(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】心膜切開デバイスおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3209 20060101AFI20241206BHJP
【FI】
A61B17/3209
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539091
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-26
(86)【国際出願番号】 US2022054185
(87)【国際公開番号】W WO2023129615
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2022-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516209360
【氏名又は名称】アトリキュア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイデンハウス,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】ブドケ,レイチェル,ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ギラム,クリストフ,ルイス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF04
4C160FF05
4C160MM33
4C160NN22
(57)【要約】
心膜切開デバイスが開示される。心膜切開デバイスの例は、細長シャフトと、シャフト上の遠位に配置されたエンドエフェクタとを含む。エンドエフェクタは、先端部分と貫通要素とを含む。先端部分は、心膜の標的部分を係合するように構成された開口部を含み、先端部分への真空の印加時に、心膜の標的部分を心臓の外部表面から分離するように構成される。貫通要素は、先端部分に真空が印加されると貫通要素が心膜の標的部分に開口部を作製するように働くように、先端部分内に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心膜を通る開口部を作製するように構成された心膜切開デバイスであって、
細長シャフトと、
前記シャフト上の遠位に配置されたエンドエフェクタであって、
心膜の標的部分に係合するように構成された開口部を含む先端部分であって、前記先端部分への真空の印加時に、前記心膜の前記標的部分を心臓の外部表面から分離するように構成される、先端部分と、
前記先端部分に真空が印加されると少なくとも1つの貫通要素が前記心膜の前記標的部分に開口部を作製するように働くように、前記先端部分内に配置された前記少なくとも1つの貫通要素と
を備えるエンドエフェクタと
を備える心膜切開デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分内の固定位置に配置される、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項3】
前記開口部は、遠位開口部を含み、
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分内で前記遠位開口部に対して近位に引っ込められる、請求項2に記載の心膜切開デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの貫通要素は、概ね三角形のブレードを含み、
前記ブレードは、前記先端部分内で概ね直径方向に向けられ、前記ブレードは、遠位に向けられた先鋭点を備える、請求項3に記載の心膜切開デバイス。
【請求項5】
前記ブレードは、少なくとも1つの斜めに向けられた切断エッジを備える、請求項4に記載の心膜切開デバイス。
【請求項6】
前記ブレードの前記切断エッジの向きを示す外部から視認可能なしるしをさらに備える、請求項5に記載の心膜切開デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分に対して移動可能に配置される、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分に対して遠位に移動可能に配置される、請求項7に記載の心膜切開デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの貫通要素は、針を含む、請求項8に記載の心膜切開デバイス。
【請求項10】
前記シャフト上の近位に配置されたハンドルをさらに備え、
前記ハンドルは、前記針を近位後退位置から遠位伸長位置に解放するために操作可能な針解放アクチュエータを備える、請求項9に記載の心膜切開デバイス。
【請求項11】
前記ハンドルは、前記針を前記伸長位置から前記後退位置に移動させるために操作可能な針後退アクチュエータを備える、請求項10に記載の心膜切開デバイス。
【請求項12】
前記ハンドルは、前記針の伸長位置の長手方向位置を調整するために操作可能な針深さアクチュエータを備える、請求項10に記載の心膜切開デバイス。
【請求項13】
前記針は中空針を含む、請求項9に記載の心膜切開デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分に対して回転可能に移動可能に配置される、請求項7に記載の心膜切開デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの貫通要素は、針を含む、請求項14に記載の心膜切開デバイス。
【請求項16】
前記シャフト上の近位に配置されたハンドルをさらに備え、
前記ハンドルは、前記針を後退近位位置から遠位伸長位置に回転させるために操作可能な針回転アクチュエータを備える、請求項15に記載の心膜切開デバイス。
【請求項17】
前記エンドエフェクタは、針操作機構を備え、
前記針操作機構は、アクスル上に回転可能に配置された針マウントを備え、
前記針は、前記針マウント上に配置され、
前記心膜切開デバイスは、前記針回転アクチュエータと前記針操作機構とを作動的に結合するリンケージを備える、請求項16に記載の心膜切開デバイス。
【請求項18】
前記針は湾曲した針を含む、請求項15に記載の心膜切開デバイス。
【請求項19】
前記先端部分は、前記先端部分の近位部分が前記シャフトの外径とほぼ同じ外径を有し、前記先端部分の遠位端が前記シャフトの前記外径よりも大きい外径を有するように、ベル形状に形成される、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項20】
前記先端部分の前記遠位端の前記外径は、前記シャフトの前記外径の約2倍である、請求項19に記載の心膜切開デバイス。
【請求項21】
前記先端部分に流体的に結合され、真空源に流体的に結合するように構成された少なくとも1つの真空コネクタをさらに備える、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項22】
心膜を通る開口部を作製する方法であって、
心膜を心膜切開デバイスのエンドエフェクタの先端部分の開口部に引き寄せるために前記エンドエフェクタが前記心膜に近接する間に、前記開口部に真空を印加するステップであって、前記エンドエフェクタは、前記開口部に近接して配置された貫通要素を含む、ステップと、
前記先端部分に真空を印加することによって、前記心膜の標的部分と心臓の外部表面との間の距離を増加させて、貫通間隔をもたらすステップと、
前記貫通間隔が維持されている間に前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素と接触させることによって、前記心膜の前記標的部分を貫通して、それを通る開口部を作製するステップと、を含む方法。
【請求項23】
前記貫通要素は、前記先端部分に対して固定位置に配置され、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素と接触させるステップは、前記心膜の前記標的部分を前記先端部分に近位に引き込んで貫通要素に接触させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素と接触させた後、前記開口部を拡大するステップをさらに含み、
前記開口部を拡大するステップは、前記心膜切開デバイスの前記エンドエフェクタを前記心膜に対して横方向に移動させることによって、前記心膜を前記貫通要素で横方向に切断するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記拡大操作は、前記先端部分に真空が維持されている間に行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記貫通要素は、前記先端部分に対して遠位に移動可能に配置され、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素と接触させるステップは、前記貫通要素を前記先端部分に対して遠位に移動させて前記心膜の前記標的部分を貫通させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記貫通要素を前記先端部分に対して遠位に移動させて前記心膜の前記標的部分を貫通させるステップは、前記貫通要素を近位の後退位置から解放して遠位の伸長位置に移動させるステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記貫通要素を前記先端部分に対して遠位に移動させる前に、前記貫通要素を前記伸長位置から前記後退位置に近位に移動させ、前記貫通要素を前記後退位置に保持するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記貫通要素を前記先端部分に対して遠位に移動させるステップは、針解放アクチュエータを操作するステップを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記貫通要素を前記先端部分に対して遠位に移動させる前に、針深さアクチュエータを操作して、前記伸長位置での前記貫通要素の長手方向位置を調整するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記貫通要素は、前記先端部分に対して回転可能に移動可能に配置され、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素と接触させるステップは、前記貫通要素を前記先端部分に対して回転させるステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記貫通要素を前記先端部分に対して回転させるステップは、前記貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に回転させるステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記貫通要素は、湾曲した針を含み、
前記貫通要素を前記先端部分に対して回転させて前記心膜の前記標的部分を貫通させるステップは、前記湾曲した針を直径方向に向けられたアクスルの周りで回転させるステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記貫通要素を前記先端部分に対して回転させて前記心膜の前記標的部分を貫通させるステップは、前記心膜切開デバイスのハンドル部分上に配置された針回転アクチュエータを操作するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記貫通要素を前記近位の後退位置から前記遠位の伸長位置に回転させるステップは、
前記貫通要素を前記近位の後退位置から回転的に前記後退位置と前記伸長位置との間の一部伸長位置に回転させて、前記貫通要素を前記心膜の前記標的部分と係合させるステップと、
前記貫通要素と前記心膜の前記標的部分との係合を確かめるステップと、
前記貫通要素を前記一部伸長位置から前記伸長位置に回転させて、前記心膜の前記標的部分を切断して、それを通る前記開口部を作製するステップと、を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記貫通要素を前記一部伸長位置から前記伸長位置に回転させる前に、前記心膜切開デバイスを近位に移動させて、前記心膜の前記標的部分と心臓の前記外部表面との間の前記距離をさらに増加させるステップをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
心膜を通る開口部を作製する方法であって、
心膜切開デバイスのエンドエフェクタの先端部分の開口部を心膜と係合させるステップであって、前記エンドエフェクタは、前記先端部分と、前記先端部分に近接して配置された少なくとも1つの貫通要素とを備える、ステップと、
前記先端部分に真空を印加することによって、前記心膜の標的部分を心臓から分離するステップと、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素で貫通することによって、前記心膜の前記標的部分を通る開口部を作製するステップと、を含む、方法。
【請求項38】
前記貫通要素は、前記先端部分に対して固定位置に配置された固定貫通要素を含み、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素で貫通するステップは、真空を用いて前記心膜の前記標的部分を前記エンドエフェクタの前記先端部分に引き込んで、前記固定貫通要素に接触させるステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記エンドエフェクタを前記心膜上で横方向に移動させることによって前記開口部を拡大するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記貫通要素は、遠位移動可能貫通要素を含み、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素で貫通するステップは、前記遠位移動可能貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に解放するステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記貫通要素は、回転可能貫通要素を含み、
前記心膜の前記標的部分を前記貫通要素で貫通するステップは、前記貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に回転させるステップを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
組織を係合する方法であって、
エンドエフェクタを組織表面に近接してリポジショニングするステップと、
貫通体を前記組織表面と接触していない後退位置から、前記組織表面と接触し組織表面内に延びる係合位置に、長手方向に回転させるステップと、
前記組織を張設させるために、前記エンドエフェクタを前記組織表面と反対の方向にリポジショニングするステップと、を含む方法。
【請求項43】
前記貫通体を前記係合位置から前記貫通体が前記組織を穿刺する穿刺位置に長手方向に回転させ続けるステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記エンドエフェクタが前記組織表面に近接するときに前記エンドエフェクタに真空を印加するステップをさらに含み、前記エンドエフェクタを前記組織表面に近接してリポジショニングするステップは、前記エンドエフェクタと前記組織表面との間にシールを形成するように前記エンドエフェクタをポジショニングするステップを含む、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、いずれも参照により組み込まれる2022年1月29日に出願された米国特許非仮出願第17/588,227号および2021年12月29日に出願された米国特許仮出願第63/294,455号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、医療機器およびデバイスならびに関連する方法を対象とし、特に、心膜に開口部を作製するための外科用デバイスならびに関連する方法を対象とする。
【0003】
本開示は、いくつかの内部解剖学的構造が1つ以上の組織層によって少なくとも部分的に覆われ得ることを考える。例えば、哺乳類において、心臓は心膜と呼ばれる嚢状の組織に部分的に囲まれる。
【0004】
さらに、本開示は、低侵襲処置(例えば内視鏡的処置)などのいくつかの外科処置に関連して、そのような解剖学的構造へのアクセスを得る必要があり得ることを考える。例えば、一部の心臓の処置に関連して、外科用機器が心臓に直接アクセスすることを可能にするために心膜を貫通する必要があり得る。本明細書で使用されるところの「心膜切開」は、患者の心膜を通る開口部が作製される外科処置を指し得る。心膜切開は、心房細動を治療するための心臓アブレーションおよび/または左心耳の閉塞などに関連して、外科医が患者の心臓にアクセスすることを可能にするために行われ得る。
【0005】
本開示は、特に低侵襲処置に関連して、外科医が心膜切開を行う際に課題に直面し得ることを考える。例えば、下にある心外膜(すなわち心臓壁)に実質的に影響を与える(例えば切断するまたは焼く)ことなく心膜を通る開口部を作製することが一般に望ましい。加えて、患者の心臓が鼓動している状態で(例えば心肺バイパスを用いずに)心膜切開が行われるときには、心臓および/または心膜の動きにより処置の複雑度が高まり得る。
【0006】
既知のデバイスおよび技術を使用して心膜切開が行われているが、心膜切開デバイスの構造および操作の改良が使用者(例えば外科医)および患者にとって有益である。本開示は、心膜切開デバイスの構造、操作、および使用方法を向上させ得る様々な改良を含む。
【0007】
心膜を通る開口部を作製するように構成された心膜切開デバイスを提供することが本開示の一態様である。この心膜切開デバイスは、細長シャフトと、シャフト上の遠位に配置されたエンドエフェクタとを含み得る。エンドエフェクタは、心膜の標的部分を係合するように構成された開口部を含む先端部分を含み得る。先端部分は、先端部分への真空の印加時に、心膜の標的部分を心臓の外部表面から分離するように構成され得る。エンドエフェクタは、先端部分に真空が印加されると少なくとも1つの貫通要素が心膜の標的部分に開口部を作製するように働き得るように、先端部分内に配置された少なくとも1つの貫通要素を含み得る。
【0008】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分内の固定位置に配置され得る。開口部は、遠位開口部を含み得、および/または貫通要素は、先端部分内で遠位開口部に対して近位に引っ込められ得る。貫通要素は、概ね三角形のブレードを含み得、ならびに/または、ブレードは、先端部分内で概ね直径方向に向けられ得、および/もしくは遠位に向けられた先鋭点を含み得る。ブレードは、少なくとも1つの斜めに向けられた切断エッジを含み得る。心膜切開デバイスは、ブレードの切断エッジの向きを示す外部から視認可能なしるしを含み得る。
【0009】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分に対して移動可能に配置され得る。貫通要素は、先端部分に対して遠位に移動可能に配置され得る。貫通要素は、針を含み得る。心膜切開デバイスは、シャフト上の近位に配置されたハンドルを含み得、および/または、ハンドルは、針を後退近位位置から遠位伸長位置に解放するために操作可能な針解放アクチュエータを含み得る。ハンドルは、針を伸長位置から後退位置に移動させるために操作可能な針後退アクチュエータを含み得る。ハンドルは、針の伸長位置の長手方向位置を調整するために操作可能な針深さアクチュエータを含み得る。いくつかの実施形態では、針は中空針を含み得る。
【0010】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分に対して回転可能に移動可能に配置され得る。貫通要素は、針を含み得る。心膜切開デバイスは、シャフト上の近位に配置されたハンドルを含み得、および/または、ハンドルは、針を後退近位位置から遠位伸長位置に回転させるために操作可能な針回転アクチュエータを含み得る。エンドエフェクタは、アクスル上に回転可能に配置された針マウントを含み得る針操作機構を含み得る。針は、針マウント上に配置され得る。心膜切開デバイスは、針回転アクチュエータと針操作機構とを作動的に結合するリンケージを含み得る。いくつかの実施形態では、針は湾曲した針を含み得る。
【0011】
詳細な実施形態では、先端部分は、先端部分の近位部分がシャフトの外径とほぼ同じ外径を有し、先端部分の遠位端がシャフトの外径よりも大きい外径を有するように、ベル形状に形成され得る。いくつかの実施形態では、先端部分の遠位端の外径は、シャフトの外径の約2倍であり得る。
【0012】
詳細な実施形態では、心膜切開デバイスは、先端部分に流体的に結合され、真空源に流体的に結合するように構成された少なくとも1つの真空コネクタを含み得る。
【0013】
心膜を開口部に引き寄せるために、エンドエフェクタが心膜に近接する間に心膜切開デバイスのエンドエフェクタの先端部分の開口部に真空を印加するステップであって、エンドエフェクタは、開口部に近接して配置された貫通要素を含む、ステップと、先端部分に真空を印加することによって、心膜の標的部分と心臓の外部表面との間の距離を増加させて、貫通間隔をもたらすステップと、および/または、貫通間隔が維持されている間に心膜の標的部分を貫通要素と接触させることによって、心膜の標的部分を貫通して、それを通る開口部を作製するステップとを含む、心膜を通る開口部を作製する方法を提供することが本開示の一態様である。
【0014】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分に対して固定位置に配置され得る。心膜の標的部分を貫通要素と接触させるステップは、心膜の標的部分を先端部分に近位に引き込んで貫通要素に接触させるステップを含み得る。本方法は、心膜の標的部分を貫通要素と接触させた後、開口部を拡大するステップを含み得る。開口部を拡大するステップは、心膜切開デバイスのエンドエフェクタを心膜に対して横方向に移動させることによって、心膜を貫通要素で横方向に切断するステップを含み得る。拡大操作は、先端部分に真空が維持されている間に行われ得る。
【0015】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分に対して遠位に移動可能に配置され得る。心膜の標的部分を貫通要素と接触させるステップは、貫通要素を先端部分に対して遠位に移動させて心膜の標的部分を貫通させるステップを含み得る。貫通要素を先端部分に対して遠位に移動させて心膜の標的部分を貫通させるステップは、貫通要素を近位の後退位置から解放して遠位の伸長位置に移動させるステップを含み得る。本方法は、貫通要素を先端部分に対して遠位に移動させる前に、貫通要素を伸長位置から後退位置に近位に移動させ、貫通要素を後退位置に保持するステップを含み得る。貫通要素を先端部分に対して遠位に移動させるステップは、針解放アクチュエータを操作するステップを含み得る。本方法は、貫通要素を先端部分に対して遠位に移動させる前に、針深さアクチュエータを操作して、伸長位置での貫通要素の長手方向位置を調整するステップを含み得る。
【0016】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分に対して回転可能に移動可能に配置され得る。心膜の標的部分を貫通要素と接触させるステップは、貫通要素を先端部分に対して回転させて心膜の標的部分を貫通させるステップを含み得る。貫通要素を先端部分に対して回転させて心膜の標的部分を貫通させるステップは、貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に回転させるステップを含み得る。貫通要素は、湾曲した針を含み得る。貫通要素を先端部分に対して回転させて心膜の標的部分を貫通させるステップは、湾曲した針を直径方向に向けられたアクスルの周りで回転させるステップを含み得る。貫通要素を先端部分に対して回転させて心膜の標的部分を貫通させるステップは、心膜切開デバイスのハンドル部分上に配置された針回転アクチュエータを操作するステップを含み得る。
【0017】
詳細な実施形態では、貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に回転させるステップは、貫通要素を近位の後退位置から回転的に後退位置と伸長位置との間の一部伸長位置に回転させて、貫通要素を心膜の標的部分と係合させるステップと、貫通要素と心膜の標的部分との係合を確かめるステップと、および/または、貫通要素を一部伸長位置から伸長位置に回転させて、心膜の標的部分を切断して、それを通る開口部を作製するステップとを含み得る。詳細な実施形態では、本方法は、貫通要素を一部伸長位置から伸長位置に回転させる前に、心膜切開デバイスを近位に移動させて、心膜の標的部分と心臓の外部表面との間の距離をさらに増加させるステップを含み得る。
【0018】
心膜切開デバイスのエンドエフェクタの先端部分の開口部を心膜と係合させるステップであって、エンドエフェクタは、先端部分と、先端部分に近接して配置された少なくとも1つの貫通要素とを備える、ステップと、先端部分に真空を印加することによって、心膜の標的部分を心臓から分離するステップと、および/または、心膜の標的部分を貫通要素で貫通することによって、心膜の標的部分を通る開口部を作製するステップを含む、心膜を通る開口部を作製する方法を提供することが本開示の一態様である。
【0019】
詳細な実施形態では、貫通要素は、先端部分に対して固定位置に配置された固定貫通要素を含み得る。心膜の標的部分を貫通要素で貫通するステップは、真空を用いて心膜の標的部分をエンドエフェクタの先端部分に引き込んで、固定貫通要素に接触させるステップを含み得る。本方法は、エンドエフェクタを心膜上で横方向に移動させることによって開口部を拡大するステップを含み得る。
【0020】
詳細な実施形態では、貫通要素は、遠位移動可能貫通要素を含み得る。心膜の標的部分を貫通要素で貫通するステップは、遠位移動可能貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に解放するステップを含み得る。
【0021】
詳細な実施形態では、貫通要素は、回転可能貫通要素を含み得る。心膜の標的部分を貫通要素で貫通するステップは、貫通要素を近位の後退位置から遠位の伸長位置に回転させるステップを含み得る。
【0022】
エンドエフェクタを組織表面に近接してリポジショニングするステップと、貫通体を組織表面と接触していない後退位置から、組織表面と接触し組織表面内に延びる係合位置に、長手方向に回転させるステップと、および/または、組織を張設させるために、エンドエフェクタを組織表面と反対の方向にリポジショニングするステップとを含む、組織を係合する方法を提供することが本開示の一態様である。
【0023】
詳細な実施形態では、本方法は、貫通体を係合位置から貫通体が組織を穿刺する穿刺位置に長手方向に回転させ続けるステップをさらに含み得る。本方法は、エンドエフェクタが組織表面に近接するときにエンドエフェクタに真空を印加するステップをさらに含み得る。エンドエフェクタを組織表面に近接してリポジショニングするステップは、エンドエフェクタと組織表面との間にシールを形成するようにエンドエフェクタをポジショニングするステップを含み得る。
【0024】
任意の先述の態様に関連するかまたは本明細書の他所に記載される任意の方法、操作、プロセス、システム、デバイス、および/または装置を提供することが本開示の一態様である。
【0025】
任意の先述の態様のまたは本明細書の他所に記載される任意の1つ以上の要素の任意の組み合わせを提供することが本開示の一態様である。
【0026】
実施形態の例を、いずれも本開示の少なくともいくつかの態様による添付の図面とあわせて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】固定ブレードを含む心膜切開デバイスの一例の斜視図である。
【
図2】
図1の心膜切開デバイスの近位部分の詳細斜視図である。
【
図3】
図1の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図4】
図1の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図5】
図1の心膜切開デバイスの遠位部分の簡略断面図である。
【
図6】遠位移動可能針を含む心膜切開デバイスの代替例の斜視図である。
【
図7】
図6の心膜切開デバイスの近位部分の詳細斜視図である。
【
図8】針が伸長位置にある
図6の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図9】針が後退位置にある
図6の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図10】針が伸長位置にある
図6の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細側面斜視図である。
【
図11】
図6の心膜切開デバイスの遠位部分の簡略断面図である。
【
図12】
図6の心膜切開デバイスの針機構の簡略透視図である。
【
図13】回転可能針を含む心膜切開デバイスの代替例の斜視図である。
【
図14】針が後退位置にある
図13の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図15】針が伸長位置にある
図13の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図16】
図13の心膜切開デバイスの遠位部分の詳細斜視図である。
【
図17】
図13の心膜切開デバイスの遠位部分の簡略断面図である。
【
図18】
図13の心膜切開デバイスの針機構の簡略斜視図である。
【
図19】
図13の心膜切開デバイスのハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示による実施形態の例を、心膜を通る開口部を作製するなどのための医療処置および外科処置に関係するデバイス、方法、および技術を含めて以下に説明および図示する。当然ながら、以下で論じられる実施形態は例であり、本開示の範囲および精神を逸脱することなく再構成され得ることは、当業者には明らかであろう。当業者によって考えられる実施形態の例のバリエーションは、当然に本開示の一部を同時に含むことも理解されねばならない。しかし、明確および正確のために、以下で論じられる実施形態の例は、当業者が本開示の範囲内に入るために必須ではないと認識すべき任意のステップ、方法、および特徴を含み得る。別段の明示的な記載がない限り、任意の実施形態の例に関連して説明される任意の特徴または機能は、他の実施形態の例に関連して説明される特徴または機能とともに利用され得る。類似の特徴および機能の説明の繰り返しは、簡潔のために省略される。
【0029】
図1は、固定ブレードを含む心膜切開デバイスの例100の斜視図であり、
図2は、
図1の心膜切開デバイス100の近位部分の詳細斜視図であり、
図3は、
図1の心膜切開デバイス100の遠位部分の詳細斜視図であり、
図4は、
図1の心膜切開デバイス100の遠位部分の詳細斜視図であり、
図5は、
図1の心膜切開デバイス100の遠位部分の簡略断面図であり、いずれも本開示の少なくともいくつかの態様によるものである。一般に、心膜切開デバイス100は、本明細書に記載される他の心膜切開デバイスと構造および操作が類似であり得、類似の要素の説明の繰り返しは、簡潔のために省略される。
図1および5を参照すると、心膜切開デバイス100は、患者の心臓12へのアクセスを得るなどのための患者の心膜10を通る開口部の作製を含む心膜切開処置に関連して使用され得る。
図1を参照すると、心膜切開デバイス100は、真空源14に作動的に結合され得る。
【0030】
明確のために、以下の説明は、遠位方向16および近位方向18を参照する。近位方向18は、遠位方向16と概ね反対であり得る。本明細書で使用されるところの「遠位」は、患者の身体に挿入されるデバイスの最遠位端に向かう方向など、システムまたはデバイスの操作者(例えば外科医)から概ね遠ざかる方向を指し得る。本明細書で使用されるところの「近位」は、患者の身体に挿入されるデバイスの最遠位端から遠ざかる方向など、システムまたはデバイスの操作者(例えば外科医)に概ね向かう方向を指し得る。しかし、本明細書で参照される方向の例は、説明および明確を目的としたものにすぎず、限定的であると見なされてはならないことが理解されよう。
【0031】
図1、3、4、および5を参照すると、図示の実施形態では、心膜切開デバイス100は、細長の概ね管状のシャフト102と、シャフト102上の概ね遠位に配置されたエンドエフェクタ104とを含む。いくつかの実施形態の例では、シャフト102は、約12mmの外径103を有し得る。シャフト102は、(デバイス100の通常の意図された使用と一致する力を受けたときに)実質的に剛性、弾性的に変形可能、および/または塑性的に変形可能であるように構成され得、そのような特性はシャフト102の近位‐遠位の長さにわたって変動し得る。図示の実施形態では、シャフト102は、長手方向に中を通って延びる内部チャネル132を画成する管状の直円柱の形である。
【0032】
図3~5を参照すると、図示の実施形態では、エンドエフェクタ104は、先端部分110と、心膜10を通る開口部を作製するように構成された1つ以上のブレード106などの貫通要素とを含む。図示の実施形態では、ブレード106は先端部分110に対して固定されている。すなわち、ブレード106は、概ね先端部分110内など、先端部分110に対して固定位置に配置され、ブレード106は、心膜切開デバイス100の使用中に先端部分110に対して移動しない。ブレード106は、少なくとも部分的に先端部分110内に配置され得る。図示の実施形態では、ブレード106は、概ね直径方向に向けられ得る。
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、ブレード106は、遠位に向けられた先鋭点を備えた概ね三角形の形状であり得る。いくつかの実施形態では、ブレード106は、概ね斜めに向けられ得る1つ以上の切断エッジ106Aを含み得る。
【0033】
図1、3、4および5を参照すると、先端部分110は、心膜10を係合し、心膜10がブレード106に接触することを可能にするように構成された、遠位開口部112などの開口部を含み得る。いくつかの実施形態の例では、遠位開口部112は概ね円形であり得る。いくつかの実施形態の例では、先端部分110は、実質的に透明な材料(例えば実質的に光学的に透明な材料)から構築され得、それによりブレード106の可視化など、先端部分110を通した視認可能性が促進され得る。他の実施形態では、先端部分110の少なくとも一部分は、限定されないが放射線不透過性材料など、少なくとも部分的に半透明材料および/または不透明材料で構築され得る。
【0034】
図1および2を参照すると、心膜切開デバイス100は、心膜切開デバイス100を真空源14に流体的に接続するために使用され得る少なくとも1つの真空コネクタ122を含み得る。図示の実施形態では、真空コネクタ122は、シャフト102上の概ね近位に配置され、真空コネクタ122は、1つ以上のルーメンを含む真空ライン124と結合するように構成される。他の実施形態では、真空ライン124は、心膜切開デバイス100から延び得、真空源14に取り付けられるライン124の端上に真空コネクタ122が配置され得る。真空源14の例は、病院または外科用設備で利用可能であり得るような真空ポンプと中央真空システムへの接続部とを含む。
【0035】
図1および5を参照すると、真空源14からの真空は、シャフト102の内部チャネル132などを介して、先端部分110に選択的に印加され得る。チャネル132は、先端部分110と真空コネクタ122とに流体的に介在する真空導管として構成され得る。先端部分110への(例えば真空コネクタ122および内部チャネル132を介した)真空の印加は、矢印134により示すように心膜10の標的部分10Aを先端部分110に引き込むように働き得る。この実施形態では、真空の印加による心膜10の標的部分10Aの先端部分110への引き込みにより、心膜10がブレード106と接触する。図示の実施形態では、ブレード106は、先端部分110内の矢印134により示される距離に近位に引っ込められる。他の実施形態では、ブレード106は、先端部分110の遠位端と実質的に同じ高さ(例えばゼロ距離の引っ込め)など、先端部分110内の他の近位‐遠位位置に配置され得る。図示の実施形態では、ブレード106が先端部分110内で近位に引っ込められているため、真空の印加によって心膜10を先端部分110に近位に引き込むことにより、心臓12の表面と、心膜10を切り通すためにブレード106が使用される場所との間の距離も生まれるおよび/または増加する。これにより、(例えばブレード106との接触に起因する)心臓12に対する損傷の可能性が低減され得る。
【0036】
図5を参照すると、図示の実施形態では、先端部分110は狭幅のベル形状に形成され得る。例えば、先端部分110の近位部分は、シャフト102の外径103とほぼ同じ外径(例えば約12mm)を有し得る。先端部分110の遠位端111は、シャフト102の外径103よりも大きい外径111A(例えば約13mm)を有し得る。いくつかの実施形態では、先端部分110の半径方向外側表面は、シャフト102の近くの先端部分110の近位部分と先端部分110の遠位端111との間で概ね凹面状に湾曲するなどして連続的に湾曲し得る。
【0037】
図4を参照すると、いくつかの実施形態の例は、ブレード106の向きなど、心膜切開デバイス100の向きを使用者に示すように構成され得る、外部から視認可能なしるし160を含み得る。図示の実施形態では、しるし160は、ブレード106の斜めの切断エッジ106Aと概ね合わせられた半径方向を示す。
【0038】
図1および5を参照すると、使用時には、心膜切開デバイス100は、先端部分110の遠位端111が心膜10と接触するようにポジショニングされ得る。真空が先端部分110に印加され得、それにより心膜の標的部分10Aが先端部分110に近位に引き込まれ得る。心膜の標的部分10Aは、近位に引き込まれてブレード106(例えば遠位に向いた点)と接触し得、それにより心膜の標的部分10Aが切り通されて、心膜10を通る開口部が作製され得る。心膜10を通る開口部を拡大することが望ましい場合には、心膜切開デバイス100のエンドエフェクタ104が、真空が維持されている間などに、心膜に対して横方向に動かされ得、それによりブレード106が心膜10を横方向に切断し得る。例えば、心膜切開デバイス100は、ブレード106の切断エッジ106Aを使用して心膜10を切断して細長開口部を作製するために、概ねしるし160によって示される方向に動かされ得る。真空が中止され得、心膜切開デバイス100が心膜の標的部分10Aから離れるように動かされ得る。
【0039】
図6は、遠位移動可能針を含む心膜切開デバイスの代替例200の斜視図であり、
図7は、
図6の心膜切開デバイス200の近位部分の詳細斜視図であり、
図8は、針が伸長位置にある
図6の心膜切開デバイス200の遠位部分の詳細斜視図であり、
図9は、針が後退位置にある
図6の心膜切開デバイス200の遠位部分の詳細斜視図であり、
図10は、針が伸長位置にある
図6の心膜切開デバイス200の遠位部分の詳細側面斜視図であり、
図11は、
図6の心膜切開デバイス200の遠位部分の簡略断面図であり、
図12は、
図6の心膜切開デバイス200の針機構の簡略透視図であり、いずれも本開示の少なくともいくつかの態様によるものである。一般に、心膜切開デバイス200は、本明細書に記載される他の心膜切開デバイスと構造および操作が類似であり得、類似の要素の説明の繰り返しは、簡潔のために省略される。
図11を参照すると、心膜切開デバイス200は、患者の心臓12へのアクセスを得るなどのための患者の心膜10を通る開口部の作製を含む心膜切開処置に関連して使用され得る。
図6を参照すると、心膜切開デバイス200は、真空源14に作動的に結合され得る。
【0040】
図6~11を参照すると、図示の実施形態では、心膜切開デバイス200は、細長の概ね管状のシャフト202と、シャフト202上の概ね遠位に配置されたエンドエフェクタ204と、シャフト202上の概ね近位に配置されたハンドル250とを含む。いくつかの実施形態の例では、シャフト202は、約5.0mmの外径203を有し得る。シャフト202は、(デバイス200の通常の意図された使用と一致する力を受けたときに)実質的に剛性、弾性的に変形可能、および/または塑性的に変形可能であるように構成され得、そのような特性はシャフト202の近位‐遠位の長さにわたって変動し得る。図示の実施形態では、シャフト202は、長手方向に中を通って延びる内部チャネル232を画成する管状の直円柱の形である。
【0041】
図8および11を参照すると、図示の実施形態では、エンドエフェクタ204は、先端部分210と、心膜10を通る開口部を作製するように構成された1つ以上の針206などの貫通要素とを含む。針206は、少なくとも部分的に先端部分210内に選択的に延びるように、限定されないが回転方向および/または長手方向に(近位‐遠位方向に)、移動可能に配置され得る。
図8、10、および12を参照すると、いくつかの実施形態では、針206は中空であり得、および/または傾斜した先鋭点を有し得る。
【0042】
図6および8~11を参照すると、先端部分210は、心膜10を係合し、針206が心膜10に接触することを可能にするように構成された、遠位開口部212などの開口部を含み得る。いくつかの実施形態の例では、遠位開口部212は概ね円形であり得る。いくつかの実施形態の例では、先端部分210は、実質的に透明な材料(例えば実質的に光学的に透明な材料)から構築され得、それにより針206の可視化など、先端部分210を通した視認可能性が促進され得る。他の実施形態では、先端部分210の少なくとも一部分は、限定されないが放射線不透過性材料など、少なくとも部分的に半透明材料および/または不透明材料で構築され得る。
【0043】
図6および7を参照すると、心膜切開デバイス200は、心膜切開デバイス200を真空源14に流体的に接続するために使用され得る少なくとも1つの真空コネクタ222を含み得る。図示の実施形態では、真空コネクタ222は、シャフト202上の概ね近位に配置され、真空コネクタ222は、1つ以上のルーメンを含む真空ライン124と結合するように構成される。他の実施形態では、真空ライン124は、心膜切開デバイス200から延び得、真空源14に取り付けられるライン124の端上に真空コネクタ222が配置され得る。真空源14の例は、病院または外科用設備で利用可能であり得るような真空ポンプと中央真空システムへの接続部とを含む。
【0044】
図6および11を参照すると、真空源14からの真空は、シャフト202の内部チャネル232などを介して、先端部分210に選択的に印加され得る。チャネル232は、先端部分210と真空コネクタ222とに流体的に介在する真空導管として構成され得る。先端210への(例えば真空コネクタ222および内部チャネル232を介した)真空の印加は、矢印234により示すように心膜10の標的部分10Aを先端部分210に引き込むように働き得る。この実施形態では、真空の印加による心膜10の標的部分10Aの先端部分210への引き込みにより、心膜10が針206の操作範囲に引っ張り込まれる。図示の実施形態では、その最遠位の伸長位置で、針206は、先端部分210内の矢印234により示される距離に近位に引っ込められる。他の実施形態では、針206は、先端部分210の遠位端と実質的に同じ高さ(例えばゼロ距離の引っ込め)など、先端部分210内の他の近位‐遠位位置に配置され得る。図示の実施形態では、針206がその最遠位の伸長位置でも先端部分210内で近位に引っ込められているため、真空の印加によって心膜10を先端部分210に近位に引き込むことにより、心臓12の表面と、心膜10を穿刺するために針206が使用される場所との間の距離も生まれるおよび/または増加する。これにより、(例えば針206との接触に起因する)心臓12に対する損傷の可能性が低減され得る。
【0045】
図11を参照すると、図示の実施形態では、先端部分210は広幅のベル形状に形成され得る。例えば、先端部分210の近位部分は、シャフト202の外径203とほぼ同じ外径(例えば約5.0mm)を有し得る。先端部分210の遠位端211は、シャフト202の外径203よりも実質的に大きい外径211Aを有し得る。いくつかの実施形態では、先端部分210の半径方向外側表面は、シャフト202の近くの先端部分210の近位部分と先端部分210の遠位端211との間で概ね凹面状に湾曲するなどして連続的に湾曲し得る。例えば、(例えば遠位端211に近接する)先端部分210の最大外径211Aは、約10.5mmであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、先端部分210の最大外径211Aは、シャフト202の外径203の約2倍であり得る。
【0046】
図6および7を参照すると、図示の実施形態では、ハンドル250は、使用者(例えば外科医)によって把持されるように構成され得るグリップ部分252を含む。ハンドル250は、近位に配置された針後退アクチュエータ254を含む。針後退アクチュエータ254は、針206を伸長位置(
図10および11)から後退位置206A(
図9)に移動させるために操作され(例えば概ね近位に引っ張られ)得る。ハンドル250は、針を後退位置206A(
図11)から伸長位置(
図10および11)に解放するために操作され得る針解放アクチュエータ256を含む。図示の実施形態では、針解放アクチュエータ256は、グリップ部分252に近接して配置されたボタンを含む。ハンドル250は、針206の伸長位置の長手方向(例えば近位‐遠位)位置を調整するために操作され得る針深さアクチュエータ258を含む。図示の実施形態では、針深さアクチュエータ258は、グリップ部分252と同心状に、および/またはグリップ部分252に対して遠位に配置された概ね円筒形の回転可能要素を含む。ハンドル250は、針深さアクチュエータ258の様々な所定位置を示すために設けられた針深さしるし260を含み得る。アクチュエータ254、256、258は、1つ以上の適切な機械的リンケージ262(
図11)などによって、心膜切開デバイス200の遠位部分(例えばエンドエフェクタ204)に作動的に結合される。
【0047】
いくつかの実施形態の例では、心膜切開デバイス200は、ハンドル250内および/またはエンドエフェクタ204内などに、針206を後退位置に保持するおよび/または針解放アクチュエータ256の操作時に針206を伸長するように構成され得る針操作機構を含み得る。一般に、針206は、針後退アクチュエータ254を操作することによって後退位置に置かれ得る。いくつかの実施形態の例では、針206を後退させることにより、針操作機構の一部を形成するバネが弾性的に変形し得る。針206は、針解放アクチュエータ256が操作されるまで(バネが弾性的に変形した状態で)後退位置に留まり得る。針解放アクチュエータ256が操作されると、針206が解放され得、バネが針206を伸長位置へと駆動し得る。
【0048】
使用時には、心膜切開デバイス200は、針後退アクチュエータ254を操作して針206を伸長位置から後退位置206Aに移動させることによって、使用のために準備され得る。針深さアクチュエータ258は、針206の伸長位置の望ましい長手方向位置を選択するために操作され得る。心膜切開デバイス200は、先端部分210の遠位端211が心膜10に接触するようにポジショニングされ得る。真空が先端部分210に印加され得、それにより心膜の標的部分10Aが先端部分210に近位に引き込まれ得る。針解放アクチュエータ256が、針を後退位置206Aから伸長位置に解放するために操作され得、それにより針が心膜の標的部分10Aを貫通して、心膜10を通る開口部を作製し得る。真空が中止され得、心膜切開デバイス200が心膜の標的部分10Aから離れるように動かされ得る。
【0049】
図13は、回転可能針を含む心膜切開デバイスの代替例300の斜視図であり、
図14は、針306が後退位置にある
図13の心膜切開デバイス300の遠位部分の詳細斜視図であり、
図15は、針306が伸長位置にある
図13の心膜切開デバイス300の遠位部分の詳細斜視図であり、
図16は、
図13の心膜切開デバイス300の遠位部分の詳細斜視図であり、
図17は、
図13の心膜切開デバイス300の遠位部分の簡略断面図であり、
図18は、
図13の心膜切開デバイス300の針機構の簡略透視図であり、
図19は、
図13の心膜切開デバイス300のハンドルの断面図であり、いずれも本開示の少なくともいくつかの態様によるものである。一般に、心膜切開デバイス300は、本明細書に記載される他の心膜切開デバイスと構造および操作が類似であり得、類似の要素の説明の繰り返しは、簡潔のために省略される。
図17を参照すると、心膜切開デバイス300は、患者の心臓12へのアクセスを得るなどのための患者の心膜10を通る開口部の作製を含む心膜切開処置に関連して使用され得る。
図13を参照すると、心膜切開デバイス300は、真空源14に作動的に結合され得る。
【0050】
図13~17を参照すると、図示の実施形態では、心膜切開デバイス300は、細長の概ね管状のシャフト302と、シャフト302上の概ね遠位に配置されたエンドエフェクタ304と、シャフト302上の概ね近位に配置されたハンドル350とを含む。いくつかの実施形態の例では、シャフト302は、約10.0mmの外径303を有し得る。シャフト302は、(デバイス300の通常の意図された使用と一致する力を受けたときに)実質的に剛性、弾性的に変形可能、および/または塑性的に変形可能であるように構成され得、そのような特性はシャフト302の近位‐遠位の長さにわたって変動し得る。図示の実施形態では、シャフト302は、長手方向に中を通って延びる内部チャネル332を画成する管状の直円柱の形である。
【0051】
図14、15、および17を参照すると、図示の実施形態では、エンドエフェクタ304は、先端部分310と、心膜10を通る開口部を作製するように構成された1つ以上の針306などの貫通要素とを含む。針306は、少なくとも部分的に先端部分310内での選択的長手方向回転を可能にするように、長手方向および/または半径方向に移動可能に配置され得る。いくつかの実施形態では、針306は湾曲し得、および/または傾斜した先鋭点を有し得る。代替実施形態では、針306は、先端部分310に対して任意の方向におよび/または任意の軸の周りで移動可能および/またはリポジショニング可能であり得る。例えば、針306は、長手方向に向けられた軸の周りで回転可能であり得る。
【0052】
先端部分310は、心膜10を係合し、針306が心膜10に接触することを可能にするように構成された、遠位開口部312などの開口部を含み得る。いくつかの実施形態の例では、遠位開口部312は概ね円形であり得る。いくつかの実施形態の例では、先端部分310は、実質的に透明な材料(例えば実質的に光学的に透明な材料)から構築され得、それにより針306の可視化など、先端部分310を通した視認可能性が促進され得る。他の実施形態では、先端部分310の少なくとも一部分は、限定されないが放射線不透過性材料など、少なくとも部分的に半透明材料および/または不透明材料で構築され得る。
【0053】
図13を参照すると、心膜切開デバイス300は、心膜切開デバイス300を真空源14に流体的に接続するために使用され得る少なくとも1つの真空コネクタ322を含み得る。図示の実施形態では、真空コネクタ322は、シャフト302上の概ね近位に配置され、真空コネクタ322は、1つ以上のルーメンを含む真空ライン124と結合するように構成される。他の実施形態では、真空ライン124は、心膜切開デバイス300から延び得、真空源14に取り付けられるライン124の端上に真空コネクタ322が配置され得る。真空源14の例は、病院または外科用設備で利用可能であり得るような真空ポンプと中央真空システムへの接続部とを含む。
【0054】
図13および17を参照すると、真空源14からの真空は、シャフト302の内部チャネル332などを介して、先端部分310に選択的に印加され得る。チャネル332は、先端部分310と真空コネクタ322とに流体的に介在する真空導管として構成され得る。先端310への(例えば真空コネクタ322および内部チャネル332を介した)真空の印加は、矢印334により示すように心膜10の標的部分10Aを先端部分310に引き込むように働き得る。この実施形態では、真空の印加による心膜10の標的部分10Aの先端部分310への引き込みにより、心膜10が針306の操作範囲に引っ張り込まれる。図示の実施形態では、その最遠位の伸長位置で、針306は、先端部分310内の矢印334により示される距離に近位に引っ込められる。他の実施形態では、針306は、先端部分310の遠位端と実質的に同じ高さ(例えばゼロ距離の引っ込め)など、先端部分310内の他の近位‐遠位位置に配置され得る。図示の実施形態では、針306がその最遠位の伸長位置でも先端部分310内で近位に引っ込められているため、真空の印加によって心膜10を先端部分310に近位に引き込むことにより、心臓12の表面と、心膜10を穿刺するために針306が使用される場所との間の距離も生まれるおよび/または増加する。これにより、(例えば針306との接触に起因する)心臓12に対する損傷の可能性が低減され得る。
【0055】
図17を参照すると、図示の実施形態では、先端部分310は比較的狭幅のベル形状に形成され得る。例えば、先端部分310の近位部分は、シャフト302の外径303とほぼ同じ外径(例えば約10.0mm)を有し得る。先端部分310の遠位端311は、シャフト302の外径303よりも大きい外径311Aを有し得る。いくつかの実施形態では、先端部分310の半径方向外側表面は、シャフト302の近くの先端部分310の近位部分と先端部分310の遠位端311との間で概ね凹面状に湾曲するなどして連続的に湾曲し得る。例えば、(例えば遠位端311に近接する)先端部分310の最大外径311Aは、約11.5mmであり得る。
【0056】
図13を参照すると、図示の実施形態では、ハンドル350は、使用者(例えば外科医)によって把持されるように構成され得るグリップ部分352を含む。ハンドル350は、近位に配置された針回転アクチュエータ354を含む。針回転アクチュエータ354は、針306を後退位置(
図14)から伸長位置(
図15)に長手方向に回転させるために操作され(例えば概ね近位に引っ張られ)得る。アクチュエータ354は、1つ以上の適切な機械的リンケージ362(
図17)などによって、心膜切開デバイス300の遠位部分(例えばエンドエフェクタ304)に作動的に結合される。
【0057】
図13~15、および17~19を参照すると、いくつかの実施形態の例では、心膜切開デバイス300は、エンドエフェクタ304内などに、針回転アクチュエータ354の操作時に針306を長手方向に伸長/後退および/または回転させるように構成され得る針操作機構364を含み得る。一般に、針306は、直径方向に向けられたアクスル368上に回転可能に配置され得るマウント366上に配置され得る。ハンドル350上の針回転アクチュエータ354の操作は、マウント366および針306をアクスル368の周りで回転させるように働き得る。
【0058】
図示の実施形態では、針回転アクチュエータ354が伸長位置370にあるときに針306は後退位置にあり得る。針回転アクチュエータ354をグリップ部分352に向かって押下位置372に握ることは、マウント366および針306を伸長位置に回転させるように働き得る。例えば、図示の実施形態では、針回転アクチュエータ354をグリップ部分352に向かって握ることは、
図19に示すようにアクチュエータアーム356を概ね下方に移動させるように働く。(
図19に矢印により示されるように)アクチュエータアーム356を下方に移動させることにより、リンケージ362の一部分を含むケーブル358が概ね近位に引っ張られ、それによってマウント366および針306の伸長位置への回転が引き起こされる(
図18参照)。針回転アクチュエータ354を、ハンドル350のグリップ部分352から離れるように移動し得るように解放することにより、ケーブル358の遠位移動が可能になる。引張バネ360が、リンケージ362の一部分を含む第2ケーブル374に結合される。第2ケーブル374は、後退位置から伸長位置への回転によりケーブル374が遠位に移動し、それによってバネ360が伸長するように、回転可能なマウント366に作動的に結合される。針回転アクチュエータ354が解放されると、バネ360が第2ケーブル374を近位に引っ張り、マウント366および針306を後退位置に回転させ、ケーブル358を遠位に引っ張り、アクチュエータアーム356および針回転アクチュエータ354を後退位置に移動させる。一般に、伸長位置では、針306は、針が後退位置にあるときよりもさらに遠く遠位に延び得る。
【0059】
使用時には、心膜切開デバイス300は、先端部分310の遠位端311が心膜10と接触するようにポジショニングされ得る。真空が先端部分310に印加され得、それにより心膜の標的部分10Aが先端部分310に近位に引き込まれ得る。針回転アクチュエータ354が、マウント366および針306を伸長位置へ長手方向に回転させるために操作され得、それにより心膜の標的部分10Aが貫通され、心膜10を通る開口部が作製され得る。真空が中止され得、心膜切開デバイス300が心膜の標的部分10Aから離れるように動かされ得る。
【0060】
いくつかの実施形態の例は、針306の複数段階の長手方向回転のために構成され得る。例えば、先端部分310に真空を印加し、心膜の標的部分10Aを先端部分310に近位に引き込んだ後、針306が後退位置から(例えば回転的に後退位置と完全伸長位置との間の)一部伸長位置に回転させられ得る。一部伸長位置では、針306は、心膜10を完全に切り通さずに心膜10を係合および/または保持(例えば心膜10を穿刺)し得る。したがって、針306が一部伸長位置にある状態で、使用者は、心膜が係合されている場所を確認し得、および/または心膜切開デバイス300を近位に引っ張って、心膜10を心臓12から離れるようにさらに張設させ得る。心膜10のポジショニングおよび/または係合が満足でない場合には、針306が後退位置に戻され、それによって心膜10が解放され得る。心膜10のポジショニングおよび/または係合が満足である場合には、針306が一部伸長位置から完全伸長位置に回転させられ、それによって心膜10を切断して、心膜10を通る開口部を作製し得る。同様に、いくつかの実施形態では、針306の移動および/または回転を用いて、組織を切断して細長および/または概ね円形の開口部を作製することなどによって、開口部が拡大され得る。
【0061】
本開示の少なくともいくつかの態様による心膜10を通る開口部を作製する方法の例は、以下の操作のうちの1つ以上を、任意の組み合わせで含み得る。心膜10を通る開口部を作製する方法は、心膜10を開口部112、212、312に引き寄せるために、エンドエフェクタ104、204、304が心膜10に近接する間に心膜切開デバイス100、200、300のエンドエフェクタ104、204、304の先端部分110、210、310の開口部112、212、312に真空を印加するステップを含み得る。エンドエフェクタ104、204、304は、開口部112、212、312に近接して配置された貫通要素106、206、306を含み得る。先端部分110、210、310に真空を印加することによって、心膜10の標的部分10Aと心臓12の外部表面との間の距離134、234、334が増加させられて、貫通間隔がもたらされ得る。貫通間隔が維持されている間に心膜10の標的部分10Aを貫通要素106、206、306と接触させることによって、心膜10の標的部分10Aが貫通されて、それを通る開口部が作製され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、貫通要素106は、先端部分110に対して固定位置に配置され得る。心膜10の標的部分10Aを貫通要素106と接触させるステップは、心膜10の標的部分10Aを先端部分110に近位に引き込んで貫通要素106に接触させるステップを含み得る。心膜10の標的部分10Aを貫通要素106と接触させた後、開口部が拡大され得る。開口部を拡大するステップは、心膜切開デバイス100のエンドエフェクタ104を心膜10に対して横方向に移動させることによって、心膜10を貫通要素106で横方向に切断するステップを含み得る。拡大操作は、先端部分110に真空が維持されている間に行われ得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、貫通要素206は、先端部分210に対して長手方向および/または半径方向にリポジショニング可能であり得る。心膜10の標的部分10Aを貫通要素206と接触させるステップは、貫通要素206を先端部分210に対して遠位に移動させて心膜10の標的部分10Aを貫通させるステップを含み得る。貫通要素206を先端部分210に対して遠位に移動させて心膜10の標的部分10Aを貫通させるステップは、貫通要素206を近位の後退位置から解放して遠位の伸長位置に移動させるステップを含み得る。貫通要素206を先端部分210に対して遠位に移動させる前に、貫通要素206は伸長位置から後退位置に近位に移動され得、貫通要素206が後退位置に保持され得る。貫通要素206を先端部分210に対して遠位に移動させるステップは、針解放アクチュエータ256を操作するステップを含み得る。貫通要素206を先端部分210に対して遠位に移動させる前に、針深さアクチュエータ258が操作されて、伸長位置での貫通要素206の長手方向位置が調整され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、貫通要素306は、先端部分310に対して長手方向に回転可能である。心膜10の標的部分10Aを貫通要素306と接触させるステップは、貫通要素306を先端部分310に対して長手方向に回転させて心膜10の標的部分10Aを貫通させるステップを含み得る。貫通要素306を先端部分310に対して回転させて心膜10の標的部分10Aを貫通させるステップは、貫通要素306を近位の後退位置から遠位の伸長位置に長手方向に回転させるステップを含み得る。貫通要素306は、湾曲した針306を含み得る。貫通要素306を先端部分310に対して回転させて心膜10の標的部分10Aを貫通させるステップは、湾曲した針306を直径方向に向けられたアクスル3の周りで回転させるステップを含み得る。貫通要素306を先端部分310に対して回転させて心膜10の標的部分10Aを貫通させるステップは、心膜切開デバイス300のハンドル部分350上に配置された針回転アクチュエータ354を操作するステップを含み得る。
【0065】
心膜10を通る開口部を作製する方法は、心膜切開デバイス100、200、300のエンドエフェクタ104、204、304の先端部分110、210、310の開口部112、212、312を心膜10と係合させるステップを含み得る。エンドエフェクタ104、204、304は、先端部分110、210、310と、先端部分110、210、310に近接して配置された少なくとも1つの貫通要素106、206、306とを含み得る。先端部分110、210、310に真空を印加することによって、心膜10の標的部分10Aが心臓12から分離され得る。心膜10の標的部分10Aを貫通要素106、206、306で貫通することによって、心膜10の標的部分10Aを通る開口部が作製され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、貫通要素106は、先端部分110に対して固定位置に配置された固定貫通要素106を含み得る。心膜10の標的部分10Aを貫通要素106で貫通するステップは、真空を用いて心膜10の標的部分10Aをエンドエフェクタ104の先端部分110に引き込んで、固定貫通要素106に接触させるステップを含み得る。開口部は、エンドエフェクタ104を心膜10上で横方向に移動させることによって拡大され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、貫通要素206は、遠位移動可能貫通要素206を含み得る。心膜10の標的部分10Aを貫通要素206で貫通するステップは、遠位移動可能貫通要素206を近位の後退位置から遠位の伸長位置に解放するステップを含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、貫通要素306は、回転可能貫通要素306を含む。心膜10の標的部分10Aを貫通要素306で貫通するステップは、貫通要素306を近位の後退位置から遠位の伸長位置に回転させるステップを含み得る。
【0069】
組織を係合する方法は、エンドエフェクタ304を組織表面10に近接してリポジショニングするステップを含み得る。貫通体306が、組織表面10と接触していない後退位置から、組織表面10と接触し組織表面10内に延びる係合位置に、長手方向に回転させられ得る。組織10を張設させるために、エンドエフェクタ304が組織表面10と反対の方向にリポジショニングされ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、貫通体306は、係合位置から穿刺位置にさらに長手方向に回転させられ得、穿刺位置で貫通体306が組織10を穿刺する。エンドエフェクタ304が組織表面10に近接するときに、エンドエフェクタ304に真空が印加され得る。エンドエフェクタ304を組織表面10に近接してリポジショニングするステップは、エンドエフェクタ304と組織表面10との間にシールを形成するようにエンドエフェクタ304をポジショニングするステップを含み得る。
【0071】
特に指示されない限り、本明細書の任意の例示的実施形態に関する任意の構造、機能、および/または方法論の記述は、任意の他の例示的実施形態に当てはまり得ることが理解されるであろう。より一般的には、本明細書に記載される任意の1つ以上の実施形態の例の任意の1つ以上の特徴を、本明細書に記載される任意の他の1つ以上の他の実施形態の例の任意の他の1つ以上の特徴に関連して利用することは、本開示の範囲内である。したがって、本明細書に記載される任意の特徴または実施形態の任意の組み合わせが、本開示の範囲内である。
【0072】
上記の記述および発明の要約から、本明細書に記載される方法および装置が本開示による実施形態の例を構成するが、本明細書に含まれる開示の範囲は上記の正確な実施形態に限定されないこと、また、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱せずに変更が加えられ得ることが当業者に明らかなはずである。同様に、本明細書に明示的に議論されていないとしても固有のおよび/または予期せぬ利点が存在し得ることから、特許請求の範囲に収まるために本明細書に開示される特定された利点または目的のいずれかまたは全てを満たす必要はないことが理解されねばならない。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心膜を通る開口部を作製するように構成された心膜切開デバイスであって、
細長シャフトと、
前記シャフト上の遠位に配置されたエンドエフェクタであって、
心膜の標的部分に係合するように構成された開口部を含む先端部分であって、前記先端部分への真空の印加時に、前記心膜の前記標的部分を心臓の外部表面から分離するように構成される、先端部分と、
前記先端部分に真空が印加されると少なくとも1つの貫通要素が前記心膜の前記標的部分に開口部を作製するように働くように、前記先端部分内に配置された前記少なくとも1つの貫通要素と
を備えるエンドエフェクタと
を備える心膜切開デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分内の固定位置に配置される、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項3】
前記開口部は、遠位開口部を含み、
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分内で前記遠位開口部に対して近位に引っ込められる、請求項2に記載の心膜切開デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの貫通要素は、概ね三角形のブレードを含み、
前記ブレードは、前記先端部分内で概ね直径方向に向けられ、前記ブレードは、遠位に向けられた先鋭点を備える、請求項3に記載の心膜切開デバイス。
【請求項5】
前記ブレードは、少なくとも1つの斜めに向けられた切断エッジを備える、請求項4に記載の心膜切開デバイス。
【請求項6】
前記ブレードの前記切断エッジの向きを示す外部から視認可能なしるしをさらに備える、請求項5に記載の心膜切開デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分に対して移動可能に配置される、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分に対して遠位に移動可能に配置される、請求項7に記載の心膜切開デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの貫通要素は、針を含む、請求項8に記載の心膜切開デバイス。
【請求項10】
前記シャフト上の近位に配置されたハンドルをさらに備え、
前記ハンドルは、前記針を近位後退位置から遠位伸長位置に解放するために操作可能な針解放アクチュエータを備える、請求項9に記載の心膜切開デバイス。
【請求項11】
前記ハンドルは、前記針を前記伸長位置から前記後退位置に移動させるために操作可能な針後退アクチュエータを備える、請求項10に記載の心膜切開デバイス。
【請求項12】
前記ハンドルは、前記針の伸長位置の長手方向位置を調整するために操作可能な針深さアクチュエータを備える、請求項10に記載の心膜切開デバイス。
【請求項13】
前記針は中空針を含む、請求項9に記載の心膜切開デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの貫通要素は、前記先端部分に対して回転可能に移動可能に配置される、請求項7に記載の心膜切開デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの貫通要素は、針を含む、請求項14に記載の心膜切開デバイス。
【請求項16】
前記シャフト上の近位に配置されたハンドルをさらに備え、
前記ハンドルは、前記針を後退近位位置から遠位伸長位置に回転させるために操作可能な針回転アクチュエータを備える、請求項15に記載の心膜切開デバイス。
【請求項17】
前記エンドエフェクタは、針操作機構を備え、
前記針操作機構は、アクスル上に回転可能に配置された針マウントを備え、
前記針は、前記針マウント上に配置され、
前記心膜切開デバイスは、前記針回転アクチュエータと前記針操作機構とを作動的に結合するリンケージを備える、請求項16に記載の心膜切開デバイス。
【請求項18】
前記針は湾曲した針を含む、請求項15に記載の心膜切開デバイス。
【請求項19】
前記先端部分は、前記先端部分の近位部分が前記シャフトの外径とほぼ同じ外径を有し、前記先端部分の遠位端が前記シャフトの前記外径よりも大きい外径を有するように、ベル形状に形成される、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【請求項20】
前記先端部分の前記遠位端の前記外径は、前記シャフトの前記外径の約2倍である、請求項19に記載の心膜切開デバイス。
【請求項21】
前記先端部分に流体的に結合され、真空源に流体的に結合するように構成された少なくとも1つの真空コネクタをさらに備える、請求項1に記載の心膜切開デバイス。
【国際調査報告】