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特表2024-545829バイナリデータを送信する方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-12
(54)【発明の名称】バイナリデータを送信する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H04L27/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024561137
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2022047499
(87)【国際公開番号】W WO2023199554
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】22305530.2
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】コルレ、ヴァンサン
(57)【要約】
2つのシンボルのM/2個の集合に分割されたM-ASKコンスタレーションを用いて、バイナリデータを送信する方法が開示される。インデックスiの各集合は、集合の第1のシンボルを送信する確率pに関連付けられる。まず、2値情報源からm-1ビットが得られ、ここで、m=logMである。次に、複数の2値情報源から、上記m-1ビットに対応する2値情報源が選択され、インデックスiの各2値情報源は、pに等しい、ビットゼロを出力する確率に関連付けられる。m-1ビットと、選択された情報源から得られた1ビットとによって形成されるバイナリワードに関連付けられたM-ASKコンスタレーションのシンボルが得られる。シンボルは、最終的に通信チャネルを介して受信機に送信される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機における、2つのシンボルのM/2個の集合に分割されたM-ASKコンスタレーションを用いて、バイナリデータを送信する方法であって、インデックスiの各集合は、前記各集合の第1のシンボルを送信する確率pと、前記各集合の第2のシンボルを送信する確率1-pとに関連付けられ、前記M-ASKコンスタレーションの各シンボルは、所与のラベリングを用いて定義されたバイナリワードに関連付けられ、前記方法は、
a)2値情報源からm-1ビットを得ることであって、ここで、m=logMであることと、
b)複数の2値情報源から前記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することであって、インデックスiの各2値情報源は、pに等しい、ビットゼロを出力する確率に関連付けられることと、
c)選択された2値情報源から1ビットを得ることと、
d)前記2値情報源から得られた前記m-1ビットと、前記選択された2値情報源から得られた前記1ビットとによって形成される前記バイナリワードに関連付けられた前記M-ASKコンスタレーションのシンボルを得ることと、
e)得られたシンボルを、通信チャネルを介して受信機に送信することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記2値情報源から得られた前記m-1ビットは、前記バイナリワードのより下位のビットであり、前記選択された2値情報源から得られた前記1ビットは、前記バイナリワードの最上位ビットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2値情報源は等確率である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の2値情報源から前記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することは、
前記m-1ビットによって形成されたバイナリシーケンスの十進数値を決定することと、
インデックスが前記十進数値を1だけ増加したものに等しい2値情報源を選択することと、
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の2値情報源は、2m-1個の2値情報源を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記所与のラベリングは自然ラベリングであり、インデックスiの各集合は、前記M-ASKコンスタレーションの第iのシンボル及び第i+M/2のシンボルを含み、ここで、i∈[1;M/2]である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
【数1】
であり、前記複数の2値情報源は、2m-2個の2値情報源に縮約され、前記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することは、
前記m-1ビットによって形成されたバイナリシーケンスの十進数値Dを決定することと、
【数2】
である場合、インデックスがM/2-Dに等しい2値情報源を選択することと、
そうでない場合、インデックスが前記十進数値を1だけ増加したものに等しい2値情報源を選択することと、
を含み、
インデックスがM/2-Dに等しい2値情報源が選択される場合、前記選択された情報源から得られる前記1ビットは、前記M-ASKコンスタレーションのシンボルを得る前に反転される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所与のラベリングはグレイラベリングであり、インデックスiの各集合は、前記M-ASKコンスタレーションの第iのシンボル及び第M/2+1-iのシンボルを含み、ここで、
【数3】
である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
【数4】
であり、前記複数の2値情報源は、2m-2個の2値情報源に縮約され、前記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することは、
前記m-1ビットによって形成されたバイナリシーケンスの十進数値Dを決定することと、
インデックスがD+1 mod(M/2+1)に等しい2値情報源を選択することとであって、ここで、mod()はモジュロ演算子であることと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の2値情報源におけるインデックスiの各2値情報源は、
【数5】
ビットのシーケンスに対しバイナリ分布マッチングを適用することによって、前記2値情報源から得られ、ここで、Smaxは複数の2値情報源における情報源の数であり、H(p)は、パラメータpを有する2値エントロピーを示し、rは1以上の整数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
誤り訂正符号を用いて、前記2値情報源から得られたr×(M-1)*kビットを、(m-1)*nビットに符号化することであって、ここで、n及びkは整数であることと、
前記2値情報源から得られた
【数6】
ビットのシーケンスに対しバイナリ分布マッチングを適用することによって、前記2値情報源から前記複数の2値情報源におけるインデックスiの各2値情報源を得ることであって、ここで、Smaxは前記複数の2値情報源における情報源の数であり、H(p)は、パラメータpを有する2値エントロピーを示すことと、
前記a)~前記e)を、(m-1)ビットのn個の集合のそれぞれに適用することと、
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
表から前記確率pを得て、前記受信機に、得られた確率を示す少なくとも1つのインデックスエントリを送信することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
所定の通信チャネル分布から前記確率pを推定し、推定された確率を前記受信機に送信することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記受信機から前記確率pを受信することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
2つのシンボルのM/2個の集合に分割されたM-ASKコンスタレーションを用いて、バイナリデータを送信するように構成された送信機であって、インデックスiの各集合は、前記各集合の第1のシンボルを送信する確率pと、前記各集合の第2のシンボルを送信する確率1-pとに関連付けられ、前記M-ASKコンスタレーションの各シンボルは、所与のラベリングを用いて定義されたバイナリワードに関連付けられ、前記送信機は、
a)2値情報源からm-1ビットを得ることであって、ここで、m=logMであることと、
b)複数の2値情報源から前記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することであって、インデックスiの各2値情報源は、pに等しい、ビットゼロを出力する確率に関連付けられることと、
c)選択された2値情報源から1ビットを得ることと、
d)前記2値情報源から得られた前記m-1ビットと、前記選択された2値情報源から得られた前記1ビットとによって形成される前記バイナリワードに関連付けられた前記M-ASKコンスタレーションのシンボルを得ることと、
e)得られたシンボルを、通信チャネルを介して受信機に送信することと、
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える、送信機。
【請求項16】
前記所与のラベリングは自然ラベリングであり、インデックスiの各集合は、前記M-ASKコンスタレーションの第iのシンボル及び第i+M/2のシンボルを含み、ここで、i∈[1;M/2]である、請求項15に記載の送信機。
【請求項17】
前記所与のラベリングはグレイラベリングであり、インデックスiの各集合は、前記M-ASKコンスタレーションの第iのシンボル及び第M/2+1-iのシンボルを含み、ここで、
【数7】
である、請求項15に記載の送信機。
【請求項18】
前記2値情報源から得られた前記m-1ビットは、前記バイナリワードのより下位のビットであり、前記選択された情報源から得られた前記1ビットは、前記バイナリワードの最上位ビットである、請求項15~17のいずれか1項に記載の送信機。
【請求項19】
プログラマブルデバイスにロードすることができるプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード命令は、前記プログラムコード命令が前記プログラマブルデバイスによって実行されると、請求項1又は2に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
プログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを記憶するストレージ媒体であって、前記プログラムコード命令は、前記プログラムコード命令が前記ストレージ媒体から読み出され、プログラマブルデバイスによって実行されると、請求項1又は2に記載の方法を実施させる、ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態のうちの少なくとも1つは、包括的には、M-ASKコンスタレーション(ASKは、「振幅偏移変調」の英語の頭字語である)を用いたバイナリデータの送信方法に関する。また、本発明の実施形態のうちの少なくとも1つは、対応する送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいて、送信機は、通信チャネル(例えば、光ファイバ)を介して受信機に接続される。送信機は、通常、入力データ、例えばビットストリームを、コンスタレーションと呼ばれる有限集合に属するシンボルに符号化するように構成された符号化器を含む。1次元ASK(振幅偏移変調の英語の頭字語)及び2次元QAM(直交振幅変調の英語の頭字語)は、そのようなコンスタレーションの例である。ここで、1次元又は2次元コンスタレーションとは、シンボルがそれぞれ、R又はRの値をとることを意味する。Rは、実数の集合である。
【0003】
次に、これらのシンボルは、通信チャネルを介して受信機に送信される。受信機は、受信したシンボルを出力データに復号するように構成された復号器を含む。
【0004】
一様に分布したシンボルを送信する通信システムでは、通常、整形損失が発生する。したがって、チャネル容量に近づけるために、送信機が入力データを処理して、送信シンボルの確率分布を変更する必要があることが知られている。より厳密には、入力データは、送信シンボルが、通信チャネルに適合した不均一な確率分布を有するように処理される。確率的整形と呼ばれるこの処理は、整形利得としても知られるエネルギー節約をもたらすことができる。ガウスチャネルにおいては、マクスウェル-ボルツマン分布により、準最適性能がもたらされることが知られている。しかしながら、マクスウェル-ボルツマン分布に適合するように入力データを処理することは、実施が複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、高性能でありながら実施が容易であり、非ガウスチャネルにも適応される、バイナリデータを送信する方法を得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態のうちの少なくとも1つは、包括的には、送信機における、2つのシンボルのM/2個の集合に分割されたM-ASKコンスタレーションを用いて、バイナリデータを送信する方法であって、インデックスiの各集合は、第1のシンボルを送信する確率pと、集合の第2のシンボルを送信する確率1-pとに関連付けられ、M-ASKコンスタレーションの各シンボルは、自然ラベリングを用いて定義されたバイナリワードに関連付けられる。上記方法は、
a)2値情報源からm-1ビットを得ることであって、ここで、m=logMであることと、
b)複数の2値情報源からm-1ビットに対応する2値情報源を選択することであって、インデックスiの各2値情報源は、pに等しい、ビットゼロを出力する確率に関連付けられていることと、
c)選択された情報源から1ビットを得ることと、
d)2値情報源から得られたm-1ビットと、選択された情報源から得られた1ビットとによって形成されるバイナリワードに関連付けられたM-ASKコンスタレーションのシンボルを得ることと、
e)得られたシンボルを、通信チャネルを介して受信機に送信することと、
を含む、方法に関する。
【0007】
この送信方法は、マクスウェル-ボルツマン分布に適合させようとする送信方法よりも実施が容易である。より正確には、上記の方法により、少ない数の2値情報源を用いた整形動作を実施することを可能になる。
【0008】
1つの実施の形態において、所与のラベリングは自然ラベリングであり、インデックスiの各集合は、M-ASKコンスタレーションの第iのシンボル及び第i+M/2のシンボルを含み、ここで、i∈[1;M/2]である。
【0009】
1つの実施の形態において、所与のラベリングはグレイ(Gray)ラベリングであり、インデックスiの各集合は、M-ASKコンスタレーションの第iのシンボル及び第M/2+1-iのシンボルを含み、ここで、
【数1】
である。
【0010】
1つの実施の形態において、2値情報源から得られたm-1ビットは、バイナリワードのより下位のビットであり、選択された情報源から得られた1ビットは、バイナリワードの最上位ビットである。
【0011】
1つの実施形態において、2値情報源は等確率2値情報源である。
【0012】
1つの実施の形態において、複数の2値情報源からm-1ビットに対応する2値情報源を選択することは、
m-1ビットによって形成されたバイナリシーケンスの十進数値を決定することと、
インデックスが上記十進数値を1だけ増加されたものに等しい2値情報源を選択することと、
を含む。
【0013】
1つの実施の形態において、複数の2値情報源は、2m-1個の2値情報源を含む。
【0014】
1つの実施の形態において、
【数2】
であり、複数の2値情報源は、2m-2個の2値情報源に縮約され、上記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することは、
m-1ビットによって形成されたバイナリシーケンスの十進数値Dを決定することと、
【数3】
である場合、インデックスがM/2-Dに等しい2値情報源を選択することと、
そうでない場合、インデックスが上記十進数値を1だけ増加されたものに等しい2値情報源を選択することと、
を含み、
インデックスがM/2-Dに等しい2値情報源が選択される場合、選択された情報源から得られるビットは、M-ASKコンスタレーションのシンボルを得る前に反転される。
【0015】
1つの実施の形態において、
【数4】
であり、複数の2値情報源は、2m-2個の2値情報源に縮約され、上記m-1ビットに対応する2値情報源を選択することは、
前記m-1ビットによって形成されたバイナリシーケンスの十進数値Dを決定することと、
インデックスがD+1 mod(M/2+1)に等しい2値情報源を選択することであって、mod()はモジュロ演算子であることと、
を含む。
【0016】
1つの実施の形態において、複数の2値情報源におけるインデックスiの各2値情報源は、
【数5】
ビットのシーケンスに対しバイナリ分布マッチングを適用することによって、等確率2値情報源から得られ、ここで、Smaxは複数の2値情報源における情報源の数であり、H(p)は、パラメータpを有する2値エントロピーを示し、rは1以上の整数である。
【0017】
1つの実施の形態において、方法は、
誤り訂正符号を用いて、等確率2値情報源から得られたr×(M-1)*kビットを符号化し、(m-1)*nビットにすることであって、ここで、n及びkは整数であることと、
等確率2値情報源から得られた
【数6】
ビットのシーケンスに対しバイナリ分布マッチングを適用することによって、等確率2値情報源から複数の2値情報源におけるインデックスiの各2値情報源を得ることであって、ここで、Smaxは複数の2値情報源における情報源の数であり、H(p)は、パラメータpを有する2値エントロピーを示すことと、
a)~e)を、(m-1)ビットのr*n個の集合のそれぞれに適用することと、
を更に含む。
【0018】
1つの実施の形態において、方法は、表から確率pを得て、上記受信機に、得られた確率を示す少なくとも1つのインデックスエントリを送信することを更に含む。
【0019】
1つの実施の形態において、方法は、所定の通信チャネル分布から確率pを推定し、推定された確率を上記受信機に送信することを更に含む。
【0020】
1つの実施の形態において、方法は、受信機から確率pを受信することを更に含む。
【0021】
本発明の実施の形態のうちの少なくとも1つは、包括的には、2つのシンボルのM/2個の集合に分割されたM-ASKコンスタレーションを用いて、バイナリデータを送信するように構成された送信機が開示され、インデックスiの各集合は、集合の第1のシンボルを送信する確率pと、集合の第2のシンボルを送信する確率1-pとに関連付けられ、M-ASKコンスタレーションの各シンボルは、自然ラベリングを用いて定義されたバイナリワードに関連付けられる。送信機は、
a)2値情報源からm-1ビットを得ることであって、ここで、m=logMであることと、
b)複数の2値情報源からm-1ビットに対応する2値情報源を選択することであって、インデックスiの各2値情報源は、pに等しい、ビットゼロを出力する確率に関連付けられていることと、
c)選択された情報源から1ビットを得ることと、
d)2値情報源から得られたm-1ビットと、選択された情報源から得られた1ビットとによって形成されるバイナリワードに関連付けられたM-ASKコンスタレーションのシンボルを得ることと、
e)得られたシンボルを、通信チャネルを介して受信機に送信することと、
を行うように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0022】
方法に関して開示した様々な実施形態は、送信機にも当てはまる。
【0023】
プログラマブルデバイスにロードすることができるプログラムコード命令を含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムコード命令は、プログラムコード命令がプログラマブルデバイスによって実行されると、先の実施の形態のいずれか1つによる方法を実施させる、コンピュータプログラム製品が開示される。
【0024】
プログラムコード命令を含むコンピュータプログラムを記憶するストレージ媒体であって、プログラムコード命令は、プログラムコード命令がストレージ媒体から読み出され、プログラマブルデバイスによって実行されると、先の実施の形態のいずれか1つによる方法を実施させる、ストレージ媒体が開示される。
【0025】
本発明の特徴は、実施形態の少なくとも1つの例の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】特定の実施形態による通信システムを概略的に示す図である。
図2】8-ASKコンスタレーションのシンボルを示す図である。
図3A】特定の実施形態による、M-ASKコンスタレーションの、2つのシンボルのM/2個の集合への分割の原理を示す図である。
図3B】特定の実施形態による、M-ASKコンスタレーションの、2つのシンボルのM/2個の集合への代替的な分割の原理を示す図である。
図4A】特定の実施形態による、整形符号化器のブロック図である。
図4B】別の特定の実施形態による、整形符号化器のブロック図である。
図4C】別の特定の実施形態による、整形符号化器のブロック図である。
図5】特定の実施形態による送信方法のフローチャートである。
図6】別の特定の実施形態による、整形符号化器のブロック図である。
図7】別の特定の実施形態による、整形符号化器のブロック図である。
図8】特定の実施形態による復号方法のフローチャートである。
図9】特定の実施形態による、整形符号化器のハードウェアアーキテクチャの一例を概略的に示す図である。
図10】特定の実施形態による、復号デバイスのハードウェアアーキテクチャの一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本実施形態を実施することができる通信システム1を概略的に示す。通信システム1は、通信チャネル12を介して互いに結合された送信機10及び受信機14を備える。送信機10は、少なくとも1つの等確率2値情報源S0によって入力データを供給され、シンボルの所与のアルファベットXから選択されたシンボルを出力する。入力データは、例えば、オーディオ/ビデオビットストリームのビットである。一例示的な実施形態において、アルファベットXはM-ASKコンスタレーションであり、ここで、M=2であり、mは整数である。M-ASKコンスタレーションのシンボルは、以下のように定義される。
【数7】
【0028】
結果として、このコンスタレーション内の各シンボルは、m=logMビットのシーケンスによって表すことができる。図2は、最初のシンボルは-7であり、最後のシンボルは7である、8-ASKコンスタレーションのシンボルを示している。以下では、ASK変調を参照して様々な実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は、ASK変調に制限されないことが理解される。例として、本発明の実施形態は、QAM変調を用いてもよい。
【0029】
図1を参照して、Xを、確率分布p(x)=p(X=x)、x∈Xを有する通信チャネル12の入力におけるシンボルを表す離散確率変数とする。p(y|x)を、チャネル分布とする。例えば、ガウスチャネルでは、全てのxについてp(y|x)~N(x,σ)である。Yを、通信チャネル出力のランダム変数とする。ガウスチャネルの場合、Yは、Y=X+Wと定義され、ここでWはガウス雑音であり、例えばW~N(0,σ)である。
【0030】
ガウスチャネルでは、信号対雑音比(SNR)は以下のように定義される。
【数8】
【0031】
任意の通信チャネルを所与として、p(x)を、所与のコンスタレーションについて相互情報量(MI)を最大にする入力Xの分布とする。
【数9】
ここで、Pは最大平均出力である。確率分布に対してのみでなく、全ての可能な入力に対して最大化される量
【数10】
は、チャネル容量と呼ばれる。以下において、離散入力が検討され、その分布に対してのみ最適化が行われる。コンスタレーション(すなわち、離散入力の要素の位置の集合)は、最適化変数ではない。
【0032】
【数11】
は、準最適分布の集合として、すなわち、以下のように定義される。
【数12】
ここで、εは、大きさが通信システムの要件に依存する量である。
【0033】
確率的整形の目的は、その確率分布が相互情報量I(X;Y)を最大にするか又はほぼ最大にするように入力を処理することである。換言すれば、入力の分布が、
【数13】
内にあるはずである。
【0034】
M-ASKコンスタレーションでは、p(x)は、多くの場合、MB分布(マクスウェル-ボルツマン分布の英語の頭字語)として選ばれる。実際に、この場合、得られる性能は、p(x)を用いて得られたものに近い(すなわち、小さなεについて、
【数14】
)。しかしながら、MB分布の実施は複雑である。
【0035】
M-ASKの場合の複雑さを制限するために定義される第1の特定の実施形態によれば、可能な分布の集合は、以下のように表すことができるものに限定される。すなわち、
全ての
【数15】
について、
【数16】
である。ここで、
【数17】
は確率の和が1となるように用いられるスケーリング定数である。変数
【数18】
をpによって表される。結果として、相互情報量は、ここで、集合
【数19】
について、次のように最適化される。
【数20】
【0036】
このため、本原理によれば、M-ASKコンスタレーションは、M/2個の集合に分割され、インデックスiの各集合は、
【数21】
であるような全てのiについて、第iのシンボル及び第
【数22】
のシンボルを含む。以下において、「第iのシンボル」は、インデックスiのシンボルとして解釈される。同様にして、「第
【数23】
のシンボル」は、インデックス
【数24】
のシンボルとして解釈される。このため、8-ASKの場合、シンボルの集合は、以下の表のように定義される。
【表1】
【0037】
このように、1つの実施形態による整形符号化器は、等しい確率(すなわち、α)でM/2個の集合のうちの1つのsetをランダムに選択するように構成され、したがって、確率pでsetの第1のシンボルを送信し、確率1-pで第2のシンボルを送信する。集合の選択には、誤り訂正符号が用いられてもよい。setごとに、確率pが送信機及び受信機の双方によって知られている。
【0038】
M-ASKの場合の複雑さを制限するために定義される第2の特定の実施形態によれば、可能な分布の集合は、以下のように表すことができるものに限定される。すなわち、
全ての
【数25】
及び
【数26】
について、
【数27】
である。ここで、
【数28】
は確率の和が1となるように用いられるスケーリング定数である。変数
【数29】
をpによって表される。結果として、相互情報量は、ここで、集合
【数30】
及び
【数31】
について、次のように最適化される。
【数32】
【0039】
このため、本原理によれば、M-ASKコンスタレーションは、M/2個の集合に分割され、インデックスiの各集合は、
【数33】
及び
【数34】
であるような全てのiについて、第iのシンボル及び第
【数35】
のシンボル、すなわち、インデックスiのシンボル及びインデックス
【数36】
のシンボルを含む。このため、8-ASKの場合、シンボルの集合は、以下の表のように定義される。
【表2】
【0040】
このように、1つの実施形態による整形符号化器は、等しい確率(すなわち、α)でM/2個の集合のうちの1つのsetをランダムに選択するように構成され、したがって、確率pでsetの第1のシンボルを送信し、確率1-pで第2のシンボルを送信する。集合の選択には、誤り訂正符号が用いられてもよい。setごとに、確率pが送信機及び受信機の双方によって知られている。
【0041】
第1の実施形態において、確率値pは、所与のチャネル分布についてオフラインで計算される。例えば、チャネル内の雑音のガウス分布について、確率値pは一回限りオフラインで計算され、このためその後変更されない。
【0042】
第2の実施形態において、確率値pは、通信チャネルの所与の範囲のパラメータについてオフラインで計算され、送信機10と受信機14との間で共有される表に記憶される。例えば、チャネル分布がガウス分布である場合、パラメータは、この通信チャネルのSNRとすることができる。したがって、表において、p値の1つの所定の集合は、SNR値の各所定の範囲と関連付けられる。このため、送信機10は、現在のSNR値に応答して表からp値の所定の集合を選択し、それに応じて受信機14に通知する。
【0043】
第3の実施形態において、受信機14によって、パイロットシンボルの受信後、チャネル分布が推定される。次に、受信機14はp値を最適化し、これらを、シグナリングチャネルを用いることによって送信機10にフィードバックする。代替的に、受信機14は、チャネル分布を推定し、推定されたチャネル分布を送信機10に送信する。送信機10は、p値を最適化し、これらを受信機14にフィードバックする。p値の集合の最適化ステップは、線形探索とすることができる。すなわち、可能なp値の部分集合を定義し、推定されたチャネル分布に関連付けられた相互情報を計算する。選ばれたp値は、相互情報量を最大にする値である。一変形において、p値の集合は、式(1)等の最適化問題を解くことによって得られる。ここで、以下の制約、pi+M/2=1-pがp値に適用される。
【0044】
図3Aに示すように、コンスタレーション内の各シンボルが、より下位のビットが左にある自然ラベリングを用いてバイナリシーケンスによって表されるM-ASKコンスタレーションの場合、整形符号化器100は、図4A及び図4Bに示すように実施することができる。ここで、最上位ビットbは整形ビットである。8-ASKコンスタレーションの自然ラベリングは、以下の表1によって提供される。
【表3】
【0045】
図3Bに示すように、コンスタレーション内の各シンボルが、より下位のビットが左にあるグレイラベリングを用いてバイナリシーケンスによって表されるM-ASKコンスタレーションの場合、整形符号化器100は、図4Cに示すように実施することができる。8-ASKコンスタレーションのグレイラベリングは、以下の表2Aによって提供される。
【表4】
【0046】
この場合、整形ビットはbm-1であり、そのため、整形ビットは最上位ビットでない。
【0047】
一変形例において、表2Bに示される異なるグレイラベリングが用いられる。表2Bにおいて、最後の2行は表2Aと比較して反転されている。この後者の場合、整形符号化器100は、図4Aに示すように実施することができ、最上位ビットbは整形ビットである。
【表5】
【0048】
整形符号化器100は、送信機10の一部である。整形符号化器100は、スイッチ102、及び自然ラベリング又はグレイラベリングを使用可能なシンボルマッパー104を備え、図5にフローチャートが示されているような整形方法を実施するように構成される。必要に応じて、整形符号化器100は、チャネル符号化モジュールとも呼ばれるECC(誤り訂正符号の英語の頭字語)モジュール106を更に備える。ECCモジュール106は、通常、k*(m-1)ビットを入力とし、n*(m-1)ビットを出力する。ここで、k及びnは、所定の整数値であり、例えばk=500及びn=1000である。(所与の比率k/nについて)n*(m-1)が大きいほど、性能が良好になる。その一方で、レイテンシーはn*(m-1)と共に増大する。
【0049】
図4A及び図4Cにおいて、整形符号化器100は、2値情報源S0~S2m-1によってビットを供給される。Smax+1を、別個の2値情報源(すなわち、S0を含む)の数とする。すなわち、Smax=2m-1である。情報源S0は、等しい確率p(0)=p(1)=1/2を有する複数ビットを出力する。i∈[1;2m-1]の各情報源Siは、確率pで0のビットを出力し、そのため、確率(1-p)で1のビットを出力するように構成される。
【0050】
図4Bにおいて、整形符号化器100は、等しい確率p(0)=p(1)=1/2を有する複数ビットを出力する単一の2値情報源S0によってビットを供給される。この場合、情報源S1~S2m-1は、この単一の情報源S0から、例えばバイナリDM(分布マッチャーの英語の頭字語)を用いることによって、すなわち、情報源S1~S2m-1ごとに1つ得られる。バイナリDMは、例えば、Boehnke他、”Polar coded distribution matching”, Electron. Lett., vol. 55, no. 9, pp. 537-539, 2019に開示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、情報源S1~S2m-1を得るこの特定の方法に制限されないことが理解される。
【0051】
図4Bの整形符号化器100が、所与の情報源SiごとにECCモジュールを含まない場合、DMiは、入力として、情報源S0によって生成された
【数37】
をとり、
【数38】
ビットを出力する。ここで、Smax=2m-1であり、各ビットは、確率pで0に等しく、rは、1以上の所定の整数であり、H(p)はパラメータpを有する2値エントロピーである。このため、各DMiの出力は、確率pで0のビットを出力する情報源Siとみなされる。
【0052】
図4Bの整形符号化器100が、k*(m-1)ビットをn*(m-1)ビットに符号化し、この動作をr回繰り返すECCモジュール106を備える例において、各DMiは、入力として、情報源S0によって生成された
【数39】
をとり、
【数40】
ビットを出力する。ここで、Smax=2m-1であり、各ビットは、確率pで0に等しい。
【0053】
図5に戻ると、ステップS300において、情報源S0から(m-1)ビットが得られる。1つの実施形態(自然ラベリング)において、これらの(m-1)ビットは、(b,b,...,bm-1)であり、シンボルのLSBを形成する。M-ASKコンスタレーションは、第iのシンボル及び第
【数41】
のシンボル、
【数42】
を含む2つのシンボルのM/2個の集合に分割されるため、同じ集合に属する2つのシンボルは、同一のLSBを有する。例えば、図3Aを参照すると、setに属するシンボル-5及びシンボル3は、LSBとして「10」を有する。したがって、情報源S0から(m-1)ビットを得ることにより、M/2個の集合、このため1つの情報源Siから1つの集合を選択することが可能になる。
【0054】
別の実施形態(表2Bのグレイラベリング)において、これらの(m-1)ビットは、(b,b,...,bm-1)であり、シンボルのLSBを形成する。M-ASKコンスタレーションは、第iのシンボル及び第
【数43】
のシンボル(
【数44】
及び
【数45】
)を含む2つのシンボルのM/2個の集合に分割されるため、同じ集合に属する2つのシンボルは同一のLSBを有する。
【0055】
別の実施形態(表2Aのグレイラベリング)において、これらの(m-1)ビットは、ビット(b,b,...,bm-2,b)である。
【0056】
ステップS302において、2m-1個の2値情報源の中から、S0から得られた(m-1)ビットに対応する、スイッチ102によって1つの情報源Siが選択される。実際に、(m-1)ビットの各可能なバイナリシーケンスと、2m-1個の集合(このため、2m-1個の情報源)との間に1対1のマッピングが存在する。自然ラベリング又は表2Bのグレイラベリングの場合、選択された集合/情報源のインデックスiは、(m-1)ビットのバイナリシーケンス(b,b,...,bm-1)の十進数値D(b,b,...,bm-1)を1だけ増加されたもの、すなわち、1+D(b,b,...,bm-1)に等しい。コンスタレーション内の各シンボルは、より下位のビットが左にある自然ラベリングを用いたバイナリシーケンスによって表され、値
【数46】
である。バイナリ自然ラベリングが図3Aにおいて8-ASKコンスタレーションについて示されている。グレイラベリング(表2A)の場合、選択された集合/情報源のインデックスiは、(m-1)ビットのバイナリシーケンス(b,b,...,bm-2,b)の十進数値D(b,b,...,bm-2,b)を1だけ増加されたものに等しい。
【0057】
ステップS304において、整形ビットと呼ばれるビットは、この選択された情報源から得られる。自然ラベリング及び表2Bのグレイラベリングの場合、得られた1ビットは、シンボルのMSB bである。図2Aのグレイラベリングの場合、得られた1ビットはbm-1である。このため、S300において得られた(m-1)ビットは、整形ビット、例えば、自然ラベリング及び表2Bのグレイラベリングの場合、MSBが出力された1つの情報源を選択するようにスイッチを制御する。
【0058】
このため、ステップS306において、シンボルマッパー104は、自然ラベリング及び表2Bのグレイラベリングの場合、S300においてLSBとして得られた(m-1)ビット、及びS304においてMSBとして得られた選択された1ビットによって形成されるバイナリワードに対応して送信されるシンボルを生成する。このため、表2Aのグレイラベリングの場合、シンボルマッパー104は、S300において得られた(m-1)ビット(b,b,...,bm-2,b)、及びS304において得られた選択された1ビットbm-1によって形成されるバイナリワードに対応して送信されるシンボルを生成する。このため、バイナリワードは(b,b,...,bm-1,b)であり、LSBが左側にある。
【0059】
ステップS308において、得られたシンボルは、通信チャネル12を介して受信機14に送信される。ステップS300~S308は、次の(m-1)ビットの集合について繰り返すことができる。
【0060】
図4A又は図4Cの整形符号化器100が、(m-1)ビットのn個の集合を出力するECCモジュール106を備える場合、(m-1)ビットの各集合が、ステップS302において1つの情報源Si、このため1つの整形ビットを選択するために独立して用いられる。換言すれば、ステップS300~S308は、ECCモジュール106によって出力される(m-1)ビットの各集合について繰り返される。
【0061】
以下でM=8及びm=3について例を提供する。この場合、様々な集合が以下の表において定義される。
【表6】
【0062】
S300においてS0から得られた2つのビット「10」から、インデックス2の集合が選択され、このため、スイッチ102が、S302において情報源S2を選択するように位置決めされる。S304においてS2から得られるビットが「1」である場合、得られるバイナリワードは「101」であり、このため、S306においてコンスタレーションのシンボル3にマッピングされる。したがって、シンボル3は、シンボルマッパー104によって出力され、S308において送信される。
【0063】
S300においてS0から得られた2つのビットが「11」である別の例では、インデックス4の集合がS302において選択される。スイッチは情報源S4に位置決めされる。S304においてS4から得られるビットが「1」である場合、シンボルマッパーは、S306においてシンボル7(バイナリワード「111」に対応する)を出力する。S304においてS4から得られるビットが「0」である場合、シンボルマッパーは、S306においてシンボル「-1」(バイナリワード「110」に対応する)を出力する。
【0064】
以下でM=8及びm=3について別の例を提供する。この場合、様々な集合が以下の表において定義される。
【表7】
【0065】
S300においてS0から得られた2つのビット「10」から、インデックス2の集合が選択され、このため、スイッチ102が、S302において情報源S2を選択するように位置決めされる。S304においてS2から得られるビットが「1」である場合、得られるバイナリワードは「110」であり、このため、S306においてコンスタレーションのシンボル-3にマッピングされる(グレイラベリングの表2を参照)。したがって、シンボル-3は、シンボルマッパー104によって出力され、S308において送信される。
【0066】
S300においてS0から得られた2つのビットが「01」である別の例では、インデックス4の集合がS302において選択される。スイッチは情報源S4に位置決めされる。S304においてS4から得られるビットが「1」である場合、シンボルマッパーは、S306においてシンボル1(バイナリワード「011」に対応する)を出力する。S304においてS4から得られるビットが「0」である場合、シンボルマッパーは、S306においてシンボル「7」(バイナリワード「001」に対応する)を出力する。
【0067】
ガウスチャネル等のいくつかのチャネルの場合、p(x)は対称である。結果として、
【数47】
である。
【0068】
図3Aを参照すると、p3=1-p2及びp4=1-p1である。この対称性を考慮に入れて、図4Aの整形符号化器100は、図6に示すように更に簡略化することができる。2値情報源の数は、2で除算され、ビット反転は、いくつかの情報源が選択されるときに用いられる。この場合、Smax=2m-2である。
【0069】
,b,...,bm-1を、S300において2値情報源S0から得られるm-1ビットとする。
【数48】
である場合、スイッチは、S302において、図4A~4Cにおけるような対応する情報源を選択し、すなわち、インデックスD(b,b,...,bm-1)+1の情報源を選択し、S304において選択された情報源から得られた1ビットは反転されない。
【数49】
である場合、スイッチは、S302において、インデックス
【数50】
の情報源を選択し、S304において選択された情報源から得られた1ビットは反転されない。
【0070】
以下でM=8及びm=3について例を提供する。この場合、様々な集合が以下の表において表される。この場合、5つではなく、3つのみの2値情報源(S0、S1及びS2)が必要とされる。
【表8】
【0071】
S300においてS0から得られた2つのビット「10」から、インデックス2の集合が選択され、このため、スイッチ102が、S302において情報源S2を選択するように位置決めされる。S304においてS2から得られるビットが「1」である場合、得られるバイナリワードは「101」であり、このため、S306においてコンスタレーションのシンボル3にマッピングされる。したがって、シンボル3は、シンボルマッパー104によって出力され、S308において送信される。
【0072】
S300においてS0から得られた2つのビットが「11」である別の例では、次にインデックス4の集合が選択される。このため、スイッチ102は、S302において情報源S1を選択するように位置決めされる。S304においてS1から得られた1ビットが「1」に等しい場合、これは反転モジュール108によって反転される(すなわち、0に変更される)。最後に、シンボルマッパーはシンボル「-1」(バイナリワード「110」に対応する)を出力する。S304においてS1から得られた1ビットが「0」に等しい場合、これは反転モジュール108によって反転される(すなわち、1に変更される)。最後に、シンボルマッパーはシンボル「7」(バイナリワード「111」に対応する)を出力する。このため、ビット反転は、インデックス3及び4の集合が選択されるときにのみ適用される。
【0073】
図6には表されていない)一変形例において、整形符号化器100は、等しい確率p(0)=p(1)=1/2を有する複数ビットを出力する単一の2値情報源S0によってビットを供給される。この場合、情報源S1~S2m-2は、この単一の情報源S0から、バイナリDM(分布マッチャーの英語の頭字語)を用いることによって、図4Bに示すのと同じように情報源S1~S2m-2ごとに1つ得られる。このため、整形符号化器が所与の情報源SiごとにECCモジュールを備えない場合、DMiは、入力として、情報源S0によって生成された
【数51】
をとり、
【数52】
ビットを出力する。ここで、Smax=2m-2である。
【0074】
整形符号化器が、k*(m-1)ビットをn*(m-1)ビットに符号化し、この動作をr回繰り返すECCモジュールを備える例において、各DMiは、入力として、情報源S0によって生成された
【数53】
をとり、
【数54】
ビットを出力する。ここで、Smax=2m-2である。
【0075】
図3B(表2Aのグレイラベリング)を参照すると、p1=p3及びp2=p4である。この対称性を考慮に入れて、図4Cの整形符号化器100は、2値情報源の数を2で除算することによって更に簡略化することができる。この場合、選択された2値情報源は、インデックスがD(b,b,...,bm-2,b)+1 mod(M/2+1)に等しい情報源である。
【0076】
表2Bのグレイラベリングの場合、図4Aの整形符号化器100は、2値情報源の数を2で除算することによって更に簡略化することができる。この場合、選択された2値情報源は、インデックスがD(b,b,...,bm-1)+1 mod(M/2+1)に等しい情報源である。
【0077】
複雑さを更に低減するために、別個の2値情報源の数は、隣接するシンボルが同じ確率を有するように強制することによって低減することができる。例えば、8-ASKの場合、pはpに等しく設定される。同じpに関連付けられたシンボルは、同じ2値情報源からビットを選択する。Smaxが小さい(例えば2に等しい)場合であっても、
【数55】
である。実際には、S0に加えて2つの追加の2値情報源が、ガウスチャネルのために整形利得の大部分を得るのに十分である。このため、少数の2値情報源を用いて略最適な性能を達成することが可能である。2値情報源の数を限定することによって、以下のようないくつかの利点が提供される。
・整形符号化器の、このため送信機の(必要な動作数の観点における)複雑度の低減、
・確率の最適化の複雑度の低減、
・送信機がまずp個の値をシグナリングするときの送信機と受信機との間のシグナリングの低減、及び、
・送信機及び受信機の双方が表からp値を得るときの表のサイズの低減。
【0078】
概して、単一の2値情報源S0のみが利用可能である。1つの例において、2値情報源S0は等確率である。このため、図4Bに示すように、追加の2値情報源が単一の2値情報源S0から得られる。図7は、2つの追加の2値情報源が単一の2値情報源S0から得られる特定の実施形態による整形符号化器100を示す。この実施形態において、Smax=2及びビットは、(例えば、レイテンシー又はシステム制約に起因して)パケットごとに処理されなくてはならない。H(p)が、パラメータpを有する2値エントロピーを表すものとする。まず、情報源S0によって、
【数56】
ビットが生成される。(m-1)*k*rビットが得られ、誤り訂正符号モジュール106により符号化される。誤り訂正符号モジュール106は、(m-1)*n*rビットを出力する。これに並行して、
【数57】
ビット及び
【数58】
ビットが、2つのバイナリ分布マッチャーDM1及びDM2によって処理される。DM1は、
【数59】
ビットのシーケンスを出力し、ここで、各ビットは確率pで0に等しい。DM2は、
【数60】
ビットのシーケンスを出力し、ここで各ビットは確率pで0に等しい。誤り訂正符号モジュール106の出力において、m-1ビットのn個の集合のそれぞれは、対応するDMの出力において1つの整形ビットbを選択するようにスイッチ102を制御する。このため、図5について開示された方法は、m-1ビットのn個の集合のそれぞれに適用される。図6に開示されたビット反転を、選択された情報源に依存して更に適用することができる。
【0079】
スイッチが第1のDMに
【数61】
ビットを要求し、第2のDMに
【数62】
ビットを要求することが可能である。ここで、εはランダム量である。1つの情報源がもはや利用可能なビットを有しない場合、他の情報源からビットが選択される。
【0080】
図4A図7に関して記載した、上述した整形符号化器のうちの任意のものを用いてM-ASKシンボルが得られると、送信機10は、偏波、時間、周波数及び空間等のいくつかの次元を通じてこれらを送信する。例えば、送信機10は、一方が実部、及び他方が虚部の複素シンボルにおいて2つのASKシンボルをグループ化することができる。この場合、M-ASK変調は、QAM変調とも呼ばれる。
【0081】
様々な実施形態において、整形符号化器100は、より下位のビットを符号化するのに用いられるECCモジュール106を必要に応じて備えてもよい。一例において、ECCモジュールは、マルチレベルpolar符号化を用いてこれらのビットを符号化するように構成される。マルチレベルコーティングの原理を以下に開示する。
【0082】
通信チャネルの入力Xと出力Yとの間の相互情報量は、連鎖法則を用いて次のように表すことができる。
【数63】
ここで、Bは、検討されるラベリングの第iのビットに対応する確率変数を表す。
【0083】
1ビットレベルは、I(B;Y|B,...,Bi-1)によって表されるチャネルを指す。バイナリコードを用いてこの第iのレベルにわたって情報を送信するとき、コーディングレートは、I(B;Y|B,...,Bi-1)にマッチするように選ばれる。実際には、用いられるコードに依存するバックオフが適用される。この通信チャネルは、対数尤度比(LLR)によって特徴付けることもできる。
【0084】
=b,...,Bi-1=bi-1を所与として、
【数64】
を、B=0を用いて得られたコンスタレーションのシンボルの集合とし、
【数65】
を、B=1を用いて得られたコンスタレーションのシンボルの集合とする。受信シンボルyを所与として、LLRは以下のように定義される。
【数66】
【0085】
第1のレベルにおけるビットは等確率のままであるため、p(B=1|B=b,...,Bi-1=bi-1)=p(B=0|B=b,...,Bi-1=bi-1)=0.5が得られ、相互情報量は以下のように計算される。
【数67】
【0086】
整形のために用いられる最後のビットレベルに関して、
【数68】
及び
【数69】
が得られ、相互情報量は以下のように計算される。
【数70】
【0087】
検討されるSNRの範囲について、整形ビットbは、チャネルコードを用いて符号化される必要がない。相互情報量I(Y;B|B,...,Bm-1)は、対応するレベルのエントロピーに等しく、すなわち、通信チャネルは「クリーン」である。このため、整形ビットbは、上記で開示された実施形態においてチャネルコードを用いて符号化されない。結果として、図7におけるkの値は、
【数71】
として選ぶことができる。
【0088】
このとき、マルチレベルpolar符号化は、単に、各ビットレベルが、率I(Y;B|B,...,Bi-1)を有するpolar符号で符号化されることを意味する。ブロック長は、用いられるpolar符号のサイズを指す。
【0089】
受信機側で、リスト復号を用いてpolar符号を復号する。リスト復号については、Tal et al., "List decoding of polar codes", IEEE Transactions on Information Theory, vol. 61, no. 5, pages 2213-2226, (2013)に開示されている。リスト復号器は、MAP復号を実行する。結果として、復号器は、LLRを入力として取り(式(2)を参照)、これは、計算される入力分布の知識を必要とする。換言すれば、受信機は、リスト復号のためにpの値を知る必要がある。
【0090】
図8に、特定の実施形態による復号方法のフローチャートを示す。
【0091】
ステップS400において、集合の、このためステップS302において送信機側で選択された情報源のインデックスiがまず得られる。集合の選択が、送信機によって誤り訂正符号によりブロック単位で行われる場合、チャネル復号によってインデックスiが得られる(すなわち、集合のインデックスのブロックが共に復号される)。
【0092】
ステップS402において、集合のインデックスiが復号されると、集合iの2つのシンボルのうちの一方が、受信したyに基づいて検出される。ほとんどのチャネル復号器は、最大事後(MAP)復号を実行する。集合i内の送信されたシンボルの検出は、MAP検出も実行することができる。MAP復号は、入力分布を知ることを要する。換言すれば、受信機は、効率的な復号のためにpの値を知る必要がある。
【0093】
いくつかの場合、集合iにおける最大尤度(ML)検出を行えば十分である(なぜなら、信頼性が十分高く、事後確率を考慮に入れる必要がないため)。結果として、pの知識は、チャネル復号器によってのみ用いることができる。
【0094】
ステップS404において、検出されたシンボルからビットを復元するために、逆マッピングが適用される。このステップは、ステップS306の逆である。ステップS406において、ステップS302の逆が適用される。このため、スイッチ102は、適切な情報源に整形ビット、すなわち、自然ラベリング又は表2Bのグレイラベリングの場合、MSBビットを送信するように位置決めされる。場合によっては、バイナリDMが送信機側で用いられる場合、逆バイナリDMが適用される。
【0095】
ビット反転が送信機側で適用される場合、ビット反転は、ステップS406において、反転モジュール108によって受信機側で適用される。
【数72】
である場合、復号された1ビットは反転され、ここで、
【数73】
は復号されたより下位のビットの値を表す。
【0096】
図9は、特定の実施形態による、送信機10のハードウェアアーキテクチャの一例を概略的に示す。
【0097】
送信機10は、通信バス110によって接続された、プロセッサ又はCPU(中央処理ユニットの頭字語)111と、ランダムアクセスメモリRAM112と、リードオンリーメモリROM113と、ハードディスク又はストレージ媒体リーダ、例えばSD(セキュアデジタルの頭字語)カードリーダ等のストレージユニット114と、送信機10がデータを送受信することを可能にする通信インタフェースCOM115の少なくとも1つの集合とを備える。
【0098】
プロセッサ111は、ROM113から、外部メモリ(SDカード等)から、ストレージ媒体(HDD等)から又は通信ネットワークからRAM112内にロードされた命令を実行することが可能である。送信機10の電源が入れられると、プロセッサ111は、RAM112からの命令を読み出し、これらを実行することが可能である。これらの命令は、プロセッサ111に、図4A図7に関して記載した方法を実施させるコンピュータプログラムを形成する。
【0099】
図4A図7について記載した方法は、プログラマブル機械、例えば、DSP(デジタル信号プロセッサの頭字語)、マイクロコントローラ又はGPU(グラフィックス処理装置の頭字語)による命令のセットの実行によってソフトウェアの形態で実施することもできるし、機械又は専用の構成要素(チップ又はチップセット)、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイの頭字語)若しくはASIC(特定用途向け集積回路の頭字語)によってハードウェアの形態で実施することもできる。概して、送信機10は、図4A図7に関して記載した方法を実施するように適合及び構成された電子回路部を含む。
【0100】
図10は、特定の実施形態による、受信機14のハードウェアアーキテクチャの一例を概略的に示す。
【0101】
受信機14は、通信バス210によって接続された、プロセッサ又はCPU(中央処理ユニットの頭字語)201と、ランダムアクセスメモリRAM202と、リードオンリーメモリROM203と、ハードディスク又はストレージ媒体リーダ、例えばSD(セキュアデジタルの頭字語)カードリーダ等のストレージユニット204と、受信機14がデータを送受信することを可能にする通信インタフェースCOM205の少なくとも1つの集合とを備える。
【0102】
プロセッサ201は、ROM203から、外部メモリ(SDカード等)から、ストレージ媒体(HDD等)から又は通信ネットワークからRAM202内にロードされた命令を実行することが可能である。受信機14の電源が入れられると、プロセッサ201は、RAM202からの命令を読み出し、これらを実行することが可能である。これらの命令は、プロセッサ201に、図8に関して記載した方法を実施させるコンピュータプログラムを形成する。
【0103】
図8について記載した方法は、プログラマブル機械、例えば、DSP(デジタル信号プロセッサの頭字語)、マイクロコントローラ又はGPU(グラフィックス処理装置の頭字語)による命令のセットの実行によってソフトウェアの形態で実施することもできるし、機械又は専用の構成要素(チップ又はチップセット)、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイの頭字語)若しくはASIC(特定用途向け集積回路の頭字語)によってハードウェアの形態で実施することもできる。概して、受信機14は、図8に関して記載した方法を実施するように適合及び構成された電子回路部を含む。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】