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特表2024-545897回転関節用伝動機構、ロボット関節及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】回転関節用伝動機構、ロボット関節及びロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20241206BHJP
   F16H 57/021 20120101ALI20241206BHJP
   F16H 57/023 20120101ALN20241206BHJP
【FI】
B25J17/00
F16H57/021
F16H57/023
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538072
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2022140704
(87)【国際公開番号】W WO2023116766
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111588138.4
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522453131
【氏名又は名称】シャンハイ・フレクシブ・ロボティクス・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】宋庭科
(72)【発明者】
【氏名】王軒
(72)【発明者】
【氏名】安然
【テーマコード(参考)】
3C707
3J063
【Fターム(参考)】
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY36
3C707HS27
3C707KV01
3J063AA27
3J063AB01
3J063AC01
3J063BB41
3J063CA01
3J063CB41
3J063CD02
3J063CD42
(57)【要約】
本願は、回転関節用伝動機構(10)、ロボット関節(1)及びロボットに関する。該回転関節用伝動機構(10)は、駆動部材(100)と、伝動部材(200)と、出力軸(300)と、入力軸(400)と、ハウジング(500)とを含む。駆動部材(100)は、駆動端(110a)を有する。伝動部材(200)は、出力端(210)及び入力端(220)を有する。出力軸(300)は、出力端(210)に駆動接続される。入力軸(400)は、駆動端(110a)及び入力端(220)のいずれにも駆動接続され、かつ出力軸(300)に外嵌される。ハウジング(500)は、入力軸(400)に外嵌される。ハウジング(500)、入力軸(400)、及び出力軸(300)は、3層の嵌合構造を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動端を有する駆動部材と、
出力端及び入力端を有する伝動部材と、
前記出力端に駆動接続された出力軸と、
前記駆動端及び前記入力端のいずれにも駆動接続され、かつ前記出力軸に外嵌された入力軸と、
前記入力軸に外嵌されたハウジングと、を含む、ことを特徴とする回転関節用伝動機構。
【請求項2】
対向する第1側と第2側を有し、前記駆動部材及び前記伝動部材は、いずれも前記第1側に設けられ、前記出力軸及び前記入力軸は、前記第1側から前記第2側まで延伸する、ことを特徴とする請求項1に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項3】
前記出力軸、前記入力軸及び前記ハウジングの前記第2側の端部は、順に階段状に設けられ、前記出力軸の端部は、前記入力軸の端部及び前記ハウジングの端部より突出する、ことを特徴とする請求項2に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項4】
前記出力軸は、第1伝動軸と第1取付軸とを含み、前記第1伝動軸の前記第1側に近接する部分は、前記伝動部材の前記出力端に駆動接続され、前記第1伝動軸の前記第2側に近接する部分は、前記第1取付軸に固定接続され、前記入力軸は、第2伝動軸と第2取付軸とを含み、前記第2伝動軸の前記第1側に近接する部分は、前記伝動部材の前記入力端に駆動接続され、前記第2伝動軸の前記第1側から離れる部分は、前記第2取付軸に固定接続され、前記第2伝動軸は、前記駆動部材の前記駆動端に駆動接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項5】
前記第1取付軸の少なくとも一部は、前記第1伝動軸の前記第2側に近接する部分に挿設され、前記第2取付軸の少なくとも一部は、前記第2伝動軸の前記第2側に近接する部分に挿設される、ことを特徴とする請求項4に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項6】
前記第1伝動軸の外径は、前記第1取付軸の外径よりも大きく、前記第2伝動軸の内径は、前記第2取付軸の内径よりも小さい、ことを特徴とする請求項4に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項7】
前記第1取付軸と前記第2取付軸との間には、第1軸受が嵌設され、前記第1取付軸の外壁には、前記第1軸受の前記第1側に近づく方向への移動を制限するように構成された第1肩部が設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項8】
前記第2取付軸と前記ハウジングとの間には、第2軸受が嵌設され、前記ハウジングの内壁には、前記第2軸受の前記第1側に近づく方向への移動を制限するように構成された第2肩部が設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の回転関節用伝動機構。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の回転関節用伝動機構を含む、ことを特徴とするロボット関節。
【請求項10】
請求項9に記載のロボット関節を含む、ことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自動化機械の技術分野に関し、特に、回転関節用伝動機構、ロボット関節及びロボットに関する。
<関連出願の相互参照>
【0002】
本願は、2021年12月23日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が2021115881384で、発明の名称が「回転関節用伝動構造」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は参照により本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
回転関節は、ロボット、ロボットアーム、多段回転体回転システムなどの自動化機械における一般的な部品である。回転関節の伝動機構の主な部品は、一般的に関節の軸方向に沿って順に配置される。例えば、入力端エンコーダ、入力回転軸、モータ/減速機システム、出力回転軸及び出力端エンコーダは、関節の軸方向に順に設けられてもよい。しかし、このような取付構造は、多くの軸方向の空間を占有し、径方向の空間の利用率が低いなどの明らかな弊害がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、軸方向の空間を節約し、径方向の空間を十分に利用することができる回転関節用伝動機構、ロボット関節及びロボットを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の様々な実施例によれば、
駆動端を有する駆動部材と、
出力端及び入力端を有する伝動部材と、
前記出力端に駆動接続された出力軸と、
前記駆動端及び前記入力端のいずれにも駆動接続され、かつ前記出力軸に外嵌された入力軸と、
前記入力軸に外嵌されたハウジングと、を含む、回転関節用伝動機構を提供する。
【0006】
一実施例において、前記伝動機構は、対向する第1側と第2側を有し、前記駆動部材及び前記伝動部材は、いずれも前記第1側に設けられ、前記出力軸及び前記入力軸は、前記第1側から前記第2側まで延伸する。
【0007】
一実施例において、前記出力軸、前記入力軸及び前記ハウジングの前記第2側の端部は、順に階段状に設けられ、前記出力軸の端部は、前記入力軸の端部及び前記ハウジングの端部より突出する。
【0008】
一実施例において、前記出力軸は、第1伝動軸と第1取付軸とを含み、前記第1伝動軸の前記第1側に近接する部分は、前記伝動部材の前記出力端に駆動接続され、前記第1伝動軸の前記第2側に近接する部分は、前記第1取付軸に固定接続され、前記入力軸は、第2伝動軸と第2取付軸とを含み、前記第2伝動軸の前記第1側に近接する部分は、前記伝動部材の前記入力端に駆動接続され、前記第2伝動軸の前記第1側から離れる部分は、前記第2取付軸に固定接続され、前記第2伝動軸は、前記駆動部材の前記駆動端に駆動接続される。
【0009】
一実施例において、前記第1取付軸の少なくとも一部は、前記第1伝動軸の前記第2側に近接する部分に挿設され、前記第2取付軸の少なくとも一部は、前記第2伝動軸の前記第2側に近接する部分に挿設される。
【0010】
一実施例において、前記第1伝動軸の外径は、前記第1取付軸の外径よりも大きく、前記第2伝動軸の内径は、前記第2取付軸の内径よりも小さい。
【0011】
一実施例において、前記第1取付軸と前記第2取付軸との間には、第1軸受が嵌設され、前記第1取付軸の外壁には、前記第1軸受の前記第1側に近づく方向への移動を制限するように構成された第1肩部が設けられる。
【0012】
一実施例において、前記第2取付軸と前記ハウジングとの間には、第2軸受が嵌設され、前記ハウジングの内壁には、前記第2軸受の前記第1側に近づく方向への移動を制限するように構成された第2肩部が設けられる。
【0013】
本願の別の態様は、上記いずれかの実施例に記載の回転関節用伝動機構を含むロボット関節を提供する。
【0014】
本願の別の態様は、上記実施例に記載のロボット関節を含むロボットを提供する。
【0015】
本願の1つ又は複数の実施例の詳細は、以下の図面及び説明で述べられる。本願の他の特徴、目的及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に開示される実施例及び/又は例をよりよく記載かつ説明するために、1つ又は複数の図面を参照することができる。図面を説明するために使用される付加の詳細或いは例は、開示された出願、現在記載されている実施例及び/又は例、及び現在理解されている最良の形態のいずれかの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0017】
図1】本願の一実施例に係る伝動機構の構造概略図である。
図2図1の伝動機構のA-A線に沿った断面図である。
図3図2の伝動機構の領域Bの部分拡大図である。
図4図2の伝動機構の右側部分の部分斜視図である。
図5図2に示す伝動機構におけるモータ/減速機システムの内部接続構造の概略図である。
図6】本願の一実施例に係るロボットの構造概略図である。
図7】従来技術における伝動機構の断面図を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ロボット関節、10 伝動機構、101 動力システム、100 駆動部材、110 ロータ、120 ステータ、110a 駆動端、200 伝動部材、210 出力端、220 入力端、300 出力軸、310 第1伝動軸、320 第1取付軸、321 第1端、322 第2端、330 第1肩部、340 第1環状ボス、400 入力軸、410 第2伝動軸、420 第2取付軸、421 第3端、422 第4端、430 第2環状ボス、440 第3環状ボス、500 ハウジング、510 環状溝、520 第5端、530 第6端、540 収容溝、550 第2肩部、600 第1軸受、700 第2軸受、101a 動力システム、300a 出力軸、400a 入力軸、800a 入力端エンコーダ、900a 出力端エンコーダ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明された具体的な実施形態は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではない。
【0020】
なお、素子が他の素子に「固定される」と称される場合、当該素子は他の素子上に直接位置してもよいが、それらの間に介在する素子が存在してもよい。素子が他の素子に「接続される」と考えられる場合、当該素子は他の素子に直接接続されてもよいが、それらの間に介在する素子が同時に存在してもよい。本明細書で用いられる用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及び同様の表現は、説明のみを目的としており、唯一の実施形態を表すものではない。
【0021】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本願の説明において本明細書で用いられる用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としており、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0022】
図1図2及び図5に示すように、本願の一実施例は、回転関節用伝動機構10を提供し、該伝動機構10は、ロボット、ロボットアーム、多段回転体回転システムなどの関連分野及び場面に適用することができる。該回転関節用伝動機構10は、駆動部材100と、伝動部材200と、出力軸300と、入力軸400と、ハウジング500と、第1軸受600と、第2軸受700とを含む。該回転関節用伝動機構10は、良好な組立同軸度を満たすとともに、径方向の空間を十分に利用し、軸方向の空間を節約することができる。伝動機構10は、対向する第1側(例えば、図2における左側)と第2側(例えば、図2における右側)を有し、駆動部材100及び伝動部材200は、いずれも第1側に設けられ、出力軸300及び入力軸400は、いずれも第1側から第2側まで延伸する。駆動部材100及び伝動部材200は、いずれも第1側に設けられ、入力軸400及び出力軸300は、第1側から第2側まで延伸することにより、関節の他の部材(例えば、エンコーダなど)を設けるために第2側に十分な空間を確保することができる一方、入力軸400及び出力軸300は、大型で構造が複雑な駆動部材100(例えば、モータなど)及び伝動部材200(例えば、減速機など)と干渉しない。
【0023】
具体的には、図5に示すように、駆動部材100は、駆動端110aを有する。本実施例において、駆動部材100は、モータであり、モータは、ステータ120及びロータ110を有し、ロータ110は、駆動端110aである。もちろん、他の実施例において、駆動部材100は、エアシリンダ、油圧シリンダなどの他の駆動機構であってもよい。
【0024】
具体的には、図2及び図5に示すように、伝動部材200は、出力端210及び入力端220を有する。本実施例において、伝動部材200は、減速機である。もちろん、他の実施例において、伝動部材200は、他の形態の伝動機構10であってもよい。本実施例において、駆動部材100及び伝動部材200は、動力システム101として組み立てられてもよい。
【0025】
さらに、図2及び図4に示すように、出力軸300及び入力軸400は、いずれも細長い中空軸であり、かつ入力軸400と出力軸300との間の径方向隙間が小さくなるように構成されてもよい。本実施例において、入力軸400は、出力軸300に外嵌される。図5に示すように、出力軸300は、出力端210に駆動接続される。入力軸400は、駆動端110a、入力端220のいずれにも駆動接続される。本実施例において、入力軸400の外周面は、歯車の噛合により駆動端110aと噛合し、当然ながら、他の実施例において、入力軸400と駆動端110aとの間は、端面接続(例えば、フランジ接続)であってもよい。
【0026】
具体的には、図2及び図5に示すように、出力軸300は、第1伝動軸310及び第1取付軸320を含む。第1伝動軸310の一端は、出力端210に駆動接続される。第1取付軸320は、第1端321と第2端322を有し、第1端321は、相対的に第1側に近接して設けられ、第2端322は、相対的に第2側に近接して設けられる。第1端321は、第1伝動軸310の出力端210から離れる一端に接続され、このように、出力軸300を介して伝動部材200である減速機によって減速された低回転速度高トルクの動力を出力することができる。図3に示すように、第1取付軸320の外壁に第1肩部330が設けられる。本実施例において、第1肩部330は、具体的には、第1取付軸320の外壁に設けられた環状突起である。図2及び図3に示すように、第1取付軸320の外壁に第1環状ボス340が設けられ、第1取付軸320の第1端321を有する部分は、第1伝動軸310内に挿設され、かつ第1伝動軸310の出力端210から離れる一端は、第1環状ボス340に当接する。第1環状ボス340は、第1肩部330よりも動力システム101(又は伝動部材200)に近く、即ち、図2において、第1環状ボス340は、第1肩部330の左側に位置する。
【0027】
具体的には、図2及び図5に示すように、入力軸400は、第2伝動軸410及び第2取付軸420を含む。第2伝動軸410の一端は、入力端220に駆動接続され、第2伝動軸410の一側は、モータのロータ110に接続される。具体的には、図2及び図5に示すように、第2取付軸420は、第3端421及び第4端422を有し、第3端421は、相対的に第1側に近接して設けられ、第4端422は、相対的に第2側に近接して設けられる。第3端421は、第2伝動軸410の入力端220から離れる一端に接続され、このように、入力軸400は、モータの高回転速度低トルクの動力を減速機に入力することができる。図2及び図3に示すように、第2取付軸420の内壁には、第2環状ボス430が設けられ、第2環状ボス430は、第1肩部330よりも動力システム101に近く、即ち、図2において、第2環状ボス430は、第1肩部330の左側に位置する。第2伝動軸410の動力システム101から離れる部分は、第2取付軸420に挿設され、第2伝動軸410の入力端220から離れる一端は、第2環状ボス430に当接する。このように、第2伝動軸410と第2取付軸420との締め具合を高める一方、第2伝動軸410の第2取付軸420内に挿設される部分の長さを制限することができる。もちろん、第2取付軸420と第2伝動軸410との組立方式は、これに限定されず、第2取付軸420と第2伝動軸410とは、他の方式で組み立てられてもよい。
【0028】
さらに、第1伝動軸310の外径は、第1取付軸320の外径より大きく、第2伝動軸410の内径は、第2取付軸420の内径より小さい。このように、伝動機構の第2側に十分な軸受取付空間を提供できる一方、第1取付軸320と第2取付軸420との間の隙間をできるだけ小さくし、伝動機構の全体構造をよりコンパクトにすることができる。
【0029】
さらに、図2及び図3に示すように、ハウジング500は、中空筒状構造である。本実施例において、ハウジング500は、入力軸400に外嵌され、具体的には、第2取付軸420に外嵌される。具体的には、ハウジング500の内壁に第3環状ボス440に合わせる環状溝510が設けられ、ハウジング500が第2取付軸420に外嵌される場合、第3環状ボス440は、環状溝510内に挿設される。これにより、入力軸400とハウジング500との締め具合を高めることができる。
【0030】
ハウジング500は、第5端520と、第6端530とを有する。第5端520は、相対的に第1側に近接して設けられ、第6端530は、相対的に第2側に近接して設けられる。第1端321、第3端421及び第5端520は、動力システム101に近接する側に位置し、第2端322、第4端422及び第6端530は、動力システム101から離れる側に位置する。ハウジング500は、固定され、かつステータ120に接続される。図3に示すように、ハウジング500の内壁に第2肩部550が設けられ、本実施例において、第2肩部550は、具体的には、ハウジング500の内壁に設けられた環状突起である。具体的には、第3環状ボス440は、第2肩部550よりも動力システム101(又は伝動部材200)に近く、即ち、図2において、第3環状ボス440は、第2肩部550の左側に位置する。
【0031】
従来技術において、図7に示すように、回転関節用伝動機構10は、一般的に、入力軸400a、動力システム101a及び出力軸300aが軸方向に沿って順次設けられてなり、入力軸400a及び出力軸300aの端部には、それぞれ入力端エンコーダ800a及び出力端エンコーダ900aが接続される。このように設けることで、多くの軸方向の空間を占有し、径方向の空間の利用率が低い。本願において、ハウジング500、入力軸400及び出力軸300は、3層の嵌合構造を形成し、従来の右から左へ軸方向に沿って線形に分布する配置方式に比べて、良好な組立同軸度を満たすとともに、関節の全長を短くし、軸方向の空間を節約し、径方向の空間を十分に利用することができる。
【0032】
以下、本願に係る回転関節用伝動機構10の動力伝達過程を具体的に説明する。
【0033】
モータは、ロータ110が回転し、高回転速度低トルクの動力を、入力軸400を介して減速機に伝達し、減速機は、モータが発生した高回転速度低トルクの動力を低回転速度高トルクの動力に変換し、出力軸300を介して他の機器に伝達する。これにより、伝動機構10の動力伝達が完了する。
【0034】
さらに、図2及び図3に示すように、第2端322、第4端422及び第6端530は、階段状に設けられる。具体的には、第2端322と動力システム101(又は伝動部材200)との距離は、第4端422と動力システム101(又は伝動部材200)との距離よりも大きく、第4端422と動力システム101(又は伝動部材200)との距離は、第6端530と動力システム101(又は伝動部材200)との距離よりも大きく、即ち、第2端322は、第4端422が位置する平面から突出し、第4端422は、第6端530が位置する平面から突出し、このように設けることで、ハウジング500、第1取付軸320及び第2取付軸420の取り付け及び取り外しを容易にする。もちろん、他の実施例において、逆に、第2端322と動力システム101(又は伝動部材200)との距離は、第4端422と動力システム101(又は伝動部材200)との距離よりも小さく、第4端422と動力システム101(又は伝動部材200)との距離は、第6端530と動力システム101(又は伝動部材200)との距離よりも小さく、即ち、第4端422は、第2端322が位置する平面から突出し、第6端530は、第4端422が位置する平面から突出してもよい。他の実施例において、第1端321、第3端421及び第5端520は、階段状に設けられてもよい。
【0035】
さらに、図2及び図3に示すように、第1軸受600は、第1取付軸320と第2取付軸420との間に設けられ、即ち、第1軸受600は、第1取付軸320に外嵌され、第2取付軸420は、第1軸受600に外嵌される。本実施例において、第1軸受600は、第1取付軸320と第2取付軸420との間の、第4端422に近接する一端に位置し、第1肩部330は、第1軸受600が第4端422から離れる方向へ移動することを制限するように構成される。本実施例において、第1軸受600が第1取付軸320と第2取付軸420との間に取り付けられる場合、第1軸受600の一端は、第1肩部330に当接し、第1軸受600の他端は、第4端422が位置する平面と面一であり、第1軸受600の外輪は、第2取付軸420の内壁に当接し、第1軸受600の内輪は、第1取付軸320の外壁に当接する。このように、第1軸受600は、第1取付軸320及び第2取付軸420の伝動部材200から離れる側を支持する役割を果たすとともに、第1取付軸320及び第2取付軸420が互いに独立して回転することを保証することができる。本実施例において、第1軸受600は、深溝玉軸受であり、深溝玉軸受は、転動体がボールの転がり軸受であり、各軌道輪がいずれも横断面がボールの周長の約3分の1である連続溝型軌道を有するラジアル玉軸受であり、摩擦抵抗が小さく、回転速度が高いという特徴を有し、ラジアル荷重又はラジアル方向とアキシャル方向に同時に作用する複合荷重を受ける機械部品に用いられてもよく、アキシャル荷重を受ける機械部品に用いられてもよい。もちろん、他の実施例において、第1軸受600は、他のタイプの軸受であってもよい。
【0036】
好ましくは、図2及び図3に示すように、第1軸受600と第1取付軸320の外壁との間、及び第1軸受600と第2取付軸420の内壁との間は、接着剤によって固定されることにより、第1軸受600が第1取付軸320と第2取付軸420との間に取り付けられる。具体的には、609接着剤を接着剤として用い、609接着剤は、高い接着強度を有し、第1軸受600と第1取付軸320、第2取付軸420との係合強度を向上させることができる。もちろん、必要に応じて他のタイプの接着剤を選択してもよい。第1軸受600と第1取付軸320の外壁との間、及び第1軸受600と第2取付軸420の内壁との間は、第1軸受600が第1取付軸320と第2取付軸420との間に取り付けられるように、締まり嵌めされてもよい。本実施例において、第1軸受600と第1取付軸320の外壁との間、及び第1軸受600と第2取付軸420の内壁との間は、締まり嵌めであり、同時に接着剤によって固定される。このように、第1軸受600と第1取付軸320、第2取付軸420との係合強度を確保することができる。
【0037】
さらに、図2及び図3に示すように、第2軸受700は、第2取付軸420とハウジング500との間に設けられ、即ち、第2軸受700は、第2取付軸420に外嵌され、ハウジング500は、第2軸受700に外嵌される。本実施例において、第2軸受700は、第2取付軸420とハウジング500との間の、第6端530に近接する一端に位置し、第2肩部550は、第2軸受700が第6端530から離れる方向へ移動することを制限するように構成される。具体的には、ハウジング500の内壁に環状の収容溝540が設けられ、第2肩部550が収容溝540の底壁に設けられる。第2軸受700が第2取付軸420とハウジング500との間に取り付けられる場合、第2軸受700は、収容溝540内に挿設され、第2軸受700の一端は、第2肩部550に当接し、第2軸受700の他端は、収容溝540の1つの側壁と面一であり、第2軸受700の外輪は、収容溝540の底壁に当接し、第2軸受700の内輪は、第2取付軸420の外壁に当接する。このように、第2軸受700は、第2取付軸420及びハウジング500の伝動部材200から離れる側を支持する役割を果たすとともに、第2取付軸420がハウジング500に対して回転できることを保証する。もちろん、第2軸受700の組立方式は、これに限定されず、他の方式で第2軸受700の組立を実現してもよい。
【0038】
本実施例において、第2軸受700も深溝玉軸受である。もちろん、他の実施例において、第2軸受700は、他のタイプの軸受であってもよい。本実施例において、ハウジング500と第2取付軸420との間の径方向の間隔が第2取付軸420と第1取付軸320との間の径方向の間隔よりも大きい場合に適応するように、第2軸受700は、第1軸受600よりも寸法が大きい深溝玉軸受である。もちろん、他の実施例において、第1軸受600と第2軸受700は、必要に応じて、同じ寸法、型番の深溝玉軸受であってもよい。
【0039】
好ましくは、図2及び図3に示すように、第2軸受700と第2取付軸420の外壁との間、及び第2軸受700とハウジング500の内壁との間は、接着剤によって固定されることにより、第2軸受700が第2取付軸420とハウジング500との間に取り付けられる。具体的には、609接着剤を接着剤として用い、609接着剤は、高い接着強度を有し、第2軸受700と第2取付軸420、ハウジング500との間の係合強度を向上させることができる。もちろん、必要に応じて他のタイプの接着剤を選択してもよい。第2軸受700と第2取付軸420の外壁との間、及び第2軸受700とハウジング500の内壁との間は、第2軸受700が第2取付軸420とハウジング500との間に取り付けられるように、締まり嵌めされてもよい。本実施例において、第2軸受700と第2取付軸420の外壁との間、及び第2軸受700とハウジング500の内壁との間は、締まり嵌めであり、同時に接着剤によって固定される。このように、第2軸受700と第2取付軸420、ハウジング500との係合強度を確保することができる。
【0040】
以下、本願に係る回転関節用伝動機構10の取り付け及び取り外し過程を具体的に説明する。
【0041】
取り付けの際に、まず、第1取付軸320の第1端321を第1伝動軸310に取り付け、第2取付軸420の第3端421を第2伝動軸410に取り付ける。その後、図2における右側、即ち、3層の嵌合構造の動力システム101(又は伝動部材200)から離れる側から、第1軸受600を第1取付軸320と第2取付軸420との間に圧入し、第1軸受600の一端を第1肩部330に当接させ、第1軸受600の他端を第4端422が位置する平面と面一にする。第1軸受600と第1取付軸320の外壁との間、及び第1軸受600と第2取付軸420の内壁との間は、接着剤による接着及び締まり嵌めによって固定される。その後、第2軸受700の一端が第2肩部550に当接し、第2軸受700の他端が収容溝540の一側壁と面一になるように、第2軸受700をハウジング500の収容溝540に圧入する。第2軸受700とハウジング500の内壁との間は、接着剤により接着されて固定される。最後に、ハウジング500を第2軸受700とともに第2取付軸420に外嵌する。第2軸受700と第2取付軸420の外壁との間は、接着剤により接着固定される。同時に、第2軸受700と第2取付軸420の外壁との間、及び第2軸受700とハウジング500の内壁との間は、締まり嵌めにより固定される。このように、回転関節用伝動機構10の取り付け過程が完了する。まず、第2軸受700をハウジング500に圧入してから、第2軸受700とハウジング500との組合体を第2取付軸420に取り付けるため、第2軸受700と第2取付軸420の外壁との間の係合のみを考慮すればよく、取付隙間の誤差を減少させるとともに、取付の難しさを低減することができる。
【0042】
取り外しの際に、まず、ハウジング500と第2軸受700との組合体を第2取付軸420から取り外し、次に、専用治具を用いて第2取付軸420を第2伝動軸410から取り外すとともに、第1軸受600を第1取付軸320から取り外し、最後に、専用治具を用いて第1取付軸320を第1伝動軸310から取り外す。
【0043】
ハウジング500、第2取付軸420及び第1取付軸320の動力システム101から離れる側(即ち、第2端322、第4端422及び第6端530)が階段状に設けられるため、ハウジング500、第2取付軸420及び第1取付軸320の一層ずつの取り付けを容易にするとともに、ハウジング500、第2取付軸420及び第1取付軸320の一層ずつの取り外しを容易にし、特に、取り外しを必要とする部品を専用治具で挟持しやすくする。また、全体の構造がコンパクトで、外観が小さく、他の構造に集積しやすい。
【0044】
また、第1軸受600及び第2軸受700を設けることにより、第2取付軸420及び第1取付軸320、又は出力軸300及び入力軸400の互いに独立した回転を実現するとともに、出力軸300、入力軸400及びハウジング500の径方向に対する確実な剛性支持を実現する。
【0045】
同時に、第1軸受600と第2軸受700は、いずれも接着剤による接着と締まり嵌めとを組み合わせることによって第1取付軸320と第2取付軸420との間、及び第2取付軸420とハウジング500との間に固定され、同時に第1肩部330、第2肩部550によって位置制限を行い、余分な固定や位置制限部材を必要とせず、3層の嵌合構造を大幅に簡略化し、製造の難しさとコストを低減する。
【0046】
図6に示すように、本願の一実施例は、上記いずれかの実施例に記載の伝動機構10を有するロボット関節1をさらに提供する。
【0047】
図6に示すように、本願の一実施例は、少なくとも1つの上記ロボット関節1を有するロボットをさらに提供する。
【0048】
上記回転関節用伝動機構10は、少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0049】
該伝動機構10において、図2及び図5に示すように、入力軸400は、駆動端110a及び入力端220に駆動接続されて、駆動部材100の駆動端110aから出力された運動エネルギーを入力軸400を介して伝動部材200の入力端220に伝達し、出力軸300は、出力端210に駆動接続されて、伝動部材200の運動エネルギーを出力することで、駆動部材100から伝動部材200への運動エネルギーの伝達を実現する。ハウジング500、入力軸400及び出力軸300は、3層の嵌合構造を形成し、右から左へ軸方向に沿って線形に分布する従来の配置方式に比べて、良好な組立同軸度を満たすとともに、関節の全長を短くすることができ、例えば、3層の嵌合構造の長さを20ミリメートル以下に短くすることができる。軸方向に沿って線形に分布する従来の配置方式に比べて、約26%の軸方向の空間を節約し、径方向の空間を十分に利用する。
【0050】
上述した実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができる簡潔に説明するために、上述した実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの組み合わせは矛盾がない限り本明細書に記載された範囲に属すると考えられるべきである。
【0051】
上述した実施例は本願のいくつかの実施形態に過ぎず、それらの説明は具体的で詳細であるが、本願の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本願の趣旨を離脱しない限り、本願に対して各種の変形及び改善を行ってもよく、これらの変形及び改善は、いずれも本願の保護範囲に属する。よって、本願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲を基準とするべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】