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特表2024-545899二次電池負極活物質用のシリコンナノ粒子及びこの製造方法
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  • 特表-二次電池負極活物質用のシリコンナノ粒子及びこの製造方法 図1
  • 特表-二次電池負極活物質用のシリコンナノ粒子及びこの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】二次電池負極活物質用のシリコンナノ粒子及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20241206BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
C01B33/02 E
H01M4/38 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538133
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2022020928
(87)【国際公開番号】W WO2023128448
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192783
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513280854
【氏名又は名称】オーシーアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCI Company Ltd.
【住所又は居所原語表記】94,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul,100-718(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】オ,ミンギョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジュンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チ,ウンオク
【テーマコード(参考)】
4G072
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072BB05
4G072BB12
4G072DD05
4G072GG01
4G072GG03
4G072HH01
4G072MM26
4G072TT01
4G072TT02
4G072TT19
4G072UU30
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA19
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050GA05
5H050HA05
(57)【要約】
本発明は、金属、酸素のような不純物含量を最小化しつつ、粒度が制御されたシリコンナノ粒子の効率良い製造方法に関し、具体的には、ポリシリコン微粉を原材料として使用することにより、80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmの粒度を有し、総金属不純物含量が200ppm以下かつ総酸素含量は10.0%以下である、シリコンナノ粒子の製造方法を提供することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシリコン微粉を乾式粉砕する段階;及び
前記乾式粉砕したポリシリコン微粉を湿式粉砕する段階;
を含み、
前記ポリシリコン微粉は、0.2mm<D50<0.4mm及び0.5mm<D90<1mmの粒度を有し、総金属不純物含量が500ppm以下であり、
前記シリコンナノ粒子は、80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmの粒度を有し、総金属不純物含量が200ppm以下である、
シリコンナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記シリコンナノ粒子の総酸素含量は、10.0%以下である、
請求項1に記載のシリコンナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記乾式粉砕は、ボールミル(ball mill)装置、ジェットミル(jet mill)装置およびディスクミル(disk mill)装置からなる群から選択される1種の装置で行われるものである、
請求項1に記載のシリコンナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記湿式粉砕は、1次湿式粉砕及び2次湿式粉砕に分けて、ビーズミル(bead mill)装置で行われ、
前記1次湿式粉砕及び2次湿式粉砕は、互いに異なるサイズの第1ビーズ及び第2ビーズを使用して行われ、前記第2ビーズの平均サイズは、第1ビーズの平均サイズよりも小さいものである、
請求項1に記載のシリコンナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記湿式粉砕は、アルコール系溶媒を添加して行われるものである、
請求項1に記載のシリコンナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記アルコール系溶媒にステアリン酸(Stearic acid)を添加する、
請求項5に記載のシリコンナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコンナノ粒子の製造方法に従って製造された、
シリコンナノ粒子。
【請求項8】
請求項7に記載のシリコンナノ粒子を含む、
二次電池用負極活物質。
【請求項9】
請求項7に記載のシリコンナノ粒子を含む二次電池用負極活物質を含む、
二次電池用負極材。
【請求項10】
請求項7に記載のシリコンナノ粒子を含む二次電池用負極活物質を含む、
二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の初期放電容量(IDC)、初期効率(ICE)および寿命特性を向上させることができる二次電池負極活物質用のシリコンナノ粒子及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の性能の向上は、正極材、負極材、電解液の構成要素に基づく。
【0003】
上記構成要素のうち、負極材の負極活物質として主に使用される黒鉛系素材は、優れた電気化学的性能を有し、安値により、商業的に常用されているが、理論容量が370mAh/gに制限されるため、高容量の二次電池に適用するには限界点がある。
【0004】
上記限界点を克服するためにシリコン、スズ、ゲルマニウムなどの非黒鉛系負極材が代替材料として台頭し、そのうちシリコンは、理論容量が4000~4200mAh/gに至り、黒鉛に比べてほぼ10倍以上の高容量を示すため、黒鉛に取り替えられる物質として注目されている。しかし、高い理論容量に比べて充放電過程で、約400%に達する大きな体積膨張が発生して、物質の構造的な破壊と低い寿命を有するようになる。
【0005】
シリコンの体積膨張を緩和する方法では、炭素素材を混合して、複合素材を製造する方法が開発されており、シリコン材料としては、シリコンナノ粒子を使用することが知られている。
【0006】
二次電池に適用するとき、電池性能を向上させることができるように、負極活物質として優れた品質を示すためには、シリコンナノ粒子は、金属、酸素などの不純物含量が低い、かつ、粒度を調節することが必要である。
【0007】
このため、様々なシリコン原材料を使用して、シリコンナノ粒子を製造してきているが、シリコン原材料自体の純度が低い、原材料及び加工コストが高い、加工時に不純物が流入しやすいなど、依然として問題点が存在している。
【0008】
具体的には、メタルシリコン(MG-Si)をシリコン原材料として使用する場合、不純物含量が高く、粉砕過程を経ながらも不純物含量を大きく減らしにくい。よって、メタルシリコンをナノ粒子化して、二次電池に適用する場合、電池の充放電に際して副反応を起こり得、結果的には電池の性能に悪影響を及ぼすようになる問題点がある。
【0009】
また、シリコンインゴット(ingot)の切断時に生成されるシリコンカーフ(Si kerf)を原材料として使用する場合、原料自体は、高純度であり得るものの、切断加工時に使用される潤滑油及び水によって汚染しやすいという工程上の短所もある。水に接触したシリコンは、酸化が起こることから、これを原材料として使用する場合、酸素及び不純物の含量が高くなるため、はやり二次電池に適用するとき、電池性能が落ち得る。
【0010】
また、ポリシリコンチャンク(chunk)やチップ(chip)を使用する場合、初期粒子サイズが大き過ぎるため、粉砕段階が増え、粉砕時間とコストが増加する。また、他の原材料に比べて価格が高いため、非効率的であり、大量生産に不適合であるという短所がある。
【0011】
よって、上記問題点を解決して、金属、酸素のような不純物含量を最小化し、かつ、粒度が制御されたシリコンナノ粒子を効率良く製造及び生産することができる方法を開発することが必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、金属、酸素のような不純物含量を最小化しつつ、粒度が制御されたシリコンナノ粒子の効率良い製造方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、二次電池の初期放電容量、初期効率および寿命特性を向上させることができるように、上記製造方法で製造された二次電池用負極活物質、及びこれを含む二次電池用負極材と二次電池を提供することである。
【0014】
本発明の目的は、以上で言及した目的に限らず、言及していない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解することができ、本発明の実施例によってより明らかに理解することができる。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせによって実現することができ、分かりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、ポリシリコン微粉を乾式粉砕する段階;及び前記乾式粉砕したポリシリコン微粉を湿式粉砕する段階;を含み、前記ポリシリコン微粉は、0.2mm<D50<0.4mm及び0.5mm<D90<1mmの粒度を有し、総金属不純物含量が500ppm以下であり、前記シリコンナノ粒子は、80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmの粒度を有し、総金属不純物含量が200ppm以下である、シリコンナノ粒子の製造方法を提供することができる。
【0016】
本発明の他の一態様によれば、80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmの粒度を有し、総金属不純物含量が200ppm以下であり、総酸素含量は、10.0%以下である、シリコンナノ粒子を提供することができる。
【0017】
本発明のさらに他の一態様によれば、本発明のシリコンナノ粒子を含む、二次電池用負極活物質を含む二次電池用負極材及び二次電池を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるシリコンナノ粒子の製造方法によれば、比較的に原材料コストが低く、金属不純物含量が低いポリシリコン微粉を原材料として使用するため、工程コストを節減して、シリコンナノ粒子を効率良く製造することができる。
【0019】
本発明によるシリコンナノ粒子の製造方法によれば、80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmの粒度を有し、総金属不純物含量が200ppm以下であり、総酸素含量は、10.0%以下である、高純度かつ高品質のシリコンナノ粒子を製造することができる。
【0020】
本発明によるシリコンナノ粒子の製造方法に従って製造されたシリコンナノ粒子を二次電池用負極活物質として適用することにより、二次電池の初期放電容量、初期効率および寿命特性を向上させることができる。
【0021】
上述した効果並びに本発明の具体的な効果は、以下の発明を実施するための形態を説明すると共に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1、比較例1および比較例2によるシリコンナノ粒子を適用したハーフセルテストの初期充電効率(Initial coulombic efficiency;ICE;最初充電量に対する放電量)及び初期放電容量(Initial discharge capacity;IDC;最初放電容量)をフローティングしたグラフを示した図である。
図2】本発明の実施例1、比較例1および比較例2によるシリコンナノ粒子を適用したハーフセルテストの容量維持率グラフを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
前述した目的、特徴および長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術思想を容易に実施することができる。本発明の説明にあたり、本発明に係る公知の技術に関する具体的な説明が、本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合には、詳細な説明を省略する。以下では、添付の図面を参照して、本発明による好ましい実施例を詳説することとする。図面における同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示すために使われる。
【0024】
本明細書に記載されていない内容のうち、この技術分野における通常の技術者であれば技術的に十分類推できるものは、その説明を省略することとする。
【0025】
本明細書における「金属不純物の金属」は、シリコンナノ粒子を二次電池の負極活物質として適用するとき、品質に影響を及ぼす金属元素を言うものであって、代表的には、本明細書の表2及び3に記載のAl~Znの24種の金属元素を意味するものの、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0026】
以下における構成要素の「上部(又は下部)」又は構成要素の「上(又は下)」に任意の構成が配されるということは、任意の構成が、上記構成要素の上面(又は下面)に接して配されるだけでなく、上記構成要素と、上記構成要素上に(又は下に)配された任意の構成との間に他の構成が介在し得ることを意味する。
【0027】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載されている場合、上記構成要素は、互いに直接に連結されるかまたは接続されていてもよいが、各構成要素の間に他の構成要素が「介在」するか、各構成要素が他の構成要素を介して「連結」、「結合」または「接続」されていてもよいものと理解しなければならない。
【0028】
本明細書における「<X」及び「≦X」は、それぞれX未満であるもの及びX以下であるものを意味し、「>X」及び「≧X」は、それぞれXを超えるもの及びX以上であるものを意味する。
【0029】
本明細書において、ボール及びビーズのサイズは、「直径(diameter)」を意味する。
【0030】
以下では、本発明によるシリコンナノ粒子の製造方法を詳説することとする。
【0031】
本発明は、ポリシリコン微粉をシリコンナノ粒子の原材料として使用するが、ポリシリコン微粉は、相対的に需要の少ない原料であるため、価格が安く、不純物含量が非常に低くて、二次電池の活物質として使用すると、二次電池の性能を向上させることができる。
【0032】
具体的には、本発明は、0.2mm<D50<0.4mm及び0.5mm<D90<1mmの粒度を有し、かつ、総金属不純物含量が500ppm以下であるポリシリコン微粉を原材料として選択することが好ましい。これらのポリシリコン微粉の原材料を粉砕することにより、好ましくは、80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmの粒度、より好ましくは、100nm<D50<120nm及び120nm<D90<200nmの粒度を有し、かつ、総金属不純物含量が200ppm以下である、シリコンナノ粒子を製造することができる。
【0033】
ポリシリコン微粉を粉砕することにおいて、乾式粉砕及び湿式粉砕に分けて行うことができ、粉砕を行うことによって、シリコン粒子のサイズは、徐々に小さくなるようにしなければならず、粉砕を行う装置は、特に制限なく、当業界で用いる装置を用いることができる。
【0034】
例えば、乾式粉砕は、ボールミル(ball mill)装置、ジェットミル(jet mill)装置およびディスクミル(disk mill)装置からなる群から選択される1種の装置で行うことができ、好ましくは、ボールミル装置で行うことができる。
【0035】
乾式粉砕をボールミル装置で行う場合、ボールミルのボール(ball)は、略10~50mmサイズであるものを選択することができ、より好ましくは、10~30mmサイズであるものを選択することができ、さらに好ましくは、20~25mmサイズであるものを選択することができる。
【0036】
また、乾式粉砕に際してボールミル装置を選択する場合、使用されるボール(ball)の材質では、セラミック材質、金属材質、セラミック-金属の混合材質などであり、特に制限されるものではないものの、本明細書の表2及び3に記載の金属不純物を主成分として含む材質は、使わないことが好ましい。また、ボール(ball)の材質では、粉砕工程における性能に優れる粉砕性能を示し得る硬度、密度などの特性を有する材質を選択することがさらに好ましいため、具体例では、ジルコニウム(Zr)を含むジルコニアボール(zirconia ball)を使用することができる。
【0037】
湿式粉砕は、1次湿式粉砕及び2次湿式粉砕の2回に分けて行うことができ、例えば、湿式粉砕は、ビーズミル装置で行うことができ、1次湿式粉砕後、2次湿式粉砕によってシリコンナノ粒子の粒度が80nm<D50<150nm及び100nm<D90<250nmを満たすように調節することができる。
【0038】
例えば、1次湿式粉砕及び2次湿式粉砕をいずれもビーズミル装置で行うことができ、このとき、1次湿式粉砕で使用するビーズである第1ビーズの平均サイズよりも、2次湿式粉砕で使用するビーズである第2ビーズの平均サイズが、さらに小さいものを選択することが好ましい。
【0039】
具体的には、第1ビーズの平均サイズは、例えば、0.2~5mmであってもよく、例えば、0.3~1mmであってもよく、0.3~0.5mmであってもよく、第2ビーズの平均サイズは、例えば、0.05~0.5mmであってもよく、0.1~0.3mmであってもよく、0.1~0.2mmであってもよいものの、これに限定されるものではなく、第1ビーズの平均サイズは、第2ビーズの平均サイズよりも大きいものを選択しなければならない。
【0040】
また、湿式粉砕に際してビーズミル装置を選択する場合、使用されるビーズ(bead)の材質では、セラミック材質、金属材質、セラミック-金属の混合材質など、特に制限されるものではないものの、本明細書の表2及び3に記載の金属不純物を主成分として含む材質は、使わないことが好ましい。また、ビーズ(bead)の材質では、粉砕工程における性能に優れる粉砕性能を示し得る硬度、密度などの特性を有する材質を選択することがさらに好ましいため、具体例では、ジルコニウム(Zr)を含むジルコニアビーズ(zirconia bead)を使用することができる。
【0041】
このように、湿式粉砕を行う際には溶媒を使用するが、このとき、アルコール系溶媒を使用することができ、例えば、エタノール、プロパノール、メタノールなどのアルコール系溶媒を使用することができる。
【0042】
また、シリコンの分散度を高めて、シリコンの酸化を防止するための目的で、湿式粉砕を行う際には添加剤を溶媒と共に使用することができ、例えば、前記添加剤としてステアリン酸を使用することができる。好ましくは、添加剤としてのステアリン酸は、湿式粉砕を始める前に溶媒に溶解させた後、シリコンと共に攪拌して、混合しながら分散度を高めることができる。
【0043】
湿式又は乾式粉砕を行うことによって、切断装置に使用される潤滑油などの物質と、湿式粉砕で使用する水などの溶媒によって汚染されることが一般的であるため、不純物含量は、さらに高くなり得、特に、シリコン酸化によって酸素含量が増加し得る。
【0044】
このように、シリコンナノ粒子の酸素含量が増加すると、二次電池用負極活物質として適用するとき、二次電池の性能低下を起こし得る。よって、シリコンナノ粒子の総酸素含量を少なく調節することが重要であり、これは、不純物金属含量とは別の特性であり、シリコンナノ粒子の粒度調節と関係なく別途満たすべきである、高い品質の高純度シリコンナノ粒子に要求されることである。よって、最終に製造されるシリコンナノ粒子の総酸素含量は、10.0%以下であるのが好ましい。
【0045】
このように、本発明のシリコンナノ粒子の製造方法に従って製造されたシリコンナノ粒子は、高純度かつ精密に粒度が制御されることにより、二次電池に適用するとき、初期放電容量、初期効率および寿命特性を向上させることができる効果を有していてもよい。
【実施例
【0046】
以下では、本発明の好ましい実施例によって、本発明の構成及び作用をさらに詳説することとする。但し、これは、本発明の好ましい例示に提示されたものであり、どのような意味でも、これによって本発明が制限されるとは解釈されない。
【0047】
1.シリコンナノ粒子の製造
実施例1は、ポリシリコン微粉(OCI,ST900)を原材料として使用し、比較例1は、メタルシリコン(MG-Si)を原材料として使用し、比較例2は、シリコンカーフ(Si kerf)を原材料として使用した。乾式粉砕は、ジルコニアボールを使用するボールミル装置において、湿式粉砕は、ジルコニアビーズ(bead)を使用するビーズミル装置で行って、シリコンナノ粒子を製造した。
【0048】
実施例1、比較例1および比較例2の原材料の初期粒度及び最終粒度と行った粉砕条件(ボール又はビーズのサイズ及び粉砕時間)は、下記の表1に示したとおりである。
【0049】
【表1】
【0050】
上記表1に示したように、実験の同一な比較のため、粉砕後の最終粒度が最大限に類似する値を有するように調節しており、原材料の初期粒度がそれぞれ異なるため、粉砕過程を相違にして行った。
【0051】
上記湿式粉砕段階では、原材料100重量部(600g)に対しエタノール400重量部(2400g)とステアリン酸20重量部(120g)とを混合して行った。
【0052】
実施例1及び比較例1~2のシリコン原材料(粉砕前)の金属含量を下記の表2に示し、シリコンナノ粒子(粉砕後;スラリー状態)の金属不純物含量及び酸素含量を下記の表3に示した。このとき、金属不純物含量は、Thermo fisher社の「iCAP 7600」装備で測定し、酸素の含量は、LECO社の「ONH836」装備で測定した。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
上記表2及び3から分かるように、実施例1のシリコンナノ粒子は、比較例1及び2のシリコンナノ粒子に比べて、不純物金属元素の含量が顕著に低かった。
【0056】
また、実施例1は、湿式粉砕を2回も行っているにもかかわらず、湿式粉砕を1回又は2回行った比較例1及び2に比べて酸素含量が低く、総酸素含量が10%以下であることを満たしている。
【0057】
2.ハーフセルテスト(Half-Cell Test)
(1)シリコン-炭素複合材の製造
実施例1、比較例1および比較例2でそれぞれ製造されたシリコンナノ粒子スラリーとピッチ(軟化点が240℃であるHSPP;OCI社)を用いて、シリコン-炭素複合材を製造し、具体的な方法は、次のとおりである。
【0058】
THF(tetrahydrofuran)200mlにピッチを4.5g完全に溶解させた後、粉砕したシリコンナノ粒子スラリーを40g入れて、1時間以上攪拌した。その後、蒸発器(evaporator)を用いて乾燥させた後、乾燥した粉末をマッフル炉(muffle furnace)に入れて、窒素ガス雰囲気下で、1000℃に熱処理して、シリコン-炭素複合材を製造した。
【0059】
(2)ハーフセルの製造
二次電池用負極材の電気化学的特性を分析するために、シリコン-炭素複合材 10重量%と人造黒鉛90重量%とを混合した粉末を負極活物質とする負極極板を製作した。前記負極極板は、活物質、導電材(Imerys Graphite&Carbon社、Super-P)、バインダを94:1:5の重量比で混合したスラリーを銅ホイルにキャスティングして製造し、このとき、バインダは、CMCとSBRを3:7の重量比で混合して使用した。製作された負極極板は、Li metalを相対電極として使用して、コインセルに製作し、電気化学的特性を確認した。
【0060】
(3)ハーフセルテストの測定方法及び条件
充放電条件は、充電CC/CV:0.01V/0.01C、放電CC1.5Vであり、律速は、0.2Cとした。
【0061】
ハーフセル装置-TOSCAT-3100装備を用いて、初期充電効率(Initial coulombic efficiency;ICE;最初充電量に対する放電量)、初期充電容量(Initial charge capacity;ICC;最初充電容量)および初期放電容量(Initial discharge capacity;IDC;最初放電容量)をそれぞれ測定して、下記の表4に示し、ICE及びIDCをフローティングしたグラフは、図1に示した。また、40サイクルでの寿命を測定して、容量維持率に関するグラフを図2に示した(横軸:サイクル数、縦軸:比放電容量)。
【0062】
【表4】
【0063】
上記表4、図1および図2から分かるように、実施例1のシリコンナノ粒子を適用した場合、他の原材料(MG-Si,Si kerf)である比較例1及び2に比べて初期充電容量(ICC)、初期放電容量(IDC)、初期効率(ICE)など、全ての面に優れ、かつ、容量維持率も向上したことが分かった。
【0064】
以上のように、本発明について例示の図面を参照して説明したが、本発明は、本明細書で開示の実施例と図面によって限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内における通常の技術者にとって様々な変形を行えることは自明である。さらに、本発明の実施例を上述しながら、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明しなかったとしても、該構成によって予測可能な効果も認めるべきであることは当然である。
図1
図2
【国際調査報告】