IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特表2024-545855量子ドット構造を含む半導体デバイスの製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】量子ドット構造を含む半導体デバイスの製造
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20241206BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01L29/06 601D
H01L21/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528607
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 IB2022060793
(87)【国際公開番号】W WO2023084415
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】17/454,830
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】シェラー、マーカス
(72)【発明者】
【氏名】モーズランド、キルスティン、エミリー
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ、プレクシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィコ、トリヴィーノ、ノエリア
【テーマコード(参考)】
5F152
【Fターム(参考)】
5F152LL03
5F152LL04
5F152LL05
5F152LL07
5F152LL09
5F152LM02
5F152LM05
5F152LN32
5F152LN35
5F152LN36
5F152MM16
5F152NN03
5F152NN04
5F152NN05
5F152NP12
5F152NP13
5F152NP14
5F152NQ05
5F152NQ06
5F152NQ07
5F152NQ08
(57)【要約】
本発明は、半導体デバイスを製造するための方法に関する。本方法は、空洞構造を提供するステップを含み、空洞構造はシード材料を含むシード領域を含む。本方法は、空洞構造内で、シード材料のシード表面から第1の成長方向に第1の埋め込み層を成長させることをさらに含む。本方法は、シード材料を除去するステップと、第1の埋め込み層のシード表面から第2の成長方向に、量子ドット構造を成長させるステップと、空洞構造内で、量子ドット構造の表面上に、第2の成長方向に第2の埋め込み層を成長させるステップとをさらに含む。第2の成長方向は第1の成長方向とは異なる。本発明はさらに、このような方法によって得られるデバイスに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造するための方法であって、
空洞構造を提供することであり、前記空洞構造は、シード材料を含むシード領域を備える、前記空洞構造を提供することと、
前記空洞構造内で、前記シード材料のシード表面から第1の成長方向に第1の埋め込み層を成長させることと、
前記シード材料を除去することと、
第2の成長方向において、前記第1の埋め込み層のシード表面から、量子ドット構造を成長させることと、
前記空洞構造内で、前記量子ドット構造の表面上に、前記第2の成長方向に第2の埋め込み層を成長させることであり、前記第2の成長方向は、前記第1の成長方向とは異なる、前記第2の埋め込み層を成長させることとを含む、方法。
【請求項2】
前記量子ドット構造が1つまたは複数の量子ドットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の成長方向が、前記第2の成長方向と反対の方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記量子ドット構造の位置は、前記シード領域によって規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シード領域が100nm~4000nmの断面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記空洞構造を提供することは、
半導体基板を提供することと、
前記半導体基板上に犠牲構造をパターン化することであって、前記犠牲構造は、前記シード材料を含む、前記犠牲構造をパターン化することと、
前記半導体基板および前記犠牲構造上にコーティング材料を含むコーティング層を形成することと、
前記犠牲構造の第1の部分を選択的に除去することであって、以て、前記シード表面を形成する、前記選択的に除去することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記犠牲構造の第2の部分を選択的に除去することであって、以て、前記第1の埋め込み層の前記シード表面を提供する、前記選択的に除去することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シード領域が、前記空洞構造の中心部分内に形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記シード材料が酸化材料であり、前記方法が、
前記シード領域において前記コーティング層内に開口部を形成することと、
前記シード領域において前記シード材料の制御された酸化を実施することであって、以て、前記シード領域の断面の制御された縮小を実施する、前記実施することとをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記シード材料が、SiおよびSiGeからなる群から選択される材料を含むIV族材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シード材料が、GaAs、InAsおよびInPからなる群から選択される材料を含むIII-V族材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記量子ドット構造がIII-V族半導体材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の埋め込み層または前記第2の埋め込み層あるいはその両方が、III-V族半導体材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の埋め込み層は、第1の半導体材料のドープ半導体層を含み、
前記第2の埋め込み層は、前記第1の半導体材料または第3の半導体材料のドープ半導体層を含み、
前記量子ドット構造は、第2の半導体材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の半導体材料および前記第2の半導体材料は、
InP/InGaAs、InP/InAlGaAs、GaAs/AlGaAs、GaAs/InAs、InP/InAsSb、GaN/InGaN、およびInAs/CdSeからなる対から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記量子ドット構造の前記成長、前記第1の埋め込み層の前記成長、および前記第2の埋め込み層の前記成長が、有機金属化学気相成長(MOCVD)、大気圧CVD、低圧または減圧CVD、超高真空CVD、分子線エピタキシ(MBE)、原子層堆積(ALD)、および水素化物気相エピタキシのうちの1つによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記シード材料の前記第1の部分を選択的に除去することが、選択的エッチングを実施することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の埋め込み層および前記第2の埋め込み層が、それぞれ前記第1の成長方向または前記第2の成長方向あるいはその両方に沿ってヘテロ構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の埋め込み層および前記第2の埋め込み層が、それぞれ前記第1の成長方向または前記第2の成長方向あるいはその両方に沿ってヘテロ構造組成の変形を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
半導体デバイスであって、
第1の埋め込み層と第2の埋め込み層との間に配置されている量子ドット構造であり、
前記量子ドット構造は、前記第1の埋め込み層のシード表面からエピタキシャル成長されている、前記量子ドット構造と、
前記量子ドット構造の表面上にエピタキシャル成長されている前記第2の埋め込み層であり、前記量子ドット構造の前記表面および前記第1の埋め込み層の前記シード表面は、前記量子ドット構成の対向する両側に配置されている、前記第2の埋め込み層とを備える、半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、量子ドット構造を含む半導体デバイスを製造するための方法に関する。本発明の実施形態はさらに、このような方法によって得られるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
統合量子光学は、光量子コンピューティングについて高い関心を寄せられている。最初の原理証明実験では、光子を使用した量子ビット演算が示されている。
【0003】
光コンピューティングの主要なデバイスは、単一光子源および単一光子検出器である。最初のデバイスは実証されているが、拡張が容易で高度に制御されたプロセスが必要とされている。超伝導ナノワイヤ技術に基づく単一光子検出器はよく確立されているが、常温よりも高い温度で、例えば、特に室温で動作することができるスケーリングされたデバイスにおける関心が高まっている。
【0004】
単一光子デバイスは、多くの場合、単一量子ドットを組み込んだ材料に基づく。効率的な単一光子操作を達成し、より先進的なデバイスを製造するためには、量子ドットの精密な位置整合が極めて重要である。それゆえ、半導体材料系における量子ドット構造の精密な製造を可能にする製造手法が必要とされている。
【0005】
量子ドットは、電子を輸送することができるナノスケールで作成された半導体粒子である。量子ドットは、量子力学に起因するより大きい粒子とは異なる電気的特性および光学的特性を有する。
【発明の概要】
【0006】
一態様によれば、本発明は、半導体デバイスを製造するための方法として具現化される。本方法は、空洞構造を提供するステップを含み、空洞構造はシード材料を含むシード領域を含む。本方法は、空洞構造内で、シード材料のシード表面から第1の成長方向に第1の埋め込み層を成長させることをさらに含む。本方法は、シード材料を除去するステップと、第1の埋め込み層のシード表面から第2の成長方向に、量子ドット構造を成長させるステップと、空洞構造内で、量子ドット構造の表面上に、第2の成長方向に第2の埋め込み層を成長させるステップとをさらに含む。第2の成長方向は第1の成長方向とは異なる。
【0007】
本発明のさらなる態様の一実施形態によれば、第1の態様による方法によって得られる半導体デバイスが提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様の一実施形態によれば、量子ドット構造を含む半導体デバイスが提供される。量子ドット構造は、第1の埋め込み層と第2の埋め込み層との間に配置される。量子ドット構造は、第1の埋め込み層のシード表面からエピタキシャル成長されている。さらに、第2の埋め込み層が、量子ドット構造の表面上にエピタキシャル成長されている。量子ドット構造の表面および第1の埋め込み層のシード表面は、量子ドット構造の対向する側に配置されている。
【0009】
本発明のさらなる態様の一実施形態によれば、提案されている半導体構造は、共振モードにおいて増強発光を提供するために、フォトニック結晶格子などの共振構成内に配置することができる。
【0010】
本発明のさらなる態様の一実施形態によれば、提案されている半導体構造は、導波路や他の受動構造に対して、光の入力または出力結合を容易にすることを可能にするように構成することができる。
【0011】
本発明の方法態様のステップは、適宜、異なる順序で実施されてもよい。重要なことには、量子ドット(QD)の成長は、第2の埋め込み層の成長の直前のステップ内で行われてもよい。これは、シード層からの格子不整合の影響を低減することができる。
【0012】
さらに、ステップはまた、適宜組み合わされてもよい、すなわち、例えば、2つ以上のステップがともに実施されてもよい。
【0013】
本発明の1つの態様の特徴の利点は、本発明の別の態様の対応する特徴に適用することができる。
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら、例示的かつ非限定的な例により、より詳細に説明する。
【0015】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、添付図面と共に参照される例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図解は、当業者が詳細な説明とともに本発明を理解するのを容易にするために明確にするためのものであり、図面の様々な特徴は、原寸に比例しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される初期構造の拡大上面図である。
図1b】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1c】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1d】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1e】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1f】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1g】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1h】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1i】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される中間構造の拡大上面図である。
図1j】本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される最終構造の拡大上面図である。
図2a図1aに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2b図1bに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2c図1cに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2d図1dに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2e図1eに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2f図1fに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2g図1gに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2h図1hに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2i図1iに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図2j図1jに対応する構造の対応する拡大断面図である。
図3】本発明の実施形態による半導体構造を製造するための方法の方法ステップの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに、図1図3を参照して、本発明の実施形態のいくつかの全般的な態様および用語について説明する。
【0018】
図のいずれかまたはすべてにおいて、寸法は原寸に比例して描かれていない場合があり、本発明の実施形態の特徴および原理を説明するために単純化した図式で示されている場合がある。
【0019】
本明細書における「空洞」とは、その中に量子ドット(QD)および埋め込み層を成長させることができるテンプレートで覆われた中空空間を指す。これは、レーザーまたは他の共振デバイスを製造するために使用される共振キャビティと混同してはならないが、「空洞」はそのような共振構造に統合される場合がある。
【0020】
「上」および「上方」という用語は、この文脈において、慣例と同様に、基板の表面に対して垂直方向または直交方向に、特に垂直z方向における向きまたは相対位置を示すために使用される。
【0021】
「横方向」または「横方向に」という用語は、この文脈において、慣例と同様に、基板表面から概して垂直方向または外向きとは反対に、基板の平面に概して平行な向きを示すために使用される。
【0022】
「半導体基板上に配置されている」という用語は、広範な意味において理解されるべきであり、特に、例えば、絶縁層などの中間層が、基板とフォトニック結晶構造との間に配置される実施形態を含むものとする。したがって、「基板上に配置されている」という用語は、「基板の上方に」配置されているという意味を含むものとする。
【0023】
本発明の実施形態による方法は、統合能動半導体デバイス内に、特にシリコンまたはシリコン・オン・インシュレータ(SOI)上に、量子ドット構造、特に局所的な量子ドットを製造することを可能にする。
【0024】
本発明の実施形態は、空洞構造内で2段階エピタキシャル成長プロセスを実施する。2段階成長プロセスによって、埋め込み材料の第1の埋め込み層および第2の埋め込み層を、量子ドット構造の対向する両側に成長させることができる。これにより、量子ドット構造を埋め込み材料内に精密に位置付けることができる。埋め込み材料は、特に半導体材料、特にIII-V族半導体材料であってもよい。
【0025】
実施形態によれば、量子ドット構造の成長は、第2の埋め込み層の成長の直前に実施される。これによって、シード層からの格子不整合の影響を低減することができる。
【0026】
本発明の実施形態による方法は、スケーリングされた単一光子検出器または放出器の製造を可能にすることができる。
【0027】
図1a~図1jは、本発明の実施形態による製造方法の段階中に形成される初期構造、中間構造、および最終構造の拡大上面図を示し、図1a~図1fは、空洞の作成を示し、図1g~図1jは、空洞内の半導体材料の成長を示す。
【0028】
図2a~図2jは、図1a~図1jに対応する構造の対応する拡大断面図を示す。
【0029】
図1aは、初期構造101の上面図を示し、図2aは、対応する断面図を示す。
【0030】
初期構造101は、基板120を含む。基板120は、半導体材料を含み、例えばバルク半導体基板であってもよい。基板120は、結晶性半導体または直径のより大きい化合物半導体ウェハとして具現化されてもよい。基板は、例えば、周期表のIV族からの材料を、半導体材料として含んでもよい。IV族の材料は、例えば、ケイ素、ゲルマニウム、ケイ素とゲルマニウムとの混合物、ケイ素と炭素との混合物、ケイ素とゲルマニウムと炭素との混合物などを含む。例えば、基板120は、半導体産業で使用される結晶シリコンウェハであってもよい。以下の例示的な説明では、基板はSiを含むと仮定しており、これは垂直ストライプで示されている。
【0031】
構造101は、基板120上の絶縁層121をさらに含む。絶縁層121は、例えば、誘電体層として具現化されてもよい。絶縁層121は、例えば、熱酸化、化学気相成長(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、原子層堆積(ALD)、化学溶液堆積、有機金属化学気相成長(MOCVD)、蒸着、スパッタリング、および他の堆積プロセスのような既知の方法によって形成することができる。このような誘電体材料の例は、限定ではないが、SiO、Si、Al、AlON、Ta、TiO、La、SrTiO、LaAlO、ZrO、Y、Gd、MgO、MgNO、Hf系材料およびこれらの多層を含む組合せを含む。
【0032】
以下の例示的な説明では、絶縁層121が、ドット・パターンで示されるSiOを含むと仮定する。
【0033】
構造101は、絶縁層121上の犠牲構造122をさらに含む。犠牲構造122は、シード材料を含むか、またはシード材料から構成されている。シード材料は、IV族またはIII-V族材料であってもよい。シード材料は、特に、ここでも例示的に垂直ストライプで示されているSiであってもよい。他の実施形態によれば、シード材料は、ガリウム(Ga)またはインジウム(In)を含むIII-V族化合物材料であってもよい。
【0034】
基板120、絶縁層121および犠牲構造122の厚さは、任意の適切な厚さとすることができる。実施形態によれば、基板120および犠牲構造122は、Siから構成されてもよい。絶縁性層121は、SiOから構成されてもよい。
【0035】
実施形態によれば、基板120、絶縁層121、および犠牲構造122を含む構造101は、特にシリコン・オン・インシュレータ・ウェハ、特に市販のSOIウェハとして具現化されてもよい。
【0036】
犠牲構造122は、所望の様式でパターン化されている。犠牲構造122は、その後に形成される空洞構造の内側部分を形成し、局所的に別の半導体材料、特にIII-V族半導体材料に置き換えられる。犠牲構造は、リソグラフィおよびその後のエッチングによって形成されてもよい。エッチングは、特に、当該技術分野で知られており、Siフォトニクスにおける標準的な技法として使用されているような、臭化水素(HBr)化学に基づいてもよい。これには、平滑な側壁を提供するという利点がある。
【0037】
上面図1a~図1jには、図解を容易にするため、絶縁層121および基板120が示されていないことに留意されたい。
【0038】
図1bは、構造102の上面図を示し、図2bは、対応する断面図を示す。構造102は、犠牲構造122を酸化物でカプセル化することにより、構造101から形成されている。より詳細には、犠牲構造122が、誘電体材料のコーティング層123で覆われている。図1bおよび図2bの例示的な実施形態では、コーティング層123が、ドット・パターンによって示されているSiOを含むと仮定している。
【0039】
図1cは、構造103の上面図を示し、図2cは、対応する断面図を示す。構造103は、シード領域126および(これから形成される)量子ドット構造の想定される位置において、コーティング層123内に開口部124を形成することによって、構造102から形成されている。開口部124は、特にエッチング・ステップによって形成されてもよい。実施形態によれば、エッチングは、犠牲構造122の下方の開口部125をも形成するためのアンダーエッチングを含んでもよい。シード領域126は、犠牲構造122の中心部分に位置付けられる。
【0040】
図1dは、構造104の上面図を示し、図2dは、対応する断面図を示す。構造104は、シード領域126において犠牲構造122のシード材料の制御された酸化を実施することにより、構造103から形成されている。これにより、横Y方向または垂直Z方向あるいはその両方におけるシード領域126の断面の制御された縮小(controlled reduction)が実施される。このような実施形態によれば、犠牲構造122のシード材料は、特に任意の適切な酸化材料(oxidizing material)であってもよい。実施形態によれば、シード領域126は、100nm~4000nmのy-z平面における断面積を有する。
【0041】
図1eは、構造105の上面図を示し、図2eは、対応する断面図を示す。構造105は、第1の窓127を犠牲構造122へと開くことにより、構造104から形成されている。より詳細には、コーティング層123のSiOは、犠牲Si材料にアクセスすることができるように、例えば反応性イオン・エッチング(RIE)によってエッチングされている。
【0042】
図1fは、構造106の上面図を示し、図2fは、対応する断面図を示す。構造106は、シード材料、特にSiの、量子ドット構造の所望の部分まで戻る選択的除去を実施することによって、構造105から形成されている。これにより、後続の成長ステップのための空洞構造128の第1の中空空洞128aが形成されている。選択的除去は、特に、Si材料に対するTMAHまたはXeF系エッチャントなどの、選択エッチング技法によって実施されてもよい。第1の中空空洞128aは、シード領域126内のシード材料のシード表面129を含む。
【0043】
図1gは、構造107の上面図を示し、図2gは、対応する断面図を示す。構造107は、空洞構造128内、より詳細には第1の空洞128a内で、シード表面129から第1の埋め込み層130を成長させることにより、構造106から形成されている。第1の埋め込み層130の成長は、第1の成長方向140に実施される。第1の成長方向140は、特に横方向であってもよい。
【0044】
図1hは、構造108の上面図を示し、図2hは、対応する断面図を示す。構造108は、第1の埋め込み層130をコーティング層132、特に酸化物層によってカプセル化することにより、構造107から形成されている。コーティング層132は、空洞構造128のコーティング層123よりも薄くてもよい。
【0045】
図1iは、構造109の上面図を示し、図2iは、対応する断面図を示す。構造109は、第2の窓137を犠牲構造122へと開くことにより、構造108から形成されている。より詳細には、犠牲Si材料にアクセスすることができるように、コーティング層123のSiOはRIEによってエッチングされる。さらに、シード材料、特にSiの、第1の埋め込み層130、すなわち以前の核形成まで戻る選択的除去が実施されている。これにより、後続の成長ステップのための空洞構造128の第2の中空空洞128bが形成されている。選択的除去は、特に選択エッチング技法によって実施されてもよい。
【0046】
選択的エッチングにより、第1の埋め込み層130のシード表面131が形成されている。言い換えれば、犠牲Si材料が、以前の核形成の位置まで戻るように選択的に除去される。
【0047】
図1jは、構造110の上面図を示し、図2jは、対応する断面図を示す。構造110は、空洞構造128内、より詳細には第2の空洞128b内で、第1の埋め込み層130のシード表面131から第2の成長方向141に量子ドット構造150を成長させることにより、構造109から形成されている。量子ドット構造150は、特にシード領域126内に成長されている。加えて、第2の埋め込み層160が、量子ドット構造150の表面151上の空洞構造128内で第2の成長方向141に成長されている。量子ドット構造150および第2の埋め込み層160の成長により、第2の成長ステップが確立される。第2の成長ステップは、核形成段階、量子ドット構成150の成長、およびそれに続く第2の埋め込み層160の成長を含む。したがって、空洞構造内に、2つの連続する半導体層、すなわち、第1に、量子ドット構造150、および、第2に、第2の埋め込み層160が成長されている。
【0048】
量子ドット構造150は、特に単一量子ドットとして具現化されてもよい。したがって、このような実施形態によれば、量子ドット構造150は、シード層が除去された後、第2の埋め込み層160の成長の直前に、かつそれと同じ方向に、第1の埋め込み層130の表面から成長される。
【0049】
量子ドットのロケーションの精密な制御は、デバイスの制御された製造を可能にするために極めて重要である。この方法により、2段階成長プロセスを用いて能動デバイス構造内での単一量子ドットの自己整合配置が可能になる。
【0050】
量子ドット構造成長が、第1の埋め込み層130の第1の埋め込み材料上で核形成するため、第2の成長ステップにおける量子ドット構造150の成長は、高い材料品質を保証する。第1の埋め込み層130および量子ドット構造150の材料は、有利には、わずかな格子不整合を有するように選択することができる。
【0051】
さらに、空洞形状、その中の量子ドット構造150のロケーション、および成長方法の制御は、デバイス内のQDの数の精密な制御を可能にする。
【0052】
したがって、本発明の実施形態による方法は、特にSi受動素子に対する自己整合されたデバイスの製造を可能にする。
【0053】
上述したように、量子ドット構造150および第2の埋め込み層160の成長は、第2の成長方向141で実施される。第1の成長方向140および第2の成長方向141は、特にy-x平面における横方向である。第1の成長方向140は、特に、第2の成長方向141と反対の方向である。
【0054】
第1の埋め込み層130のシード表面131および量子ドット構造150の表面151は、量子ドット構造150の対向する両側に配置される。したがって、第1の埋め込み層130および第2の埋め込み層160は、量子ドット構造150の対向する両側に配置される。
【0055】
実施形態によれば、量子ドット構造150の寸法は、すべての次元、すなわちx方向、y方向およびz方向において、10nm~60nmの範囲内であってもよい。
【0056】
量子ドット構造150は、特にIII-V族半導体材料を含んでもよい。第1の埋込み層130および第2の埋込み層160もまた、特にIII-V族半導体材料を含んでもよい。
【0057】
実施形態によれば、量子ドット構造150は、第2の半導体材料、特に第2のIII-V族半導体材料を含んでもよく、一方、第1の埋め込み層130および第2の埋め込み層160は、第1の半導体材料、特に第1のIII-V族半導体材料を含んでもよい。第1の半導体材料および第2の半導体材料は、量子閉じ込めを提供するために異なるバンド・ギャップを有してもよい。特に、第1の埋め込み層130および第2の埋め込み層160の第1の半導体材料は、量子ドット構造150の第2の半導体材料よりも大きいバンド・ギャップを有してもよい。第1のIII-V族半導体材料および第2のIII-V族半導体材料の1つの好ましい組合せは、埋め込み層130、160の第1の半導体材料としてのInP、および、量子ドット構造150の第2の半導体材料としてのInGaAsを含む。他の好ましい組合せは、AlGaAsとGaAsとの組合せ、および、GaAsとInGaAsとの組合せを包含する。
【0058】
実施形態によれば、第1の埋込み層130は、第1の半導体材料を含んでもよく、第2の埋込み層160は、第1の半導体材料とは異なる第3の半導体材料を含んでもよい。
【0059】
しかしながら、III-V族材料は一般に2価および3価または4価の材料であってもよいことに留意すべきである。
【0060】
他の実施形態によれば、II-VI族半導体化合物、混合II-VI化合物、およびIV-IV化合物の適切な対が使用されてもよい。
【0061】
実施形態によれば、量子ドット構造150は、第2の半導体材料を含んでもよく、第1の埋め込み層130は、第1の半導体材料のドープ半導体層を含んでもよく、第2の埋め込み層160は、第1の半導体材料または第3の半導体材料のドープ半導体層を含んでもよい。
【0062】
実施形態によれば、第1の半導体材料/第2の半導体材料の対は、特に、InP/InGaAs、InP/InAlGaAs、GaAs/AlGaAs、GaAs/InAs、InP/InAsSb、GaN/InGaNまたはInAs/CdSeの対によって確立されてもよい。
【0063】
第1の埋め込み層130の成長、量子ドット構造150の成長、および第2の埋め込み層160の成長は、例えば、MOCVD、大気圧CVD、低圧もしくは減圧CVD、超高真空CVD、分子線エピタキシ(MBE)、ALD、または水素化物気相エピタキシによって実施されてもよい。
【0064】
一般的に、本発明の実施形態による方法の汎用性は、埋め込み量子ウェル、量子ドット、量子ワイヤ、ドープまたは真性半導体層およびヘテロ接合を含む、空洞構造128内のIII-V族半導体材料の任意の組合せを可能にすることができる。
【0065】
実施形態によれば、量子ドット構造150、第1の埋め込み130および第2の埋め込み160は、利得構造を形成することができる。このような利得構造はエピタキシャル成長されており、基板の横方向、より詳細にはx-y平面内に延在する。x-y平面は基礎となる基板に平行に配置されている。
【0066】
したがって、具現化された利得構造は、p-i-n構造を形成するドーピング・プロファイルを含んでもよい。これにより、電気的ポンピングを容易にすることができる。p-i-n構成は、pドープ領域とnドープ領域との間に配置された真性領域を有する構成である。
【0067】
この点で、ドーピングとは、真性半導体の電気的、光学的および構造的特性を調整する目的で、意図的に不純物を真性半導体に導入することと理解されるものとする。半導体をドープすると、バンド・ギャップ内で許容されるが、ドーパント型に対応するエネルギー帯域に非常に近いエネルギー状態が導入される。正またはp型ドーピングは、価電子帯内に自由正孔を導入し、負またはn型ドーピングは、伝導帯内に自由電子を導入する。
【0068】
ドーパントの導入には、エネルギー帯域をフェルミ準位に対してシフトさせる効果がある。n型半導体では、フェルミ準位は伝導帯に近く、または、縮退n型半導体では、伝導帯内にある。p型の場合、フェルミ準位は価電子帯に近いかまたはその範囲内にある。典型的なドープ半導体のドーピング密度は、材料および状態の密度に応じて、5x1018cm~1020cmに及ぶ。半導体が完璧に真性であることはほとんどないが、電気的な意味での真性とは、半導体が導電していないことを意味する。典型的には、ドーピング・レベルは、約1015-1016cmである。
【0069】
図3は、本発明の実施形態による半導体構造を製造するための方法の方法ステップの流れ図を示す。
【0070】
ステップ310において、空洞構造が提供される。空洞構造は、シード材料を含むシード領域を含む。
【0071】
ステップ320において、第1の埋め込み層が、空洞構造内に、シード材料のシード表面から第1の成長方向に成長される。
【0072】
ステップ330において、犠牲構造のシード材料が除去される。
【0073】
ステップ340において、量子ドット構造が、第1の埋め込み層のシード表面から、第2の成長方向に成長される。
【0074】
ステップ350において、空洞構造内で、量子ドット構造の表面上に、第2の成長方向に第2の埋め込み層を成長させる。
【0075】
第2の成長方向は第1の成長方向とは異なり、特に、第1の成長方向と反対であってもよい。
【0076】
ステップ320または350あるいはその両方の後に、所望により、最終デバイス構造において派生させるために適切なさらなる処理ステップを続けてもよいことに留意すべきである。これは特に、埋め込み層上にコンタクト層を成長させるステップを含んでもよい。実施形態によれば、第1の埋め込み層に対するコンタクト層は、第1の埋め込み層の成長の直後にすでに成長されていてもよい。
【0077】
上記では例示的な例を示したが、上述の基本的な製造ステップは、他の材料、形状、およびサイズの半導体構造体を製造するために使用することができることが理解されよう。材料および処理技法は、所与の実施形態に適切なものを選択することができ、適切な選択は当業者には容易に諒解されよう。
【0078】
以上、特定の例について説明したが、他にも多数の実施形態が考えられる。半導体構造を成長させるためのシード表面は、好ましくは結晶性シード表面であるが、他の実施形態によれば、非晶質表面によって提供されてもよい。シードが明確に定義された結晶配向を有し、かつ、シードの結晶構造が成長する結晶(例えばIII-V族化合物半導体)の結晶構造と妥当に一致する場合、成長する結晶はこの配向に適応することができる。シードが非晶質であるかまたは未定義の結晶配向を有する場合、成長する結晶は単結晶になるが、その結晶配向はランダムになる。
【0079】
実施形態によれば、第1の埋め込み層または第2の埋め込み層あるいはその両方は、それぞれ、第1の成長方向または第2の成長方向あるいはその両方に沿って、ヘテロ構造またはそれぞれの層の(材料)組成の変化を含むことができる。これは電気的性能をブーストすることができる。
【0080】
開示されている半導体構造および回路は、半導体チップの一部とすることができる。結果もたらされる集積回路チップは、製造元によって、生ウェハ形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)、ベアダイとして、またはパッケージされた形態において配布することができる。後者の事例では、チップは、単一チップ・パッケージ(マザーボードに固定されるリードを有するプラスチック・キャリアまたは他のより高レベルのキャリアなど)、またはマルチ・チップ・パッケージ(例えば、表面相互接続または埋め込み相互接続のいずれかまたは両方を有するセラミック・キャリア)内に実装される。いずれにせよ、チップは、他のチップ、ディスクリート回路素子、または他の信号処理デバイスあるいはその組合せと、マザーボードなどの中間製品または最終製品の一部として、統合されてもよい。最終製品は、集積回路チップを含む任意の製品とすることができる。
【0081】
特許請求の範囲および本明細書の解釈には、以下の定義および略語を使用する。本明細書において使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「包含する(contains)」もしくは「包含している(containing)」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的に含むことをカバーすることを意図している。例えば、要素のリストを含む組成、混合物、プロセス、方法、製品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていないかまたはそのような組成、混合物、プロセス、方法、製品、または装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0082】
本明細書では、要素または構成要素に先行する冠詞「a」および「an」は、要素または構成要素のインスタンス(すなわち、出現)の数に関して非制限的であることを意図している。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むものとして読解されるべきであり、数が明らかに単数であることを意図していない限り、要素または構成要素の単数語形はまた、複数も含む。
【0083】
本明細書において使用される場合、「量子ドット構造」という用語は非限定的な用語であり、量子ウェル実施形態、量子ドット、特に単一量子ドット、および量子ワイヤを参照するものとする。
【0084】
本明細書において使用される場合、「発明」または「本発明」という用語は非限定的な用語であり、特定の発明の任意の単一の態様を参照することを意図するものではなく、本明細書および特許請求の範囲に記載されるすべての可能な態様を包含する。
【0085】
本発明の様々な実施形態の説明は、図解の目的で提示されたものであり、開示された実施形態を網羅または限定することを意図したものではない。説明した実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、当業者には多くの修正および変形が明らかであろう。本明細書において使用される用語は、実施形態の原理、実際的な適用または市場に見出される技術にまさる技術的改善を最良に説明し、または本明細書において開示される実施形態を当業者が理解することを可能にするように選択された。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図1i
図1j
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図2j
図3
【国際調査報告】