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特表2024-545755温度に基づく制御を有するエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】温度に基づく制御を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20241204BHJP
   A24F 40/90 20200101ALI20241204BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534692
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2022085292
(87)【国際公開番号】W WO2023110704
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214678.1
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】アペトレイ ビルザ クリスティナ
(72)【発明者】
【氏名】ボローニャ マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】コロット ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】デュクロス マクシム ジョルジュ
(72)【発明者】
【氏名】イシ グレゴリ
(72)【発明者】
【氏名】スタンコヴィキ フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】ユテュリー ジェローム
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AB21
4B162AD20
4B162AD22
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、吸入可能なエアロゾルの体験をユーザーに提供するなど、エアロゾル形成基体が空洞内に受容された時に、エアロゾル形成基体を加熱するように配置された電気ヒーターと、第一の体験と第二の体験の間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験および第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、第一の期間および第一の期間の後の第二の期間中に、再充電可能電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御するように配設されたコントローラーと、を備える、エアロゾル発生装置に関する。コントローラーは、第一の期間に、体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定し、第一の期間中に電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するためにかかった時間を判定することによって、第一の期間中の電気ヒーターの温度上昇速度を判定するように配設されている。コントローラーは、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するようにさらに配設される。本発明は、エアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムに関する。本発明は、エアロゾル発生装置を制御する方法および方法を実行するコンピュータプログラムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、
吸入可能なエアロゾルの体験をユーザーに提供するように、前記エアロゾル形成基体が前記空洞内に受容されたときに前記エアロゾル形成基体を加熱するように配設された電気ヒーターと、
第一の体験と第二の体験の間に中間の再充電を行わずに、少なくとも前記第一の体験および前記第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、
第一の期間および前記第一の期間の後の第二の期間中に前記再充電可能電源から前記電気ヒーターへの電力供給を制御するように配設されたコントローラーと、を備え、
前記コントローラーが、前記第一の期間に、前記体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定し、前記第一の期間中に前記電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するのにかかった時間を判定することによって、前記第一の期間中の前記電気ヒーターの温度上昇速度を判定するように配設され、
前記コントローラーが、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また前記第一の期間中の前記電気ヒーターの前記判定された温度上昇速度に基づいて、前記第二の期間中に前記電源から前記電気ヒーターへの電力供給を調整するように配設される、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記コントローラーが、電気貯蔵要素を備え、前記コントローラーが、現在の体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを保存するように配設され、前記コントローラーが、最後に使用された加熱プロファイルを保存するようにさらに配設される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記コントローラーが、体験が第二の体験であることを検出した場合、前記コントローラーが、先の前記第一の体験で使用される前記加熱プロファイルに従って、前記電源から前記電気ヒーターに電力を供給するように配設される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記コントローラーが、体験が第一の体験であることを検出した場合、
前記コントローラーが、前記電気ヒーターの初期温度に基づいて、かつ前記第一の期間中の前記電気ヒーターの前記判定された温度上昇速度に基づいて、前記第二の期間中に前記電源から前記電気ヒーターへの電力供給を調整するように配設される、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記コントローラーが、前記電気ヒーターの初期温度を決定するように配設され、前記コントローラーが、前記電気ヒーターの初期温度が所定の温度閾値を上回る場合に、最後に使用された加熱プロファイルに従って、前記電源から前記電気ヒーターに電力を供給するようにさらに配設されている、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記コントローラーが、前記電気ヒーターの初期温度を決定するように配設され、前記コントローラーが、前記電気ヒーターの初期温度が前記所定の温度閾値を下回る場合、前記第一の期間中に前記電気ヒーターの前記判定された温度上昇速度に基づいて、前記第二の期間中に第一の加熱プロファイルまたは第二の加熱プロファイルに従って、前記電源から前記電気ヒーターに電力を供給するように配設されている、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記判定された時間が第一の閾値を上回る時に、前記コントローラーが、前記第二の期間中に第一の加熱プロファイルに従って、前記電源から前記電気ヒーターに電力を供給するように配設されている、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記判定された時間が前記第一の閾値を下回る時に、前記コントローラーが前記第二の期間中に前記電源から前記電気ヒーターへ電力を供給するように配設され、前記第二の加熱プロファイルでは、前記第一の加熱プロファイルよりも多くの電力が前記電気ヒーターに送達される、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記判定された時間が第二の閾値を下回る時に、前記コントローラーが前記第二の期間中に前記電源から前記電気ヒーターへの電力の供給を阻止するように配設され、前記第二の閾値が前記第一の閾値より小さい、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記コントローラーが、周囲温度を判定するように配設され、前記コントローラーが、前記判定された周囲温度が前記周囲温度閾値を下回る時に、第二の加熱プロファイルに従って、前記電源から前記電気ヒーターに電力を供給するように配設されている、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記エアロゾル形成基体が、たばこを含む、請求項11に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、第一の体験と第二の体験との間に中間の再充電を行わずに、少なくとも前記第一の体験と前記第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、前記エアロゾル形成基体が前記空洞内に受容されている時に、エアロゾル形成基体を加熱するように配設された電気ヒーターとを有するエアロゾル発生装置を制御する方法であって、前記方法が、
第一の期間中、前記電源から前記電気ヒーターへの電力供給を制御する工程と、
前記第一の期間において、前記体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定する工程と、
前記電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するのにかかった時間を判定することによって、前記第一の期間中に前記電気ヒーターの温度上昇速度を判定する工程と、
前記第一の期間後の第二の期間中に前記電源から前記電気ヒーターへの電力の供給を調整する工程であって、前記第二の期間中の前記電源から前記電気ヒーターへの前記電力の供給が、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また前記第一の期間中の前記判定された温度上昇速度に基づいて調整される、調整する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記第一の期間中に前記電源から前記電気ヒーターへの電力供給を制御する前記工程が、前記第一の期間中、前記電源から前記電気ヒーターに一定の速度で電力を供給することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータまたは他の処理装置上で実行される時に、請求項13または14のいずれかの方法を実行するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定された電気ヒーターの温度に基づいて、電気ヒーターへの電力の供給を制御するように配設されたコントローラーを有するエアロゾル発生装置に関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムに関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動するエアロゾル発生システムである。公知の手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムは一般に、電池と、制御電子回路と、エアロゾル発生装置で使用するために特別に設計されたエアロゾル発生物品を加熱するための電気ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を備える。一部の実施例において、エアロゾル形成基体は、たばこプラグなどのプラグの形態であり、またエアロゾル発生装置内に包含された電気ヒーターは、喫煙物品がエアロゾル発生装置の中に挿入されている時に、エアロゾル形成基体の中に挿入されている。
【0003】
典型的に、エアロゾル発生装置は、所定の加熱プロファイルに従って電気ヒーターを使用して熱を発生するように構成されている。しかしながら、エアロゾル形成基体の変化は、ユーザー体験において望ましくない変化をもたらす場合がある。例えば、高湿度環境において、エアロゾル形成基体は高い含水量を呈する場合がある。水はエアロゾル発生装置の典型的な動作温度でエアロゾル化されるため、高い含水量はユーザーによって知覚される不必要に高いエアロゾル温度をもたらす場合がある。
【0004】
高い含水量はまた、ユーザー体験の開始時により低い温度上昇速度をもたらし得る。それ故に、この温度上昇速度は、エアロゾル形成基体が通常の含水量または高い含水量を有するかどうかを判定するために使用されてもよい。コントローラーは、判定された温度上昇速度に基づいて、電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するように配設されている。
【0005】
エアロゾル発生装置の通常の使用中、温度上昇速度の判定だけでは、エアロゾル形成基体の含水量に関する信頼できる結論を引き出すのに十分ではない場合がある状況が発生することが観察されている。
【0006】
エアロゾル発生装置は、オンボード電源の中間の再充電を行わずに、ユーザーに二つ以上のユーザー体験を提供し得る。複数のユーザー体験を可能にするエアロゾル発生装置は、全動作サイクル全体を通して一貫したエアロゾル形成を可能にする新しい課題につながる場合があることが認識されている。
【0007】
周知のエアロゾル発生装置に伴う不都合の少なくとも一部を軽減または克服するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。
【0008】
適切な加熱プロファイルを選択できるように、エアロゾル形成基体の含水量に関してより信頼できる結論を引き出すことを可能にするエアロゾル発生装置を提供することが望ましい。
【0009】
中間の再充電を必要とせずに、複数のユーザー体験を提供するエアロゾル発生装置に対して、特に適切な加熱プロファイルを選択することを可能にするエアロゾル発生装置を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態によると、エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、ユーザーに吸入可能なエアロゾルの体験を提供するなど、エアロゾル形成基体が空洞内に受容されている時にエアロゾル形成基体を加熱するように配設された電気ヒーターとを備えるエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置はまた、第一の体験と第二の体験との間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験および第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、第一の期間中および第一の期間の後の第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御するように配設されたコントローラーとを備える。
【0011】
コントローラーは、第一の期間に、体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定し、第一の期間中に電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するためにかかった時間を判定することによって、第一の期間中の電気ヒーターの温度上昇速度を判定するように配設されている。
【0012】
コントローラーは、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するようにさらに配設される。
【0013】
有利なことに、判定された温度上昇速度は、空洞内に受容されたエアロゾル形成基体の含水量を示す場合がある。判定された比較的低い温度上昇速度は、比較的高い含水量を示す場合がある。判定された比較的高い温度上昇速度は、比較的低い含水量を示す場合がある。有利なことに、判定された温度上昇速度に基づいて、コントローラーは、後続の第二の期間中に電気ヒーターへの電力の供給を変化させて電気ヒーターのさらなる加熱を調整する。
【0014】
第一の期間は、エアロゾル形成基体の広範な含水量にわたる、電気ヒーターの測定可能な温度上昇を確実にするために十分に長いことが好ましい。第一の期間は少なくとも約1秒であることが好ましく、少なくとも約2秒であることがより好ましく、少なくとも約3秒であることがより好ましい。
【0015】
第一の期間は、所望のユーザー体験を提供するために第二の期間中に電気ヒーターへの電力の供給をコントローラーが変える前の時間を最小化するために十分に短いことが好ましい。第一の期間は約15秒未満であることが好ましく、約14秒未満であることがより好ましく、約13秒未満であることがより好ましく、約12秒未満であることがより好ましく、約11秒未満であることがより好ましく、約10秒未満であることがより好ましい。
【0016】
コントローラーは、電気ヒーターの所定の温度上昇が生じるためにかかった時間を判定することによって電気ヒーターの温度上昇速度を判定するように配設されてもよい。コントローラーは、第一の期間の一部分中に電気ヒーターの温度上昇速度を判定するように配設されてもよい。コントローラーは、第一の期間中に電気ヒーターの温度を第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するためにかかった時間を判定するように配設されてもよく、判定された時間は、判定された温度上昇速度である。
【0017】
第一の所定の温度は、任意の予想される周囲温度を上回ることが好ましい。有利なことに、周囲温度を上回る第一の所定の温度は、電気ヒーターの判定された温度上昇速度での周囲温度の任意の変化を最小化するまたは無くす場合がある。第一の所定の温度は少なくとも摂氏約50度であることが好ましく、少なくとも摂氏約60度であることが好ましく、少なくとも摂氏約70度であることが好ましく、少なくとも摂氏約80度であることが好ましく、少なくとも摂氏約90度であることが好ましい。第一の所定の温度は摂氏100度であってもよい。
【0018】
本明細書で特定される数値は、製造公差および測定器具の精度からもたらされる変動に基づいて、特定された値の周りのある範囲の値を包含することが理解される。
【0019】
第二の所定の温度は、第二の期間中の電気ヒーターの標的動作温度を下回ることが好ましい。有利なことに、標的動作温度を下回る第二の所定の温度は、コントローラーが第二の期間中に電気ヒーターへの電力の供給の調整を開始する必要がある前に、電気ヒーターの温度上昇速度の判定を容易にする場合がある。第二の所定の温度は摂氏約300度未満であることが好ましく、摂氏約290度未満であることが好ましく、摂氏約280度未満であることが好ましく、摂氏約270度未満であることが好ましく、摂氏約260度未満であることが好ましい。第二の所定の温度は摂氏250度であってもよい。
【0020】
コントローラーは、第一の期間の間、一定の速度で電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されていることが好ましい。有利なことに、第一の期間の間、電力を一定の速度で電気ヒーターに供給することは、第一の期間中の電気ヒーターの温度上昇速度の正確な判定を容易にする場合がある。コントローラーは、第一の期間中に少なくとも約85パーセントの負荷サイクルで電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されてもよい。コントローラーは、第一の期間中に少なくとも約90パーセントの負荷サイクルで電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されてもよい。コントローラーは、第一の期間中に少なくとも約95パーセントの負荷サイクルで電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されてもよい。
【0021】
コントローラーは、判定された温度上昇速度と第一の閾値との比較に基づいて、第二の期間中に電力を第一の加熱プロファイルまたは第二の加熱プロファイルに従って電源から電気ヒーターに供給するように配設されていることが好ましく、第二の加熱プロファイルでは、第一の加熱プロファイルよりも多くの電力が供給される。第一の加熱プロファイルは、低減された加熱プロファイルとして、または湿潤加熱プロファイルとして記述されてもよい。第二の加熱プロファイルは、標準的な加熱プロファイルとして記述されてもよい。第一の閾値は、エアロゾル形成基体の通常の含水量とエアロゾル形成基体の高い含水量との間の閾値を示す場合がある。言い換えれば、第一の閾値を下回る判定された温度上昇速度は、エアロゾル形成基体の高い含水量を示す場合がある。第一の閾値を上回る判定された温度上昇速度は、エアロゾル形成基体の通常の含水量を示す場合がある。
【0022】
二つの加熱プロファイルは、体験中に送達される総電力に関して異なってもよい。二つの加熱プロファイルは、体験中に適用される負荷サイクルまたは負荷サイクルに関して異なってもよい。
【0023】
電気ヒーターの所定の温度上昇が生じるためにかかった時間を判定することによって、コントローラーが電気ヒーターの温度上昇速度を判定する実施形態において、第一の閾値は時間閾値であってもよい。コントローラーは、判定された時間が第一の閾値を上回る時に、電力を第一の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに供給するように配設されている。コントローラーは、判定された時間が第一の閾値を下回る時に、電力を第二の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに供給するように配設されている。第一の閾値は、約3秒~約10秒の時間であってもよい。第一の閾値は、約5秒~約7秒の時間、より好ましくは、5.5~6.5秒の時間であってもよい。第一の閾値は、5.7秒の時間、または代替的に6.1秒の時間であってもよい。第一の閾値の時間は、電気ヒーターの設計に依存し得る。
【0024】
コントローラーは、判定された温度上昇速度と第二の閾値との比較に基づいて電源から電気ヒーターへの電力の供給を阻止するように配設されていることが好ましく、第二の閾値は第一の閾値と異なる。第二の閾値は、エアロゾル形成基体の通常の含水量とエアロゾル形成基体の低い含水量との間の閾値を示す場合がある。言い換えれば、第二の閾値を下回る判定された温度上昇速度は、エアロゾル形成基体の通常の含水量を示す場合がある。第二の閾値を上回る判定された温度上昇速度は、エアロゾル形成基体の低い含水量を示す場合がある。
【0025】
コントローラーは、判定された時間が第一の閾値を下回り、かつ第二の閾値を上回る時に、電力を第二の加熱プロファイルに従い電気ヒーターに供給するように配設されてもよい。コントローラーは、判定された時間が第二の閾値を下回る時に、電気ヒーターへの電力の供給を阻止するように配設されている。第二の閾値は、約4秒~約5秒の時間であってもよい。
【0026】
コントローラーはまた、周囲温度を判定するように配設されていることが好ましい。
【0027】
判定された周囲温度が周囲温度閾値を下回る時に、コントローラーは第二の加熱プロファイルに従い電力を電源から電気ヒーターに供給するように配設されていることが好ましい。
【0028】
本発明の発明者らは、周囲温度が低い時に、通常の含水量を有するエアロゾル形成基体の温度上昇速度が著しくより遅い場合があることを認識してきた。言い換えれば、低温環境において、通常の含水量を有するエアロゾル形成基体とともに使用される時の、判定された電気ヒーターの温度上昇速度は、通常の周囲温度にて高い含水量を有するエアロゾル形成基体とともに使用される時の、判定された電気ヒーターの温度上昇速度と類似している場合がある。したがって、有利なことに、周囲温度が周囲温度閾値を上回る時のみ、第二の期間中に電力を第一の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに供給することは、低い周囲温度にて通常の含水量を有するエアロゾル形成基体とともにエアロゾル発生装置を使用する時に、コントローラーがエネルギーを第一の加熱プロファイルに従って供給することを低減または阻止する場合がある。本発明の発明者らは、周囲温度が低い時に、高い含水量を有するエアロゾル形成基体に対して、必ずしも電力を第一の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに供給しなくてもよいことを認識している。特に、有利なことに、使用中にエアロゾル発生装置に入る低温の周囲空気は、エアロゾル形成基体が高い含水量を有する時でさえも、発生したエアロゾルの温度をユーザーにとって許容可能なレベルに維持するのに十分である。周囲温度閾値は摂氏約15度~摂氏約25度であることが好ましく、摂氏約17度~摂氏約23度であることが好ましい。周囲温度閾値は摂氏18度であってもよい。
【0029】
エアロゾル発生装置は、周囲温度を感知するように配設された温度センサーを備えてもよく、コントローラーは温度センサーから受信した信号に基づいて周囲温度を判定するように配設されている。温度センサーは、サーミスタを備えてもよい。温度センサーは、熱電対を備えてもよい。温度センサーは、半導体温度センサーを備えてもよい。
【0030】
コントローラーは、電気ヒーターの初期温度を決定するように配設されてもよい。コントローラーはまた、電気ヒーターの初期温度に基づいて、また第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するように配設されてもよい。
【0031】
コントローラーはまた、電気ヒーターの初期温度に基づいて、また第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に第一または第二の加熱プロファイルに従って電源から電気ヒーターへ電力を供給するように配設されてもよい。
【0032】
コントローラーは、電気貯蔵要素を含んでもよい。コントローラーは、電気貯蔵要素と通信するように配設されてもよい。コントローラーは、電気貯蔵要素パラメータまたはエアロゾル発生装置の制御に関する他の情報に書き込むように、かつそれから読み取るように配設されてもよい。コントローラーは、最後に使用された加熱プロファイルを電気貯蔵要素に保存するように配設されてもよい。電気貯蔵要素は、メモリ要素であってもよい。
【0033】
コントローラーは、電気ヒーターの初期温度を決定するように配設されてもよく、また電気ヒーターの初期温度が所定の温度閾値を上回る場合に、最後に使用された加熱プロファイルに従って電源から電気ヒーターに電力を供給するようにさらに配設されてもよい。この目的のために、最後に使用された加熱プロファイルは、電気貯蔵要素に保存されてもよい。
【0034】
電気ヒーターの初期温度に対する所定の温度閾値は、摂氏約50度~摂氏約150度、摂氏約60度~摂氏約120度、または好ましくは摂氏約80度~摂氏約100度であり得る。電気ヒーターの初期温度に対する所定の温度閾値は、摂氏80度であってもよい。
【0035】
電気ヒーターの初期温度が上昇すると、第一の期間中に電気ヒーターの温度が第二の所定の温度まで上昇するのに必要な時間が著しく低減され得る。したがって、こうした場合、やや高い含水量を有するエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品でさえも、非常に速く加熱され得、通常の第二の加熱プロファイルでは誤って加熱されることがある。
【0036】
こうした状況を回避するために、温度上昇速度の判定はバイパスされ、コントローラーは、最後に使用された加熱プロファイルに従って電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されている。こうした制御戦略は、エアロゾル発生装置が最近使用されており、その後第二の体験に使用されると仮定され得るため、正当化される。第一または以前の体験と時間的に密接な関係があるため、周囲条件およびエアロゾル形成基体の条件も、以前の体験の条件と同一である可能性がさらに高い。
【0037】
エアロゾル発生装置は、第一の体験と第二の体験との間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験および第二の体験を提供することができる再充電可能電源を備える。これらの実施形態では、コントローラーは、即時体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定するように配設されてもよい。コントローラーは、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するようにさらに配設されてもよい。
【0038】
コントローラーは、現在の体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかにかかわらず、電気貯蔵要素に保存するように配設されてもよい。コントローラーは、最後に使用された加熱プロファイルを保存するようにさらに配設されてもよい。
【0039】
コントローラーが、体験が第二の体験であることを検出した場合、コントローラーは、前述の第一の体験で使用される加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されてもよい。
【0040】
驚くべきことに、再充電可能電源の中間の再充電を行わずに、二つの連続的な体験間に延長された時間ギャップがある場合、第一の期間中の電気ヒーターの温度上昇速度は変化し得ることが注目された。より詳細には、第二の体験では、第一の期間中に電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するためにかかった時間が増加することが注目された。こうした増加の理由はまだ十分には明確にされていないが、最も可能性が高いのは電池の化学的性質に理由を見つける必要があると考えられる。明らかに、第一の体験の後に待機時間が長いと、電池は、第一の体験または第一の体験の直後に実施される第二の体験と同じくらい早く温度を上昇させるような電力ブーストを提供することができなくなり得る。
【0041】
間違った加熱プロファイルの適用を避けるために、第二の体験は、第一の体験で使用される加熱プロファイルを使用して常に実施されてもよい。こうしたアプローチのリスクは、(通常の加熱プロファイルを使用して)「乾燥した」消耗品を使用した前の体験の後に、より高い含水量を有する消耗品が挿入された場合に、「濡れた」消耗品が通常の加熱プロファイルで加熱され、ユーザーに高温エアロゾル効果を引き起こす場合があることであることが理解されよう。しかしながら、これはかなり可能性の低いシナリオであると考えられる。代わりに、通常、第一の体験の後に第二の体験のために使用される消耗品は、以前の体験で使用された消耗品と同じ特性を有する可能性が高く、同じ消耗品のパックから得られ、同じ気候条件にさらされる可能性が高くなる。
【0042】
コントローラーは、エアロゾル発生装置の電源の完全な再充電後に第一の体験にリセットされるようにさらに配設されてもよい。このようにして、完全に充電された電池が利用可能である時に、第一の体験とみなされることが確実になる。
【0043】
電気ヒーターの温度上昇速度を判定することを容易にするために、コントローラーは電気ヒーターの温度を判定するように配設されていることが好ましい。電気ヒーターは少なくとも一つの抵抗発熱体を備え、コントローラーは、少なくとも一つの抵抗発熱体の抵抗に基づいて少なくとも一つの抵抗発熱体の温度を判定するように配設されていることが好ましい。コントローラーは、少なくとも一つの抵抗発熱体の抵抗を測定するように配設された回路を備えてもよい。コントローラーは、測定した抵抗を、温度に対する抵抗の較正曲線と比較することによって、少なくとも一つの抵抗発熱体の温度を判定するように配設されてもよい。
【0044】
電気ヒーターは、複数の抵抗発熱体を備えることが好ましい。抵抗発熱体は、平行な配設で電気的に接続されていることが好ましい。有利なことに、平行な配設で電気的に接続された複数の抵抗発熱体を提供することは、望ましい電力を提供するために必要とされる電圧を低減または最小化しながら、電気ヒーターへの望ましい電力の送達を容易にする場合がある。有利なことに、電気ヒーターを動作させるために必要とされる電圧を低減または最小化することは、電源の物理的なサイズを低減または最小化することを容易にする場合がある。
【0045】
電気ヒーターは電気的に絶縁された基体を備えてもよく、少なくとも一つの抵抗発熱体が電気的に絶縁された基体上に提供される。
【0046】
電気的に絶縁された基体は、電気ヒーターの動作温度で安定していることが好ましい。電気的に絶縁された基体は、最高で摂氏約400度の温度で安定していることが好ましく、摂氏約500度で安定していることがより好ましく、摂氏約600度で安定していることがより好ましく、摂氏約700度で安定していることがより好ましく、摂氏約800度で安定していることがより好ましい。使用中の電気ヒーターの動作温度は、少なくとも摂氏約200度であってもよい。使用中の電気ヒーターの動作温度は、摂氏約700度未満であってもよい。使用中の電気ヒーターの動作温度は、摂氏約600度未満であってもよい。使用中の電気ヒーターの動作温度は、摂氏約500度未満であってもよい。使用中の電気ヒーターの動作温度は、摂氏約400度未満であってもよい。
【0047】
電気的に絶縁された基体は、ジルコニアまたはアルミナなどのセラミック材料であってもよい。電気的に絶縁された基体は、約2ワット毎メートル毎ケルビン以下の熱伝導率を有することが好ましい。
【0048】
少なくとも一つの抵抗発熱体を形成するための適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」セラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、ならびにセラミック材料および金属材料で作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープされた炭化ケイ素が含まれる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が含まれる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetai(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。
【0049】
一部の実施形態において、少なくとも一つの抵抗発熱体は、電気抵抗性材料(ステンレス鋼など)の一つ以上のスタンプ加工された部分を含む。別の方法として、少なくとも一つの抵抗発熱体は、加熱ワイヤーまたはフィラメント(例えばNi-Cr(ニッケル-クロム)、白金、タングステンもしくは合金のワイヤー)を含んでもよい。
【0050】
電気ヒーターは、エアロゾル形成基体が空洞内に受容されている時に、エアロゾル形成基体の中への挿入のために配設されてもよい。電気ヒーターは空洞内に位置付けられてもよい。電気ヒーターは細長い電気ヒーターであってもよい。細長い電気ヒーターはブレード形状であってもよい。細長い電気ヒーターはピン形状であってもよい。細長い電気ヒーターは円錐形状であってもよい。細長い電気ヒーターはブレード形状であってもよい。
【0051】
電源はDC電圧源であってもよい。好ましい実施形態では、電源は電池である。例えば、電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、もしくはリチウムポリマー電池)であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、またエアロゾル発生装置を一つ以上のエアロゾル形成基体とともに使用するために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有する場合がある。
【0052】
エアロゾル発生装置はハウジングを備えることが好ましい。ハウジングは、エアロゾル形成基体を受容するための空洞を少なくとも部分的に画定することが好ましい。
【0053】
エアロゾル発生装置は、空洞と流体連通する少なくとも一つの空気吸込み口を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置がハウジングを備える実施形態において、ハウジングは、少なくとも一つの空気吸込み口を少なくとも部分的に画定することが好ましい。少なくとも一つの空気吸込み口は、空洞の上流端と流体連通していることが好ましい。電気ヒーターが、空洞内に位置付けられた細長い電気ヒーターである実施形態において、細長い電気ヒーターは、空洞の上流端から空洞の中に延びることが好ましい。
【0054】
エアロゾル発生装置は、消費者が吸煙していることを示す気流を検出するためのセンサーを備えてもよい。気流センサーは電気機械装置であってもよい。気流センサーは、機械式装置、光学式装置、光学機械式装置、および微小電気機械システム(MEMS)ベースのセンサーのうちのいずれかであってもよい。エアロゾル発生装置は、消費者が吸煙を開始するための手動操作可能なスイッチを備えてもよい。
【0055】
エアロゾル発生装置は、電気ヒーターが起動された時を示すためのインジケータを備えることが好ましい。インジケータは、電気ヒーターが起動された時に起動されるライトを備えてもよい。
【0056】
エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を別の電気的な装置に接続することを可能にする、外部プラグまたはソケットのうちの少なくとも一つと、少なくとも一つの外部電気接点とを備えてもよい。例えば、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置を別のUSB使用可能装置に接続することを可能にする、USBプラグまたはUSBソケットを備えてもよい。例えば、USBプラグまたはソケットは、エアロゾル発生装置内の再充電可能電源を充電するために、USB充電装置へのエアロゾル発生装置の接続を可能にする場合がある。追加的に、または別の方法として、USBプラグまたはソケットは、エアロゾル発生装置へのデータ転送、またはエアロゾル発生装置からのデータ転送、またはエアロゾル発生装置へのデータ転送とエアロゾル発生装置からのデータ転送との両方に対応する場合がある。追加的に、または別の方法として、新しいエアロゾル発生物品のための新しい加熱プロファイルなどのデータを装置に転送するために、エアロゾル発生装置をコンピュータに接続してもよい。
【0057】
エアロゾル発生装置がUSBプラグまたはソケットを備える実施形態において、エアロゾル発生装置は、使用されていない時にUSBプラグまたはソケットを覆う取り外し可能なカバーをさらに備えてもよい。USBプラグまたはソケットがUSBプラグである実施形態では、USBプラグは、追加的または代替的に、装置内に選択的に格納可能であってもよい。
【0058】
本発明の実施形態によると、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる、本発明によるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。
【0059】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、加熱された時に、エアロゾルを形成し得る揮発性化合物を放出する、エアロゾル形成基体を含む物品を指す。
【0060】
エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。
【0061】
エアロゾル形成基体は、たばこのプラグを備えてもよい。たばこプラグは、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出たばこ、および膨化たばこの一つ以上を含有する、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。任意選択的に、たばこプラグは、たばこプラグの加熱時に放出される、追加的なたばこまたは非たばこの、揮発性風味化合物を含有してもよい。任意選択的に、たばこプラグはまた、例えば、追加的なたばこまたは非たばこの、揮発性風味化合物を含むカプセルを含有してもよい。こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱中に溶融してもよい。あるいは、または追加的に、こうしたカプセルは、たばこプラグの加熱前、加熱中、または加熱後に、押しつぶされてもよい。
【0062】
たばこプラグが均質化したたばこ材料を含む場合、均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。均質化したたばこ材料はシートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5パーセントより大きいエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、または別の方法で細かく砕くことによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよく、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱いおよび輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つまたは複数を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つまたは複数の固有の結合剤(すなわち、たばこ内因性結合剤)、または一つまたは複数の外来性結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこおよび一つまたは複数の結合剤を含むスラリーをコンベヤーベルトまたはその他の支持表面上にキャスティングすることと、キャストスラリーを乾燥させて均質化したたばこ材料シートを形成することと、均質化したたばこ材料シートを支持表面から取り外すこととを一般的に含むタイプのキャスティングプロセスによって形成されていることが好ましい。
【0063】
エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ13ミリメートルの外径を有してもよい。
【0064】
エアロゾル発生物品は、たばこプラグの下流に位置付けられたマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。マウスピースは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。マウスピースは、およそ7ミリメートルの長さであることが好ましいが、およそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの長さを有することができる。
【0065】
たばこプラグは、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。たばこプラグは、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0066】
たばこプラグの直径は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルであってもよい。
【0067】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ40ミリメートル~およそ50ミリメートルの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有することが好ましい。
【0068】
本発明の実施形態によると、エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、第一の体験と第二の体験との間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験と第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、エアロゾル形成基体が空洞内に受容されている時にエアロゾル形成基体を加熱するように配設された電気ヒーターとを有するエアロゾル発生装置を制御する方法が提供される。方法は、第一の期間の間に電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御する工程を含む。方法はまた、第一の期間において体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定する工程と、第一の期間の間の電気ヒーターの温度上昇速度を判定する工程とを含む。方法はまた、第一の期間後の第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整する工程を含み、第二の期間中の電源から電気ヒーターへの電力の供給は、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また第一の期間中の判定された温度上昇速度に基づいて調整される。
【0069】
本発明に関して本明細書に記載した通り、電気ヒーターの判定された温度上昇速度は、エアロゾル形成基体の含水量を示す場合がある。判定された比較的低い温度上昇速度は、比較的高い含水量を示す場合がある。判定された比較的高い温度上昇速度は、比較的低い含水量を示す場合がある。有利なことに、判定された温度上昇速度に基づいて、後続の第二の期間中の電気ヒーターへの電力の供給は、電気ヒーターのさらなる加熱を調整するために調整されてもよい。
【0070】
第一の期間は、エアロゾル形成基体の広範な含水量にわたる、電気ヒーターの測定可能な温度上昇を確実にするために十分に長いことが好ましい。第一の期間は少なくとも約1秒であることが好ましく、少なくとも約2秒であることがより好ましく、少なくとも約3秒であることがより好ましい。
【0071】
第一の期間は、所望のユーザー体験を提供するために第二の期間中に電気ヒーターへの電力の供給を調整する前の時間を最小化するために十分に短いことが好ましい。第一の期間は約15秒未満であることが好ましく、約14秒未満であることがより好ましく、約13秒未満であることがより好ましく、約12秒未満であることがより好ましく、約11秒未満であることがより好ましく、約10秒未満であることがより好ましい。
【0072】
電気ヒーターの温度上昇速度を判定する工程は、電気ヒーターの所定の温度上昇が生じるためにかかった時間を判定することを含んでもよい。電気ヒーターの温度上昇速度を判定する工程は、第一の期間の一部分中の電気ヒーターの温度上昇速度を判定することを含んでもよい。電気ヒーターの温度上昇速度を判定する工程は、電気ヒーターの温度が第一の期間中に第一の所定の温度から第二の所定の温度まで上昇するためにかかった時間を判定することを含んでもよく、判定された時間は判定された温度上昇速度である。
【0073】
第一の所定の温度は、任意の予想される周囲温度を上回ることが好ましい。有利なことに、周囲温度を上回る第一の所定の温度は、電気ヒーターの判定された温度上昇速度での周囲温度の任意の変化を最小化するまたは無くす場合がある。第一の所定の温度は少なくとも摂氏約50度であることが好ましく、少なくとも摂氏約60度であることが好ましく、少なくとも摂氏約70度であることが好ましく、少なくとも摂氏約80度であることが好ましく、少なくとも摂氏約90度であることが好ましい。第一の所定の温度は摂氏約100度であってもよい。
【0074】
第二の所定の温度は、第二の期間中の電気ヒーターの標的動作温度を下回ることが好ましい。有利なことに、標的動作温度を下回る第二の所定の温度は、第二の期間中に電気ヒーターへの電力の供給を調整する前に、電気ヒーターの温度上昇速度の判定を容易にする場合がある。第二の所定の温度は摂氏約300度未満であることが好ましく、摂氏約290度未満であることが好ましく、摂氏約280度未満であることが好ましく、摂氏約270度未満であることが好ましく、摂氏約260度未満であることが好ましい。第二の所定の温度は摂氏約250度であってもよい。
【0075】
本発明の方法の工程において、電気ヒーターの初期温度が判定されてもよい。第二の期間中の電源から電気ヒーターへの電力の供給は、電気ヒーターの初期温度に基づいて、かつ第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて調整され得る。
【0076】
電源からの電力は、電気ヒーターの初期温度に基づいて、また第一の期間中に電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に第一の加熱プロファイルまたは第二の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに供給されてもよい。
【0077】
コントローラーは、電気貯蔵要素を含んでもよい。コントローラーは、電気貯蔵要素と通信するように配設されてもよい。コントローラーは、電気貯蔵要素パラメータまたはエアロゾル発生装置の制御に関する他の情報に書き込むように、かつそれから読み取るように配設されてもよい。コントローラーは、最後に使用された加熱プロファイルを電気貯蔵要素に保存するように配設されてもよい。電気貯蔵要素は、メモリ要素であってもよい。
【0078】
電気ヒーターの初期温度は、コントローラーによって判定されてもよく、電源からの電力は、電気ヒーターの初期温度が所定の温度閾値を上回る場合、最後に使用された加熱プロファイルに従って電気ヒーターに供給されてもよい。この目的のために、最後に使用された加熱プロファイルは、電気貯蔵要素に保存されてもよい。
【0079】
電気ヒーターの初期温度に対する所定の温度閾値は、摂氏約50度~摂氏約150度、摂氏約60度~摂氏約120度、または好ましくは摂氏約80度~摂氏約100度であり得る。電気ヒーターの初期温度に対する所定の温度閾値は、摂氏80度であってもよい。
【0080】
電気ヒーターの初期温度が上昇すると、第一の期間中に電気ヒーターの温度が第二の所定の温度まで上昇するのに必要な時間が著しく低減され得る。したがって、こうした場合、やや高い含水量を有するエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品でさえも、非常に速く加熱され得、通常の第二の加熱プロファイルでは誤って加熱されることがある。
【0081】
こうした状況を回避するために、温度上昇速度の判定は、バイパスされてもよく、コントローラーは、最後に使用された加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されてもよい。こうした制御戦略は、エアロゾル発生装置が最近使用されており、その後第二の体験に使用されると仮定され得るため、正当化される。第一または以前の体験と時間的に密接な関係があるため、周囲条件およびエアロゾル形成基体の条件も、以前の体験の条件と同一である可能性がさらに高い。
【0082】
実施形態において、エアロゾル発生装置は、第一の体験と第二の体験の間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験および第二の体験を提供することができる再充電可能電源を備える。これらの実施形態では、コントローラーは、即時体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定するように配設されてもよい。コントローラーは、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するようにさらに配設されてもよい。
【0083】
コントローラーは、現在の体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかにかかわらず、電気貯蔵要素に保存するように配設されてもよい。コントローラーは、最後に使用された加熱プロファイルを保存するようにさらに配設されてもよい。
【0084】
コントローラーが、体験が第二の体験であることを検出した場合、コントローラーは、前述の第一の体験で使用される加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されてもよい。
【0085】
間違った加熱プロファイルの適用を避けるために、第二の体験は、第一の体験で使用される加熱プロファイルを使用して常に実施されてもよい。こうしたアプローチのリスクは、(通常の加熱プロファイルを使用して)「乾燥した」消耗品を使用した前の体験の後に、より高い含水量を有する消耗品が挿入された場合に、「濡れた」消耗品が通常の加熱プロファイルで加熱され、ユーザーに高温エアロゾル効果を引き起こす場合があることであることが理解されよう。しかしながら、これはかなり可能性の低いシナリオであると考えられ得る。代わりに、通常、第一の体験の後に第二の体験のために使用される消耗品は、以前の体験で使用された消耗品と同じ特性を有する可能性が高く、同じ消耗品のパックから得られ、同じ気候条件にさらされる可能性が高くなる。
【0086】
コントローラーは、エアロゾル発生装置の電源の完全な再充電後に第一の体験にリセットされるようにさらに配設されてもよい。このようにして、完全に充電された電池が利用可能である時に、第一の体験とみなされることが確実になる。
【0087】
本発明の実施形態によると、コンピュータまたはその他の処理装置上で実行された時に、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる本発明の方法を実行するコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、プログラム可能なコントローラーだけでなく、電気ヒーターおよび電源などのその他の必要とされるハードウエア要素を有するエアロゾル発生装置上で実行するために適切なソフトウエア製品として実装されてもよい。
【実施例
【0088】
以下に、非限定的な実施例の非網羅的な一覧を提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わせられ得る。
【0089】
実施例A:
エアロゾル発生装置であって、
エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、
吸入可能なエアロゾルの体験をユーザーに提供するなど、エアロゾル形成基体が空洞内に受容された時にエアロゾル形成基体を加熱するように配設された電気ヒーターと、
第一の体験と第二の体験との間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験および第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、
第一の期間中および第一の期間の後の第二の期間中に再充電可能電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御するように配設されたコントローラーと、を備え、
コントローラーが、第一の期間に、体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定し、第一の期間中に電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するためにかかった時間を判定することによって、第一の期間中の電気ヒーターの温度上昇速度を判定するように配設され、
コントローラーが、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するように配設されている、エアロゾル発生装置。
実施例B:
コントローラーが、電気貯蔵要素を備え、コントローラーが、現在の体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを保存するように配設され、コントローラーが、最後に使用された加熱プロファイルを保存するようにさらに配設されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例C:
コントローラーが、体験が第二の体験であることを検出した場合、コントローラーが、前述の第一の体験で使用される加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されている、実施例AまたはBに記載のエアロゾル発生装置。
実施例D:
コントローラーが、エアロゾル発生装置の電源の完全な再充電後に第一の体験にリセットされるように配設されている、実施例Aに記載のエアロゾル発生装置。
実施例E:
コントローラーが、体験が第一の体験であることを検出した場合、
コントローラーが、電気ヒーターの初期温度に基づいて、また第一の期間中の電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整するように配設されている、実施例A~Dのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例F:
コントローラーが、電気ヒーターの初期温度を決定するように配設され、コントローラーが、電気ヒーターの初期温度が所定の温度閾値を上回る場合に、最後に使用された加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するようにさらに配設されている、実施例Eに記載のエアロゾル発生装置。
実施例G:
コントローラーが、電気ヒーターの初期温度を決定するように配設され、コントローラーが、電気ヒーターの初期温度が所定の温度閾値を下回る場合、第一の期間中に電気ヒーターの判定された温度上昇速度に基づいて、第二の期間中に第一の加熱プロファイルまたは第二の加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されている、実施例Eに記載のエアロゾル発生装置。
実施例H:
温度閾値が、摂氏60度~摂氏120度の範囲内であるか、温度閾値が、摂氏80度~摂氏100度の範囲内であるか、または温度閾値が、摂氏約80度である、実施例FまたはGに記載のエアロゾル発生装置。
実施例I:
コントローラーが、第一の期間の間、電源から電気ヒーターに一定の速度で電力を供給するように配設される、実施例A~Hのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例J:
判定された時間が第一の閾値を上回る時に、コントローラーが、第二の期間中に第一の加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに電力を供給するように配設されている、実施例G~Jのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例K:
判定された時間が第一の閾値を下回る時に、コントローラーが第二の期間中に電力を第二の加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターに供給するように配設され、第二の加熱プロファイルでは、第一の加熱プロファイルよりも多くの電力が電気ヒーターに送達される、実施例G~Jのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例L:
判定された時間が第二の閾値を下回る時に、コントローラーが第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を阻止するように配設され、第二の閾値が第一の閾値より小さい、実施例G~jのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例M:
コントローラーが、周囲温度を判定するように配設され、コントローラーが、判定された周囲空気が、周囲温度閾値を下回る場合に、第二の加熱プロファイルに従って、電源から電気ヒーターへの電力供給をするように配設される、実施例A~Lのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例N:
周囲温度を感知するように配設された温度センサーをさらに備え、コントローラーが温度センサーから受信した信号に基づいて周囲温度を判定するように配設されている、実施例Mに記載のエアロゾル発生装置。
実施例O:
電気ヒーターが抵抗発熱体を備え、コントローラーが抵抗発熱体の抵抗に基づいて抵抗発熱体の温度を判定するように配設される、実施例A~Nのいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
実施例P:
エアロゾル発生システムであって、
実施例A~Oのいずれかに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル発生システム。
実施例Q:
エアロゾル形成基体がたばこを含む、実施例Pに記載のエアロゾル発生システム。
実施例R:
エアロゾル形成基体を受容するための空洞と、第一の体験と第二の体験との間に中間の再充電を行わずに、少なくとも第一の体験と第二の体験を提供することができる再充電可能電源と、エアロゾル形成基体が空洞内に受容されている時に、エアロゾル形成基体を加熱するように配設された電気ヒーターとを有するエアロゾル発生装置を制御する方法であって、方法が、
第一の期間中、電源から電気ヒーターへの電力供給を制御する工程と、
第一の期間において、体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定する工程と、
電気ヒーターの温度が第一の所定の温度から第二の所定の温度に上昇するのにかかった時間を判定することによって、第一の期間中に電気ヒーターの温度上昇速度を判定する工程と、
第一の期間後の第二の期間中に電源から電気ヒーターへの電力の供給を調整する工程であって、第二の期間中の電源から電気ヒーターへの電力の供給が、第一の体験であるか、または第二の体験であるかに基づいて、また第一の期間中の判定された温度上昇速度に基づいて調整される、調整する工程と、を含む、方法。
実施例S:
第一の期間の間に電源から電気ヒーターへの電力の供給を制御する工程が、第一の期間の間に電力を一定の速度で電源から電気ヒーターに供給することを含む、実施例Rに記載の方法。
実施例T:
コントローラーが、エアロゾル発生装置の電源の完全な再充電後に第一の体験にリセットされる、実施例RまたはSに記載の方法。
実施例U:
コンピュータまたは他の処理装置上で実行される時に、実施例R~Tのいずれかに記載の方法を実行するコンピュータプログラム。
【0090】
一つの実施形態に関して記載される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用され得る。
【0091】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明をさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生装置の断面図を示す。
図2図2は、図1のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムの断面図を示す。
図3図3は、図1のエアロゾル発生装置のコントローラーによって実施される方法を図示する。
図4図4は、図1のエアロゾル発生装置のコントローラーによって実施されるさらなる方法を図示する。
図5図5は、ISO条件下での必要な加熱時間の試験結果を示す。
図6図6は、TROPICAL条件下での必要な加熱時間の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生装置10の断面図を示す。エアロゾル発生装置10は、前方ハウジング部分13と後方ハウジング部分15とを備える概して円筒状のハウジング12を備える。前方ハウジング部分13は後方ハウジング部分15から摺動可能に取り外し可能であり、また図1では部分的に取り外された位置で図示されている。
【0094】
前方ハウジング部分13は、外壁17および内壁19を備え、内壁19はエアロゾル形成基体を受容するための空洞14を画定する。空気をエアロゾル発生装置12の中へと入れるための複数の空気吸込み口16は、前方ハウジング部分13の端にて外壁17と内壁19の間に画定されている。
【0095】
後方ハウジング部分15は、前方ハウジング部分13が後方ハウジング部分15に受容されている時に、前方ハウジング部分13の外壁17と内壁19の間に受容されている円筒状の壁21を備える。円筒状の壁21は、複数の細長いスロット23を画定する。
【0096】
また、エアロゾル発生装置10は、後方ハウジング部分15上に位置付けられた、および前方ハウジング部分13が後方ハウジング部分15に受容されている時に内壁19によって画定された開口部25を通って、かつ空洞14の中に延びるように配設された電気ヒーター18を備える。使用中に、空気は空気吸込み口16を通ってエアロゾル発生装置10の中に流れ、円筒状の壁21によって画定されたスロット23を通って、かつ開口部25を通って空洞14の中に流れる。
【0097】
電気ヒーター18は、基部部分20と、基部部分20から延びる細長い電気的に絶縁された基体22とを備える。細長い電気的に絶縁された基体22は、セラミック材料から形成されている。細長い電気的に絶縁された基体22は、エアロゾル形成基体が空洞14内に受容されている時に、細長い電気的に絶縁された基体22をエアロゾル形成基体の中に挿入することを容易にするようにブレード形状である。
【0098】
細長い電気ヒーター18はまた、細長い電気的に絶縁された基体22上に位置付けられた複数の抵抗発熱体24を備える。
【0099】
エアロゾル発生装置10はまた、電源26、コントローラー28、および温度センサー29をさらに備える。コントローラー28は、電源26から電気ヒーター18の抵抗発熱体24への電力の供給を制御することを含む、幾つかの機能を実施するように配設されてもよい。電源26は再充電可能電池を備える。
【0100】
図2は、図1のエアロゾル発生装置10と、エアロゾル発生装置10の空洞14内に受容されたエアロゾル発生物品52とを備えるエアロゾル発生システム50の断面図を示す。エアロゾル発生装置10は、後方ハウジング部分15に完全に受容された前方ハウジング部分13とともに、図2に図示されている。
【0101】
エアロゾル発生物品52は、たばこプラグの形態のエアロゾル形成基体54と、中空のアセテート管56と、高分子フィルター58と、マウスピース60と、外側ラッパー62とを備える。エアロゾル発生物品52がエアロゾル発生装置10の空洞14内に受容されている時に、細長い電気的に絶縁された基体22および電気ヒーター18の抵抗発熱体24は、たばこプラグ内に受容されている。
【0102】
エアロゾル発生装置10のコントローラー28は、エアロゾル発生物品52が空洞14の中に挿入されている時に、およびエアロゾル発生装置10がユーザーによってオンに切り替えられた時に、図3に図示した方法100を実行するように配設されている。
【0103】
装置の開始時、体験が開始される。工程102において、コントローラー28は、温度センサー29を使用して周囲温度を判定する。周囲温度が摂氏18度を下回る場合に、第二の加熱プロファイルに従って電源26から電気ヒーター24に電力が供給される(工程104)。第二の加熱プロファイルは、通常の含水量を有するエアロゾル発生物品に使用される標準的な加熱プロファイルに対応する。
【0104】
周囲温度が摂氏18度を上回る場合に、コントローラー28は工程106で電気ヒーター24の初期温度を決定する。この目的のために、コントローラー28は電気ヒーター24の電気抵抗を測定する。測定された電気抵抗に基づいて、コントローラー28は電気ヒーター24の初期温度を決定する。
【0105】
電気ヒーターの初期温度が摂氏80度を下回る場合に、コントローラー28は、工程108で電源26から電気ヒーター18へ一定の速度で電力供給を開始する。
【0106】
コントローラー28は、電気ヒーター18が摂氏100度の第一の所定の温度から摂氏250度の第二の所定の温度に加熱されるのに必要な時間を記録する。電気ヒーター18の温度を摂氏250度に上昇させるのにかかる時間が6.1秒未満である場合、エアロゾル発生物品52のエアロゾル形成基体54は、通常の含水量を有するとみなされる。したがって、この状況では、コントローラーは、通常の第二の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに電力を供給するように配設される(工程104)。
【0107】
電気ヒーター18の温度を摂氏250度に上昇させるのにかかる時間が6.1秒を超える場合、エアロゾル発生物品52のエアロゾル形成基体54は、含水量が増加しているとみなされる。したがって、この状況では、コントローラーは、第一の加熱プロファイルに従って電気ヒーターに電力を供給するように配設される(工程110)。第一の加熱プロファイルでは、ヒーターに供給される電力が少なくなるため、いわゆる「ホットエアロゾル効果」が回避されるか少なくとも低減される。
【0108】
工程106において、電気ヒーターの初期温度が摂氏80度を上回ると判断される場合、電気ヒーターが摂氏250度の第二の所定の温度に達するのに必要な時間がかなり短くなる可能性が高い。この場合、含水量の高いエアロゾル形成基体54を含むエアロゾル発生物品52は、非常に速く加熱され得、第二の加熱プロファイルに従って誤って加熱される可能性がある。
【0109】
このような誤検出を回避するために、電気ヒーターの初期温度が摂氏80度を上回ると判断された場合、工程108はバイパスされる。この場合、代わりにコントローラーは、以前の体験中に使用されたのと同じ加熱プロファイルを使用するように構成される。この目的のために、コントローラーは、内部メモリから、保存された以前に使用された加熱プロファイルを読み出す(工程112)。
【0110】
以前に使用された加熱プロファイルが第二の加熱プロファイルであった場合、現在の体験も第二の加熱プロファイルを使用して実施される(工程114)。
【0111】
以前に使用された加熱プロファイルが第一の加熱プロファイルであった場合、現在の体験も第一の加熱プロファイルを使用して実施される(工程110)。
【0112】
コントローラーは、現在の体験中に使用される加熱プロファイルをローカルメモリに保存するようにさらに構成される。
【0113】
エアロゾル発生装置10のコントローラー28はまた、エアロゾル発生物品52が空洞14の中に挿入され、エアロゾル発生装置10がユーザーによってオンに切り替えられたとき、図4に図示した方法100を実行するように配設され得る。
【0114】
図4に図示した方法は、図3の方法とほぼ同様であり、同一の方法工程を示すために同一の参照番号が使用される。この方法は、エアロゾル発生装置が、中間体を必要とせずに、複数の体験を提供することができる電源を備える実施形態において特に有用である。
【0115】
図4の方法は、コントローラー28が、現在の体験が第一の体験であるか、または第二の体験であるかを判定する、追加の工程120を含む。
【0116】
工程120において、現在の体験が第一の体験であると判定された場合、方法は、上述のように工程106を継続し、電気ヒーター24の初期温度を決定する。
【0117】
工程120において、現在の体験が第二の体験であると判定された場合、方法工程106および108はバイパスされる。代わりにコントローラーは、前の第一の体験で使用された加熱プロファイルをローカルメモリから読み出す。第二の体験は、第一の体験で使用されたエアロゾル発生物品と同じエアロゾル発生物品、または同じ環境条件および気候条件に供された少なくともエアロゾル発生物品を使用して実施される可能性が最も高いと仮定される。
【0118】
したがって、第一の体験に使用される加熱プロファイルが第二の加熱プロファイルであった場合、現在の体験はまた、第二の加熱プロファイルを使用して実施される(工程114)。
【0119】
第一の体験に使用される加熱プロファイルが第一の加熱プロファイルであった場合、現在の体験はまた、第一の加熱プロファイルを使用して実施される(工程110)。
【0120】
電気ヒーターの温度を摂氏100度~摂氏250度に上昇させるのに必要な時間を測定するために実施された試験の結果を図5に示す。これらの試験は、図1に図示した通り、エアロゾル発生装置を用いて実施された。エアロゾル発生物品は、US Amberスティックであった。実験は、標準的なISO条件およびTROPICAL条件の両方の下で実施された。ISO条件は、摂氏22度の周囲温度および60パーセントの相対湿度が適用されたことを意味する。TROPICAL条件は、摂氏30度の周囲温度および75~80パーセントの相対湿度が適用されたことを意味する。
【0121】
図5および図6に示す実験では、エアロゾル発生装置の電池の中間の再充電を行わずに、二つのユーザー体験を実施した。第一の体験は、完全に充電された電池で実施される。第二の体験は、中間の再充電を行わずに、その後実施される。第一の体験から5分以内に実施される第二の体験は、「後続の」体験と呼ばれる。第一の体験から15~30分以内に実施される第二の体験は、「リモート」体験と呼ばれる。
【0122】
図5に図示した結果は、驚くべき効果を示す。両方の条件について、電気ヒーターを摂氏100度~摂氏250度に加熱するために必要な時間は、ISOおよびTROPICAL条件下での三つの異なる状況に対して示されている。
【0123】
「第1」と記された列は、第一の体験に関連し、これは、完全に充電された電池が利用可能であることを意味する。図示したように、ISO条件に対して5.9±0.6秒の平均時間が記録され、TROPICAL条件に対して7.7±1.3秒の平均時間が記録された。
【0124】
「後続の」と記された列は、第一の体験の直後に実施された第二の体験に関する。より詳細には、以下の体験は、第一の体験の約三分後にトリガされた。ISO条件に対して同様の平均時間5.8±0.5秒を記録し、TROPICAL条件に対して平均時間7.8±0.7秒を記録した。
【0125】
「リモート」と記された列はまた、第二の体験に関する。しかしながら、この体験は、第一の体験の約20分後に実施された。この状況では、ISO条件では6.4±0.5秒の平均時間の増加を記録し、TROPICAL条件では8.5±1.5秒の平均時間の増加を記録した。
【0126】
驚くべきことに、両方の条件(ISOおよびTROPICAL)について、測定された時間は、20分後に実施された第二の体験に対して有意に増加した。おそらくそれは電池の化学的性質が理由である可能性が高いと考えられる。第一の体験の後の長い待機時間では、電池は、第一の体験または第一の体験の直後に実施される第二の体験におけるように、温度を摂氏100度~摂氏250度に上昇させるように、電力ブーストを提供することができないようである。
【0127】
図4で上述した方法を使用することによって、電気ヒーターを摂氏100度~摂氏250度に加熱するために必要な加熱時間の増加により、湿潤加熱プロファイルが誤って起動されるリスクが低減される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】