IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

特表2024-545922ライダーの送出装置、検出システム、および検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】ライダーの送出装置、検出システム、および検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/34 20200101AFI20241206BHJP
【FI】
G01S17/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539861
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2022139889
(87)【国際公開番号】W WO2023125093
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111637896.0
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ 丞
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲紅▼▲彪▼
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 理
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA07
5J084AC02
5J084AC03
5J084AD01
5J084BA23
5J084BA48
5J084BA51
5J084CA08
(57)【要約】
複数のターゲットから偽ターゲットを除外するためのライダーの送出装置、検出システム、および検出方法が提供される。異なる勾配を有する周波数掃引光信号が導入され、異なる周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は、ある期間において符号が逆であり、周波数掃引勾配の絶対値は等しくない。複数の実ターゲットについて、異なる周波数掃引光信号に別々に対応する少なくとも2つの期間にコヒーレント検出が実行される。異なる周波数掃引光信号を用いた演算によって得られる実ターゲットの距離および速度は変化せず、偽ターゲットの距離および速度は変化する。したがって、実ターゲットの距離および速度は、複数の周波数掃引光信号の同じコヒーレント検出結果を使用して決定される。これにより、検出時間を長くすることなく、仮想ターゲットを除外することができる。また、I受信器やQ受信器を用いても速度あいまいさが発生せず、コストがさらに低減されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数掃引信号源およびマルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素を備えるライダーの送出装置であって、
前記周波数掃引信号源は、N個の周波数掃引光信号を送信するように構成され、Nは1より大きい整数であり、
第1の期間におけるN個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であるか、または前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0でなく、前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0であり、前記N個の周波数掃引光信号の周波数は異なり、
前記マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素は、前記N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、前記レーダ送信信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得し、アンテナを使用して前記検出信号を送信し、前記局部発振器信号を前記ライダーの受信装置に送出するように構成される、送出装置。
【請求項2】
前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値は前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値と異なる、請求項1に記載の送出装置。
【請求項3】
前記第1の周波数掃引光信号および前記第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である、請求項1または2に記載の送出装置。
【請求項4】
前記第1の周波数掃引光信号の信号周期は前記第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期のM倍であり、Mは正の整数である、請求項3に記載の送出装置。
【請求項5】
前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの検出周期のK倍であるか、または前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの前記検出周期のK倍であり、Kは正の整数である、請求項3または4に記載の送出装置。
【請求項6】
1つのターゲット信号周期において、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは符号が逆であり、
前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、
前記ターゲット信号周期は、前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期と前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期との間の最大の信号周期である、請求項3から5のいずれか一項に記載の送出装置。
【請求項7】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、前記アンテナの受信帯域幅に関連する、請求項1から6のいずれか一項に記載の送出装置。
【請求項8】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の前記最小周波数差は、以下の条件を満たし、
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
f1は前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は前記第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は前記第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は前記第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEは前記アンテナの前記受信帯域幅を表す、請求項7に記載の送出装置。
【請求項9】
前記第1の周波数掃引信号および前記第2の周波数掃引信号は、
【数1】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、K2は、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、Rminは、前記ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の送出装置。
【請求項10】
前記第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配が0でない場合、前記第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の送出装置。
【請求項11】
前記N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、または前記N個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる、請求項1から10のいずれか一項に記載の送出装置。
【請求項12】
ライダーの検出システムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の前記ライダーの送出装置と、前記ライダーの受信装置とを備え、
前記受信装置は、前記送出装置からの局部発振器信号と、前記送出装置によって送出された検出信号のエコー信号とを受信し、前記エコー信号と前記局部発振器信号との周波数混合を実行して周波数混合信号を生成し、前記周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得するように構成される、検出システム。
【請求項13】
前記受信装置は、90度周波数ミキサと、第1の光検出器と、第2の光検出器と、第1のアナログデジタル変換器と、第2のアナログデジタル変換器と、信号プロセッサとを備え、
前記90度周波数ミキサは、前記検出信号のものである、アンテナから受信された前記エコー信号と、前記局部発振器信号とに対して周波数混合を実行して前記周波数混合信号を生成し、前記周波数混合信号を第1の信号と第2の信号とに分割し、前記第1の信号を前記第1の光検出器に送出し、前記第2の信号を前記第2の光検出器に送出するように構成され、
前記第1の光検出器は、前記第1の信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために前記第1の信号を前記第1のアナログデジタル変換器に出力するように構成され、
前記第2の光検出器は、前記第2の信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために前記第2の信号を前記第2のアナログデジタル変換器に出力するように構成され、
前記信号プロセッサは、前記第1のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号および前記第2のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号を処理して前記検出物体の前記測位情報を取得するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記受信装置は、180度周波数ミキサと、第3の光検出器と、第3のアナログデジタル変換器と、信号プロセッサとを備え、
前記180度周波数ミキサは、前記検出信号のものである、アンテナから受信された前記エコー信号と、前記局部発振器信号とに対して周波数混合を実行して前記周波数混合信号を生成し、前記周波数混合信号を前記第3の光検出器に送出するように構成され、
前記第3の光検出器は、前記周波数混合信号に対して検出を実行し、前記アナログデジタル変換のために前記周波数混合信号を前記第3のアナログデジタル変換器に出力するように構成され、
前記信号プロセッサは、前記第3のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号を処理して前記検出物体の前記測位情報を取得するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
ライダーに基づく検出方法であって、
N個の周波数掃引光信号を送信するステップであって、Nは1より大きい整数であり、第1の期間における前記N個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であるか、または前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0であり、前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0でなく、前記N個の周波数掃引光信号の周波数は異なる、ステップと、
前記N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、前記レーダ送信信号を局部発振器信号と検出信号とに分割し、アンテナを用いて前記検出信号を送信するステップと、
前記アンテナから前記検出信号のエコー信号を受信し、前記エコー信号および前記局部発振器信号に対して周波数混合を実行して周波数混合信号を生成するステップと、
前記周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値は前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値と異なる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の周波数掃引光信号および前記第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の周波数掃引光信号の信号周期は前記第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または前記第2の周波数掃引信号の前記信号周期は前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期のM倍であり、Mは正の整数である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの検出周期のK倍であるか、または前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの前記検出周期のK倍であり、Kは正の整数である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
1つのターゲット信号周期において、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは符号が逆であり、
前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、
前記ターゲット信号周期は、前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期と前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期との間の最大の信号周期である、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、前記アンテナの受信帯域幅に関連する、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の前記最小周波数差は、以下の条件を満たし、
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
f1は前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は前記第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は前記第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は前記第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEは前記アンテナの前記受信帯域幅を表す、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の周波数掃引信号および前記第2の周波数掃引信号は、
【数2】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、K2は、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、Rminは、前記ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す、請求項15から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配が0でない場合、前記第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む、請求項15から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、または前記N個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる、請求項15から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月29日に中国国家知識産権局に出願された、「ライダーの送出装置、検出システム、および検出方法」と題された中国特許出願第202111637896.0号の優先権を主張するものであり、その全体は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本出願は、光通信技術の分野に関し、特に、ライダーの送出装置、検出システム、および検出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コヒーレントライダーは、線形周波数変調信号の特徴を用いて、局部発振器信号をエコー信号でビートさせて、検出物体の距離および速度によって変化する周波数混合信号を生成してもよく、周波数混合信号の周波数に基づいて検出物体の距離情報および速度情報を計算してもよい。ライダーは比較的指向性が高く、出射光スポットが小さい。しかしながら、比較的長い距離にある物体に出射光が到達すると、比較的長い距離に起因して光スポットが発散する。これにより、出射光信号が複数の物体に照射され、複数のエコー信号が生成される。局部発振器信号とともに複数のエコー信号のそれぞれについてコヒーレント検出が実行された後、複数のターゲットが位置特定されるが、複数のターゲットから偽ターゲットが除外されることはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の実施形態は、複数のターゲットから偽ターゲットを除外するためのライダーの送出装置、検出システム、および検出方法を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、周波数掃引信号源およびマルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素を含むライダーの送出装置を提供する。周波数掃引信号源は、N個の周波数掃引光信号を送信し、Nは1より大きい整数である。第1の期間におけるN個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配の絶対値は第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配の絶対値と異なるか、または第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0でなく、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0である。N個の周波数掃引光信号の周波数は異なる。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素は、N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、レーダ送信信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得し、アンテナを使用して検出信号を送信し、局部発振器信号をライダーの受信装置に送出するように構成される。上記の解決策によれば、異なる勾配を有する周波数掃引光信号が導入される。この場合、複数の実ターゲットについて、異なる周波数掃引光信号に別々に対応する少なくとも2つの期間にコヒーレント検出が実行される。異なる周波数掃引光信号を用いた演算によって得られる実ターゲットの距離および速度は変化せず、偽ターゲットの距離および速度は変化する。したがって、実ターゲットの距離および速度は、複数の周波数掃引光信号の同じコヒーレント検出結果を使用して決定される。これにより、検出時間を長くすることなく、仮想ターゲットを除外することができる。
【0006】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である。
【0007】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号の信号周期は第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または第2の周波数掃引信号の信号周期は第1の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であり、Mは正の整数である。
【0008】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号の信号周期はライダーの検出周期のK倍であるか、または第2の周波数掃引光信号の信号周期はライダーの検出周期のK倍であり、Kは正の整数である。上記の設計では、1つの信号周期で複数の検出が実行されるため、検出効率は改善されることができ、検出遅延は低減されることができる。
【0009】
可能な設計では、1つのターゲット信号周期において、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは異なり、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは異なる。ターゲット信号周期は、第1の周波数掃引光信号の信号周期と第2の周波数掃引光信号の信号周期との間の最大の信号周期である。上記の設計では、2つの期間における周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は異なる。局部発振器信号とうなりを生じる異なる周波数掃引光信号間のビート周波数によって生成される同じ中間周波数信号を取得することを回避するために、偽ターゲットを除外する精度がさらに改善される。
【0010】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、アンテナの受信帯域幅に関連する。上記の設計では、アンテナの受信帯域幅に基づいて各周波数掃引光信号の周波数範囲が決定されるため、不要なビート周波数信号の生成が低減されることができ、計算結果の精度が改善されることができる。さらに、必要でないビート周波数信号を区別して除去するために計算的に複雑なアルゴリズムを使用する必要はない。これは、計算の複雑さをさらに低減し、使用される処理リソースを低減する。
【0011】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、以下の条件を満たす。
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
【0012】
f1は第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEはアンテナの受信帯域幅を表す。上記の設計は、周波数掃引光信号間の周波数差を決定する特定の方式を提供し、実装は簡単である。また、必要とされないビート周波数信号が生成されることが防止されることができ、演算結果の精度が改善されることができる。さらに、必要でないビート周波数信号を区別して除去するために計算的に複雑なアルゴリズムを使用する必要はない。これは、計算の複雑さをさらに低減し、使用される処理リソースを低減する。
【0013】
可能な設計では、第1の周波数掃引信号および第2の周波数掃引信号は、
【数1】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、K2は、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、Rminは、ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す。上記の設計では、異なる周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は上記の条件を満たす。異なる周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は、最小検出可能距離を参照して決定される。これにより、異なる周波数掃引光信号の周波数掃引勾配の差が比較的小さいことに起因して偽ターゲットを除外する精度が低下することを回避することができ、偽ターゲットを除外する精度をさらに向上させることができる。
【0014】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む。第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配が0でない場合、第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
可能な設計では、N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、またはN個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる。
【0016】
可能な設計では、周波数掃引信号源はN個の周波数掃引レーザを含み、周波数掃引レーザは、波長が周期的に変化する周波数掃引光信号を送信するように構成される。上記の設計では、異なる周波数掃引レーザによって送信される光信号の波長が調整され、その結果、異なる周波数掃引レーザによって送信される周波数掃引光信号の周波数範囲は異なり、周波数掃引勾配は要件を満たす。
【0017】
可能な設計では、周波数掃引信号源は、レーザ、変調器、無線周波数増幅器、および周波数掃引駆動信号源を含む。周波数掃引駆動信号源は、周波数が周期的に変化するN個の周波数掃引信号を生成するように構成され、周波数掃引信号は、無線周波数増幅器によって増幅された後、変調器に入力される。レーザは、レーザ信号を送信するように構成される。変調器は、N個の増幅された周波数掃引信号をレーザ信号上に変調してN個の周波数掃引光信号を取得するように構成される。上記の設計は、外部変調を通じて要件を満たすN個の周波数掃引光信号を生成する方式を提供する。周波数要件を満たす周波数掃引電気信号は、デジタル信号処理によって生成され、次いで、周波数掃引電気信号は、レーザによって送信されたレーザ信号上に変調され、実装は簡単である。
【0018】
可能な設計では、周波数掃引信号源は、N個の周波数掃引信号送信構成要素を含む。N個の周波数掃引光信号送信構成要素のうちのいずれか1つは、周波数掃引駆動信号源と、レーザと、変調器と、無線周波数増幅器とを含む。周波数掃引駆動信号源は、周波数が周期的に変化する1つの周波数掃引信号を生成するように構成され、周波数掃引信号は、無線周波数増幅器によって増幅された後、変調器に入力される。レーザは、レーザ信号を送信するように構成される。変調器は、増幅された周波数掃引信号をレーザ信号上に変調して1つの周波数掃引光信号を取得するように構成される。異なる周波数掃引信号送信構成要素に含まれるレーザによって送信されるレーザ信号の波長は異なり、かつ/または異なる周波数掃引信号送信構成要素に含まれる周波数掃引駆動信号源によって生成される周波数掃引信号の周波数範囲は異なる。上記の設計は、N個の周波数掃引信号送信構成要素を使用することによってN個の周波数掃引光信号を生成する方式を提供し、その結果、要件を満たすN個の周波数掃引光信号が比較的容易に生成される。
【0019】
可能な設計では、周波数掃引信号源は、レーザ、光周波数コム、N個のマイクロリング変調器、およびN個の周波数掃引駆動信号源を含む。レーザは、レーザ信号を送信するように構成される。光周波数コムは、レーザ信号を処理してN個の波長の光信号を取得するように構成される。N個の周波数掃引駆動信号源は、N個のマイクロリング変調器に1対1に対応して接続される。N個のマイクロリング変調器は、N個の波長の光信号の光路において順次直列に接続される。第1のマイクロリング変調器は、第1の周波数掃引駆動信号源によって出力され、その周波数範囲が周期的に変化する周波数掃引信号を、第1のマイクロリング変調器に対応する波長の光信号上に変調するように構成される。N個のマイクロリング変調器はN個の波長と1対1に対応し、異なる周波数掃引駆動信号源によって出力される周波数掃引信号の周波数範囲は異なる。上記の設計は、光周波数コムとN個のマイクロリング変調器とを組み合わせることによってN個の周波数掃引光信号を生成する方式を提供し、実装は比較的簡単である。
【0020】
可能な設計では、マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素は、カプラ、例えば方向性カプラを含む。
【0021】
可能な設計では、N個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なり、マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素は偏波ビームコンバイナおよび偏波維持カプラを含む。偏波ビームコンバイナは、N個の周波数掃引光信号の偏波方向に基づいて、N個の周波数掃引光信号に対してビーム結合を実行してレーダ送信信号を取得するように構成される。偏波維持カプラは、レーダ送信信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得するように構成される。
【0022】
第2の態様によれば、本出願の一実施形態は、第1の態様または第1の態様の設計のいずれか1つによるライダーの送出装置と、ライダーの受信装置とを含む、ライダーの検出システムを提供する。受信装置は、送出装置からの局部発振器信号と、送出装置によって送出された検出信号のエコー信号とを受信し、エコー信号と局部発振器信号との周波数混合を実行して周波数混合信号を生成しに、周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得するように構成される。
【0023】
可能な設計では、受信装置は、IQ検出を介して検出物体の測位情報を取得してもよい。
【0024】
可能な設計では、受信装置は、90度周波数ミキサと、第1の光検出器と、第2の光検出器と、第1のアナログデジタル変換器と、第2のアナログデジタル変換器と、信号プロセッサとを含む。90度周波数ミキサは、検出信号のものである、アンテナから受信されたエコー信号と、局部発振器信号とに対して周波数混合を実行して周波数混合信号を生成し、周波数混合信号を第1の信号と第2の信号とに分割し、第1の信号を第1の光検出器に送出し、第2の信号を第2の光検出器に送出するように構成される。第1の光検出器は、第1の信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために第1の信号を第1のアナログデジタル変換器に出力するように構成される。第2の光検出器は、第2の信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために第2の信号を第2のアナログデジタル変換器に出力するように構成される。信号プロセッサは、第1のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号および第2のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号を処理して検出物体の測位情報を取得するように構成される。上記の設計では、IQ検出によって正および負の周波数情報が区別されることができ、その結果、処理アルゴリズムは簡単であり、信号プロセッサの処理性能に対する要件は比較的低い。
【0025】
可能な設計では、受信装置は、I検出またはQ検出を介して検出物体の測位情報を取得してもよい。
【0026】
可能な設計では、受信装置は、180度周波数ミキサと、第3の光検出器と、第3のアナログデジタル変換器と、信号プロセッサとを含む。180度周波数ミキサは、検出信号のものである、アンテナから受信されたエコー信号と、局部発振器信号とに対して周波数混合を実行して周波数混合信号を生成し、周波数混合信号を第3の光検出器に送出するように構成される。第3の光検出器は、周波数混合信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために周波数混合信号を第3のアナログデジタル変換器に出力するように構成される。信号プロセッサは、第3のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号を処理して検出物体の測位情報を取得するように構成される。上記の設計では、I受信器またはQ受信器が使用され、複数の周波数掃引光信号が多重化されて送信信号を形成する。実ターゲットの距離および速度は変化しないので、各周波数掃引光信号の局部発振器信号は各周波数掃引光信号のエコー信号とうなりを生じて周波数混合信号を計算してもよく、次いで異なる場合に対応する式を使用して距離の周波数成分および速度の周波数成分が別々に決定され、すなわち、各周波数掃引光信号に基づいて3つの計算結果が取得され得る。この場合、複数の計算結果において同じ結果が最終的な計算結果となる。これにより、既存のI受信器またはQ受信器を用いた場合の複数の場合に対応する式に対応する計算結果において、特定の正しい結果を決定することができないために生じる検出速度のあいまいさを解消することができる。
【0027】
第3の態様によれば、本出願の一実施形態は、ライダーに基づく検出方法を提供する。方法は、N個の周波数掃引光信号を送信するステップであって、Nは1より大きい整数であり、第1の期間におけるN個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であるか、または第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0でなく、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0であり、N個の周波数掃引光信号の周波数は異なる、ステップと、N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、レーダ送信信号を局部発振器信号と検出信号とに分割し、アンテナを用いて検出信号を送信するステップとを含む。検出物体の測位情報を取得するために、局部発振器信号および検出信号のエコー信号に対してコヒーレント検出が実行される。
【0028】
可能な設計では、検出方法は、アンテナから検出信号のエコー信号を受信し、エコー信号および局部発振器信号に対して周波数混合を実行して周波数混合信号を生成するステップと、周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得するステップとを含む。
【0029】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である。
【0030】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号の信号周期は第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または第2の周波数掃引信号の信号周期は第1の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であり、Mは正の整数である。
【0031】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号の信号周期はライダーの検出周期のK倍であるか、または第2の周波数掃引光信号の信号周期はライダーの検出周期のK倍であり、Kは正の整数である。
【0032】
可能な設計では、1つのターゲット信号周期において、第1の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは異なり、第1の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは異なる。ターゲット信号周期は、第1の周波数掃引光信号の信号周期と第2の周波数掃引光信号の信号周期との間の最大の信号周期である。
【0033】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、アンテナの受信帯域幅に関連する。
【0034】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、以下の条件を満たす。
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
【0035】
f1は第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEはアンテナの受信帯域幅を表す。
【0036】
可能な設計では、第1の周波数掃引信号および第2の周波数掃引信号は、
【数2】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、K2は、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、Rminは、ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す。
【0037】
可能な設計では、第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む。第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配が0でない場合、第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
可能な設計では、N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、またはN個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる。
【0039】
本出願では、上記の態様で提供される実装形態に基づいて、実装形態は、より多くの実装形態を提供するためにさらに組み合わされ得る。
【0040】
第2の態様および第3の態様の有益な効果については、第1の態様の関連する説明を参照されたい。
【0041】
本出願の実施形態の技術的解決策をより明確に説明するために、以下では、実施形態を説明するための添付図面を簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ライダーのアーキテクチャの図である。
図2】局部発振器信号、エコー信号、および周波数混合信号の図である。
図3】周波数混合信号のスペクトルの図である。
図4】生成された偽ターゲットの図である。
図5】周波数混合信号の波形の図である。
図6】本出願の一実施形態によるライダーの検出システムのアーキテクチャの図である。
図7】本出願の一実施形態による周波数掃引光信号の波形の図である。
図8】本出願の一実施形態による第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号の波形の図である。
図9】本出願の一実施形態による2つの検出ターゲットの場合の周波数混合信号のスペクトルの図である。
図10】本出願の一実施形態による距離-速度解原理の図である。
図11】本出願の一実施形態による偏波多重化方式における周波数掃引光信号の出力波形の図である。
図12】本出願の一実施形態による検出周期と信号周期との間の関係の図である。
図13】本出願の一実施形態による受信装置620の構造の図である。
図14】本出願の一実施形態による他の受信装置620の構造の図である。
図15A】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図15B】本出願の一実施形態による1つの検出ターゲットの場合の2つの周波数掃引光信号の波形および周波数混合信号のスペクトルの図である。
図16】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図17】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図18】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図19】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図20】本出願の一実施形態による周波数掃引駆動信号源を生成する方式の図である。
図21】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図22】本出願の一実施形態による周波数掃引駆動信号源を生成する方式の図である。
図23】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図24】本出願の一実施形態による検出システムのアーキテクチャの図である。
図25】本出願の一実施形態によるライダーの検出方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付の図面を参照しながら本出願の実施形態を詳細に説明する。
【0044】
以下、本出願で使用されるいくつかの用語について説明および記載する。説明は、当業者による理解を容易にすることを意図されているが、本出願において特許請求される保護範囲に対する限定を構成するものではないことに留意されたい。
【0045】
(1)本出願における「少なくとも1つ」という用語は、1つまたは複数を意味し、すなわち、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上を含み、「複数の」は、2つ以上を意味し、すなわち、2つ、3つ、またはそれ以上を含む。加えて、本出願の説明では、「第1の」および「第2の」などの用語は、区別および説明のために使用されているにすぎず、相対的な重要性を示すまたは暗示するものとして理解されるべきではないし、または順序を示すまたは暗示するものとして理解されるべきではないことを理解されたい。「および/または」は、関連オブジェクト間の関連付け関係を記述し、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、Aのみが存在する場合、AとBの両方が存在する場合、およびBのみが存在する場合を表し得る。AおよびBの各々は単数であっても複数であってもよい。文字「/」は一般に、関連付けられる対象間の「または」の関係を表す。「以下の項目(部分)のうちの少なくとも1つ」またはその類似表現は、単数の項目(部分)または複数の項目(部分)の任意の組合せを含む、これらの項目の任意の組合せを指す。例えば、a、b、またはcのうちの少なくとも1つは、a、b、c、a-b、a-c、b-c、またはa-b-cを表してもよく、ここでa、b、およびcは、単数であっても複数であってもよい。
【0046】
(2)周波数掃引信号:周波数掃引信号は、時間に対して周波数が線形に変化する信号である。
【0047】
(3)周波数掃引波形:周波数掃引波形は、周波数掃引中の周波数掃引信号の軌跡である。
【0048】
(4)周波数掃引勾配:周波数掃引勾配は、Hz/sで測定された、単位時間における周波数掃引信号の周波数変動である。
【0049】
周波数掃引勾配の符号:周波数掃引勾配の符号が正である場合、周波数は時間とともに増加する。周波数掃引勾配の符号が負である場合、周波数は時間とともに減少する。周波数掃引勾配の符号が0である場合、周波数は時間とともに変化しない。2つの周波数掃引勾配の符号が逆であることは、一方の周波数掃引勾配の符号が正であり、他方の周波数掃引勾配の符号が負であることを意味する。
【0050】
(5)ガード帯域幅:信号に周波数多重化が使用される場合、信号間に特定の周波数範囲がある。異なる周波数の信号間の干渉を防止するために、周波数範囲に信号はロードされない。
【0051】
(6)レーダ送信信号:レーダ送信信号は、1つまたは複数の周波数掃引信号によって生成され、周波数多重化後に送信アンテナによって送信されることができる信号である。レーダ送信信号は、通常、光信号である。
【0052】
(7)エコー信号:エコー信号は、送信信号が検出物体に到達した後の反射信号である。エコー信号は、通常、光信号である。
【0053】
(8)ライダーの最小検出可能距離:いくつかのライダーは死角を有し、ライダーに比較的近い、例えば1mの、物体は検出されることができない。死角の最小距離は、ライダーの最小検出可能距離である。いくつかのライダーは死角を持たない。しかしながら、いくつかの物体は、プロセッサ精度またはアルゴリズムの制限のためにライダーに比較的近いため、ライダーが検出信号を送信し、比較的近い物体がエコー信号を送信した後、ライダーは、エコー信号を使用して物体の正確な位置を正確に特定することができない。したがって、正確に位置特定されることができる最小距離は、ライダーの最小検出可能距離である。
【0054】
本出願はライダーに適用される。ライダーは、車両、船舶、または他の機械に設置されることができる。図1を参照されたい。ライダーは、周波数掃引信号源を使用して周波数掃引光信号を送信し、周波数掃引光信号は、検出物体に照射された後に検出物体によって反射され、反射されたエコー信号は、ライダーの受信端によって受信され得る。この場合、ライダーの受信端は、エコー信号を局部発振器信号でうなりを生じさせて、検出物体の距離および速度とともに変化する1つの中間周波数信号を生成し、中間周波数信号の周波数に基づいて検出物体の距離、速度、反射率、および他の情報を計算し得る。
【0055】
背景技術で説明されたように、比較的遠い物体では、ライダーの光スポットが発散するため、出射光信号は複数の検出ターゲットのエコー信号を生成する。図2では、一例として2つの検出ターゲットを用いている。2つのエコー信号と局部発振器信号とをコヒーレント検出した後、複数の周波数混合信号が生成される。図2に示されるように、エコー信号1および局部発振器信号に対してコヒーレント検出が実行されて周波数混合信号1を生成し、エコー信号2および局部発振器信号に対してコヒーレント検出が実行されて周波数混合信号2を生成する。図2から、時間は期間1と期間2とに分割され得ることが分かる。送信信号またはエコー信号の周波数掃引勾配は、異なる期間において異なる。期間1および期間2の信号に対して別々にフーリエ変換が実行されて、図3に示されるスペクトル図を取得する。エコー信号1のみが存在する場合、図3では、期間1における信号スペクトルは周波数成分1のみを有し、期間2における信号スペクトルは周波数成分3のみを有する。
【0056】
また、期間1における周波数成分1および周波数成分2と、期間2における周波数成分3および周波数成分4とに基づいて、検出ターゲットの距離関連周波数および速度関連周波数が決定されてもよい。そして、距離関連周波数に基づいて検出ターゲットの距離がさらに計算され、速度関連周波数に基づいて検出ターゲットの速度が計算される。期間1には2つの周波数成分が存在し、期間2には2つの周波数成分が存在するため、組合せに基づく計算によって4つの検出ターゲットの距離および速度が取得され得る。
【0057】
一例としてIQ受信器が使用される。期間1における周波数成分と、期間2における周波数成分と、距離関連周波数と、速度関連周波数との間の関係は、式(1)を満たす。
f1=-fR+fD、f2=fR+fD 式(1)
【0058】
f1は期間1における周波数成分、f2は期間2における周波数成分、fRは距離関連周波数、fDは速度関連周波数である。
【0059】
また、fRおよびfDは、式(2)を用いて計算されてもよい。
【数3】
【0060】
検出ターゲットの距離は、式(3)を用いて決定されてもよく、検出ターゲットの速度は、式(4)を用いて決定されてもよい。
【数4】
【0061】
Rは、検出ターゲットとライダーとの間の距離を表し、Bは、送信光信号の周波数掃引帯域幅を表す。
【0062】
cは光速であり、Tは1つの期間、例えば期間1または期間2である。
【数5】
【0063】
λは光波長を表し、Vは検出ターゲットの移動速度を表す。
【0064】
この場合、V、R、f1、およびf2の間の関係は、式(2)~式(4)を用いて決定され得る。詳細については、式(5)を参照されたい。
【数6】
【0065】
式(5)を参照して、速度V、距離R、f1、およびf2の間の関係の曲線を決定するため、図4を参照する。図4から、周波数成分1~4では、周波数混合信号1からの2つの特定成分と、周波数混合信号2からの2つの特定成分とは区別されることができないことが分かる。したがって、2つの検出ターゲットの正確な情報は取得されることができない。I受信器またはQ受信器が使用される場合にも、複数の検出ターゲットは区別されることができないことを理解されたい。
【0066】
いくつかのシナリオでは、I受信器またはQ受信器が使用されるとき、特定の検出ターゲットの移動速度は比較的高く、検出ターゲットの速度の計算中に速度あいまいさが発生し得る。例えば、図5の(1)~(3)は、3つの可能な場合における局部発振器信号とエコー信号の周波数変化の図である。図5の(1)に示される第1の可能な場合では、I受信器またはQ受信器が検出に使用されるとき、期間1における周波数混合信号および期間2における周波数混合信号については、図5の(4)を参照されたい。IQ受信器が検出に使用される場合、期間1における周波数混合信号および期間2における周波数混合信号は、図5の(7)に示され得る。IQ受信器は、検出中に正および負の周波数を区別することができる。I受信器またはQ受信器が検出に使用されるとき、I受信器またはQ受信器は、正および負の周波数を区別することができない。したがって、期間1における周波数成分と、期間2における周波数成分と、距離関連周波数と、速度関連周波数との間の関係は、理論的には式(6)に示される条件を満たすはずである。
f1=fR-fD、f2=fR+fD 式(6)
【0067】
図5の(2)に示される第2の可能な場合では、I受信器またはQ受信器が検出に使用されるとき、期間1における周波数混合信号および期間2における周波数混合信号については、図5の(5)を参照されたい。IQ受信器が検出に使用される場合、期間1における周波数混合信号および期間2における周波数混合信号は、図5の(8)に示され得る。IQ受信器は、検出中に正および負の周波数を区別することができる。I受信器またはQ受信器が検出に使用されるとき、I受信器またはQ受信器は、正および負の周波数を区別することができない。したがって、期間1における周波数成分と、期間2における周波数成分と、距離関連周波数と、速度関連周波数との間の関係は、理論的には式(7)に示される条件を満たすはずである。
f1=-fR+fD、f2=fR+fD 式(7)
【0068】
図5の(3)に示される第3の可能な場合では、I受信器またはQ受信器が検出に使用されるとき、期間1における周波数混合信号および期間2における実際の周波数混合信号については、図5の(6)を参照されたい。IQ受信器が使用される場合、期間1における周波数混合信号および期間2における周波数混合信号は、図5の(9)に示され得る。IQ受信器は、検出中に正および負の周波数を区別することができる。I受信器またはQ受信器が検出に使用されるとき、I受信器またはQ受信器は、正および負の周波数を区別することができない。したがって、期間1における周波数成分と、期間2における周波数成分と、距離関連周波数と、速度関連周波数との間の関係は、理論的には式(8)に示される条件を満たすはずである。
f1=fR-fD、f2=-fR-fD 式(8)
【0069】
このことから、I受信器またはQ受信器が検出に使用される場合、式(6)に示されるように周波数f1およびf2が計算されると、周波数混合信号の実際の周波数と計算結果が不一致となり、速度や距離の計算が不正確になる可能性がある。式(6)、式(7)、および式(8)に示されるように周波数f1およびf2が別々に計算されると、正確な計算結果を区別することができない。
【0070】
これに基づいて、本出願は、ライダーの送出装置、測定装置、および検出方法を提供し、その結果、検出持続時間を増加させることなく複数のターゲットの同時検出が実施され、検出結果は比較的正確である。I受信器やQ受信器が使用されても速度あいまいさは発生しない。本出願の実施形態では、検出物体はリフレクタとも呼ばれ、検出物体は、アンテナの走査方向における任意の物体であってもよく、例えば、人、山、車両、木、または橋であってもよい。本出願の実施形態におけるアンテナは、光信号を送信するための送信アンテナおよび光信号を受信するための受信アンテナを含み、光信号を送信して光信号を受信するように構成された、スキャナとも呼ばれ得る。
【0071】
図6は、ライダーの検出システムの構造の図である。検出システム600は、送出装置610および受信装置620を含む。検出システムは、測距デバイスまたは速度測定デバイスに使用されてもよく、例えば、FMCWライダー、レーザ速度計、レーザレンジファインダ、光コヒーレンストモグラフィ(optical coherence tomography、OCT)デバイス、または光周波数領域反射計(optical frequency domain reflectometer、OFDR)デバイスに使用されてもよい。
【0072】
送出装置610は、周波数掃引信号源611およびマルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612を含み得る。周波数掃引信号源611は、N個の周波数掃引光信号を送信する。Nは、1より大きい整数である。周波数掃引信号源は、レーザの直接変調(内部変調とも呼ばれる)によって生成されてもよいし、レーザによって生成された光信号を変調器によって外部変調することによって生成されてもよい。周波数掃引信号源によって使用され得る構造は、以下で詳細に説明され、詳細は本明細書では説明されない。
【0073】
N個の周波数掃引信号は、周波数掃引波形が異なる少なくとも2つの周波数掃引光信号を含む。N個の周波数掃引光信号の周波数範囲は異なる。区別を容易にするために、2つの周波数掃引信号は、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号と呼ばれる。
【0074】
第1の可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、少なくとも以下の条件1および条件2を満たす。
【0075】
条件1:少なくとも、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配との符号が逆になる期間が存在する。この期間は、本明細書では第1の期間と呼ばれる。第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは、第1の期間において符号が逆であることが理解されよう。
【0076】
条件2:第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配の絶対値が、第1の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配の絶対値と異なる。
【0077】
第2の可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、以下の条件3を満たす。
【0078】
条件3:第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号の一方の周波数掃引勾配が0であり、他方の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配が0でない特定の期間が存在する。例えば、第1の期間では、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0であり、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0でない。あるいは、第1の期間では、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0でなく、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0である。
【0079】
いくつかの可能な実施形態では、N個の周波数掃引光信号は、以下の条件4~7のうちの少なくとも1つをさらに満たす。
【0080】
条件4:N個の周波数掃引光信号のすべてが周期的な周波数掃引光信号であるか、または特定の周波数掃引光信号が一定の周波数信号である、すなわち周波数掃引光信号の周波数掃引勾配が0である。いくつかの実施形態では、N個の周波数掃引光信号の信号周期は複数の関係を満たし、信号周期は代替的に1倍されてもよく、すなわち、周波数掃引光信号の信号周期は等しい。第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、一例として使用される。第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は両方とも、周期的な周波数掃引光信号である。例えば、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号の信号周期は、複数の関係を満たす。例えば、第1の周波数掃引光信号の信号周期は第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であり、または第2の周波数掃引光信号の信号周期は第1の周波数掃引光信号の信号周期のM倍である。Mは1であってもよく、または1より大きい整数であってもよい。
【0081】
条件5:1つのターゲット信号周期において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とが符号が逆である2つの期間が存在する。すなわち、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とが符号が逆である第1の期間に加えて、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とが符号が逆である少なくとも1つの期間が存在することが理解されよう。区別を容易にするために、第1の期間以外の期間は第2の期間と呼ばれる。ここで、ターゲット信号周期は、第1の周波数掃引光信号の信号周期と第2の周波数掃引光信号の信号周期との間の最大値である。例えば、第1の周波数掃引光信号の信号周期は、第2の周波数掃引信号の信号周期以上である。第1の周波数掃引光信号の信号周期において、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは異なり、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは異なる。
【0082】
条件6:N個の周波数掃引光信号において周波数が連続する2つの周波数掃引光信号間にガード帯域幅がある。ガード帯域幅の設定は、アンテナの受信帯域幅に関連する。第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、一例として使用される。第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、N個の周波数掃引光信号のうち周波数差が最も小さい2つの周波数掃引光信号である。第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、アンテナの受信帯域幅に関連する。
【0083】
例えば、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、式(9)に示される条件を満たす。
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE 式(9)
【0084】
f1は第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEはアンテナの受信帯域幅を表す。
【0085】
条件7:第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは、式(10)に示される条件を満たす。
【数7】
【0086】
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、K2は、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、Rminは、ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す。
【0087】
例えば、本出願のこの実施形態では、N個の周波数掃引光信号が満たす条件は、上記の条件の複数の組合せを含んでもよい。例えば、N個の周波数掃引光信号は、条件1+条件2+条件6+条件7を満たす。他の例では、N個の周波数掃引光信号は、条件3+条件6+条件7を満たす。他の例では、N個の周波数掃引光信号は、条件1+条件2+条件4+条件5+条件6+条件7を満たす。他の例では、N個の周波数掃引光信号は、条件1+条件2+条件5+条件6+条件7を満たす。ここでは他の例は1つずつ列挙されない。
【0088】
いくつかの実施形態では、本出願におけるN個の周波数掃引光信号のうちの各周期信号は、三角波、台形波、および鋸歯状波、または上記の波形の任意の組合せなど、時間とともに線形に変化する周波数を有する様々な周波数掃引波形を使用し得る。いくつかの他の実施形態では、いくつかの周波数掃引光信号は、一定の周波数波形を使用してもよく、すなわち、周波数掃引勾配は0である。図7は周波数掃引波形の例を示す。
【0089】
マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、レーダ送信信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得し、アンテナを使用して検出信号を送信し、局部発振器信号をライダーの受信装置620に送出する。
【0090】
受信装置620は、送出装置610からの局部発振器信号と、送出装置610によって送出された検出信号のエコー信号とを受信し、エコー信号と局部発振器信号との周波数混合を実行して周波数混合信号を生成した後、周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得する。例えば、測位情報は、検出物体の速度、ライダーからの距離、反射率などの情報を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、N個の周波数掃引光信号は、周波数多重化方式または偏波多重化方式で多重化されてもよい。偏波多重化方式では、N個の周波数掃引光信号に対して上記の条件6で説明されたガード帯域幅に対する要件はないことに留意されたい。
【0092】
第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、一例として使用される。第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、送信前に周波数多重化方式で多重化される。2つの周波数掃引光信号のいくつかの可能な周波数掃引波形が、図8を参照して説明される。図8の(1)~(3)は、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引帯域幅がB1であり、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引帯域幅がB2である例を用いている。第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間にガード帯域幅がある。第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配との符号が逆になる少なくとも2つの期間が存在する。図8の(1)~(3)では、第1の期間において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、周波数掃引勾配の絶対値は等しくない。第2の期間において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、周波数掃引勾配の絶対値は等しくない。第1の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は、第2の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは異なり、第1の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は、第2の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは異なる。
【0093】
図8の(1)に示される第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、一例として、複数のターゲットの測位情報を正確に取得する効果を説明するために用いられる。図9を参照されたい。一例として、2つの検出ターゲットが使用される。第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号1は、エコー信号1-1およびエコー信号1-2の2つのエコー信号に別々に対応する。第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号2は、エコー信号2-1およびエコー信号2-2の2つのエコー信号に別々に対応する。期間1における局部発振器信号1がエコー信号1-1およびエコー信号1-2とうなりを生じることにより生成される周波数混合信号のスペクトル、および、期間1における局部発振器信号2がエコー信号2-1およびエコー信号2-2とうなりを生じることにより生成される周波数混合信号のスペクトルについては、図9の(2)に示される、周波数混合信号のものであって、I受信器が使用される場合に存在するスペクトル、および、図9の(4)に示される、周波数混合信号のものであって、IQ受信器が使用される場合に存在するスペクトルを参照されたい。期間2における局部発振器信号1がエコー信号1-1およびエコー信号1-2とうなりを生じることにより生成される周波数混合信号のスペクトル、および、期間2における局部発振器信号2がエコー信号2-1およびエコー信号2-2とうなりを生じることにより生成される周波数混合信号のスペクトルについては、図9の(3)に示される、周波数混合信号のものであって、I受信器が使用される場合に存在するスペクトル、および、図9の(5)に示される、周波数混合信号のものであって、IQ受信器が使用される場合に存在するスペクトルを参照されたい。
【0094】
いくつかの実施形態では、IQ受信器が使用される場合、検出ターゲットの速度および距離は、式(2)~式(4)に従って決定され得る。
【0095】
他のいくつかの実施形態では、I受信器またはQ受信器が使用される場合、検出ターゲットの速度および距離は、式(3)および式(4)をそれぞれ参照して、式(6)~式(8)に従って計算され得る。本出願のこの実施形態では、複数の周波数掃引光信号が検出に使用される。そこで、各周波数掃引光信号と局部発振器信号とを周波数混合することによって取得される周波数混合信号について、式(3)および式(4)を参照して、式(6)~式(8)に従って検出ターゲットの速度および距離が計算されてもよい。
【0096】
異なる勾配を有する周波数掃引光信号が導入される。したがって、この場合、実ターゲットについて、異なる周波数掃引光信号に別々に対応する2つの期間にコヒーレント検出が実行される。異なる周波数掃引光信号を用いた演算によって得られる実ターゲットの距離および速度は変化せず、偽ターゲットの距離および速度は変化する。したがって、図10に示されるように、4つの線の交点に対応する速度および距離は、実ターゲットの速度および距離である。本出願のこの実施形態では、異なる勾配を有する周波数掃引信号は、周波数多重化によって多重化されて送信信号を形成し、送信信号は、M個の検出物体を検出するために使用される。これにより、検出時間を長くすることなく、偽ターゲットが排除されることができる。
【0097】
異なる周波数掃引光信号間に周波数領域で特定のガード帯域幅がある場合(すなわち、条件6が満たされる場合)、不要なビート周波数信号が生成されることが防止されることができる。したがって、これは、計算誤差を回避することができ、速度または距離の計算の複雑さを低減することができる。本出願のこの実施形態では、送信信号は送信周波数多重化を介して形成され、その結果、測定時間を増加させることなく複数のターゲットが区別され、ライダーポイントレートは変化しないままである。加えて、本出願のこの実施形態では、I受信器、Q受信器、またはIQ受信器が使用されることができる。I受信器またはQ受信器が使用される場合、複数の周波数掃引光信号は、周波数多重化によって多重化されて送信信号を形成する。実ターゲットの距離や速度は変化しないため、各周波数掃引光信号の局部発振器信号は各周波数掃引光信号のエコー信号とうなりを生じて周波数混合信号を計算し、式(6)~式(8)の各々に従って距離の周波数成分と速度の周波数成分が決定される。すなわち、各周波数掃引光信号に基づいて3つの計算結果が取得され得る。一例として、2つの周波数掃引光信号が使用される。2つの周波数掃引光信号の計算結果のうち、同じ2つの結果が最終的な計算結果となる。これにより、I受信器またはQ受信器が検出に使用されるときに生じる速度あいまいさの既存の問題を解決することができる。さらに、IQ受信器を使用する場合と比較して、I受信器またはQ受信器を使用することにより、コストを削減することができる。
【0098】
第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、他の例として使用される。第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、送信前に偏波多重化方式で多重化される。2つの周波数掃引光信号のいくつかの可能な周波数掃引波形が、図11を参照して説明される。図11の(1)~(3)は、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引帯域幅がB1であり、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引帯域幅がB2である例を用いている。第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配との符号が逆になる少なくとも2つの期間が存在する。図11の(1)~(3)では、第1の期間において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、周波数掃引勾配の絶対値は等しくない。第2の期間において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、周波数掃引勾配の絶対値は等しくない。第1の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は、第2の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは異なり、第1の期間における第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は、第2の期間における第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは異なる。
【0099】
上記の解決策では、異なる勾配を有する周波数掃引光信号が偏波多重化方式で多重化されて送信信号を形成し、送信信号はM個の検出物体を検出するために使用される。このようにして、測定時間を増加させることなく偽ターゲットが除外されることができ、ライダーのポイントレートは変化しないままである。加えて、I受信器、Q受信器、またはIQ受信器が使用されることができる。I受信器またはQ受信器が使用される場合、複数の周波数掃引光信号は、周波数多重化によって多重化されて送信信号を形成する。実ターゲットの距離や速度は変化しないため、各周波数掃引光信号の局部発振器信号は各周波数掃引光信号のエコー信号とうなりを生じて周波数混合信号を計算し、式(6)~式(8)の各々に従って距離の周波数成分と速度の周波数成分が決定される。すなわち、各周波数掃引光信号に基づいて3つの計算結果が取得され得る。一例として、2つの周波数掃引光信号が使用される。2つの周波数掃引光信号の計算結果のうち、同じ2つの結果が最終的な計算結果となる。これにより、I受信器またはQ受信器が検出に使用されるときに生じる速度あいまいさの既存の問題を解決することができる。さらに、IQ受信器を使用する場合と比較して、I受信器またはQ受信器を使用することにより、コストを削減することができる。
【0100】
いくつかの可能な実装形態では、検出効率を改善し、検出時間を短縮するために、周波数掃引光信号の信号周期は、ライダーの検出周期のK倍である。ここで、周波数掃引光信号の信号周期は、N個の周波数掃引光信号の信号周期のうちの最大の信号周期であってもよい。Kは正の整数である。検出周期とは、検出物体の測位情報を1回取得するための期間を意味する。
【0101】
第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は、一例として使用される。図12を参照されたい。第1の周波数掃引光信号の周波数掃引帯域幅は、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引帯域幅とは異なる。以下では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号の信号周期が同じである例を使用する。図12において、Tは検出周期を表す。図12の(1)では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号はいずれも三角波であり、信号周期は検出周期と等しい。図12の(2)では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号はいずれも台形波であり、信号周期は検出周期の2倍である。図12の(3)では、第1の周波数掃引光信号は三角波であり、第2の周波数掃引光信号は台形波であり、信号周期は検出周期の2倍である。図12の(4)では、第1の周波数掃引光信号は三角波であり、第2の周波数掃引光信号は一定周波数波であり、信号周期は検出周期と等しい。図12は、信号周期と検出周期との間の多重関係の一例を説明するために使用されているにすぎない。特定のシナリオでは、多重関係は、要件に基づいて構成され得る。これは、本出願のこの実施形態では具体的に限定されない。
【0102】
以下では、いくつかの実装形態の例を提供するために、添付の図面を参照して、本出願のこの実施形態における送出装置610および受信装置620の可能な構造を説明する。
【0103】
本出願のこの実施形態では、受信装置620には、1つまたは複数のIQ受信器、I受信器、またはQ受信器が配備され得る。一例として、図13は、IQ受信器の可能な構造の図である。IQ受信器は、90度周波数ミキサ6201と、第1の光検出器6202と、第2の光検出器6203と、第1のアナログデジタル変換器6204と、第2のアナログデジタル変換器6205と、信号プロセッサ6206とを含む。例えば、受信装置620は、受信アンテナをさらに含んでもよく、受信アンテナは、代替的に、受信装置620の外部に配置されてもよい。受信装置620は他の構成要素をさらに含んでもよいことに留意されたい。これは、本出願では具体的には限定されない。IQ検出を実行することができるIQ受信器の構造は、本出願のこの実施形態に適用可能である。
【0104】
90度周波数ミキサ6201は、アンテナからエコー信号を受信する。受信されたエコー信号は、N個の周波数掃引光信号に別々に対応するエコー信号を含む。検出物体が複数存在する場合、各周波数掃引光信号は複数のエコー信号に対応する。90度周波数ミキサ6201は、送出装置610から局部発振器信号をさらに受信する。受信された局部発振器信号は、N個の周波数掃引光信号に別々に対応する局部発振器信号を含む。90度周波数ミキサ6201は、局部発振器信号とエコー信号とを周波数混合し、I成分光信号とQ成分光信号との2つの光信号を出力する。第1の光検出器6202は、I成分光信号に対して光電子検出を実行し、I成分光信号を第1のアナログ電気信号に変換する。第2の光検出器6203は、Q成分光信号に対して光電子検出を実行し、Q成分光信号を第2のアナログ電気信号に変換する。第1のアナログデジタル変換器6204は、第1のアナログ電気信号をサンプリングし、第1のアナログ電気信号を第1のデジタル信号に変換する。第2のアナログデジタル変換器6205は、第2のアナログ電気信号をサンプリングし、第2のアナログ信号を第2のデジタル信号に変換する。さらに、信号プロセッサ6206は、第1のデジタル信号および第2のデジタル信号を処理して、検出物体の測位情報を取得する。例えば、第1の光検出器6202および第2の光検出器6203は、シングルエンド光検出器または平衡型光検出器(balanced photo detectors、BPD)を用いてもよい。
【0105】
信号プロセッサ6206は、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、中央処理ユニット(CPU)、高速化処理ユニット(APU)、画像処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等の計算能力を有するデバイスを含んでもよい。信号プロセッサ6206は、サンプリングによって取得されたデジタル信号を処理して、検出ターゲット物体の速度および距離などの測位情報を取得するように構成される。
【0106】
本出願のこの実施形態では、ターゲット物体の速度および距離などの情報を取得するためにサンプリングによって取得されたデジタル信号を処理する動作は、1つまたは複数の信号プロセッサ6206によって完了されてもよく、例えば、1つまたは複数のDSPによって完了されてもよく、または他の構成要素と組み合わせて1つまたは複数の信号プロセッサ6206によって完了されてもよく、例えば、1つまたは複数の中央処理ユニットCPUと組み合わせて1つのDSPによって一緒に完了されてもよい。サンプリングによって得られたデジタル信号を処理するとき、信号プロセッサ6206は、具体的には、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを呼び出してもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read only memory、EPROM)、またはコンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read only memory、CD ROM)を含むが、これらに限定されず、信号プロセッサ6206内に構成されてもよいし、または信号プロセッサ6206から独立していてもよい。
【0107】
他の例として、図14は、I受信器の可能な構造の図である。I受信器は、180度周波数ミキサ62011と、光検出器62012と、アナログデジタル変換器(analog digital converter、ADC)62013と、信号プロセッサ62014とを含む。180度周波数ミキサ62011は、局部発振器信号とエコー信号とを周波数混合し、I成分光信号を出力する。光検出器62012は、I成分光信号に対して光電検出を実行し、アナログ電気信号を取得する。アナログデジタル変換器62013は、アナログ電気信号をデジタル信号に変換する。さらに、信号プロセッサ62014は、デジタル信号を処理して、検出物体の測位情報を取得する。例えば、受信装置620は、受信アンテナをさらに含んでもよく、受信アンテナは、代替的に、受信装置620の外部に配置されてもよい。受信装置620は他の構成要素をさらに含んでもよいことに留意されたい。これは、本出願では具体的には限定されない。I検出を実行することができるI受信器の構造は、本出願のこの実施形態に適用可能である。
【0108】
図15Aは、検出システムの可能な構造の図である。図15Aは、説明のために、送信信号が周波数多重化方式で生成される例を使用する。周波数掃引信号源611は、N個の直接変調周波数掃引レーザを含む。図15Aにおいて、例えば、Nは2であり、周波数掃引レーザは、周波数掃引レーザ61111および周波数掃引レーザ61112である。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、少なくとも1つの方向性導波路カプラ6121を含む。受信装置620は、IQ受信器、I受信器、またはQ受信器を使用し得る。図15Aは1つのIQ受信器が使用される例を使用し、IQ受信器は図13に示される構造を例として用いている。説明を容易にするために、IQ受信器の構成要素は識別されない。
【0109】
周波数掃引レーザ6111の波長は時間とともに変化するため、出力周波数掃引光信号の周波数は設定された周波数範囲で変化する。N個の周波数掃引レーザ6111において、異なる周波数掃引レーザ6111の波長変化範囲は異なる。
【0110】
周波数掃引レーザ61111は、周波数掃引光信号1を出力し、周波数掃引光信号1の周波数掃引周期はT1であり、周波数掃引帯域幅はB1である。周波数掃引レーザ61111の波長変化範囲は[λ1,λ2]であり、出力周波数掃引光信号1の周波数変化範囲は[f1,f2]である。周波数掃引レーザ61112の波長変化範囲は[λ3,λ4]であり、出力周波数掃引光信号2の周波数変化範囲は[f3,f4]である。周波数掃引帯域幅B1および周波数掃引帯域幅B2は同じであっても異なっていてもよく、周波数掃引周期T1および周波数掃引周期T2は同じであっても異なっていてもよいが、T1/T2またはT2/T1は正の整数である。図15Aに示される実施形態では、出力周波数掃引光信号1および出力周波数掃引光信号2が第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号が満たす条件を満たすように、周波数掃引レーザ61111および周波数掃引レーザ61112によって送信されるレーザ信号の波長が調整される。例えば、周波数掃引光信号1および周波数掃引光信号2は、条件1+条件2+条件4+条件5+条件6+条件7を満たす。
【0111】
周波数掃引レーザ61111および周波数掃引レーザ61112によって出力された周波数掃引光信号1および周波数掃引光信号2は、方向性導波路カプラ6121を使用して結合され、2つの光信号が出力され、一方の光信号は局部発振器信号として使用され、他方の光信号は検出信号として使用される。2つの光信号のパワーは同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、2つの光信号のパワーが等しくないとき、比較的低いパワーを有する1つの光信号が局部発振器信号として使用されてもよく、受信信号に対してコヒーレント受信を実行するために使用される。検出信号は、比較的パワーの大きい1つの光信号が用いられ、スキャナを用いて送信され、被検出物体を検出するために用いられる。検出信号がM個の被検出物体に到達した後、検出信号は反射されてM個のエコー信号を形成する。ライダーに到達した後、M個のエコー信号がスキャナによって受信される。M個のエコー信号および1つの局部発振器信号は、光混合のための90度周波数ミキサ6201に入り、周波数混合信号を取得する。周波数混合後に出力された2つの光信号は、それぞれ第1の光検出器6202および第2の光検出器6203で2つのアナログ電気信号に変換された後、第1のアナログデジタル変換器6204および第2のアナログデジタル変換器6205で2つのデジタル電気信号に変換される。2つのデジタル信号は、処理のために信号プロセッサ6206に入り、最終的に、M個の検出物体の距離および速度などの情報が出力される。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、光増幅器(図示せず)、例えば、半導体光増幅器または光ファイバ増幅器をさらに含んでもよい。光増幅器は、方向性導波路カプラ3によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。
【0112】
上記の解決策では、異なる周波数掃引レーザの波長範囲は、異なる周波数範囲で周波数掃引光信号を実施するように調整され、実施は簡単である。異なる勾配を有する周波数掃引光信号が導入される。したがって、この場合、実ターゲットについて、異なる周波数掃引光信号に対応する2つの期間にコヒーレント検出が実行される。これにより、偽ターゲットを除外することができる。異なる周波数掃引光信号間に周波数領域で特定のガード帯域幅がある場合(すなわち、条件6が満たされる場合)、不要なビート周波数信号が生成されることが防止されることができる。したがって、これは、計算誤差を回避することができ、速度または距離の計算の複雑さを低減することができる。本出願のこの実施形態では、送信信号は送信周波数多重化を介して形成され、その結果、測定時間を増加させることなく複数のターゲットが区別され、ライダーポイントレートは変化しないままである。加えて、上記の解決策では、周波数掃引光信号1の周波数値は常に周波数掃引光信号2の周波数値より小さい。したがって、周波数掃引光信号1および周波数掃引光信号2は、90度周波数ミキサ6201において混同されず、同じ受信器を使用して受信され得る。これにより、リソース利用を改善し、コストを削減することができる。
【0113】
例えば、図15Bを参照されたい。周波数掃引光信号1および周波数掃引光信号2の波形が図15Bの(1)に示される。通常レートにおける信号波形およびスペクトルについては、図15Bの(2)を参照されたい。過剰に高いレートにおける信号波形およびスペクトルについては、図15Bの(3)を参照されたい。図15Bでは、周波数掃引光信号1の局部発振器信号は局部発振器信号1と呼ばれ、周波数掃引光信号1のエコー信号はエコー信号1と呼ばれ、周波数掃引光信号2の局部発振器信号は局部発振器信号2と呼ばれ、周波数掃引光信号2のエコー信号はエコー信号2と呼ばれる。図15Bは、説明のために周波数掃引光信号1および周波数掃引光信号2のいくつかの波形のみを使用し、他の波形の原理は同様であり、再び説明されないことに留意されたい。図15Bの(2)および図15Bの(3)から、周波数掃引光信号1の周波数値は、周波数掃引光信号2の周波数値より常に小さいことが分かる。したがって、90度周波数ミキサ6201では、周波数掃引光信号1と周波数掃引光信号2とが混同されない。
【0114】
図16は、検出システムの可能な構造の図である。図16は、説明のために、送信信号が周波数多重化方式で生成される例を使用する。周波数掃引信号源611は、N個の直接変調周波数掃引レーザを含む。図16において、例えば、Nは2であり、周波数掃引レーザは、周波数掃引レーザ61111および周波数掃引レーザ61112である。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、3つの方向性導波路カプラ6121を含み、これらは差異化を容易にするために、それぞれ方向性導波路カプラ6121-1、方向性導波路カプラ6121-2、および方向性導波路カプラ6121-3と呼ばれる。受信装置620は、2つのIQ受信器を使用してもよい。説明を容易にするために、IQ受信器の構成要素は識別されない。
【0115】
周波数掃引レーザ61111は、周波数掃引光信号1を出力する。周波数掃引レーザ61112は、周波数掃引光信号2を出力する。周波数掃引光信号1および周波数掃引光信号2が満たす条件については、図15Aに対応する実施形態の説明を参照されたく、ここでは詳細は繰り返されない。周波数掃引光信号1は、方向性導波路カプラ6121-1によって出力され、2つの部分に分割される。光信号の一部は局部発振器信号として一方の受信器に送信され、光信号の他の部分は方向性導波路カプラ6121-3に入る。周波数掃引光信号2は、方向性導波路カプラ6121-2によって出力され、2つの部分に分割される。光信号の一部は局部発振器信号として他方の受信器に送信され、光信号の他の部分は方向性導波路カプラ6121-3に入る。方向性導波路カプラ3によって出力された検出信号は、スキャナによって送信され、被検出物体を検出する。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、光増幅器(図示せず)をさらに含んでもよい。光増幅器は、方向性導波路カプラ3によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。いくつかの実施形態では、検出システムは、スキャナから受信されたエコー信号を2つの光信号に逆多重化するように構成された波長分割デマルチプレクサをさらに含んでもよく、2つの光信号はそれぞれ2つの受信器に入る。2つの受信器の処理方式は上述されており、ここでは詳細は繰り返されない。
【0116】
異なる波長範囲および異なる勾配を有する2つの周波数掃引光信号は、送信信号を形成するために周波数多重化を介して使用され、送信信号は、M個の検出物体を検出するために使用される。これにより、偽ターゲットを除外することができる。さらに、異なる周波数掃引光信号に対してコヒーレント検出を実行するために受信端で異なるIQ受信器が使用され、信号プロセッサの計算複雑度を低減する。上記の実施形態では、測定時間を増加させることなく、複数の検出ターゲット物体の正確な測位が実施され、ライダーポイントレートは変化しないままである。
【0117】
いくつかの実施形態では、図16に示される検出システムでは、受信装置620は代替的に、2つのI受信器または2つのQ受信器を使用してもよく、速度あいまいさは発生せず、検出コストは低減されることができる。
【0118】
図17は、検出システムの可能な構造の図である。図17に対応する実施形態と図16に対応する実施形態との違いは、図17では、マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素が波長分割マルチプレクサ61211およびカプラ61212を含むことである。N個の周波数掃引レーザによって出力された周波数掃引光信号1~Nは、波長分割マルチプレクサ61211によって多重化される。波長分割マルチプレクサ61211によって出力される光信号は、カプラによって2つの光信号に分割される。一方の光信号は局部発振器信号として受信器に入力され、他方の光信号は検出信号としてスキャナによって送出される。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、光増幅器(図示せず)をさらに含んでもよい。光増幅器は、カプラ61212によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。
【0119】
上記の解決策では、異なる周波数掃引波形を有するN個の信号が異なる波長範囲を有するレーザ信号にロードされ、周波数多重化が実行されて送信信号を生成する。偽ターゲットを除外するために、M個の検出物体が信号を使用して同時に検出される。さらに、異なる周波数掃引光信号に対してコヒーレント検出を実行するために受信端でIQ受信器が使用され、信号プロセッサの計算複雑度を低減する。上記の実施形態では、測定時間を増加させることなく、複数の検出ターゲット物体の正確な測位が実施され、ライダーポイントレートは変化しないままである。いくつかの実施形態では、図17に示される検出システムでは、受信装置620は代替的に、I受信器またはQ受信器を使用してもよく、速度あいまいさは発生せず、検出コストは低減されることができる。
【0120】
図18は、検出システムの可能な構造の図である。図18に対応する実施形態と図15Aに対応する実施形態との違いは、図15Aの受信装置620が1つのIQ受信器を使用し、図18の受信装置620が1つのI受信器またはQ受信器を使用することにある。上記の解決策では、速度あいまいさは発生せず、検出コストが低減されることができる。
【0121】
図19は、検出システムの可能な構造の図である。図19では、レーザによって送信されたレーザ信号をIQ変調することによってN個の周波数掃引光信号が生成され、周波数掃引波形はデジタル信号処理方式で生成され得る。周波数掃引信号源611は、レーザ1910と、変調器1920と、周波数掃引駆動信号源1930と、2つの無線周波数増幅器とを備える。差異化を容易にするために、2つの無線周波数増幅器は、無線周波数増幅器1941および無線周波数増幅器1942と呼ばれる。図20は、掃引駆動信号源がN個の周波数掃引信号を生成する方式を示す。周波数掃引信号1~周波数掃引信号Nは、異なる周波数を有するN個の周波数掃引信号であり、周波数掃引信号に対して異なるアップコンバージョン処理が実行されて、その周波数範囲が上記の条件を満たす周波数掃引信号を取得する。そして、実部と虚部をとり、デジタルアナログ変換処理を実行することにより、デジタル周波数掃引信号はアナログ周波数掃引信号に変換される。さらに、無線周波数増幅後、アナログ周波数掃引信号は、レーザによって送信されたレーザ信号上に変調される。異なる周波数掃引周波数範囲のアナログ周波数掃引信号がレーザ信号上に変調された後、異なる周波数掃引周波数範囲の周波数掃引光信号が取得される。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、カプラ1950を含む。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素は、変調器1920によって送出され、N個の周波数掃引光信号を含む1つの光信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得するように構成される。カプラ1950は、局部発振器信号を受信装置620に送出し、スキャナを用いて検出信号を送信する。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、光増幅器(図示せず)をさらに含んでもよい。光増幅器は、カプラ1950によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。
【0122】
この解決策では、異なる周波数掃引勾配および逆の周波数掃引方向を有するアナログ周波数掃引電気信号がレーザ信号にロードされ、周波数掃引範囲が要件を満たすN個の周波数掃引光信号を取得する。M個の検出物体は、偽ターゲットを除外するために、周波数掃引光信号を使用して検出される。本出願のこの実施形態では、複数の検出ターゲット物体の測位は、測定時間を増加させることなく実施されてもよく、ライダーポイントレートは変化しないままである。いくつかの実施形態では、図19に示される検出システムでは、受信装置620は代替的に、I受信器またはQ受信器を使用してもよく、速度あいまいさは発生せず、検出コストは低減されることができる。
【0123】
図21は、検出システムの可能な構造の図である。図21では、レーザによって送信されたレーザ信号をIQ変調することによってN個の周波数掃引光信号が生成され、周波数掃引波形はデジタル信号処理方式で生成され得る。図21において、周波数掃引信号源611は、N個の周波数掃引信号送信構成要素を含み、これらはそれぞれ周波数掃引信号送信構成要素1~Nである。各周波数掃引信号送信構成要素は、周波数掃引駆動信号源2101と、無線周波数増幅器2102と、無線周波数増幅器2103と、レーザ2104と、変調器2105とを含む。周波数掃引駆動信号源2101は、周波数が周期的に変化する1つの周波数掃引信号を生成し、周波数掃引信号は、無線周波数増幅器によって増幅された後、変調器に入力される。レーザ2104は、レーザ信号を送信する。変調器2105は、増幅された周波数掃引信号をレーザ信号上に変調して1つの周波数掃引光信号を取得する。したがって、N個の周波数掃引信号送信構成要素は、N個の周波数掃引光信号を生成する。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、カプラ2106を含み、N個の周波数掃引信号送信構成要素によって送信された周波数掃引光信号に対してビーム合成処理を実行し、次いで周波数掃引光信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得するように構成される。カプラ2106は、局部発振器信号を受信装置620に送出し、スキャナを用いて検出信号を送信する。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、光増幅器(図示せず)をさらに含んでもよい。光増幅器は、カプラ2106によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。
【0124】
例えば、周波数掃引駆動信号源2101が周期的に周波数が変化する周波数掃引信号を生成する方式については、図22を参照されたい。実部と虚部をとった後、デジタルアナログ変換処理を実行することにより、デジタル周波数掃引信号はアナログ周波数掃引信号に変換される。
【0125】
一例では、異なる周波数掃引信号送信構成要素に含まれるレーザによって送信されるレーザ信号の波長は異なる。この例では、レーザは異なる波長のレーザ信号を送信するので、N個の周波数掃引信号伝送構成要素によって送信される周波数掃引光信号の周波数範囲は上記の条件を満たす。
【0126】
他の例では、異なる周波数掃引信号送信構成要素に含まれる周波数掃引駆動信号源によって生成される周波数掃引信号の周波数範囲は異なる。この例では、周波数掃引信号源は、異なる周波数範囲のアナログ周波数掃引電気信号を生成し、N個の周波数掃引信号送信構成要素によって送信される周波数掃引光信号の周波数範囲が上記の条件を満たすように、レーザによって送信されるレーザ信号上にアナログ周波数掃引電気信号を変調する。
【0127】
さらに他の例では、異なる周波数掃引信号送信構成要素に含まれるレーザによって送信されるレーザ信号の波長は異なり、異なる周波数掃引信号送信構成要素に含まれる周波数掃引駆動信号源によって生成される周波数掃引信号の周波数範囲は異なる。この例では、周波数掃引信号源は、異なる周波数範囲のアナログ周波数掃引電気信号を生成し、アナログ周波数掃引電気信号は、N個の周波数掃引信号送信構成要素によって送信される周波数掃引光信号の周波数範囲が上記の条件を満たすように、N個のレーザによって別々に送信される異なる波長のレーザ信号上に対応して変調される。
【0128】
上記の解決策では、条件を満たすN個の周波数掃引信号がデジタル信号処理方式で生成され、条件を満たすN個の周波数掃引光信号を生成するためにレーザ信号上に変調されて、M個の検出物体を検出する。これにより、偽ターゲットを除外することができる。2つの隣接アナログ周波数掃引電気信号間の周波数領域には特定のガード帯域幅があり、その結果、2つの出力隣接周波数掃引光信号間の周波数領域には特定のガード帯域幅が存在する。これにより、不要なビート周波数信号の発生を防止することができる。本出願のこの実施形態では、複数の検出ターゲット物体の測位は、測定時間を増加させることなく実施されてもよく、ライダーポイントレートは変化しないままである。
【0129】
いくつかの実施形態では、図21に示される検出システムでは、受信装置620は代替的に、I受信器またはQ受信器を使用してもよく、速度あいまいさは発生せず、検出コストは低減されることができる。
【0130】
図23は、検出システムの可能な構造の図である。図23では、レーザによって送信されたレーザ信号を変調することによってN個の周波数掃引光信号が生成され、周波数掃引波形はデジタル信号処理方式で生成され得る。図23では、周波数掃引信号源611は、レーザ2301、光周波数コム2302、N個のマイクロリング変調器、およびN個の周波数掃引駆動信号源を含む。N個のマイクロリング変調器はマイクロリング変調器1~Nであり、N個の周波数掃引駆動信号源は周波数掃引駆動信号源1~Nである。周波数掃引駆動信号源によって周波数掃引信号を生成する原理については、図22を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0131】
レーザ2301は、レーザ信号を送信する。光周波数コム2302は、レーザ信号を処理してN個の波長の光信号を取得する。N個の周波数掃引駆動信号源は、N個のマイクロリング変調器に1対1に対応して接続され、N個のマイクロリング変調器は、N個の波長の光信号の光路において順次直列に接続される。マイクロリング変調器i(i=1...N)は、周波数掃引駆動信号源によって出力され、その周波数範囲が周期的に変化する周波数掃引信号を、マイクロリング変調器に対応する波長の光信号上に変調して、上記の条件を満たすN個の周波数掃引光信号を取得する。N個のマイクロリング変調器はN個の波長と1対1に対応し、異なる周波数掃引駆動信号源によって出力される周波数掃引信号の周波数範囲は異なる。マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、方向性導波路カプラ2303を含んでもよく、マイクロリング変調器Nによって出力される光信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得するように構成される。方向性導波路カプラ2303は、局部発振器信号を受信装置620に送出し、スキャナを用いて検出信号を送信する。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、光ファイバ増幅器(図示せず)をさらに含んでもよい。光ファイバ増幅器は、方向性導波路カプラ2303によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。
【0132】
この解決策では、N個の周波数掃引駆動信号源は、異なる周波数範囲のアナログ周波数掃引電気信号を生成し、レーザ信号は、異なる波長の光としても理解され得る光周波数コムを使用することによって複数の周波数の光に変換される。加えて、N個のマイクロリング変調器は、異なる周波数範囲のN個のアナログ周波数掃引電気信号を異なる波長の光信号上にそれぞれ変調し、生成されたN個の周波数掃引光信号の周波数範囲は上記の条件を満たす。条件を満たすN個の周波数掃引光信号が送信され、M個の検出物体を検出する。これにより、偽ターゲットを除外することができる。2つの隣接アナログ周波数掃引電気信号間の周波数領域には特定のガード帯域幅があり、その結果、2つの隣接周波数掃引光信号間の周波数領域には特定のガード帯域幅が存在する。これにより、不要なビート周波数信号の発生を防止することができる。本出願のこの実施形態では、複数の検出ターゲット物体の測位は、測定時間を増加させることなく実施されてもよく、ライダーポイントレートは変化しないままである。
【0133】
いくつかの実施形態では、図23に示される検出システムでは、受信装置620は代替的に、I受信器またはQ受信器を使用してもよく、速度あいまいさは発生せず、検出コストは低減されることができる。
【0134】
図24は、検出システムの可能な構造の図である。周波数掃引信号源611は、N個の周波数掃引レーザ、すなわち、周波数掃引レーザ1~Nを含む。異なる周波数掃引レーザによって生成された周波数掃引光信号の偏波方向は異なる。N個の周波数掃引レーザはN個の周波数掃引光信号を生成し、N個の光信号は上記の条件を満たす。図24において、マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素612は、偏波ビームコンバイナ(polarization beam combiner、PBC)2401および偏波維持カプラ2402を含む。偏波ビームコンバイナ2401は、N個の周波数掃引光信号の偏波方向に基づいてN個の周波数掃引光信号に対してビーム合成処理を実行し、レーダ送信信号を取得する。そして、偏波維持カプラ2402は、レーダ送信信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得する。偏波維持カプラ2402は、局部発振器信号を受信装置620に送出し、スキャナを用いて検出信号を送信する。いくつかの実施形態では、検出信号が送信される前に、増幅処理が最初に実行され、次いで検出信号が送信されてもよい。例えば、送出装置610は、偏波維持増幅器(図示せず)をさらに含んでもよい。偏波維持増幅器は、偏波維持カプラ2402によって出力された検出信号を増幅処理した後、スキャナを用いて検出信号を送信する。
【0135】
上記の解決策では、異なる勾配を有する周波数掃引光信号が偏波多重化方式で多重化されて送信信号を形成し、送信信号はM個の検出物体を検出するために使用される。このようにして、測定時間を増加させることなく偽ターゲットが除外されることができ、ライダーのポイントレートは変化しないままである。いくつかの実施形態では、図24に示される検出システムでは、受信装置620は代替的に、I受信器またはQ受信器を使用してもよく、速度あいまいさは発生せず、検出コストは低減されることができる。
【0136】
上記の内容および同じ概念に基づいて、本出願はライダーの検出方法を提供する。図25の記述を参照されたい。検出方法は、図15A図24の実施形態のいずれかに示される検出システムに適用され得る。検出方法は、図15A図24の実施形態のいずれかに示される検出システムに基づいて実行されてもよいことも理解されよう。
【0137】
図25は、本出願によるライダーの検出方法の概略フローチャートである。検出方法は、以下のステップを含む。
【0138】
2501:N個の周波数掃引光信号を送信し、Nは1より大きい整数であり、第1の期間におけるN個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であるか、または第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0であり、第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配は0でなく、N個の周波数掃引光信号の周波数は異なる。
【0139】
N個の周波数掃引光信号が満たす必要がある条件については、上記の関連説明を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0140】
2502: N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、レーダ送信信号を局部発振器信号と検出信号とに分割する。
【0141】
2503:アンテナを使用して検出信号を送信し、局部発振器信号は、検出信号のエコー信号とともにコヒーレント検出に使用され、検出物体の測位情報を取得する。
【0142】
可能な設計では、検出方法は、以下をさらに含んでもよい。
【0143】
2504:アンテナから検出信号のエコー信号を受信し、エコー信号と局部発振器信号とを周波数混合して周波数混合信号を生成する。
【0144】
2505:周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得する。
【0145】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号および第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である。
【0146】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号の信号周期は第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または第2の周波数掃引信号の信号周期は第1の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であり、Mは正の整数である。
【0147】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号の信号周期はライダーの検出周期のK倍であるか、または第2の周波数掃引光信号の信号周期はライダーの検出周期のK倍であり、Kは正の整数である。
【0148】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号の信号周期は、第2の周波数掃引信号の信号周期以上である。第1の周波数掃引光信号の1つの信号周期において、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配と第2の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは異なり、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配は第2の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配とは異なる。
【0149】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、アンテナの受信帯域幅に関連する。
【0150】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号と第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、以下の条件を満たし、
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
【0151】
f1は第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEはアンテナの受信帯域幅を表す。
【0152】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引信号および第2の周波数掃引信号は、
【数8】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、第1の期間における第1の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、K2は、第1の期間における第2の周波数掃引信号の周波数掃引勾配の絶対値を表し、Rminは、ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す。
【0153】
可能な実装形態では、第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む。第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配が0でない場合、第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む。
【0154】
可能な実装形態では、N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、またはN個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる。
【0155】
本出願の実施形態では、特別な記述および論理の矛盾がない場合、異なる実施形態間の用語および/または説明は一貫しており、相互に参照されてもよく、異なる実施形態における技術的特徴は、新しい実施形態を形成するために、その内部論理関係に基づいて組み合わされ得る。
【0156】
説明を簡便にするために、上記の方法については、上記の装置またはシステムの実施形態の対応する説明を参照されたく、ここでは詳細は繰り返されないことが当業者によって明確に理解されよう。
【0157】
本出願は、その特定の特徴および実施形態を参照して説明されるが、本出願の範囲から逸脱することなく、それらに対して種々の修正および組合せが行われ得ることは明らかである。これに対応して、本明細書および添付の図面は、添付の特許請求の範囲に定義される解決策を説明するための単なる例であり、本出願の範囲内のありとあらゆる修正、変形、組合せ、または均等物を網羅すると見なされる。
【0158】
当業者が、本出願の範囲を逸脱することなく本出願に様々な改変および変形を加えることができることは自明である。本出願は、本出願の実施形態のこれらの修正および変形を、それらが以下の特許請求の範囲およびそれらの均等な技術によって規定される保護範囲内に入る限り、包含するように意図されている。
【符号の説明】
【0159】
1 エコー信号、周波数混合信号、周波数掃引光信号、局部発振器信号、周波数成分
2 エコー信号、局部発振器信号、出力周波数掃引光信号、周波数成分
3 周波数成分、方向性導波路カプラ
4 周波数成分
600 検出システム
610 送出装置
611 周波数掃引信号源
612 マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素
620 受信装置
1910 レーザ
1920 変調器
1930 周波数掃引駆動信号源
1941 無線周波数増幅器
1942 無線周波数増幅器
1950 カプラ
2101 周波数掃引駆動信号源
2102 無線周波数増幅器
2103 無線周波数増幅器
2104 レーザ
2105 変調器
2106 カプラ
2301 レーザ
2302 光周波数コム
2303 方向性導波路カプラ
2401 偏波ビームコンバイナ
2402 偏波維持カプラ
6121 方向性導波路カプラ
6201 90度周波数ミキサ
6202 第1の光検出器
6203 第2の光検出器
6204 第1のアナログデジタル変換器
6205 第2のアナログデジタル変換器
6206 信号プロセッサ
61111 周波数掃引レーザ
61112 周波数掃引レーザ
61211 波長分割マルチプレクサ
61212 カプラ
62011 180度周波数ミキサ
62012 光検出器
62013 アナログデジタル変換器
62014 信号プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数掃引信号源およびマルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素を備えるライダーの送出装置であって、
前記周波数掃引信号源は、N個の周波数掃引光信号を送信するように構成され、Nは1より大きい整数であり、
第1の期間におけるN個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であるか、または前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0でなく、前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0であり、前記N個の周波数掃引光信号の周波数は異なり、
前記マルチプレクサ/デマルチプレクサ構成要素は、前記N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、前記レーダ送信信号を逆多重化して局部発振器信号および検出信号を取得し、アンテナを使用して前記検出信号を送信し、前記局部発振器信号を前記ライダーの受信装置に送出するように構成される、送出装置。
【請求項2】
前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値は前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値と異なる、請求項1に記載の送出装置。
【請求項3】
前記第1の周波数掃引光信号および前記第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である、請求項1に記載の送出装置。
【請求項4】
前記第1の周波数掃引光信号の信号周期は前記第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期のM倍であり、Mは正の整数である、請求項3に記載の送出装置。
【請求項5】
前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの検出周期のK倍であるか、または前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの前記検出周期のK倍であり、Kは正の整数である、請求項3に記載の送出装置。
【請求項6】
1つのターゲット信号周期において、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは符号が逆であり、
前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、
前記ターゲット信号周期は、前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期と前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期との間の最大の信号周期である、請求項3に記載の送出装置。
【請求項7】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、前記アンテナの受信帯域幅に関連する、請求項1に記載の送出装置。
【請求項8】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の前記最小周波数差は、以下の条件を満たし、
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
f1は前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は前記第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は前記第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は前記第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEは前記アンテナの前記受信帯域幅を表す、請求項7に記載の送出装置。
【請求項9】
前記第1の周波数掃引信号および前記第2の周波数掃引信号は、
【数1】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、K2は、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、Rminは、前記ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す、請求項1に記載の送出装置。
【請求項10】
前記第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配が0でない場合、前記第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の送出装置。
【請求項11】
前記N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、または前記N個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる、請求項1に記載の送出装置。
【請求項12】
ライダーの検出システムであって、請求項1から11のいずれか一項に記載の前記ライダーの送出装置と、前記ライダーの受信装置とを備え、
前記受信装置は、前記送出装置からの局部発振器信号と、前記送出装置によって送出された検出信号のエコー信号とを受信し、前記エコー信号と前記局部発振器信号との周波数混合を実行して周波数混合信号を生成し、前記周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得するように構成される、検出システム。
【請求項13】
前記受信装置は、90度周波数ミキサと、第1の光検出器と、第2の光検出器と、第1のアナログデジタル変換器と、第2のアナログデジタル変換器と、信号プロセッサとを備え、
前記90度周波数ミキサは、前記検出信号のものである、アンテナから受信された前記エコー信号と、前記局部発振器信号とに対して周波数混合を実行して前記周波数混合信号を生成し、前記周波数混合信号を第1の信号と第2の信号とに分割し、前記第1の信号を前記第1の光検出器に送出し、前記第2の信号を前記第2の光検出器に送出するように構成され、
前記第1の光検出器は、前記第1の信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために前記第1の信号を前記第1のアナログデジタル変換器に出力するように構成され、
前記第2の光検出器は、前記第2の信号に対して検出を実行し、アナログデジタル変換のために前記第2の信号を前記第2のアナログデジタル変換器に出力するように構成され、
前記信号プロセッサは、前記第1のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号および前記第2のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号を処理して前記検出物体の前記測位情報を取得するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記受信装置は、180度周波数ミキサと、第3の光検出器と、第3のアナログデジタル変換器と、信号プロセッサとを備え、
前記180度周波数ミキサは、前記検出信号のものである、アンテナから受信された前記エコー信号と、前記局部発振器信号とに対して周波数混合を実行して前記周波数混合信号を生成し、前記周波数混合信号を前記第3の光検出器に送出するように構成され、
前記第3の光検出器は、前記周波数混合信号に対して検出を実行し、前記アナログデジタル変換のために前記周波数混合信号を前記第3のアナログデジタル変換器に出力するように構成され、
前記信号プロセッサは、前記第3のアナログデジタル変換器によって出力されるデジタル信号を処理して前記検出物体の前記測位情報を取得するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
ライダーに基づく検出方法であって、
N個の周波数掃引光信号を送信するステップであって、Nは1より大きい整数であり、第1の期間における前記N個の周波数掃引光信号において、第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配と第2の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であるか、または前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0であり、前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は0でなく、前記N個の周波数掃引光信号の周波数は異なる、ステップと、
前記N個の周波数掃引光信号を多重化してレーダ送信信号を取得し、前記レーダ送信信号を局部発振器信号と検出信号とに分割し、アンテナを用いて前記検出信号を送信するステップと、
前記アンテナから前記検出信号のエコー信号を受信し、前記エコー信号および前記局部発振器信号に対して周波数混合を実行して周波数混合信号を生成するステップと、
前記周波数混合信号に基づいて検出物体の測位情報を取得するステップと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値は前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配の絶対値と異なる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の周波数掃引光信号および前記第2の周波数掃引光信号は周期的な周波数掃引光信号である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の周波数掃引光信号の信号周期は前記第2の周波数掃引光信号の信号周期のM倍であるか、または前記第2の周波数掃引信号の前記信号周期は前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期のM倍であり、Mは正の整数である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの検出周期のK倍であるか、または前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期は前記ライダーの前記検出周期のK倍であり、Kは正の整数である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
1つのターゲット信号周期において、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引勾配とは符号が逆であり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配と前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは符号が逆であり、
前記第1の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配は前記第2の期間における前記第1の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配とは異なり、
前記ターゲット信号周期は、前記第1の周波数掃引光信号の前記信号周期と前記第2の周波数掃引光信号の前記信号周期との間の最大の信号周期である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の最小周波数差は、前記アンテナの受信帯域幅に関連する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の周波数掃引光信号と前記第2の周波数掃引光信号との間の前記最小周波数差は、以下の条件を満たし、
min(|f1-f2|)>|fR1|+|fR2|+fOE
f1は前記第1の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、f2は前記第2の周波数掃引光信号の周波数掃引範囲を表し、fR1は前記第1の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第1の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fR2は前記第2の周波数掃引光信号の局部発振器信号に対する前記第2の周波数掃引光信号のエコー信号の周波数シフト量の最大値を表し、fOEは前記アンテナの前記受信帯域幅を表す、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の周波数掃引信号および前記第2の周波数掃引信号は、
【数2】
を満たし、
round()は、最も近い整数に丸める演算を表し、K1は、前記第1の期間における前記第1の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、K2は、前記第1の期間における前記第2の周波数掃引信号の前記周波数掃引勾配の前記絶対値を表し、Rminは、前記ライダーの最小検出可能距離を表し、cは、光速を表す、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の周波数掃引光信号の前記周波数掃引勾配が0でない場合、前記第2の周波数掃引光信号の波形は、三角波、台形波、および鋸歯状波のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記N個の周波数掃引光信号の波長変化範囲は異なるか、または前記N個の周波数掃引光信号の偏波方向は異なる、請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】