(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】活性化リンパ球を安定かつ制御された品質で増幅するための方法及び抗腫瘍におけるその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20241206BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20241206BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241206BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241206BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241206BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241206BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241206BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241206BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20241206BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K47/42
A61K9/10
A61P37/02
A61P35/00
A61P37/04
A61P31/12
A61K45/00
C12N5/078
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539539
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-27
(86)【国際出願番号】 CN2022142940
(87)【国際公開番号】W WO2023125696
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111628086.9
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524244410
【氏名又は名称】北京永泰生物制品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 雪南
(72)【発明者】
【氏名】李 雪▲コウ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 永▲華▼
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065BB19
4B065BD15
4B065CA44
4C076AA22
4C076BB13
4C076BB17
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4C087AA01
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4C087MA02
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4C087MA23
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB07
4C087ZB09
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZC75
(57)【要約】
本発明は、活性化増幅リンパ球原液の製造方法に関し、(1)自己末梢全血を遠心分離して得られた末梢血単核球(PBMC)とリンパ球活性化剤を無血清培地に入れて共培養することで、リンパ球の培養及び活性化を行うステップであって、無血清培地における前記末梢血単核球の培養活性化の開始密度が(0.2~1.6)×106個/mlであり、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ステップ(1)と、(2)ステップ(1)で製造された培養活性化リンパ球を、(0.5~5)×106個/mlの細胞密度で無血清培地に入れて継代培養し、リンパ球活性化培養物を製造するステップであって、継代培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれる、ステップ(2)と、(3)ステップ(2)の継代培養により得られたリンパ球活性化培養物に、その体積の5~10倍の無血清培地を加えて増幅培養を行うステップであって、増幅培養の代数が1~5世代である、ステップ(3)と、遠心分離し、洗浄し、活性化増幅リンパ球を収集して、活性化増幅リンパ球原液を得るステップ(4)と、を含む。本発明で製造された活性化増幅リンパ球は、細胞の増幅効率が高く、細胞の生存率が高く、細胞活性が安定で、有効時間が長く、安全で有効であり、副作用が小さいなどの利点があり、個体化免疫細胞による腫瘍治療技術の重要な課題を効果的に解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化増幅リンパ球原液の製造方法であって、
(1)自己末梢全血を遠心分離して得られた末梢血単核球(PBMC)とリンパ球活性化剤を無血清培地に入れて共培養することで、リンパ球の培養及び活性化を行うステップであって、無血清培地における前記末梢血単核球の培養活性化の開始密度が(0.2~1.6)×10
6個/mlであり、細胞活性化培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO
2が7.5%±1.0%含まれ、前記リンパ球活性化剤は、抗ヒトCD2抗体、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、フィトヘマグルチニン(PHA)から選択されるいずれか若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらを担体上に固定化した抗体含有担体であり、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ステップ(1)と、
(2)ステップ(1)で製造された培養活性化リンパ球を、(0.5~5)×10
6個/mlの細胞密度で無血清培地に入れて継代培養し、リンパ球活性化培養物を製造するステップであって、継代培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO
2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、継代培養の世代数が1~5世代である、ステップ(2)と、
(3)ステップ(2)の継代培養により得られたリンパ球活性化培養物に、その体積の5~10倍の無血清培地を加えて増幅培養を行うステップであって、増幅培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO
2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、増幅培養の代数が1~5世代である、ステップ(3)と、
遠心分離し、洗浄し、活性化増幅リンパ球を収集して、活性化増幅リンパ球原液を得るステップ(4)と、を含む、活性化増幅リンパ球原液の製造方法。
【請求項2】
全血から末梢血単核細胞を遠心抽出する方法は、
抗凝固処理された全血に分離媒体と希釈剤を加え、撹拌して、均一に混合したものを分離液に加え、1000~3000rpmで10~40min遠心分離し、分離界面間の細胞層を収集し、洗浄液を加え、遠心分離して洗浄し、細胞を収集して、末梢血単核細胞を得るステップを含み、
前記分離媒体は、ヒドロキシエチルデンプン40塩化ナトリウム注射液(HES)、Percoll、Ficoll-Paque PLUSから選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、全血:希釈剤の体積比が1:1~2であり、前記希釈剤は、塩化ナトリウム注射液、Hank’s緩衝液、Lactated Ringer’s溶液、Dulbecco’sリン酸塩緩衝液ら選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、前記分離液は、ヒドロキシエチルデンプン40塩化ナトリウム注射液(HES)、Ficoll、Lymphoprep、Lymphocyte Separation Media、Cell Separation Mediaから選択されるいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり、前記分離液の浸透圧が300mOsmol/kg~360mOsmol/kgであり、前記洗浄液は、0.1%ヒトアルブミン塩化ナトリウム注射液、Dulbecco’sリン酸塩緩衝液、塩化ナトリウム注射液から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遠心分離の条件は、(1500~2500rpm)×(15~30min)、好ましくは、(2000~2500rpm)×(20~25min)であり、洗浄は遠心洗浄であり、洗浄の条件は(500~2000rpm)×(5~20min)であり、遠心洗浄は、1~5回行い、好ましくは、(1000~1800rpm)×(10~15min)で2~3回行う、ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記無血清培地には、サイトカインIL-2 300~600IU/ml、好ましくは、400~500IU/mlが任意に加えられる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
活性化増幅リンパ球の増幅倍数が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
活性化増幅リンパ球の生存率が95%以上、好ましくは、98%以上である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞の数が1×10
9個以上、好ましくは、1×10
9~2×10
10個、より好ましくは、4~9.5×10
9個である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
活性化増幅後のリンパ球の生物学的活性KT
50が、8.5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、0.7141以下である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球原液を含有する医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、(1~20)×10
7個/mlの活性化増幅リンパ球、0.5~2%のヒトアルブミン及び注射用生理食塩水からなり、活性化増幅リンパ球の生存率が95%以上であり、活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞が(1~20)×10
7個/mlであり、前記医薬組成物は、防腐剤及び抗生物質を含有しない、医薬組成物。
【請求項10】
生物学的試料の細胞増幅率が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上である、ことを特徴とする請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
活性化増幅リンパ球の生物学的活性KT
50が8.5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、0.7141以下である、ことを特徴とする請求項9~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
患者への活性化増幅リンパ球の1回の再注入総数が2×10
10個以下であり、有効期間中の細胞生存率が85%以上である、ことを特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
15~25℃で12h保存したときの活性化増幅リンパ球の生存率が85%以上である、ことを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ヒトアルブミンを含有する注射用生理食塩水に活性化増幅リンパ球原液を再懸濁させる、ことを特徴とする請求項9~13のいずれか1項に記載の活性化増幅リンパ球原液を含有する医薬組成物の製造方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球を免疫治療に用いる方法であって、
(1)個体からリンパ球を含有する生物学的試料を取得するステップと、
(2)本発明の製造方法を用いて前記リンパ球を活性化し、継代し、増幅し、活性化増幅リンパ球を得るステップと、
(3)前記活性化増幅リンパ球又はその医薬組成物を前記個体に再注入するステップと、を含む、方法。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球を免疫療法に用いる投与スキームであって、
(1)第1クールでは、被験者は週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(2)第2クールでは、被験者は2週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(3)第3クールでは、被験者は3週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(4)第4クールでは、被験者は4週に1回、7~10回の静脈輸注を受けるスキームと、を含む、ことを特徴とする投与スキーム。
【請求項17】
(1)第1クールでは、被験者は週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(2)第2クールでは、被験者は2週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(3)第3クールでは、被験者は3週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(4)第4クールでは、被験者は4週に1回、8~9回の静脈輸注を受けるスキームと、を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の投与スキーム。
【請求項18】
静脈輸注1回当たりの活性化増幅リンパ球数が2×10
8個以上のリンパ球、好ましくは、(2~10)×10
9個以上のリンパ球である、ことを特徴とする請求項15~17のいずれか1項に記載の投与スキーム。
【請求項19】
抗腫瘍免疫療法薬、抗ウイルス能力増強薬、自己免疫疾患治療増強薬のいずれかの製造における請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球の使用。
【請求項20】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球と手術、放射線療法、化学療法のいずれかとの組み合わせの、抗腫瘍療法又は免疫療法における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ医薬の分野に関し、具体的には、活性化リンパ球を安定かつ制御された品質で増幅するための方法及び抗腫瘍におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は、人間の健康と生命を脅かす主要な疾患の1つであり、その発病率は年々増加する傾向を示している。「世界がん統計2015」のデータによると、世界では2015年にがんに新しく罹患した症例数は約1410万人、死者数は820万人に達した。中国では2015年にがんに新しく罹患した症例数は429万人、死亡例は281万人に達した。手術、放射線療法、化学療法が腫瘍を治療するための3つの一般的な手段となっているが、これらのいずれも、特異性が不十分であるという欠点があり、腫瘍細胞を除去するとともに、正常組織や器官に異なる程度の損傷を与える。1980年代、Rosenberg SAらは、非免疫系腫瘍に罹患した動物を組換えIL-2で治療すると、動物のリンパ球が腫瘍の退縮や転移を引き起こす可能性があることを認めた。それ以来、免疫細胞療法は、臨床応用が急速に発展し、包括的な腫瘍治療の4番目の手段となっている。Rosenberg SAらは、1988年に214例の腫瘍患者に対するIL-2細胞とLAK細胞との併用治療を要約した結果、16例の患者の腫瘍転移巣は完全に除去され、26例の患者の腫瘍は50%以上縮小した。この療法は、転移性腎細胞癌、黒色腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫の患者に対して一定の治療効果を示している。LAK細胞は、殺傷力が低く、臨床応用には大量を輸注する必要があり、その増幅能力には限界があるため、細胞輸注とともに高用量のIL-2(単回投与量1×105IU/Kg又は[1~6]×106IU/m2)を使用する必要があるが、高用量のIL-2による治療中に、重度の潰瘍や腎不全など、患者にとって耐えられない明らかな毒性反応が発生する場合がある。この療法は、主に腎がんや黒色腫などの少数の腫瘍に使用されており、そして、徐々に使用されなくなった。
【0003】
1991年、米国スタンフォード大学医学部の骨髄移植研究センターは、IFN-γ、IL-2、抗CD3モノクローナル抗体、及びIL-1を使用して末梢血単核細胞を刺激して誘導して得られた細胞が、リンパ腫細胞に強力な殺傷作用があるが、正常な造血幹細胞にはほとんど影響を与えないと報告しており、この方法で得られた細胞はサイトカイン誘導キラー細胞(Cytokine-Induced Killer、CIK細胞)と呼ばれ、抗腫瘍作用を発揮するエフェクター細胞は主にCD3+CD56+のNKT細胞であり、Tリンパ球の抗腫瘍活性とNK細胞のMHC非拘束性の特徴を兼ね備える。研究では、CIK細胞の増幅効率、腫瘍細胞殺傷能力、及びインビボ活性がLAK細胞よりも大幅に高いことが示されている。転移性腎がん、結腸がん、非小細胞肺がん、リンパ腫のCIK細胞療法に関する臨床研究が報告されていた。
【0004】
これまで、非特異的免疫細胞療法は、手術、放射線療法、化学療法、標的療法、免疫活性化因子療法などの腫瘍治療と組み合わせて使用されてきた。多くの非特異的免疫細胞療法により、腫瘍再発の予防、患者の生存時間の延長、化学療法との相乗作用、患者の生活の質の大幅な改善などの治療上の利益を患者にもたらしたことが臨床的に観察されていた。これにより、非特異的免疫細胞が腫瘍治療において長期的な活力を得ることが可能となり、広く注目を集め、広く使用されるようになった。
【0005】
Yamazaki Tらは、2000年に「The Lancet」で、肝がん術後の腫瘍再発を防ぐために自己リンパ球をインビトロ培養系で増幅して活性化させるランダム化比較臨床試験の結果を報告した。この研究には、根治的外科切除を受けた合計150例の肝がん患者が登録され、治療群(76例)は細胞免疫療法を行ったが、対照群(74例)はいずれの補助療法も行っていない。治療群の患者は、最初の6カ月間で合計370回の細胞輸注を受け、患者あたり輸注されたリンパ球の平均数は7.1×1010個で、そのうちCD3+細胞が78%を占める。45例の患者のうち、合計62回の不良反応(発熱、頭痛、吐き気、めまい、ゆかみ、頻脈を含む)が発生し、すべての不良反応は自己制限的である。肺や腎臓の症状、感染症の兆候、肝機能低下や自己免疫障害が認められた患者はいなかった。平均4.4年(0.2~6.7年)の追跡調査の結果、対照群と比較して、治療群では、肝がん再発リスクが41%(95%信頼区間は12%~60%、p=0.01)と有意に低下したことが判明した。治療群では、最初の再発までの時間は、対照群よりも有意に遅かった。3年以内の無再発率は、治療群で48%(95%信頼区間は37%~59%)、対照群では、33%(95%信頼区間は22%~43%)と推定された。5年以内の無再発率は、治療群では、38%(95%信頼区間は22%~54%)、対照群では、22%(95%信頼区間は11%~34%)と推定された。治療群の患者は、無再発生存率(p=0.01)及び疾患特異的生存率(p=0.04)が有意に高くなった。研究の結果は、この非特異的免疫療法が肝がん患者の術後の無再発生存時間を大幅に延長することを示している。日本では、2000年以来、この技術を臨床腫瘍治療に使用しており、2010年までに毎年約10,000例の患者が治療を受けていた。韓国は2007年にこの方法が肝がんと神経膠芽腫の治療のための第III相臨床試験に入ることを承認し、2012年には非特異的免疫細胞製品Immuncell-LCの市販を承認し、肝がんの術後の再発率を大幅に低下させ、細胞の1回の再注入量は1×109~2×1010個として限定される。
【0006】
無血清細胞培養により増幅されて活性化されたリンパ球(Expanded Activated Lymphocytes)系は、患者の自己末梢血中の単核球から製造され、増幅活性化Tリンパ球(CD3+細胞)を主成分とし、CD8+キラーTリンパ球を主な機能細胞とし、1回あたり患者へ再注入されるCD8+T細胞の平均数は4.70±1.47×109であり、臨床実践で良好な腫瘍治療活性を示している。従来技術では、無血清培養によるリンパ球の増幅活性化方法が開示されているが、この方法によって製造されたリンパ球の増幅倍率、細胞生存率、及び生物学的活性を改善し、安定かつ制御可能な細胞品質及び安全で効果的な治療に対する臨床ニーズを満たすために、末梢血単核球(PBMC)の抽出と分離、リンパ球活性化剤の種類と配合比、無血清培地などを最適化させる必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、活性化増幅リンパ球原液の製造方法を提供することであり、
(1)自己末梢全血を遠心分離して得られた末梢血単核球(PBMC)とリンパ球活性化剤を無血清培地に入れて共培養することで、リンパ球の培養及び活性化を行うステップであって、無血清培地における前記末梢血単核球の培養活性化の開始密度が(0.2~1.6)×106個/mlであり、細胞活性化培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれ、前記リンパ球活性化剤は、抗ヒトCD2抗体、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、フィトヘマグルチニン(PHA)から選択されるいずれか若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらを担体上に固定化した抗体含有担体であり、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ステップ(1)と、
(2)ステップ(1)で製造された培養活性化リンパ球を、(0.5~5)×106個/mlの細胞密度で無血清培地に入れて継代培養し、リンパ球活性化培養物を製造するステップであって、継代培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、継代培養の世代数が1~5世代である、ステップ(2)と、
(3)ステップ(2)の継代培養により得られたリンパ球活性化培養物に、その体積の5~10倍の無血清培地を加えて増幅培養を行うステップであって、増幅培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、活性化培養環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、増幅培養の代数が1~5世代である、ステップ(3)と、
遠心分離し、洗浄し、活性化増幅リンパ球を収集して、活性化増幅リンパ球原液を得るステップ(4)と、を含む。
【0008】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記生物学的サンプルは、無血清培地における培養活性化の開始密度が(0.2~1)×106個/mlである。
【0009】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記リンパ球活性化剤は、抗ヒトCD3抗体であり、好ましくは、2.5μg/ml~5μg/mlであり、体積が8~15mlであり、より好ましくは、2.5μg/ml~3.8μg/mlであり、体積が10~13mlである。
【0010】
本発明の好ましい技術的解決手段では、全血から末梢血単核細胞を遠心抽出する前記方法は、抗凝固処理された全血に分離媒体と希釈剤を加え、撹拌して、均一に混合したものを分離液に加え、1000~3000rpmで10~40min遠心分離し、分離界面間の細胞層を収集し、洗浄液を加え、遠心分離して洗浄し、細胞を収集して、末梢血単核細胞を得るステップを含み、前記分離媒体は、ヒドロキシエチルデンプン40塩化ナトリウム注射液(HES)、Percoll、Ficoll-Paque PLUSから選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、全血:希釈剤の体積比が1:1~2であり、前記希釈剤は、塩化ナトリウム注射液、Hank’s緩衝液、Lactated Ringer’s溶液、Dulbecco’sリン酸塩緩衝液ら選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、前記分離液は、ヒドロキシエチルデンプン40塩化ナトリウム注射液(HES)、Ficoll、Lymphoprep、Lymphocyte Separation Media、Cell Separation Mediaから選択されるいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり、前記分離液の浸透圧が300mOsmol/kg~360mOsmol/kgであり、前記洗浄液は、0.1%ヒトアルブミン塩化ナトリウム注射液、Dulbecco’sリン酸塩緩衝液、塩化ナトリウム注射液から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである。
【0011】
本発明の好ましい技術的解決手段では、遠心分離の条件は、(1500~2500rpm)×(15~30min)、好ましくは、(2000~2500rpm)×(20~25min)である。
【0012】
本発明の好ましい技術的解決手段では、洗浄は遠心洗浄であり、洗浄の条件は(500~2000rpm)×(5~20min)であり、遠心洗浄は、1~5回行い、好ましくは、(1000~1800rpm)×(10~15min)で2~3回行う。
【0013】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(2)では、継代培養の細胞密度は(1~4)×106個/mlであり、継代培養系に無血清培地を加えた後のpHは7.00~7.80である。
【0014】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(2)では、継代培養の細胞密度は(2~3)×106個/mlであり、継代培養系に無血清培地を加えた後のpHは7.02~7.76である。
【0015】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記分離液の浸透圧は、310~350mOsmol/kg、好ましくは、316~347mOsmol/kgである。
【0016】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記継代培養の世代数は2~3世代である。
【0017】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)では、継代培養の細胞密度が培養活性化細胞密度の1~10倍に増加したときに増幅培養を開始し、ステップ(2)の継代培養により得られたリンパ球培養物を、その体積が合計で6~8倍の無血清培地に加えて増幅培養し、前記増幅培養系のpHが6.80~7.80である。
【0018】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)では、継代培養の細胞密度が培養活性化細胞密度の1.2~3倍に増加したときに増幅培養を開始し、前記増幅培養系のpHが6.88~7.70である。
【0019】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記増幅培養の代数は2~3世代である。
【0020】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(4)における遠心分離の条件は、(1000~3000rpm)×(1~10min)、好ましくは、(1500~2800rpm)×(2~8min)、より好ましくは、(2000~2500rpm)×(5~6min)である。
【0021】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記無血清培地には、サイトカインIL-2 300~600IU/ml、好ましくは、400~500IU/mlが任意に加えられる。
【0022】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記無血清培地のpHは6.9~7.9、好ましくは、7.2~7.4である。
【0023】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記培養装置は、インキュベータ、シェイカー、バイオリアクターから選択されるいずれか1つである。
【0024】
本発明の好ましい技術的解決手段では、活性化増幅リンパ球の増幅倍数が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上である。
【0025】
本発明の好ましい技術的解決手段では、活性化増幅リンパ球の生存率が95%以上、好ましくは、98%以上である。
【0026】
本発明の好ましい技術的解決手段では、活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞の数が1×109個以上、好ましくは、1×109~2×1010個、より好ましくは、4~9.5×109個である。
【0027】
本発明の好ましい技術的解決手段では、活性化増幅後のリンパ球の生物学的活性KT50が、8.5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、0.7141以下である。
【0028】
本発明の別の目的は、活性化増幅リンパ球原液を含有する医薬組成物を提供することであり、前記医薬組成物は、(1~20)×107個/mlの活性化増幅リンパ球、0.5~2%のヒトアルブミン及び注射用生理食塩水からなり、活性化増幅リンパ球の生存率が95%以上であり、活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞が(1~20)×107個/mlであり、前記医薬組成物は、防腐剤及び抗生物質を含有しない。
【0029】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記医薬組成物は、濃度(2~18)×109個/mlの活性化増幅リンパ球、濃度1~1.5%のヒトアルブミン、及び注射用生理食塩水からなり、活性化増幅リンパ球の生存率が98%以上であり、活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞が1×109~2×1010個である。
【0030】
本発明の好ましい技術的解決手段では、生物学的試料の細胞増幅率が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上である。
【0031】
本発明の好ましい技術的解決手段では、活性化増幅リンパ球の生物学的活性KT50が8.5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、0.7141以下である。
【0032】
本発明の好ましい技術的解決手段では、患者への活性化増幅リンパ球の1回の再注入総数が2×1010個以下であり、有効期間中の細胞生存率が85%以上である。
【0033】
本発明の好ましい技術的解決手段では、15~25℃で12h保存したときの活性化増幅リンパ球の生存率が85%以上である。
【0034】
本発明の別の目的は、ヒトアルブミンを含有する注射用生理食塩水に活性化増幅リンパ球原液を再懸濁させる、活性化増幅リンパ球原液を含有する医薬組成物の製造方法を提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、本発明の活性化増幅リンパ球を免疫治療に用いる方法を提供することであり、
(1)個体からリンパ球を含有する生物学的試料を取得するステップと、
(2)本発明の製造方法を用いて前記リンパ球を活性化し、継代し、増幅し、活性化増幅リンパ球を得るステップと、
(3)前記活性化増幅リンパ球又はその医薬組成物を前記個体に再注入するステップと、を含む。
【0036】
本発明の別の目的は、本発明の活性化増幅リンパ球を免疫療法に用いる投与スキームを提供することであり、
(1)第1クールでは、被験者は週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(2)第2クールでは、被験者は2週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(3)第3クールでは、被験者は3週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(4)第4クールでは、被験者は4週に1回、7~10回の静脈輸注を受けるスキームと、を含む。
【0037】
本発明の好ましい技術的解決手段では、
(1)第1クールでは、被験者は週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(2)第2クールでは、被験者は2週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(3)第3クールでは、被験者は3週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(4)第4クールでは、被験者は4週に1回、8~9回の静脈輸注を受けるスキームと、を含む。
【0038】
本発明の好ましい技術的解決手段では、静脈輸注1回当たりの活性化増幅リンパ球数が2×108個以上のリンパ球、好ましくは、(2~10)×109個以上のリンパ球である。
【0039】
本発明の別の目的は、抗腫瘍免疫療法薬の製造における本発明の活性化増幅リンパ球の使用を提供することである。
【0040】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記腫瘍は、肺がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、黒色腫、腎がん、膀胱がん、乳がん、肝がん、リンパ腫、血液悪性腫瘍、脳腫瘍、頭頸部がん、神経膠腫、胃がん、上咽頭がん、喉頭がん、子宮頸がん、子宮体腫瘍、骨肉腫、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、前立腺がん、子宮がん、肛門部がん、精巣がん、卵管がん、子宮内膜がん、膣がん、外陰がん、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道がん、小腸がん、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟部肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性又は急性白血病、小児固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎又は尿管がん、腎盂がん、中枢神経系(CNS)腫瘍、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、環境誘発がんから選択されるいずれか1つ又はそれらの組み合わせである。
【0041】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記肺がんは、小細胞肺がん、非小細胞肺がんから選択されるいずれか1つ又はそれらの合併症である。
【0042】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、B細胞性慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病から選択されるいずれか1つ又はそれらの合併症である。
【0043】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記急性骨髄性白血病は、急性骨髄球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性好塩基球性白血病、急性好酸球性白血病、急性巨核球性白血病、急性赤血球性白血病、骨髄線維症を伴う急性汎骨髄形成症からから選択されるいずれか1つ又はそれらの任意の組み合わせである。
【0044】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記免疫療法は、抗腫瘍免疫療法又は腫瘍根治術後免疫療法から選択されるいずれか1つ又はそれらの組み合わせである。
【0045】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記免疫療法は、原発性肝細胞がん根治術後免疫療法から選択される。
【0046】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記薬物は、成人患者又は小児患者に使用される。
【0047】
本発明の別の目的は、本発明の活性化増幅リンパ球と手術、放射線療法、化学療法のいずれかとの組み合わせの、抗腫瘍又はその免疫療法における使用を提供することである。
【0048】
本発明の別の目的は、抗ウイルス能力増強薬の製造における活性化増幅リンパ球の使用を提供することである。
【0049】
本発明の別の目的は、自己免疫疾患治療増強薬の製造における活性化増幅リンパ球の使用を提供することである。
【0050】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強皮症、甲状腺機能亢進症、若年性糖尿病、本態性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、潰瘍性大腸炎、皮膚疾患から選択されるいずれか1つ又はそれらの合併症である。
【0051】
特に断らない限り、本発明は、増幅活性化リンパ球の生物学的活性(RTCA、例えば、エフェクター・ターゲット比は40:1)を用いて活性化増幅リンパ球による治療活性を表す。消化したターゲット細胞(例えば、HepG2など)について、密度が2×105cells/mlのターゲット細胞を1ウェルあたり100μl加えるようにプレッディングし、エフェクター・ターゲット比のパラメータ(例えば、エフェクター・ターゲット比は40:1)を設定してベースライン測定を行った。ターゲット細胞のプレッディング検出16~24h後、設定したエフェクター・ターゲット比に従って特定の密度(1ウェルあたり50μlの密度が1.6×107cell/ml)のエフェクター細胞(すなわち、増幅活性化リンパ球)を加えた後、細胞形態や増殖分化などのデータ、すなわち、生細胞と検出プレート中の微小電極との接触による電気インピーダンスの変化をリアルタイム、動的かつ定量的に追跡した。接着細胞を含むウェルにエフェクター細胞を加えると、微小電極の表面に接着して成長した細胞は接着電極界面インピーダンスの変化を引き起こし、この変化は細胞指数(Cell Index)の変化と正の相関性を示す。機器専用のソフトウェアは抵抗信号を特定の細胞指数に変換し、発生した細胞指数曲線をソリアルタイムでモニタリングして、さまざまな時間での細胞の粘着、伸展、生長、死亡などの状態を示し、細胞指数の変化を分析することで、エフェクター細胞のターゲット細胞(例えば、HepG2細胞)に対する殺傷効率を算出することができ、殺傷効率曲線から、KT50(すなわち、エフェクター細胞がターゲット細胞の50%を殺傷するのにかかる時間)を算出し、KT50値をエフェクター細胞(すなわち、活性化増幅リンパ球)の生物学的活性を判定する指標とする。KT50値が小さいほど、殺傷効率が高く、生物学的活性が高いことを示している。逆に、生物学的活性が低い。
【0052】
特に断らない限り、本発明では、液体と液体との間の百分率に関する場合、前記百分率は、体積/体積百分率であり、液体と固体との間の百分率に関する場合、前記百分率は、体積/重量百分率であり、固体と液体との間の百分率に関する場合、前記百分率は、重量/体積百分率であり、残りは重量/重量百分率である。
【発明の効果】
【0053】
従来技術と比較して、本発明は次のような有益な技術的効果を有する。
【0054】
1.本発明で製造された活性化増幅リンパ球は、細胞の増幅効率が高く、細胞の生存率が高く、細胞活性が安定で、有効時間が長く、安全で有効であり、副作用が小さいなどの利点があり、個体化免疫細胞による腫瘍治療技術の重要な課題を効果的に解決する。第一に、安定した細胞培養効率を持つ無血清培養系を使用して、12日間持続して培養し、細胞の殺傷活性と増幅能力を維持し、血清の使用による病原性微生物汚染及び細胞成長に対するその他の不利な要素を回避する。第二に、細胞の増幅効率が高く、単核球回収機を使用する必要がなく、効率的に1000倍以上増幅することができる。従来の免疫細胞療法に単核球回収機を使用して大量の開始末梢血単球細胞を回収する必要があり、患者の免疫細胞系全体に対する破壊作用を与えることを回避する。第三に、細胞は、活性が高く、安定性が良く、12h保存しても、治療効果が影響を受けない。第四に、個別化製品の標準化品質管理システム、大規模生産の技術的課題を解決し、品質が比較的均一な細胞製品を得る技術を達成させ、治療の標的性と治療の正確性及び患者のコンプライアンスを著しく向上させる。
【0055】
2.本発明の活性化増幅リンパ球は、腫瘍患者の治療に用いられると、腫瘍術後の再発を予防し、腫瘍術後の再発期間を延長し、腫瘍患者の生存時間を著しく延長し、患者の生活の質を著しく改善することができ、しかも治療の過程で、化学療法薬の使用量、放射線療法の用量、及び化学療法や放射線療法による吐き気、嘔吐、脱毛や不眠などの不良反応を減少させ、血液像検査結果の劣化や肝臓や腎臓の機能への損傷などの重篤な不良反応をなくし、腫瘍によって引き起こされる痛みを軽減させ、患者の生活の質を大幅に向上させる。
【0056】
3.本発明のリンパ球増幅方法は、操作しやすく、品質が安定で制御可能であり、工業的生産に適しているなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】実施例1の1回目の継代培養におけるEAL細胞の成長状態(250倍×顕微鏡下観察)である。
【
図2】実施例1の1回目の増幅培養におけるEAL細胞の成長状態(250倍×顕微鏡下観察)である。
【
図3】実施例1の2回目の増幅培養におけるEAL細胞の成長状態(250倍×顕微鏡下観察)である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下では、実施例を参照して本発明をさらに説明するが、したがって、本発明は、説明される実施例の範囲内に限定されるものではない。
【0059】
実施例1 リンパ球の活性化増幅原液の製造
(1)末梢血単核球(PBMC)の分離、接種、及び活性化培養(0日目)
患者1:肝がん患者、年齢:55歳、性別:男
前記無血清細胞培地:GT-T551 H3無血清細胞培地(培地中のIL-2の濃度は500 IU/ml、pHは7.2~7.4)
採血した患者の全血37mlを新しい250ml遠心分離管に入れ、血液サンプルの同体積の0.9%塩化ナトリウム注射液を加え、均一に混合した後、それをFicoll 15mlを分注した50ml遠心分離管(2つの遠心分離管)に緩やかに加え、界面を明確にし、2000rpmで20min遠心分離し、遠心分離機の加速を7、減速を0に設定した。界面間の細胞層を新しい50ml遠心分離管に吸引し、0.9%塩化ナトリウム注射液と1:1で均一に混合し、1200rpmで10min遠心分離した。遠心分離が完了した後に、上清を捨て、細胞沈殿を振って分散させた後、0.9%塩化ナトリウム注射液50mlに再懸濁させ、1200rpmで10min遠心分離した。遠心分離が完了した後に、上清を捨て、細胞沈殿を振って分散させた後、無血清細胞培地5mlを加え、均一に混合した後、細胞懸濁液10μlを採取して、細胞を計数した。細胞を無血清細胞培地に0.8×106個/mlの濃度になるように再懸濁させた後、抗ヒトCD3抗体をコーティングした225cm2細胞培養フラスコに接種した。サンプルを採取し、無菌検査を行ってマークを付け、細胞インキュベータに入れて培養した。
リンパ球の活性化増幅原液の製造中に、インキュベータによる培養条件は、37℃、7.5%CO2である。
【0060】
(2)1回目の継代培養(3日目)
培地の色が薄く黄色になると(採血日を0日目とする場合、接種培養後3日目)、細胞培養フラスコをインキュベータから取り出した。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった(
図1を参照)。無血清細胞培地50mlを細胞培養フラスコに加えて、この細胞培養フラスコを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0061】
(3)2回目の継代培養(4日目)
培地の色が薄く黄色になると、細胞培養フラスコをインキュベータから取り出した。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。無血清細胞培地140mlを加えて、細胞インキュベータに戻して培養した。
【0062】
(4)1回目の増幅培養(5日目)
細胞培養フラスコをインキュベータから取り出し、顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった(
図2を参照)。サンプルを採取して細胞を計数し、生細胞の密度が1.0×10
6個/ml以上になると、細胞培養液と無血清細胞培地760mlを細胞培養バッグに注ぎ、この細胞培養バッグを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0063】
(5)2回目の増幅培養(8日目)
培養液の色が黄色っぽくなると、新しい細胞培養バッグを生物学的安全キャビネットに入れ、シリンジスリーブによって無血清細胞培地(バッグA)1000mlを注ぎ、チューブの開口を密閉させた。培養中の細胞が収容される細胞培養バッグ(バッグB)をインキュベータから取り出し、滅菌接続装置によって2つのバッグを連通させた。まず、バッグA内の液体をすべてバッグBに流し込み、均一に混合した後、1000mlをバッグAに戻し、両方のバッグ内の液体の量はいずれも1000mlである。チューブの開口を密閉させ、サンプルを採取して無菌検査を行った。顕微鏡で細胞の形態を観察し(
図3を参照)、細胞が収容される2つのバッグをインキュベータに戻して培養した。
【0064】
(6)細胞の精製、遠心分離、濃縮、収集、及び細胞原液の製造(12日目)
2つの細胞培養バッグ後4日目に、インキュベータから1つの細胞培養バッグを取り出して生物学的安全キャビネットに入れて、細胞懸濁液を4つの250ml遠心分離管に均等に分け、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させた。次に、インキュベータから同じバッチの別の細胞培養バッグを取り出して生物学的安全キャビネットに入れて、細胞懸濁液を元の4つの250ml遠心分離管に均等に分け、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させ、0.1%ヒトアルブミンを含む0.9%塩化ナトリウム注射液250mlを用いて、1つのチューブ内の細胞を3回リンスし、それらを別のチューブに合わせ、4つのチューブを2つのチューブに合わせ、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させ、0.1%ヒトアルブミン塩化ナトリウム注射液200mlを用いて2つのチューブ内の細胞を3回リンスし、1つのチューブに合わせ、均一に混合した後、サンプルを採取して細胞数を計数し、2000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、活性化増幅リンパ球原液を得て、2.30×1010個の活性化増幅リンパ球を得た。
【0065】
(7)組成物の製造
活性化増幅リンパ球の濃度が8×107個/mlとなるように1%ヒトアルブミンを含む注射用生理食塩水に細胞原液を再懸濁させることによって得られた。
【0066】
実施例2 リンパ球の活性化増幅原液の製造
(1)PBMCの分離、接種、及び活性化培養(0日目)
患者2:乳がん患者、年齢:50歳、性別:女
前記無血清細胞培地:KBM 581無血清細胞培地(培地中のIL-2の濃度は500 IU/ml、pHは7.2~7.4)
全血63mlを新しい250ml遠心分離管に入れ、血液サンプルの同体積の塩化ナトリウム注射液を加え、均一に混合した後、それをFicoll 15mlを分注した50ml遠心分離管(4つの遠心分離管)に緩やかに加え、界面を明確にし、2000rpmで20min遠心分離し、遠心分離機の加速を7、減速を0に設定した。界面間の細胞層を新しい50ml遠心分離管に吸引し、0.9%塩化ナトリウム注射液と1:1で均一に混合し、1200rpmで10min遠心分離した。遠心分離が完了した後に、上清を捨て、細胞沈殿を振って分散させた後、塩化ナトリウム注射液50mlに再懸濁させ、1200rpmで10min遠心分離した。遠心分離が完了した後に、上清を捨て、細胞沈殿を振って分散させた後、無血清細胞培地5mlを加え、均一に混合した後、細胞懸濁液10μlを採取して、細胞を計数した。細胞を無血清細胞培地に0.2×106個/mlの濃度になるように再懸濁させた後、抗ヒトCD3抗体をコーティングした225cm2細胞培養フラスコに接種した。サンプルを採取し、無菌検査を行ってマークを付け、細胞インキュベータに入れて培養した。
リンパ球の活性化増幅原液の製造中に、インキュベータによる培養条件は、37℃、7.5%CO2である。
【0067】
(2)1回目の継代培養(4日目)
培地の色が薄く黄色になると(採血日を0日目とする場合、接種培養後4日目)、細胞培養フラスコをインキュベータから取り出した。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。細胞を計数し、無血清細胞培地50mlを細胞培養フラスコに加えて、この細胞培養フラスコを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0068】
(3)2回目の継代培養(5日目)
培地の色が薄く黄色になると、細胞培養フラスコをインキュベータから取り出した。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。細胞を計数し、無血清細胞培地140mlを細胞培養フラスコに加えて、この細胞培養フラスコを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0069】
(4)1回目の増幅培養(6日目)
細胞培養フラスコをインキュベータから取り出し、顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。サンプルを採取して細胞を計数し、生細胞の密度が1×106個/ml以上になると、細胞培養液と無血清細胞培地750mlを細胞培養バッグに注ぎ、この細胞培養バッグを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0070】
(5)2回目の増幅培養(8日目)
培養液の色が黄色っぽくなると、新しい細胞培養バッグを生物学的安全キャビネットに入れ、シリンジスリーブによって無血清細胞培地(バッグA)1000mlを注ぎ、チューブの開口を密閉させた。培養中の細胞が収容される細胞培養バッグ(バッグB)をインキュベータから取り出し、滅菌接続装置によって2つのバッグを連通させた。まず、バッグA内の液体をすべてバッグBに流し込み、均一に混合した後、1000mlをバッグAに戻し、両方のバッグ内の液体の量はいずれも1000mlである。チューブの開口を密閉させ、サンプルを採取して無菌検査を行った。顕微鏡で細胞の形態を観察し、細胞が収容される2つのバッグをインキュベータに戻して培養した。
【0071】
(6)細胞の精製、遠心分離、濃縮、収集、及び細胞原液の製造(12日目)
4日目に、2つの細胞培養バッグのうち、1つの細胞培養バッグをインキュベータから取り出して生物学的安全キャビネットに入れて、細胞懸濁液を4つの250ml遠心分離管に均等に分け、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させた。次に、同じバッチの別の細胞培養バッグをインキュベータから取り出して生物学的安全キャビネットに入れて、細胞懸濁液を元の4つの250ml遠心分離管に均等に分け、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させた。0.9%塩化ナトリウム注射液250mlを用いて、1つのチューブ内の細胞を3回リンスし、それらを別のチューブに合わせ、4つのチューブを2つのチューブに合わせ、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させ、塩化ナトリウム注射液200mlを用いて2つのチューブ内の細胞を3回リンスし、1つのチューブに合わせ、均一に混合した後、サンプルを採取して細胞数を計数し、2000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、活性化増幅リンパ球原液を得て、2.84×1010個の活性化増幅リンパ球を得た。
【0072】
(7)組成物の製造
活性化増幅リンパ球の溶液が6×107個/mlとなるように1.5%ヒトアルブミンを含む注射用生理食塩水に細胞原液を再懸濁させることによって得られた。
【0073】
実施例3 リンパ球の活性化増幅原液の製造
(1)PBMCの分離、接種、及び活性化培養(0日目)
患者3:非小細胞肺がん患者、年齢:53歳、性別:男
前記無血清細胞培地:KBM 581(CORNING)無血清細胞培地(培地中のIL-2の濃度は400 IU/ml、pHは7.2~7.4)
患者の全血58mlを新しい250ml遠心分離管に入れ、血液サンプルの同体積の0.9%塩化ナトリウム注射液を加え、均一に混合した後、それをFicoll 15mlを分注した50ml遠心分離管(4つの遠心分離管)に緩やかに加え、界面を明確にし、2000rpmで20min遠心分離し、遠心分離機の加速を7、減速を0に設定した。界面間の細胞層を新しい50ml遠心分離管に吸引し、0.9%塩化ナトリウム注射液と1:1で均一に混合し、1200rpmで10min遠心分離した。遠心分離が完了した後に、上清を捨て、細胞沈殿を振って分散させた後、塩化ナトリウム注射液50mlに重懸濁させ、1200rpmで10min遠心分離した。遠心分離が完了した後に、上清を捨て、細胞沈殿を振って分散させ、無血清細胞培地5mlを加え、均一に混合した後、細胞懸濁液10μlを採取して、細胞を計数した。細胞を無血清細胞培地に0.3×106個/mlの濃度になるように再懸濁させた後、抗ヒトCD3抗体をコーティングした225cm2細胞培養フラスコに接種した。サンプルを採取し、無菌検査を行ってマークを付け、細胞インキュベータに入れて培養した。
リンパ球の活性化増幅原液の製造中に、インキュベータによる培養条件は、37℃、5%CO2である。
【0074】
(2)1回目の継代培養(3日目)
培地の色が薄く黄色になると(採血日を0日目とする場合、接種培養後3日目)、細胞培養フラスコをインキュベータから取り出した。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。細胞を計数し、無血清細胞培地50mlを細胞培養フラスコに加え、この細胞培養フラスコを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0075】
(3)2回目の継代培養(4日目)
培地の色が薄く黄色になると、細胞培養フラスコをインキュベータから取り出した。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。細胞を計数し、無血清細胞培地140mlを細胞培養フラスコに加え、この細胞培養フラスコを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0076】
(4)1回目の増幅培養(6日目)
細胞培養フラスコをインキュベータから取り出し、顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、成長状態は良好であった。サンプルを採取して細胞を計数し、生細胞の密度が1×106個/ml以上になると、細胞培養液と無血清細胞培地750mlを細胞培養バッグに注ぎ、この細胞培養バッグを細胞インキュベータに戻して培養した。
【0077】
(5)2回目の増幅培養(8日目)
培養液の色が黄色っぽくなると、新しい細胞培養バッグを生物学的安全キャビネットに入れ、シリンジスリーブによって無血清細胞培地(バッグA)1000mlを注ぎ、チューブの開口を密閉させた。培養中の細胞が収容される細胞培養バッグ(バッグB)をインキュベータから取り出し、滅菌接続装置によって2つのバッグを連通させた。まず、バッグA内の液体をすべてバッグBに流し込み、均一に混合した後、1000mlをバッグAに戻し、両方のバッグ内の液体の量はいずれも1000mlである。チューブの開口を密閉させ、サンプルを採取して無菌検査を行った。顕微鏡で細胞の形態を観察した結果、細胞が収容される2つのバッグをインキュベータに戻して培養した。
【0078】
(6)細胞の精製、遠心分離、濃縮、収集、及び細胞原液の製造(12日目)
4日目に、2つの細胞培養バッグのうち1つの細胞培養バッグをインキュベータから取り出して生物学的安全キャビネットに入れて、細胞懸濁液を4つの250ml遠心分離管に均等に分け、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させた。次に、同じバッチの別の細胞培養バッグをインキュベータから取り出して生物学的安全キャビネットに入れて、細胞懸濁液を元の4つの250ml遠心分離管に均等に分け、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させ、0.9%塩化ナトリウム注射液250mlを用いて、1つのチューブ内の細胞を3回リンスし、それらを別のチューブに合わせ、4つのチューブを2つのチューブに合わせ、2000rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、沈殿を振って分散させ、塩化ナトリウム注射液200mlを用いて2つのチューブ内の細胞を3回リンスし、1つのチューブに合わせ、均一に混合した後、サンプルを採取して細胞数を計数し、2000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、活性化増幅リンパ球原液を得て、2.23×1010個の活性化増幅リンパ球を得た。
【0079】
(7)組成物の製造
活性化増幅リンパ球の濃度が8×107個/mlとなるように1%ヒトアルブミンを含む注射用生理食塩水に細胞原液を再懸濁させることによって得られた。
実施例4 無血清培地のスクリーニング
【0080】
実施例1と同じ活性化増幅プロセスを使用して、EAL細胞の製造に対する3つの無血清培地KBM 581(CORNING)、GT-T551 H3(TAKARA )、TexMACS GMP Medium (Miltentyi biotec)の影響をインビロトで比較して研究した。
【0081】
3人の健常者の末梢血を収集してPBMCを分離し、細胞計数及び表現型検出を行い、各PBMCを3等分し、3種類の無血清培地を用いて、活性化抗体をコーティングした細胞培養フラスコに接種して培養した。4~6日ごとに細胞を計数し、対応する細胞培地を補充した。12日後、培養を終了し、細胞計数、生存率、表現型検出、及び殺傷活性検出を行った。
無血清培地TexMACS GMP Mediumを用いて細胞を培養した。細胞は6~8日間の培養後にゆっくりと増幅したが、インビトロでのリンパ球増幅の品質要件を満たすことができなかった。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
実施例5 患者における活性化リンパ球の増幅効果
(1)末梢血は、性別、年齢、腫瘍の種類が異なる合計50例の患者から採取された。患者の基本情報を表4~表6に示す。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
リンパ球の増幅活性化原液の製造については、実施例1を参照する。
【0090】
細胞計数プレートを用いて細胞を計数し、増幅の割合を測定した。トリパンブルー染色及び細胞計数によって増幅した細胞生存率を得た。フローサイトメトリーによる増幅細胞の表現型の検出には、FITC標識CD3抗体及びAPC標識CD8抗体を使用して測定した。
【0091】
【0092】
(2)上記の増幅細胞を用いて臨床殺傷試験を787回実施し、細胞の生物学的活性KT50、すなわち殺傷が50%に達するまでの時間を検出し、この時間が短いほど、生物学的有効性が優れた。1h未満のKT50の回数は2.29%、1~2hのKT50の回数は34.81%、2~3hのKT50の回数は31.77%、3~4hのKT50の回数は18.3%、4~5hのKT50の回数は8.39%、5~6hのKT50の回数は2.92%、6~8hのKT50の回数は1.52%を占める。
【0093】
試験例1 免疫療法に使用される本発明による活性化増幅リンパ球に関する研究
EAL療法群の入選基準は以下の通りである。患者は、組織学又は細胞学的に胃がん、肺がんなどと診断され、平均余命が12週間を超え、東部協力腫瘍学グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS:performance status)スコアが0~2である。ECOGスコアが2を超える患者は除外された。すべての患者は治療レジメンに同意し、インフォームドコンセントフォームに署名した。
【0094】
EAL療法群:50例、患者の年齢、性別、疾患情報を実施例5に示す。自己増幅活性化リンパ球製剤を輸液した。治療レジメン:第1治療コースでは、被験者は、週に1回、合計4回の静脈輸注を受けた。第2治療コースでは、被験者は、2週に1回、合計4回の静脈輸注を受けた。第3治療コースでは、被験者は、3週に1回、合計4回の静脈輸注を受けた。第4治療コースでは、被験者は、4週に1回、合計8回の静脈輸注を受けた。
【0095】
対照群:同時期に治療のため入院し、従来の治療レジメンで化学療法又は放射線療法を受けたがん患者20人(胃がん、小細胞肺がん、肝がん、白血病各5人)。細胞治療歴があり、ECOG>2の患者は除外された。治療中の研究対象者の化学療法レジメンには、CE(エトポシド+カルボプラチン)、EP(エトポシド+シスプラチン)、IP(イリノテカン+シスプラチン)、PP(パクリタキセル+シスプラチン/ネダプラチン)、DP(ドセタキセル+シスプラチン)、CAV(シクロホスファミド+ファモマイシン+ビンクリスチン)、NP(ネルザラビン+シスプラチン)、ペメトレキセド単独、ドセタキセル単独、テモゾロミドカプセル単独、エトポシドカプセル単独が含まれる。治療歴が不完全な患者や追跡調査ができなかった患者は統計に含まれていない。免疫細胞療法の有効性と安全性を分析した。
【0096】
(1)治療効果の評価
EEAL療法群のOS時間の中央値は、対照群よりも有意に長かった。EAL免疫療法は、がん患者の生存時間を1~7年延長し、化学療法を受けている患者の吐き気、嘔吐、脱毛、下痢、食欲不振、発熱、悪寒、頭痛、かゆみ、発疹、頻脈、その他の不良反応などの副作用や不良反応を改善し、血液像結果の劣化や肝臓や腎臓の機能への損傷などの重篤な不良反応をなくし、患者の生活の質を大幅に改善する。
【0097】
(2)安全性の評価
EAL治療群:EALで治療された患者では、グレード1又は2の自己制限的な有害事象のみが発生した(表8を参照)。肺や腎臓の症状、感染症の症状、肝機能の悪化、自己免疫疾患を発症した患者はいなかった。治療に関連した死亡は記録されていなかった。
【0098】
対照群:血液像結果の劣化や肝臓や腎臓の機能への損傷などの重篤な不良反応、さらには吐き気、嘔吐、下痢、脱毛などのより重篤な不良反応が発生した。
【0099】
【0100】
試験例2 本発明の活性化増幅リンパ球との併用に関する研究
1.患者の入選
低レベルの微小残存病変(MRD)を有する低リスク又は中リスクの急性骨髄性白血病(AML)の小児100人を対象に、臨床治療研究を実施した。
【0101】
低レベルのMRDは、骨髄穿刺あたりの白血病芽球の割合が0.5%未満として定義された。高リスクAML、急性前骨髄球性白血病、疾患再発、導入化学療法後もMRDは陰性のままの低リスク疾患の患者、及び6カ月の治療後にMRDが0.5%を超える患者は除外された。この研究に参加した100例の患者は、両親の希望と経済状況に応じて2つの群に分けられた。表9に示すように、併用治療群(n=50)は化学療法とEAL療法を受け、化学療法群(n=50)は化学療法のみを受けた。各患者の両親又は法的保護者は、化学療法及びEAL療法について書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0102】
2.治療レジメン
(1)化学療法レジメン
導入化学療法は、シタラビン100~150mg/m2を7日間、アントラサイクリン系薬物(イダルビシン8~10mg/m2を2日間)及びエトポシド100~150mg/m2を3日間組み合わせたものを含む。2サイクルの導入後に地固め化学療法を開始した。地固め化学療法は3つのレジメンで構成される。レジメン1:高用量シタラビン(Ara-c3g/m2、3日間)及びアントラサイクリン(イダルビシン8~10mg/m2を2日間)。レジメン2:ハリングトニン(Harringtonine)4~6mg/m2を7日間、シタラビン100~150mg/m2を7日間。レジメン3:シタラビン100~150mg/m2を7日間、アントラサイクリン系薬物(イダルビシン8~10mg/m2を2日間)及びエトポシド100~150mg/m2を3日間組み合わせる。3つのレジメンを交互に合計12~18カ月間行った。低用量Ara-c地固め化学療法の各サイクルでは、中枢神経系白血病を予防するために、髄腔内トリプル化学療法(メトトレキサート、シタラビン、及びヒドロコルチゾン)が合計4~8回行われた。
【0103】
(2)EAL療法
MRDステータスが持続的に陽性(<0.5%)である低リスク及び中リスクAML患者、及びMRDステータスが陽性になった患者、又はMRD負担が1コピー増加した患者にEAL療法を行った。この研究では、併用治療群の患者はEAL療法と化学療法の併用を受けた。EALは、各患者から10~80mLの末梢血を採取することによって実行された(末梢血リンパ球の絶対数に応じて決定)。次に、PBMC懸濁液を、固定化抗CD3抗体でコートしたフラスコに入れ、実施例1の製造方法に従って活性化、継代、増幅培養を行った。その後、リンパ球を収集し、孔径100μmの膜で濾過し、個々の患者に静脈輸注するために1%ヒト血清アルブミンを含む生理食塩水100mLに再懸濁させた。最終生成物は、培養後の細胞の総数に応じて決1~3個の輸液バッグに分けられ、各バッグには1×109~2×1010個のCD3+CD8+T細胞が含まれた。
【0104】
EALは15~25℃のサーモスタットで保存され、12時間以内に患者に輸注され、細胞生存率が常に90%以上であることが確認された。各輸血には3×109個以上の細胞が含まれていた。研究プロトコールは倫理審査委員会によって承認された。すべての患者の両親又は法的保護者からインフォームドコンセントを得た。
【0105】
3.モニタリングとフォローアップ
モニタリング手段:コア結合因子AML(CBF AML)のMRDは、リアルタイム定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)アッセイによってモニタリングされた。非CBF AML患者の場合、MRDは白血病関連免疫表現型(LAIP)に従ってフローサイトメトリーによって検出された。
【0106】
モニタリング及び追跡調査の時点:診断時、化学療法の各サイクル前、その後は3カ月から3年ごと、及び6カ月から5年ごとに、骨髄サンプルを収集した。
【0107】
4.結果
研究に参加した100人の小児では、性別、年齢、遺伝的特徴、リスク階層化、化学療法後8カ月のMRDステータス、又は化学療法の強度において、群間で有意差は観察されなかった。
【0108】
併用治療群には男性26名、女性24名が含まれ、年齢の中央値は10.5歳(範囲は1~15歳)であった。そのうち、42例(84.00%)が低リスク群、8例が中リスク群であった。
【0109】
発症時の平均白血球数は27.9×109(2.1~100×109の範囲)、患者2人は中枢神経系白血病に罹患しており、患者1人は大きな下顎腫瘤が認められたた。併用治療群は、平均4回のEAL療法を受けた(1~12回の範囲)。この研究では、EAL療法は化学療法開始後6~12カ月(平均8カ月)後に開始するものとした。
【0110】
併用療法群の50人の小児は合計220回のEAL輸血を受けた(患者1人当たり平均4回の輸血)。これら220回のEAL輸血からの細胞表現型と細胞数の分析により、平均細胞数は7.5±0.5×109/L、平均細胞生存率は98.9%であることが示された。T細胞表現型の分布としては、CD3+は98.95%、CD3+CD8+は87.26%であった。
【0111】
対照群には、男性25名、女性25名が含まれ、年齢の中央値は10.6歳(1~15歳の範囲)であった。そのうち、42例(84.00%)が低リスク群、8例が中リスク群であった。発症時、1例の患者は中枢神経系白血病に罹患しており、1例の患者は広範な胸腰椎浸潤が認められた。
【0112】
【0113】
(2)地固め治療中の両群のMRD陰性率
EAL療法前のMRDが0.5%未満で、平均MRD負荷が0.055%であったときにEAL療法を開始した。EAL療法と化学療法の後、患者50人のうち49人(98.00%)のMRDステータスは陰性になったが、患者1人のMRDステータスは併用治療後も陽性のままであった。併用療法群では、地固め化学療法中にMRDステータスが陰性のままであった平均期間は7.9カ月であった。
【0114】
対照群では、30例の患者(60.00%)はMRDステータスが陰性になった。地固め化学療法中に、MRDステータスは平均4.8カ月間陰性のままであった。
【0115】
併用療法群の患者の98.00%は、地固め化学療法中にMRDステータスが陰性になり、これは対照群の患者よりも有意に高かった。さらに、併用治療群でMRDステータスが陰性のままであった期間は7.9カ月で、化学療法群よりも有意に長かった。
【0116】
(3)両群の生存率の比較
EFS中央値は併用治療群で81カ月、対照群で50カ月であった。
【0117】
平均5年EFS率は併用治療群で88.9%、対照群で69.7%であった。
【0118】
併用治療群では、4人の患者(8.00%)が疾患の再発を経験した。このうち、3人の患者は骨髄再発を発症し、1人の患者は中枢神経系の再発後に骨髄再発を発症した。
【0119】
対照群では、12人の患者(24.0%)に疾患が再発し、そのすべてが骨髄再発であった。
再発までの期間の中央値は15.3カ月(6~34カ月の範囲)であった。併用療法群では再発までの期間の中央値は35.8カ月で、化学療法群よりも有意に長かった。
【0120】
(4)不良反応
併用治療群では、発熱や悪寒が時折発生したが、治療中に臓器障害を引き起こす重度の炎症性サイトカインカスケードは観察されず、細胞療法に関連した死亡も観察されなかった。
【0121】
以上本発明の具体的な実施形態の説明は本発明を限定するものではなく、当業者は本発明に基づいて種々の変更又は変形を行うことができ、本発明の精神から逸脱しない限り、いずれも本発明の請求項の保護範囲に属する。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化増幅リンパ球原液の製造方法であって、
(1)自己末梢全血を遠心分離して得られた末梢血単核球(PBMC)とリンパ球活性化剤を無血清培地に入れて共培養することで、リンパ球の培養及び活性化を行うステップであって、無血清培地における前記末梢血単核球の培養活性化の開始密度が(0.2~1.6)×10
6個/mlであり、細胞活性化培養の温度が37.0℃±1.0℃であり
、環境中にCO
2が7.5%±1.0%含まれ、前記リンパ球活性化剤は、抗ヒトCD2抗体、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、フィトヘマグルチニン(PHA)から選択されるいずれか若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらを担体上に固定化した抗体含有担体であり、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ステップ(1)と、
(2)ステップ(1)で製造された培養活性化リンパ球を、(0.5~5)×10
6個/mlの細胞密度で無血清培地に入れて継代培養し、リンパ球活性化培養物を製造するステップであって、継代培養の温度が37.0℃±1.0℃であり
、環境中にCO
2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、継代培養の世代数が1~5世代である、ステップ(2)と、
(3)ステップ(2)の継代培養により得られたリンパ球活性化培養物に、その体積の5~10倍の無血清培地を加えて増幅培養を行うステップであって、増幅培養の温度が37.0℃±1.0℃であり
、環境中にCO
2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、増幅培養の代数が1~5世代である、ステップ(3)と、
遠心分離し、洗浄し、活性化増幅リンパ球を収集して、活性化増幅リンパ球原液を得るステップ(4)と、を含む、活性化増幅リンパ球原液の製造方法。
【請求項2】
全血から末梢血単核細胞を遠心抽出する方法は、
抗凝固処理された全血に分離媒体と希釈剤を加え、撹拌して、均一に混合したものを分離液に加え、1000~3000rpmで10~40min遠心分離し、分離界面間の細胞層を収集し、洗浄液を加え、遠心分離して洗浄し、細胞を収集して、末梢血単核細胞を得るステップを含み、
前記分離媒体は、ヒドロキシエチルデンプン40塩化ナトリウム注射液(HES)、Percoll、Ficoll-Paque PLUSから選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、全血:希釈剤の体積比が1:1~2であり、前記希釈剤は、塩化ナトリウム注射液、Hank’s緩衝液、Lactated Ringer’s溶液、Dulbecco’sリン酸塩緩衝液ら選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、前記分離液は、ヒドロキシエチルデンプン40塩化ナトリウム注射液(HES)、Ficoll、Lymphoprep、Lymphocyte Separation Media、Cell Separation Mediaから選択されるいずれか1つ又はそれらの組み合わせであり、前記分離液の浸透圧が300mOsmol/kg~360mOsmol/kgであり、前記洗浄液は、0.1%ヒトアルブミン塩化ナトリウム注射液、Dulbecco’sリン酸塩緩衝液、塩化ナトリウム注射液から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
遠心分離の条件は、(1500~2500rpm)×(15~30min)、好ましくは、(2000~2500rpm)×(20~25min)であり、洗浄は遠心洗浄であり、洗浄の条件は(500~2000rpm)×(5~20min)であり、遠心洗浄は、1~5回行い、好ましくは、(1000~1800rpm)×(10~15min)で2~3回行
い、
および/または
前記無血清培地には、サイトカインIL-2 300~600IU/ml、好ましくは、400~500IU/mlが任意に加えられ、および/または
前記活性化増幅リンパ球の増幅倍数が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上であり、および/または
前記活性化増幅リンパ球の生存率が95%以上、好ましくは、98%以上であり、および/または
前記活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞の数が1×10
9
個以上、好ましくは、1×10
9
~2×10
10
個、より好ましくは、4~9.5×10
9
個であり、および/または
活性化増幅後のリンパ球の生物学的活性KT
50
が、8.5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、0.7141以下である
ことを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
請求項1
または2に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球原液を含有する医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、(1~20)×10
7個/mlの活性化増幅リンパ球、0.5~2%のヒトアルブミン及び注射用生理食塩水からなり、活性化増幅リンパ球の生存率が95%以上であり、活性化増幅リンパ球中のCD8+T細胞が(1~20)×10
7個/mlであり、前記医薬組成物は、防腐剤及び抗生物質を含有しない、医薬組成物。
【請求項5】
前記活性化増幅リンパ球の細胞増幅率が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上である、ことを特徴とする請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記活性化増幅リンパ球の生物学的活性KT
50が8.5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、0.7141以下である、ことを特徴とする請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
患者への
前記活性化増幅リンパ球の1回の再注入総数が2×10
10個以下であり、有効期間中の細胞生存率が85%以上である、ことを特徴とする請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
15~25℃で12h保存したときの
前記活性化増幅リンパ球の生存率が85%以上である、ことを特徴とする請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ヒトアルブミンを含有する注射用生理食塩水に
前記活性化増幅リンパ球原液を再懸濁させる、ことを特徴とする請求項
4に記載の活性化増幅リンパ球原液を含有する医薬組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1
または2に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球を免疫
薬物の製造に
おける使用であって、
前記免疫療法は、
(1)個体からリンパ球を含有する生物学的試料を取得するステップと、
(2)本発明の製造方法を用いて前記リンパ球を活性化し、継代し、増幅し、活性化増幅リンパ球を得るステップと、
(3)前記活性化増幅リンパ球又はその医薬組成物を前記個体に再注入するステップと、を含む、
使用。
【請求項11】
前記免疫療法
は、
(1)第1クールでは、被験者は週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(2)第2クールでは、被験者は2週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(3)第3クールでは、被験者は3週に1回、3~6回の静脈輸注を受けるスキームと、
(4)第4クールでは、被験者は4週に1回、7~10回の静脈輸注を受けるスキームと、を含む、ことを特徴とする
請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記免疫療法は、
(1)第1クールでは、被験者は週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(2)第2クールでは、被験者は2週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(3)第3クールでは、被験者は3週に1回、4~5回の静脈輸注を受けるスキームと、
(4)第4クールでは、被験者は4週に1回、8~9回の静脈輸注を受けるスキームと、を含む、ことを特徴とする請求項
11に記載の
使用。
【請求項13】
静脈輸注1回当たりの
前記活性化増幅リンパ球数が2×10
8個以上のリンパ球、好ましくは、(2~10)×10
9個以上のリンパ球である、ことを特徴とする請求項
10に記載の
使用。
【請求項14】
抗腫瘍免疫療法薬、抗ウイルス能力増強薬、自己免疫疾患治療増強薬のいずれかの製造における請求項1
または2に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球の使用。
【請求項15】
請求項1
または2に記載の製造方法によって製造された活性化増幅リンパ球
と放射線
治療薬、化学療法
薬のいずれかとの組み合わせの、抗腫
瘍又は免疫
薬物の製造における使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の目的は、活性化増幅リンパ球原液の製造方法を提供することであり、
(1)自己末梢全血を遠心分離して得られた末梢血単核球(PBMC)とリンパ球活性化剤を無血清培地に入れて共培養することで、リンパ球の培養及び活性化を行うステップであって、無血清培地における前記末梢血単核球の培養活性化の開始密度が(0.2~1.6)×106個/mlであり、細胞活性化培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれ、前記リンパ球活性化剤は、抗ヒトCD2抗体、抗ヒトCD3抗体、抗ヒトCD28抗体、フィトヘマグルチニン(PHA)から選択されるいずれか若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらを担体上に固定化した抗体含有担体であり、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせである、ステップ(1)と、
(2)ステップ(1)で製造された培養活性化リンパ球を、(0.5~5)×106個/mlの細胞密度で無血清培地に入れて継代培養し、リンパ球活性化培養物を製造するステップであって、継代培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、継代培養の世代数が1~5世代である、ステップ(2)と、
(3)ステップ(2)の継代培養により得られたリンパ球活性化培養物に、その体積の5~10倍の無血清培地を加えて増幅培養を行うステップであって、増幅培養の温度が37.0℃±1.0℃であり、環境中にCO2が7.5%±1.0%含まれ、前記無血清培地は、KBM 581、GT-T551 H3から選択されるいずれか又はそれらの組み合わせであり、増幅培養の代数が1~5世代である、ステップ(3)と、
遠心分離し、洗浄し、活性化増幅リンパ球を収集して、活性化増幅リンパ球原液を得るステップ(4)と、を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明の好ましい技術的解決手段では、活性化増幅リンパ球の細胞増幅率が900倍以上、好ましくは、1000倍以上、より好ましくは、1100倍以上である。
【国際調査報告】