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  • 特表-ねじり振動減衰を用いる管状ノコ盤 図1
  • 特表-ねじり振動減衰を用いる管状ノコ盤 図2
  • 特表-ねじり振動減衰を用いる管状ノコ盤 図3
  • 特表-ねじり振動減衰を用いる管状ノコ盤 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ねじり振動減衰を用いる管状ノコ盤
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/00 20060101AFI20241206BHJP
   F16F 15/10 20060101ALI20241206BHJP
   F16F 15/16 20060101ALI20241206BHJP
   B23D 45/12 20060101ALI20241206BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241206BHJP
   B26D 7/00 20060101ALN20241206BHJP
   B26D 1/14 20060101ALN20241206BHJP
【FI】
B23D47/00 E
F16F15/10 Y
F16F15/16 Z
B23D45/12 Z
B23Q11/00 A
B26D7/00 B
B26D1/14 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507157
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2023050384
(87)【国際公開番号】W WO2023135108
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】202022100236.3
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319012369
【氏名又は名称】ラトゥンデ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラトゥンデ,ウルリヒ
【テーマコード(参考)】
3C011
3C027
3C040
【Fターム(参考)】
3C011AA05
3C027LL01
3C040AA01
3C040GG36
(57)【要約】
本発明はノコ刃(3)が搭載されるノコシャフト(2)を伴うノコ盤に関し、制振体(7)を用いるねじり振動減衰であり、制振体(7)は、ノコシャフト(2)上でノコ刃(3)のそばに配置され、断面内でノコシャフト(2)を完全に囲み、制振体(7)は、ギャップ(11)によって、ノコシャフト(2)から分離され、ノコシャフト(2)上でクリアランスを伴って配置され、制振体(7)とノコシャフト(2)との間のギャップ(11)は流体で満たされることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノコ刃(3)が搭載されるノコシャフト(2)を伴うノコ盤に関し、制振体(7)を用いるねじり振動減衰であり、前記制振体(7)は、前記ノコシャフト(2)上で前記ノコ刃(3)のそばに配置され、断面内で前記ノコシャフト(2)を完全に囲み、前記制振体(7)は、ギャップ(11)によって、前記ノコシャフト(2)から分離され、前記ノコシャフト(2)上でクリアランスを伴って配置され、前記制振体(7)と前記ノコシャフト(2)との間の前記ギャップ(11)は流体で満たされることを特徴とする、ノコ盤。
【請求項2】
前記制振体(7)は、前記ノコシャフト(2)上で、各断面方向で0.01mm±0.005mmのクリアランスを伴って配置されることを特徴とする、請求項1に記載のノコ盤。
【請求項3】
前記ノコ刃(3)は前記ノコシャフト(2)の一端に搭載され、回転可能に固定して前記ノコシャフト(2)に接続される駆動歯車(6)は前記制振体(7)と前記ノコ刃(3)との間に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のノコ盤。
【請求項4】
前記制振体(7)が配置される縦部における前記ノコシャフト(2)の表面は円筒形であり、前記制振体(7)のボアの内壁は、また、円筒形であることを特徴とする、請求項1、2、または3に記載のノコ盤。
【請求項5】
前記ノコシャフト(2)の前記表面は、前記制振体(7)が配置される縦部におけるプロファイルを有し、前記制振体(7)のボアの内壁は対応するプロファイルを有することを特徴とする、請求項1、2、または3に記載のノコ盤。
【請求項6】
前記プロファイルは蛇行プロファイルであり、前記対応するプロファイルは対応する蛇行プロファイルであることを特徴とする、請求項5に記載のノコ盤。
【請求項7】
前記制振体(7)は、前記ギャップ(11)を前記流体で充填するための半径方向ボアを有することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のノコ盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノコ刃が搭載されるノコシャフトを伴うノコ盤に関する。
【背景技術】
【0002】
ノコ盤は先行技術で知られている。例えば、管のセクションを一定長さに切断できる管ノコ盤は、独国特許発明第102004053732号明細書から知られている。管ノコ盤は、多くの場合、統合型ノコプラントの一部であり、これは、管を一定長さに切断するだけでなく、管を洗う、面取りをし、そうでなければ加工する。
【0003】
一定長さに切断された管セクションに関する高精度の要件及びノコ刃の耐用年数は、依然として、問題がある。例えば、金属管は0.01mmの精度で一定長さに切断されるはずであり、この精度は99.99%の確率で維持されるはずである。
【0004】
ねじり振動は特定の問題になることが分かっており、その問題は、ノコ刃に作用する荷重が一定ではないが、管の材料へのノコ歯の出入りによる周期的変動を受けるという事実によって生じる。これらにより、ノコシャフト及びノコ刃に、望ましくないねじり振動がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許発明第102004053732号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記の不利点を減らすノコ盤を提供することである。
【0007】
その目的は、請求項1の特徴を始めとして言及されるノコ盤によって満足される。本発明によるノコ盤は、ノコ刃が搭載されるノコシャフトを有する。本発明によると、ねじり振動減衰では、ノコシャフト上でノコ刃のそばに配置される制振体が設けられ、断面内でノコシャフトを完全に囲み、制振体は、ギャップによって、ノコシャフトから分離され、ノコシャフト上でクリアランスを有し、制振体とノコシャフトとの間のギャップは流体で満たされる。
【0008】
制振体は、好ましくは、各断面内でノコシャフトのセクションに沿って、ノコシャフトの周りで完全に進む。制振体は、好ましくは、各断面方向で、クリアランスを伴ってノコシャフトに設置される。好ましくは、ギャップが0.01mm+/-0.005mmの幅を有することによって、クリアランスは、好ましくは、同じ数値サイズをとる。しかしながら、また、他の数値範囲も考えられる。
【0009】
制振体がクリアランスを伴うノコシャフト上で適合し、ギャップは好ましくは粘性流体で満たされるため、制振体により、ノコシャフトに対する減衰効果が生じる、すなわち、制振体は、ノコシャフトの角速度の変化に対抗する。ノコシャフトにより、わずかにその角速度が増加する場合、制振体がその変化わずかに従う、流体によって、ノコシャフトを制動する。逆に、ノコシャフトの角速度が減速するとき、前進する制振体により、ノコシャフトが加速する。
【0010】
好ましくは、ノコ刃はノコシャフトの一端に搭載され、ノコシャフトに沿って回転可能に固定してノコシャフトに接続される駆動歯車は、制振体とノコ刃との間に配置される。
【0011】
ノコシャフトは、ひいてはノコ刃も、駆動歯車を介して駆動する。ノコ刃を使用して、プロファイルを一定長さに切断する、または同様のもの、好ましくは金属管、金属プロファイルを切断する。
【0012】
本発明の好都合な実施形態では、ノコシャフトの表面は、制振体が配置される縦部に沿って円筒形であり、制振体のボアの内壁は、また、円筒形である。これは、ノコシャフトの外壁及び制振体の内壁は、相互に向かって同心円状に配置された2つのシリンダーとして成形されることを意味する。ギャップは、流体で満たすことができる円周リングによって形成される。この場合の減衰効果は、ニュートン摩擦力によって生じる。制振体は、好ましくは、ノコシャフトの周りで、完全に回転可能である。
【0013】
しかしながら、他の断面形状のギャップも可能である。好ましくは、ノコシャフトの表面は、制振体が配置される縦部におけるプロファイルを有し、制振体のボアの内壁は対応するプロファイルを有する。例えば、プロファイルは蛇行プロファイルであり得、対応するプロファイルは対応する蛇行プロファイルであり得る。結果として、制振体は、ノコシャフト上に回転可能に上に配置されないが、依然として、各方向で遊びを有する。この場合、減衰効果は、ニュートン摩擦力の影響が少なく、ギャップに配置された流体が蛇行プロファイルの歯面の間で前後に流れるという事実に強く影響することによって、ノコシャフトの角速度の変化とは逆に作用するノコシャフトの歯に及ぼす吸引効果または圧力効果を生じさせる。
【0014】
有利に、制振体は、ギャップを流体で充填するための半径方向ボアを有する。ボアは外側から閉鎖できる。
【0015】
本発明は4つの図で2つの実施形態の例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による、ノコ盤の制振体の第1の実施形態の部分の縦断面である。
図2】減衰がある場合及びない場合の時間的な角速度の依存関係のグラフィカル表現である。
図3】本発明による、制振体の第2の実施形態の断面である。
図4】動作中の制振体の第2の実施形態の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、ノコシャフト2を伴う本発明による、ノコ盤1の断面を示し、ノコシャフト2の一端に、ノコ挟持カバー4を伴う円形断面のノコ刃3は、ノコベアリング5に搭載される。ノコシャフト2は、回転可能に固定してノコシャフト2に接続される駆動歯車6によって駆動される。駆動歯車6自体の駆動部は示されない。駆動歯車6に加えて、制振体7はノコシャフト2に設けられる。制振体7は、断面内のセクションに沿って、ノコシャフト2を完全に囲む。駆動歯車6は、制振体7とノコ刃3との間に配置される。ハウジング8は、駆動歯車6、ノコベアリング5との間で進む。ノコシャフト2は、ハウジング8内の摺動ベアリング9に搭載される。
【0018】
制振体7とノコシャフト2との間に、円周ギャップ11が存在し、その結果、制振体7は、0.01mm+/-0.005mmのクリアランスを伴って、ノコシャフト2上に配置される。ギャップ11は流体で満たされる。流体はオイルであり得る。ギャップ11を充填するために、チャネルは制振体7を通るように設けることができ、チャネルにより、ギャップ11を外側から充填することを可能にする。
【0019】
ギャップ11は、ノコシャフト2及び制振体7が相互に同心円状に位置付けられるとき、縦方向Lに垂直な図1に示される第1の実施形態で環状の断面である。ギャップ11は、ノコシャフト2を囲む制振体7の縦方向Lにおいて、全延長部に沿って成形されている。制振体7は中空円筒形を有する。
【0020】
図1は、一定長さに切断される加工品12、例えば管になるように、ノコ刃3が切断する状態を示す。
【0021】
図2は、一定の動作角速度ω0あたりの角速度13の不減衰振動及び角速度14の減衰振動を示す。ノコ刃2は、動作中の動作角速度ω0を有する。ノコ刃3のねじり振動は、動作角速度ω0に重なる。ねじり振動は、歯形メッシュ及び歯形出口が交互に並んでいることにより、ノコ刃が定期的に減速し、わずかに加速するという事実によって生じる。
【0022】
図2における角速度14の減衰振動は制振体7の効果を示し、角速度13の不減衰振動と比較して、ねじれ振動の振幅がかなり減ることになる。制振体7は、円周方向に移動できるように、ノコシャフト2に配置される。図1では、制振体7とノコシャフト2とのニュートン摩擦力は、下式で求められ、
Fr=Aη(dv:dy)
ノコシャフト2の角速度が増加または減少するとき生じる。ここでは、Aはギャップ面積を意味し、ηは、流体、この場合、オイルの粘度を意味し、(dv:dy)は回転方向の速さの変化を意味する。
【0023】
制振体7の慣性により、ノコシャフト2の角速度ωが減少するとき、制振体7は、前進し、減少する角速度ωに対抗して追加力を生成する一方、ノコシャフト2の角速度ωが増加する場合、正反対の効果が発生するという事実がもたらされる。
【0024】
図3は、制振体7とノコシャフト2との間の本発明によるギャップ11の第2の実施形態を断面で示す。ギャップ11は蛇行形状の断面を有する。第1の実施形態では、制振体7とノコシャフト2とのニュートン摩擦力が存在するが、第2の実施形態の場合、制振体7がその慣性により減衰が発生するため、角速度の変化に対して遅れ、ねじり振動により、ギャップ11のセクションから外に流体を変位させる、または吸込する。図3の断面形状は、ここでは、蛇行形状と呼ぶ。また、他の断面形状も考えられる。
【0025】
図4は、蛇行形態でギャップ11の効果を詳細に示す。ノコシャフト2の角速度ωは可変である。歯が加工品12に入るときに角速度ωは減少し、歯が加工品12から出るときに増加する。ノコシャフト2の角速度ωの変化はΔωである。
【0026】
角速度Δωのわずかな変化が発生し、その場合、ノコ刃3、ひいては、ノコシャフト2は、歯の進入によってわずかに減速するとき、制振体7は、回転方向に、図4では反時計回りに前進し、ノコシャフト2に対して時計回りにシフトする。ギャップ拡大16及びギャップ縮小17が生じる。ギャップ拡大16により、流体に吸引効果を及ぼし、ギャップ縮小17により、流体が変位する。これにより、ノコシャフト2に小さな追加推進力が生じ、ねじり振動は減衰する。
【符号の説明】
【0027】
1 ノコ盤
2 ノコシャフト
3 ノコ刃
4 ノコ挟持カバー
5 ノコベアリング
6 駆動ギヤホイール
7 制振体
8 ハウジング
9 滑りベアリング
12 加工品
13 角速度の不減衰振動
14 角速度の減衰振動
16 ギャップ拡大
17 ギャップ縮小
L 縦方向
ω 角速度
ω0 動作角速度
Δω 角速度の変化分
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】