(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】太陽電池及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
H10K 39/10 20230101AFI20241204BHJP
H10K 30/81 20230101ALI20241204BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20241204BHJP
H10K 71/60 20230101ALI20241204BHJP
H10K 85/50 20230101ALI20241204BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241204BHJP
H10K 102/10 20230101ALN20241204BHJP
【FI】
H10K39/10
H10K30/81
H10K30/40
H10K71/60
H10K85/50
H10K77/10
H10K102:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537012
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 KR2022020194
(87)【国際公開番号】W WO2023128396
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0193377
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リュ グクヒョン
【テーマコード(参考)】
3K107
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA03
3K107CC45
3K107FF00
3K107FF15
3K107GG28
5F251AA20
5F251EA03
5F251EA09
5F251EA10
5F251EA16
5F251FA02
5F251GA03
5F251XA01
5F251XA51
(57)【要約】
【課題】太陽電池及びその形成方法を提供する。
【解決手段】太陽電池は基板と、第1の電極、活性層及び第2の電極を含む複数の単位セルと、を含み、単位セルは互いに離隔して基板が露出される。単位セルが互いに離隔して基板が露出される絶縁構造または非発電領域を有することにより、漏れ電流を最小化し、太陽光素子の発電効率を高めることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
第1の電極、アクティブ層及び第2の電極を含む複数の単位セルと、を含み、
前記単位セルは互いに離隔していることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記単位セルは、0.1mm~2mmの範囲の間隔で離隔していることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は透明電極であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記太陽電池は、100~10,000ルクス(lux)の低照度用であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
各単位セルを接続する接続電極をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記接続電極は、第2の電極から延びて隣接する単位セルの第1の電極と接続されることを特徴とする、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第2の電極と前記接続電極は同じ材料からなることを特徴とする、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2の電極と前記接続電極は一体構造で形成されることを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1の電極及び第2の電極は、それぞれ、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)、アンチモンスズ酸化物(ATO:Antimony Tin Oxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チタン(Tin Oxide)、ZnoGa
2O
3、ZnO-Al
2O
3、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、炭素(C)、WO
3、TiO
2、Au、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Ir、グラフェン及び導電性ポリマーのうちの1つ以上からなることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記接続電極は、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)、アンチモンスズ酸化物(ATO:Antimony Tin Oxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チタン(Tin Oxide)、ZnoGa
2O
3、ZnO-Al
2O
3、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、炭素(C)、WO
3、TiO
2、Au、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Ir、グラフェン及び導電性ポリマーのうちの1つ以上からなることを特徴とする、請求項5に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記アクティブ層は、活性層、電子輸送層及び正孔輸送層のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記活性層はペロブスカイト光吸収層を含むことを特徴とする、請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記離隔した部分にバッテリーが別々に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
基板を提供するステップと、
前記基板が露出するように互いに離隔した複数の単位セルを提供するステップと;を含み、
前記単位セルは、第1の電極、アクティブ層及び第2の電極を含むことを特徴とする、太陽電池の形成方法。
【請求項15】
前記単位セルを提供するステップは、1回のスクライビング工程を行うことを特徴とする、請求項14に記載の太陽電池の形成方法。
【請求項16】
複数の単位セルを接続する接続電極を形成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の太陽電池の形成方法。
【請求項17】
前記単位セルを提供するステップは、
前記基板上に前記第1の電極を形成するステップと、
前記第1の電極上にアクティブ層を形成するステップと、
前記アクティブ層上に前記第2の電極を形成するステップと、を含むことを特徴とする、請求項14に記載の太陽電池の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及びその形成方法に関し、より詳しくは、単位セルが互いに離隔して基板が露出する絶縁構造または非発電領域を有する太陽電池及びそれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光起電力効果(photovoltaic effect)を応用して太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる素子である。太陽電池は、薄膜を構成する物質によって無機太陽電池と有機太陽電池に分けることができる。
【0003】
有機/無機太陽電池では、電子及び正孔を捕集する電極構造は、単独の単位セルよりも複数のセルが接続されているモジュール構造においてより重要になる。
【0004】
特に、モノリシック(monolithic)工程を採用する様々な太陽電池モジュール(例えば、OPV、CIGS、PSCなど)の場合、モジュールを構成する各セルは複数のスクライビング(例えば、LASER scribingなど)を用いて形成される。
【0005】
図1は、従来の太陽電池の複数のセル電極構造を概略的に示す図である。
従来の太陽電池では、
図1に示すように、電極層と活性層を構成する各層が階段状に接続されている。
【0006】
従来の構造では、階段構造のため、各層ごとにスクライビング工程が要求され、下部第1の電極120と上部第2の電極140とを接続する直列接続電極150がセルとセルとの間に配置される。
【0007】
セルとセルとの間に配置された接続電極により、非発電面積(dead space)が増加するという問題が生じる。
【0008】
従来の太陽電池の階段構造は、非発電面積の増大だけでなく、セルとセルとの間の漏れ電流の増加によって素子特性に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の太陽電池の問題を解決するためのものであり、単位セルが互いに離隔して基板が露出する絶縁構造または非発電領域を有する太陽電池及びそれを形成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による太陽電池において、前記太陽電池は、基板と、第1の電極、アクティブ層及び第2の電極を含む複数の単位セルと、を含み、前記単位セルは互いに離隔されることができる。
【0011】
前記単位セルは、0.1mm~2mmの範囲の間隔で離隔されることができる。
前記第1の電極及び第2の電極の少なくとも一方は透明電極であり得る。
前記太陽電池は、100~10,000ルクスの低照度用であり得る。
前記各単位セルを接続する接続電極をさらに含むことができる。
【0012】
前記接続電極は、第2の電極から延びて隣接する単位セルの第1の電極と接続されることができる。
前記第2の電極と前記接続電極は同じ材料からなることができる。
前記第2の電極と前記接続電極は一体型構造で形成することができる。
【0013】
前記第1の電極及び第2の電極は、それぞれ、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)、アンチモンスズ酸化物(ATO:Antimony Tin Oxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チン(Tin Oxide)、ZnoGa2O3、ZnO-Al2O3、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、炭素(C)、WO3、TiO2、Au、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Ir、グラフェン及び導電性ポリマーのうちの1つ以上からなることができる。
【0014】
前記接続電極は、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)、アンチモンスズ酸化物(ATO:Antimony Tin Oxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チン(Tin Oxide)、ZnoGa2O3、ZnO-Al2O3、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、炭素(C)、WO3、TiO2、Au、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Ir、グラフェン及び導電性ポリマーのうちの1つ以上からなることができる。
【0015】
前記アクティブ層は、活性層、電子輸送層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1つ以上であり得る。
前記活性層はペロブスカイト光吸収層を含むことができる。
前記離隔した部分にバッテリーが別々に配置されることができる。
【0016】
本発明の他の実施形態による太陽電池の形成方法において、前記方法は、基板を提供するステップと、基板が露出するように互いに離隔した複数の単位セルを提供するステップと、を含み、前記単位セルは、第1の電極、アクティブ層及び第2の電極を含む。
【0017】
前記単位セルを提供するステップは、1回のスクライビング工程を行うことができる。
複数の単位セルを接続する接続電極を形成するステップをさらに含むことができる。
【0018】
前記単位セルを提供するステップは、前記基板上に前記第1の電極を形成するステップと、前記第1の電極上にアクティブ層を形成するステップと、前記アクティブ層上に前記第2の電極を形成するステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明による太陽電池及びそれを形成する方法は、単位セルを互いに離隔させて基板を露出させ、単位セル間を絶縁することにより、漏れ電流を最小化する効果を有する。
【0020】
本発明による太陽電池及びそれを形成する方法は、絶縁構造または非発電面積を最小化することにより、太陽光素子の発電効率を高めることができる。
【0021】
本発明による太陽電池及びそれを形成する方法は、単一のスクライビング工程を通じて絶縁構造を形成することにより、工程の簡素化を達成し、それによる工程コストの低減を得ることができる。
【0022】
本発明による太陽電池及びそれを形成する方法は、特に、低照度発電時の電力及び効率損失が小さい特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来の太陽電池の複数のセル電極構造を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による太陽電池の概略図を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による太陽電池の接続電極を含む斜視図を示す図である。
【
図4】本発明の太陽電池の低照度環境における測定結果を示す図である。
【
図5】本発明の太陽電池の1sun(室外向き)測定結果を示す図である。
【
図6】本発明の太陽電池を形成する方法のフローチャートを示す図である。
【
図7】
図6の太陽電池の単位セルを形成する方法における第1の工程をより詳細に示す図である。
【
図8】
図6の太陽電池の単位セルを形成する方法における第2の工程をより詳細に示す図である。
【
図9】
図6の太陽電池の単位セルを形成する方法における第3の工程をより詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。本発明の実施形態は種々の他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。本発明の実施形態は、当技術分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0025】
本発明において、太陽電池とは、狭い意味では複数の単位セルが接続されているモジュール構造をいうが、広い意味ではモジュール構造及びバッテリーなどの他の構成要素を含む装置をいう。すなわち、本発明の太陽電池は太陽光発電システム(photovoltaics system)を意味することができ、光を受けて電気に変える部分(狭い意味の太陽電池)と、生産された電気を特定の形態に変換したり、生産された電気を貯蔵することができるバッテリーなどの素子(広い意味の太陽電池)と、を含むことができる。
【0026】
本発明における絶縁構造または非発電領域は、単位セルの間に基板が露出する構造または領域をいう。従来の太陽電池が単位セルの間に接続電極が配置されるのとは異なり、本発明の太陽電池は、基板が露出する絶縁構造を配置することにより、漏れ電流を最小化し、非発電領域の面積を最小化する構造を有する。
【0027】
一実施形態として、本発明の太陽電池はモノリシック(monolithic)太陽電池であり得る。モノリシック素子は、1つの基板上に様々な素子が集積されて積層されたものをいう。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態による太陽電池の概略図を示す図である。
図2は、説明を明確にするために、電極構造のモジュール構造を中心に示すが、図示されていない他の構成要素を含むことができる。
【0029】
図面を参照すると、太陽電池は基板210と複数の単位セルとを含む。太陽電池の基板は、結晶質シリコン太陽電池の場合には、シリコンウェハをいい、この上に接合と電極を形成して太陽電池を製造する。薄膜太陽電池の場合には、薄膜を成長させる支持体をいい、ガラス、プラスチック、ステンレススチールなどが用いられる。基板は、太陽光発電モジュール内のモジュールの機械的強度を維持するための板材をいう。他の実施形態において、基板210は、GaNのような化合物の半導体基板とすることができる。
【0030】
基板210は、外部光の入射を可能にするように透明に形成されるが、相対電極によっては不透明であり得る。一例として、基板は透明なガラスまたはプラスチックからなることができる。プラスチックの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthylene Terephthalate:PET)、ポリエチレンナフタレート(PolyEthylene Naphthalate:PEN)、ポリカーボネート(PolyCarbonate:PC)、ポリプロピレン(PolyPropylene:PP)、ポリイミド(PolyImide:PI)、トリアセチルセルロース(Tri Acetyl Cellulose:TAC)などがある。
【0031】
本発明の太陽電池の基板は、従来の半導体ウェハやガラスなどの硬質基板の他に、フレキシブル基板を含むことができる。フレキシブル基板の種類は、金属フレキシブル基板、超薄型ガラス基板、プラスチック基板などを含むことができる。
【0032】
単位セルは、第1の電極220と、アクティブ層230と、第2の電極240と、を含むことができる。
【0033】
太陽電池の基本単位は、単位セル(unit cell)である。 通常、一つのセルから出力される電圧は約1Volt以内と非常に小さいので、多数の単位セルを直/並列に接続し、使用範囲に応じて実用的な範囲の電圧と出力が得られるように1枚にパッケージングして作製された発電装置が提供することができる。
【0034】
具体的には、単位セルの縦横比、横幅対縦長の比率は8以下である。ここで、横(
図3の短辺)は単位セルで接続電極が形成される側面を意味し、縦(
図3の長辺)は単位セルでスクライビングが行われる側面を意味する。縦横比を8以下とした場合、1sun(室外向き)測定時、太陽電池の発電効率が従来の太陽電池に比べて同等またはそれ以上に増加する利点がある。
【0035】
本発明においては、太陽電池の各々の単位セルが互いに離隔して基板が露出する。単位セル間の基板が露出した部分250の幅は、0.1mm~2mmの範囲または0.1mm~1mmの範囲とすることができ、基板が露出した部分の幅を前記範囲に調節することにより、単位面積当たりの発電面積を従来と比較して増加させることができる。
【0036】
単位セル間の絶縁構造は、理想的には、単一のスクライビング(例えば、レーザーまたは物理的)によって形成することができる。
【0037】
このとき、単位セルの間に基板が露出する絶縁構造を配置することにより、単位セルが物理的に完全に短絡され、漏れ電流を最小化することができる。
【0038】
一実施形態において、単位セル間の絶縁構造の幅は同じである場合もあり得る。
一実施形態において、単位セル間の絶縁構造の幅は同じではなく、許容誤差範囲内で互いに異なっている場合もあり得る。
【0039】
このとき、絶縁構造は空気中に露出して形成することができ、他の実施形態では露出した部分を絶縁体で充填することができる。特に、最終製品を基準にして真空状態を維持できない場合には、絶縁体で充填することができる。
【0040】
図1に示す単位セルの間に接続電極を配置した従来の太陽電池では、単位セルの幅が1cmのモジュールの場合、多層スクライビングによりモジュールの作製時に接続電極が配置される非発電領域は約1mm以上確保しなければならない。これに対して、本発明の単位セルの間に基板が露出する絶縁構造の幅は、少なくとも0.1mmである。その結果、本発明の絶縁構造または非発電領域の幅は、従来技術と比較して1/10に減少する。非発電領域の幅が減少するにつれて、単位面積当たりの発電量が増加する。本発明の太陽電池は、単位セル間の絶縁構造が2mm以下の幅を有することができる。
【0041】
単位セル間の絶縁構造は、単位セル間の微細な隙間等を形成するパターニングを行うことにより形成することができる。パターニングは、ガラス基板上に形成された薄膜を部分的に除去するためのことであり、主にレーザスクライビングによって達成される。スクライビングの方法はレーザスクライビングに限定されず、他の物理的なスクライビングによっても達成することができる。
【0042】
したがって、絶縁構造の幅は、レーザスクライビングを用いてパターニングを行う場合、使用波長におけるレーザビームの分解能によって決定することができる。
【0043】
一実施形態では、本発明の太陽電池は、離隔した部分にバッテリー(battery)を別々に配置することができる。
【0044】
太陽電池-バッテリー一体型装置は、太陽光の下では別途充電せずにバッテリーを使い続けることができる。
【0045】
発電効率を高めるために、本発明の太陽電池は、単位セル間の基板が露出した絶縁構造にバッテリーを配置することができる。バッテリーを配置する場合、間隔を置いた部分の幅が増加する可能性がある。
【0046】
本発明の太陽電池のアクティブ層230は、活性層、電子輸送層及び正孔輸送層のうち少なくとも1つ以上を含む。
【0047】
一実施形態では、アクティブ層230は、活性層、電子輸送層、及び正孔輸送層を含むことができる。他の実施形態では、アクティブ層230は電子輸送層と活性層を含むことができる。さらに他の実施形態では、アクティブ層230は活性層を含むことができる。
【0048】
正孔輸送層(hole transporting layer)は、第1の電極と活性層との間の正孔の円滑な輸送を助ける。
【0049】
正孔輸送層は、単分子正孔伝達物質(spiro-MeoTAD[2,2’,7,7’-tetrakis(N,Np-dimethoxy-phenylamino)-9,9’-spirobifluorene])または高分子正孔伝達物質(P3HT[poly(3-hexylthiophene)]からなる。
【0050】
電子輸送層は、第2の電極と活性層との間の電子の円滑な輸送を助ける層である。
電子輸送層は、金属酸化物半導体(TiO2、SnO2)またはPCBM(Phenyl-C61-butyric Acid Methyl ester)から構成される。
【0051】
活性層はペロブスカイト(perovskite)光吸収層を含み、ペロブスカイトを使用するときに高い光電変換効率を有することができる。
【0052】
光吸収層は、金属酸化物粒子の表面に外部光を吸収して電子を生成する。光吸収層として優れた光電変換効率を示す物質は、メチルアンモニウムヨウ素化鉛(CH3NH3PbI3)化合物であって、約400nmから800nmの間の光を吸収すると知られている。
【0053】
光吸収層として機能するペロブスカイト結晶構造を有する物質は、無機物と有機物が混合された形態でAMX3の分子式を有する。代表的な例としては、上述したMethylammonium lead iodide(CH3NH3PbI3、MAPbI3)またはFormamidinium lead iodide(CH(NH2)2PbI3、FAPbI3)がある。AMX3の分子式において、Aは有機カチオン、Mは金属カチオン、Xはハロゲンアニオンからなる無/有機ハイブリッドハロゲン化物は、それらの独特の結晶化挙動及び光電気的特性により太陽電池の光吸収層として利用するときに高い光電変換効率を示す。
【0054】
有機/無機ハイブリッド型のペロブスカイト素材は、高い可視光吸光係数、バンドギャップ制御のしやすさ、優れた電荷移動度、長い電荷拡散長さなどの優れた光電気的特性を有し、これをもとに太陽電池の光吸収材料として活用するときに25%以上の高効率太陽電池の具現が可能である。この優れた特性は、ペロブスカイト素材が室内照明の可視光領域の光を効果的に吸収、光電変換して、低照度環境でも優れた効率を示すことができる。
【0055】
一実施形態では、本発明の太陽電池は、10μm未満の厚さを有することができる。具体的には、本発明の太陽電池は、500nm以上~5μm未満の厚さを有することができる。太陽電池の厚さが薄すぎると、電極形成時に大きな問題はないが、光吸収層の厚さが薄くなり、最終的に光電効率の低下につながる可能性がある。PSCの場合、光吸収層は300~500nmの厚さを有することができる。したがって、相対電極及び電子/正孔吸収層の厚さを考慮すると、厚さの下限は約500nm以上であることが好ましい。
【0056】
従来の色素増感太陽電池(dye-sensitized solar cell:DSC)の厚さが10~20μm程度であるのに比べて、より薄い厚さの太陽電池を製作することができるという点で本発明の太陽電池は有利である。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態による太陽電池の接続電極を含む様子を示す。
太陽電池は、セルを直列に接続すると、電圧がセルの数に比例して増加し、または並列に接続すると、電流が増加する。この原理を用いて必要な電圧と電流を有するモジュールを製作することができる。
【0058】
図面を参照すると、本発明の太陽電池は、各々の単位セルを接続する接続電極360をさらに含むことができる。接続電極は、単位セルの第2の電極340から延びて隣接する単位セルの第1の電極と接続されることができる。本発明の太陽電池は、接続電極を隣接する単位セルの第1の電極と接続するとき、コンタクト抵抗を最小限に抑えるためにパターニング後に熱処理されたコンタクト金属を含むことができる。
【0059】
一実施形態では、第2の電極340と接続電極は同じ材料からなることができ、この場合、コンタクト抵抗が最小化される。
【0060】
さらに、第2の電極と接続電極は一体構造として形成することができる。一体構造は、第2の電極と接続電極を同時に蒸着して形成することによって工程を短縮することができる。
【0061】
第2の電極と接続電極はパターニング工程を通じて一体構造として形成されることができる。
【0062】
この実施形態において、第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも1つは透明電極で構成することができる。第1の電極及び第2の電極の一方は必ず透明電極でなければならない。
【0063】
第1の電極及び第2の電極が共に透明電極であれば、半透過性太陽電池を提供することができ、第1の電極及び第2の電極の一方のみが透明電極であれば、効率損失を最小限に抑える高効率の太陽電池を提供することができる。
【0064】
透明電極は、太陽電池の光が入射する側の面に形成した、光透過率が高く、電気伝導率が大きい性質を有する電極である。
【0065】
第1の電極320及び第2の電極340は、それぞれ、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)、アンチモンスズ酸化物(ATO:Antimony Tin Oxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チタン(Tin Oxide)、ZnoGa2O3、 ZnO-Al2O3、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、炭素(C)、WO3、TiO2、Au、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Ir、グラフェン及び導電性ポリマーのうちの1つ以上からなる。
【0066】
接続電極は、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)、アンチモンスズ酸化物(ATO:Antimony Tin Oxide)、酸化亜鉛(Zinc Oxide)、酸化チタン(Tin Oxide)、ZnoGa2O3、ZnO-Al2O3、白金、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、炭素(C)、WO3、TiO2、Au、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Ir、グラフェン及び導電性ポリマーのうちの1つ以上からなる。
【0067】
この実施形態においては、第1の電極はフッ素スズ酸化物(FTO:Fluorine Tin Oxide)からなることができ、第2の電極及び接続電極は金属、例えば、金(Au)からなることができる。この場合、より優れた効率を有する太陽電池の具現が可能である。
【0068】
図4は、本発明の太陽電池の低照度環境での測定結果を示す。
図面を参照すると、本発明の単位セルの間に絶縁構造が配置された場合、本発明の太陽電池は、低照度(1,000lux以下)のときのFF(Fill factor)が64%以上の優れた特性を示すことができる。
【0069】
最近、低電力(平均20~50uW)で駆動可能な屋内モノのインターネット(IoT)センサーに対する需要が指数関数的に増加しつつ、室内低照度環境で電力を生産して電力を供給できる無線電源システムの開発の必要性が浮上している。
【0070】
一般に、住宅及び商業用建物の室内照明照度は、5.0×10-2mW/cm2(200~1000 lux)以下のレベルである。これは太陽電池が駆動する標準光強度(1Sun、100mW/cm2)に比べて非常に低いレベルである。これにより、太陽電池標準評価条件(STC:standard test condition)では発現されなかった界面欠陥と電荷トラップによる電力損失が低照度光源下では深刻な問題になることがある。これは太陽電池標準評価条件(STC)下で最適化した太陽電池素子の構造が、室内の低照度環境での高効率を保証しない可能性がある。
【0071】
したがって、本発明による太陽電池は、単位セル間を絶縁することによって漏れ電流を最小限に抑えるので、室内の低照度環境で電力を生産することができる低照度用太陽電池の好ましい代替案となり得る。
【0072】
一実施形態において、本発明の太陽電池は、100~10,000ルクス(lux)の低照度用である。具体的には、本発明の太陽電池は、100~1,500ルクスの低照度用であり、より詳しくは、200~800ルクスの低照度用である。
【0073】
図5は、本発明の太陽電池の1sun(室外向き)測定結果を示す。
本発明の太陽電池は、単位セル間を絶縁することにより、漏れ電流を最小化することができる。したがって、本発明の太陽電池は、低照度室内照明条件で太陽電池を開発するための素子構造最適化原理とそのメカニズムを提供することができる。
【0074】
ただし、本発明の単位セルの間に絶縁構造を有する太陽電池は、
図5において活性層が10cm
2のペロブスカイト光吸収層を含む場合、1sun(室外向き)測定でFFが29%であって、良くない結果を示す。
【0075】
これは、第1の電極及び第2の電極のシート抵抗に起因する電圧降下の影響が大きい。実際、高照度で生成される高密度のキャリア(電子、正孔)は高い電流値を示し、Ploss=I2Rで同じシート抵抗のときに大きな電力損失を示す。しかしながら、低照度のときは相対的に電流値が低くなるため、相対的に電力損失が太陽電池の構造に影響を及ぼさなくなる。
【0076】
図4及び
図5を参照すると、本発明の単位セルの間に絶縁構造を有する太陽電池は低照度用に好適であり、1sun(室外向き)、すなわち、屋外で使用するには適さない構造であり得る。
【0077】
図6は、本発明の太陽電池を形成する方法のフローチャートを示す図である。
本発明の太陽電池は、
図4を参照して詳細に説明したように、低照度環境に適した太陽電池の構造を提供する。
【0078】
実際、太陽電池の効率損失は、発生する電流の量とキャリアが移動する距離に比例して増加する。本発明では、低照度という特殊な環境で従来技術が有する非発電面積と漏れ電流の問題を解決できる構造を提案するとともに、電圧降下による効率損失を最小化できる太陽電池のデザインを提供する。
【0079】
本発明の太陽電池を形成する方法においては、基板を提供する(S610)。
その後、基板が露出するように互いに離隔した複数の単位セルを提供する(S620)。
【0080】
本発明の太陽電池を形成する方法では、複数の単位セルを接続する接続電極を形成する段階をさらに含むことができる。接続電極は、単位セル間の接続のために、単位セルの電極を隣接する他のセルの対向電極と接触させる。
【0081】
本発明の接続電極は、単位セル間の絶縁構造または非発電領域に配置されず、第2の電極から延びて隣接するセルに接続される。
【0082】
単位セルは、第1の電極と、アクティブ層と、第2の電極と、を含む。単位セルを提供する段階は、基板上に第1の電極を形成する段階と、第1の電極上にアクティブ層を形成する段階と、アクティブ層上に第2の電極を形成する段階と、を含む。
【0083】
S620における単位セルを提供する段階は、1回のスクライビング工程を実行することによって取得される。
【0084】
図7は、本発明の太陽電池の単位セルを形成する方法の第1の工程をより詳細に示す図である。
【0085】
まず、基板上に第1の電極を蒸着する(S710)。第1の電極は透明電極である。
その後、第1の電極上にアクティブ層を形成する(S720)。アクティブ層は、転写または蒸着またはコーティング方法を用いて形成される。
【0086】
続いて、アクティブ層上に第2の電極を形成する(S730)。
その後、スクライビング(レーザーまたは物理的)工程によって単位セルの間に基板が露出する絶縁構造を形成する(S740)。ステップS740において、各単位セルは、第1の電極と、アクティブ層と、第2の電極と、を含む。
【0087】
続いて、接続電極を形成する(S750)。
図8は、本発明の太陽電池の単位セルを形成する方法の第2の工程をより詳細に示す図である。
【0088】
まず、基板上に第1の電極を蒸着する(S810)。
その後、第1の電極上にアクティブ層を形成する(S820)。アクティブ層は、転写または蒸着またはコーティング方法を用いて形成される。
【0089】
スクライビング(レーザーまたは物理的)工程によって単位セルの間に基板が露出する絶縁構造を形成する(S830)。ステップS830において、単位セルは第1の電極とアクティブ層を含む。
【0090】
続いて、アクティブ層上に第2の電極及び接続電極を形成する(S840)。第2の電極はパターニングによって形成される。接続電極もパターニングによって形成される。
図9は本発明の太陽電池の単位セルを形成する方法の第3工程をより詳細に示す図である。
【0091】
まず、基板上に第1の電極を蒸着する(S910)。
その後、スクライビング(レーザーまたは物理的)工程によって単位セルの間に基板が露出する絶縁構造を形成する(S920)。ステップS920において、単位セルは第1の電極を含む。
【0092】
続いて、第1の電極上にアクティブ層を形成する(S930)。アクティブ層はパターニングによって形成される。
【0093】
その後、アクティブ層上に第2の電極及び接続電極を形成する(S940)。第2の電極はパターニングによって形成される。接続電極もパターニングによって形成される。
【0094】
本発明で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明らかでない限り、複数の意味を含むと見なされるべきである。 「含む」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、またはそれらを組み合わせたものが存在することを意味するものであり、それを排除するためのものではない。
【0095】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するとみなされるべきである。
【国際調査報告】