(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】時計機構用のレバー装置
(51)【国際特許分類】
G04F 7/08 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
G04F7/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537427
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-01
(86)【国際出願番号】 IB2022062283
(87)【国際公開番号】W WO2023119079
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520110814
【氏名又は名称】マニュファクチュール・ドルロジュリ・オーデマ・ピゲ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】グミ・オリヴィエ
(57)【要約】
【課題】時計機構用のレバー装置について、部品の摩耗を抑制するため、作動時にレバー装置にかかる力を低減する。
【解決手段】本発明は、コラム車(16)と、第1枢軸線(24)を中心に、2つの安定位置間で交互に枢動するように取り付けられている主レバー(20)とを備えた、時計機構のレバー装置(10)に関する。主レバー(20)は、2つのクチバシ(21a、21b)を備えたアンカーを備え、この2つのクチバシは、2つの安定位置のそれぞれに互い違いに配置されていて、一方のクチバシが2つのコラム(17)の間にあり、他方が別のコラム(17)の周辺側部に接している。主レバー(20)はさらに、時計機構を制御する遠位部(26、29)を備える。アンカー及びレバーの遠位部(26、29)は、第1枢動軸(24)を中心に枢動するように配置されている。本発明はまた、クロノグラフと、クロノグラフを非係合構成から係合構成にそしてその逆にすべく配置されたレバー装置とを備えた時計のムーブメントに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラム車(16)及び主レバー(20)が、2つの安定位置の間を、第1枢動軸(24)を中心として互い違い枢動するように取り付けられた、前記コラム車(16)及び前記主レバー(20)を備えた時計機構のレバー装置(10)であって、
前記主レバー(20)は、2つのクチバシ(21a、21b)が設けられたアンカーを備え、前記2つのクチバシは、2つの安定位置のそれぞれに互い違いに配置されていて、前記クチバシの1つが2つのコラム(17)の間にあり、前記クチバシのもう1つが別のコラム(17)の外周側部に接していて、
前記主レバー(20)が、前記時計機構を制御する遠位部(26、29)をさらに備える、レバー装置(10)において、
前記主レバー(20)の前記遠位部(26、29)と前記アンカーが、第1枢動軸(24)を中心に枢動するように配置されていることを特徴とする、レバー装置(10)。
【請求項2】
前記主レバー(20)が、剛性であることを特徴とする、請求項1に記載のレバー装置(10)。
【請求項3】
前記主レバー(20)が、一体型であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレバー装置(10)。
【請求項4】
前記アンカーの前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)が、前記コラム車(16)の両側に配置されていて、前記コラム車(16)の回転軸に対して、90°と270°の間、好ましくは120°と180°の間、理想的には140°と160°の間の角度(α)を、前記第1クチバシ及び前記第2クチバシの間でなしていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のレバー装置(10)。
【請求項5】
前記主レバー(20)が、前記コラム車の複数の前記コラム(17)の外周側部によって画定された円の円弧に実質的に沿って前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)の間に延在するエッジ(23)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のレバー装置(10)。
【請求項6】
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置の一方又は他方に枢動する際に、前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)のみが前記コラム車の前記コラム(17)に接するように、前記エッジ(23)と前記コラム(17)の前記外周側部によって画定された円の前記円弧との間に隙間が存在することを特徴とする、請求項5に記載のレバー装置(10)。
【請求項7】
前記主レバー(20)が、前記2つの安定位置のいずれかでロックされた構成になっていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のレバー装置(10)。
【請求項8】
前記主レバー(20)と協働するように配置された副レバー(30)をさらに備え、
前記副レバー(30)は、前記主レバー(20)の遠位部(26)と把持を形成するための遠位部(32)を備え、
前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が、前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの1つに移動されるとき、互いに向かって移動し、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの他方に移動されるとき、前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの前記遠位部(26、32)は互いに離れる方向に動く
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のレバー装置(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のレバー装置(10)を備えた時計機構を備えた、時計のムーブメント。
【請求項10】
前記時計機構が、
前記主レバーの前記遠位部(26)を、前記クロノグラフの係合構成及び非係合構成にそれぞれ対応した第1位置及び第2位置の一方又は他方に移動させるために前記2つの安定位置の一方又は他方に前記主レバー(20)を枢動させるため、前記レバー装置(10)の前記コラム車(16)を回転させる、好ましくは、前記コラム車(16)のラチェットと協働するクリック(14)によって回転させるべく配置された押しボタンコマンド(12)を備えたクロノグラフである
ことを特徴とする、請求項9に記載の時計のムーブメント。
【請求項11】
前記クロノグラフは、クロノグラフ車(62)と、前記時計ムーブメントの秒車(60)とかみ合うように前記主レバー(20)の前記遠位部(29)に枢動可能に取り付けられたクラッチ車(61)とを備えた水平式クラッチであり、
前記クラッチ車(61)は、前記主レバー(20)が前記2つの安定した位置のうちの1つにあるとき、前記クロノグラフを非係合構成に維持するために、前記クロノグラフ車(62)から離れているように配置されていて、
前記クラッチ車(61)はさらに、前記主レバー(20)が前記2つの安定した位置のうちの他方にあるときに前記クロノグラフを係合構成にするため、前記クロノグラフ車(62)に係合すべく配置されている
ことを特徴とする、請求項10に記載の時計のムーブメント。
【請求項12】
請求項8に記載のレバー装置(10)を備えた、請求項10に記載の時計のムーブメントにおいて、
前記クロノグラフが、
前記時計のムーブメントの歯車列とかみ合う秒の可動部(44)と、前記秒の可動部(44)が自由に枢動するように取り付けられたクロノグラフ軸(41)と、前記クロノグラフ軸(41)に取り付けられたクラッチシュー(46)と、前記クラッチシュー(46)と協働するクラッチばね(52)とを備える垂直式クラッチ付きクロノグラフ可動部(40)を備え、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの1つに移動されると、前記クラッチシュー(46)と協働して、前記クロノグラフ可動部(40)が、非係合構成にするために前記クラッチシュー(46)を前記秒の可動部(44)から離すようにするため、前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が互いに向かって移動し、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちのもう一方に移動されると、前記遠位部(26、32)は互いに離れる方向に移動し、前記クロノグラフ可動部(40)が、摩擦によって前記秒の可動部(44)によって駆動されるために、前記クラッチばね(52)の作用で前記クラッチシュー(46)が前記秒の可動部(44)に対して保持される係合構成に移動される
ことを特徴とする、請求項10に記載の時計のムーブメント。
【請求項13】
前記クラッチシュー(46)が、前記クロノグラフ可動部(40)の前記係合構成において前記秒の可動部(44)と接するように意図された下側面(50)を備えるカップの形をしていて、
前記カップ(46)を前記秒の可動部(44)に押し付けるため、前記クラッチばね(52)が、前記クロノグラフ軸(41)の肩又はカラー(42)に接している
ことを特徴とする、請求項12に記載の時計のムーブメント。
【請求項14】
前記カップ(46)の上部が、環状エッジ(48)を備え、
前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が、前記クラッチシュー(46)を軸方向に変位させるために前記環状エッジ(48)の下に位置するように配置され、前記クロノグラフ可動部(40)が前記非係合構成になったときに、前記クラッチシュー(46)が前記秒の可動部(44)から外れるようにしている
ことを特徴とする、請求項13に記載の時計のムーブメント。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか一項に記載の時計のムーブメントを備えた時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計機構用のレバー装置に関する。このレバー装置は、特にクロノグラフのクラッチの作動に使ってよいものである。
【背景技術】
【0002】
従来のクロノグラフは、一般に、計測機能を始動、停止及びリセットするクロノグラフ機構の制御中心を備えるコラム車を備えている。このコラム車は、レバー及びその他のロッカーの動きを制御するように設計されている。レバー及びその他のロッカーは、ばねによってコラム車に対して保持され、垂直式又は水平式クラッチを作動させるものである。
【0003】
垂直式クラッチタイプのクロノグラフでは、クラッチシューが、クロノグラフの停止位置に対応する非係合位置と、クロノグラフの走行位置に対応する係合位置とを占めるように配置されていて、クラッチシューは秒の可動部に係合している。クラッチシューは、クロノグラフ秒針を運ぶクロノグラフ軸に動きを伝達するため、時計ムーブメントの歯車列と直接又は間接的にかみ合う。
【0004】
特許文献1は、垂直式クラッチを備えるクロノグラフを開示している。このクロノグラフは、主レバー及び副レバーの一体部分を形成する2つの枝からなるクランプを備える。このクランプは、クラッチ可動部のクラッチシューを軸方向に変位させ、クロノグラフ可動部がクラッチ可動部を介して秒針によって駆動される係合構成から、クラッチシューがクラッチ可動部から外れる非係合構成に移行するように設計されている。主レバーは副レバーを制御し、クチバシを介してコラム車と協働する。
【0005】
従来、コラム車はクロノグラフの停止又は始動押しボタンによって制御される。押しボタンを押すごとにコラム車が1工程回転し、メインレバーのクチバシのコラムに対する位置に応じてクランプを閉じる又は開く。コラム車の他のすべての角度位置では、クチバシはクランプの戻しばねの作用に抗して、車のコラムの外側の側部にかかり、クランプを閉じた位置に保つ。クチバシが2本のコラムの間に位置するコラム車の角度位置では、戻しばねの作用によりクランプは開いた位置に保たれる。
【0006】
クランプ戻しばねが及ぼす力にはいくつかの欠点を持つ。クチバシのコラム車への圧力によって誘発されるトルクは大きく、長期的には機構に無視できない摩耗を引き起こす可能性がある。加えて、戻しばねによる制約を克服するためには、クロノグラフの始動及び停止には、押しボタンに比較的高い圧力をかけなければならない。
【0007】
特許文献2は、クロノグラフの制御装置に関し、この装置は、クランプと、クランプの2つの枝の自由端の間に配置された移動体と、クランプの2つの枝の間の連結部分が押し付けられる2つの固定された反力部材と、連結部分を変形させるため反力部材に対して作用する力を発生させる変形手段とを備える。
【0008】
この制御装置は、特にその複雑さ及びその動作原理により、長期信頼性に影響を持ち得る多くの欠点を持つ。この装置は、実際には、2段の移動体と、移動体と協働するように配置された推力及び位置決め部材と、推力及び位置決め部材を作動させるために移動体を回転させる制御レバーと、クロノグラフ移動体と協働するように配置されたクランプとを備える。このクランプは、クロノグラフを始動させるためにクランプを開くためのスラスト部材の作用で変形するように設計された弾性ブレードを備える。ブレードの弾性特性は時間の経過とともに劣化し、クランプの腕部の位置が変化する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2015145号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0490285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、本発明の目的は、前述の欠点のない時計機構、特にクロノグラフ用のレバー装置を提案することである。
【0011】
より詳細には、本発明の目的は、装置部品の早期摩耗を抑制するため、装置が作動する際に低減された力を受けるレバー装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、装置の部品に対する衝撃の影響を最小限にするため、始動又は停止タイプもしくはオン又はオフタイプの2つの状態又は構成のいずれかでロックされるレバー装置を提供することである。
【0013】
本発明の加えての目的は、使い心地を改善するため、押しボタンに対する作動がより少ない圧力で済むレバー装置を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、製造コストを低減し、装置の信頼性を高めるため、部品数を制限した簡素化されたレバー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、これらの目的は、特に、2つの安定位置の間を、第1枢動軸を中心として互い違いに枢動するように取り付けられている、コラム車及び主レバーを備えた時計機構のレバー装置によって達成される。主レバーは、2つのクチバシが設けられたアンカーを備え、それらクチバシは、2つの安定位置のそれぞれにて互い違いに配置されていて、クチバシの1つが2つのコラムの間にあり、もう1つが別のコラムの外周側部に接している。主レバーは、時計機構を制御する遠位部をさらに備える。アンカー及びレバーの遠位部が、第1枢動軸を中心に枢動するように配置されている。
【0016】
1実施形態では、主レバーは剛性である。
【0017】
1実施形態において、主レバーは一体型である。
【0018】
1実施形態において、アンカーの第1クチバシ及び第2クチバシは、コラム車の両側に配置されている。これらのクチバシは、コラム車の回転軸に対して、90°と270°の間、好ましくは120°と180°の間、理想的には140°と160°の間の角度をなしている。
【0019】
1実施形態では、主レバーは、コラム車のコラムの外周側部によって画定された円の円弧に実質的に沿って第1クチバシ及び第2クチバシの間に延在するエッジを備える。
【0020】
1実施形態では、主レバーが2つの安定位置の一方又は他方に枢動する際に、第1クチバシ及び第2クチバシのみがコラム車のコラムに接するように、エッジと前記コラムの外周側部によって画定された円の円弧との間に隙間が存在する。
【0021】
1実施形態では、主レバーは、2つの安定位置のいずれか一方においてロックされた(動かないようにされた)構成にある。
【0022】
1実施形態では、レバー装置は、主レバーと協働するように配置された副レバーをさらに備える。副レバーは、主レバーの遠位部と把持(クランプ)を形成する遠位部を備える。主レバー及び副レバーのそれぞれの遠位部は、主レバーが2つの安定位置のうちの1つに移動されるとき、互いに向かって移動する。主レバーが2つの安定位置のうちの他方に移動されるとき、遠位部は互いに離れる方向に動く。
【0023】
本発明の別の観点は、上記のレバー装置を備える時計ムーブメントに関する。
【0024】
1実施形態では、時計機構は、レバー装置のコラム車を回転させるべく配置された押しボタンコマンドを備えるクロノグラフである。コラム車は、好ましくは、このコラム車のラチェットと協働するクリックによって回転される。この回転により、主レバーを2つの安定した位置の一方又は他方に傾けられて、遠位部を、クロノグラフの係合構成及び非係合構成にそれぞれ対応する第1位置及び第2位置の一方又は他方に移動させられる。
【0025】
1実施形態では、前述のクロノグラフは、クロノグラフ車と、時計ムーブメントの秒車とかみ合うように主レバーの遠位部に枢動可能に取り付けられたクラッチ車とを備えた水平式クラッチを備えた、クロノグラフである。クラッチ車は、主レバーが2つの安定した位置のうちの1つにあるとき、クロノグラフを非係合構成に維持するために、クロノグラフ車から離れているように配置されている。クラッチ車はさらに、主レバーが2つの安定した位置のうちのもう一方にあるときにクロノグラフを係合構成にするため、クロノグラフ車に係合すべく配置されている。
【0026】
1実施形態において、クロノグラフは、時計のムーブメントの歯車列とかみ合う秒の可動部と、秒の可動部が自由に枢動するように取り付けられたクロノグラフ軸と、クロノグラフ軸に取り付けられたクラッチシューと、クラッチシューと協働するクラッチばねとを備える垂直式クラッチ付きクロノグラフ可動部を備える。主レバーが2つの安定位置のうちの1つの安定位置に移動されたとき、クラッチシューと協働して、クロノグラフ可動部を秒の可動部から離すようにするため、主レバー及び副レバーのそれぞれの遠位部が互いに向かって移動する。主レバーが2つの安定位置のうちのもう一方に移動されると、遠位部は互いに離れる方向に移動し、クロノグラフ可動部が、摩擦によって秒の可動部によって駆動されるために、クラッチばねの作用でクラッチシューが秒の可動部に対して保持される係合構成に移動される。
【0027】
1実施形態では、クラッチシューは、クロノグラフ可動部の係合構成において秒の可動部と接するように意図された下側面を備えるカップの形をしている。カップを秒の可動部に押し付けるため、クラッチばねはクロノグラフ軸の肩又はカラーに接している。
【0028】
1実施形態では、カップの上部は環状エッジを備える。主レバー及び副レバーのそれぞれの遠位部は、クラッチシューを軸方向に変位させるために環状エッジの下に位置するように配置され、クロノグラフ可動部が非係合構成になったときに、クラッチシューが秒の可動部から外れるようにしている。
【0029】
本発明の別の観点は、レバー装置を備える時計、特に腕時計に関する。
【0030】
本発明の実施形態の例は、添付の図によって示されている説明(発明を実施するための形態についての記載)に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態による垂直式クラッチタイプのクロノグラフ可動部の始動及び停止を制御すべく配置されたレバー装置の透視図である。
【
図2】
図2は、レバー装置及び
図1のクロノグラフ可動部の上面図である。
【
図3】
図3は、主レバー及び副レバーの遠位部によって形成されたクランプをクロノグラフ可動部のクラッチシューに係合させた状態の
図2のクロノグラフ可動部の上面図である。
【
図5】
図5は、クロノグラフが作動しているときの
図3と同様の図である。
【
図7a】
図7aは、クロノグラフが非係合構成から係合構成及びその逆へ移動する際の、
図1のレバー装置の異なる一連の動きを示す1図である。
【
図7b】
図7bは、クロノグラフが非係合構成から係合構成及びその逆へ移動する際の、
図1のレバー装置の異なる一連の動きを示す1図である。
【
図7c】
図7cは、クロノグラフが非係合構成から係合構成及びその逆へ移動する際の、
図1のレバー装置の異なる一連の動きを示す1図である。
【
図7d】
図7dは、クロノグラフが非係合構成から係合構成及びその逆へ移動する際の、
図1のレバー装置の異なる一連の動きを示す1図である。
【
図8a】
図8aは、水平式クラッチを持つクロノグラフの始動及び停止を制御すべく配置された、別の実施形態によるレバー装置の上面図である。
【
図8b】
図8bは、クロノグラフが係合構成にあるときの
図8aと同様の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特に
図1及び
図2に示される好ましい実施形態によれば、レバー装置10は、垂直式クラッチ40を持つクロノグラフ可動部を備えるクロノグラフの始動及び停止の制御に使われる。この目的のため、レバー装置10は、例えば2時方向に位置する押しボタン(図示せず)によって作動可能な押しボタンコマンド12を備える。
【0033】
従来、押しボタンコマンド12は、コラム車のラチェット18と協働するクリック14によってコラム車16を回転させるように配置されていて、その静止時の角度位置はブレードばね19によって維持されている。クリック14は、通常、押しボタンコマンド12及びクリック14間の機械的接続を提供するバヨネットシステム15によって、軸上で枢動するように取り付けられている。
【0034】
1実施形態では、レバー装置10はさらに、第1枢動軸24上で自由に枢動運動するように取り付けられた主レバー20と、第2枢動軸31上で自由に枢動するように取り付けられた副レバー30とを備える。主レバー20と副レバー30のそれぞれは、クランプを形成するようにクロノグラフ可動部40の両側に配置された遠位部26、32を備える。好ましくは、主レバー及び副レバーはそれぞれ一体で剛性がある。主レバー20は副レバー30と協働し、遠位部26、32を互いに向かい合う方向又は反対方向に移動させ、後に述べる詳細な説明では、クロノグラフ可動部40を係合構成から非係合構成及びその逆へ移動可能なクランプの機能を果たす。
【0035】
クランプの遠位部26、32で往復運動を誘発するため、主レバー20は、脱進機のアンカーのように、コラム車16のコラム17を協働するように配置された第1クチバシ21a及び第2クチバシ21bを備えたアンカーに似た部分を備える。主レバー20のアンカー及び遠位部26は、第1枢動軸24の両側に配置されている。これにより、主レバー20を、遠位部26と遠位部32がクロノグラフ可動部40を非係合構成に保持する第1のロックされた角度位置から、クロノグラフ可動部40が非係合構成から係合構成に移行するように遠位部26、遠位部32をクロノグラフ可動部40から係合解除する第2のロックされた角度位置に移動させられる。
【0036】
この目的のため、第1クチバシ21a及び第2クチバシ21bは、2つのクチバシがコラム車16の両側に配置されるように、コラム17の外周側部によって画定される円の一部に実質的に沿って延在する円の円弧の形の主レバーのエッジ23の端部に配置される。二つのクチバシ(第1クチバシ21a、第2クチバシ21b)は、それらの間に、コラム車の回転軸に対して、90°から270°の間、好ましくは120°から180°の間、理想的には140°から160°の間で備える角度α(
図7a)を形成する。
【0037】
エッジ23と前記コラム17の外周側部によって画定される円の円弧との間には、主レバー20が第1のロックされた角度位置及び第2のロックされた角度位置の一方又は他方に枢動する際に、第1クチバシ21a及び第2クチバシ21bのみがコラム車のコラム17に接するように、隙間が設けられている。
【0038】
このようにして、主レバーは、2つの角度位置のいずれにおいても安定した位置を確保するので、レバー装置は、有利なことに、衝撃が装置の部品に与える影響を最小限にすることを可能にする。
【0039】
主レバー20の各クチバシ21a、21b(第1クチバシ21a、第2クチバシ21b)は、主レバー20を第1位置及び第2位置の一方又は他方に作動させるため、以下に詳述する
図7aから
図7dによって示される一連の動きの説明による、コラム車のコラム17と協働することを意図した衝接面22(
図7b及び
図7d)を持つ。
【0040】
図3及び
図4を参照すると、クロノグラフ可動部40は、時計ムーブメントの歯車列(図示せず)と直接又は間接的に係合する秒の可動部44と、秒の可動部44が自由に枢動するように取り付けられたクロノグラフ軸41と、クロノグラフ軸41に取り付けられたクラッチシュー46と、クラッチシュー46と協働するように配置されたクラッチばね52とを備える。後者は好ましくはカップ状である。
【0041】
カップは、秒の可動部44と接するように意図された下側面50と、カップ46の外周に延在する傾斜側部49と、傾斜側部49の上部からクロノグラフ軸41に垂直な方向に半径方向に延在する環状エッジ48とを備える。カップ46はさらに、クロノグラフ軸41上に形成された肩又はカラー42に対向するクラッチばね52を備える。クラッチばね52は、クロノグラフ軸41上で固定されている又は自由に回転可能である。
【0042】
図4に示すクロノグラフ可動部40は、主レバー20及び副レバー30のそれぞれの遠位部26、32の端部がクラッチシュー46の環状エッジ48に接し、後者を秒車44の可動部から離間させる係合解除構成にある。この構成では、クロノグラフ軸41は秒車44から切り離されている。したがって、クロノグラフは作動していない。
【0043】
レバー装置10が作動され、クロノグラフ可動部40が非係合構成にあるとき、主レバー20及び副レバー30のそれぞれの遠位部26、32は、互いに離れて移動し、
図6に示される位置に到達する。クラッチシュー46はもはや遠位部26、32によって支持されず、クラッチばね52によって秒44の可動部に押し付けられる。こうしてクロノグラフ可動部40は、クロノグラフ軸41を回転させるためにクラッチシュー46が摩擦によって秒の可動部44によって駆動される係合構成になる。したがって、クロノグラフは、遠位部26、32がクラッチシュー46の環状エッジ48から外れるとすぐに作動する。
【0044】
クロノグラフ可動部40が係合構成にあるときにレバー装置10を再び作動させると、遠位部26、32の端部がクラッチシュー46の環状エッジ48の側部に拘束力を及ぼし、これによってクラッチシュー46が秒44の可動部から外れてクロノグラフ可動部40が非係合構成になるように軸方向に変位する。環状エッジ48の側部及び遠位部26、32の端部の一方又は両方は、クラッチシュー46の軸方向移動を可能にするために、傾斜した側部27、33となっている。
【0045】
図4及び
図6では、クロノグラフ可動部40は、クロノグラフ軸41に固定された、クロノグラフをゼロにリセットするカム54をさらに備える。このカム54は、クロノグラフをゼロにリセットするため、レバー(図示せず)によって作動するように配置されている。このレバーは、例えば4時位置に配置された押し子によって作動可能である。好ましくは弾性特性を持つ指部56もクロノグラフ軸41に固定され、クロノグラフの分針を分の数の表示器に応じて定められた角度だけ回転させる。
【0046】
ここから、レバー装置10の異なる一連の動きを
図7aから
図7dに関連して説明する。
【0047】
図7aでは、レバー装置10はクロノグラフ可動部40を非係合構成で保持している。この構成において、主レバー20のアンカーの第1クチバシ21aの先端は、コラム車16のコラム17の外周側部に当接している。主レバーのアンカーの第2クチバシ21bの先端は、他の2つのコラム17の間に位置する。これにより、主レバー20及び副レバー30の角度位置が保証され、それらの遠位部26、32がクロノグラフ可動部40のクラッチシュー46を秒の可動部44から離れた位置に保持する(
図4)。これによりクロノグラフは停止する。
【0048】
図7bでは、押しボタンコマンドが作動すると、クリック14は従来の方法でコラム車を回転させる。第1クチバシ21aの先端は、それが載っていたコラムの外周側部から外れる一方、第2クチバシ21bの衝接面22は、
図7cに示されるように、第2クチバシ21bの先端がコラムの外周側部に載り、第1クチバシ21aの先端が他の2つのコラムの間に入るまで、主レバー20をその枢動軸24を中心に反時計回りに枢動させるために、別のコラム17に接する。
【0049】
図7bでは、主レバー20の枢動運動は、機械的な連結を介して、副レバー30をその枢動軸31を中心に時計回りに枢動させる。副レバー30を枢動させるため、主レバー20は、副レバー30の副連結部34に連結された主連結部28を備える。後者は、例えば、指部を備えてよく、その一端は、主レバー又は副レバーの切り欠き部に配置される。主レバー20及び副レバー30の一方又は両方は、機械的な連結に拘束力を与えるために、ブレードばね36を備えてもよく、その結果、2つのレバー間の恒久的な接触が保証される。
【0050】
副レバー30の枢動運動とは反対の方向への主レバー20の枢動運動は、前述したように、クラッチシュー46を解放するように、遠位部26、32のそれぞれを反対方向に移動させ、クロノグラフを始動させるために、クラッチシュー46が秒(
図6)の可動部44に接するようにする。
【0051】
図7dに示すように、クロノグラフ可動部40が係合構成にあるときに押しボタンコマンドが再び作動すると、クリック14が再びコラム車を回転させ、その結果、第2クチバシ21bの先端が、クロノグラフ可動部40の係合構成において支承されていたコラムの外周側部から外れる。その一方、第1クチバシ21aの衝接面22はコラム17に接し、第1クチバシ21aの先端が別のコラムの外周側部に接し、第2クチバシ21bの先端が他の2つのコラムの間に入るまで、主レバー20を、枢動軸24中心に時計回り方向に枢動させ、
図7aに示されたクロノグラフ可動部40の非係合構成に戻る。
【0052】
それにより、主レバー20は、コラム車16のコラム17の外周側部に常に接していて、これにより、レバーのクチバシがコラム車のコラムとの協働を可能にするので、当該技術分野のクロノグラフレバーにおいては必要な戻しばねの省略が可能になる。
【0053】
このことは、特に、コラム車の作動に必要なトルクの減少による部品の摩耗や破損の減少、始動又は停止機能の機械的ロック、もしくは使い心地の改良のための押しボタンへの圧力の減少など、多くの有利点を持つ。
【0054】
図8a及び
図8bに示された別の実施形態によれば、レバー装置10は、横クラッチを持つクロノグラフの始動及び停止を指令するようになっている。
【0055】
この目的のために、クラッチ車61が主レバー20の遠位部29に回動可能に取り付けられている。主レバー20は、前述の第1実施形態における主レバーと同様に、
図7aから
図7dを参照して説明したように、主レバー20をその枢動軸24を中心に枢動させるためにコラム車16のコラム17と協働するように配置された第1クチバシ21a及び第2クチバシ21bを備えるアンカーを備える。
【0056】
図8aに示される非係合位置では、時計ムーブメントの秒車60を持つクラッチ車61は、クロノグラフ車62から離れた位置にある。押しボタンコマンド(図示せず)が作動すると、クリック14はコラム車16を回転させて主レバー20をその枢動軸24を中心に枢動させ、
図8bに示すように、クラッチ車61がクロノグラフ車62にかみ合う。
【0057】
クラッチ車61のクロノグラフ車62に対する繰り返し衝撃による早期摩耗を避ける又は少なくとも最小限に抑えるために、可撓性の主レバー20及び弾性歯の一方又は両方を持つクラッチ車61を設けることが好ましい。
【0058】
別の実施形態では、レバー装置10は、コラム車16及び第1主レバー20と同一又は類似の少なくとも1つの第2主レバーを備え得る。このようにして、主レバーのそれぞれは、時計の複雑機構のような別の機構の始動及び停止の指令に使えるだろう。代替的に、そして同じ目的で、レバー装置10は、コラム車16と、少なくとも第2の主レバー20及び副レバー30の組とを備え得る。そのようにすると、主レバー及び副レバーの各組が、上述のような別の機構の始動及び停止を制御できる。
【0059】
本発明によるレバー装置は、クロノグラフ機構の始動及び停止の制御に限定されるものではない。始動と停止のタイプ、又はオンとオフタイプの2つの状態又は構成を備えたあらゆるタイプの時計機構に適合可能であり、これらの構成の一方又は他方にし得る。
【0060】
このような機構は、例えば、レバー装置が作動されるにつれて、異なる視覚的外観の第1要素及び第2要素を、例えば窓を通して連続して表示できるようにする表示機構としてよい。本発明によるレバー装置は、緊張した歯車の解放に、機構の修正に、又は機能の選択に、使うこともできる。
【0061】
加えて、レバー装置は、例えば昼夜表示を行うために連続駆動に適合可能である。この場合、レバー装置には、押しボタン、クリック及びラチェットがなく、コラムは時計ムーブメントの歯車列を持つ歯車に固定される。
【符号の説明】
【0062】
10 昇降装置
12 押しボタンコマンド
14 クリック
15 バヨネットシステム
16 コラム車
17 コラム
18 ラチェット
19 ブレードばね
20 主レバー
21a、21b 第1クチバシ、第2クチバシ
22 衝接面
23 エッジ
24 枢動軸
26、29 遠位部
27 傾斜側部
28 主連結部
30 副レバー
31 枢動軸
32 遠位部
33 傾斜側部
34 副結合部
36 ブレードばね
40 クロノグラフ可動部
41 クロノグラフ軸
42 カラー
44 秒の可動部
46 クラッチシュー
47 カップ
48 環状エッジ
49 傾斜側部
50 下側表面
52 クラッチばね
54 カム
56 指部
60 秒車
61 クラッチ車
62 クロノグラフ車
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラム車(16)及び主レバー(20)が、2つの安定位置の間を、第1枢動軸(24)を中心として互い違い枢動するように取り付けられた、前記コラム車(16)及び前記主レバー(20)を備えた時計機構のレバー装置(10)であって、
前記主レバー(20)は、2つのクチバシ(21a、21b)が設けられたアンカーを備え、前記2つのクチバシは、2つの安定位置のそれぞれに互い違いに配置されていて、前記クチバシの1つが2つのコラム(17)の間にあり、前記クチバシのもう1つが別のコラム(17)の外周側部に接していて、
前記主レバー(20)が、前記時計機構を制御する遠位部(26、29)をさらに備える、レバー装置(10)において、
前記主レバー(20)の前記遠位部(26、29)と前記アンカーが、第1枢動軸(24)を中心に枢動するように配置されていることを特徴とする、レバー装置(10)。
【請求項2】
前記主レバー(20)が、剛性であることを特徴とする、請求項1に記載のレバー装置(10)。
【請求項3】
前記主レバー(20)が、一体型であることを特徴とする、請求項
1に記載のレバー装置(10)。
【請求項4】
前記アンカーの前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)が、前記コラム車(16)の両側に配置されていて、前記コラム車(16)の回転軸に対して、90°と270°の間、好ましくは120°と180°の間、理想的には140°と160°の間の角度(α)を、前記第1クチバシ及び前記第2クチバシの間でなしていることを特徴とする、請求項
1に記載のレバー装置(10)。
【請求項5】
前記主レバー(20)が、前記コラム車の複数の前記コラム(17)の外周側部によって画定された円の円弧に実質的に沿って前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)の間に延在するエッジ(23)を備えることを特徴とする、請求項
1に記載のレバー装置(10)。
【請求項6】
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置の一方又は他方に枢動する際に、前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)のみが前記コラム車の前記コラム(17)に接するように、前記エッジ(23)と前記コラム(17)の前記外周側部によって画定された円の前記円弧との間に隙間が存在することを特徴とする、請求項5に記載のレバー装置(10)。
【請求項7】
前記主レバー(20)が、前記2つの安定位置のいずれかでロックされた構成になっていることを特徴とする、請求項
1に記載のレバー装置(10)。
【請求項8】
前記主レバー(20)と協働するように配置された副レバー(30)をさらに備え、
前記副レバー(30)は、前記主レバー(20)の遠位部(26)と把持を形成するための遠位部(32)を備え、
前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が、前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの1つに移動されるとき、互いに向かって移動し、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの他方に移動されるとき、前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの前記遠位部(26、32)は互いに離れる方向に動く
ことを特徴とする、請求項
1に記載のレバー装置(10)。
【請求項9】
請求項
1に記載のレバー装置(10)を備えた時計機構を備えた、時計のムーブメント。
【請求項10】
前記時計機構が、
前記主レバーの前記遠位部(26)を、前記クロノグラフの係合構成及び非係合構成にそれぞれ対応した第1位置及び第2位置の一方又は他方に移動させるために前記2つの安定位置の一方又は他方に前記主レバー(20)を枢動させるため、前記レバー装置(10)の前記コラム車(16)を回転させる、好ましくは、前記コラム車(16)のラチェットと協働するクリック(14)によって回転させるべく配置された押しボタンコマンド(12)を備えたクロノグラフである
ことを特徴とする、請求項9に記載の時計のムーブメント。
【請求項11】
前記クロノグラフは、クロノグラフ車(62)と、前記時計ムーブメントの秒車(60)とかみ合うように前記主レバー(20)の前記遠位部(29)に枢動可能に取り付けられたクラッチ車(61)とを備えた水平式クラッチであり、
前記クラッチ車(61)は、前記主レバー(20)が前記2つの安定した位置のうちの1つにあるとき、前記クロノグラフを非係合構成に維持するために、前記クロノグラフ車(62)から離れているように配置されていて、
前記クラッチ車(61)はさらに、前記主レバー(20)が前記2つの安定した位置のうちの他方にあるときに前記クロノグラフを係合構成にするため、前記クロノグラフ車(62)に係合すべく配置されている
ことを特徴とする、請求項10に記載の時計のムーブメント。
【請求項12】
請求項8に記載のレバー装置(10)を備えた、請求項10に記載の時計のムーブメントにおいて、
前記クロノグラフが、
前記時計のムーブメントの歯車列とかみ合う秒の可動部(44)と、前記秒の可動部(44)が自由に枢動するように取り付けられたクロノグラフ軸(41)と、前記クロノグラフ軸(41)に取り付けられたクラッチシュー(46)と、前記クラッチシュー(46)と協働するクラッチばね(52)とを備える垂直式クラッチ付きクロノグラフ可動部(40)を備え、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの1つに移動されると、前記クラッチシュー(46)と協働して、前記クロノグラフ可動部(40)が、非係合構成にするために前記クラッチシュー(46)を前記秒の可動部(44)から離すようにするため、前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が互いに向かって移動し、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちのもう一方に移動されると、前記遠位部(26、32)は互いに離れる方向に移動し、前記クロノグラフ可動部(40)が、摩擦によって前記秒の可動部(44)によって駆動されるために、前記クラッチばね(52)の作用で前記クラッチシュー(46)が前記秒の可動部(44)に対して保持される係合構成に移動される
ことを特徴とする、請求項10に記載の時計のムーブメント。
【請求項13】
前記クラッチシュー(46)が、前記クロノグラフ可動部(40)の前記係合構成において前記秒の可動部(44)と接するように意図された下側面(50)を備えるカップの形をしていて、
前記カップ(46)を前記秒の可動部(44)に押し付けるため、前記クラッチばね(52)が、前記クロノグラフ軸(41)の肩又はカラー(42)に接している
ことを特徴とする、請求項12に記載の時計のムーブメント。
【請求項14】
前記カップ(46)の上部が、環状エッジ(48)を備え、
前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が、前記クラッチシュー(46)を軸方向に変位させるために前記環状エッジ(48)の下に位置するように配置され、前記クロノグラフ可動部(40)が前記非係合構成になったときに、前記クラッチシュー(46)が前記秒の可動部(44)から外れるようにしている
ことを特徴とする、請求項13に記載の時計のムーブメント。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか一項に記載の時計のムーブメントを備えた時計。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
加えて、レバー装置は、例えば昼夜表示を行うために連続駆動に適合可能である。この場合、レバー装置には押しボタン、クリック及びラチェットがなく、コラムは時計ムーブメントの歯車列を持つ歯車に固定される。
本願は例えば次の観点を提供する。
[観点1]
コラム車(16)及び主レバー(20)が、2つの安定位置の間を、第1枢動軸(24)を中心として互い違い枢動するように取り付けられた、前記コラム車(16)及び前記主レバー(20)を備えた時計機構のレバー装置(10)であって、
前記主レバー(20)は、2つのクチバシ(21a、21b)が設けられたアンカーを備え、前記2つのクチバシは、2つの安定位置のそれぞれに互い違いに配置されていて、前記クチバシの1つが2つのコラム(17)の間にあり、前記クチバシのもう1つが別のコラム(17)の外周側部に接していて、
前記主レバー(20)が、前記時計機構を制御する遠位部(26、29)をさらに備える、レバー装置(10)において、
前記主レバー(20)の前記遠位部(26、29)と前記アンカーが、第1枢動軸(24)を中心に枢動するように配置されていることを特徴とする、レバー装置(10)。
[観点2]
前記主レバー(20)が、剛性であることを特徴とする、観点1に記載のレバー装置(10)。
[観点3]
前記主レバー(20)が、一体型であることを特徴とする、観点1又は2に記載のレバー装置(10)。
[観点4]
前記アンカーの前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)が、前記コラム車(16)の両側に配置されていて、前記コラム車(16)の回転軸に対して、90°と270°の間、好ましくは120°と180°の間、理想的には140°と160°の間の角度(α)を、前記第1クチバシ及び前記第2クチバシの間でなしていることを特徴とする、観点1から3のいずれか一つに記載のレバー装置(10)。
[観点5]
前記主レバー(20)が、前記コラム車の複数の前記コラム(17)の外周側部によって画定された円の円弧に実質的に沿って前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)の間に延在するエッジ(23)を備えることを特徴とする、観点1から4のいずれか一つに記載のレバー装置(10)。
[観点6]
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置の一方又は他方に枢動する際に、前記第1クチバシ及び前記第2クチバシ(21a、21b)のみが前記コラム車の前記コラム(17)に接するように、前記エッジ(23)と前記コラム(17)の前記外周側部によって画定された円の前記円弧との間に隙間が存在することを特徴とする、観点5に記載のレバー装置(10)。
[観点7]
前記主レバー(20)が、前記2つの安定位置のいずれかでロックされた構成になっていることを特徴とする、観点1から6のいずれか一つに記載のレバー装置(10)。
[観点8]
前記主レバー(20)と協働するように配置された副レバー(30)をさらに備え、
前記副レバー(30)は、前記主レバー(20)の遠位部(26)と把持を形成するための遠位部(32)を備え、
前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が、前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの1つに移動されるとき、互いに向かって移動し、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの他方に移動されるとき、前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの前記遠位部(26、32)は互いに離れる方向に動く
ことを特徴とする、観点1から7のいずれか一つに記載のレバー装置(10)。
[観点9]
観点1から8のいずれか一つに記載のレバー装置(10)を備えた時計機構を備えた、時計のムーブメント。
[観点10]
前記時計機構が、
前記主レバーの前記遠位部(26)を、前記クロノグラフの係合構成及び非係合構成にそれぞれ対応した第1位置及び第2位置の一方又は他方に移動させるために前記2つの安定位置の一方又は他方に前記主レバー(20)を枢動させるため、前記レバー装置(10)の前記コラム車(16)を回転させる、好ましくは、前記コラム車(16)のラチェットと協働するクリック(14)によって回転させるべく配置された押しボタンコマンド(12)を備えたクロノグラフである
ことを特徴とする、観点9に記載の時計のムーブメント。
[観点11]
前記クロノグラフは、クロノグラフ車(62)と、前記時計ムーブメントの秒車(60)とかみ合うように前記主レバー(20)の前記遠位部(29)に枢動可能に取り付けられたクラッチ車(61)とを備えた水平式クラッチであり、
前記クラッチ車(61)は、前記主レバー(20)が前記2つの安定した位置のうちの1つにあるとき、前記クロノグラフを非係合構成に維持するために、前記クロノグラフ車(62)から離れているように配置されていて、
前記クラッチ車(61)はさらに、前記主レバー(20)が前記2つの安定した位置のうちの他方にあるときに前記クロノグラフを係合構成にするため、前記クロノグラフ車(62)に係合すべく配置されている
ことを特徴とする、観点10に記載の時計のムーブメント。
[観点12]
観点8に記載のレバー装置(10)を備えた、観点10に記載の時計のムーブメントにおいて、
前記クロノグラフが、
前記時計のムーブメントの歯車列とかみ合う秒の可動部(44)と、前記秒の可動部(44)が自由に枢動するように取り付けられたクロノグラフ軸(41)と、前記クロノグラフ軸(41)に取り付けられたクラッチシュー(46)と、前記クラッチシュー(46)と協働するクラッチばね(52)とを備える垂直式クラッチ付きクロノグラフ可動部(40)を備え、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちの1つに移動されると、前記クラッチシュー(46)と協働して、前記クロノグラフ可動部(40)が、非係合構成にするために前記クラッチシュー(46)を前記秒の可動部(44)から離すようにするため、前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が互いに向かって移動し、
前記主レバー(20)が前記2つの安定位置のうちのもう一方に移動されると、前記遠位部(26、32)は互いに離れる方向に移動し、前記クロノグラフ可動部(40)が、摩擦によって前記秒の可動部(44)によって駆動されるために、前記クラッチばね(52)の作用で前記クラッチシュー(46)が前記秒の可動部(44)に対して保持される係合構成に移動される
ことを特徴とする、観点10に記載の時計のムーブメント。
[観点13]
前記クラッチシュー(46)が、前記クロノグラフ可動部(40)の前記係合構成において前記秒の可動部(44)と接するように意図された下側面(50)を備えるカップの形をしていて、
前記カップ(46)を前記秒の可動部(44)に押し付けるため、前記クラッチばね(52)が、前記クロノグラフ軸(41)の肩又はカラー(42)に接している
ことを特徴とする、観点12に記載の時計のムーブメント。
[観点14]
前記カップ(46)の上部が、環状エッジ(48)を備え、
前記主レバー(20)及び前記副レバー(30)のそれぞれの遠位部(26、32)が、前記クラッチシュー(46)を軸方向に変位させるために前記環状エッジ(48)の下に位置するように配置され、前記クロノグラフ可動部(40)が前記非係合構成になったときに、前記クラッチシュー(46)が前記秒の可動部(44)から外れるようにしている
ことを特徴とする、観点13に記載の時計のムーブメント。
[観点15]
観点9から14のいずれか一つに記載の時計のムーブメントを備えた時計。
【国際調査報告】