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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-12
(54)【発明の名称】接着剤系
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20241205BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20241205BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20241205BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20241205BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20241205BHJP
   C09D 123/26 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C09J5/00
C09J175/04
C09D5/00 D
C09D163/00
C09D167/00
C09D123/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527566
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2022131087
(87)【国際公開番号】W WO2023083248
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/130008
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】324005606
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ(シャンハイ)リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials(Shanghai)Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】フ,イーシン
(72)【発明者】
【氏名】グルンダー,セルジオ
【テーマコード(参考)】
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J038CB001
4J038DB001
4J038DD001
4J038MA13
4J038MA14
4J040EF111
4J040EF151
4J040EF281
4J040JA13
4J040JB02
4J040MA10
4J040NA16
4J040NA19
4J040PA10
4J040PA12
4J040PA42
(57)【要約】
本明細書では、接着された基材を解体する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着接合されたアセンブリを必要に応じて分離するための方法であって、
前記接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、前記基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、前記プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、前記膜形成樹脂の軟化温度が60~110℃であり、接着剤が前記プライマーと前記2つの基材との間に塗布されており、
前記方法は、
(1)前記接着接合されたアセンブリを、前記2つの基材間の前記接着剤接合を軟化させるために60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)前記2つの基材を解体する工程と
を含む方法。
【請求項2】
接着接合されたアセンブリを必要に応じて分離するための方法であって、
前記接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、前記基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、前記プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、前記膜形成樹脂の軟化温度が60~110℃であり、接着剤が前記プライマーと前記2つの基材との間に塗布されており、前記硬化した接着剤接合の重ねせん断強度がASTM D1002に従って測定した場合に25℃で5MPaよりも大きく、
前記方法が、
(1)上記の通りに測定した場合に、前記2つの基材間の前記接着剤接合を1.5MPa以下の重ねせん断強度まで軟化させるために前記接着接合されたアセンブリを60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)前記2つの基材を解体する工程と
を含む方法。
【請求項3】
接着接合された基材を交換する方法であって、
接着接合されたアセンブリの一部を基材が形成しており、前記接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、前記基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、前記プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、前記膜形成樹脂の軟化温度が60~110℃であり、接着剤が前記プライマーと前記2つの基材との間に塗布されており、
(1)ASTM D1002に従って測定した場合に、前記2つの基材間の前記接着剤接合を1.5MPa以下の重ねせん断強度まで軟化させるために前記接着接合されたアセンブリを60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)前記2つの基材を解体する工程と、
(3)前記第1及び第2の基材の一方又は両方の交換品を接着するために、接着剤を使用して前記接着接合されたアセンブリを再度組み立てる工程と
を含む方法。
【請求項4】
(1)第1の基材と、
(2)第2の基材と、
(3)前記第1の基材と第2の基材との間に挟まれた二液型ポリウレタン接着剤と
を含む、接着されたアセンブリであって、
前記第1の基材及び/又は前記第2の基材の表面に、前記接着剤を塗布する前にプライマーが塗布されており、前記プライマーが、50~110℃の軟化温度を有する膜形成樹脂を含む、
接着されたアセンブリ。
【請求項5】
前記プライマーが、DSCによって測定される60~110℃の軟化温度を有する少なくとも1種の膜形成樹脂を含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項6】
前記プライマーが、DSCによって測定される70~110℃の軟化温度を有する少なくとも1種の膜形成樹脂を含む、先行請求項のいずれか1つ。</2439
【請求項7】
前記膜形成樹脂が、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらの混合物から選択される、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項8】
前記膜形成樹脂がC~Cオレフィンのホモポリマー及びコポリマーから選択される、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項9】
前記膜形成樹脂が40,000~200,000Daの分子量を有するポリオレフィンから選択される、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項10】
前記膜形成樹脂が50,000~150,000Daの分子量を有するポリオレフィンから選択される、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項11】
前記膜形成樹脂が、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーである、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項12】
前記膜形成樹脂が無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンである、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項13】
前記膜形成樹脂が、無水マレイン酸で変性された50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレンである、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項14】
前記膜形成樹脂が、1種以上のジオールと1種以上の二酸との重合から得られるポリエステルである、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項15】
前記膜形成樹脂が、脂肪族ジオールと脂肪族二酸とに基づくポリエステルである、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項16】
前記膜形成樹脂が、2,500~4,500Da、より好ましくは3,000~4,000Daの分子量を有するポリエステルである、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項17】
前記膜形成樹脂がエポキシ樹脂である、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項18】
前記膜形成樹脂が、ビスフェノール、例えばビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項19】
前記膜形成樹脂が、800~2,000Da、より好ましくは900~1,200Daの分子量を有するエポキシ樹脂である、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項20】
前記膜形成樹脂が、2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項21】
前記膜形成樹脂が、前記プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%で前記プライマー中で使用される、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項22】
前記膜形成樹脂が、無水マレイン酸で変性された、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーであり、前記プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%、より特に好ましくは20重量%で使用される、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項23】
前記膜形成樹脂が、2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂であり、前記プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%、より特に好ましくは20重量%で使用される、請求項1~21のいずれか一項。
【請求項24】
前記膜形成樹脂を溶解し、且つ20℃において500Paを超える蒸気圧を有する溶剤を前記プライマーが含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項25】
前記プライマーが、水、ベンゼン、アルキルベンゼン(例えばトルエン、エチルベンゼン)、ジアルキルベンゼン(例えばキシレン)、及びSolvesso150から選択される溶剤を含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項26】
キシレンである溶剤を前記プライマーが含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項27】
前記プライマーが、前記プライマーの総重量を基準として50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、特に好ましくは70~85重量%の溶剤を含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項28】
前記プライマーの総重量を基準として50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、特に好ましくは70~85重量%で使用されるキシレンである溶剤を前記プライマーが含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項29】
前記プライマーが、
無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレン15~25重量%;
キシレン70~85重量%;
ポリイソシアネート、特にメチレンジフェニルジイソシアネート0.25~1.5重量%;及び
シラン、特にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25~1重量%
を含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項30】
前記プライマーが、
無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレン15~25重量%;及び
キシレン70~85重量%
を含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項31】
前記プライマーが、
2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂15~25重量%;
キシレン70~85重量%;
シラン、特にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25~1.5重量%
を含む、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項32】
前記膜形成樹脂の軟化温度が70℃よりも高い、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項33】
前記膜形成樹脂の軟化温度が80℃よりも高い、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項34】
70℃以上に加熱することによって前記加熱工程が行われる、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項35】
80℃以上に加熱することによって前記加熱工程が行われる、先行請求項のいずれか1つ。
【請求項36】
前記接着接合されたアセンブリが電池アセンブリである、先行請求項のいずれか1つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤系の分野、特に電池モジュール用の接着剤系の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電池セル、例えば電気自動車用の電池セルは、通常、接着剤を使用して電池モジュールに、又は電池パックの電池ハウジングに直接接合される。修理又はリサイクルを行うためには、電池パックの接着剤系を剥離することが必要とされる。セルを接合する接着剤は典型的には接着強度が高く、接合面積が大きいため、接合されたセルを電池モジュール又は電池ハウジングから取り外すことは困難である。
【0003】
接着剤系を柔らかくするために、溶剤混合物を使用して接合領域を浸漬することによってこれに対処しようとする試みが知られている。しかしながら、強度を望みのレベルまで下げるためには、浸漬に必要とされる時間は通常数日以上を要し、また溶剤は、電池セルに直接接触すると通常危険である。
【0004】
修理及び/又はリサイクルを可能にするために、良好な接着強度を示しながらも必要に応じて剥離することができる接着剤系が継続的に求められている。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、本発明は、接着接合されたアセンブリを必要に応じて分離するための方法であって、接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、膜形成樹脂の軟化温度が60~110℃であり、接着剤がプライマーと2つの基材との間に塗布されており、
本方法は、
(1)接着接合されたアセンブリを、2つの基材間の接着剤接合を軟化させるのに十分な時間、60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)2つの基材を解体する工程と
を含む方法を提供する。
【0006】
第2の態様では、本発明は、接着接合されたアセンブリを必要に応じて分離するための方法であって、接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、膜形成樹脂の軟化温度が60~110℃であり、接着剤がプライマーと2つの基材との間に塗布されており、硬化した接着剤接合の重ねせん断強度がASTM D1002に従って測定した場合に25℃で5MPaよりも大きく、
本方法は、
(1)上記の通りに測定した場合に、2つの基材間の接着剤接合を1.5MPa以下の重ねせん断強度まで軟化させるのに十分な時間、接着接合されたアセンブリを60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)2つの基材を解体する工程と
を含む方法を提供する。
【0007】
第3の態様では、本発明は、接着接合された基材を交換する方法であって、接着接合されたアセンブリの一部を基材が形成しており、接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、膜形成樹脂の軟化温度が60~110℃であり、接着剤がプライマーと2つの基材との間に塗布されており、
(1)ASTM D1002に従って測定した場合に、2つの基材間の接着剤接合を1.5MPa以下の重ねせん断強度まで軟化させるのに十分な時間、接着接合されたアセンブリを60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)2つの基材を解体する工程と、
(3)第1及び第2の基材の一方又は両方の交換品を接着するために接着剤を使用して接着接合されたアセンブリを再度組み立てる工程と
を含む方法を提供する。
【0008】
第4の態様において、本発明は、
(1)第1の基材と、
(2)第2の基材と、
(3)第1の基材と第2の基材との間に挟まれた二液型ポリウレタン接着剤と
を含む接着されたアセンブリであって、
第1の基材及び/又は第2の基材の表面に、接着剤を塗布する前にプライマーが塗布されており、プライマーが、50~110℃の軟化温度を有する膜形成樹脂を含む、
接着されたアセンブリを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、50~110℃の軟化温度を有する膜形成樹脂を含むプライマーを二液型ポリウレタン接着剤と組み合わせて使用することにより、室温(25℃)で5MPaよりも大きい強度を有し、且つ60~110℃に加熱すると接着強度が1.5MPa以下に低下する接着剤接合を形成できることを見出した。これにより、必要に応じて接着力を低下させることができ、その結果接着したアセンブリを解体することができる。
【0010】
定義及び略語
DSC 示差走査熱量測定
MDI 4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)
HDI ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI イソホロンジイソシアネート
PU ポリウレタン
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
RH 相対湿度
【0011】
当量及び分子量は、Malvern Viscothek GPC max装置を使ったゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、カラムとしてPL GEL MIXED D(Agilent、300*7.5mm、5μm)を使用し、検出器としてMALVERN Viscotek TDA(統合された屈折率粘度計及び光散乱)を使用した。
【0012】
膜形成樹脂
本発明の方法は、接着剤が塗布される基材にプライマーを塗布することを含む。プライマーは、50~110℃、より好ましくは60~110℃、より特に好ましくは70~110℃の軟化温度を有する少なくとも1種の膜形成樹脂を含む。軟化温度は、好ましくは示差走査熱量測定法(DSC)によって、特に好ましくはISO 11357-3:2018(E)に従って測定される。
【0013】
膜形成樹脂は、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0014】
適切なポリオレフィンは、例えばC2~C8オレフィンのホモポリマー及びコポリマーである。
【0015】
好ましいポリオレフィンは、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Da、より特に好ましくは50,000~100,000Da、更に特に好ましくは5,000~10,000Da.qqqの分子量を有するものである。
【0016】
好ましいポリオレフィンは、例えば無水マレイン酸で変性されている。
【0017】
好ましい実施形態では、膜形成樹脂は、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Da、より特に好ましくは50,000~100,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーである。
【0018】
別の好ましい実施形態では、膜形成樹脂は、無水マレイン酸で変性された、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Da、より特に好ましくは50,000~100,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーである。
【0019】
特に好ましい実施形態では、膜形成樹脂は、無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Da、より好ましくは50,000~100,000Daの分子量を有するポリプロピレンである。
【0020】
適切なポリエステルは、1種以上のジオールと1種以上の二酸との重合から得られるものである。
【0021】
好ましいポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族二酸とに基づくものである。
【0022】
好ましいポリエステルは、2,500~4,500Da、より好ましくは3,000~4,000Da、特に好ましくは3,500Daの分子量を有する。
【0023】
好ましいポリエステルは、50~110℃、より好ましくは60~110℃、より特に好ましくは70~90℃の軟化点を有する。
【0024】
特に好ましい実施形態では、少なくとも1種の膜形成樹脂は、50~110℃の軟化温度を有する。
【0025】
適切なエポキシ樹脂は、ビスフェノールAなどのビスフェノールに基づくものである。
【0026】
好ましいエポキシ樹脂は、800~2,000Da、より好ましくは900~1,200Daの分子量を有するものである。
【0027】
特に好ましい実施形態では、膜形成樹脂は、2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である。
【0028】
いくつかの実施形態では、特に膜形成樹脂がポリエステルである場合、プライマーは溶剤を含まず、ポリエステルから本質的に構成されることができる。
【0029】
別の実施形態では、特に膜形成樹脂がC~Cオレフィンのホモポリマー若しくはコポリマー、又はエポキシ樹脂である場合、膜形成樹脂は、好ましくは、プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%でプライマー中で使用される。
【0030】
特に好ましい実施形態では、膜形成樹脂は、無水マレイン酸で変性された、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーであり、プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%、より特に好ましくは20重量%で使用される。
【0031】
特に好ましい実施形態では、膜形成樹脂は、2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂であり、プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%、より特に好ましくは20重量%で使用される。
【0032】
溶剤
本発明のプライマーは溶剤を含んでいても含んでいなくてもよい。膜形成樹脂がポリエステルである場合には、ポリエステルを実質的にそのまま使用することができ、無溶剤で塗布することができる。
【0033】
膜形成樹脂がC~Cオレフィンのホモポリマー若しくはコポリマー、又はエポキシ樹脂である場合、プライマーは好ましくは溶剤を含む。溶剤は、膜形成樹脂を溶解し、且つ容易に蒸発するのに十分な揮発性を有するものである限り、特に限定されない。好ましくは、これは20℃で500Paを超える蒸気圧を有する。
【0034】
適切な溶剤の例としては、水、ベンゼン、アルキルベンゼン(例えばトルエン、エチルベンゼン)、ジアルキルベンゼン(例えばキシレン)、及びSolvesso150(主にC~C11の芳香族炭化水素、主にC10)が挙げられる。キシレンが特に好ましい。
【0035】
溶剤は、好ましくは、プライマーの総重量を基準として50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、特に好ましくは70~85重量%でプライマー中で使用される。
【0036】
好ましい実施形態では、溶剤はキシレンであり、プライマーの総重量を基準として50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、特に好ましくは70~85重量%で使用される。
【0037】
プライマーの任意選択的な成分
プライマーは、接着促進剤などの他の成分を更に含んでいてもよい。
【0038】
好ましい接着促進剤は、ポリイソシアネート、イソシアネート、シラン、及びこれらの混合物である。
【0039】
好ましいシランは、トリアルコキシアルキルシラン、より具体的にはトリメトキシアルキルシランである。好ましい実施形態では、接着促進剤は、アルキル基がエポキシ、アミン、又はメルカプト基、特に好ましくはエポキシ基を有するトリアルコキシアルキルシランである。特に好ましい実施形態では、接着促進剤はγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
【0040】
好ましいポリイソシアネートは、ポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)、1種以上のポリオールをMDIと反応させることによって製造されるMDIに基づくプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)三量体、HDI二量体、1種以上のポリオールをHDIと反応させることによって製造されるHDIに基づくプレポリマー、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)であり、メチレンジフェニルジイソシアネートが特に好ましい。
【0041】
接着促進剤は、使用される場合、好ましくは、プライマーの総重量を基準として0.1~1.5重量%、より好ましくは0.25~1重量%で使用される。
【0042】
特に好ましい実施形態では、プライマーは、プライマーの総重量を基準として0.1~1.5重量%、より好ましくは0.25~1重量%のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む。
【0043】
別の好ましい実施形態では、プライマーは、プライマーの総重量を基準として0.5~2重量%、より好ましくは0.75~1.5重量%、特に好ましくは1重量%のメチレンジフェニルジイソシアネートを含む。
【0044】
特に好ましいプライマー組成
いくつかの特に好ましいプライマーは以下の通りであり、重量パーセントはプライマーの総重量を基準する:
無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレン15~25重量%;
キシレン70~85重量%;
ポリイソシアネート、特にメチレンジフェニルジイソシアネート0.25~1.5重量%;
シラン、特にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25~1重量%。
無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレン15~25重量%;
キシレン70~85重量%。
2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂15~25重量%;
キシレン70~85重量%;
シラン、特にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25~1.5重量%。
ポリエステル100重量%。
脂肪族ポリエステル100重量%。
3000~4000Daの分子量を有する脂肪族ポリエステル100重量%。
【0045】
基材
適切な基材としては、ベアアルミニウム、コーティングされた鋼又はコーティングされたアルミニウム、PETフィルムが挙げられる。ベアアルミニウムについては、サンディング又はプラズマ処理によって酸化物層を除去する前処理が好ましい。
【0046】
アルミニウムが好ましい基材である。
【0047】
プライマーの塗布
プライマーは任意の方法を使用して塗布することができる。好ましい方法としては、刷毛塗り、噴霧、又は散布が挙げられる。
【0048】
膜形成樹脂がポリエステルである場合には、それをそのまま基材に塗布することができる。これは、ポリエステルをその融点よりも上まで加熱し、基材の表面に塗布することによって行われる。
【0049】
塗布後、プライマーは硬化又は乾燥される。溶剤として水を含むプライマーについては、溶剤の蒸発は、加熱及び/又は空気流の利用及び/又は真空の適用によって促進することができる。キシレンなどの有機溶剤を含むプライマーについては、蒸発は通常室温で十分に速いものの、加熱及び/又は空気流の利用及び/又は真空の適用によって促進することができる。
【0050】
プライマーの乾燥膜厚は、好ましくは30ミクロン以下である。
【0051】
接着剤
本発明で使用する接着剤は、任意の二液型ポリウレタン接着剤である。これには、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含む接着剤が含まれる。
【0052】
ポリオール成分は、2個、3個、又はそれ以上のヒドロキシル基を有する分子を含む。ジオール及びトリオール、並びにジオールとトリオールとの混合物が特に好ましい。
【0053】
2個、3個、又はそれ以上のヒドロキシル基を有する分子は、好ましくは200~1,000Daの分子量を有する。
【0054】
2個、3個、又はそれ以上のヒドロキシル基を有する適切な分子の例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。適切なポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、及びこれらの混合物に基づくものが挙げられる。特に好ましいポリオールはソルビトールポリオキシプロピレンエーテルである。
【0055】
好ましい実施形態では、ポリオール成分は、ソルビトールポリオキシプロピレンエーテルと、スズ触媒、例えばジオクチルスズメルカプチドなどのポリウレタン触媒と含む。
【0056】
別の好ましい実施形態では、ポリオール成分は、プロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテルと、スズ触媒、例えばジオクチルスズメルカプチドなどのポリウレタン触媒と含む。
【0057】
ポリイソシアネート成分は、2個、3個、又はそれ以上のイソシアネート基を有する分子を含む。
【0058】
2個、3個、又はそれ以上のイソシアネート基を有する分子の例としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
好ましい実施形態では、2個、3個、又はそれ以上のイソシアネート基を有する分子は、メチレンジフェニルジイソシアネート、ポリメリックMDI、又はこれらの混合物である。
【0060】
好ましい実施形態では、ポリイソシアネート成分はポリメチレンポリフェニレンイソシアネートを含む。
【0061】
別の好ましい実施形態では、ポリイソシアネート成分は、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート及びp-トルエンスルホニルイソシアネートを含む。
【0062】
ポリオール成分及び/又はポリイソシアネート成分は、接着促進剤、例えばトリアルコキシアルキルシラン、例えばアルキル基がエポキシ基、アミノ基、又はメルカプト基を含むトリアルコキシアルキルシランを更に含んでいてもよい。アミノシランが特に好ましい。好ましい接着促進剤はビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンである。
【0063】
接着剤は、好ましくは1W/mKを超える、より好ましくは2W/mKを超える熱伝導率を有する。これは、接着剤に熱伝導性フィラーを配合することによって実現することができる。適切な熱伝導性フィラーは、5W/mKより大きい、10W/m°Kより大きい、又は15W/m°Kより大きい熱伝導率を有するものである。熱伝導性フィラーの例としては、アルミナ、アルミナ三水和物若しくは三水酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、及び黒鉛、又はそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいものは、三水酸化アルミニウム(ATH)及び酸化アルミニウムであり、ATHが最も好ましい。
【0064】
好ましい実施形態では、接着剤は、接着剤の総重量を基準として50重量%以上、60重量%以上、又は70重量%以上の熱伝導性フィラーを含む。
【0065】
特に好ましい実施形態では、接着剤は、接着剤の総重量を基準として70重量%以上の三水酸化アルミニウムを含む。
【0066】
方法の工程
本発明の方法は、
(1)接着接合されたアセンブリを、2つの基材間の接着剤接合を軟化させるのに十分な時間、60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)2つの基材を解体する工程と
を含む。
【0067】
加熱工程は、例えばオーブン、IR、高周波加熱(マイクロ波を含む)などの任意の加熱方法を使用して行うことができる。
【0068】
解体工程は、基材を引き離すことによって接着された基材を分離することを含む。
【0069】
プライマー及び接着剤は、ASTM D1002に従って測定した場合、25℃で5MPa以上、好ましくは6MPa超、特定の好ましい実施形態では25℃で10MPa超の重ねせん断強度を提供する。
【0070】
プライマー及び接着剤は、ASTM D1002に従って測定した場合、60℃を超える温度、より好ましくは80℃を超える温度で1.5MPa以下の重ねせん断強度を提供する。
【0071】
発明の効果
本発明の方法によれば、接着されたアセンブリを、単に60~110℃に加熱するだけで、接着された基材を必要に応じて解体することができる。
【0072】
これは、接着された部品を時々解体することが望まれる用途において特に有用である。一例は、特定の要素が接着剤を使用して所定の位置に固定される電池用途であり、電池セルなどの要素は時々交換する必要がある場合がある。本発明の方法を使用すると、プライマーと接着剤との組み合わせを使用して、交換が必要な電池セルなどの要素を容易に取り外し、交換用の要素をその場所に挿入することができる。
【0073】
特に好ましい実施形態
以下は、本発明の特に好ましい実施形態である。
【0074】
1.接着接合されたアセンブリを必要に応じて分離するための方法であって、接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、膜形成樹脂のDSCによって測定される軟化温度が60~110℃であり、接着剤がプライマーと2つの基材との間に塗布されており、
本方法は、
(1)接着接合されたアセンブリを、2つの基材間の接着剤接合を軟化させるのに十分な時間、60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)前記2つの基材を解体する工程と
を含む方法。
2.接着接合されたアセンブリを必要に応じて分離するための方法であって、接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、膜形成樹脂のDSCによって測定される軟化温度が60~110℃であり、接着剤がプライマーと2つの基材との間に塗布されており、硬化した接着剤接合の重ねせん断強度がASTM D1002に従って測定した場合に25℃で5MPaよりも大きく;
本方法は、
(1)上記の通りに測定した場合に、2つの基材間の接着剤接合を1.5MPa以下の重ねせん断強度まで軟化させるのに十分な時間、接着接合されたアセンブリを60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)2つの基材を解体する工程と
を含む方法。
3.接着接合された基材を交換する方法であって、接着接合されたアセンブリの一部を基材が形成しており、接着接合されたアセンブリが、二液型ポリウレタン接着剤で互いに接着接合された第1の基材と第2の基材とを含み、基材の一方又は両方の表面にプライマーが塗布されており、プライマーが少なくとも1種の膜形成樹脂を含み、膜形成樹脂のDSCによって測定される軟化温度が60~110℃であり、接着剤がプライマーと2つの基材との間に塗布されており;
(1)ASTM D1002に従って測定した場合に、2つの基材間の接着剤接合を1.5MPa以下の重ねせん断強度まで軟化させるのに十分な時間、接着接合されたアセンブリを60~110℃の温度に加熱する工程と、
(2)2つの基材を解体する工程と、
(3)第1及び第2の基材の一方又は両方の交換品を接着するために接着剤を使用して接着接合されたアセンブリを再度組み立てる工程と
を含む方法。
4.
(1)第1の基材と、
(2)第2の基材と、
(3)第1の基材と第2の基材との間に挟まれた二液型ポリウレタン接着剤と
を含む接着されたアセンブリであって、
第1の基材及び/又は第2の基材の表面に、接着剤を塗布する前にプライマーが塗布されており、プライマーが、DSCによって測定される50~110℃の軟化温度を有する膜形成樹脂を含む、
接着されたアセンブリ。
5.プライマーが、DSCによって測定される60~110℃の軟化温度を有する少なくとも1種の膜形成樹脂を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
6.プライマーが、DSCによって測定される70~110℃の軟化温度を有する少なくとも1種の膜形成樹脂を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
7.膜形成樹脂が、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、及びこれらの混合物から選択される、先行実施形態のいずれか1つ。
8.膜形成樹脂がC~Cオレフィンのホモポリマー及びコポリマーから選択される、先行実施形態のいずれか1つ。
9.膜形成樹脂が40,000~200,000Daの分子量を有するポリオレフィンから選択される、先行実施形態のいずれか1つ。
10.膜形成樹脂が50,000~150,000Daの分子量を有するポリオレフィンから選択される、先行実施形態のいずれか1つ。
11.膜形成樹脂が、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーである、先行実施形態のいずれか1つ。
12.膜形成樹脂が無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンである、先行実施形態のいずれか1つ。
13.膜形成樹脂が、無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Da、より好ましくは50,000~100,000Daの分子量を有するポリプロピレンである、先行実施形態のいずれか1つ。
14.膜形成樹脂が、1種以上のジオールと1種以上の二酸との重合から得られるポリエステルである、先行実施形態のいずれか1つ。
15.膜形成樹脂が、脂肪族ジオールと脂肪族二酸とに基づくポリエステルである、先行実施形態のいずれか1つ。
16.膜形成樹脂が、2,500~4,500Da、より好ましくは3,000~4,000Daの分子量を有するポリエステルである、先行実施形態のいずれか1つ。
17.膜形成樹脂がエポキシ樹脂である、先行実施形態のいずれか1つ。
18.膜形成樹脂が、ビスフェノール、例えばビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である、先行実施形態のいずれか1つ。
19.膜形成樹脂が、800~2,000Da、より好ましくは900~1,200Daの分子量を有するエポキシ樹脂である、先行実施形態のいずれか1つ。
20.膜形成樹脂が、2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂である、先行実施形態のいずれか1つ。
21.膜形成樹脂が、プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%でプライマー中で使用される、先行実施形態のいずれか1つ。
22.膜形成樹脂が、無水マレイン酸で変性された、40,000~200,000Da、特に好ましくは50,000~150,000Daの分子量を有するC~Cオレフィンのホモポリマー又はコポリマーであり、プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%、より特に好ましくは20重量%で使用される、先行実施形態のいずれか1つ。
23.膜形成樹脂が、2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂であり、プライマーの総重量を基準として5~30重量%、より好ましくは15~25重量%、より特に好ましくは20重量%で使用される、実施形態1~21のいずれか1つ。
24.膜形成樹脂を溶解し、且つ20℃において500Paを超える蒸気圧を有する溶剤をプライマーが含む、先行実施形態のいずれか1つ。
25.プライマーが、水、ベンゼン、アルキルベンゼン(例えばトルエン、エチルベンゼン)、ジアルキルベンゼン(例えばキシレン)、Solvesso150から選択される溶剤を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
26.キシレンである溶剤をプライマーが含む、先行実施形態のいずれか1つ。
27.プライマーが、プライマーの総重量を基準として50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、特に好ましくは70~85重量%の溶剤を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
28.プライマーの総重量を基準として50~95重量%、より好ましくは60~90重量%、特に好ましくは70~85重量%で使用されるキシレンである溶剤をプライマーが含む、先行実施形態のいずれか1つ。
29.プライマーが、
無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレン15~25重量%;
キシレン70~85重量%;
ポリイソシアネート、特にメチレンジフェニルジイソシアネート0.25~1.5重量%;及び
シラン、特にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25~1重量%
を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
30.プライマーが、
無水マレイン酸で変性された、50,000~150,000Daの分子量を有するポリプロピレン15~25重量%;及び
キシレン70~85重量%
を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
31.プライマーが、
2のエポキシ官能価と約1,000Daの分子量とを有するビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂15~25重量%;
キシレン70~85重量%;
シラン、特にγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25~1.5重量%
を含む、先行実施形態のいずれか1つ。
32.膜形成樹脂の軟化温度が70℃よりも高い、先行実施形態のいずれか1つ。
33.膜形成樹脂の軟化温度が80℃よりも高い、先行実施形態のいずれか1つ。
34.70℃以上に加熱することによって加熱工程が行われる、先行実施形態のいずれか1つ。
35.80℃以上に加熱することによって加熱工程が行われる、先行実施形態のいずれか1つ。
36.接着接合されたアセンブリが電池アセンブリである、先行実施形態のいずれか1つ。
【実施例
【0075】
【表1】
【0076】
本発明のプライマー1、2及び3は、表2に列挙した成分を混合することによって製造した。プライマー4はDYNACOL7381であり、供給されたままの状態で使用した。
【0077】
【表2】
【0078】
プライマー1、2、及び3を、ウールブラシを使用して電着塗装されたアルミニウム3003に塗布し、23℃、50%RHで10分間乾燥させた。得られた膜は30ミクロン未満であった。
【0079】
プライマー4を80℃まで加熱し、次いで溶融状態でアルミニウム6061上に塗布して薄膜(30ミクロン未満)を形成し、室温まで放冷した。
【0080】
乾燥/冷却したプライマー上に、以下の二液型ポリウレタン接着剤を塗布した:
接着剤1:
ソルビトールポリオキシプロピレンエーテル及び1,4-ブタンジオール及びスズポリウレタン触媒を含むポリオール成分と、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート及びポリオキシプロピレンエーテルジオール及びビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを含むイソシアネート成分と、を有する二液型ポリウレタン接着剤。
接着剤2:
プロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル及びスズポリウレタン触媒を含むポリオール成分と、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート及びp-トルエンスルホニルイソシアネート及びプロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル及びビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンを含むイソシアネート成分と、を有する二液型ポリウレタン接着剤。
接着剤3及び4:
接着剤3及び4の成分は表3に示されている。
【0081】
【表3】
【0082】
接着剤1及び2は、23℃、50%RHで10分間硬化した。接着剤3及び4は、硬化してから23℃、相対湿度50%で7日間放置した。
【0083】
重ねせん断試験:アルミニウム(6061合金)基材(140×25mm、厚さ1.2mm)を使用した。基材は使用前にイソプロパノールで洗浄した。5分以内に第2の基材を接合する前に、一方の基材のプライマー表面に熱界面材料を塗布した。厚さは1.0mmに調整し、オーバーラップ面積は25mm×25mmであった。接着剤1及び2は、23℃、相対湿度50%で10分間硬化した。接着剤3及び4は、硬化してから23℃、相対湿度50%で7日間放置した後に重ねせん断試験を行った。その後、重ねせん断試料を張力計に取り付け、10mm/分の引張速度を使用して重ねせん断試験を行った。力のたわみ曲線を観察し、破断時の強度を重ねせん断強度として報告する。結果を表4に列挙する。
【0084】
【表4】
【0085】
いずれのプライマーも25℃で良好な接着性能を示す。80℃に加熱すると、接着強度は全てのサンプルで92%超低下する。
【国際調査報告】