(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】感熱紙
(51)【国際特許分類】
B41M 5/44 20060101AFI20241206BHJP
B41M 5/41 20060101ALI20241206BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20241206BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20241206BHJP
D21H 21/54 20060101ALI20241206BHJP
D21H 19/20 20060101ALI20241206BHJP
D21H 19/56 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
B41M5/44 210
B41M5/41 200
D21H27/00 Z
D21H19/82
D21H21/54
D21H19/20 B
D21H19/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533296
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022051911
(87)【国際公開番号】W WO2023121864
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アインスラ、ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】グロール、イーサン シー.
(72)【発明者】
【氏名】グー、ジュンシ
【テーマコード(参考)】
2H026
4L055
【Fターム(参考)】
2H026AA07
2H026DD02
2H026DD48
2H026DD57
2H026EE03
2H026FF15
4L055AG63
4L055AG64
4L055AG70
4L055AG71
4L055AG95
4L055AH37
4L055AJ01
4L055BE09
4L055CH14
4L055EA08
4L055EA15
4L055EA16
4L055EA17
4L055EA30
4L055EA32
4L055FA15
4L055GA12
(57)【要約】
本発明は、高空隙率多孔質中空球状ポリマー粒子(HSP)を含む中間ベースコート層を有するコート紙物品に関する。非常に小さい細孔面積密度及び高い空隙率を有するHSPは、熱印刷用途において、所与の印刷エネルギーで光学濃度の増加をもたらす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コート紙物品であって、
a)40μm~500μm厚の紙基材と、
b)多孔質多段階ポリマー粒子及びバインダを含む、2μm~10μm厚のベースコート層と、
c)1μm~30μm厚の感熱記録層と、を備え、
前記ベースコート層が、前記感熱記録層と前記紙基材との間に配設されており、
前記多孔質多段階ポリマー粒子が、シェル-中空コア形態、及び500nm~3μmの範囲の数加重平均粒子サイズを有し、
前記シェルが、0.5~10重量パーセントのカルボン酸モノマーの塩の構造単位、及び90~99.5重量パーセントのスチレンの構造単位を含み、
前記シェルの少なくとも98重量パーセントが、スチレン及び前記カルボン酸モノマーの前記塩の構造単位を含み、
細孔面積パーセントが、前記多段階ポリマー粒子の表面積の0.005~0.5パーセントの範囲にある、コート紙物品。
【請求項2】
前記多段階ポリマー粒子の前記シェルの少なくとも99重量パーセントが、スチレン及びカルボン酸モノマーの構造単位を含み、前記カルボン酸モノマーが、アクリル酸若しくはその塩又はメタクリル酸若しくはその塩である、請求項1に記載のコート紙物品。
【請求項3】
前記多孔質多段階ポリマー粒子の前記シェルが、0.5重量パーセント未満の任意のC
1~C
20アルキルアクリレート又はメタクリレートの構造単位を含む、請求項1に記載のコート紙物品。
【請求項4】
前記多孔質多段階ポリマー粒子の前記シェルが、0.5重量パーセント未満の任意のC
3~C
20シクロアルキルアクリレート又はメタクリレートの構造単位を含む、請求項1に記載のコート紙物品。
【請求項5】
前記多孔質多段階ポリマー粒子の前記数加重平均粒子サイズが、750nm~1.5μmの範囲にある、請求項2に記載のコート紙物品。
【請求項6】
平均面積パーセントが、前記多孔質多段階ポリマー粒子の表面積の0.01~0.1パーセントの範囲にあり、前記多孔質多段階ポリマー粒子の前記数加重平均粒子サイズが、900nm~1.2μmの範囲にある、請求項5に記載のコート紙物品。
【請求項7】
前記多孔質多段階ポリマー粒子が、60%~75%の範囲の空隙率を有する、請求項6に記載のコート紙物品。
【請求項8】
前記多孔質多段階ポリマー粒子が、60%~70%の範囲の空隙率を有する、請求項6に記載のコート紙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質中空球状顔料、特に高い空隙率を有する多孔質中空球状顔料を含むベースコートを有する感熱紙に関する。
【0002】
感熱紙は、紙基材と、中空球状顔料(hollow sphere pigment、HSP)を含む中間断熱層と、画像形成層とを含む多層記録材料である(米国特許第10,730,334(B1)号参照)。直接熱印刷用途における印刷性能は、HSPの空隙率を最大化することに大きく依存する。空隙率が大きいほど、生成及び撮像するのに必要な印刷エネルギーは少なくなる。しかしながら、空隙率だけで印刷性能を予測することはできない。したがって、改善された印刷性能をもたらすHSPを提供することは、熱印刷の分野において有利であろう。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、コート紙物品であって、
a)40μm~500μm厚の紙基材と、
b)多孔質多段階ポリマー粒子及びバインダを含む、2μm~10μm厚のベースコート層と、
c)1μm~30μm厚の感熱記録層と、を備え、
ベースコート層が、感熱記録層と紙基材との間に配設されており、
多孔質多段階ポリマー粒子が、シェル-中空コア形態、及び500nm~3μmの範囲の数加重平均粒子サイズを有し、
シェルが、0.5~10重量パーセントのカルボン酸モノマーの塩の構造単位、及び90~99.5重量パーセントのスチレンの構造単位を含み、
シェルの少なくとも98重量パーセントが、スチレン及びカルボン酸モノマーの塩の構造単位を含み、
細孔面積パーセントが、多段階ポリマー粒子の表面積の0.005~0.5パーセントの範囲にある、コート紙物品を提供することによって、当技術分野における必要性に対処する。
【0004】
本発明の物品は、改善された印刷性能を有する感熱紙を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、コート紙物品であって、
a)40μm~500μm厚の紙基材と、
b)多孔質多段階ポリマー粒子及びバインダを含む、2μm~10μm厚のベースコート層と、
c)1μm~30μm厚の感熱記録層と、を備え、
ベースコート層が、感熱記録層と紙基材との間に配設されており、
多孔質多段階ポリマー粒子が、シェル-中空コア形態、及び500nm~3μmの範囲の数加重平均粒子サイズを有し、
シェルが、0.5~10重量パーセントのカルボン酸モノマーの塩の構造単位、及び90~99.5重量パーセントのスチレンの構造単位を含み、
シェルの少なくとも98重量パーセントが、スチレン及びカルボン酸モノマーの塩の構造単位を含み、
細孔面積パーセントが、多段階ポリマー粒子の表面積の0.005~0.5パーセントの範囲にある、コート紙物品である。
【0006】
ベースコート層は、バインダと、a)中空コア-シェル形態(HSP)及びb)粒子の表面から中空コアまで延在するチャネルである細孔を有する、多段階ポリマー粒子と、を含む。多孔質HSPは、有利には、以下のように調製される。メタクリル酸メチルをアクリル酸メチルと水性乳化重合条件下で反応させて、200nm又は300nmから750nm又は600nmまでの範囲の、動的光散乱によって測定されたz平均粒子サイズを有する第1段階ポリマー粒子の水性分散液を形成することによって、第1段階ポリマー粒子の分散液を調製する。次いで、第1段階ポリマー粒子の分散液を水性乳化重合条件下でスチレン及びカルボン酸モノマーと反応させて、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチル構造単位を有する第1段階と、スチレン及びカルボン酸モノマーの構造単位を有する第2段階(すなわち、シェル)とを含む固形分ポリマー粒子の水性分散液を形成する。
【0007】
カルボン酸モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸が挙げられ、アクリル酸が、好ましい。第2段階の少なくとも98、又は少なくとも99、又は少なくとも99.5重量パーセントは、スチレン及びカルボン酸モノマー又はその塩の構造単位を含む。好ましくは、第2段階は、1重量パーセント未満、又は0.5重量パーセント未満、又は0.1重量アーセント未満、又は0重量パーセントの、任意のC1~C20アルキルアクリレート若しくはメタクリレート又は任意のC3~C20シクロアルキルアクリレート若しくはメタクリレートの構造単位を含む。第2段階を調製するために使用されるモノマーと、第1段階を調製するために使用されるモノマーとの重量対重量比(すなわち、段階2:段階1の比)は、好ましくは、5:1又は7:1又は8:1~12:1又は10:1又は9:1の範囲にある。
【0008】
次に、アクリル酸メチルをアクリル酸又はその塩に加水分解するのに十分な条件下で、非多孔質多段階ポリマー粒子の水性分散液を多段階多孔質ポリマー粒子の水性分散液に変換する。加水分解は、例えば、100℃~150℃の範囲の温度で、高圧で非多孔質ポリマー粒子の分散液をNaOHと接触させることによって、実施することができる。加水分解は、膨潤した多孔質コア-シェルポリマー粒子を生じ、ここで、第1段階ポリマーであるコアは、水とメタクリル酸メチル及びアクリル酸ナトリウムの構造単位とを含み、第2段階ポリマーであるシェルは、少なくとも98重量パーセントのスチレン及びカルボン酸モノマーの塩の構造単位を含む。コアは、水の蒸発時に中空になる。膨潤した多孔質多段階ポリマー粒子の平均直径粒子サイズは、500nmから、又は750nmから、又は900nmから3μmまで、又は2μmまで、又は1.8μmまで、又は1.5μmまで、又は1.2μmまでの範囲にある。
【0009】
細孔面積パーセントは、多段階ポリマー粒子の面積の0.005パーセントから、又は0.01パーセントから0.5パーセントまで、又は0.2パーセントまで、又は0.1パーセントまで、又は0.06パーセントまでの範囲にある。多孔質HSPの空隙率は、典型的には、60%から75%まで、又は70%まで、又は65%までの範囲にある。
【0010】
感熱記録材料は、典型的には、ロイコ染料及び発色現像液を含み(米国特許第4,929,590号参照)、バインダ、充填剤、架橋剤、界面活性剤、増感剤、及び熱可融性材料を含む様々な他の添加剤を含んでもよい。感熱紙は、実施例の項に記載されている方法などの当技術分野で既知の方法によって、調製することができる。
【実施例】
【0011】
空隙率パーセントの決定
粒子空隙率は、以下の手順を使用して決定される。50mLポリプロピレン遠心分離管(半球底を有する)に、多孔質ポリマーを含有するラテックス(40g)を添加する。管を遠心分離機内に配置して、18,500rpmで120分間回転させる。透明な上清をハードパックからデカントし、秤量する。ラテックス質量、固形分パーセント、及び上清質量から、以下の式を使用して、空隙率パーセント(VF%)を決定する。
【0012】
【数1】
W
T=管内の試料の総重量。ポリマー密度は1に近いので、体積の代わりに重量を使用する。
固形分%=ラテックスの固形分含有量
k=非膨潤単分散球体のランダム充填の充填係数、0.675。充填係数は、いくらかの水が、ハードパック中の球体間に捕捉されるという事実を考慮するものである。
【0013】
粒子サイズの測定
中空球状粒子のサイズを、走査型電子顕微鏡写真(scanning electron micrograph、SEM)に基づいて測定した。2滴のエマルションを、アルミニウムSEMタブ上の導電性カーボンテープ上にドロップキャストした。周囲温度で2時間乾燥させた後、試料を、100mAのスパッタ電流を100秒間使用して、EMS 150T ES金属コーターにおいてクロムの薄層でコーティングした。SEMは、Thermo Fisher Nova NanoSEM 630走査型電子顕微鏡内のEverhart-Thornley二次電子検出器を使用して、ショットキー電界放出型電子源からの5kV加速電圧で取得した。全ての画像は、1024×884ピクセルの画像サイズ及び8のビット深度(グレースケールは0~255の範囲であり、0は最も暗く、255は最も明るい)で、20,000×の倍率で取得した。全ての画像は、7.46μmの水平視野及び7.28nmのピクセルサイズを有した。各画像は、40~60個の中空球粒子を含んだ。ImageJソフトウェア(バージョン1.53c)を使用して、各試料について2つの画像を分析した。直径は、画像の縁の粒子を除いて、画像内の全ての粒子について手動で測定した。数加重平均粒子サイズ及び標準偏差を報告した。
【0014】
細孔面積パーセントの測定
細孔面積パーセントは、粒子サイズを測定するために使用したのと同じSEMを使用して、測定した。ImageJソフトウェア(バージョン1.53c)を使用して、各試料について2つの画像を分析した。全ての画像を、ImageJの「平滑化」コマンド、続いて0.3%飽和ピクセルで「コントラスト強調」コマンドを使用し、「正規化」オプションを有効にして、前処理した。細孔は、顕微鏡写真において、明るい粒子表面上の暗い領域として現れた。面積測定のために細孔を単離するために、60のグレースケール値をセグメンテーション閾値として使用した。61~255のグレースケール値を有する明るいピクセルは、粒子を構成し、それらの総面積をA粒子として記録した。0~60のグレースケール値を有する暗いピクセルは、細孔又は間隙部位(粒子間の暗い領域)のいずれかを構成した。細孔と間隙部位とを区別するために、2つの追加の制約を使用した:細孔のサイズは9~800ピクセルであり、真円度は0.70~1.00であった。これらの基準を使用して、ソフトウェアによって不正確に選択された任意の間隙部位を、手動で選択から除外した。これらの調整後、選択された細孔の総面積をA細孔として記録した。次いで、細孔面積パーセントを以下の式によって定義した。
【0015】
【0016】
中間体実施例1-多孔質中空球状ポリマー粒子の水性分散液の調製
A.第1段階ポリマー分散液の調製
脱イオン水(1630.00g)及び氷酢酸(0.50g)を5Lの四つ口丸底フラスコに投入し、N2下で92℃に加熱した。別の容器中で、脱イオン水(335.33g)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(30.22g、水中22.5%)、メタクリル酸メチル(940.40g)、及びアクリル酸メチル(681.00g)を含有するモノマーエマルションを調製した。脱イオン水(90g)中の過硫酸ナトリウム(3.02g)の開始剤溶液及び脱イオン水(90g)中の重炭酸ナトリウム(0.27g)の緩衝溶液も調製した。脱イオン水(20g)中の過硫酸ナトリウム(1.51g)の溶液を反応器に投入し、脱イオン水(10g)ですすいだ。アクリルシードポリマー分散液(55.39g、固形分45.6%、100nm)を反応器に投入し、脱イオン水(10g)ですすいだ。次いで、反応を90℃に維持しながら、モノマーエマルション、開始剤溶液、及び緩衝溶液を180分かけて反応器に供給した。供給が完了したら、容器を脱イオン水(合計50g)ですすぎ、反応を90℃に15分間保持した後、室温に冷却した。得られたコアポリマー分散液は、41.7重量%の固形分含有量を有した。
【0017】
B.非多孔質多段階ポリマー粒子の分散液の調製
脱イオン水(1668.00g)及び氷酢酸(0.50g)を5Lの四つ口丸底フラスコに投入し、N2下で95℃に加熱した。別の容器中で、脱イオン水(112.30g)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(3.15g、水中22.5%)、スチレン(712.73g)、及びアクリル酸(29.37g)を含有するモノマーエマルションを調製した。脱イオン水(20g)中の過硫酸ナトリウム(2.18g)の溶液を反応器に投入し、水(5g)ですすいだ。パートAの第1段階ポリマー分散液の一部分(231.24g)を反応器に投入し、脱イオン水(20g)ですすいだ。反応を90℃に維持しながら、モノマーエマルションを100分かけて反応器に供給した。モノマーエマルションの供給が完了したら、モノマーエマルション容器を脱イオン水(40g)ですすぎ、反応を90℃に45分間保持した後、室温に冷却した。得られた非多孔質多段階ポリマー粒子の分散液は、28.8重量%の固形分含有量を有した。
【0018】
C.多孔質ポリマー粒子の水性分散液の調製
中間体1Bの一部分(205.9g)を脱イオン水(95.8g)及び水酸化ナトリウム溶液(水中5%、49.5g)と混合した。得られた分散液を圧力容器に投入し、140℃に加熱した。6時間後、容器を室温に冷却し、膨潤した多孔質粒子分散液を取り出した。多孔質ポリマー粒子の分散液は、11.5の最終pH、17.8重量%の固形分含有量、1.03+0.06μmの数加重粒子サイズ、61.7%の空隙率、及び0.03面積パーセントの細孔面積百分率を有した。
【0019】
中間体実施例2-ベースコート配合物の調製
中間体実施例1Cの一部分(67.4g)、RHOPLEX(商標)P-308スチレン-アクリルバインダ(P-308、4.5g、固形分50重量%、The Dow Chemical Company又はその関連会社の商標)、及び#67710ポリビニルアルコール(PVOH、5g、脱塩水中15重量%、Kremer Pigmente)をオーバーヘッドブレードミキサを備えた容器中で混合し、次いで、脱イオン水(23.1g)で希釈して固形分17重量%に調整した。
【0020】
比較中間体実施例1-多孔質ポリマー粒子の水性分散液の調製
スチレン(696.50g)、アクリル酸メチル(37.10g)、及びアクリル酸(8.50g)を使用して非多孔質多段階分散液を調製したことを除いて、中間体実施例1の手順を実質的に繰り返した。得られた分散液は、29.0重量%の固形分含有量に対して見出された。多孔質分散液は、非多孔質多段階分散液の一部分(203.9g)を脱イオン水(80.40g)及び水酸化ナトリウム溶液(68.2g、水中5重量%)と反応させることによって、調製した。多孔質ポリマー粒子の分散液は、12.7の最終pH、18.4重量%の固形分含有量、0.98+0.07μmの数加重粒子サイズ、63.2%の空隙率、及び1.06面積パーセントの細孔面積百分率を有した。
【0021】
比較中間体実施例2-多孔質ポリマー粒子の水性分散液の調製
スチレン(659.40g)、アクリル酸メチル(74.20g)、及びアクリル酸(8.50g)を使用して非多孔質多段階分散液を調製したことを除いて、中間体実施例1の手順を実質的に繰り返した。得られた分散液は、28.3重量%の固形分含有量に対して見出された。多孔質分散液は、非多孔質分散液の一部分(209.4g)を脱イオン水(55.48g)及び水酸化ナトリウム溶液(97.3g、水中5重量%)と反応させることによって、調製した。多孔質ポリマー粒子の分散液は、13.0の最終pH、18.4重量%の固形分含有量、0.93+0.06μmの数加重粒子サイズ、62.6%の空隙率、及び1.71面積パーセントの細孔面積百分率を有した。
【0022】
比較中間体実施例3-ベースコート配合物の調製
比較中間体実施例1からの多孔質ポリマー粒子の水性分散液の一部分(67.2g)、P-308(4.5g)、及びPVOH(5g)を、オーバーヘッドブレードミキサを備えた容器中で混合し、次いで、脱イオン水(23.4g)で希釈して、固形分17重量%に調整した。
【0023】
比較中間体実施例4-ベースコート配合物の調製
比較中間体実施例2からの多孔質中空球状粒子の水性分散液の一部分(66.2g)、P-308(4.5g)、及びPVOH(5g)を、オーバーヘッドブレードミキサを備えた容器中で混合し、次いで、脱イオン水(24.3g)で希釈して、固形分17重量%に調整した。
【0024】
中間体実施例3-感熱記録層配合物
材料及び配合物は、Nissho Kogyo Co,LTDから入手した。脱イオン水(51.6g)を8オンスの容器内に配置し、その後、Tunex-E沈降炭酸カルシウム(4.4g)、P-603 Mizucasil二酸化ケイ素(3.7g)、PVA-203緩衝液(1.0g、Kuraray 15重量%)、D-8 4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン顕色剤(8.8g、Mitsubishi、50重量%)、2-ベンジル-オキシ-ナフタレン増感剤(4.0g、40重量%)、PVA-117バインダ(15.8g、Kuraray、10重量%)、ステアリン酸亜鉛潤滑剤(3.1g、36重量%)、及びPSD-290 2-アニリノ-6-(ジブチルアミノ)-3-メチルフルオラン染料(5.7g、Mitsubishi、35重量%)を順に添加し、オーバーヘッドブレードミキサで混合した。
【0025】
実施例1及び比較例2並びに3-画像層を有するコート紙の調製
NewPageフリーシート紙(坪量:58g/m2、粗さ:4.00μm、ガーレー多孔度:24.6s)を、長辺が機械方向にある状態で37.9cm×20.1cmに切断し、次いで、制御された温度の部屋(72°F(22℃)、湿度50%)に少なくとも2時間置いた。マスキングテープを使用して、紙を1枚のコピー用紙にテープ留めし、コピー用紙をマスキングテープでハンドドローダウンプレートに取り付けた。次いで、ベースコート配合物のビーズを、フリーシート上のマスキングテープ上にピペットで移した。次いで、ワイヤを巻いたロッドを手動で、ベースコート配合物のストリップの上に下げ、紙が均一にコーティングされるように、紙を横切って移動させた。次いで、紙を熱風に45秒間曝露し、その後、紙をオーブンに移し、80℃で更に45秒間乾燥させた。乾燥後、紙を、制御された温度の部屋(72°F及び湿度50%)で2時間コンディショニングした。次いで、ベースコートを有するこの紙を、ベースコートを塗布するために使用したのと同じ手順で、画像層でコーティングし、80℃で1分間乾燥させた。
【0026】
動的感度の測定
完全にコーティングされた紙を機械方向に切断して、2.5インチ(1cm)幅の2つのストリップにした。2つのストリップの端と端とをテープで留め、Atlantek Paper Tester Model 200を用いて印刷し、以下の印刷条件を使用して動的感度を測定し、使用した。
【0027】
a)シーケンスドットパルス持続時間=0.8ms
b)フルサイクル時間(Tcycle)=5.0ms
c)プリントヘッド温度=30℃
d)プリントヘッド抵抗=20.6Vの印加電圧で583オーム
【0028】
50%80×80市松模様パターンを、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、及び0.50mJ/ドットの印刷エネルギーで印刷した。ハンドヘルドX-rite 428分光濃度計を使用して、各印刷エネルギーについて、3つのボックスの光学濃度を測定した。
【0029】
実施例1のコート紙の光学濃度は、0.2mJの印刷エネルギーで0.59であることが見出された。対照的に、比較例1及び2のコート紙の光学濃度は、同じ印刷エネルギーで、それぞれ0.49及び0.41であることが見出された。多孔質HSPは、同様の空隙率(61.7%~63.1%)を有した。それにもかかわらず、著しくより小さい細孔面積パーセントを有するHSPを含有するベースコートは、所与の印刷エネルギーで、増加した光学濃度を有するコート紙をもたらした。
【国際調査報告】