(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-11
(54)【発明の名称】プリントヘッドの位置合わせ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241204BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20241204BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20241204BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B05C5/00 101
B05B1/14 Z
B41J2/01 451
B41J2/175 101
B41J2/175 161
B41J2/175 151
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537163
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022081647
(87)【国際公開番号】W WO2023122474
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513317345
【氏名又は名称】カティーバ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140833
【氏名又は名称】岡東 保
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ディ.タフ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ビュヒナー
【テーマコード(参考)】
2C056
4F033
4F041
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB20
2C056EB29
2C056HA08
2C056HA09
2C056KC02
2C056KC05
4F033AA01
4F033BA03
4F033DA05
4F033EA03
4F033MA00
4F033NA01
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA05
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA21
(57)【要約】
【課題】
インクジェットプリンタ用のプリントヘッドアセンブリについて開示する。
【解決する手段】
プリントヘッドアセンブリは、複数のノズルを有するプリントヘッドと、プリントヘッドに取り付けられたノズルプレートと、少なくとも3つの締結具によってノズルプレートに取り付けられたベースプレートとを備える。少なくとも3つの締結具は、直交座標系の3次元の各次元において独立して、ベースプレートに対してノズルプレートを位置決めする。プリントヘッドアセンブリは、プリントヘッドと流体マニホールドとの間に流体接続部を有する。流体マニホールドは、位置合わせ特徴部を有する。プリントヘッドアセンブリはさらに、ベースプレートに結合するタイル構造体を有する。タイル構造体は第1部分と第2部分を有し、第1部分は第2部分に弾力的に結合される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタ用のプリントヘッドアセンブリであって、
複数のノズルを備えるプリントヘッドと、
前記プリントヘッドに取り付けられたノズルプレートと、 少なくとも3つの締結具によって前記ノズルプレートに取り付けられたベースプレートと、を備え、前記少なくとも3つの締結具は、各X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向において独立して、前記ベースプレートに対して前記ノズルプレートを位置決めする、プリントヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記締結具のうちの少なくとも1つはシムを含む、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記締結具のうちの少なくとも1つは円錐ねじである、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの円錐ねじは、前記ベースプレートに対する前記ノズルプレートの回転が調整可能となるように配置される、請求項3に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの円錐ねじは、前記ベースプレートに対して前記ノズルプレートが回転可能となるように配置された第1円錐ねじと、前記ベースプレートに対して前記ノズルプレートが直線移動可能となるように配置された第2円錐ねじとを含む、請求項4に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記ノズルプレートは、長手寸法と、短手寸法と、第1端部と、前記長手寸法に沿って前記第1端部とは反対側の第2端部とを有し、
前記第1円錐ねじは、前記第1端部に位置し、
前記第2円錐ねじは、前記ノズルプレートの側面に沿って前記第2端部に位置する、請求項5に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記ベースプレートの熱膨張係数は、約20×10
-6/K未満である、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項8】
前記プリントヘッドは第1プリントヘッドであり、
前記ノズルプレートは第1ノズルプレートであり、
前記プリントヘッドアセンブリは、第2ノズルプレートに取り付けられた第2プリントヘッドをさらに備え、
前記第2のノズルプレートは、X軸方向およびY軸方向において前記ベースプレートに対する前記第2のノズルプレートの独立した位置決めを提供し、Z軸方向において前記ベースプレートに対する前記第2のノズルプレートの位置を、固定する少なくとも3つの締結具によってベースプレートに取り付けられている、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項9】
第1端部が前記ベースプレートに取り付けられたタイル構造体と、
前記タイル構造体の前記第1端部とは反対側の第2端部に取り付けられた流体マニホールドとをさらに備え、
前記流体マニホールドは、少なくとも2つの流体接続部と、少なくとも2つのマニホールド位置合わせ特徴部とを備える、請求項1に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項10】
前記タイル構造体に取り付けられた電気部品をさらに備え、
前記電気部品は、前記流体マニホールドのノッチ内に配置された接続部材を有する、請求項9に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項11】
前記流体マニホールドは、前記流体接続部を取り囲む壁を有する、請求項9に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項12】
前記流体マニホールドは、マニホールド締結具を受ける凹部を有する、請求項9に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項13】
前記流体マニホールドは、前記マニホールド締結具の有無を検知するセンサをさらに備える、請求項12に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項14】
前記センサは、前記流体マニホールドの主面に取り付けられる、請求項13に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項15】
前記タイル構造体は、前記ベースプレートに取り付けられた第1部材と、前記流体マニホールドに取り付けられた第2部材とを有し、
前記第1部材は、弾力接続部によって前記第2部材に取り付けられる、請求項9に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項16】
前記タイル構造体は、方向決め特徴部を有する、請求項9に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項17】
インクジェットプリンタ用のプリントヘッドアセンブリであって、
支持プレートと、
複数の位置合わせ突起部を含む供給プレートと、
前記支持プレートと前記供給プレートとの間に設けられた複数の印刷タイルと
を備え、
前記複数の印刷タイルのそれぞれは、
各々が複数のノズルを備える複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッド各々に取り付けられたノズルプレートと、
少なくとも3つの締結具によって前記ノズルプレートに取り付けられたベースプレートであって、前記少なくとも3つの締結具は、各X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向において独立して、前記ベースプレートに対して前記ノズルプレートを位置決めするベースプレートと、
前記供給プレートの前記位置合わせ特徴部のうちの1つと一致する少なくとも1つの位置合わせ特徴部を含む流体マニホールドと
を備える、プリントヘッドアセンブリ。
【請求項18】
前記供給プレートは、印刷タイル案内部をさらに備える、請求項17に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項19】
前記支持プレートは、印刷タイル案内部をさらに備える、請求項17に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【請求項20】
前記支持プレートは印刷タイル案内部をさらに備え、
前記供給プレートは印刷タイル案内部をさらに備え、
前記印刷タイルは、第1部分と第2部分とを含むタイル構造体を備え、前記第1部分は第2部分に弾力的に結合され、前記第2部分は前記ベースプレートに結合される、請求項17に記載のプリントヘッドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年12月21日出願の米国仮特許出願第63/265,807号の利益を主張し、その全内容を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
産業用インクジェットプリンタは、大型基材に材料を塗布して各種デバイスを形成するために使用される。基材は、硬質や軟質、厚板、薄板のいずれも可能であり、種々の材質からなるものが可能である。このように使用される基材の最も代表的な種類として、各種ガラスからなる基材が挙げられ、これらの基材は、テレビ等の電子ディスプレイやスマートフォン用のディスプレイを製造するために処理される。
【0003】
インクジェットプリンタでは、基材上に印刷材料を吐出して堆積させるノズルを備えたプリントヘッドが使用される。今日の産業用インクジェットプリンタでは、微小な印刷材料液滴を極めて高い精度で基材上に堆積させて、微小または極細の構造を正確に配置して形成する。生産速度を上げるために、複数のプリントヘッドを使用して1つの印刷ジョブを実行するのが一般的である。近年のインクジェット印刷は非常に精密であるため、印刷液滴が確実に所望の場所に着弾するよう、プリントヘッドを精密に位置合わせすることが有用である。印刷液滴のサイズが10μmまで小さくなると、プリントヘッドの位置合わせの必要性が高まる。
【0004】
産業規模のインクジェットプリンタにおいて、プリントヘッドの交換が必要になる場合がある。今日のプリントヘッドは一般的に複数個がセットになっており、1つのカートリッジに対して数個のプリントヘッドが設けられる。あるプリンタに使用されるプリントヘッドのアセンブリでは、プリントヘッドのカートリッジが複数必要となる場合もある。プリントヘッドとカートリッジを交換する際にプリンタのダウンタイムを最小限に抑えるには、インク供給部や電気部品との接続を確実にしつつ、プリントヘッドカートリッジの取り外しと取り付けを素早く行うことが有用である。また、全てのカートリッジが互いに位置合わせされていると便利である。
【0005】
また、インクジェットプリンタが動作すると、通常、プリンタ部品の温度が変化する。こうした温度変化によって、プリントヘッドやカートリッジでは、ノズルの位置合わせや配置が変化する場合がある。このような変化が起こると、ノズルの新たな位置に基づくプリンタの再較正が必要になる場合が多い。ノズルの位置が動作温度範囲に応じて数ミクロン単位で変化し得るからである。例えば、プリントヘッドを1つの印刷カートリッジ内に装着して位置合わせし、複数のカートリッジを組み合わせてプリントヘッドアセンブリを作成する作業を、全て室温で行うものとする。生産中にプリントヘッドアセンブリの温度が上昇すると、全てのプリントヘッドとノズルの位置合わせが変化する可能性がある。このような変化を検出して対応するためには、時間のかかる較正作業が必要となり、生産が遅くなってしまう。このような変化を管理し、最小限に抑えることができれば、生産速度を上げることができる。
【0006】
産業規模のインクジェットプリンタ用のプリントヘッドにおいて、極めて正確な位置合わせを実現、維持、管理するための方法および装置が継続的に求められている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載の実施形態によれば、インクジェットプリンタ用のプリントヘッドアセンブリであって、複数のノズルを備えるプリントヘッドと、プリントヘッドに取り付けられたノズルプレートと、少なくとも3つの締結具によってノズルプレートに取り付けられたベースプレートとを備え、少なくとも3つの締結具は、3次元の各次元において独立して、ベースプレートに対してノズルプレートを位置決めする、プリントヘッドアセンブリが提供される。
【0008】
本明細書に記載の他の実施形態によれば、インクジェットプリンタ用のプリントヘッドアセンブリであって、支持プレートと、複数の位置合わせ特徴部を含む供給プレートと、支持プレートと供給プレートとの間に設けられた複数の印刷タイルとを備え、複数の印刷タイルのそれぞれは、各々が複数のノズルを備える複数のプリントヘッドと、複数のプリントヘッド各々に取り付けられたノズルプレートと、少なくとも3つの締結具によってノズルプレートに取り付けられたベースプレートであって、少なくとも3つの締結具は、3次元の各次元において独立して、ベースプレートに対してノズルプレートを位置決めするベースプレートと、供給プレートの位置合わせ特徴部のうちの1つと一致する少なくとも1つの位置合わせ特徴部を含む流体マニホールドとを備える、プリントヘッドアセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一実施形態に係るプリントヘッド群の平面図である。
【0010】
【
図1B】
図1Aのプリントヘッド群の一部を示す立面図である。
【0011】
【
図2A】一実施形態に係る産業規模のインクジェットプリンタに用いられるタイル部品の概略側面図である。
【0012】
【0013】
【
図3A】一実施形態に係る印刷タイルを部分的に分解した概略側面図である。
【0014】
【0015】
【0016】
【
図4】印刷タイルが部分的に挿入され、部分的に組み立てられた状態のプリントヘッドアセンブリを示す概略立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aは、一実施形態に係るプリントヘッド群100の平面図である。プリントヘッド群100は、複数のプリントヘッド102(本例では、3つのプリントヘッド102)を含み、各プリントヘッドは、印刷材料を吐出するための複数のプリントノズルを有する。簡略化のため、ノズルは図示していない。各プリントヘッド102は、ノズルプレート104に取り付けられる。各ノズルプレート104は、ベースプレート106に取り付けられる。ベースプレート106は、複数のノズルプレート104および複数のプリントヘッド102をひとまとめにする役割を果たし、プリントヘッド群100を構成する。
【0018】
各ノズルプレート104は、3つの締結具によってベースプレートに取り付けられる。これらの締結具は、3次元の各次元において独立して、ベースプレートに対してノズルプレートを位置決めする。各ノズルプレート104は、長手寸法110と、短手寸法112と、第1端部114と、長手寸法110に沿って第1端部114とは反対側に位置する第2端部116とを有する。第1締結具118は、長手寸法110の方向におけるノズルプレートの中心軸上の、第1端部114に位置する。第1締結具118は、ノズルプレート104をその長手寸法110に沿って位置決めするように操作可能である。第1端部114には、長手寸法110に対して対称なノッチ120が形成される。本例では、ノッチ120の直線状の2辺は、長手寸法110に沿って延びるノズルプレート104の中心軸上に位置する点で合流する。第1締結具118は、ノッチ120の2辺に均等な力を与えることにより、第1端部114において位置決めのための力を与える。この力は、短手方向では相殺され、長手方向では加算される。これにより、第1締結具118の操作によって、ノズルプレート104を長手寸法110の方向に位置決めすることが可能になる。プリントヘッド群100のプリントヘッドおよび他の部品の位置関係を維持するために、寸法の安定性が確保されるよう、ベースプレートの熱膨張係数は低い。一例では、ベースプレートの熱膨張係数は約20×10-6/K未満である。
【0019】
図1Bは、プリントヘッド群100の一部を示す概略立面図である。この図では、ノズルプレート104の一部と共に、上述したようなノズルプレート104の位置決めに用いることができる締結具150の一例を示す。締結具150は、縁部154が傾斜した円錐頭部152を有する円錐ねじである。締結具150は、円錐頭部152がノズルプレート104に当接するように配置される。円錐ねじ150が操作されると、ノズルプレート104における円錐頭部152との当接点が変化する。円錐ねじ150が前進すると、当接点は円錐頭部152のうち大径側の位置に移動し、その結果、ノズルプレート104を円錐ねじ150から遠ざける方向に付勢する力が生じる。円錐ねじ150が後退すると、円錐頭部152におけるノズルプレート104との当接点は小径側の位置に移動し、その結果、円錐ねじ150によってノズルプレート104に加えられる力が減少する。ノズルプレート104に対する力の均衡の変化に伴い、ノズルプレート104に対する反力によって、ノズルプレート104が円錐ねじ150に向かって付勢される。このように、ノズルプレートを長手寸法110の方向に位置決めすることのできる締結具として、円錐ねじを用いることができる。
【0020】
再び
図1Aを参照すると、ノッチ120は、長手寸法110に関して対称であれば任意の形状を有することができる。形状は、多角形、円形、または不定形状とすることもできる。
【0021】
第2締結具122は、第2端部116に位置し、ノズルプレート104をその短手寸法112の方向に位置決めするように操作可能である。第2締結具122は、ノズルプレート104の側面124に沿って、第2端部116の近傍に配置される。本例では、第2締結具122がノズルプレート104の側面124に沿って第2端部116の近傍に配置されるため、第2締結具122を操作することによって、ノズルプレート104をその垂直軸周りで回転させることができる。すなわち、第2締結具122を操作することにより、ノズルプレート104を、その長手寸法110と短手寸法112とによって画定される平面(ベースプレート106に略平行な平面)に垂直な軸周りで回転させることができる。
【0022】
第2締結具122が操作されると、第1端部114が第1締結具118周りで回転しつつ、第2端部116が短手寸法112の方向に移動する。第1締結具118が同時に操作されない場合には、第1締結具118は、長手寸法110におけるノズルプレート104の位置を維持し、第1端部114の位置を維持する。一方、第2締結具122は、第2端部116の位置を変化させる。その結果、固定された第1締結具118の位置周りでノズルプレート104が回転する。第2締結具122がノズルプレート104を移動させる距離は短いため、第2締結具122は、実質的には、ノズルプレート104を短手寸法112に対して略平行に準線形的に(すなわち、差動的には非平行に)移動させる。また、第2締結具122を操作することによって、ノズルプレート104を任意の所望の特徴部または方向に位置合わせすることができる。特に、各ノズルプレート104の第2締結具122を操作することによってノズルプレート104を互いに位置合わせすることができ、その結果、プリントヘッド群100の全てのノズルプレート104を位置合わせすることができる。各ノズルプレート104の第1締結具118を操作することによって、ベースプレート106の平面に略平行な平面を画定する2次元の各次元において、プリントヘッド群100の全てのノズルプレート104を位置合わせすることができる。
【0023】
対向部材130を設けることによって、長手寸法110の方向に復元力を与えることが可能である。対向部材130は、ノズルプレート104の第2端部116に位置しており、第2端部116に当接する。対向部材130は、ノズルプレートに対して、第1締結具118によって加えられる力の方向とは略反対方向に力を加えるように構成される弾性部材である。第1締結具118を操作してノズルプレート104を対向部材130に向かって(第1締結具118から離れる方向に)押し込むと、対向部材130が凹み、ノズルプレート104は第1締結具118から離れる方向に移動する。ノズルプレート104が第1締結具118から離れる方向に移動すると、対向部材130は復元力による位置エネルギーを蓄積する。第1締結具118を操作してノズルプレート104を第1締結具118に向かって移動させると、対向部材130に蓄積された復元力による位置エネルギーが解放され、ノズルプレート104が第1締結具118に向かって移動する。
【0024】
場合によっては、対向部材130を第1対向部材として、第2締結具122とは反対側に位置する第2対向部材132をプリントヘッド群100に設けることもできる。第2対向部材132は、上記と同様の復元力を与えるものである。すなわち、第2締結具122を操作してノズルプレート104を第2締結具122に向かって回転させると、ノズルプレート104を第2締結具122に向かって移動させる復元力である。第1対向部材130および第2対向部材132は、板ばねやコイルばね等のばね部材、またはその他の弾性部材(例えば、ゴム製止め具等の均質な圧縮性部材)であってもよい。
【0025】
なお、対向部材130、132は、温度サイクル中の熱膨張の影響を管理するのに役立つ。プリントヘッド群100の温度が変化すると、プリントヘッド群100の部品が熱膨張することにより、部品の寸法および相対位置が変化する。部品は、組成がほぼ同一であり、かつ相対位置が近いため、同様の部品(例えば、全てのノズルプレート104)の熱応答性は、ほぼ同一である。例えば、ノズルプレート104の寸法は、温度が上昇するにつれて大きくなる。ノズルプレート104に当接している各種締結具の位置は変化しないため、熱膨張によって対向部材130、132にかかる力が増大し、対向部材130、132が凹む。その後、温度がサイクル中に低下すると、ノズルプレート104の寸法収縮に伴って対向部材130、132が弛緩する。これにより、温度サイクルの間中、実質的に全てのノズルプレート104が整列した状態を維持することができる。
【0026】
第3締結具140を設けることによって、長手寸法110および短手寸法112の方向とは異なる第3方向においてノズルプレート104を調整することが可能である。本例では、各ノズルプレート104の第3方向の位置を調整するために、ノズルプレート104の第3締結具140と共に、1つ以上のスペーサ142を用いる。本例では、ノズルプレート104を第3方向に位置決めするために、2つの締結具140を用いる。一方は第1端部114に設け、他方は第2端部116に設ける。2つの締結具140は、それぞれ対応のスペーサ142を用いて独立して操作可能である。これにより、ノズルプレート104およびそれに取り付けられたプリントヘッド102の高さ調整をさらに行うことが可能になる。スペーサ142は、ノズルプレート104とベースプレート106との間に位置し、かつ第3締結具140の力が働く領域の略下方に位置する。これにより、第3締結具140の近傍において、ノズルプレート104を第3方向の所望の位置に配置することができる。スペーサ142の厚さは、第3方向においてノズルプレート104をパラメトリックに位置決めすることができる任意の所望の厚さに設定することができる。一例では、各スペーサ142の厚さは25μmであるが、これに限定されない。スペーサ142は、ノズルプレート104とベースプレート106との間で略外側に突出している。これにより、スペーサ142を容易に操作することができる。なお、第3方向におけるノズルプレート104の位置および角度の調整の必要に応じて、1箇所に2つ以上のスペーサ142を設けてもよいし、スペーサ142を設けない箇所があってもよい。
【0027】
ノズルプレート104は、プリントヘッド102が取り付けられた状態で、上記の3方向において任意の順序で位置合わせすることができる。処理の一例では、ノズルプレート104をベースプレート106に緩く取り付ける。プリントヘッド群100の第1ノズルプレート104を、ノッチ120内の固定位置締結具144を用いて、長手寸法110に関して固定の位置に据え付ける。プリントヘッド102が取り付けられた他のノズルプレート104を、それぞれ対応の第1端部114において第1締結具118を用いて第1ノズルプレート104と位置合わせする。全てのノズルプレート104の第2締結具122を操作して、全てのノズルプレート104を位置合わせする。例えば、全てのノズルプレート104の第2締結具122を用いて、全てのノズルプレート104を基準位置(例えば、ベースプレート106の縁部)に位置合わせしてもよい。次に、第3締結具140をスペーサ142と共に操作して、第3方向におけるノズルプレート104の位置合わせおよび高さ調整を行う。ベースプレート106には、後述するタイル構造体の支柱を受けるための4つの凹部146が設けられる。凹部146によって、プリントヘッド群100を印刷タイルと一体化することが可能になる。印刷タイルは、プリントヘッド群100に印刷液を供給し、プリントヘッド群100の動作を制御するものである。
【0028】
プリントヘッド群100には、プリントヘッド102に印刷液を供給するための印刷液導管が取り付けられる。
図2Aは、一実施形態に係る産業規模のインクジェットプリンタに用いられるタイル部品200の概略側面図である。この側面図では、タイル部品200が備えるプリントヘッド群100において、1つのプリントヘッド102、1つのノズルプレート104、ならびに1組の第1締結具118、第2締結具122、および第3締結具140が示される。ノズルプレート104には、プリントヘッド102の第1側面204に隣接して供給導管202が取り付けられる。また、ノズルプレート104には、プリントヘッド102の第2側面208に隣接して戻り導管206が取り付けられる。供給導管202は、プリントヘッド102に印刷液を送出する。戻り導管206は、プリントヘッド102からの印刷液を戻す。したがって、タイル部品200は、インクジェットプリンタ用の印刷タイル(
図2Aには図示せず)の一部として用いることができる流体部品である。供給導管202と戻り導管206は、
図2Aに示す例から互いに位置を入れ替えてもよい。すなわち、供給導管202を第2側面208に隣接して取り付け、戻り導管206を第1側面204に隣接して取り付けてもよい。
【0029】
供給導管202および戻り導管206は、流体マニホールド210にも取り付けられる。流体マニホールド210は、タイル部品200を印刷供給システム(図示せず)と流体的に接続するために用いるものである。
図2Bは、タイル部品200の概略上面図である。流体マニホールド210は、供給導管202および戻り導管206(
図2A)と係合する位置に、流体供給ポート212および流体戻りポート214を有する。流体供給ポート212および流体戻りポート214の各々は、印刷供給システムのそれぞれの流体ノズルが挿入されたときに封止する封止面215を有する。印刷供給システムの各流体ノズルは肩部を有しており、肩部は、流体供給ポート212および流体戻りポート214との流体接続が形成されたときに、封止圧力で封止面215に接触する。これにより、流体ポート212、214と印刷供給システムとの間の接続部が封止される。
【0030】
流体マニホールド210は、タイル部品200を構成要素として含む印刷タイルの装着を補助する2つの位置合わせ特徴部216を有する。印刷タイルについては、以下で詳述する。位置合わせ特徴部216は、流体供給ポート212と流体戻りポート214との間に位置しており、本例では、流体供給ポート212と流体戻りポート214の中心を結ぶ線からわずかにずれた位置に配置される。位置合わせ特徴部216は、流体マニホールド210上の適宜の位置に設けることができる。位置合わせ特徴部216は、凸部または凹部であってもよい。本例では、位置合わせ特徴部216は凹部であり、流体マニホールド210を印刷供給システムの流体供給部品(
図2Bには図示せず)と位置合わせするための位置合わせ凸部を受ける。各位置合わせ特徴部216は、傾斜した入口217を有する。位置合わせ特徴部216を備えたタイル部品200を含む印刷タイルが印刷供給システムに挿入され係合されると、印刷供給システムの位置合わせ用の位置合わせ凸部が位置合わせ特徴部216内に入り込む。これにより、印刷タイルを装着しながら容易に位置合わせすることができる。これについては、以下で詳述する。
【0031】
流体マニホールド210は、タイル部品200を含む印刷タイルを印刷供給システムに固定するための係合特徴部218を有する。本例では、係合特徴部218は、ねじを受けるためのねじ凹部である。ねじを操作することによって、印刷タイルと印刷供給システムとを確実に係合することができる。流体マニホールド210の外壁220は、流体マニホールド210の内部表面222を画定する。外壁220は、内部表面222よりも高くなっている。これにより、タイル部品200が印刷供給システムから係合解除されたとき、例えば、印刷タイルの取り外しの際に印刷供給システムまたは供給導管202および戻り導管206に収容された流体が漏れた場合に、流体をせき止めることができる。係合特徴部218は、高台部224に設けられる。高台部224の高さは、係合特徴部218への流体の侵入を防止するために、外壁220の高さと略等しい。本例では、係合特徴部218への流体の侵入は望ましくない。流体マニホールド210には、印刷タイルを確実に装着するためにねじと係合特徴部218との係合を検出するセンサが設けられているためである。高台部224は、外壁220よりも高くてもよいし、場合によっては、外壁220よりもわずかに低くてもよい。高台部224が低すぎると、印刷タイルが印刷供給システムから係合解除されたときに、印刷液が係合特徴部218に侵入するおそれがある。
【0032】
再び
図2Aを参照すると、流体マニホールド210の下面228には光学センサ226が取り付けられており、ねじと係合特徴部218との係合を検知する。センサ226は、流体マニホールド210に直接取り付けてもよいし、金属板(図示せず)等の中間部材を介して取り付けてもよい。完全に係合すると、ねじは光学センサ226まで延び、光学センサ内の光源の光路を覆う。光学センサ内の光検出器は、光源からの光の有無を検知し、それに応じて信号を出力する。光が有る場合、光検出器は、ねじが完全には係合していないことを示す信号を出す。光が無い場合、光検出器は、ねじが完全に係合したことを示す信号を出す。このように、ユーザは、印刷タイルが印刷供給システムに完全に係合した旨を容易に確認することができる。
【0033】
他の種類のセンサを用いて係合を検出することもできる。例えば、光学センサは、下面228に取り付けるのではなく、流体マニホールド210内に配置することもできる。また、ねじおよび係合特徴部が共に導電性要素を含む場合は、導電率センサを用いてねじと係合特徴部との接触を検出することもできる。
【0034】
タイル部品200は、電気部品と組み付けられて印刷タイルを構成する。
図3Aは、一実施形態に係る印刷タイル300を部分的に分解した概略側面図である。図の右側にタイル部品200を示す。本図では供給導管202が示されるが、戻り導管206は隠れている。供給導管202は、各プリントヘッド102用の供給管350を介してプリントヘッド102に流体結合する。供給管350は、供給管マニホールド352を介して供給導管202に結合する。各プリントヘッド102の反対側では、同様の戻り管および戻り管マニホールドによって、戻り導管がプリントヘッド102に結合される。
【0035】
図の左側に示す電気部品302がタイル部品200と組み付けられて、印刷タイル300を構成する。電気部品302は、制御ボックス306とインターフェイス回路308とを支持するタイル構造体304を備える。インターフェイス回路308は、本例では、回路基板として実装される。インターフェイス回路308は、配線によって制御ボックス306と電気的に接続される。制御ボックス306は、プリントヘッド102の動作を制御する回路を収容する。電気部品302をタイル部品200に組み付ける際、配線によって制御ボックス306をプリントヘッド102に接続する。
【0036】
タイル構造体304は、インターフェイス回路308を支持する第1部分310を有する。第1部分310は、インターフェイス回路308および流体マニホールド210を位置合わせして支持する。これにより、印刷タイル300を迅速かつ容易に印刷供給システムと接続することができる。これについては、以下で詳述する。第1部分310は、4本の上部支柱316(
図3Aでは2本示される)によって接続された第1プレート312と第2プレート314を有する。第1プレート312と第2プレート314は略平行である。4本の上部支柱316は互いに略平行であり、かつ第1プレート312と第2プレート314に対して略垂直である。インターフェイス回路308は、インターフェイス支持プレート318によって支持されている。インターフェイス支持プレート318は、第1プレート312から第1部分310の内部に、第1プレート312に略垂直な方向に延びる。インターフェイス回路308は、実装スペーサ320を用いてインターフェイス支持プレート318に取り付けられる。実装スペーサ320によって、インターフェイス回路308がインターフェイス支持プレート318に対して正確に位置決めされ、これによって印刷供給システムとの電気接続が容易になる。
【0037】
第1部分310の第2プレート314は、タイル構造体304の第2部分322に取り付けられる。第2部分322には、第2プレート314が取り付けられる実装プレート324が設けられる。第2プレート314と実装プレート324は、弾力締結具326を用いて締結される。弾力締結具326は弾力性を有しているため、第1部分310と第2部分322は互いに位置がずれることができる。弾力締結具326の弾性によって、第1部分310と第2部分322は互いに位置がわずかにずれることができるため、印刷供給システムとの接続が容易になる。ただし、第1部分310と第2部分322はしっかりと締結されたままである。一実施形態では、弾力締結具326はばね付きショルダーねじであるが、任意の弾力締結具を用いることができる。
【0038】
図3Cは、一実施形態に係る電気部品302の一部を示す詳細図であり、第1部分310の第2部分322への取り付け態様を示している。弾力締結具326は、ばね325を備えたばね付きショルダーねじである。ばね325は、実装プレート324と第2プレート314との間に設けられ、ねじ327によって圧縮されている。このように、第1部分310を第2部分322に取り付けた状態で、ばね325を介して第1部分310を弾性的に浮き上がらせることができる。他の実施形態では、ねじ327によってプレート314とプレート324とを互いに離隔させた状態に保持することによって、ばね325を引張状態とすることもできる。他の弾力締結具を用いることもできる。
【0039】
再び
図3Aを参照すると、第2部分322は4本の下部支柱329を有する。下部支柱329は、実装プレート324から延びており、第2部分322の外周を画定する。第2部分322の外周は、本例では上部支柱316によって画定される第1部分310の外周と略等しい。下部支柱329がプリントヘッド群100のベースプレート106の凹部146(
図1A)に入り込むことにより、電気部品302がタイル部品200と一体化される。これにより、1つの単位として取り扱い可能な印刷タイル300が構成される。
【0040】
第2部分322はさらに、4本の下部支柱329に取り付けられる制御ボックス306を有する。 実装プレート324はまた、制御ボックス306を支持するとともに、第2の部分322に剛性を与える。また、電気部品302がタイル部品200に組み付けられたときに、印刷タイル300に剛性を与える。
【0041】
図3Bは、印刷タイル300を組み立てた上面図である。この図では、第1プレート312が示されており、流体マニホールド210およびインターフェイス回路308の接続縁部328は、印刷供給システムと接続されるように配置されている。第1プレート312には、締結具332によって窓330が取り付けられる。窓330は、タイル300の組み立て時に、流体マニホールド210の横方向の支持および位置決めを可能にするものである。また、第1プレート312には、接続縁部328を受けるための、あるいは任意選択で、接続縁部328を通過させるための開口部334が設けられる。これにより、印刷供給システムとの接続が可能になる。開口部334は、接続縁部328が印刷供給システムの接続部分と係合できるように、接続縁部328の周囲に空間公差を有する。
【0042】
第1プレート312は、印刷タイル300を適切な向きで確実に装着するための方向決め特徴部336を有する。印刷タイル300は、プリントヘッドアセンブリ(図示せず)内に装着される。プリントヘッドアセンブリは、印刷タイル300を支持し、動作時には印刷タイル300を位置決めして印刷を行う。また、プリントヘッドアセンブリは、印刷タイル300が係合する印刷供給システムを備える。プリントヘッドアセンブリは、印刷タイル300の適切な装着を確実にするために、対応の方向決め特徴部を備える。ここでは、方向決め特徴部336は、第1プレート312の縁部から横方向に突出した凸部である。本例では、方向決め特徴部336は、略長方形である第1プレート312の長辺縁部から突出する。なお、第1プレート312は適宜の形状を有することができ、方向決め特徴部336は第1プレート312上の適宜の位置に配置することができる。ここでは方向決め特徴部336は半円形であるが、方向決め特徴部336は適宜の形状を有することができる。方向決め特徴部として、凸部の代わりに凹部を用いることもできる。また、任意の数の方向決め特徴部を用いることができる。図示の例では、方向決め特徴部336は1つである。
【0043】
図4は、印刷タイルが部分的に挿入され、部分的に組み立てられた状態のプリントヘッドアセンブリ400を示す概略立面図である。プリントヘッドアセンブリ400は、支持プレート402と供給プレート404を有する。印刷供給システム406は、供給プレート404の第1面に設けられ、供給プレート404を介して印刷タイル300に接続される。支持プレート402は、挿入され接続された印刷タイル300を支持する。複数の印刷タイル300が挿入されてプリントヘッドアセンブリ400を構成する。
【0044】
印刷タイル300は支持プレート402から挿入され、印刷供給システム406に接続されるまで供給プレート404に向かって前進する。印刷タイル300が支持プレート402から供給プレート404まで挿入されるように案内するための案内部が設けられる。支持プレート402のうち供給プレート404に対向する面には、供給プレート404に向かって延びるように第1案内部408が取り付けられる。ここでは第1案内部408が板状構造体であるが、別の例では第1案内部408が一対のレールであってもよい。その場合、印刷タイル300の両側面を、それぞれ対応のレールが案内することになる。典型的には、印刷タイル300の両側面に、少なくとも2つの第1案内部408が設けられる(本図では、1つの第1案内部408のみが示される)。場合によっては、直方体の印刷タイル300の各側面に1つずつ、計4つの第1案内部408を設けてもよい。第1案内部408は、印刷タイル300の形状に概ね合うように形成される。ここでは、印刷タイル300は直方体であるため、第1案内部408は、直方体の印刷タイル300の側面に沿うような板状に形成される。別の例では、印刷タイル300は別の形状を有してもよい。印刷タイル300の形状が略多面体である場合、第1案内部408は、印刷タイル300の側面に沿って案内可能な板状であってもよいし、印刷タイル300の縁部に沿って案内可能なレール状であってもよい。印刷タイル300が湾曲した側面を有する場合、第1案内部408はそれに合わせて湾曲していてもよい。なお、第1案内部408は、複数の別々のプレートで構成されてもよいし、印刷タイル300の挿入経路を取り囲む単一の箱状構造体であってもよい。また、第1案内部408は、部分的に不連続な板状構造体であってもよい。例えば、2本の案内レールを1本以上のバーまたはロッドで接続した構造体であってもよい。また、第1案内部408は、部分的に不連続な箱状構造体であってもよい。例えば、支持プレート402から供給プレート404に向かって延びる4本の案内レールをバーまたはロッドによって矩形状に接続した構造体であってもよい。第1案内部408は、印刷タイル300が支持プレート402から供給プレート404に向かって挿入される際に、印刷タイル300を略真っ直ぐな向きに維持する。
【0045】
供給プレート404のうち支持プレート402に対向する面には、支持プレート402に向かって延びるように第2案内部410が取り付けられる。第2案内部410は、各々が傾斜した断面を有する複数の板状構造体411を有する。板状構造体411は、印刷タイル300が供給プレート404および印刷供給システム406における種々の接続特徴部に位置合わせされるように、印刷タイル300を案内する。本例では、第2案内部410は、供給プレート404のうち支持プレート402に対向する面に取り付けられる単一部材であり、板状構造体411は支持プレート402に向かって延びている。
図4には、第2案内部410の板状構造体411のうち3つが示される。第2案内部410は4つの板状構造体411を有するが、
図4では、印刷タイル300と供給プレート404および印刷供給システム406との関係を詳細に示すために、最も手前の板状構造体411の図示を省略している。
【0046】
板状構造体411の各々は、印刷タイル300に向かって内側を向く内面412を有する。各板状構造体411において、内面412が供給プレート404から離れるにつれて、内面412は印刷タイル300から離れる方向に傾斜する。言い換えれば、各板状構造体411は、供給プレート404側の幅広端部413と、幅広端部413とは反対側の幅狭端部415とを有する。印刷タイル300が供給プレート404に向かって前進するにつれて、板状構造体411の内面412が傾斜しているため、印刷タイル300の位置自由度は板状構造体411の幅広端部413に向かって狭まる。これにより、流体マニホールド210およびインターフェイス回路308の接続縁部328(
図3B)が印刷供給システム406の流体特徴部および電気特徴部と接続される位置に、印刷タイル300を案内することができる。
【0047】
供給プレート404は、位置合わせ特徴部216(
図2B)と係合する2つの位置合わせ突起部414を有する。位置合わせ突起部414(本例では、凸部)は、先端が尖っている。これにより、印刷タイル300が前進して印刷供給システム406と係合する際に、位置合わせ突起部414は、流体マニホールド210の位置合わせ特徴部216(
図2B)と確実に係合することができる。上述したように、他の種類の位置合わせ特徴部を用いることもできる。第2案内部410が設けられていること、位置合わせ突起部414と位置合わせ特徴部216とが係合すること、および第1部分310が第2部分322に弾力的に取り付けられていることによって、公差を受動的に狭めて、印刷供給システム406の流体接続部および電気接続部に向かって印刷タイル300を案内することができる。これにより、係合特徴部218(
図2B)は、供給プレート404を貫通する係合ねじ416と接触する。また、流体マニホールド210の流体ポート212、214(
図2B)およびインターフェイス回路308の接続縁部328は、印刷供給システム406における対応の特徴部とほぼ接続する。係合ねじ416は供給プレート406内に拘束されており、係合ねじ416を操作することによって印刷タイル300が付勢されて印刷供給システム406と確実に流体的および電気的に接触するようになっている。流体マニホールド210において種々の位置合わせ特徴部が設けられていること、インターフェイス回路308が印刷タイル300上で正確に位置決めされること、ならびに第1案内部408および第2案内部410が設けられていることにより、迅速かつ容易に印刷タイル300をプリントヘッドアセンブリ400に挿入し、印刷供給システム406に接続することができる。第2案内部410、位置合わせ突起部414、および位置合わせ特徴部216の形状、大きさ、および公差を上記のように設定したこと、ならびにタイル構造体304の第1部分310と第2部分322とが弾力的に接続されることによって、印刷タイル300をプリントヘッドアセンブリ400に挿入したときに確実に位置合わせすることができる。
【0048】
印刷供給システム406との接続が行われると、印刷供給システム406の流体ノズル(図示せず)は、流体マニホールド210の流体ポート212、214に流体接続し、封止状態とする。これにより、流体ポート212、214は、印刷供給システム406内の流体供給戻り導管420と流体接続する。流体供給戻り導管420は、供給プレート404の流体マニホールド210とは反対側に位置するものである。流体弁422が設けられて、印刷供給システム406から流体マニホールド210および印刷タイル300への流体の流れ、ならびにその逆の流体の流れを制御する。上述したように、プリントヘッドアセンブリ400は複数の印刷タイル300を備え、各印刷タイル300は同じ態様で印刷供給システム406に接続される。流体弁422は、各印刷タイル300に対して一対設けられ、制御システムによって操作される。これにより、各印刷タイル300とプリントヘッドアセンブリ400の流体貯留部との間の流体の流れが制御される。このようなプリントヘッドアセンブリにおいて、2種類以上の印刷液を用いることも可能である。この場合、各種類の流体は、専用の流体供給導管および流体戻り導管を用いて、別々の印刷タイル300群に送られる。
【0049】
本発明の1つ以上の態様に係る実施形態に関して上述したが、本開示に具体的に記載されていない他の実施形態を本開示の基本範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】