IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特表-電気コネクタ 図1
  • 特表-電気コネクタ 図2
  • 特表-電気コネクタ 図3
  • 特表-電気コネクタ 図4
  • 特表-電気コネクタ 図5
  • 特表-電気コネクタ 図6
  • 特表-電気コネクタ 図7
  • 特表-電気コネクタ 図8
  • 特表-電気コネクタ 図9
  • 特表-電気コネクタ 図10
  • 特表-電気コネクタ 図11
  • 特表-電気コネクタ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20241206BHJP
   H01R 13/15 20060101ALI20241206BHJP
【FI】
H01R13/11 302P
H01R13/15 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539712
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2022142643
(87)【国際公開番号】W WO2023125618
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111665882.X
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
(57)【要約】
本願は、間隔を隔てて設けられた、第1の電気的接続装置(8)を挿入するための第1の開口(11)と、第2の電気的接続装置(9)を挿入するための第2の開口(12)と、を有し、第1の開口(11)に向かう側壁には、第1の挿入部(13)が設けられたハウジング(1)と、第1の電気的接続装置(8)及び/又は第2の電気的接続装置(9)と電気的に接続可能な第1の導電ユニット(2)であって、少なくとも一部がハウジング(1)内に収容される、第1の導電ユニット(2)と、を含む電気コネクタを開示し、第1の電気的接続装置(8)及び/又は第2の電気的接続装置(9)はハウジング(1)の外部から第1の挿入部(13)を介してハウジング(1)の内部に挿入された状態で、少なくとも一部の第1の導電ユニット(2)と電気的に接続することができる。本願は、上記の設定により、少なくとも2つの角度で電気的接続装置と嵌合することを実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて設けられた、第1の電気的接続装置を挿入するための第1の開口と、第2の電気的接続装置を挿入するための第2の開口と、を有し、前記第1の開口に向かう側壁には、第1の挿入部が設けられたハウジングと、
前記第1の電気的接続装置及び/又は前記第2の電気的接続装置と電気的に接続可能な第1の導電ユニットであって、少なくとも一部が前記ハウジング内に収容される、第1の導電ユニットと、
を含み、
前記第1の電気的接続装置又は前記第2の電気的接続装置は前記ハウジングの外部から前記第1の挿入部を介して前記ハウジングの内部に挿入された状態で、収容された少なくとも一部の前記第1の導電ユニットと電気的に接続される、
電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記第1の開口に向かう側壁には、第2の挿入部がさらに設けられ、前記第1の電気的接続装置又は前記第2の電気的接続装置が前記第1の開口に挿入される方向に垂直な方向に沿って、前記第2の挿入部が前記第1の挿入部に対向して設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記第1の導電ユニットを入れるための取付口を有し、前記第1の導電ユニットが前記取付口を介して前記ハウジング内に挿入された状態で、前記取付口に位置する前記ハウジングの側壁が折り曲げられたら前記取付口を閉じることができる、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングと前記第1の導電ユニットとを固定するための固定部材をさらに含み、前記固定部材が前記ハウジングと前記第1の導電ユニットとの間に設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記固定部材は、取り外し可能に接続された第1の固定部及び第1の固定嵌合部を含み、
前記第1の固定部が前記第1の導電ユニットに設けられた第1の凸部材であり、前記第1の固定嵌合部が前記ハウジングに設けられた第1の凹部材である、
請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記固定部材は、取り外し可能に接続された第1の固定部及び第1の固定嵌合部を含み、
前記第1の固定部が前記ハウジングに設けられた第1の凸部材であり、前記第1の固定嵌合部が前記第1の導電ユニットに設けられた第1の凹部材である、
請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記ハウジング内には2つの前記第1の導電ユニットが設けられ、2つの前記第1の導電ユニットが前記ハウジングの厚さ方向に沿って間隔を隔てて設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
2つの前記第1の導電ユニットの間に支持部が接続され、前記支持部が2つの前記第1の導電ユニットの同一側に位置する、
請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記第1の導電ユニットは、前記第1の開口に位置する複数の第1の弾性アームを含み、複数の前記第1の弾性アームは前記第1の電気的接続装置又は前記第2の電気的接続装置が前記第1の開口に挿入される方向に垂直な方向に沿って間隔を隔てて設けられ、2つずつ隣接する前記第1の弾性アームの間に第1の隙間が存在する、
請求項1又は7に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記第1の隙間の幅は、前記第1の弾性アームの幅の1%~100%である、
請求項9に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記第1の弾性アームは、前記第1の開口から前記第2の開口に向かって順に接続された第1の反り区間及び第1の接続区間を含み、前記第1の反り区間が前記第1の開口の外縁に向かって傾斜して設けられている、
請求項9に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
前記第1の導電ユニットは、前記第2の開口に位置する複数の第2の弾性アームをさらに含み、複数の前記第2の弾性アームは前記第1の電気的接続装置または前記第2の電気的接続装置が前記第2の開口に挿入される方向に垂直な方向に沿って間隔を隔てて設けられ、2つずつ隣接する前記第2の弾性アームの間に第2の隙間が存在し、複数の前記第2の弾性アームが第1の端子本体を介して複数の前記第1の弾性アームに接続されている、
請求項11に記載の電気コネクタ。
【請求項13】
前記第2の隙間の幅は、前記第2の弾性アームの幅の1%~100%である、
請求項12に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
前記第2の弾性アームは、前記第2の開口から前記第1の開口に向かって順に接続された第2の反り区間及び第2の接続区間を含み、前記第2の反り区間が前記第2の開口の外縁に向かって傾斜して設けられている、
請求項12に記載の電気コネクタ。
【請求項15】
前記第1の導電ユニットは弾性アーム接続部材をさらに含み、複数の前記第2の接続区間が前記弾性アーム接続部材を介して前記ハウジングに接続されている、
請求項14に記載の電気コネクタ。
【請求項16】
前記第1の導電ユニットと前記ハウジングとの間に位置する、前記第1の導電ユニットに取り外し可能に接続された第2の導電ユニットをさらに含む、
請求項12に記載の電気コネクタ。
【請求項17】
前記第2の導電ユニットには、第1の固定部材が設けられ、前記第1の導電ユニットには、第1の固定嵌合具が設けられ、前記第1の固定部材が前記第1の固定嵌合具に係止して接続される、
請求項16に記載の電気コネクタ。
【請求項18】
前記第2の導電ユニットは、前記第1の開口に位置する第1の弾性補強部を含み、前記第1の弾性補強部は、前記ハウジングの厚さ方向に沿って前記第1の隙間を貫通可能な複数の突出部を有する、
請求項16に記載の電気コネクタ。
【請求項19】
前記第1の弾性補強部は、前記ハウジングの厚さ方向に沿って、隣接する複数の前記第1の反り区間に当接可能な正圧部をさらに含み、複数の前記突出部は、前記ハウジングの幅方向に沿って間隔を隔てて前記正圧部に設けられている、
請求項18に記載の電気コネクタ。
【請求項20】
前記第2の導電ユニットは、前記第2の開口に位置する第2の弾性補強部をさらに含み、前記第2の弾性補強部が第2の端子本体を介して前記第1の弾性補強部に接続され、前記第2の弾性補強部が、前記ハウジングの厚さ方向に沿って前記第2の隙間を貫通する複数の補強アームを有する、
請求項18に記載の電気コネクタ。
【請求項21】
前記補強アームは、前記第1の開口から前記第2の開口に向かって順次接続された当接区間と接触区間とを含み、前記当接区間が前記ハウジングの厚さ方向に沿って前記第2の弾性アームに当接可能であり、前記接触区間が前記ハウジングの厚さ方向に沿って前記第2の隙間を貫通する、
請求項20に記載の電気コネクタ。
【請求項22】
前記ハウジングは、前記第1の導電ユニットに予締力を与えるためのクランプ部材をさらに含む、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項23】
前記クランプ部材は、前記第1の開口に位置する少なくとも1つの第1のハウジング弾性アームと、前記第2の開口に位置する少なくとも1つの第2のハウジング弾性アームと、を含み、
前記第1のハウジング弾性アームが、前記ハウジング内に入り込んで前記第1の導電ユニットに当接可能な第1の自由端を含み、
前記第2のハウジング弾性アームが、前記ハウジング内に入り込んで前記第1の導電ユニットに当接可能な第2の自由端を含む、
請求項22に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、特許出願番号が202111665882.Xであり、出願日が2021年12月30日であり、発明の名称が「電気コネクタ」である中国特許出願の優先権を要求する。
【0002】
本願は、コネクタの技術分野に関し、特に電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
電子コネクタは、一般に電気コネクタとも呼ばれ、一つの回路における2つの導体を接続し、一方の導体から他方の導体に電流又は信号を流すための導体デバイスである。
【0004】
従来技術において、電気コネクタの導電ユニットは、下記の2種の態様を採用することが多い。1種として、円筒形電気的接続装置の挿通孔型の導電ユニットであって、このような導電ユニットは、機械加工方式を採用し、生産プロセスが複雑で、コストが高く、通電容量が限られるとともに、導電ユニットの外形寸法で規制され、そのコネクタ寸法が同規格のチップ型導電ユニットのコネクタに比べて大きく、部品の高性能、低コスト及び軽量化というような市場に求められる要求を満たすことができない。もう1種として、チップ型導電ユニットであり、このような導電ユニットは、常にサークリップがリードを包む態様を採用し、サークリップとリードとが固定された後、単一角度からしか電気的接続装置に嵌合されることができず、導電ユニットの使用率が低く、導電ユニットの大量生産に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、少なくとも2つの角度で電気的接続装置と嵌合することを実現し、電気コネクタの利用率及び使用の柔軟性を向上させることができる電気コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、下記のような技術的解決手段を採用して実現できる。
【0007】
本願は、間隔を隔てて設けられた、第1の電気的接続装置を挿入するための第1の開口と、第2の電気的接続装置を挿入するための第2の開口と、を有し、第1の開口に向かう側壁には、第1の挿入部が設けられたハウジングと、
第1の電気的接続装置及び/又は第2の電気的接続装置と電気的に接続可能な第1の導電ユニットであって、少なくとも一部がハウジング内に収容される、第1の導電ユニットと、
を含み、
第1の電気的接続装置又は第2の電気的接続装置はハウジングの外部から第1の挿入部を介してハウジングの内部に挿入された状態で、収容された少なくとも一部の第1の導電ユニットと電気的に接続される電気コネクタを提供する。
【0008】
従来技術に比べて、本願の特徴及び利点は以下の通りである。
【0009】
本願に係る電気コネクタは、ハウジングの第1の開口に向かう側壁に第1の挿入部を設けることによって、第1の電気的接続装置及び/又は第2の電気的接続装置がハウジングの外部から第1の挿入部を介してハウジングの内部に挿入された状態で、第1の電気的接続装置及び/又は第2の電気的接続装置が収容された少なくとも一部の第1の導電ユニットと電気的に接続することができるため、第1の電気的接続装置及び第2の電気的接続装置は、第1の開口及び第2の開口からそれぞれハウジングに挿入されるとともに第1の導電ユニットと電気的に接続することができることに加えて、第1の電気的接続装置及び/又は第2の電気的接続装置は、さらに第1の挿入部から挿入されて第1の導電ユニットと電気的に接続することができる。これによって、本願に係る電気コネクタにおいて、上記の設定により、第1の電気的接続装置及び/又は第2の電気的接続装置が電気コネクタと少なくとも2つの角度(例えば、90度及び180度)で嵌合することを実現することができる。
【0010】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要である図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明の図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願に係る電気コネクタのハウジングの斜視概略構造図である。
図2】本願に係る電気コネクタの斜視概略構造図であり、ここで、該電気コネクタの第1の開口及び第2の開口には、第1の電気的接続装置及び第2の電気的接続装置がそれぞれ挿入されている。
図3図2のA部の拡大図である。
図4】本願に係る電気コネクタのハウジングが完全に成形されていない状態での斜視概略構造図である。
図5】本願に係る電気コネクタの斜視概略構造図であり、ここで、該電気コネクタの第1の挿入部及び第2の開口には、それぞれ第1の電気的接続装置及び第2の電気的接続装置が挿入されている。
図6】本願に係る電気コネクタの斜視概略構造図である。
図7】本願に係る電気コネクタの第1の導電ユニットと第2の導電ユニットとの組み合わせの概略構造図である。
図8】本願に係る電気コネクタの第1の導電ユニットと第2の導電ユニットとが分離された状態での概略構造図である。
図9】本願に係る電気コネクタの2つの第1の導電ユニットの組み合わせの斜視概略構造図である。
図10】本願に係る電気コネクタの第2の導電ユニットが分離された状態の斜視概略構造図である。
図11】本願に係る電気コネクタの上面概略構造図である。
図12図11におけるB-B方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施例により本願の実施形態を説明するが、当業者は、本明細書に開示された内容から本願の他の利点と効果を容易に理解できる。さらに、本願は、他の異なる具体的な実施例で実行又は応用し、本願の権利保護範囲内で様々な修飾及び変更を行ってもよい。
【0013】
上記利点に基づいて、本願をさらに理解できるように、好ましい実施形態を以下に開示し、図面、符号を参照しながら本願の技術的解決手段及びそれにより達成した効果を以下に詳しく説明する。
【0014】
本願が提供する電気コネクタを容易に理解するために、まず、本願に係る電気コネクタの適用場面を説明する。本願に係る電気コネクタは、2つの導体(例えば、電気的接続装置)を接続するためのものである。
【0015】
本明細書で使用される用語の片持ち梁とは、梁の一端が固定台であり、梁の他端が自由端である。
【0016】
図1図3に示すように、本願に係る電気コネクタは、ハウジング1と、第1の導電ユニット2と、を含み、該ハウジング1は、間隔を隔てて設けられた、第1の電気的接続装置8を挿入するための第1の開口11と、第2の電気的接続装置9を挿入するための第2の開口12と、を有する。ハウジング1の第1の開口11に向かう側壁には、第1の挿入部13が設けられる。該第1の導電ユニット2は、第1の電気的接続装置8及び/又は第2の電気的接続装置9と電気的に接続可能であり、少なくとも一部がハウジング1内に収容される。第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9がハウジング1の外部から第1の挿入部13を介してハウジング1の内部に挿入された状態で、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が、収容された少なくとも一部の第1の導電ユニット2と電気的に接続することができる。
【0017】
本願に係る電気コネクタは、ハウジング1の第1の開口11に向かう側壁に第1の挿入部13を設けることによって、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9がハウジング1の外部から第1の挿入部13を介してハウジング1の内部に挿入された状態で、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が、収容された少なくとも一部の第1の導電ユニット2と電気的に接続することができるため、第1の電気的接続装置8及び第2の電気的接続装置9は、第1の開口11及び第2の開口12からそれぞれハウジング1に挿入されて第1の導電ユニット2と電気的に接続することができることに加えて、さらに第1の開口11における第1の挿入部13からハウジング1に挿入されて第1の導電ユニット2と電気的に接続することができる。よって、上記の構造によって、本願に係る電気コネクタは、第1の電気的接続装置8及び/又は第2の電気的接続装置9が少なくとも2つの異なる角度で電気コネクタと嵌合することを実現することができる。
【0018】
具体的には、該ハウジング1は、中空の直方体構造であってもよく、該第1の挿入部13は、ハウジング1に設けられた切欠きであってもよい。該切欠きは、第1の開口11と連通し、少なくとも一部の第1の導電ユニット2は、例えば、溶接、接着、ネジ接続又は係止などの方式でハウジング1内に設けられている。実際に使用する際に、第1の電気的接続装置8及び第2の電気的接続装置9は、それぞれ第1の開口11及び第2の開口12からハウジング1内に挿入されることによって、ハウジング1の第1の導電ユニット2と電気的に接続することができる。選択可能に、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9は、第1の開口11と連通する第1の挿入部13からハウジング1内に挿入されることによって、第1の挿入部13を介して挿入された第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9をハウジング1内の第1の導電ユニット2と電気的に接続することもできる。
【0019】
さらに、図1図2に示すように、ハウジング1の第1の開口11に向かう側壁には、第2の挿入部14がさらに設けられ、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が第1の開口11に挿入される方向Oに垂直な方向に沿って、第2の挿入部14が第1の挿入部13に対向して設けられている。具体的には、第2の挿入部14は、ハウジング1に設けられ、第1の開口11と連通する切欠きであってもよい。
【0020】
本願では、ハウジング1の第1の開口11に向かう側壁には、第1の開口11に連通する第1の挿入部13及び第2の挿入部14を設けることによって、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9は、第1の開口11、第2の開口12又は第1の挿入部13からハウジング1内に挿入されることができることに加えて、第2の挿入部14からハウジング1内に挿入されることもでき、これによって、複数の角度から第1の導電ユニット2と電気的に接続することを実現し、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9と電気コネクタとの嵌合方式をさらに多くする。
【0021】
ハウジング1の材質は、プラスチック材質又は金属材質であってもよく、導電性の良い材質であってもよいし、導電性の悪い材質であってもよいし、例えば鋼材質であってもよいし、鋼を含む材質を用いてもよい。本願に係る第1の挿入部13及び/又は第2の挿入部14は、第1の電気的接続装置8及び第2の電気的接続装置9をそれぞれ方向Oに沿ってハウジング1に挿入させることができる一方、図5に示すように、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9をハウジング1の側方から挿入させることも実現できる。選択可能に、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9をハウジング1の斜め方向Pに沿って挿入させることもできることが明らかである。これによって、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9と電気コネクタとの嵌合方式をさらに豊かにし、他方では、本願は、より加工しやすく、例えば、ハウジング1の第1の開口11における端部を直接切り割るだけで、第1の挿入部13及び/又は第2の挿入部14を形成することができる。
【0022】
一実現可能な実施例において、第1の挿入部13又は第2の挿入部14は、ハウジング1の第1の開口11又は第2の開口12に近い位置に設けられた、ハウジング1の側壁に形成された孔、例えば、四角形の貫通孔などであってもよい。具体的に実施する場合、該孔の周壁は、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9に対して位置を規制することができる。さらに、防水・防塵の効果を達成するために、いくつかの実施例において、さらに、ハウジング1における第1の挿入部13及び/又は第2の挿入部14の周壁に防水板又は防塵板をヒンジ接続してもよく、防水板又は防塵板を第1の挿入部13又は第2の挿入部14を封止するように設置することによって、防水又は防塵の効果を達成する。
【0023】
さらに、図4に示すように、ハウジング1は、第1の導電ユニット2を入れるための取付口15を有し、第1の導電ユニット2が取付口15を介してハウジング1内に挿入された状態で、取付口15に位置するハウジング1の側壁が折り曲げられることにより取付口15を閉じることができる。取付口15を設けることによって、第1の導電ユニット2を迅速にハウジング1内に入れることができ、組み立てが簡単で、着脱しやすい。
【0024】
具体的には、ハウジング1は、成形される前に板状を呈し、板の幅方向Qに沿って折り曲げられたら略「匚」字状の構造体を形成することができ、該「匚」字状の構造体の開口は取付口15である。電気コネクタを組み立てる際に、第1の導電ユニット2をハウジング1の外部から該取付口15を介してハウジング1内に直接入れ、その後、該取付口15を閉じればよい。
【0025】
本願において、ハウジング1は成形される前に、幅方向Qに沿って対向して設けられる第1側17及び第2側18を含み、第1側17及び第2側18の一方には、例えば、溶接、接着又は一体プレス成形などの方式により、アリ状の突起171が設けられ、第1側17及び第2側18の他方には、突起171の形状にマッチングするアリ溝181が設けられ、突起171がアリ溝181と係止することができる。
【0026】
さらに、図11図12に示すように、ハウジング1は、第1の導電ユニット2に予締力を与えるためのクランプ部材16をさらに含む。クランプ部材16を設けることによって、ハウジング1に挿入された第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9をより強く挟持し、電気コネクタの振動環境での接続信頼性を確保することができる。
【0027】
本願において、クランプ部材16は、第1の開口11に位置する少なくとも1つの第1のハウジング弾性アーム161と、第2の開口12に位置する少なくとも1つの第2のハウジング弾性アーム162と、を含む。そのうち、第1のハウジング弾性アーム161は、ハウジング1内に入り込んで第1の導電ユニット2に当接可能な第1の自由端1611を含み、第2のハウジング弾性アーム162は、ハウジング1内に入り込んで第1の導電ユニット2に当接可能な第2の自由端1622を含む。
【0028】
具体的には、第1のハウジング弾性アーム161及び第2のハウジング弾性アーム162は、ハウジング1の同一側、例えば、図1に示すハウジング1の上面に位置してもよく、又は、第1のハウジング弾性アーム161及び第2のハウジング弾性アーム162は、ハウジング1の異なる側に位置してもよく、例えば、第1のハウジング弾性アーム161は、ハウジング1の上面に位置し、第2のハウジング弾性アーム162は、ハウジング1の下面に位置する。
【0029】
第1の電気的接続装置8が第1の開口11を介してハウジング1内に挿入されるとともに第1の導電ユニット2と電気的に接続され、第2の電気的接続装置9が第2の開口12を介してハウジング1内に挿入されるとともに第1の導電ユニット2と電気的に接続されたことを例とする。クランプ部材16を設けることによって、第1の電気的接続装置8が第1の開口11に挿入されるにつれて、第1の電気的接続装置8が一定の厚さを有するため、図12に示すように、第1の電気的接続装置8は、第1の導電ユニット2をハウジング1の厚さ方向Hに沿って、隣接するハウジング1の内壁に近づく方向へ移動させることができ、このとき、第1の開口11に位置する第1のハウジング弾性アーム161は、第1の電気的接続装置8を挟持するようになり、同様に、第2のハウジング弾性アーム162は、第2の開口12に挿入された第2の電気的接続装置9をより強く挟持する。
【0030】
第1のハウジング弾性アーム161から第1の電気的接続装置8に加える圧力の範囲は0.3N~95Nであり、第2のハウジング弾性アーム162から第2の電気的接続装置9に加える圧力の範囲は0.3N~95Nである。
【0031】
第1のハウジング弾性アーム161から第1の電気的接続装置8に加える圧力による、第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の接触抵抗への影響、又は第2のハウジング弾性アーム162から第2の電気的接続装置9に加える圧力による、第2のハウジング弾性アーム162と第2の電気的接続装置9との間の接触抵抗への影響を検証するために、出願人は試験を行った。第1のハウジング弾性アーム161から第1の電気的接続装置8に加える圧力を例として、出願人は、形状が同じ、寸法が同じ第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8とを選択し、第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の圧力を異なるものとして設計することによって、第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の接触抵抗を観察した。
【0032】
接触抵抗の検出方式について、マイクロオームメーターを用いて第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との接触箇所の抵抗を測定し、マイクロオームメーターの数値を読み取ることになる。本実施例において、接触抵抗が50μΩ未満である場合の値を理想値とする。
【0033】
表1:ハウジング弾性アームと電気的接続装置との異なる圧力による接触抵抗への影響
【0034】
【表1】
【0035】
表1から分かるように、第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の圧力が0.3N未満である場合、結合力が小さすぎるため、両者の間の接触抵抗が理想値より高くなり、要求を満たさない。第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の圧力が95Nより大きい場合、接触抵抗が顕著に低下しないどころか、材料の選択及び加工がより困難である。そして、圧力が大きすぎると、第1の電気的接続装置8に損傷も与える。従って、出願人は、第1のハウジング弾性アーム161から第1の電気的接続装置8に加える圧力の範囲を0.3N~95Nに設定し、第2のハウジング弾性アーム162から第2の電気的接続装置9に加える圧力の範囲を0.3N~95Nに設定した。
【0036】
なお、出願人は、第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の圧力が0.5Nより大きい場合、第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の接触抵抗値が比較的良好であり、早く低下する傾向にあることを発見した。第1のハウジング弾性アーム161と第1の電気的接続装置8との間の圧力が50N未満である場合、導電性弾性片の製造、装着、使用にいずれも便利であり、コストも低い。このため、出願人として、第1のハウジング弾性アーム161から第1の電気的接続装置8に加える圧力の範囲が0.5N~50Nであることが好ましく、第2のハウジング弾性アーム162から第2の電気的接続装置9に加える圧力の範囲が0.5N~50Nであることが好ましい。
【0037】
本願の一実施形態により、図5から図7、及び図1に示すように、該電気コネクタは、ハウジング1と第1の導電ユニット2とを固定するための固定部材3をさらに含み、該固定部材3がハウジング1と第1の導電ユニット2との間に設けられている。固定部材3を設けることによって、第1の導電ユニット2の着脱を容易にするだけでなく、第1の導電ユニット2に対して位置を規制することにもなる。
【0038】
一実現可能な実施例において、図6に示すように、固定部材3は、取り外し可能に接続された第1の固定部31及び第1の固定嵌合部32を含む。そのうち、第1の固定部31が例えば、溶接、接着、ネジ接続、係止又は一体プレス成形などの方式により第1の導電ユニット2に設けられた第1の凸部材であり、第1の固定嵌合部32がハウジング1に開設された第1の凹部材である。
【0039】
別の実現可能な実施例において、固定部材3は、取り外し可能に接続された第1の固定部31及び第1の固定嵌合部32を含む。そのうち、第1の固定部31が例えば、溶接、接着、ネジ接続、係止又は一体プレス成形によりハウジング1に設けられた第1の凸部材であり、第1の固定嵌合部32が第1の導電ユニット2に開設された第1の凹部材である。
【0040】
第1の固定部31及び第1の固定嵌合部32を設けることによって、構造が簡単であるとともに、他の工具(例えば、ストリップ又は溶接棒など)を介することなく手で第1の導電ユニット2とハウジング1との着脱を迅速に完成することができる。
【0041】
本願の一実施形態により、図8図9に示すように、ハウジング1内には、2つの第1の導電ユニット2が設けられ、2つの第1の導電ユニット2がハウジング1の厚さ方向Hに沿って間隔を隔てて設けられている。2つの第1の導電ユニット2を設けることによって、第1の電気的接続装置8と第2の電気的接続装置9に対して双方向に挟持するようになる。1つの第1の導電ユニット2のみを有する電気コネクタに比べて、チップ型電気的接続装置を例として、2つの第1の導電ユニット2を設けることによって、チップ型電気的接続装置の両面をいずれも第1の導電ユニット2に接触させ、電気的接続装置が第1の導電ユニット2と確かに電気的に接続される信頼性を向上させることができる。
【0042】
さらに、図7図9に示すように、2つの第1の導電ユニット2の間にストリップ状の支持部4が接続され、支持部4が2つの第1の導電ユニット2の同一側に位置する。支持部4を設けることによって、第1の導電ユニット2の加工速度を向上させることができ、即ち、ハウジング1の成形前に、同一平面にある2つの第1の導電ユニット2を支持部4によって中折りすることによって、2つの第1の導電ユニット2の加工を同時に完了することができる。なお、支持部4が上下2つの第1の導電ユニット2の同一側に位置するため、2つの第1の導電ユニット2の加工にも便利であり、加工速度を向上させる。さらに、支持部4が2つの第1の導電ユニット2の同一側に接続されるため、各第1の導電ユニット2は、1つの片持ち梁構造に相当し、即ち、外部圧力の作用で、2つの第1の導電ユニット2は、ハウジング1の厚さ方向Hに沿って互いに近づくとともに変形することができ、体積を減少させ、さらに、2つの第1の導電ユニット2を取付口15を介してハウジング1内に入れやすくなり、ハウジング1と干渉しない。
【0043】
本願において、図9に示すように、第1の導電ユニット2は、第1の開口11に位置する複数の第1の弾性アーム21を含み、複数の第1の弾性アーム21が第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が第1の開口に挿入される方向に垂直な方向Qに沿って間隔を隔てて設けられ、2つずつ隣接する第1の弾性アーム21の間に第1の隙間22が存在する。
【0044】
少なくとも2つの第1の弾性アーム21を第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が第1の開口に挿入される方向に垂直な方向Qに沿って間隔を隔てて設けることによって、材料を節約し、製造コストを低減する。なお、材料が減少するため、第1の電気的接続装置8との接触面積が減少し、接触による温度上昇値(又は温度閾値とも呼ばれる)及び接触による抵抗値を効果的に低減させることができる。
【0045】
具体的には、第1の隙間22の幅は、第1の弾性アーム21の幅の1%~100%である。
【0046】
隣接する第1の隙間22の間隔距離による電気コネクタの接触抵抗への影響を検証するために、形状、寸法が同じ第1の導電ユニット2とハウジング1からなる電気コネクタ、形状、寸法が同じ第1の電気的接続装置8及び第2の電気的接続装置9を選択し、電気コネクタを第2の電気的接続装置9に接続して、第1の電気的接続装置8と電気コネクタとの間の接触抵抗を観測した。
【0047】
接触抵抗の検出方式について、マイクロオームメーターを用いて第1の電気的接続装置8と電気コネクタとの接触箇所で抵抗を測定し、マイクロオームメーターの数値を読み取る。本実施例において、接触抵抗が50μΩ未満である場合の値を理想値とする。
【0048】
表2:第1の隙間22の間隔距離(幅)による第1の電気的接続装置8と電気コネクタ構造との間の接触抵抗への影響
【0049】
【表2】
【0050】
表2から分かるように、第1の隙間22の間隔距離(幅)が第1の弾性アーム21の幅に占める割合が100%より大きい場合、接触抵抗が50μΩより大きいため、要求を満たさず、さらに、電気コネクタ構造の従来の加工方式は、プレス又は切割加工であり、第1の隙間22の間隔距離(幅)が狭すぎると、加工しにくく、以上により、第1の隙間22の間隔距離(幅)を第1の弾性アーム21の幅の1%~100%として設定する。
【0051】
さらに、図9に示すように、各第1の弾性アーム21は、第1の開口11から第2の開口12に向かって順に接続された第1の反り区間211及び第1の接続区間212を含み、第1の反り区間211が第1の開口11の外縁に向かって傾斜して設けられている。
【0052】
第1の反り区間211を第1の開口11の外縁に向かって傾斜して設けることによって、第1の開口11を介してハウジング1内に挿入された電気的接続装置がより容易に第1の導電ユニット2に接触し、電気的接続装置がより強く挟持される。これによって、電気的接続装置と電気コネクタとの接続強度を向上させ、即ち、電気コネクタの使用状態での信頼性を向上させる。また、第1の反り区間211が第1の開口11の外縁に向かって傾斜して設けられるため、第1の導電ユニット2の第1の反り区間211と第1の接続区間212との接続箇所と電気的接続装置との接触面積が減少し、即ち、電気的接続装置の受力面積が減少することになる。使用中において、電気的接続装置に対する圧力作用効果が強いほど、電気的接続装置をより強くクランプすることになる。電気的接続装置の挿入時に、電気的接続装置が挿入される力を緩和し、電気的接続装置が挿入される力を分散させ、適切な挿嵌力を保持させ、即ち、電気的接続装置をより容易に挿入させることができる。
【0053】
さらに、図9に示すように、第1の導電ユニット2は、第2の開口12に位置する複数の第2の弾性アーム24をさらに含み、複数の第2の弾性アーム24が第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が第2の開口12に挿入される方向に垂直な方向Qに沿って間隔を隔てて設けられ、2つずつ隣接する第2の弾性アーム24の間に第2の隙間25が存在する。そのうち、複数の第2の弾性アーム24が第1の端子本体23を介して複数の第1の弾性アーム21に接続されている。
【0054】
本願は、少なくとも複数の第2の弾性アーム24を、第1の電気的接続装置8又は第2の電気的接続装置9が第2の開口12に挿入される方向に垂直な方向Qに沿って間隔を隔てて設けることによって、材料を節約し、製造コストを低減する。さらに、材料が減少するため、第2の電気的接続装置9との接触面積が減少するため、接触による温度上昇値(又は温度閾値とも呼ばれる)及び接触による抵抗値を効果的に低減させることもできる。
【0055】
一実施形態において、第2の隙間25の幅は、第2の弾性アーム24の幅の1%~100%である。
【0056】
隣接する第2の隙間25の間隔距離(幅)による電気コネクタの接触抵抗への影響を検証するために、形状、寸法が同じ第1の導電ユニット2とハウジング1からなる電気コネクタ、形状、寸法が同じ第1の電気的接続装置8及び第2の電気的接続装置9を選択し、電気コネクタを第1の電気的接続装置8に接続して、第2の電気的接続装置9と電気コネクタとの間の接触抵抗を観測した。
【0057】
接触抵抗の検出方式について、マイクロオームメーターを用いて第2の電気的接続装置9と電気コネクタとの接触箇所で抵抗を測定し、マイクロオームメーターの数値を読み取る。本実施例において、接触抵抗が50μΩ未満である場合の値を理想値とする。
【0058】
表3:第2の隙間25の間隔距離(幅)による第2の電気的接続装置9と電気コネクタ構造との間の接触抵抗への影響
【0059】
【表3】
【0060】
表3から分かるように、第2の隙間25の間隔距離(幅)が第2の弾性アーム24の幅に占める割合が100%より大きい場合、接触抵抗が50μΩより大きいため、要求を満たさず、さらに、電気コネクタ構造の従来の加工方式は、プレス又は切割加工であり、第2の隙間25の間隔距離(幅)が狭すぎると、加工しにくくなる。以上により、第2の隙間25の間隔距離(幅)を第2の弾性アーム24の幅の1%~100%として設定する。
【0061】
さらに、図9に示すように、各第2の弾性アーム24は、第2の開口12から第1の開口11に向かって順に接続された第2の反り区間241及び第2の接続区間242を含み、第2の反り区間241は、第2の開口12の外縁に向かって傾斜して設けられている。
【0062】
第2の反り区間241を第2の開口12の外縁に向かって傾斜して設けることによって、第2の開口12を介してハウジング1内に挿入された電気的接続装置がより容易に第1の導電ユニット2に接触し、電気的接続装置がより強く挟持されることになる。これによって電気的接続装置と電気コネクタとの接続強度を向上させ、即ち、電気コネクタの使用状態での信頼性を向上させる。また、第1の反り区間211が第1の開口11の外縁に向かって傾斜して設けられるため、第1の導電ユニット2と電気的接続装置との接触面積が減少し、即ち、電気的接続装置の受力面積が減少することになる。使用中において、電気的接続装置に対する圧力作用効果が強くなり、電気的接続装置をより強くクランプするようになる。電気的接続装置の挿入時に、電気的接続装置が挿入される力を緩和し、電気的接続装置が挿入される力を分散させ、適切な挿嵌力を保持させ、即ち、電気的接続装置をより容易に挿入させることができる。
【0063】
本実施形態では、図9に示すように、第1の導電ユニット2は、ストリップ状の弾性アーム接続部材26をさらに含み、複数の第2の接続区間242が弾性アーム接続部材26を介してハウジング1の内壁に接続されている。
【0064】
複数の第2の接続区間242を弾性アーム接続部材26を介してハウジング1の内壁に接続することによって、複数の第2の弾性アーム24を1つとして形成する。これによって、各第2の弾性アーム24とハウジング1との接続の安定性を向上させる。
【0065】
本願の一実施形態により、図7図9に示すように、該電気コネクタは、第1の導電ユニット2とハウジング1との間に位置する、第1の導電ユニット2に取り外し可能に接続された第2の導電ユニット5をさらに含む。第2の導電ユニット5を設けることによって、電気的接続装置と電気コネクタとの機械的接触の信頼性及び電気的接続の信頼性を向上させる。
【0066】
さらに、図8図10に示すように、第2の導電ユニット5には、第1の固定部材6が設けられ、第1の導電ユニット2には、第1の固定嵌合具7が設けられ、第1の固定部材6が第1の固定嵌合具7に係止して接続されることができる。
【0067】
本願は、第1の固定部材6と第1の固定嵌合具7とを設けることによって、第1の導電ユニット2と第2の導電ユニット5との着脱を迅速に完了することができ、構造が簡単であり、且つ接続が強固である。
【0068】
本願において、図10に示すように、第2の導電ユニット5は、第1の開口11に位置する第1の弾性補強部51を含む。第1の弾性補強部51はハウジング1の厚さ方向Hに沿って第1の隙間22を貫通可能な複数の突出部511を有する。
【0069】
ハウジング1内には、2つの第1の導電ユニット2が設けられた場合、第1の弾性補強部51の複数の突出部511は、ハウジング1の厚さ方向Hに沿って第1の隙間22を貫通して2つの第1の導電ユニット2の間まで延びることができるため、電気的接続装置が第1の開口11又は第1の挿入部13を介してハウジング1内に挿入された場合、電気的接続装置の接触点が多くなり、電気コネクタとの接続強度をさらに向上させることができ、即ち、電気コネクタが使用状態で電気的接続装置と接続する信頼性を向上させる。なお、突出部511を設けることによって、第1の導電ユニット2と電気的接続装置との接触面積を増大させ、電流伝送の距離を短縮し、温度上昇値(又は温度閾値とも呼ばれる)及び接触抵抗値を効果的に低減させる。
【0070】
第1の導電ユニット2及び第2の導電ユニット5の材質は、銅又は銅合金の材質を用いることができ、具体的には、テルル銅合金、ベリリウム銅合金、リン青銅合金、鉛黄銅合金又はニッケル銅合金などであってもよい。
【0071】
テルル銅合金は、良好な導電性と切削容易性を有し、電気的特性を確保し、加工性も向上させることができる。
【0072】
ベリリウム銅は、高い硬度、弾性限界、疲労限界及び耐摩耗性を有し、さらに良好な耐食性、熱伝導性及び導電性を有し、且つ衝撃を受けた時に火花が発生しない。
【0073】
リン青銅の優位性は、より優れた耐食性、耐摩耗性を有し、良好な接触を確保することができ、弾性力が良好であり、優れた機械加工性能を有し、部品の加工時間を迅速に短縮できることである。
【0074】
鉛黄銅合金の優位性は、強度が高く、組織が緻密で均一で、耐食性に優れ、切削、穴あけなどの機械加工性能に優れることである。ニッケル銅合金は、耐食性が良く、硬度が高く、延性が良いという特徴を有し、電気抵抗率の温度係数を低減させることができる。
【0075】
さらに、図10に示すように、第1の弾性補強部51は、ハウジング1の厚さ方向Hに沿って隣接する複数の第1の反り区間211に当接可能な正圧部512をさらに含み、複数の突出部511は、ハウジング1の幅方向Qに沿って間隔を隔てて正圧部512に設けられた。
【0076】
正圧部512を設けることによって、各突出部511を取り付けるための基礎を提供することができる。さらに、正圧部512がハウジング1の厚さ方向Hに沿って隣接する複数の第1の反り区間211に当接可能であることにより、電気的接続装置が第1の開口11、第1の挿入部13又は第2の挿入部14を介してハウジング1内に挿入されて第1の導電ユニット2と電気的に接続された場合、電気的接続装置が一定の厚さを有するため、第1の反り区間211をハウジング1の厚さ方向Hに沿って隣接するハウジング1の内壁に近づく方向に移動させることになり、正圧部512を設けることによって、第1の反り区間211に正の圧力を提供することができ、第1の導電ユニット2の第1の反り区間211が湾曲変形しにくくなり、第1の導電ユニット2から電気的接続装置への挟持力を向上させる。
【0077】
図10に示すように、第2の導電ユニット5は、第2の開口12に位置する第2の弾性補強部53をさらに含み、第2の弾性補強部53が第2の端子本体52を介して第1の弾性補強部51に接続される。第2の弾性補強部53は、ハウジング1の厚さ方向Hに沿って第2の隙間25を貫通する複数の補強アーム531を有する。
【0078】
ハウジング1内には2つの第1の導電ユニット2が設けられた場合、第2の弾性補強部53の複数の補強アーム531は、ハウジング1の厚さ方向Hに沿って第2の隙間25を貫通して2つの第1の導電ユニット2の間まで延びることができるため、電気的接続装置が第2の開口12を介してハウジング1内の2つの第1の導電ユニット2の間に挿入された場合、電気的接続装置の接触点が多くなり、電気コネクタとの接続強度をさらに向上させることができ、即ち、電気コネクタが使用状態で電気的接続装置と接続する信頼性を向上させる。なお、ハウジング1の厚さ方向Hに沿って第2の隙間25を貫通して2つの第1の導電ユニット2の間まで延びる複数の補強アーム531を設けることによって、第1の導電ユニット2と電気的接続装置との接触面積を増大させ、電流伝送の距離を短縮し、温度上昇値(又は温度閾値とも呼ばれる)及び接触抵抗値を効果的に低減させる。
【0079】
さらに、図10に示すように、各補強アーム531は、第1の開口11から第2の開口12までに向かって順次接続された当接区間5311と接触区間5312とを含み、複数の当接区間5311がハウジング1の厚さ方向Hに沿って第2の弾性アームに当接可能であり、接触区間5312がハウジング1の厚さ方向Hに沿って第2の隙間25を貫通する。
【0080】
当接区間5311を設けることによって、第2の接続区間242に正の圧力を提供する。電気的接続装置が第2の開口12を介してハウジング1内に挿入されて第1の導電ユニット2と電気的に接続された場合、電気的接続装置が一定の厚さを有するため、第2の接続区間242をハウジング1の厚さ方向Hに沿って隣接するハウジング1の内壁に近づくように移動させることになり、当接区間5311を設けることによって、第2の接続区間242に正の圧力を提供することができ、第1の導電ユニット2の第2の接続区間242に湾曲等の変形が発生しにくくなり、第1の導電ユニット2から電気的接続装置への挟持力を向上させる。接触区間5312を設けることによって、第2の開口12で電気的接続装置との接触点を増加させ、電気コネクタとの接続強度をさらに向上させることができ、すなわち、電気コネクタが使用状態で電気的接続装置と接続する信頼性を向上させ、そして、電気的接続装置との接触面積をさらに増大させ、電流伝送の距離を短縮し、温度上昇値(又は温度閾値とも呼ばれる)及び接触抵抗値を効果的に低減させる。
【0081】
上記の実施例は、説明を容易にするための例示に過ぎず、本願が主張する権利範囲は、上記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0082】
1 ハウジング、11 第1の開口、12 第2の開口、13 第1の挿入部、14 第2の挿入部、15 取付口、16 クランプ部材、161 第1のハウジング弾性アーム、1611 第1の自由端、162 第2のハウジング弾性アーム、1621 第2の自由端、17 第1側、171 突起、18 第2側、181 アリ溝、2 第1の導電ユニット、21 第1の弾性アーム、211 第1の反り区間、212 第1の接続区間、22 第1の隙間、23 第1の端子本体、24 第2の弾性アーム、241 第2の反り区間、242 第2の接続区間、25 第2の隙間、26 弾性アーム接続部材、3 固定部材、31 第1の固定部、32 第1の固定嵌合部、4 支持部、5 第2の導電ユニット、51 第1の弾性補強部、511 突出部、512 正圧部、52 第2の端子本体、53 第2の弾性補強部、531 補強アーム、5311 当接区間、5312 接触区間、6 第1の固定部材、7 第1の固定嵌合具、8 第1の電気的接続装置、9 第2の電気的接続装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】