(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】低減した熱応力によるプロセスインテンシブリアクタ
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20241206BHJP
B01J 19/24 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B01J19/00 321
B01J19/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516822
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022043900
(87)【国際公開番号】W WO2023044072
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524099315
【氏名又は名称】バトル メモリアル インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】テグロテンハウス、ワード イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハンブル、ポール エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ベルドマン、ティモシー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、リチャード エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ウェゲング、ロバート エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターズ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ダリル
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA39
4G075BA01
4G075CA02
4G075CA05
4G075DA02
4G075EA02
4G075EA07
4G075EB50
4G075FA12
4G075FB02
(57)【要約】
温度における大きな変動の影響を受けるリアクタは、故障または工程中断につながる場合がある熱応力の影響を受ける。本発明では、熱応力からリアクタを保護するリアクタ設計が提供される。膨脹継手を設け、熱膨張を調節するように壁の厚みまたは剛性を変化させることによって、熱応力が低減され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板形状装置であって、
中心軸と、
前記中心軸から円板の外周に向かって放射するチャネルの第1のセットを含む前記円板であって、前記チャネルの第1のセットは、複数のチャネルを含み、前記複数のチャネルにおける前記チャネルの各々は、前記中心軸の周りに配置された少なくとも1つの入口を含む、前記円板と、
前記中心軸に並列に及び前記中心軸に沿って配置された流体入口と、
前記流体入口と前記チャネルの各々の前記少なくとも1つの入口との間の複数の接続と、を備え、
各々のチャネルは、チャネル長に垂直である第1の断面エリアを有し、各々の単一の入口または複数の入口は、第2の断面エリアを有し、
前記円板は、前記円板の主要な表面にわたる円形最上部壁及び前記円板の前記外周の周りの円筒状側壁を含み、
以下の特徴:
前記複数のチャネルにおける各々のチャネルが、前記チャネル長に沿った膨脹継手を含むこと、
前記側壁が、前記最上部壁よりも厚みがある、または硬度を有すること、
前記複数のチャネルにおける各々のチャネルが、長さ及び厚みに垂直である幅を有し、前記壁の厚みが前記外周に向かって増大するように前記幅が前記円板の前記外周に向かって狭くなること、または
前記第2の断面エリアが、前記第1の断面エリアよりも少なくとも20%、もしくは50%、もしくは70%小さいこと、
のうちの1つまたはいずれかの組み合わせを更に含む、前記装置。
【請求項2】
リアクタの各々の壁は、単一の材料から成り、前記単一の材料は、超合金である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のチャネルにおける各々のチャネルは、前記チャネル長に沿った膨脹継手を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記膨脹継手は、さねはぎ継手、角度付けられた隙間、薄肉化した壁、隙間への薄肉化した壁、ベローズ、または重なり合うフランジを有する隙間、から成るグループから選択される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記膨脹継手は、角度付けられた隙間を含み、前記角度付けられた隙間は、流動の方向において角度付けられ、流動に反して角度付けられ、またはV字型に角度付けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記膨脹継手は、さねはぎ継手である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記膨脹継手は、薄肉化した壁を含み、前記壁は、前記壁の平均厚さよりも少なくとも40%薄い(または、少なくとも60%薄い)厚さまで薄くなり、前記平均は、前記薄肉化したセクションを含まない前記チャネルの前記長さを上回る、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記側壁は、前記最上部壁よりも厚みがある、または硬度を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項9】
前記側壁は、前記最上部壁よりも硬度を有する材料から成る、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のチャネルにおける前記チャネルの各々は、長さ及び厚みに垂直である幅を有し、前記壁の厚みが前記外周に向かって増大するように前記幅が前記円板の前記外周に向かって狭くなる、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
中心の流体入口は、前記複数のチャネルにおける前記チャネルの各々に垂直である、先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記リアクタは、固体触媒を含む反応チャネルの第1の円板形状層と、熱リクーパレーションチャネルを含む第2の円板形状層とを含み、前記第1の層において成る反応生成物は、前記中心軸に向かって戻る前記第2の層における戻りチャネルの中を通ることができる、先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記第2の断面エリアは、前記第1の断面エリアよりも少なくとも20%、または50%、または70%少ない、先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記膨脹継手は、ベローズを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項15】
前記円板形状装置は、前記中心軸に並列した厚みを有し、前記円板形状装置の全体的な厚みを通じた中心開口を含む、先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
熱化学反応を行う方法であって、請求項12に記載の装置の中に反応物を通すことと、熱リクーパレーションチャネルとは反対にある前記反応チャネルの外部壁を通じて前記反応チャネルの中に熱を加えるステップを更に含む、前記方法。
【請求項17】
熱化学反応を行う方法であって、
円板形状装置を設けることであって、前記円板形状装置は、
中心軸と、
前記中心軸から円板の前記外周に向かって放射するチャネルの第1のセットを含む前記円板であって、前記チャネルの第1のセットは、複数のチャネルを含み、前記複数のチャネルにおける前記チャネルの各々は、前記中心軸の周りに配置された少なくとも1つの入口を含む、前記円板と、
前記中心軸に並列に及び前記中心軸に沿って配置された流体入口と、
前記流体入口と前記チャネルの各々の前記少なくとも1つの入口との間の複数の接続と、を備え、
前記円板は、前記円板の主要な表面にわたる円形最上部壁及び前記円板の前記外周の周りの円筒状側壁を含む、
前記設けることと、
前記円板の前記主要な表面(例えば、
図8cの外部水平板)を通じて熱を加えることであって、熱流束は、前記リアクタの中心の近くでより高く、前記リアクタの前記外周に向かって減少する、前記加えることと、
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記円板の前記中心の近くの前記主要な表面のエリアの50%にわたる熱流束は、前記円板の前記中心から最も遠い主要な表面のエリアの50%よりも少なくとも10%大きい、または少なくとも20%大きい、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
円板形状装置であって、
中心軸と、
前記中心軸から円板の前記外周に向かって放射するチャネルの第1のセットを含む前記円板であって、前記チャネルの第1のセットは、複数のチャネルを含み、前記複数のチャネルにおける前記チャネルの各々は、前記中心軸の周りに配置された少なくとも1つの入口を含む、前記円板と、
前記中心軸に並列に及び前記中心軸に沿って配置された流体入口と、
前記流体入口と前記チャネルの各々の前記少なくとも1つの入口との間の複数の接続と、を備え、
前記円板は、前記円板の主要な表面にわたる円形最上部壁及び前記円板の前記外周の周りの円筒状側壁を含み、
前記チャネルの第1のセットは、第1の層を定義し、
前記装置は、前記第1の層に隣接した第2の層を更に備え、
前記第2の層は、前記円板の前記外周から前記中心軸に延在するチャネルの第2のセットを含み、前記チャネル第1のセットからの流動が前記チャネルの第2のセットの中に通るように、前記チャネル第1のセットは、前記外周において前記チャネルの第2のセットに接続し、
触媒が前記のチャネルの第1のセット内に存在し、前記チャネルの第2のセット内の前記触媒の少なくとも90質量%が前記外周に最も近いチャネル長の50%以内に存在するように、前記触媒が前記チャネルの第2のセット内に存在する、前記装置。
【請求項20】
熱化学反応を行う方法であって、
請求項19に記載の装置において熱化学反応を行うことを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年9月16日に出願された米国仮特許出願第63/245,182号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
TeGrotenhuis et al.、Zheng et al.及びWegeng et al.は、太陽集光器からの太陽放射を使用するためのリアクタを設計してきた。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第10,981,141号、第11,358,111号、及び第9,950,305号を参照されたい。典型的には、それらは、外面が太陽集光器と対にされた円板形状リアクタである。しかしながら、この業績は、熱膨張からの応力を低減する手段を説明していない。
【0003】
熱化学反応のために、小型チャネルを有する統合された熱伝達リアクタが長く使用されてきた。それらのリアクタに対する設計は、熱膨張の問題に対処してきた。例えば、米国特許第7,931,875号では、Tonkovich et al.は、リアクタの最も高温の端を膨張から解放させたままにすることによって、熱膨張の問題に対処する。米国特許第9,134,079号及び第9,475,026号は、様々なマニフォールド設計及び複数の並列チャネルを通じた流動制御を説明する。それらの業績及び他の業績に関わらず、リアクタの外壁を通じてまたは外壁内で環境からのエネルギー(例えば、太陽集光器または誘導加熱源または他のエネルギー源からの)を取り入れる円板形状リアクタにおける熱応力及び制御フローを低減させる必要性が残る。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様では、本発明は、円板形状装置を提供し、円板形状装置は、中心軸と、中心軸から円板の外周に向かって放射するチャネルの第1のセットを含む円板であって、チャネルの第1のセットは、複数のチャネルを含み、複数のチャネルにおけるチャネルの各々は、中心軸の周りに配置された少なくとも1つの入口を含む、円板と、中心軸に並列に及び中心軸に沿って配置された流体入口と、流体入口とチャネルの各々の少なくとも1つの入口との間の複数の接続と、を含み、各々のチャネルは、チャネル長に垂直である第1の断面エリアを有し、各々の単一の入口または複数の入口は、第2の断面エリアを有し、円板は、円板の主要な表面にわたる円形最上部壁及び円板の外周の周りの円筒状側壁を含み、以下の特徴:複数のチャネルにおける各々のチャネルが、チャネル長に沿った膨脹継手を含むこと、側壁が、最上部壁よりも厚みがある、または硬度を有すること、複数のチャネルにおける各々のチャネルが、長さ及び厚みに垂直である幅を有し、壁の厚みが外周に向かって増大するように幅が円板の外周に向かって狭くなること、または第2の断面エリアが、第1の断面エリアよりも少なくとも20%、もしくは50%、もしくは70%小さいこと、のうちの1つまたはいずれかの組み合わせを更に含む。
【0005】
その態様のいずれかでは、本発明は、以下:リアクタの各々の壁は、単一の材料から成り、単一の材料は、超合金であることと、複数のチャネルにおける各々のチャネルは、チャネル長に沿った膨脹継手を含むことと、膨脹継手は、さねはぎ継手、角度付けられた隙間、薄肉化した壁、隙間への薄肉化した壁、ベローズ、または重なり合うフランジを有する隙間、から構成されたグループから選択されることと、膨脹継手は、角度付けられた隙間を含み、角度付けられた隙間は、流動の方向において角度付けられ、流動に反して角度付けられ、またはV字型に角度付けられることと、膨脹継手は、さねはぎ継手であることと、膨脹継手は、薄肉化した壁を含み、壁は、壁の平均厚みよりも少なくとも40%薄い(または、少なくとも60%薄い)厚みまでの厚みであり、平均は、薄肉化したセクションを含まないチャネルの長さを上回ることと、側壁は、最上部壁よりも厚みがある、または硬度を有することと、側壁は、最上部壁よりも硬度を有する材料から成ることと、複数のチャネルにおけるチャネルの各々は、長さ及び厚みに垂直である幅を有し、壁の厚みが外周に向かって増大するように幅が円板の外周に向かって狭くなることと、中心の流体入口は、複数のチャネルにおけるチャネルの各々に垂直であることと、リアクタは、固体触媒を含む反応チャネルの第1の円板形状層と、熱リクーパレーションチャネルを含む第2の円板形状層とを含み、第1の層において成る反応生成物は、中心軸に向かって戻る第2の層における戻りチャネルの中を通ることができることと、第2の断面エリアは、第1の断面エリアよりも少なくとも20%、または50%、または70%少ないことと、膨脹継手は、ベローズを含むことと、円板形状装置の全体的な厚みを通じた中心開口を含むことと、のうちの1つまたはいずれかの組み合わせによって更に特徴付けられることができる。
【0006】
本発明はまた、装置の中に反応物を通すことと、熱リクーパレーションチャネルとは反対にある反応チャネルの外部壁を通じて反応チャネルの中に熱を加えるステップを更に含む、熱化学反応を行う方法を含む。
【0007】
更なる態様では、本発明は、円板形状装置を設けることであって、円板形状装置は、中心軸と、中心軸から円板の外周に向かって放射するチャネルの第1のセットを含む円板であって、チャネルの第1のセットは、複数のチャネルを含み、複数のチャネルにおけるチャネルの各々は、中心軸の周りに配置された少なくとも1つの入口を含む、円板と、中心軸に並列に及び中心軸に沿って配置された流体入口と、流体入口とチャネルの各々の少なくとも1つの入口との間の複数の接続と、を含み、円板は、円板の主要な表面にわたって円形最上部壁及び円板の外周の周りの円筒状側壁を含む、設けることと、円板の主要な表面(例えば、
図8cの外部水平板)を通じて熱を加えることであって、熱流束は、リアクタの中心の近くでより高く、リアクタの外周に向かって減少する、加えることと、を含む熱化学反応を行う方法を提供する。
【0008】
その態様のいずれかでは、本発明は、以下:熱化学反応は、吸熱反応であることと、熱化学反応は、炭化水素(メタンを含む)の改質または逆水素化反応を含むことと、円板の中心の近くの主要な表面のエリアの50%にわたる熱流束は、円板の中心から最も遠い主要な表面のエリアの50%よりも少なくとも10%大きくまたは少なくとも20%大きいことと、のうちの1つまたはいずれかの組み合わせによって更に特徴付けられることができる。
【0009】
別の態様では、本発明は、円板形状装置を提供し、円板形状装置は、中心軸と、中心軸から円板の外周に向かって放射するチャネルの第1のセットを含む円板であって、チャネルの第1のセットは、複数のチャネルを含み、複数のチャネルにおけるチャネルの各々は、中心軸の周りに配置された少なくとも1つの入口を含む、円板と、中心軸に並列に及び中心軸に沿って配置された流体入口と、流体入口とチャネルの各々の少なくとも1つの入口との間の複数の接続と、を含み、円板は、円板の主要な表面にわたって円形最上部壁及び円板の外周の周りの円筒状側壁を含み、チャネルの第1のセットは、第1の層を定義し、装置は、第1の層に隣接した第2の層を更に含み、第2の層は、円板の外周から中心軸に延在するチャネルの第2のセットを含み、チャネルの第1のセットからの流動がチャネルの第2のセットの中に通るように、チャネルの第1のセットは、外周においてチャネルの第2のセットに接続し、触媒はチャネルの第1のセット内に存在し、チャネルの第2のセット内の触媒の少なくとも90質量%が外周に最も近いチャネルの50%以内の存在するように、触媒がチャネルの第2のセット内に存在する。
【0010】
本発明はまた、本明細書で説明される装置のいずれかにおいて熱化学反応を行う方法を含む。
【0011】
典型的には、各々のチャネルは、チャネル長にわたって本質的に一定である断面エリアを有する。入口(中心流体入口と複数のチャネルとの間のインタフェース)において低減した断面を有することは、複数のチャネルへの流動を均一にする、または適合させる圧力低下を生じさせる。チャネルは、1つの方向においていずれかの長さ、典型的には少なくとも1メートルまたは少なくとも2メートルを有することができ、高さは、典型的には、1mm~1cmであるが、それよりも長くなることができ、幅は、典型的には、1mm~1cmであるが、それよりも長くなることができる。
【0012】
典型的には、リアクタの各々の壁は、単一の材料から成り、典型的には、高温において良好な強度を有する超合金から成る。壁がシートに溶接されるケースでは、厚みは、リアクタに溶接される部分に対して測定され、チャネルが材料の単一の部分において形成されるケースでは、壁厚みは、壁の外側(環境に面する側)からチャネルの最も近い縁までで測定される。「より硬度を有する」壁は、選択された温度(他に指定されない限り、800℃)において等しい力が加えられるとき、等しいエリアの部分(厚みに垂直な寸法における)と比較して少ない変形を示す壁である。好ましい実施形態では、厚み及び/または剛性は、少なくとも10%、20%、または50%大きく(いくつかの実施形態では、最大で100%大きく)、典型的には、中心の流体入口は、複数のチャネルにおけるチャネルの各々に垂直である。
【0013】
いくつかの実施形態では、リアクタは、固体触媒を含む反応チャネルの第1の円板形状層と、熱リクーパレーションチャネルを含む第2の円板形状層とを有する2層リアクタであり、第1の層において成る反応生成物は、中心軸に向かって戻る、第2の層における戻りチャネルの中を通ることができる。膨脹継手は好ましくは、さねはぎ継手、角度付けられた隙間(流動の方向において角度付けられ、流動に反して角度付けられ、V字型に角度付けられる)、薄肉化した壁、隙間への薄肉化した壁、ベローズ、または重なり合うフランジを有する隙間、から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】チャネル(底部)及びリクーパレーション(recuperation)(最上部)チャネルと共に流動分散ヘッダ(リアクタの中心)を露出する切り込みを示す2つの層である。これは、リアクタの高温合金部分を示し、任意選択の泡触媒挿入が示されないが、この図に下位チャネル内に配置される。
【
図2】熱膨張及び圧力誘導応力を低減させるためのリアクタ外周に近い増加した反応チャネル壁厚みを有する、6kWの入熱及び85%の変換及び280psigの内部圧力における2層リアクタにおける応力(psiにおけるフォンミーゼス応力)である。リアクタ表面上の最大応力は、非加熱面上で約30ksi(キロポンド/平方インチ)及びリアクタの最上部(高温)部分上で約22ksiである。
【
図3】切り込み図(左)及び全リアクタ(右)を示す3層リアクタである。3層リアクタは、リアクタの最上面及び底面に隣接した触媒充填チャネルを有する。それらの触媒チャネルは、リクーパレーションチャネルを挟み込む。
【
図5】リアクタの中心におけるリアクタ内部を表現するワイヤフレームである。この図と共に入口ヘッダ及び出口ヘッダのスポーク配列において、リクーパレーションチャネルの交差螺旋状流動を見ることができる。
【
図6】リアクタの外周に近いリアクタ断面における応力を示す有限要素シミュレーション結果である。このリアクタジオメトリは、デバイス外周に近いより厚みのある反応チャネル側壁を有する。反応チャネル壁における最大応力は、約206MPa(30ksi)まで低減した。また、最大応力は、温度がより低く、応力により良好に耐えることが可能である、リアクタの中心に向かってシフトしている。
【
図7】リアクタの外周に近いリアクタ断面における応力を示す有限要素シミュレーション結果である。このリアクタジオメトリは、反応チャネルの内壁において断層(break)を組み込む。この断層は、膨脹継手としての役割を果たし、内部リアクタ構造における応力を低減させる。このシミュレーションでは、最大応力は、20.6MPa(3ksi)未満であった。
【
図8a】3層リアクタの切り込み側面図を概略的に例示する。
【
図8b】低応力膨脹を可能にするための隙間を有する構成を例示する。
【
図8c】(最上部)は、リアクタの4つの水平層の上からの図を示し、(底部)は、チャネルを分離する垂直壁において隙間を有する流動チャネルである。
【
図9】リアクタ壁において熱応力を低減させるために使用することができる膨脹継手のタイプを概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
リアクタ設計
熱膨張応力を低減させる設計改善を含む変形により、炭化水素の水蒸気改質及び他の吸熱反応のための、平板リアクタについての設計が開発されてきた。それらの設計は、前の太陽熱化学メタン水蒸気改質装置に基づいて構築されてきたが、現在のリアクタ設計は、電気誘導加熱による使用のために開発されてきた。利用される他の熱源は、放射エネルギー(太陽集光器、ランプ、マイクロ波など)と共に、電気(例えば、誘導加熱、抵抗加熱)を含む。
【0016】
それらのリアクタ設計は、円板形状であり、2層設計及び3層設計を含む。水蒸気改質リアクタは、高温(700℃~900℃)で及び上昇する圧力において、例えば、最大で15~20barまたはそれよりも高い圧力において動作する。それらの高温及び高圧力において、材料強度が主な関心事であり、リアクタは、高温用途のために特に設計されたコバルト超合金(例えば、Haynes230及び282)などの金属合金から構築される。
【0017】
それらの高い動作温度において、クリープ破断は、潜在的な故障メカニズムであり、殊に圧力誘導応力が動作の間に所与の圧力において一定であるので、内部圧力によって生じるリアクタ構造における圧力を最小化するようにリアクタが設計される必要がある。熱膨張応力も、関心のあることである。圧力誘導応力とは異なり、熱膨張応力は、クリープに起因して、高温において保留時間と共に緩和する。なぜなら、この動作するときに熱膨張応力が一定の応力でないが、デバイスが加熱されるとき、及び動作の開始時に存在するからである。熱応力による関心事は、リアクタが加熱及び冷却されるにつれて複数回の動作サイクルの後に周期疲労故障にそれが貢献することである。熱膨張応力は、定常状態圧力誘導応力よりも大きい場合がある。リアクタの動作寿命を最大化することが望ましく、これを行うために、圧力及び熱膨張応力の両方が最小化されるべきである。ここで、平板リアクタの他の一意な特徴により、それらの平板リアクタにおいて熱膨張応力を低減させることを結果としてもたらすいくつかの設計特徴を議論する。それらの特徴は、熱膨張応力をモデル化し、リアクタ性能をシミュレートし、改善をテストするように、有限要素モデリング(COMSOL Multiphysics)の使用により開発及び分析されてきた。リアクタ設計は、モデリング結果及び特徴の説明により説明される。
【0018】
2層リアクタ
第1のリアクタコンセプトは、外側に加えられる熱源に隣接した反応チャネル及び円板の加熱されていない表面に隣接したリクーパレーションチャネルを有する2層設計(流動チャネルの2層)である。このリアクタ設計の半分の断面図が
図1に示される。この2層設計では、反応気体が円板の中心の近くでデバイスに入る。多くの吸熱反応がこの設計により達成されると共に、シミュレーションのために、円板の外周に向かって高温触媒を通じて気体が流れる複数の触媒充填反応チャネル(ホイールのスポークのように位置付けられる)へと入ってくる気体を分散するヘッダの中に、メタン及び水蒸気の混合から構成された供給気体が流れることが想定されている。リアクタの中への入熱が均一に分散されないときでさえ、ヘッダは、異なる反応チャネルに供給気体を均一に分散するように設計される。小型の入口チャネルによる革新的なヘッダ設計を使用してこれが達成される。吸熱水蒸気改質反応は、水蒸気及びメタンを水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素に変換する触媒充填反応チャネルにおいて発生する場合がある。吸熱水蒸気改質反応は、熱を加えることを必要とし、触媒充填チャネルは、触媒チャネルに隣接した外面(図における底面)に及び/または外面内に加えられる外部熱源によって加熱される。加えることができる熱源のタイプは、電気誘導ヒータ、電気抵抗ヒータ、マイクロ波ヒータ、ディッシュからの集光太陽光、トラフからの集光太陽光、または他の太陽集光器からの集光太陽光、及び他の放射エネルギー源を含む。デバイス(円板)の外周において、流動は方向を変え、触媒を包含しないリクーパレーションチャネルを通じて円板形状リアクタの中心に向かって戻って流れる。熱が反応チャネルにおいて高温生成気体から幾分低温の反応気体に伝達されるにつれて、それらのリクーパレーションチャネルにおける高温気体は、何らかの熱を反応にもたらす。リクーパレーションチャネルは、反応チャネルに関連して交差螺旋状をもたらすように、螺旋構成もしくは湾曲構成において形状付けられ得、反応チャネルは、直線リクーパレーションチャネルに関連して螺旋構成もしくは湾曲構成において形状付けられ得、または代わりに、チャネルの両方のセットは、直線もしくは螺旋/湾曲であり得る。この交差螺旋構成または湾曲構成は、反応チャネルの間で熱が拡散することを補助し、ホットスポットを減少させ、複数の反応チャネルの間のより均一な変換を可能にする。これは、集中太陽熱または誘導加熱などの不均一な熱源を使用するときに特に有益である。リクーパレーションも、リアクタを出る気体の温度を低下させ、高温リクーパレータ(recuperator)がより低い温度において動作することを可能にし、強度を増大させ、サイズを減少させ、及び/またはリクーパレータの寿命を増大させる。
【0019】
設計のいずれかでは、反応チャネルは、高さ(流動に垂直であり、入熱の方向に並列した方向)において1mm未満であるが、好ましくは、1~10mmまたは3~6mmの範囲にある高さを有し得、リクーパレーションチャネルは、高さにおいて1mm未満であるが、1mm~10mmまたは3mm~6mmの範囲にあり得る高さを有し得る。隣接した反応チャネルまたは隣接したリクーパレーションチャネルを分離する壁は、好ましくは、0.3mm~2mmまたは0.5mm~1mmの厚さである。反応チャネル及びリクーパレーションチャネルを分離する壁は、好ましくは、0.4mm~4mmまたは0.5mm~2mmの厚さである。
【0020】
動作中、この2層リアクタは、反応チャネルに隣接した加熱された外壁が膨張するにつれて(
図1における底面)熱膨張応力を経験する。反対の加熱されていない表面(最上面)は、温度がより低く、ヒータ表面程度に膨張しない。これは、リアクタをへこませ(皿形状に撓む)、これは、リアクタ金属構造において生み出される温度勾配及び均一でない膨張に起因して熱膨張応力を生じさせる。
【0021】
入熱は、1kW未満から数十kW、または100kWを上回ってさえ変化し得る。好ましい実施形態では、リアクタは、9.8W/cm2~20W/cm2の範囲での熱流束を結果としてもたらす6kW~12kWの入熱において動作するように設計される。動作の間、リアクタ温度は典型的には、600℃~900℃の範囲にあり、リアクタの最も高温部分は、900℃に近づき、場合によっては、900℃を超える。それらの高温において、クリープ破断は、関心事の故障メカニズムである。6kWの一定の加熱レートを使用して、水蒸気-メタン改質を想定した、2層リアクタ設計のCOMSOLシミュレーションが行われてきた。最初に、リアクタに対する温度プロファイルが解決されており、次いで、動作圧力から結果として生じる応力と共に、熱膨張応力を計算するためにこの温度プロファイルが使用された。初期の計算は、リアクタ表面に対する330MPa(50ksi)程度に高い応力と、リアクタの最も高温部分の一部における内部の類似の応力とを示した。
【0022】
反応側壁の最も高温部分における応力を低減させるために、いくつかの設計の代替がシミュレートされた。それらのうちの1つは、リアクタの外周の近くの反応チャネル側壁の厚さを増大させることであった。これは、圧力に起因した引張(最上部の板及び底部の板を離して引き込む)応力を減少させるが、予期しない利点は、反応チャネル壁のこの部分の強度を高めることが、リアクタにおける熱膨張応力をどのように変化させるかが明らかになることである。リアクタの高温の外周の近くの側壁の剛性が増大することによって、壁における最大熱膨張応力がリアクタの中心に向かって移動する。動作中のリアクタが中心に向かって低温になり、金属合金がより低温においてより良好な強度及びクリープ破断特性を有するので、これは有益である。
【0023】
強度が高まった反応チャネル壁により、シミュレーションは、130MPa~200MPa(20ksi~30ksi)の範囲にある低減した熱膨張応力を示した。最も高い応力は、リアクタの表面上にあり、より低温の加熱されていない最上面上に位置していた。リアクタの高温の表面は、基本ケースの2層リアクタ設計と比較して1/3低い、約22ksiの最大応力を示した。
図2は、リアクタの外面に対する応力を示し、応力は、リアクタ断面(図示せず)においても計算された。
【0024】
2層リアクタ設計に対して行われるシミュレーションは、リアクタの表面にわたる一定の熱流束を使用した。より高い流束によって生じるより高い温度勾配は、所望の熱膨張応力よりも高いことを結果としてもたらすリアクタ構造における温度勾配に対する主要原因である。より高い熱流束も、より高い最大温度を結果としてもたらす。それが最も低温の、材料強度が最も高いリアクタに更なる熱が入り込むので、熱流束がリアクタの中心の近くでより高く、リアクタの外周に向かって減少する1つに熱流束プロファイルを変化させることは有益である。高温の外周に向かうより低い入熱は、リアクタの最も高温部分における最大温度及び温度勾配を低減させる。誘導加熱により、リアクタの中心に向かって更なる誘導加熱を生じさせるように誘導コイルの設計を通じて磁場を調節することによって、これが達成され得る。これは、リアクタのそれらの最も高温部分における熱膨張応力を低減させる。
【0025】
3層リアクタ
熱膨張応力を低減させる有益な方法は、リアクタ表面のエリアごとの熱流束を低減させることである。しかしながら、所与のサイズのリアクタのスループットを最大化することも望ましい。これを達成するために、3層リアクタ設計が開発されてきた。コンセプトは、両側が加熱される円板形状リアクタである。
図3は、3層リアクタの図を示す。
【0026】
3層リアクタでは、メタン及び水蒸気は、ヘッダの中に流れ、ヘッダは、リアクタの最上面及び底面の隣に包含された触媒充填チャネルへの流動を分散する。2-層リアクタにおけるチャネルと同様に、それらの触媒チャネルは、入熱に並列の方向において、1mmの未満の厚さまたは最大で1cmの厚さまたはそれ以上であり得るが、好ましくは、3mm~6mmの厚さである。吸熱反応に熱を供給するように、リアクタの最上面及び底面の両方に熱が加えられる。2層リアクタの前の議論において説明されたような、電気誘導加熱源、電気抵抗加熱源、または他の熱源を使用して、熱を加えることができる。特殊ケースは、一方の側に熱を提供するために太陽集光器を使用すること、及びもう一方の側に加熱する別の方法を使用することである。
【0027】
リアクタは、8kW~12kWの総入熱に対して設計されるが、リアクタは、1kW未満から数十kWs(例えば、50kWもしくは70kW)の範囲にわたって、または100kWを上回って、より少ない熱流束またはより大きな熱流束に対して設計されることができる。
図4は、ヘッダのクローズビューを示し、ヘッダは、触媒充填反応チャネルへの流動を分散し、リクーパレーションチャネルからの流動を収集する。反応チャネルへの入口は、複数の反応チャネルへの流動を均一に分散するための圧力低下をもたらすように設計された流動制限チャネル(断面において三角形)を含む。
【0028】
図に例示される実施形態は、発明を限定することを意図していない。例えば、
図4は、円筒状の対称のマニフォールドを例示するが、代替的な実施形態では、入口及び出口は、中心から外れることができる。円板形状リアクタは、中心を通じた孔を有することができ、例えば、リアクタを誘導的に加熱するための環状体ソレノイドにおいて封入され得る。また、2層リアクタにあるように、反応チャネル及びリクーパレーションチャネルは、直線であることができ、湾曲することができ(例えば、螺旋状)、またはその組み合わせであることができる。逆-交差流動熱伝達(counter-cross flow heat transfer)(
図5)をもたらす、直線反応チャネル及び湾曲リクーパレーションチャネルを有する1つの構成は、潜在的に均一でない入熱によって生じる高温反応チャネルと低温反応チャネルとの間で熱を分散することを補助するように設計される。
【0029】
3層リアクタが最上面及び底面の両方の上で加熱されるので、高温の最上面及び底面の両方は、おおよそ同一の量だけ膨張する。これに起因して、リアクタは、皿形状またはボウル形状を想定しないが、相対的に平坦なままである。しかしながら、リアクタがへこまないので、リアクタの高温の外面、及びより低温の内部温度に起因して、増大した熱膨張応力が存在する場合がある。3層リアクタの有限要素シミュレーションでは、熱膨張応力に起因して、リアクタの側壁において高い応力が見られている。
図10は、最上部及び底部の加熱した表面上で均一な熱流束を有する3層リアクタの温度プロファイルを示す。シミュレーションは、リアクタの触媒包含部分にわたって最上面及び底面上での一定入熱を想定する。シミュレーションでは、メタン入口流動及び水蒸気入口流動が、3:1の水蒸気-メタン比率において維持されており、入口流動は、所望の変換を達成するように調節される。3層リアクタでは、反応チャネル側壁を伸長する外側の加熱された表面上で熱膨張によって生じる344MPa(50ksi)を上回る高い熱膨張応力は、反応チャネル壁におけるデバイス応力の外周の近くの反応チャネル側壁において見られている。
【0030】
リアクタの内部部分における熱膨張応力を減少させる2つの方法が考案された。1つ目は、デバイスの外周に向かって反応チャネル側壁の厚さを増大させることであった。2層リアクタのケースのように、これは、側壁における全体的な応力を減少させており、リアクタの中心に向かって側壁における最大応力を移動させており、リアクタはより低温であり、高温合金は、破断または変形なしに応力により良好に耐えることが可能である。
図6は、外周に向かって厚みが増大した反応チャネル側壁を有する3層リアクタに対するシミュレーション結果を示す。
【0031】
応力を低減させる第2の方法は、反応チャネル壁において1つ以上の断層を組み込むことであった。断層は、歩道またはコンクリートの床における膨脹継手と同様の方式において作用し、リアクタの内部部分の累積的な伸長なしに、リアクタの外側が膨張することを可能にする。この膨脹継手コンセプトは、ほぼ全ての熱膨張応力を取り除く。しかしながら、膨張の断層を利用する際の課題は、反応チャネル壁における断層がより高い圧力反応チャネルからより低い圧力リクーパレーションチャネルへと継ぎ手を通じた流動に対する潜在的な経路をもたらすことである。実質的な流動バイパス(
図7)は、リアクタの性能に対して有害であり、過熱または不良な変換を結果としてもたらし得る。
【0032】
熱膨張継手
シミュレーションは、熱膨張断層が3層設計における熱膨張応力を大いに低減させることができることを示す。このタイプの断層は、2層リアクタにおける応力を低減させる。断熱層を設けると共に流動バイパスを防止するためのいくつかのコンセプトが
図8~9に示される。それらの図は、中心の外側で高温であり、中心内でより低温であるリアクタにおいて見られるひずみの量(長さにおける差)を示す。
【0033】
断熱層を達成する別の方法は、反応チャネルとリクーパレーションチャネルとの間の構造的壁を通じた触媒チャネルからの流動を防止する不浸透性壁との触媒の挿入を行うことである。これは、望ましくない流動バイパスを防止する摺動する継手を設ける。別のコンセプトは、大きな応力を生じさせることなく、側壁チャネルの何らかの屈曲及び移動を可能にする、側壁におけるベローズ構造を設けることである。ベローズ部分は、触媒チャネルの充填を容易にすることを可能にするように、リクーパレーションチャネルの中に突起することが予想される。よって、好ましい構造では、ベローズは、熱交換チャネルの中に突出し、反応チャネルの中に突起せず、その結果、触媒を反応チャネルの中に容易に挿入することができる。
【0034】
他のリアクタコンセプト
前に説明された2層リアクタコンセプト及び3層リアクタコンセプトは、1つの(2層)側及び両方の(3層)側上でそれぞれ加熱され得る。調査された別のコンセプトは、両方の側上で加熱される2層リアクタである。このコンセプトでは、流動チャネルは、2層リアクタにあるのと同様の方式において配列されるが、触媒も、戻りチャネルの中に配置される。戻りチャネルにおけるこの触媒は、ヘッダに達し得、またはヘッダに全く達し得ない。例えば、触媒は、外側の1/2もしくは1/3に配置され得、またはリアクタ内に配置され得る。触媒配置の位置の隣の表面上に熱が加えられる。このコンセプトを使用して、熱流束が低減されることができ、リアクタの最も高温部分は、リアクタの縁から離れて移動する。これは、所与の入熱及び水素生成速度のための最大リアクタ温度を低減させる際に利点をもたらす。
【0035】
シミュレーション
吸熱リアクタ2層バージョン及び3層バージョンに対してコンピュータシミュレーションが行われた。シミュレーションは、メタン及び水を合成ガスに変換するように700℃~900℃の範囲において動作するロジウム系触媒を組み込むメタン改質反応のためのものであった。反応は、熱の入力を必要とする吸熱性である。ここで説明される円状平板(円板形状)リアクタにより、熱が平坦な表面のうちの1つ以上に加えられる。メタン及び水蒸気は、平板の中心に入り、円板の外周に向かって触媒充填チャネルと通じて外側に流れる。外周において、無反応メタン及び水との水素、一酸化炭素、二酸化炭素からなる反応した流動は、リクーパレーションチャネルにおいてリアクタの中心に向かって戻される。反応は、高温を必要とし、太陽熱加熱、誘導加熱、電気抵抗加熱、マイクロ波加熱、または他の手段を含むいくつかの手段を通じて触媒に隣接したリアクタ表面に熱が加えられ得る。
【0036】
COMSOL(商標)Multiphysicsを使用して、リアクタシミュレーションが行われた。流動-反応シミュレーションが最初に行われた。このシミュレーションは、入口流量、入口温度、入熱、及び変換を含む所望の動作条件に基づいてリアクタについての温度プロファイルをもたらした。モデルを使用する際、圧力によって入熱がもたらされており、所望の変換に到達するように流量が調節された。
【0037】
リアクタの温度プロファイルがシミュレートされた後、熱応力、及び部分における他の応力をモデル化するために、この温度プロファイルが使用された。COMSOL Multiphysicsにおける構造的メカニックモジュールを使用してこれが行われた。応力-ひずみ計算は、平均動作温度においてHaynes 282についての平均特性を使用した。3つのポイントにおける入口ヘッダにおいてリアクタの変位が制約され、圧力境界条件がリアクタの内面に適用された。熱膨張に起因した応力の貢献を試験するために、計算の熱膨張部分がターンオフされ得る。
【0038】
本発明は、本明細書で説明されるリアクタのいずれか、構成要素のいずれか、及び構成要素のいずれかの組み合わせを含む。本発明は、本明細書で説明される方法、方法ステップ、及び方法ステップのいずれかの組み合わせをも含む。方法は、典型的には、構成要素の組み合わせまたは構成要素のいずれかの組み合わせにおいて説明される。本発明はまた、本明細書で説明される流体及び/または触媒及び/または条件と共に、リアクタまたは構成要素または構成要素のいずれかの組み合わせの両方を含むシステムを含む。本発明の方法は、メタン水蒸気改質、メタンまたは他の炭化水素の改質(乾式改質を含む)、逆水素化、及び他の吸熱反応を含む。リアクタは、部分酸化など、発熱反応をも組み込み得る追加の層を含む。
【国際調査報告】