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特表2024-545816エアロゾル薬物送達のための組成物、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-12
(54)【発明の名称】エアロゾル薬物送達のための組成物、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/12 20060101AFI20241205BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20241205BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K9/12
A61K31/40
A61K31/137
A61K31/167
A61K31/58
A61K47/24
A61K47/06
A61P11/00
A61P43/00 121
A61P11/06
A61P11/02
A61P11/08
A61P29/00
A61K9/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536438
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 IB2022062387
(87)【国際公開番号】W WO2023119093
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,538
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ラハチュ,ケリサ ベス
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ヴィドヤ ビー
(72)【発明者】
【氏名】アーチベル,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】レチューガ-バレステロス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リーブ,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076AA93
4C076BB27
4C076CC04
4C076CC15
4C076CC30
4C076CC44
4C076DD35
4C076DD63
4C076FF33
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086DA12
4C086GA13
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA08
4C086MA10
4C086MA13
4C086MA56
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA61
4C086ZB11
4C086ZC03
4C086ZC42
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA14
4C206GA31
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA14
4C206MA33
4C206MA76
4C206NA05
4C206NA13
4C206NA14
4C206ZA59
4C206ZA61
4C206ZB11
4C206ZC03
4C206ZC42
4C206ZC75
(57)【要約】
1.定量吸入器から送達可能な医薬組成物であって、医薬組成物は:製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤;複数の活性剤粒子;及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含み、活性剤粒子は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性P2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される活性剤を含む、医薬組成物。前記医薬組成物の計量された量を分注するためのアクチュエーターを含む出口バルブを有するキャニスターを含む定量吸入器であって、キャニスターは、医薬組成物を含有する、定量吸入器。肺疾患又は障害の治療における使用のための前記組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量吸入器から送達可能な医薬組成物であって、前記医薬組成物は:
製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤;
複数の活性剤粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含み;
前記活性剤粒子は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される活性剤を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記複数の活性剤粒子は、活性剤粒子の2つ以上の種を含み、活性剤粒子の各種は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される様々な活性剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
定量吸入器から送達可能な医薬組成物であって、前記医薬組成物は:
製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤;
複数の第1の種の活性剤粒子;
複数の第2の種の活性剤粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含み;
前記第1の種の活性剤粒子は、第1の活性剤を含み、前記第2の種の活性剤粒子は、第2の活性剤を含む並びに前記第1及び第2の活性剤は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される、医薬組成物。
【請求項4】
複数の第3の種の活性剤粒子をさらに含み;前記第3の種の活性剤粒子は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される第3の活性剤を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
複数の第4の種の活性剤粒子をさらに含み;前記第4の種の活性剤粒子は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される第4の活性剤を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記LAMAは、約0.04mg/mL~約2.25mg/mLの範囲の濃度で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記LABAは、約0.01mg/mL~約1mg/mLの範囲の濃度で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ICSは、約0.1mg/mL~約20mg/mLの範囲の濃度で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記非コルチコステロイド抗炎症剤は、約0.1mg/mL~約20mg/mLの範囲の濃度で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記リン脂質粒子は、約0.1mg/mL~約10mg/mLの範囲の濃度で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記穴のあいたミクロ構造は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)及び塩化カルシウムを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記リン脂質粒子は、約0.2μm~約50μmの間、約0.5μm~約15μmの間、約1.5μm~約10μmの間及び約2μm~約5μmの間から選択される体積中位光散乱径を示す、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記リン脂質粒子の総質量は、以下:
i)請求項1に記載の複数の活性剤粒子;
ii)前記第1、第2、第3若しくは第4の種の活性剤粒子のいずれか1つ;又は
iii)前記第1、第2、第3及び第4の種の活性剤粒子のいずれか2つの組み合わせ
の総質量を超過する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記第1の活性剤は、LAMAであり;前記第2の活性剤は、LABAである、請求項3~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記第1の活性剤は、LAMAであり;前記第2の活性剤は、LABAであり;前記第3の活性剤は、ICSである、請求項4~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記第1の活性剤は、LAMAであり;前記第2の活性剤は、LABAであり;前記第3の活性剤は、ICSであり;前記第4の活性剤は、非コルチコステロイド抗炎症剤である、請求項5~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記第1の活性剤は、SABAであり;前記第2の活性剤は、ICSである、請求項3~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記第1の活性剤は、LABAであり;前記第2の活性剤は、ICSである、請求項3~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記LAMAは、グリコピロラート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム及びダロトロピウム;又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記LABAは、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、ビランテロール及びサリゲニン若しくはインドールを含有しアダマンチルから誘導されるβアゴニスト;又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記SABAは、ビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン(イソプロテレノール)、レボサルブタモール、オルシプレナリン(メタプロテレノール)、ピルブテロール、プロカテロール、リミテロール、アルブテロール(サルブタモール)、テルブタリン、ツロブテロール、レプロテロール及びエピネフリン;又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記ICSは、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、プレドニソン及びトリアムシノロン;又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物から選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記非コルチコステロイド抗炎症剤は、ロフルミラスト又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物である、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
模擬使用試験(SUT)においてロバストネスの向上を示す、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
毎年25℃/60%RHで定量吸入器において約1.0%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%又は0.1%未満の重量のロスを示す、請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
製薬等級のHFC-152aの噴射剤;
複数のグリコピロラート粒子;
複数のホルモテロール粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子
を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
製薬等級のHFC-152aの噴射剤;
複数のグリコピロラート粒子;
複数のホルモテロール粒子;
複数のブデソニド粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子
を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
製薬等級のHFC-152aの噴射剤;
複数のアルブテロール粒子;
複数のブデソニド粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子
を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
製薬等級のHFC-152aの噴射剤;
複数のホルモテロール粒子;
複数のブデソニド粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子
を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
製薬等級のHFC-152aの噴射剤;
複数のグリコピロラート粒子;
複数のホルモテロール粒子;
複数のブデソニド粒子;
複数のロフルミラスト粒子;及び
穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子
を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記グリコピロラート活性剤粒子は、始動毎に約5μg~約50μgの間、始動毎に約2μg~約25μgの間及び始動毎に約6μg~約15μgの間から選択される、前記定量吸入器の始動毎にグリコピロラートの送達量を提供するのに十分な濃度で噴射剤中にある、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記噴射剤中のグリコピロラートの濃度は、約0.04mg/ml~約2.25mg/mlの間である、請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
体積による前記グリコピロラート活性剤粒子の少なくとも90%は、7μm以下の光散乱径を示す、請求項1~32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記ホルモテロール活性剤粒子は、前記定量吸入器の始動毎に約1μg~約30μgの間、約0.5μg~約10μgの間、約2μg~5μgの間、約3μg~約10μgの間、約5μg~約10μgの間及び3μg~約30μgの間から選択されるホルモテロールの送達量を提供するのに十分な濃度で前記組成物中に含まれる、請求項1~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記噴射剤中のホルモテロールの濃度は、約0.01mg/ml~約1mg/mlの間、約0.01mg/ml~約0.5mg/mlの間及び約0.03mg/ml~約0.4mg/mlの間から選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
体積による前記ホルモテロール活性剤粒子の少なくとも90%は、5μm以下の光散乱径を示す、請求項1~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記ブデソニド活性剤粒子は、前記定量吸入器の始動毎に約50μg~約400μgの間、約20μg~約600μgの間、約30μg~100μgの間、約50μg~約200μgの間及び約150μg~約350μgの間から選択されるブデソニドの送達量を提供するのに十分な濃度で前記組成物中に含まれる、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記噴射剤中のブデソニドの濃度は、約0.1mg/ml~約20mg/mlの間、約0.1mg/ml~約5mg/mlの間及び約0.3mg/ml~約6mg/mlの間から選択される、請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
体積による前記ブデソニド活性剤粒子の少なくとも90%は、7μm以下の光散乱径を示す、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記アルブテロール活性剤粒子は、定量吸入器の始動毎に約10μg~約200μgの間、約20μg~約300μgの間、約30μg~150μgの間及び約50μg~約200μgの間から選択される、アルブテロールの送達量を提供するのに十分な濃度で前記組成物中に含まれる、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記噴射剤中のアルブテロールの濃度は、約0.1mg/ml~約10mg/mlの間、約0.1mg/ml~約5mg/mlの間及び約0.3mg/ml~約4mg/mlの間から選択される、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
体積による前記アルブテロール活性剤粒子の少なくとも90%は、5μm以下の光散乱径を示す、請求項1~41のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ロフルミラスト活性剤粒子は、前記定量吸入器の始動毎に約50μg~約400μgの間、約20μg~約600μgの間、約30μg~100μgの間、約50μg~約200μgの間及び約150μg~約350μgの間から選択されるロフルミラストの送達量を提供するのに十分な濃度で前記組成物中に含まれる、請求項1~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記噴射剤中のロフルミラストの濃度は、約0.1mg/ml~約20mg/mlの間、約0.1mg/ml~約5mg/mlの間及び約0.3mg/ml~約6mg/mlの間から選択される、請求項1~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
体積による前記ロフルミラスト活性剤粒子の少なくとも90%は、5μm以下の光散乱径を示す、請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記グリコピロラート粒子は、グリコピロラート又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記グリコピロラート又はその薬学的に許容される塩は、結晶の及び/又は微粉化形態をしている、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記ホルモテロール粒子は、ホルモテロール又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記ホルモテロール又はその薬学的に許容される塩は、結晶の及び/又は微粉化形態をしている、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記アルブテロール粒子は、アルブテロール又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記アルブテロール又はその薬学的に許容される塩は、結晶の及び/又は微粉化形態をしている、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記ブデソニド粒子は、結晶の及び/又は微粉化形態をしているブデソニドを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記ロフルミラスト粒子は、ロフルミラスト又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記ロフルミラスト又はその薬学的に許容される塩は、結晶の及び/又は微粉化形態をしている、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物の計量された量を分注するためのアクチュエーターを含む出口バルブを有するキャニスターを含む定量吸入器であって、前記キャニスターは前記医薬組成物を含有する、定量吸入器。
【請求項56】
前記キャニスターが空になるまで±20%又はそれよりも良好なDDU、±15%又はそれよりも良好なDDU及び±10%又はそれよりも良好なDDUから選択される前記医薬組成物についての送達量均一性(DDU)を示す、請求項55に記載の定量吸入器。
【請求項57】
最初の微粒子の割合で前記医薬組成物を分注し、前記定量吸入器から分注される前記最初の微粒子の割合は、実質的に維持され、キャニスターが空になるまで、前記定量吸入器から送達される前記微粒子の割合は、前記最初の微粒子の割合の85%内に維持される、請求項55又は56に記載の定量吸入器。
【請求項58】
前記定量吸入器から送達される前記微粒子の割合は、前記最初の微粒子の割合の95%内に維持される、請求項55~57のいずれか一項に記載の定量吸入器。
【請求項59】
患者において肺疾患又は障害を治療するための方法であって、定量吸入器を始動させることによって前記患者に請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含み;前記定量吸入器は、前記医薬組成物を含有する、方法。
【請求項60】
前記肺疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺性高血圧、嚢胞性線維症と関連する肺炎症及び嚢胞性線維症と関連する肺閉塞の少なくとも1つから選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記肺疾患又は障害は、喘息又はCOPDである、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記定量吸入器は、請求項54~63のいずれか一項に記載される、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
肺疾患又は障害の治療のための薬剤の製造における使用のための、請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項64】
肺疾患又は障害の治療における使用のための、請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項65】
基準医薬組成物の1つ以上の前記活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastの80%~125%である、任意の1つ以上の前記活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastを示す、請求項1~54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記医薬組成物は、基準医薬組成物の1つ以上の前記活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastの80%~125%である、任意の1つ以上の前記活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastを示す、請求項55~58のいずれか一項に記載の定量吸入器。
【請求項67】
前記医薬組成物は、基準医薬組成物の1つ以上の前記活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastの80%~125%である、任意の1つ以上の前記活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastを示す、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書において参照によって組み込まれる、2021年12月20日に出願された米国仮特許出願第63/291,538号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
作用部位に活性剤を送達する標的薬物送達の方法は、多くの場合、望ましい。例えば、活性剤の標的送達は、望ましくない副作用を低下させ、投薬量を下げ、治療費を減少させることができる。呼吸器送達に関して、吸入器は、対象の気道に活性剤を投与するためのよく知られている装置であり、いくつかの異なる吸入器システムは、現在、市販で入手可能である。3つの一般的な吸入器システムは、ドライパウダー式吸入器、ネブライザー及び加圧定量吸入器(pMDI)としても知られている定量吸入器(MDI)を含む。
【0003】
MDIは、可溶化された形態において又は懸濁液として薬剤を送達するために使用されてもよい。典型的に、MDIは、MDIを作動させた時に気道の中に活性剤を含有するエアロゾル化した液体粒子を放出するよう、蒸気圧が比較的高い噴射剤を使用する。ドライパウダー式吸入器は、一般に、気道にドライパウダー形態をした薬剤を導入するために患者の吸気努力に依存する。ネブライザーは、エネルギーを液体溶液又は懸濁液に与えることによって、吸入されることになる薬剤エアロゾルを形成する。
【0004】
MDIは、噴射剤によって生成される圧力を利用する有効な送達装置である。噴射剤は、患者の使用にとって安全で且つ薬学的に許容されなければならない。MDIによって送達されることになる活性剤は、典型的に、噴射剤又は2つ以上の噴射剤の組み合わせ(すなわち噴射「系」)内で分散した微細な粒状物の懸濁液として提供される。しかしながら、噴射剤又は噴射系中で懸濁した活性剤の微粒子は、急速に凝集する又は凝結する傾向がある。さらには、これらの微粒子の凝集又は凝結は、活性剤の送達を難しくし得る。そのような懸濁MDI製剤と関連する別の問題は、保存の間の薬物の結晶成長に関し、そのようなMDIのエアロゾル特性及び送達量均一性の経時的な減少をもたらす。したがって、MDIに適した安定した懸濁液を形成するために賦形剤及び噴射剤と共に活性剤を適切に製剤することは不可欠である。噴射剤の特性は、MDIのための懸濁製剤の性能において重要な役割を果たす。例えば、噴射剤の液体比重、蒸気圧及び水溶性は、懸濁安定性、用量均一性、エアロゾル性能及び湿気侵入に影響を及ぼす。双極子モーメント、表面張力、沸点、液粘度、潜熱などのような噴射剤の他の特性もまた、懸濁製剤を製剤する場合に考慮されるべき因子である。したがって、所望の特徴を有する革新的な懸濁MDI製剤を研究し、開発する必要が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、1つ以上の活性剤の呼吸器送達のための組成物、方法及びシステムを提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIを介した1つ以上の活性剤の肺送達のために製剤される。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIを介した経鼻送達のために製剤されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数の活性剤粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、複数の活性剤粒子は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される1つ、2つ、3つ又は4つの活性剤を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数のLAMA粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数のLABA粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数のSABA粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数のICS粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数の非コルチコステロイド抗炎症剤粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数の活性剤粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、製薬等級の1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)の噴射剤、複数の第1の種の活性剤粒子、複数の第2の種の活性剤粒子及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、第1の種の活性剤粒子は、第1の活性剤を含み、第2の種の活性剤粒子は、第2の活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、複数の第3の種の活性剤粒子をさらに含み、第3の種の活性剤粒子は、第3の活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、複数の第4の種の活性剤粒子をさらに含み、第4の種の活性剤粒子は、第4の活性剤を含む。いくつかの実施形態では、活性剤は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される。いくつかの実施形態では、第1及び第2の活性剤は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される。さらなる実施形態では、第3の活性剤は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される。さらなる実施形態では、第4の活性剤は、長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用性ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される。
【0009】
本明細書において記載される方法は、本明細書において記載される組成物を含有する定量吸入器を始動させることによって患者において肺疾患又は障害を治療するための方法を含む。
【0010】
1つ以上の活性剤の肺送達のためのシステムもまた、本明細書において記載される。いくつかの実施形態では、そのようなシステムは、本明細書において記載される組成物の計量された量を分注するためのアクチュエーター(例えば、押し下げ可能なバルブステム)を含む出口バルブを有するキャニスターを含むMDIを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、BGF-152aのNGIによるブデソニド(BD)、グリコピロラート(GP)及びフマル酸ホルモテロール(FF)の空気力学的粒子径分布を示す図である。
図2図2は、最初、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月及び12ヵ月の時点の25℃/60%RH-バルブを下げて保護したBGF-152aについてのNGI安定性データによるBDの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図3図3は、最初、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月及び12ヵ月の時点の25℃/60%RH-バルブを下げて保護したBGF-152aについてのNGI安定性データによるGPの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図4図4は、最初、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月及び12ヵ月の時点の25℃/60%RH-バルブを下げて保護したBGF-152aについてのNGI安定性データによるFFの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図5図5は、最初、1ヵ月、3ヵ月及び6ヵ月の時点の40℃/75%RH-バルブを下げて保護したBGF-152aについてのNGI安定性データによるBDの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図6図6は、最初、1ヵ月、3ヵ月及び6ヵ月の時点の40℃/75%RH-バルブを下げて保護したBGF-152aについてのNGI安定性データによるGPの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図7図7は、最初、1ヵ月、3ヵ月及び6ヵ月の時点の40℃/75%RH-バルブを下げて保護したBGF-152aについてのNGI安定性データによるFFの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図8図8は、25℃/60%RH-バルブを下げて保護したBFF-152aについてのBDの送達量均一性の安定性データを示す図である。
図9図9は、25℃/60%RH-バルブを下げて保護したBFF-152aについてのGPの送達量均一性の安定性データを示す図である。
図10図10は、25℃/60%RH-バルブを下げて保護したBFF-152aについてのFFの送達量均一性の安定性データを示す図である。
図11図11は、40℃/75%RH-バルブを下げて保護したBFF-152aについてのBDの送達量均一性の安定性データを示す図である。
図12図12は、40℃/75%RH-バルブを下げて保護したBFF-152aについてのGPの送達量均一性の安定性データを示す図である。
図13図13は、40℃/75%RH-バルブを下げて保護したBFF-152aについてのFFの送達量均一性の安定性データを示す図である。
図14図14は、GFF-152aのNGIによるGP及びFFの空気力学的粒子径分布を示す図である。
図15図15は、GFF-152aのGP及びFFの送達量均一性を示す図である。
図16図16は、BDA-152aのNGIによるBD及びAB(硫酸アルブテロール)の空気力学的粒子径分布を示す図である。
図17図17は、BDA-152aのBD及びABの送達量均一性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
特に別段の定めがない限り、専門用語は、本明細書において使用されるように、当技術分野において理解されるそれらの通常の意味を有する。以下の用語は、明確にするため詳細に定義される。
【0013】
用語「活性剤」は、治療薬、医薬品、薬品、診断薬、化粧剤及び予防薬並びに免疫調節薬を含め、任意の目的のためにヒト又は動物に使用されてもよい又は投与されてもよい任意の作用剤、薬物、化合物、組成物又は他の物質を含むように本明細書において使用される。活性剤は、薬物、医薬、薬剤、原薬又は治療剤といった用語と区別なく使用されてもよい。本明細書において使用されるように、活性剤は、一般に治療用とみなされない自然製品又はホメオパシー製品を包含してもよい。
【0014】
用語「関連する」、「と関連する」又は「関連」は、別の化学成分、組成物又は構造の表面のような表面に近い状態にある化学成分、組成物又は構造間の相互作用又は関係を指す。関連は、例えば吸着、接着、共有結合、水素結合、イオン結合及び静電引力、リフシッツ-ファンデルワールス相互作用並びに極性相互作用を含む。用語「接着する」又は「接着」は、関連の形態を指し、粒子又は集合体を表面に引きつける傾向があるすべての力の包括的な用語として使用される。接着はまた、通常条件下での噴射剤中での粒子の異なる浮力による粒子の間での実質的に目に見える分離がないように、粒子を互いに接触させて保つことを指す。一実施形態では、表面に付着する又は結合する粒子は、接着という用語によって包含される。通常条件は、室温での又は重力による加速的な力の下での保存を含んでいてもよい。本明細書において記載されるように、活性粒子は、共懸濁液を形成するように懸濁粒子と関連してもよく、噴射剤内での浮揚性における差による懸濁粒子と活性剤粒子との間での実質的に目に見える分離又はその凝集塊がない。
【0015】
「懸濁粒子」は、呼吸器送達に許容され且つ活性剤粒子のためのビヒクルとして作用する材料又は材料の組み合わせを指す。懸濁粒子は、送達の標的部位、すなわち気道への活性剤の反復可能な投薬、送達又は運搬を促進するよう活性剤粒子と相互作用する。本明細書において記載される懸濁粒子は、噴射剤又は噴射系を含む懸濁媒体内で分散し、所望の懸濁安定性又は活性剤送達性能を達成するのに好都合である任意の形状、サイズ又は表面特徴に従って構成することができる。例示的な懸濁粒子は、活性剤の呼吸器送達を促進する粒径を示し、本明細書において記載される安定化された懸濁液の製剤及び送達に好都合な物理的な構成を有する粒子を含む。
【0016】
「共懸濁液」という用語は、懸濁媒体内で異なる組成を有する2つ以上のタイプの粒子の懸濁液を指し、一方のタイプの粒子は、1つ以上の他方の粒子タイプと少なくとも部分的に関連する。関連は、懸濁媒体中で懸濁される個々の粒子タイプの少なくとも1つの1つ以上の特徴における観察可能な変化に至る。関連によって修飾される特徴は、例えば凝集又は凝結の速度、分離、すなわち沈降又はクリーミングの速度及び性質、クリーム又は沈降物の層の密度、容器壁への接着、バルブ部材への接着並びに撹拌の際の分散の速度及びレベルの1つ以上を含んでいてもよい。共懸濁液という用語は、部分的な共懸濁液を含み、少なくとも2つの粒子タイプの大多数は互いに関連するが、少なくとも2つの粒子タイプのいくらかの分離(すなわち、大多数よりも少ない)が観察されてもよい。
【0017】
用語「定量」は、MDIの始動の際にキャニスターから出る製剤の体積中に含有される活性剤の量を指す。用語「送達量」は、アクチュエーターノズルから出て、患者の肺の中に吸い込まれるのに利用できる製剤の体積中に含有される活性剤の量を指す。
【0018】
本明細書において記載される組成物のような、呼吸に適した凝集体、粒子、液滴などを含有する又は提供する組成物に関して、用語「微粒子量」又は「FPD」は、公称量又は定量の総質量又は総画分中の、呼吸に適した範囲内にある用量を指す。呼吸に適した範囲内にある用量は、インビトロにおいて測定され、30l/分の流速で操作したNext Generation ImpactorにおいてMicro Orifice Collectorを通してステージ3に送達される用量の合計とされる。
【0019】
本明細書において記載される組成物のような、呼吸に適した凝集体、粒子、液滴などを含有する又は提供する組成物に関して、用語「微粒子の割合」又は「FPF」は、呼吸に適した範囲内にある、送達量(すなわち、MDIのような送達装置のアクチュエーターから出る量)と比べた、送達される材料の割合を指す。呼吸に適した範囲内の、送達される材料の量は、30l/分の流速で操作したNext Generation ImpactorにおいてMicro Orifice Collectorを通してステージ3に送達される材料の合計としてインビトロにおいて測定される。
【0020】
本明細書において使用されるように、用語「抑制する」は、現象、徴候若しくは状態が生じる傾向又はその現象、徴候若しくは状態が生じる程度のかなりの低減を指す。用語「抑制する」又はその任意の形態は、最も広い意味で使用され、最小化する、防止する、低下させる、阻止する、抑止する、抑える、妨げる、制限する、進行を遅らせる及びその他同種のものを含む。
【0021】
本明細書において使用される「空気動力学的中央粒子径」又は「MMAD」は、エアロゾルの質量の50%がMMADよりも小さな空気動力学径を有する粒子からなるエアロゾルの空気動力学径を指し、MMADは米国薬局方(「USP)のモノグラフ601に従って計算される。
【0022】
本明細書において言及される場合、用語「光散乱径」は、ドライパウダーディスペンサーを備えたレーザー回折式粒子径分布測定装置を使用してフラウンホーファー回折モードによって測定される粒子のサイズを示す(例えばSympatec GmbH、Clasthal-Zellerfeld、Germany)。
【0023】
用語「溶液媒介相転移」は、固体材料のより可溶性の形態(すなわち、小さな曲率半径(オストワルド熟成のための駆動力)を有する粒子又は非晶質材料)が溶解し、その飽和噴射溶液と平衡状態で共存することができるより安定した結晶形に再結晶する現象を指す。
【0024】
「患者」は、本明細書において記載される1つ以上の活性剤が治療効果を有する動物を指す。いくつかの実施形態では、患者は、人間である。
【0025】
「穴のあいたミクロ構造」は、方法が参照によって本明細書において組み込まれるWeers,et al.に対する米国特許第6,309,623号明細書において並びに米国特許第8,815,258号明細書、米国特許第9,463,161号明細書及び米国特許出願公開第2011/0135737号明細書において記載される材料及び調製物のように、周囲の懸濁媒体がミクロ構造に浸透する、それを充填する又はそれに広がるのを可能にする空所、細孔、欠陥、中空、空間、割れ目、開口、穿孔又は穴を示す、その形を定める又はそれを含む構造マトリックスを含む懸濁粒子を指す。穴のあいたミクロ構造の基本的な形態は、一般に、本質的ではないが、所望の製剤特徴を提供する任意の全体としての構成が本明細書において企図される。したがって、いくつかの実施形態では、穴のあいたミクロ構造は、中空多孔質噴霧乾燥マイクロスフェアのように、ほぼ球状の形状を含んでいてもよい。しかしながら、任意の基本的な形態又は縦横比のつぶれた、波形の、歪んだ又はくずれた粒状物もまた、適合していてもよい。
【0026】
本明細書において記載される懸濁粒子に当てはまるように、穴のあいたミクロ構造は、選択された懸濁媒体中で実質的に分解しない又は溶解しない任意の生体適合材料から形成されてもよい。多種多様な材料が粒子を形成するために使用されてもよいが、いくつかの実施形態では、構造マトリックスは、リン脂質又はフッ素化界面活性剤のような界面活性剤と関連する又はそれを含む。
【0027】
本明細書において使用される用語「懸濁媒体」は、活性剤粒子及び懸濁粒子が分散し、共懸濁製剤を提供することができる連続相を提供する物質を指す。本明細書において記載される製剤において使用される懸濁媒体は、噴射剤を含む。本明細書において使用されるように、用語「噴射剤」は、MDIの計量バルブの始動によりMDIのキャニスターから患者に薬剤を噴射するために通常の室温で十分に高い蒸気圧を用いる1つ以上の薬理学的に不活性な物質を指す。そのため、用語「噴射剤」は、単一の噴射剤及び「噴射系」を形成する2つ以上の異なる噴射剤の組み合わせの両方を指す。
【0028】
用語「呼吸に適した」は、一般に、吸入することができ且つ肺の気管に到達することができるように大きさが設定された粒子、凝集体、液滴などを指す。
【0029】
本明細書において記載される組成物を指すために使用される場合、用語「物理的安定性」及び「物理的に安定した」は、凝集、凝結及び溶液媒介相転移による粒径の変化の1つ以上に抵抗し、懸濁粒子のMMAD及び微粒子量を実質的に維持することができる組成物を指す。いくつかの実施形態では、物理的安定性は、組成物を、温度サイクルによるような加速分解条件にかけることを通して判断されてもよい。
【0030】
活性剤を指す場合、用語「強力な」は、約0.01mg/kg~約1mg/kgの範囲にある用量以下で治療的に有効である活性剤を示す。強力な活性剤の典型的な用量は、一般に、約100μg~約100mgの範囲にある。
【0031】
活性剤を指す場合、用語「非常に強力な」は、約10μg/kgの用量以下で治療的に有効である活性剤を示す。非常に強力な活性剤の典型的な用量は、一般に、約100μg以下の範囲にある。
【0032】
用語「懸濁安定性」及び「安定した懸濁液」は、ある期間にわたって活性剤粒子及び懸濁粒子の共懸濁液の特性を維持することができる懸濁製剤を指す。いくつかの実施形態では、懸濁安定性は、本明細書において記載される組成物によって達成される送達量均一性を通して測定されてもよい。
【0033】
用語「実質的に不溶性の」は、組成物が特定の溶媒中で全く不溶性である又は組成物がその特定の溶媒中で十分に可溶性でないことを意味する。実質的に不溶性のは、特定の溶質が溶媒100当たり1未満の溶解性を有することを意味する。実質的に不溶性のという用語は、「溶けにくい」(溶質1当たり溶媒100~1000)、「極めて溶けにくい」(溶質1当たり溶媒1000~10,000)及び「ほとんど溶けない」(溶質1当たり10,000を超える溶媒)という定義を、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st ed.Lippincott,Williams & Wilkins,2006,p.212の表16-1において示されるように含む。
【0034】
本明細書において使用される用語「界面活性剤」は、水と有機ポリマー溶液との間の界面、水/空気界面又は有機溶媒/空気界面のような2つの不混和性の相の間の界面に選択的に吸着する任意の作用剤を指す。界面活性剤は、一般に、親水性部分及び親油性部分を持っており、微小粒子への吸着の際に、界面活性剤は、同様にコーティングされた粒子を引きつけず、したがって粒子凝集を低下させる成分を連続相に提示する傾向がある。
【0035】
「治療有効量」は、患者において疾患若しくは障害を抑制することによって又は疾患若しくは障害の発症を予防的に抑制する若しくは防止することによって治療効果を達成する化合物の量である。治療有効量は、患者において疾患若しくは障害の1つ以上の症状をある程度軽減する;疾患若しくは障害と関連する若しくはその原因となる1つ以上の生理学的若しくは生化学的パラメータを部分的に若しくは完全に正常に戻す;及び/又は疾患若しくは障害の発症の可能性を低下させる量であってもよい。
【0036】
用語「化学的に安定した」及び「化学的安定性」は、活性剤の個々の分解産物が、ヒトへの使用のための製品の有効期間の間に規制要件によって特定される限界未満にとどまり(例えば、ICHガイダンスQ3B(R2)に従って総クロマトグラフィピーク面積の1%)、活性剤アッセイと総分解産物との間で許容される物質収支がある(例えばICHガイダンスQ1Eにおいて定義される)製剤を指す。
【0037】
組成物
本明細書において記載される組成物は、噴射剤を含む懸濁媒体、活性剤粒子及び懸濁粒子を含む。所望される場合、本明細書において記載される組成物は、1つ以上の追加の構成成分を含んでいてもよい。さらに、本明細書において記載される組成物の構成要素の変形及び組み合わせが、使用されてもよい。例えば、組成物中に含まれる活性剤粒子が2つ以上の活性剤を含んでいてもよい又は活性剤粒子の2つ以上の異なる種が使用されてもよく、活性剤粒子の各異なる種は、1つ以上の異なる活性剤を含む。代わりに、懸濁粒子の2つ以上の種は、1つ以上の活性剤又は活性剤粒子の送達のために組成物において使用されてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上の活性剤粒子が存在する場合、本発明の組成物は、固定用量配合剤の形態をしている。「固定用量配合剤」によって、それは、単一の定量吸入器中の製剤のように、単回投与形態をした2つ以上の活性剤を意味する。
【0038】
一般に、粒子の別個の種と粒子が懸濁される媒体(例えば噴射剤又は噴射系)との間の密度差により、浮揚性の力は、噴射剤よりも低い密度を有する粒子のクリーミング及び噴射剤よりも高い密度を有する粒子の沈降を引き起こす。そのため、様々な密度又は凝結する様々な傾向を有する粒子の様々なタイプの混合物からなる懸濁液において、沈降又はクリーミング反応は、様々な粒子タイプのそれぞれに及び使用される特定の懸濁媒体に特有のものであることが予想され、懸濁媒体内での様々な粒子タイプの分離に至ると予想される。
【0039】
しかしながら、本明細書において記載される噴射剤、活性剤粒子及び懸濁粒子の組み合わせは、共懸濁液を提供し、活性剤粒子及び懸濁粒子は、噴射剤内で共存する(すなわち、懸濁粒子及び活性剤粒子がクリーム又は沈降物の層の形成に十分な時間の後でさえ特異な沈降又はクリーミングによるように、互いに実質的な分離を示さないように、活性剤粒子は、懸濁粒子と関連する)。特に、典型的な患者使用条件下で懸濁媒体によって形成される連続相内で活性剤粒子及び懸濁粒子の実質的な分離がないように、活性剤粒子は、懸濁粒子と関連する。
【0040】
本発明の説明に従う噴射剤、活性剤粒子及び懸濁粒子の組成物は、望ましい化学的安定性、懸濁安定性及び活性剤送達特徴を提供する。例えば、特定の実施形態では、MDIキャニスター内に存在する場合、本明細書において記載される組成物は、以下の1つ以上を抑制することができる又は低下させることができる:活性剤材料の凝結;活性剤粒子及び懸濁粒子の特異な沈降又はクリーミング;活性剤材料の溶液媒介相転移;並びに容器栓システム、特に計量バルブ部材の表面への活性剤のロス。そのような品質は、製剤がMDIから送達される時に、エアロゾル性能を達成し、保持するように働き、望ましい微粒子の割合、微粒子量及び送達量均一性といった特徴は、製剤が含有されるMDIキャニスターが空になるまで達成され、実質的に維持される。加えて、本発明の説明に従う組成物は、例えば共溶媒、逆溶剤、可溶化剤又は補助剤の追加による修飾を必要としない比較的単純なHFC懸濁媒体を使用しながら強力な及び非常に強力な活性剤でさえ、むらのない投薬の特徴を提供する安定した製剤を提供することができる。
【0041】
本発明の説明に従う組成物を提供することはまた、所望の活性剤の製剤、送達及び投薬を単純にしてもよい。特定の理論によって束縛されることなく、活性剤粒子及び懸濁粒子の共懸濁液を達成することによって、そのような分散系内に含有される活性剤の送達、物理的安定性及び投薬は、懸濁粒子のサイズ、組成、形態構造及び相対量の制御を通して実質的に制御されてもよく、活性剤の粒子のサイズ及び形態構造に又は噴射剤の特性にそれほどよらないと考えられる。さらに、特定の実施形態では、本明細書において記載される医薬組成物は、逆溶剤、可溶化剤、共溶媒又は補助剤が実質的にないHFC噴射剤又は噴射系と共に製剤することができる。
【0042】
一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてグリコピロニウム臭化物及びフマル酸ホルモテロールを含有してもよい。一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてブデソニド、グリコピロニウム臭化物及びフマル酸ホルモテロールを含有してもよい。一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤として硫酸アルブテロール及びブデソニドを含有してもよい。一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてブデソニド及びフマル酸ホルモテロールを含有してもよい。一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてブデソニド、グリコピロニウム臭化物、フマル酸ホルモテロール及びロフルミラストを含有してもよい。
【0043】
一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてウメクリジニウム臭化物、ビランテロールトリフェニル酢酸塩及びフロ酸フルチカソンを含有してもよい。別の実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてウメクリジニウム臭化物及びビランテロールトリフェニル酢酸塩を含有してもよい。一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてグリコピロニウム臭化物、インダカテロール酢酸塩及びフロ酸モメタゾンを含有してもよい。別の実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてグリコピロニウム臭化物及びインダカテロール酢酸塩を含有してもよい。一実施形態では、2つ以上の活性剤の組み合わせを含む本明細書において記載される組成物は、活性剤としてグリコピロニウム臭化物、ホルモテロール及びプロピオン酸ベクロメタゾンを含有してもよい。本発明の教示に従って製剤される組成物は、その中に含まれる活性剤の分解を抑制することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本発明の教示に従って製剤される組成物は、その中に含まれる活性剤の物理的及び/又は化学的分解を抑制する。例えば、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、組成物中に含まれる活性剤の化学的分解、凝結、凝集及び溶液媒介相転移の1つ以上を抑制してもよい。本明細書において記載される組成物によって提供される化学的及び懸濁安定性は、従来の調製物と比較して、模擬使用試験(SUT)において、ロバストネスの向上を提供する。模擬使用試験は、装置の毎週のクリーニングなしでの、25℃及び75%相対湿度(RH)での5週間のMDIキャニスターの保存並びに25℃及び50%RHでのMDIからの組成物の分注を含む。ロバストネスの向上は、送達されることになる活性剤が非常に強力で、非常に低用量で送達される場合でさえ、射出重量(すなわち、MDIの作動の際に分注される組成物の重量)にばらつきがないこと、低レベルの噴射剤漏出及びMDIキャニスターが空になるまでの望ましい送達量均一性(「DDU」)という形で表すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、SUTにおいてMDIによって送達される場合、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約7%未満、約6%未満又は約5%未満の射出重量の低下を示す。さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、20℃及び60%RHで毎年MDIにおいて約1.0%未満、約0.5%未満、約0.4%未満、約0.3%未満、約0.2%未満又は約0.1%未満の重量のロスを示す。さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIキャニスターが空になるまで±20%若しくはそれよりも良好な、±15%若しくはそれよりも良好な又は±10%若しくはそれよりも良好なDDUを示す。さらに、本発明の説明に従う組成物は、加速分解条件にさらされた後でさえ、MDIキャニスターが空になるまでFPF及びFPD性能を実質的に保持することによってロバストネスの向上を示す。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書において記載される組成物は、最初のFPFの約85%内又は約95%内に維持されるFPFでMDIから分注される。本明細書において記載される組成物は、HFC噴射剤、例えばHFC-152aを使用して製剤されながらも、そのような性能を達成するといった追加の利益を提供する。特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、1つ以上のHFC噴射剤のみを含む懸濁媒体と共に製剤されながらも、例えば1つ以上の共溶媒、逆溶剤、可溶化剤、補助剤又は他の噴射剤修飾材料の追加によるように、噴射剤の特徴を修飾する必要もなく、目標とするDDU、FPF又はFPDの1つ以上を達成する。
【0045】
懸濁媒体
本明細書において記載される組成物中に含まれる懸濁媒体は、1つ以上の噴射剤を含む。一般に、懸濁媒体としての使用に適した噴射剤は、室温での圧力下で液化することができ、吸入又は局所使用に際して、安全且つ毒性的に無害である噴射ガスである。加えて、選択される噴射剤が懸濁粒子又は活性剤粒子と比較的非反応性であることが望ましい。過去において、MDIによる送達のための組成物は、典型的に、クロロフルオロカーボン(CFC)噴射剤、ヒドロフルオロアルカン(HFA、例えばHFA-134a及びHFA-227ea)又はペルフルオロ化合物(PFC)を使用して製剤された。1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)は、より環境にやさしいと考えられるが、HFC-152aと他の噴射剤との間の顕著な差を考えると、いくつかの障壁が、MDI製剤におけるHFC-152aの使用に存在した。さらに、広範な実験が、望ましいDDU及びむらのないFPF値を有する活性剤粒子の望ましい用量を送達するであろう製剤を特定するために必要とされるであろう。
【0046】
下記の表Aにおいて示されるように、生理化学的な特性は、様々な噴射剤の間で広く変動する。
【0047】
【表1】
【0048】
驚いたことに、本明細書において記載される活性剤粒子及び懸濁粒子を含む組成物について、HFC-152a及び他の噴射剤、例えばHFAが有意に異なる構造及び特性を有するといった事実にもかかわらず、HFC-152a噴射剤を含むMDI製剤が吸入薬として適していることがわかった。
【0049】
いくつかの実施形態では、噴射剤は、製薬等級のHFC-152aである。本明細書において使用される用語「製薬等級の噴射剤」は、ヒトにおける使用のためのGMP規則に遵守している噴射剤を示す。例えば、製薬等級の噴射剤は、吸入製品及び経鼻製品の医薬品質についてのFDA又はEMAのガイドラインのような主な保健当局のガイドラインに合致しており、賦形剤としてのその規格は、医薬製品への使用のために噴射剤、例えばHFC-152aの品質及び安全性を確実にするよう確立されている。規格試験は、噴射剤の同一性、外観、アッセイ、酸性度、蒸発残留物、含水量、関連不純物及び非関連不純物を含む。安定性試験もまた、長期的な物理化学的安定性を実証するために進行中である。いくつかの実施形態では、製薬等級のHFC-152aは、少なくとも約99.90%の純度を有する。いくつかの実施形態では、噴射剤は、約99.90%、約99.91%、約99.92%、約99.93%、約99.94%、約99.95%又はそれよりも高い純度を有する製薬等級のHFC-152aである。製薬等級のHFC-152aは、その全体的な純度及び特定の不純物がないこと又はその濃度が低いことの両方により噴射剤としての使用に適している。いくつかの実施形態では、製薬等級のHFC-152aは、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm又はそれよりも少ない、以下の不純物のいずれか1つを含有する:HFO-1234yf、HFO-1234ze(Z)、HFC-125、CFC-11、HFC-245cb、HFO-1225ye(Z)又はHFO-1225ye(E)、CFC-113及びCFC-114。いくつかの実施形態では、製薬等級のHFC-152aは、約150ppm、約140ppm、約130ppm、約120ppm、約110ppm、約100ppm又はそれよりも少ないHCFC-124を含有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、懸濁媒体は、単一の噴射剤から形成されてもよい。特定の実施形態では、特定の蒸気圧化合物は、比較的低いレベルで存在する。そのような化合物は、懸濁粒子と関連していてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、懸濁媒体は、例えば逆溶剤、可溶化剤、安定化剤、共溶媒又は補助剤を含む追加の材料が実質的にない噴射剤又は噴射系から形成されてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、製薬等級のHFC-152aの噴射剤;複数の活性剤粒子;及び複数のリン脂質粒子を含む本発明の医薬組成物は、製薬等級のHFA-134aの噴射剤;複数の活性剤粒子;及び複数のリン脂質粒子を含む基準医薬組成物と比較して、活性剤の類似の又は同等のバイオアベイラビリティを示す。本明細書において使用されるように、「基準医薬組成物」は、噴射剤以外、本発明の医薬組成物と同じ活性剤粒子及び同じ懸濁粒子を含有する代替の医薬組成物を意味する。例えば、本発明の医薬組成物及び基準医薬組成物は、同じ活性剤粒子及び同じリン脂質粒子を含むが、基準医薬組成物は、製薬等級のHFA-134aの噴射剤を含み、一方、本発明の医薬組成物は、製薬等級のHFC-152aの噴射剤を含む。HFA-134aは、化学名:1,1,1,2-テトラフルオロエタンを有するヒドロフルオロアルカン(HFA)である。HFA-134aは、定量吸入器において噴射剤として使用されてきた。本明細書において使用されるように、「バイオアベイラビリティ」は、肺を通して体の中に導入された場合に、血液循環に入る活性剤の割合を意味する。一実施形態では、類似又は同等のバイオアベイラビリティを示すことができ、2つの製品(例えば本発明の医薬組成物及び基準医薬組成物)についての対数変換Cmax、AUCinf又はAUClastの幾何平均の比は、90%信頼区間(CI)範囲の有無にかかわらず約0.80~約1.25である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、幾何平均比(GMR)で、基準医薬組成物の1つ以上の活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastの80%~125%である任意の1つ以上の活性剤のCmax、AUCinf又はAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、製薬等級のHFC-152aの噴射剤;複数の活性剤粒子;及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含み、一方、基準医薬組成物は、製薬等級のHFA-134aの噴射剤;複数の活性剤粒子;及び穴のあいたミクロ構造を含む複数のリン脂質粒子を含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物及び基準医薬組成物の両方は、定量吸入器を始動させることによって投与され、本発明の医薬組成物の各始動は、基準医薬組成物の各始動と同じ送達量の活性剤を提供する。いくつかの実施形態では、活性剤粒子は、本明細書において記載される長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、長時間作用性β2-アゴニスト(LABA)、短時間作用型ベータ-アゴニスト(SABA)、吸入コルチコステロイド(ICS)及び非コルチコステロイド抗炎症剤から選択される活性剤を含む。
【0054】
本明細書において使用されるように、Cmax、AUCinf及びAUClastは、活性剤の投薬を決定するために使用される薬物動態学的指標である。本明細書において使用されるように、Cmaxは、用量が例えば吸入を介して投与された後の血液中の活性剤の最高濃度を意味する。本明細書において使用されるように、曲線下面積(AUC)は、時間の関数として血漿中の活性剤濃度の変動を説明する曲線の定積分である。本明細書において使用されるように、AUCinfは、投薬の時間から最後の測定可能な濃度までの無限に外挿した曲線下面積を意味する。本明細書において使用されるように、AUClastは、投薬の時間から最後の測定可能な濃度までの曲線下面積を意味する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニドのCmaxの80%~125%である、ブデソニドのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のグリコピロラートのCmaxの80%~125%である、グリコピロラートのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のホルモテロールのCmaxの80%~125%である、ホルモテロールのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、ブデソニドのCmaxは、対数変換値の幾何平均である。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド及びホルモテロールのCmaxの80%~125%である、ブデソニド及びホルモテロールのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド及びアルブテロールのCmaxの80%~125%である、ブデソニド及びアルブテロールのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のグリコピロラート及びホルモテロールのCmaxの80%~125%である、グリコピロラート及びホルモテロールのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロールのCmaxの80%~125%である、ブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロールのCmaxを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール及びロフルミラストのCmaxの80%~125%である、ブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール及びロフルミラストのCmaxを示す。
【0056】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニドのAUCinfの80%~125%である、ブデソニドのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のグリコピロラートのAUCinfの80%~125%である、グリコピロラートのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のホルモテロールのAUCinfの80%~125%である、ホルモテロールのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、ブデソニドのAUCinfは、対数変換値の幾何平均である。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド及びホルモテロールのAUCinfの80%~125%である、ブデソニド及びホルモテロールのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド及びアルブテロールのAUCinfの80%~125%である、ブデソニド及びアルブテロールのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のグリコピロラート及びホルモテロールのAUCinfの80%~125%である、グリコピロラート及びホルモテロールのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロールのAUCinfの80%~125%である、ブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロールのAUCinfを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール及びロフルミラストのAUCinfの80%~125%である、ブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール及びロフルミラストのAUCinfを示す。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニドのAUClastの80%~125%である、ブデソニドのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のグリコピロラートのAUClastの80%~125%である、グリコピロラートのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のホルモテロールのAUClastの80%~125%である、ホルモテロールのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、ブデソニドのAUClastは、対数変換値の幾何平均である。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド及びホルモテロールのAUClastの80%~125%である、ブデソニド及びホルモテロールのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド及びアルブテロールのAUClastの80%~125%である、ブデソニド及びアルブテロールのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のグリコピロラート及びホルモテロールのAUClastの80%~125%である、グリコピロラート及びホルモテロールのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロールのAUClastの80%~125%である、ブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロールのAUClastを示す。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、基準医薬組成物のブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール及びロフルミラストのAUClastの80%~125%である、ブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール及びロフルミラストのAUClastを示す。
【0058】
活性剤粒子
本明細書において記載される組成物中に含まれる活性剤粒子は、懸濁媒体内で分散し、懸濁することができる材料から形成され、組成物からの呼吸に適した粒子の送達を促進するように大きさが設定される。一実施形態では、そのため、活性剤粒子は、微粉化粒子として提供され、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約7μm以下の光散乱径を示す。いくつかの実施形態では、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約5μm以下の光散乱径を示す。他の実施形態では、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約7μm~約1μm、約5μm~約2μm及び約3μm~約2μmの範囲から選択される光散乱径を示す。さらなる実施形態では、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、6μm以下、5μm以下、4μm以下又は3μm以下から選択される光散乱径を示す。別の実施形態では、活性剤粒子は、微粉化粒子として提供され、体積による活性剤粒子の少なくとも50%は、約4μm以下の光散乱径を示す。さらなる実施形態では、活性剤粒子は、微粉化粒子として提供され、体積による活性剤粒子の少なくとも50%は、約3μm以下、約2μm以下又は約1.5μm以下及び約1μm以下から選択される光散乱径を示す。さらなる実施形態では、活性剤粒子は、微粉化粒子として提供され、体積による活性剤粒子の少なくとも50%は、約4μm~約1μm、約3μm~約1μm、約2μm~約1μm、約1.3μm及び約1.9μmの範囲から選択される光散乱径を示す。
【0059】
特定の実施形態では、活性剤粒子は、グリコピロラートを含み、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約7μm以下の光散乱径を示す。特定の実施形態では、活性剤粒子は、ブデソニドを含み、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約7μm以下の光散乱径を示す。特定の実施形態では、活性剤粒子は、ホルモテロールを含み、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約5μm以下の光散乱径を示す。特定の実施形態では、活性剤粒子は、アルブテロールを含み、体積による活性剤粒子の少なくとも90%は、約5μm以下の光散乱径を示す。
【0060】
活性剤粒子は、もっぱら活性剤から形成されてもよい又は活性剤粒子は、1つ以上の賦形剤若しくは補助剤と組み合わせて1つ以上の活性剤を含むように製剤されてもよい。特定の実施形態では、活性剤粒子中に存在する活性剤は、もっぱら又は実質的に結晶であってもよい。別の実施形態では、活性剤粒子は、結晶状態及び非晶質状態の両方において存在する活性剤を含んでいてもよい。さらに別の実施形態では、活性剤粒子は、結晶状態及び非晶質状態の両方において存在する活性剤を含んでいてもよい。さらなる実施形態では、2つ以上の活性剤が、活性剤粒子中に存在し、少なくとも1つのそのような活性剤は、結晶の又は実質的に結晶の形態で存在してもよく、少なくとももう1つの活性剤は、非晶質状態で存在してもよい。2つ以上の活性剤が活性剤粒子中に存在するさらに別の実施形態では、そのような各活性剤は、結晶の又は実質的に結晶の形態で存在してもよい。本明細書において記載される活性剤粒子が1つ以上の賦形剤又は補助剤と組み合わせて1つ以上の活性剤を含む場合、賦形剤及び補助剤は、使用される活性剤の化学的及び物理的特性に基づいて選択することができる。活性剤粒子の製剤に適した賦形剤は、例えば脂質、リン脂質、炭水化物、アミノ酸、有機塩、ペプチド、タンパク質、アルジトール、合成若しくは天然ポリマー又は界面活性剤材料を含む。
【0061】
任意の適したプロセスは、本明細書において記載される組成物中に含むための微粉化活性剤粒子を達成するために用いられてもよい。多様なプロセスは、本明細書において記載される製剤における使用に適した活性剤粒子を作る出すために用いられてもよく、ミリング若しくは粉砕プロセスによる微粉化、結晶化若しくは再結晶プロセス、超臨界若しくは超臨界に近い溶媒からの沈殿を使用するプロセス、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥又は凍結乾燥を含むが、これらに限定されない。微粉化活性剤粒子を得るための適した方法を教示する特許文献は、例えば米国特許第6,063,138号明細書、米国特許第5,858,410号明細書、米国特許第5,851,453号明細書、米国特許第5,833,891号明細書、米国特許第5,707,634号明細書及び国際公開第2007/009164号パンフレットを含む。活性剤粒子が1つ以上の賦形剤又は補助剤と共に製剤される活性剤材料を含む場合、微粉化活性剤粒子は、前述のプロセスの1つ以上を使用して形成することができ、そのようなプロセスは、所望のサイズ分布及び粒子構成を有する活性剤粒子を達成するために使用することができる。
【0062】
活性剤粒子は、懸濁媒体内で任意の適した濃度で提供されてもよい。活性剤粒子中に含まれる活性剤は、懸濁媒体中で実質的に不溶性である。いくつかの実施形態では、活性剤は、実質的に不溶性であるにもかかわらず、懸濁媒体中でかなりの溶解性を示す。しかしながら、活性剤が懸濁媒体中でかなりの溶解性を示す場合でさえ、本明細書において記載される組成物は、そのような活性剤の物理的安定性を保持するように働く。特に、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物中に含まれる活性剤は、活性剤総質量の5%も懸濁媒体中で溶解するくらい、懸濁媒体中で十分な溶解性を示してもよい。代わりに、活性剤の溶解性は、懸濁媒体中での活性剤総質量の1%もの溶解をもたらしてもよい。別の実施形態では、活性剤の溶解性は、懸濁媒体中での活性剤総質量の0.5%もの溶解をもたらしてもよい。さらに別の実施形態では、活性剤の溶解性は、懸濁媒体中での活性剤総質量の0.05%もの溶解をもたらしてもよい。さらに別の実施形態では、活性剤の溶解性は、懸濁媒体中での活性剤総質量の0.025%もの溶解をもたらしてもよい。
【0063】
多様な治療薬又は予防薬は、本明細書において開示される共懸濁組成物の中に組み込むことができる。例示的な活性剤は、エアロゾル化した薬剤の形態で投与されてもよいものを含み、本明細書において記載される組成物中での使用に適した活性剤は、選択される懸濁媒体内で分散可能である(例えば、共懸濁製剤を実質的に維持する懸濁媒体中で実質的に不溶性である又は溶解性を示す)形態で提示されてもよく又はそのように製剤されてもよく、懸濁粒子と共懸濁液を形成することができ、生理学的に有効な量で呼吸に適した取り込みを受けやすいものを含む。本明細書において記載される活性剤粒子を形成することにおいて利用されてもよい活性剤は、多様な生物学的活性を有することができる。
【0064】
本発明の説明に従う組成物中に含まれてもよい特定の活性剤の例は、例えば、短時間作用性ベータアゴニスト(SABA)、例えばビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン(イソプロテレノール)、レボサルブタモール、オルシプレナリン(メタプロテレノール)、ピルブテロール、プロカテロール、リミテロール、サルブタモール(アルブテロール)、テルブタリン、ツロブテロール、レプロテロール、イプラトロピウム及びエピネフリン;長時間作用性β2アドレナリン受容体アゴニスト(「LABA」)、例えばバンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール及びサルメテロール;超長時間作用性β2アドレナリン受容体アゴニスト、例えばカルモテロール、ミルベテロール(milveterol)、インダカテロール及びサリゲニン又はインドールを含有しアダマンチルから誘導されるβ2アゴニスト;コルチコステロイド、例えばベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、プレドニソン及びトリアムシノロン;抗炎症薬、例えばプロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、トリペダン(tripedane)、コルチゾン、プレドニソン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン又はトリアムシノロンアセトニド;鎮咳薬、例えばノスカピン;気管支拡張薬、例えばエフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、サルブタモール、アルブテロール、サルメテロール、テルブタリン;並びに長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(「LAMA」)を含むムスカリン性アンタゴニスト、例えばグリコピロラート、デキシピロニウム(dexpirronium)、スコポラミン、トロピカミド、ピレンゼピン、ジメンヒドリナート、チオトロピウム、ダロトロピウム、アクリジニウム、トロスピウム、イプラトロピウム、アトロピン、ベンズトロピン又はオキシトロピウムであってもよい。
【0065】
必要に応じて、本明細書において詳細に記載されるものを含むがこれらに限定されない組成物中に提供される活性剤は、塩の形態で(例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩又は酸付加塩として)或いはそのエステル、溶媒和化合物(水和物)、誘導体又は遊離塩基として使用されてもよい。加えて、活性剤は、任意の結晶の形態又は異性体の形態もしく異性体の形態の混合物であってもよい、例えば純粋な鏡像異性体、鏡像異性体の混合物として、ラセミ体として又はその混合物としてのものであってもよい。この点に関して、活性剤の形態は、活性剤の活性及び/若しくは安定性を最適化するように並びに/又は懸濁媒体中の活性剤の溶解性を最小化するように選択されてもよい。
【0066】
開示される組成物が非常に低用量の活性剤の再現可能な送達を可能にするので、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物中に含まれる活性剤は、1つ以上の強力な又は非常に強力な活性剤から選択されてもよい。例えば、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約100μg~約100mg、100μg~約10mg及び約100μg~約1mgの間から選択される用量で送達されることになる1つ以上の強力な活性剤を含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約80μg以下、約40μg以下、約20μg以下、約10μg~約100μgの間、約5μg~約50μgの間及び約1μg~約10μgの間から選択される用量で送達されることになる1つ以上の強力な又は非常に強力な活性剤を含んでいてもよい。加えて、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約0.1~約2μg、約0.1~約1μg及び約0.1~約0.5μgの間から選択される用量で送達されることになる1つ以上の非常に強力な活性剤を含んでいてもよい。
【0067】
本明細書において記載される組成物は、所望される場合、2つ以上の活性剤の組み合わせを含有してもよい。例えば、活性剤粒子の2つ以上の種の組み合わせは、懸濁粒子の単一の種と共懸濁されてもよい。代わりに、組成物は、懸濁粒子の2つ以上の異なる種と共懸濁された活性剤粒子の2つ以上の種を含んでいてもよい。さらに、本明細書において記載される組成物は、活性剤粒子の単一の種内で組み合わせられた2つ以上の活性剤を含んでいてもよい。例えば、活性剤粒子が活性剤材料に加えて1つ以上の賦形剤又は補助剤を使用して製剤される場合、そのような活性剤粒子は、2つ以上の異なる活性剤を含む個々の粒子を含んでいてもよい。
【0068】
特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物中に含まれる活性剤は、LAMA活性剤である。組成物がLAMA活性剤を含む場合、特定の実施形態では、LAMA活性剤は、例えば、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むグリコピロラート、デキシピロニウム、チオトロピウム、トロスピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム及びダロトロピウムから選択されてもよい。いくつかの実施形態では、LAMA活性剤は、約0.04mg/mL~約2.25mg/mLの範囲の濃度で存在する。
【0069】
グリコピロラートは、例えば本明細書において記載されるもののような炎症性又は閉塞性肺疾患及び障害を治療するために使用することができる。抗コリン作用薬のように、グリコピロラートは、気管支拡張薬として作用し、粘液分泌の増加によって特徴づけられる肺疾患及び障害の療法における使用にとって利益となる抗分泌効果を提供する。グリコピロラートは、第四級アンモニウム塩である。必要に応じて、グリコピロラートは、塩の形態で(例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩又は酸付加塩として)或いはエステルとして又は溶媒和化合物(水和物)として使用されてもよい。加えて、グリコピロラートは、任意の結晶の形態又は異性体の形態若しくは異性体の形態の混合物、例えば純粋な鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体又はその混合物であってもよい。この点に関して、グリコピロラートの形態は、グリコピロラートの活性及び/若しくは安定性を最適化するように並びに/又は懸濁媒体中のグリコピロラートの溶解性を最小化するように選択されてもよい。適した対イオンは、例えばフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸、p-クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸又はトリフェニル酢酸、o-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、1-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、3-ヒドロキシナフタレン-2-カルボン酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸を含む薬学的に許容される対イオンである。本明細書において記載される組成物の特定の実施形態では、グリコピロラートの臭化物塩、すなわち、(RS)-[3-(SR)-ヒドロキシ-1,1-ジメチルピロリジニウムブロミド]α-シクロペンチルマンデル酸とも称される3-[(シクロペンチル-ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]-1,1-ジメチルピロリジニウムブロミドは、使用され、米国特許第2,956,062号明細書において述べられる手順に従って調製することができる。
【0070】
本明細書において記載される組成物がグリコピロラートを含む場合、特定の実施形態では、組成物は、MDIの始動毎に約1μg~約200μg、MDIの始動毎に約5μg~約150μg、MDIの始動毎に約10μg~100μg、MDIの始動毎に約5μg~約50μgの間、MDIの始動毎に約2μg~約25μgの間及びMDIの始動毎に約6μg~約15μgの間から選択される目標の送達量を提供するのに十分なグリコピロラートを含んでいてもよい。他のそのような実施形態では、製剤は、始動毎に約200μg以下、約150μg以下、約75μg以下、約40μg以下、約20μg以下又は約10μg以下から選択される用量を提供するのに十分なグリコピロラートを含む。さらなる実施形態では、製剤は、始動毎に約2μg、始動毎に約5μg、始動毎に約7μg、始動毎に約9μg、始動毎に約18μg、始動毎に36μg又は始動毎に約72μgから選択される用量を提供するのに十分なグリコピロラートを含む。本明細書において記載される目標とする送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてグリコピロラートを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるグリコピロラートの量は、例えば約0.04mg/mL~約2.25mg/mLの間から選択されてもよい。
【0071】
他の実施形態では、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むチオトロピウムは、本明細書において記載される組成物中に含むためにLAMA活性剤として選択されてもよい。チオトロピウムは、本明細書において記載されるもののような、肺炎症又は閉塞と関連する疾患又は障害を治療することにおける使用に適している既知の長時間作用性抗コリン薬である。チオトロピウムの結晶及び薬学的に許容される塩形態を含むチオトロピウムは、例えば米国特許第5,610,163号明細書、米国特許第RE39,820号明細書、米国特許第6,777,423号明細書及び米国特許第6,908,928号明細書において記載される。本明細書において記載される組成物がチオトロピウムを含む場合、特定の実施形態では、組成物は、始動毎に約2.5μg~約50μg、約4μg~約25μg並びにMDIの始動毎に約2.5μg~約20μg、約10μg~約20μg及び約2.5μg~約10μgの間から選択される送達量を提供するのに十分なチオトロピウムを含んでいてもよい。他のそのような実施形態では、製剤は、MDIの始動毎に約50μg以下、約20μg以下、約10μg以下、約5μg以下又は約2.5μg以下から選択される送達量を提供するのに十分なチオトロピウムを含む。さらなる実施形態では、製剤は、MDIの始動毎に約3μg、6μg、9μg、18μg及び36μgから選択される送達量を提供するのに十分なチオトロピウムを含む。本明細書において記載される送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてチオトロピウムを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるチオトロピウムの量は、例えば約0.01mg/mL~約0.5mg/mLの間から選択されてもよい。
【0072】
特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、LABA活性剤を含む。そのような実施形態では、LABA活性剤は、例えばバンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、ビランテロール及びサリゲニン又はインドールを含有しアダマンチルから誘導されるβ2アゴニスト並びにその任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物から選択することができる。いくつかの実施形態では、LABA活性剤は、約0.01mg/mL~約1mg/mLの範囲の濃度で存在する。
【0073】
特定のそのような実施形態では、ホルモテロールは、LABA活性剤として選択される。ホルモテロールは、例えば本明細書において記載されるもののような炎症性又は閉塞性肺疾患及び障害を治療するために使用することができる。ホルモテロールは、化学名(±)-2-ヒドロキシ-5-[(1RS)-1-ヒドロキシ-2-[[(1RS)-2-(4-メトキシフェニル)-1-メチルエチル]-アミノ]エチル]ホルムアニリドを有し、ラセミ体のフマル酸塩二水和物として医薬組成物において一般的に使用される。必要に応じて、ホルモテロールは、塩の形態で(例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩又は酸付加塩として)或いはエステルとして又は溶媒和化合物(水和物)として使用されてもよい。加えて、ホルモテロールは、任意の結晶の形態又は異性体の形態若しくは異性体の形態の混合物、例えば純粋な鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、ラセミ体又はその混合物であってもよい。この点に関して、ホルモテロールの形態は、ホルモテロールの活性及び/若しくは安定性を最適化するように並びに/又は懸濁媒体中のホルモテロールの溶解性を最小化するように選択されてもよい。ホルモテロールの薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸のような無機酸並びにフマル酸、マレイン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタール酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、オレイン酸、安息香酸、p-メトキシ安息香酸、サリチル酸、o-及びp-ヒドロキシ安息香酸、p-クロロ安息香酸、メタン硫酸、p-トルエンスルホン酸並びに3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸のような有機酸の塩を含む。ホルモテロールの水和物は、例えば米国特許第3,994,974号明細書及び米国特許第5,684,199号明細書において記載される。ホルモテロール及び他のβ2アドレナリン受容体アゴニストの特定の結晶の形態は、例えば国際公開第95/05805号パンフレットにおいて記載され、ホルモテロールの特定の異性体は、米国特許第6,040,344号明細書において記載される。
【0074】
特定の実施形態では、ホルモテロール粒子を形成するために利用されるホルモテロール材料は、フマル酸ホルモテロールであり、そのような一実施形態では、フマル酸ホルモテロールは、二水和物形態で存在する。フマル酸ホルモテロールは、化学名N-[2-ヒドロキシ-5-[(1RS)-1-ヒドロキシ-2-[[(1RS)-2-(4-メトキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド(E)-2-ブテンジオアート無水物と称されてもよい。本明細書において記載される組成物がホルモテロールを含む場合、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約1μg~約30μg、約0.5μg~約10μg、約1μg~約10μg、約2μg~5μg、約2μg~約10μg、約3μg~約10μg、約5μg~約10μg及び3μg~約30μgの間から選択される目標とする送達量を達成する濃度でホルモテロールを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、始動毎に約30μg以下、約10μg以下、約5μg以下、約2.5μg以下、約2μg以下又は約1.5μg以下から選択される目標とする送達量を提供するのに十分な量でホルモテロールを含んでいてもよい。さらなる実施形態では、製剤は、始動毎に約2μg、始動毎に約4.5μg、始動毎に約4.8μg、始動毎に約5μg、始動毎に約10μg、始動毎に約20μg又は始動毎に約30μgから選択される用量を提供するのに十分なホルモテロールを含む。本明細書において記載される目標とする送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてホルモテロールを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるホルモテロールの量は、例えば約0.01mg/mL~約1mg/mLの間、約0.01mg/mL~約0.5mg/mLの間及び約0.03mg/mL~約0.4mg/mLの間から選択されてもよい。
【0075】
本明細書において記載される医薬組成物がLABA活性剤を含む場合、特定の実施形態では、活性剤は、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むサルメテロールであってもよい。サルメテロールは、例えば本明細書において記載されるもののような炎症性又は閉塞性肺疾患及び障害を治療するために使用することができる。サルメテロール、サルメテロールの薬学的に許容される塩及びそれを生成する方法は、例えば米国特許第4,992,474号明細書、米国特許第5,126,375号明細書及び米国特許第5,225,445号明細書において記載される。
【0076】
サルメテロールがLABA活性剤として含まれる場合、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約2μg~約120μg、約4μg~約40μg、約8μg~20μg、約8μg~約40μg、約20μg~約40μg及び約12μg~約120μgの間から選択される送達量を達成する濃度でサルメテロールを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約120μg以下、約40μg以下、約20μg以下、約10μg以下、約8μg以下又は約6μg以下から選択される送達量を提供するのに十分な量でサルメテロールを含んでいてもよい。本明細書において記載される目標とする送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてサルメテロールを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるサルメテロールの量は、例えば約0.04mg/mL~約4mg/mLの間、約0.04mg/mL~約2.0mg/mLの間及び約0.12mg/mL~約0.8mg/mLの間から選択されてもよい。
【0077】
本明細書において記載される医薬組成物がSABA活性剤を含む場合、特定の実施形態では、活性剤は、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン(イソプロテレノール)、レボサルブタモール、オルシプレナリン(メタプロテレノール)、ピルブテロール、プロカテロール、リミテロール、アルブテロール(サルブタモール)、テルブタリン、ツロブテロール、レプロテロール及びエピネフリンであってもよい。特定のそのような実施形態では、アルブテロールは、SABA活性剤として選択される。アルブテロールは、化学名α-[(tert-ブチルアミノ)メチル]4-ヒドロキシ-m-キシレン-α,α’-ジオールを有し、C1321NOの実験式を有する。アルブテロールは、例えば本明細書において記載されるもののような炎症性又は閉塞性肺疾患及び障害を治療するために使用することができる。アルブテロール、アルブテロールの薬学的に許容される塩(硫酸アルブテロールのような)及びそれを生成する方法は、例えば米国特許第3,705,233号明細書において記載される。
【0078】
アルブテロールがSABA活性剤として含まれる場合、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約10μg~約200μg、約20μg~約300μg、約30μg~150μg、約50μg~約200μg、約30μg~約100μg及び約1μg~約300μgの間から選択される送達量を達成する濃度でアルブテロールを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約300μg以下、約200μg以下、約150μg以下、約100μg以下、約50μg以下、約30μg以下、約20μg以下又は約10μg以下から選択される送達量を提供するのに十分な量でアルブテロールを含んでいてもよい。さらなる実施形態では、製剤は、始動毎に約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約110μg、約120μg、約130μg、約140μg又は約150μgから選択される用量を提供するのに十分なアルブテロールを含む。本明細書において記載される目標とする送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてアルブテロールを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるアルブテロールの量は、例えば約0.1mg/mL~約10mg/mLの間、約0.1mg/mL~約5mg/mLの間及び約0.3mg/mL~約4mg/mLの間から選択されてもよい。
【0079】
さらに他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、吸入コルチコステロイド(ICS)のようなコルチコステロイドを含む。そのような活性剤は、例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、プレドニソン及びトリアムシノロン並びにその任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、ICS活性剤は、約0.1mg/mL~約10mg/mLの範囲の濃度で存在する。
【0080】
組成物がICS活性剤を含む場合、特定の実施形態では、モメタゾンが、選択されてもよい。モメタゾン、フロ酸モメタゾンのようなモメタゾンの薬学的に許容される塩及びそのような材料の調製は、知られており、例えば米国特許第4,472,393号明細書、米国特許第5,886,200号明細書及び米国特許第6,177,560号明細書において記載される。モメタゾンは、本明細書において記載されるもののような肺炎症又は閉塞と関連する疾患又は障害を治療することにおける使用に適している(例えば米国特許第5,889,015号明細書、米国特許第6,057,307号明細書、米国特許第6,057,581号明細書、米国特許第6,677,322号明細書、米国特許第6,677,323号明細書及び米国特許第6,365,581号明細書を参照されたい)。
【0081】
本明細書において記載される組成物がモメタゾンを含む場合、特定の実施形態では、組成物は、MDIの始動毎に約20μg~約400μg、約20μg~約200μg、約50μg~約200μg、約100μg~約200μg、約20μg~約100μg及び約50μg~約100μgの間から選択される目標の送達量を提供するのに十分な量で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むモメタゾンを含む。さらに他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約400μg以下、約200μg以下又は約100μg以下から選択される目標とする送達量を提供するのに十分な量で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むモメタゾンを含んでいてもよい。
【0082】
他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、フルチカゾン及びブデソニドから選択されるコルチコステロイドを含む。フルチカゾン及びブデソニドの両方は、本明細書において記載されるもののような肺炎症又は閉塞と関連する状態の治療における使用に適している。フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾンのようなフルチカゾンの薬学的に許容される塩及びそのような材料の調製は、知られており、例えば米国特許第4,335,121号明細書及び米国特許第4,187,301号明細書及び米国特許出願公開第2008125407号明細書において記載される。化学名ブチルアルデヒドを有する(RS)-11β,16α,17,21-テトラヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン環状16,17-アセタールを有するブデソニドもまたよく知られており、例えば米国特許第3,929,768号明細書において記載される。特定の実施形態では、本明細書において記載されている組成物は、MDIの始動毎に約20μg~約200μg、50μg~約175μgの間及び約80μg~約160μgの間から選択される目標の送達量を提供するのに十分な量で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むフルチカゾンを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約175μg以下、約160μg以下、約100μg以下又は約80μg以下から選択される目標とする送達量を提供するのに十分な量で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むフルチカゾンを含んでいてもよい。本明細書において記載される組成物がブデソニドを含む場合、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約30μg~約240μg、約30μg~約120μgの間、約30μg~約100μgの間、約50μg~約400μgの間、約20μg~約600μgの間、約50μg~約200μgの間、約150μg~約350μgの間及び約30μg~約50μgの間から選択される目標とする送達量を達成する濃度で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むブデソニドを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約240μg以下、約160μg以下、約120μg以下、約80μg以下又は約50μg以下から選択される目標とする送達量を提供するのに十分な量で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むブデソニドを含んでいてもよい。さらなる実施形態では、製剤は、始動毎に約20μg、始動毎に約40μg、始動毎に約80μg、始動毎に約100μg、始動毎に約160μg、始動毎に約200μg又は始動毎に約300μgから選択される用量を提供するのに十分なブデソニドを含む。本明細書において記載される目標とする送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてブデソニドを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるブデソニドの量は、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの間、約0.1mg/mL~約5mg/mLの間及び約0.3mg/mL~約6mg/mLの間から選択されてもよい。
【0083】
さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害剤及びヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のような非コルチコステロイド抗炎症剤を含む。そのような抗炎症剤は、例えばロフルミラスト、アプレミラスト、クリサボロール、ルキソリチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ、ペフィシチニブ、フェドラチニブ及びウパダシチニブ又はその任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体若しくは溶媒和化合物から選択されてもよい。ロフルミラスト、ロフルミラストの薬学的に許容される塩及びそのような材料の調製は、知られており、例えば米国特許第8,604,064号明細書及び米国特許第9,145,365号明細書及び米国特許第9,321,726号明細書において記載される。ロフルミラストは、本明細書において記載されるもののような肺炎症又は閉塞と関連する疾患又は障害を治療することにおける使用に適している。ロフルミラストは、時に、COPD、特に重度のCOPDの治療のために使用され、経口薬として利用できる。胃腸の副作用は、ロフルミラストの経口投与では一般的である。
【0084】
本明細書において記載される組成物がロフルミラストを含む場合、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約30μg~約240μg、約30μg~約120μgの間、約30μg~約100μgの間、約50μg~約400μgの間、約20μg~約600μgの間、約50μg~約200μgの間、約150μg~約350μgの間及び約30μg~約50μgの間から選択される目標とする送達量を達成する濃度で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むロフルミラストを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIの始動毎に約240μg以下、約160μg以下、約120μg以下、約80μg以下又は約50μg以下から選択される目標とする送達量を提供するのに十分な量で、その任意の薬学的に許容される塩、エステル、異性体又は溶媒和化合物を含むロフルミラストを含んでいてもよい。さらなる実施形態では、製剤は、始動毎に約20μg、始動毎に約40μg、始動毎に約80μg、始動毎に約100μg、始動毎に約160μg、始動毎に約200μg又は始動毎に約300μgから選択される用量を提供するのに十分なロフルミラストを含む。本明細書において記載される目標とする送達量を達成するために、本明細書において記載される組成物が活性剤としてロフルミラストを含む場合、特定の実施形態では、組成物中に含まれるロフルミラストの量は、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの間、約0.1mg/mL~約5mg/mLの間及び約0.3mg/mL~約6mg/mLの間から選択されてもよい。
【0085】
本明細書において記載される組成物は、単一の活性剤を含むように(及び送達するように)製剤することができる。代わりに、本明細書において記載される組成物は、2つ以上の活性剤を含んでいてもよい。特定の実施形態では、2つ以上の活性剤が含まれる場合、本明細書において記載される組成物は、LAMA及びLABA活性剤の組み合わせ、LAMA及びコルチコステロイド活性剤の組み合わせ、LAMA及びSABA活性剤の組み合わせ、LAMA及び非コルチコステロイド抗炎症活性剤の組み合わせ、LABA及びSABA活性剤の組み合わせ、LABA及び非コルチコステロイド抗炎症活性剤の組み合わせ、SABA及びコルチコステロイド活性剤の組み合わせ、SABA及び非コルチコステロイド抗炎症活性剤の組み合わせ並びにLABA及びコルチコステロイド活性剤の組み合わせから選択される活性剤の組み合わせを含んでいてもよい。他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、3つ以上の活性剤を含んでいてもよい。特定のそのような実施形態では、組成物は、LAMA、LABA、コルチコステロイド及び非コルチコステロイド抗炎症活性剤活性剤の組み合わせから選択される活性剤の組み合わせを含む。例えば、本明細書において記載される組成物は、グリコピロラート及びホルモテロールの組み合わせ、ホルモテロール及びブデソニドの組み合わせ、ブデソニド及びアルブテロールの組み合わせ、グリコピロラート、ホルモテロール及びブデソニドの組み合わせ並びにグリコピロラート、ホルモテロール、ブデソニド及びロフルミラストの組み合わせから選択される活性剤の組み合わせを含んでいてもよい。
【0086】
本開示の助けにより、多種多様な活性剤が本明細書において開示される懸濁液の中に組み込まれてもよいことが当業者らによって理解される。活性剤の上記のリストは、限定ではなく例としてのものである。
【0087】
懸濁粒子
本明細書において記載される組成物中に含まれる懸濁粒子は、組成物中に含まれる活性剤の安定化及び送達を促進するように働く。懸濁粒子の種々の形態が使用されてもよいが、懸濁粒子は、典型的に、吸入に許容され且つ選択される噴射剤中で実質的に不溶性である薬理学的に不活性な材料から形成される。一般に、大多数の懸濁粒子は、呼吸に適した範囲内に大きさが設定される。特定の実施形態では、そのため、懸濁粒子のMMADは、約10μmを超過しないが、約500nm以上である。代替の実施形態では、懸濁粒子のMMADは、約5μm~約750nmの間にある。さらに別の実施形態では、懸濁粒子のMMADは、約1μm~約3μmの間にある。MDIからの経鼻送達のための実施形態において使用される場合、懸濁粒子のMMADは、10μm~50μmの間にある。
【0088】
記載されるMMAD範囲内の呼吸に適した懸濁粒子を達成するために、懸濁粒子は、典型的に、約0.2μm~約50μmの間の体積中位光散乱径を示す。一実施形態では、懸濁粒子は、約25μmを超過しない体積中位光散乱径を示す。別の実施形態では、懸濁粒子は、約0.5μm~約15μmの間、約1.5μm~約10μmの間及び約2μm~約5μmの間から選択される体積中位光散乱径を示す。
【0089】
本発明の説明に従う組成物中に含まれる懸濁粒子の濃度は、例えば、使用される活性剤粒子及び懸濁媒体の量によって調整することができる。一実施形態では、懸濁粒子は、約0.1mg/mL~約15mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、1mg/mL~約15mg/mL、約3mg/mL~約10mg/mL、5mg/mL~約8mg/mL及び約6mg/mLから選択される濃度で、懸濁媒体中に含まれる。別の実施形態では、懸濁粒子は、約30mg/mL以下の濃度で懸濁媒体中に含まれる。さらに別の実施形態では、懸濁粒子は、約25mg/mL以下の濃度で懸濁媒体中に含まれる。
【0090】
活性剤粒子に対する懸濁粒子の相対量は、本明細書において企図される共懸濁液を達成するように選択される。質量によって測定される懸濁粒子の量が活性剤粒子の量を超過する共懸濁組成物が、達成されてもよい。例えば、特定の実施形態では、懸濁粒子の総質量対活性剤粒子の総質量の比は、約3:1~約15:1の間又は代わりに約2:1~8:1であってもよい。代わりに、活性剤粒子の総質量に対する懸濁粒子の総質量の比は、使用される懸濁粒子及び活性剤粒子の性質によって、約1.5以下、約5以下、約10以下、約15以下、約17以下、約20以下、約30以下、約40以下、約50以下、約60以下、約75以下、約100以下、約150以下及び約200以下のように約1を上回っていてもよい。さらなる実施形態では、活性剤粒子の総質量に対する懸濁粒子の総質量の比は、約10~約200の間、約60~約200の間、約15~約60の間、約15~約170の間、約15~約60の間、約16、約60及び約170から選択されてもよい。
【0091】
他の実施形態では、質量によって測定される懸濁粒子の量は、活性剤粒子未満である。例えば、特定の実施形態では、懸濁粒子の質量は、活性剤粒子の総質量の20%という低さであってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、懸濁粒子の総質量はまた、活性剤粒子の総質量に近似していてもよい又はそれに等しくてもよい。
【0092】
本明細書において記載される組成物の使用に適した懸濁粒子は、吸入送達に適しており、懸濁媒体中で実質的に分解しない又は溶解しない1つ以上の薬学的に許容される材料又は賦形剤から形成されてもよい。一実施形態では、本明細書において定義される穴のあいたミクロ構造は、懸濁粒子として使用されてもよい。懸濁粒子及び懸濁粒子としての使用のための穴のあいたミクロ構造及びその調製の方法は、米国特許第8,815,258号明細書及び米国特許第9,463,161号明細書において並びに米国特許出願公開第2011/0135737号明細書において記載される。
【0093】
天然及び合成の両方の供給源由来のリン脂質は、本明細書において記載される組成物における使用に適した穴のあいたミクロ構造を含む懸濁粒子を調製するのに使用されてもよい。特定の実施形態では、選ばれるリン脂質は、約400℃を超えるゲル-液晶相転移を有する。例示的なリン脂質は、比較的長鎖(すなわちC16~C22)の飽和脂質であり、16C又は18Cのアシル鎖長を有する飽和ホスファチジルコリン(パルミトイル及びステアロイル)のような飽和リン脂質を含んでいてもよい。例示的なリン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステロイルホスファチジルコリン(disteroylphosphatidylcholine)、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルコリン、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン、長鎖飽和ホスファチジルセリン、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール及び長鎖飽和ホスファチジルイノシトールのようなホスホグリセリドを含む。追加の賦形剤は、国際公開第96/32149号パンフレット並びに米国特許第6,358,530号明細書、第6,372,258号明細書及び第6,518,239号明細書において開示される。特定の実施形態では、懸濁粒子は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)を含むリン脂質粒子である。
【0094】
別の態様では、本明細書において記載される組成物において利用される懸濁粒子は、国際特許出願公開第2005/000267号パンフレットにおいて開示されるものと同様に、選択される活性剤の保存安定性を増加させるように選択されてもよい。例えば、一実施形態では、懸濁粒子は、少なくとも55℃、少なくとも75℃又は少なくとも100℃のTgを有する薬学的に許容されるガラス安定賦形剤を含んでいてもよい。本明細書において記載される組成物における使用に適したガラス形成剤は、1つ以上のスロイシン(thleucine)、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、アスコルビン酸、イヌリン、シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、マンニトール、スクロース、トレハロース、ラクトース及びプロリンを含むが、これらに限定されない。追加のガラス形成賦形剤の例は、米国特許第RE37,872号明細書、第5,928,469号明細書、第6,258,341号明細書及び第6,309,671号明細書において開示される。特定の実施形態では、懸濁粒子は、例えば米国特許第7,442,388号明細書において記載されるように、塩化カルシウムのようなカルシウム塩を含んでいてもよい。
【0095】
特定の実施形態では、懸濁粒子は、DSPC及び塩化カルシウムを含む穴のあいたミクロ構造である。
【0096】
懸濁粒子は、望ましい安定性及び活性剤送達の特徴を提供するために、所望されるように設計され、大きさが設定され、成形されてもよい。例示的な一実施形態では、懸濁粒子は、本明細書において記載される穴のあいたミクロ構造を含む。穴のあいたミクロ構造が本明細書において記載される組成物中で懸濁粒子として使用される場合、それらは、以下の少なくとも1つを含んでいてもよい:脂質、リン脂質、非イオン洗剤、非イオンブロック共重合体、イオン性界面活性剤、生体適合性フッ化界面活性剤及びその組み合わせ、特に肺使用のために承認されるもの。穴のあいたミクロ構造の調製において使用されてもよい特定の界面活性剤は、ポロキサマー188、ポロキサマー407及びポロキサマー338を含む。他の特定の界面活性剤は、オレイン酸又はそのアルカリ塩を含む。一実施形態では、穴のあいたミクロ構造は、約10%w/wを超える界面活性剤を含む。
【0097】
さらに、本明細書において記載される懸濁粒子は、高分子粒子のような増量剤を含んでいてもよい。高分子ポリマーは、生体適合性及び/又は生分解性ポリマー、共重合体又はブレンドから形成されてもよい。一実施形態では、機能性ポリエステルグラフト共重合体及び生分解性ポリ酸無水物のような空気力学的に軽い粒子を形成することができるポリマーが、使用されてもよい。例えば、ポリ(ヒドロキシ酸)を含むポリエステルベースのバルク侵食ポリマーを使用することができる。ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)又はその共重合体は、懸濁粒子を形成するために使用されてもよい。ポリエステルは、アミノ酸のような、荷電した又は官能性をもたせることができる(functionalizable)基を含んでいてもよい。例えば、懸濁粒子は、ポリ(D,ι-乳酸)及び/又はポリ(D,ι-乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)から形成されてもよく、これはDPPCのような界面活性剤を組み込んでいてもよい。
【0098】
懸濁粒子中での使用のための他の可能なポリマー候補は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ポリエチレンテレフタラート)のようなポリアルキレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル及びポリビニルエステルのようなポリビニル化合物、アクリル酸及びメタクリル酸のポリマー、セルロース及び他の多糖並びにペプチド若しくはタンパク質又はその共重合体若しくはブレンドを含んでいてもよい。ポリマーは、様々な制御された薬物送達適用のためのインビボにおける適切な安定性及び分解速度により選択されてもよい又はそれを有するように修飾されてもよい。
【0099】
活性剤としてグリコピロラート、ホルモテロール、ブデソニド及びアルブテロールの1つ以上を含む本明細書において記載される組成物の実施形態では、活性剤粒子の総質量に対する懸濁粒子の総質量の比は、約1~約20の間、約1~約15の間、約1.5~約10の間、約2.5~約15の間、約2.5~約10の間、約2.5~約8の間、約10~約30の間、約15~約25の間、約10~約200の間、約50~約125の間及び約5~約50の間から選択されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、懸濁粒子は、長鎖飽和リン脂質のような界面活性剤を使用して乳化されてもよいフルオロカーボンオイル(例えばパーフルオロオクチルブロミド、パーフルオロデカリン)を使用して水中油型エマルションを形成することによって調製されてもよい。水エマルション中の結果として生じるパーフルオロカーボンは、次いで、油滴サイズを低下させるために高圧ホモジナイザーを使用して処理されてもよい。パーフルオロカーボンエマルションは、噴霧乾燥機に送られてもよい。よく知られているように、噴霧乾燥は、送られた液体を乾燥粒状形態に変換する一段階のプロセスである。噴霧乾燥は、吸入を含む種々の投与の(administrative)ルートのための粉末状の医薬材料を提供するために使用されてきた。噴霧乾燥に関して、上記に記載されるようなフルオロカーボンオイルは、発泡剤として機能してもよい。噴霧乾燥機の操作条件(入口及び出口の温度、供給量、噴霧圧、乾燥用空気の流速並びにノズル構成のような)は、所望の粒径を生成し、ある収量の結果として生じる乾燥したミクロ構造を生成するように調整することができる。例示的な穴のあいたミクロ構造を生成するためのそのような方法は、米国特許第8,815,258号明細書、米国特許第9,463,161号明細書及び米国特許出願公開第2011/0135737号明細書において開示される。
【0101】
本明細書において記載される組成物は、懸濁粒子の2つ以上の種を含んでいてもよい。例えば、本明細書において記載される組成物は、活性剤粒子の単一の種及び懸濁粒子の2つ以上の種を含んでいてもよい。代わりに、他の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、懸濁粒子の2つ以上の種と組み合わせられる活性剤粒子の2つ以上の種を含んでいてもよい。
【0102】
本発明の教示に従って製剤される組成物は、その中に含まれる活性剤の分解を抑制することができる。例えば、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、組成物中に含まれる活性剤材料の凝結、凝集及び溶液媒介相転移の1つ以上を抑制する。本明細書において記載される医薬組成物は、強力な及び非常に強力な活性物質を含む組み合わせでさえ、2つ以上の活性剤の組み合わせにおいて含まれる各活性剤の望ましい送達量均一性(「DDU」)を達成するようなMDIを介した呼吸器送達に好都合である。本明細書において含まれる実施例において詳細に示されるように、非常に低用量の2つ以上の活性剤を送達する場合でさえ、本明細書において記載される組成物は、MDIキャニスターが空になるまで各活性剤について±30%又はそれよりも良好なDDUを達成することができる。そのような一実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIキャニスターが空になるまで各活性剤について±25%又はそれよりも良好なDDUを達成する。別のそのような実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIキャニスターが空になるまで各活性剤について±20%又はそれよりも良好なDDUを達成する。さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIキャニスターが空になるまで各活性剤について±15%又はそれよりも良好なDDUを達成する。さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、MDIキャニスターが空になるまで各活性剤について±10%又はそれよりも良好なDDUを達成する。
【0103】
本明細書において記載される医薬組成物はまた、加速分解条件にさらされた後でさえMDIキャニスターが空になるまでFPF及びFPD性能を実質的に保持するのにも役立つ。例えば、本発明の説明に従う組成物は、加速分解条件にさらされた後でさえMDIキャニスターが空になるまで元のFPF及びFPD性能の80%、85%、90%、95%又はそれ以上も維持する。本明細書において記載される組成物は、非CFC及び非HFA噴射剤を使用して製剤され且つ多数の活性剤を組み込んでいる組成物で多くの場合経験する組み合わせによる影響を排除又は実質的に回避しながらも、そのような性能を達成するといった追加の利益を提供する。特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、1つ以上のHFC噴射剤のみを含む懸濁媒体と共に製剤されながらも、例えば1つ以上の共溶媒、逆溶剤、可溶化剤、補助剤又は他の噴射剤修飾材料の追加によるように、噴射剤の特徴を修飾する必要がなく、目標とするDDU、FPF及びFPDの1つ又はすべてを達成する。
【0104】
方法
本発明の教示に従って製剤される組成物は、その中に含まれる活性剤の分解を抑制することができる。例えば、特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、組成物中に含まれる活性剤の凝結、凝集及びオストワルド熟成の1つ以上を抑制する。本明細書において記載される組成物によって提供される安定性は、送達される活性剤が非常に強力であり、活性剤の送達量が、例えば、MDIの始動毎に100μg、80μg、40μg、20μg、10μg、9μg、8μg、7μg、6μg、5μg、4μg、3μg、2μg、1μg、0.5μg及び0.1μgの1つ未満から選択される場合でさえ、MDIキャニスターが空になるまで望ましい送達量均一性(「DDU」)を達成するように組成物を分注することができる。本明細書において含まれる実施例において詳細に記載されるように、低用量の非常に強力な活性剤でさえ、本明細書において記載される組成物は、組成物中に含まれる活性剤のそれぞれについて±30%又はそれよりも良好なDDUを達成することができる。代替の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、組成物中に含まれる各活性剤について±25%又はそれよりも良好なDDUを達成する。さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、組成物中に含まれる活性剤のそれぞれについて±20%若しくはそれよりも良好な、±15%若しくはそれよりも良好な又は±10%若しくはそれよりも良好なDDUを達成する。
【0105】
さらに、本発明の説明に従う組成物は、加速分解条件にさらされた後でさえ、MDIキャニスターが空になるまでFPF及びFPD性能を実質的に保持するのに役立つ。例えば、本発明の説明に従う組成物は、それらが多数の活性剤を組み込む場合でさえ、元のFPF及びFPD性能の80%、85%、90%、95%又はそれ以上も維持する。本明細書において記載される組成物は、非CFC及び非HFA噴射剤を使用して製剤されながらも、そのような性能を達成するといった追加の利益を提供する。特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物は、1つ以上のHFC噴射剤のみを含む懸濁媒体と共に製剤されながらも、例えば1つ以上の共溶媒、逆溶剤、可溶化剤、補助剤又は他の噴射剤修飾材料の追加によるように、HFC噴射剤の特徴を修飾する必要がなく、目標とするDDU、FPF及びFPDの所望の1つ又はすべてを達成する。
【0106】
本明細書において記載される組成物の安定性及び物理的な特徴は、いくつかの方法を支援する。例えば、一実施形態では、活性剤の呼吸器送達のための医薬組成物を製剤するための方法が、本明細書において提供される。方法は、本明細書において記載されるHFC噴射剤、活性剤粒子の1つ以上の種及び懸濁粒子の1つ以上の種を含む懸濁媒体を提供するステップ並びに組成物を形成するためにそのような構成成分を組み合わせるステップを含み、活性剤粒子は、本明細書において記載される共懸濁液が形成されるように、懸濁粒子と関連する。そのような一実施形態では、活性剤粒子及び懸濁粒子の関連は、それらが噴射剤中でそれらの異なる浮力により分離しないようなものである。理解されるように、本明細書において記載される医薬組成物を製剤するための方法は、懸濁粒子の1つ以上の種と組み合わせて活性剤粒子の2つ以上の種を提供することを含むことができる。代わりに、方法は、活性剤粒子の1つ以上の種と組み合わせて2つ以上の懸濁粒子を提供することを含んでいてもよい。
【0107】
さらなる実施形態では、本明細書において記載される組成物は、例えば、肺送達のための活性剤の安定化された製剤を形成するための方法、MDIキャニスターが空になるまでFPF及び/又はFPDを保持するための方法、強力な又は非常に強力な活性剤の肺送達のための方法並びに肺送達を通して投与される強力な及び非常に強力な薬物について、±30%又はそれよりも良好、±25%又はそれよりも良好、±20%又はそれよりも良好、±15%又はそれよりも良好及び±10%又はそれよりも良好から選択されるDDUを達成するための方法を支援する。
【0108】
本明細書において記載される組成物を使用する活性剤の肺送達を含む方法において、組成物は、MDIによって送達されてもよい。そのため、そのような方法の特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物が詰められたMDIが得られ、所望の活性剤は、MDIの始動を通して肺送達を通して患者に投与される。例えば、一実施形態では、MDI装置を振った後、マウスピースは、唇と歯との間の患者の口の中に挿入される。患者は、典型的に、肺を空にするために深く息を吐き出し、次いで、MDIのカートリッジを始動させながら、ゆっくりと深く息を吸う。始動されると、製剤の特定の体積は、膨張チャンバーに移動し、アクチュエーターノズルから出て、患者の肺の中に吸い込まれる高速噴霧剤になる。いくつかの実施形態では、MDIキャニスターが空になるまで送達される活性剤の用量は、平均送達量よりも20%超えて多くなることはなく、平均送達量よりも20%超えて少なくなることはない。いくつかの実施形態では、MDIキャニスターが空になるまで送達される活性剤の用量は、平均送達量よりも15%超えて多くなることはない又は少なくなることはない。いくつかの実施形態では、MDIキャニスターが空になるまで送達される活性剤の用量は、平均送達量よりも10%超えて多くなることはない又は少なくなることはない。
【0109】
肺送達のための活性剤の安定化された製剤を提供するための方法の特定の実施形態では、本開示は、肺送達のための医薬製剤において活性剤の溶液媒介相転移を抑制するための方法を提供する。一実施形態では、HFC噴射剤によって形成される懸濁媒体のような本明細書において記載される懸濁媒体が、得られる。懸濁粒子もまた、本明細書において記載されるように得られる又は調製される。本明細書において記載される活性剤粒子の1つ以上の種もまた、得られ、懸濁媒体、懸濁粒子及び活性剤粒子は、共懸濁液を形成するために組み合わせられ、活性剤粒子は、懸濁媒体によって形成される連続相内で懸濁粒子と関連する。懸濁粒子の非存在下において同じ懸濁媒体中に含有される活性剤と比較すると、本発明の説明に従う共懸濁液が、溶液媒介相転移及び不可逆的結晶凝集に対するより高い耐性を示すことがわかり、したがって、改善された安定性及び投薬の均一性に至ることができ、単独では懸濁媒体中でいくらか物理的に不安定である活性剤の製剤を可能にする。
【0110】
特定の実施形態では、MDIキャニスターが空になるまで、それぞれ最初のFPD及び/又はFPFの±20%、±15%、±10%又はさらに±5%内にFPD及び/又はFPFを維持することができる、本明細書において記載される呼吸に適した共懸濁液の肺送達のための医薬製剤によって提供されるFPF及び/又はFPDを保存するための方法が、提供される。そのような性能は、共懸濁液が加速分解条件にさらされた後でさえ、達成することができる。一実施形態では、HFC噴射剤によって形成される懸濁媒体のような、本明細書において記載される懸濁媒体が、得られる。懸濁粒子もまた、本明細書において記載されるように得られる又は調製される。本明細書において記載される活性剤粒子の1つ以上の種もまた、得られ、懸濁媒体、懸濁粒子及び活性剤粒子は、共懸濁液を形成するために組み合わせられ、活性剤粒子は、懸濁媒体内で懸濁粒子と関連する。1つ以上の温度サイクルイベントへのそのような組成物の曝露の後でさえ、共懸濁液は、1つ以上の温度サイクルイベントへの組成物の曝露の前に測定したそれぞれの値の±20%、±15%、±10%又はさらに±5%内にFPD又はFPFを維持する。
【0111】
炎症性又は閉塞性肺疾患又は状態に罹患している患者を治療するための方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態では、そのような方法は、本明細書において記載される医薬組成物の治療有効量の肺送達を含み、特定のそのような実施形態では、医薬組成物の肺投与は、MDIを使用して組成物を送達することによって実現される。特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物、方法及びシステムは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、他の薬物療法の結果として起こる気道反応性亢進の増悪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害(impeded respiration)、呼吸窮迫症候群、肺性高血圧、肺血管収縮及び単独か又は他の療法と組み合わせてかにかかわらず例えばLAMA、LABA、SABA、ICS、非コルチコステロイド抗炎症剤又は本明細書において記載される他の活性剤の投与に反応することがある任意の他の呼吸器疾患、状態、形質、遺伝子型又は表現型から選択される疾患又は障害に罹患している患者を治療するために使用することができる。特定の実施形態では、本明細書において記載される組成物、システム及び方法は、嚢胞性線維症と関連する肺炎症及び閉塞を治療するために使用することができる。炎症性又は閉塞性肺疾患又は状態に罹患している患者を治療するための方法についての特定の実施形態では、肺疾患の状態は、本明細書において詳細に記載されるものから選択され、方法は、MDIを介した患者への本発明の説明に従う組成物の肺送達を含み、そのような組成物の肺送達は、本明細書において開示される組成物に関連して記載される用量又は用量範囲で1つ以上の活性剤を投与することを含む。
【0112】
定量吸入器システム
本明細書において提供される方法に関して記載されるように、本明細書において開示される組成物は、MDIシステムにおいて使用されてもよい。MDIは、エアロゾル形態をした薬剤の特定の量を送達するように構成される。一実施形態では、MDIシステムは、マウスピースと共に形成されるアクチュエーター中に配置される加圧液相製剤充填キャニスターを含む。HFC噴射剤(例えばHFC-152a)を含む懸濁媒体、活性剤粒子の少なくとも1つの種及び懸濁粒子の少なくとも1つの種を含むMDIシステムは、本明細書において記載される製剤を含んでいてもよい。MDIにおいて使用されるキャニスターは、任意の適した構成のいずれかであり、例示的な一実施形態では、キャニスターは、例えば19mlの体積を有するキャニスターのように、約5ml~約25mlの範囲にある体積を有していてもよい。装置を振った後、マウスピースは、唇と歯との間の患者の口の中に挿入される。患者は、典型的に、肺を空にするために深く息を吐き出し、次いで、カートリッジを始動させながら、ゆっくりと深く息を吸う。
【0113】
例示的なカートリッジ内部に、製剤の定められた体積(例えば、63μl又は市販で入手可能な計量バルブにおいて利用できる他の任意の適した体積)を保有することができる計量チャンバーを含む計量バルブがあり、製剤は、始動されると、バルブステムの末端部の膨張チャンバーの中に放出される。アクチュエーターは、キャニスターを保定し、さらに、計量バルブのバルブステムを受けるためのアクチュエーターノズルを有する受口を含んでいてもよい。始動されると、製剤の特定の体積は、膨張チャンバーに移動し、アクチュエーターノズルから出て、患者の肺の中に吸い込まれる高速噴霧剤になる。
【0114】
以下の略語は、図面及び実施例を含む本開示の全体にわたって使用される:
・AB:アルブテロール
・AS:硫酸アルブテロール
・BD:ブデソニド
・FF:フマル酸ホルモテロール
・GP:グリコピロラート
・RF:ロフルミラスト
・BGF:ブデソニド/グリコピロラート/ホルモテロール(組み合わせ)
・GFF:グリコピロラート/フマル酸ホルモテロール(組み合わせ)
・BDA-152a:HFC-152a中のブデソニド/アルブテロール(組み合わせ)
・BFF-152a:HFC-152a中のブデソニド/フマル酸ホルモテロール(組み合わせ)
・BGF-152a:HFC-152a中のブデソニド/グリコピロラート/ホルモテロール(組み合わせ)
・GFF-152a:HFC-152a中のグリコピロラート/フマル酸ホルモテロール(組み合わせ)
・BGFR:ブデソニド/グリコピロラート/フマル酸ホルモテロール/ロフルミラスト(組み合わせ)
・CFC-11:トリクロロフルオロメタン
・CFC-113:1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン
・CFC-114:1,2-ジクロロテトラフルオロエタン
・HCFC-124:1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン
・HFA-227ea:1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン
・HFC-125:1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンとしても知られているペンタフルオロエタン
・HFC-152a:1,1-ジフルオロエタン
・HFC-245cb:1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン
・HFO-1225ye(Z):シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン
・HFO-1225ye(E):トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン
・HFO-1234yf:2,3,3,3-テトラフルオロプロペン
・HFO-1234ze(Z):シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロプ-1-エン
【0115】
本明細書において含まれる特定の実施例は、例証を目的としただけのものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、本明細書において開示される組成物、システム及び方法は、その特定の実施形態に関して記載されたものであり、多くの詳細は、例証の目的のために記載されたものであり、本開示は追加の実施形態を受け入れることができること及び本明細書において記載されている詳細のいくらかは本開示の基本原理から逸脱することなく変更されてもよいことは当業者に明らかである。以下の実施例において使用される任意の活性剤及び試薬は、市販で入手可能である又は本明細書において提供される教示の助けにより、当業者によって標準的な文献による手順に従って調製することができる。本明細書において参照されるすべての刊行物、特許及び特許出願の全内容は、これによって、参照によって本明細書において組み込まれる。
【実施例
【0116】
実施例1
懸濁粒子は、PFOB(パーフルオロオクチルブロミド)のエマルションを噴霧乾燥することによって製造し、水は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)によって安定化した。詳細な調製手順は、以前に文書化されている。懸濁粒子の粒径分布は、レーザー回折によって決定した。懸濁粒子の体積による50%は、2.9μmよりも小さく、分布の幾何標準偏差は、1.8であった。
【0117】
グリコピロラート(ピロリジニウム,3-((シクロペンチルヒドロキシフェニルアセチル)オキシ)-1,1-ジメチル-ブロミド)から形成される活性剤粒子は、ジェットミルを使用してグリコピロラートを微粉化することによって形成した。微粉化グリコピロラート(GP)の粒径分布は、レーザー回折によって決定した。微粉化粒子の体積による50%は、2.1μmよりも小さな光散乱径を示し、体積による90%は、5μmよりも小さかった。
【0118】
フマル酸ホルモテロール、(±)-2-ヒドロキシ-5-[(1RS)-1-ヒドロキシ-2-[[(1RS)-2-(4-メトキシフェニル)-1-メチルエチル]-アミノ]エチル]ホルムアニリドフマラートは、(±)-2’-ヒドロキシ-5-[(RS)-1-ヒドロキシ-2-[[RS)-p-メトキシ-α-メチルフェネチル]-アミン]エチル]ホルムアニリドフマラート二水和物としても知られており、メーカー(Inke)が微粉化したものを購入し、活性剤粒子として使用した。微粉化フマル酸ホルモテロール(FF)の粒径分布は、レーザー回折によって決定した。微粉化粒子の体積による50%は、1.6μmよりも小さな光散乱径を示し、体積による90%は、3.9μmよりも小さな光散乱径を示した。
【0119】
ブデソニド、16,17-(ブチリデンビス(オキシ))-11,21-ジヒドロキシ-,(11-β,16-α)-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオンから形成される活性剤粒子は、ジェットミルを使用してブデソニドを微粉化することによって形成した。ブデソニド(BD)の粒径分布は、レーザー回折によって決定した。微粉化粒子の体積による50%は、1.9μmよりも小さな光散乱径を示し、体積による90%は、4.3μmよりも小さな光散乱径を示した。
【0120】
硫酸アルブテロール、α1[(tert-ブチルアミノ)メチル]-4-ヒドロキシ-mキシレン-α,α’-ジオールサルフェートから形成される活性剤粒子は、ジェットミルを使用して硫酸アルブテロールを微粉化することによって形成した。硫酸アルブテロール(AS)の粒径分布は、レーザー回折によって決定した。微粉化粒子の体積による50%は、1.5μmよりも小さな光散乱径を示し、体積による90%は、3.3μmよりも小さな光散乱径を示した。
【0121】
定量吸入器は、最初に添加容器(AV)により適切な分量の懸濁粒子及び活性剤粒子を分注し、適切な分量のHFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)噴射剤を追加することによって調製した。混合物は、パウダーウェッティングを促進するために撹拌し、次いで懸濁液を混合する圧力容器に移す。50uL計量チャンバーから構成されるバルブ(BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)を、フッ化エチレンポリマー(FEP)でコーティングしたアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)に圧着し、懸濁液を、次いで、バルブを通して圧力充填する。キャニスターに、0.32mm又は0.39mmの開口部を有するポリプロピレンアクチュエーター(#10024269、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。
【0122】
実施例2
グリコピロラート、ブデソニド及びホルモテロール活性剤粒子を含む三重共懸濁組成物を含有する定量吸入器を調製し、各タイプの活性剤粒子は、微粉化結晶API材料として提供した。活性剤粒子を、リン脂質粒子と共にHFC-152a噴射剤中で懸濁した。図1及び表1において示されるように、リン脂質粒子を含有する活性剤粒子の3つのタイプは、均一な空気動力学的粒径沈着プロファイルを示した。
【0123】
【表2】
【0124】
実施例3
ブデソニド、ホルモテロール又はグリコピロラート活性剤粒子及びリン脂質粒子を含有するMDIの始動に際して送達量中に存在する微粒子の割合(FPF)を、いろいろな期間の種々の温度及び相対湿度条件下でのMDIの保存後に測定した。(下記の表2及び表3を参照されたい)
【0125】
ブデソニド及びリン脂質粒子を含有するMDIの始動に際して送達量中に存在する微粒子質量(FPM)を、いろいろな期間の種々の温度及び相対湿度条件下でのMDIの保存後に測定した。(下記の表2及び表3を参照されたい)
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
実施例4
ブデソニド、グリコピロラート及びホルモテロール活性剤粒子並びにリン脂質粒子を含有するMDIの始動に際しての送達量均一性を、いろいろな期間の種々の温度及び相対湿度条件下でのMDIの保存後に測定した。(図8図13を参照されたい)
【0129】
実施例5
活性剤粒子及びリン脂質粒子を含有するMDIキャニスター中のブデソニド、グリコピロラート、ホルモテロール活性剤粒子の分解を、いろいろな期間の種々の温度及び相対湿度条件下でのMDIの保存後に測定した。(下記の表4及び表5を参照されたい)
【0130】
【表5】
【0131】
【表6】
【0132】
実施例6
ランダム化単盲検3期3剤単回投与クロスオーバー試験を、健康な対象においてBGF MDI HFA-134aと比較したBGF MDI HFC-152a及びBGF MDI HFO-1234zeの相対的バイオアベイラビリティを評価するために行った。
【0133】
治験薬は、(1)HFC-152a噴射剤と共に製剤したブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(BGF)定量吸入器(MDI)の試験薬及び(2)HFA-134a噴射剤と共に製剤したブデソニド/グリコピロニウム/ホルモテロール(BGF)定量吸入器(MDI)の基準薬を含む。試験する適応症は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)であり、開発相は、第1相である。
【0134】
試験目的:
主要目的:
3つの異なる噴射剤を有するブデソニド、グリコピロニウム及びホルモテロール(BGF)定量吸入器(MDI)として投与された場合のブデソニド、グリコピロニウム及びホルモテロールの固定用量配合剤(FDC)について試験製剤と基準製剤との間の相対的バイオアベイラビリティを判断すること。
【0135】
副次目的:
3つの異なる噴射製剤として投与された場合のBGFの薬物動態学的(PK)パラメータを決定すること。健康な対象において3つの異なる噴射製剤において単回投与として投与された場合のBGFの組み合わせの安全性及び忍容性を評価すること。
【0136】
試験デザイン:
本試験は、ランダム化単盲検3期3剤単回投与単一施設クロスオーバー試験とした。試験は、3つの異なる噴射剤と共に製剤したBGF MDIのPK特性の評価を含んだ:ハイドロフルオロオレフィン(HFO-1234ze)-治療A(試験)、ハイドロフルオロカーボン(HFC-152a)-治療B(試験)及びハイドロフルオロアルカン(HFA-134a)-治療C(基準)。
【0137】
試験は、以下を含んだ:
・スクリーニング期間 第1の投薬の前の28日間以下。
・それぞれ最大3日間の3つの治療期間:対象は、治療期間1におけるBGF MDIによる第1の投薬の前の日(-1日目)の朝からすべての治療期間及び休薬期間の全体にわたって、治療期間3の2日目の退院まで滞在した。
・追跡調査:BGF MDIの最後の投与の後の3~7日以内。各投与の間に3~7日間の休薬期間があった。各対象は、少なくとも8時間の一晩の絶食後にBGF MDIの3つの単回投与治療を受けた(1回の投与HFO-1234ze[治療A];1回の投与HFC-152a[治療B]及び1回の投与HFA-134a[治療C])。
【0138】
主な選択基準:
カニューレ挿入又は静脈穿刺の繰り返しに適した静脈を有する18~60歳の健康なタバコを吸わない男性対象。対象は、18kg/m2と30kg/m2を含めて18~30kg/m2の間の肥満指数(BMI)及び50kgと100kgを含めて少なくとも50kg且つ100kg以下の体重を有していなければならなかった。対象は、スクリーニング来院時に年齢、身長及び人種に関する予測値の≧80%の一秒量(FEV1)を有していなければならなかった。
【0139】
治験品:
治療A(試験):始動毎に160/7.2/4.8μgの強度/濃度を有するBGF MDI HFO-1234ze(E)。
【0140】
治療B(試験):始動毎に160/7.2/4.8μgの強度/濃度を有するBGF MDI HFC-152a。
【0141】
治療C(基準):始動毎に160/7.2/4.8μgの強度/濃度を有するBGF MDI HFA-134a。
【0142】
試験の長さ:
各対象は、53日間以下の間、試験に参加することになっていた。
【0143】
治療遵守:
投薬は、Los AngelesにおけるParexel Early Phase Clinical Unitで実施した。すべての治験品(IMP)の投与は、Parexelの電子ソースデータ収集情報管理システム(CLINBASE(商標))において記録した。遵守は、直接の監視及びIMP投与の立会いによって確実にした。
【0144】
判断基準:
薬物動態学的パラメータ:
・主要PKパラメータ:試験及び基準治療についてのCmax、AUCinf及びAUClast。
・副次PKパラメータ:tmax、t1/2λz、MRT、λz、CL/F、Vz/F、TRCmax、TRAUCinf及びTRAUClast。
【0145】
安全性評価項目:
・有害事象(AE)/重篤な有害事象(SAE)。
・バイタルサイン(収縮期及び拡張期血圧、脈拍数、体温、酸素飽和度並びに呼吸数)。
・12誘導安全性及びデジタル心電図(ECG)並びに心電図遠隔測定
・身体検査。
・臨床検査による評価(血液学的検査、臨床化学的検査及び尿検査)
・肺活量測定。
・味覚評価。
【0146】
統計的方法:
症例数の決定:
これは、従来の製剤と比較したBGF MDIの2つの試験製剤の間の相対的バイオアベイラビリティを決定するためのパイロットPK試験とした。そのため、症例数の算出は、実行しなかった。
【0147】
48人の健康な対象(対象の数は、最初の23人の対象に関わる投薬の逸脱による補充の対象を想定して、治験実施計画書の修正書2に従って24人から48人に増加させた)は、最後の治療期間の終了時に少なくとも20人の判断可能な対象を確実にするために、3期3剤について6つの順序のウィリアムズデザイン:ABC、BCA、CAB、ACB、BAC及びCBAにランダム化されることになることが予想された。
【0148】
対象は、対象が、判断可能なPKプロファイルを有する、すなわち(1)実薬治療を受けた、(2)治験実施計画書選択若しくは除外基準に著しく違反しなかった又は治験実施計画書から著しく逸脱しなかった及び(3)PK解析に影響した可能性がある利用不可能な又は不完全なデータを有していなかった場合、判断可能であるとみなされた。薬物動態学的データの提示及び解析:
【0149】
すべてのPK濃度、パラメータ概要及び統計解析は、特に明記しない限り、PK解析対象集団について提示した。PK濃度及びパラメータ一覧表は、安全性解析対象集団について提示し、すべての報告可能な個々のPK結果を含んだ。PK解析対象集団に含まれない又は記述要約表、図及び/若しくは推測統計解析から除外されるあらゆる対象についての個々のPK濃度及びパラメータデータは、一覧表に含め、適切な脚注により目印をつけた。
【0150】
試験治療、治療A及びB(それぞれBGF MDI HFO及びBGF MDI HFC)は、各分析物について基準治療、治療C(BGF MDI HFA)と別々に比較した。統計解析は、線形混合効果分散分析モデルを使用し、Cmax、AUCinf及びAUClastの自然対数を反応変数として使用し、順序及び期間、治療を固定効果として並びに順序内にネスト化した対象をランダム効果として実行した。対数目盛から逆変換して、Cmax、AUCinf及びAUClastについての幾何平均を患者内変動係数信頼区間(CI)(両側95%)と共に推定し、提示した。加えて、幾何平均の比をCI(両側90%)と共に推定し、提示した。
【0151】
加えて、各分析物についての試験治療と基準治療との間の非変換tmaxにおける差の中央値及び各分析物についての差の中央値についての対応する90%CIを、ノンパラメトリックHodges Lehmann法を使用して計算した。
【0152】
安全性及び適格性データの提示及び解析:
安全性データ(予定されるもの及び予定外のもの)をデータ一覧表において提示した。連続変数は、記述統計(n、平均、標準偏差[SD]、最小値、中央値、最大値)を使用して治療毎に要約した。カテゴリー変数は、適宜、治療毎に度数分布表(頻度及び割合)において要約した。安全性変数の解析は、安全性解析対象集団をベースとした。
【0153】
有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)の用語を使用して、基本語(PT)及び器官別大分類(SOC)毎に要約した。さらに、SAE及び中止に至ったAEの一覧表を作成し、何らかのAE、SAE、中止に至ったAE及び重度のAEを有した対象の数を要約した。投薬の前に生じた有害事象は、別々に報告した。
【0154】
バイタルサイン、臨床検査、デジタルECG及び12誘導安全性ECG(一覧表のみ)、遠隔測定(一覧表のみ)並びに肺活量測定についてのデータの集計及び一覧表を提示した。味覚評価の結果は、一覧表においてのみ別々に提示した。ベースライン評価と比較した、あらゆる新規の又は悪化した臨床的に意義のある異常な医学上の理学的検査所見は、AEとして報告した。データは、各予定される評価時点での観測値について、ベースラインが定められていた場合はベースラインからの対応する変化と共に要約した。臨床検査データは、安全性審査委員会(SRC)の会議に臨床検査室が提供する単位において及び治験総括報告書(CSR)における国際単位系(SI)の単位において報告した。
【0155】
安全性の臨床検査による評価についての範囲外の値は、個々の一覧表において目印をつけ、合意して定めた標準的な基準範囲及び/又は延長基準範囲(例えばAstraZeneca、プログラム若しくは検査室の範囲)を使用して記述的に要約した。
【0156】
治験実施計画書からの逸脱:
全体で、重大な治験実施計画書からの逸脱は、試験の間に26人の対象(55.3%)について報告された:
・治療A(HFO噴射剤)について:23人の対象(48.9%)が他の重大な治験実施計画からの逸脱を報告された(対象は、治験実施計画書において概説されるように吸入器により自己投与しなかった。看護師が用量を投与した)。
・治療B(HFC噴射剤)について:23人の対象(48.9%)が他の重大な治験実施計画からの逸脱を報告され(対象は、治験実施計画書において概説されるように吸入器により自己投与しなかった。看護師が用量を投与した)、2人(4.3%)の対象が、吸入の間の問題により予想される全量を受けなかった。
・治療C(HFA噴射剤)について:23人の対象(48.9%)が他の重大な治験実施計画からの逸脱を報告され(対象は、治験実施計画書において概説されるように吸入器により自己投与しなかった。看護師が用量を投与した)、1人(2.1%)の対象が、吸入の間の問題により予想される全量を受けなかった。
【0157】
対象の数は、最初の23人の対象に関わる投薬の逸脱による補充の対象を想定して、治験実施計画書の修正書2に従って24人から48人に増加させた。
【0158】
報告された治験実施計画からの逸脱によりPK解析対象集団から除外された23人の対象がいた。COVID-19に関する重大な治験実施計画からの逸脱は、試験の間に報告されなかった。
【0159】
薬物動態学的結果:
・BGF MDI HFCからのブデソニドへの全身曝露は、BGF MDI HFAと同等であり、GMR及び90%CIは、それぞれCmax、AUCinf及びAUClastについて98.78%(78.67%、124.0%)、98.03%(83.33%、115.3%)及び98.80%(84.59%、115.4%)であった。
・BGF MDI HFCからのグリコピロニウムへの全身曝露は、BGF MDI HFAと同等であり、GMR及び90%CIは、それぞれCmax及びAUClastについて94.88%(74.69%、120.5%)及び99.71%(80.84%、123.0%)であった。
・BGF MDI HFCからのホルモテロールへの全身曝露は、BGF MDI HFAと同等であり、GMR及び90%CIは、それぞれCmax、AUCinf及びAUClastについて100.1%(83.78%、119.5%)、116.7%(86.31%、157.8%)及び107.0%(88.82%、128.9%)であった。
【0160】
安全性の結果:
・本試験の間に報告された死亡、SAE又はIMPの停止に至ったAEはなかった。
・新規な安全性シグナルは、観察されず、臨床的に意義がある傾向は、バイタルサイン、身体検査、臨床検査結果、肺活量測定及び味覚評価について観察されず、異常な臨床的に有意な12誘導安全性及びデジタルECG並びに心電図遠隔測定の所見は、報告されなかった。
・ブデソニド、グリコピロニウム及びホルモテロールの組み合わせは、3つの異なる噴射剤製剤において単回投与として投与された場合、許容される安全性プロファイルを実証し、試験した集団において忍容性が良好であった。
【0161】
本臨床試験から考えて、ブデソニド、グリコピロニウム及びホルモテロールへの全身曝露は、基準薬(BGF MDI HFA-134a)と比較して、BGF MDI HFC-152aについて類似していた。本味覚評価において製品の間で意味のある差の兆候はなかった。ブデソニド、グリコピロニウム及びホルモテロールの組み合わせは、HFC-152a及びHFA-134a製剤において単回投与として投与された場合、許容される安全性プロファイルを実証し、試験した集団において忍容性が良好であった。
【0162】
実施例7
グリコピロラート及びフマル酸ホルモテロール活性剤粒子を含む二重共懸濁組成物を含有する定量吸入器を調製し、各タイプの活性剤粒子は、微粉化結晶API材料として提供した。活性剤粒子を、リン脂質粒子と共にHFC-152a噴射剤中で懸濁した。図14及び表6において示されるように、リン脂質粒子を含有する活性剤粒子の2つのタイプは、均一な空気動力学的粒径沈着プロファイルを示した。(下記の表6を参照されたい)
【0163】
【表7】
【0164】
実施例8
ブデソニド及び硫酸アルブテロール活性剤粒子を含む二重共懸濁組成物を含有する定量吸入器を調製し、各タイプの活性剤粒子は、微粉化結晶API材料として提供した。活性剤粒子を、リン脂質粒子と共にHFC-152a噴射剤中で懸濁した。図16及び表7において示されるように、リン脂質粒子を含有する活性剤粒子の2つのタイプは、均一な空気動力学的粒径沈着プロファイルを示した。(下記の表7を参照されたい)
【0165】
【表8】
【0166】
実施例9
グリコピロラート及びフマル酸ホルモテロール活性剤粒子並びにリン脂質粒子を含有するMDIの始動に際しての送達量均一性は、吸入器の調製の後に測定した。データは、吸入器の有効期限の開始の近く及び終了の近くの両方でグリコピロラート及びフマル酸ホルモテロールの類似の送達を実証する。(図15を参照されたい)
【0167】
実施例10
ブデソニド及び硫酸アルブテロール活性剤粒子並びにリン脂質粒子を含有するMDIの始動に際しての送達量均一性は、吸入器の調製の後に測定した。データは、吸入器の有効期限の開始の近く及び終了の近くの両方でブデソニド及び硫酸アルブテロールの類似の送達を実証する。(図17を参照されたい)
【0168】
上記に記載される種々の実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。本明細書において言及される及び/又は出願データシートにおいてリストされる米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許刊行物のすべては、本明細書において特に明記しない限り、それらの全体が参照によって本明細書において組み込まれる。実施形態の態様は、さらなる実施形態を提供するために種々の特許、出願及び公開公報の概念を用いる必要があれば、修飾することができる。
【0169】
これらの及び他の変更は、上記の詳細な説明を考慮して実施形態に対してなすことができる。一般に、以下の請求項において、使用される用語は、明細書及び請求項において開示される特定の実施形態に請求項を限定するものと解釈されるべきではないが、そのような請求項により受ける権利がある全範囲の等価物に加えて、すべての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、請求項は、本開示によって限定されない。
図1
図2
図3
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図5
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図8
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【国際調査報告】