(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】容器の自動的な包装のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B65B 5/06 20060101AFI20241206BHJP
B25J 9/16 20060101ALI20241206BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20241206BHJP
B65B 1/02 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B65B5/06
B25J9/16
B65G47/90 Z
B65B1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528501
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 IT2022050293
(87)【国際公開番号】W WO2023084553
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021000028877
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500361593
【氏名又は名称】イ・エメ・ア,インドゥストリア・マキーネ・オートマティーク・ソシエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ ガブリエーレ
【テーマコード(参考)】
3C707
3E003
3E118
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS12
3C707DS01
3C707LV02
3C707NS26
3E003AA01
3E003AB01
3E003BA02
3E003BC02
3E003CB05
3E118AA01
3E118EA05
3E118FA01
3E118FA06
3F072AA07
3F072GG03
3F072KD19
3F072KD24
(57)【要約】
充填対象の1つ又は複数の容器(C)が、対応するトレイ(100)によって支持された状態で、作業経路(L)上で容器(C)の自動的な包装を行うための装置(10)。本装置(10)は、容器(C)が配置されたトレイ(100)を順次供給するための供給ステーション(12)と、容器(C)の充填の複数の作業を順次行うための充填ユニット(27)と、選択的にトレイ(100)を1つずつ充填ユニット(27)に向かって移送するための少なくとも1つのプログラミングされた機能を実行することができる第1のロボットアーム(19)と、電子制御手段(47)と、を少なくとも備えている。本装置(10)は、第1のロボットアーム(19)と同じプログラミングされた機能を自律的に実行することができる第2のロボットアーム(20)をさらに備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填対象の1つ又は複数の容器(C)が、対応する輸送部材(100)によって支持された状態で、作業経路(L)上で容器(C)の自動的な包装を行うための装置(10)であって、
充填対象の前記容器(C)が配置された前記輸送部材(100)を順次供給するための供給ステーション(12)と、
前記作業経路(L)上における前記供給ステーション(12)の下流に配置され、前記容器(C)の充填の複数の作業を順次行うように構成された充填手段(30,31,32)を備えた充填ユニット(27)と、
選択的に前記輸送部材(100)を1つずつ前記充填手段(30,31,32)に向かって移送するための少なくとも1つのプログラミングされた機能を実行することができる第1のロボットアーム(19)と、
前記少なくとも1つの充填ユニット(27)と前記第1のロボットアーム(19)とを制御するための電子制御手段(47)と、
を少なくとも備えている装置(10)であって、
前記電子制御手段(47)の制御下で選択的に前記輸送部材(100)を1つずつ前記充填手段(30,31,32)に向かって移送するための、前記第1のロボットアーム(19)と同じ前記少なくとも1つのプログラミングされた機能を自律的に実行することができる第2のロボットアーム(20)をさらに備えており、
前記第1のロボットアーム(19)が前記充填手段(30,31,32)に対して1つの前記輸送部材(100)を移動させている間、前記第1及び第2の輸送部材(100)によって支持された前記容器(C)の充填を実質的に休止無しで連続して行うように、前記第1の輸送部材(100)によって支持された前記容器(C)の充填が完了したときに前記充填手段(30,31,32)に対応できるように、前記第1のロボットアーム(19)によって移動する前記1つの輸送部材(100)の隣に他の前記輸送部材(100)を配するために、前記第2のロボットアーム(20)が前記他の輸送部材(100)を独立して自律的に移動させるように、前記第1のロボットアーム(19)及び前記第2のロボットアーム(20)の動作が前記電子制御手段(47)によって協調制御される
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記電子制御手段(47)はプログラマブル型であり、前記充填手段(30,31,32)に向かう前記輸送部材(100)の移送を、前記第1のロボットアーム(19)から前記第2のロボットアーム(20)へ通過する際に連続して中断無しで行えるように、前記第1のロボットアーム(19)及び第2のロボットアーム(20)の作動と空間的及び時間的な移動と制御するように構成されている、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記第1のロボットアーム(19)と前記第2のロボットアーム(20)とが互いに干渉することなく、前記充填手段(30,31,32)に向かう実質的に類似、同一又は鏡面反射の軌道を前記各輸送部材(100)に辿らせるように、前記電子制御手段(47)によって前記第1のロボットアーム(19)及び前記第2のロボットアーム(20)が制御される、
請求項1又は2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記充填手段は、1つ又は複数の送達ノズル(32)が設けられた少なくとも1つの送達部材(31)を備えており、
前記送達部材(31)は、充填作業位置にあるときに前記作業経路(L)より上方に配され、
前記第1のロボットアーム(19)と前記第2のロボットアーム(20)とは前記作業経路(L)を挟んでそれぞれ反対側に配置され、それぞれ反対側から前記送達部材(31)と協働するように位置決めされている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項5】
前記充填手段はさらにロボットマニピュレータ(30)を備えており、
前記ロボットマニピュレータ(30)の一端に前記送達部材(31)が、前記容器(C)の充填に係る具体的な動作要件に依存して調整可能であるように交換可能に取り付け可能である、
請求項4記載の装置(10)。
【請求項6】
前記供給ステーション(12)は、充填対象の前記容器(C)が配置された前記輸送部材(100)を前記第1のロボットアーム(19)及び前記第2のロボットアーム(20)に向かって移送するように構成された、好適にはロボット型の移動手段(16)を備えている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項7】
前記充填ユニット(27)に動作可能に関連付けられた閉止ユニット(29)をさらに備えており、
前記閉止ユニット(29)は少なくとも、1つの前記輸送部材(100)に配されている充填済みの前記容器(C)に向かって1つ又は複数の閉止要素(T)を供給するための供給手段(35)と、前記閉止要素(T)によって前記充填済みの前記容器(C)を順次閉止するための閉止装置(36)と、を備えている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項8】
充填対象の1つ又は複数の容器(C)の充填ステップを行うように構成された充填手段(30,31,32)を備えた供給ステーション(12)と、第1のロボットアーム(19)と、を少なくとも備えた装置(10)の作業経路(L)上で、前記容器(C)が、対応する輸送部材(100)によって支持された状態で、容器(C)の自動的な包装を行うための方法であって、
充填対象の前記容器(C)が配置された前記輸送部材(100)を前記供給ステーション(12)から前記作業経路(L)上で順次供給する供給ステップと、
前記第1のロボットアーム(19)が、支持された前記容器に充填できるようにするため選択的に前記輸送部材(100)を1つずつ前記充填手段(30,31,32)に向かって移送する第1の移動ステップと、
を少なくとも有し、
前記方法はさらに、
第2のロボットアーム(20)が、支持された前記容器の充填を行えるようにすべく、前記第1のロボットアーム(19)から選択的に前記輸送部材(100)を1つずつ前記充填手段(30,31,32)に向かって自律的に移送する第2の移動ステップ
をさらに有し、
前記第1のロボットアーム(19)が前記充填手段(30,31,32)に対して1つの前記輸送部材(100)を移動させている間、前記第1及び第2の輸送部材(100)によって支持された前記容器(C)を充填する各ステップを実質的に休止無しで連続して行うように、前記第1の輸送部材(100)によって支持された前記容器(C)の充填が完了したときに前記充填手段(30,31,32)に対応できるように、前記第1のロボットアーム(19)によって移動する前記1つの輸送部材(100)の隣に他の前記輸送部材(100)を配するために、前記第2のロボットアーム(20)が前記他の輸送部材(100)を独立して自律的に移動させるように、前記第1のロボットアーム(19)を移動させる前記第1の移動ステップと、前記第2のロボットアーム(20)を移動させる前記第2の移動ステップと、を協調制御する
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記充填手段(30,31,32)に向かう前記輸送部材(100)の移送を連続して中断無しで行えるように、前記第1のロボットアーム(19)及び第2のロボットアーム(20)の作動と空間的及び時間的な移動と制御するように前記電子制御手段(47)をプログラミングする初期設定ステップをさらに有する、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記電子制御手段(47)は、前記第1のロボットアーム(19)と前記第2のロボットアーム(20)とが互いに干渉することなく、前記充填手段(30,31,32)に向かう実質的に類似、同一又は鏡面反射の軌道を前記各輸送部材(100)に辿らせるように前記第1のロボットアーム(19)及び前記第2のロボットアーム(20)を制御する、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記充填ステップにおいて、前記充填手段(30,31,32)は、前記第1のロボットアーム(19)によって移動した第1の輸送部材(100)に配された容器(C)の充填を先に行い、その後実質的に休止無しで連続して順次、前記第2のロボットアーム(20)によって移動した第2の輸送部材(100)に配された容器(C)の充填を行う、
請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記充填ステップの後に、閉止装置(36)が適切な閉止要素(T)を用いて充填済みの前記容器(C)を順次閉止する閉止ステップをさらに有する、
請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品、特に液体、固体若しくは粉末製品又はゲル等を入れ、特にこれを充填して閉止するための容器、例えばバイアル、ボトル、フラスコその他の種類の容器等の自動包装のための装置及び方法に関するものである。上記の流体製品や容器の具体例は、本発明を限定するものではない。例えば、本装置は製薬、化粧品、ヘルスケア、化学、及び/又は食品産業において使用することができる。
【背景技術】
【0002】
容器の自動包装産業の分野では、容器をシーケンスで移動させる作業経路上に配置された1つ又は複数の作業ステーションを備えた装置が公知となっている。かかる公知の装置は、上記の容器を加工するための他の装置をさらに含むより複雑な機械の一部を構成することができる。
【0003】
容器は通常、伝統的な機械的及び電動移動手段又は装置を用いて各種作業ステーション間で移動し、かかる手段又は装置は例えば、コンベアベルト、歯車、チェーン、スライド及び/又は昇降機が含まれる。また、容器を移動させるために擬人型の機械的アーム又はロボットアームを使用する装置も公知である。
【0004】
特に、空の容器を投入又はピックアップする第1のステーションと、容器に充填して例えば適切なキャップ等により閉止し、場合によっては風袋及び/又は重量計測を行う第2のステーションと、後続の分配ステップのために容器を処理する第3のステーションと、を備えた装置が公知である。通常、容器は、当該容器を入れるために適した複数の収容設置部が設けられた適切な容器保持トレイによって支持された状態で第1のステーションに到着する。
【0005】
第2のステーションは充填ユニットと閉止ユニットと重量計測ユニットと1つのロボットアームとを備えており、容器の充填、閉止と場合によっては風袋計測及び/又は重量計測とをサイクルで行うために上記の1つのロボットアームが、トレイを1つずつ各ユニット間で移動させる。
【0006】
トレイを移動させるために使用するロボットアームを1つとすることは、汚染粒子を生じさせることがなく、1つのロボットアームを洗浄したり除菌処理することは容易であるから、伝統的な移動手段や移動装置と比較して有利である。このことは、装置が無菌、滅菌又は滅菌化作業環境下で作業する必要がある場合に特に有利である。
【0007】
トレイを移動させるために使用するロボットアームが1つである容器充填装置の一例が、米国特許出願公開第2016/0376044号明細書に記載されている。
【0008】
しかし、使用するロボットアームが1つであることの欠点の1つが、トレイの移動の際に当該トレイに支持された容器の充填、閉止作業と場合によっては風袋計測及び/又は重量計測作業とを行うために、他のトレイが上記の1つのロボットアームより上流において実質的に停止し、先行のトレイの容器に対する全ての作業が完了してロボットアームが他のトレイをピックアップ可能となるまで待機することとなることである。
【0009】
よって、同じロボットアームを用いて次のトレイについての作業の新規サイクルを開始するためには、その前に1つのトレイの全ての容器が閉止されて第3のステーションに送達されるまで待機しなければならず、その結果、公知の装置の生産性や収益性は、伝統的な移動手段や移動装置を用いる技術と比較して低くなる。
【0010】
よって、従来技術の欠点の少なくとも1つを解消できる容器自動包装のための装置の実現を求める要請がある。
【0011】
特に本発明の一目的は、特に無菌、滅菌又は滅菌化作業環境下で、容器の充填、閉止作業と場合によっては風袋計測及び/又は重量計測作業とを行う間のダウンタイムを最小限に抑え、あるいは完全に無くせる、容器自動包装のための装置を提供し、容器自動包装方法を完成することである。上記の具体的な環境例は、これらのみに限定されない。
【0012】
本発明の他の一目的は、伝統的な移動手段や移動装置で得られるものと同等の価値あるいはそれ以上の価値を実現しつつ生産性を最大化することを可能にする容器自動包装のための装置を実現し、かかる容器自動包装のための方法を完成させることである。
【0013】
本発明の他の一目的は、複数の容器について少なくとも充填作業を実質的に連続して、すなわち休止無しで連続して実施することができ、好適には閉止作業も実質的に連続して、すなわち休止無しで連続して実施することができる容器自動包装のための装置を実現し、かかる容器自動包装のための方法を完成させることである。
【0014】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明を着想、試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0015】
本発明は独立請求項に記載され、その特徴が記載されている。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0016】
上記の目的に鑑み、また従来技術と比較して著しく大きい利点も達成するため、本発明の装置は、充填対象の1つ又は複数の容器が、対応する輸送部材によって支持された状態で、作業経路上で容器の自動的な包装を行うための装置であり、充填対象の容器が配置された輸送部材を順次供給するための供給ステーションと、作業経路上における供給ステーションの下流に配置され、容器の充填の複数の作業を順次行うように構成された充填手段を備えた充填ユニットと、選択的に輸送部材を1つずつ充填手段に向かって移送するための少なくとも1つのプログラミングされた機能を実行することができる第1のロボットアームと、少なくとも1つの充填ユニットと第1のロボットアームとを制御するための電子制御手段と、を少なくとも備えている。
【0017】
本発明の一側面では前記装置は、電子制御手段の制御下で選択的に輸送部材を1つずつ充填手段に向かって移送するための、第1のロボットアームと同じプログラミングされた機能を自律的に実行することができる第2のロボットアームをさらに備えており、第1のロボットアームが充填手段に対して1つの輸送部材を移動させている間、第1及び第2の輸送部材によって支持された容器の充填を実質的に休止無しで連続して行うように、すなわち処理ダウンタイムを無くし、あるいは処理ダウンタイムを最小限に抑えるように、第1の輸送部材によって支持された容器の充填が完了したときに充填手段に対応できるように、第1のロボットアームによって移動する1つの輸送部材の隣に他の輸送部材を配するために、第2のロボットアームが他の輸送部材を独立して自律的に移動させるように、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの動作が電子制御手段によって協調制御される。
【0018】
かかる構成によって、生産性が向上し、従来技術と比較して最大限となり、1時間あたり約36,000個程度の容器の包装を実現することも可能にする装置が得られるという利点が奏される。
【0019】
本発明の他の一側面では、前記電子制御手段はプログラマブル型であり、前記充填手段に向かう前記輸送部材の移送を、前記第1のロボットアームから前記第2のロボットアームへ通過する際に連続して中断無しで行えるように、前記第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの作動と空間的及び時間的な移動と制御するように構成されている。
【0020】
本発明の他の一側面では、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームとが互いに干渉することなく、前記充填手段に向かう実質的に類似、同一又は鏡面反射の軌道を前記各輸送部材に辿らせるように、前記電子制御手段によって前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが制御される。
【0021】
本発明の他の一側面では、前記充填手段は、1つ又は複数の送達ノズルが設けられた少なくとも1つの送達部材を備えており、前記送達部材は、充填又は送達作業位置にあるときに前記作業経路より上方に配される。さらに、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームとは前記作業経路を挟んでそれぞれ反対側に配置され、それぞれ反対側から前記送達部材と協働するように位置決めされている。
【0022】
特に、両ロボットアームが、それぞれの前記輸送部材が前記作業経路に対して平行になると共に互いに同一平面上に位置して同一の作業平面を実質的に画定するように、それぞれの前記輸送部材を前記充填手段に対応して移動させる。
【0023】
本発明の他の一側面では、前記充填手段はさらにロボットマニピュレータを備えており、前記ロボットマニピュレータの一端に前記送達部材が、前記容器の充填又は送達に係る具体的な動作要件に依存して調整可能であるように交換可能に取り付け可能である。
【0024】
本発明の他の一側面では、前記供給ステーションは、充填対象の前記容器が配置された前記輸送部材を前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームに向かって移送するように構成された、好適にはロボット型の移動手段を備えている。
【0025】
本発明の他の一側面では、前記装置は、前記充填ユニットに動作可能に関連付けられた閉止ユニットをさらに備えており、前記閉止ユニットは少なくとも、1つの前記輸送部材に配されている充填済みの前記容器に向かって1つ又は複数の閉止要素を供給するための供給手段と、前記閉止要素によって前記充填済みの前記容器を順次閉止するための閉止手段と、を備えている。
【0026】
さらに、ロボットアームは非常に洗浄しやすかったり除菌処理しやすかったりすることにより、特に無菌、滅菌又は滅菌化作業環境下で容器を移動させる際に容器が汚染するリスクが最小限になる装置を実現できるという利点が奏される。上記の具体的な作業環境例は、これらに限定されない。
【0027】
充填対象の1つ又は複数の容器の充填ステップを行うための充填手段を備えた供給ステーションと、第1のロボットアームと、を少なくとも備えた装置の作業経路上で、前記容器が、対応する輸送部材によって支持された状態で、容器の自動的な包装を行うための方法も完成している。本方法は、充填対象の前記容器が配置された前記輸送部材を前記供給ステーションから前記作業経路上で順次供給する供給ステップと、前記第1のロボットアームが、支持された前記容器に充填できるようにするため選択的に前記輸送部材を1つずつ前記充填手段に向かって移送する第1の移動ステップと、を少なくとも有する。
【0028】
本発明の一側面では、前記方法はさらに、第2のロボットアームが、支持された前記容器の充填を行えるようにすべく、前記第1のロボットアームから選択的に前記輸送部材を1つずつ前記充填手段に向かって自律的に移送する第2の移動ステップをさらに有する。前記第1のロボットアームが前記充填手段に対して1つの前記輸送部材を移動させている間、前記第1及び第2の輸送部材によって支持された前記容器を充填する各ステップを実質的に休止無しで連続して行うように、すなわち処理ダウンタイムを無くし、あるいは処理ダウンタイムを最小限に抑えるように、前記第1の輸送部材によって支持された前記容器の充填が完了したときに前記充填手段に対応できるように、前記第1のロボットアームによって移動する前記1つの輸送部材の隣に他の前記輸送部材を配するために、前記第2のロボットアームが前記他の輸送部材を独立して自律的に移動させるように、前記第1のロボットアームを移動させる前記第1の移動ステップと、前記第2のロボットアームを移動させる前記第2の移動ステップと、を協調制御する。
【0029】
本発明の他の一側面では、前記方法は、前記充填手段に向かう前記輸送部材の移送を連続して中断無しで行えるように、前記第1のロボットアーム及び第2のロボットアームの作動と空間的及び時間的な移動と制御するように前記電子制御手段をプログラミングする初期設定ステップをさらに有する。
【0030】
本発明の他の一側面では、前記電子制御手段は、前記第1のロボットアームと前記第2のロボットアームとが互いに干渉することなく、前記充填手段に向かう実質的に類似、同一又は鏡面反射の軌道を前記各輸送部材に辿らせるように前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームを制御する。
【0031】
本発明の他の一側面では、前記充填ステップにおいて、前記充填手段は、前記第1のロボットアームによって移動した第1の輸送部材に配された容器の充填を先に行い、その後実質的に休止無しで連続して順次、前記第2のロボットアームによって移動した第2の輸送部材に配された容器の充填を行う。
【0032】
本発明の他の一側面では、前記方法は、前記充填ステップの後に、閉止手段が適切な閉止要素を用いて充填済みの前記容器を順次閉止する閉止ステップをさらに有する。
【0033】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の容器を包装するための装置の簡素化した概略的な上面図である。
【
図2】
図1の装置の容器が入ったトレイを配置することができる移動台の三次元分解図である。
【
図3】
図2の装置の移動台に載置されたトレイに配された一部の容器の細部断面図である。
【
図4】
図1の装置のトレイに配された容器の充填ステップと閉止ステップの動作シーケンスを簡素化して示す概略図である。
【
図5】
図1の装置のトレイに配された容器の充填ステップと閉止ステップの動作シーケンスを簡素化して示す概略図である。
【
図6】
図1の装置のトレイに配された容器の充填ステップと閉止ステップの動作シーケンスを簡素化して示す概略図である。
【
図7】
図1の装置のトレイに配された容器の充填ステップと閉止ステップの動作シーケンスを簡素化して示す概略図である。
【
図8】
図1の装置のトレイに配された容器の充填ステップと閉止ステップの動作シーケンスを簡素化して示す概略図である。
【
図9】
図1の装置のトレイに配された容器の充填ステップと閉止ステップの動作シーケンスを簡素化して示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで明確にすべき点として、保護範囲は特許請求の範囲によって特定されるものであるから、本願明細書における文言及び用語用法並びに添付図面の各図の記載内容の役割は、本発明の例示及び説明を行いやすくすることのみであり、その機能は、本発明自体の非限定的な例を提供することである。
【0036】
理解しやすくするため、可能な限りにおいて、図面中の同一の共通要素を特定するために同一の符号を使用している。ある実施形態の要素や特性は、別段の説明を要することなく他の実施形態に適宜組み合わせることができ又は組み込むことができると解される。
【0037】
図1を参照すると、本発明の装置10が容器Cを自動的に包装するように、特に少なくとも、容器Cの充填及び閉止を行うために作業経路L上で容器Cを供給するように構成されており、またそのために用いることが可能である。同図に示されている実施形態では、作業経路Lは直線状となっているが、図面中に示されていない他の実施形態では任意の適切な軌道を辿ることができ、曲線及び/又は複数の高さの軌道を辿ることができる。
【0038】
容器Cは任意の形状や寸法を有することができ、バイアル、ボトル、フラスコ、その他流体製品P、特に液体と、固体又は粉末製品又はゲルとの両方を入れることが可能な種類の容器とすることができ、上記の具体的な容器例は他のものを除外する限定列挙ではない。
【0039】
装置10と、これに対応する方法とを詳細に説明する前に、これらをより理解しやすくするため、非限定的な例示として一例の複数の容器C(
図2及び
図3)について簡単に説明する。ここで容器Cは例えば特定数の容器C、例えば約100個の容器Cから成り、又はかかる容器Cを含むものであり、各容器Cはバイアルの形状を有し、製薬、化粧品、健康、化学、及び/又は食品分野において使用可能なものである。これら複数の容器Cは適切な容器保持トレイ100によって支持されるように構成されており、容器保持トレイ100は本例では、実質的に平行六面体状のプレートにより構成されており、当該プレートには複数の円形の収容設置部101が貫通形成されており、各収容設置部101は、それぞれ対応する容器Cを安定的に仮支持するために適したものである。特に、収容設置部101は、相互間に特定の一定の距離Dだけオフセットして離隔している互いに平行な一連の複数の列F(
図2中のF1~FU)を形成するように、複数の行と列とから構成された配置行列に従って配置されている。ここで明確にすべき点として、「列」との用語は作業経路Lの方向を基準とするトレイ100の向きに依存して、上記の配置行列のどの任意の行又は列としても解することが可能である。
【0040】
装置10はベース11を備えており、ベース11上には作業経路Lに沿って
図1における左側から右側に向かって順に、未だ空である複数の容器Cをそれぞれ収容するトレイ100が装填位置PLから供給及び/又はピックアップされる第1のステーション12又は供給ステーションと、容器Cの充填、閉止と、場合によってはその風袋計測及び/又は重量計測とを行うように構成された第2のステーション13と、後続の分配及び/又は箱詰めステップに送るため、例えば不図示の他の装置又は作業ステーションに送るため、充填及び閉止完了した容器Cを編成する第3のステーション14と、が配置されている。
【0041】
図1において破線で示され、その境界が描出されている第1のステーション12及び第3のステーション14は両方とも、本発明の保護範囲に属する任意の公知のものとすることができ、あるいは将来開発されるものとすることもできる。例えば、第1のステーション12及び第3のステーション14は、本特許出願の出願人によって出願された又は同出願人に移転された産業上の発明に係る関連特許出願に記載されたものと同様とすることができる。
【0042】
作業経路L上では、複数の容器Cが入った各トレイ100が複数の移動手段を用いて移動し、これら複数の移動手段には、第1のステーション12に配置された第1の移動手段15と、第2のステーション13に配置された第2の移動手段16と、第3のステーション14に配置された第3の移動手段17と、が含まれ、これらについては下記にて詳細に説明する。
【0043】
本発明の一側面では、少なくとも第2の移動手段16が、基本的に公知の形式の第1のロボットアーム19と第2のロボットアーム20とを含み、又はこれらから構成される。
【0044】
本発明の一実施形態では、第1の移動手段15及び第3の移動手段17も複数のロボットアーム、特に第3のロボットアーム21及び第4のロボットアーム22を含み、又はこれらから構成することも可能であり、他の実施形態では、例えばコンベアベルト、歯車、チェーン、スライド及び/又は昇降機等の他の適切な移動手段を用いることも可能であると解されるものである。
【0045】
また、第3のロボットアーム21と第4のロボットアーム22とは互いに同一とすることができ、第3のロボットアーム21及び第4のロボットアーム22それぞれにおいて、対応する一端にそれぞれ把持サポート23及び25を設けることも可能であり、把持サポート23及び25には例えば、各トレイ100を選択的に持ち上げるための吸引部材が設けられている。
【0046】
「ロボットアーム」との用語について明確にすべき点として、本願明細書及び特許請求の範囲において上記及び下記において、当該用語及びその変形(declination)は、一般性を何ら限定することなく、擬人多関節アーム、6軸ロボットアーム、SCARA(Selective Compliant Articulated Robot Arm)システム、r-θロボット、並びにリニアアクチュエータ及び回転アクチュエータのグループ、並びにこれらの組み合わせをいう。ここで示す例では、ロボットアームは好適には6つの回転軸を有するロボットアームであり、当該ロボットアームは設置ベースと、互いに関節連結された複数のセグメントと、把持ヘッドと、を備えており、この把持ヘッドは例えばグリッパを備えたものとすることができる。
【0047】
特に、第1のステーション12の第3のロボットアーム21は各トレイ100を装填位置PLから第2のステーション13へ移動させる機能を有し、一方第3のステーション14の第4のロボットアーム22は、後続の分配及び/又は箱詰めステップのために第2のステーション13から第3のステーション14へ各トレイ100を移動させる機能を有する。
【0048】
第2のステーション13は2つのロボットアーム19及び20の他に、基本的に重量計測ユニット26と、充填ユニット27と、閉止ユニット29と、を備えており、これらはベース11に取り付けられており、各ユニットは実質的に公知の形式のものである。
【0049】
例えば重量計測ユニット26は、本願出願人により出願されたイタリア国特許出願第102020000011488号に記載されている形式のものとすることができる。
【0050】
製品Pが液体である本発明の一実施形態では、充填ユニット27は、複数の送達ノズル32を備えると共に容器Cに1列Fずつ順次充填するように構成された送達部材又は送達ヘッド31が一端に設けられたロボットマニピュレータ30から成る充填装置と、液体製品Pを容器Cに向けてポンピング及び供給するために送達ヘッド31に動作可能に接続されたポンピング供給ユニット33と、の両方を備えている。これについては下記にて詳細に説明する。
【0051】
本発明の一側面では、各列Fの容器Cに1つずつ、所定量の製品Pを送達するため、又は複数列Fの各容器Cに同時に所定量の製品Pを送達するため、送達ヘッド31は有利には、具体的な送達又は充填動作要件に依存して、1つの送達ノズル32又は複数列の送達ノズル32を備えた他の送達ヘッド31と交換可能とすることができる。
【0052】
ここで明確にすべき点として、ロボットマニピュレータ30と送達ヘッド31と送達ノズル32は装置10の充填手段又はその一部を構成する。
【0053】
本発明の不図示の他の実施形態では、ロボットマニピュレータ30に代えて、他の適切な自明の種類の充填手段又は充填装置を用いることができる。例えば、ベース11上において作業経路Lに対する固定位置に、対応する送達ノズル32が設けられた送達ヘッド31を配置することができる。
【0054】
閉止ユニット29は、少なくとも1列Fの充填済みの容器Cを基本的に公知の態様で同時に閉止する閉止装置36に向かって複数の閉止要素、例えば蓋又はキャップT等を供給するように構成された少なくとも1つの供給装置35を備えている。
【0055】
供給装置35は、複数のガイド38を介してキャップTをピックアップゾーンZPに向かって運ぶように構成されたシュート37を備えている。ガイド38は、各列Fに設けられた収容設置部101の数と同数である。
【0056】
閉止装置36は回転型の少なくとも1つの閉止部材39を備えており、この閉止部材39は、ピックアップゾーンZPにあるキャップTをピックアップして列Fの容器Cに運び、すなわち適用して、製品Pが充填された後の容器Cを閉止するため、ピックアップ位置PP(
図1中実線で示す)と適用位置PA(
図1中点線で示す)との間で選択的に交互に移動するように構成されている。これについては下記にて詳細に説明する。
【0057】
本例では、閉止部材39に櫛状部材40が設けられており、櫛状部材40は回転アーム41に取り付けられており、この回転アーム41は、櫛状部材40を180°逆方向に回転させるように回転軸Rまわりで回転可能となっている。櫛状部材40側には複数の設置部42が設けられており、この設置部42はガイド38の数と同数であり、ピックアップ位置PPから適用位置PAに向かってキャップTをピックアップして仮支持するように構成されている。
【0058】
本発明の他の一側面では、第1のロボットアーム19と第2のロボットアーム20とがベース11において作業経路Lを挟んでそれぞれ反対側に取り付けられ、それぞれ反対側から、作業充填又は送達位置(
図1に示されている位置)にあるロボットマニュアル30の送達ヘッド31と協働するように位置決めされている。有利には、上記の作業充填又は送達位置では送達ヘッド31は作業経路Lを基準として横方向に配され、センタリングされる。
【0059】
具体的には、第1のロボットアーム19は、選択的にトレイ100を1つずつ、実質的に作業経路L上で、充填ユニット27と閉止ユニット28と、場合によっては重量計測ユニット26とに移送する少なくとも1つのプログラム機能を実行する能力を有する。特に、いずれか1つのトレイ100が充填ユニット27に対応して、すなわちロボットマニピュレータ30の送達ヘッド31に対応して運ばれる際には、トレイ100は、第1の列F1の容器C(
図2及び
図4~9参照)が送達ヘッド31の送達ノズル32の真下の充填位置PR(
図1及び
図4~9参照)に位置する第1の動作位置P1にある。
【0060】
さらに、容器Cに充填する作業を行う間(
図4~9)、一列Fの容器Cに製品Pが充填される度に第1のロボットアーム19は、当初第1の動作位置P1にあった1つのトレイ100を特定の一定のピッチSだけ進行させるように構成されている。これについては下記にて詳述する。この進行は作業経路L上で行われ、上記のピッチSは有利には、トレイ100全体の列F間の距離Dに等しい。
【0061】
本発明の他の一側面では、第2のロボットアーム20(
図1)は少なくとも、第1のロボットアーム19と同じプログラミングされた機能を自律的に実行して、上記にて第1のロボットアーム19について説明したのと同様に、選択的にトレイ100を1つずつ、充填ユニット27と閉止ユニット29と、場合によっては重量計測ユニット26とに移送する能力を有する。具体的には、第2のロボットアーム20によって移動するトレイ100は、第1のロボットアーム19によって移動するトレイ100の前又は後のトレイ100とすることができる。
【0062】
第2のステーション13に対応する第2のロボットアーム20を用いることの利点は、装置10の生産性を最大限にして、1時間あたり包装する容器数を約36,000にすることができること、すなわち、トレイ100を移動させるためにロボットアームではなく伝統的な移動手段を用いる従来技術で公知の装置でしか実現できない生産性を最大限にすることである。
【0063】
なお、両ロボットアーム19及び20の把持ヘッドは、第2のステーション13に対する移動中に各トレイ100を支持するように構成された移動台44,45(
図1及び
図3)に関連付けられており、移動台44,45には、各トレイ100の収容設置部101と同軸に配置された複数の貫通設置部46(
図3)が設けられている。
【0064】
装置10(
図1)はさらに、第1,第2及び第3の移動手段15,16及び17の動作と、重量計測ユニット26、充填ユニット27及び閉止ユニット29の機械的部品及び/又は部材の動作を制御するための電子制御手段47も備えている。
【0065】
本発明の他の一側面では、両ロボットアームのうち一方19又は20がロボットマニピュレータ30の送達ヘッド31に対して1つのトレイ100、例えば第1のトレイ102を移動させている間、トレイ100によって支持された容器Cの充填作業を実質的に休止無しで連続して行うように、すなわち処理ダウンタイムを無くし、あるいは処理ダウンタイムを最小限に抑えるように、第1のトレイ102によって支持された容器Cの充填作業が完了したときに送達ヘッド31に対応できるように、第1のトレイ102の隣に他のトレイ103を配するために、他方のロボットアーム20又は19が他のトレイ100、例えば第2のトレイ103を独立して自律的に移動させるように、両ロボットアーム19及び20の動作が電子制御手段47によって協調制御される。
【0066】
さらに、電子制御手段47はプログラマブル型であり、ロボットマニピュレータ30の送達ヘッド31に向かうトレイ100の移送すなわち供給を連続して中断無しで行えるように、両ロボットアーム19及び20の作動と空間的及び時間的な移動と制御するように構成されている。
【0067】
本発明の他の一側面では、両ロボットアーム19,20が互いに干渉することなく、ロボットマニピュレータ30の送達ヘッド31に向かう実質的に類似、同一又は鏡面反射の軌道を各トレイ100に辿らせるように、電子制御手段47によって両ロボットアーム19及び20が制御される。
【0068】
なお、両ロボットアーム19及び20は、それぞれのトレイ100が作業経路Lに対して平行に、かつ互いに同一平面上で移動して、実質的に同一の作業平面を画定するように、両トレイ100を送達ヘッド31に対して、すなわち第1の動作位置P1に移動させる点にも留意すべきである。
【0069】
本発明の可能な実施形態では、電子制御手段47は少なくとも1つの中央制御ユニット48を備えている。
【0070】
本発明の他の可能な不図示の実施形態では、電子制御手段47は各ロボットアーム19,20,21,22とロボットマニピュレータ30とに対してそれぞれ制御ユニットを備えることができ、そのうち1つの制御ユニットは、コマンド及び/又は制御の機能である「マスタ」機能を有し、それに対して他の残りの制御ユニットは、マスタにより実行される動作に依存する「スレーブ」機能を有する。
【0071】
上記にて述べた装置10の動作は本発明の方法に相当するが、以下の各ステップを有する。
【0072】
以下では分かりやすい説明のため、順次供給される2つのトレイ100の容器C、具体的には第1のトレイ102及び第2のトレイ103それぞれの容器Cに関して、各処理ステップを説明する。ここで、上記の順序、あるいは、ある1つのトレイ及び/若しくはその他のトレイに関する動作ステップは、本発明を限定するものとみなすべきものではなく、他の全てのトレイ100についてもその後に、同一の処理をサイクルで施すと解される。
【0073】
初期設定ステップにおいて、電子制御手段47は、第1,第2及び第3の移動手段15,16及び17の動作と、重量計測ユニット26、充填ユニット27及び閉止ユニット29の機械的部品及び/又は部材の動作とを制御するようにプログラミングされる。
【0074】
具体的には電子制御手段47は、ロボットマニピュレータ30の送達ヘッド31に向かうトレイ100の移送を連続して中断無しで行うように、両ロボットアーム19,20の作動と空間的及び時間的な移動と制御するようにプログラミングされる。また、このプログラミングは、両ロボットアーム19及び20が互いに干渉することなく、ロボットマニピュレータ30の送達ヘッド31に向かう実質的に類似、同一又は鏡面反射の軌道を各トレイ100に辿らせるように行われる。
【0075】
第1の供給ステップにおいて、充填対象の複数の容器Cが配置された第1のトレイ102が、第1のステーション11の装填位置PLに対応して供給される。
【0076】
第1のピックアップステップにおいて、第3のロボットアーム21が空の容器Cを入れた第1のトレイ102をピックアップし、これを第2のステーション13へ移動させる。
【0077】
第2のステーション13に対応して、第1の移動ステップにおいて第1のロボットアーム19を受入位置P0に位置決めするように駆動し、第3のロボットアーム21から第1のトレイ102を受け取ってロボットマニピュレータ30に対応して移送し、これを第1の動作位置P1に配置する。
【0078】
第1の充填ステップ(
図4~9)においてロボットマニピュレータ30を駆動し、送達ヘッド31の送達ノズル32を用いて一度に1つの特定の列Fの容器Cに特定量の製品Pを送達し、その後次の列に移動する。具体的には、上記の充填ステップは、ロボットマニピュレータ30が最初に容器Cの第1の列F1に充填する部分充填サブステップ(
図5)を含み、その後、進行サブステップ(
図6)において第1のロボットアーム19が第1のトレイ102を公知のように移動させ、作業経路L上で1つの進み幅Sだけ第1のトレイ102を進行させる。これにより第1のトレイ102が第2の動作位置P2に移動することができる。この第2の動作位置P2は、未だ充填されていない第2の列F2の容器Cがその充填のために送達ヘッド31の送達ノズル32の下方に位置する動作位置である。ここで留意すべき点としては、上記の部分充填サブステップ及び進行サブステップは、第1のトレイ102の最後の列FUの容器Cの充填が完了sするまで各列Fごとにサイクルで繰り返される。
【0079】
第1のトレイ102の容器Cの充填と並行して第1の閉止ステップも開始する。この第1の閉止ステップは各種サブステップを含み、これらのサブステップには、供給装置35が複数のキャップTをピックアップゾーンZPに向かって供給する供給サブステップと、閉止部材39がピックアップ位置PPに位置し、櫛状部材40を用いて、シュート37のピックアップゾーンZPにあるキャップTをピックアップし、その後これらのキャップTを第1のトレイ102に向けて輸送して適用位置PA(
図5)に到達するピックアップ輸送サブステップと、閉止部材39の櫛状部材40を回転軸Rまわりに反時計回りで180°回転させて容器CにキャップTを取り付ける適用サブステップ(
図6)と、閉止部材39をピックアップ位置PPに戻し、櫛状部材40を時計回りに180°回転させて新規のピックアップ輸送サブステップを開始する戻りサブステップと、が含まれる。充填作業に関しては、ピックアップ輸送サブステップ、適用サブステップ及び戻りサブステップは、第1のトレイ102の最後の列FUの容器Cの閉止が終了するまで、サイクルで繰り返される。
【0080】
特に、ピックアップ輸送サブステップ、適用サブステップ及び戻りサブステップは有利には、各列Fについて充填サブステップと進行サブステップとを行う時間間隔で行うことができる。
【0081】
本例では、適用サブステップ(
図6)は第1のトレイ102が第3の動作位置P3に移動したときに開始する。この第3の動作位置P3は、第1のトレイ102の容器Cの第3の列F3が充填位置PRに位置すると共に、第1の列F1が閉止位置PCに位置する動作位置である。
【0082】
第1のトレイ102の容器Cの充填及び閉止を行う最初のステップの間、第2の供給ステップにおいて第1のステーション12に対応して第2のトレイ103を供給し、第3のロボットアーム21が第2のトレイ103をピックアップして第2のステーション13に対応して当該第2のトレイ103を運ぶ第2のピックアップステップを開始する。
【0083】
第2のステーション13に対応して、第1のトレイ102の容器Cの充填及び閉止を行う第1のステップの終了処理中に第2の移動ステップが開始する。この第2の移動ステップは、第2のトレイ103を第3のロボットアーム21から受け取って、第1のトレイ102の最後の列FUの容器Cに充填を行っているちょうどその時に当該第1のトレイ102の後ろに第2のトレイ103を移送するために、第2のロボットアーム20を駆動して受入位置P0に配置するものである(
図7)。このようにすることで、最後の列FUの容器Cを閉止するために第1のロボットアーム19が第1のトレイ102を進行させるときに第2のロボットアーム20が作業経路L上で第2のトレイ103を移動させて第2のトレイ103の第1の列F1の容器Cを充填位置PRに運び、第2の充填ステップを開始する(
図8)。
【0084】
有利には、上記の動作の結果は、2つのトレイ102及び103の容器Cの充填作業、より一般的にはトレイ100の充填ステップが実質的に休止無しで連続して行われること、すなわち処理ダウンタイムを無くし、あるいは処理ダウンタイムを最小限に抑えるように行われることである。
【0085】
図9に示されているように、第1のトレイ102の第1の閉止ステップが終了すると第1の分配ステップが開始する。この第1の分配ステップは、容器Cが充填されて閉止された状態で第1のロボットアーム19が第1のトレイ102を第3のステーション14に向かって移送することにより、第4のロボットアーム22がこの第1のトレイ102をピックアップして後続の分配作業のために第3のステーション14に移動できるようにするというものである。
【0086】
第2のトレイ103に対する閉止ステップ及び分配ステップも、電子制御手段47の制御下で第1のトレイ102について説明したのと同様に行われるので、これらのステップについての再度の説明は省略する。
【0087】
なお上記の方法は、容器Cの可能な風袋計測及び/又は重量計測ステップを行うことも可能であり、これらのステップは通常はサンプルベースで行われる。
【0088】
風袋計測ステップ及び重量計測ステップは、例えば特定のトレイ100の容器Cの充填ステップ前に行うことができ、例えば特定のトレイ100から容器Cの1列Fを抽出して重量計測ユニット26の各対応する重量計測設置部に各容器Cを配置することによって行うことができる。
【0089】
具体的には、重量計測ステップにおいて、容器Cを重量計測ユニット26の各対応する重量計測設置部に配置した状態で当該容器Cに充填を行うことにより、ターゲットを絞って各容器Cに導入された製品の量の確認を行うことができる。
【0090】
風袋計測又は重量計測ステップが終了したとき、容器Cの抽出元である列Fの各対応する収容設置部101に公知のように当該容器Cを戻し、装置10の通常動作を再開する。
【0091】
上記にて説明した装置10及び方法については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分の改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0092】
また、一部の具体例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば確実に、特許請求の範囲に記載の特徴を有する容器を自動的に包装するための装置の他の多くの均等形態を達成できるので、かかる均等形態は全て、特許請求の範囲に記載の保護範囲に属することも明らかである。
【0093】
添付の特許請求の範囲において括弧書きの符号の目的は読みやすくすることのみであり、この特許請求の範囲により定まる保護範囲について限定するものとみなすべきものではない。
【国際調査報告】