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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】多泡性天然ゴム物品
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20241206BHJP
   C08J 3/215 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J3/215 CEQ
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535864
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022081651
(87)【国際公開番号】W WO2023114907
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,899
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,ディアン
(72)【発明者】
【氏名】萱嶋 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】グリーベル,ジャレッド,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コズミンスキー,ピオトル
(72)【発明者】
【氏名】ファン,インイー
【テーマコード(参考)】
4F070
4F074
【Fターム(参考)】
4F070AA05
4F070AE12
4F070FA05
4F070FB06
4F070FC03
4F074AA06
4F074AC21
4F074AD10
4F074AG04
4F074BA13
4F074BB05
4F074BB27
4F074CA29
4F074CC06X
4F074CC06Y
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA59
(57)【要約】
【解決手段】 天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成するための方法であって、(a)天然ゴムセメントを提供することと、(b)発泡剤を天然ゴムセメントに導入して、天然ゴム及び発泡剤を含む溶剤形混合物を形成することと、(c)溶剤形混合物を脱溶剤して、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成することと、を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成するための方法であって、
(a)天然ゴムセメントを提供することと、
(b)発泡剤を前記天然ゴムセメントに導入して、前記天然ゴム及び発泡剤を含む溶剤形混合物を形成することと、
(c)前記溶剤形混合物を脱溶剤して、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記天然ゴムセメントがグアユールセメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グアユールセメントが12重量%未満のポリマーを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記化学発泡剤が160℃超の分解温度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記化学発泡剤が、約0.5~約30μmのメジアン粒径を有する微粒子の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記化学発泡剤が、前記化学発泡剤を前記グアユールセメントに導入する前記工程の前にキャリア溶剤中に分散される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記脱溶剤する工程が、直接脱溶剤技術を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記脱溶剤する工程が、前記溶剤形混合物から溶剤を蒸発分離することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記グアユールセメントが、グアユールから得られるシス-1,4-ポリイソプレンを含む固形部分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記グアユールセメントが、グアユールから得られる樹脂を含む固形部分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記グアユールセメントの前記固形部分が、85重量%を超える、グアユールから得られるシス-1,4-ポリイソプレンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記グアユールセメントの前記固形部分が、約0.5~約7重量%のグアユール樹脂又は低分子量ポリイソプレンを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記グアユールセメントが炭化水素溶剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記グアユールセメントが、炭化水素溶剤及び極性有機溶剤を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
発泡ゴム物品を形成するための方法であって、
(a)請求項1に記載の天然ゴム-化学発泡剤複合材を提供することと、
(b)硬化剤を前記複合材に導入して、発泡性加硫性組成物を形成することと、
(c)前記発泡性加硫性組成物からプロファイルを形成することと、
(d)前記化学発泡剤を分解し、前記ゴムを加硫するのに十分な温度まで前記プロファイルを加熱することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、有利な物理的特性を特徴とする多泡性天然ゴム物品、及び溶液混合技術を使用することによって多泡性物品を製造する方法に関する。特定の実施形態は、グアユールシス-1,4-ポリイソプレンを使用する。
【背景技術】
【0002】
発泡体製品は、ゴムポリマーを使用することによって調製されてきた。その際、ポリマー組成物は発泡される。これは、化学又は物理発泡剤を使用して組成物内に空隙又は気泡を作り出すことによって達成することができる。発泡組成物は、ゴムポリマーを架橋することによって硬化され、それによって、発泡体の気泡を適所に固定する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成するための方法であって、(a)天然ゴムセメントを提供することと、(b)発泡剤を天然ゴムセメントに導入して、天然ゴム及び発泡剤を含む溶剤形混合物を形成することと、(c)溶剤形混合物を脱溶剤して、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成することと、を含む、方法を提供する。
【0004】
本発明の更に他の実施形態は、発泡ゴム物品を形成するための方法であって、(i)(i-a)天然ゴムセメントを提供することと、(i-b)発泡剤を天然ゴムセメントに導入して、天然ゴム及び発泡剤を含む溶剤形混合物を形成することと、(i-c)溶剤形混合物を脱溶剤して、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成することと、を含む方法によって調製される天然ゴム-化学発泡剤複合材を提供することと、(ii)硬化剤を複合材に導入して、発泡性加硫性組成物を形成することと、(iii)発泡性加硫性組成物からプロファイルを形成することと、(iv)化学発泡剤を分解し、ゴムを加硫するのに十分な温度までプロファイルを加熱することと、を含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の実施形態は、少なくとも部分的に、化学発泡剤を天然ゴムセメントとブレンドすることを含む方法によって調製される多泡性天然ゴム物品の発見に基づく。次いで、天然ゴムポリマーと化学発泡剤との溶剤形混合物を含むセメントを脱溶剤して、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成する。次いで、ゴム用硬化剤を複合材に導入して、硬化させて多泡性天然ゴム物品を形成することができる加硫性組成物を形成することができる。化学発泡剤を天然ゴムセメントに導入することによって、化学発泡剤が天然ゴム中により均一に分散されることが予想外に発見された。次いで、この分散は、より小さく、より均一に分散された気泡を含むいくつかの利点をもたらし、機械的特性を改善する。
【0006】
したがって、本発明の実施形態は、(i)天然ゴムセメントを提供することと、(ii)化学発泡剤をセメントに導入して溶剤形混合物を形成することと、(iii)混合物を脱溶剤して天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成することとを含む方法を提供する。
【0007】
ゴムセメントの提供
上述のように、天然ゴムセメントが提供される。このセメントは、天然ゴムの供給源から得られたポリマーを含み、このポリマーは、有機溶剤中に溶解されるか、又は他の方法で混入される。ポリマーは、セメントの固形部分に含まれる。固形部分は、溶解した固体及び懸濁又は分散した固体を含んでもよい。以下でより詳細に議論されるように、セメントの固形部分はまた、化学発泡剤などのセメントに添加され得る他の構成成分を含んでもよい。
【0008】
天然ゴム
天然ゴムのいくつかの供給源が知られており、本発明を実施する際に使用することができる。例えば、シス-1,4-ポリイソプレンの形態である天然ゴムは、様々な樹木、低木及び植物、例えば、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)(すなわち、アマゾンゴムノキ)、パナマラバーツリー(Castilla elastica)(すなわち、パナマゴムノキ)、様々なLandophiaつる性植物(L.kirkii、L.heudelotis及びL.owariensis)、様々なタンポポ(すなわち、Taraxacum種の植物)、及びParthenium argentatum(グアユール低木)内のラテックス中に見出される。グアユールゴムと呼ぶことができるグアユールからの天然ゴムは、本発明を実施するときに特に有利な多泡性物品を形成することができることが発見されており、したがって、本発明の説明は、グアユールゴムを参照して行うことができる。この説明に基づいて、当業者は、本発明の教示を他の種類の天然ゴムに拡張することができる。当業者が理解するように、グアユール(Parthenium argentatu)から得られるポリマーは、cis-1,4-ポリイソプレンであり、これは、グアユールポリマー、グアユールポリイソプレン、又はグアユールゴムと称され得る。
【0009】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールポリマー(すなわち、シス-1,4-ポリイソプレン)は、150kg/mol超、他の実施形態では200kg/mol超、他の実施形態では225kg/mol超の数平均分子量(M)を特徴とし得る。1つ又は複数の実施形態では、グアユールポリマーは、約150~約500kg/mol、他の実施形態では約200~約450kg/mol、他の実施形態では約225~約400kg/molの数平均分子量(M)を有し得る。これら又は他の実施形態では、グアユールポリマーは、800kg/mol超、他の実施形態では900kg/mol超、他の実施形態では950kg/mol超の重量平均分子量(M)を有し得る。1つ又は複数の実施形態では、グアユールポリマーは、約800~約3000kg/mol、他の実施形態では約900~約2000kg/mol、他の実施形態では約950~約1500kg/molの重量平均分子量(M)を有し得る。1つ又は複数の実施形態では、グアユールポリマーは、7未満、他の実施形態では6未満、更に他の実施形態では5.5未満、なお更に他の実施形態では5未満の分子量分布(M/M)を有する。1つ又は複数の実施形態では、グアユールポリマーは、約3~約7、他の実施形態では約4~約6、他の実施形態では約4.5~約5の分子量分布を有し得る。ポリマー分子量(M及びM)は、溶剤としてのTHF及びポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0010】
溶媒
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントは、C~C10直鎖炭化水素、C~C10分岐鎖炭化水素、C~C10環状炭化水素、C~C10芳香族炭化水素、及びそれらの混合物から選択されてもよい、一般に非極性の炭化水素溶剤を含む。様々な実施形態では、共沸混合物を提供するものを含む溶剤の組み合わせを使用してもよい。
【0011】
炭化水素溶剤の具体例としては、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、及びこれらの混合物などのペンタン異性体、並びにn-ヘキサン、イソヘキサン、3-メチルペンタン、2,3-ジメチルブタン、ネオヘキサン、シクロヘキサン、及びこれらの混合物などのヘキサン異性体が挙げられる。他の有用な例としては、C~C10芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、o-キシレンm-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、2-エチルトルエン、3-エチルトルエン、4-エチルトルエン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0012】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントは、非極性炭化水素溶剤と極性有機溶剤との混合物を含む。有用な極性有機溶剤としては、アセトン、C~Cアルコール、C~Cジオール、及びそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、溶剤はアセトンとヘキサンの混合物である。他の特定の実施形態では、溶剤はアセトンとイソヘキサンの混合物である。更に他の特定の実施形態では、溶剤は、イソヘキサン、シクロヘキサン及びアセトンの混合物である。
【0013】
溶剤が極性溶剤と非極性溶剤との混合物である1つ又は複数の実施形態では、混合物は、50重量%未満、他の実施形態では40重量%未満、他の実施形態では30重量%未満、及び他の実施形態では20重量%未満の極性溶剤を含んでもよく、残りは非極性溶剤を含む。1つ又は複数の実施形態では、混合物は、約1重量%~約50重量%、他の実施形態では約10重量%~約45重量%、他の実施形態では約20重量%~約40重量%の極性溶媒を含んでもよく、残りは非極性溶媒を含む。
【0014】
セメントの特性
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントの固形部分は、セメントの固形部分の総重量に基づいて、85重量%超、他の実施形態では90重量%超、及び他の実施形態では95重量%超のシス-1,4-ポリイソプレンを含む。1つ又は複数の実施形態では、セメントの固形部分は、セメントの固形部分の総重量に基づいて、約85~約99重量%、他の実施形態では約90~約98重量%、他の実施形態では約95~約97重量%のシス-1,4-ポリイソプレンを含む。
【0015】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントは、セメントの総重量に基づいて、12重量%未満、他の実施形態では10重量%未満、他の実施形態では9重量%未満、及び他の実施形態では8重量%未満の固形分濃度を有する。これら又は他の実施形態では、グアユールセメントは、セメントの総重量に基づいて、4重量%超、他の実施形態では5重量%超、及び他の実施形態では6重量%超の固形分濃度を有する。1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントは、セメントの総重量に基づいて、約4~約12重量%、他の実施形態では約4~約10重量%、他の実施形態では約5~約9重量%、及び他の実施形態では約6~約8重量%の固形分濃度を有する。
【0016】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントの固形部分は、グアユール内に見出される他の構成材料と、粒子状充填剤の添加前にセメントに任意選択的に添加された材料とを含んでもよい。
【0017】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールに由来するセメントの固形部分内の追加の構成成分は、グアユール樹脂を含む。当業者が理解するように、グアユール樹脂は、概して、約3000g/モル未満の分子量を一般に有する非ポリイソプレン低分子量化合物を指す。樹脂内の化合物の例としては、モノテルペン、トリテルペン(アルゲンタチンA、B及びC)、セスキテルペン化合物(グアユリンA及びB)及び脂肪酸(遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又はそれらの組み合わせとして)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、セメントの固形部分は、低分子量ポリイソプレンポリマー及びオリゴマーを含んでもよい。
【0018】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントの固形部分は、グアユール樹脂の含有量が比較的低いことを特徴とし得る。例えば、グアユールセメントの固形分は、セメントの固形部分の総重量に基づいて、7重量%未満、他の実施形態では6重量%未満、及び他の実施形態では5重量%未満のグアユール樹脂又は低分子量ポリイソプレンを含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、セメントの固形部分は、セメントの固形部分の総重量に基づいて、約0.5~約7重量%、他の実施形態では約1~約6重量%、及び他の実施形態では約2~約4重量%のグアユール樹脂又は低分子量ポリイソプレンを含む。1つ又は複数の実施形態では、低分子量ポリイソプレンに対するグアユール樹脂の重量比は、約0.5:1~約1.5:1、他の実施形態では約0.7:1~約1.3:1、及び他の実施形態では約0.9:1~約1.1:1であってもよい。
【0019】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントの固形部分は、粒子状充填剤の添加前にセメントに添加された固形物を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、セメントの固形部分は、酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤などの劣化防止剤を含んでもよい。有用な劣化防止剤の例としては、N,N’二置換p-フェニレンジアミン、例えば、N-1,3-ジメチルブチル-N’フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(77PD)、N-フェニル-N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(IPPD)及びN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(HPPD)が挙げられる。劣化防止剤の他の例としては、アセトンジフェニルアミン縮合生成物(Alchem BL)、2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(Alchem TMQ)、オクチル化ジフェニルアミン(Alchem ODPA)、及び2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)が挙げられる。
【0020】
存在する場合、セメントの固形部分は、固形部分の総重量に基づいて、1重量%未満、他の実施形態では0.5重量%未満、及び他の実施形態では0.3重量%未満の劣化防止剤を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、固形部分は、固形部分の総重量に基づいて、約0.05~約1重量%、他の実施形態では約0.07~約0.5重量%、及び他の実施形態では約0.1~約0.3重量%の劣化防止剤を含む。
【0021】
グアユールポリマーの取得
本発明の実施形態によれば、本発明の方法は、グアユール植物からグアユールポリマーを得ることを含む。1つ又は複数の実施形態では、このプロセスは、グアユール植物材料を提供することと、植物材料を機械的に破砕することと、破砕した植物材料から有機材料を抽出してミセラを形成することと、ミセラを分画してセメント又は膨潤ポリマー塊を提供することとを含んでもよい。次に、膨潤ポリマー塊又はセメントを希釈して、所望の固形分を有するセメントを提供することができる。
【0022】
1つ又は複数の実施形態では、グアユール植物を破砕する工程は、例えば、乾燥したグアユールの茎を切り刻むこと、粉砕すること、及び/又は浸軟することによって、茎を機械的に破裂させることを含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、これらの茎は、約15重量%未満、又は他の実施形態では10重量%未満の葉を含んでもよい。これら又は他の実施形態では、乾燥したグアユールの茎は、25重量%未満、又は他の実施形態では約5~約20重量%の水分を含有するものを含む。
【0023】
1つ又は複数の実施形態では、破砕した植物材料から有機材料を抽出する工程は、破砕した植物材料を、破砕した植物の有機物質を溶解するように適合された溶剤と組み合わせることを含む。1つ又は複数の実施形態では、溶剤は、炭化水素溶剤(非極性)と極性有機溶剤との混合物(例えば、30重量%アセトン及び70重量%ヘキサン)を含む。当業者は、破砕した植物材料と組み合わせるための溶剤混合物の適切な量を容易に選択することができる。例えば、約2:1~約4:1の溶剤対バガスの重量比を提供するのに十分な溶剤を添加することが一般的であり得る。溶剤混合物中に溶解された有機材料はミセラと呼ばれ、次いで、ミセラは、残留木質組織であるバガスから分離される。ミセラとバガスの分離は、多段階抽出技術及び/又は向流抽出技術を含む1つ又は複数の公知の技術を使用することによって達成することができる。
【0024】
ミセラがバガスから実質的に分離されると、ミセラは、とりわけ、非極性溶剤(例えば、シス-1,4-ポリイソプレン)に可溶性であるそれらの構成成分から極性溶剤(例えば、樹脂)に可溶性であるそれらの材料を分離するための分画工程を受ける。1つ又は複数の実施形態では、分画工程は、ミセラの流れに対して向流の極性溶剤(例えば、アセトン)の同時添加を伴う多段階向流分画の使用を含む。向流分別及び膨潤ゴム塊の製造は、例えば、W.W.Schloman Jr.,et al.、「Processing Guayule for Latex and Bulk Rubber」Industrial Crops and Products、22、41~47(2005)に記載されている。
【0025】
1つ又は複数の実施形態では、ミセラを追加のアセトンで希釈して、シス-1,4-ポリイソプレンを膨潤ゴム塊の形態で沈殿させることができる。次に、膨潤ゴム塊を追加の炭化水素溶剤又は少なくとも1種の炭化水素溶剤と少なくとも1種の極性有機溶剤との混合物で希釈して、所望の固形分を有するセメントを製造することができる。
【0026】
セメントへの化学発泡剤の導入
上述のように、所望のグアユールセメントがプロセスに供給されると、化学発泡剤がセメントに導入されて、天然ゴムと化学発泡剤との溶剤形混合物が形成される。特定の実施形態では、追加の材料は、脱溶剤の前にセメントに導入される。セメントは、化学発泡剤の導入中及び導入後に溶液を混合するための従来の技術を使用することによって混合することができる。特定の実施形態では、加硫性組成物の強化充填剤及び任意選択で追加の成分を、化学発泡剤と共にセメントに導入し、それによって溶液マスターバッチを形成する。
【0027】
当業者が理解するように、化学発泡剤は、外部刺激剤に基づいて分解を受けてガス状化合物を形成する化合物である。例えば、有用な化学発泡剤としては、加熱時に分解して、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素ガス、及びアンモニアなどであるがこれらに限定されない1つ又は複数のガスを放出する化合物が挙げられる。
【0028】
例示的な化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、4,4-オキシベンゼンスルホニル-セミカルバジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、及びトリヒドラジノトリアジンが挙げられる。
【0029】
当業者が理解するように、化学発泡剤は、セメントに導入される時点で固体粒子の形態であってもよい。1つ又は複数の実施形態では、化学発泡剤粒子は、約0.5~約30μm、他の実施形態では約0.9~約20μm、及び他の実施形態では約1.0~約10μmのメジアン粒径(D50)を有し得る。これら又は他の実施形態では、化学発泡剤は、25μm未満、他の実施形態では15μm未満、及び他の実施形態では8μm未満のメジアン粒径を有する固体粒子形態である。これら又は他の実施形態では、化学発泡剤は、30μm未満、他の実施形態では20μm未満、及び他の実施形態では10μm未満のD90粒径を特徴とする固体である。
【0030】
1つ又は複数の実施形態では、化学発泡剤は、分解温度によって特徴付けることができる。この説明のために、分解温度は、化合物の25重量%が分解される温度を指す。1つ又は複数の実施形態では、本発明の実施に使用される化学発泡剤は、約175~約200℃、他の実施形態では約180~約198℃、及び他の実施形態では約185~約195℃の分解温度を有する。これら又は他の実施形態では、化学的発泡は、160℃超、他の実施形態では170℃超、及び他の実施形態では180℃超の分解温度によって特徴付けられる。
【0031】
化学発泡剤をグアユールセメントに導入するために、いくつかの技術を使用することができる。1つ又は複数の実施形態では、化学発泡剤は、乾燥固体粒子の形態でセメントに直接導入される。例えば、セメントは、従来の撹拌タンク反応器内に含まれてもよく、化学発泡剤は、乾燥固体粒子の形態で反応器のヘッドスペースからセメントに直接添加することができる。
【0032】
他の実施形態では、化学発泡剤粒子は、セメントに導入される前にキャリアと予め混合される。1つ又は複数の実施形態では、化学発泡剤粒子を溶剤中に分散させて、発泡剤-溶剤混合物と呼ぶことができる溶液又は分散液を形成し、発泡剤-溶剤混合物をセメントに導入する。例えば、セメントが従来の撹拌タンク反応器に含まれる場合、発泡剤-溶剤混合物は、反応器のヘッドスペースを介してセメントに導入することができ、又は他の実施形態では、混合物は、反応器の液面より下に位置する入口によって、又は反応器の液面内に延びる導管を介してセメントに注入することができる。
【0033】
発泡剤-溶剤混合物が形成される実施形態では、発泡剤-溶剤混合物は、混合物の総重量に基づいて、15重量%未満、他の実施形態では12重量%未満、他の実施形態では10重量%未満の発泡剤の固形分(すなわち、混合物の総重量に対する発泡剤の重量であり、残りは溶剤の重量を含む)を特徴とし得る。これら又は他の実施形態では、混合物は、混合物の総重量に基づいて、約3~約15重量%、他の実施形態では約4~約12重量%、他の実施形態では約5~約10重量%の発泡剤を含んでもよい。
【0034】
発泡剤-溶剤混合物が形成される場合、混合物を作製するために用いられる溶剤は、グアユールセメントに関して上述したような炭化水素溶剤を含んでもよい。他の実施形態では、溶剤は、炭化水素溶剤と極性有機溶剤とのブレンド(例えば、30重量%アセトン及び70重量%ヘキサン)を含んでもよい。
【0035】
溶剤形混合物の特性
1つ以上の実施形態では、溶剤形混合物(すなわち、発泡剤及びゴムセメント)は、ポリマーの重量に対する発泡剤の重量によって特徴付けられ得る。1つ又は複数の実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマー100重量部当たり35重量部未満、他の実施形態では25重量部未満、及び他の実施形態では20重量部未満の発泡剤を含む。これら又は他の実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマー100重量部当たり1重量部超、他の実施形態では5重量部超、及び他の実施形態では7重量部超の発泡剤を含む。1つ又は複数の実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマー100重量部当たり約1~約35重量部、他の実施形態では約3~約20重量部、及び他の実施形態では約5~約15重量部の発泡剤を含む。
【0036】
充填剤粒子
上述したように、1つ又は複数の実施形態では、充填剤粒子をセメントに(すなわち、発泡剤に加えて)添加してもよい。これらの充填剤粒子は、強化充填剤を含んでもよい。当業者が理解するように、強化充填剤粒子は、カーボンブラック充填剤粒子を含む。本発明の実施形態によれば、カーボンブラックは、カーボンブラック対グアユールゴムの所望の重量比を提供するのに十分な量で添加される。
【0037】
カーボンブラック
1つ又は複数の実施形態において、有用なカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックが挙げられる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超摩耗ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、高摩耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。
【0038】
1つ又は複数の実施形態では、溶液マスターバッチの調製に用いられるカーボンブラックは、100m/g超、他の実施形態では115m/g超、及び他の実施形態では130m/g超の表面積を有してもよい。これら又は他の実施形態では、カーボンブラックは、約100~約200m/g、他の実施形態では約115~約175m/g、及び他の実施形態では約130~約150m/gの表面積を有する。本明細書の目的のために、特に明記しない限り、カーボンブラック表面積値は、ASTM D-6556-19aによって決定されたN2表面積として報告される。
【0039】
1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントと組み合わされるカーボンブラックは、ペレット化されていない。1つ又は複数の実施形態では、グアユールセメントに添加されるカーボンブラックは、65nm未満、他の実施形態では60nm未満、及び他の実施形態では55nm未満のメジアン粒径(すなわちD50)を特徴とする。これら又は他の実施形態では、カーボンブラックは、35nm超、他の実施形態では40超、及び他の実施形態では45nm超のメジアン粒径を特徴とする。1つ又は複数の実施形態では、カーボンブラックのメジアン粒径は、約35~約65nm、他の実施形態では約40~約60nm、及び他の実施形態では約45~約55nmである。
【0040】
充填剤がゴムセメントに導入される実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマーの重量に対する充填剤(例えば、カーボンブラック)の重量によって特徴付けられ得る。1つ又は複数の実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマー100重量部当たり75重量部未満、他の実施形態では65重量部未満、及び他の実施形態では55重量部未満の充填剤を含む。これら又は他の実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマー100重量部当たり10重量部超、他の実施形態では25重量部超、及び他の実施形態では35重量部超の充填剤を含む。1つ又は複数の実施形態では、溶剤形混合物は、ポリマー100重量部当たり約10~約75重量部、他の実施形態では約25~約65重量部、及び他の実施形態では約35~約55重量部の充填剤を含む。
【0041】
直接脱溶剤
本発明の実施形態によれば、溶剤形混合物(溶剤中に分散、溶解、又は懸濁された発泡剤及びポリマーを含む)は、直接脱溶剤され、これは、溶剤が混合物の固形部分から分離されて(すなわち、ポリマー及び発泡剤から分離されて)、実質的にポリマー及び発泡剤の固体複合材(すなわち、天然ゴム-化学発泡剤複合材)である組成物を形成するプロセスを指す。これは、水を添加して溶剤を追い出し、それによって水、ポリマー、及び発泡剤を含む組成物を生成する蒸気脱溶剤などの間接的な脱溶剤法とは区別することができる。
【0042】
直接脱溶剤技術、並びにこれらの方法を実施するための装置は、当技術分野において一般に知られている。例えば、溶剤形混合物の温度は、溶剤を揮発させるのに十分な温度に上昇又は維持することができる。また、脱溶剤が行われる容器内の圧力を低下させることができ、これは溶剤の揮発を助ける。更に、溶剤形混合物を撹拌することができ、これは混合物からの溶剤の除去を更に助けることができる。一実施形態では、加熱、減圧、及び撹拌の組み合わせを用いることができる。
【0043】
一実施形態では、溶剤形混合物の温度は、混合物が脱揮発される環境(すなわち、脱溶剤化容器内)の圧力と共に、脱揮発を促進するように調整される。例えば、脱溶剤工程は、約-5~約-30mmHgの圧力下で、35℃超、他の実施形態では37℃超、他の実施形態では40℃超、他の実施形態では50℃超、他の実施形態では75℃超、他の実施形態では100℃超、他の実施形態では110℃超、及び他の実施形態では120℃超の温度で行われてもよい。1つ又は複数の実施形態では、脱溶剤工程は、約-5~約-30mmHgの圧力下で、約35~約160℃、他の実施形態では約37~約140℃、及び他の実施形態では約40~約130℃の温度で行われる。
【0044】
様々な技術を使用して、脱溶剤中に溶剤形混合物を撹拌し、及び/又は剪断を与えることができる。当業者が理解するように、撹拌は、より大きな表面積を露出させ、それによって溶剤の放出を促進することができる。
【0045】
一実施形態では、脱溶剤は、ドラム乾燥機を使用することによって達成することができる。他の実施形態では、脱溶剤は、脱揮装置を使用することによって達成することができる。脱揮装置は脱揮押出機を含むことができ、これは典型的には、外部加熱ジャケットによって加熱することができるスクリュー装置を含む。これらの押出機は、当該技術分野において公知であり、単軸及び二軸スクリュー押出機を含み得る。
【0046】
あるいは、脱揮装置は、パドルが取り付けられたシャフトを含む押出機様装置を含むことができる。これらの押出機様装置は、単一のシャフト又は複数のシャフトを含むことができる。シャフトは、装置の長さ及びデバイス/容器を通る溶剤形混合物の流れに対して軸方向であってもよい。組成物(すなわち、溶剤形混合物)は、ポンプを使用することによって装置に通されてもよく、シャフトが回転し、それによってパドルが組成物を撹拌し、それによって溶媒の発生を助けることを可能にする。パドルは、脱揮器を通る組成物の移動を補助するように角度を付けることができるが、脱揮器を通る組成物の移動は、組成物を脱揮器に導くことができるポンプによって促進することができ、任意選択的に、直列に又は脱揮器の端部に(すなわち、押出機は、脱揮器を通して組成物を引っ張るのを助ける)取り付けられてもよい押出機によって更に補助されてもよい。
【0047】
脱揮器は、逆混合容器を更に含むことができる。一般に、これらの逆混合容器は、組成物(すなわち、溶剤形混合物)を激しく混合して、どろどろにするために使用することができるブレードを含む単一のシャフトを含む。
【0048】
特定の実施形態では、様々な脱揮機器の組み合わせを使用して、所望の結果を達成することができる。これらの組み合わせはまた、押出成形機の使用も含むことができる。一例では、単一シャフトの「押出機様」脱揮器(例えば、パドルを含むもの)は、二軸押出機と共に使用することができる。この例では、溶剤形混合物は、まず、「押出機様」脱揮器に入り、次いで二軸押出機に入る。二軸押出機は、脱揮器を通って組成物を引き出す際に有利に補助する。搬送ニーズに合わせて脱揮器のパドルを調整することができる。
【0049】
別の例では、二軸「押出機様」脱揮器を用いることができる。ある実施形態では、それぞれのシャフト上のパドルは、回転するにつれて互いに噛み合うように整列されてもよい。シャフトの回転は、同じ方向か又は反対方向に発生可能である。
【0050】
更に別の例では、逆混合揮発容器の後に二軸押出機を設置することができ、続いて、二軸押出機様脱揮容器を設置することができ、続いて、二軸押出機を設置することができる。
【0051】
脱揮機器は、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、脱揮器は、LIST(Switzerland)、Coperion Werner & Phleiderer、又はNFM Welding Engineers,Inc.(Ohio)から入手することができる。LISTから入手可能な例示的な機器としては、様々な混合/混練バー又はパドルを含む単軸「押出機様」脱揮器であるDISCOTHERM(商標)と、二軸「押出機様」脱揮器であって、それぞれの軸が互いに相関するCRP(商標)と、二軸脱揮器であって、それぞれの軸が互いの反対方向に回転するORP(商標)と、が挙げられる。
【0052】
上述したように、溶剤形混合物の脱溶剤は、発泡性加硫性組成物を形成するために使用することができる天然ゴム-化学発泡剤複合材をもたらす。
【0053】
発泡性加硫性組成物
本発明によれば、上記のように調製されたゴム-化学発泡剤固体混合物とも称され得る天然ゴム-化学発泡剤複合材は、発泡及び硬化することができる発泡性加硫性組成物の調製において使用される。天然ゴム及び化学発泡剤に加えて、加硫性組成物はまた、合成エラストマーポリマー、非グアユール天然ゴム、強化充填剤、可塑剤、及び硬化剤などであるがこれらに限定されない他の構成成分を含んでもよい。これらの成分の具体例としては、カーボンブラック、シリカ、充填剤、油、樹脂、蝋、金属カルボキシレート、硬化剤及び硬化助剤、劣化防止剤、並びに金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の実施において有用である(すなわち、加硫性組成物内に含まれる)例示的なエラストマーポリマーは、ゴムポリマー又は加硫性ポリマーとも呼ばれ得、ポリジエン及びポリジエンコポリマーを含む。これらのポリマーの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリイソプレン、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、及びそれらの官能化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーサンプルに含まれ得る他のポリマーとしては、ネオプレン、ポリ(エチレン-co-プロピレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)、ポリ(エチレン-co-プロピレン-co-ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シンジオタクチックポリブタジエン、並びにそれらの混合物又はポリジエン及びポリジエンコポリマーとの混合物が挙げられる。これらのエラストマーは、無数の巨大分子構造、例えば、直鎖状、分枝状、及び星形構造を有することができる。これらのエラストマーはまた、典型的にはポリマーの骨格につながれたヘテロ原子を含む1つ又は複数の官能性単位を含み得る。
【0055】
1つ又は複数の実施形態において、有用なカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックが挙げられる。カーボンブラックのより具体的な例としては、超摩耗ファーネスブラック、中間超摩耗ファーネスブラック、高摩耗ファーネスブラック、高速押出ファーネスブラック、微細ファーネスブラック、半強化ファーネスブラック、中級加工チャンネルブラック、ハード加工チャンネルブラック、導電性チャンネルブラック、及びアセチレンブラックが挙げられる。
【0056】
1つ又は複数の実施形態では、好適なシリカ充填剤の例としては、沈殿非晶質シリカ、湿潤シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ヒュームドシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0057】
1つ又は複数の実施形態では、シリカの表面積は、BET法によって測定される場合、約32~約400m/g(32m/g~400m/gを含む)であってもよく、約100m/g~約300m/g(100m/g~300m/gを含む)の範囲が好ましく、約150m/g~約220m/g(150m/g~220m/gを含む)の範囲が含まれる。1つ又は複数の実施形態では、シリカのpHは、約5.5~約7、又はわずかに7超、又は他の実施形態では約5.5~約6.8を特徴とし得る。使用することができる市販のシリカ充填剤のいくつかとしては、PPG Industriesによって190、210、215、233、及び243などのHi-Silの商標名で販売されているもの、並びにDegussa Corporation(例えば、VN2、VN3)、Rhone Poulenc(例えば、Zeosil(商標)1165 MP)、及びJ.M.Huber Corporationから入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
1つ又は複数の実施形態では、シリカカップリング剤が加硫性組成物中に含まれる。当業者が理解するように、これらの化合物は、加水分解性ケイ素部分(しばしばシランと呼ばれる)及び加硫性ポリマーと反応することができる部分を含む。
【0059】
好適なシリカカップリング剤としては、例えば、アルキルアルコキシ、メルカプト、ブロックされたメルカプト、硫化物含有(例えば、一硫化系アルコキシ含有、二硫化系アルコキシ含有、四硫化系アルコキシ含有)、アミノ、ビニル、エポキシ、及びこれらの組み合わせなどの基を含むものが挙げられる。特定の実施形態では、シリカカップリング剤は、前処理されたシリカの形態でゴム組成物に添加されてもよい。前処理されたシリカは、ゴム組成物に添加される前にシランで前表面処理されている。
【0060】
本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適なアルキルアルコキシシランの非限定例としては、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシ-シラン、エチルトリメトキシシラン、シクロヘキシル-トリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシル-トリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの非限定例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の例示的実施形態での使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの、特定の非限定例としては、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドシリカカップリング剤の非限定例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、Evonik Degussa Corporationによって商標名Si 69で販売されている。
【0062】
本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適なメルカプトシランの非限定例としては、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書に開示される第4の実施形態のうちの特定の実施形態での使用に好適なブロックされたメルカプトシランの非限定例としては、米国特許第6,127,468号、同第6,204,339号、同第6,528,673号、同第6,635,700号、同第6,649,684号、及び同第6,683,135号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される特定の例示的実施形態に本明細書で使用されるブロックされたメルカプトシランの代表例として、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリメトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、トリエトキシシリルメチル-チオアセテート、トリメトキシシリルメチルチオアセテート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、2-トリイソプロポキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジエトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジエトキシシリル-1-プロピル-チオアセテート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルシクロヘキサン、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-3-チオアセチルシクロヘキサン、2-トリエトキシシリル-5-チオアセチルノルボルネン、2-トリエトキシシリル-4-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-5-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシ-シリル-1-エチル)-4-チオアセチルノルボルネン、1-(1-オキソ-2-チア-5-トリエトキシシリルフェニル)安息香酸、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-ヘキシルチオアセテート、8-トリエトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-オクチルチオアセテート、8-トリメトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリメトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、10-トリエトキシシリル-1-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-9-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-3-ブチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-1-プロピルチオパルミテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオベンゾエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオ-2-エチルヘキサノエート、3-メチルジアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、2-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-トリアセトキシシリル-1-エチル-チオアセテート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルジチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)テトラチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルトリチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルトリチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルジチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルジチオホスフィネート、トリス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-メチルジチオホスホネート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-エチルジチオホスホネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメチルチオサルフェート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルエタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルベンゼンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルトルエンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルナフタレンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルキシレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルメチルチオサルフェート、トリエトキシシリルメチルメタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルエタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルベンゼンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルトルエンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルナフタレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルキシレンチオスルホネートなどからなる群から選択される。様々なブロックされたメルカプトシランの混合物を使用することができる。特定の例示的な実施形態での使用に好適なブロックされたメルカプトシランの更なる例は、Momentive Performance Materials Inc.によってNXTシラン(3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン)の商標名で販売されているものである。
【0064】
1つ又は複数の実施形態では、可塑剤としては、油及び固体樹脂が挙げられる。使用してもよい有用な油類又は展延剤としては、芳香族油、パラフィン系油、ナフテン系油、植物油(ヒマシ油以外)、低PCA油(例えば、MES、TDAE、及びSRAEなど)、及び重ナフテン系油が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取できるものなど、様々な植物起源の油も挙げられる。非限定的な例としては、ダイズ油、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野において一般的に理解されているように、油は、樹脂などの加硫性組成物の他の構成成分と比較して比較的低い粘度を有する化合物を指す。1つ又は複数の実施形態では、樹脂は、約20℃を超えるTgを有する固体であってもよく、脂環式樹脂、脂肪族樹脂、芳香族樹脂、テルペン樹脂、及びこれらの組み合わせなどの炭化水素樹脂を含んでもよいが、これらに限定されない。有用な樹脂としては、スチレン-アルキレンブロックコポリマー、熱可塑性樹脂、例えばC系樹脂、C~C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、アルキルフェノール系樹脂、及びこれらの部分水素添加樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
1つ又は複数の実施形態では、本発明の加硫性組成物は硬化系を含む。硬化系は、架橋剤、ゴム硬化剤又は加硫剤とも称され得る硬化剤を含む。硬化剤は、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.20,pgs.365-468,(3rd Ed.1982)、特に、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,pgs.390-402、及びA.Y.Coran,Vulcanization,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,(2nd Ed.1989)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。1つ又は複数の実施形態では、有用な硬化系としては、硫黄又は硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、オキシム系及びニトロソアミン系架橋剤などが挙げられる。好適な硫黄架橋剤の例としては、「ゴム製造業者」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性加硫剤、及び不溶性ポリマー性硫黄が挙げられる。他の実施形態では、架橋剤は、硫黄及び/又は硫黄含有化合物を含む。他の実施形態では、架橋剤は、硫黄及び/又は硫黄含有化合物を除外する。加硫剤は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。
【0066】
ゴム配合において典型的に用いられる他の成分も、ゴム組成物に加えることができる。これらには、促進剤、促進活性剤、添加可塑剤、蝋、焦げ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化又は硬化樹脂、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、解膠剤、及び劣化防止剤(例えば酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤)が含まれる。
【0067】
成分量
加硫性組成物は、総ポリマー含有量(すなわち、ポリマー-発泡剤凝集体を介して導入されたポリマー及び加硫性組成物に添加されたポリマーエラストマー)によって特徴付けることができる。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、加硫性組成物の総重量に基づいて、20重量%超、他の実施形態では30重量%超、及び他の実施形態では40重量%超のポリマー含有量(例えばエラストマー)を含む。これら又は他の実施形態では、加硫性組成物は、加硫性組成物の総重量に基づいて、80重量%未満、他の実施形態では70重量%未満、及び他の実施形態では60重量%未満のポリマー含有量(例えばエラストマー)を含む。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、加硫性組成物の総重量に基づいて、加硫性組成物のポリマー含有量(例えばエラストマー)の総重量に基づいて、約20~約80重量%、他の実施形態では約30~約70重量%、及び他の実施形態では約40~約60重量%のポリマー含有量(例えばエラストマー)を含む。
【0068】
1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、カーボンブラック又はシリカなどの充填剤を含む。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、ゴム100重量部当たり(phr)、10重量部(pbw)超、他の実施形態では35pbw超、及び他の実施形態では55pbw超の充填剤(例えば、カーボンブラック及び/又はシリカ)を含む。これら又は他の実施形態では、加硫性組成物は、phrで140pbw未満、他の実施形態では95pbw未満、及び他の実施形態では75pbw未満の充填剤を含む。1つ又は複数の実施形態では、加硫物は、phrで約10~約200pbw、他の実施形態では約10~約140pbw、他の実施形態では約35~約95pbw、他の実施形態では約40~約130pbw、他の実施形態では約50~約120pbw、及び他の実施形態では約55~約75pbwの充填剤(例えば、カーボンブラック及び/又はシリカ)を含む。カーボンブラック及びシリカは、約0.1:1~約30:1、他の実施形態では約0.5~約20:1、及び他の実施形態では約1:1~約10:1のシリカ対カーボンブラックの重量比で一緒に使用することができる。
【0069】
シリカが充填剤として使用される1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、シリカカップリング剤を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、一般に、phrで1超、他の実施形態では2超、他の実施形態では3pbw超のシリカカップリング剤を含んでもよい。これら又は他の実施形態では、加硫性組成物は、一般に、phrで40未満、他の実施形態では20未満、他の実施形態では10pbw未満のシリカカップリング剤を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、phrで約1~約40pbw、他の実施形態では約2~約20pbw、他の実施形態では約2.5~約15pbw、及び他の実施形態では約3~約10pbwのシリカカップリング剤を含む。
【0070】
これら又は他の実施形態では、シリカカップリング剤の量は、シリカの重量に対して定義され得る。1つ又は複数の実施形態では、シリカに導入されるシリカカップリング剤の量(インサイチュ又は予備反応のいずれか)は、シリカ100重量部当たり、約1~約25pbw、他の実施形態では約2~約20pbw、及び他の実施形態では約3~約15pbwのシリカカップリング剤である。
【0071】
加硫性組成物は、一般に、phrで5超、他の実施形態では10超、及び他の実施形態では20pbw超の可塑剤(例えば、油及び固体樹脂)を含んでもよい。これら又は他の実施形態では、加硫性組成物は、一般に、phrで80pbw未満、他の実施形態では70未満、及び他の実施形態では60pbw未満の可塑剤を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、一般に、phrで約5~約80、他の実施形態では約10~約70、及び他の実施形態では約20~約60pbwの可塑剤を含んでもよい。更なる実施形態では、加硫性組成物は、15pbw未満、あるいは10pbw未満、又は5pbw未満の液体可塑剤を含んでもよい。特定の実施形態では、加硫性組成物は液体可塑剤を含まない。別の実施形態では、加硫性組成物は、少なくとも20pbwの樹脂、少なくとも25pbwの樹脂又は少なくとも30pbwの樹脂を含んでもよい。
【0072】
当業者であれば、所望の硬化レベルを達成するために、加硫剤の量を容易に選択することができるであろう。特定の実施形態では、硫黄が硬化剤として使用される。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、phrで0.5超、他の実施形態では1超、及び他の実施形態では2pbw超の硫黄を含んでもよい。これら又は他の実施形態では、加硫性組成物は、一般に、phrで10pbw未満、他の実施形態では7pbw未満、及び他の実施形態では5pbw未満の硫黄を含んでもよい。1つ又は複数の実施形態では、加硫性組成物は、一般に、phrで約0.5~約10、他の実施形態では約1~約6、及び他の実施形態では約2~約4pbwの硫黄を含んでもよい。
【0073】
発泡性加硫性組成物の調製
発泡性加硫性組成物は、従来の混合技術を使用して調製することができる。例えば、加硫性組成物の成分を混合装置内に導入し、固体状態で混合することができる。次いで、発泡性加硫性組成物は、未加工加硫物に形成され、次いで、ポリマーネットワークの発泡及び加硫(すなわち、硬化又は架橋)をもたらす条件に供される。
【0074】
例えば、加硫性組成物の全ての成分を、Banbury又はBrabender混合機、押出機、捏和機及び2ロールミルなどの標準的な混合機器で混合することができる。1つ又は複数の実施形態では、これは、成分が2つ以上の段階で導入及び/又は混合される多段階混合手順を含んでもよい。例えば、第1段階(マスターバッチ混合段階と呼ばれることが多い)において、本発明の天然ゴム-化学発泡剤を、任意の追加の充填剤及び任意の成分と一緒に混合する。1つ又は複数の実施形態では、シリカカップリング剤が使用される場合、シリカカップリング剤はまた、1つ又は複数のマスターバッチ段階の間に添加され得る。一般的に言えば、マスターバッチ混合工程は、成分を添加し、硬化剤の存在下で組成物を焦がすエネルギー(例えば、温度及び剪断)を超えるエネルギーで混合条件を行う工程を含む。同様に、リミル混合段階は、成分がリミル混合段階中に添加されないことを除いて、同じ又は同様のエネルギーで行われる。マスターバッチ又はリミル混合中に加硫性組成物に付与されるエネルギーは、充填剤を分散させ、加水分解及びその後の加水分解性基の縮合を引き起こすのに十分であると考えられる。例えば、これらの混合段階の1つ又は複数の間に、シリカ官能化剤の加水分解性基が加水分解し、次いで縮合反応を介してシリカ粒子に結合すると考えられる。この目的のために、1つ又は複数の実施形態では、マスターバッチ又はリミル混合は、加水分解性基とシリカとの間の反応を促進するのに役立つ触媒の存在下で行われ得る。これらの触媒は、当該技術分野において一般的に公知であり、例えば、強塩基、例えばアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウム又はカリウムアルコキシド、トリフェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジン、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジンなどのグアニジン、並びに1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エンなどのヒンダードアミン塩基、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミンなどの第三級アミン触媒、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩基、及びビス(ジメチルアミノエチル)エーテルなどのビスアミノエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
したがって、マスターバッチ及びリミル混合は、硬化剤の非存在下で行われ、そうでなければ硬化剤が存在する場合に硬化が起こるであろう温度で進行する。例えば、この混合は、120℃超、他の実施形態では130℃超、他の実施形態では140℃超、及び他の実施形態では150℃超の温度で行うことができる。混合工程(例えば、マスターバッチ及びリミル混合工程)は、化学発泡剤の分解温度未満の温度で行われることも理解されるであろう。例えば、混合は、175℃未満、他の実施形態では170℃未満、及び他の実施形態では165℃未満の最高温度(すなわち、組成物によって達成される最高温度)で行われる。
【0076】
マスターバッチが調製されると、最終混合段階において、加硫剤をマスターバッチ内に導入して混合してもよく、この最終混合段階は、典型的には、比較的低温で実施され、それにより加硫のタイミングが早くなりすぎる可能性を減少させる。例えば、この混合は、120℃未満、他の実施形態では110℃未満、他の実施形態では100℃未満の温度で行われてもよい。リミル(remill)と呼ばれることもある追加の混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終混合段階の間に採用することも可能である。
【0077】
1つ又は複数の実施形態では、使用される混合技術及び温度プロファイルにかかわらず、発泡性加硫性組成物が混合中にピーク温度に達する温度を含む混合温度は、化学発泡剤の分解温度未満のままであるべきであることが理解されるべきである。
【0078】
発泡加硫物の調製
次に、発泡性加硫性組成物は、プロファイルと呼ばれ得る所望の形状に製造される。これは、所望のプロファイルを押し出すことを含んでもよく、又は他の実施形態では、これは、加硫性組成物を所望の型に入れることを含んでもよい。
【0079】
1つ又は複数の実施形態では、加硫物は、発泡性加硫性組成物を化学発泡剤を分解し、それによって組成物を発泡させ、次いで組成物内のゴムを加硫又は他の方法で硬化させる条件に供することによって調製される。1つ又は複数の実施形態では、化学発泡剤を分解する工程及びゴムを加硫する工程は、同時に行われる。換言すれば、発泡性加硫性組成物を閾値温度まで加熱することによって、分解及び加硫が同時に起こり得る。他の実施形態では、化学発泡剤の分解が最初に起こり、続いて加硫が起こり得る。更に他の実施形態では、化学発泡剤は部分的に分解され、次いで加硫が起こる。
【0080】
1つ又は複数の実施形態では、プロファイルを加熱して化学発泡剤を分解し、ゴムを加硫する。1つ又は複数の実施形態では、プロファイルは、約175~約215℃、他の実施形態では約180~約210℃、及び他の実施形態では約185~約205℃の温度に加熱される。1つ又は複数の実施形態では、プロファイルは、少なくとも40重量%の化学発泡剤を分解する時間にわたって加熱される。1つ又は複数の実施形態では、プロファイルは、少なくとも5分間、他の実施形態では少なくとも7分間、及び他の実施形態では少なくとも9分間、所望の温度で維持される。これら又は他の実施形態では、プロファイルは、約5~約15分間、又は他の実施形態では約7~約12分間、所望の温度で維持される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
上記のように、本発明の発泡性加硫性組成物を硬化させて、様々なタイヤ構成要素を調製することができる。1つ又は複数の実施形態では、これらの構成要素は、限定はしないが、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、ベルトスキム、インナーライナー、プライスキム、及びビードエイペックスなどの空気入りタイヤ構成要素を含む。これらのタイヤ構成要素は、乗用車タイヤ、トラックバスタイヤ、及びオフロードタイヤを含む様々な車両タイヤ内に含めることができる。
【0082】
1つ又は複数の実施形態では、本発明の実施によって製造される発泡物品は、同じプロファイルの固体と比較して密度が低いことを特徴とし得る。当業者が理解するように、この密度は、発泡物品の質量(すなわち重量)及び体積を測定することによって計算することができる。1つ又は複数の実施形態では、発泡物品は、1000kg/m未満、他の実施形態では900kg/m未満、及び他の実施形態では800kg/m未満の密度を有する。これら又は他の実施形態では、発泡物品は、約500~約900、他の実施形態では約550~約850、及び他の実施形態では約600~約800kg/mの密度を有する。
【0083】
実験
2つの加硫性組成物を、以下の表Iに提供される配合を使用することによって調製した。両方のサンプルは、グアユールゴムセメントから得られ、乾燥されたグアユールゴム(GR)を使用したが、サンプル1は、本発明に従って混合されたセメント及び溶液に導入された化学発泡剤を含んでいた。対照であるサンプル2は、化学発泡剤(CBA)を添加せずに同じ乾燥及び配合条件を使用して調製した。
【0084】
化学発泡剤はアゾジカルボンアミドであり、平均粒径が5μm、分解温度が202~204℃であることを特徴としていた。サンプル1では、12.5phrのCBAを、室温で20分間12,000rpmで連続的に撹拌しながら930mLのGRセメントに最初に分散させた。GRセメントは、重量平均分子量約900kg/molのGRを7%含有し、セメント中のヘキサン:アセトンの比は80:20であった。両方の溶液を150℃でドラム乾燥させて溶剤を除去し、次いで、それぞれのサンプルの乾燥ポリマーを65gのBrabender混合機内で100℃で3分間、60rpmで他の成分と混合した。次いで、組成物をシート状にし、圧縮成形のために3×3×0.075インチのサンプルに切断した。サンプルを200℃で10分間、8.2MPaの圧力下で圧縮成形して硬化及び発泡させた。
【0085】
【表1】
【0086】
硬化したサンプルを引張特性について分析し、試験結果を以下の表IIに示す。また、サンプル1の発泡体は、974.5kg/mの密度を有するサンプル2の固体プロファイルと比較して、697.7kg/mの密度を有していた。
【0087】
【表2】
【0088】
サンプル1の発泡体は、固体GRと比較して、向上した引張弾性率、応力及び靭性を示す。GR-発泡体の向上した引張性能は、独特な多孔質構造に起因する向上した歪み誘起結晶化によるものであると予想される。
【0089】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない様々な修正及び変更が当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態に正式に限定されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成するための方法であって、
(a)天然ゴムセメントを提供することと、
(b)発泡剤を前記天然ゴムセメントに導入して、前記天然ゴム及び発泡剤を含む溶剤形混合物を形成することと、
(c)前記溶剤形混合物を脱溶剤して、天然ゴム-化学発泡剤複合材を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記天然ゴムセメントがグアユールセメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グアユールセメントが12重量%未満のポリマーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学発泡剤が160℃超の分解温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化学発泡剤が、約0.5~約30μmのメジアン粒径を有する微粒子の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グアユールセメントの前記固形部分が、約0.5~約7重量%のグアユール樹脂又は低分子量ポリイソプレンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記グアユールセメントが、炭化水素溶剤及び極性有機溶剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
発泡ゴム物品を形成するための方法であって、
(a)請求項1に記載の天然ゴム-化学発泡剤複合材を提供することと、
(b)硬化剤を前記複合材に導入して、発泡性加硫性組成物を形成することと、
(c)前記発泡性加硫性組成物からプロファイルを形成することと、
(d)前記化学発泡剤を分解し、前記ゴムを加硫するのに十分な温度まで前記プロファイルを加熱することと、を含む、方法。
【国際調査報告】