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  • 特表-汎用配合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-12
(54)【発明の名称】汎用配合物
(51)【国際特許分類】
   A01N 61/00 20060101AFI20241205BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20241205BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20241205BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20241205BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A01N61/00 D
A01P3/00
A01N25/30
A61L2/18
A47K7/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536405
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 GB2022053279
(87)【国際公開番号】W WO2023111595
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118392.6
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524229174
【氏名又は名称】ガマ ヘルスケア リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ ジェームズ クロウリー
【テーマコード(参考)】
4C058
4H011
【Fターム(参考)】
4C058AA07
4C058AA12
4C058AA23
4C058BB07
4C058JJ08
4H011AA02
4H011AA04
4H011BA05
4H011BB19
4H011BC04
4H011BC19
4H011DH02
4H011DH03
(57)【要約】
【課題】ヘルスケア環境に関して短いく適切かつ妥当な接触時間で有効な組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物、少なくとも1つのアルコールエトキシレート、少なくとも1つのキレート剤、および少なくとも1つのアミンオキシドを含む組成物であって、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物が、少なくとも1つのポリクオタニウム化合物を含む、組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物、少なくとも1つのアルコールエトキシレート、少なくとも1つのキレート剤、および少なくとも1つのアミンオキシドを含む組成物であって、前記少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物が、少なくとも1つのポリクオタニウム化合物を含む、組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、前記少なくとも1つのポリクオタニウム化合物が、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-42、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、およびこれらの任意の混合物から選択される、組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物であって、前記少なくとも1つのポリクオタニウム化合物が、ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリル)ジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-4(ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー)、ポリクオタニウム-5(アクリルアミドと第4級化ジメチルアンモニウムメチルメタクリレートとのコポリマー)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(第4級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-11(ビニルピロリドンと第4級化ジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー)、ポリクオタニウム-14(トリメチルアミノエチルメタクリレートホモポリマー)、ポリクオタニウム-16(ビニルピロリドンと第4級化ビニルイミダゾールとのコポリマー)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-28(ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとのコポリマー)、ポリクオタニウム-29(プロピレンオキシドで変性されエピクロルヒドリンで第4級化されたキトサン)、ポリクオタニウム-39(アクリル酸、アクリルアミドおよびジアリルジメチルアンモニウムクロリドのターポリマー)、ポリクオタニウム-46(ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、および第4級化ビニルイミダゾールのターポリマー)、またはこれらの任意の混合物である、組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアルコールエトキシレートが、4~16のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアルコールエトキシレートが、8~14、好ましくは11~13のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアルコールエトキシレートが、非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、EO6(C9-11パレス6)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つのキレート剤が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアミンオキシドが、N,N-ジメチルデシルアミン-N-オキシドを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物が、塩化ベンザルコニウムおよび/または塩化ジデシルジメチルアンモニウムをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポリクオタニウム化合物が、0.01~1.0% w/wの量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、C12~C16の塩化ベンザルコニウムの形態のさらなる第四級アンモニウム化合物を、特に0.01~0.7%w/wの量で、含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、塩化ジデシルジメチルアンモニウムの形態のさらなる第四級アンモニウム化合物を、特に0.01~0.7%w/wの量で、含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアルコールエトキシレートが、0.01~0.1%w/wの量で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアミンオキシドが、0.01~1%w/wの量で存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つのキレート剤が、0.01~1%w/wの量で存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、1つ以上の消毒剤、安定剤、防腐剤、染料、芳香剤、臭気マスキング剤および/またはそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
水溶液または水性アルコール溶液または分散液の形態の、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、
0.01~0.25%w/wのN,Nジメチルデシルアミン-N-オキシド、
0.01~0.1%w/wの非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、E06、
0.01~1.0%w/wのポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、
0.01~1.0%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
を含み、
前記溶媒が水である、
請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、
0.01~0.7%w/wのC12~C16の塩化ベンザルコニウム、
0.01~0.7%w/wの塩化ジデシルジメチルアンモニウム、
0.01~0.25%w/wのN,Nジメチルデシルアミン-N-オキシド、
0.01~0.1%w/wの非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、E06、
0.01~1.0%w/wのポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、
0.01~1.0%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
を含み、
前記溶媒が水である、
請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、
0.01~1.0%w/wのフェノキシエタノール、例えば、0.01~0.5%w/w、
0.01~0.7%w/wのC12~C16塩化ベンザルコニウム、
0.01~0.7%w/wの塩化ジデシルジメチルアンモニウム、
0.01~0.25%w/wのN,Nジメチルデシルアミン-N-オキシド、
0.01~0.1%w/wの非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、E06、
0.01~1.0%w/wのポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、
0.01~1.0%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
を含み、
前記溶媒が水である、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成。
【請求項21】
ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)およびフェノールを含まない、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
2-フェノキシエタノールを含まない、請求項1~21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、3~9、好ましくは4~8、より好ましくは5~7のpHを有する水溶液の形態である、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物を含浸させた基材を含む、ウェットワイプ。
【請求項25】
前記基材が、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ビスコース、綿、再生木材パルプ、セルロース、マイクロファイバーおよびナノファイバーのいずれかまたはそれらの混合物から作製された繊維を含む、請求項24に記載のウェットワイプ。
【請求項26】
前記基材が、タブ、バケット、フローラップパック、または個別に密封されたラッパーから分配される準備ができた状態で包装されている、請求項24または25に記載のウェットワイプ。
【請求項27】
表面の消毒のための、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物または請求項24~26のいずれか一項に記載のウェットワイプの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物と、少なくとも1つのアルコールエトキシレートと、少なくとも1つのアミンオキシドとを含む組成物に関し、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物は、少なくとも1つのポリクオタニウム化合物を含む。本発明は、また、ウェットワイプに関し、これは、上記組成物で含浸された基材を含む。本発明は、また、上記組成物または上記ウェットワイプの、表面の消毒のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルスケア環境では、非常に広範囲の表面、機器、およびデバイスが存在し、これらは、清潔に保つ必要があるだけでなく、使用される洗浄製品に特別な要求が課される。特に、医療産業では、対象となる表面が一方では衛生的でなければならず、他方では洗浄製品が材料を過度に疲労させてはならないことを考慮しなければならない。典型的には、そのような物品は、ステンレス鋼、他の金属、ガラス、並びに/または広範囲のプラスチックおよびゴムでできている。それらは、スクリーン、キーボード、トレイ、車椅子、トロリー、壁、窓、ならびに医療機器および機器台、ベッドフレーム、マットレス、携帯トイレ、および家具の、多くの多様な部分を含み得る。
【0003】
感染制御市場が発展することにつれて、ノンエンベロープウイルスなどのより耐性のある微生物に対する有効性を含む、広域な製品の必要性が出現してきた。これらの生物は、ヘルスケアに関連する重大な感染の原因となる高度に感染性の病原体である。ノンエンベロープウイルスは、カプシドコアの構造的差異、ターゲットの利用可能性および数、ならびに核酸へのアクセス性に起因して、消毒に関する課題となっている。
【0004】
消毒組成物を含浸させた基材を含むウェットワイプは、長年にわたって市場に出ており、ヘルスケアサービスおよび他の領域に、単純で有効な感染制御のための解決策を提供してきた。
【0005】
このワイプは広範な抗菌能力を有するが、アデノウイルスおよびノロウイルスに対する短い接触時間での性能の改善が可能であり、良好な材料適合性、特にポリマー表面との良好な材料適合性が望ましい。
【0006】
さらに、酵母、特にカンジダ・アルビカンスおよびノンエンベロープウイルス(特にノロおよびアデノ)に対して得られる結果の改善が可能であろう。
【0007】
EP1634942Alは、1種以上の選択された第四級アンモニウム塩、1種以上の選択されたアルコールアルコキシレート、1種以上のアルコールおよび1種以上のヒドロキシカルボン酸を含有する酸消毒剤および洗浄組成物に関する。
【0008】
W02019051310Alは、アルコール増強抗菌剤を含有するアルコール増強抗菌せっけん配合に関する。
【0009】
しかしながら、手またはプラスチック表面を消毒するための従来の配合物はアルコール系溶媒を使用しており、さらに、これらの配合物は、酸性pHを有するか、または高濃度の活性成分を含有する。特に、これらの消毒剤の高アルコール含量はそれらを表面上で急速に蒸発させ、そのため、例えば、それらは手に対して強い乾燥効果を有し、ウイルスまたは細菌を効果的に死滅させるために短い曝露時間が必要とされる。高いアルコール含有量(+20%)を有するそのような消毒剤配合の短い曝露時間は、今度は、高濃度の活性成分(殺生物剤)および酸性または塩基性pHを必要とする。アルコール含有配合は、また、成分が可燃性であるので、製造中に追加のリスクをもたらす。
【0010】
したがって、先行技術から知られている配合物は、皮膚に有害でありかつポリマー表面を損傷する可能性があるため、手または表面の消毒に使用することに関して限定された適合性を有する。
【0011】
特に、ヒトの皮膚に対する従来技術の消毒剤の悪影響を考慮しなければならない。非中性pH値、高濃度の殺生物剤、および組成物全体における高アルコール含有量に起因して、手は、急速に乾燥され、したがって、外部の影響に対してより敏感になる。
【0012】
同様の効果がプラスチック表面上でも観察され、なぜならば、例えば、可塑剤が材料から比較的容易に溶解されて表面が脆くなるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ヘルスケア環境に関して短いく適切かつ妥当な接触時間で有効な組成物を提供することであり、特に、病院消毒において必要とされる妥当な短い接触時間でウイルスに対する改善された活性を有する組成物を提供することである。別の目的は、表面および皮膚適合性を維持しながら、多数の既知の殺生物剤の必要とされる性能を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物と、少なくとも1つのアルコールエトキシレートと、少なくとも1つのキレート剤と、少なくとも1つのアミンオキシドとを含む組成物によって解決され、ここで、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物が、少なくとも1つのポリクオタニウム化合物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は抗菌活性試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本組成物は、有害として分類されず、ヒトに有害であることが知られているか又は疑われている成分を含有しない。さらに、本発明による組成物は、フェノール化合物およびポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)を含まない。
【0017】
さらに、本発明による組成物は、既に記載された消毒剤組成物と比較したときに、減少したアルコールエトキシレートノニオン界面活性剤(非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤)の含有量を有しており、それによって組成物の殺生物性能が最適化されており、一方で、ポリマー表面との材料適合性が改善される。
【0018】
驚くべきことに、本発明による組成物は、殺生物剤は添加されなかったが、臨床的に妥当な時間で懸濁試験において良好な抗菌作用を示すことが見出された。また、本組成物は、殺生物剤の抗菌活性を増強することができることも観察された。
【0019】
さらに、驚くべきことに、ポリクオタニウム化合物は、消毒剤組成物中で使用した場合に優れた結果を達成することが見出された。ポリクオタニウム化合物を組成物の他の成分と組み合わせて含ませることは、特にカンジダ・アルビカンスおよびノンエンベロープウイルス、例えばノロウイルスまたはアデノウイルス、に対する高い有効性に関して、組成物の優れた特性をもたらすと考えられ、ポリクオタニウム化合物は、特には、ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリル)ジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-4(ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー)、ポリクオタニウム-5(アクリルアミドと第4級化ジメチルアンモニウムメチルメタクリレートとのコポリマー)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(第4級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-11(ビニルピロリドンと第4級化ジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー)ポリクオタニウム-14(トリメチルアミノエチルメタクリレートホモポリマー)、ポリクオタニウム-16(ビニルピロリドンと第4級化ビニルイミダゾールとのコポリマー)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-28(ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとのコポリマー)、ポリクオタニウム-29(プロピレンオキシドで変性されエピクロルヒドリンで第4級化されたキトサン)、ポリクオタニウム-39(アクリル酸、アクリルアミドおよびジアリルジメチルアンモニウムクロリドのターポリマー)、ポリクオタニウム-46(ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、および第4級化ビニルイミダゾールのターポリマー)、またはこれらの任意の混合物。
【0020】
好ましい一実施形態では、ポリクオタニウム化合物はポリクオタニウム-6である。
【0021】
本組成物は、細菌、酵母、エンベロープウイルスおよびノンエンベロープウイルス(ノロウイルスおよびアデノウイルスなど)に対する一連の抗菌活性を提供する。
【0022】
本発明による組成物の特定の利点は、細菌、酵母、エンベロープウイルスおよびノンエンベロープウイルスに対する高い有効性であり、同時に低い固有の毒性を示し、手およびプラスチック材料に対して強すぎず、したがって皮膚およびプラスチックの両方に対する損傷が回避される(環境ストレス追跡)。
【0023】
ポリクオタニウムは、いくつかのポリカチオン性ポリマーの化粧品成分国際命名法である。ポリクオタニウムは、ポリマー中における第四級アンモニウム中心の存在を強調するために使用される新語である。
【0024】
異なるポリマーが、「ポリクオタニウム」という語に続く数値によって区別される。ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-7、およびポリクオタニウム-47は、3つの例であり、それぞれ化学的に異なるタイプのポリマーである。番号は、それらの化学構造に起因してではなく、それらが登録される順序で割り当てられる。
【0025】
以下の表は、ポリクオタニウム化合物の各々の独自性を列挙する:
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
本出願において使用されるポリクオタニウム化合物の定義に関連して、本発明者らは、以下の特許文献をさらに言及する:

Iwata、Hiroshi;Shimada,Kunio(2012-10-02)
Formulas、Ingredients and Production of Cosmetics:Technology of Skin- and Hair-Care Products in Japan
Springer Science&Business Media
ISBN 9784431540618.

Schueller, Randy; Romanowski, Perry (1999-02-02)
Conditioning Agents for Hair and Skin
CRC Press
ISBN 9780824719210
【0031】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのポリクオタニウム化合物が、以下から選択される:ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-42、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、およびこれらの任意の混合物。
【0032】
好適な実施形態では、少なくとも1つのポリクオタニウム化合物が、下記である:ポリクオタニウム-6(ポリ(ジアリル)ジメチルアンモニウムクロリド)、ポリクオタニウム-4(ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドコポリマー)、ポリクオタニウム-5(アクリルアミドと第4級化ジメチルアンモニウムエチルメタクリレートのコポリマー)、ポリクオタニウム-7(アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-10(第4級化ヒドロキシエチルセルロース)、ポリクオタニウム-11(ビニルピロリドン及び第4級ジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー)、ポリクオタニウム-14(トリメチルアミノエチルメタクリレートホモポリマー)、ポリクオタニウム-16(ビニルピロリドンと第4級化ビニルイミダゾールのコポリマー)、ポリクオタニウム-22(アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウムクロリドとのコポリマー)、ポリクオタニウム-28(ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムとのコポリマー)、ポリクオタニウム-29(プロピレンオキシドで変性されかつエピクロロヒドリンで第4級化されたキトサン)、ポリクオタニウム-39(アクリル酸、アクリルアミド及びジアルリルジメチルアンモニウムクロリドのターポリマー)、ポリクオタニウム-46(ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン及び第4級化ビニルイミダゾールのターポリマー)、又はこれらの混合物。
【0033】
最も好ましいポリクオタニウム化合物は、ポリクオタニウム-6である。
【0034】
少なくとも1種のアルコールエトキシレートの選択は一般に限定されないが、好ましくは少なくとも1種のアルコールエトキシレートが、4~16のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレートを含む。
【0035】
好ましい実施形態において、少なくとも1種のアルコールエトキシレートは、8~14、より好ましくは11~13のHLBを有する非イオン性アルコールエトキシレートを含む。
【0036】
好ましい実施形態において、少なくとも1種のアルコールエトキシレートは、非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、EO6(C9-11 パレス6)を含む。
【0037】
通常、アルコールエトキシレートは、洗浄性、発泡性、並びに表面張力の構及び低下を含む複合特性を有する。1又は複数のアルコールエトキシレートの添加は、脂肪およびタンパク質の可溶化を改善し、これは、微生物学的活性を補助し得る。
【0038】
アルコールエトキシレートは、アルコキシル化によって、すなわち、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド(好ましくはエチレンオキシド)を、塩基性または酸性触媒の存在下、120~200℃の温度および1~10barの圧力で第一級長鎖脂肪族アルコールまたはオキソアルコールと反応させることによって得られる、非イオン系界面活性剤(ノニオン界面活性剤)の群である。
【0039】
一実施形態では、本発明による組成物が、0.01~0.5% w/wの量の第1級アルコールエトキシレートを含む。
【0040】
一実施形態では、本発明による組成物が、0.01~1% w/wの量の少なくとも1種のアミンオキシド化合物を含む。
【0041】
一実施形態では、本発明による組成物が、少なくとも1種のアミンオキシド化合物としてN,N-ジメチルデシルアミン-N-オキシドを含む。
【0042】
一実施形態では、本発明による組成物が、0.01~1% w/wの量の少なくとも1つのキレート剤を含む。
【0043】
一実施形態では、本発明による組成物が、少なくとも1つのキレート剤として、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含む。
【0044】
一実施形態では、本発明による組成物が、0.01~1.0% w/wの量の少なくとも1つのポリクオタニウム化合物を含む。
【0045】
一実施形態では、本組成物が、少なくとも1種の防腐剤を含む。防腐剤は、微生物の増殖または望ましくない化学変化による分解を防止するために添加される物質または化学物質である。防腐剤は、好ましくは細菌による分解を防ぐ抗菌性防腐剤である。
【0046】
一実施形態では、本発明による組成物が、防腐剤として2-フェノキシエタノールを含む。
【0047】
一実施形態では、本発明による組成物が、2-フェノキシエタノールを含まない。
【0048】
一実施形態では、本発明による組成物が、追加の第四級アンモニウム化合物として、塩化ベンザルコニウムおよび/または塩化ジデシルジメチルアンモニウムをさらに含む。
【0049】
一実施形態では、本発明による組成物が、C12~C16の塩化ベンザルコニウムの形態のさらなる第四級アンモニウム化合物を、特に0.01~0.7% w/wの量で、含む。
【0050】
一実施形態では、本発明による組成物が、塩化ジデシルジメチルアンモニウムの形態のさらなる第四級アンモニウム化合物を、特に0.01~0.7% w/wの量で、含む。
【0051】
一実施形態では、本発明による組成物が、0.01~1% w/wの量の少なくとも1つの防腐剤を含む。
【0052】
一実施形態では、本発明による組成物が、1つ以上の消毒剤、安定剤、防腐剤、染料、芳香剤、臭気マスキング剤および/またはそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0053】
一実施形態では、本発明による組成物が、水溶液または分散液の形態である。好ましい実施形態において、本発明による組成物は、3~9、好ましくは4~8、より好ましくは5~7のpHを有する水溶液の形態である。
【0054】
本発明による組成物は、好ましくは、下記の点で特徴づけられる:
組成物が、
0.01~0.25% w/wのN,Nジメチルデシルアミン-N-オキシド、
0.01~0.1% w/wの非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、E06、
0.01~1.0% w/wのポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、
0.01~1.0% w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
を含み、
溶媒が水を含み、好ましくは溶媒が純水である。
【0055】
さらなる実施態様において、本発明による組成物は、下記の点で特徴づけられる:
組成物が、
0.01~0.7% w/wのC12-C16の塩化ベンザルコニウム、
0.01~0.7% w/wの塩化ジデシルジメチルアンモニウム、
0.01~0.25% w/wのN,N-ジメチルデシルアミン-N-オキシド、
0.01~0.1% w/wの非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、E06、
0.01~1.0% w/wのポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、
0.01~1.0% w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
を含み、
溶媒は水であり、好ましくは溶媒は純水である。
【0056】
さらなる実施形態では、本発明による組成物は、下記の点で特徴づけられる:
組成物が、
0.01~1.0% w/wのフェノキシエタノール、例えば0.01~1.0%w/w、
0.01~0.7% w/wのC12~C16の塩化ベンザルコニウム、
0.01~0.7% w/wの塩化ジデシルジメチルアンモニウム、
0.01~0.25% w/wのN,N-ジメチルデシルアミン-N-オキシド、
0.01~0.1% w/wの非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、E06、
0.01~1.0% w/wのポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、
0.01~1.0% w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
を含み、
溶媒は水を含み、好ましくは溶媒は純水である。
【0057】
本発明はさらに、前述のセクションに記載の組成物を含浸させた基材を含むウェットワイプ(湿潤ふき取り材)に関する。
【0058】
さらなる実施形態において、本発明による組成物は、噴霧器、ディスペンサ、または同等の装置の手段によって、表面に適用される。
【0059】
組成物を含浸させる基材は、好ましくは不織布材料である。適切な不織布材料は、限定されないが、バインダーが組成物によって有害な影響を受けずかつそれ自体がスミアリングに寄与しないようにバインダーを含まないタイプが挙げられる。バインダーフリー不織布材料の例としては、スパンレース不織布材料またはハイドロエンタングル不織布材料が挙げられる。しかし、湿式、空気式(エアレイド)、サーマルボンドタイプまたはステッチボンドタイプなどの他のタイプも使用することができる。
【0060】
ワイプ(ふき取り材)は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ビスコース、綿、再生木材パルプおよびセルロースのいずれかまたはそれらの混合物から作製された繊維を含んでもよい。それらはまた、マイクロファイバーおよびナノファイバー製品を含んでもよい。
【0061】
基材は、好ましくは、個々のティシューまたは個々のティシューを分離することができる材料の穿孔ロールの形成で製造され、これらは組成物で含浸され、再封可能なタブ、バケット、フローラップパックまたは同様のものから分配される準備ができた状態で、包装される。あるいは、含浸されたワイプは、不透過性箔、セロハンなどの適切な包装材料で作られたラッパー内に個々に密封されてもよい。
【0062】
本発明の組成物の成分は、単に一緒に混合されて、水溶液または水性アルコール溶液または分散液を形成し、次いで、それを使用して、組成物中に基材を浸漬することによって基材を含浸させ、それによって本発明によるウェットワイプを作製できる。
【0063】
代替の実施形態では、本発明による組成物が、水溶液またはアルコール性溶液としてではなく、濃縮物として提供され、適切な溶媒を添加することによって適切に希釈することができる。
【0064】
このようなウェットワイプは、広範囲の表面及び材料を洗浄することに適しており、かつ、清浄かつ消毒された表面を残す様式で、有機及び無機の両方の様々な種類及びレベルの汚れを除去するのに適している。
【0065】
本発明はさらに、表面の消毒のための、前述の組成物またはウェットワイプの使用に関する。
【0066】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例
【0067】
以下の組成物を、列挙した成分を水中で混合することによって調製した。
【0068】
パートA

個々の成分の可能な好ましい含有範囲を、表1に示す。比較的低い0の範囲が与えられる場合、これが意味するのは、その成分が組成物中に含有されないこと、またはこの成分が0を超える量で組成物中に含有され、この場合0は与えられた範囲から除外されることである。
【0069】
【表5】
【0070】
本発明による好ましい組成物は、以下の表2に与えられ、以下において本発明の実施例(IE1)と称される:
【0071】
【表6】
【0072】
本発明の組成物の微生物学的有効性(Staphylococcus aureus 黄色ブドウ球菌、Pseudomonas aeruginosa 緑膿菌、Enterococcus hirae エンテロコッカス・ヒラエ、Escherichia coli 大腸菌、およびCandida Albeicans カンジダ・アルビカンスに対する)の改善、および標準的な方法に従う広範囲な有効性の改善を測定するために、表2(IE1)による本発明の組成物を試験した。微生物学的有効性を、酵母/真菌(EN 13624)または細菌(EN 13727)についてのEN規格に従って試験した。全ての試験は、配合/ワイプが最もストリンジェントな臨床的に妥当な条件下で機能することを保証するために、臨床的に妥当な医療汚染条件を用いて実施された。
【0073】
【表7】
【0074】
表2による本発明の組成物(IE1)は、全ての試験された細菌および酵母/真菌について3を超える対数減少を示す。このことから、本発明による組成物は、殺生物剤は添加されなかったが、臨床的に妥当な時間で懸濁試験において良好な抗菌作用を示すと結論付けることができる。
【0075】
EN13727/EN13624(生物による)に従うさらなる試験を実施して、表2に従う本発明の組成物(IE1)の増加した抗菌活性(抗微生物活性)を検証するために、殺生物剤(BZK = C12~C16塩化ベンザルコニウム)を添加することによってIE2を得た。データは、30秒の接触時間で、医学的に汚染された条件下で生成された。BZK単独の抗菌活性は、100として正規化される。この試験の結果を図1に示す。
【0076】
【表8】
【0077】
本発明による好ましい組成物は、以下の表5に示されており、以下において発明例3(IE3)と称される:
【0078】
【表9】
【0079】
微生物学的有効性(カンジダ・アルビカンスに対する)の改善および標準的な方法に従う広範な有効性の改善を測定するために、表5(IE3)による本発明の組成物を試験した。微生物学的有効性を、酵母/真菌(EN 13624)のEN規格に従って試験した。全ての試験は、配合/ワイプが最もストリンジェントな臨床的に妥当な条件下で機能することを保証するために、臨床的に妥当な医療汚染条件を用いて実施された。
【0080】
本物品を真菌と接触させ、接触時間の最後に、殺真菌作用を中和し、生存する真菌の数および減少を計算する。本物品は、少なくとも10進数で4の対数(Ig)の減少を示す。
【0081】
IE3を異なる基材に適用し、CE1、CE2およびCE3と呼ばれる本発明でない比較例と比較した。
【0082】
EN13624試験の結果を以下の表6に示す。
【0083】
【表10】
【0084】
: 比較例1~3
IE3: 表5による発明例3
BZK: C12-C16塩化ベンザルコニウム
DDAC:塩化ジデシルジメチルアンモニウム
91-6: 非イオン性アルコールエトキシレートC9-11、EO6
シンペロニックPEL64:高いMW、低HLB、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー
デシルアミンオキシド N,N-ジメチルデシルアミン-N-オキシド
ポリクオタニウム6: ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)

本発明の実施例IE3は、4を超えるカンジダ・アルビカンスの対数減少を示し、これはEN 13624に従った試験に合格した。
【0085】
パートB
1.0 導入
医療機器で一般的に使用される中粘度ポリカーボネート(PC)の環境応力亀裂(ESC)に対する耐性を、2つのGAMAヘルスケア配合物の存在下で評価した。ポリマーはResinex社によって「チップ」の形態で提供され、これらはその後、Smithersによって、英国のShrewsburyで、射出成形された。PCは非晶質ポリマーであり、ESCの影響を受けやすく、使用されたポリマーは以下の通りである:

- ポリカーボネート(中粘度)

- ポリカーボネート(高粘度)

- ポリカーボネートおよびABSブレンド

- ABS

- PMMA
【0086】
殺菌のために使用される表面ウェットワイプは全て「ESC剤」を含有し、そのレベルおよび重度は製品間で異なる。
【0087】
2.0 試験方法
BS EN ISO 22088-3「プラスチック-環境応力亀裂(ESC)への抵抗性の決定-パート3:屈曲ストリップ法」に従って一般的に試験した。
【0088】
この試験は、試験サンプルを採取し、それらを一定の引張ひずみで曲げることを含む。これは、ステンレス鋼「ひずみジグ」を使用して行われ、これらは一定の曲率半径で形成された金属である。引張ひずみは、以下の式によって求めることができる:
【数1】

ε = 引張ひずみ、h = サンプル厚さ、r = ひずみジグの半径
【0089】
試験は、0.5%引張ひずみでひずみジグに対して行い、0.5%ひずみは、デバイスがその範囲に設計されることが予想される範囲内にある。試験サンプルは、ひずみジグにわたって曲率に平行に曲げられる。次いで、サンプルは、選択された時間の間、化学液体環境の適用または浸漬によって曝露される。
【0090】
試験中、ESCが起こっていることを示すひび割れ(クレージング)または亀裂(クラック)に関して、試験サンプルを観察する。試験のための曝露期間の終わりにESCが観察できないサンプルについては、これらをISO 527-2に従って引張特性について試験する。ESCを受けるプラスチックの引張特性は変化し、プラスチックが弱くなり、この追加の試験は、ひび割れまたは亀裂がない場合のESC欠陥の証拠を証明することができる。これらを、ひずみ付与なし/曝露なしの「コントロール(対照)」サンプルと比較する。
【0091】
I.試験サンプル
ISO 527-2に記載されている試験サンプルタイプ1Aに従った寸法に成形された引張「ドッグボーン」を射出成形した。ひずみジグは、公称4mmの試験サンプル厚さのために設計され、したがって、全ての試験サンプルはこの厚さを有する。試験前に、サンプルを23±2℃/50±10%RHに、24時間にわたって調整(コンディショニング)する。
【0092】
II.ひずみジグへのサンプルの取り付け
試験サンプルは、一貫性のために、エジェクタピンを含む面(射出成形から生じる)を上に向けて位置合わせされる。
サンプルは互いに平行であり、ジグの側面に平行である。各ジグには、最大3個のサンプルが装着される。
クランプを均等かつ十分に締め付け、試料のゲージ長さ、少なくとも中央75mmが、ひずみジグの湾曲と完全に接触するようにする。過度の応力を避けるために、クランプを過度に締め付けてはならない。
【0093】
III.化学的環境への曝露
サンプルを完全に浸漬するためには非常に大量の液体が必要とされ、そうすることは実現可能ではない。その結果、綿毛を用いてサンプルを化学環境に曝露した。綿毛の小片を切断し、液体に浸漬した後、サンプルの中心に置いた(付録を参照)。各業務日の開始および終了時(午前9時/午後5時)に、流体をウールに飽和するまで加え、サンプルを流体と接触させ続けた。
【0094】
すべてのサンプルを、23℃/50%RHに設定された環境室で試験した。
【0095】
IV.観察・評価
試験サンプルは、曝露の週の間、1業務日に3回、亀裂(クラック)の兆候について観察された。試験の週に続いて、サンプルを低倍率で照明しながら観察して、ひび割れ(クレージング)の兆候を探した。週の早い時期に割れることは、化学的環境が、試験されたプラスチックとの適合性がより低いより攻撃的なESC剤を含有することを示す。
亀裂を生じなかったサンプルを引張特性について試験して、降伏および破断応力およびひずみの変化を調べた。平均破断若しくは降伏応力が、非ひずみ/非曝露対照サンプルの、80%未満であるか、または平均破断若しくは降伏ひずみが50%未満であった場合、試料は不合格であったとみなされた。
【0096】
B.結果
1.環境応力亀裂(環境応力クラック)
【0097】
【表11】
【0098】
【表12】
【0099】
【表13】
【0100】
C.コメント
23℃/50%RHの周囲条件での7日間の曝露を、試験したプラスチックを使用する装置の長い寿命のために試験条件として使用した。使用中、Clinellワイプ(クリネルワイプ)は拭き取り1回につき~2分間、表面を湿らせ、したがって、7日間の曝露は、かなりの数の拭き取りとなる。0.5%ひずみレベルで試験したポリマーについて、比較配合2、ならびに競合配合A、B、およびCは、この曝露期間でのESC欠陥のために不適合であるとみなされる。対照的に、本発明による組成物は、同じひずみレベルで同じポリマーに関して有意なESC効果を示さず、優れた適合性を示した。
図1
【国際調査報告】