適なスクライブの回数、ならびにそのようなスクライブをいつ、どのように適用するかが理解される。
【0106】
特定の実施形態では、スクライブは、約1から約100、約1から約50、または約5から約30の範囲のパス数を有してもよい。ある実施形態では、1つ以上のスクライブは、約1μmから約1mm、約0.001mmから約0.1mm、または約0.001mmから約0.05mmのピッチを有してもよい。レーザスクライビングを含む1つ以上の実施形態では、スクライブは、約1から約100%の電力、約25から約100%の電力、または約40から約100%の電力で実施されてもよい。一例では、第1のスクライブは、1パスで100%のパワーで実施され、第2のスクライブは、28パスおよび0.008mmピッチで、46.6%のパワーで実施され、第3のスクライブは、10パスおよび0.008mmピッチで45.5%のパワーで実施され、第4のスクライブは、10パスおよび0.01mmピッチで100%のパワーで実施されてもよい。ある実施形態では、第4のスクライブのスクライブは、約0.1mmから約100mmまでのスクライブ間、約1mmから約50mmまでのスクライブ間、および約5mmから約30mmまでのスクライブ間を含んでもよい。レーザスクライビングは、約500nmと約1100nmの間の波長を有するレーザを含んでもよい。特定の実施形態では、レーザスクライビングは、532nmもしくは1068nmの波長、またはそれらの任意の組み合わせを有するレーザを使用して、実施されてもよい。
【0107】
ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、ブレードコーティングによって堆積されてもよい。基板は、周囲温度にほぼ等しい温度を有し、または0℃から500℃の間の制御された温度を有してもよい。一例として、ハロゲン化鉛前駆体溶液は、ブレードコーティングを用いて、ブレードコーターを約0.1mm/秒から約50mm/秒、約1mm/秒から約30mm/秒、または約5mm/秒から約20mm/秒の速度で移動させ、基板上に堆積される。特定の実施形態では、ハロゲン化鉛溶液は、ブレードコーティングを用いて、ブレードコーターを約4mm/sの速度で移動させて堆積される。
【0108】
ハロゲン化鉛前駆体のブレードコーティングは、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して約1気圧)、または大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気中で、実施されてもよい。ブレードコーティングの雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、または上記のガスの任意の組合せを含んでもよい。特定の実施形態では、ブレードコーティングは、相対湿度%が0%以上50%以下の制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、ブレードコーティングは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。次に、ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2)溶液は、ブレードコーティングの前に濾過される。一例として、ヨウ化鉛前駆体インクは、PTFEシリンジフィルタを通して濾過されてもよい。
【0109】
ハロゲン化鉛前駆体は、液体、気体、固体、またはこれらの物質状態の組み合わせ、例えば溶液、懸濁液、コロイド、泡、ゲル、またはエアロゾルであってもよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体は、1つ以上の溶媒を含む溶液であってもよい。例えば、ハロゲン化鉛前駆体は、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、およびそれらの組み合わせの1つ以上を有してもよい。ハロゲン化鉛前駆体は、単一の鉛塩(例えば、ヨウ化鉛(II)、チオシアン酸鉛(II))、または本願に開示の任意の組み合わせ(例えば、PbI2+PbCl2;PbI2+Pb(SCN)2)を有してもよい。ハロゲン化鉛前駆体は、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸ヨウ化水素酸)、1,8-ジヨードオクタン、1,8-ジチオオクタン、ハロゲン化ホルムアミジニウム、酢酸、トリフルオロ酢酸、ハロゲン化メチルアンモニウム、または水のような1つ以上の添加剤を有してもよい。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。
【0110】
ブレードコーティングの後、薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。アニール処理は、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して、約1気圧)、または大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気で実施されてもよい。アニール雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。制御された湿度環境は、絶対湿度または相対湿度%が固定値に保持される環境、あるいは絶対湿度または相対湿度%が所定の設定点または所定の関数に従って変化する環境を含んでもよい。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0111】
次に、変換プロセスにより、ペロブスカイト材料が完成されてもよい。このプロセスでは、前駆体膜は、0.001Mから10Mの濃度の溶媒または溶媒の混合物(例えば、DMF、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、水)、および塩(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、ヨウ化1,2,2-トリアミノビニルアンモニウム、ヨウ化水素酸5-アミノ吉草酸)を含む溶液に浸漬され、またはリンスされる。変換プロセスは、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して約1気圧)、あるいは大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気で実施されてもよい。変換雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、変換プロセスは、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境において実施されてもよい。他の実施形態では、変換プロセスは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0112】
特定の実施形態では、薄膜は、他のアニール処理ステップに関して前述した各種実施形態および環境において、熱的にポストアニール処理されてもよい。
【0113】
いったんハロゲン化鉛薄膜が堆積されると、ハロゲン化鉛薄膜を含む基板は、BzAI溶液の1つ以上のコーティングで被覆され、その後、FAI溶液の1つ以上のコーティングで被覆されてもよい。他の実施形態では、ハロゲン化鉛薄膜は、BzAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびFAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびこれらの任意の組み合わせで被覆されてもよい。一例では、BzAI溶液および/またはFAI溶液は、スロットダイコーティングを用いて、約0.1から約50mm/秒、約1から約25mm/秒、または約1から約10mm/秒のシャトル流速で、ハロゲン化鉛薄膜上にコーティングされる。特定の実施形態では、BzAI溶液および/またはFAI溶液は、スロットダイコーティングを用いて約12mm/秒のシャトル流速で、電極基板上に堆積される。一例では、BzAI溶液および/またはFAI溶液のスロットダイコーティング分配速度は、約0.1から約50μl/秒、約1から約25μl/秒、または約1から約10μl/秒である。特定の実施形態では、BzAI溶液および/またはFAI溶液のスロットダイコーティング分配速度は、約5.5μl/秒である。特定の実施形態では、BzAIおよび/またはFAI溶液は、ブレードコーティングを用いて、ブレードコーターを約0.1mm/秒から約50mm/秒、約1mm/秒から約30mm/秒、または約5mm/秒から約20mm/秒の速度で移動させて堆積される。特定の実施形態では、BzAIおよび/またはFAI溶液は、ブレードコーティングを用いて、ブレードコーターを約4mm/秒の速度で移動させて堆積される。BzAIおよび/またはFAI溶液のコーティング雰囲気は、周囲空気、制御された湿度雰囲気(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、または上記のガスの任意の組合せを含んでもよい。特定の実施形態では、スロットダイまたはブレードコーティングは、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、スロットダイまたはブレードコーティングは、0gH2O/m3以上および20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。次に、BzAIおよび/またはFAI溶液は、実質的に水分を含まない雰囲気、すなわち30%未満の相対湿度で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。次に、BzAIおよび/またはFAI溶液は、実質的に水分を含まない雰囲気、すなわち、30%未満の相対湿度で乾燥され、薄い膜が形成されてもよい。
【0114】
次に、基板は、アニール処理のために熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルト)に移動されてもよい。次に、BzAIおよび/またはFAI溶液で被覆した後、薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱アニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。アニール処理は、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して、約1気圧)、あるいは大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気中で実施されてもよい。アニール雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。制御された湿度環境は、絶対湿度もしくは相対湿度%が固定値に維持された環境、あるいは絶対湿度もしくは相対湿度%が所定の設定点もしくは所定の関数に従って変化する環境を含んでもよい。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0115】
図6は、特定の実施形態によるブレードコーティング設備の概略図である。まず、NiO膜を含む1つ以上の基板上に、ハロゲン化鉛前駆体インクが堆積され、その後アニールされハロゲン化鉛膜が形成される。図6に示す例では、NiO膜を有するサンプル基板が、ITOダミー基板とブレードとの間に配置される。特定の実施形態では、サンプル基板とダミー基板の両方は、50×50mmの寸法を有してもよい。他の実施形態では、基板は、異なるサイズを有してもよく、本開示の利益を有する当業者には、所与の堆積プロセスに適したサイズが理解される。2つの基板は相互に押しつけられ、真空が印加され、基板同士は、確実に隙間なく接触される。次に、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えばPbI2溶液)がブレードに接続され、ブレードコーターは、一定速度(例えば14mm/s)で前進するように設定される。ブレードがITOダミー基板上の特定の位置(例えば、ダミー基板の最小3/4)に到達した後、ブレードコーターは、元の位置に戻るように設定され、同時に真空がオフにされる。次に、サンプル基板がブレードコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。
【0116】
次に、ペロブスカイト材料層を形成するため、1つ以上の基板上のハロゲン化鉛薄膜が、図6に示す構成におけるブレードコーター上に戻され、最初にBzAI溶液の1コーティングで被覆され、続いてFAI溶液の3コーティングで被覆される。BzAI溶液およびFAI溶液の各コーティングの堆積後、次のコーティングの堆積前にコーティングが乾燥される。BzAIおよびFAI溶液は、FAIおよびBzAIをIPAに溶解することにより、前述の方法で調製されてもよい。一例では、BzAI溶液は、一定の速度(例えば、12mm/秒)でヨウ化鉛薄膜上にコーティングされる。ブレードがITOダミー基板上の特定の位置(例えば、ダミー基板の最小3/4)に到達した後、ブレードコーターは、元の位置に戻るように設定される。次に、FAI溶液がブレードコーターに接続され、一定速度(例えば12mm/s)でヨウ化鉛膜上にFAI溶液がコーティングされる。ブレードがITOダミー基板上の特定の位置(例えば、ダミー基板の最小3/4)に到達した後、ブレードコーターは、元の位置に戻るように設定される。FAIコーティングプロセスは、1回、2回、3回、またはそれ以上繰り返されてもよい。一例では、FAIの3つのコーティングがBzAI溶液上に積層される。次に、サンプル基板がブレードコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたって、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約157℃の温度で約5分間熱アニールされてもよい。
【0117】
図7は、ペロブスカイト材料層を形成するための別のブレードコーティング設備の概略図である。まず、NiO膜を含む1つ以上の基板上にハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)が堆積され、次にアニールされハロゲン化鉛膜が形成される。図7に示す例では、ブレードコーター上に150×50mmの大きさのダミー基板が配置され、次にダミー基板とブレードの間に、NiO膜を有する基板が配置すされる。2つの基板が相互に押し付けられ、真空が印加され、基板は、確実に隙間なく接触される。次に、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)がブレードに接続され、ブレードコーターは、一定速度(例えば、5mm/s)で前進するように設定される。ブレードがITOダミー基板上の特定の位置(例えば、ダミー基板の最小3/4)に到達した後、ブレードコーターは、元の位置に戻るように設定され、同時に真空がオフにされる。次に、サンプル基板がブレードコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。
【0118】
次に、ペロブスカイト材料層を形成するため、1つ以上の基板上のハロゲン化鉛薄膜は、図7に示す構成のブレードコーター上に戻され、最初にBzAI溶液の1コーティング、次にFAI溶液の3コーティングで被覆される。BzAI溶液およびFAI溶液の各コーティングの堆積後、次のコーティングの堆積前にコーティングが乾燥される。BzAIおよびFAI溶液は、前述の方法で調製されてもよい。一例では、BzAI溶液は、一定の速度(例えば、7mm/s)でヨウ化鉛薄膜上にコーティングされる。次に、ブレードコーターにFAI溶液が接続され、一定速度(例えば7mm/s)でヨウ化鉛膜上にFAI溶液がコーティングされる。FAIコーティングプロセスは、1回、2回、3回、またはそれ以上繰り返されてもよい。一例では、FAIの3つのコーティングがBzAI溶液上に積層される。次に、サンプル基板がブレードコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約157℃の温度で約5分間熱アニールされてもよい。
【0119】
ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、スロットダイコーティングにより成膜されてもよい。ハロゲン化鉛前駆体のスロットダイコーティングは、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して約1気圧)、あるいは大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気中で実施されてもよい。一例として、ハロゲン化鉛前駆体溶液は、スロットダイコーティングを用いて、約0.1から約50mm/秒、約1から約25mm/秒、または約1から約10mm/秒のシャトル速度で基板上に堆積される。特定の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体溶液は、スロットダイコーティングを使用して、約12mm/秒のシャトル速度で電極基板上に堆積される。一例において、ハロゲン化鉛前駆体溶液の分配速度は、約0.1から約50μl/s、約1から約25μl/s、または約1から約10μl/sである。特定の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体溶液の分配速度は、約5.5μl/sである。
【0120】
スロット-ダイコーティング雰囲気は、周囲空気、制御湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、または上記のガスの任意の組合せを含んでもよい。特定の実施形態では、スロットダイコーティングは、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、スロットダイコーティングは、0gH2O/m3以上、20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。次に、ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)は、スロットダイコーティングの前に濾過される。一例として、ヨウ化鉛前駆体インクは、PTFEシリンジフィルタを通して濾過されてもよい。次に、ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)は、スロットダイコーティングの前に濾過される。一例として、ヨウ化鉛前駆体インクは、PTFEシリンジフィルタを通して濾過されてもよい。
【0121】
ハロゲン化鉛前駆体は、液体、気体、固体、またはこれらの物質状態の組み合わせ、例えば溶液、懸濁液、コロイド、泡、ゲル、またはエアロゾルであってもよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体は、1つ以上の溶媒を含有する溶液であってもよい。例えば、ハロゲン化鉛前駆体は、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、およびそれらの組み合わせの1つ以上を含んでもよい。ハロゲン化鉛前駆体は、単一の鉛塩(例えば、ヨウ化鉛(II)、チオシアン酸鉛(II))、または本願に開示の任意の組み合わせ(例えば、PbI2+PbCl2;PbI2+Pb(SCN)2)を有してもよい。またハロゲン化鉛前駆体は、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸ヨウ化水素酸)、1,8-ジヨードオクタン、1,8-ジチオオクタン、ハロゲン化ホルムアミジニウム、酢酸、トリフルオロ酢酸、ハロゲン化メチルアンモニウム、または水のような1つ以上の添加剤を有してもよい。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち相対湿度30%未満で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。
【0122】
スロットダイコーティングの後、薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。アニール処理は、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して、約1気圧)、あるいは大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気で実施されてもよい。アニール雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。制御された湿度環境は、絶対湿度または相対湿度%が固定値に維持される環境、または、絶対湿度または相対湿度%が所定の設定点または所定の関数に従って変化する環境を含んでもよい。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0123】
次に、ペロブスカイト材料は、変換プロセスにより完成されてもよい。該変換プロセスでは、前駆体膜が、0.001Mから10Mの濃度の溶媒または溶媒の混合物(例えば、DMF、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルム、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、水)、および塩(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、ヨウ化1,2,2-トリアミノビニルアンモニウム、ヨウ化水素酸5-アミノ吉草酸)を含む溶液に浸漬されまたはリンスされる。変換プロセスは、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して約1気圧)、または大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気中で実施されてもよい。変換雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、変換プロセスは、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境において実施されてもよい。他の実施形態では、変換プロセスは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。特定の実施形態では、薄膜は、他のアニール処理ステップに関する前述の各種実施形態および環境において、熱的にポストアニール処理されてもよい。
【0124】
いったんハロゲン化鉛薄膜が堆積されると、ハロゲン化鉛膜を含む基板は、BzAI溶液の1つ以上のコーティングで被覆され、その後FAI溶液の1つ以上のコーティングで被覆されてもよい。他の実施形態では、ハロゲン化鉛薄膜は、BzAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびFAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびそれらの任意の組み合わせで被覆されてもよい。一例では、BzAI溶液および/またはFAI溶液は、スロットダイコーティングを用いて、約0.1から約50mm/秒、約1から約25mm/秒、または約1から約10mm/秒のシャトル流速で、ハロゲン化鉛薄膜上にコーティングされる。特定の実施形態では、BzAI溶液および/またはFAI溶液は、スロットダイコーティングを用いて、約12mm/秒のシャトル流速で堆積される。一例では、BzAI溶液および/またはFAI溶液のスロットダイコーティングの分配速度は、約0.1から約50μl/秒、約1から約25μl/秒、または約1から約10μl/秒である。特定の実施形態では、BzAI溶液および/またはFAI溶液のスロットダイコーティングの分配速度は、約5.5μl/秒である。特定の実施形態では、BzAIおよび/またはFAI溶液は、ブレードコーティングを用いて、ブレードコーターを約0.1mm/秒から約50mm/秒、約1mm/秒から約30mm/秒、または約5mm/秒から約20mm/秒の速度で移動するように設定して、堆積される。特定の実施形態では、BzAIおよび/またはFAI溶液は、ブレードコーティングを用いて、ブレードコーターを約4mm/秒の速度で移動させするように設定して、堆積される。BzAIおよび/またはFAI溶液のコーティング雰囲気は、周囲空気、制御された湿気雰囲気(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、または上記のガスの任意の組合せを含んでもよい。特定の実施形態では、スロットダイまたはブレードコーティングは、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、スロットダイまたはブレードコーティングは、0gH2O/m3以上、20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。次に、BzAIおよび/またはFAI溶液は、実質的に水分を含まない雰囲気、すなわち30%未満の相対湿度で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。次に、BzAIおよび/またはFAI溶液は、実質的に水分を含まない雰囲気、すなわち30%未満の相対湿度で乾燥され、薄膜が形成されてもよい。
【0125】
次に、基板は、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。次に、BzAIおよび/またはFAI溶液で被覆された後、薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱アニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。アニール処理は、周囲圧力(例えば、高度および大気条件に依存して、1気圧)、または大気圧または周囲より低い圧力(例えば、1mTorrから500mTorr)の各種雰囲気で実施されてもよい。アニール雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、0から100gH2O/m3のガス)、純アルゴン、純窒素、純酸素、純水素、純ヘリウム、純ネオン、純クリプトン、純CO2、またはこれらのガスの任意の組み合わせを含んでもよい。制御された湿度環境は、絶対湿度または相対湿度%が固定値に維持される環境、あるいは絶対湿度または相対湿度%が所定の設定点または所定の関数に従って変化する環境を含んでもよい。特定の実施形態では、アニール処理は、0%以上50%以下の相対湿度%を有する制御された湿度環境で実施されてもよい。他の実施形態では、アニールは、0gH2O/m3以上20gH2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で実施されてもよい。
【0126】
図8は、ペロブスカイト材料層を製造するためのスロットダイコーティング設備の概略図である。図8に示す例では、スロットダイコーターには、各々が50×150mmのサイズを有する3枚の水平サンプル基板が150mmの4枚のダミー基板とともに、図8に示すように配置される。他の実施形態では、基板は、異なるサイズを有してもよく、本開示の利益を有する当業者には、所与のスロットダイコーティングプロセスに適したサイズが理解される。次に、ハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)が、一定のシャトル速度(例えば、12mm/s)で基板上に堆積される。次に、サンプル基板は、スロットダイコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールされてもよい。
【0127】
次に、ペロブスカイト材料層を形成するため、図8の構成のダミー基板を有するスロットダイコーター上に、ハロゲン化鉛薄膜を含むサンプル基板が戻され、その後BzAI溶液の1コーティング、続いてFAI溶液の3コーティングで被覆される。他の実施形態では、ハロゲン化鉛薄膜は、BzAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびFAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびそれらの任意の組み合わせで被覆されてもよい。一例では、BzAI溶液は、一定のシャトル流速(例えば、8mm/s)で、ヨウ化鉛薄膜上にコーティングされる。次に、FAI溶液がスロットダイコーターに接続され、一定のシャトル速度(例えば、8mm/s)でFAI溶液がヨウ化鉛薄膜上にコーティングされる。この例では、FAIの3つのコーティングが堆積されるまで、本プロセスが繰り返される。次に、サンプル基板は、スロットダイコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約157℃の温度で約5分間熱アニールされてもよい。
【0128】
図10は、ペロブスカイト材料層を製造するためのスロットダイコーティング設備の概略図である。本実施形態では、レーザスクライビング装置を用いて、基板上のNiO層に対して第1のスクライブが実施される。この例では、第1のスクライブは、100%の電力での1パスを含むが、スクライブパラメータは、前述のように(機械的なスクライブの使用を含めて)変化し得る。さらに、第1のスクライブは、以下に説明するように、C60およびバソキュプロイン層の堆積後まで保留されてもよい。次に、スクライブされたNiOサンプル基板は、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。NiO膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、NiO膜は、約310℃の温度で約30分間熱アニールされてもよい。次に、予め調製されたハロゲン化鉛溶液(上記の議論に従って調製される)が、15%湿度環境で濾過される。次に、150×150mmのサイズを有するスクライブされたNiO基板は、図10に配置されるように、4つの50×150mmのダミー基板と共にスロットダイコーターに配置される。他の実施形態では、基板は、異なるサイズを有してもよく、本開示の利益を有する当業者には、所与のスロットダイコーティングプロセスに適したサイズが理解される。次に、濾過されたハロゲン化鉛前駆体インク(例えば、PbI2溶液)が、25%の湿度で、一定のシャトル速度(例えば、12mm/s)で基板上に堆積される。次に、サンプル基板がスロットダイコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛薄膜は、約50℃の温度で10分間熱アニールされてもよい。
【0129】
次に、ペロブスカイト材料層を形成するため、ハロゲン化鉛薄膜を含むサンプル基板は、図10の構成のダミー基板を有するスロットダイコーター上に戻され、その後、BzAI溶液の1コーティング、続いてFAI溶液の3コーティングで被覆される。他の実施形態では、ハロゲン化鉛薄膜は、BzAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびFAI溶液の1、2または3回のコーティング、およびそれらの任意の組み合わせで被覆されてもよい。一例では、BzAI溶液は、一定のシャトル流速(例えば、8mm/s)でヨウ化鉛薄膜上にコーティングされる。次に、FAI溶液がスロットダイコーターに接続され、一定のシャトル速度(例えば、8mm/s)で、FAI溶液がヨウ化鉛薄膜上にコーティングされる。この例では、FAIの3つのコートが堆積されるまで、本プロセスが繰り返される。次に、サンプル基板がスロットダイコーターから取り出され、熱源(例えば、ホットプレート、IRランプ、対流オーブン、コンベアベルトのように)を介してアニールされてもよい。薄膜は、約20℃から約300℃の温度で最大約24時間の期間にわたり、熱的にアニールされてもよい。一実施形態では、薄膜は、約157℃の温度で約5分間熱アニールされてもよい。次に、基板は、C60層で被覆され、続いてバソキュプロイン(BCP)層で被覆される。C60層およびバソキュプロイン(BCP)層は、これに限られるものではないが、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷を含む各種手段によって堆積することができる。ある実施形態では、C60層は、約0.1から1000nmの厚さであってもよく、バソキュプロイン(BCP)層は、約0.1から約1000nmの厚さであってもよい。例えば、C60層は、30nmの厚さであり、バソキュプロイン(BCP)層は、約15nmの厚さであってもよい。特定の実施形態では、NiO層に対して第1のスクライブが実施されなかった場合、その後絶縁層(例えば、フォトレジスト層)が堆積され、第1のスクライブは、絶縁層上で実施されてもよい。
【0130】
次に、基板および薄膜層の端部を手でスクライブするとともに、第2のスクライブが実施されてもよい。特定の実施形態では、第2のスクライブは、約1から約100回、約1から約50回、または約5から約30回の範囲のパス数を含んでもよい。ある実施形態では、第2のスクライブは、約1μmから約1mm、約0.001mmから約0.1mm、または約0.001mmから約0.05mmのピッチを含んでもよい。レーザスクライビングを含む1つ以上の実施形態では、第2のスクライビングは、約1から約100%の電力、約25から約100%の電力、または約40から約100%の電力で実施されてもよい。一例では、第2のスクライブは、28パスおよび0.008mmのピッチで、46.6%の出力で実施されてもよい。第2のスクライブは、レーザまたは機械的なスクライブによって実施されてもよい。
【0131】
次に、銅電極層およびアルミナ層が成膜されてもよい。銅層およびアルミナ層は、これに限られるものではないが、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、スクリーン印刷、またはインクジェット印刷を含む各種手段により、堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、銅層およびアルミナ層は、それぞれ約0.1nmから1,000nmの厚さであってもよい。例えば、銅層は、400nmの厚さであってもよい。
【0132】
次に、第3のスクライブが実施されてもよい。特定の実施形態では、第3のスクライブは、約1から約100回、約1から約50回、または約5から約30回の範囲のパス数を含んでもよい。ある実施形態では、第3のスクライブは、約1μmから約1mm、約0.001mmから約0.1mm、または約0.001mmから約0.05mmのピッチを含んでもよい。レーザスクライビングを含む1つ以上の実施形態では、第3のスクライビングは、約1から約100%の電力、約25から約100%の電力、または約40から約100%の電力で実施されてもよい。一例では、第3のスクライブは、28パスおよび0.008mmピッチで、46.6%の出力で実施されてもよい。第3のスクライブは、レーザまたは機械的なスクライブによって実施されてもよい。
【0133】
次に、第4のスクライブが実施されてもよい。ある実施形態では、第4のスクライブは、約1から約100回、約1から約50回、または約5から約30回の範囲のパス数を含んでもよい。ある実施形態では、第4のスクライブは、約1μmから約1 mm、約0.001mmから約0.1mm、または約0.001mmから約0.05mmのピッチを含んでもよい。レーザスクライビングを含む1つ以上の実施形態では、第4のスクライビングは、約1から約100%の電力、約25から約100%の電力、または約40から約100%の電力で実施されてもよい。一例では、第4のスクライブは、10回のパスおよび0.01mmのピッチで、100%の電力で実施されてもよい。第4のスクライブは、レーザまたは機械的なスクライブによって実施されてもよい。
【0134】
主として50×50mm、50×150mm、または150×150mmの寸法を有する基板およびペロブスカイト材料層に関して説明したが、本願に記載の技術は、任意の好適なサイズ(例えば、商業生産に適したサイズ)にスケールアップされてもよい。例えば、特定の実施形態では、本願に記載の1つ以上の方法を使用して形成される基板およびペロブスカイト材料層の好適な寸法は、約1mから約2.4mの第1の寸法、および約0.6mから約1.5mの第2の寸法を有してもよい。本開示の利益を有する当業者には、所与の材料および用途に対して本開示の技術を用いて調製された基板およびペロブスカイト材料層(および他の種類の層)のサイズが理解される。
【0135】
特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して、多くの修正、改変、および変更が可能である。本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の文言およびその均等物によって規定される全範囲を網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】