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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】低位相ノイズの調整可能な信号源
(51)【国際特許分類】
   H03B 17/00 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
H03B17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534653
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022085114
(87)【国際公開番号】W WO2023105026
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021214164.1
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524219452
【氏名又は名称】ウニヴェルシタット パダーボーン
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITAT PADERBORN
【住所又は居所原語表記】Warburger Str. 100, 33098 Paderborn (DE)
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】バーマニアン メイサム
(72)【発明者】
【氏名】シェイット ヨハンネス クリストフ
(57)【要約】
本発明は、低位相ノイズの調整可能な信号源に関し、・光マイクロ波位相検出器(BOMPD)を備え、光マイクロ波位相検出器が、・光信号入力と変調入力(I)と第1の出力(O1)及び第2の出力(O2)とを含む強度変調器(BIM)と、・動作時に第1の出力(O1)の光を照射することができる第1のフォトダイオード(PD1)と、・動作時に第2の出力(O2)の光を照射することができる第2のフォトダイオード(PD2)と、を有し、第1のフォトダイオード(PD1)及び第2のフォトダイオード(PD2)が、動作時にバイアスされるように直列接続され、・第1のフォトダイオード(PD1)と第2のフォトダイオード(PD2)との間にタップ信号のためのタップが配置されており、・制御可能な直流電流源(N4)をさらに備え、・タップにおいて、動作時に第1の直流電流源(N4)によってオフセット電流が調整可能であり、それにより光マイクロ波位相検出器の対称性が動作時にオフセット電流によって解消され、・タップは、場合によって存在するオフセット電流と共にローパスフィルタに導かれ、ローパスフィルタ処理されたタップ信号が調整可能な発振器(OSZ)に提供される。
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低位相ノイズの調整可能な信号源であって、
・光マイクロ波位相検出器(BOMPD)を備え、前記光マイクロ波位相検出器が、
・光信号入力と変調入力(I)と第1の出力(O1)及び第2の出力(O2)とを含む強度変調器(BIM)と、
・動作時に前記第1の出力(O1)の光を照射することができる第1のフォトダイオード(PD1)と、
・動作時に前記第2の出力(O2)の光を照射することができる第2のフォトダイオード(PD2)と、を有し、
・前記第1のフォトダイオード(PD1)及び前記第2のフォトダイオード(PD2)が、動作時にバイアスされるように直列接続され、
・前記第1のフォトダイオード(PD1)と前記第2のフォトダイオード(PD2)との間にタップ信号のためのタップが配置されており、
・制御可能な直流電流源(N4)をさらに備え、
・前記タップにおいて、動作時に前記第1の直流電流源(N4)によってオフセット電流が調整可能であり、それにより前記光マイクロ波位相検出器の対称性が動作時にオフセット電流によって解消され、
・前記タップは、場合によって存在するオフセット電流と共にローパスフィルタに導かれ、
・前記ローパスフィルタ処理されたタップ信号が調整可能な発振器(OSZ)に提供される、
低位相ノイズの調整可能な信号源。
【請求項2】
制御可能な第2の直流電圧源(N1)をさらに備え、前記強度変調器(BIM)が前記第2の直流電圧源(N1)のための入力を有する、請求項1に記載の調整可能な信号源。
【請求項3】
制御可能な第2の直流電圧源(N2、N3)をさらに備え、動作時に、前記調整可能な発振器(OSZ)のフィードバックされた出力信号が前記変調入力(I)に供給され、前記第2の直流電圧源(N2、N3)の直流電圧も動作時に前記変調入力(I)に供給される、請求項1又は2に記載の調整可能な信号源。
【請求項4】
増幅器(A)をさらに備え、前記増幅器(A)は、次数間高調波ロックが可能になるように発振振幅(VRF)を調整するよう設定されている、先行請求項のいずれか一項に記載の調整可能な信号源。
【請求項5】
動作時に光入力信号を前記光信号入力に提供するモードロックレーザ(MLL)をさらに備える、先行請求項のいずれか一項に記載の調整可能な信号源。
【請求項6】
前記発振器(OSZ)が光クロック繰り返し時間の非整数倍に調整可能であることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載の調整可能な信号源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低位相ノイズの調整可能な信号源に関する。
【背景技術】
【0002】
電気工学の多くの分野では、低位相ノイズの信号を提供することが求められている。この信号源が高い周波数分解能で広い周波数範囲にわたって調整可能であるならば特に望ましい。
例示的使用は、マイクロ波発振器をそのような信号源の光クロック信号にロックすることであろう。別の使用は、光クロック信号を低位相ノイズの低損失ファイバに分配することであろう。
従来技術から様々な手法が知られている。
例えば、Kwangyun JungとJungwon Kimを著者とする、Optics Letters、Vol.37、no.14、p.2958、Jul 2022、https://doi.org/10.1364/OL.37.002958に公表された論文である非特許文献1から、マイクロ波発振器を光クロック発生器の繰り返しレートの整数高調波にロックすることを可能にする装置が知られている。
更に、M.BahmanianとJ.C.Scheyttを著者とするIEEE Transactions on Microw.Theory Tech、pp.1-1(2021)に公表された論文である非特許文献2から、バランス光マイクロ波位相検出器が知られている。
これらの論文からは、このためにファイバベースのサニャックループ強度変調器又はマッハツェンダ強度変調器を備えたマイクロ波位相検出器を使用できることも知られている。
発明者らにこれまで知られているすべての手法に共通しているのは、現在のシステム設計では光信号源の繰り返しレートの整数倍の高周波信号を提供することしかできないということである。すなわち、出力周波数はfout=N*frepとなり、ここでN∈Nである。
発明者らにこれまで知られている手法では、平衡変調器(symmetrischer Modulator)はその奇数の対称点でバイアスされ、すなわち、この点におけるバイアスにより、光出力の強度が等しくなる。その場合、平衡光マイクロ波位相検出器(symmetrischer optischer Mikrowellphasendetektor)の出力電流の符号は、すべての高周波振幅の位相差がゼロ値の場合に入れ替わる。
これまで知られているアプローチの不利な点は、これらが正確に決定された(固定された)周波数を提供できるということ、又はこれらが正確に予め定められた整数倍のみを生成できるということのどちらかにしか適していないということである。
更に、構造物のいくつかが非常に複雑な構造を有することが不利である。更に別の欠点は、例えば、特にファイバベースのサニャックループ強度変調器の場合に考えられる比較的大きな所要スペースと高コストである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Kwangyun Jung,Jungwon Kim,“Subfemtosecond synchronization of microwaVe oscillators with mode-locked Er-fiber lasers”,Optics Letters,Vol.37,no.14,p.2958,Jul 2012, https://doi.org/10.1364/OL.37.002958
【非特許文献2】M.Bahmanian,J.C.Scheytt,“A 2-20-GHz ultralow phase noise signal source using a microwaVe oscillator locked to a mode-locked laser,”IEEE Transactions on Microw.Theory Tech.pp.1-1(2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを背景として、本発明の課題は、改良を提供することである。その際、特に、複雑でなく、省スペース的な構造を提供することを目標とする。もう1つの目標は、周波数分解能を向上させることである。
発明の簡単な説明
上記課題は、請求項1に記載の低位相ノイズの調整可能な信号源によって解決される。本発明の他の有利な実施形態は、従属請求項、明細書、及び図の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下、図を参照しながら本発明を詳しく説明する。これらの図において、
図1a】従来技術による平衡光マイクロ波位相検出器を概略的に示す図である。
図1b】これに関する概略ブロック等価回路図である。
図2】本発明による平衡光マイクロ波位相検出器を概略的に示す図である。
図3a】理論値と関連した本発明の実施形態による測定値のグラフである。
図3b】理論値と関連した本発明の実施形態による測定値のグラフである。
図3c】理論値と関連した本発明の実施形態による測定値のグラフである。
図3d】理論値と関連した本発明の実施形態による測定値のグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0006】
以下、図を参照しながら本発明をより詳細に説明する。その際、それぞれ単独で、又は組み合わせて用いることができる異なった態様が記載されることに言及しておく。すなわち、明示的に単なる選択肢として示されない限り、各態様は本発明の異なった実施形態で使用することができる。
更に、以下では簡単にするため、通常、常に実在物にのみ言及する。明示的に述べない限り、本発明はそれぞれ当該実在物のうちのいくつかも含み得る。その限りで、単数を表す「ein」、「eine」、「eines」なる語の使用は、単一の実施形態において少なくとも1つの実在物が使用されるということを示すものとのみ理解されるべきである。
以下に方法が説明される限りで、方法の個々のステップは、文脈によって明示的に別段の記載がない限り、任意の順序で配置可能及び/又は組み合わせ可能である。更に、特に明記しない限り、これらの方法を互いに組み合わせることができる。
数値を含む情報は、通常、正確な値として理解されるべきではなく、+/-1%~+/-10%の許容誤差も含まれる。
規格又は仕様への言及は、出願の時点及び/又は優先権が主張される、つまり優先権出願の時点で有効である/有効であった規格又は仕様への言及として理解されるべきである。しかしこれをもって後続又は代替の規格又は仕様への適用可能性の一般的排除と理解されるべきではない。
【0007】
以下、図面を参照しながら装置若しくは方法について説明する。
本発明を詳細に説明する前に、次にまず「インターハーモニック・ロッキング(Interharmonic Locking)」の理論的背景を説明する。
図1aから、オプトエレクトロニクスPLL回路のブロック図が見て取れる。調整可能な発振器の出力電圧は、モードロックレーザMLLのパルスでサンプリングされる。このために強度変調器BIMが用いられる。この強度変調器BIMは、平衡強度変調器とも呼ばれ(英語:Balanced intensity modulator)、電気光変換器である。
【0008】
その場合、強度変調器BIMから出射される光パルスは、2つのフォトダイオードPD1、PD2を介して電流に変換される(konVertiert)。結果として生じる電流は、続いてループフィルタにより積分され、続いて、調整可能な発振器にフィードバックされ、したがって制御対象系は閉じている。
出力電流は次のように表すことができ、
【数1】
ここで、iは光マイクロ波位相検出器BOMPDの出力電流、Rはフォトダイオードの感度、l(t)は光サイクル全体で平均化された光マイクロ波位相検出器BOMPDへの光入力の強度、ΨdcはDC電極によって導入される光位相シフト、Vπ,RFはRF電極のπ電圧、VRFはVRFの振幅、wRFの角周波数、φ(VRF)=VRFsin(wRFt+φ)の位相オフセットを有する正弦波RF変調電圧である。
第1の式の正弦項は、RF電圧が非線形変換(nichtlineare Transformation)され、単調(eintonal)のRF励起の高調波を生成することを示す。
【0009】
したがって、光マイクロ波位相検出器BOMPDを非線形ブロック及び周波数ミキサとしてモデル化することができる。その場合、光マイクロ波位相検出器BOMPDの非線形挙動を、マイクロ波発振器をそれぞれの基調(Grundton)の代わりに高調波に、すなわち光学基準の繰り返しレートの偶数倍にロックするために使用することができる。
光マイクロ波位相検出器BOMPDの様々なノードの周波数成分が図1b)に示され、ここで、Mは光学基準の繰り返しレートの高調波指数、NはRF電圧の高調波指数である。
オプトエレクトロニクスPLL回路は、ミキサ入力の周波数が次式を満たす場合にロックし、
【数2】
ここで、MとNは最大公約数が1である正の整数である。
【0010】
以下では、オプトエレクトロニクスPLL回路の動作はN=1の場合に高調波ロックと呼ばれ、N>1の場合にN次の数間高調波ロックと呼ばれる。
モードロックレーザMLLの光パルスがRF信号周期よりかなり短いと仮定して、各パルスをディラックのデルタ関数として近似でき、
【数3】
ここで、Iは光入力の平均強度であり、Tref=1/frefである。
次に、α=πVRF/VπRFを使用して式を次のように書き換えることができる。
【数4】
位相検出器の特性関数(伝達関数)は、入力間の位相差に対する平均出力電流として定義される。
【0011】
N次の次数間高調波ロックの位相検出の場合、上式の出力電力は、NTrefの周期を有する。したがって、光マイクロ波位相検出器BOMPDの特性関数(伝達関数)H(φ)は次のように示すことができ、
【数5】
ここで、この式では、MとNの最大公倍数を1と仮定してインデックスMは無視された。
【0012】
ここから、(高調波ロック、2次の次数間高調波ロック、4次の次数間高調波ロックに対応して)1次、2次及び4次の位相検出器BOMPDの特性関数(伝達関)を作成できる。
【数6】
最後の2つの式H(φ)及びH(φ)は、2次及び4次の位相検出器BOMPDの特性関数(伝達関数)が、sin(Ψdc)で線形にスケーリングし、Ψdc=0の場合にゼロになることを示す。最初に示した位相検出器BOMPDの非線形特性関数(伝達関数)は、Ψdc=±π/2の場合にVRFに対して同じ対称性(軸対称性)、Ψdc=0の場合に不同の対称性(点対称性)をため、この挙動は予想できる。単調励起(Einzeltonanregung)の場合、Ψdc=0の場合は奇数高調波のみが生成され、Ψdc==±π/2の場合は偶数高調波のみが生成される。
【0013】
(φ)の値は、ヤコビ・アンガー展開を使用して次のように表すことができ
【数7】
ここで、<.>は平均値、Jは第1種ベッセル関数と0次を表す。平均ゼロ値のH(φ)は、伝達関数のゼロクロスを保証する。
次に、本発明が図2をもとにして(及び図1aによる従来技術を用いて)より詳しく説明される。その場合、可能な限り同一の参照符号が使用される。
【0014】
図2において、低位相ノイズの調整可能な信号源の一使用形態が示されている。調整可能な信号源は光マイクロ波位相検出器BOMPDを有する。この構造は、最初は、従来技術(「A 2-20-ghz ultralow phase noise signal source using a microwaVe oscillator locked to a mode-locked laser」)のように提供されている。
その場合、マイクロ波位相検出器BOMPDは、まず、光信号入力と変調入力Iと第1の出力O1及び第2の出力O2とを含む強度変調器BIMを有している。図1a/図1b及び図2における強度変調器BIMは平衡強度変調器(英語:Balanced intensity modulator)とも呼ばれ、電気光変換器(elektro-optischer Wandler)である。強度変調器BIMの形態は様々に設計にすることができる。
【0015】
更に、マイクロ波位相検出器BOMPDは、動作時に第1の出力O1の光を照射することができる第1のフォトダイオードPD1と、動作時に第2の出力O2の光を照射することができる第2のフォトダイオードPD2とを有する。
この場合、従来技術の構造とは異なり、本発明の範囲内で、直列に接続された第1のフォトダイオードPD1と第2のフォトダイオードPD2が動作時にバイアスされる。この直列回路は、第1のフォトダイオードPD1と第2のフォトダイオードPD2との間にタップ信号のためのタップが配置された構造である。
【0016】
更に、マイクロ波位相検出器BOMPDは、制御可能な直流電源(BOMPDゼロクロス制御)N4を有し、動作時にタップにおいて直流電源によりオフセット電流を調整することができ、それによりBOMPDの伝達関数のゼロクロスを変化させ、それにより動作時の光マイクロ波位相検出器の対称性がオフセット電流によって解消される。すなわち、従来技術とは異なり、BOMPDの平衡動作(symmetrischer Betrieb)が意図的に目指されることはない。
動作時、タップの出力は、場合によって存在するオフセット電流と共にローパスフィルタに導かれ、ローパスフィルタ処理されたタップ信号が調整可能な発振器OSZに提供される。
【0017】
制御可能な直流電源N4(BOMPDゼロクロス制御)によりオフセット電流を付加することによって、マイクロ波位相検出器BOMPDの出力電流の符号の入れ替えを達成するために、光パルス繰り返しレートの非偶数倍にもマイクロ波位相検出器BOMPDをロックすることが可能になる。
【0018】
本発明の一実施形態では、調整可能な信号源は更に、制御可能な直流電圧源N1(偶数/奇数次数間高調波制御)を有し、強度変調器BIMは直流電圧源N1のための入力を有する。
直流電圧源を提供することによって、強度変調器BIMの直流電圧電極を対称性の同じ点(Gleichpunkt)でバイアスすることができ、それによってもマイクロ波位相検出器BOMPDが光パルス繰り返しレートの非偶数倍にロックすることが可能になる。なぜなら、この点で平衡変調器がバイアスされる場合、出力O1、O2のうちの一方の強度が最大になる傾向があるのに対して、それと同時に他方の出力O2、O1が最小になる傾向があるからである。したがって、その場合、出力周波数を確実に
【数8】
調整でき、ここで
【数9】
である。
【0019】
本発明の別の実施形態では、調整可能な信号源は、制御可能な第2の直流電圧源N2、N3(代替的偶数/奇数次数間高調波制御)を更に有し、動作時に、調整可能な発振器OSZのフィードバックされた出力信号が変調入力Iに供給され、第2の直流電圧源N2、N3の直流電圧も動作時に変調入力Iに供給される。
制御可能な第2の直流電圧源(代替的偶数/奇数次数間高調波制御)N2、N3の機能は、発振器OSZの信号のDC成分、すなわち平均レベルが調整可能であるということである。これは、例えば、発振器OSZの信号にDC電圧を追加することによって達成できる。
【0020】
強度変調器BIMの高周波電極の直流電圧の変化は、強度変調器BIMが周波数
【数10】
にロックし、それにより特定の位相オフセットでの光マイクロ波位相検出器BOPMDの出力電流の符号入れ替えを達成するために利用できる。更に、特性曲線が鏡面対称となる点において強度変調器BIMの高周波電極の直流電圧をバイアスすることができ、かつ光パルス繰り返しレートの非偶数倍にロックすることができる。この場合も、平衡変調器がこの点においてバイアスされる場合、出力O1、O2のうちの一方の強度が最大になる傾向があるのに対して、それと同時に他方の出力O2、O1の強度は最小になる傾向がある。
【0021】
本発明の別の実施形態では、調整可能な信号源は、動作時に光信号入力に光入力信号を提供するモードロックレーザMLLを更に有する。
本発明の別の実施形態では、発振器OSZを光クロック繰り返し時間の非整数倍に調整することができる。すなわち、特定の非偶数倍のみを提供できる変形形態に加えて、選択可能な倍数に調整することもできる。
したがって、本発明の範囲内で、ファイバベースのサニャックループ強度変調器BIMを使用することも可能になる。ただし、その場合、この変調器を直線の対称点において相応にバイアスするために、これを位相シフトで動作させる。
【0022】
本発明は、低位相ノイズのコンパクトな設計が、ほとんど複雑さを伴わずに可能になることをもたらす。それに加えて、周波数分解能が向上し、それにより
【数11】
により倍数を調整することもでき、ここで
【数12】
である。それに加えて、純粋な電子信号源とは異なり、位相ノイズが改善、すなわち低減される。
一般性を制限することなく、任意的な増幅器Aをフィードバック分岐に配置することもできる。
【0023】
図3a~図3dから、この理論による特性曲線が見て取れる。
その場合、図3a~図3dは、
α=0.8、α=1.2若しくはα=2.3の異なるRF振幅に対する
a)Ψdc=0の場合の高調波ロック、
b)Ψdc=π/2の場合の2次の次数間高調波ロック、
c)Ψdc=0の場合の3次の次数間高調波ロック、
d)Ψdc=π/2の場合の4次の次数間高調波ロック
の理論(点線)による、及び測定によるBOMPD特性曲線を示す。
【0024】
調整可能な増幅器Aを用いて発振器信号の振幅を調整することができ、このことが係数αの変化につながる。図3a~図3dの特性曲線に見て取れるように、特性曲線はαに依存する。更に見て取れるように、すべての曲線がゼロクロスを有するわけではない。したがって、特性曲線がゼロクロスを有していない場合、制御ループはロックできない。これは、発振器振幅VRFを適切に調整することによって、特性曲線がゼロクロスを有するように係数αを調整することができ、それにより次数間高調波ロックが可能になることを意味する。
【0025】
参照符号一覧
BOPMD 光マイクロ波位相検出器
BIM 強度変調器
I 変調入力
O1、O2 出力
PD1、PD2 フォトダイオード
N4 制御可能な直流電源
OSZ 調整可能な発振器
N1、N2、N3 制御可能な直流電圧源
MLL モードロックレーザ
A 調整可能な増幅器
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
【国際調査報告】