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特表2024-545756旋回要素を可動に支持するための金具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】旋回要素を可動に支持するための金具
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/14 20060101AFI20241204BHJP
   E05F 3/20 20060101ALI20241204BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20241204BHJP
   E05F 1/12 20060101ALI20241204BHJP
   E05D 11/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
E05D3/14 A
E05F3/20
E05F5/02 E
E05F1/12
E05D11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535446
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022082783
(87)【国際公開番号】W WO2023110325
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214292.1
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シューラー
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ セルトマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ホルツアプフェル
【テーマコード(参考)】
2E032
2E050
【Fターム(参考)】
2E032AA00
2E050BA04
2E050CA03
(57)【要約】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回要素(3)を可動に支持するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を可動に支持するための金具(4)、特にヒンジ(4a)であって、定置の支持体(2)に固定するための第1の金具部分(5)と、旋回要素(3)に固定するための第2の金具部分(6)と、第1の金具部分(5)と第2の金具部分(6)とを互いに枢動自在に結合する、少なくとも1つの枢動軸(A)を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの枢動レバー(7a)と、両方の金具部分(5,6)を互いに相対的に、好ましくは完全な閉鎖位置にかつ/または好ましくは完全な開放位置に運動させることができる少なくとも1つのばね装置(16)と、このばね装置(16)の一区分(16a)、好ましくは一方の端区分を支持する少なくとも1つの支持要素(17)とを備え、この少なくとも1つの支持要素(17)は、ばね装置(16)を支持するために、好ましくは少なくとも1つの枢動レバー(7a)に回動可能に支持されている、金具(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回要素(3)を可動に支持するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を可動に支持するための金具(4)、特にヒンジ(4a)であって、
- 前記定置の支持体(2)に固定するための第1の金具部分(5)と、
- 前記旋回要素(3)に固定するための第2の金具部分(6)と、
- 前記第1の金具部分(5)と前記第2の金具部分(6)とを互いに枢動自在に結合する、少なくとも1つの枢動軸(A)を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの枢動レバー(7a)と、
- 両方の前記金具部分(5,6)を互いに相対的に、好ましくは完全な閉鎖位置にかつ/または好ましくは完全な開放位置に運動させることができる少なくとも1つのばね装置(16)と、
- 前記ばね装置(16)の一区分(16a)、好ましくは一方の端区分を支持する少なくとも1つの支持要素(17)と
を備える、金具(4)において、
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記ばね装置(16)を支持するために、好ましくは前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)に回動可能に支持されていることを特徴とする、金具(4)。
【請求項2】
前記金具(4)は、内側の枢動レバー(7a)と外側の枢動レバー(7b)とを有し、前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記内側の枢動レバー(7a)に回動可能に支持されていることを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、
- 前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)の前記枢動軸(A)に隣り合って配置されており、かつ/または
- 前記第1の金具部分(5)の内部に少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に収容されており、かつ/または
- 好ましくは円筒形のピンとして形成されており、かつ/または
- 前記少なくとも1つの枢動レバー(/a)の前記枢動軸(A)に対して実質的に平行にかつ/または離間させられて延在する長手方向を有し、かつ/または
- 最大の直径を有し、前記支持要素(17)の、好ましくは前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)に支持するための少なくとも1つの端部、好ましくは2つの端部が、前記最大の直径に比べて小さな直径を有する
ことを特徴とする、請求項1または2記載の金具(4)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのばね装置(16)は、
- 前記第1の金具部分(5)に支持された別の区分(16b)、好ましくは別の端区分を有し、かつ/または
- 前記金具(4)の枢動軸(C)に支持されており、かつ/または
- コイルばね、好ましくはねじりコイルばねとして形成されており、かつ/または
- 円形と異なる横断面、好ましくは正方形または長方形の横断面を有するばね線材を有し、かつ/または
- 前記少なくとも1つの支持要素(17)に、好ましくは直接接触しているばね線材を有し、かつ/または
- 折り曲げられた少なくとも1つの端区分(16c)を有し、かつ/または
- 2つの区分(16a,16b)が突出している巻成体を有し、好ましくは、前記ばね装置(16)の前記区分(16a,16b)は、前記巻成体から互いに異なる長さで突出している
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項5】
前記第1の金具部分(5)は、1つの基礎ウェブ(5a)と、該基礎ウェブ(5a)から突出した2つの横方向ウェブ(5b)とを備えたU字形の区分を有し、前記ばね装置(16)の前記別の区分(16b)は、前記第1の金具部分(5)の前記基礎ウェブ(5a)に支持されていることを特徴とする、請求項4記載の金具(4)。
【請求項6】
前記金具(4)は4支点ヒンジ(4a)として形成されており、2つの枢動レバー(7a,7b)は、2つの枢動軸(A,C)を介して前記第1の金具部分(5)に旋回可能に結合されていて、別の2つの枢動軸(B,D)を介して前記第2の金具部分(6)に旋回可能に結合されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項7】
前記枢動レバー(7a)の前記少なくとも1つの枢動軸(A)は、前記第1の金具部分(5)に配置されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項8】
前記第1の金具部分(5a)はヒンジアームを有し、かつ/または前記第2の金具部分(6)はヒンジポットを有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの支持要素(17)、および/または前記ばね装置(16)の、前記支持要素(17)に当付け可能な前記区分(16a)は、少なくとも部分的に潤滑剤、好ましくはオイルまたはグリースによってコーティングされていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持要素(17)、および/または前記ばね装置(16)の、前記支持要素(17)に当付け可能な前記区分(16a)は、少なくとも部分的に、好ましくはプラスチックから成る被覆体を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)は、
- 前記少なくとも1つの支持要素(17)を支持するための少なくとも1つの切欠き(18a)、好ましくは少なくとも2つの切欠き(18a)を有し、かつ/または
- 横断面で見て少なくとも部分的にU字形に形成されており、かつ/または
- 少なくとも部分的に湾曲させられて形成されており、かつ/または
- 前記第1の金具部分(5)に第1の枢動軸(A)を中心として旋回可能に支持されていて、前記第2の金具部分(6)に第2の枢動軸(B)を中心として旋回可能に支持されている
ことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項12】
前記金具(4)は、前記両方の金具部分(5,6)相互の相対運動を減衰するための少なくとも1つのダンパ(9)、好ましくはピストンシリンダユニットを有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのダンパ(9)は、前記両方の金具部分(5,6)のうちの一方の金具部分に接してまたは一方の金具部分内に配置されていることを特徴とする、請求項12記載の金具(4)。
【請求項14】
前記金具(4)は、可動に支持された家具部分(3a)を運動させるためのヒンジ(4a)として形成されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の金具(4)。
【請求項15】
家具(1)であって、定置の支持体(2)、特に家具キャビネット(2a)と、該定置の支持体(2)に対して相対的に可動の旋回要素(3)、特に可動の家具部分(3a)と、該可動の旋回要素(3)を運動させるための、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの金具(4)とを備え、該金具(4)の前記第1の金具部分(5)は、前記定置の支持体(2)に固定されており、前記金具(4)の前記第2の金具部分(6)は、前記旋回要素(3)に固定されている、家具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置の支持体に対して相対的に旋回要素を可動に支持するための、特に家具部分、窓または扉を可動に支持するための金具、特にヒンジであって、
- 定置の支持体に固定するための第1の金具部分と、
- 旋回要素に固定するための第2の金具部分と、
- 第1の金具部分と第2の金具部分とを互いに枢動自在に結合する、少なくとも1つの枢動軸を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの枢動レバーと、
- 両方の金具部分を互いに相対的に、好ましくは完全な閉鎖位置にかつ/または好ましくは完全な開放位置に運動させることができる少なくとも1つのばね装置と、
- ばね装置の一区分、好ましくは一方の端区分を支持する少なくとも1つの支持要素と
を備える、金具に関する。
【0002】
さらに、本発明は、家具であって、定置の支持体、特に家具キャビネットと、この定置の支持体に対して相対的に可動の旋回要素、特に可動の家具部分と、これから説明する形態の少なくとも1つの金具とを備える、家具に関する。
【0003】
西独国実用新案公開第7914231号明細書には、家具ヒンジであって、家具キャビネットに固定すべきヒンジアームと、可動の家具部分に固定すべきヒンジポットとが、2つの枢動レバーを介して互いに旋回可能に結合されている、家具ヒンジが示されている。この家具ヒンジは、巻成されたねじりコイルばねの形態のばね装置によって、閉鎖された終端位置に保持される。ねじりコイルばねは、方形の横断面を有するばね線材から形成されている。こうして、ねじりコイルばねに、円形の横断面および同じばね長さを有するばね線材と直接比較して、より大きなばね力を蓄えることができる。ねじりコイルばねは、一方では、両方の枢動レバーのうちの一方の枢動レバーに支持されていて、他方では、ヒンジアームの下面に支持されている。ばね線材の方形の横断面によって、ばねの端部と、ヒンジアームおよび枢動レバーとの間に線接触が生じるため、円形のばね線材から製作されたねじりコイルばねよりも有利な負荷分配が達成される。しかしながら、一方では、ねじりコイルばねとヒンジアームとの間、他方では、ねじりコイルばねと枢動レバーとの間の摩擦抵抗が高められている。これによって、ヒンジの摩耗も、ヒンジを運動させるために必要となる力も増大してしまう。
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた形態の金具を改良して、上記の欠点を回避し、特に金具の摩擦状況を改善するようにすることである。
【0005】
このことは、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。本発明の更なる有利な構成は従属請求項に記載してある。
【0006】
本発明によれば、少なくとも1つの支持要素が、ばね装置を支持するために、好ましくは少なくとも1つの枢動レバーに回動可能に支持されていることが特定されている。
【0007】
言い換えると、回動可能に支持された少なくとも1つの支持要素が、ばね装置の一方の脚部を支持するために設けられているため、ばね装置と支持要素との互いに接触し合う面同士の間に転がり摩擦が生じる。通常、転がり摩擦力は、加圧力が等しい場合、滑り摩擦力より著しく小さい。こうして、金具の摩耗と、この金具を運動させるために必要となる力とを減じることができ、金具の寿命を延ばすことができる。
【0008】
基本的には、少なくとも1つの支持要素を金具の第1の金具部分、第2の金具部分および/または少なくとも1つの枢動レバーに回転可能に配置することが可能である。
【0009】
好適な実施例によれば、金具が、内側の枢動レバーと外側の枢動レバーとを有し、少なくとも1つの支持要素が、内側の枢動レバーに回動可能に配置されていることが特定されていてよい。
【0010】
本発明に係る家具は、定置の支持体、特に家具キャビネットと、この定置の支持体に対して相対的に可動の旋回要素、特に可動の家具部分と、言及している形態の少なくとも1つの金具とを有し、この金具の第1の金具部分は、定置の支持体に固定されており、金具の第2の金具部分は、旋回要素に固定されている。
【0011】
本発明の更なる詳細および利点は、以下の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】旋回要素と、この旋回要素を可動に支持するための金具とを備えた家具の斜視図である。
図2a】互いに分離された状態における金具とダンパとの斜視図である。
図2b】互いに結合された状態における金具とダンパとの斜視図である。
図3a】開放位置における金具を示す図である。
図3b】開放位置における金具の詳細図である。
図3c】開放位置における金具を示す図である。
図3d】開放位置における金具の詳細図である。
図4a】閉鎖位置における金具を示す図である。
図4b】閉鎖位置における金具の詳細図である。
図4c】閉鎖位置における金具を示す図である。
図4d】閉鎖位置における金具の詳細図である。
【0013】
図1には、家具1の斜視図が示してある。この家具1は、(例えば家具キャビネット2aの形態の)定置の支持体2と、(例えば可動の家具部分3aの形態の)可動の旋回要素3と、この旋回要素3を定置の支持体2に対して相対的に可動に支持するための(例えばヒンジ4aの形態の)少なくとも1つの金具4とを備えている。
【0014】
金具4は、定置の支持体2に固定するための第1の金具部分5と、旋回要素3に固定するための第2の金具部分6とを有している。第1の金具部分5と第2の金具部分6とは互いに枢動自在に結合されている。
【0015】
金具4は、両方の金具部分5,6相互の相対運動を減衰することができる少なくとも1つのダンパ9(図1には認められない)を有していてよい。このダンパ9によって、定置の支持体2に関して完全に閉鎖された終端位置までの旋回要素3の閉鎖運動および/または完全に開放された終端位置までの旋回要素3の開放運動が減衰可能となる。
【0016】
図2aには、定置の支持体2に対して相対的に旋回要素3を可動に支持するためのヒンジ4aの形態の金具4が示してある。この金具4は、定置の支持体2に固定するための第1の金具部分5と、旋回要素3に固定するための第2の金具部分6とを備えている。両方の金具部分5,6は、少なくとも1つの枢動レバー7a、好ましくは少なくとも2つの枢動レバー7a,7bを介して互いに旋回可能に結合されている。
【0017】
一実施例によれば、第1の金具部分5がヒンジアームを有しており、かつ/または第2の金具部分6がヒンジポットを有していることが特定されていてよい。
【0018】
金具4は、両方の金具部分5,6相互の相対運動を減衰することができる少なくとも1つのダンパ9を有していてよい。この少なくとも1つのダンパ9は、例えば、好ましくは円筒形のダンパハウジング10を備えた少なくとも1つのピストンシリンダユニットを備えていてよい。ダンパ9のピストンロッド12は、ダンパハウジング10に対して相対的に移動可能に支持されている。
【0019】
第2の金具部分6は穴14を有している。ダンパ9のピストンロッド12は、組付け状態で穴14を通して案内されている。
【0020】
ダンパ9は、図示の実施例では、少なくとも1つの固定箇所13を介して第2の金具部分6の外面に配置可能である。組付け状態では、ダンパ9は、第2の金具部分6の固定フランジ15よりも下側に配置されている。第2の金具部分6はダンパ9と一緒に部分的に、旋回要素3のただ1つの円筒形の孔の内部に配置可能である。
【0021】
図2bには、ダンパ9を備えた図2aに示したヒンジ4aの形態の金具4が組付け状態で示してある。
【0022】
図3aには、ヒンジ4aの形態の金具4が開放位置で示してある。第1の金具部分5と第2の金具部分6とは、少なくとも1つの枢動レバー7aを介して互いに旋回可能に結合されている。この少なくとも1つの枢動レバー7aは、少なくとも1つの枢動軸Aを介して第1の金具部分5に旋回可能に結合されていて、少なくとも1つの枢動軸Bを介して第2の金具部分6に旋回可能に結合されている。
【0023】
図示の実施例では、第1の金具部分5と第2の金具部分6とは、少なくとも2つの枢動レバー7a,7bを介して互いに旋回可能に結合されている。第2の(外側)の枢動レバー7bは、少なくとも1つの枢動軸Cを介して第1の金具部分5に旋回可能に結合されていて、少なくとも1つの枢動軸Dを介して第2の金具部分6に旋回可能に結合されている。
【0024】
ヒンジ4aは4支点ヒンジとして形成されていてよい。両方の枢動レバー7a,7bは、2つの枢動軸A,Cを介して第1の金具部分5に旋回可能に結合されていて、別の2つの枢動軸B,Dを介して第2の金具部分6に旋回可能に結合されている。
【0025】
第1の金具部分5は、1つの基礎ウェブ5aと、この基礎ウェブ5aから突出した2つの横方向ウェブ5bとを備えたU字形の区分を有していてよい。図3a~図3dには、見やすさの改善の理由から、第1の金具部分5のただ1つの横方向ウェブ5bしか示していない。
【0026】
両方の金具部分5,6は、互いに相対的に、好ましくは完全な閉鎖位置および/または好ましくは完全な開放位置にばね装置16によって可動である。このばね装置16の第1の区分16a、好ましくは一方の端区分は、回転可能に支持された支持要素17に支持可能である。
【0027】
図示の実施例では、支持要素17は、少なくとも1つの(内側の)枢動レバー7aに回動可能に支持されている。ばね装置16の区分16aと、回動可能に支持された支持要素17との協働によって、これらの構成部材の間に転がり摩擦が生じる。これによって、摩擦抵抗と、金具4の運動のために必要となる力と、摩耗とを減じることができる。
【0028】
好適な実施例によれば、少なくとも1つの支持要素17が、
- 少なくとも1つの枢動レバー7aの枢動軸Aに隣り合って配置されており、かつ/または
- 第1の金具部分5の内部に少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に収容されており、かつ/または
- 好ましくは円筒形のピンとして形成されており、かつ/または
- 少なくとも1つの枢動レバー7aの枢動軸Aに対して実質的に平行にかつ/または離間させられて延在する長手方向を有しており、かつ/または
- 最大の直径を有しており、支持要素17の、好ましくは少なくとも1つの枢動レバー7aに支持するための少なくとも1つの端部、好ましくは2つの端部が、最大の直径に比べて小さな直径を有している(図3d参照)
ことが特定されていてよい。
【0029】
ばね装置16は、第1の金具部分5の基礎ウェブ5aに支持可能である別の区分16b、好ましくは端区分を有している。一実施例によれば、ばね装置16の別の区分16bも、回動可能に支持された支持要素17に支持可能であることが特定されていてよい。
【0030】
少なくとも1つの枢動レバー7aは、少なくとも1つの支持要素17を回動可能に支持するための少なくとも1つの切欠き18a、例えば切込みを有していてよい。
【0031】
図3bには、図3aにおいて円で囲んだ領域が拡大図で示してある。
【0032】
好適な実施例によれば、少なくとも1つのばね装置16が、
- 第1の金具部分5に支持された別の区分16b、好ましくは別の端区分を有しており、かつ/または
- 金具4の枢動軸Cに支持されており、かつ/または
- コイルばね、好ましくはねじりコイルばねとして形成されており、かつ/または
- 円形と異なる横断面、好ましくは正方形または長方形の横断面を有するばね線材を有しており、かつ/または
- 少なくとも1つの支持要素17に、好ましくは直接接触しているばね線材を有しており、かつ/または
- 折り曲げられた少なくとも1つの端区分16cを有しており、かつ/または
- 2つの区分16a,16bが突出している巻成体を有しており、好ましくは、ばね装置16の区分16a,16bが、巻成体から互いに異なる長さで突出している
ことが特定されていてよい。
【0033】
コイルばねの代わりに、例えばばね帯鋼から成る板ばねが設けられていてもよい。
【0034】
摩擦状況をさらに改善するために、少なくとも1つの支持要素17、および/またはばね装置16の、支持要素17に当付け可能な区分16aが、少なくとも部分的に潤滑剤、好ましくはオイルまたはグリースによってコーティングされていることが特定されていてよい。
【0035】
代替的または補足的には、摩擦状況を改善するために、少なくとも1つの支持要素17、および/またはばね装置16の、支持要素17に当付け可能な区分16aが、少なくとも部分的に、好ましくはプラスチックから成る被覆体を有していることが特定されていてよい。
【0036】
被覆体は、例えば、ばね装置16の少なくとも1つの区分16a,16bに被嵌可能である滑動体の形態で形成されていてよい。この滑動体は、潤滑剤用の少なくとも1つのリザーバを有していてよい。さらに、被覆体は、円筒形と異なる外側輪郭を有していてよい。こうして、支持要素17に対するより大きな接触面が提供される。
【0037】
図3cには、ヒンジ4aの形態の金具4が斜視図で示してある。なお、少なくとも部分的にU字形に形成された第1の金具部分5の第2の横方向ウェブ5bは図示していない。
【0038】
図3dには、図3cにおいて枠で囲んだ領域が拡大図で示してある。内側の枢動レバー7aは、支持要素17を回動可能に支持するための2つの切欠き18aを有している。これら両方の切欠き18aは、支持要素17の長手方向に延在する方向で互いに離間させられている。
【0039】
図示の実施例では、支持要素17は円筒形のピンとして形成されている。このピンの少なくとも一方の端部、好ましくは両方の端部は、ピンの最大の直径に比べて小さな直径を有している。こうして、支持要素17を枢動レバー7aに簡単にかつ付加的な構成部材の使用なしに支持することができる。
【0040】
可能な実施例によれば、少なくとも1つの枢動レバー7aが、
- 少なくとも1つの支持要素17を支持するための少なくとも1つの切欠き18a、好ましくは少なくとも2つの切欠き18aを有しており、かつ/または
- 横断面で見て少なくとも部分的にU字形に形成されており、かつ/または
- 少なくとも部分的に湾曲させられて形成されており、かつ/または
- 第1の金具部分5に第1の枢動軸Aを中心として旋回可能に支持されていて、第2の金具部分6に第2の枢動軸Bを中心として旋回可能に支持されている
ことが特定されていてよい。
【0041】
図4aには、ヒンジ4aの形態の金具4が閉鎖位置で示してある。
【0042】
図4bには、図4aにおいて円で囲んだ領域が拡大図で示してある。ばね装置16は、第1の区分16aによって、回動可能に支持された支持要素17に支持されていて、第2の区分16bによって第1の金具部分5、好ましくは第1の金具部分5の基礎ウェブ5aの下面に支持されている。
【0043】
図4cには、閉鎖位置における金具4の斜視図が示してある。
【0044】
図4dには、図4cにおいて枠で囲んだ領域が拡大図で示してある。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置の支持体(2)に対して相対的に旋回要素(3)を可動に支持するための、特に家具部分(3a)、窓または扉を可動に支持するための金具(4)、特にヒンジ(4a)であって、
- 前記定置の支持体(2)に固定するための第1の金具部分(5)と、
- 前記旋回要素(3)に固定するための第2の金具部分(6)と、
- 前記第1の金具部分(5)と前記第2の金具部分(6)とを互いに枢動自在に結合する、少なくとも1つの枢動軸(A)を中心として旋回可能に支持された少なくとも1つの枢動レバー(7a)と、
- 両方の前記金具部分(5,6)を互いに相対的に、好ましくは完全な閉鎖位置にかつ/または好ましくは完全な開放位置に運動させることができる少なくとも1つのばね装置(16)と、
- 前記ばね装置(16)の一区分(16a)、好ましくは一方の端区分を支持する少なくとも1つの支持要素(17)と
を備える、金具(4)において、
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記ばね装置(16)を支持するために、好ましくは前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)に回動可能に支持されていることを特徴とする、金具(4)。
【請求項2】
前記金具(4)は、内側の枢動レバー(7a)と外側の枢動レバー(7b)とを有し、前記少なくとも1つの支持要素(17)は、前記内側の枢動レバー(7a)に回動可能に支持されていることを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持要素(17)は、
- 前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)の前記枢動軸(A)に隣り合って配置されており、かつ/または
- 前記第1の金具部分(5)の内部に少なくとも部分的に、好ましくは実質的に完全に収容されており、かつ/または
- 好ましくは円筒形のピンとして形成されており、かつ/または
- 前記少なくとも1つの枢動レバー(a)の前記枢動軸(A)に対して実質的に平行にかつ/または離間させられて延在する長手方向を有し、かつ/または
- 最大の直径を有し、前記支持要素(17)の、好ましくは前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)に支持するための少なくとも1つの端部、好ましくは2つの端部が、前記最大の直径に比べて小さな直径を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのばね装置(16)は、
- 前記第1の金具部分(5)に支持された別の区分(16b)、好ましくは別の端区分を有し、かつ/または
- 前記金具(4)の枢動軸(C)に支持されており、かつ/または
- コイルばね、好ましくはねじりコイルばねとして形成されており、かつ/または
- 円形と異なる横断面、好ましくは正方形または長方形の横断面を有するばね線材を有し、かつ/または
- 前記少なくとも1つの支持要素(17)に、好ましくは直接接触しているばね線材を有し、かつ/または
- 折り曲げられた少なくとも1つの端区分(16c)を有し、かつ/または
- 2つの区分(16a,16b)が突出している巻成体を有し、好ましくは、前記ばね装置(16)の前記区分(16a,16b)は、前記巻成体から互いに異なる長さで突出している
ことを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項5】
前記第1の金具部分(5)は、1つの基礎ウェブ(5a)と、該基礎ウェブ(5a)から突出した2つの横方向ウェブ(5b)とを備えたU字形の区分を有し、前記ばね装置(16)の前記別の区分(16b)は、前記第1の金具部分(5)の前記基礎ウェブ(5a)に支持されていることを特徴とする、請求項4記載の金具(4)。
【請求項6】
前記金具(4)は4支点ヒンジ(4a)として形成されており、2つの枢動レバー(7a,7b)は、2つの枢動軸(A,C)を介して前記第1の金具部分(5)に旋回可能に結合されていて、別の2つの枢動軸(B,D)を介して前記第2の金具部分(6)に旋回可能に結合されていることを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項7】
前記枢動レバー(7a)の前記少なくとも1つの枢動軸(A)は、前記第1の金具部分(5)に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項8】
前記第1の金具部分(5a)はヒンジアームを有し、かつ/または前記第2の金具部分(6)はヒンジポットを有することを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの支持要素(17)、および/または前記ばね装置(16)の、前記支持要素(17)に当付け可能な前記区分(16a)は、少なくとも部分的に潤滑剤、好ましくはオイルまたはグリースによってコーティングされていることを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの支持要素(17)、および/または前記ばね装置(16)の、前記支持要素(17)に当付け可能な前記区分(16a)は、少なくとも部分的に、好ましくはプラスチックから成る被覆体を有することを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの枢動レバー(7a)は、
- 前記少なくとも1つの支持要素(17)を支持するための少なくとも1つの切欠き(18a)、好ましくは少なくとも2つの切欠き(18a)を有し、かつ/または
- 横断面で見て少なくとも部分的にU字形に形成されており、かつ/または
- 少なくとも部分的に湾曲させられて形成されており、かつ/または
- 前記第1の金具部分(5)に第1の枢動軸(A)を中心として旋回可能に支持されていて、前記第2の金具部分(6)に第2の枢動軸(B)を中心として旋回可能に支持されている
ことを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項12】
前記金具(4)は、前記両方の金具部分(5,6)相互の相対運動を減衰するための少なくとも1つのダンパ(9)、好ましくはピストンシリンダユニットを有することを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのダンパ(9)は、前記両方の金具部分(5,6)のうちの一方の金具部分に接してまたは一方の金具部分内に配置されていることを特徴とする、請求項12記載の金具(4)。
【請求項14】
前記金具(4)は、可動に支持された家具部分(3a)を運動させるためのヒンジ(4a)として形成されていることを特徴とする、請求項1記載の金具(4)。
【請求項15】
家具(1)であって、定置の支持体(2)、特に家具キャビネット(2a)と、該定置の支持体(2)に対して相対的に可動の旋回要素(3)、特に可動の家具部分(3a)と、該可動の旋回要素(3)を運動させるための、請求項1から14までのいずれか1項記載の少なくとも1つの金具(4)とを備え、該金具(4)の前記第1の金具部分(5)は、前記定置の支持体(2)に固定されており、前記金具(4)の前記第2の金具部分(6)は、前記旋回要素(3)に固定されている、家具(1)。
【国際調査報告】