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特表2024-545927インスタントライススティック及びその作り方法
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  • 特表-インスタントライススティック及びその作り方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】インスタントライススティック及びその作り方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20241206BHJP
   A23L 29/30 20160101ALI20241206BHJP
【FI】
A23L7/10 A
A23L29/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540062
(86)(22)【出願日】2023-03-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2023084913
(87)【国際公開番号】W WO2023197878
(87)【国際公開日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】202210386285.1
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524248186
【氏名又は名称】浙江省柑橘研究所
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG CITRUS RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Yushanping, Toutuo Town, Huangyan District Taizhou, Zhejiang 318026 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】曹 雪丹
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE30
4B023LG01
4B023LG10
4B023LK01
4B023LK13
4B023LP08
4B023LP20
(57)【要約】
本願は、インスタントライススティック及びその作り方法を開示し、食品加工の技術分野に属し、ライススティックの原料は、種子と、イネとを含み、前記種子は、柑橘属植物果実の種子であり、種子デンプンを利用して新鮮な米中のアミロペクチンの割合を調整し、食感特性を変え、作られたライススティックの粘度を低下させ、ライススティックの口当たりを改善し、伝統的なライススティックを浸して食べることができないという欠陥を解消し、同時に新米の栄養を保持し、化学添加を防止する。さらに、伝統的なプロセスの古米への依存と使用を回避するため、古米の不適切な貯蔵によるアフラトキシン等の原料汚染のリスクを防止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスタントライススティックであって、種子と、新鮮なイネとを含み、前記種子は、柑橘の種子であり、
前記ライススティックの作り方法は、種子を処理して、種子デンプンを得るステップと、イネを磨砕して、米スラリーを得るステップと、前記種子デンプンと前記米スラリーを混合して、混合物を得るステップと、前記混合物を蒸して、クリンカを得るステップと、前記クリンカを押出成形した後に乾燥して、ライススティックを得るステップとを含む、インスタントライススティック。
【請求項2】
前記種子と前記イネの質量比は、1:25~100である、請求項1に記載のインスタントライススティック。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1項に記載のインスタントライススティックの作り方法であって、
種子を処理して、種子デンプンを得るステップと、イネを磨砕して、米スラリーを得るステップと、前記種子デンプンと前記米スラリーを混合して、混合物を得るステップと、前記混合物を蒸して、クリンカを得るステップと、前記クリンカを押出成形した後に乾燥して、ライススティックを得るステップとを含む、インスタントライススティックの作り方法。
【請求項4】
前記種子の水分含有量は、≦12重量%である、請求項3に記載のインスタントライススティックの作り方法。
【請求項5】
種子を処理して、種子デンプンを得る前記ステップは、具体的には、種子を砕いて、砕いた種子を得るステップと、前記砕いた種子を脱脂して、脱脂した砕いた種子を得るステップと、前記脱脂した砕いた種子を粉末化して篩分けした後、洗浄して洗浄濾液を得るステップと、前記洗浄濾液を沈殿させて、下層沈殿物と上層懸濁液を得るステップと、前記下層沈殿物を乾かし、粉砕し及び篩分けして、種子デンプンを得るステップとを含む、請求項3に記載のインスタントライススティックの作り方法。
【請求項6】
前記脱脂は、抽出脱脂であり、前記抽出脱脂の抽出温度は、40℃~45℃であり、前記抽出脱脂の抽出時間は、30min~45minであり、前記抽出脱脂の抽出液は、ブタンであり、前記抽出脱脂では、前記砕いた種子と前記抽出液の質量比は、1:1.5~2である、請求項5に記載のインスタントライススティックの作り方法。
【請求項7】
前記粉末化篩分けの篩分け孔径は、40メッシュ~60メッシュであり、前記洗浄温度は、25℃~35℃であり、質量基準で、前記洗浄用の洗浄液は、0.5%重炭酸ナトリウム、0.5%塩化カルシウム、及び残部の水を含み、前記乾かし温度は、≦45℃である、請求項5に記載のインスタントライススティックの作り方法。
【請求項8】
前記上層懸濁液は、前記磨砕に使用される、請求項5に記載のインスタントライススティックの作り方法。
【請求項9】
前記蒸し温度は、85℃~95℃である、請求項3に記載のインスタントライススティックの作り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本開示は、2022年4月13日に提出された、出願番号が202210386285.1であり、名称が「インスタントライススティック及びその作り方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は、引用により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示は、食品加工の技術分野に関し、特にインスタントライススティック及びその作り方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ライススティックは、すなわち米製のライススティックであり、江蘇省、浙江省、及び福建省等の南部地域で非常に有名な伝統的な農産物であり、生産歴史が長い。生産中のライススティックは、米を主原料として、粉砕、圧搾、乾燥により作られたものであり、食用方法は、蒸す、茹でる、炒める、混ぜるなどがあり、数百年にわたってそれが柔らかくてさっぱりと口当たりがよく、栄養が豊かで、簡単に食用できるなどにより大衆に愛されている。しかしながら、伝統的なライススティックの加工プロセスでは、ライススティックの原料である米中のデンプン含有量と割合が最終製品の品質と口当たりを決定するため、3~5年以上の古米を用いて作る必要がある。新米中のアミロペクチンの割合が高く、粘度が大きく、老化しやすい。一方、古米中の一部のデンプンが分解され、系の粘度が低下するため、ライスヌードルは、適切な口当たりを持っている。
【0004】
しかしながら、ライススティックを作るために使用される古米は、栄養価値及び活性物質がすべて失われるだけでなく、同時にカビが発生し、アフラトキシンなどが発生する巨大なリスクがさらに存在する。一方、新鮮な米を使用してライススティックを作る場合に、粘度が大きくて成形しにくく、老化しやすくて煮込みしにくい等の技術的欠陥が存在する。
【0005】
同時に、現代の生活リズムがさらに加速するにつれて、ライススティックの食用方法に対してより迅速で簡便であるという要件が提案されており、熱湯に浸して調味料を混ぜるだけで食用できるインスタントライススティックは、市場で非常に人気がある。しかしながら、既存の伝統的なライススティックには、浸した後に切れやすく、糊化しやすく、芯があり、及び歯ごたえがない等の多くの製品欠陥が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の内容は、現在のライススティックを古米で作る必要があるという問題を解決するためのインスタントライススティック及びその作り方法を提供する。
【0007】
本開示の実施例は、インスタントライススティックを提供し、前記ライススティックの原料は、種子と、イネとを含み、前記種子は、柑橘属植物果実の種子である。
【0008】
任意選択で、前記種子と前記イネの質量比は、1:25~100である。
【0009】
任意選択で、前記種子は、柑橘の種子である。
【0010】
同一の発明構想に基づき、本開示の実施例は、上記したインスタントライススティックの作り方法をさらに提供し、前記方法は、
【0011】
種子を処理して、種子デンプンを得るステップと、
【0012】
イネを磨砕して、米スラリーを得るステップと、
【0013】
前記種子デンプンと前記米スラリーを混合して、混合物を得るステップと、
【0014】
前記混合物を蒸して、クリンカを得るステップと、
【0015】
前記クリンカを押出成形した後に乾燥して、ライススティックを得るステップとを含む。
【0016】
任意選択で、前記種子の水分含有量は、≦12重量%である。
【0017】
任意選択で、種子を処理して、種子デンプンを得る前記ステップは、具体的には、
【0018】
種子を砕いて、砕いた種子を得るステップと、
【0019】
前記砕いた種子を脱脂して、脱脂した砕いた種子を得るステップと、
【0020】
前記脱脂した砕いた種子を粉末化して篩分けした後、洗浄して洗浄濾液を得るステップと、
【0021】
前記洗浄濾液を沈殿させて、下層沈殿物と上層懸濁液を得るステップと、
【0022】
前記下層沈殿物を乾かし、粉砕し及び篩分けして、種子デンプンを得るステップとを含む。
【0023】
任意選択で、前記脱脂は、抽出脱脂であり、前記抽出脱脂の抽出温度は、40℃~45℃であり、前記抽出脱脂の抽出時間は、30min~45minであり、前記抽出脱脂の抽出液は、ブタンであり、前記抽出脱脂では、前記砕いた種子と前記抽出液の質量比は、1:1.5~2である。
【0024】
任意選択で、前記粉末化篩分けの篩分け孔径は、40メッシュ~60メッシュであり、前記洗浄温度は、25℃~35℃であり、質量基準で、前記洗浄用の洗浄液は、0.5%重炭酸ナトリウム、0.5%塩化カルシウム、及び残部の水を含む。
【0025】
任意選択で、前記乾かし温度は、≦45℃である。
【0026】
任意選択で、前記上層懸濁液は、前記磨砕に使用される。
【0027】
任意選択で、前記蒸し温度は、85℃~95℃である。
【0028】
本開示の実施例における1つ又は複数の技術的解決手段は、少なくとも以下の技術的効果又は利点を有する。
【0029】
本開示の実施例が提供するインスタントライススティックは、種子デンプンを利用して新鮮な米中のアミロペクチンの割合を調整し、食感特性を変え、作られたライススティックの粘度を低下させ、ライススティックの口当たりを改善し、伝統的なライススティックを浸して食べることができないという欠陥を解消し、同時に新米の栄養を保持し、化学添加を防止する。さらに、伝統的なプロセスの古米への依存と使用を回避するため、古米の不適切な貯蔵によるアフラトキシン等の原料汚染のリスクを防止する。
【0030】
上記説明は、本開示の技術的解決手段の概要に過ぎず、本開示の技術手段をより明確に理解するために、本明細書の内容に基づいて実施することができ、かつ本開示の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下、本開示の具体的な実施形態を列挙する。
【0031】
本開示の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用される必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は本開示の実施例に係る方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、具体的な実施形態及び実施例を参照しながら本開示を具体的に説明し、これにより、本開示の利点及び様々な効果は、より明確に示される。当業者であれば理解されるように、これらの具体的な実施形態及び実施例は、本開示を説明するためのものであり、本開示を制限するためのものではない。
【0034】
本明細書全体において、特に明記されない限り、本明細書で使用される用語は、本分野で一般的に使用される意味として理解されるべきである。従って、特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。矛盾があれば、本明細書は、優先される。
【0035】
特に明記されない限り、本開示で使用される様々な原材料、試薬、計器及び機器等は、いずれも市場から購入されるものであってもよく、又は既存の方法により製造されるものであってもよい。
【0036】
本開示の実施例の技術的解決手段は、上記技術的課題を解決するために、全体的な構想を以下のように示す。
【0037】
出願人は、発明過程において以下のように発見した。伝統的なライススティックの加工プロセスでは、ライススティックの原料である米中のデンプン含有量と割合が最終製品の品質と口当たりを決定するため、3~5年以上の古米を用いて作る必要がある。新米中のアミロペクチンの割合が高く、粘度が大きく、老化しやすい。一方、古米中の一部のデンプンが分解され、系の粘度が低下するため、ライスヌードルは、適切な口当たりを持っている。
【0038】
柑橘属植物果実の種子は、果実加工産業の副産物であるが、油脂(38.86~42.59%)、タンパク質(28.56%~36.20%)、デンプン(11.22%~12.86%)及びリモニン、及びフラボン等の内因性活性物質が豊かに含まれる。これらの活性成分中のリモノイド化合物は、抗がん、鎮痛抗炎症及び抗ウイルス等の複数種の効果を有し、フラボノイド化合物は、抗酸化、炎症予防、がん細胞の増殖抑制及び心脳血管系の保護等の健康機能を有し、理想的な機能性食品及び医薬品原料である。しかしながら、現在、柑橘種子のほとんどは、柑橘加工企業により廃棄されており、貴重な天然産物資源の浪費を引き起こしてしまう。
【0039】
ライススティックを作るために使用される古米は、栄養価値及び活性物質がすべて失われるだけでなく、同時にカビが発生し、アフラトキシンなどが発生する巨大なリスクがさらに存在する。一方、新鮮な米を使用してライススティックを作る場合に、粘度が大きくて成形しにくく、老化しやすくて煮込みにくい等の技術的欠陥が存在する。
【0040】
同時に、現代の生活リズムがさらに加速するにつれて、ライススティックの食用方法に対してより迅速で簡便であるという要件が提案されており、熱湯に浸して調味料を混ぜるだけで食用できるインスタントライススティックは、市場で非常に人気がある。しかしながら、既存の伝統的なライススティックには、浸した後に切れやすく、糊化しやすく、芯があり、及び歯ごたえがない等の多くの製品欠陥が存在する。
【0041】
本開示の典型的な実施形態によれば、インスタントライススティックを提供し、前記ライススティックの原料は、種子と、イネとを含み、前記種子は、柑橘属植物果実の種子である。
【0042】
具体的には、種子は、柑橘の種子又はレモンの種子等であってもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、前記種子と前記イネの質量比は、1:25~100であり、任意選択で、質量比は、1:50~75であってもよい。
【0044】
種子とイネの質量比を1:25~100に制御する理由は、該比値の値が大きすぎると、米中のアミロペクチン含有量に対する調節作用が不十分であり、熟成後に粘度が高くて成形しにくく、老化しやすく、小さすぎると、米中のアミロペクチン含有量に対する調節作用が強すぎ、ライススティックの粘度を低下させ、加熱後に切れやすくなり、糊化しやすくなることである。
【0045】
本開示の別の典型的な実施形態によれば、上記したインスタントライススティックの作り方法を提供し、前記方法は、以下のステップS1~ステップS5を含む。
【0046】
S1、種子を処理して、種子デンプンを得る。
【0047】
いくつかの実施例では、種子の水分含有量は、≦12重量%である。
【0048】
種子の水分含有量を≦12重量%に制御し、水分含有量が高すぎると、つぶし過程に油脂が水及びタンパク質と混合して乳化状の濃厚スラリーを形成しやすくし、後続の油脂の除去及び抽出に不利である。
【0049】
いくつかの実施例では、種子を処理して、種子デンプンを得るステップは、具体的にはステップS1.1~ステップS1.5を含む。
【0050】
S1.1、種子を砕いて、砕いた種子を得る。
【0051】
具体的には、種子をローラープレスで繰り返し圧延して砕いている。
【0052】
S1.2、前記砕いた種子を脱脂して、脱脂した砕いた種子を得る。
【0053】
いくつかの実施例では、脱脂は、抽出脱脂であり、前記抽出脱脂の抽出温度は、40℃~45℃であり、前記抽出脱脂の抽出時間は、30min~45minであり、前記抽出脱脂の抽出液は、ブタンであり、前記抽出脱脂では、前記砕いた種子と前記抽出液の質量比は、1:1.5~2である。
【0054】
抽出温度を40℃~45℃、時間を30min~45minに制御することは、出願人が繰り返し試験により最適化した最適なプロセス条件であり、該値が大きすぎると、抽出温度が高くなりすぎ、時間が長くなり、抽出系の圧力が高まり、抽出装置に対する製造要件がより高くなり、かつ柑橘種子中の温度に敏感な機能性成分の保存に不利であり、抽出時間を長くしても抽出効率の向上にはほとんど効果がなく、生産時間コスト及びエネルギー消費を増加させる。小さすぎると抽出温度が低くなりすぎ、抽出時間が減少すると抽出効率が低下し、抽出が不完全になり、繰り返し抽出する必要があり、人的資源と物的資源を浪費する。
【0055】
砕いた種子と前記抽出液の質量比を1:1.5~2に制御することは、出願人が繰り返し試験により最適化した最適なプロセス条件であり、該比値の値が大きすぎると、抽出溶媒の使用量が増加し、抽出容器の体積を大きくしても抽出量が変わらず、同時に抽出のエネルギー消費量を増加させ、及び溶媒の回収効率を低下させ、小さすぎると、溶媒が少なくなり、油脂を十分に抽出することができず、抽出が不完全になり、抽出効率を低下させる。
【0056】
具体的には、つぶした柑橘種子をブタン抽出タンクに投入し、一定の温度及び圧力で抽出し、好ましくは、材料と抽出液の割合を1:1.5~2、抽出温度を40~45℃、時間を30~45minとする。抽出が終了すると、タンクの底部からブタン抽出液を排出し、抽出タンク内の柑橘種子残渣を収集して、使用に備える。ブタン抽出液を減圧ガス化して柑橘種子油脂を分離して得ることができ、ガス化ブタンを回収した後に繰り返し使用することができる。
【0057】
S1.3、前記脱脂した砕いた種子を粉末化して篩分けした後、洗浄して洗浄濾液を得る。
【0058】
いくつかの実施例では、粉末化篩分けの篩分け孔径は、40メッシュ~60メッシュであり、前記洗浄温度は、25℃~35℃であり、質量基準で、前記洗浄用の洗浄液は、0.5%重炭酸ナトリウム、0.5%塩化カルシウム、及び残部の水を含む。
【0059】
篩分け孔径を40メッシュ~60メッシュに制御することは、完全に粉砕されていない大粒子を除去し、デンプン抽出効率を向上させるためである。該孔径の値が大きすぎると、粉末化粒子が細かくなり、デンプンの沈殿分離の難度が増加し、小さすぎると、粉末化粒子が大きくなり、デンプンの洗浄溶出に不利であり、デンプンの収量を低下させる。
【0060】
洗浄温度を25℃~35℃に制御することは、出願人が繰り返し試験により最適化した最適なプロセス条件であり、温度が高すぎると、デンプンが糊化され、タンパク質が変性し、かつ感熱性機能性成分の保存に不利であり、小さすぎると、タンパク質の除去が不完全で、デンプンの洗浄効率が高くない。
【0061】
具体的には、脱脂した柑橘種子残渣を粉砕機で粉末化して篩分けし、適量の弱アルカリ水を加えた後に恒温撹拌し、このように複数回洗浄した後、粗濾過して濾液を収集して、使用に備え、好ましくは、篩分け孔径を40~60メッシュとし、弱アルカリ水に0.5%重炭酸ナトリウム及び0.5%塩化カルシウムを添加し、恒温条件を25~35℃とする。
【0062】
S1.4、前記洗浄濾液を沈殿させて、下層沈殿物と上層懸濁液を得る。
【0063】
具体的には、合わせた後の濾液を静置し、下層沈殿物と上層懸濁液をそれぞれ収集して、使用に備える。
【0064】
デンプンを抽出するときの弱アルカリ条件は、タンパク質の溶出を増加させるためであり、このように洗浄によりデンプンを沈殿させ、上層洗浄液には一部のタンパク質と機能性成分を含有する。
【0065】
S1.5、前記下層沈殿物を乾かし、粉砕し及び篩分けして、種子デンプンを得る。
【0066】
いくつかの実施例では、乾かし温度は、≦45℃である。
【0067】
S2、イネを磨砕して、米スラリーを得る。
【0068】
具体的には、米に適量の上層懸濁液を加えて十分に浸漬し、次に繰り返し研磨して細かく滑らかな米スラリーを作り、使用に備える。
【0069】
一部のタンパク質及び機能性成分を含有する上層洗浄液をライススティックに添加してその機能属性を強化する。
【0070】
S3、前記種子デンプンと前記米スラリーを混合して、混合物を得る。
【0071】
具体的には、適量の柑橘種子デンプンを上記米スラリーに緩慢に添加し、十分に均一に撹拌して、混合物を得る。
【0072】
S4、前記混合物を蒸して、クリンカを得る。
【0073】
いくつかの実施例では、蒸し温度は、85℃~95℃である。
【0074】
蒸し温度を85℃~95℃に制御することは、デンプンを十分に加熱して熟成させるのを確保するためであり、該温度の値が大きすぎると、水が沸騰して泡が発生するため、加熱が不均一になり、及び後続の押出温度が高くなりすぎ、ライススティックの粘り現象が発生しやすく、小さすぎると、デンプンの熟成が不十分であり、生煮えで、ライススティックの押出成形ができなくなる。
【0075】
S5、前記クリンカを押出成形した後に乾燥して、ライススティックを得る。
【0076】
具体的には、上記蒸した原料を熱いうちに螺旋押出機に入れ、フィラメント化した後に室温で吊り下げて風乾し、シール包装すればよい。
【0077】
以下、実施例、比較例及び実験データを参照して、本開示のインスタントライススティック及びその作り方法を詳細に説明する。
実施例
【0078】
インスタントライススティックの作り方法であって、以下のステップを含む。
【0079】
新鮮な柑橘種子100gを秤量し、恒温送風乾燥炉に入れて65℃で4時間乾かし、測定した水分含有量を11.8%とし、ローラープレスで2~3回繰り返し圧延した。つぶした柑橘種子をシール抽出装置に投入し、ブタン抽出剤200mlを加え、圧力を0.45mPaに制御し、温度45℃で30min抽出し、終了後にタンクの底部からブタン抽出剤を全て排出し、2~3回繰り返し抽出し、ブタンを減圧回収した後に抽出物である柑橘種子油脂25.81gを合わせて収集し、抽出残渣72.36gを収集した。
【0080】
上記抽出残渣を粉砕機で粉末化して60メッシュの篩で篩分けし、0.5%重炭酸ナトリウム水溶液500mlを加えて35℃恒温水浴で1h撹拌抽出した後に0.5%の割合で塩化カルシウムを加え、撹拌溶解して200メッシュで濾過し、濾過残渣を捨て、濾液を収集して45min静置した後、沈殿層と上澄み液をそれぞれ収集した。沈殿層に浄水を加えて3回洗浄し、洗浄液を捨て、45℃以下の低温で乾かした後に柑橘種子デンプン8.33gを収集し、上澄み液を300メッシュで濾過して濾液380mlを収集して、使用に備えた。
【0081】
新鮮なインディカ米500gを秤量し、上記濾液380mlを加えて3h浸漬した後にコロイドミルで叩解し、2~3回繰り返し研磨した。上記柑橘種子デンプン5gを米スラリーに添加して十分に均一に撹拌し、鍋内に入れて米スラリーの中心温度が95℃になるまで蒸し、5min保温した後に取り出し、熱いうちに予熱温度が95℃に達する螺旋押出機に投入し、押出により直径1~1.2mmのフィラメントを作り、室温で吊り下げて干し、包装・検査合格後に完成品を得た。
実施例
【0082】
インスタントライススティックの作り方法であって、以下のステップを含む。
【0083】
乾燥した柑橘種子1000gを秤量し、乾かし法により測定した水分含有量を6.1%とし、ローラープレスで2~3回繰り返し圧延した。つぶした柑橘種子をシール抽出装置に投入し、ブタン抽出剤1500mlを加え、圧力を0.42mPaに制御し、温度40℃で45min抽出し、終了後にタンクの底部からブタン抽出剤を全て排出し、2~3回繰り返し抽出し、ブタンを減圧回収した後に抽出物である柑橘種子油脂380gを合わせて収集し、抽出残渣606gを収集した。
【0084】
上記抽出残渣を粉砕機で粉末化して60メッシュの篩で篩分けし、0.5%重炭酸ナトリウム水溶液3000mlを加えて25℃恒温条件で1.5h撹拌抽出した後に0.5%の割合で塩化カルシウムを加え、撹拌溶解した後に180メッシュで濾過し、濾過残渣を捨て、濾液を収集して1h静置し、明らかに分離した後に沈殿層と上澄み液をそれぞれ収集した。沈殿層に浄水を加えて5回洗浄し、洗浄液を捨て、45℃以下の低温で乾かした後に柑橘種子デンプン79gを収集し、上澄み液を300メッシュで濾過して濾液1900mlを収集して、使用に備えた。
【0085】
新鮮な早稲2500gを秤量し、上記濾液1900mlを加えて3h浸漬した後にコロイドミルで叩解し、2~3回繰り返し研磨した。上記柑橘種子デンプン37.5gを米スラリーに添加して十分に均一に撹拌し、鍋内に入れて米スラリーの中心温度が90℃になるまで蒸し、10min保温した後に取り出し、熱いうちに予熱温度が90℃に達する螺旋押出機に投入し、押出により直径1~1.5mmのフィラメントを作り、室温で吊り下げて干し、包装・検査合格後に完成品を得た。
【0086】
比較例1
【0087】
新鮮な早稲1000gを秤量し、水750mlを加えて3h浸漬した後にコロイドミルで叩解し、2~3回繰り返し研磨し、鍋内に入れて二重ガーゼを敷いて米スラリーの中心温度が85℃になるまで蒸し、5min保温した後に取り出し、熱いうちに予熱温度が85℃に達する螺旋押出機に投入し、押出により直径1~1.5mmのフィラメントを作り、室温で吊り下げて干し、包装・検査合格後に完成品を得た。
【0088】
比較例2
【0089】
1年貯蔵の早稲1000gを秤量し、水800mlを加えて3h浸漬した後にコロイドミルで叩解し、2~3回繰り返し研磨し、鍋内に入れて二重ガーゼを敷いて米スラリーの中心温度が90℃になるまで蒸し、8min保温した後に取り出し、熱いうちに予熱温度が90℃に達する螺旋押出機に投入し、押出により直径1~1.5mmのフィラメントを作り、室温で吊り下げて干し、包装・検査合格後に完成品を得た。
【0090】
比較例3
【0091】
3年貯蔵の早稲1000gを秤量し、上記濾液800mlを加えて3h浸漬した後にコロイドミルで叩解し、2~3回繰り返し研磨し、鍋内に入れて二重ガーゼを敷いて米スラリーの中心温度が95℃になるまで蒸し、6min保温した後に取り出し、熱いうちに予熱温度が95℃に達する螺旋押出機に投入し、押出により直径1~1.5mmのフィラメントを作り、室温で吊り下げて干し、包装・検査合格後に完成品を得た。
【0092】
実験例
【0093】
実施例1~2及び比較例1~3で作られたライススティックを検出し、結果は、以下の表に示される。
【0094】
【0095】
上記表から分かるように、本開示が提供する方法で作られたライススティックは、粘度が適切で、成形しやすく、かつ浸した後に切れやすく、糊化しやすく、芯があり、歯ごたえがない等の製品欠陥が存在せず、比較例と実施例とを比較して分かるように、新鮮な米で作られたライススティックには、粘度が大きくて成形しにくく、老化しやすくて煮込みしにくい等の欠陥が存在し、あるパラメータが本開示の範囲内にない場合に、作られたライススティックの粘りが発生し、太さが不均一である等の状況が発生し、かつ浸した後に切れ、芯等の状況が発生した。
【0096】
本発明の実施例における1つ又は複数の技術的解決手段は、少なくとも以下の技術的効果又は利点をさらに有する。
【0097】
(1)本発明の実施例が提供する方法は、新鮮な米でインスタントライススティックを加工するときの技術的欠陥を改善し、同時にライススティックの栄養と健康機能を考慮し、種子副産物の利用価値を高める。
【0098】
(2)本発明の実施例が提供する方法は、種子デンプンを利用して新鮮な米中のアミロペクチンの割合を調整し、食感特性を変え、作られたライススティックの粘度を低下させ、ライススティックの口当たりを改善し、伝統的なライススティックを浸して食べることができないという欠陥を解消し、同時に新米の栄養を保持し、化学添加を防止する。さらに、伝統的なプロセスの古米への依存と使用を回避するため、古米の不適切な貯蔵によるアフラトキシン等の原料汚染のリスクを防止する。
【0099】
(3)本発明の実施例が提供する方法の種子機能性抽出物は、製造過程が簡単でかつ化学的汚染がなく、脱脂用ブタンは、『GB 1886.55~2015食品安全国家標準』における食品添加物の許可範囲に属し、効率的に揮発し残留がない等の特性を有する。抽出液にはリモノイド化合物及びフラボノイド化合物等の活性成分が含有されることで、ライススティックの健康上の利点を強化し、ライススティックの風味レベルを豊かにし、製品の付加価値を高める。
【0100】
(4)本発明の実施例が提供する方法における種子デンプン及び機能性成分の応用は、種子資源の高価値化総合利用に寄与し、同時に分離された種子油脂は、食品、医療美容等の幅広い応用将来性をさらに有し、果実加工副産物の経済的利益を向上させ、種子中の天然活性成分の浪費を減少させる。
【0101】
最後に、さらに説明する必要があるように、用語「含む」、「備える」又はその任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図し、それにより、一連の要素を含む過程、方法、物品又は機器は、それらの要素を含むだけでなく、明示的にリストされていない他の要素をさらに含むか、又はこのような過程、方法、物品又は機器に固有の要素をさらに含む。
【0102】
本発明の好ましい実施例を説明したが、当業者は、基本的な創造的概念を把握する場合に、これらの実施例に対して別の変更及び修正を行うことができる。従って、添付の特許請求の範囲は、好ましい実施例及び本発明の範囲にある全ての変更及び修正を含むものとして解釈されることを意図している。
【0103】
明らかに、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な変更及び変形を行うことができる。このように、本発明のこれらの変更及び変形が本発明の特許請求の範囲及びその同等の技術の範囲内に属する場合に、本発明は、これらの変更及び変形を含むことも意図する。
図1
【国際調査報告】