(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】内視鏡又は侵襲型用途のための操縦可能な器具
(51)【国際特許分類】
A61B 1/018 20060101AFI20241206BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
A61B1/018 515
A61M25/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535474
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 NL2022050718
(87)【国際公開番号】W WO2023113598
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517197509
【氏名又は名称】フォーティメディックス・アセッツ・ザ・セカンド・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】FORTIMEDIX ASSETS II B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン、マテウス・ヘンドリク・ルイス
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161AA04
4C161FF43
4C161GG15
4C161JJ06
4C267AA05
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB07
4C267BB52
4C267CC07
(57)【要約】
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型、例えば胃内視鏡又は大腸内視鏡用途のための操縦可能な器具であって、近位端部、可撓性遠位部分を含む遠位端部及び近位端部と遠位端部との間の中間部並びに近位端部から可撓性遠位部分に力を伝えて、後者の曲げを制御するための少なくとも1つの長手方向要素を有する円筒形要素、長手方向要素に隣接して配置された接線方向スペーサ、円筒形要素と同軸の第二の円筒形要素であって、近位端部、可撓性遠位部分を含む遠位端部及びそれらの間の中間部を有する第二の円筒形要素、第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ接線方向スペーサの開口内に突出する半径方向スペーサを有し、器具の長手方向及び接線方向の両方における接線方向スペーサの移動は、半径方向スペーサによって制限される、操縦可能な器具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具(10、2201)であって、
第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部並びに前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素(1038)を含む第一の円筒形要素(1002、1003)と、
前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と、前記第一の円筒形要素(1002、1003)の他の部分との間の隙間(1006)内において、前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)に接線方向に隣接して配置された少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)と、
前記第一の円筒形要素(1002、1003)と同軸に配置され、且つそれぞれ前記第一の円筒形要素の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素(1004)と、
少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)であって、前記第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ前記接線方向スペーサ(1007、1017)の開口(1029)内に突出し、それにより、前記操縦可能な器具の長手方向及び接線方向の両方における前記接線方向スペーサ(1007、1017)の移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)によって制限される、少なくとも1つの半径方向スペーサと、任意選択により、
前記第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)の長手方向端の前記隙間(1006)内に突出する少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)と
を含む操縦可能な器具(10、2201)。
【請求項2】
前記第一の円筒形要素は、第一の円筒形チューブであり、及び前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と、前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との両方は、前記第一の円筒形チューブの一部である、請求項1に記載の操縦可能な器具。
【請求項3】
前記第二の円筒形要素は、第二の円筒形チューブである、請求項1又は2に記載の操縦可能な器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)及び前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、第二の円筒形チューブの、前記第二の円筒形チューブから突出するリップ形状部分(1097、1098、1099)によって形成される、請求項3に記載の操縦可能な器具。
【請求項5】
前記リップ形状部分(1097、1098、1099)は、リップ形状部分幅(w
rs、w
rs1)を有し、及び前記開口(1029)は、開口幅(w
a)を有し、前記リップ形状部分幅は、前記開口幅より小さいか、又は前記開口(1029)内に曲げられると、それが前記接線方向スペーサ(1007、1017)をクランプするように構成されるかの何れかである、請求項4に記載の操縦可能な器具。
【請求項6】
前記リップ形状部分(1098、1099)は、前記第二の円筒形チューブの壁に形成され、且つ前記長手方向(1008)に対して実質的に垂直に延びるビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成された第一のスロット(1102)によって画定され、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビーム(1100)に取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロット(1102)は、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延び(1102b)、
前記ビームは、前記ビーム(1100)の別の側において、前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に前記壁に提供された第二のスロット(1103)によってさらに画定される、請求項4又は5に記載の操縦可能な器具。
【請求項7】
前記第一の中間部において、前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)は、前記長手方向(1008)の長さと、前記長手方向に対して実質的に垂直な方向の幅とを有し、前記幅は、前記長さ全体を通して実質的に一定である、請求項1~6の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項8】
前記第一の円筒形要素(1002、1003)及び前記第二の円筒形要素(1004)と同軸に配置された第三の円筒形要素(1001)をさらに含み、
前記第一の円筒形要素は、前記第二の円筒形要素と前記第三の円筒形要素との間に配置され、
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記第三の円筒形要素(1001)と当接するように配置されること、前記第三の円筒形要素と係合すること、及び前記第三の円筒形要素に取り付けられることの少なくとも1つが当てはまる、請求項1~7の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項9】
前記第三の円筒形要素(1001)は、少なくとも1つの凹部又は開口(1096)を設けられた第三の円筒形チューブであり、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記少なくとも1つの凹部又は開口(1096)内に突出する、請求項8に記載の操縦可能な器具。
【請求項10】
前記半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、第一の幅を有する第一の部分(1099a)と、前記第一の幅より小さい第二の幅を有する第二の部分(1099b)とを含み、前記第二の部分は、前記凹部又は開口(1096)内に突出する、請求項9に記載の操縦可能な器具。
【請求項11】
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、半径方向における前記第二の円筒形要素(1004)と前記第三の円筒形要素(1001)との間の距離であって、前記半径方向における前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との厚さより大きい距離を形成する、請求項8~10の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項12】
前記第三の円筒形要素(1001)は、それぞれ前記第一の円筒形要素(1002、1003)の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む、請求項8~11の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項13】
前記第三の円筒形要素(1001)は、内側円筒形要素を形成し、前記第一の円筒形要素(1002、1003)は、中間円筒形要素を形成し、及び前記第二の円筒形要素(1004)は、外側円筒形要素を形成する、請求項8~12の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項14】
前記第一の円筒形要素(1002、1003)、前記第二の円筒形要素(1004)及び存在する場合には前記第三の円筒形要素(1001)は、それらの長さ全体を通して1つ以上の可撓性部分を設けられる、請求項1~13の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項15】
複数の接線方向スペーサ(1007、1017)及び複数の半径方向スペーサ(1094)並びに複数の長手方向要素(1038)を含み、それぞれの隣接する長手方向要素(1038)間に少なくとも1つの接線方向スペーサ及び少なくとも1つの半径方向スペーサが提供される、請求項1~14の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項16】
複数の接線方向スペーサ(1007、1017)、複数の半径方向スペーサ(1094)及び複数の長手方向要素(1038)を含み、
前記複数の長手方向要素(1038)は、第一の長手方向要素、第二の長手方向要素及び第三の長手方向要素を含み、
前記第一の中間部において、
第一の隙間は、前記第一の長手方向要素と前記第二の長手方向要素との間に形成され、
第二の隙間は、前記第二の長手方向要素と前記第三の長手方向要素との間に形成され、
前記第一の隙間内に少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007)及び少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)が提供され、
前記第二の隙間内において、延長された接線方向スペーサ(1017)が提供され、前記延長された接線方向スペーサは、実質的に前記第二の隙間の全体を通して延びる、請求項1~14の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項17】
操縦可能な器具(10、2201)で使用するための円筒形要素であって、円筒軸に沿って延び、且つ壁を含み、少なくとも1つのリップ形状部分(1098、1099)は、前記壁に形成され、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記ビーム軸は、前記円筒軸(1010)に対してある角度で配置され、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成された第一のスロット(1102)によって画定され、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロットは、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延び(1102b)、
前記ビームは、前記ビーム(1100)の別の側において、前記ビーム軸に実質的に平行な方向に前記壁に提供された第二のスロット(1103)によってさらに画定される、円筒形要素。
【請求項18】
前記リップ形状部分(1099)は、前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向の第一の幅(w
rs1)を有する第一の部分(1099a)と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅(w
rs2)を有する第二の部分(1099b)とを含み、前記第一の部分は、前記ビーム(1100)と前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さい、請求項17に記載の円筒形要素。
【請求項19】
前記リップ形状部分(1098、1099)は、前記ビーム軸(1101)と、前記ビーム軸に対して実質的に垂直な軸との一方又は両方に関して対称である、請求項17又は18に記載の円筒形要素。
【請求項20】
前記ビーム軸は、前記円筒軸(1010)に対して実質的に垂直な方向に延びる、請求項17~19の何れか一項に記載の円筒形要素。
【請求項21】
操縦可能な器具(10、2201)で使用するための円筒形要素を製造する方法であって、前記円筒形要素(1004)は、円筒軸(1010)の方向に延び、前記方法は、
- 前記円筒形要素の壁を形成するための材料片を提供するステップ、
- 前記材料に第一のスロット(1102)を形成するステップであって、それにより、少なくとも1つのリップ形状部分(1098、1099)は、前記材料に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビーム(1100)に取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、且つ前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延びる(1102b)、ステップ、
- 前記壁に第二のスロット(1103)を形成するステップであって、前記第二のスロットは、前記ビーム(1100)の別の側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に延びる、ステップ
を含み、前記製造後、前記1つ以上のリップ形状部分は、前記円筒形要素の前記壁内に位置する、方法。
【請求項22】
前記ビーム軸は、前記円筒軸(1010)に対して0°より大きい角度の方向に延びる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ビーム軸(1101)は、前記円筒軸(1010)に対して実質的に垂直な方向に延びる、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具(10、2201)を製造する方法であって、
- 第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部を含む第一の円筒形要素(1002、1003)を提供するステップ、
- 前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間に延び、及び前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素(1038)を形成するステップ、
- 前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)に接線方向に隣接する少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)を形成するステップであって、前記少なくとも1つの接線方向スペーサは、前記少なくとも1つの長手方向要素に少なくとも1つの解放可能な取付部(1007a、1017a)によって接線方向に取り付けられる、ステップ、
- 第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素(1004)を提供するステップ、
- 前記第二の円筒形要素(1004)の第二の壁の第一のスロット(1102)によって画定される少なくとも1つのリップ形状部分(1097、1098、1099)を形成するステップ、
- 第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む第三の円筒形要素(1001)を提供するステップ、
- 前記円筒形要素を互いの中にスライドさせるステップであって、それにより、前記円筒形要素は、実質的に同軸に整列される、ステップ、
- 前記少なくとも1つのリップ形状部分(1097、1098、1099)に、前記第二の円筒形要素(1004)の前記第二の壁に対して実質的に垂直な方向に力を加え、それにより前記リップ形状部分を半径方向に曲げるステップ
を含み、
それにより、曲げ後、前記少なくとも1つのリップ形状部分は、前記接線方向スペーサ(1007、1017)の開口(1029)内に突出する少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)を形成し、及び
それにより、前記解放可能な取付部(1007a、1017a)が解放された後、前記接線方向スペーサ(1007、1017a)の、前記操縦可能な器具の前記長手方向(1008)及び接線方向の両方に沿った移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)によって制限される、方法。
【請求項25】
前記第三の円筒形要素(1001)は、前記第三の円筒形要素(1001)の第三の壁に少なくとも1つの開口又は凹部(1096)を設けられ、前記曲げ後、前記リップ形状部分(1099)は、前記開口又は凹部(1096)と係合する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記リップ形状部分(1099)は、
- 前記第一のスロット(1102)を形成することであって、それにより、前記リップ形状部分は、前記第二の壁に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、且つ前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分(1099)の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延びる(1102b)、形成することと、
- 前記壁に第二のスロット(1103)を形成することであって、前記第二のスロットは、前記ビーム(1100)の別の側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に延びる、形成することと
によって形成され、
前記リップ形状部分(1099)は、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第一の幅(w
rs1)を有する第一の部分(1099a)と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅(w
rs2)を有する第二の部分(1099b)とをさらに含み、前記第一の部分は、前記ビームと前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さく、
前記第二の部分は、前記第三の円筒形要素(1001)の前記開口又は凹部(1096)と係合する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)の前記少なくとも1つの解放可能な取付部(1007a、1017a)を解放するステップをさらに含む、請求項24~26の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具に関する。本発明による器具は、大腸内視鏡及び/又は胃内視鏡用途に特に適している。本発明による操縦可能な器具は、医療及び非医療用途の両方で使用され得る。後者の例は、到達が難しい場所における機械及び/又は電子ハードウェアの検査及び/又は修理を含む。したがって、内視鏡用途又は侵襲型器具など、以下の説明で使用される用語は、広範に解釈されなければならない。
【背景技術】
【0002】
標的領域を露出させるために大規模な切開を必要とする外科的介入を最小侵襲外科的介入、すなわち自然孔又は小規模な切開のみで標的領域へのアクセスを確立できるものに変貌させることは、よく知られた現在進行中のプロセスである。最小侵襲外科的介入を実行する中で、医師等のオペレータは、侵襲的な器具を人又は動物の体内にその体のアクセスポートを介して挿入し、案内するように配置されたアクセス機器を必要とする。瘢痕組織の形成及び人又は動物の患者にとっての痛みを軽減させるために、アクセスポートは、好ましくは、皮膚及びその下の組織の1つの小さい切開創によって提供される。この点に関して、体の自然孔を使用することができればさらによりよい。さらに、アクセス機器は、好ましくは、オペレータがその侵襲的な器具が有する1つ以上の自由度を制御できるようにするものである。このようにして、オペレータは、人又は動物の体内の標的領域において人間工学的且つ正確な方法で必要な行為を実行でき、その際、使用される器具が衝突するリスクが低減される。
【0003】
手術のための侵襲的な器具及びこれらの器具がその中で標的領域に向かって案内される内視鏡は、当技術分野でよく知られている。侵襲的な器具及び内視鏡は、何れもそのナビゲーション及び操縦能力を高める操縦可能な器具を含み得る。このような操縦可能な器具は、好ましくは、少なくとも1つの可撓性ゾーンを含む近位端部と、少なくとも1つの可撓性ゾーンを含む遠位端部と、剛体の中間部とを含み、操縦可能な器具は、近位端部の少なくとも一部の偏向を剛体の中間部に関する遠位端部の少なくとも一部の、それに関係する偏向に変換するようになされた操縦機構をさらに含む。
【0004】
さらに、操縦可能な器具は、好ましくは、同軸に配置された複数の円筒形要素を含み、これらは、外側要素、内側要素及び器具の近位及び遠位端部の可撓性ゾーンの数及び操縦機構の操縦部材の所望の実装に応じた1つ以上の中間要素を含み、すなわち全ての操縦部材を1つの中間円筒形要素内に配置することができるか、又は操縦部材が異なる集合に分割され、操縦部材の各集合は、少なくとも部分的に異なる又は同じ中間部材内に配置される。先行技術の器械のほとんどでは、操縦機構は、例えば、直径1mm未満の従来の操縦ケーブルを操縦部材として含み、操縦ケーブルは、器具の近位及び遠位端部の関係する可撓性ゾーン間に配置される。代わりに、球形の操縦ユニット又はロボットによって駆動される操縦ユニット等の他の操縦ユニットが近位端で適用され得る。
【0005】
しかしながら、操縦ケーブルには、多くのよく知られた欠点があるため、これらの使用を回避し、操縦部材を1つ以上の中間円筒形要素の一体部分を形成する長手方向要素の1つ以上の集合によって実装することが好ましい。長手方向要素を含む中間円筒形要素の各々は、適当な材料付加技術、例えば射出成型若しくはめっきを使用することによるか、又は円筒形要素から始めて、その後、適当な材料除去技術、例えばレーザカット、光化学エッチング、ディーププレス、穴あけ若しくはフライス掘り等の従来のチッピング技術又は高圧ウォータジェット切削システムを使用することによって製造できる。上述の材料除去技術の中でも、レーザカットは、それにより極めて正確でクリーンな材料除去が合理的な経済条件で実行できるため、非常に有利である。上述の操縦可能な器具及びその操縦機構の設計と製造に関するさらなる詳細は、例えば、本出願人による国際公開第2009/112060A1号パンフレット、国際公開第2009/127236A1号パンフレット、米国特許出願公開第13/160949号明細書及び米国特許出願公開第13/548,935号明細書に記載されており、これらの全ての全体が参照により本明細書に援用する。
【0006】
操縦可能な侵襲的器具は、典型的には、操縦可能な器具の近位端部に配置される、器具を操縦し、且つ/又は操縦可能な器具の遠位端部に配置されたツールを操作するためのハンドルを含む。このようなツールは、例えば、カメラ、マニュアルマニピュレータ、例えば鋏、鉗子又は電気、超音波若しくは光エネルギ源等のエネルギ源を使用するマニピュレータであり得る。
【0007】
操縦可能な器具内に中間円筒形要素を有する操縦可能な器具を組み立てることは、かなり困難であり、これは、長手方向要素によって中間円筒形要素の曲げ剛性が極めて低下するためである。長手方向の操縦要素を有する中間円筒形要素は、ほとんど制御されない方法で変形し得る。これは、容易にその幾何学的一貫性を損なう。中間円筒形要素をその中への長手方向要素の提供中及びその後に操作することは、特に操縦可能な器具の組立中、問題の多いものとなる可能性がある。これは、組立を実行する際にかなり厄介であり、中間円筒形要素に損傷を与える原因にもなり得る。このような損傷により、一般に操縦可能な器具の性能が低下し、これは、極めて好ましくない。
【0008】
これらの問題に対処しているのは、国際公開第2016/089202A1号パンフレットであり、これは、操縦可能な器具及びその製造方法を開示している。この方法は、操縦可能な器具を製造するための効率的且つよく制御された方法を提供する。長手方向要素の変位、変形及び/又は乱雑化を回避するために、器具の組立中、隣接する長手方向要素を保持するための且つ/又は相互に対して設定された関係における要素が提供される。これらの要素は、可撓性要素であり得、それぞれの長手方向要素に永久的に取り付けられる。代替的に、これらの要素は、長手方向要素に、例えば破断点又は破断要素と呼ばれる要素によって解放可能又は一時的に取り付けられ得る。これらの一時的又は解放可能な取付は、器具の組立後に破断、切断又はそれ以外に取り外されるようにすることができる。そのある実施形態は、本願の
図8a及び8bで再現されている。
【0009】
国際公開第2016/089202A1号パンフレットに記載されている破断要素の使用は、器具の組立中に多くの利点を提供するが、組立後、これらは、隣接する長手方向要素間の隙間内に残る。それにより、2つの隣接する長手方向要素の相対移動が限定される。さらに、各破断点で適正に切断されない場合、長手方向要素の相対移動がさらに妨害され得、例えばその初期の範囲の半分に限定される。さらに、器具のオペレータが器具に力を加えて、隣接する長手方向要素の相対移動によって隙間の長さによって設定される範囲を超える程度までそれが曲がると、破断要素は、強制的に望ましくない位置、例えば隣接する長手方向要素を分離する長手方向のスリットに又は長手方向要素の下若しくは上の空間に移動され、そこで、これは、動けなくなるか又はそれ以外に器具に重大な損傷を与え得る。
【0010】
操縦可能な器具の使用中に生じ得る他の問題は、内層と外層との間に長手方向要素が意図せず挟まることに関する。これらの操縦可能な器具では、長手方向要素は、少なくとも器具の、近位及び遠位端の両方で器具の長手方向軸に関する移動を可能にする部分において可撓性である必要がある。これらの長手方向要素は、多くの場合、隣接する外側及び隣接する内側円筒形要素間に配置される。器具のこれらの可撓性ゾーンを曲げる際、このようなゾーンの各々では、これらの長手方向要素は、外側及び内側円筒形要素の屈曲可能な部分と一緒に曲がる。しかしながら、ときにこのようなゾーンが曲がることにより、曲がっている外側及び曲がっている内側円筒形要素によって外側及び内側円筒形要素間に長手方向要素が挟まり、それにより長手方向要素を長手方向にさらに移動させることが難しくなる。この効果は、屈曲可能部分内に相互に積み重ねて配置される異なる長手方向要素によっても生じ得る/増大され得る。
【0011】
国際公開第2019/009710A1号パンフレットは、外側及び内側円筒形要素間に長手方向要素が挟まることを防止するための構成を有する操縦可能な器具を記載している。異なる円筒形要素間に距離を設けて、それらの間に長手方向要素が挟まることが防止されるようにするための幾つかの異なる実施形態が示されている。幾つかの実施形態では、本願の
図9a~9cで再現されているように、半径方向スペーサが1つの円筒形要素に形成される小さいリップ形状部分によって実現され、これは、その円筒形要素が他の円筒形要素と同軸に整列されると半径方向に曲がり、他の円筒形要素と接触し、それによりそれらの間に距離が設けられる。
【0012】
しかしながら、曲がったリップ形状部分によって形成されるこのような半径方向スペーサの存在により、器具を曲げることのできる程度が制約され得る。
図9a~9aに示されるように、長手方向要素の幅は、その長さに沿って変化する。これらの長手方向要素部分の縁部は、隣接する長手方向要素間の隙間を限定し、それにより、その広くなった部分の縁部が半径方向又は接線方向スペーサと接触すると、隣接する長手方向要素の相対移動が制限される。
【0013】
さらに、国際公開第2019/009710A1号パンフレットでは、異なる円筒形要素が十分に正確に整列しない場合及び/又はリップ形状部分を曲げるための力が加えられる点が正確でない場合、リップ形状部分は、意図した通りに曲がらない場合がある。リップ形状部分が曲がっても意図せずリップ形状部分が内側円筒と接触せず、所望の半径方向の間隔が実現されない場合があり、且つ/又はリップ形状部分が隣接する長手方向要素の一方又は両方と当接し、それにより器具の使用中に摩擦が生じ得る。
【0014】
体内で検査及び/又は手術される場所により、特別に設計された器具が必要となる。特に、これらの位置が体内への適当な進入点から比較的遠くにある場合、器具に十分な長さが必要であり、器具の機能性を保持しながら、高い可撓性が器具の中間部分に要求され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述の問題の少なくとも1つが解決又は少なくとも軽減される、内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具を提供することである。
【0016】
特に、本発明の目的は、改善された曲げ特性を有する操縦可能な器具、例えばより高い曲げ及び/又はねじり応力若しくは力を扱うことのできる操縦可能な器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これは、請求項1に記載の操縦可能な器具によって達成される。
【0018】
他の実施形態では、本発明の目的は、より容易に組み立て及び/又は製造することができる操縦可能な器具を提供することであり、特に、この器具は、製造プロセスによって生じる欠陥、エラー又は不完全さを伴いにくい。
【0019】
これは、請求項17に記載の円筒形要素によって達成される。
【0020】
本発明の実施形態は、従属請求項に記載される。
【0021】
第一の態様では、手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具が提供され、この器具は、
第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部並びに前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素を含む第一の円筒形要素と、
前記少なくとも1つの長手方向要素と、前記第一の円筒形要素の他の部分との間の隙間内において、前記少なくとも1つの長手方向要素に接線方向に隣接して配置された少なくとも1つの接線方向スペーサと、
前記第一の円筒形要素と同軸に配置され、且つそれぞれ第一の円筒形要素の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素と、
少なくとも1つの半径方向スペーサであって、第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ接線方向スペーサの開口内に突出し、それにより、操縦可能な器具の長手方向及び接線方向の両方における接線方向スペーサの移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサによって制限される、少なくとも1つの半径方向スペーサと、任意選択により、
第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ少なくとも1つの接線方向スペーサの長手方向端の隙間内に突出する少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサと
を含む。
【0022】
第一の円筒形要素は、中間円筒形要素又は層とも呼ばれ得る。器具は、例えば、操縦可能な器具の可撓性遠位ゾーンの数及び/又はその構成上の要求事項に応じて2つ以上のこのような中間円筒層を含み得る。
【0023】
様々な円筒形の対応する特徴、例えば近位及び遠位端部、可撓性遠位部分等の間の混同を避け、明確に区別するために、これらは、それらが提供される円筒形要素に関連して言及される。例えば、「第一の近位端部」という特徴は、第一の円筒形要素の近位端部を指す。代わりに、この特徴は、「第一の円筒形要素の近位端部」とも呼ばれ得る。
【0024】
少なくとも1つの長手方向要素は、半径方向に隣接するか又は付近に配置される第一の円筒形要素の部分から少なくとも1つの接線方向スペーサによって分離される。幾つかの実施形態では、2つ以上の長手方向要素、例えば複数の長手方向要素及び複数の接線方向スペーサが提供される。このような実施形態では、隣接する長手方向要素は、それらの間に配置された少なくとも1つの接線方向スペーサによって相互に分離される。
【0025】
すなわち、本明細書中で使用される「第一の円筒形要素の他の部分」という表現は、円筒形要素の、長手方向に延びる、すなわち少なくとも1つの長手方向要素に隣接するが、力を伝えるように配置された長手方向要素を形成しないあらゆる部分及びある実施形態における複数の長手方向要素を含む他の何れかの長手方向要素を含み得る。
【0026】
少なくとも1つの長手方向要素は、器具の少なくとも1つの第一の可撓性遠位ゾーンの制御された曲げを提供する。複数の長手方向要素が提供される場合、これらは、複数の遠位ゾーンの曲げを制御するように配置され得る。操縦可能な器具の近位端部において、外科医等のオペレータ又はコンピュータ若しくはロボットは、1つ以上のフレキシブル遠位ゾーンの曲げを少なくとも1つの長手方向要素又は複数の長手方向要素の少なくとも幾つかに力を加えることによって制御する。器具の近位及び遠位端部間に延びる少なくとも1つの長手方向要素は、この力を遠位端部に伝え、且つそれにより可撓性遠位ゾーンの1つ以上が曲がる。2つ以上の可撓性遠位ゾーンが提供され場合、これらは、個別に制御され、それにより器具の遠位端部の曲げをオペレータが意図する通りに実現できる。
【0027】
そのため、近位端部において、長手方向要素は、例えば、コンピュータ又はロボット等の制御ユニットによって制御されるリニアアクチュエータに接続され得る。代替的に、第一の円筒形要素の近位端部は、少なくとも1つの可撓性近位部分を含み得、それによりこの可撓性近位部分が曲がると、対応する可撓性遠位部分が制御されて曲がる。このような可撓性部分は、当業者であれば理解するように、円筒形要素における適当なスリット形状パターンの形態の対応するヒンジ又は球形の操縦ユニット若しくは可倒式プレートによって実装され得る。
【0028】
第二の円筒形要素は、外側円筒形要素又は層とも呼ばれ得る。第二の円筒形要素は、関連する器具内の中間層でもあり得、それにより別の外側層が提供される。
【0029】
異なる円筒形要素又は層が同軸に整列され、それにより対応する可撓性部分が円筒軸に沿って配列される。後述するように、第三の円筒形要素が内側円筒形要素又は別の中間円筒形要素として提供され得る。
【0030】
近位端部と遠位端部との間に延びる中間部は、その範囲全体にわたって可撓性であり、それにより異なる方向に曲がり得る。この曲げは、一般に、オペレータによって直接制御可能ではなく、例えば器具が導入される空間の形状に応じて、例えば器具が大腸又は小腸等の空間に挿入され、且つ/又はその中を通過している間に壁又はその中の他の障害物に接触すると生じる。中間領域の可撓性は、それが通過する通路の内壁に損傷が生じないものでなければならない。実質的に完全に曲がることができ、且つ/又は可撓性器具が提供され、これは、操縦可能な器具の遠位端が、到達が難しく、且つ/又は人体等の体内への進入点からある程度離れた位置にある位置に届かければならない様々な用途に適している。このような用途の例は、大腸内視鏡及び胃内視鏡用途を含む。
【0031】
接線方向スペーサは、少なくとも1つの長手方向要素と第一の円筒形要素の他の部分との間及び/又は複数の長手方向要素を含む実施形態における隣接する長手方向要素間の距離を設け、且つ/又は保持し、少なくとも1つの長手方向要素の接線方向、円周方向及び/又は交差方向の移動を限定するように配置される。
【0032】
接線方向スペーサが提供され、これは、少なくとも1つの開口を有し、その中に半径方向スペーサが突出し、それにより長手方向要素の範囲に平行及び逆平行の方向並びに第一の円筒形要素の接線方向の少なくとも1つの長手方向要素に関するその移動が限定される。
【0033】
接線方向スペーサは、器具の組立前に少なくとも1つの長手方向要素に、例えば国際公開第2016/089202A1号パンフレットに記載されているように器具の組立後に破断する1つ以上の破断点又は破断要素を介して取り付けられた要素によって形成され得る。
【0034】
複数の長手方向要素が提供される実施形態では、これらは、長手方向に隣接する長手方向要素間にギャップ又は距離を空けて配置され、隙間を形成する。これらの隙間の各々の中に前記接線方向スペーサの1つ以上を配置できる。長手方向要素は、好ましくは、相互及び接線方向スペーサに関する長手方向要素の移動が長手方向要素自体又はそれらの一部によって限定されないような形状及び/又は寸法を有する。
【0035】
少なくとも1つの半径方向スペーサにより、第二の円筒形要素に関する接線方向スペーサの移動は、限定及び/又は制限される。接線方向スペーサは、半径方向スペーサによってその場に保持されると言うことができる。したがって、隣り合う長手方向要素間の距離は、接線方向スペーサによって保たれ、他方で隣接する長手方向要素の相互に沿った相対移動が可能でありながら、例えば接線方向スペーサが第一の円筒形要素の上又は下で摺動するという形態のスペーサの意図しない変位が防止される。
【0036】
半径方向スペーサは、少なくとも1つの長手方向要素と、それに隣接する円筒形要素の他の部分との間又は隣接する長手方向要素間の隙間内に突出し、好ましくはそれを通して延びる。これは、第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ/又は例えばその一部によって形成されることによってその一部を形成する。好ましくは、これは、可撓性であり、且つ/又は第二の円筒形要素に関して少なくともある程度の弾性又は可撓性を有する。半径方向スペーサは、本発明の第二の態様の半径方向スペーサであり得る。
【0037】
好ましくは、複数の接線方向スペーサ及び複数の半径方向スペーサが隣接する長手方向要素間に提供される。
【0038】
接線方向スペーサは、開口を設けられ、半径方向スペーサは、前記開口内に少なくとも部分的に突出する。それにより、1つの半径方向スペーサは、接線方向スペーサが操縦可能な器具の長手方向及び接線方向の両方に移動することを限定するのに十分となる。
【0039】
第一の円筒形要素は、第一の円筒形チューブであり得、少なくとも1つの長手方向要素と少なくとも1つの接線方向スペーサとは、何れも第一の円筒形チューブの一部であり得る。
【0040】
第二の円筒形要素は、第二の円筒形チューブであり得る。少なくとも1つの半径方向スペーサと少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサとは、第二の円筒形チューブの、第二の円筒形チューブから延びるリップ形状部分によって形成され得る。リップ形状部分は、リップ形状部分幅を有し得、開口は、開口幅を有し得、リップ形状部分幅は、開口幅より小さいか、又は曲がって開口内に入ったときにそれが接線方向スペーサを固定するように構成される。
【0041】
少なくとも1つの長手方向要素は、長手方向の長さと、前記第一の中間部の前記長手方向に対して実質的に垂直な方向の幅とを有し、好ましくは、前記幅は、前記長さ全体を通して実質的に一定である。これにより、接線方向スペーサが長手方向要素の上又は下で摺動するリスクがさらに低減する。少なくとも1つの長手方向要素が少なくとも第一の円筒形要素の中間部分の範囲にわたって均一な幅を有し、隣接する長手方向要素間の距離がこの部分で実質的に一定である場合、隣接する長手方向要素の相互に関する移動は、長手方向要素と接線方向又は半径方向スペーサとの相互作用によって限定されない。
【0042】
器具は、前記第一の円筒形要素及び前記第二の円筒形要素と同軸に配置された第三の円筒形要素をさらに含み得、前記第一の円筒形要素は、前記第二の円筒形要素と前記第三の円筒形要素との間に配置され、以下の少なくとも1つが当てはまる:前記少なくとも1つの半径方向スペーサ又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサは、前記第三の円筒形要素と当接するように配置されること、前記第三の円筒形要素と係合すること、及び前記第三の円筒形要素に取り付けられること。この配置は、器具の機械的安定性に寄与する。
【0043】
少なくとも1つの半径方向スペーサにより、第二及び第三の円筒形要素間に距離が設けられ、これは、好ましくは、長手方向要素及び接線方向スペーサの半径方向の厚さより大きい。それにより、可撓性ゾーンが曲がるときに少なくとも1つの長手方向要素が第二及び第三の円筒形要素間に挟まることが防止される。
【0044】
第三の円筒形要素は、有利には、少なくとも1つの凹部又は開口が設けられた第三の円筒形チューブであり得、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサは、前記少なくとも1つの凹部又は開口内に突出する。この配置により、第二及び第三の円筒形要素は、相互に関して軸方向、半径方向及び接線方向に固定又はロックされる。半径方向スペーサ又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサは、第一の幅を有する第一の部分と、前記第一の幅より小さい第二の幅を有する第二の部分とを含み得、前記第二の部分は、前記凹部又は開口内に突出する。それにより、第二及び第三の円筒形要素の相対的固定が改善され得る。
【0045】
幾つかの実施形態では、第三の円筒形チューブは、複数の凹部又は開口を設けられ得、少なくとも1つの半径方向スペーサ及び少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサの各々は、複数の凹部又は開口のそれぞれ1つの中に突出する。このような実施形態では、少なくとも1つの半径方向スペーサ及び少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサは、何れも第一及び第二の部分を含み得る。
【0046】
第三の円筒形の要素は、前記第一の円筒形要素の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部にそれぞれ対応し、且つそれと実質的に整列される第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第二の近位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間に延びる第三の中間部を含む。
【0047】
一般に、第三の円筒形要素は、内側円筒形要素を形成し、前記第一の円筒形要素は、中間円筒形要素を形成し、前記第二の円筒形要素は、外側円筒形要素を形成する。これにより、半径方向スペーサが第二の円筒形要素のリップ形状部分によって提供される場合に製造が容易となり、このリップ形状部分は、半径方向に曲がる。代替的に、第二の円筒形要素は、内側円筒形要素を形成し得、第三の円筒形要素は、外側円筒形要素を形成し得る。
【0048】
少なくとも1つの半径方向スペーサは、有利には、前記第二の円筒形要素から突出するリップ形状部分によって形成され得る。このリップ形状部分は、第二の円筒形要素内に例えばレーザカットによって形成され得、円筒形要素の組立及びアラインメント後、半径方向に曲がって半径方向スペーサを形成し得る。第二の円筒形要素が外側円筒形要素を形成するとき、この曲げは、外側から半径方向に内向きの方向に行われる。
【0049】
リップ形状部分は、前記第二の円筒形要素の第二の壁に形成され得、それに前記長手方向に対して実質的に垂直に延びるビーム軸を有するビームを介して取り付けられ、
前記リップ形状部分は、前記第二の壁の第一のスリットによって画定され、前記第一のスロットは、リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスリットは、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸に実質的に平行な方向にさらに延び、
前記ビームは、前記ビームの別の側において、前記ビーム軸に実質的に平行である、第二の壁に設けられた第二のスリットによって画定される。
【0050】
操縦可能な器具は、その長さにわたり実質的に可撓性であり得る。その場合、前記円筒形要素、前記第二の円筒形要素及び存在する場合には前記第三の円筒形要素は、それらの長さ全体にわたり1つ以上の可撓性部分を設けられる。
【0051】
操縦可能な器具は、複数の接線方向スペーサ及び複数の半径方向スペーサ並びに複数の長手方向要素を含み得、隣接する各々2つの長手方向要素間に少なくとも1つの接線方向スペーサと少なくとも1つの半径方向スペーサとが提供される。すなわち、接線方向スペーサ及びそれに関連付けられる半径方向スペーサは、第一の円筒形要素の中間部内の隣接する長手方向要素間の開いたギャップの各々の中に提供される。これにより、高い可撓性を有する操縦可能な器具が提供される。
【0052】
代替的に、操縦可能な器具は、複数の接線方向スペーサ、複数の半径方向スペーサ及び複数の長手方向要素を含み、
前記複数の長手方向要素は、第一の長手方向要素、第二の長手方向要素及び第三の長手方向要素を含み、
前記第一の中間部において、
第一の隙間は、前記第一の長手方向要素と前記第二の長手方向要素との間に形成され、
第二の隙間は、前記第二の長手方向要素と前記第三の長手方向要素との間に形成され、
第一の隙間内に少なくとも1つの接線方向スペーサと少なくとも1つの半径方向スペーサとが提供され、
第二の隙間内に延長された接線方向スペーサが提供され、この延長された接線方向スペーサは、実質的に第二の隙間全体にわたって延びる。したがって、この実施形態では、接線方向スペーサと半径方向スペーサとの組合せは、隣接する長手方向要素間に形成される各隙間に提供されるのではなく、1つおきの隙間にのみ提供される。残りの隙間では、第二の接線方向スペーサが提供され、この第二の接線方向スペーサは、実質的に隙間全体に延びる。これにより、接線方向及び半径方向スペーサの組合せが隣接する長手方向要素間に形成される各隙間に提供される場合より、高い安定性を有する操縦可能な器具が提供される。
【0053】
本発明の第二の態様によれば、操縦可能な器具に使用される円筒形要素が提供され、前記円筒形要素は、円筒軸に沿って延び、且つ壁を含み、少なくとも1つのリップ形状部分が前記壁に形成され、
前記リップ形状部分は、ビーム軸を有するビームを介して前記壁に取り付けられ、前記ビーム軸は、前記円筒形状要素に配置され、
前記リップ形状部分は、前記壁の第一のスロットによって画定され、前記第一のスロットは、リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロットは、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸に実質的に平行な方向にさらに延び、
前記ビームは、前記ビームの別の側において、前記ビームに実質的に平行な方向に前記壁内に形成される第二のスロットによってさらに画定される。前記スロット角度は、0°より大きく、好ましくは45°より大きく、90°以下、より好ましくは90°である。
【0054】
それにより、リップ形状部分の曲がる方向は高い正確さで定義され、これは、リップ形状部分が半径方向からずれた方向を有するリスクが低減するためである。リップ形状部分を曲げるための力が円筒形要素の壁に垂直に加えられた場合、リップ形状部分は、ビーム軸の周囲で曲がる。器具の使用中に半径方向スペーサと隣接する長手方向要素との当接及び/又は摩擦が回避され、これは、半径方向スペーサがよく規定された位置及び/又は向きを有するためである。
【0055】
第二の態様による円筒形要素は、第一の態様の操縦可能な器具の第二の円筒形要素として使用され得、リップ形状部分が半径方向スペーサを形成する。
【0056】
リップ形状部分は、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第一の幅を有する第一の部分と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅を有する第二の部分とを含み得、前記第一の部分は、前記ビームと前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さい。第二の部分は、有利には、リップ形状部分が設けられた円筒形要素と同軸に配置された別の、例えば第三の円筒形要素の開口又は凹部と係合し、且つ/又はその中に挿入されるために使用される。それにより、円筒形要素の安定な固定が提供され得る。
【0057】
一般に、リップ形状部分は、前記ビーム軸に関して対称であり、軸は、前記ビーム軸に対して実質的に垂直である。
【0058】
ビーム軸は、前記円筒軸に実質的に垂直な方向に延び得る。これは、円筒形要素が、長手方向要素が第一の円筒形要素の円筒軸に平行な方向に延びる第一の態様の操縦可能な器具で半径方向スペーサを提供するために使用される場合に好ましい。
【0059】
代替的に、ビーム軸は円筒形要素の円筒軸に対して異なる角度を向く方向に延び得る。これは、円筒形要素が、長手方向要素が第一の円筒形要素の円筒軸に関して渦巻き又は螺旋の配置で延びる実施形態の第一の態様の操縦可能な器具において半径方向スペーサを提供するために使用される場合に有利である。この場合、ビーム軸は、好ましくは、半径方向スペーサの位置で長手方向に対して実質的に垂直に向けられる。
【0060】
一般に、複数のリップ形状の部分は、円筒形要素内に提供される。
【0061】
第二の態様のリップ形状部分は、有利には、第一の態様のリップ形状部分又は半径方向スペーサとして使用される。
【0062】
第三の態様では、操縦可能な器具で使用する円筒形要素を製造する方法であって、前記円筒形要素は、円筒軸の方向に延び、前記方法は、
- 前記円筒形要素の壁を形成するための材料片を提供するステップ、
- 前記材料に第一のスロットを形成するステップであって、それにより、少なくとも1つのリップ形状部分は、前記材料に形成され、且つビーム軸を有するビームを介してそれに取り付けられ、前記第一のスロットは、リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、且つ前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸に実質的に平行な方向にさらに延びる、ステップ、
- 前記壁に第二のスロットを形成するステップであって、前記第二のスロットは、前記ビームの別の側で前記ビーム軸に実質的に平行な方向に延びる、ステップ
を含み、前記製造後、前記1つ以上のリップ形状部分は、前記円筒形要素の前記壁内に位置する、方法である。
【0063】
この円筒形要素は、好ましくは、第二の態様の円筒形要素である。
【0064】
ビーム軸は、前記円筒軸に対してある角度の方向に延び得る。前記角度は、0°より大きく、好ましくは45°より大きく、90度°以下、より好ましくは90°である。
【0065】
材料片は、円筒形要素の形態で提供され得るか、又は前記第一及び第二のスロットを形成した後に円筒形要素に巻かれ得る。
【0066】
ビーム軸は、前記円筒軸に対して実質的に垂直な方向に延び得る。代替的に、ビーム軸は、異なる方向に延び得る。その効果及び用途は、第二の態様の円筒形要素に関して前述した。
【0067】
第四の態様では、操縦可能な器具を組み立てる方法が提供され、この方法は、
- 第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部を含む第一の円筒形要素を提供するステップ、
- 前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間に延び、及び前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより少なくとも1つの可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素を形成するステップ、
- 前記少なくとも1つの長手方向要素に少なくとも1つの解放可能な取付部によって取り付けられる少なくとも1つの接線方向スペーサを形成するステップ、
- 第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素を提供するステップ、
- 前記第二の中間領域内の前記第二の円筒形要素の第二の壁に第一のスロットによって画定される少なくとも1つのリップ形状部分を形成するステップ、
- 第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む第三の円筒形要素を提供するステップ、
- 前記円筒形要素を互いの中にスライドさせるステップであって、それにより、前記円筒形要素は、実質的に同軸に配置される、ステップ、
- 前記少なくとも1つのリップ形状部分に前記第二の円筒形要素の前記第二の壁に足して実質的に垂直な方向に力を加えて、前記リップ形状部分を半径方向に曲げるステップ
を含み、
それにより、前記曲げ後、前記少なくとも1つのリップ形状部分は、接線方向スペーサの開口内に突出する少なくとも1つの半径方向スペーサを形成し、及び
それにより、前記解放可能な取付部が解放された後、前記接線方向スペーサの、操縦可能な器具の長手方向及び接線方向の両方に沿った移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサによって制限される。
【0068】
第一の態様の操縦可能な器具は、第四の態様による方法によって組み立てられ得る。方法の様々な特徴は、前述の効果及び利点と同様の技術的効果及び利点に関連付けられ得る。
【0069】
前記第三の円筒形要素は、前記第三の円筒形要素の第三の壁の少なくとも1つの開口又は凹部を設けられ得、前記曲げ後、前記リップ形状部分は、前記開口又は凹部と係合する。
【0070】
前記リップ形状部分は、前記第二の壁にビーム軸を有するビームを介して取り付けられ得、前記リップ形状部分は、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第一の幅を有する第一の部分と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅を有する第二の部分とを含み、前記第一の部分は、前記ビームと前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さく、前記第二の部分は、前記第三の円筒形要素の前記開口又は凹部と係合する。
【0071】
方法は、前記円筒形要素を互いの中にスライドさせた後、前記少なくとも1つの接線方向スペーサの前記少なくとも1つの解放可能な取付部を解放するステップをさらに含み得る。
【0072】
上述の各種の実施形態は、相互に組み合わされ得る。1つの態様に関して説明した実施形態は、他の態様の1つ以上に関しても同様に適用され得る。
【0073】
上述の円筒形要素は、好ましくは、ステンレス鋼、コバルト-クロム、ニチノール(登録商標)等の形状記憶合金、プラスチック、ポリマ、複合材料又は他の切断可能な材料等、何れかの適当な材料の1つの円筒形チューブから製造される。代替的に、円筒形要素は、3D印刷プロセスによって製作され得る。このチューブの厚さは、用途に依存する。医療用途では、厚さは、0.1~2.0mm、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.1~0.5mm、最も好ましくは0.2~0.4mmであり得る。円筒形要素の直径は用途に依存する。医療用途では、直径は、0.5~20mm、好ましくは0.5~10mm、より好ましくは0.5~6mmであり得る。多くの用途では、円筒形要素は、円形の断面を有する。しかしながら、「円筒形要素」という用語は、この解釈に限定されない。これは、楕円の断面又は長方形の断面を含む他の何れの適当な断面も有し得る。
【0074】
全ての円筒形要素の、例えば少なくとも1つの長手方向要素及び少なくとも1つの接線方向スペーサを製作するためのスリット及び開口は、レーザカットによって製作され得る。隣接する要素を分離するためにのみ製作されるより小さいスリットは、好ましくは、5~50μm、より好ましくは15~30μmの幅を有し得る。
【0075】
本願において、「近位」及び「遠位」という用語は、オペレータ、例えば機器又は内視鏡を操作するロボット又は医師に関して定義される。例えば、すなわち、近位端部は、ロボット又は医師の近くにある部分として、遠位端部は、ロボット又は医師から遠くにある部分として手術の分野で解釈されるものとする。
【0076】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大きさ及び距離のような特徴が正確な数値を有することを排除する製作公差を指すことがわかる。使用される製造プロセスに応じて、このような公差は、10%未満、好ましくは5%未満、さらにより好ましくは1%未満であり得る。
【0077】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的で非排他的な実施形態による本発明の説明から明らかになるであろう。これらの実施形態は、保護の範囲を限定すると解釈されないものとする。当業者であれば、本発明の他の代替形態及び均等的な実施形態が着想され、本発明の範囲から逸脱せずに実践できることがわかるであろう。本発明の実施形態を、下記の添付の図面を参照して説明するが、図では、同様の参照記号は、同じ又は対応する部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】先行技術による、2つの操縦可能な器具を有する侵襲的器具アセンブリの概略斜視図を示す。
【
図2】先行技術による操縦可能な侵襲的器具の非限定的な実施形態の側面図を示す。
【
図4a】操縦可能な器具の長尺管状本体のある実施形態の詳細斜視図を提供する。
【
図4b】
図4aに示される長尺管状本体の遠位端部のより詳細な図を提供する。
【
図4c】
図4aに示される操縦可能な器具の長尺管状本体の長手方向断面図を示す。
【
図4d】
図4aに示される操縦可能な器具の長尺管状本体の、1つの近位及び1つの遠位可撓性ゾーンが曲げられた、操縦機構の動作を例示する長手方向断面図を示す。
【
図4e】
図4eに示される操縦可能な器具の長尺管状本体の、追加的に第二の近位及び第二の遠位可撓性ゾーンが曲げられた、操縦機構の動作をさらに例示する長手方向断面図を示す。
【
図4f】1つの近位及び1つの遠位可撓性ゾーンを有する操縦可能な器具のある実施形態の長手方向断面図を示す。
【
図4g】
図4fに示される操縦可能な器具の3つの円筒形要素の分解斜視図を示す。
【
図4h】
図4gに示される操縦可能な器具の中間円筒形要素のある実施形態の開いた状態の上面図を示す。中間円筒形要素は、開かれた状態のものを円筒形の状態に巻き、巻き上げられた構成の隣接する辺を例えば溶接技術等の何れかの既知の取付手段によって取り付けることによって形成され得る。
【
図4i】
図4aに示される長尺管状本体の一部の、外側円筒形要素が部分的に取り除かれ、中間円筒形要素の壁に、長尺管状本体の第一の近位可撓性ゾーンと第一の遠位可撓性ゾーンとを相互に接続する長手方向のスリットを提供した後に得られる長手方向の操縦要素のある実施形態を示す斜視図を示す。
【
図5】操縦可能な侵襲的器具の、近位端に操縦可能な器具の遠位端の曲げを制御するためのリニアアクチュエータが設けられた別の実施形態の概略断面図を示す。
【
図6】
図4gの実施形態と同様であるが、円筒形要素の直径が変化する操縦可能な器具の3つの円筒形要素の分解斜視図を示す。
【
図7】
図4dに示される実施形態に匹敵するが、異なる直径を有する円筒形要素を備える操縦可能な器具の概略断面図を示す。
【
図8a-8b】破断要素を有する先行技術の中間円筒形要素の詳細をそれぞれ斜視図(8a)及び側面図(8b)で示す。
【
図9a-9c】先行技術から知られている操縦可能な器具の、内側に曲がるリップ形状部分が使用される実施形態の概略図を示す。
【
図10】本発明のある実施形態による操縦可能な器具のための中間円筒形要素の中間部の一部を示す。
【
図11a-11b】ある実施形態による、外側円筒形要素と同軸に整列する
図10の中間円筒形要素を示す。
【
図12】ある実施形態による内側円筒形要素の一部を示す。
【
図14】本発明のある実施形態による接線方向スペーサの拡大図を示す。
【
図15】先行技術から知られる、半径方向スペーサとして使用するためのリップ形状部分を示す。
【
図16-17】本発明の実施形態による、半径方向スペーサとして使用するためのリップ形状部分の実施形態を示す。
【
図18a-18c】本発明のある実施形態による、リップ形状部分が設けられた外側円筒形要素の一部を示す。
【
図19】本発明のある実施形態による、内側円筒形要素と係合する半径方向スペーサを形成するリップ形状部分が設けられた外側円筒形要素の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、2つの操縦可能な侵襲的器具10を備えるイントロデューサを有する侵襲的器具アセンブリ1の非限定的な実施形態を示す。
図2は、このような操縦可能な侵襲的器具10の非限定的な実施形態を示す。操縦可能な侵襲的器具10の詳細は、
図4a~4iに関して説明する。
【0080】
図2は、操縦可能な侵襲的器具10の側面図を示す。操縦可能な器具10は長尺管状本体18を含み、これは2つの作動可撓性ゾーン14、15(可撓性近位ゾーンとも呼ばれる)を含む近位端部11、2つの可撓性遠位ゾーン16、17を含む遠位端部13及び剛体中間部12を有する。これらの可撓性近位ゾーン14、15は可撓性遠位端に適当な長手方向要素(
図2では図示せず)によって取り付けられ、且つ/又は接続される。1つのこのような可撓性近位ゾーン14、15を曲げることにより、それぞれ対応する可撓性遠位ゾーンも曲がり、これについては、後に詳細に説明する。剛体中間部も1つ以上の屈曲可能ゾーンを有し得る。しかしながら、これらの屈曲可能ゾーンは、可撓性であるのみであり、それらの曲げは、他の屈曲可能ゾーンによって制御されない。必要に応じて、2つ以上の操縦可能な可撓性遠位ゾーンを提供することができる。遠位端部13に、鉗子2等のツールが配置される。近位端部11にハンドル3が配置され、これは、鉗子2のジョーを、例えば器具内に配置された適当なケーブル(図示せず)を介して開閉するようになされる。そのようにするためのケーブル配置は、当技術分野でよく知られている。
【0081】
図2に示される実施形態では、中間部12は、剛体であり、最終的に1つ以上の屈曲可能ゾーンを有し、これらは、多くの用途にとって良好に機能するが、大腸内視鏡検査及び胃内視鏡検査のような他の用途では、中間部12は、実質的にその全長にわたって可撓性及び/又は屈曲可能であることが望ましい。
【0082】
図3aは、使用中の大腸内視鏡42の概略図を示す。大腸内視鏡42は人体の大腸30に挿入される。典型的に、大腸30は幾つかの略直角の部分32、34、36、38を有する。外科医が大腸の、直角部分32の上流領域に手術を行う必要がある場合、大腸内視鏡42を大腸30内に最大1.5メートルの距離に沿って挿入しなければならない。さらに、大腸内視鏡42は、それを肛門から大腸30の全ての直角部分32~38を通して、容易に、大腸30の内壁を傷つけるリスクを生じずに案内できるように可撓性である必要がある。
【0083】
操作中、通常、幾つかの侵襲的器具を、大腸内視鏡42を通して挿入し、その遠位端44に幾つかの機能のための1つ以上のツールを提供する。大腸内視鏡の場合、このようなツールは、典型的には、カメラレンズと照明素子を含む。外科医がカメラの視野を所望の位置に操作し、大腸30の内部を見ることを支援するために、典型的に遠位端は長手方向軸から全ての角方向に偏向可能である。これは、ツール2と共に挿入された器具についても言える。これは、
図2に示される器具の可撓性ゾーン16、17と同様の1つ以上の可撓性ゾーンを有するこのような器具を提供することによって実装できる。これらの遠位可撓性ゾーンは、器具内に収容され、且つ/又は適当な操縦メカニズムに器具の近位端において取り付けられた、本明細書では長手方向要素とも呼ばれる適当な操縦ケーブルによって制御される。このような操縦メカニズムは、例えば
図5に示される操縦メカニズムであり得、且つ/又はロボットによって制御され得る。
【0084】
図3bは、使用中の胃内視鏡56の概略図を示す。胃内視鏡56は、人体の胃50に口、口腔/咽喉54及び食道52を経て挿入される。特に外科医が胃50の下部に手術を行う必要がある場合、胃内視鏡56を幾つかの湾曲/角度付き区間を通して案内しなければならない。したがって、胃内視鏡56は、口/咽喉54、食道52及び胃50の内壁を損傷するリスクがほとんどないように可撓性である必要がある。
【0085】
動作中、通常、幾つかの侵襲的器具を胃内視鏡56を通して挿入し、その遠位端60に幾つかの機能のための1つ以上のツールを提供する。胃内視鏡の場合、このようなツールは、典型的には、カメラレンズと照明素子とを含む。外科医がカメラの視野を胃50内の所望の位置と方向に操作することを支援するために、器具の遠位端60は、典型的には、長手方向軸から全ての角方向に偏向可能である。これは、ツール2と共に挿入された器具についても言える。これは、
図2に示される器具の可撓性ゾーン16、17と同様の1つ以上の可撓性ゾーンを有するこのような器具を提供することによって実装できる。これらの遠位可撓性ゾーンは、器具内に収容され、これらの器具の適当な操縦機構に接続された、本明細書では長手方向要素とも呼ばれる適当な操縦ケーブルによって制御される。
【0086】
本発明による操縦可能な器具は、このような大腸内視鏡及び胃内視鏡で使用できる。したがって、提示されている器具の一般的要求事項は、例えば1mを超える長い器具で、大腸内視鏡及び胃内視鏡内の又はそれに取り付けられる作業チャネルにフィットする比較的小さい口径を有する場合でも、これらがその全長に沿った高い回転剛性、高い長手方向剛性、可撓性及びその可撓性遠位ゾーンにおける偏向可能性を示すことである。このような器具は、それらがごく容易に製造され得るように設計されるべきでもある。本発明によれば、これは、金属製であり、器具にその全長にわたり十分な可撓性を提供するための適当なスロット付き構造が設けられた少なくとも1つの管要素を備える管状本体を有する器具によって実現され得る。
【0087】
図4a~4eには、2つの可撓性遠位ゾーンを含む操縦可能な器具の実施形態が示されている。しかしながら、他の数の可撓性遠位ゾーンも可能であることを理解されたい。さらに、
図4a~4iに示される実施形態では、可撓性遠位ゾーンは、可撓性近位ゾーンを介して制御又は作動される。しかしながら、代替的に、可撓性遠位ゾーンは、他の手段、例えばロボット、例えば
図5に示されるようなメカニズムによって制御され得ることを理解されたい。器具の中間及び遠位部12、13に関する説明は、1つ以上の可撓性遠位ゾーンを制御する他の方法にも同様に当てはまる。
【0088】
図4aは、操縦可能な器具10の長尺管状本体18の遠位部分の詳細斜視図を提供し、長尺管状本体18が、遠位端部分13において第一の可撓性遠位ゾーン16の後に終了する外側円筒形要素104を含む同軸に配置された複数の層又は円筒形要素を含むことを示している。外側円筒形要素104の遠位端部分13は、外側円筒形要素104内に配置され、それに隣接する円筒形要素103に、例えば溶接スポット100におけるスポット溶接によって確実に取り付けられる。しかしながら、他の何れの適当な取付方法も使用でき、これにはあらゆる機械的スナップフィット接続又は適当なグルーによる糊付けが含まれる。
【0089】
図4bは、遠位端部13のより詳細な図を提供し、それが内側円筒形要素101、第一の中間円筒形要素102及び第二の中間円筒形要素103である同軸に配置された3つの層又は円筒形要素を含むことを示している。内側円筒形要素101、第一の中間円筒形要素102及び第二の中間円筒形要素103の遠位端は、好ましくは、3つ全てが相互に確実に取り付けられる。これは、溶接スポット100におけるスポット溶接によって行われ得る。しかしながら、他の何れの適当な取付方法も使用でき、これにはあらゆる機械的スナップフィット接続又は適当なグルーによる糊付けが含まれる。取付点は、図に示されるように、内側円筒形要素101、第一の中間円筒形要素102及び第二の中間円筒形要素103の端縁にあり得る。しかしながら、これらの取付点は、これらの端縁からある程度離れた位置、すなわち好ましくは端縁と可撓性ゾーン17の位置との間にもあり得る。
【0090】
当業者にとっては、
図4aに示される長尺管状本体18は合計4つの円筒形要素を含むことが明確であろう。
図4aに示される実施形態による長尺管状本体18は、2つの中間円筒形要素102及び103を含み、その中に操縦機構の操縦部材又は長手方向要素が配置される。
図4aに示される長尺管状本体18の例示的実施形態の操縦機構は、長尺管状本体18の近位端部11の2つの可撓性ゾーン14、15、長尺管状本体18の遠位端部13の2つの可撓性ゾーン16、17並びに近位端部11及び遠位端部13の関係する可撓性ゾーン間に配置された操縦部材を含む。操縦部材の例示的な実際の配置は、
図4aに示される長尺管状本体18の例示的実施形態の概略長手方向断面図を提供する
図4cに示される。
【0091】
図4cは、上述の4つの層又は円筒形要素、すなわち内側円筒形要素101、第一の中間円筒形要素102、第二の中間円筒形要素103及び外側円筒形要素104の断面を示す。
【0092】
内側円筒形要素101は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、操縦可能な器具10の遠位端部13に配置された剛体リング111、第一の可撓性部分112、第一の中間剛体部分113、第二の可撓性部分114、第二の中間剛体部分115、第三の可撓性部分116、第三の中間剛体部分117、第四の可撓性部分118及び操縦可能な器具10の近位端部分11に配置された剛体端部分119を含む。
【0093】
第一の中間円筒形要素102は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、剛体リング121、第一の可撓性部分122、第一の中間剛体部分123、第二の可撓性部分124、第二の中間剛体部分125、第三の可撓性部分126、第三の中間剛体部分127、第四の可撓性部分128及び剛体端部分129を含む。部分122、123、124、125、126、127及び128は、合同で長手方向要素120を形成し、これは、ワイヤのように長手方向に移動し得る。第一の中間要素102の剛体リング121、第一の可撓性部分122、第一の中間剛体部分123、第二の可撓性部分124、第二の中間剛体部分125、第三の可撓性部分126、第三の中間剛体部分127、第四の可撓性部分128及び剛体端部分129の長手方向の寸法は、それぞれ内側円筒形要素101の剛体リング111、第一の可撓性部分112、第一の中間剛体部分113、第二の可撓性部分114、第二の中間剛体115、第三の可撓性部分116、第三の中間剛体部分117、第四の可撓性部分118及び剛体端部分119の長手方向の寸法のそれぞれと整合し、好ましくはそれとほぼ等しいだけでなく、これらの部分と一致している。この説明では、「ほぼ等しい」とは、それぞれの同じ寸法が10%未満、好ましくは5%未満の差で等しいことを意味する。
【0094】
同様に、第一の中間円筒形要素102は、1つ以上の他の長手方向要素を含み、その1つが参照番号120aで示されている。
【0095】
第二の中間円筒形要素103は、器具の遠位端から近位端その長さに沿って見ると、第一の剛体リング131、第一の可撓性部分132、第二の剛体リング133、第二の可撓性部分134、第一の中間剛体部分135、第一の中間可撓性部分136、第二の中間剛体部分137、第二の中間可撓性部分138及び剛体端部分139を含む。部分133、134、135及び136は、合同で長手方向要素130を形成し、これは、ワイヤのように長手方向に移動し得る。第二の中間円筒103の第一の剛体リング131、第一の可撓性部分132と共に第二の剛体リング133及び第二の可撓性部分134、第一の中間剛体部分135、第一の中間可撓性部分136、第二の中間剛体部分137、第二の中間可撓性部分138、剛体端部分139の長手方向の寸法は、それぞれ第一の中間要素102の剛体リング111、第一の可撓性部分112、第一の中間剛体部分113、第二の可撓性部分114、第二の中間剛体部分115、第三の可撓性部分116、第三の中間剛体部分117、第四の可撓性部分118及び剛体端部分119の長手方向寸法のそれぞれと整合し、好ましくはそれとほぼ等しいだけでなく、これらの部分と一致している。
【0096】
同様に、第二の中間円筒形要素103は、1つ以上の他の長手方向要素を含み、その1つが参照番号130aで示される。
【0097】
外側円筒形要素104は、器具の遠位端から近位端までのその長さに沿って見ると、第一の剛体リング141、第一の可撓性部分142、第一の中間剛体部分143、第二の可撓性部分144及び第二の剛体リング145を含む。外側円筒形要素104の第一の可撓性部分142、第一の中間剛体部分143及び第二の可撓性部分144の長手方向の寸法は、それぞれ第二の中間要素103の第二の可撓性部分134、第一の中間剛体部分135及び第一の中間可撓性部分136の長手方向の寸法のそれぞれと整合し、且つ好ましくはそれとほぼ等しく、またこれらの部分と一致する。剛体リング141は、剛体リング133とほぼ同じ長さを有し、それに例えばスポット溶接又は糊付けによって確実に取り付けられる。好ましくは、剛体リング145は、第二の中間剛体部分137と、それぞれ剛体リング145及び第二の中間剛体部分137との間の、例えばスポット溶接又は糊付けによる十分な固定された取付を行うのに必要な長さにわたってのみ重複する。剛体リング111、121及び131は、相互に例えばスポット溶接又は糊付けによって取り付けられる。これは、その端縁において、またこれらの端縁から離れた箇所でも行われ得る。
【0098】
ある実施形態では、同じことが剛体端部分119、129及び139にも当てはまり得、これらも同様の方法で相互に取り付けることができる。しかしながら、構成は、近位部分での円筒形要素の直径が遠位部分での直径に関してより大きいか又はより小さいというものであり得る。このような実施形態では、近位部分の構成は
図4cに示されるものとは異なる。直径の増大又は減少により、増幅又は減衰が実現され、すなわち遠位部分の可撓性ゾーンの曲げ角度が近位部分の対応する可撓性部分の曲げ角度より大きいか又は小さくなる。
【0099】
円筒形要素101、102、103及び104の内径及び外径は、長尺管状本体18に沿った同じ位置において、内側円筒形要素101の外径が第一の中間円筒形要素102の内径よりわずかに小さく、第一の中間円筒形要素102の外径が第二の中間円筒形要素103の内径よりわずかに小さく、第二の中間円筒形要素103の外径が外側円筒形要素104の内径よりわずかに小さく、それにより隣接する円筒形要素の相互に関する摺動が可能となるように選択される。寸法は、隣接する要素間に滑り嵌めが提供されるように決定されるべきである。隣接する要素間のクリアランスは一般に、0.02~0.1mm程度であり得るが、具体的な用途及び使用される材料による。クリアランスは長手方向要素の壁厚より小さく、その重複構成を防止することが好ましい。クリアランスを長手方向要素の壁厚の約30%~40%に制限すれば一般的に十分である。
【0100】
図4cからわかるように、近位端部11の可撓性ゾーン14は遠位端部13の可撓性ゾーン16に第二の中間円筒形要素103の部分134、135、136によって取り付けられ、これらは操縦可能な器具10の操縦機構の長手方向の操縦部材の第一の集合を形成する。さらに、近位端部11の可撓性ゾーン15は、遠位端部13の可撓性ゾーン17に、第一の中間円筒形要素102の部分122、123、124、125、126、127及び128によって取り付けられ、これらは、操縦機構の長手方向の操縦部材の第二の集合を形成する。上述の構成の使用により、操縦可能な器具10をダブルベンディングのために使用することができる。この構成の動作原理を、
図4d及び4eに示される例に関して説明する。
【0101】
便宜のために、
図4c、4d及び4eに示されるように、円筒形要素101、102、103及び104の様々な部分をゾーン151~160にグループ分けし、これらを以下のように定義する。ゾーン151は、剛体リング111、121及び131を含む。ゾーン152は、部分112、122及び132を含む。ゾーン153は、剛体リング133及び141並びに部分113及び123を含む。ゾーン154は、部分114、124、134及び142を含む。ゾーン155は、部分115、125、135及び143を含む。ゾーン156は、部分116、126、136及び144を含む。ゾーン157は、剛体リング145と、部分117、127及び137のうち、それと一致する部分とを含む。ゾーン158は、部分117、127及び137のうち、ゾーン157の外の部分を含む。ゾーン159は、部分118、128及び138を含む。最後に、ゾーン160は、剛体端部分119、129及び139を含む。
【0102】
ゾーン155を構成する部分115、125、135及び143は、本明細書中で剛体であると述べたが、代替的に、器具が例えば前述のように大腸内視鏡検査又は胃内視鏡検査で使用される器具である場合、これらの部分は可撓性又は屈曲可能である。しかしながら、可撓性遠位部分と異なり、中間部分の撓み又は屈曲は器具のオペレータによって制御されない。このような可撓性中間部分の実施形態は、本発明によって提供され、例えば
図10~19に関してさらに詳細に後述する。
【0103】
操縦可能な器具10の遠位端部13の少なくとも一部を偏向させるために、曲げる力をゾーン158に何れの半径方向にも加えることができる。
図4d及び4eに示される例によれば、ゾーン158はゾーン155に関して下方に曲げられる。その結果、ゾーン156は下方に曲がる。第二の中間円筒形要素103の、第二の中間剛体部分137及び第二の剛体リング133との間に配置された部分134、135及び136を含む操縦部材の第一の集合により、ゾーン156の下方への曲げは操縦部材の第一の集合の長手方向の変位によってゾーン155に関するゾーン154の上方への曲げに伝えられる。これは、
図4d及び4eの両方に示されている。
【0104】
ゾーン156の例示的な下方への曲げにより、
図4dに示されるように、器具の遠位端のゾーン154は上方に曲がる。ゾーン156の曲げの結果としてのゾーン152の曲げは、ゾーン152及び154間に配置されたゾーン153によって防止される。その後、何れかの半径方向の曲げ力がゾーン160に加えられると、ゾーン159も曲がる。
図4eに示されるように、ゾーン160は、
図4fに示されるその位置に関して上方に曲げられる。その結果、ゾーン159は上方に曲がる。第一の中間円筒形要素102の、剛体リング121と剛体端部分129との間に配置された部分122、123、124、125、126、127及び128を含む操縦部材の第二の集合により、ゾーン159の上方の曲げは、操縦部材の第二の集合の長手方向の変位により、ゾーン152の
図4dに示されるその位置に関する下方への曲げに伝えられる。
【0105】
図4eは、
図4dに示されるようなゾーン154における器具の初期の曲げが保持されることをさらに示し、これは、この曲げがゾーン156の曲げのみによって決定されるのに対して、ゾーン152の曲げは、前述のように、ゾーン159の曲げによってのみ決定されるためである。ゾーン152及び154は相互に独立して屈曲可能であるため、操縦可能な器具10の遠位端部13に相互に独立した位置及び長手方向軸方向を与えることができる。特に、遠位端部13は有利なS字形状をとることができる。当業者であれば、ゾーン152及び154を相互に関して独立して曲げられることにより、遠位端部部分13の、したがって操縦可能な器具10全体の操作性が大幅に向上すことがわかるであう。
【0106】
明らかに、
図4c~4eに示される可撓性部分の長さを変えて、操縦可能な器具10の遠位端部13及び近位端部11の曲げ半径及び全長に関する具体的な要求事項に対応するか、又は近位端部11の少なくとも一部及び遠位端部13の少なくとも一部の曲げ間の増幅又は減衰比に対応するようにできる。
【0107】
操縦部材は、1つ以上の中間円筒形要素102、103の一体部分を形成する長手方向要素の1つ以上の集合を含む。好ましくは、長手方向要素は、中間円筒形要素102、103の壁に、残りの長手方向の操縦要素を画定する長手方向のスリットが設けられた後の中間円筒形要素102、103の壁の残りの部分を含む。
【0108】
この長手方向操縦要素の製造に関するさらなる詳細は、その近位端部11及び遠位端部13の両方に1つの可撓性ゾーンのみを含む操縦可能な器具の例示的実施形態に関する
図4f~4hを参照しながら提供される。
【0109】
図4fは、同軸に配置された3つ円筒形要素、すなわち内側円筒形要素2202、中間円筒例要素2203及び外側円筒形要素2204を含む操縦可能な器具2201の長手方向断面図を示す。円筒形要素2202、2203及び2204を製造するのに使用される適当な材料には、ステンレス鋼、コバルト-クロム、ニチノール(登録商標)等の形状記憶合金、プラスチック、ポリマ、複合材料又は他の切断可能な材料が含まれる。代替的に、円筒形要素は、3D印刷プロセスによって製作され得る。
【0110】
内側円筒形要素2202は、器具2201の遠位端部13に配置された第一の剛体端部2221、第一の可撓性部分2222、中間剛体部分2223、第二の可撓性部分2224及び器具2201の近位端部11に配置された第二の剛体端部分2225を含む。
【0111】
外側円筒形要素2204も第一の剛体端部2241、第一の可撓性部分2242、中間剛体部分2243、第二の可撓性部分2244及び第二の剛体端部2245を含む。円筒形要素2202及び2204の様々な部分の長さは、実質的に同じであり、したがって内側円筒形要素2202が外側円筒形要素2204に挿入されたとき、様々な部分は相互に対向して位置付けられる。
【0112】
中間円筒形要素2203も第一の剛体端部2331及び第二の剛体端部2335を有し、これらは、組み立てられた状態で他の2つの円筒形要素2202、2204のそれぞれ対応する剛体部2221、2241及び2225、2245間に配置される。中間円筒形要素2203の中間部2333は、3つ以上の別々の長手方向要素を含み、これらは後述のように異なる形態及び形状を有することができる。3つの円筒形要素2202、2203及び2204が組み立てられ、要素2202が要素2203に挿入され、組み合わされた2つの要素2202、2203が要素2204に挿入されると、内側円筒形要素2202の第一の剛体端部2221、中間円筒形要素2203の第一の剛体端部2331及び外側円筒形要素2204の第一の剛体端部2241は、器具の遠位端において相互に取り付けられる。
図4f及び4gに示される実施形態では、内側円筒形要素2202の第二の剛体端部2225、中間円筒形要素2203の第二の剛体端部2335及び外側円筒形要素2204の第二の剛体端部2245も器具の近位端において相互に取り付けられ、それにより、3つの円筒形要素2202、2203、2204は、1つの一体のユニットを形成する。
【0113】
中間部2223、2333及び2243は本明細書中で剛体であると述べたが、代替的に、器具が例えば前述のように大腸内視鏡検査又は胃内視鏡検査で使用される器具である場合、これらの部分は、可撓性又は屈曲可能である。しかしながら、可撓性遠位部分と異なり、中間部分の撓み又は屈曲は器具のオペレータによって制御されない。このような可撓性中間部分の実施形態は、本発明によって提供され、例えば
図10~19に関してさらに詳細に後述する。
【0114】
図4gに示される実施形態では、中間円筒形要素2203の中間部2333は均一な断面を有する複数の長手方向要素2338を含み、それにより、中間部2333は、
図4hに中間円筒形要素2203の開いた状態で示されるような全体的形状及び形態を有する。
図4hから、中間部2333が中間円筒形部2203の円周に沿って均等に離間された複数の平行な長手方向要素2338によって画定されることも明らかとなる。有利には、長手方向要素2338の数は、少なくとも3であり、それにより、器具2201は、何れの方向にも完全に制御可能となるが、より大きい数も可能である。好ましくは、長手方向要素2338の数は、6又は8である。
【0115】
このような中間部の製造は、射出成型若しくはめっき方式又は所望の内径及び外径を有する円筒形チューブから始めて、円筒形チューブの壁の、最終的に中間円筒形要素2203の所望の形状とするために必要な部分を除去することによって最も好都合に行われる。しかしながら、代替的に、何れの3D印刷方法も使用することができる。
【0116】
材料の除去は、レーザカット、光化学エッチング、ディーププレス、穴あけ若しくはフライス掘り等の従来のチッピング技術、高圧ウォータジェット切削システム又は利用可能な他の何れかの適当な材料除去プロセス等、様々な方法で行われ得る。好ましくは、レーザカットが使用され、それは、これにより合理的な経済的条件で材料を非常に正確且つクリーンに除去できるためである。上述のプロセスは、部材2203がいわば1つのプロセスで製作でき、従来の操縦ケーブルを何れかの方法で端部に接続しなければならない従来の器具に必要であったような中間円筒形要素の異なる部分を取り付けるための追加のステップを必要としないため、好都合な方法である。同じ種類の技術を用いて、それぞれの可撓性部分2222、2224、2242及び2244を有する内側及び外側円筒形要素2202及び2204を製造できる。
【0117】
図4iは、第二の中間円筒形要素103の壁に、前述のように可撓性近位ゾーン14と可撓性遠位ゾーン16を相互接続する長手方向スリット5を提供した後に得られる長手方向(操縦)要素4の例示的実施形態を示す。すなわち、長手方向操縦要素4は、少なくとも部分的に器具の長手方向軸の周囲でらせん状であり、それにより、器具の近位部分におけるそれぞれの操縦要素4の端部分は、長手方向軸の周囲において、器具の遠位部分における同じ長手方向操縦要素4の端部分とは異なる角度方向に配置される。長手方向操縦要素4が線形の向きに配置されている場合、特定の平面内での近位部分の器具の曲げにより、遠位部分において器具が同じ平面内であるが、180度反対方向に曲がる。長手方向操縦要素4のこのらせん構成により、特定の平面内での近位部分の器具の曲げの結果として、遠位部分において器具が他の平面内又は同一平面内で同じ方向に曲がり得るという効果が得られる。好ましいらせん構成は、器具の近位部分におけるそれぞれの操縦要素4が器具の遠位部分における同じ長手方向操縦要素4の端部分に関して長手方向軸の周囲で180度ずれた角度位置に配置される。しかしながら、例えば他の角度、例えば90度ずれた角度位置も本願の範囲内である。スリットは、長手方向要素の移動が、操縦可能な器具内の所定の位置に提供されたときに隣接する長手方向要素によって案内されるような大きさとされる。
【0118】
図4cに示される可撓性部分112、132、114、142、116、144、118及び138並びに
図4f及び4gに示される可撓性部分2222、2224、2242及び2244は、2008年10月3に出願された欧州特許出願第08004373.0号明細書の第5ページ15~26行目に記載された方法によって得られるが、他の何れの適当なプロセスも可撓性部分の製作に使用できる。
【0119】
このような可撓性部分は、
図4a及び4bに示される構造を有し得る。すなわち、可撓性は、複数のスリット14a、15a、16a、17aによって得られ得る。例えば、2つの円周方向のスリットが円筒形要素の同じ円周線に沿って提供され得、何れのスリットも相互から特定の距離に配置される。円周方向のスリット14a、15a、16a、17aの複数の同じ集合が器具の長手方向に複数の距離を空けて提供され、連続する集合は角回転させた、例えば毎回90度回転させた位置に配置される。このような配置では、円筒形要素の全ての部分が依然として相互に付着している。
【0120】
さらに、
図4cに示されるように長手方向操縦部材の第一及び第二の集合をそれぞれ形成する第一の中間円筒形要素102の部分122、123、124、125、126、127及び128と第二の中間円筒形要素103の部分134、135及び136が
図4gに示されるように長手方向操縦要素4として実装されている場合、前述の製造方法を使用できる。同じことが、
図4g及び4iの長手方向要素2338にも当てはまる。さらに、欧州特許第2762058A号明細書に記載の何れの実施形態も本発明によって使用され得る。
【0121】
代わりに、長手方向要素4、2338は、例えば、欧州特許第1708609A号明細書に記載されているような、当技術分野で知られている他の何れの技術によっても取得され得る。これらの部分で使用される長手方向要素の構成に関する唯一の制約は、器具の、可撓性部分が一致するこれらの位置における完全な可撓性が保持されなければならないことである。
【0122】
図4c、4d及び4dに示される操縦可能な器具の例示的実施形態に関してそれぞれ前述した異なる同軸の配置の層又は円筒形要素101、102、103、104、2202、2203及び2204は、多層系を製作するのに適していれば既知の方法の何れによっても製造され得る。多層系とは、近位端部の移動を遠位端部に伝えるための長手方向要素4、2338の少なくとも2つの別々の集合を含む操縦可能な器具であると理解されたい。異なる円筒形要素のアセンブリも同様に実現できる。異なる円筒形要素を製造する方法は、前述の欧州特許第2762058A号明細書に記載されており、この特許の全体が参照により本明細書に援用される。
【0123】
上述の実施形態では、近位部分と遠位部分は同様に構成される。しかしながら、前述し、また以下において明らかとなるように、常にそうしなければならないわけですない。
【0124】
図5に示される実施形態では、遠位端部分13は、例えば、
図4d及び4eに示される実施形態の遠位端部分13と同様であるが、近位端部分11が変更されている。近位端部分11’の周囲に円筒形ハウジング80が提供され、これは、器具の外層又は外側円筒形要素104に取り付けられる。さらに、近位端部分における器具の外層は、円筒形部材83を提供され、ゾーン155と円筒形部材83との間に複数のスリット67が存在する。円筒形ハウジング80の内壁にそれぞれリニアアクチュエータ81及び82の2つの集合が取り付けられる。リニアアクチュエータは、例えば、このタイプの操縦可能な器具における長手方向要素のような要素の並進移動を生じさせ得る機器である。このようなリニアアクチュエータは、当技術分野で一般に知られており、ここではこれ以上詳細に説明しないが、これらは、コンピュータ等の電子機器によって制御可能である。
【0125】
第二の中間層103の長手方向要素は、スリット67を通過し、リニアアクチュエータの集合81に接続される。第一の中間層102の長手方向要素は、円筒形部材83を通過して、リニアアクチュエータの第二の集合82に接続される。リニアアクチュエータ81及び82の適切な作動により、可撓性遠位ゾーン152及び154を、
図4d及び4eによる実施形態と同じ効果が得られるように変更することができる。異なるリニアアクチュエータの作動は制御された方法で行われる必要があり、なぜなら、そうでなければ向きの変更ができないためである。これは、1つのアクチュエータ81が、対応する長手方向要素に引く力を加える場合、他のアクチュエータは、対応する方法で動作しなければならない、すなわちより小さい引く力を加えるか、全体のバランスが取れるように押す力を加えなければならないことを意味する。同じことは、アクチュエータの両方の集合が同時に作動されるときにも当てはまる。リニアアクチュエータを含む器具の領域は、本実施形態の器具のそれぞれの作動ゾーンである。
【0126】
ロボットを利用した他の実施形態も適用され得る。
【0127】
近位端における操縦機構は、代替的に、その長手方向要素が取り付けられる球形操縦ユニット又は可倒式ディスクによって実現され得る。このような実装は、そのようなものとして知られている。これらは、人間のオペレータ又はそれ自体が人間のオペレータによって制御され得るロボット機器によって操作され得る。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、近位部分は
図6に示されるように、より大きい直径を有し得る。内側円筒形要素2202は、第一の剛体端部2225、第一の可撓性部分2224、中間部分2223、第二の可撓性部分2222及びそれがユニットの反対の端を操縦する役割を果たす点において、通常、器具の操作部分、すなわち近位部分として使用される第二の剛体端部2221で構成される。外側円筒形要素2204も同様に、第一の剛体部2245、可撓性部分2244、中間部分2243、第二の可撓性部分2242及び第二の剛体部分2241によって構成される。中間円筒形要素2203は、第一の剛体端部2335及び第二の剛体端部2331も有し、これらは、組み立てられた状態で2つの外側円筒形要素2202、2204のそれぞれ対応する剛体部2225、2245及び2221、2241間に配置される。図の実施形態では、長手方向要素2338は
図4gに示されるタイプのものであるが、前術の何れのタイプも使用され得ることは自明であろう。ここまで、構成は、前述の器具と同等である。上述の実施形態に関する主な相違は、器具の幾つかの部分に異なる直径の集合を使用することである。
図6に示される実施形態では、部分2222、2221、2331、2242及び2241は、他の部分より大きい直径を有する。部分2223、2338及び2243では、小径の部分を大径の部分に接続するために、円錐台形の部分が作られている。
図6に示されるように、異なる部分は1つをもう1つに挿入することによって容易に組み立てることができる。しかしながら、このように異なる直径を有する器具の主な理由は、より大きい直径の操作部を使用することによって他方の端の移動が増幅され、より小さい直径が使用されると、他方の端の移動が縮小されることである。用途及びその要求事項に応じて、より大きい直径を用いて増幅された移動を有することができ、より小さい直径を用いて移動を小さくし、正確さを向上させることができる。
【0129】
近位部分に向かって直径を大きくして器具をこのように広げることは、
図7に示されけるような3つ以上の屈曲可能部分を有する器具にも適用できる。
図7では、4層を有する器具が示されており、したがって、器具は、例えば、
図4d及び4eの器具に匹敵するが、円筒状要素の作動部分は、ハンドリングのための端部分と比較してより大きい直径を有し、ゾーン155に円錐台形部分が組み込まれる。近位端の作動部分の直径がより大きいことにより、遠位端のハンドリング部分の移動は、曲げたときに増幅され、それによりハンドリングヘッドの移動が増幅される。近位端の作動部分より大きい直径を有する遠位端のハンドリング部分で反対方向に操作して、移動の大きさを減少させ、ハンドリングヘッドの移動の正確さを高めることも可能である。
【0130】
図8a及び8bは、先行技術、例えば国際公開第2016/089202A1号パンフレットの中間円筒形要素102、103の、隣接する長手方向要素4間に形成される隙間6内に配置された円の形状を有する破断要素7を含む部分の実施形態を示す。破断要素7は、破断位置7.1の端においてそれぞれの隣接する長手方向要素4に取り付けられる。これらの破断要素により、器具の組立中に隣接する長手方向要素がまとめて保持され、例えばそれらの相対的順序と幾何学的一貫性が保たれる。
【0131】
器具の組立後、破断要素は、曲げ力と長手方向要素4の辺に沿った円形状の破断要素7の転がりによって生じるねじり力の組合せによって壊れる(破断する)。一般に、破断要素7は、隣接する長手方向要素4が相互に関して動かされたときにせん断力、曲げ力、ねじり力の1つ以上が破断要素の破断位置7.1にかかるような形状を有するように設計できる。
【0132】
図8a及び8bの実施形態では、長手方向要素4はより薄く、隙間6を作る区間と、小さいスリット5によってのみ分離される、より広い区間を有する。その理由は、剛体中間部12を有する操縦可能な器具において、長手方向要素が剛体中間部内でその長さの少なくとも一部に沿って、小さいスリット5のみによって分離され、長手方向要素の移動が、長手方向要素の十分に制御された移動のために提供された隣接する長手方向要素によって案内されるためである。長手方向要素の幅は、操縦可能な器具に機械的強度も提供する。
【0133】
破断位置の破断又は破壊は、異なる円筒形要素を互いの中にスライドさせた後に起こるため、破断要素は器具の内部に残る。
図8a及び8bからわかるように、隙間6及び破断要素7の形状と寸法により、隣接する長手方向要素4の相対的移動が限定される。破断位置7.1の1つにおいて破断が偶発的に起こらなかった場合、隣接する長手方向要素の相対移動は、さらに限定される。その後、隙間6と破断要素7の寸法によって設定される範囲を超える曲げ力が加えられると、器具は重大な損傷を受けるか、さらには故障し得る。
図8bからわかるように、これにより最初に破断要素7が移動して、隙間6の縁で長手方向要素4の1つと接触する。加えられた力が十分に大きいと、破断要素7は、中間円筒形要素102、103の上若しくは下で又はスリット5内に摺動することにより、さらに強制的に動かされる。したがって、破断要素7が嵌って動かなくなり、器具内の要素の相対移動の障害となるか、それ以外に器具に重大な損傷を与え得る。
【0134】
図9a、9b及び9cは、先行技術である国際公開第2019/009710A1号パンフレットに記載されている操縦機能な器具の可撓性ゾーンのある実施形態を示す。半径方向スペーサ294eを含めることによって円筒形要素204、208間に距離を設け、例えば器具の可撓性ゾーンを曲げている間に中間円筒形要素206の長手方向要素282が詰まることを防止する。
【0135】
図9aに示されるように、円筒形要素204にはその壁296にリップ形状部分294eが設けられる。
【0136】
図9bに示されるように、中間円筒形要素206において、接線方向スペーサ275を形成する帯状ユニットがスペーサ部分294fによって一体に保持される。幾つかの位置で、隣接する長手方向要素部分282はスペーサ275によってではなく自由空間320によって離間される。
【0137】
中間円筒形要素206が円筒形要素204に挿入されると、リップ形状部分294eは自由空間320の上方に位置付けられる。各リップ形状部分294eは内側に曲がり、内側に曲がった位置のまま、自由空間320を通して延び、円筒形要素208の一部と接触する。
図9cは、中間円筒形要素204、206、208が相互に挿入されたときのこのような自由空間320の位置における長手方向の取付状態の断面を示す。
【0138】
中間円筒形要素206が高さh1を有すると仮定すると、リップ形状部分294eはh3の距離にわたって内側に曲がり、h3>h1である。それゆえ、曲がったリップ形状部分294eの位置において、中間円筒形要素204及び208間のよく規定された半径方向のスペースが作られ、これは長手方向要素部分282の高さh1より大きい。これは、器具が可撓性ゾーンにおいて曲げられた状況であっても、それが長手方向に移動できるようにする。
【0139】
しかしながら、
図9a~9cの実施形態には幾つかの欠点が伴う。半径方向スペーサを形成するリップ形状部分294eが接線方向スペーサ275と長手方向要素部分284の縁との間の隙間320を通して延びると、リップ形状部分294eは器具の可撓性ゾーンが曲がっているときにそれと接触し得、したがって器具を曲げることのできる程度が限定される。このような隙間320内にリップ形状部分294eが通っていない場合、スペーサ部分294fは長手方向要素部分284の縁と接触し得、これも器具を曲げることのできる程度を限定し得、且つ/又は接線方向スペーサ275が長手方向要素部分284の上若しくは下に摺動するか、又は隣接する長手方向要素276を無理に離間させ得、これは、
図8a、8bに関して前述した問題と同様である。
【0140】
さらに、リップ形状部分294eを曲げるために加えられる力は、高い正確さで、すなわちできるだけ半径方向に加えられなければならず、これは、そうでなければリップ形状部分が意図した通りに曲がらない場合があるためである。その結果、リップ形状部分294eが円筒形要素208と接触せず、それにより所望の半径方向の間隔が実現されないことがあり、且つ/又はリップ形状部分294eが隣接する長手方向要素部分282の一方又は両方と当接して、器具の使用中に摩擦を生じさせる。
【0141】
図10は、本発明のある実施形態による、実質的に可撓性中間部を有する操縦可能な器具の中間円筒要素1002、1003の中間部分12の例を示す。中間円筒形要素の近位端部は、
図4a、4d、4e、4f、4h、4i、6及び7に示される近位端部又は
図5に示される近位端部であり得る。中間円筒形要素の遠位端部は、
図4a~4i及び
図5~7に示される遠位端部であり得る。その特徴は、すでに詳細に述べたため、ここでは繰り返さない。
図10に示される長手方向要素1038は、それらのそれぞれの端において、長手方向要素若しくはそれぞれ遠位端部及び近位端部の一部又は長手方向要素若しくは遠位端部分の一部及び近位端部内にあるアクチュエータに、当業者であればわかる方法で接続されるか又は取り付けられる。長手方向要素1038は、それぞれ近位及び遠位端部で長手方向要素とモノリシックに形成され得るか、又は器具の製造中にそれに接続されるか若しくは取り付けられ得る。
【0142】
中間円筒形要素1002、1003は、先の「概要」の項に記載の第一の円筒形要素の実施形態を表す。
【0143】
図10に示される実施形態では、中間円筒形要素1002、1003は、円筒形要素1002、1003の中間部を追って延びる複数の長手方向要素1038を含む。長手方向要素1038を介して、近位端部から可撓性遠位ゾーンに力を伝えることができ、それにより、例えば
図4~7に関して詳細に前述したように、操縦可能な器具の遠位端部の曲げを制御する。複数の可撓性遠位ゾーンが提供される場合、これらは、前述のように個別に制御され得る。このような可撓性ゾーンの曲げの個別の制御は、長手方向要素の異なる集合に分割される複数の長手方向要素1038によって実現され得、長手方向要素の各集合が1つの可撓性遠位ゾーンを制御するように配置される。代替的に、1つの中間円筒形要素が各可撓性遠位ゾーンのために提供され得る。
【0144】
例えば
図5に関して前述したように、長手方向要素は、近位端部でリニアアクチュエータに接続され得、それにより器具の可撓性遠位ゾーンの曲げ又はたわみがコンピュータ又はロボットによって制御される。代替的に、同じく前述したように、1つ以上の近位可撓性ゾーンを曲げるか又は撓ませることによって長手方向要素に力が加えられ得る。代替形態として、長手方向要素がそれに取り付けられる球形操縦ユニット又は可倒ディスクが提供され得、これはロボット器具によって操作可能である。
【0145】
長手方向要素1038は長手方向1008に延びる。これは、
図10の実施形態のように円筒軸1010に平行であり得る。代替的に、長手方向1008は、例えば
図4iに示されるように、円筒軸1010に関してらせん状に配置され得る。
【0146】
長手方向要素1038は、隣接する長手方向要素1038間にギャップ又は隙間1006があるように配置される。ある実施形態では、長手方向要素は中間部分全体にわたり均一な寸法を有し、円筒形要素の円周に沿って均等に分散され、それにより全ての隙間1006が同じ寸法を有する。
【0147】
接線方向スペーサ1007、1017は、隣接する長手方向要素1038間の隙間1006内に配置される。長手方向要素1038と接線方向スペーサ1007、1017は、相互に関して長手方向に移動可能である。好ましくは、長手方向要素1038と接線方向スペーサ1007、1017は相互に取り付けられず、長手方向のそれらのそれぞれの移動が限定されない。接線方向スペーサ1007、1017によって隣接する長手方向要素1038間の接線方向の距離が保持され、同時に長手方向要素1038が接線方向に十分に支持され、それにより器具に機械的強度及び安定性が付与される。
【0148】
図10は、接線方向スペーサ1007、1017が隣接する2つの長手方向要素1038間の接線方向の距離を保持するように配置されることを示しているが、本発明による接線方向スペーサは、1つの長手方向要素1038と円筒形要素1002、1003の他の部分との間に適用することもでき、この場合、長手方向要素1038は、円筒形要素1002、1003のその他の部分に関して接線方向に移動できる。したがって、接線方向スペーサ1007、1017は、この長手方向要素1038とその他の部分との間の接線方向の距離を保持するように配置される。
【0149】
図10は、複数の長手方向要素1038が円筒形要素の円周に沿って分散されている実施形態を示しているが、これは本発明にとって本質的なことではない。幾つかの実施形態では、中間円筒形要素1002、1003は少なくとも1つの長手方向要素1038(すなわち場合により1つのみの長手方向要素)を含み、その少なくとも1つの長手方向要素に実質的に隣接するか又はその隣のその円筒形要素の他の部分は、チューブの長手方向に延び、円筒形要素の他の部分それ自体は長手方向要素を形成しない。接線方向スペーサ、すなわち少なくとも1つの接線方向スペーサは、長手方向要素と円筒形要素の他の部分との間の隙間内において、少なくとも1つの長手方向要素に接線方向に隣接して配置される。
【0150】
図10の実施形態では、複数の接線方向スペーサ1007が隙間1006内に配置される。接線方向スペーサ1007の数、それらの形状及び寸法並びに同じ隙間1006内に配置された接線方向スペーサ1007間の距離は、例えば、中間円筒形要素1002、1003の所望の機械的特性によって決まる。好ましくは、
図10に示されるように、接線方向スペーサ1007は、長い形状を有し、長手方向1008に延びる。
【0151】
長手方向要素1038は、好ましくは、中間部内のその範囲全体にわたって同じ幅wを有する。それにより、接線方向スペーサ1007、1017と、隣接する長手方向要素1038との間の相対移動は、長手方向要素1038の幅広部分によって限定されない。それにより、接線方向スペーサが長手方向要素1038の上又は下で摺動するリスクが低減化される。
【0152】
器具の組立中、接線方向スペーサ1007、1017は隣接する長手方向要素1038に、本出願人の国際公開第2016/089202A1号パンフレット及びPCT/NL2022/050318号明細書に記載されているように、器具の組立後に隣接する長手方向要素1038を相互に関して反対の長手方向に移動させることによって破断又は破壊される破断要素1007a、1017aによって取り付けられ得る。これにより、器具の組立中の中間円筒形要素の安定性と長手方向要素1038の幾何学的一貫性が得られる。
【0153】
図10の実施形態では、2種類の接線方向スペーサ1007、1017が提供される。図からわかるように、接線方向に見たとき、1つおきの隙間1006内に第一の種類の接線方向スペーサ1007が配置される。
図11a及び11bに示されるように、ある例では、半径方向スペーサ1094がこれらの接線方向スペーサ1007間に提供される。残りの1つおきの隙間1006には、第二の種類の接線方向スペーサ1017が配置され、これは隙間1006の実質的に全長を通して延び、近位及び遠位端の少なくとも1つに取り付けられない。
【0154】
本発明によれば、接線方向スペーサ1007は、1つ以上の開口1029を設けられる。接線方向スペーサ1017にも1つ以上のこのような開口1029が提供され得る。これは、
図10に概略的に示され、
図14に接線方向スペーサ1007についてより詳細に示されている。
【0155】
図11a、11bは、外側円筒形要素1004から接線方向スペーサ1007の長手方向端の隙間1006内及び/又は接線方向スペーサ1007、1017の開口1029内に内側に曲がったリップ1094が接線方向スペーサ1007、1017の動きをどのように制限できるかを示す。
【0156】
図11aは、外側円筒形要素1004と同軸に整列した円筒形要素1002、1003を示す。外側円筒形要素1004は、「概要」に記載の第二の円筒形要素の実施形態を表す。中間円筒形要素1002、1003と同様に、外側円筒形要素1004も近位端部、少なくとも1つの可撓性遠位部分を含む遠位端部及び近位端部と遠位端部との間の中間部を含み、これらは中間円筒形要素の対応する部分と整合して、操縦可能な器具を実現する。前述のものと同様に、
図11a及び11bは、円筒形要素の中間部の一部分のみを示している。
【0157】
図からわかるように、複数の半径方向スペーサ1094が提供され、これらは外側円筒形要素1004に取り付けられるか、その一部として形成される。半径方向スペーサ1094は、半径方向に内側に延び、中間円筒形要素1002、1003の隣接する長手方向要素1038間に形成される隙間1006内に突出し、実際にはそれを通して延びる。好ましくは、半径方向スペーサ1094は、外側円筒形要素1004の壁に形成されたリップ形状部分によって形成され、これについては、
図15~19に関してより詳細に説明する。
【0158】
図11bは、
図11aの断面図を示す。ここで、半径方向スペーサ1094が接線方向スペーサ1007の長手方向端の各々に提供され、隙間1006を通して延びることがわかる。
【0159】
図12及び13に関して説明するように、半径方向スペーサ1094は、外側円筒形要素1004と内側円筒形要素1001との間の距離を設定し得る。
【0160】
図11a及び11bからわかるように、半径方向スペーサ1094は、接線方向スペーサ1007の第二の円筒形要素に関する長手方向要素1036の範囲に沿った両方向の移動を制限又は限定する。長手方向要素1038は相互に関して移動でき、それにより円筒形要素の屈曲可能部の曲げ又はたわみが可能となり、接線方向スペーサ1007によって形成された限定部又は狭小部が長手方向要素1038の部分の淵と接触しない。
【0161】
図12は、内側円筒形要素1001の例を示す。
図12では、
図10、11a及び11bと同様に内側円筒形要素1001の中間部のみが示されている。外側及び中間円筒形要素1004、1002、1003と同様に、内側円筒形要素1001は、近位端部、少なくとも1つの可撓性遠位部分を含む遠位端部及び近位端部と遠位端部との間に延びる中間部を含む。組み立てられた器具において、これらの様々な部又は部分は器具の他の円筒形要素の対応する部又は部分と整合する。内側円筒形要素1001は、先の「概要」に記載の第三の円筒形要素のある実施形態を表し得る。
【0162】
内側円筒形要素1001には複数の開口1096が設けられ、これらは、器具の組立後、半径方向スペーサ1094と協働して、
図13a、13bに示されるように、半径方向スペーサの先端は、開口1096内に延びる。開口1096は、内側円筒形要素1001の壁に貫通穴として形成されるが、それは、これにより製造がより容易となり、半径方向スペーサ1094が開口1096内によりよく係合するか又はロックされるためである。しかしながら、代替的に、これらは、凹部として形成され、それにより内側円筒形要素の壁のより薄い部分を形成し得る。
【0163】
図13a、13bは、
図11a、11bに示される中間及び外側円筒形要素1002、1003、1004内に滑り込ませられ、それらと同軸に整列する内側円筒形要素1001を示す。
図13aは、円筒軸にった断面の斜視図を示し、
図13bは組み立てられた内側、中間及び外側円筒形要素の断面を示す。
図11及び13では、1つのみの中間円筒形要素が示されているが、
図4a~4eに示される実施形態と同様に、複数のこのような中間円筒形要素が提供され得ることを理解されたい。
【0164】
図13a及び13bに示される実施形態では、半径方向スペーサ1094は、内側円筒形要素1001に形成される開口1096内に突出する。この配置により、内側及び外側円筒形要素1001、1004は、相互に関して軸方向、半径方向及び接線方向に固定される。
【0165】
代替的な実施形態では、内側円筒形要素1001に開口1096を設けなくてもよく、この場合、半径方向スペーサ1094は、内側円筒形要素1001の壁の内面と当接し、半径方向スペーサ1094と内側円筒形要素1001との間の摩擦により、少なくともある程度、外側円筒形要素1004を内側円筒形要素1001に関して固定するように配置される。
【0166】
半径方向スペーサ1094は、内側円筒形要素1001と外側円筒形要素1004との間の距離を提供する。半径方向スペーサ1094は、この距離が長手方向要素1038及び接線方向スペーサ1007、1017の半径方向の厚さより大きくなるような半径方向の寸法を有する。それにより、器具の中間部が曲がるか又はたわんでいるとき、長手方向要素1038が内側及び外側円筒形要素1001、1004に挟まるか又は詰まることを防止し得る。
【0167】
図13aの実施形態では、接線方向スペーサ1007は、半径方向スペーサ1094、内側円筒形要素1001、外側円筒形要素1004及び隣接する長手方向要素1038によって形成されるケージ状構造内に閉じ込められ、これらの要素の何れにも接続されないか又は取り付けられない。このケージ内では、接線方向スペーサ1038は、自由に動くことができ、浮動状態であると言うことができる。
【0168】
図14は、本発明のある実施形態による接線方向スペーサ1007を示す。接線方向スペーサ1007の、器具の長手方向及び接線方向の両方における移動は、前述の1つ以上の半径方向スペーサ1094によって制約される。接線方向スペーサ1007は、その長手方向端の一方又は両方で自由に浮動し得、すなわち円筒形要素1002、1003の他の部分に取り付けられないか又はそれに接続されない。接線方向スペーサ1007は、開口1029を設けられ、これは、ある実施形態では、長手方向の所定の長さ及び接線方向の所定の幅w
aを有する。組み立てられた器具では、半径方向スペーサ1094は、開口1029を通して突出する。それにより、長手方向及び接線方向の両方における接線方向スペーサ1007の他の円筒形要素1004に関する移動は、開口1029を通して突出する1つの半径方向スペーサ1094によって限定される。半径方向スペーサ1094は、接線方向スペーサ1007が器具内に配置されたときに接線方向に見て、その接線方向の半径方向スペーサ幅w
rsを、開口1029の開口幅w
aの90%<w
rs<100%、好ましくは95%<w
rs<100%、さらにより好ましくは98%<w
rs<100%の範囲で有し得る。半径方向スペーサ幅w
rsは、後述の
図15~17に示される幅であり得る。接線方向スペーサ1007は、円筒形要素1004に関して接線方向において、小さいよく定義された最大量でのみ動くことができる。しかしながら、代替的に、半径方向スペーサ1094は、開口1029の開口幅w
aと等しいか又はそれより例えば最大5%とわずかに大きい半径方向スペーサ幅w
rsを有し、それにより半径方向スペーサ1094が開口1029内に曲がると、それは、接線方向スペーサ1007をクランプする。接線方向スペーサ1007の動きが接線方向に制約されるため、円筒形要素1002、1003の、1つ以上の長手方向要素1038を含む他の部分も円筒形要素1004に関するその接線方向の動きにおいて制約されることがわかる。半径方向スペーサ1094は、円筒形要素1001と接触し得るが、そうでなくてもよい。例えば、半径方向スペーサ1094及び内側円筒形要素1001の対応する任意選択の開口1096の数は、接線方向スペーサ1007の数に合わせて調整され得る。接線方向スペーサ1007は、複数の開口1029を設けられ得、それを通して半径方向スペーサ1094が突出する。
【0169】
ある実施形態では、接線方向スペーサ1017も1つ以上の開口1029を設けられ得、それを通して、半径方向スペーサ1094は、
図14に関して説明したものと同じように延び、同じ技術的効果を有する。さらに、
図14の実施形態は、
図11A~13Bの1つと組み合わされ得、それにより、開口1029内に延びるリップ1094は、接線方向スペーサ1007及び/又は1017の長手方向及び接線方向の移動を制約し、隙間1006内に延びるリップ1049は、例えば、少なくとも円筒形要素1001及び1004間の半径方向の距離を保持する。
【0170】
図15~17は、前術の半径方向スペーサ1094のような半径方向スペーサとして使用するために円筒形要素の壁に形成された様々な実施形態のリップ形状部分1097、1098、1099を示す。リップ形状部分は、円筒形要素の壁に1つ以上のスロットをレーザカットすることによって形成され得る。その結果として得られる半径方向スペーサは、好ましくは、可撓性であり、それが形成された円筒形要素に関して少なくともある程度の可撓性又は弾性を有する。
【0171】
有利には、リップ形状部分1097、1098、1099は、外側円筒形要素1004に形成され、それにより、半径方向スペーサは、器具を組み立てた後にこれらのリップ形状部分の各々を半径方向に内側方向に曲げることによって形成され得る。代替的に、これは、内側円筒形要素1001にも形成でき、半径方向スペーサを形成するために半径方向に外側方向に曲げられ得る。
【0172】
器具の中間部12で使用される半径方向スペーサ1094を形成することに加えて、
図16及び17に示されるリップ形状部分1098、1099は、器具の遠位可撓性ゾーン16、17及び存在する場合には近位可撓性ゾーン14、15に提供される半径方向スペーサを形成するために使用され得、それにより
図9a~9cのリップ形状部分294eの代わりとなる。
【0173】
図15に示されるリップ形状部分1097は、
図9a~9cに示されるリップ形状部分294fに実質的に対応する。
【0174】
図16及び17は本発明の実施形態によるリップ形状部分1098、1099を示し、先行技術のリップ形状部分をさらに発展させたものを表す。
【0175】
図16及び17に示されるように、リップ形状部分1098、1099は、第二の円筒形要素1004の壁に、ビーム軸1101を有するビーム1100を介して取り付けられるか又はそれとの接続を形成する。
【0176】
図16及び17に示される実施形態では、ビーム軸1101は、第二の円筒形要素1004の円筒軸1010(長手方向)に対して実質的に垂直な方向に延びる。これは、中間領域内で長手方向要素1038が円筒軸に平行な方向に延びる、すなわち長手方向要素1038の長手方向1008が円筒軸に沿っている操縦可能な器具の実施形態にとって有利である。
【0177】
代替的に、ビーム軸1101は、例えば、中間領域全体にわたって長手方向要素1038の延びる方向に応じて、円筒軸1010に関して異なる角度で方向付けられ得る。前述のように、幾つかの実施形態では、長手方向要素は、少なくとも一部にらせんを形成するように配置されるか、又は円筒軸に関して少なくとも一部に渦巻き方向に延びるように配置され得る。このような実施形態では、角度は90度よりわずかに小さくてよい。しかしながら、長手方向要素1038がらせん状経路に沿って延びる場合でも、ビーム軸1101は円筒軸1010に垂直に延び得ることがわかる。
【0178】
要約すれば、ビーム軸1101は、外側円筒形要素1004がそれと共に使用されることが意図される中間円筒形要素において、ビーム軸の位置で長手方向要素1038が延びる方向に対して実質的に垂直な方向に延び得る。
【0179】
リップ形状部分1098、1099は、円筒形要素1004の壁に形成された第一のスロット1102によって画定される。このスロット1102は、リップ形状部分がビーム1100を介して壁に取り付けられる場所を除き、リップ形状部分1098、1099の周囲の全ての側に延びる。それに加えて、第一のスロット部分1102bが、ビーム1100の片側において、リップ形状部分1098、1099の両側でビーム軸1101に実質的に平行な方向に延びる。ビーム1100は、第二の1004の壁に提供された第二のスロット1103によって画定され、第二のスロット1103は、ビーム1100の反対側でビーム軸1101に実質的に平行な方向に延びる。
【0180】
スロット1102、1103は、有利には、円筒形要素の壁をレーザカットすることによって形成され得る。
【0181】
リップ形状部分1098、1099及びスロット1102、1003によって画定され、円筒形要素1004への取付部を形成するビーム1100のこの構成により、リップ形状部分の円筒形要素の半径方向の曲げが高い正確さで規定される。力が半径方向にリップ形状部分に加えられると、これは、ビーム軸1101の周囲で曲がる。
【0182】
図17の実施形態では、リップ形状部分1099はビーム軸1101に実質的に平行な方向の第一の幅を有する第一の部分1099aと、第一の幅より小さい第二の幅を有する第二の部分1099bを含む。第一の部分1099aは、ビーム1100の最も近くに位置付けられ、そこへの取付部を形成し、第二の部分1099bはリップ形状部分1099の外側先端を形成する。第二の部分1099bは、有利には、
図13a、13bに示されるように、外側円筒形要素1004と同軸に配置される別の、例えば内側の円筒形要素1001の開口又は凹部1096と係合する、例えばそれに挿入されるために使用される。
【0183】
図18a~18cは、
図17に示される実施形態によるリップ形状部分1099が複数設けられた外側円筒形要素1004の一部の実施形態を示す。
図18a~18cの実施形態では、ビーム軸1101は円筒軸1010に対して垂直に方向付けられるが、前述のように、向きは中間領域の長手方向要素の向きに応じて設定される。
図18aは、曲げる前のリップ形状部分を示す。この図からわかるように、この実施形態では、ビーム1100はビーム軸1101に関して対称であり、リップ形状部分は円筒軸1010に関して対称である。他の実施形態では、前述のように、ビーム軸は、円筒軸1010に対して垂直以外の異なる角度で方向付けられ得る。この場合、リップ形状部分は、ビーム軸に対して垂直に延びる軸に関して対称である。
【0184】
図18b及び18cに示されるように、リップ形状部分1099は半径方向に内側に曲げられて半径方向スペーサ1094を形成する。
図18bに示されるように、リップ形状部分を曲げることにより、直線で軸対称の半径方向スペーサが得られる。図からわかるように、半径方向スペーサは、半径方向軸1105、1106に関して対称である。
【0185】
図18a~18cに示されるリップ形状部分及び半径方向スペーサの数と分布は、例示のために提供される例にすぎず、リップ形状部分/半径方向スペーサの数並びに円筒形要素の円周に沿った且つ円筒形要素の軸方向に沿ったそれらの分布は、組み立てられた操縦可能な器具において実現すべき様々な特性、例えば中間領域の可撓性及び/又は機械的強度に応じて設定される点に留意すべきである。
【0186】
図19は、内側円筒形要素1001と組み立てられた状態の、リップ形状部分が提供された外側円筒形要素1004の一部を示す。半径方向スペーサ1094は、内側円筒形要素1001に提供された開口1096と係合する。内側及び外側円筒形要素の相互に関するロッキングの原理の説明を明瞭にするために、
図19では1つ以上の中間円筒形要素1002、1003は省略されている。
【0187】
図18及び19に示される実施形態に関しては、半径方向スペーサを形成するリップ形状部分が外側円筒形要素1004に形成されると説明されているが、必ずしもそうでなくてもよく、半径方向スペーサを形成するリップ形状部分は、代替的に内側円筒形要素1001に形成され得、この場合、半径方向スペーサは、その後、リップ形状部分を半径方向に外側の方向に曲げて、外側円筒形要素1004と係合するようにすることによって形成される。
【0188】
操縦可能な器具は、前述のように、内側円筒形要素1001、外側円筒形要素1004及び1つ以上の中間円筒形要素1002、1003を提供することによって形成され得る。それにより、
図12に示される内側円筒形要素1001、
図10に示される1つ以上の中間円筒形要素1002、1003並びに
図11a、11b、18a、18b及び18cに示される外側円筒形要素が提供され得る。
【0189】
その後、これらの円筒形要素1001~1004は、これらを相互に滑り込ませ、それらを円筒軸の方向に沿って配列して、各種の円筒形要素の対応する可撓性及び屈曲部分及び領域が配列されるようにすることにより、同軸に配列される。その後、外側円筒形要素内に形成されるリップ形状部分1094は、壁のリップ形状部分に対して垂直に加えられる力を加えることによって半径方向に内側に曲がり、それにより、リップ形状部分は、半径方向に内側に曲がって最終的に隙間1006又は開口1029(
図14)内に突出し、任意選択により、内側円筒形要素1001の壁に提供された開口1096と係合する。
【0190】
器具を組み立てた後、接線方向スペーサ1007、1017の解放可能な取付部が解放される。解放可能な取付部は、好ましくは、破断要素1007a、1017aによって提供され、これらは、器具がその組立後に様々な方向に曲がることによって破断する。代替的に、このような破断要素は、エネルギ、例えばレーザ、ビームによって又は疲労させることによって破壊され得る。
【0191】
図10~19に関して本明細書中で前述した実施形態の1つ以上による中間部分を有する円筒形要素を提供することにより、可撓性中間部12を有し、それにより少なくとも器具が体内に挿入される範囲において、実質的にその範囲全体にわたって可撓性の操縦可能な器具を実現できる。特に、それにより、大腸内視鏡及び/又は胃内視鏡検査及び/又は手術等の用途に適した操縦可能な器具が提供される。
【0192】
本発明の範囲は、上記の例に限定されず、付属の請求項で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、その幾つかの修正形態及び改良形態が可能であることは、当業者に明らかであろう。本発明は、図面及び説明文で詳細に図示され、記述されているが、このような図示及び記述は、実例的又は例示的にすぎず、限定的ではないとみなされるものとする。本発明は、開示される実施形態に限定されず、開示される実施形態の利益をもたらし得るあらゆる組合せを含む。
【0193】
開示される実施形態の変更形態は、当業者が、特許請求される本発明を実施するなかで図面、説明文及び付属の特許請求の範囲をよく読むことで理解及び実行され得る。説明文及び請求項では、「含む」という用語は、他の要素を排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数形を排除しない。実際に、これは、「少なくとも1つの」の意味と解釈されるものとする。特定の特徴が相互に異なる従属請求項に記載されていることのみでこれらの特徴の組合せを用いて利益を得ることができないことが示されているわけではない。請求項における参照符号は、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。上述の実施形態及び態様の特徴は、それらの組合せによって明らかな技術的矛盾が生じない限り、組み合わされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具(10、2201)であって、
第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部並びに前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素(1038)を含む第一の円筒形要素(1002、1003)と、
前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と、前記第一の円筒形要素(1002、1003)の他の部分との間の隙間(1006)内において、前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)に接線方向に隣接して配置された少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)と、
前記第一の円筒形要素(1002、1003)と同軸に配置され、且つそれぞれ前記第一の円筒形要素の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素(1004)と、
少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)であって、前記第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ前記接線方向スペーサ(1007、1017)の開口(1029)内に突出し、それにより、前記操縦可能な器具の長手方向及び接線方向の両方における前記接線方向スペーサ(1007、1017)の移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)によって制限される、少なくとも1つの半径方向スペーサと、任意選択により、
前記第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)の長手方向端の前記隙間(1006)内に突出する少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)と
を含む操縦可能な器具(10、2201)。
【請求項2】
前記第一の円筒形要素は、第一の円筒形チューブであり、及び前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と、前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との両方は、前記第一の円筒形チューブの一部である、請求項1に記載の操縦可能な器具。
【請求項3】
前記第二の円筒形要素は、第二の円筒形チューブである、請求項
1に記載の操縦可能な器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)及び前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、第二の円筒形チューブの、前記第二の円筒形チューブから突出するリップ形状部分(1097、1098、1099)によって形成される、請求項3に記載の操縦可能な器具。
【請求項5】
前記リップ形状部分(1097、1098、1099)は、リップ形状部分幅(w
rs、w
rs1)を有し、及び前記開口(1029)は、開口幅(w
a)を有し、前記リップ形状部分幅は、前記開口幅より小さいか、又は前記開口(1029)内に曲げられると、それが前記接線方向スペーサ(1007、1017)をクランプするように構成されるかの何れかである、請求項4に記載の操縦可能な器具。
【請求項6】
前記リップ形状部分(1098、1099)は、前記第二の円筒形チューブの壁に形成され、且つ前記長手方向(1008)に対して実質的に垂直に延びるビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成された第一のスロット(1102)によって画定され、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビーム(1100)に取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロット(1102)は、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延び(1102b)、
前記ビームは、前記ビーム(1100)の別の側において、前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に前記壁に提供された第二のスロット(1103)によってさらに画定される、請求項
4に記載の操縦可能な器具。
【請求項7】
前記リップ形状部分(1098、1099)は、前記第二の円筒形チューブの壁に形成され、且つ前記長手方向(1008)に対して実質的に垂直に延びるビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成された第一のスロット(1102)によって画定され、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビーム(1100)に取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロット(1102)は、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延び(1102b)、
前記ビームは、前記ビーム(1100)の別の側において、前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に前記壁に提供された第二のスロット(1103)によってさらに画定される、請求項5に記載の操縦可能な器具。
【請求項8】
前記第一の中間部において、前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)は、前記長手方向(1008)の長さと、前記長手方向に対して実質的に垂直な方向の幅とを有し、前記幅は、前記長さ全体を通して実質的に一定である、請求項1~
7の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項9】
前記第一の円筒形要素(1002、1003)及び前記第二の円筒形要素(1004)と同軸に配置された第三の円筒形要素(1001)をさらに含み、
前記第一の円筒形要素は、前記第二の円筒形要素と前記第三の円筒形要素との間に配置され、
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記第三の円筒形要素(1001)と当接するように配置されること、前記第三の円筒形要素と係合すること、及び前記第三の円筒形要素に取り付けられることの少なくとも1つが当てはまる、請求項1~7の何れか一項に記載の操縦可能な器具。
【請求項10】
前記第一の円筒形要素(1002、1003)及び前記第二の円筒形要素(1004)と同軸に配置された第三の円筒形要素(1001)をさらに含み、
前記第一の円筒形要素は、前記第二の円筒形要素と前記第三の円筒形要素との間に配置され、
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記第三の円筒形要素(1001)と当接するように配置されること、前記第三の円筒形要素と係合すること、及び前記第三の円筒形要素に取り付けられることの少なくとも1つが当てはまる、請求項8に記載の操縦可能な器具。
【請求項11】
前記第三の円筒形要素(1001)は、少なくとも1つの凹部又は開口(1096)を設けられた第三の円筒形チューブであり、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記少なくとも1つの凹部又は開口(1096)内に突出する、請求項
9に記載の操縦可能な器具。
【請求項12】
前記半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、第一の幅を有する第一の部分(1099a)と、前記第一の幅より小さい第二の幅を有する第二の部分(1099b)とを含み、前記第二の部分は、前記凹部又は開口(1096)内に突出する、請求項
11に記載の操縦可能な器具。
【請求項13】
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、半径方向における前記第二の円筒形要素(1004)と前記第三の円筒形要素(1001)との間の距離であって、前記半径方向における前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との厚さより大きい距離を形成する、請求項
9に記載の操縦可能な器具。
【請求項14】
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、半径方向における前記第二の円筒形要素(1004)と前記第三の円筒形要素(1001)との間の距離であって、前記半径方向における前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との厚さより大きい距離を形成する、請求項10に記載の操縦可能な器具。
【請求項15】
前記第三の円筒形要素(1001)は、それぞれ前記第一の円筒形要素(1002、1003)の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む、請求項
9に記載の操縦可能な器具。
【請求項16】
前記第三の円筒形要素(1001)は、内側円筒形要素を形成し、前記第一の円筒形要素(1002、1003)は、中間円筒形要素を形成し、及び前記第二の円筒形要素(1004)は、外側円筒形要素を形成する、請求項
9に記載の操縦可能な器具。
【請求項17】
前記第一の円筒形要素(1002、1003)、前記第二の円筒形要素(1004)及び存在する場合には前記第三の円筒形要素(1001)は、それらの長さ全体を通して1つ以上の可撓性部分を設けられる、請求項
1に記載の操縦可能な器具。
【請求項18】
複数の接線方向スペーサ(1007、1017)及び複数の半径方向スペーサ(1094)並びに複数の長手方向要素(1038)を含み、それぞれの隣接する長手方向要素(1038)間に少なくとも1つの接線方向スペーサ及び少なくとも1つの半径方向スペーサが提供される、請求項
1に記載の操縦可能な器具。
【請求項19】
複数の接線方向スペーサ(1007、1017)、複数の半径方向スペーサ(1094)及び複数の長手方向要素(1038)を含み、
前記複数の長手方向要素(1038)は、第一の長手方向要素、第二の長手方向要素及び第三の長手方向要素を含み、
前記第一の中間部において、
第一の隙間は、前記第一の長手方向要素と前記第二の長手方向要素との間に形成され、
第二の隙間は、前記第二の長手方向要素と前記第三の長手方向要素との間に形成され、
前記第一の隙間内に少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007)及び少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)が提供され、
前記第二の隙間内において、延長された接線方向スペーサ(1017)が提供され、前記延長された接線方向スペーサは、実質的に前記第二の隙間の全体を通して延びる、請求項
1に記載の操縦可能な器具。
【請求項20】
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具(10、2201)を製造する方法であって、
- 第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部を含む第一の円筒形要素(1002、1003)を提供するステップ、
- 前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間に延び、及び前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素(1038)を形成するステップ、
- 前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)に接線方向に隣接する少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)を形成するステップであって、前記少なくとも1つの接線方向スペーサは、前記少なくとも1つの長手方向要素に少なくとも1つの解放可能な取付部(1007a、1017a)によって接線方向に取り付けられる、ステップ、
- 第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素(1004)を提供するステップ、
- 前記第二の円筒形要素(1004)の第二の壁の第一のスロット(1102)によって画定される少なくとも1つのリップ形状部分(1097、1098、1099)を形成するステップ、
- 第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む第三の円筒形要素(1001)を提供するステップ、
- 前記円筒形要素を互いの中にスライドさせるステップであって、それにより、前記円筒形要素は、実質的に同軸に整列される、ステップ、
- 前記少なくとも1つのリップ形状部分(1097、1098、1099)に、前記第二の円筒形要素(1004)の前記第二の壁に対して実質的に垂直な方向に力を加え、それにより前記リップ形状部分を半径方向に曲げるステップ
を含み、
それにより、曲げ後、前記少なくとも1つのリップ形状部分は、前記接線方向スペーサ(1007、1017)の開口(1029)内に突出する少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)を形成し、及び
それにより、前記解放可能な取付部(1007a、1017a)が解放された後、前記接線方向スペーサ(1007、1017a)の、前記操縦可能な器具の前記長手方向(1008)及び接線方向の両方に沿った移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)によって制限される、方法。
【請求項21】
前記第三の円筒形要素(1001)は、前記第三の円筒形要素(1001)の第三の壁に少なくとも1つの開口又は凹部(1096)を設けられ、前記曲げ後、前記リップ形状部分(1099)は、前記開口又は凹部(1096)と係合する、請求項2
0に記載の方法。
【請求項22】
前記リップ形状部分(1099)は、
- 前記第一のスロット(1102)を形成することであって、それにより、前記リップ形状部分は、前記第二の壁に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、且つ前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分(1099)の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延びる(1102b)、形成することと、
- 前記壁に第二のスロット(1103)を形成することであって、前記第二のスロットは、前記ビーム(1100)の別の側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に延びる、形成することと
によって形成され、
前記リップ形状部分(1099)は、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第一の幅(w
rs1)を有する第一の部分(1099a)と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅(w
rs2)を有する第二の部分(1099b)とをさらに含み、前記第一の部分は、前記ビームと前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さく、
前記第二の部分は、前記第三の円筒形要素(1001)の前記開口又は凹部(1096)と係合する、請求項2
1に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)の前記少なくとも1つの解放可能な取付部(1007a、1017a)を解放するステップをさらに含む、請求項2
0に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0193
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0193】
開示される実施形態の変更形態は、当業者が、特許請求される本発明を実施するなかで図面、説明文及び付属の特許請求の範囲をよく読むことで理解及び実行され得る。説明文及び請求項では、「含む」という用語は、他の要素を排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数形を排除しない。実際に、これは、「少なくとも1つの」の意味と解釈されるものとする。特定の特徴が相互に異なる従属請求項に記載されていることのみでこれらの特徴の組合せを用いて利益を得ることができないことが示されているわけではない。請求項における参照符号は、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。上述の実施形態及び態様の特徴は、それらの組合せによって明らかな技術的矛盾が生じない限り、組み合わされ得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1]
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具(10、2201)であって、
第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部並びに前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素(1038)を含む第一の円筒形要素(1002、1003)と、
前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と、前記第一の円筒形要素(1002、1003)の他の部分との間の隙間(1006)内において、前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)に接線方向に隣接して配置された少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)と、
前記第一の円筒形要素(1002、1003)と同軸に配置され、且つそれぞれ前記第一の円筒形要素の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素(1004)と、
少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)であって、前記第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ前記接線方向スペーサ(1007、1017)の開口(1029)内に突出し、それにより、前記操縦可能な器具の長手方向及び接線方向の両方における前記接線方向スペーサ(1007、1017)の移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)によって制限される、少なくとも1つの半径方向スペーサと、任意選択により、
前記第二の円筒形要素に取り付けられ、且つ前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)の長手方向端の前記隙間(1006)内に突出する少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)と
を含む操縦可能な器具(10、2201)。
[2]
前記第一の円筒形要素は、第一の円筒形チューブであり、及び前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と、前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との両方は、前記第一の円筒形チューブの一部である、[1]に記載の操縦可能な器具。
[3]
前記第二の円筒形要素は、第二の円筒形チューブである、[1]又は[2]に記載の操縦可能な器具。
[4]
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)及び前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、第二の円筒形チューブの、前記第二の円筒形チューブから突出するリップ形状部分(1097、1098、1099)によって形成される、[3]に記載の操縦可能な器具。
[5]
前記リップ形状部分(1097、1098、1099)は、リップ形状部分幅(w
rs
、w
rs1
)を有し、及び前記開口(1029)は、開口幅(w
a
)を有し、前記リップ形状部分幅は、前記開口幅より小さいか、又は前記開口(1029)内に曲げられると、それが前記接線方向スペーサ(1007、1017)をクランプするように構成されるか]の何れかである、[4]に記載の操縦可能な器具。
[6]
前記リップ形状部分(1098、1099)は、前記第二の円筒形チューブの壁に形成され、且つ前記長手方向(1008)に対して実質的に垂直に延びるビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成された第一のスロット(1102)によって画定され、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビーム(1100)に取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロット(1102)は、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延び(1102b)、
前記ビームは、前記ビーム(1100)の別の側において、前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に前記壁に提供された第二のスロット(1103)によってさらに画定される、[4]又は[5]に記載の操縦可能な器具。
[7]
前記第一の中間部において、前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)は、前記長手方向(1008)の長さと、前記長手方向に対して実質的に垂直な方向の幅とを有し、前記幅は、前記長さ全体を通して実質的に一定である、[1]~[6]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[8]
前記第一の円筒形要素(1002、1003)及び前記第二の円筒形要素(1004)と同軸に配置された第三の円筒形要素(1001)をさらに含み、
前記第一の円筒形要素は、前記第二の円筒形要素と前記第三の円筒形要素との間に配置され、
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記第三の円筒形要素(1001)と当接するように配置されること、前記第三の円筒形要素と係合すること、及び前記第三の円筒形要素に取り付けられることの少なくとも1つが当てはまる、[1]~[7]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[9]
前記第三の円筒形要素(1001)は、少なくとも1つの凹部又は開口(1096)を設けられた第三の円筒形チューブであり、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、前記少なくとも1つの凹部又は開口(1096)内に突出する、[8]に記載の操縦可能な器具。
[10]
前記半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、第一の幅を有する第一の部分(1099a)と、前記第一の幅より小さい第二の幅を有する第二の部分(1099b)とを含み、前記第二の部分は、前記凹部又は開口(1096)内に突出する、[9]に記載の操縦可能な器具。
[11]
前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)又は前記少なくとも1つのさらなる半径方向スペーサ(1094)は、半径方向における前記第二の円筒形要素(1004)と前記第三の円筒形要素(1001)との間の距離であって、前記半径方向における前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)と前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)との厚さより大きい距離を形成する、[8]~[10]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[12]
前記第三の円筒形要素(1001)は、それぞれ前記第一の円筒形要素(1002、1003)の前記第一の近位端部、前記第一の遠位端部及び前記第一の中間部に対応し、且つそれと実質的に整列される第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む、[8]~[11]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[13]
前記第三の円筒形要素(1001)は、内側円筒形要素を形成し、前記第一の円筒形要素(1002、1003)は、中間円筒形要素を形成し、及び前記第二の円筒形要素(1004)は、外側円筒形要素を形成する、[8]~[12]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[14]
前記第一の円筒形要素(1002、1003)、前記第二の円筒形要素(1004)及び存在する場合には前記第三の円筒形要素(1001)は、それらの長さ全体を通して1つ以上の可撓性部分を設けられる、[1]~[13]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[15]
複数の接線方向スペーサ(1007、1017)及び複数の半径方向スペーサ(1094)並びに複数の長手方向要素(1038)を含み、それぞれの隣接する長手方向要素(1038)間に少なくとも1つの接線方向スペーサ及び少なくとも1つの半径方向スペーサが提供される、[1]~[14]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[16]
複数の接線方向スペーサ(1007、1017)、複数の半径方向スペーサ(1094)及び複数の長手方向要素(1038)を含み、
前記複数の長手方向要素(1038)は、第一の長手方向要素、第二の長手方向要素及び第三の長手方向要素を含み、
前記第一の中間部において、
第一の隙間は、前記第一の長手方向要素と前記第二の長手方向要素との間に形成され、
第二の隙間は、前記第二の長手方向要素と前記第三の長手方向要素との間に形成され、
前記第一の隙間内に少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007)及び少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)が提供され、
前記第二の隙間内において、延長された接線方向スペーサ(1017)が提供され、前記延長された接線方向スペーサは、実質的に前記第二の隙間の全体を通して延びる、[1]~[14]の何れか一項]に記載の操縦可能な器具。
[17]
操縦可能な器具(10、2201)で使用するための円筒形要素であって、円筒軸に沿って延び、且つ壁を含み、少なくとも1つのリップ形状部分(1098、1099)は、前記壁に形成され、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記ビーム軸は、前記円筒軸(1010)に対してある角度で配置され、
前記リップ形状部分は、前記壁に形成された第一のスロット(1102)によって画定され、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、
前記第一のスロットは、前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延び(1102b)、
前記ビームは、前記ビーム(1100)の別の側において、前記ビーム軸に実質的に平行な方向に前記壁に提供された第二のスロット(1103)によってさらに画定される、円筒形要素。
[18]
前記リップ形状部分(1099)は、前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向の第一の幅(w
rs1
)を有する第一の部分(1099a)と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅(w
rs2
)を有する第二の部分(1099b)とを含み、前記第一の部分は、前記ビーム(1100)と前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さい、[17]に記載の円筒形要素。
[19]
前記リップ形状部分(1098、1099)は、前記ビーム軸(1101)と、前記ビーム軸に対して実質的に垂直な軸との一方又は両方に関して対称である、[17]又は[18]に記載の円筒形要素。
[20]
前記ビーム軸は、前記円筒軸(1010)に対して実質的に垂直な方向に延びる、[17]~[19]の何れか一項]に記載の円筒形要素。
[21]
操縦可能な器具(10、2201)で使用するための円筒形要素を製造する方法であって、前記円筒形要素(1004)は、円筒軸(1010)の方向に延び、前記方法は、
- 前記円筒形要素の壁を形成するための材料片を提供するステップ、
- 前記材料に第一のスロット(1102)を形成するステップであって、それにより、少なくとも1つのリップ形状部分(1098、1099)は、前記材料に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビーム(1100)に取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、且つ前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延びる(1102b)、ステップ、
- 前記壁に第二のスロット(1103)を形成するステップであって、前記第二のスロットは、前記ビーム(1100)の別の側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に延びる、ステップ
を含み、前記製造後、前記1つ以上のリップ形状部分は、前記円筒形要素の前記壁内に位置する、方法。
[22]
前記ビーム軸は、前記円筒軸(1010)に対して0°より大きい角度の方向に延びる、[21]に記載の方法。
[23]
前記ビーム軸(1101)は、前記円筒軸(1010)に対して実質的に垂直な方向に延びる、[21]又は[22]に記載の方法。
[24]
手術などにおける内視鏡及び/又は侵襲型用途のための操縦可能な器具(10、2201)を製造する方法であって、
- 第一の近位端部、少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分を含む第一の遠位端部及び前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間の第一の中間部を含む第一の円筒形要素(1002、1003)を提供するステップ、
- 前記第一の近位端部と前記第一の遠位端部との間に延び、及び前記第一の近位端部から前記少なくとも1つの第一の可撓性遠位部分に力を伝え、且つそれにより前記少なくとも1つの可撓性遠位部分の曲げを制御するように配置された少なくとも1つの長手方向要素(1038)を形成するステップ、
- 前記少なくとも1つの長手方向要素(1038)に接線方向に隣接する少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)を形成するステップであって、前記少なくとも1つの接線方向スペーサは、前記少なくとも1つの長手方向要素に少なくとも1つの解放可能な取付部(1007a、1017a)によって接線方向に取り付けられる、ステップ、
- 第二の近位端部、少なくとも1つの第二の可撓性遠位部分を含む第二の遠位端部及び前記第二の近位端部と前記第二の遠位端部との間の第二の中間部を含む第二の円筒形要素(1004)を提供するステップ、
- 前記第二の円筒形要素(1004)の第二の壁の第一のスロット(1102)によって画定される少なくとも1つのリップ形状部分(1097、1098、1099)を形成するステップ、
- 第三の近位端部、少なくとも1つの第三の可撓性遠位部分を含む第三の遠位端部及び前記第三の近位端部と前記第三の遠位端部との間の第三の中間部を含む第三の円筒形要素(1001)を提供するステップ、
- 前記円筒形要素を互いの中にスライドさせるステップであって、それにより、前記円筒形要素は、実質的に同軸に整列される、ステップ、
- 前記少なくとも1つのリップ形状部分(1097、1098、1099)に、前記第二の円筒形要素(1004)の前記第二の壁に対して実質的に垂直な方向に力を加え、それにより前記リップ形状部分を半径方向に曲げるステップ
を含み、
それにより、曲げ後、前記少なくとも1つのリップ形状部分は、前記接線方向スペーサ(1007、1017)の開口(1029)内に突出する少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)を形成し、及び
それにより、前記解放可能な取付部(1007a、1017a)が解放された後、前記接線方向スペーサ(1007、1017a)の、前記操縦可能な器具の前記長手方向(1008)及び接線方向の両方に沿った移動は、前記少なくとも1つの半径方向スペーサ(1094)によって制限される、方法。
[25]
前記第三の円筒形要素(1001)は、前記第三の円筒形要素(1001)の第三の壁に少なくとも1つの開口又は凹部(1096)を設けられ、前記曲げ後、前記リップ形状部分(1099)は、前記開口又は凹部(1096)と係合する、[24]に記載の方法。
[26]
前記リップ形状部分(1099)は、
- 前記第一のスロット(1102)を形成することであって、それにより、前記リップ形状部分は、前記第二の壁に形成され、且つビーム軸(1101)を有するビーム(1100)を介してそれに取り付けられ、前記第一のスロットは、前記リップ形状部分が前記ビームに取り付けられる箇所を除いて、前記リップ形状部分の周囲に延び、且つ前記ビームの一方の側において、前記リップ形状部分(1099)の両側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向にさらに延びる(1102b)、形成することと、
- 前記壁に第二のスロット(1103)を形成することであって、前記第二のスロットは、前記ビーム(1100)の別の側で前記ビーム軸(1101)に実質的に平行な方向に延びる、形成することと
によって形成され、
前記リップ形状部分(1099)は、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第一の幅(w
rs1
)を有する第一の部分(1099a)と、前記ビーム軸に実質的に平行な方向の第二の幅(w
rs2
)を有する第二の部分(1099b)とをさらに含み、前記第一の部分は、前記ビームと前記第二の部分との間に配置され、前記第二の幅は、前記第一の幅より小さく、
前記第二の部分は、前記第三の円筒形要素(1001)の前記開口又は凹部(1096)と係合する、[25]に記載の方法。
[27]
前記少なくとも1つの接線方向スペーサ(1007、1017)の前記少なくとも1つの解放可能な取付部(1007a、1017a)を解放するステップをさらに含む、[24]~[26]の何れか一項]に記載の方法。
【国際調査報告】