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特表2024-545909エアストリップラインを含むアンテナ装置および給電線路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】エアストリップラインを含むアンテナ装置および給電線路
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20241206BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539308
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 KR2023000349
(87)【国際公開番号】W WO2023132712
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0002899
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0041049
(32)【優先日】2022-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】オン ソー チョイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウォン セオ
(72)【発明者】
【氏名】ソン マン カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン ソク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ウイ ソン チョイ
(72)【発明者】
【氏名】ホヮ イェル ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ミュン ホヮ キム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ソーン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン サン リ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021CA03
5J021CA04
5J021GA05
5J021JA02
5J021JA05
5J045AA12
5J045CA01
5J045DA08
5J045FA02
5J045HA03
5J045JA04
5J045LA01
5J045MA04
(57)【要約】
【課題】特性の低下を抑制し得るアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、プレートと、プレートの一面に係合される第1の誘電体プレートと、第1の誘電体プレート上に第1の方向に沿って配置される複数の放射素子と、複数の放射素子を給電するように構成され、エアストリップライン構造を有する複数の第1の給電線路とを含み、第1の誘電体プレートは上面及び下面が貫通されて第1の給電線路が浮遊可能になるように構成された第1の溝を含み、第1の給電線路は第1の溝に浮遊するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートと、
前記プレートの一面に係合される第1の誘電体プレートと、
前記第1の誘電体プレート上に第1の方向に沿って配置される複数の放射素子と、
前記複数の放射素子を給電するように構成され、エアストリップライン構造を有する複数の第1の給電線路とを含み、
前記第1の誘電体プレートは、上面及び下面が貫通されて前記第1の給電線路が浮遊可能に構成された第1の溝を含み、前記第1の給電線路は、前記第1の溝に浮遊するように構成されることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の給電線路は、
前記第1の溝の側壁と所定の間隔を置いて浮遊することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1の誘電体プレートは、
さらに、前記第1の給電線路と前記プレートとの間に誘電体部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の溝は、
前記第1の給電線路の形状に対応する形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1の誘電体プレートは、
さらに、前記第1の溝の少なくとも一部に形成され、前記第1の給電線路を支持する1つ以上の第1の支持部を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の支持部は、
所定の間隔で配列され、前記第1の誘電体プレートと一体に形成されることを特徴とする、請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1の誘電体プレートは、
さらに、前記第1の誘電体プレートを前記放射素子につなぐ第1の連結部及び、前記第1の誘電体プレートを前記第1の給電線路につなぐ第2の連結部を含み、
前記第1の連結部及び前記第2の連結部は、前記第1の誘電体プレートと一体に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
さらに、前記プレートの他面に係合される第2の誘電体プレート及び、前記第1の給電線路に信号を伝達するように構成された複数の第2の給電線路を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第2の誘電体プレートは、
上面及び下面が貫通されて前記第2の給電線路が配置可能になるように構成された第3の溝を含み、前記第2の給電線路は前記第3の溝に浮遊するように構成されることを特徴とする、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第1の誘電体プレート及び前記第2の誘電体プレートは、
射出成形されることを特徴とする、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記第1の給電線路は、
幅が均一であることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
アンテナ装置の放射素子を給電するエアストリップライン構造の給電線路において、
誘電体プレートと、
前記誘電体プレートの上面及び下面が貫通されて構成される溝と、
前記溝の側壁と所定の間隔を置いて浮遊するように構成される線路部とを含むことを特徴とする、給電線路。
【請求項13】
さらに、前記溝の少なくとも一部に形成され、前記線路部を支持する1つ以上の支持部を含むことを特徴とする、請求項12に記載の給電線路。
【請求項14】
前記溝は、
第1の方向に延びるように形成され、
前記支持部は、前記第1の方向に沿って所定の間隔で配列されることを特徴とする、請求項13に記載の給電線路。
【請求項15】
前記線路部は、
幅が均一なことを特徴とする、請求項12に記載の給電線路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアストリップライン及びエアストリップラインを含むアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記載されている内容は、単に本開示に関する背景情報を提供するだけであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
アンテナ装置は、プレート、放射素子、及び放射素子を給電する給電線路(feed line)を含む。放射素子のサイズは使用周波数によって変わる。例えば、動作周波数が大きくなるほど放射素子のサイズは小さくなる。
【0004】
基板上には多数の給電線路がパターン印刷される。しかしながら、基板は所定の誘電率を有するPCB材質(例えば、FR4材質)からなるため、パターン印刷された多数の給電線路による挿入損失が大きくなり、アンテナ装置の性能が低下される。
【0005】
給電線路による損失は、信号が流れる導体における導体損失及び導体周辺を囲む誘電体による誘電体損失に分かれる。このような損失はアンテナ装置の利得(gain)を直接的に低下させることになる。アンテナ装置の利得を改善するためには損失を改善しなければならず、媒質の変更ないし変形が相対的に有利であるので、誘電体損失を改善することが効果的である。
【0006】
誘電体損失を改善するために使用される給電線路のうち、代表的なものがエアストリップライン(air-strip line)構造である。エアストリップライン構造とは、誘電体部分が空気(air)で具現された給電線路構造を意味する。
【0007】
エアストリップライン構造の給電線路は、導体周辺が空気なので誘電体損失が0に近い。したがって、エアストリップライン構造の給電線路を用いる場合、誘電体損失を低減させてアンテナ装置の利得を増加させることができる。
【0008】
従来のエアストリップライン構造では、給電線路の幅を調節してインピーダンスを可変する。ただし、従来のエアストリップライン構造では、PCBタイプと比較して同一インピーダンスで給電線路の幅が広いので、給電線路の幅を調節してインピーダンスを可変することはアンテナ装置の設計上限界がある。
【0009】
また、給電線路の幅を調節することになると、加工時に給電線路の間に段差が発生し、段差発生によってアンテナ装置の特性が低下されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一実施例に係るアンテナ装置は、給電線路と誘電体プレートとの間の距離及び誘電体プレートの厚さを調節する。
【0011】
一実施例に係るアンテナ装置は、給電線路の幅の変化を少なくし、誘電体の構造のみを変更して回路を構成する。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下の記載から通常の技術者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一実施例によると、プレートと、プレートの一面に係合される第1の誘電体プレートと、第1の誘電体プレート上に第1の方向に沿って配置される複数の放射素子と、複数の放射素子を給電するように構成され、エアストリップライン構造を有する複数の第1の給電線路とを含み、第1の給電線路は上面及び下面が貫通されて第1の給電線路が浮遊可能にするように構成された第1の溝を含み、第1の給電線路は第1の溝に浮遊するように構成されることを特徴とするアンテナ装置を提供する。
【0014】
本開示の一実施例によると、アンテナ装置の放射素子を給電するエアストリップライン構造の給電線路において、誘電体プレートと、誘電体プレートの上面及び下面が貫通されて構成される溝と、溝の側壁と所定の間隔を置いて浮遊するように構成される線路部と、を含むことを特徴とする給電線路を提供する。
【発明の効果】
【0015】
一実施例によると、アンテナ装置は、給電線路と誘電体プレートとの間の距離及び誘電体プレートの厚さを調節することによってインピーダンスを可変できるという効果がある。
【0016】
一実施例によると、アンテナ装置は、給電線路の幅の変化を少なくすることで、給電線路の制作時に発生する段差を最小化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施例に係るアンテナ装置の係合斜視図である。
図2】本開示の一実施例に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
図3図1のB部を拡大した上面図である。
図4図1のAA’部分を切断した断面図及び給電線路と誘電体プレートとの間の距離によるインピーダンスの変化を示すグラフである。
図5】本開示の一実施例に係る給電線路の下端に追加された誘電体部及び誘電体部の厚さによるインピーダンスの変化を示すグラフである。
図6】本開示の他の実施例に係るアンテナ装置の係合斜視図である。
図7】本開示の他の実施例に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
図8】本開示の他の実施例に係るアンテナ装置の底面図である。
図9】本開示の一実施例に係る給電線路の連結関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても、できるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意されたい。なお、本開示を説明するにあたり、関連された公知の構成又は機能に関する具体的な説明が本開示の要旨を曖昧にすると判断される場合には、その詳しい説明は省く。
【0019】
本開示による実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、i)、ii)、a)、b)などの符号を使用する。このような符号は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけで、その符号によって該当構成要素の本質又は順番や順序等が限定されない。本明細書で、ある部分がある構成要素を「含む」又は「備える」と言うとき、これは、明示的に逆となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0020】
本明細書で、「上面」又は「上部」は、アンテナ装置1,2で放射素子14,24が係合された方向をいい、「下面」又は「下部」はアンテナ装置1,2でプレート11,21が係合された方向をいう。
【0021】
図1は、本開示の一実施例に係るアンテナ装置の係合斜視図である。
【0022】
図2は、本開示の一実施例に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
【0023】
図1及び図2を参照すると、アンテナ装置(antenna device)1は、プレート(plate)11、第1の誘電体プレート(first dielectric plate)12、第1の給電線路(first feed line)13、及び複数の放射素子(radiation element)14の全部又は一部を含む。
【0024】
プレート11の上面には、第1の誘電体プレート12が係合される。プレート11は金属材質からなり、アンテナ装置1の放射素子14にグラウンド面(ground plane)を提供する。
【0025】
プレート11は、複数の穴(hole)111を含む。複数の穴111は、プレート11を貫通するように形成される。複数の穴111は、複数の第1の穴及び複数の第2の穴を含む。複数の第1の穴には、第1の誘電体プレート12の突出部(図示せず)が挿入され、プレート11及び第1の誘電体プレート12を係合する。複数の第2の穴には、RFフィルタ(filter)、コネクタ(connector)、ポート(port)などが係合され、アンテナ装置1とつながる。
【0026】
第1の誘電体プレート12は、第1の溝(first groove)121、第2の溝(second groove)122、第1の支持部(first support unit)123、第1の連結部(first connect unit)124、第2の連結部(second connect unit)125及び突出部(図示せず)の全部又は一部を含む。
【0027】
第1の誘電体プレート12は、プレート11の上面に射出(injection)されて形成される。したがって、第1の誘電体プレート12の構成要素、第1の溝121、第2の溝122、第1の支持部123、第1の連結部124、第2の連結部125、及び突出部の全部又は一部は一体に形成される。このとき、第1の誘電体プレート12は誘電体、例えばプラスチック材質からなる。
【0028】
第1の溝121は、第1の誘電体プレート12の上面及び下面が貫通されるように形成される。第1の溝121は、第1の方向に沿って長く延びる。ここで、第1の方向は、図1のY軸と平行な方向である。第1の給電線路13が第1の溝121に浮遊するように、第1の溝121は、後述する第1の給電線路13の形状に対応するように形成される。
【0029】
第1の給電線路13は、第1の溝121に浮遊(float)するように構成される。例えば、第1の給電線路13は、第1の溝121の側壁と所定の間隔を置いて浮遊する。また、第1の給電線路13は、第1の誘電体プレート12の下面と係合したプレート11と所定の間隔を置いて浮遊する。
【0030】
第1の給電線路13と第1の溝121の側壁及び/又はプレート11との間の空間には空気が充填される。すなわち、第1の給電線路13は、エアストリップライン(air-strip line)構造を有する。エアストリップライン構造は、一般的なストリップライン(strip line)構造で、誘電体部分が空気(air)で具現された構造を意味する。
【0031】
エアストリップライン構造の給電線路13は、導体周辺が空気であるため、誘電体損失が「0」に近い。したがって、誘電体損失を減少させることで、アンテナ装置1の利得(gain)を増加させることができる。
【0032】
第1の支持部123は、第1の溝121に形成される。第1の支持部123は、第1の溝121の下端に形成され、第1の溝121の対向する側壁をつなぐ。第1の支持部123は、第1の溝121につながって第1の誘電体プレート12に一体に形成され、第1の支持部123の厚さは第1の溝121の厚さより薄い。第1の支持部123は、第1の方向に沿って所定の間隔を置いて第1の溝121に形成される。
【0033】
所定の間隔を置いて形成された複数の第1の支持部123の上面には、第1の給電線路13が係合される。第1の給電線路13が第1の支持部123の上面に係合されることで、第1の給電線路13は、第1の溝121の側壁及び/又はプレート11と所定の間隔を置いて浮遊することができる。すなわち、第1の支持部123を用いることで、最小限の誘電体のみを用いてエアストリップライン構造を形成することができる。
【0034】
第2の溝122は、第1の溝121が形成されていない第1の誘電体プレート12の少なくとも一部に形成される。第2の溝122は、第1の誘電体プレート12の上面及び下面が貫通されるように形成される。第2の溝122は、所定のパターンを有して規則的に形成される。例えば、第2の溝122はハニカム形状のパターンで形成される。ただし、これに限定されず、第2の溝122は不規則的に形成されてもよい。第1の誘電体プレート12に複数の第2の溝122が形成されることで、第1の誘電体プレート12の重さを軽くし、アンテナ装置1の製造原価を低減できる効果がある。
【0035】
第1の連結部124は、第1の誘電体プレート12の上面に突出されるように形成される。第1の連結部124は、第1の誘電体プレート12及び放射素子14をつなぐ。4個の第1の連結部124が所定の間隔を置いて形成されて第1の誘電体プレート12及び放射素子14をつなぐ。例えば、4個の第1の連結部124は、長方形の形状をなすように配置される。ただし、これに限定されず、第1の連結部124の個数及び配置は必要によって多様に設計される。
【0036】
第2の連結部125は、第1の誘電体プレート12の上面に突出されるように形成される。第2の連結部125は、第1の誘電体プレート12及び第1の給電線路13をつなぐ。第1の給電線路13が放射素子14を給電できるように、第2の連結部125は放射素子14の下端に形成される。すなわち、第2の連結部125の高さは、第1の連結部124の高さより低くてもよい。一対の第1の給電線路13をつなぐために、第2の連結部125は一対に形成される。ただし、これに限定されず、第2の連結部125の個数及び配置は、必要によって多様に設計される。
【0037】
突出部は、第1の誘電体プレート12の下面に形成される。突出部は、第1の誘電体プレート12の下面に突出されるように形成され、プレート11の穴111に挿入される。突出部が穴111に挿入されることで、第1の誘電体プレート12及びプレート11が係合される。突出部は、プレート11の穴111の位置に対応して複数個が形成される。複数の突出部は、第1の誘電体プレート12と一体に形成される。
【0038】
複数の放射素子14は、第1の方向に沿って一列に配置される。この場合、複数の放射素子14は1つのアンテナ列(antenna column)を形成する。ここで、第1の方向は、図1のY軸と平行な方向である。
【0039】
動作周波数帯域の中間周波数をラムダ(lambda)としたとき、1つのアンテナ列内で、1つの放射素子14とこれに隣接する放射素子14との間隔が1ラムダ以上になる場合、放射パターン(radiation pattern)で望ましくないグレーティングローブ(grating lobe)が発生する。
【0040】
したがって、1つの放射素子14とこれに隣接する放射素子14との間の第1の方向間隔は、1ラムダ未満であることが好ましい。しかしながら、本開示はこれに限定されず、2つの放射素子14間の第1の方向間隔は、上述した範囲以外の値を有してもよい。
【0041】
アンテナ装置1は、複数のアンテナ列を含む。複数のアンテナ列は、プレート11上で第1の方向と垂直な第2の方向に沿って配置される。ここで、第2の方向は、図1のX軸と平行な方向である。
【0042】
複数の放射素子14は、二重偏波を具現するように構成される。放射素子14が二重偏波を具現するように、第1の給電線路13は一対で構成される。一対の第1の給電線路13は対称になるように配置される。例えば、1つの放射素子14から+45度及び-45度の2種類の偏波信号が放射される。しかしながら、本開示はこれに限定されず、放射素子14は単一偏波又は四重偏波を具現するように構成されてもよい。
【0043】
第1の給電線路13は、複数の放射素子14を給電するように構成される。すなわち、複数の放射素子14は、第1の給電線路13を用いて信号を送受信したり電力供給を受けたりする。
【0044】
第1の給電線路13は、メイン線路領域131、連結線路領域132、及び入出力領域133を含む。メイン線路領域131は、第1の方向に沿って長く延びる。連結線路領域132は、一端が第2の連結部125につながり、他端がメイン線路領域131につながる。連結線路領域132は、メイン線路領域131が所定の角度に折り曲げられて形成される。例えば、連結線路領域132は、メイン線路領域131が「ヘ」字状に折り曲げられて形成される。しかしながら、本開示はこれに限定されず、連結線路領域132は斜めに形成されてもよい。
【0045】
連結線路領域132はメイン線路領域131から分岐され、各連結線路領域132はそれに対応される放射素子14とつながる。連結線路領域132は放射素子14と直接つながってもよく、カップリング(coupling)方式でつながってもよい。
【0046】
入出力領域133はメイン線路領域131から分岐され、RF回路とメイン線路領域131をつなぐ。入出力領域133の一端はメイン線路領域131につながり、入出力領域133の他端はフィルタ(filter)、電力増幅器(power amplifier)、電源供給部(power supply unit)等が備えられたRF回路とつながる。
【0047】
RF回路はアンテナ装置1の内部に備えられてもよいが、アンテナ装置1の外部の装置、例えば、RRH(remote radio head)に備えられてもよい。RF回路がRRHなどの外部装置に備えられた場合、アンテナ装置1とRF回路が備えられた外部装置は、RFケーブル又はコネクタなどを用いてつながる。
【0048】
入出力領域133は、メイン線路領域131及び連結線路領域132を用い、RF回路から送信された信号を複数の放射素子14に伝達したり、複数の放射素子14から受信された信号をRF回路に伝達したりする。また、入出力領域133は、メイン線路領域131及び連結線路領域132を用い、複数の放射素子14に電力を供給する。
【0049】
第1の給電線路13の長さが長くなることによって発生する位相差又は電力損失を最小化するために、入出力領域133は、メイン線路領域131の中間領域の付近に配置される。
【0050】
一方、エアストリップライン構造は誘電体部分が空気で具現されるため、複数の放射素子14に同一の位相を入力するための第1の給電線路13の長さは相対的に長くなる。
【0051】
例えば、動作周波数帯域の中間周波数をラムダとしたとき、第1の放射素子及び第1の放射素子に隣接する第2の放射素子に同じ位相の信号を入力するために必要な第1の給電線路13の長さは1ラムダである。すなわち、第1の連結線路領域及び第1の連結線路領域と隣接する第2の連結線路領域までの第1の給電線路13の長さは1ラムダである。
【0052】
上述したように、グレーティングローブ(grating lobe)の発生を最小化するために、隣接する2個の放射素子14間の第1の方向間隔は1ラムダ未満であることが好ましい。この場合、隣接する2個の放射素子14間をつなぐ第1の給電線路の長さが、隣接する2個の放射素子14間の間隔よりも長くなって問題になる。
【0053】
このような問題を解決するために、メイン線路領域131はディレイラインを含む。ディレイラインは、メイン線路領域131の少なくとも一部に形成される。ディレイラインは、メイン線路領域131の一部を折り曲げて形成された領域であり、長くなった第1の給電線路13の長さを一部補償する。
【0054】
一対の第1の給電線路13で、ディレイラインは、他方の第1の給電線路13に向かって凹状の形状にしたり、凸状の形状を有したりする。例えば、ディレイラインは「コ」字状を有するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0055】
メイン線路領域131はディレイラインを含むことで、隣接する2個の放射素子14間の第1の方向間隔がやむを得ず遠くなることを防止できる。したがって、アンテナ装置1はコンパクト(compact)にすることができ、望ましくないグレーティングローブの発生を最小化できる。
【0056】
図3は、図1のB部分を拡大した上面図である。
【0057】
図3を参照すると、本開示のアンテナ装置1の第1の給電線路13は、第1の溝121に浮遊するように構成される。第1の給電線路13は、第1の溝121の側壁と所定の間隔を置いて浮遊する。第1の給電線路13が第1の溝121の側壁と所定の間隔を置いて浮遊するように、第1の支持部123が第1の給電線路13を支持する。
【0058】
本開示のアンテナ装置1は、第1の給電線路13の幅を一定に保ちつつ、第1の給電線路13と第1の溝121の側壁との間の間隔を調節してインピーダンス(impedance)を可変できる。第1の給電線路13の幅は均一である。したがって、インピーダンスを可変するために給電線路の幅を調節する従来のエアストリップライン構造と異なり、第1の給電線路13の制作時に発生する段差を最小化できる効果がある。したがって、本開示のアンテナ装置1は、エアストリップライン構造の制作時に発生するバリ(burr)問題も最小化できる。
【0059】
図4は、図1のAA'部分を切断した断面図及び給電線路と誘電体プレートとの間の距離によるインピーダンス変化を示すグラフである。
【0060】
図4を参照すると、本開示のアンテナ装置1は、第1の給電線路13及び第1の溝121の側壁との間の距離を調節できる。第1の給電線路13の幅は一定であるため、第1の給電線路13及び第1の溝121の側壁との間の距離を調節するためには、第1の溝121の幅を調節しなければならない。例えば、第1の溝121の側壁の厚さを調節して第1の給電線路13及び第1の溝121の側壁との間の距離を増減できる。第1の溝121の幅は、第1の誘電体プレート12の製造過程で、予め設定された数値を用いて設計する。
【0061】
図4のグラフを参照すると、第1の給電線路13及び第1の溝121の側壁との間の距離(clearance)が増加すればするほどインピーダンスが増加することがわかる。すなわち、本開示のアンテナ装置1は、第1の給電線路13及び第1の溝121の側壁との間の距離を調節することで、誘電率及びインピーダンスを調節できる効果がある。
【0062】
図5は、本開示の一実施例に係る給電線路の下端に追加された誘電体部及び誘電体部の厚さによるインピーダンス変化を示すグラフである。
【0063】
図5を参照すると、本開示のアンテナ装置1の第1の誘電体プレート12は、さらに誘電体部126を含む。
【0064】
誘電体部126は、第1の溝121に形成される。誘電体部126は、第1の溝121の下端に形成され、第1の溝121の対向する側壁をつなぐ。誘電体部126は、第1の溝121につながって第1の誘電体プレート12に一体に形成され、誘電体部126の厚さは第1の溝121の厚さより薄い。
【0065】
誘電体部126は、第1の支持部123が形成されていない第1の溝121の少なくとも一部に形成される。誘電体部126は連続的に形成されてもよく、所定の間隔を置いて規則的に形成されてもよい。誘電体部126は、第1の誘電体プレート12の下端に形成され、第1の給電線路13と所定の間隔を有するように形成される。誘電体部126の形状及び厚さは、必要に応じて多様に設計される。
【0066】
図5のグラフを参照すると、第1の給電線路13及び誘電体部126との間の距離によってインピーダンスが可変することがわかる。誘電体部126の厚さtが増加すればするほど、すなわち第1の給電線路13及び誘電体部126との間の距離が減少すればするほど、インピーダンスが増加することが分かる。すなわち、本開示のアンテナ装置1は、第1の給電線路13及び誘電体部126との間の距離を調節することで、誘電率及びインピーダンスを調節できる効果がある。
【0067】
図6は、本開示の他の実施例に係るアンテナ装置の係合斜視図である。
【0068】
図7は、本開示の他の実施例に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
【0069】
図8は、本開示の他の実施例に係るアンテナ装置の底面図である。
【0070】
図6ないし図8を参照すると、本開示の他の実施例に係るアンテナ装置2は、プレート21、第1の誘電体プレート22、第1の給電線路23、複数の放射素子14、第2の誘電体プレート25、及び第2の給電線路26の全部又は一部を含む。
【0071】
第1の誘電体プレート22は、第1の溝221、第2の溝222、第1の支持部223、第1の連結部224、及び第2の連結部225の全部又は一部を含む。第1の給電線路23は、メイン線路領域231、連結線路領域232、及び入出力領域233を含む。
【0072】
本開示の他の実施例に係るアンテナ装置2のプレート21、第1の誘電体プレート22、第1の給電線路23、複数の放射素子14、及び各構成に関する説明のうち、本開示の一実施例に係るアンテナ装置1と重複する部分の説明は、先に説明した内容で割愛する。なお、説明の便宜上、図6ないし図8には1つのアンテナ列のみ配置されているが、これに限定されず、複数のアンテナ列が配置されてもよい。
【0073】
アンテナ装置2の上面には第1の誘電体プレート22が係合され、下面には第2の誘電体プレート22が係合される。第1の誘電体プレート22及び第2の誘電体プレート25は、プレート21の上面及び下面に二重射出されて形成される。
【0074】
プレート21は、可変回路ボード211及び係合部212を含む。可変回路ボード211は一種の印刷回路基板であり、その上面には給電線路23,26を用いて周波数の位相を可変できる少なくとも1つ以上の断電地点を有する可変回路がパターン印刷される。可変回路ボード211は、第1の給電線路23及び/又は第2の給電線路26と電気的につながる。係合部212は、プレート21、第1の誘電体プレート22、及び第2の誘電体プレート25を係合する。係合部212は、それぞれ一対のボルト/ナット構造であってもよいが、これに限定されず、プレート21、第1の誘電体プレート22、及び第2の誘電体プレート25を係合できる構造であればいい。
【0075】
第2の誘電体プレート25は、第3の溝251及び第4の溝252の全部又は一部を含む。第3の溝251及び第4の溝252は、第2の誘電体プレート25に一体に形成される。このとき、第2の誘電体プレート25は誘電体、例えばプラスチック材質からなる。
【0076】
第3の溝251は、第2の誘電体プレート25の上面及び下面が貫通されるように形成される。第3の溝251は、第1の方向に沿って長く延びる。ここで、第1の方向は、図7のY軸と平行な方向である。第2の給電線路26が第3の溝251に浮遊するように、第3の溝251は、第2の給電線路26の形状に対応するように形成される。
【0077】
第2の給電線路26は、第3の溝251に浮遊(float)するように構成される。例えば、第2の給電線路26は、第3の溝251の側壁と所定の間隔を置いて浮遊する。また、第2の給電線路26は、第2の誘電体プレート25の下面と係合したプレート21と所定の間隔を置いて浮遊する。
【0078】
第2の給電線路26と第3の溝251の側壁及び/又はプレート21との間の空間には空気で満たされる。すなわち、第2の給電線路26は、第1の給電線路23と同様にエアストリップライン構造を有する。
【0079】
第4の溝252は、第3の溝251が形成されていない第2の誘電体プレート25の少なくとも一部に形成される。第4の溝252は、第2の誘電体プレート25の上面及び下面が貫通されるように形成される。第4の溝252は、所定のパターンを有して規則的に形成される。例えば、第4の溝252はハニカム形状のパターンで形成される。ただし、これに限定されず、第4の溝252は不規則的に形成されてもよい。第2の誘電体プレート25に複数の第4の溝252が形成されることで、第2の誘電体プレート25の重さを軽くし、アンテナ装置2の製造原価を節減できる効果がある。
【0080】
第1の給電線路23とは異なり、第2の給電線路26は折り曲げられた形状でなくてもよい。第2の給電線路26は、一対をなして互いに対称になるように配置される。第2の給電線路26は、第1の方向に沿って長く延びる。第2の給電線路26は、第1の給電線路23のディレイラインを用いた長さ補償ができない場合に用いる。第2の給電線路26を用いることで、後述するパラレル給電設計を適用する。例えば、第2の給電線路26の一端は第1の給電線路23の入出力領域233につながり、他端はRF回路につながる。第2の給電線路26の他端は、フィルタ(filter)、電力増幅器(power amplifier)、電源供給部(power supply unit)などが備えられたRF回路とつながる。
【0081】
図9は、本開示の一実施例に係る給電線路の連結関係を示す図である。
【0082】
図9(a)は、複数の放射素子14,24をシリーズ(series)給電する際の回路図を概略的に示す図である。シリーズ給電の場合、隣接する2個の放射素子14,24ごとに間隔が、1ラムダずつ差が出る。シリーズ給電の場合、位相スロープ上の複数の放射素子14,24間に位相差が大きいため、サイドローブ(side lobe)が発生することがあり、アンテナ装置1,2の広帯域が得ら難いという問題がある。
【0083】
図9(b)は、複数の放射素子14,24をパラレル(parallel)給電する際の回路図を概略的に示す図である。パラレル給電の場合、隣接する2個の放射素子14,24の位相側面で同一である。パラレル給電の場合、位相スロープ上の位相差が緩やかであるため、アンテナ装置1,2が広帯域を得ることができる。
【0084】
シリーズ給電及びパラレル給電は、それぞれ、本開示の一実施例に係るアンテナ装置1及び他の実施例に係るアンテナ装置2に適用される。ただし、これに限定されず、シリーズ給電が他の実施例に係るアンテナ装置2に適用されてもよく、パラレル給電が一実施例に係るアンテナ装置1に適用されてもよい。また、シリーズ給電及びパラレル給電が併合して本開示の一実施例に係るアンテナ装置1及び他の実施例に係るアンテナ装置2に適用されてもよい。
【0085】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0086】
[関連出願への相互参照(CROSS-REFERENCE TO RELATED APPLICATIOIN)]
本特許出願は、本明細書にその全体が参考として含まれる、2022年01月07日付にて韓国に特許出願した特許出願番号第10-2022-0002899号及び、2022年04月01日付にて韓国に特許出願した特許出願番号第10-2022-0041049号に対して優先権を主張する。
【符号の説明】
【0087】
1 アンテナ装置、11 プレート
111 穴、12 第1の誘電体プレート
121 第1の溝、122 第2の溝
123 第1の支持部、124 第1の連結部
125 第2の連結部、13 第1の給電線路
131 メイン線路領域、132 連結線路領域
133 入出力領域、14 放射素子
2 アンテナ装置、21 プレート
211 穴、22 第1の誘電体プレート
221 第1の溝、222 第2の溝
223 第1の支持部、224 第1の連結部
225 第2の連結部、23 第1の給電線路
231 メイン線路領域、232 連結線路領域
233 入出力領域、24 放射素子
25 第2の誘電体プレート、251 第3の溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】