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特表2024-545931LSD誘導体、合成、並びに疾患及び障害の治療のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-13
(54)【発明の名称】LSD誘導体、合成、並びに疾患及び障害の治療のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 457/06 20060101AFI20241206BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241206BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20241206BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20241206BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241206BHJP
   C07D 519/00 20060101ALN20241206BHJP
   C07D 457/04 20060101ALN20241206BHJP
【FI】
C07D457/06
A61K9/14
A61K9/20
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/00
A61P25/30
A61P25/06
A61P25/04
A61P25/28
A61P31/12
A61P25/32
A61P25/34
A61P25/36
A61P21/00
A61P25/14
A61P25/02
A61P25/16
A61P15/00
A61P15/10
A61K31/437
A61P43/00 111
C07D519/00 301
C07D457/04 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541116
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 CA2022051396
(87)【国際公開番号】W WO2023039682
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/246,290
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/341,388
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】324008010
【氏名又は名称】ビーライフ セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】フーシュマンド シェシュバラダラン
(72)【発明者】
【氏名】スコット ラッジ
(72)【発明者】
【氏名】アブディ ガファリ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ソーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ペタル ダスパラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076AA36
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC17
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA43
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA18
4C086ZA22
4C086ZA81
4C086ZA94
4C086ZB33
4C086ZC01
4C086ZC39
4C086ZC41
(57)【要約】
LSD誘導体化合物及びその多形、それらの合成のための方法、組成物、並びに疾患及び障害の治療が、本明細書に記載される。該化合物は、式Iの構造を有し、医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せを含む;
【化1】
(式中:R1~R14はそれぞれ独立に、H又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択され、かつXは、ハロ基から選択される)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中:R1~R14はそれぞれ独立に、H又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択され、かつXは、ハロ基から選択される)
の構造を有する化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せ。
【請求項2】
結晶性である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
単離された結晶形態である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
その多形(複数)を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
その単一の多形を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
その単離された多形を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の化合物であって:
(i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;
(ii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含み;
(iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含み;
(iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含み;
v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有し;
vi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有し;かつ
vii)(i)~(vi)のいずれか1つ以上である、
前記化合物。
【請求項8】
立体中心5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sを有する、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項9】
立体中心5S,8R;5R,8R;又は5R,8Sを有する、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
5R,8S又は5R,8Rから選択される立体中心を有する、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項1~10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
酸性塩である、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R1~R14がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される、請求項1~15のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
R1~R14がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
R1~R14がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
R1~R14がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択され;R3、R4、及びR6~R14がそれぞれ、Hであり、かつR5が、メチル基である、請求項1~19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択され;R3、R4、及びR6~R14がそれぞれ、Hであり;かつR5が、メチル基である、請求項1~20のいずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
R1及びR2がそれぞれ、エチル基であり;R3、R4、及びR6~R14がそれぞれ、Hであり;かつR5が、メチル基である、請求項1~21のいずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
Xが、ブロモ、クロロ、フルオロ、又はヨードから選択される、請求項1~22のいずれか1項記載の化合物。
【請求項24】
Xが、ブロモ、クロロ、又はフルオロから選択される、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
Xが、ブロモ又はクロロから選択される、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
Xが、ブロモである、請求項23記載の化合物。
【請求項27】
式I':
【化2】
(式中:R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される)
の構造を有する、請求項1記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せ。
【請求項28】
結晶性である、請求項27記載の化合物。
【請求項29】
単離された結晶形態である、請求項27又は28記載の化合物。
【請求項30】
その多形(複数)を含む、請求項27~29のいずれか1項記載の化合物。
【請求項31】
その単一の多形を含む、請求項27~30のいずれか1項記載の化合物。
【請求項32】
その単離された多形を含む、請求項27~31のいずれか1項記載の化合物。
【請求項33】
請求項27~32のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
【請求項34】
5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから選択される立体中心を有する、請求項27又は28記載の化合物。
【請求項35】
5S,8R;5R,8R;又は5R,8Sから選択される立体中心を有する、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
5R,8S又は5R,8Rから選択される立体中心を有する、請求項35記載の化合物。
【請求項37】
その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項27~36のいずれか1項記載の化合物。
【請求項38】
酸性塩である、請求項27~37のいずれか1項記載の化合物。
【請求項39】
前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項38記載の化合物。
【請求項40】
前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項39記載の化合物。
【請求項41】
前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項40記載の化合物。
【請求項42】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される、請求項27~41のいずれか1項記載の化合物。
【請求項43】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される、請求項42記載の化合物。
【請求項44】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される、請求項43記載の化合物。
【請求項45】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される、請求項44記載の化合物。
【請求項46】
R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される、請求項45記載の化合物。
【請求項47】
R1及びR2がそれぞれ、エチル基である、請求項46記載の化合物。
【請求項48】
以下:
【化3】
(式中:R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される)
から選択される式I'の構造を有する、請求項27記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せ。
【請求項49】
結晶性である、請求項48記載の化合物。
【請求項50】
単離された結晶形態である、請求項48又は49記載の化合物。
【請求項51】
その多形(複数)を含む、請求項48~50のいずれか1項記載の化合物。
【請求項52】
その単一の多形を含む、請求項48~51のいずれか1項記載の化合物。
【請求項53】
その単離された多形を含む、請求項48~52のいずれか1項記載の化合物。
【請求項54】
請求項48~53のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
【請求項55】
式I'が、式Ia;式Ib;又は式Idから選択される、請求項48又は49記載の化合物。
【請求項56】
式I'が、式Ib又は式Idである、請求項55記載の化合物。
【請求項57】
その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項48~56のいずれか1項記載の化合物。
【請求項58】
酸性塩である、請求項48~57のいずれか1項記載の化合物。
【請求項59】
前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項58記載の化合物。
【請求項60】
前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項59記載の化合物。
【請求項61】
前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項60記載の化合物。
【請求項62】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される、請求項48~61のいずれか1項記載の化合物。
【請求項63】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される、請求項62記載の化合物。
【請求項64】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される、請求項63記載の化合物。
【請求項65】
R1及びR2がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される、請求項64記載の化合物。
【請求項66】
R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される、請求項65記載の化合物。
【請求項67】
R1及びR2がそれぞれ、エチル基である、請求項66記載の化合物。
【請求項68】
以下:
【化4】
から選択される式I'の構造を有する、請求項27記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、多形、又はそれらの組合せ。
【請求項69】
結晶性である、請求項68記載の化合物。
【請求項70】
単離された結晶形態である、請求項68又は69記載の化合物。
【請求項71】
その多形(複数)を含む、請求項68~70のいずれか1項記載の化合物。
【請求項72】
その単一の多形を含む、請求項68~71のいずれか1項記載の化合物。
【請求項73】
その単離された多形を含む、請求項68~72のいずれか1項記載の化合物。
【請求項74】
請求項68~73のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
【請求項75】
式I'が、式Ia';式Ib';又は式Id'から選択される、請求項73又は74記載の化合物。
【請求項76】
式I'が、式Ib'又は式Id'である、請求項75記載の化合物。
【請求項77】
その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項68~76のいずれか1項記載の化合物。
【請求項78】
酸性塩である、請求項68~77のいずれか1項記載の化合物。
【請求項79】
前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項78記載の化合物。
【請求項80】
前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項79記載の化合物。
【請求項81】
前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項80記載の化合物。
【請求項82】
以下:
【化5】
又はそれらの組合せから選択される式I'の構造を有する、請求項27記載の化合物。
【請求項83】
結晶性である、請求項82記載の化合物。
【請求項84】
単離された結晶形態である、請求項82又は83記載の化合物。
【請求項85】
その多形(複数)を含む、請求項82~84のいずれか1項記載の化合物。
【請求項86】
その単離された多形を含む、請求項82~85のいずれか1項記載の化合物。
【請求項87】
請求項82~86のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
【請求項88】
式I'が、式Ia'';式Ib'';又は式Id''から選択される、請求項82又は83記載の化合物。
【請求項89】
式I'が、式Ib'又は式Id'である、請求項88記載の化合物。
【請求項90】
その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項82~89のいずれか1項記載の化合物。
【請求項91】
酸性塩である、請求項82~90のいずれか1項記載の化合物。
【請求項92】
前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項91記載の化合物。
【請求項93】
前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項92記載の化合物。
【請求項94】
前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項93記載の化合物。
【請求項95】
以下:
【化6】
又はそれらの組合せから選択される、請求項1~94のいずれか1項記載の化合物。
【請求項96】
結晶性である、請求項95記載の化合物。
【請求項97】
単離された結晶形態である、請求項95又は96記載の化合物。
【請求項98】
その多形(複数)を含む、請求項95~97のいずれか1項記載の化合物。
【請求項99】
その単一の多形を含む、請求項95~98のいずれか1項記載の化合物。
【請求項100】
その単離された多形を含む、請求項95~99のいずれか1項記載の化合物。
【請求項101】
請求項95~100のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
【請求項102】
請求項95~101のいずれか1項記載の化合物であって、該化合物が、2-ブロモLSD酒石酸塩(約1:約0.5)及び/又は(約1:約1)を含み、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
【請求項103】
前記式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id'の化合物の前記酸に対する比が、約0.5:1~約2:1である、請求項1~102のいずれか1項記載の化合物。
【請求項104】
(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩である、請求項1~103のいずれか1項記載の化合物。
【請求項105】
(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の単離された多形である、請求項1~104のいずれか1項記載の化合物。
【請求項106】
約10.3°(2θ)にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項107】
約4.7°(2θ)、約9.4°(2θ)、及び約10.3°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項108】
約4.7°(2θ)、約9.4°(2θ)、約10.3°(2θ)、及び約20.1°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項109】
約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åのピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項110】
約4.7°(2θ)にd値が約18.8Åの、約9.4°(2θ)にd値が約9.4Åの、及び約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åのピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項111】
約4.7°(2θ)にd値が約18.8Åの、約9.4°(2θ)にd値が約9.4Åの、約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åの、及び約20.1°(2θ)にd値が約4.4Åのピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項112】
10.3°±0.2°(2θ)にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項113】
4.7°±0.2°(2θ)、9.4°±0.2°(2θ)、及び10.3°±0.2°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項114】
4.7°±0.2°(2θ)、9.4°±0.2°(2θ)、10.3°±0.2°(2θ)、及び20.1°±0.2°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項115】
旋光度が、約0.30°~約0.40°;任意に、約0.30°~約0.35°である、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
【請求項116】
前記化合物又はその多形が、非幻覚誘発性である、請求項1~115のいずれか1項記載の化合物。
【請求項117】
前記化合物又はその多形が、実質的に非幻覚誘発性である、請求項1~116のいずれか1項記載の化合物。
【請求項118】
対象において耐性を誘導しない、請求項1~117のいずれか1項記載の化合物。
【請求項119】
5-HT1受容体サブタイプの全てにわたる中程度から強力なパンアゴニストである、請求項1~118のいずれか1項記載の化合物。
【請求項120】
強力な5-HT6受容体部分アゴニストである、請求項1~119のいずれか1項記載の化合物。
【請求項121】
5-HT2A及び5-HT1A受容体サブタイプでの部分アゴニストである、請求項1~120のいずれか1項記載の化合物。
【請求項122】
D2及びD4を含むD2様受容体で受容体活性化作用を示す、請求項1~121のいずれか1項記載の化合物。
【請求項123】
ニューロンにおける、例えば、皮質ニューロンにおける神経可塑性を向上させる、請求項122のいずれか1項記載の化合物。
【請求項124】
請求項1~123のいずれか1項記載の化合物を含む組成物。
【請求項125】
医薬として許容し得る担体、アジュバント、又はビヒクルをさらに含む、請求項124記載の組成物。
【請求項126】
第2の治療用薬剤をさらに含む、請求項124又は125記載の組成物。
【請求項127】
医薬組成物である、請求項124~126のいずれか1項記載の組成物。
【請求項128】
請求項124~126のいずれか1項記載の組成物及び/又は請求項127記載の医薬組成物を含む製剤。
【請求項129】
液体又は固体である、請求項128記載の製剤であって、任意に、該固体が、散剤、錠剤、又は丸剤である、前記製剤。
【請求項130】
確立された量の前記化合物を含み、任意に、経口又は非経口投与用である、請求項128又は129記載の製剤。
【請求項131】
前記形成が:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;神経学的-ウイルス感染症;他の薬物の副作用に対抗すること;並びに全般的なウェルビーイングのうちの1つ以上の治療のための医薬品を作製するためのものである、請求項128~130のいずれか1項記載の製剤。
【請求項132】
前記形成が:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;神経学的-ウイルス感染症;他の薬物の副作用に対抗すること;並びに全般的なウェルビーイングのうちの1つ以上の治療のためのものである、請求項128~130のいずれか1項記載の製剤。
【請求項133】
前記形成が、以下:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;並びに神経学的-ウイルス感染症のうちのいずれか1つ以上の1つ以上の徴候又は症状を減少させるためのものである、請求項128~130のいずれか1項記載の製剤。
【請求項134】
a)式IAの化合物を加水分解して、式IBの中間体を生成させること
【化7】
b)該式IBの中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICの化合物を生成させること
【化8】
c)有機又は無機酸を用いて式ICの化合物を塩又は水和物に変換することを含み、
Rが、-OR1又は-NR1R2から選択され、R1及びR2がそれぞれ独立に、H、ハロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換又は非置換の炭化水素基、置換又は非置換の混成基、置換又は非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換のヘテロ環式基、置換もしくは非置換の芳香族、又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択され、任意に、R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の混成基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換のヘテロ環式基、置換もしくは非置換の芳香族、又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択される、請求項1~76のいずれか1項記載の化合物を作製する方法。
【請求項135】
前記作製する方法が、基質としてのLSD及び/又は他のスケジュールI物質を使用しない、請求項134記載の方法。
【請求項136】
前記加水分解が、酸又は塩基加水分解であり、任意に、該酸が、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸から選択され、又は該塩基が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び/又は水酸化テトラブチルアンモニウムから選択される、請求項134又は135記載の方法。
【請求項137】
水混和性溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THF、又はそれらの組合せを用いることをさらに含む、請求項134、135、又は136記載の方法。
【請求項138】
a)、b)、及び/又はc)で約50℃から約95℃に加熱することを含む、請求項134~137のいずれか1項記載の方法。
【請求項139】
b)が、前記カルボン酸の前記ヒドロキシル基を、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、又はペルフルオロアルキルスルホネートなどのより良好な脱離基(LG)に変換すること、任意に、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて酸クロライドに変換することをさらに含む、請求項134~137のいずれか1項記載の方法。
【請求項140】
b)が、塩基で触媒されるアミド結合形成(任意に、塩基及びカップリング剤を使用)をさらに含む、請求項134~139のいずれか1項記載の方法。
【請求項141】
前記カップリング剤が、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される、請求項140記載の方法。
【請求項142】
前記カップリング剤が、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス215ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される、請求項141記載の方法。
【請求項143】
b)が、塩基で触媒されるアミド結合形成(任意に、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)を使用)をさらに含む、請求項134~142のいずれか1項記載の方法。
【請求項144】
a)及び/又はb)において、前記式IB及び式ICの中間体の酸性度が、沈殿を生じるように調整された;任意に、酸でpHを約6から約8に調整すること、請求項134~143のいずれか1項記載の方法。
【請求項145】
c)において、(b)と共にインサイチュで又は別の独立した工程で有機又は無機酸を用いて式ICの化合物をその塩又は水和物に変換すること、請求項134~144のいずれか1項記載の方法。
【請求項146】
前記酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項145記載の方法。
【請求項147】
c)が、前記式ICの化合物を、水と非混和性の溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど、又はそれらの組合せ中で前記有機又は無機酸と加熱することを含む、請求項134~146のいずれか1項記載の方法。
【請求項148】
c)が、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の温度で加熱することを含む、請求項134~147のいずれか1項記載の方法。
【請求項149】
前記水混和性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せから選択され;任意に、該水混和性溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せ;任意に、エタノール又はイソプロピルアルコール(IPA)から選択される、請求項134~148のいずれか1項記載の方法。
【請求項150】
前記式ICの化合物を前記有機又は無機酸と加熱することが、約30分~約1時間加熱される、請求項134~149のいずれか1項記載の方法。
【請求項151】
前記化合物を、溶液中で約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却すること、請求項134~150のいずれか1項記載の方法。
【請求項152】
前記式ICの化合物の塩又は水和物が再結晶されて、結晶性化合物を生じる、請求項134~151のいずれか1項記載の方法。
【請求項153】
前記式ICの化合物の塩又は水和物が、単離された結晶形態である、請求項152記載の方法。
【請求項154】
前記式ICの化合物の塩又は水和物が、その多形(複数)を含む、請求項153記載の方法。
【請求項155】
前記式ICの化合物の塩又は水和物が、その単一の多形を含む、請求項154記載の方法。
【請求項156】
前記式ICの化合物の塩又は水和物が、その単離された多形を含む、請求項155記載の方法。
【請求項157】
前記式ICの化合物の塩又は水和物が、水混和性溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど、又はそれらの組合せを用いて再結晶される、請求項134~156のいずれか1項記載の方法。
【請求項158】
前記水混和性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せから選択され;任意に、該水混和性溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せ;任意に、エタノール又はイソプロピルアルコール(IPA)から選択される、請求項157記載の方法。
【請求項159】
再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を前記溶媒中で適当な温度まで適当な期間加熱すること、及び冷却して請求項27~123のいずれか1項記載の化合物を生じさせることを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
【請求項160】
再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で加熱することを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
【請求項161】
再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で約1時間~約2時間加熱することを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
【請求項162】
再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で約1時間~約2時間加熱すること、及び該化合物を、溶液中で約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、任意に、約1時間~約2時間冷却することを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
【請求項163】
前記再結晶された化合物が、約99%~約99.9%の純度、任意に、約99.5%~約99.9%の純度である、請求項134~162のいずれか1項記載の方法。
【請求項164】
a)式IAAの化合物(5S,8R)を加水分解して、式IBBの中間体を生成させること
【化9】
b)該式IBBの中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICCを生成させること
【化10】
c)有機又は無機酸を用いて式ICCの化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
【請求項165】
a)式IAA'の化合物(5R,8R)を加水分解して、式IBB'の中間体を生成させること
【化11】
b)該式IBB'の中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICC'を生成させること
【化12】
c)有機又は無機酸を用いて式ICC'の化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
【請求項166】
a)式IAA''の化合物)(5R,8S)を加水分解して、式IBB''の中間体を生成させること
【化13】
b)該式IBB''の中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICC''を生成させること
【化14】
c)有機又は無機酸を用いて式ICC''の化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
【請求項167】
a)式IAA'''の化合物(5S,8S)を加水分解して、式IBB'''の中間体を生成させること
【化15】
b)該式IBB'''の中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICC'''を生成させること
【化16】
c)有機又は無機酸を用いて式ICC'''の化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
【請求項168】
前記式IA、式IAA、式IAA'、式IAA''、又は式IAA'''の化合物が、ブロモクリプチンメシラートなどの含臭素エルゴリン誘導体である、請求項134~167のいずれか1項記載の方法。
【請求項169】
前記式IA、式IAA、式IAA'、式IAA''、又は式IAA'''の化合物が、
【化17】
である、請求項134~167のいずれか1項記載の方法。
【請求項170】
2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAを加熱すること、
D-酒石酸及びIPAを2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAと合わせることであって、該合わせた溶液が、クリアになる、前記合わせること、
該合わせた溶液を所定の時間加熱すること、
該混合物をほぼ室温まで放冷すること、
さらに冷却して、多量の(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩及び少量の(5R,8S) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を含む固体を提供すること
を含む、請求項134~169のいずれか1項記載の方法。
【請求項171】
2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAを約65℃に加熱すること、
D-酒石酸及びIPAを2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAと合わせることであって、該合わせた溶液が、クリアになる、前記合わせること、
該合わせた溶液を約65℃に所定の時間加熱すること、
該混合物をほぼ室温まで放冷すること、
約5℃まで冷却して、多量の(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩及び少量の(5R,8S) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を含む固体を提供することを含む、請求項134~170のいずれか1項記載の方法。
【請求項172】
前記所定の時間が、約30分である、請求項171記載の方法。
【請求項173】
(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の(5R,8S) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩に対する比が、約約87対約13である、請求項134~172のいずれか1項記載の方法。
【請求項174】
前記固体を、再結晶して、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を得る(任意に、エタノールを用いる)、請求項134~172のいずれか1項記載の方法。
【請求項175】
前記固体を、再結晶して、約99%~約99.9%の純度、任意に、約99.5%~約99.9%の純度を有する(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を得る、請求項134~172のいずれか1項記載の方法。
【請求項176】
前記固体が、多形である、請求項134~135のいずれか1項記載の方法。
【請求項177】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、うつ病性障害を治療するための方法。
【請求項178】
前記うつ病性障害が:うつ状態、大うつ病性障害(大鬱病エピソードを含む)、重篤気分調節症、非定型うつ病、精神病性大うつ病、緊張病性うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害、季節性感情障害、物質/薬物誘発性うつ病性障害、二重うつ病、抑うつ性パーソナリティ障害、持続性うつ病性障害(気分変調症)、反復性短期うつ病、小うつ病性障害、医学的状態が原因のうつ病性障害、特定不能のうつ病性障害、又は治療に抵抗性のうつ病性障害である、請求項177記載の方法。
【請求項179】
前記うつ病性障害が、大うつ病性障害である、請求項177又は178記載の方法。
【請求項180】
前記大うつ病性障害が、気分変調症である、請求項179記載の方法。
【請求項181】
前記うつ病性障害が、非定型うつ病である、請求項178記載の方法。
【請求項182】
前記うつ病性障害が、緊張病性うつ病である、請求項178記載の方法。
【請求項183】
前記うつ病性障害が、医学的状態を原因とする、請求項178記載の方法。
【請求項184】
前記うつ病性障害が、産後うつ病である、請求項177記載の方法。
【請求項185】
前記うつ病性障害が、月経前不快気分障害である、請求項177記載の方法。
【請求項186】
前記うつ病性障害が、季節性感情障害である、請求項177記載の方法。
【請求項187】
前記対象への投与のための前記化合物の量が、約25~500μg/kg/体重/日;又は約50~約2000μg/kg/体重/日;又は約10~約500μg/kg/体重/日から選択される範囲である、請求項177~186のいずれか1項記載の方法。
【請求項199】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む。双極性障害及び関連障害を治療するための方法。
【請求項200】
前記双極性障害及び関連障害が、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質/薬物誘発性双極性障害及び関連障害、並びに特定不能の双極性障害である、請求項199記載の方法。
【請求項201】
前記対象への投与のための前記化合物の量が、約25~約1000μg/kg/体重/日から選択される範囲である、請求項200記載の方法。
【請求項202】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害を治療するための方法。
【請求項203】
前記統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害が:妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質/薬物誘発性精神病性障害、統合失調型(パーソナリティ)障害、別の医学的状態が原因の精神病性障害、別の精神障害に伴う緊張病、及び他の特定される又は特定不能の統合失調症スペクトラム、並びに他の精神障害(psychotric disorder)である、請求項202記載の方法。
【請求項204】
前記対象への投与のための前記化合物の量が、約50~約2000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項203記載の方法。
【請求項205】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、DSM-5によって分類されるパーソナリティ障害を治療するための方法。
【請求項206】
前記パーソナリティ障害が:妄想性パーソナリティ障害;シゾイドパーソナリティ障害;統合失調型パーソナリティ障害;反社会性パーソナリティ障害;境界性パーソナリティ障害;演技性パーソナリティ障害;自己愛性パーソナリティ障害;回避性パーソナリティ障害;依存性パーソナリティ障害;強迫性パーソナリティ障害;別の医学的状態が原因の人格変化;他の特定されるパーソナリティ障害及び特定不能のパーソナリティ障害である、請求項205記載の方法。
【請求項207】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、不安症を治療するための方法。
【請求項208】
前記不安症が:全般性不安障害、分離不安障害、パニック障害、場面緘黙症、特定恐怖症(動物、自然環境、血液/注射/外傷に対する恐れ、状況的、その他)、社会不安障害、パニック障害、パニック発作特定用語、広場恐怖症、物質/薬物誘発性不安症、他の医学的状態が原因の不安症、及び他の特定される又は特定不能の不安症である、請求項207記載の方法。
【請求項209】
前記対象への投与のための前記化合物の量が、約10~約1000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項208記載の方法。
【請求項210】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、心的外傷及びストレス因関連障害を治療するための方法。
【請求項211】
前記心的外傷及びストレス因関連障害が、アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、適応障害、他の特定される又は特定不能の心的外傷及びストレス因関連障害を含む、請求項210記載の方法。
【請求項212】
前記対象への投与のための前記化合物の量が、約10~約1000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項211記載の方法。
【請求項213】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、強迫性障害及び関連障害障害を治療するための方法。
【請求項214】
前記強迫性障害及び関連障害が:強迫性障害(OCD)、身体醜形障害、ためこみ症、抜毛症(抜毛傷害)、皮膚むしり症、物質/薬物誘発性強迫性障害及び関連障害、別の医学的状態が原因の強迫性障害及び関連障害、並びに他の特定される及び特定不能の強迫性障害及び関連障害(例えば、身体集中反復行動症、強迫的な嫉妬)を含む、請求項213記載の方法。
【請求項215】
前記対象への投与のための前記化合物の量が、約10~約1000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項214記載の方法。
【請求項216】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、秩序破壊的・衝動制御・素行症群を治療するための方法。
【請求項217】
前記秩序破壊的・衝動制御・素行症群が:反抗挑戦性障害、間欠性爆発性障害、素行障害、反社会性パーソナリティ障害、放火症、窃盗症、抜毛症、並びに他の特定される及び特定不能の秩序破壊的・衝動制御・素行症群を含む、請求項216記載の方法。
【請求項218】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、食行動障害及び摂食障害を治療するための方法。
【請求項219】
前記食行動障害及び摂食障害が:異食症、反芻性障害、回避・制限性食物摂取障害、神経性食欲不振症、過食性障害、神経性過食症、過食症又は大食症、糖尿病性過食症、プラダー・ウィリー症候群、及び視床下部性肥満、身体醜形障害(body dismorphic disorder)、並びに他の特定される及び特定不能の食行動障害又は摂食障害を含む、請求項218記載の方法。
【請求項220】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、解離性障害を治療するための方法。
【請求項221】
前記解離性障害が、解離性同一性障害、解離性健忘、離人感・現実感消失障害、並びに他の特定される及び特定不能の解離性障害を含む、請求項220記載の方法。
【請求項222】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経発達障害を治療するための方法。
【請求項223】
前記神経発達障害が:知的障害(知的発達障害)、全般的発達遅延、コミュニケーション(言語、語音、小児期発症流暢又は吃音、社会的、非特定型)障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害、運動障害(発達性協調運動、常同運動、トゥレット障害、持続性/慢性運動または音声チック障害、暫定的チック障害)、及び他の特定される又は特定不能の神経発達障害を含む、請求項222記載の方法。
【請求項224】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、障害を治療するための方法であって、該障害が:発作(全般発作、焦点発作、起始不明発作、及び焦点起始両側発作を含む)並びにてんかん(全般てんかん、焦点性てんかん、全般及び焦点性てんかん、ドラベ症候群、及び起始不明てんかんを含む)を含む、前記方法。
【請求項225】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、睡眠覚醒障害を治療するための方法。
【請求項226】
前記睡眠覚醒障害が:不眠障害、過眠障害、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸・低呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、特発性中枢性睡眠時無呼吸、睡眠関連低換気)、概日リズム睡眠覚醒障害、ノンレム(NREM)睡眠覚醒障害、悪夢障害、レム(REM)睡眠行動障害、下肢静止不能症候群、物質/薬物誘発性睡眠障害、並びに他の特定される及び特定不能の睡眠覚醒障害を含む、請求項225記載の方法。
【請求項227】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、物質関連障害(SRD)及び嗜癖性障害を治療するための方法。
【請求項226】
前記物質関連障害(SRD)及び嗜癖性障害が、これらに限定されないが、以下のクラスの薬物:アルコール、ニコチン、大麻、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬、刺激物質(アンフェタミン型物質、コカイン、及び他の刺激物質)、及び医薬品、並びに他の特定される又は特定不能の物質誘発性障害を含む、請求項227記載の方法。
【請求項227】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、非物質関連障害を治療するための方法。
【請求項228】
前記非物質関連障害が、ギャンブル障害である、請求項227記載の方法。
【請求項229】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、頭痛障害を治療するための方法。
【請求項230】
前記頭痛障害が、国際頭痛学会(IHS)の頭痛分類委員会において分類され、以下:片頭痛を含む一次性頭痛(前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛、及び慢性片頭痛を含む)、緊張型頭痛(稀発反復性、頻発反復性、及び慢性緊張型頭痛を含む)、三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、及び持続性片側頭痛を含む)、並びに他の一次性頭痛障害を含む、請求項229記載の方法。
【請求項231】
前記頭痛障害が、群発頭痛(家族性群発頭痛、ヒスタミン性頭痛、又は血管原性顔面痛)、反復性群発頭痛、再発性又は慢性群発頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA)、結膜充血及び流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)、及び頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作などの三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)である、請求項229記載の方法。
【請求項232】
前記頭痛障害が、頭部及び/又は頸部への外傷又は傷害による頭痛、頭部及び/又は頸部血管障害による頭痛、非血管性頭蓋内障害による頭痛、物質又はその離脱による頭痛、感染症による頭痛、ホメオスタシスの障害による頭痛、頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口、又は他の顔面もしくは頸部の構造の障害による頭痛又は顔面痛、精神障害による頭痛、並びに三叉神経の病変又は疾患による疼痛を含む脳神経の有痛性病変及びその他の顔面痛の頭痛カテゴリーなどの二次性頭痛である、請求項229記載の方法。
【請求項233】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疼痛を治療するための方法。
【請求項234】
前記疼痛が、炎症(例えば、関節リウマチ、ループス、ベーチェット病)、遺伝要因(例えば、肢端紅痛症)、糖尿病、がん、及び化学療法などのがん治療におけるものなどの疼痛に繋がる神経損傷を引き起こす状態を含む神経障害因子、多発性硬化症(MS)などの神経学的状態、パーキンソン病などの神経変性状態、脳卒中、帯状疱疹、HIV、ハンセン病、ギラン・バレー症候群、血管疾患、血管形成異常、及び自己免疫性状態、末梢性ニューロパチー、自律神経性ニューロパチー、局所ニューロパチー、近位ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、及び圧迫性単ニューロパチーを含む全てのニューロパチー、幻肢痛、残肢痛、及び複合性局所疼痛症候群(CRPS)、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛、神経根痛、神経根炎及び胸部又は腰部の神経根症を含む全ての神経根症、侵害受容性疼痛(例えば、外傷誘発性疼痛、がん性疼痛)、身体化の高有病率又は痛覚変調性疼痛(例えば、慢性広範性疼痛、線維筋痛症、慢性側頭下顎関節障害、原因不明の慢性腰痛、過敏性腸症候群、慢性一次性膀胱痛症候群、慢性一次性骨盤痛症候群)、並びに病因のいかんを問わない慢性疼痛のさまざまな他の形態(例えば、慢性腰痛)などの状態によって引き起こされる、請求項233記載の方法。
【請求項235】
前記疼痛が:慢性一次性疼痛(線維筋痛症、慢性骨盤痛、非特異的背部痛、及び他に特定されない慢性一次性疼痛など);慢性がん性疼痛(がん及び転移が原因の疼痛、化学療法誘発性疼痛、放射線療法が原因の疼痛、がんの外科的処置が原因の疼痛、及びがんに関連する他の慢性疼痛など);慢性の術後及び外傷後疼痛(全ての術後及び外傷後疼痛、及び他に特定されない術後/外傷後疼痛を含む);慢性神経障害性疼痛(末梢神経障害性疼痛、中枢神経障害性疼痛、及び他の神経障害性疼痛、及び他に特定されない神経障害性疼痛を含む);慢性頭痛及び口腔顔面痛(慢性一次性頭痛、慢性二次性頭痛、慢性口腔顔面痛、及び他に特定されない頭痛及び口腔顔面痛を含む);慢性内臓痛(持続性炎症、及び/又は血管機構、及び/又は閉塞/膨満、及び/又は牽引/圧迫、及び/又は複合機構の結果としての慢性内臓痛、又は他の部位から、がんからの関連慢性内臓痛、又は機能性もしくは原因不明の慢性疼痛を含む);並びに慢性筋骨格痛(持続性炎症及び/又は構造的な骨関節変化の結果としての慢性筋骨格痛、及び/又はけいれん性疼痛及び慢性非特異的筋骨格痛などの神経系の疾患を起源とする慢性筋骨格痛、及び関連疼痛症候群を含む)などの慢性疼痛である、請求項233記載の方法。
【請求項236】
前記疼痛が、疼痛の種類を問わず炎症性、侵害受容性、神経障害性、痛覚変調性、及び他の種類の疼痛を含み、数時間又は数日から最長で3か月まで短時間持続し、任意の種類の外科的処置、歯科処置、分娩及び出産、切り傷、熱傷、骨折、及び他の事故又は外傷に起因するものなどの組織傷害の結果としての急性疼痛、任意の疾患状態に起因する急性疼痛、任意の種類の外傷に起因する急性疼痛、及び原因不明の急性疼痛を含む疼痛を含む、急性疼痛である、請求項233記載の方法。
【請求項237】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、痙縮を治療するための方法。
【請求項238】
前記痙縮が、神経障害性疼痛を伴い又は伴わず、かつ:脳性麻痺、脳卒中、多発性硬化症(MS)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、遺伝性痙性対麻痺、副腎白質ジストロフィー(ALD)、フェニルケトン尿症、クラッベ病、及び脊髄損傷を含む、請求項237記載の方法。
【請求項239】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経損傷又は外傷に関連する障害及び疾患を治療するための方法。
【請求項240】
前記障害及び疾患が:原因を問わない末梢神経損傷又は外傷及び/又は原因を問わない中枢神経系(脳及び脊髄)神経損傷又は外傷;事故、スポーツ損傷、落下、銃撃、又は爆発的突風による打撃(explosive blaststroke)などの外部からの物理的要因;又は脳卒中、脳動脈瘤破裂、酸素の不足、感染症(ウイルス、細菌、プリオン、又はその他)、自己免疫疾患などの内部的要因に起因する障害及び疾患;外部からの要因によって直接的に又は間接的に引き起こされる他の神経損傷又は外傷、及び/又は疾患状態に直接的に又は間接的に起因する神経損傷又は外傷のうちの神経損傷又は外傷に関連する、請求項239記載の方法。
【請求項241】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疲労を治療するための方法。
【請求項242】
前記疲労が、外傷性脳損傷(TBI)、慢性疲労症候群(CFS)、及び関連する状態、並びに慢性疲労を引き起こす他の疾患及び/又は障害による慢性疲労(例えば、身体的疲労、心理的疲労、又は精神的疲労)である、請求項241記載の方法。
【請求項243】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経変性障害を治療するための方法。
【請求項244】
前記神経変性障害が:アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、バッテン病、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、レビー小体病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、パーキンソン病、プリオン病、脊髄性筋萎縮症、ウイルス(例えば、HIV)又は細菌感染症が原因の神経変性状態、物質/薬物が原因の神経変性状態、並びに他の老化関連及び非老化関連神経変性状態を含む、請求項243記載の方法。
【請求項245】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、性機能障害遅漏、勃起障害、女性のオルガズム障害、女性の性的関心・興奮障害、性器-骨盤痛/挿入障害、男性の性的欲求低下障害、早漏、物質/薬物誘導性性機能障害、他の特定される及び特定不能の性機能障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害を治療するための方法。
【請求項246】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、性別違和を治療するための方法。
【請求項247】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経変性障害を治療するための方法。
【請求項248】
前記神経認知障害(NCD)が、せん妄、アルツハイマー病が原因のNCD、血管性NCD、レビー小体型NCD、パーキンソン病が原因のNCD、前頭側頭葉型NCD、外傷性脳損傷が原因のNCD、HIV感染症が原因のNCD、物質/薬物誘発性NCD;ハンチントン病が原因のNCD、プリオン病が原因のNCD;別の医学的状態が原因のNCD、複数の病因が原因のNCD、及び特定不能のNCDを含む、請求項247記載の方法。
【請求項249】
前記神経認知障害が、記憶の問題、精神的な明晰さの欠如、集中力低下、及び/又は感染症(ウイルス/細菌/プリオン/その他)、もしくは他の特定されるもしくは特定不能の障害、疾患、もしくは他の不明な原因に起因する集中不能などの神経認知/学習機能障害である、請求項247記載の方法。
【請求項250】
前記神経認知障害が、神経変性障害又は神経発達障害の明かな徴候を伴う又は伴わない記憶、認知、及び/又は学習の低下、並びに/又は神経変性障害又は神経発達障害の明かな徴候を伴い又は伴わずかつ年齢を問わない記憶、認知、及び/又は学習の低下の予防である、請求項247記載の方法。
【請求項251】
前記神経認知障害が、正常老化及び/又は早老症症候群に関連する神経及び/又は精神神経障害及び/又は状態である、請求項247記載の方法。
【請求項252】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、ウイルス感染症によって引き起こされる神経疾患を治療するための方法であって、該神経疾患が、JCウイルスによって引き起こされる進行性多巣性白質脳症(PML)などの、セロトニン作動性(5-HT)受容体(特に、5-HT2A受容体)などの侵入用ニューロン細胞表面受容体を利用するウイルス感染症によって引き起こされるものである、前記方法。
【請求項253】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、幻覚剤の副作用の削減及び/又は予防のための方法。
【請求項254】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、ウェルビーイングを維持する又は向上させるための方法。
【請求項255】
それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、5-HT1受容体活性化、5-HT1A、1B、1D、1E、及び1Fなどの1つ以上の5-HT1受容体サブタイプでの受容体活性化作用に関連する治療機構を備える疾患及び/又は障害の治療のための方法。
【請求項256】
治療機構が、5-HT6受容体活性化(受容体活性化作用)に関連しており、それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、認知/学習/記憶の欠陥又は低下に関連する疾患及び/又は障害の治療の治療のための方法。
【請求項257】
治療機構が、5-HT2A受容体活性化(受容体活性化作用)に関連しており、それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疾患及び/又は障害の治療のための方法。
【請求項258】
治療機構が、D2及びD4受容体サブタイプなどのD2様受容体活性化(受容体活性化作用)に関連しており、それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疾患又は障害の治療のための方法。
【請求項259】
前記治療が、幻覚誘発作用を排除し、かつ、請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤に対する耐性を誘導しない、請求項177~258のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本出願は、概して、新規LSD誘導体及びその多形、それらの組成物、それらの合成の方法、並びにそれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
一般にアシッド(acid)として知られるLSDは、科学的には、リゼルグ酸ジエチルアミドとして知られており、激しい感覚の歪み及び激しい開眼時幻覚からスピリチュアリティ感及び万物への連帯感(feelings of spirituality and connectedness to everything)にわたる多様な作用を引き起こす半合成の強力な催幻覚物質である。LSDは、使用者に解離状態を誘導することがあり、時には、使用者に、最も悪化した(full-blown)パニック発作を引き起こす。
【0003】
LSDは、規制機関によって厳格に管理される物質に分類され、従って、世界の大部分で違法である。しかしながら、LSDは、常習性がないためによい面も持っており、神経細胞増殖を促進することが実証されている。
【0004】
少なくとも1つの有益な性質を保っているLSDの非幻覚誘発性形態を提供することは有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
(発明の概要)
本開示は、一般用途及び医薬品における用途のためのリゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)誘導体及びその結晶多形を記載する。
本開示は、概して、式I:
【化1】
(式中:R1~R14はそれぞれ独立に、H又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択され、かつXは、ハロ基から選択される)
の構造を有する化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せに関する。
【0006】
本発明の態様によるのは、式Iの新規化合物である。態様において、これらは、実質的に非幻覚誘発性であり、さらなる態様において、驚くべきことに、LSDでそうであることが知られているように、耐性を誘導しない。
【0007】
本発明の態様によるのは、新規の式Iの多形化合物である。態様において、これらは、実質的に非幻覚誘発性であり、さらなる態様において、驚くべきことに、LSDでそうであることが知られているように、耐性を誘導しない。
【0008】
式IのLSD誘導体化合物及びその多形(複数可)は、結晶形態、任意に、単離された結晶形態を包含する。態様において、本発明は、多形、任意に、単離された多形を包含する。態様において、本発明は、実質的に1つの結晶形態を包含する。態様において、本発明は、実質的に1つの多形を包含する。態様において、本発明は、溶媒和物を実質的に含まない1つ以上のその多形を包含する。現在好ましい実施態様において、多形は、水を実質的に含まない。態様において、化合物は、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩である。
【0009】
態様において、化合物は、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の単離された多形である。さらなる態様において、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩(E559)の単離された多形は、組成物又は製剤として製剤化される。
【0010】
別の実施本発明の態様は、溶媒和物を実質的に含まない式Iの化合物、及びそのための医薬として許容し得る担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物を包含する。別の実施態様において、本明細書において想定される医薬組成物は、結晶性、溶媒和物、又はアモルファス形態の式Iの追加の形態をさらに含む。
【0011】
さらなる態様によるのは、その多形(複数可)を含む非幻覚誘発性LSD誘導体(複数可)の組成物及び製剤である。
【0012】
組成物及び製剤は、式I;式I';式Ia、式Ib、式Ic、式Id;式Ia'、式Ib'、式Ic'、式Id';式Ia''、式Ib''、式Ic''、式Id'';式IA、式IB、式Ic、式Id;式IAA、式IBB、式ICC、式IDD;式IAA'、式IBB'、式ICC'、式IDD';式IAA''、式IBB''、式ICC''、式IDD'';式IAA'''、式IBB'''、式ICC'''、式IDD'''によって表されるLSD誘導体(複数可)及びその多形(複数可);並びにそれらの任意の混合物を含む。
【0013】
さらなる態様によるのは、以下:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;神経学的-ウイルス感染症;他の薬物の副作用に対抗すること;並びに全般的なウェルビーイングのうちの1つ以上を治療するための、本明細書で開示されるLSD誘導体及び多形の化合物/組成物/製剤の使用である。
【0014】
実施態様において、本明細書で開示される新規LSD誘導体及び多形の化合物/組成物/製剤は、以下:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;並びに神経学的-ウイルス感染症のうちのいずれか1つ以上の1つ以上の徴候又は症状を減少させるためのものである。
【0015】
いくつかの態様において、本発明の化合物は、あるいは、再発性群発頭痛障害の治療のために使用されず、ここで、対象は、再発性群発頭痛障害であり、態様において、これは、1種以上の予防療法抵抗性である。態様において、本発明の化合物は、あるいは、経腸、舌下、又は非経口投与によって三叉神経・自律神経性頭痛である障害の治療のために使用されない。
【0016】
本開示の化合物は、以下の列挙される項目のいずれかにおける実施態様として説明されることができることが理解されるであろう。本明細書に記載される実施態様はどれも、態様が互いに矛盾しないかぎり、本明細書に記載される任意の他の実施態様と共に用いられることができる。
【0017】
本明細書で開示される態様は、以下を含む:
1. 式I:
【化2】
(式中:R1~R14はそれぞれ独立に、H又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択され、かつXは、ハロ基から選択される)
の構造を有する化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せ。
2. 結晶性である、請求項1記載の化合物。
3. 単離された結晶形態である、請求項1又は2記載の化合物。
4. その多形(複数)を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の化合物。
5. その単一の多形を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の化合物。
6. その単離された多形を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物。
7. 請求項1~6のいずれか1項記載の化合物であって:
(i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;
(ii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含み;
(iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含み;
(iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含み;
v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有し;
vi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有し;かつ
vii)(i)~(vi)のいずれか1つ以上である、
前記化合物。
8. 立体中心5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sを有する、請求項1又は2記載の化合物。
9. 立体中心5S,8R;5R,8R;又は5R,8Sを有する、請求項8記載の化合物。
10. 5R,8S又は5R,8Rから選択される立体中心を有する、請求項9記載の化合物。
11. その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項1~10のいずれか1項記載の化合物。
12. 酸性塩である、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物。
13. 前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項12記載の化合物。
14. 前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項13記載の化合物。
15. 前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項14記載の化合物。
16. R1~R14がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される、請求項1~15のいずれか1項記載の化合物。
17. R1~R14がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される、請求項16記載の化合物。
18. R1~R14がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される、請求項17記載の化合物。
19. R1~R14がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される、請求項18記載の化合物。
20. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択され;R3、R4、及びR6~R14がそれぞれ、Hであり、かつR5が、メチル基である、請求項1~19のいずれか1項記載の化合物。
21. R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択され;R3、R4、及びR6~R14がそれぞれ、Hであり;かつR5が、メチル基である、請求項1~20のいずれか1項記載の化合物。
22. R1及びR2がそれぞれ、エチル基であり;R3、R4、及びR6~R14がそれぞれ、Hであり;かつR5が、メチル基である、請求項1~21のいずれか1項記載の化合物。
23. Xが、ブロモ、クロロ、フルオロ、又はヨードから選択される、請求項1~22のいずれか1項記載の化合物。
24. Xが、ブロモ、クロロ、又はフルオロから選択される、請求項23記載の化合物。
25. Xが、ブロモ又はクロロから選択される、請求項24記載の化合物。
26. Xが、ブロモである、請求項23記載の化合物。
27. 式I':
【化3】
(式中:R1及びR2がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される)
の構造を有する、請求項1記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せ。
28. 結晶性である、請求項27記載の化合物。
29. 単離された結晶形態である、請求項27又は28記載の化合物。
30. その多形(複数)を含む、請求項27~29のいずれか1項記載の化合物。
31. その単一の多形を含む、請求項27~30のいずれか1項記載の化合物。
32. その単離された多形を含む、請求項27~31のいずれか1項記載の化合物。
33. 請求項27~32のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
34. 前記化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから選択される立体中心を有する、請求項27又は28記載の化合物。
35. 5S,8R;5R,8R;又は5R,8Sから選択される立体中心を有する、請求項34記載の化合物。
36. 5R,8S又は5R,8Rから選択される立体中心を有する、請求項35記載の化合物。
37. その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項27~36のいずれか1項記載の化合物。
38. 酸性塩である、請求項27~37のいずれか1項記載の化合物。
39. 前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項38記載の化合物。
40. 前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項39記載の化合物。
41. 前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項40記載の化合物。
42. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される、請求項27~41のいずれか1項記載の化合物。
43. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される、請求項42記載の化合物。
44. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される、請求項43記載の化合物。
45. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される、請求項44記載の化合物。
46. R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される、請求項45記載の化合物。
47. R1及びR2がそれぞれ、エチル基である、請求項46記載の化合物。
48. 以下:
【化4】
(式中:R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される)
から選択される式I'の構造を有する、請求項27記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せ。
49. 結晶性である、請求項48記載の化合物。
50. 単離された結晶形態である、請求項48又は49記載の化合物。
51. その多形(複数)を含む、請求項48~50のいずれか1項記載の化合物。
52. その単一の多形を含む、請求項48~51のいずれか1項記載の化合物。
53. その単離された多形を含む、請求項48~52のいずれか1項記載の化合物。
54. 請求項48~53のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
55. 式I'が、式Ia;式Ib;又は式Idから選択される、請求項48又は49記載の化合物。
56. 式I'が、式Ib又は式Idである、請求項55記載の化合物。
57. その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項48~56のいずれか1項記載の化合物。
58. 酸性塩である、請求項48~57のいずれか1項記載の化合物。
59. 前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項58記載の化合物。
60. 前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項59記載の化合物。
61. 前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項60記載の化合物。
62. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される、請求項48~61のいずれか1項記載の化合物。
63. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される、請求項62記載の化合物。
64. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される、請求項63記載の化合物。
65. R1及びR2がそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される、請求項64記載の化合物。
66. R1及びR2がそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される、請求項65記載の化合物。
67. R1及びR2がそれぞれ、エチル基である、請求項66記載の化合物。
68.以下:
【化5】
から選択される式I'の構造を有する、請求項27記載の化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、多形、又はそれらの組合せ。
69. 結晶性である、請求項68記載の化合物。
70. 単離された結晶形態である、請求項68又は69記載の化合物。
71. その多形(複数)を含む、請求項68~70のいずれか1項記載の化合物。
72. その単一の多形を含む、請求項68~71のいずれか1項記載の化合物。
73. その単離された多形を含む、請求項68~72のいずれか1項記載の化合物。
74. 請求項68~73のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
75. 式I'が、式Ia';式Ib';又は式Id'から選択される、請求項73又は74記載の化合物。
76. 式I'が、式Ib'又は式Id'である、請求項75記載の化合物。
77. その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項68~76のいずれか1項記載の化合物。
78. 酸性塩である、請求項68~77のいずれか1項記載の化合物。
79. 前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項78記載の化合物。
80. 前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項79記載の化合物。
81. 前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項80記載の化合物。
82. 以下:
【化6】
又はそれらの組合せから選択される式I'の構造を有する、請求項27記載の化合物。
83. 結晶性である、請求項82記載の化合物。
84. 単離された結晶形態である、請求項82又は83記載の化合物。
85. その多形(複数)を含む、請求項82~84のいずれか1項記載の化合物。
86. その単離された多形を含む、請求項82~85のいずれか1項記載の化合物。
87. 請求項82~86のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
88. 式I'が、式Ia'';式Ib'';又は式Id''から選択される、請求項82又は83記載の化合物。
89. 式I'が、式Ib'又は式Id'である、請求項88記載の化合物。
90. その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である、請求項82~89のいずれか1項記載の化合物。
91. 酸性塩である、請求項82~90のいずれか1項記載の化合物。
92. 前記酸性塩の酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項91記載の化合物。
93. 前記酸性塩の前記酸が、塩酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項92記載の化合物。
94. 前記酸性塩の前記酸が、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される、請求項93記載の化合物。
95. 以下:
【化7】
又はそれらの組合せから選択される、請求項1~94のいずれか1項記載の化合物。
96. 結晶性である、請求項95記載の化合物。
97. 単離された結晶形態である、請求項95又は96記載の化合物。
98. その多形(複数)を含む、請求項95~97のいずれか1項記載の化合物。
99. その単一の多形を含む、請求項95~98のいずれか1項記載の化合物。
100. その単離された多形を含む、請求項95~99のいずれか1項記載の化合物。
101. 請求項95~100のいずれか1項記載の化合物であって、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
102. 請求項95~101のいずれか1項記載の化合物であって、該化合物が、2-ブロモLSD酒石酸塩(約1:約0.5)及び/又は(約1:約1)を含み、i)該化合物が、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物が、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物が、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物が、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物が、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物が、5R,8Sである2つの立体中心を有する、前記化合物。
103. 前記式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id'の化合物の前記酸に対する比が、約0.5:1~約2:1である、請求項1~102のいずれか1項記載の化合物。
104. 前記化合物が、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩である、請求項1~103のいずれか1項記載の化合物。
105. 前記化合物が、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の単離された多形である、請求項1~104のいずれか1項記載の化合物。
106. 約10.3°(2θ)にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
107. 約4.7°(2θ)、約9.4°(2θ)、及び約10.3°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
108. 約4.7°(2θ)、約9.4°(2θ)、約10.3°(2θ)、及び約20.1°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
109. 約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åのピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
110. 約4.7°(2θ)にd値が約18.8Åの、約9.4°(2θ)にd値が約9.4Åの、及び約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åのピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
111. 約4.7°(2θ)にd値が約18.8Åの、約9.4°(2θ)にd値が約9.4Åの、約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åの、及び約20.1°(2θ)にd値が約4.4Åのピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
112. 10.3°±0.2°(2θ)にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
113. 4.7°±0.2°(2θ)、9.4°±0.2°(2θ)、及び10.3°±0.2°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
114. 4.7°±0.2°(2θ)、9.4°±0.2°(2θ)、10.3°±0.2°(2θ)、及び20.1°±0.2°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
115. 旋光度が、約0.30°~約0.40°;任意に、約0.30°~約0.35°である、請求項1~105のいずれか1項記載の化合物。
116. 前記化合物又はその多形が、非幻覚誘発性である、請求項1~115のいずれか1項記載の化合物。
117. 前記化合物又はその多形が、実質的に非幻覚誘発性である、請求項1~116のいずれか1項記載の化合物。
118. 対象において耐性を誘導しない、請求項1~117のいずれか1項記載の化合物。
119. 5-HT1受容体サブタイプの全てにわたる中程度から強力なパンアゴニストである、請求項1~118のいずれか1項記載の化合物。
120. 強力な5-HT6受容体部分アゴニストである、請求項1~119のいずれか1項記載の化合物。
121. 5-HT2A及び5-HT1A受容体サブタイプでの部分アゴニストである、請求項1~120のいずれか1項記載の化合物。
122. D2及びD4を含むD2様受容体で受容体活性化作用を示す、請求項1~121のいずれか1項記載の化合物。
123. ニューロンにおける、例えば、皮質ニューロンにおける神経可塑性を向上させる、請求項122のいずれか1項記載の化合物。
124. 請求項1~123のいずれか1項記載の化合物を含む組成物。
125. 医薬として許容し得る担体、アジュバント、又はビヒクルをさらに含む、請求項124記載の組成物。
126. 第2の治療用薬剤をさらに含む、請求項124又は125記載の組成物。
127. 医薬組成物である、請求項124~126のいずれか1項記載の組成物。
128. 請求項124~126のいずれか1項記載の組成物及び/又は請求項127記載の医薬組成物を含む製剤。
129. 液体又は固体である、請求項128記載の製剤であって、任意に、該固体が、散剤、錠剤、又は丸剤である、前記製剤。
130. 確立された量の前記化合物を含み、任意に、経口又は非経口投与用である、請求項128又は129記載の製剤。
131. 前記形成が:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;神経学的-ウイルス感染症;他の薬物の副作用に対抗すること;並びに全般的なウェルビーイングのうちの1つ以上の治療のための医薬品を作製するためのものである、請求項128~130のいずれか1項記載の製剤。
132. 前記形成が:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;神経学的-ウイルス感染症;他の薬物の副作用に対抗すること;並びに全般的なウェルビーイングのうちの1つ以上の治療のためのものである、請求項128~130のいずれか1項記載の製剤。
133. 前記形成が、以下:うつ病性障害;双極性障害及び関連障害;統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害;パーソナリティ障害;不安症;心的外傷及びストレス因関連障害;強迫性障害及び関連障害;破壊的障害、衝動制御及び素行障害;食行動障害及び摂食障害;解離性障害;身体症状症及び関連障害;神経発達障害;睡眠覚醒障害;物質関連及び嗜癖性障害;頭痛障害;疼痛障害;痙縮;神経損傷傷害;疲労;神経変性障害;性機能障害及び性別違和障害;神経認知障害;並びに神経学的-ウイルス感染症のうちのいずれか1つ以上の1つ以上の徴候又は症状を減少させるためのものである、請求項128~130のいずれか1項記載の製剤。
134. a)式IAの化合物を加水分解して、式IBの中間体を生成させること
【化8】
b)該式IBの中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICの化合物を生成させること
【化9】
c)有機又は無機酸を用いて式ICの化合物を塩又は水和物に変換することを含み、
Rが、-OR1又は-NR1R2から選択され、R1及びR2がそれぞれ独立に、H、ハロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換又は非置換の炭化水素基、置換又は非置換の混成基、置換又は非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換のヘテロ環式基、置換もしくは非置換の芳香族、又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択され、任意に、R1及びR2がそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の混成基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換のヘテロ環式基、置換もしくは非置換の芳香族、又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択される、請求項1~76のいずれか1項記載の化合物を作製する方法。
135. 前記を作製する方法が、基質としてのLSD及び/又は他のスケジュールI物質を使用しない、請求項134記載の方法。
136. 前記加水分解が、酸又は塩基加水分解であり、任意に、該酸が、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸から選択され、又は該塩基が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び/又は水酸化テトラブチルアンモニウムから選択される、請求項134又は135記載の方法。
137. 水混和性溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THF、又はそれらの組合せを用いることをさらに含む、請求項134、135、又は136記載の方法。
138. a)、b)、及び/又はc)で約50℃から約95℃に加熱することを含む、請求項134~137のいずれか1項記載の方法。
139. b)が、前記カルボン酸の前記ヒドロキシル基を、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、又はペルフルオロアルキルスルホネートなどのより良好な脱離基(LG)に変換すること、任意に、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて酸クロライドに変換することをさらに含む、請求項134~137のいずれか1項記載の方法。
140. b)が、塩基で触媒されるアミド結合形成(任意に、塩基及びカップリング剤を使用)をさらに含む、請求項134~139のいずれか1項記載の方法。
141. 前記カップリング剤が、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される請求項140記載の方法。
142. 前記カップリング剤が、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス28ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される、請求項141記載の方法。
143. b)が、塩基で触媒されるアミド結合形成(任意に、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)を使用)をさらに含む、請求項134~142のいずれか1項記載の方法。
144. a)及び/又はb)において、前記式IB及び式ICの中間体の酸性度が、沈殿を生じるように調整された;任意に、酸でpHを約6から約8に調整すること、請求項134~143のいずれか1項記載の方法。
145. c)において、(b)と共にインサイチュで又は別の独立した工程で、有機又は無機酸を用いて式ICの化合物をその塩又は水和物に変換すること、請求項134~144のいずれか1項記載の方法。
146. 前記酸が、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せから選択される請求項145記載の方法。
147. c)が、前記式ICの化合物を、水と非混和性の溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど、又はそれらの組合せ中で前記有機又は無機酸と加熱することを含む、請求項134~146のいずれか1項記載の方法。
148. c)が、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の温度で加熱することを含む、請求項134~147のいずれか1項記載の方法。
149. 前記水混和性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せから選択され;任意に、該水混和性溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せ;任意に、エタノール又はイソプロピルアルコール(IPA)から選択される、請求項134~148のいずれか1項記載の方法。
150. 前記式ICの化合物を前記有機又は無機酸と加熱することが、約30分~約1時間加熱される、請求項134~149のいずれか1項記載の方法。
151. 前記化合物を、溶液中で約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却すること、請求項134~150のいずれか1項記載の方法。
152. 前記式ICの化合物の塩又は水和物が再結晶されて、結晶性化合物を生じる、請求項134~151のいずれか1項記載の方法。
153. 前記式ICの化合物の塩又は水和物が、単離された結晶形態である、請求項152記載の方法。
154. 前記式ICの化合物の塩又は水和物が、その多形(複数)を含む、請求項153記載の方法。
155. 前記式ICの化合物の塩又は水和物が、その単一の多形を含む、請求項154記載の方法。
156. 前記式ICの化合物の塩又は水和物が、その単離された多形を含む、請求項155記載の方法。
157. 前記式ICの化合物の塩又は水和物が、水混和性溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど、又はそれらの組合せを用いて再結晶される、請求項134~156のいずれか1項記載の方法。
158. 前記水混和性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せから選択され;任意に、該水混和性溶媒が、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せ;任意に、エタノール又はイソプロピルアルコール(IPA)から選択される、請求項157記載の方法。
159. 再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を前記溶媒中で適当な温度まで適当な期間加熱すること、及び冷却して請求項27~123のいずれか1項記載の化合物を生じさせることを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
160. 再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で加熱することを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
161. 再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で約1時間~約2時間加熱することを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
162. 再結晶化が、前記式ICの化合物の塩又は水和物を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で約1時間~約2時間加熱すること、及び該化合物を、溶液中で約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、任意に、約1時間~約2時間冷却することを含む、請求項134~158のいずれか1項記載の方法。
163. 前記再結晶された化合物が、約99%~約99.9%の純度、任意に、約99.5%~約99.9%の純度である、請求項134~162のいずれか1項記載の方法。
164. a)式IAAの化合物(5S,8R)を加水分解して、式IBBの中間体を生成させること
【化10】
b)該式IBBの中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICCを生成させること
【化11】
c)有機又は無機酸を用いて式ICCの化合物を塩又は水和物に変換することを含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
165. a)式IAA'の化合物(5R,8R)を加水分解して、式IBB'の中間体を生成させること
【化12】
b)該式IBB'の中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICC'を生成させること
【化13】
c)有機又は無機酸を用いて式ICC'の化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
166. a)式IAA''の化合物(5R,8S)を加水分解して、式IBB''の中間体を生成させること
【化14】
b)該式IBB''の中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICC''を生成させること
【化15】
c)有機又は無機酸を用いて式ICC''の化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
167. a)式IAA'''の化合物(5S,8S)を加水分解して、式IBB'''の中間体を生成させること
【化16】
b)該式IBB'''の中間体をR1-NH-R2と反応させて、式ICC'''を生成させること
【化17】
c)有機又は無機酸を用いて式ICC'''の化合物を塩又は水和物に変換すること
を含む、請求項134~163のいずれか1項記載の方法。
168. 前記式IA、式IAA、式IAA'、式IAA''、又は式IAA'''の化合物が、ブロモクリプチンメシラートなどの含臭素エルゴリン誘導体である、請求項134~167のいずれか1項記載の方法。
169. 前記式IA、式IAA、式IAA'、式IAA''、又は式IAA'''の化合物が
【化18】
である、請求項134~167のいずれか1項記載の方法。
170. 2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAを加熱すること、
D-酒石酸及びIPAを2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAと合わせることであって、該合わせた溶液が、クリアになる、前記合わせること、
該合わせた溶液を所定の時間加熱すること、
該混合物をほぼ室温まで放冷すること、
さらに冷却して、多量の(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩及び少量の(5R,8S) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を含む固体を提供すること
を含む、請求項134~169のいずれか1項記載の方法。
171. 2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAを約65℃に加熱すること、
D-酒石酸及びIPAを2-ブロモリゼルグ酸ジアミド及びIPAと合わせることであって、該合わせた溶液が、クリアになる、前記合わせること、
該合わせた溶液を約65℃に所定の時間加熱すること、
該混合物をほぼ室温まで放冷すること、
約5℃まで冷却して、多量の(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩及び少量の(5R,8S) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を含む固体を提供すること
を含む、請求項134~170のいずれか1項記載の方法。
172. 前記所定の時間が、約30分である、請求項171記載の方法。
173. (5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の(5R,8S) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩に対する比が、約約87対約13である、請求項134~172のいずれか1項記載の方法。
174. 前記固体を、再結晶して、(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を得る(任意に、エタノールを用いる)、請求項134~172のいずれか1項記載の方法。
175. 前記固体を、再結晶して、約99%~約99.9%の純度、任意に、約99.5%~約99.9%の純度を有する(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩を得る、請求項134~172のいずれか1項記載の方法。
176. 前記固体が、多形である、請求項134~135のいずれか1項記載の方法。
177. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、うつ病性障害を治療するための方法。
178. 前記うつ病性障害が:うつ状態、大うつ病性障害(大鬱病エピソードを含む)、重篤気分調節症、非定型うつ病、精神病性大うつ病、緊張病性うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害、季節性感情障害、物質/薬物誘発性うつ病性障害、二重うつ病、抑うつ性パーソナリティ障害、持続性うつ病性障害(気分変調症)、反復性短期うつ病、小うつ病性障害、医学的状態が原因のうつ病性障害、特定不能のうつ病性障害、又は治療に抵抗性のうつ病性障害である、請求項177記載の方法。
179. 前記うつ病性障害が、大うつ病性障害である、請求項177又は178記載の方法。
180. 前記大うつ病性障害が、気分変調症である、請求項179記載の方法。
181. 前記うつ病性障害が、非定型うつ病である、請求項178記載の方法。
182. 前記うつ病性障害が、緊張病性うつ病である、請求項178記載の方法。
183. 前記うつ病性障害が、医学的状態を原因とする、請求項178記載の方法。
184. 前記うつ病性障害が、産後うつ病である、請求項177記載の方法。
185. 前記うつ病性障害が、月経前不快気分障害である、請求項177記載の方法。
186. 前記うつ病性障害が、季節性感情障害である、請求項177記載の方法。
187. 前記対象への投与のための前記化合物の量が、約25~500μg/kg/体重/日;又は約50~約2000μg/kg/体重/日;又は約10~約500μg/kg/体重/日から選択される範囲である、請求項177~186のいずれか1項記載の方法。
199. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、双極性障害及び関連障害を治療するための方法。
200. 前記双極性障害及び関連障害が、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質/薬物誘発性双極性障害及び関連障害、並びに特定不能の双極性障害である、請求項199記載の方法。
201. 前記対象への投与のための前記化合物の量が、約25~約1000μg/kg/体重/日から選択される範囲である、請求項200記載の方法。
202. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害を治療するための方法。
203. 前記統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害が:妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質/薬物誘発性精神病性障害、統合失調型(パーソナリティ)障害、別の医学的状態が原因の精神病性障害、別の精神障害に伴う緊張病、及び他の特定される又は特定不能の統合失調症スペクトラム、並びに他の精神障害(psychotric disorder)である、請求項202記載の方法。
204. 前記対象への投与のための前記化合物の量が、約50~約2000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項203記載の方法。
205. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、DSM-5によって分類されるパーソナリティ障害を治療するための方法。
206. 前記パーソナリティ障害が:妄想性パーソナリティ障害;シゾイドパーソナリティ障害;統合失調型パーソナリティ障害;反社会性パーソナリティ障害;境界性パーソナリティ障害;演技性パーソナリティ障害;自己愛性パーソナリティ障害;回避性パーソナリティ障害;依存性パーソナリティ障害;強迫性パーソナリティ障害;別の医学的状態が原因の人格変化;他の特定されるパーソナリティ障害及び特定不能のパーソナリティ障害である、請求項205記載の方法。
207. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、不安症を治療するための方法。
208. 前記不安症が:全般性不安障害、分離不安障害、パニック障害、場面緘黙症、特定恐怖症(動物、自然環境、血液/注射/外傷に対する恐れ、状況的、その他)、社会不安障害、パニック障害、パニック発作特定用語、広場恐怖症、物質/薬物誘発性不安症、他の医学的状態が原因の不安症、及び他の特定される又は特定不能の不安症である、請求項207記載の方法。
209. 前記対象への投与のための前記化合物の量が、約10~約1000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項208記載の方法。
210. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、心的外傷及びストレス因関連障害を治療するための方法。
211. 前記心的外傷及びストレス因関連障害が、アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、適応障害、他の特定される又は特定不能の心的外傷及びストレス因関連障害を含む、請求項210記載の方法。
212. 前記対象への投与のための前記化合物の量が、約10~約1000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項211記載の方法。
213. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、強迫性障害及び関連障害障害を治療するための方法。
214. 前記強迫性障害及び関連障害が:強迫性障害(OCD)、身体醜形障害、ためこみ症、抜毛症(trichotillomania)(抜毛傷害(hair-pulling disorder))、皮膚むしり症(excoriation (skin-picking) disorder)、物質/薬物誘発性強迫性障害及び関連障害、別の医学的状態が原因の強迫性障害及び関連障害、並びに他の特定される及び特定不能の強迫性障害及び関連障害(例えば、身体集中反復行動症、強迫的な嫉妬)を含む、請求項213記載の方法。
215. 前記対象への投与のための前記化合物の量が、約10~約1000μg/kg/体重/日の範囲である、請求項214記載の方法。
216. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、秩序破壊的・衝動制御・素行症群((disruptive, impulse-control, and conduct disorders))を治療するための方法。
217. 前記秩序破壊的・衝動制御・素行症群が:反抗挑戦性障害、間欠性爆発性障害、素行障害、反社会性パーソナリティ障害、放火症、窃盗症、抜毛症、並びに他の特定される及び特定不能の秩序破壊的・衝動制御・素行症群を含む、請求項216記載の方法。
218. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、食行動障害及び摂食障害を治療するための方法。
219. 前記食行動障害及び摂食障害が:異食症、反芻性障害、回避・制限性食物摂取障害、神経性食欲不振症、過食性障害、神経性過食症、過食症(polyphagia)又は大食症(over-eating disorder)、糖尿病性過食症、プラダー・ウィリー症候群、及び視床下部性肥満、身体醜形障害、並びに他の特定される及び特定不能の食行動障害又は摂食障害を含む、請求項218記載の方法。
220. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、解離性障害を治療するための方法。
221. 前記解離性障害が、解離性同一性障害、解離性健忘、離人感・現実感消失障害、並びに他の特定される及び特定不能の解離性障害を含む、請求項220記載の方法。
222. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経発達障害を治療するための方法。
223. 前記神経発達障害が:知的障害(知的発達障害)、全般的発達遅延、コミュニケーション(言語、語音、小児期発症流暢又は吃音、社会的な、非特定型)障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害、運動障害(発達性協調運動、常同運動、トゥレット障害、持続性/慢性運動または音声チック障害、暫定的チック障害)、及び他の特定される又は特定不能の神経発達障害を含む、請求項222記載の方法。
224. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、障害を治療するための方法であって、該障害が:発作(全般発作、焦点発作、起始不明発作、及び焦点起始両側発作を含む)並びにてんかん(全般てんかん、焦点性てんかん、全般及び焦点性てんかん、ドラベ症候群、及び起始不明てんかんを含む)を含む、前記方法。
225. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、睡眠覚醒障害を治療するための方法。
226. 前記睡眠覚醒障害が:不眠障害、過眠障害、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸・低呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、特発性中枢性睡眠時無呼吸、睡眠関連低換気)、概日リズム睡眠覚醒障害、ノンレム(NREM)睡眠覚醒障害、悪夢障害、レム(REM)睡眠行動障害、下肢静止不能症候群、物質/薬物誘発性睡眠障害、並びに他の特定される及び特定不能の睡眠覚醒障害を含む、請求項225記載の方法。
227. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、物質関連障害(SRD)及び嗜癖性障害を治療するための方法。
226. 前記物質関連障害(SRD)及び嗜癖性障害が、これらに限定されないが、以下のクラスの薬物:アルコール、ニコチン、大麻、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬、刺激物質(アンフェタミン型物質、コカイン、及び他の刺激物質)、及び医薬品、並びに他の特定される又は特定不能の物質誘発性障害を含む、請求項227記載の方法。
227. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、非物質関連障害を治療するための方法。
228. 前記非物質関連障害が、ギャンブル障害である、請求項227記載の方法。
229. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、頭痛障害を治療するための方法。
230. 前記頭痛障害が、国際頭痛学会(IHS)の頭痛分類委員会において分類され、以下:片頭痛を含む一次性頭痛(前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛、及び慢性片頭痛を含む)、緊張型頭痛(稀発反復性、頻発反復性、及び慢性緊張型頭痛を含む)、三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、及び持続性片側頭痛を含む)、並びに他の一次性頭痛障害を含む、請求項229記載の方法。
231. 前記頭痛障害が、群発頭痛(家族性群発頭痛、ヒスタミン性頭痛、又は血管原性顔面痛)、反復性群発頭痛、再発性又は慢性群発頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA)、結膜充血及び流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)、及び頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作などの三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)である、請求項229記載の方法。
232. 前記頭痛障害が、頭部及び/又は頸部への外傷又は傷害による頭痛、頭部及び/又は頸部血管障害による頭痛、非血管性頭蓋内障害による頭痛、物質又はその離脱による頭痛、感染症による頭痛、ホメオスタシスの障害による頭痛、頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口、又は他の顔面もしくは頸部の構造の障害による頭痛又は顔面痛、精神障害による頭痛、並びに三叉神経の病変又は疾患による疼痛を含む脳神経の有痛性病変及びその他の顔面痛の頭痛カテゴリーなどの二次性頭痛である、請求項229記載の方法。
233. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疼痛を治療するための方法。
234. 前記疼痛が、炎症(例えば、関節リウマチ、ループス、ベーチェット病)、遺伝要因(例えば、肢端紅痛症)、糖尿病、がん、及び化学療法などのがん治療におけるものなどの疼痛に繋がる神経損傷を引き起こす状態を含む神経障害因子、多発性硬化症(MS)などの神経学的状態、パーキンソン病などの神経変性状態、脳卒中、帯状疱疹、HIV、ハンセン病、ギラン・バレー症候群、血管疾患、血管形成異常、及び自己免疫性状態、末梢性ニューロパチー、自律神経性ニューロパチー、局所ニューロパチー、近位ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、及び圧迫性単ニューロパチーを含む全てのニューロパチー、幻肢痛、残肢痛、及び複合性局所疼痛症候群(CRPS)、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛、神経根痛、神経根炎及び胸部又は腰部の神経根症を含む全ての神経根症、侵害受容性疼痛(例えば、外傷誘発性疼痛、がん性疼痛)、身体化の高有病率又は痛覚変調性疼痛(例えば、慢性広範性疼痛、線維筋痛症、慢性側頭下顎関節障害、原因不明の慢性腰痛、過敏性腸症候群、慢性一次性膀胱痛症候群、慢性一次性骨盤痛症候群)、並びに病因のいかんを問わない慢性疼痛のさまざまな他の形態(例えば、慢性腰痛)などの状態によって引き起こされる、請求項233記載の方法。
235. 前記疼痛が:慢性一次性疼痛(線維筋痛症、慢性骨盤痛、非特異的背部痛、及び他に特定されない慢性一次性疼痛など);慢性がん性疼痛(がん及び転移が原因の疼痛、化学療法誘発性疼痛、放射線療法が原因の疼痛、がんの外科的処置が原因の疼痛、及びがんに関連する他の慢性疼痛など);慢性の術後及び外傷後疼痛(全ての術後及び外傷後疼痛、及び他に特定されない術後/外傷後疼痛を含む);慢性神経障害性疼痛(末梢神経障害性疼痛、中枢神経障害性疼痛、及び他の神経障害性疼痛、及び他に特定されない神経障害性疼痛を含む);慢性頭痛及び口腔顔面痛(慢性一次性頭痛、慢性二次性頭痛、慢性口腔顔面痛、及び他に特定されない頭痛及び口腔顔面痛を含む);慢性内臓痛(持続性炎症、及び/又は血管機構、及び/又は閉塞/膨満、及び/又は牽引/圧迫、及び/又は複合機構の結果としての慢性内臓痛、又は他の部位から、がんからの関連慢性内臓痛、又は機能性もしくは原因不明の慢性疼痛を含む);並びに慢性筋骨格痛(持続性炎症及び/又は構造的な骨関節変化の結果としての慢性筋骨格痛、及び/又はけいれん性疼痛及び慢性非特異的筋骨格痛などの神経系の疾患を起源とする慢性筋骨格痛、及び関連疼痛症候群を含む)などの慢性疼痛である請求項233記載の方法。
236. 前記疼痛が、疼痛の種類を問わず炎症性、侵害受容性、神経障害性、痛覚変調性、及び他の種類の疼痛を含み、数時間又は数日から最長で3か月まで短時間持続し、任意の種類の外科的処置、歯科処置、分娩及び出産、切り傷、熱傷、骨折、及び他の事故又は外傷に起因するものなどの組織傷害の結果としての急性疼痛、任意の疾患状態に起因する急性疼痛、任意の種類の外傷に起因する急性疼痛、及び原因不明の急性疼痛を含む疼痛を含む、急性疼痛である、請求項233記載の方法。
237. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、痙縮を治療するための方法。
238. 前記痙縮が、神経障害性疼痛を伴い又は伴わず、かつ:脳性麻痺、脳卒中、多発性硬化症(MS)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、遺伝性痙性対麻痺、副腎白質ジストロフィー(ALD)、フェニルケトン尿症、クラッベ病、及び脊髄損傷を含む、請求項237記載の方法。
239. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経損傷又は外傷に関連する障害及び疾患を治療するための方法。
240. 前記障害及び疾患が:原因を問わない末梢神経損傷又は外傷及び/又は原因を問わない中枢神経系(脳及び脊髄)神経損傷又は外傷;事故、スポーツ損傷、落下、銃撃、又は爆発的突風による打撃(explosive blaststroke)などの外部からの物理的要因;又は脳卒中、脳動脈瘤破裂、酸素の不足、感染症(ウイルス、細菌、プリオン、又はその他)、自己免疫疾患などの内部的要因に起因する障害及び疾患;外部からの要因によって直接的に又は間接的に引き起こされる他の神経損傷又は外傷、及び/又は疾患状態に直接的に又は間接的に起因する神経損傷又は外傷のうちの神経損傷又は外傷に関連する、請求項239記載の方法。
241. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疲労を治療するための方法。
242. 前記疲労が、外傷性脳損傷(TBI)、慢性疲労症候群(CFS)、及び関連する状態、並びに慢性疲労を引き起こす他の疾患及び/又は障害による慢性疲労(例えば、身体的疲労、心理的疲労、又は精神的疲労)である、請求項241記載の方法。
243. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経変性障害を治療するための方法。
244. 前記神経変性障害が:アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、バッテン病、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、レビー小体病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、パーキンソン病、プリオン病、脊髄性筋萎縮症、ウイルス(例えば、HIV)又は細菌感染症が原因の神経変性状態、物質/薬物が原因の神経変性状態、並びに他の老化関連及び非老化関連神経変性状態を含む請求項243記載の方法。
245. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、性機能障害遅漏、勃起障害、女性のオルガズム障害、女性の性的関心・興奮障害、性器-骨盤痛/挿入障害、男性の性的欲求低下障害、早漏、物質/薬物誘導性性機能障害、他の特定される及び特定不能の性機能障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害を治療するための方法。
246. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、性別違和を治療するための方法。
247. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、神経変性障害を治療するための方法。
248. 前記神経認知障害(NCD)が、せん妄、アルツハイマー病が原因のNCD、血管性NCD、レビー小体型NCD、パーキンソン病が原因のNCD、前頭側頭葉型NCD、外傷性脳損傷が原因のNCD、HIV感染症が原因のNCD、物質/薬物誘発性NCD;ハンチントン病が原因のNCD、プリオン病が原因のNCD;別の医学的状態が原因のNCD、複数の病因が原因のNCD、及び特定不能のNCDを含む、請求項247記載の方法。
249. 前記神経認知障害が、記憶の問題、精神的な明晰さの欠如、集中力低下、及び/又は感染症(ウイルス/細菌/プリオン/その他)、もしくは他の特定されるもしくは特定不能の障害、疾患、もしくは他の不明な原因に起因する集中不能などの神経認知/学習機能障害である、請求項247記載の方法。
250. 前記神経認知障害が、神経変性障害又は神経発達障害の明かな徴候を伴う又は伴わない記憶、認知、及び/又は学習の低下、並びに/又は神経変性障害又は神経発達障害の明かな徴候を伴い又は伴わずかつ年齢を問わない記憶、認知、及び/又は学習の低下の予防である、請求項247記載の方法。
251. 前記神経認知障害が、正常老化及び/又は早老症症候群に関連する神経及び/又は精神神経障害及び/又は状態である、請求項247記載の方法。
252. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、ウイルス感染症によって引き起こされる神経疾患を治療するための方法であって、該神経疾患が、JCウイルスによって引き起こされる進行性多巣性白質脳症(PML)などの、セロトニン作動性(5-HT)受容体(特に、5-HT2A受容体)などの侵入用ニューロン細胞表面受容体を利用するウイルス感染症によって引き起こされる、前記方法。
253. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、幻覚剤の副作用の削減及び/又は予防のための方法。
254. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、ウェルビーイングを維持する又は向上させるための方法。
255. それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、5-HT1受容体活性化、5-HT1A、1B、1D、1E、及び1Fなどの1つ以上の5-HT1受容体サブタイプでの受容体活性化作用に関連する治療機構を備える疾患及び/又は障害の治療のための方法。
256. 治療機構が、5-HT6受容体活性化(受容体活性化作用)に関連しており、それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、認知/学習/記憶の欠陥又は低下に関連する疾患及び/又は障害の治療の治療のための方法。
257. 治療機構が、5-HT2A受容体活性化(受容体活性化作用)に関連しており、それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疾患及び/又は障害の治療のための方法。
258. 治療機構が、D2及びD4受容体サブタイプなどのD2様受容体活性化(受容体活性化作用)に関連しており、それを必要としている対象への請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤の投与を含む、疾患又は障害の治療のための方法。
259. 前記治療が、幻覚誘発作用を排除し、かつ、請求項1~123のいずれか1項記載の化合物、請求項124~127のいずれか1項記載の組成物、又は請求項128~130のいずれか1項記載の製剤に対する耐性を誘導しない、請求項177~258のいずれか1項記載の方法。
【0018】
本開示のこれらの及び他の特徴、実施態様、及び利点は、開示を限定するためや規定するためにではなく、以下の説明と共にかつ添付の図面を参照して読まれた場合にその理解の助けとなる例を提供するために言及されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
(図面の簡単な説明)
ここで、実施態様が、図面を参照して一例としてのみ記載される。
【0020】
図1図1A及び図1Bは、それぞれ、DMSO-d6中での2-ブロモリゼルグ酸(B)の1H-NMR及び13C-NMRスペクトルの例を示す。
図2図2A及び図2Bは、2-ブロモ-LSDのエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルの例を示す。
図3図3A及び図3Bは、E405の純度及び収率に対するpHの作用の例を示す。
図4図4は、2-ブロモ-LSDのエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルの例を示す。
図5図5は、DMSO-d6中での(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩1H-NMRスペクトルの例を示す。
図6図6A図6Dは、(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の高分解能PXRDの例を示す:(6A)は、エタノールからの小スケール結晶化を示し;(6B)は、IPAからの結晶化を示し;(6C)は、エタノール(黒)及びIPA(赤)からの結晶化の重ね合わせを示し;(6D)は、約350gスケールで行われたエタノールからの結晶化を示す。
図7図7A図7Cは、(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩の質量スペクトル及び(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩についてのSEM画像の例を示す。
図8図8は、エタノールから再結晶された(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-L-酒石酸塩の高分解能PXRDの例を示す。
図9図9は、(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩及び(5R,8R)-2-ブロモ-LSDヘミ-L-酒石酸塩についてのFTIRスペクトルの例を示す。
図10図10A/10Bは、齧歯動物において首振り反応(head-twitch response)(HTR)を用いてLSD多形E559には、幻覚誘発活性がないことを示すグラフである。E559多形が、0.1、0.3、1、3、及び10mg/kgで投与され、或いは、LSD(0.1mg/kg)が投与された。データは、60分の試験セッション全体についての群平均±標準偏差(A)及び2分のブロックあたりの個々のデータポイント(B)として表される。
図11図11A図11Dは、LSD多形E559が、血液脳関門を越えることを示すグラフである。「E559多形」の血漿レベルは、時間依存的及び用量依存的な様式で増加し、雄及び雌のマウス(A)及び(B)の投薬群の全てにおいて投与後に血漿中に急速に(10分)現れる。化合物に対する脳組織の曝露は、時間依存的及び用量依存的な様式で比例して増加する(C)及び(D)。
図12図12は、空腹時のイヌと食後のイヌとの間の血漿試料中で測定されたE559多形の濃度により示されるように、LSD多形E559が、摂食状況によって影響を受けない良好な経口バイオアベイラビリティを示すことを示すグラフである。
図13図13A図13Bは、LSD多形E559が、マウスHTRモデルにおいて催幻覚性化合物である2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)の幻覚誘発作用を阻止することを示す。「E559多形」でのマウスの事前処置は、DOIのマウスにおいてHTRを誘導する能力を顕著に弱めた(図13A)。図13B、「E559多形」でのマウスの事前処置は、はじめの10分の間DOI誘導性HTRをほとんど完全に阻止し、この阻止は、40~60分後に、阻止がもはや検出されなくなるまで、徐々に低下した。
図14図14A図14Dは、5HT2B受容体でのLSD多形E559の結合及び機能的作用を示すグラフである。(A)、(B)、及び(C)において、LSDは、3種の機能評価の全てによって分かるように5-HT2B受容体強力な受容体活性化作用を示し、その一方で、E559多形は、LSDの場合にみられる受容体活性化作用を示さない。(D)において、E559多形は、非常に高い高濃度で弱いhERGチャネル活性の阻止のみを生じさせ(EC50=31.6μM)、これは、ヒトにおいて心不整脈を引き起こすリスクが低いことを示している。
図15図15は、セロトニン(5-HT)及びLSDの活性と比較したCNS受容体/標的:5-HT1A、5-HT1B、5-HT1D、5-HT1e、5-HT1F、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT4、5-HT5A、5-HT6、及び5-HT7Aでの多形E559の活性を示すグラフである。
図16図16A/Bは、各標的受容体:5-HT1A、5-HT1B、5-HT1F、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT6、及び5-HT7の下流の二次メッセンジャー活性に対する多形E559の活性を示すグラフである。
図17図17Aは、Gq解離アッセイによって評価された5-HT2A受容体の5-HT介在性活性化と拮抗する多形E559を示すグラフである。 図17Bは、5-HT2A受容体でのβ-アレスチン2動員BRETアッセイの5-HT介在性活性化と拮抗する多形E559を示すグラフである。
図18図18Aは、インビトロ第6日(DIV6)のビヒクル(無薬物対照)又はE559多形で処理された MAP2染色ラット皮質ニューロンの画像を示す。 図18Bは、(A)ニューロン突起が交差する回数、(B)ニューロンの全長、並びに(C)ノード及びエンドポイントの数を評価することによって、ニューロン分枝の複雑性の尺度を生じさせるショール分析の概略図を示す。
図19図19A図19F:は、E559多形が神経可塑性を向上させることを示す:(A)ビヒクル(対照)又は増加する濃度のE559多形で処理されたニューロンの代表的なショールトレース;(B)は、ビヒクル(対照)、E559多形、又はケタミンでの処理後のMAP2陽性神経突起によるショール半径交差(Sholl radii crossing)の総数を示す;(C)は、図19A及び図19Bにおけるニューロンからの樹状突起分枝長の総数を示す;(D)は、ビヒクル(対照)、E559多形、又はケタミンで処理された皮質ニューロンにおける樹枝状スパインの代表的な蛍光画像を示す;(E)は、第1の分岐点から評価された最長の尖端樹状突起での10μmの断面あたりのスパインの総数を示す(図18B参照);及び(F)は、細胞生存率アッセイにおけるランダムに選択された40倍の目的視野内の生存ニューロン細胞の死亡ニューロン細胞に対する比を示す。図の全てのパネルにおける横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表す。
図20図20A図20Cは、E559多形介在性神経可塑性が、5-HT2A受容体を介して作用していることを示す:(A)は、0.1、0.5、又は1mMのボリナンセリン(Vol)で処理され、それに続き、ビヒクル又はE559多形(1μM)のいずれかで処理された皮質ニューロン(DIV3)のトレースを示す:(B)は、図20Aの処理されたニューロンのショール交差の総数を示す;(C)は、図20Aの処理されたニューロンの総樹状突起分枝長(total dendritic arbour length)を表す。
図21図21A/Bは、E559多形の反復投与が、インビトロで耐性を誘導しないことを示す。(A)は、「E559多形」が、BRETベースのβ-アレスチン2動員アッセイを用いる5-HT2A受容体で、DOI及びLSD活性と比較して、β-アレスチン2の弱い動員因子(recruiter)であることを示すグラフである(実施例8に記載);(B)は、LSD、DOI、及び5-HTによる強力な5-HT2A受容体の内部移行とは対照的に、E559多形が、弱い内部移行のみを示すことを示すグラフである。
図22図22は、E559多形での反復処置が、DOIの反復投与による著しい耐性誘導性と比較して、インビボで耐性を誘導しない(マウスにおいてHTRモデルを使用)ことを示すグラフである。
図23図23A図23Dは、E559多形が、慢性ストレス動物モデルにおいて抗うつ/抗不安活性を示すことを示す:(A)は、自己グルーミングスプラッシュ試験の試験設計を示す;(B)は、E559多形での処置を受けた雌のマウスによるオープンフィールドでの移動距離を表す:(C)は、図23Bのマウスのオープンフィールドの中央で過ごした時間を表す;(D)は、スプラッシュ試験において、図23Aに記載されているような処置を受けた雌のマウスが自己グルーミングして過ごした時間を示す。横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表し、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。
図24図24A図24B:は、図23に記載した実験の28日後のE559多形の長期的な抗うつ及び抗不安作用を示す:(A)CVSの、OFTにおける中央での時間を減少させる作用は、最後のE559多形処置の28日後に(E559多形の急性作用と類似のレベルで)反転したままであった、CVS-生理食塩水対CVS-E559多形4×1mg/kg **p=0.0052;(B)は、スプラッシュ試験において、図23Aで示された最後のE559多形処置の28日後に雌のマウスが自己グルーミングして過ごした時間を表す。
図25図25A図25Gは、E559多形が、急性ストレス動物モデルにおいて抗うつ/抗不安活性を示すことを示す:(A)は、雌/雄のマウス(n=10/群/性別)が、E559多形又はビヒクル(生理食塩水)でのIP注射による処置を受け、それに続き、処置の24時間後にオープンフィールド及び強制水泳試験を行った試験設計を表す;(B)及び(E)は、それぞれ、雌及び雄のマウスでのビヒクル又はE559多形の24時間後のオープンフィールド試験での総移動距離を表す;(C)及び(F)は、それぞれ、雌及び雄のマウスによるオープンフィールドの中央での時間を表す;(D)及び(G)は、それぞれ、雌及び雄のマウスにおける強制水泳試験の最後の4分間の無動時間を表す。横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表し、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。
図26図26A図26Dは、実施例14の試験を用いて、E559多形が、インビボで5-HT2A受容体の関与を伴う抗うつ/抗不安作用を示すことを示す。(A)ボリナンセリンでの事前処置は、雌のマウスにおけるFSTにおいてE559多形によって誘導される無動の減少を阻止した;(B)ボリナンセリン前処置は、雌のマウスにおけるFSTにおいてE559多形によって誘導される無動の減少を阻止した;(C)及び(D)ボリナンセリン又はボリナンセリン及びE559多形の組合せは、雌又は雄のマウスにおけるOFTにおいて自発運動に影響を及ぼさなかった。
図27図27は、ラット神経部分損傷(SNI)モデルにおけるフォン・フレイフィラメントを用いる外科的処置後の第7日におけるE559多形、ビヒクル、又はガバペンチンの単回投与処置後の疼痛反応評価結果を示すグラフである。E559多形は、神経障害性疼痛モデルにおいて単回の投与で強力な鎮痛活性を示す。
図28図28は、外科的処置後第7日に開始されたE559多形、ビヒクル、又はガバペンチンの複数投与処置後疼痛反応評価結果を示すグラフである。E559多形は、神経障害性疼痛モデルにおいて反復投与で強力な鎮痛活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(態様/実施態様の詳細な説明)
本明細書で使用される、「発明」又は「本発明」という用語は、非限定的な用語であり、特定の発明のいずれかの単一の態様を意味することが意図されるものではなく、明細書及び特許請求の範囲に記載されているような全ての可能な態様を包含する。
【0022】
本明細書において触れられた刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は全て、その全体が引用により組み込まれる。本明細書で述べられる刊行物及び出願は、本出願の出願日の前にそれらが開示されていることのみを理由として提供される。本発明が、先行発明を理由としてそのような刊行物に先行するする資格がないことを認めるものとして解釈されるべき事項は、本明細書に存在しない。加えて、材料、方法、及び例は、単に例示的なものであるにすぎず、限定するものであることは意図されない。
【0023】
不一致の場合には、定義を始めとして本明細書が、優先されるものとする。別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、本明細書の主題が属する分野の通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、よく用いられる辞書で定義されるものなどの用語が、関連性のある技術及び本開示の文脈でのそれらの意味と整合性のある意味を有するものと解釈されるべきであり、かつ本明細書で明示的にそう定義されている場合を除き、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されるものではないことが理解されるであろう。
【0024】
「一実施態様」、「実施態様」、「好適な実施態様」、又は語「実施態様」に言及する任意の他の句への言及は、当該実施態様に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、当該開示の少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味し、また、ある実施態様に関連して記載される任意の特定の特徴、構造、又は特性を、任意の実施態様に含めることができ、又は任意の実施態様から省く又は排除することができることを意味する。本明細書のさまざまな場所での句「一実施態様において」の出現は、必ずしもその全てが、同一の実施態様を意味しているわけではなく、他の実施態様と相互に排他的な別々の又は代替の実施態様でもない。さらに、一部の実施態様では示され、かつ別の一部の実施態様では示されずに任意の実施態様から省かれ得るさまざまな特徴が記載される。さらに、本明細書に記載される任意の特定の特徴、構造、又は特性は、自由選択であり得る。同様に、一部の実施態様では要件であるが、別の実施態様では要件ではない可能性のあるさまざまな要件が記載される。適切な場合には、本発明の一態様又は実施態様との関連で本明細書において述べられる特徴のいずれかを、本発明の別の態様又は実施態様に適用し得る。同様に、適切な場合には、本発明の一態様又は実施態様との関連で本明細書において述べられる特徴はいずれも、本発明の当該態様もしくは実施態様又は本明細書で検討又は開示される本発明の任意の他の態様又は実施態様に関して自由選択であり得、かつ/又はそれらから省かれる。
【0025】
(定義)
別途示されない限り、このセクション及び他のセクションに記載される定義及び実施態様は、当業者によって理解されるであろうようにそれらが適したものである本明細書に記載される本出願の全ての実施態様及び態様に適用可能であることが意図される。
【0026】
全ての量が、おおよそのものである、説明のために提供されることを理解すべきである。本明細書に記載されるものに類似又は均等の方法及び材料を、本出願の実践又は試験に使用することができるが、適当な方法及び材料は、以下に記載される。
【0027】
本出願の範囲を理解するにあたり、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記/該(the)」は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図される。さらに、本明細書で使用される「を含む(comprising)」という用語及びその派生語は、例えば、記載される特徴、要素/元素(element)、化合物/分子、成分/構成要素(component)、基/群(group)、インテジャー(integer)、及び/又は工程の存在を明示するが、例えば、他の記載されていない特徴、要素/元素、化合物/分子、成分/構成要素、基/群、インテジャー及び/又は工程の存在を排除しないオープン・エンドの用語であることが意図される。前述の事項は、「を含む(including)」、「を有する(having)」という用語及びそれらの派生語などの類似の意味を有する語にもあてはまる。
【0028】
ある特定の、例えば、特徴、要素/元素、化合物/分子、成分/構成要素、基/群、インテジャー、及び/又は工程「を含む(comprising)」ものとして記載される態様はいずれも、「からなる(consist of)」又は「本質的に~からなる(consist essentially of)」でもあることが理解されるであろう。ここで、「からなる」は、クローズ・エンドの又は限定的な意味を有し、「本質的に~からなる」は、例えば、明記され記載される特徴、要素/元素、化合物/分子、成分/構成要素、基/群、インテジャー、及び/又は工程を含むが、不純物として存在する材料、例えば、記載される特徴、要素/元素、化合物/分子、成分/構成要素、基/群、インテジャー、及び/又は工程を提供するために用いられるプロセスの結果として存在する不可避材料、並びに本発明の技術的な効果を達成すること以外の目的のために加えられる成分/構成要素以外の他の成分/構成要素は除くことを意味する。例えば、句「本質的に~からなる」を用いて定義される組成物は、任意の公知の許容し得る添加剤、賦形剤、希釈剤、担体などを包含する。通常、本質的に成分のセットからなる組成物は、5重量%未満、典型的には、3重量%未満、より典型的には、1%未満、及びさらにより典型的には0.1重量%未満の明示されていない成分を含むであろう。
【0029】
本明細書で使用される「実質的に(substantially)」、「約(about)」、及び「約/おおよそ(approximately)」などの程度の用語は、最終結果が顕著に変更されないような修飾された用語の妥当な量の逸脱を意味する。これらの程度の用語は、この逸脱が、それが修飾する後の意味を否定しないのであれば、修飾されている用語の少なくとも±5%の逸脱を含むものとして解釈されるべきである。
【0030】
略語「e.g.(例えば)」は、ラテン語のexempli gratiaに由来し、本明細書では、非限定的な例を示すのに使用される。従って、略語「e.g.(例えば)」は、「for example(例えば)」という用語と同義語である。
【0031】
句「など(such as)」は、「例えば、~を含む(for example, including)」と解釈されるべきである。
【0032】
本明細書で使用される「及び/又は(and/or)」という用語は、記載された項目が、個別に又は組合せて存在する又は用いられることを意味する。実際上、この用語は、記載される項目のうち「の少なくとも1つ」又は「1つ以上」が、用いられる又は存在することを意味する。
【0033】
句「のうちの少なくとも1つ」は、1つ以上であると理解されている。句「…及び…のうちの少なくとも1つ(at least one of ... and ...)」は、明示的に記載されていない場合、記載された要素のうちの少なくとも1つ又はそれらの組合せを意味するよう理解される。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、A単独又はB単独又はC単独又はA及びBの組合せ又はA及びCの組合せ又はB及びCの組合せ又はA、B、及びCの組合せを意味するよう理解される。「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、及びCのうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つ」は、Aのうちの少なくとも1つ単独又はBのうちの少なくとも1つ単独又はCのうちの少なくとも1つ単独又はAのうちの少なくとも1つ及びBのうちの少なくとも1つの組合せ又はAのうちの少なくとも1つ及びCのうちの少なくとも1つの組合せ又はBのうちの少なくとも1つ及びCのうちの少なくとも1つの組合せ又はAのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、及びCのうちの少なくとも1つの組合せを意味するよう理解される。
【0034】
「最大で(up to)」、「少なくとも(at least)」、「を超える(greater than)」、「未満(less than)」、及び類似のものなどの言い回しは全て、記載された数値を含み、それに続き範囲及び部分範囲に分解できることができる範囲を意味する。範囲は、各個の成員を含む。従って、例えば、1~3個の成員を有する基は、1、2、又は3個の成員を有する基を意味する。同様に、6個の成員を有する基は、1、2、3、4、又は6個の成員を有する基を意味し、他も同様である。
【0035】
法動詞「may(し得る/してもよい)」は、いくつかの記載される実施態様又はそれに含まれる特徴のうちの1つ以上の選択肢又は選択の好適な使用又は選択を意味する。特定の実施態様又はそれに含まれる特徴に関する選択肢又は選択が開示されていない場合、法動詞「may(し得る/してもよい)」は、記載される実施態様又はそれに含まれる特徴の作製又は使用法及び態様に関する肯定的な行為、又は記載される実施態様又はそれに含まれる特徴に関する特定の技術を使用することの明確な決定を意味する。この後者の文脈では、法動詞「may」は、助動詞「can」と同じ意味及び言外の意味を有する。
【0036】
本明細書で使用される、「減少させる(reduce)」、「低減させる(decrease)」、「少なくする(lessen)」という用語及び類似の用語は、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約35%、約50%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%の、又はそれを超える低減を意味する。
【0037】
本明細書で使用される、「向上させる(improve)」、「増加させる(increase)」、「増強する(enhance)」という用語、及び類似の用語は、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約50%、約75%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、約500%の、又はそれを超える増加を示す。
【0038】
疾患及び障害は、米国精神医学会(the American Psychiatric Association)によって公開されている精神疾患の診断・統計マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders; DSM-5)に、又は世界保健機関(the World Health Organization)によって公開されている国際疾病分類(International Classification of Diseases; ICD)に記載されているように定義される。
【0039】
本明細書で使用される、「実質的に非幻覚誘発性の」もしくは「実質的な幻覚を伴わない」という句、又は類似の記載は、LSDと比較して、検出不可能なレベルの幻覚誘発性、又は著しく減少した幻覚誘発性の強度、又は著しく減少した幻覚誘発性の期間のいずれかとなるまでの幻覚誘発性の減少を示す誘導体を意味し、ここで、著しくは、動物モデルにおいてLSDでみられる幻覚誘発活性又はそのサロゲート測定値とすると比較して誘導体の幻覚誘発活性の≧50%の減少を意味するものとする。幻覚は、サイケリック薬(psychelic drug)の投与時にヒト対象によって経験される催幻覚的/精神病模倣(psychomimetic)作用である。マウスモデルでは、マウスにおける首振り反応(head-twitch response)が、ヒトにおける化合物の幻覚誘発活性の最も信頼できる動物サロゲートであると考えられている(Halbertstad ALらの文献、Neuropharmacology, Volume 167, 1 May 2020, 107933; Adam L. Halberstadt及びMark A. Geyerの文献、Psychopharmacology (Berl). 2013 Jun; 227(4))。
【0040】
本明細書で使用される、「有効量」又は「治療有効量」(本明細書では互換的に使用される)という句は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって求められている組織、系、動物、又はヒトの診断的、生物学的、又は医学的な反応を誘発するであろう本明細書に記載される組成物又は製剤の量を意味する。
【0041】
本明細書で使用される、「調節する」という用語は、低減させることもしくは阻害すること及び/又は増加させることもしくは増強することを意味する。
【0042】
本明細書で使用される、「対象」は、「患者」又は「個体」と交換可能であり得、治療を必要とするヒト又は非ヒト動物であり得る動物を意味する。
【0043】
本明細書で使用される、「それを必要としている対象」という用語は、本明細書で開示される化合物又は医薬組成物が、治療用薬剤として利用される場合に、該化合物又は医薬組成物のいずれかで治療することができるヒト又は非ヒト対象を意味する。
【0044】
本明細書で使用される、「医薬として許容し得る」は、ヒトに投与される場合に、生理学的に容認でき、かつ胃の不調、めまいなどのアレルギー性の有害反応又は類似の有害反応を通常生じさせない材料及び組成物を意味する。通常、本明細書で使用される場合、「医薬として許容し得る」という用語は、動物における使用のため、より特定的には、ヒトにおける使用のために、連邦政府又は州政府の規制当局によって承認されていること又は米国薬局方又は他の一般に認められている薬局方に収載されていることを意味する。
【0045】
本明細書で使用される「医薬として許容し得る塩」という句は、本組成物において用いられる化合物中に存在し得る酸性基又は塩基性基の塩を含むが、これらに限定されない。塩基性の性質である本組成物に含まれる化合物は、さまざまな無機酸及び有機酸と多様な塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の医薬として許容し得る酸付加塩を調製するのに用いられ得る酸は、無毒性の酸付加塩、すなわち、これらに限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩[すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸)塩]などの薬理学的に許容し得る陰イオンを含む塩を形成する酸である。アミノ部位を含む本組成物に含まれる化合物は、上で言及した酸に加えて、さまざまなアミノ酸と医薬として許容し得る塩を形成し得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「医薬として許容し得る担体」という用語は、固体又は液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤(dispersible granule)が挙げられる。固体担体は、希釈剤、香味剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤(tablet disintegrating agent)、又はカプセル化材料としても働き得る1種以上の物質とすることができる。散剤では、担体は、微粉化した活性成分との混合物中にある微粉化固体である。錠剤では、活性成分(複数化)が、必要な結合特性を有する担体と適当な比率で混合され、所望の形状及びサイズで圧縮成形される。液体形態調製物としては、溶液剤、懸濁剤、及び乳濁剤、例えば、水又は水プロピレングリコール溶液剤が挙げられる。非経口注射用に、液体製剤を、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液剤に製剤化することができる。経口での使用に適した水溶液は、活性成分を水中に溶解させ、所望により、適当な着色料、香料、安定化剤、及び増粘剤を添加することによって調製することができる。経口での使用に適した水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を天然又は合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び他の周知の懸濁化剤などの粘稠な材料と共に水に分散させることによって作製することができる。
【0047】
本明細書で使用される、「治療用薬剤」は、対象を治療するためにそれを とする(in thereof)対象に投与することである任意の薬剤を意味し得る。治療用薬剤は、例えば、該薬剤が、OATの生物活性を阻害して、グルタミン酸又はグルタミンの合成を触媒する、オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT)の生物活性を調節する薬剤を意味し得る。治療用薬剤は、例えば、該薬剤が、GABA-ATの生物活性を阻害して、GABAをコハク酸セミアルデヒド(SSA)へと分解する、γ-アミノ酪酸アミノトランスフェラーゼ(GABA-AT)の生物活性を調節する薬剤を意味し得る。治療用薬剤としては、本明細書で開示される小分子又は化合物が挙げられるが、これらに限定されない。治療用薬剤としては、本明細書で開示される小分子又は化合物を含む医薬組成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「結合剤」又は「賦形剤」という用語は、凝集性の品質を粉末化材料に付与するのに用いられる薬剤を意味する。結合剤は、時には「造粒剤(granulator)」としても知られるが、粘着性を錠剤の製剤に付与し、これは、錠剤が圧縮後に損なわれないままでいること、及び所望の硬度及びサイズの顆粒剤の製剤化によって自由流動性の品質を向上させることを確実とする。結合剤としてよく使用される材料としては、デンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、ブドウ糖、糖蜜、及びラクトースなどの糖類;アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トチャカ抽出物、パンワールガム(panwar gum)、ガティガム、イサポールハスクの粘液(mucilage of isapol husks)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビーガム、微結晶性セルロース、微結晶性ブドウ糖、アミロース、及びカラマツアラボガラクタンなどの天然及び合成ゴムなどが挙げられる。「賦形剤」は、希釈剤として又は形状又は一貫性を製剤に与えるために使用される本質的に不活性な物質を意味する。一般に、賦形剤は、活性な物質以外の患者によって摂取される又は患者に投与される医薬形態の成分として定義され得る;例えば、Annex of Directive 2001/83/ECを参照されたい。また、ある賦形剤は、崩壊剤としても働く場合があり、すなわち、これは、体液に曝露された際に固体の医薬組成物の分散を支援する。
【0049】
本明細書で使用される、「希釈剤」は、製剤の嵩を増して、錠剤を、圧縮するのに実用的なサイズとするために添加される不活性物質である。よく使用される希釈剤としては、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、粉糖、及びシリカなどが挙げられる。
【0050】
「単位剤形」という用語は、各ユニットが、所定の量のLSA誘導体(その医薬として許容し得る塩を含む)を含有する丸剤、錠剤、カプレット、硬質カプセル剤、又は軟質カプセル剤などの、単位投薬量として適した物理的に個々に分離した単位を意味する。「硬質カプセル剤」によって、固体又は液体の薬物及び賦形剤のペイロードを運搬することができる2つの部分からなるカプセル型の容器を形成する膜を含むカプセル剤が意味される。「軟質カプセル剤」によって、液体又は半固体の薬物及び賦形剤のペイロードを運搬する単一の容器として成型されたカプセル剤が意味される。
【0051】
本明細書で使用される「徐放性(extended release)」、「制御放出(controlled release)」又は「持続放出(sustained release)」という用語は、互換的に、例えば、その多形を含むリゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)の誘導体を、それがある期間にわたって体によって吸収されて、同じ投薬レベルで投与される即時放出製剤の投与で観察されるものと比較して、t1/2 を増加させCmaxを低下させるようにその製剤から放出する様式を意味する。活性薬剤の徐放性製剤は、活性成分が、コーティングからゆっくりかつ定期的に浸出(leeche)するように、例えば、体が溶解させるのが遅い物質のウェブに活性薬剤を埋め込むことによって、又は活性薬剤を膨張させて、ほぼ非透過性の表面を有し、薬物が、半透過性の層からゆっくりと出ていくゲルを生成させることによって達成され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「乾燥重量」という用語は、試料から液体を全て、又は実質的に全て除去した後の試料の質量の測定値を意味する。一実施態様において、液体を除去することは、脱水すること、加熱すること、撹拌すること、濾過すること、及び/又は液体の水に適した任意の他の方法を含む。一実施態様において、乾燥重量は、ポンドで測定される。一実施態様において、乾燥重量は、オンスで測定される。一実施態様において、乾燥重量は、グラム、例えば、ミリグラム、キログラムなどで測定される。
【0053】
本明細書で使用される、「乾燥粉末」という用語は、微粒子で構成され、かつ液状物質をほとんど又は全く含まない物質を意味する。
【0054】
本明細書で使用される、「質量パーセント」、「質量パーセント」、「質量%」という用語などは、試料の総質量を基準とした百分率としての化合物の量を意味する。一実施態様において、質量パーセントは、対象となる化合物に関する以下の式で計算される:(対象となる化合物のグラムでの質量/(組成物のグラムでの総質量)×100%。
【0055】
「精製された」という用語は、80%~100%の純度である化合物を意味し、前記化合物が、組成物の総質量の80%~100%を占めることを意味する。一実施態様において、「精製された」という用語は、90%~100%の純度の化合物を意味し、それは、化合物が、組成物の総質量の90%~100%を占めることを意味する。一実施態様において、「精製された」という用語は、95%~100%の純度の化合物を意味し、これは、該化合物が、組成物の総質量の95%~100%を占めることを意味する。一実施態様において、「精製された」という用語は、99%~100%の純度の化合物を意味し、これは、該化合物が、組成物の総質量の99%~100%を占めることを意味する。
【0056】
一実施態様において、「精製された」という用語は、約99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、又は99.9%~100%の純度の化合物を意味し、99.9%~100%の純度とは、該化合物が、組成物の総質量99.9%~100%を占めることを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、「実質的に純粋」という用語は、本明細書に記載される化合物又は複合体の多形、結晶形態、又は固体形態を記述するのに用いられる場合、特定の多形を含み、かつ該化合物の他の多形形態及び/又はアモルファス形態を実質的に含まない化合物又は複合体の固体形態を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、化合物を「実質的に含まない」組成物とは、該組成物が、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、又は約1重量%未満の該化合物を含有することを意味する
【0059】
本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、「安定な」という用語は、容易に分解しない又は化学的組成や物理的状態に関して変化しない化合物又は組成物を意味する。本明細書で提供される安定な組成物又は製剤は、通常の生産又は保存条件下で著しく分解しない。いくつかの実施態様において、「安定な」という用語は、製剤又は剤形に関連して用いられる場合、製剤又は剤形の活性成分が、指定された長さの時間化学的組成や物理的状態に関して変化しないままであり、かつ著しく分解したり凝集したりせず、その他の点で変化することもない(例えば、例えば、HPLC、FTIR、又はXRPDによって決定される)ことを意味する。いくつかの実施態様において、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、又は約99%以上の化合物が、指定された期間の後に変化しないままである。一実施態様において、本明細書で提供される多形は、長期保存しても安定である(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、36、42、48、54、60か月、又は約60か月超後に多形形態の著しい変化はない)。
【0060】
本明細書で含まれるとして定義される任意の構成要素を、但し書又は否定的限定によって特許請求される発明から明示的に排除し得ることが理解されるであろう。
【0061】
また、本明細書において与えられる範囲は全て、当該範囲の終点を含み、また明示的に記載されているか否かを問わず任意の中間範囲の点も含む。
【0062】
特定の官能基及び化学用語の定義が、以下でより詳細に説明される。化学元素は、CAS版、化学及び物理のハンドブック(CAS version, Handbook of Chemistry and Physics)、第75版の表紙裏の元素の周期表(the Periodic Table of the Elements)に従って特定され、具体的な官能基は、一般に、そこに記載されているように定義される。さらに、有機化学の一般原理並びに具体的な機能性部位及び反応性は、Thomas Sorrellの文献、「有機化学(Organic Chemistry)」、University Science Books, Sausalito, 1999; Smith及びMarchの文献、「マーチの上級有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)」,第5版, John Wiley & Sons社, New York, 2001; Larockの文献、「網羅的な有機変換(Comprehensive Organic Transformations)」、VCH Publishers社, New York, 1989;及びCarruthersの文献、「有機合成の近代的方法(Some Modern Methods of Organic Synthesis)」、第3版、Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0063】
化合物の術語に関して、一般に、水素又はHなどの特定の元素への言及は、適切な場合、該元素の全ての同位体を含むことを意図している。
【0064】
単独で又は「ハロアルキル基」及び「アルキルアミノ基」などの他の用語の中でのいずれかで「アルキル基」という用語が用いられる場合、それは、例えば、1~約20個の炭素原子又は、具体的な実施態様において、1~約12個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状炭素ラジカルを包含する。別の実施態様において、アルキル基は、1~約6個の炭素原子を有する「低級アルキル基」である。そのような基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシルなどが挙げられるが、それらに限定されない。より具体的な実施態様において、低級アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する。
【0065】
「アルケニル基」という用語は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分岐状炭素ラジカルを包含する。「アルケニル基」という用語は、共役及び非共役炭素-炭素二重結合又はそれらの組合せを包含し得る。アルケニル基は、例えば、これらに限定されることはないが、2個~約20個の炭素原子又は、特定の実施態様において、2個~約12個の炭素原子を包含し得る。実施態様において、アルケニル基は、2個~約4個の炭素原子を有する「低級アルケニル」基である。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニル、及び4-メチルブテニルが挙げられるが、それらに限定されない。「アルケニル基」及び「低級アルケニル基」という用語は、「cis」及び「trans」配向性、あるいは、「E」及び「Z」配向性を有する基を包含する。
【0066】
「アルキニル基」という用語は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖状又は分岐状炭素ラジカル意味する。「アルキニル基」という用語は、共役及び非共役炭素-炭素三重結合又はそれらの組合せを包含し得る。アルキニル基は、例えば、これらに限定されることはないが、2個~約20個の炭素原子又は、特定の実施態様においては、2個~約12個の炭素原子を包含し得る。実施態様において、アルキニル基は、2個~約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」基である。いくつかの例は、2個~約4個の炭素原子を有する低級アルキニル基である。そのような基の例としては、プロパルギル、ブチニルなどが挙げられる。
【0067】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子などのハロゲンを意味する。
【0068】
「ハロアルキル基」という用語は、前記アルキル炭素原子のいずれか1つ以上が、上で定義されたハロで置換されている基を包含する。具体的には、モノハロアルキル基、ジハロアルキル基、及びパーハロアルキル基を含むポリハロアルキル基が包含される。モノハロアルキル基は、一例として、基の中にヨード、ブロモ、クロロ、又はフルオロ原子を有し得る。ジハロ及びポリハロアルキル基は、2つ以上の同じハロ原子又は異なるハロ基の組合せを有し得る。「低級ハロアルキル基」は、1~6個の炭素原子を有する基を包含する。いくつかの実施態様において、低級ハロアルキル基は、1~3個の炭素原子を有する。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、及びジクロロプロピルが挙げられる。
【0069】
「ヒドロキシアルキル基」という用語は、例えば、これらに限定されることはないが、1~約10個の炭素原子を有し、そのうちの任意の1つが、1つ以上のヒドロキシル基で置換され得る、直鎖状又は分岐状アルキル基を包含する。実施態様において、ヒドロキシアルキル基は、1~6個の炭素原子及び1個以上のヒドロキシル基を有する「低級ヒドロキシアルキル」基である。そのような基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、及びヒドロキシヘキシルが挙げられる。
【0070】
「アルコキシ基」という用語は、それぞれが、例えば、これらに限定されることはないが、1~約10個の炭素原子のアルキル部分を有する直鎖状又は分岐状含オキシ基を包含する。実施態様において、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」基である。そのような基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。ある実施態様において、低級アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を有する。「アルコキシ」基は、フルオロ、クロロ、又はブロモなどの1個以上のハロ原子でさらに置換されて、「ハロアルコキシ」基を提供してもよい。別の実施態様において、低級ハロアルコキシ基は、1~3個の炭素原子を有する。そのような基の例としては、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、及びフルオロプロポキシが挙げられる。
【0071】
「芳香族基」又は「アリール基」という用語は、1個以上の環を有しており、そのような環が、ペンダント様式(pendent manner)で共に結合していてもよく又は縮合されていてもよい、芳香族基を意味する。特定の実施態様において、芳香族基は、1、2、又は3個の環である。単環式芳香族基は、環内に4~10個の炭素原子、典型的には、4~7個の炭素原子、及び、より典型的には、4~6個の炭素原子を含有していてもよい。典型的な多環式芳香族基は、2又は3個の環を有する。2~3個の環を有する多環式芳香族基は、通常、環内に8~16個の炭素原子、好ましくは、8~14個の炭素原子を有する。芳香族基の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、又はアセナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素以外の原子を意味する。通常、ヘテロ原子は、硫黄、リン、窒素、及び酸素原子からなる群から選択される。2以上のヘテロ原子を含有する基は、異なるヘテロ原子を含有していてもよい。
【0073】
「ヘテロ芳香族基」又は「ヘテロアリール基」という用語は、1個以上の環を有する芳香族基であって、そのような環が、ペンダント様式で共に結合していてもよく又は縮合されていてもよく、該芳香族基が、少なくとも1つのヘテロ原子を有する、前記芳香族基を意味する。単環式ヘテロ芳香族基は、環内に4~10個の成員原子、典型的には、4~7個の成員原子、及び、より典型的には、4~6個の成員原子を含有していてもよい。典型的な多環式ヘテロ芳香族基は、2又は3個の環を有する。2~3個の環を有する多環式芳香族基は、通常、8~16個の成員原子、より典型的には、8~14個の成員原子を環内に有する。ヘテロ芳香族基の例としては、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フラン、チオフェン、トリアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
「炭素環式基」という用語は、飽和又は不飽和の炭素環式炭化水素環を意味する。炭素環式基は、芳香族ではない。炭素環式基は、単環式又は多環式である。多環式炭素環式基は、縮合、スピロ、又は架橋環系とすることができる。単環式炭素環式基は、4~10個の炭素原子、典型的には、4~7個の炭素原子、及び、より典型的には、5~6個の炭素原子を環内に含有していてもよい。二環式炭素環式基、8~12個の炭素原子、典型的には、9~10個の炭素原子を環内に含有していてもよい。
【0075】
「ヘテロ環式基」という用語は、炭素原子及び1個以上のヘテロ原子を環内に含有する飽和又は不飽和の環構造を意味する。ヘテロ環式基は、芳香族ではない。ヘテロ環式基は、単環式又は多環式である。多環式ヘテロ環式基は、縮合、スピロ、又は架橋環系とすることができる。単環式ヘテロ環式基は、4~10個の成員原子(すなわち、炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子の双方を含む)、典型的には、4~7個、より典型的には、5~6個の成員原子を環内に含有していてもよい。二環式ヘテロ環式基は、8~18個の成員原子、典型的には、9又は10個の成員原子を環内に含有していてもよい。代表的なヘテロ環式基としては、一例として、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、1,4-ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、3-ピロリンなどが挙げられる。
【0076】
「混成基(heterogeneous group)」という用語は、炭素原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の鎖を意味する。混成基は、通常、1~25個の成員原子を有する。より典型的には、当該鎖は、1~12個の成員原子、1~10個、最も典型的には、1~6個の成員原子を含有する。鎖は、直鎖状又は分岐状であり得る。典型的な分岐状混成基は、は、1又は2個の枝、より典型的には、1個の枝を有する。通常、混成基は、飽和である。不飽和混成基は、1個以上の二重結合、1個以上の三重結合、又は双方を有し得る。典型的な不飽和混成基は、1又は2個の二重結合又は1個の三重結合を有する。より典型的には、不飽和混成基は、1個の二重結合を有する。
【0077】
「炭化水素基」又は「ヒドロカルビル基」という用語は、炭素原子の鎖を意味する。ある態様において、この用語は、1~25個の炭素原子、典型的には、1~12個の炭素原子、より典型的には、1~10個の炭素原子、最も典型的には、1~8個の炭素原子を含む。炭化水素基は、直鎖状又は分岐状鎖構造を有し得る。典型的な炭化水素基は、1又は2個の枝、典型的には、1個の枝を有する。炭化水素基は、飽和、不飽和、共役、非共役、及びそれらの組合せを包含する。不飽和炭化水素基は、1個以上の二重結合、1個以上の三重結合、又はそれらの組合せを有し得る。
【0078】
「不飽和の」という用語が、任意の基に関連して用いられる場合、当該基は、完全不飽和であっても、部分不飽和であってもよい。しかしながら、「不飽和の」という用語が、本明細書で定義される特定の基に関連して用いられる場合、当該用語は、当該特定の基の限定を維持する。例えば、不飽和の「炭素環式基」は、本明細書で定義される「炭素環式基」の限定に基づいて、芳香族基を包含しない。
【0079】
「カルボキシ基」又は「カルボキシル基」という用語は、単独で用いられる場合であれ、「カルボキシアルキル基」など他の用語とともに用いられる場合であれ、-(C=O)-O-を意味する。
【0080】
「カルボニル基」という用語は、単独で用いられる場合であれ、「アミノカルボニル基」など他の用語とともに用いられる場合であれ、-(C=O)-を意味する。
【0081】
「アルキルカルボニル基」という用語は、アルキル基で置換されているカルボニル基を意味する。ある実施態様において、「低級アルキルカルボニル基」は、カルボニル基に結合した上述の低級アルキル基を有する。
【0082】
「アミノアルキル基」という用語は、1~約10個の炭素原子を有し、そのうちのいずれか1つが、1個以上のアミノ基で置換され得る直鎖状又は分岐状アルキル基を包含する。いくつかの実施態様において、アミノアルキル基は、1~6個の炭素原子及び1個以上のアミノ基を有する「低級アミノアルキル」基である。そのような基の例としては、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、及びアミノヘキシルが挙げられる。
【0083】
「アルキルアミノアルキル基」という用語は、独立に、アルキル基で置換された窒素原子を有するアミノアルキル基を包含する。ある実施態様において、アルキルアミノアルキル基は、1~6個の炭素原子のアルキル基を有する「低級アルキルアミノアルキル」基である。別の実施態様において、低級アルキルアミノアルキル基は、1~3個の炭素原子のアルキル基を有する。適当なアルキルアミノアルキル基は、N-メチルアミノメチル、N、N-ジメチル-アミノエチル、N、N-ジエチルアミノメチルなどのモノ又はジアルキル置換されたものであり得る。
【0084】
「アラルキル基」という用語は、アリール置換アルキル基を包含する。実施態様において、アラルキル基は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基に結合したアリール基を有する「低級アラルキル」基である。別の実施態様において、低級アラルキル基フェニルは、1~3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合している。そのような基の例としては、ベンジル、ジフェニルメチル、及びフェニルエチルが挙げられる。前記アラルキル内のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、及びハロアルコキシでさらに置換されていてもよい。
【0085】
「アリールアルケニル基」という用語は、アリール置換アルケニル基を包含する。実施態様において、アリールアルケニル基は、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基に結合したアリール基を有する「低級アリールアルケニル」基である。そのような基の例としては、フェニルエテニルが挙げられる。当該アリールアルケニル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、及びハロアルコキシでさらに置換され得る。
【0086】
「アリールアルキニル基」という用語は、アリール置換アルキニル基を包含する。実施態様において、アリールアルキニル基は、2~6個の炭素原子を有するアルキニル基に結合したアリール基を有する「低級アリールアルキニル」基である。そのような基の例としては、フェニルエチニルが挙げられる。当該アラルキル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、及びハロアルコキシでさらに置換され得る。用語ベンジル及びフェニルメチルは、交換可能である。
【0087】
「アルキルチオ基」という用語は、二価硫黄原子に結合した、1~10個の炭素原子の直鎖状又は分岐状アルキル基を含有する基を包含する。ある実施態様において、低級アルキルチオ基は、1~3個の炭素原子を有する。「アルキルチオ」の例は、メチルチオ(CH3S-)である。
【0088】
「アルキルアミノ基」という用語は、アルキル基1個及びアルキル基2個で置換されているアミノ基意味し、「N-アルキルアミノ」及び「N,N-ジアルキルアミノ」という用語を含む。実施態様において、アルキルアミノ基は、窒素原子に結合した1~6個の炭素原子のアルキル基を1又は2個有する「低級アルキルアミノ」基である。別の実施態様において、低級アルキルアミノ基は、1~3個の炭素原子を有する。適当な「アルキルアミノ」基は、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどのモノ又はジアルキルアミノであり得る。
【0089】
「アリールアミノ基」という用語は、N-フェニルアミノなどの1又は2個のアリール基で置換されているアミノ基を意味する。「アリールアミノ」基は、当該基のアリール環部分でさらに置換され得る。
【0090】
「ヘテロアリールアミノ」という用語は、N-チエニルアミノなどの1又は2個のヘテロアリール基で置換されているアミノ基を意味する。「ヘテロアリールアミノ」基は、当該基のヘテロアリール環部分でさらに置換され得る。
【0091】
「アラルキルアミノ基」という用語は、1又は2個のアラルキル基で置換されているアミノ基を意味する。別の実施態様において、N-ベンジルアミノなどのフェニル-C1-C3-アルキルアミノ基が存在する。「アラルキルアミノ」基は、当該基のアリール環部分でさらに置換され得る。
【0092】
「アルキルアミノアルキルアミノ基」という用語は、1又は2個のアルキルアミノ基で置換されているアルキルアミノ基を意味する。実施態様において、C1-C3-アルキルアミノ-C1-C3-アルキルアミノ基が存在する。
【0093】
「アリールチオ基」という用語は、二価硫黄原子に結合した6~10個の炭素原子のアリール基を包含する。「アリールチオ」の例は、フェニルチオである。「アラルキルチオ基」という用語は、二価硫黄原子に結合した上述のようなアラルキル基を包含する。ある実施態様において、フェニル-C1-C3-アルキルチオ基が存在する。「アラルキルチオ」の例は、ベンジルチオである。
【0094】
「アリールオキシ基」という用語は、酸素原子に結合した上で定義されたような任意に置換されたアリール基を包含する。そのような基の例としては、フェノキシが挙げられる。
【0095】
「アラルコキシ基」という用語は、酸素原子を介して他の基に結合した含オキシアラルキル基を包含する。ある実施態様において、アラルコキシ基は、上述のような低級アルコキシ基に結合した任意に置換されたフェニル基を有する「低級アラルコキシ」基である。
【0096】
「シクロアルキル基」という用語は、飽和炭素環式基を含む。ある実施態様において、シクロアルキル基は、C3-C6環を含む。実施態様において、シクロペンチル、シクロプロピル、及びシクロヘキシルを含む化合物が存在する。
【0097】
「シクロアルケニル基」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合;共役もしくは非共役、又はそれらの組合せを有する炭素環式基を含む。「シクロアルケニル」及び「シクロアルキルジエニル」化合物は、「シクロアルケニル」という用語に含まれる。ある実施態様において、シクロアルケニル基は、C3-C6環を含む。例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプタジエニルが挙げられる。「シクロアルケニル」基は、低級アルキル、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、低級アルキルアミノなどの置換基を1~3個有し得る。
【0098】
本明細書に記載される基に関連して用いられる「適当な置換基」、「置換基」又は「置換された」という用語は、化学的に許容し得る基、すなわち、発明の化合物の有用性を維持する部位を意味する。本発明の化合物での置換基及び置換パターンが、当業者によって選択されて、化学的に安定でありかつ当技術分野において公知の技術及び以下に記載される方法によって容易に合成することができる化合物を提供し得ることが理解される。置換基それ自体が、2個以上の基で置換されている場合、安定な構造が生じる限りは、これら複数の基が、同じ炭素/成員原子上にあっても異なる炭素/成員原子上にあってもよいことが理解される。一部の適当な置換基を説明する例としては、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、ベンジル、カルボニル、ハロ、ハロアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、メルカプト、アルキルチオ、アルコキシ、アリール又はヘテロアリール、アリールオキシ又はヘテロアリールオキシ、アラルキル又はヘテロアラルキル、アラルコキシ又はヘテロアラルコキシ、HO--(C=O)--、アミド、アミノ、アルキル及びジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルスルホニル、並びにアリールスルホニルが挙げられる。典型的な置換基としては、芳香族基、置換芳香族基、メチル基などのアルキル基を含む炭化水素基、ベンジルなどの置換炭化水素基、及びメトキシ基などのアルコキシ基を含む混成基が挙げられる。
【0099】
「縮合した」という用語は、2つ以上の炭素/成員原子が、2個の隣接する環に共通であることを意味し、例えば、当該環は、「縮合環」である。
【0100】
「脱離基」という用語は、本技術分野においてよく理解されているものであり、ヘテロリシスによる結合の切断において1組の電子と共に離れる分子の断片である。脱離基は、陰イオンである場合も、中性分子である場合もあり、結合のヘテロリシスによって生じる追加の電子密度を安定化することができる。
【0101】
「同位体形態」という用語は、特定の化学元素のバリアントを意味する。所与の元素の同位体は全て、同じプロトン数を共有しており、各同位体は、その中性子数がその他のものと異なる。
【0102】
「溶媒和物」という用語は、通常、加溶媒分解反応によって溶媒と結合している本明細書に記載される化合物の溶媒和物形態を意味する。この物理的結合は、水素結合を含み得る。慣用の溶媒としては、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが挙げられる。本明細書に記載される化合物は、例えば、結晶形態で調製されてもよく、かつ溶媒和されていてもよい。適当な溶媒和物としては、化学量論的溶媒和物及び非化学量論的溶媒和物の双方が挙げられる。ある例では、溶媒和物は、例えば、1個以上の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子内に組み込まれている場合に、単離されることができるであろう。「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能溶媒和物の双方を包含する。代表的な溶媒和物としては、水和物、エタノラート、及びメタノラートが挙げられる。
【0103】
「塩」という用語は、本明細書に記載される化合物上にある特定の置換基に応じて適当な酸又は塩基から調製される化合物の塩を含む。本明細書に記載される化合物が、比較的塩基性の官能基を含む場合、酸性塩を、中性の形態のそのような化合物を十分な量の所望の酸と接触させることにより得ることができる。無機酸性塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸、それらの組合せなどの無機酸から誘導されるものが挙げられる。有機酸性塩の例としては、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの有機酸から誘導されるものが挙げられる。
【0104】
「ヘミ」という用語は、化合物(例えば、式I)の塩の結晶構造内の化合物:酸(有機又は無機を問わない)の比が、それぞれ、1:0.5(又は2:1)であることを意味する。
【0105】
適当な塩の生成に関して、任意の適当な対イオンが生じ得る。「対イオン」又は「アニオン性対イオン」は、静電的中性を維持するために,例えば、カチオン性四級アミノ基と結合した負電荷を持つ基である。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3 -、ClO4 -、OH-、H2PO4 -、HSO4 --BF4-PF6、スルホネートイオン、及びカルボン酸イオンが挙げられる。
【0106】
本明細書に記載される化合物の塩は、本明細書に記載される化合物から合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、適当な溶媒又は溶媒のさまざまな組合せ中で遊離塩基を化学量論量の又は過剰の所望の塩形成性無機又は有機酸と反応させることにより調製される。
【0107】
また、2-ハロ-LSD関連化合物に関して作成された国際純正応用化学連合(IUPAC)命名法は、6及び9位の炭素にキラル中心を示す。しかしながら、本明細書においては、本明細書における構造で確認されるように、ハロ基が2番目の炭素に結合し、2つのキラル炭素を5位及び8位とすることと整合性のあるより普通の付番系が採用されている。また、本明細書で使用される場合、「5aR,8R」、「5aR,8S」、「5aS,8R」、及び「5aS,8S」についての立体中心命名法は、それぞれ、「5R,8R」、「5R,8S」、「5S,8R」、及び「5S,8S」と交換可能である。
【0108】
「誘導体」という用語は、一般に、基準となる分子又は出発分子と比較して何らかのやり方で修飾及び/又は変更されている分子を意味する。
【0109】
「多形」という用語は、化合物(例えば、その塩又は溶媒和物)が、特定の結晶充填配置で結晶化することができる結晶構造を意味する。異なる多形は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光学的及び電気的性質、安定性、並びに/又は溶解度を有する。再結晶化溶媒、結晶化の速度、保管温度、及び他の因子が、1つの多形を支配的とさせる。化合物の多形は、種々の条件下での結晶化によって調製することができる。
【0110】
本明細書が、任意のラセミ形態、光学活性形態、立体異性形態、及び/又は多形形態を包含することを理解すべきである
【0111】
本明細書における変数のいずれかの定義における化学基のリストの記載は、リストに記載された基のうちの任意の単一の基又はその組合せとしての該変数の定義を含む。本明細書における変数についての実施態様の記載は、任意の単一の実施態様としての又は任意の他の実施態様又はその一部との組み合わせでの該実施態様を含む。
【0112】
(リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)-その誘導体及び多形)
LSDの新規誘導体及び多形が提供される。これらは、式Iによって表される。これらの化合物は、所望の生物学的作用を有することが示されており、実質的に非幻覚誘発性であり、耐性を誘導しない。式IのLSDの新規誘導体(複数可)及び多形は、バイオアベイラビリティ、吸湿性、安定性、及び他の性能特性に対して望ましい影響をもたらす望ましい性質(これらに限定されないが、機械的、熱的、物理的、及び化学的性質など)を含む。従って、本発明の化合物は、治療用製品の開発に適している。
【0113】
i)ある実施態様は、式I:
【化19】
(式中:R1~R14はそれぞれ独立に、H又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択され、かつXは、ハロ基から選択される)
の構造を有する化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せを含む。実施態様において、化合物は、結晶性である。より具体的な実施態様において、化合物は、単離された結晶形態である。
【0114】
別の実施態様において、化合物は、式Iの多形を含む。さらなる実施態様において、化合物は、その単一の多形を含む。別の実施態様において、化合物は、その単離された多形である。別の実施態様において、i)化合物は、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーであり;かつ/又はii)結晶性であり、任意に、その多形又はその単一の多形である。
【0115】
さらなる実施態様において、i)化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。これらの実施態様のうちの1つ以上において、化合物は、その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である。実施態様において、化合物は、酸性塩である。該塩は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)から形成され得る。任意の塩の実施態様において、塩は、ヘミ塩(hemisalt)であってもよい。
【0116】
式Iについての選択肢に関して、式Iは、任意の組合せで、上で列挙される及び以下のような任意の適当な実施態様であり得る:
【0117】
式Iの実施態様において、R1~R14はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される。別の実施態様において、R1~R14はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される。さらなる実施態様において、R1~R14はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される。さらなる実施態様において、R1~R14はそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択され;R3、R4、及びR6~R14はそれぞれ、Hであり、かつR5は、メチル基である。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択され;R3、R4、及びR6~R14はそれぞれ、Hであり;かつR5は、メチル基である。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ、エチル基であり;R3、R4、及びR6~R14はそれぞれ、Hであり;かつR5は、メチル基である。
【0118】
式Iのさらなる実施態様において、Xは、ブロモ、クロロ、フルオロ、又はヨードから選択される。別の実施態様において、Xは、ブロモ、クロロ、又はフルオロから選択される。別の実施態様において、Xは、ブロモ又はクロロから選択される。さらに別の実施態様において、Xは、ブロモである。
【0119】
ii)別の実施態様は、式I':
【化20】
(式中:R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される)
の構造を有する化合物、その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ化合物、多形、又はそれらの組合せを含む。実施態様において、化合物は、結晶性である。より具体的な実施態様において、化合物は、単離された結晶形態である。
【0120】
別の実施態様において、化合物は、その多形(複数)を含む。さらなる実施態様において、化合物は、その単一の多形を含む。別の実施態様において、化合物は、その単離された多形である。別の実施態様において、i)化合物は、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーであり;かつ/又はii)結晶性であり、任意に、その多形又はその単一の多形である。
【0121】
さらなる実施態様において、i)化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。これらの実施態様のうちの1つ以上において、化合物は、その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である。典型的な実施態様において、化合物は、酸性塩である。該塩は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)から形成され得る。任意の塩の実施態様において、塩は、ヘミ塩であってもよい。
【0122】
式I'についての選択肢に関して、式I'は、任意の組合せで、上で列挙される及び以下のような任意の適当な実施態様であり得る:
【0123】
式I'の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される。さらなる実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される。さらなる実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ、エチル基である。
【0124】
iii)別の実施態様において、前記化合物は:
【化21】
(式中:R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換の炭化水素基から選択される)
その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、多形、又はそれらの組合せから選択される。実施態様において、化合物は、結晶性である。より具体的な実施態様において、化合物は、単離された結晶形態である。
【0125】
別の実施態様において、化合物は、その多形(複数)を含む。さらなる実施態様において、化合物は、その単一の多形を含む。別の実施態様において、化合物は、その単離された多形である。別の実施態様において、i)化合物は、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーであり;かつ/又はii)結晶性、任意に、その多形もしくはその単一の多形である。
【0126】
さらなる実施態様において、i)化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。これらの実施態様のうちの1つ以上において、化合物は、その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である。典型的な実施態様において、化合物は、酸性塩である。該塩は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)から形成され得る。任意の塩の実施態様において、塩は、ヘミ塩であってもよい。
【0127】
上記選択肢に関して、前記化合物は、任意の組合せで、上で列挙される及び以下のような任意の適当な実施態様であり得る:
【0128】
実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、又は置換もしくは非置換のアルキニル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基、置換もしくは非置換のC2-C6アルケニル基、又は置換もしくは非置換のC2-C6アルキニル基から選択される。さらなる実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、又は置換もしくは非置換のC1-C6アルキル基から選択される。さらなる実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、メチル基、又はエチル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ、エチル基である。
【0129】
iv)別の実施態様において、前記化合物は:
【化22】
その医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物、互変異性体、多形、又はそれらの組合せから選択される。実施態様において、化合物は、結晶性である。より具体的な実施態様において、化合物は、単離された結晶形態である。
【0130】
別の実施態様において、化合物は、その多形(複数)を含む。さらなる実施態様において、化合物は、その単一の多形を含む。別の実施態様において、化合物は、その単離された多形である。別の実施態様において、i)化合物は、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーであり;かつ/又はii)結晶性であり、任意に、その多形又はその単一の多形である。
【0131】
さらなる実施態様において、i)化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。これらの実施態様のうちの1つ以上において、化合物は、その医薬として許容し得る塩、水和物、及び/又は溶媒和物である。典型的な実施態様において、化合物は、酸性塩である。該塩は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)から形成され得る。任意の塩の実施態様において、塩は、ヘミ塩であってもよい。
【0132】
v)別の実施態様において、前記化合物は:
【化23】
又はそれらの組合せから選択される2-ブロモ-LSD酸性塩である。実施態様において、化合物は、結晶性である。より具体的な実施態様において、化合物は、単離された結晶形態である。
【0133】
別の実施態様において、化合物は、その多形(複数)を含む。さらなる実施態様において、化合物は、その単一の多形を含む。別の実施態様において、化合物は、その単離された多形である。別の実施態様において、i)化合物は、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーであり;かつ/又はii)結晶性であり、任意に、その多形又はその単一の多形である。
【0134】
さらなる実施態様において、i)化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。酸は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸、亜リン酸s、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)であり得る。任意の塩の実施態様において、塩は、ヘミ塩であってもよい。
【0135】
vi)具体的な実施態様において、化合物は、2-ブロモ-LSD酸性塩:
【化24】
又はそれらの組合せから選択され得る。別の実施態様において、化合物は、その多形である。実施態様において、化合物は、結晶性である。より具体的な実施態様において、化合物は、単離された結晶形態である。
【0136】
別の実施態様において、化合物は、その多形(複数)を含む。さらなる実施態様において、化合物は、その単一の多形を含む。別の実施態様において、化合物は、その単離された多形である。別の実施態様において、i)化合物は、ジアステレオマー及び/又はエナンチオマーであり;かつ/又はii)結晶性であり、任意に、その多形又はその単一の多形である。
【0137】
さらなる実施態様において、i)化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。さらなる実施態様において、化合物は、2-ブロモLSD酒石酸塩(約1:約0.5)及び/又は(約1:約1)を含み、i)該化合物は、1つ以上のその多形であり;かつ/又はii)該化合物は、5S,8R;5R,8R;5R,8S;又は5S,8Sから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iii)該化合物は、5R,8S;5R,8R;又は5S,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;iv)該化合物は、5R,8S又は5R,8Rから独立に選択される2つの立体中心をそれぞれが有する1つ以上の化合物を含むか;v)該化合物は、5R,8Rである2つの立体中心を有するか;もしくはvi)該化合物は、5R,8Sである2つの立体中心を有する。
【0138】
上述のLSDの酸誘導体のいずれかにおいて、式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id'の4環式化合物の式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id'の酸に対する比は、典型的には、ヘミ塩(0.5:1又は2:1)などの任意の適当な比であり得る。実施態様において、当該比は、正及び負電荷が完全に一致する必要はない。例えば、電荷のつり合いがとれた2-ブロモLSDの酒石酸イオンに対する比は、2-ブロモLSDが、約+1であり、酒石酸イオンが、約-2であるために、2対1であり得る。L-酒石酸イオンの場合、形成される塩は、約1対約1である場合があり、過剰の負電荷が存在することを意味している。これは、水素によってバランスをとることができる。リン酸塩は、1:3、1:2、1:1、又は2:1の比及びこれらよりも高い及び低い比で存在し得、ここで、電荷を釣り合わせるために、他の傍観イオン/対イオンを用いてもよく、例えば、例えば、水素、水酸化物、ナトリウム、塩化物、カルシウム、及びカリウムなどを用いてもよい。実施態様において、当該比は、酸の総電荷に応じて決まる。ある実施態様において、当該比は、約0.5:1~約2:1(ヘミ塩)(mol/mol基準)及びその間の任意の増加であり、例えば、約0.6:1~約2:1;約0.7:1~約2:1;約0.8:1~約2:1;約0.9:1~約2:1;約1:1~約2:1;約1.1:1~約2:1;約1.2:1~約2:1;約1.3:1~約2:1;約1.4:1~約2:1;約1.5:1~約2:1;約1.6:1~約2:1;約1.7:1~約2:1;約1.8:1~約2:1;約1.9:1~約2:1;約0.5:1~約1.9:1;約0.5:1~約1.8:1;約0.5:1~約1.7:1;約0.5:1~約1.6:1;約0.5:1~約1.5:1;約0.5:1~約1.4:1;約0.5:1~約1.3:1;約0.5:1~約1.2:1;約0.5:1~約1.1:1;約0.5:1~約1:1;約0.5:1~約0.9:1;約0.5:1~約0.8:1;約0.5:1~約0.7:1;又は約0.5:1~約0.6:1などである。
【0139】
実施態様において、前記式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id'の化合物は、約10.3°(2θ)にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する。別の実施態様において、化合物は、約4.7°(2θ)、約9.4°(2θ)、及び約10.3°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する。別の実施態様において、化合物は、約4.7°(2θ)、約9.4°(2θ)、約10.3°(2θ)、及び約20.1°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する。
【0140】
実施態様において、前記式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id' 74の化合物は、約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åのピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する。別の実施態様において、化合物は、約4.7°(2θ)にd値が約18.8Åの、約9.4°(2θ)にd値が約9.4Åの、及び約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åのピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する。別の実施態様において、化合物は、約4.7°(2θ)にd値が約18.8Åの、約9.4°(2θ)にd値が約9.4Åの、約10.3°(2θ)にd値が約8.6Åの、及び約20.1°(2θ)にd値が約4.4Åのピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する。なおさらなる実施態様において、化合物は、10.3°±0.2°(2θ)にピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターンを有する。別の実施態様において、化合物は、4.7°±0.2°(2θ)、9.4°±0.2°(2θ)、及び10.3°±0.2°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する。別の実施態様において、化合物は、4.7°±0.2°(2θ)、9.4°±0.2°(2θ)、10.3°±0.2°(2θ)、及び20.1°±0.2°(2θ)にピークを含むX線粉末回折(PXRD)パターンを有する。
【0141】
実施態様において、前記式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id'の化合物は、約0.30°~約0.40°;任意に、約0.30°~約0.35°の旋光度を有する。
【0142】
(LSDの誘導体(その多形を含む)を作製する方法)
本明細書に記載されるのは、LSDの誘導体及び多形を作製するための方法である。一般に、その多形(複数可)を含むLSDの誘導体(複数可)を作製するための本明細書に記載される方法は、基質又は中間体としてリゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)を使用しない。出発材料としてや合成方法のどの工程においてもスケジュール物質を使用しないことは、専用の規制物質取扱い許可を求める必要がなくなるため有益である。この方法は、ヒトでの使用が意図されるLSDの誘導体及び多形を製造し、従って、優良製造規範(GMP)が適用される。この方法は、不純物のレベルを制御して、所定の仕様を一貫して満たすように本発明の化合物が製造されることを確実とする。この方法は、商業的スケールで使用することができ、即ち、特に、安全であり、大規模化可能であり、効率的であり、経済的に実行可能であり、かつ/又は他の望ましい性質を有する。
【0143】
本明細書に記載される化合物を作製するための方法の実施態様において、前記基(R1~R14、及びX)は、これまでのセクションと同様に定義され、Rは、-NR1R2又は-OR1であり、ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、CO(R)基が、加水分解を受けることができるように任意の適当な基から選択される。R1及びR2はそれぞれ独立に、H、ハロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換又は非置換の炭化水素基、置換又は非置換の混成基、置換又は非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換のヘテロ環式基、置換もしくは非置換の芳香族、又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択される。実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H、置換もしくは非置換の炭化水素基、置換もしくは非置換の混成基、置換もしくは非置換の炭素環式基、置換もしくは非置換のヘテロ環式基、置換もしくは非置換の芳香族、又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択される。別の実施態様において、R1及びR2はそれぞれ独立に、H又は置換もしくは非置換のヘテロ芳香族から選択される。
【0144】
前記方法の実施態様において、化合物は、以下のように作製することができる:
a)式IAの化合物を加水分解して、式IB:
【化25】
(式中、加水分解は、酸又は塩基加水分解である)
の中間体を生成させる。これらの化合物の合成の第1工程で採用される基質は、商業的に入手されるか又は当業者に周知の方法を用いて調製され得る。塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸が、酸加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な酸を用いてもよい。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び水酸化テトラブチルアンモニウムが、塩基加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な塩基を用いてもよい。反応は、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)中で行ってもよく、かつ/又は適当な反応温度に加熱してもよい。実施態様において、温度は、約50℃から約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0145】
b)式IBの中間体を、R1-NH-R2と反応させて、式IC(例えば、遊離塩基)を生成させる。
【化26】
【0146】
カルボン酸のヒドロキシル基は、より良好な脱離基(LG)に変換されてもよい。任意の適当な脱離基を使用することができ、例えば、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、及びペルフルオロアルキルスルホネートなどの弱塩基から選択することができる。ヒドロキシル基をより良好な脱離基に変換して、前記アミン(R1-NH-R2)との反応を支援するために、任意の適当な反応物質を用い得る。例えば、酸クロライドへの変換は、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて成し得る。あるいは、本反応は、アミン(R1-NH-R2)と塩基で触媒されるアミド結合形成によって進行し得る。任意の適当な塩基を使用し得る。例えば、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)(例えば、カップリング剤)を用いること。本反応は、反応物質の溶液を作製するのに適した任意の溶媒(例えば、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得る。本反応は、任意の適当な反応温度で行われる。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0147】
実施態様において、本反応は、カップリング剤の存在下での式IBの前記アミン(R1-NH-R2)との反応時に塩基を触媒とするアミド結合形成によって進行する。任意の適当なカップリング剤を用い得る。カップリング剤は、例えば、これらに限定されることはないが、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される。具体的な実施態様において、カップリング剤は、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス91ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される。
【0148】
工程(a)及び(b)において、前記式IB及び式ICの中間体のpHが、沈殿を生じるように調整された。pHは、例えば、約4から約8に又は約6から約8に調整され得る(例えば、塩酸)。
【0149】
また、式ICは、適切な場合には、(b)と共にインサイチュで又は別の反応において、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)を用いて、任意の適当な塩又は水和物(式ID)に変換され得る。適当な塩の生成に関して、定義に概略を示したように、対イオンは、例えば、前記アミド(例えば、式IC)と結合する任意の負電荷を持つ基とすることができる。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3 -、ClO4 -、OH-、H2PO4 -、HSO4 --BF4-PF6、スルホネートイオン、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、エタン酸イオン、イソアスコルビン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グルタミン酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。本反応は、これらに限定されないが、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)などの任意の適当な溶媒中で生じ得る。
【0150】
【化27】
実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約60℃~約65℃の範囲である。実施態様において、前記式ICの化合物を前記有機又は無機酸と加熱することは、任意の適当な時間(例えば、約30分~約1時間)加熱される。次いで、これは、例えば、ほぼ室温まで冷却され得る。別の実施態様において、約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却される。
【0151】
本明細書に記載される化合物を作製するための方法の別の実施態様において、該化合物は、以下のように作製することができ、基(R、R1~R14、及びX)は、これまでのセクションと同様に定義される。
【0152】
a)式IAAの化合物(5R,8R)を加水分解して、式IBBの中間体を生成させる:
【化28】
(式中、加水分解は、酸又は塩基加水分解である)。これらの化合物の合成の第1工程で採用される基質は、商業的に入手されるか又は当業者に周知の方法を用いて調製され得る。塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸が、酸加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な酸を用いてもよい。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び水酸化テトラブチルアンモニウムが、塩基加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な塩基を用いてもよい。前記反応は、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得、かつ/又は適当な反応温度に加熱してもよい。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0153】
b)式IBBの中間体を、R1-NH-R2と反応させて、式ICC(例えば、遊離塩基)を生成させる
【化29】
【0154】
カルボン酸のヒドロキシル基を、より良好な脱離基(LG)に変換してもよい。任意の適当な脱離基を使用することができ、例えば、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、及びペルフルオロアルキルスルホネートなどの弱塩基から選択することができる。ヒドロキシル基をより良好な脱離基に変換して、前記アミン(R1-NH-R2)との反応を支援するために、任意の適当な反応物質を用いてもよい。例えば、酸クロライドへの変換は、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて成し得る。あるいは、本反応は、アミン(R1-NH-R2)と塩基で触媒されるアミド結合形成によって進行し得る。任意の適当な塩基を使用し得る。例えば、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)(例えば、カップリング剤)を用いること。本反応は、反応物質の溶液を作製するのに適した任意の溶媒(例えば、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得る。本反応は、任意の適当な反応温度で行われる。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0155】
実施態様において、反応は、カップリング剤の存在下での式IBBの前記アミン(R1-NH-R2)との反応時に塩基を触媒とするアミド結合形成によって進行する。任意の適当なカップリング剤を用い得る。カップリング剤は、例えば、これらに限定されることはないが、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される。具体的な実施態様において、カップリング剤は、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス95ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される。
【0156】
工程(a)及び(b)において、式IBB及び式ICCの中間体の酸性度が、沈殿を生じるように調整された。pHは、例えば、酸(例えば、塩酸)を用いて約6から約8に調整され得る。
【0157】
また、式ICCは、適切な場合には、(b)と共にインサイチュで又は別の反応において、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)を用いて、任意の適当な塩又は水和物(式IDD)に変換され得る。適当な塩の生成に関して、定義に概略を示したように、対イオンは、例えば、前記アミド(例えば、式IC)と結合する任意の負電荷を持つ基とすることができる。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3 -、ClO4 -、OH-、H2PO4 -、HSO4 --BF4-PF6、スルホネートイオン、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、エタン酸イオン、イソアスコルビン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グルタミン酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。本反応は、これらに限定されないが、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)などの任意の適当な溶媒中で生じ得る。
【0158】
【化30】
【0159】
実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約60℃~約65℃の範囲である。実施態様において、式ICCの化合物を前記有機又は無機酸と加熱することは、任意の適当な時間(例えば、約30分~約1時間)加熱される。次いで、これは、例えば、ほぼ室温まで冷却され得る。別の実施態様において、約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却される。
【0160】
本明細書に記載される化合物を作製するための方法の別の実施態様において、該化合物は、以下のように作製することができ、基(R、R1~R14、及びX)は、これまでのセクションと同様に定義される。
【0161】
a)式IAA'の化合物(5S,8R)を加水分解して、式IBB'の中間体を生成させる:
【化31】
(式中、加水分解は、酸又は塩基加水分解である)。これらの化合物の合成の第1工程で採用される基質は、商業的に入手されるか又は当業者に周知の方法を用いて調製され得る。塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸が、酸加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な酸を用いてもよい。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び水酸化テトラブチルアンモニウムが、塩基加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な塩基を用いてもよい。前記反応は、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得、かつ/又は適当な反応温度に加熱してもよい。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0162】
b)式IBB'の中間体を、R1-NH-R2と反応させて、式ICC'(例えば、遊離塩基)を生成させる
【化32】
【0163】
カルボン酸のヒドロキシル基を、より良好な脱離基(LG)に変換してもよい。任意の適当な脱離基を使用することができ、例えば、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、及びペルフルオロアルキルスルホネートなどの弱塩基から選択することができる。ヒドロキシル基をより良好な脱離基に変換して、前記アミン(R1-NH-R2)との反応を支援するために、任意の適当な反応物質を用いてもよい。例えば、酸クロライドへの変換は、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて成し得る。あるいは、本反応は、アミン(R1-NH-R2)と塩基で触媒されるアミド結合形成によって進行し得る。任意の適当な塩基を使用し得る。例えば、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)(例えば、カップリング剤)を用いること。本反応は、反応物質の溶液を作製するのに適した任意の溶媒(例えば、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得る。本反応は、任意の適当な反応温度で行われる。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0164】
実施態様において、反応は、カップリング剤の存在下での、式IBBの前記アミン(R1-NH-R2)との反応時に塩基を触媒とするアミド結合形成によって進行する。任意の適当なカップリング剤を用い得る。カップリング剤は、例えば、これらに限定されることはないが、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される。具体的な実施態様において、カップリング剤は、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス99ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される。
【0165】
工程(a)及び(b)において、式IBB'及び式ICC'の中間体の酸性度が、沈殿を生じるように調整された。pHは、例えば、酸(例えば、塩酸)を用いて約6から約8に調整され得る。
【0166】
また、式ICC'は、適切な場合には、(b)と共にインサイチュで又は別の反応において、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)を用いて任意の適当な塩又は水和物(式IDD')に変換され得る。適当な塩の生成に関して、定義に概略を示したように、対イオンは、例えば、前記アミド(例えば、式IC)と結合する任意の負電荷を持つ基とすることができる。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3 -、ClO4 -、OH-、H2PO4 -、HSO4 --BF4-PF6、スルホネートイオン、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、エタン酸イオン、イソアスコルビン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グルタミン酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。本反応は、これらに限定されないが、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)などの任意の適当な溶媒中で生じ得る。
【0167】
【化33】
実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約60℃~約65℃の範囲である。実施態様において、式ICC'の化合物を前記有機又は無機酸と加熱することは、任意の適当な時間(例えば、約30分~約1時間)加熱される。次いで、これは、例えば、ほぼ室温まで冷却され得る。別の実施態様において、約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却される。
【0168】
本明細書に記載される化合物を作製するための方法の別の実施態様において、該化合物は、以下のように作製することができ、基(R、R1~R15、及びX)は、これまでのセクションと同様に定義される。
【0169】
a)式IAA''の化合物(5S,8S)を加水分解して、式IBB''の中間体を生成させる:
【化34】
(式中、加水分解は、酸又は塩基加水分解である)。これらの化合物の合成の第1工程で採用される基質は、商業的に入手されるか又は当業者に周知の方法を用いて調製され得る。塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸が、酸加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な酸を用いてもよい。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び水酸化テトラブチルアンモニウムが、塩基加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な塩基を用いてもよい。前記反応は、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得、かつ/又は適当な反応温度に加熱してもよい。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0170】
b)式IBB''の中間体を、R1-NH-R2と反応させて、式ICC''(例えば、遊離塩基)を生成させる。
【化35】
【0171】
カルボン酸のヒドロキシル基を、より良好な脱離基(LG)に変換してもよい。任意の適当な脱離基を使用することができ、例えば、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、及びペルフルオロアルキルスルホネートなどの弱塩基から選択することができる。ヒドロキシル基をより良好な脱離基に変換して、前記アミン(R1-NH-R2)との反応を支援するために、任意の適当な反応物質を用いてもよい。例えば、酸クロライドへの変換は、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて成し得る。あるいは、本反応は、アミン(R1-NH-R2)と塩基で触媒されるアミド結合形成によって進行し得る。任意の適当な塩基を使用し得る。例えば、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)(例えば、カップリング剤)を用いること。本反応は、反応物質の溶液を作製するのに適した任意の溶媒(例えば、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得る。本反応は、任意の適当な反応温度で行われる。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0172】
実施態様において、反応は、カップリング剤の存在下での、式IBB''の前記アミン(R1-NH-R2)との反応時に塩基を触媒とするアミド結合形成によって進行する。任意の適当なカップリング剤を用い得る。カップリング剤は、例えば、これらに限定されることはないが、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される。具体的な実施態様において、カップリング剤は、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス103ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される。
【0173】
工程(a)及び(b)において、式IBB''及び式ICC''の中間体の酸性度が、沈殿を生じるように調整された。pHは、例えば、酸(例えば、塩酸)を用いて約6から約8に調整され得る。
【0174】
また、式ICC''は、適切な場合には、(b)と共にインサイチュで又は別の反応において、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)を用いて任意の適当な塩又は水和物(式IDD'')に変換され得る。適当な塩の生成に関して、定義に概略を示したように、対イオンは、例えば、前記アミド(例えば、式IC)と結合する任意の負電荷を持つ基とすることができる。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3 -、ClO4 -、OH-、H2PO4 -、HSO4 --BF4-PF6、スルホネートイオン、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、エタン酸イオン、イソアスコルビン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グルタミン酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。本反応は、これらに限定されないが、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)などの任意の適当な溶媒中で生じ得る。
【0175】
【化36】
【0176】
実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約60℃~約65℃の範囲である。実施態様において、式ICC''の化合物を前記有機又は無機酸と加熱することは、任意の適当な時間(例えば、約30分~約1時間)加熱される。次いで、これは、例えば、ほぼ室温まで冷却され得る。別の実施態様において、約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却される。
【0177】
本明細書に記載される化合物を作製するための方法の別の実施態様において、該化合物は、以下のように作製することができ、基(R、R1~R14、及びX)は、これまでのセクションと同様に定義される。
【0178】
a)式IAA'''の化合物(5S,8R)を加水分解して、式IBB'''の中間体を生成させる:
【化37】
(式中、加水分解は、酸又は塩基加水分解である)。これらの化合物の合成の第1工程で採用される基質は、商業的に入手されるか又は当業者に周知の方法を用いて調製され得る。塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、フッ化水素酸、及び/又は硝酸が、酸加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な酸を用いてもよい。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムt-ブトキシド、水酸化バリウム、水酸化リチウム、及び水酸化テトラブチルアンモニウムが、塩基加水分解において用いられ得る;しかしながら、任意の適当な塩基を用いてもよい。前記反応は、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得、かつ/又は適当な反応温度に加熱してもよい。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0179】
b)式IBB'''の中間体を、R1-NH-R2と反応させて、式ICC'''(例えば、遊離塩基)を生成させる。
【化38】
【0180】
カルボン酸のヒドロキシル基を、より良好な脱離基(LG)に変換してもよい。任意の適当な脱離基を使用することができ、例えば、ハライド(例えば、Cl、Br、I)、トシラート、メシラート、及びペルフルオロアルキルスルホネートなどの弱塩基から選択することができる。ヒドロキシル基をより良好な脱離基に変換して、前記アミン(R1-NH-R2)との反応を支援するために、任意の適当な反応物質を用いてもよい。例えば、酸クロライドへの変換は、塩化ホスホリル又は塩化チオニルを用いて成し得る。あるいは、本反応は、アミン(R1-NH-R2)と塩基で触媒されるアミド結合形成によって進行し得る。任意の適当な塩基を使用し得る。例えば、N-メチルモルホリン(NMM)及び1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)(例えば、カップリング剤)を用いること。本反応は、反応物質の溶液を作製するのに適した任意の溶媒(例えば、THF、2-メチル-THFなど)中で行い得る。本反応は、任意の適当な反応温度で行われる。実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃に、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約50℃~約60℃の範囲である。
【0181】
実施態様において、反応は、カップリング剤の存在下での、式IBB'''の前記アミン(R1-NH-R2)との反応時に塩基を触媒とするアミド結合形成によって進行する。任意の適当なカップリング剤を用い得る。カップリング剤は、例えば、これらに限定されることはないが、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、エチル 2-シアノ-2-(ヒドロキシアミノ)アセテート(OxymaPure)、ベンゾトリアゾーム(benzotriazome)-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1-[(1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチルインデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノ)]ウラニウムヘキサフルオルホスフェート(uranium hexafluorphosphate)(COMU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、(3-ヒドロキシ-3H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジナト-O)トリ-1-ピロリジニル-リンヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、(1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)(トリ-1-ピロリジニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyClock)、(E)-(エチル シアノ({[トリス(ピロリジン-1-イル)ホスファニウムイル]オキシ}イミノ)ホルメート)(PyOxim)、及び(5E)-6-シアノ-N,N,2-トリメチル-7-オキソ-4,8-ジオキサ-2,5-ジアザデカ-5-エン-3-イミニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、又はそれらの組合せから選択される。具体的な実施態様において、カップリング剤は、カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェート アザベンゾトリアゾール テトラメス107ラニウミウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、オキシ塩化リン(POCl3)、又はそれらの組合せから選択される。
【0182】
工程(a)及び(b)において、沈殿を生じるように、式IBB''及び式ICC''の中間体の酸性度が、調整された。pHは、例えば、酸(例えば、塩酸)を用いて約6から約8に調整され得る。
【0183】
また、式ICC'''は、適切な場合には、(b)と共にインサイチュで又は別の反応において、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、エタンジスルホン酸又は亜リン酸類、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、マンデル酸(DもしくはL)、エタン-1,2-ジスルホン酸(二水和物)、トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、p-トルエンスルホン酸(例えば、一水和物)、10-カンファースルホン酸(例えば、(-)-10-カンファースルホン酸)、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸(L-酒石酸もしくはD-酒石酸)、メソ酒石酸(もしくはエリトラル酸)、メタンスルホン酸、グルタミン酸(L-グルタミン酸もしくはD-グルタミン酸)、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸もしくはD-アスコルビン酸)、イソアスコルビン酸(L-イソアスコルビン酸もしくはD-イソアスコルビン酸)、又はそれらの組合せなどの任意の適当な有機又は無機酸(複数可)を用いて任意の適当な塩又は水和物(式IDD''')に変換され得る。適当な塩の生成に関して、定義に概略を示したように、対イオンは、例えば、前記アミド(例えば、式IC)と結合する任意の負電荷を持つ基とすることができる。例示的な対イオンとしては、ハロゲン化物イオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、NO3 -、ClO4 -、OH-、H2PO4 -、HSO4 --BF4-PF6、スルホネートイオン、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、アスコルビン酸イオン、エタン酸イオン、イソアスコルビン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グルタミン酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。本反応は、これらに限定されないが、水混和性溶媒(例えば、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど)などの任意の適当な溶媒中で生じ得る。
【0184】
【化39】
実施態様において、温度は、約50℃~約95℃の範囲である。ある実施態様において、温度は、約50℃~約95℃、約60℃~約95℃、約70℃~約95℃、約80℃~約95℃、約90℃~約95℃、約50℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約75℃、約50℃~約70℃、約50℃~約65℃、又は約60℃~約65℃の範囲である。実施態様において、式ICC'''の化合物を前記有機又は無機酸と加熱することは、任意の適当な時間(例えば、約30分~約1時間)加熱される。次いで、これは、例えば、ほぼ室温まで冷却され得る。別の実施態様において、約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、かつ、任意に、約30分~約2時間冷却される。
【0185】
本明細書に記載される方法において、生成物及び中間体は、クロマトグラフィーを全く必要とせずに洗浄及び再結晶化で精製され得る;しかしながら、クロマトグラフィーを用いてもよい。式ID、式IDD、式IDD'、式IDD''、又は式IDD'''の化合物の再結晶化は、単離された結晶形態、その多形、その単一の多形、又はその単離された多形などの結晶性化合物を生じる。式ICの化合物は、水混和性溶媒、任意に、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)など)、アセトニトリル、アセトン、酢酸イソプロピル、THF、2-メチル-THFなど、又はそれらの組合せを用いて再結晶される。水混和性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せから選択され得る;任意に、ここで、水混和性溶媒は、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はそれらの組合せ;任意に、エタノール又はイソプロピルアルコール(IPA)から選択される。再結晶化は、式ID、式IDD、式IDD'、式IDD''、又は式IDD'''の化合物の塩又は水和物を前記溶媒中で適当な温度まで適当な期間加熱すること、及び冷却して化合物を生じさせることを含むことができる。実施態様において、再結晶化は、式ID、式IDD、式IDD'、式IDD''、又は式IDD'''の化合物(例えば、式IC、式ICC、式ICC'、式ICC''、又は式ICC'''の化合物の塩又は水和物)を、約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で加熱することを含む。別の実施態様において、再結晶化は、式ID、式IDD、式IDD'、式IDD''、又は式IDD'''の化合物を約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で約1時間~約2時間加熱することを含む。さらなる実施態様において、再結晶化は、式ID、式IDD、式IDD'、式IDD''、又は式IDD'''の化合物の塩又は水和物を約60℃から約80℃、任意に、約60℃から約70℃の前記溶媒中で、約1時間~約2時間加熱すること、及び該化合物を、溶液中で約0~約10℃、任意に、約3~約7℃、任意に、約5℃に、任意に、約1時間~約2時間冷却することを含む。実施態様において、再結晶された化合物は、約99%~約99.9%の純度、任意に、約99.5%~約99.9%の純度である。
【0186】
別の例において、式IA、式IAA、式IAA'、式IAA''、又は式IAA'''は、ブロモクリプチンメシラートなどの含臭素エルゴリン誘導体である。これらの基質は、公知の方法によって調製することができ、かつ/又は商業的に入手できる。
【0187】
上記で及び実施態様で概要を説明した方法に関して、該方法は、式ID、式IDD、式IDD'、式IDD''、又は式IDD'''の多形を提供する。前記方法の実施態様において、Rは、-NR1R2又は-OR1であり、ここで、R1及びR2はそれぞれ独立に、CO(R)基が、加水分解を受けることができるように任意の適当な基から選択され;R3~R14はそれぞれ独立に、H又はメチルから選択され;Xは、ブロモであり;かつR1及びR2はそれぞれ独立に、H、メチル、又はエチルから選択される。
【0188】
上述の酸LSDの誘導体(複数可)を作製する方法のいずれかにおいて、前記化合物(例えば、式I、式I'、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ia'、式Ib'、式Ic'、又は式Id')の前記酸に対する比は、典型的には、ヘミ塩(0.5:1又は2:1)などの任意の適当な比であり得ることが理解される。実施態様において、当該比は、正及び負電荷が完全に一致する必要はない。例えば、電荷のつり合いがとれた2-ブロモLSDの酒石酸イオンに対する比は、2-ブロモLSDが、約+1であり、酒石酸イオンが、約-2であるために、2対1であり得る。L-酒石酸イオンの場合、形成される塩は、約1対約1である場合があり、これは、過剰の負電荷が存在することを意味している。これは、水素によってバランスをとることができる。リン酸塩は、1:3、1:2、1:1、又は2:1の比及びこれらよりも高い及び低い比で存在し得、ここで、電荷を釣り合わせるために、他の傍観イオン/対イオンを用いてもよく、例えば、水素、水酸化物、ナトリウム、塩化物、カルシウム、及びカリウムなどを用いてもよい。実施態様において、当該比は、酸の総電荷に応じて決まる。ある実施態様において、当該比は、約0.5:1~約2:1(ヘミ塩)(mol/mol基準)及びその間の任意の増加であり、例えば、約0.6:1~約2:1;約0.7:1~約2:1;約0.8:1~約2:1;約0.9:1~約2:1;約1:1~約2:1;約1.1:1~約2:1;約1.2:1~約2:1;約1.3:1~約2:1;約1.4:1~約2:1;約1.5:1~約2:1;約1.6:1~約2:1;約1.7:1~約2:1;約1.8:1~約2:1;約1.9:1~約2:1;約0.5:1~約1.9:1;約0.5:1~約1.8:1;約0.5:1~約1.7:1;約0.5:1~約1.6:1;約0.5:1~約1.5:1;約0.5:1~約1.4:1;約0.5:1~約1.3:1;約0.5:1~約1.2:1;約0.5:1~約1.1:1;約0.5:1~約1:1;約0.5:1~約0.9:1;約0.5:1~約0.8:1;約0.5:1~約0.7:1;又は約0.5:1~約0.6:1などである。
【0189】
(製剤-LSD誘導体及びその多形)
本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)及びその多形(複数可)は、哺乳動物への投与に適した製剤として提供され得る。ある態様においては、ヒト及び/又は獣医学用途のものである。
【0190】
いくつかの実施態様において、開示される化合物は:(a)ある量の本明細書で開示される1種以上の化合物又は(b)治療有効量の本明細書で開示される1種以上の化合物、及び(c)1種以上の医薬として許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物は、該化合物を当業者によって理解される任意の所望の範囲で含み得る。例えば、非限定的範囲は、約0.001~2000mg(好ましくは約0.05~500mg、より好ましくは約0.25~100mg)の範囲とすることができる。医薬組成物を投与して、約0.005~約1000mg/kg体重(好ましくは、約0.01~約500mg/kg体重、より好ましくは、約0.01~約100mg/kg体重)の一日量の化合物を提供し得る。いくつかの実施態様において、医薬組成物が、対象に投与された後(例えば、投与後の約1、2、3、4、5、又は6時間後)に、作用部位での化合物の濃度は、0.001μM、0.005μM、0.01μM、0.5μM、0.1μM、1.0μM、10μM、及び100μMから選択される終点(例えば、0.1μM~10.0μm)によって境界が定められる濃度範囲内であり得る。
【0191】
開示される化合物及び開示される化合物を含む医薬組成物は、それを必要としている対象を治療するための方法/使用において投与され得る。開示される治療方法/使用のいくつかの実施態様において、対象において疾患又は障害を治療するために、対象は、例えば、これらに限定されないが、0.25mg、0.75mg、1.25mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、50mg、52.5mg、55mg、57.5mg、60mg、62.5mg、65mg、67.5mg、70mg、72.5mg、75mg、77.5mg、80mg、82.5mg、85mg、87.5mg、90mg、100mg、200mg、500mg、1000mg、又は2000mgという低い用量の化合物を、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、週1回、週2回、又は週3回投与され得る。いくつかの実施態様において、対象において疾患又は障害を治療するために、対象は、0.25mg、0.75mg、1.25mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、17.5mg、20mg、22.5mg、25mg、27.5mg、30mg、32.5mg、35mg、37.5mg、40mg、42.5mg、45mg、47.5mg、50mg、52.5mg、55mg、57.5mg、60mg、62.5mg、65mg、67.5mg、70mg、72.5mg、75mg、77.5mg、80mg、82.5mg、85mg、87.5mg、90mg、100mg、200mg、500mg、1000mg、又は2000mgという高い用量の化合物を、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、週1回、週2回、又は週3回投与され得る。化合物の最小及び/又は最大用量は、終点としてこれらの開示された用量のいずれかを有する用量範囲内(例えば、2.5mg~200mg)に入る用量を含み得る。
【0192】
いくつかの実施態様において、開示される治療のための方法/使用において療法を達成するための化合物の最小用量レベルは、対象の体重1kgあたり少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1200、1400、1600、1800、1900、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、又は20000ngであり得る。いくつかの実施態様において、開示される治療のための方法/使用において療法を達成するための化合物の最大用量レベルは、対象の体重1kgあたり約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1200、1400、1600、1800、1900、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、15000、又は20000μgを超えてはならない。開示される治療のための方法/使用において療法を達成するための化合物の最小及び/又は最大用量レベルは、終点としてこれらの開示される用量レベルのいずれかを有する範囲(例えば、対象の体重1kgあたり5~2000μg)に入る用量レベルを含み得る。
【0193】
本明細書で開示される方法/使用において利用される化合物は、任意の医薬として許容し得る剤形を利用することができるものの、固体剤形で医薬組成物として製剤化され得る。例示的な固体剤形としては、これらに限定されないが、錠剤、カプセル剤、分包(sachet)、ロゼンジ錠、散剤、丸剤、又は顆粒剤が挙げられ、固体剤形は、例えば、ファストメルト(fast melt)剤形、制御放出剤形、凍結乾燥剤形、遅延放出剤形、徐放性剤形、パルス放出剤形、混合型即時放出及び制御放出剤形、又はそれらの組合せとすることができる。
【0194】
本明細書で開示される方法/使用において利用される化合物は、担体を含む医薬組成物として製剤化され得る。例えば、担体は、タンパク質、炭水化物、糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、炭酸カルシウム、及びデンプン-ゼラチンペーストからなる群から選択され得る。
【0195】
本明細書で開示される方法/使用において利用される化合物は、1種以上の結合剤、充填剤(filling agent)、滑沢剤、懸濁化剤、甘味料、香味剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、及び発泡剤を含む医薬組成物として製剤化され得る。充填剤としては、ラクトース・一水和物、無水ラクトース、及びさまざまなデンプンを挙げることができ;結合剤の例は、さまざまなセルロース類並びに架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標) PH101及びAvicel(登録商標) PH102など)、微結晶性セルロース、及びケイ化微結晶性セルロース(ProSolv SMCC(商標)である。圧縮される散剤の流動性に作用する薬剤を含む適当な滑沢剤としては、コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)200など)、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びシリカゲルを挙げることができる。甘味料の例としては、任意の天然又は人工の甘味料(スクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム、及びアクスルファム(acsulfame)など)を挙げることができる。香味剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガム香料、及び果実香料などである。防腐剤の例としては、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル(ブチルパラベンなど)、アルコール(エチル又はベンジルアルコールなど)、フェノール性化合物(フェノールなど)、又は四級化合物(塩化ベンザルコニウムなど)を挙げることができる。
【0196】
適当な希釈剤としては、医薬として許容し得る不活性充填剤(微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸カルシウム二塩基性、サッカライド、及び前述のいずれかの混合物など)を挙げることができる。希釈剤の例としては、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標) PH101及びAvicel(登録商標) PH102など);ラクトース(ラクトース・一水和物、無水ラクトース、及びPharmatose(登録商標) DCL21など);リン酸カルシウム二塩基性(Emcompress(登録商標)など);マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;及びグルコースが挙げられる。
【0197】
適当な崩壊剤としては、低架橋(lightly crosslinked)ポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、及び修飾デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0198】
発泡剤の例は、有機酸と炭酸塩又は重炭酸塩などの発泡対(effervescent couple)である。適当な有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、及びアルギン酸、並びに無水物及び酸性塩が挙げられる。適当な炭酸塩及び重炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム塩、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、L-リジン炭酸塩、及びアルギニン炭酸塩が挙げられる。あるいは、前記発泡対の重炭酸ナトリウム成分のみが、存在し得る。
【0199】
本明細書に記載される結晶性LSD多形は、1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を用いて医薬組成物として製剤化することができる。
【0200】
いくつかの実施態様において、本開示は、高純度LSD誘導体及び多形、並びに1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、結晶性LSD及び1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、結晶性LSD多形及び1以上の医薬として 担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、高純度結晶性LSD多形及び1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、高純度結晶性LSD多形及び1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、高純度結晶性LSD多形及び1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬製剤を提供する。
【0201】
経口製剤に好適な医薬賦形剤としては:微結晶性セルロース、デンプン、マンニトール、りん酸水素カルシウム、無水、又は二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、及びタルクの共混合物などの希釈剤;デンプングリコール酸ナトリウム又はクロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤;ポビドン、コポビドン、又はヒドロキシルプロピルセルロースなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はフマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumurate)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動化剤;及びOpadry IIホワイト又はPVAベースのブラウンOpadry IIなどのフィルムコートが挙げられる。また、経口剤形は、これらに限定されないが:グリコール酸デンプン、クロスカルメロースナトリウム、及び/又はそれらの混合物などの崩壊剤も含む。態様において、経口剤形は、3重量%以下の崩壊剤、3重量%未満の崩壊剤及び0.001重量%を超える崩壊剤、約2.5重量%以下の崩壊剤;2重量%以下の崩壊剤;1.5重量%以下の崩壊剤;1重量%以下の崩壊剤;0.7重量%以下の崩壊剤;0.5重量%以下の崩壊剤、又は0.3重量%以下の崩壊剤を含む。崩壊剤は、3重量%未満で存在する、約2重量%以下、約2重量%;約1重量%以下、約1重量%;約0.7重量%以下、約0.7重量%;約0.5重量%以下、又は約0.5重量%で存在するデンプングリコール酸ナトリウムである。さらに別の実施態様において、デンプングリコール酸ナトリウムは、約0.5%~1重量%で存在する。
【0202】
本明細書で開示される方法/使用において利用される化合物は、任意の適当な経路による送達のための医薬組成物として製剤化され得る。例えば、医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、皮下、局所、及び経肺経路によって投与され得る。経口投与用の医薬組成物の例としては、カプセル剤、シロップ剤、濃縮製剤、散剤、及び顆粒剤が挙げられる。いくつかの実施態様において、化合物は、経口投与のための組成物として製剤化される(例えば、植物油などの油中5%のDMSOなどの溶媒中)。
【0203】
本明細書で開示される方法/使用において利用される化合物は、当技術分野において周知の慣用手順により活性成分を標準的な医薬担体又は希釈剤と組み合わせることによって調製される慣用剤形で投与され得る。これらの手順は、必要に応じて、成分を混合し、造粒し、圧縮して、又は溶解させて所望の製剤とすることを含み得る。
【0204】
前記化合物を含む医薬組成物は、任意の適切な経路による、例えば、経口(頬側もしくは舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(頬側、舌下、もしくは経皮を含む)、膣又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、もしくは皮内を含む)経路による投与に適応させたものであり得る。そのような製剤は、薬学の技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、活性成分を担体(複数可)又は賦形剤(複数可)と合わせることによって調製され得る。
【0205】
経口投与に適応させた医薬組成物は、カプセル剤もしくは錠剤などの個々に分離した単位;散剤もしくは顆粒剤;水性又は非水性液体中の溶液もしくは懸濁剤;食用フォーム剤もしくはホイップ剤;又は水中油型乳濁液剤もしくは油中水型乳濁液剤として提供され得る。錠剤又は硬質ゼラチンカプセル剤に適した賦形剤としては、ラクトース、トウモロコシデンプンもしくはその誘導体、ステアリン酸又はその塩が挙げられる。軟質ゼラチンカプセルでの使用に適した賦形剤としては、例えば、植物油、蝋、脂肪、半固体又は液体のポリオールなどが挙げられる。
【0206】
本発明の一実施態様において、経口用錠剤は、本明細書で開示される化合物の直接圧縮によって生産することができる。一般に、直接圧縮の利点として、必要とされる生産工程が少ないこと、物理的安定性、並びに熱及び水分の除去が挙げられることが知られている。さらに、本発明による直接圧縮錠は、当業者によく知られたものなどの結合剤、崩壊剤、及び着色料を含有することができる。別の実施態様において、事前生産される経口カプセル剤は、本明細書で開示される化合物を賦形剤と共に含有する。胃腸管における活性薬剤の放出特性をさらに改変するために、錠剤を圧縮した又はカプセル剤を閉じた後に、医薬として許容し得るコーティングを本発明のこれらの提示物に施すことができる。最適な 放出部位の選択は、疾患の種類、意図される血漿ピーク濃度、意図される血漿時間/濃度プロファイル、及び標的部位での意図される時間/濃度プロファイルに応じて決まる。
【0207】
さらなる実施態様において、本発明は、経口投与に適した本明細書で開示される化合物の製剤に基づいて医薬品を調製するためのプロセスであって、該製剤が、錠剤に直接圧縮され、任意に、それが、1種以上の賦形剤(アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸)と混合され、かつ該混合物が、4号(size 4)白色不透明硬質ゼラチンツーピースカプセル剤に充填されて、1カプセルあたり5mg又は10mgの本明細書で開示される化合物を提供し、これを、胃腸管での即時放出用経口製剤として用いることができる、前記プロセスに関する。
【0208】
経皮投与に適した医薬組成物は、レシピエントの表皮と長期間密着したままでいることが意図される個々に分離したパッチとして存在し得る。例えば、活性成分は、イオン泳動によってパッチから送達され得る。
【0209】
局所的投与に適応させた医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、溶液、ペースト剤、ゲル剤、含浸包帯、スプレー剤、エアロゾル剤、又はオイルとして製剤化され得、防腐剤、薬物浸透を支援する溶媒、及び軟膏剤及びクリーム剤での軟化剤などの適切な慣用添加剤を含有し得る。
【0210】
眼又は他の外組織、例えば、口及び皮膚への適用には、好ましくは、医薬組成物は、局所用軟膏剤又はクリーム剤として適用される。軟膏剤中に製剤化さえる場合、化合物は、パラフィン性又は水混和性いずれかの軟膏基剤と共に採用され得る。あるいは、化合物は、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤と共にクリーム剤中に製剤化され得る。
【0211】
眼部への局所的投与に適応させた医薬組成物としては、活性成分が、適当な担体、特に、水性溶媒中に溶解又は懸濁されている点眼薬が挙げられる。
【0212】
担体が固体である経鼻投与に適応させた医薬組成物としては、嗅剤(snuff)が摂取される様式で(すなわち、鼻の近くに保持された散剤の容器からの鼻道を通じた急速吸入によって)投与される粒子サイズ(例えば、20~500ミクロンの範囲)を有する粗い散剤が挙げられる。担体が液体である経鼻スプレー剤として又は点鼻液としての投与に適した製剤は、活性成分の水性又は油性溶液を含む。
【0213】
非経口投与に適応させた医薬組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を意図されるレシピエントの血液と等張とする溶質を含有していてもよい水性及び非水性無菌注射液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい水性及び非水性無菌懸濁剤が挙げられる。製剤は、単位用量又は複数回用量容器、例えば、密閉されたアンプル及びバイアル中に提供され得るとともに、使用直前に滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilized))された状態で保管され得る。要時調製注射液及び懸濁液は、滅菌散剤、顆粒剤、及び錠剤から調製され得る。
【0214】
経口投与用の錠剤及びカプセル剤は、単位用量提示形態であり得るとともに、慣用の賦形剤(結合剤、例えば、シロップ剤、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、もしくはポリビニルピロリドンなど);充填剤、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシ-デンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、もしくはグリシン;錠剤形成滑沢剤(tabletting lubricant)、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、もしくはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン;又は許容し得る湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)を含有していてもよい。錠剤は、通常の製薬業務で周知の方法によりコーティングされ得る。経口液体製剤は、例えば、水性又は油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、又はエリキシルの形態であり得、又は使用前の水又は他の適当なビヒクルでの再構成のための乾燥製品として提供され得る。そのような液体製剤は、懸濁化剤、例えば、ソルビトール、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル又は水添食用脂、乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、又はアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油など)、例えば、アーモンド油、油性エステル(グリセリン、プロピレングリコール、又はエチルアルコールなど);防腐剤、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸もしくはソルビン酸メチルもしくはプロピルなどの慣用の添加剤を含有していてもよく、望ましい場合、慣用の香味料又は着色料を含有していてもよい。
【0215】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物は、放出調節プロファイルを提供する放出調節剤形である。放出調節プロファイルは、即時放出、遅延放出、又は徐放性プロファイルを示し得る。錠剤、カプセル剤、坐剤、シロップ剤、溶液、及び懸濁剤などの従来型(又は非調節)放出経口剤形は、通常、該錠剤、カプセル剤シェル、又は坐剤が溶解する時、又はシロップ剤、溶液、及び懸濁剤の場合には、それらが、嚥下された時に、薬物を口、胃、又は腸内に放出する。所望の治療目的及び/又はより良好な患者のコンプライアンスを達成するために、放出調節(MR)剤形からの薬物放出のパターンを、意図的に従来の剤形のものとは変化させる。MR薬物製品の種類としては、即時放出を提供する口内崩壊剤形(ODDF)、徐放性剤形、遅延放出剤形(例えば、腸溶性コーティング)、及びパルス放出剤形が挙げられる。
【0216】
ODDFは、舌の上に載せると急速に、通常、数秒のうちに崩壊する薬用物質又は活性成分を含有する固体剤形である。ODDFの崩壊時間は、一般に、1又は2秒から約1分の範囲である。ODDFは、唾液と接触すると急速に崩壊又は溶解するように設計される。この投与様式は、錠剤を嚥下することが困難であり得る者にとって、それが、身体的虚弱に起因するものであろうと、精神医学的な性質のものであろうと、有益である場合がある。眼障害のある一部の対象が、そのような挙動を示すことがある。ODDFは、粘膜を介した血流への薬物の迅速な送達を提供して、迅速な作用の発現をもたらすことができる。ODDFの例としては、口腔崩壊錠、カプセル剤、並びに速溶性フィルム及びウエハース剤が挙げられる。
【0217】
徐放性剤形(ERDF)は、徐放性プロファイルを有し、従来の剤形、例えば、溶液又は非放出調節剤形で提供されるものと比較して投薬頻度を減らすことを可能とするものである。ERDFは、長期間の薬物の作用を提供する。徐放性プロファイルを提供する適当な製剤は、当技術分野において周知である。例えば、本明細書に記載される化合物のいずれかが、ビーズ、例えば、コンフェクショナーズノンパレイユビーズ(confectioners nonpareil beads)に塗布され、次いで、慣用の放出遅延化材料(蝋、腸溶性コーティングなど)でコーティングされている、コーティングされた徐放ビーズ又は顆粒(「ビーズ」及び「顆粒」は、本明細書において互換的に使用される)。実施態様において、本明細書に記載される化合物のいずれかが、材料と混合されているビーズを形成して、該化合物が浸出してくるかたまりを提供することができる。実施態様において、ビーズは、種々の材料などを用いてコーティング又は塊の特性、例えば、厚さ、空隙率を異ならせることによって異なる放出速度を提供するように設計して作ることができる。異なる放出速度を有するビーズを組み合わせて単一の剤形とし、変動する又は連続的な放出を提供し得る。ビーズは、カプセル剤に含有させてもよく、圧縮して錠剤としてもよい。
【0218】
療法モダリティとしては:単剤療法;補助的療法(すなわち、標準薬物治療への上乗せ);神経学的及び神経変性障害の治療での使用が承認されている他の薬剤との組み合わせでの使用;精神医学的障害及び関連障害の治療における使用が承認されている他の薬剤との組み合わせでの使用;種々の疼痛障害の治療における使用が承認されている他の薬剤との組み合わせでの使用;精神神経障害の治療のための抗うつ薬及び関連薬剤(セロトニン及びノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SNRI)、三環式抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ノルアドレナリン及び特定のセロトニン作動性抗うつ剤(NASSA)、ケタミン、N、N-ジメチルトリプタミン及び他のトリプタミン誘導体、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)及び関連誘導体、シロシビン及び関連誘導体、イボガイン及び関連誘導体など)との組合せ;精神神経障害の治療のための他の薬剤との組合せ;神経変性疾患の治療のための標準治療剤との組合せ;種々の疼痛障害の治療のための標準治療剤との組合せ;神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、正常老化及び早老症症候群を含む)の治療のための神経保護剤(ジヒドロホノキオール-Bなど)との組合せ;精神神経障害の治療のための抗不安剤及び類似の薬剤(ベンゾジアゼピン、カンナビノイド、及びジヒドロホニオール-B(dihydrohoniol-B)を含む)との組合せ;精神神経障害の治療における幻覚剤の副作用を減少させるための幻覚剤との組合せを挙げることができる。
【0219】
治療のためのスケジュールは、導入治療、並びに/又は短期的な維持、中期的な維持、長期的維持、及びそれらの変形を含む維持治療を含み得る。
【0220】
本明細書に記載されるLSD誘導体及び多形は:舌下又は頬側投与用のカプセル剤又は錠剤を含む慎重な剤形として;吸入用の経鼻スプレー剤、定量噴霧式吸入器(metered dose inhaler)、又は類似のものとして;1日又は多くの日にわたる制御放出用のパッチとして;及び制御放出用のデポ製剤として提供することができる。
【0221】
本件開示の関連で、試料が、最終の試料の測定において無視できるほどの少量の液体を含み得ることが理解される。ある例において、本件開示の組成物が、例えば、質量パーセントによって測定して最大で約7%の水を含むことが許容し得る。
【0222】
本明細書に記載されるような、有効量の本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、実質的な毒性を引き起こすことなく治療的利益を提供する。当業者は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の毒性を、細胞培養液又は実験動物内での標準的な製薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)又はLD100(集団の100%に致死的な用量)を決定することによって決定することができることを認めるであろう。いくつかの実施態様において、有毒な効果と治療効果との用量比が、治療係数である。いくつかの実施態様において、これらの細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータを、ヒトでの使用に有毒ではない投薬量範囲を系統だてて表すのに使用することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される化合物の投薬量は、毒性をほとんど又は全く伴わずに有効用量を含む循環濃度の範囲内にある。いくつかの実施態様において、投薬量は、採用される剤形及び利用される投与経路に応じてこの範囲内でさまざまであり得る。いくつかの実施態様において、厳密な処方、投与の経路、及び投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる。(例えば、Fingl らの文献、1996(「治療薬の薬理学的基礎、第9版(The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th ed.)」内の、第2章、第29頁, Elliot M. Ross)を参照)。
【0223】
本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)のさまざまな精神及び/又は気分障害に対して治療上有効な用量の例が、以下に記載される。いくつかの実施態様において、「約(about)」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±1%を意味する。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±2%を意味する。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±2.5%を意味する。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±5%を意味する。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±10%を意味する。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±15%を意味する。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)の量に関して用いられる場合、約±20%を意味する。
【0224】
本明細書で開示される医薬組成物に関して、医薬として許容し得る担体は、充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤などの医薬調製物において一般的に用いられる希釈剤及び賦形剤を含む。適当な担体の非限定的な例が、本明細書に記載される。
【0225】
(希釈剤)
希釈剤は、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム二塩基性、リン酸カルシウム三塩基性、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、微結晶性ケイ化セルロース、粉末化セルロース、デキストレート(dextrate)、ブドウ糖、果糖、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース・一水和物、ラクトース・二水和物、ラクトース・三水和物、マンニトール、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、タルク、キシリトール、マルトース、マルトデキストリン、マルチトールから選択され得る。いくつかの実施態様において、希釈剤は、デンプン、ラクトース、セルロース誘導体、粉砂糖などから選択される。種々のグレードのラクトースとしては、ラクトース・一水和物、ラクトースDT(直接錠剤化)、無水ラクトース、及びその他が挙げられるが、これらに限定されない。種々のデンプンとしては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、アルファ化デンプン、及びその他が挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる種々のセルロースとしては、微結晶性セルロースなどの結晶性セルロース、及び粉末化セルロースが挙げられる。他の有用な希釈剤としては、カルメロース、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、及びキシリトールなど)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム二塩基性、及びリン酸カルシウム三塩基性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0226】
(結合剤)
結合剤は、例えば、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、エチルセルロース、ゼラチン 液体グルコース、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプン糊、アルファ化デンプン、スクロース、トラガント、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、グルコース、ソルビトールから選択され得る。
【0227】
(充填剤)
適当な充填剤は、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、又はコメデンプンなどのデンプン誘導体、デキストリン、マルトデキストリン、デキストレート、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、微結晶性セルロースとグアーガムの混合物、微結晶性セルロースの共処理混合物(coprocessed blend)などの多糖類;並びにキシリトール及びソルビトールなどの多価アルコールから選択され得る。
【0228】
(崩壊剤)
崩壊剤は、例えば、アルギン酸、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ナトリウムドクサート、ガウアーゴム(gaur gum)、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポロクサマー、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースから選択され得る。
【0229】
(流動化剤)
流動化剤は、例えば、ケイ酸カルシウム、粉末化セルロース、デンプン、タルク、コロイド状二酸化ケイ素から選択され得る。
【0230】
(滑沢剤)
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、及びベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミチン酸、タルク、カルナバ蝋、ステアリン酸カルシウム ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム又はマグネシウム、カルシウム石鹸、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、硬化植物油及び脂肪、ステアリン酸、並びにそれらの任意の組合せから選択され得る。
【0231】
本開示の医薬組成物は、通常の医薬調製物として、例えば、錠剤、フラッシュメルト錠剤(flash melt tablet)、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、又は注射剤(液体、懸濁液など)、トローチ剤、鼻腔内スプレー剤、経皮的パッチなどの形態で製剤化され得る。
【0232】
(吸収促進剤)
本開示のある実施態様による使用のための吸収促進剤としては、例えば、Gelucire 44/14; Gelucire 50/13; Tagat TO; Tween 80;ミリスチン酸イソプロピル、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロクサマーブロック共重合体、PEG-35ヒマシ油、PEG-40硬化ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ポリエチレンラウリルエーテル、エトキシジグリコール、プロピレングリコールモノ-ジ-カプリレート、グリセロールモノカプリレート、エトキシ化グリセリル脂肪酸(C8-C18)、オレイン酸、リノール酸、グリセリルカプリレート/カプレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノラウレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、エトキシ化ノニルフェノール、ステアリン酸PEG-(8-50)、オリーブ油PEG-6エステル、トリオレインPEG-6エステル、レシチン、d-αトコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリカーボネート、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、シクロデキストリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリアセチン、それらの組合せなどが挙げられる。ある好適な実施態様において、吸収促進剤は、トリアセチンである。
【0233】
(甘味料/香味剤)
適当な甘味料は、スクロース、ラクトース、及びグルコースなどの糖類;シクラメート及びその塩;サッカリン及びその塩;並びにアスパルテームから選択され得る。
【0234】
組成物に組み込まれ得る香味剤は、合成香味油及び香味性芳香族(flavoring aromatics)、天然油、植物エキスから選択され得る。例としては、シナモン油、冬緑油、ペパーミント油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、セダー葉油、ナツメグ油、セージ油、又はアーモンド油が挙げられる。香味剤の例としては、アーモンド、リンゴ、バナナ、ベリー、バブルガム、カラメル、柑橘、サクランボ、チョコレート、ココナツ、ブドウ、緑茶、ハチミツ、レモン、甘草、ライム、マンゴー、メープル、ミント、オレンジ、モモ、パイナップル、レーズン、イチゴ、バニラ、スイカ、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。香料は、製剤の総重量基準で約0.001%~約5%の範囲の量で存在し得る。いくつかの実施態様において、香味剤は、例えば、イチゴ香料、ワイルドチェリー香料、青リンゴ香料、スペアミント香料、及びペパーミント香料などの天然又は合成香料から選択され得る。いくつかの実施態様において、香味剤は、メントール、ペパーミント、冬緑、オレンジ、サクランボ、及び他の果実、バニラ、アーモンド、及び他のナッツなどから選択される。
【0235】
いくつかの実施態様において、本開示の医薬組成物は、錠剤の形態であり、これは、ラクトース、サッカロース、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、カオリン、結晶性セルロース、ケイ酸、及び他の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖溶液、デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、及び他の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末(laminaran powder)、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、ラクトース、及び他の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオ脂、水添油、及び他の崩壊阻害剤;四級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、及び他の吸収促進剤;グリセリン、デンプン、及び他の水分保持剤(moisture retainer);デンプン、ラクトース、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸、及び他の吸着剤;並びに精製タルク、ステアリン酸性塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール及び他の滑沢剤などから選択される1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含むことができる。錠剤は、糖衣錠、ゼラチンコート錠、腸溶性コート錠、及びフィルムコート錠、並びに二重錠及び多層錠などの通常のコーティングを有して製剤化することもできる。
【0236】
いくつかの実施態様において、本開示の医薬組成物は、丸剤の形態であり、これは、グルコース、ラクトース、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク、及び他の賦形剤;アラビアゴム末、トラガンス末(traganth powder)、ゼラチン、エタノール、及び他の結合剤;並びにラミナラン、寒天、及び他の崩壊剤などから選択される1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含み得る。
【0237】
いくつかの実施態様において、本開示の医薬組成物は、カプセル剤の形態である。カプセル剤は、第1の成分としての無水のアリピプラゾール結晶などのカルボスチリル誘導体及び第2の成分としてのセロトニン再取り込み阻害剤、並びに上述のさまざまな担体を混合し、それらを硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル(HPMCカプセル)などに充填することによって通常の方法により調製される。
【0238】
いくつかの実施態様において、本開示の医薬組成物は、坐剤の形態であり、これは、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチン半合成グリセリドなどから選択される1種以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含み得る。
【0239】
(投与の経路及び剤形)
本開示による対象への製剤の投与は、当該経路によって標的組織に到達可能である限り、任意のよく用いられる経路によるものであり得る。好都合には、製剤は、単位剤形で提供され得るとともに、薬学分野において周知の方法のうちのいずれかによって調製され得る。いくつかの実施態様において、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉化固体担体又は双方と均一にかつ緊密に混ぜ合わせ、その後、必要であれば、生成物を所望の剤形に成形することによって調製される。勿論、当業者は、活性成分(例えば、本明細書で開示される化合物(複数可))が、所望の薬理的効果を生じさせるのに十分な量で含まれることを認識しているであろう。
【0240】
いくつかの実施態様において、組成物は、調製物の形態の種類、並びに患者の年齢、性別、及び他の状態(疾患の程度及び状態など)に応じて投与される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、及びカプセル剤は、経口投与される。注射用調製物の場合、それは、単独で又はグルコース又はアミノ酸の溶液などのよく用いられる補助液と混合してのいずれかで静脈内投与される。さらに、必要であれば、注射用調製物は、単独で皮内、皮下、筋肉内、又は腹腔内投与される。坐剤の場合、それは、直腸内投与される。
【0241】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、少なくとも1日2回投与される。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、少なくとも1日3回投与される。
【0242】
別の実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、少なくとも1日おきに1回投与される。さらに別の実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、少なくとも3日毎に1回投与される。さらなる実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、4日毎に少なくとも1回投与される。さらなる実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、本明細書に記載される投薬量などの投薬量で、少なくとも5日毎に1回投与される。
【0243】
いくつかの実施態様において、方法及び製剤は、単一の1回用量として又は長期的に実施することができる。長期的によって、所与の対象又は個体に対して本開示の方法及び組成物が、2回以上実施されることが意味される。例えば、当業者にとって明らかであろうように、長期的投与は、毎日、毎週、隔週で、毎月、又はより高頻度もしくは低頻度で対象に投与される医薬組成物の複数回投与であってもよい。長期的投与は、本技術分野の熟練した専門家の判断によって適切であるのであれば、数週間、数か月間、又は数年間続くこともある。さらに、本技術分野の熟練した専門家の判断において、ある用量が、許容し得ない認容性プロファイルを示すのであれば、該専門家は、そのようなプロファイルを減少させるために、用量を減らすことができる。
【0244】
(治療のためのLSD誘導体及びその多形の使用)
本明細書で開示される新規LSD誘導体及びその多形は、それを必要としている対象を治療するための治療用薬剤として好適に製剤化される。これらが、シナプス成長を促進する(神経可塑性を向上させる)ことが示されており、中枢及び/又は末梢神経系を「再配線すること(rewiring)」をもたらして、幻覚を伴わずに持続性の結果を生じさせ得る。また、これらは、非幻覚誘発性であることが示されており、驚くべきことに、耐性を誘導しないので、これらを、複数の1日1回、週1回、月1回用量などで使用することができる。有利なことに、これによって、対象が次の用量の投与の前に数日(例えば、3日以上)待つことがある間隔を空けた投薬スケジュールとする必要性が回避される。
【0245】
出願人は、LSDと比較してわずかに低いEmax(最大薬物作用)を有する、5-HT1受容体サブタイプの全てにわたる中程度から強力なアゴニストであると特性評価された新規LSD誘導体多形を合成している。本明細書で開示される実施例は、抗片頭痛及び痛覚薬(anti-migraine and pain perception drug)の標的として知られる5-HT1F及び5-HT1D受容体での効力/活性とともに特性評価されたE559多形[((5R,8R)-2-Br-LSDヘミ-D-酒石酸塩]を開示する(Ramirez Rosasらの文献、「抗片頭痛薬の作用機序としての5-ヒドロキシトリプタミン1B/1D/1F受容体の活性化(Activation of 5-hydroxytryptamine1B/1D/1F receptors as a mechanism of action of antimigraine drugs)」、Expert Opinion on Pharmacotherapy, 2013, 14:12, 1599-1610)及び(Clemow, D.B.らの文献、「ラスミジタン作用機序-選択的5-HT1Fアゴニストの総説(Lasmiditan mechanism of action - review of a selective 5-HT1F agonist)」、J Headache Pain, 2020, 21, 71)。E559多形が5-HT1F及び1D受容体サブタイプでの強力なアゴニストとして示されたことは、例えば、頭痛、片頭痛、及び疼痛障害の症状を緩和するその治療的可能性を示す。
【0246】
E559多形は、本明細書において、LSDと類似の5-HT6部分アゴニストであると特性評価されている。5-HT6は、認知欠損及び認知障害を治療するための新たな標的受容体である(Dropらの文献、「認知向上活性を有する5-HT6受容体インバースアゴニストを開発するための新規スキャフォールドとしての2-フェニル-1H-ピロール-3-カルボキサミド(2-Phenyl-1H-pyrrole-3-carboxamide as a New Scaffold for Developing 5-HT6 Receptor Inverse Agonists with Cognition-Enhancing Activity)」、 ACS Chemical Neuroscience 2021 12 (7), 1228-1240)及び(Khouryらの文献、「アルツハイマー病における5 HT6-受容体アンタゴニストの役割:最新情報(The role of 5 HT6-receptor antagonists in Alzheimer's disease: an update)、Expert Opinion on Investigational Drugs, 2018, 27:6, 523-533)。従って、5-HT6受容体での強力な部分アゴニストとして実証されたE559多形は、認知、学習、及び記憶の治療における治療用途、従って、例えば、これらに限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、ダウン症候群、及び自閉症スペクトラム障害などの神経障害及び精神障害に関連する認知機能低下を含む認知障害の治療のための用途を有する。
【0247】
The E559多形は、本明細書において、うつ状態及び不安などの気分障害の治療における公知の薬物標的である5-HT2A及び5-HT1A受容体サブタイプでの部分アゴニストであるとして特性評価されており(Celadaらの文献、「うつ状態における5-HT1A及び5-HT2A受容体の治療的役割(The therapeutic role of 5-HT1A and 5-HT2A receptors in depression)」、 J Psychiatry Neurosci. 2004 Jul; 29(4): 252-265)、従って、抗うつ又は抗不安治療法の治療のための用途を有する
【0248】
E559多形は、D2及びD4を含むD2様受容体での高い効力(受容体活性化作用)を有することが本明細書において示されている。D2/D4ドーパミン受容体での強力なアゴニストとして、これは、これらに限定されないが、パーキンソン病、統合失調症、下肢静止不能症候群、精神障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、物質使用障害、高プロラクチン血症、及び神経遮断薬悪性症候群などのD2/D4関連精神神経障害における治療的可能性を有する(Bonifaziらの文献、「新規かつ強力なドーパミンD2受容体Goタンパク質バイアスアゴニスト( Novel and Potent Dopamine D2 Receptor Go-Protein Biased Agonists)」、 ACS Pharmacology & Translational Science 2019 2 (1), 52-65)及び(Paul E Keck Jr及びSusan L McElroyの文献、「アリピプラゾール:ドーパミンD2受容体部分アゴニスト抗精神病薬(Aripiprazole: a partial dopamine D2 receptor agonist antipsychotic)」、 Expert Opinion on Investigational Drugs, 2003, 12:4, 655-662)及び(Woolleyらの文献、「選択的ドーパミンD4受容体アゴニスト(A-412997)は、ラットにおいて報酬関連行動に影響を与えることなく認識能力を向上させ、運動活性を刺激する。(Selective dopamine D4 receptor agonist improves cognitive performance and stimulates motor activity without influencing reward-related behaviour in rat.)」、 Behavioural Pharmacology: December 2008-Volume 19-Issue 8-p765-776)。
【0249】
(うつ病性障害)
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して:うつ状態、大うつ病性障害(大鬱病エピソードを含む)、重篤気分調節症、非定型うつ病、精神病性大うつ病、緊張病性うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害、季節性感情障害、物質/薬物誘発性うつ病性障害、二重うつ病、抑うつ性パーソナリティ障害、持続性うつ病性障害(気分変調症)、反復性短期うつ病、小うつ病性障害、医学的状態が原因のうつ病性障害、及び特定不能のうつ病性障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害を治療することができる。いくつかの実施態様において、前記対象は、治療に抵抗性のうつ病性障害を患っている。
【0250】
いくつかの実施態様において、このうつ病性障害の群に対する使用に適した用量は、以下の通りである:
【表1】
【0251】
「大うつ病性障害」という用語は、大部分の状況で存在する落ち込んだ気分の期間を特徴とする状態を意味する。大うつ病性障害は、多くの場合、低い自尊心、通常であれば楽しむことができる活動への無関心、活力の低さ、及び明確な原因のない疼痛を伴う。ある例においては、大うつ病性障害は、2週間、数年、又はほとんど常に存在する徴候及び症状を特徴とする。大うつ病性障害は、人の私生活、労働生活、又は学校生活、並びに睡眠、食事習慣、及び全身健康状態に負の影響を及ぼす場合がある。気分変調症は、大うつ病性障害と同じ認知的及び身体的問題からなり、より重症が低いがより長く持続する症状を有する大うつ病性障害のサブタイプである。大うつ病性障害の例示的な症状としては、悲嘆感、涙があふれる感情、空虚感、又は絶望感、憤怒、易刺激性又はフラストレーション(ささいなことにさえ生じる)、ほとんどまたはすべての通常の活動への興味や喜びの消失、睡眠障害(不眠症又は過眠など)、疲労及び活力不足、食欲低下、体重減少又は増加、不安、激越、又は不穏状態、思考、発話、又は身体運動の速度低下、無価値感又は罪悪感、過去の失敗に対するこだわり又は自己非難、思考困難、集中困難、決断困難、及び物事の記憶困難、死を頻繁に思考すること、自殺念慮、自殺未遂、又は自殺、並びに原因不明の原因不明の身体的問題(背部痛又は頭痛など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
「非定型うつ病」は、個体が、気分反応性(すなわち、実際の又は可能性のある好ましい事象に応答して気分が明るくなる)、著しい体重増加、食欲の増加、過眠症、腕部又は脚部の重苦しい感覚(heavy, leaden feelings in arms or legs)、及び/又は著しい社会的又は職業性の障害をもたらす長期にわたるパターンの対人拒絶過敏性の徴候を示す状態を意味する。非定型うつ病の例示的な症状としては、日常的な悲嘆又は抑うつ気分、かつては快かった物事に楽しみを見出せないこと、大きな体重変化(増加もしくは減少)又は食欲変化、ほぼ毎日の不眠又は過眠、他者が気づくことのできる身体的不穏状態又は衰弱状態、日常的な疲労または活力減退、ほぼ毎日の絶望感、無価値感、または過剰な罪悪感、集中または決断に関するほぼ毎日の問題、死もしくは自殺の反復思考、自殺計画、又は自殺未遂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
「緊張病性うつ病」は、個体を長時間無言及び不動のままとする状態を意味する。緊張病性うつ病の例示的な症状としては、日常的に生じ得る悲嘆感、ほとんどの活動に対する関心の低下、体重の急増もしくは急減、食欲の変化、寝付き困難、床離れ困難、不穏感、易刺激性、無価値感、罪悪感、疲労、集中困難、思考困難、決断困難、自殺もしくは死の思考、及び/又は自殺未遂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0254】
「医学的状態が原因のうつ病性障害」は、別の病気によって引き起こされるうつ病性の症状を個体がを経験する状態を意味する。うつ病性障害を引き起こすことが知られている医学的状態の例としては、HIV/AIDS、糖尿病、関節炎、脳卒中、脳障害(パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、及びアルツハイマー病など)、代謝的状態(例えば、ビタミンB12欠乏)、自己免疫性状態(例えば、ループス及び関節リウマチ)、ウイルス又は他の感染症(肝炎、単核球症、ヘルペスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0255】
「産後うつ病」は、出産及びホルモンの変化、親であることへの心理的適応、並びに/又は疲労の結果としての状態を意味する。産後うつ病は、多くの場合、女性に関連するが、男性も同様に、産後うつ病を患うことがある。産後うつ病の例示的な症状としては、悲嘆感、絶望感、空虚感、または圧倒される感覚;通常よりも高頻度で又は明確な理由なく泣くこと;過度の憂慮または不安感;不機嫌、怒りっぽい、または休まらない感覚;寝過ごすこと、又は乳児が眠っているときでさえ眠れないこと;集中困難、詳細記憶困難、及び決断困難があること;怒りまたは激怒を経験すること;通常は楽しめる活動に対する関心を喪失すること;身体的痛み及び疼痛(aches and pains)を患うこと(高頻度の頭痛、胃の以上、及び筋痛を含む);過度の小食または大食;友人及び家族からの退避または回避;乳児との緊密な結びつきを確立する又は情緒的愛着を形成することに困難を伴うこと;自身又は育児能力を疑い続けること;並びに自身または乳児に危害を加えることについての思考が挙げられるが、これらに限定されない。
【0256】
「月経前不快気分障害」は、個体が、月経周期の月経前の段階の間に繰り返し生じ、月経の開始前後又はその後すぐ後に軽くなる気分の不安定性、易刺激性、不快気分、及び不安症状を示す状態を意味する。月経前不快気分障害の例示的な症状としては、不安定性(例えば、気分変動)、易刺激性又は怒り、抑うつ気分、不安及び緊張、通常の活動に対する関心の低下、集中困難、嗜眠及び活力不足、食欲の変化(例えば、過食又は特定の食物渇望)、過眠症又は不眠症、圧倒される感覚又は制御不能感、身体的症状(例えば、乳房の圧痛又は 腫脹、関節痛又は筋痛、「膨満感」及び体重増加)、自嘲的思考、緊張感又はいらいら感、通常の活動に対する関心の低下(例えば、仕事、学業、友人、趣味)、自覚的集中困難、並びに易疲労感が挙げられるが、これらに限定されない。
【0257】
「季節性感情障害」は、1年の時期に応じて個体が、気分変動を経験する状態を意味する。ある例においては、個体は、秋季及び/又は冬季の間に、落ち込んだ気分、活力の低さ、又は他のうつ病性の症状を経験する。ある例においては、個体は、春季及び/又は夏季の間に、落ち込んだ気分、活力の低さ、又は他のうつ病性の症状を経験する
【0258】
いくつかの実施態様において、開示の方法は、うつ状態の少なくとも1つの徴候又は症状を減少させる。いくつかの実施態様において、うつ状態の徴候又は症状は、抑うつ気分、活動への関心の減少、体重減少又は増加、食欲の低下又は増加、不眠症又は過眠症、精神運動性激越又は精神運動発達遅滞、疲労又は活力減退、無価値感又は過度のもしくは不適当な罪悪感、集中する能力の低下又は優柔不断、自殺念慮又は自殺関連行動である。
【0259】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、新たに診断されたうつ状態の対象に提供される。いくつかの実施態様において、前記対象は、1種以上の他の抗うつ薬治療での治療を受けたことがあるが、適切なうつ状態症状管理を得ていないか、又は適切なうつ状態症状管理を得ているが、該治療の副作用によって有害な影響を受けている。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、治療に抵抗性のうつ状態の対象に提供される。いくつかの実施態様において、前記対象は、うつ状態の1種類を意味する、適切な用量及び期間の少なくとも1種以上の治療の試みに反応しないか、又はそれに抵抗性である「治療抵抗性うつ状態」と診断されている。
【0260】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、うつ病性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を減少させる。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、うつ病性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を、治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0261】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、大うつ病性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を減少させる。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、大うつ病性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0262】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、非定型うつ病の少なくとも1つの徴候又は症状を減少させる。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、非定型うつ病の少なくとも1つの徴候又は症状を、治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0263】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、緊張病性うつ病の少なくとも1つの徴候又は症状を、治療前と比較して約5%から約100減少させる。
【0264】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、医学的状態が原因のうつ病性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を、治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0265】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、産後うつ病又は月経前不快気分障害の少なくとも1つの徴候又は症状を、治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0266】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体又は多形の投与後にうつ状態の徴候又は症状を減少させるための他の治療が、対象に実施されることはない。
【0267】
いくつかの実施態様において、本開示の方法は、前記対象に、少なくとも1種の追加の治療薬を投与して、うつ状態の徴候又は症状を減少させることをさらに含む。いくつかの実施態様において、少なくとも1種の追加の治療薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤、三環系抗うつ剤、四環系抗うつ剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、5-HT1A受容体アンタゴニスト、5-HT2受容体アンタゴニスト、5-HT3受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、又はノルアドレナリン作動性アンタゴニストである。いくつかの実施態様において、少なくとも1種の追加の治療薬は、本明細書で開示されるLSD誘導体又は多形の投与の前、本明細書で開示されるLSD誘導体又は及び多形の投与と同日、又は本明細書で開示されるLSD誘導体又は多形の投与の後に投与される。いくつかの実施態様において、少なくとも1種の追加の治療薬は、本明細書で開示されるLSD誘導体又は多形と同じスケジュールで投与される(例えば、1日おきに1回又は週2回もしくは週1回)。いくつかの実施態様において、少なくとも1種の追加の治療薬は、本明細書で開示されるLSD誘導体又は多形のスケジュールとは異なるスケジュールで投与される。いくつかの実施態様において、LSD誘導体又は多形での治療の期間は、追加の治療薬での治療の期間と同じであっても、又はそれより短くても、又はそれより長くてもよい。
【0268】
(双極性障害及び関連障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、双極性I型障害、双極性II型障害、気分循環性障害、物質/薬物誘発性双極性障害及び関連障害、並びに特定不能の双極性障害を含む双極性障害及び関連障害の治療における使用のためのものである。
【0269】
いくつかの実施態様において、この障害の群に用いられるべき用量は、下記の表の通りである:
【表2】
【0270】
「双極性障害」は、個体に、気分レベル、活力レベル、活動レベル、及び日々の作業を実施する能力の通常ではない変化を経験させる状態を意味する。双極性障害の個体は、異常に激しい情動の期間、睡眠パターン及び活動レベルの変化の期間、並びに異常行動の期間を経験する。これらの別個の期間は、「気分エピソード」と呼ばれる。気分エピソードは、その者にとって典型的な気分及び挙動とは大幅に異なる。躁病すなわち過剰行動の例示的な症状としては、異常に陽気、神経質、又は興奮した挙動;活性、活力、又は激越の増加、誇大な幸福感及び自信感、必要な睡眠の減少、異常な多弁、競争思考、転導性、及び意思決定のまずさが挙げられるが、これらに限定されない。
【0271】
双極性障害は、双極性I型障害、双極性II型障害、及び気分循環性障害を含む。双極性I型障害は、少なくとも7日間持続する躁病エピソードによって、又は入院を必要とする重症の躁病症状によって定義される。また、双極性I型障害の対象は、通常少なくとも2週間持続するうつ病性エピソードも経験することがある。混合型の特徴を有するうつ状態のエピソード、すなわち、同時のうつ病症状及び躁病症状も、可能性がある。双極性II型障害は、うつ病エピソード及び軽躁エピソードであるが、双極性I型障害に典型的な重症躁病エピソードではないパターンを特徴とする。気分循環性障害(気分循環症とも称される)は、少なくとも2年間にわたって持続する軽躁症状(気分の高揚及び多幸症)の期間及びうつ病症状の期間を特徴とする。
【0272】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、双極性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を減少させる。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、双極性障害の少なくとも1つの徴候又は症状を治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0273】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、双極性I型障害の少なくとも1つの徴候又は症状を治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0274】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、双極性II型障害の少なくとも1つの徴候又は症状を治療前と比較して約5%から約100%減少させる。
【0275】
(統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、妄想性障害、短期精神病性障害、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、物質/薬物誘発性精神病性障害、統合失調型(パーソナリティ)障害、別の医学的状態が原因の精神病性障害、別の精神障害に伴う緊張病、及び他の特定される又は特定不能の統合失調症スペクトラム、並びに他の精神障害(psychotric disorder)を含む統合失調症スペクトラム障害及び他の精神病性障害の治療における使用のためのものである。
【0276】
いくつかの実施態様において、この障害の群に用いられるべき用量は、下記の表の通りである:
【表3】
【0277】
(パーソナリティ障害)
さらなる実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、その開示の全体が引用により本明細書に組み込まれている精神疾患の診断・統計マニュアル、第5版(DSM-5);米国精神医学会、2013において分類されるパーソナリティ障害を治療することができる。簡単に述べると、パーソナリティ障害は、DSM-5によって10種の具体的な障害:妄想性パーソナリティ障害(他者の動機が悪意のあるものとして解釈されるような不信及び疑い深さのパターン);シゾイドパーソナリティ障害(社会的な関係からの離脱及び限られた範囲の感情表現のパターン);統合失調型パーソナリティ障害(親密な関係に対する強い不快感、認知または知覚の歪み、及び行動の奇異性のパターン);反社会性パーソナリティ障害(他者の権利の軽視及び侵害のパターン);境界性パーソナリティ障害(対人関係、自己像、及び感情の不安定性、並びに顕著な衝動性のパターン);演技性パーソナリティ障害(過度の情動性及び注意を惹くための行動のパターン);自己愛性パーソナリティ障害(誇大性、賞賛の要求、及び共感の欠如のパターン);回避性パーソナリティ障害(社会的抑制、不全感、及び負の評価に対する過敏さのパターン);依存性パーソナリティ障害(ケアをしてもらいたいという過度の要求に関連する服従的でかつ執着する行動のパターン);強迫性パーソナリティ障害(秩序的であること、完全主義、及び支配についてのこだわりのパターン);別の医学的状態が原因の人格変化(医学的状態の直接的な生理学的作用が原因であると判断される持続性の人格障害);並びに他の特定されるパーソナリティ障害及び特定不能のパーソナリティ障害に分類される。
【0278】
(不安症)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、その開示の全体が引用により本明細書に組み込まれている精神疾患の診断・統計マニュアル、第5版(DSM-5);米国精神医学会、2013において分類される不安症の治療における使用のためのものである。簡単に述べると、不安症は、DSM-5によって:全般性不安障害、分離不安障害、パニック障害、場面緘黙症、特定恐怖症(動物、自然環境、血液/注射/外傷に対する恐れ、状況的、その他)、社会不安障害、パニック障害、パニック発作特定用語、広場恐怖症、物質/薬物誘発性不安症、他の医学的状態が原因の不安症、及び他の特定される又は特定不能の不安症に分類される。
【0279】
いくつかの実施態様において、上記の障害の群に用いられるべき用量は、下記の表の通りである:
【表4】
【0280】
(心的外傷及びストレス因関連障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、アタッチメント障害、脱抑制型対人交流障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、適応障害、他の特定される又は特定不能の心的外傷及びストレス因関連障害を含む心的外傷及びストレス因関連障害の治療における使用のためのものである。
【0281】
いくつかの実施態様において、上記の障害の群に用いられるべき用量は、下記の表の通りである:
【表5】
【0282】
(強迫性障害及び関連障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、強迫性障害(OCD)、身体醜形障害、ためこみ症、抜毛症(抜毛傷害)、皮膚むしり症、物質/薬物誘発性強迫性障害及び関連障害、別の医学的状態が原因の強迫性障害及び関連障害、並びに他の特定される及び特定不能の強迫性障害及び関連障害(例えば、身体集中反復行動症、強迫的な嫉妬)を含む強迫性障害及び関連障害の治療における使用のためのものである。
【0283】
いくつかの実施態様において、上記の障害の群に用いられるべき用量は、下記の表の通りである:
【表6】
【0284】
(秩序破壊的・衝動制御・素行症群)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、反抗挑戦性障害、間欠性爆発性障害、素行障害、反社会性パーソナリティ障害、放火症、窃盗症、抜毛症、並びに他の特定される及び特定不能の秩序破壊的・衝動制御・素行症群を含む秩序破壊的・衝動制御・素行症群の治療における使用のためのものである。
【0285】
(食行動障害及び摂食障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、異食症、反芻性障害、回避・制限性食物摂取障害、神経性食欲不振症、過食性障害、神経性過食症、過食症又は大食症、糖尿病性過食症、プラダー・ウィリー症候群、及び視床下部性肥満、身体醜形障害、並びに他の特定される及び特定不能の食行動障害又は摂食障害を含む食行動障害及び摂食障害の治療における使用のためのものである。
【0286】
(解離性障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、解離性同一性障害、解離性健忘、離人感・現実感消失障害、並びに他の特定される及び特定不能の解離性障害を含む解離性障害の治療における使用のためのものである。
【0287】
(身体症状症及び関連障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、身体症状症、病気不安症、変換症(機能性神経症状症)、作為症(自己及び他者に負わせるもの)、並びに他の特定される及び特定不能の身体症状症及び関連障害を含む身体症状症及び関連障害の治療における使用のためのものである。
【0288】
(神経発達障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:知的障害(知的発達障害)、全般的発達遅延、コミュニケーション(言語、語音、小児期発症流暢又は吃音、社会的な、非特定型)障害、自閉症スペクトラム障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、限局性学習障害、運動障害(発達性協調運動、常同運動、トゥレット障害、持続性/慢性運動または音声チック障害、暫定的チック障害)、及び他の特定される又は特定不能の神経発達障害を含む神経発達障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0289】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、発作(全般発作、焦点発作、起始不明発作、及び焦点起始両側発作を含む)並びにてんかん(全般てんかん、焦点性てんかん、全般及び焦点性てんかん、ドラベ症候群、及び起始不明てんかんを含む)からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0290】
(睡眠覚醒障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:不眠障害、過眠障害、ナルコレプシー、呼吸関連睡眠障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸・低呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、特発性中枢性睡眠時無呼吸、睡眠関連低換気)、概日リズム睡眠覚醒障害、ノンレム(NREM)睡眠覚醒障害、悪夢障害、レム(REM)睡眠行動障害、下肢静止不能症候群、物質/薬物誘発性睡眠障害、並びに他の特定される及び特定不能の睡眠覚醒障害を含む睡眠覚醒障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0291】
(物質関連障害及び嗜癖性障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、これらに限定されないが、以下のクラスの薬物:アルコール、ニコチン、大麻、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬、刺激物質(アンフェタミン型物質、コカイン、及び他の刺激物質)、及び溶剤乱用、医薬品、並びに他の特定される又は特定不能の物質誘発性障害を含む物質関連障害(SRD)及び嗜癖性障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0292】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、これらに限定されないが、ギャンブル障害を含む非物質関連障害の治療における使用のためのものである。
【0293】
物質依存症障害としても知られるSRD、又は薬物使用障害、又は物質乱用障害は、1種以上の物質の使用が、著しい障害、機能障害、又は苦悩を招く状態である。嗜癖(addiction)及び依存(dependence)は、SRDの構成要素であり、ここで、嗜癖は、障害のより重症なほうの形態を表す。
【0294】
(頭痛障害)
さらなる実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、その開示の全体が引用により本明細書に組み込まれている国際頭痛学会(IHS)の頭痛分類委員会の文献、「頭痛国際分類、第3版」(The International Classification of Headache Disorders, 3rd Edition, Cephalalgia, 2018, 38 (1), 1-211)において分類される頭痛を治療することができる。簡単に述べると、頭痛は、IHSによって一次性頭痛、二次性頭痛、又は他の頭痛障害として3つのおおまかなカテゴリーに分類される。
【0295】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、HISによって片頭痛(前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛、及び慢性片頭痛を含む)、緊張型頭痛(稀発反復性、頻発反復性、及び慢性緊張型頭痛を含む)、三叉神経・自律神経性頭痛(群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、及び持続性片側頭痛を含む)、並びに他の一次性頭痛障害を含む、「一次性頭痛」として分類される頭痛を治療しかつ/又はそれを予防しかつ/又はその発症/期間を減少させることができる。
【0296】
三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)は、反復性群発頭痛及び再発性もしくは慢性群発頭痛などのその部分群全てを含む群発頭痛(家族性群発頭痛、ヒスタミン性頭痛、又は血管原性顔面痛と呼ばれる場合もある);並びに短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNHA)及びその部分群、結膜充血及び流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)、及び頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)を含む。TACの主要なサブカテゴリーは、IHSによって以下のように規定される:
【0297】
三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)
1. 群発頭痛
1.1. 反復性群発頭痛
1.2. 慢性群発頭痛
2. 発作性片側頭痛
2.1. 反復性発作性片側頭痛
2.2. 慢性発作性片側頭痛
3. 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
3.1. 結膜充血及び流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)
3.1.1. 反復性SUNCT
3.1.2. 慢性SUNCT
3.2. 頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)
3.2.1. 反復性SUNA
3.2.2. 慢性SUNA
4. 持続性片側頭痛
4.1. 持続性片側頭痛、寛解型
4.2. 持続性片側頭痛、非寛解型
5. 三叉神経・自律神経性頭痛の疑い
5.1. 群発頭痛の疑い
5.2. 発作性片側頭痛の疑い
5.3. 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作の疑い
5.4. 持続性片側頭痛の疑い
【0298】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、IHSによって頭部及び/又は頸部への外傷又は傷害による頭痛、頭部及び/又は頸部血管障害による頭痛、非血管性頭蓋内障害による頭痛、物質又はその離脱による頭痛、感染症による頭痛、ホメオスタシスの障害による頭痛、頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口、又は他の顔面もしくは頸部の構造の障害による頭痛又は顔面痛、精神障害による頭痛、並びに三叉神経の病変又は疾患による疼痛を含む脳神経の有痛性病変及びその他の顔面痛の頭痛カテゴリーを含む「二次性頭痛」として分類される頭痛を治療しかつ/又はそれを予防しかつ/又はその発症/期間を減少させることができる。
【0299】
三叉神経痛(TN)は、IHSによって突然発症及び終了し、三叉神経の1以上の部分の分布に限られ、非侵害性刺激をきっかけとする再発性一側性の短時間の電気ショック様疼痛を特徴とする障害」として定義されており[**]、神経血管の圧迫のみによって引き起こされるTNに関する古典的TN(かつては、特発性三叉神経痛と呼ばれた)(これは、2つの形態:1)典型的TN、純粋発作性、及び2)同時の持続性の顔面痛を伴う典型的TNにさらに分類される);並びに腫瘍、外傷、ウイルス感染症、及び多発性硬化症を含む基礎疾患に関連する三叉神経痛様疼痛に関する二次性TN(ここで、そのような二次性TNは、典型的TNと類似の臨床像を有するが、いくつかの追加の及び/又は異なる特徴も呈する場合がある(例えば、両側性の症状を有する場合がある多発性硬化症に起因するTN及び三叉神経の脳幹反射などの電気生理学的試験で異常を示すことが多い腫瘍に関連するTN))の双方を含む。
【0300】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、IHSによって分類不能のもの及び詳細不明のものを含む「他の頭痛障害」として分類される頭痛を治療しかつ/又はそれを予防しかつ/又はその発症/期間を減少させることができる。
【0301】
(疼痛)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、炎症(例えば、関節リウマチ、ループス、ベーチェット病)、遺伝要因(例えば、肢端紅痛症)、糖尿病、がん、及び化学療法などのがん治療におけるものなどの疼痛に繋がる神経損傷を引き起こす状態を含む神経障害因子、多発性硬化症(MS)などの神経学的状態、パーキンソン病などの神経変性状態、脳卒中、帯状疱疹、HIV、ハンセン病、ギラン・バレー症候群、血管疾患、血管形成異常、及び自己免疫性状態、末梢性ニューロパチー、自律神経性ニューロパチー、局所ニューロパチー、近位ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、及び圧迫性単ニューロパチーを含む全てのニューロパチー、幻肢痛、残肢痛、及び複合性局所疼痛症候群(CRPS)、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛、神経根痛、神経根炎及び胸部又は腰部の神経根症を含む全ての神経根症、侵害受容性疼痛(例えば、外傷誘発性疼痛、がん性疼痛)、身体化の高有病率又は痛覚変調性疼痛(例えば、慢性広範性疼痛、線維筋痛症、慢性側頭下顎関節障害、原因不明の慢性腰痛、過敏性腸症候群、慢性一次性膀胱痛症候群、慢性一次性骨盤痛症候群)、並びに病因のいかんを問わない慢性疼痛のさまざまな他の形態(例えば、慢性腰痛)などの状態によって引き起こされる疼痛の治療における使用のためのものである。
【0302】
さらなる実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、その開示の全体が引用により本明細書に組み込まれている国際疼痛学会(IASP)タスクフォース(the International Association for the Study of Pain (IASP) taskforce)(PAIN: June 2015 - Volume 156 - Issue 6 - p 1003-1007)によって分類される慢性疼痛を治療することができる。簡単に述べると、慢性疼痛は、3か月を超えて持続する持続性又は再発性の疼痛と定義され、以下の7つのカテゴリー:慢性一次性疼痛(線維筋痛症、慢性骨盤痛、非特異的背部痛、及び他に特定されない慢性一次性疼痛など);慢性がん性疼痛(がん及び転移が原因の疼痛、化学療法誘発性疼痛、放射線療法が原因の疼痛、がんの外科的処置が原因の疼痛、及びがんに関連する他の慢性疼痛など);慢性の術後及び外傷後疼痛(全ての術後及び外傷後疼痛、及び他に特定されない術後/外傷後疼痛を含む);慢性神経障害性疼痛(末梢神経障害性疼痛、中枢神経障害性疼痛、及び他の神経障害性疼痛、及び他に特定されない神経障害性疼痛を含む);慢性頭痛及び口腔顔面痛(慢性一次性頭痛、慢性二次性頭痛、慢性口腔顔面痛、及び他に特定されない頭痛及び口腔顔面痛を含む);慢性内臓痛(持続性炎症、及び/又は血管機構、及び/又は閉塞/膨満、及び/又は牽引/圧迫、及び/又は複合機構の結果としての慢性内臓痛、又は他の部位から、がんからの関連慢性内臓痛、又は機能性もしくは原因不明の慢性疼痛を含む);並びに慢性筋骨格痛(持続性炎症及び/又は構造的な骨関節変化の結果としての慢性筋骨格痛、及び/又は神経系の疾患を起源とする慢性筋骨格痛(けいれん性疼痛、及び慢性非特異的筋骨格痛及び関連疼痛症候群など)を含む)に分類される。
【0303】
さらなる実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)を使用して、疼痛の種類を問わず炎症性、侵害受容性、神経障害性、痛覚変調性、及び他の種類の疼痛を含み、数時間又は数日から最長で3か月まで短時間持続し、任意の種類の外科的処置、歯科処置、分娩及び出産、切り傷、熱傷、骨折、及び他の事故又は外傷に起因するものなどの組織傷害の結果としての急性疼痛、任意の疾患状態に起因する急性疼痛、任意の種類の外傷に起因する急性疼痛、及び原因不明の急性疼痛を含む疼痛として定義される急性疼痛を治療することができかつ/又は急性疼痛を予防又は急性疼痛の発症/期間を減少させることができる。
【0304】
(痙縮)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、これらに限定されないが、脳性麻痺、脳卒中、多発性硬化症(MS)、外傷性脳損傷(TBI)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、遺伝性痙性対麻痺、副腎白質ジストロフィー(ALD)、フェニルケトン尿症、クラッベ病、及び脊髄損傷を含む神経障害性疼痛を伴う又は伴わない痙縮に関連する状態の治療における使用のためのものである。
【0305】
(神経損傷)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:原因を問わない末梢神経損傷又は外傷及び/又は原因を問わない中枢神経系(脳及び脊髄)神経損傷又は外傷のうちの神経損傷又は外傷に関連する障害及び疾患の治療における使用のためのものである。これらには、事故、スポーツ損傷、落下、銃撃、又は爆発的突風による打撃(explosive blaststroke)などの外部からの物理的要因に起因する障害及び疾患;又は脳卒中、脳動脈瘤破裂、酸素の不足、感染症(ウイルス、細菌、プリオン、又はその他)、及び自己免疫疾患などの内部的要因に起因する障害及び疾患が含まれ;かつこれらは、外部からの要因によって直接的に又は間接的に引き起こされる全ての他の神経損傷又は外傷、及び/又は疾患状態に直接的に又は間接的に起因する神経損傷又は外傷を含む。
【0306】
(疲労)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、外傷性脳損傷(TBI)、慢性疲労症候群(CFS)、及び関連する状態、並びに慢性疲労を引き起こす他の疾患及び/又は障害による慢性疲労(例えば、身体的疲労、心理的疲労、又は精神的疲労)の治療における使用のためのものである。
【0307】
(神経変性)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、バッテン病、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、レビー小体病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、パーキンソン病、プリオン病、脊髄性筋萎縮症、ウイルス(例えば、HIV)又は細菌感染症が原因の神経変性状態、物質/薬物が原因の神経変性状態、並びに他の老化関連及び非老化関連神経変性状態などの神経変性障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0308】
(性機能障害及び性別違和障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、遅漏、勃起障害、女性のオルガズム障害、女性の性的関心・興奮障害、性器-骨盤痛/挿入障害、男性の性的欲求低下障害、早漏、物質/薬物誘導性性機能障害、他の特定される及び特定不能の性機能障害を含む性機能障害からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0309】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、小児、青年、成人における性別違和、及び他の特定される及び特定不能の性別違和からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0310】
(神経認知障害)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、せん妄、アルツハイマー病が原因の神経認知障害(neurocognitive disorder; NCD)、血管性NCD、レビー小体型NCD、パーキンソン病が原因のNCD、前頭側頭葉型NCD、外傷性脳損傷が原因のNCD、HIV感染症が原因のNCD、物質/薬物誘発性NCD;ハンチントン病が原因のNCD、プリオン病が原因のNCD;別の医学的状態が原因のNCD、複数の病因が原因のNCD、及び特定不能のNCDを含む神経認知障害(NCD)からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0311】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、記憶の問題、精神的な明晰さの欠如、集中力低下、及び/又は感染症(ウイルス/細菌/プリオン/その他)、もしくは他の特定されるもしくは特定不能の障害、疾患、もしくは他の不明な原因に起因する集中不能を含む神経認知/学習機能障害の治療における使用のためのものである。
【0312】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、神経変性障害又は神経発達障害の明かな徴候を伴う又は伴わない記憶、認知、及び/又は学習の低下の治療、及び/又は神経変性障害又は神経発達障害の明かな徴候を伴い又は伴わずかつ年齢を問わない記憶、認知、及び/又は学習の低下の予防における使用のためのものである。
【0313】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、正常老化に関連する神経変性障害の明かな徴候を伴う又は伴わない記憶、認知、及び/又は学習の低下の治療における使用のためのものである。
【0314】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:正常老化及び/又は早老症症候群に関連する神経及び/又は精神神経障害及び/又は状態からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0315】
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:正常老化及び/又は早老症症候群に関連する神経及び/又は精神神経障害及び/又は状態からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0316】
(神経学的-ウイルス感染症)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:JCウイルスによって引き起こされる進行性多巣性白質脳症(PML)などの、セロトニン作動性(5-HT)受容体(特に、5-HT2A受容体)などの侵入用ニューロン細胞表面受容体を利用するウイルス感染症によって引き起こされる神経疾患からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0317】
(他の薬物の副作用に対抗すること)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は:幻覚剤(例えば、シロシビン及びLSD)の副作用(幻覚、バッドトリップなど)の削減及び/又は予防からなる群から選択される疾患及び/又は障害の治療における使用のためのものである。
【0318】
(良好な状態にあること)
別の実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、全般的ウェルネス感(general feeling of wellness)を生じさせるための自己投与に使用することができる。
【0319】
(頭痛障害及び疼痛障害における5-HT1受容体介在性治療効果)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、治療機構が、5-HT1受容体活性化(5-HT1A、1B、1D、1E、及び1Fなどの1つ以上の5-HT1受容体サブタイプでの受容体活性化作用)に関連している疾患及び/又は障害、例えば、頭痛障害及び疼痛障害の治療における使用のためのものである。
【0320】
(認知、学習、及び記憶における5-HT6受容体介在性治療効果)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、治療機構が、5-HT6受容体活性化(受容体活性化作用)に関連している、認知/学習/記憶の欠陥又は低下に関連する疾患及び/又は障害、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、ダウン症候群、及び自閉症スペクトラム障害の治療における使用のためのものである。
【0321】
(うつ病性障害及び不安関連障害における5-HT2A受容体介在性治療効果)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、治療機構が、5-HT2A受容体活性化(受容体活性化作用)に関連している、疾患及び/又は障害、例えば、うつ病性障害及び不安関連障害の治療における使用のためのものである。
【0322】
(さまざまな精神神経障害におけるD2様受容体介在性治療効果)
別の実施態様によれば、本明細書で開示される医薬組成物又は化合物(複数可)は、治療機構が、D2様受容体(D2及びD4受容体サブタイプなど)活性化(受容体活性化作用)に関連している疾患及び/又は障害、例えば、うつ病性障害、パーキンソン病、統合失調症、下肢静止不能症候群、精神障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、物質使用障害、高プロラクチン血症、及び神経遮断薬悪性症候群の治療における使用のためのものである。
【0323】
(非幻覚誘発性及び神経可塑性誘発物質及び受容体)
LSD又は他のセロトニン作動性催幻覚性化合物によって引き起こされる幻覚は、5HT2A受容体での受容体活性化作用によって推進されると考えられている(Halberstadt A.L.の文献、Behavioural Brain Research. 2015, 15; 277:99-120)。従って、5HT2AアゴニストであるLSD誘導体は、催幻覚性である、すなわち、幻覚を引き起こすと予想される。従って、5HT2A受容体活性化作用を有するLSD誘導体が、実質的に非幻覚誘発性でもあることは、予想外かつ新規のことである。
【0324】
5HT-1A、1B、1D、1E、1F、2A、2B、2C、3、4、5A、5B、6、及び7を含むいくつかの5-HT受容体のサブタイプが、現在までに哺乳動物で確認されている。また、LSDが、5HT-2B受容体活性化作用を示すことも知られている。この5HT-2B受容体での受容体活性化作用は、線維症及びその結果として生じる心血管系副作用(LSDによって引き起こされる心弁膜症など)を招くと考えられているため望ましくない(Cavero及びGuillonの文献、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods, 2014, 69:150-161)。5HT2A受容体活性化作用を有し、かつ5HT-2BアゴニストではないLSD誘導体は、新規かつ予期されぬものであろう。
【0325】
神経可塑性誘発物質(neuroplastogen)は、神経可塑性を誘導する/向上させる任意の化合物である。神経可塑性は、ニューロン新生、ニューロンもしくはアストロサイト細胞体又は神経突起サイズ、形状、及び長さの調節、又はシナプス可塑性(シナプス形成、シナプス強化、スパイン形成(spinogenesis)、シナプススパインの喪失、「剪定(pruning)」、シナプススパイン体積の変化、シナプス密度の変化を含む)、又は特定のシナプスタンパク質及び経路の変化を含む神経系における構造的及び機能的な変化として定義され得る。神経可塑性の向上が、大部分の精神神経疾患及び/又は障害並びに神経疾患及び/又は障害の治療のために重要な治療機構であると考えられている。
【0326】
従って、いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)又はその多形(複数可)は、実質的に非幻覚誘発性であり、かつ5HT2A受容体である程度の受容体活性化作用を示す。
【0327】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)又はその多形(複数可)は、実質的に非幻覚誘発性であり、かつ5HT2A受容体でのある程度の受容体活性化作用を伴い又は伴わずに神経可塑性誘発性を示す。
【0328】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)又はその多形(複数可)は、実質的に非幻覚誘発性であり、弱~無の5HT2B受容体での受容体活性化作用や拮抗作用や逆受容体活性化作用を示し、かつ5HT2A受容体でのある程度の受容体活性化作用を伴い又は伴わずに神経可塑性誘発性を示す。
【0329】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体及びその多形は、実質的な幻覚誘発作用を生じさせず、従って、神経可塑性を調節する可能性を有し、「神経可塑性誘発用量」として製剤化されて提供される「神経可塑性誘発薬」又は「神経可塑性誘発物質」として好適である。
【0330】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体及びその多形の投与は:精神疾患/障害の治療の助けとなる神経可塑性を誘導/改善するため;全年齢群における、特に、正常老化での認知、学習、及び記憶の低下を治療するため及び/もしくは予防/減少させるため;年齢を問わない神経疾患/障害における認知、学習、及び記憶の低下を治療するため及び/もしくは予防/減少させるため;並びに/又は年齢を問わない精神疾患/障害における認知、学習、及び記憶の低下を治療するため及び/もしくは予防/減少させるための神経可塑性誘発作用を発揮することができる安全かつ耐容性が示される用量でのものである。
【0331】
さらなる治療の実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体及びその多形は、神経学的受容体の調節に有用であり、該調節は、受容体活性化作用、拮抗作用、又はいずれかの部分版であり、ここで、該神経学的受容体の調節は、疾患又は障害の治療の助けとなる。非限定的な例として、本明細書で開示されるLSD誘導体及び多形は、5-HT2Aサブタイプなどの5-HT受容体を調節して、従って、うつ状態、不安、PTSD、及び疼痛のさまざまな形態が含まれるであろう5-HTタイプに影響される神経障害及び精神障害に影響を及し得る。
【0332】
さらなる実施態様において、溶質輸送体(SLC)と呼ばれる輸送体が、本開示の新規LSD誘導体及び多形によって調節され得、該調節は、受容体活性化作用、拮抗作用、又はいずれかの部分版であり、ここで、該輸送体の調節は、疾患又は障害の治療の助けとなる。
【0333】
従って、いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)又はその多形(複数可)は、実質的に非幻覚誘発性であり、かつ5HT2A受容体である程度の受容体活性化作用を示す。
【0334】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)又はその多形(複数可)は、実質的に非幻覚誘発性であり、かつ5HT2A受容体でのある程度の受容体活性化作用を伴い又は伴わずに神経可塑性誘発性を示す。
【0335】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体(複数可)又はその多形(複数可)は、実質的に非幻覚誘発性であり、5HT2B受容体で弱~無の受容体活性化作用や拮抗作用や逆受容体活性化作用を示し、かつ5HT2A受容体でのある程度の受容体活性化作用を伴い又は伴わずに神経可塑性誘発性を示す。
【0336】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体及びその多形は、実質的な幻覚誘発作用を生じず、従って、神経可塑性を調節する可能性を有し、かつ「神経可塑性誘発用量」として製剤化されて提供される「神経可塑性誘発薬」又は「神経可塑性誘発」として好適である。
【0337】
さらなる実施態様において、本明細書で開示されるLSD誘導体及びその多形の投与は:精神疾患/障害の治療の助けとなる神経可塑性を誘導/改善するため;全年齢群における、特に、正常老化での認知、学習、及び記憶を支援するため;年齢を問わない神経疾患/障害における認知、学習、及び記憶を支援するため;並びに/又は年齢を問わない精神疾患/障害における認知、学習、及び記憶を支援するための神経可塑性誘発作用を発揮する安全かつ耐容性が示される用量でのものである。
【0338】
上記の開示は、本発明を一般的に説明する。より完全な理解を、以下の具体例を参照することによって得ることができる。これらの実施例は、説明の目的のためたけに記載されるものであり、本発明の範囲を限定することは意図されない。状況が示唆し得る、好都合とし得るために、等価物の形態及び置換の変更が想定される。特定の用語が、本明細書において採用されているものの、そのような用語は、説明的な意味で意図されており、制限のために意図されるものではない。
【実施例
【0339】
(実施例)
(命名法)
名称、構造、及び合成コードを、表Iに示す:
(表I)
【表7】
【0340】
多くの2-ブロモ-LSD関連化合物について作成された国際純正応用化学連合(IUPAC)名が、キラル中心を炭素6及び9に示していることに留意すべきである。しかしながら、上述の構造で確認されるように、臭素が第2の炭素に結合しており、2つのキラル炭素を5位及び8位とすることと整合性のある番号付けを採用している。
【0341】
(実施例1: 合成 2-ブロモリゼルグ酸)
((i) 2-ブロモリゼルグ酸(B)は、ブロモクリプチンメシラート(A)の塩基性加水分解によって調製された)
【化40】
この反応は、ブロモクリプチンメシラート(A)の2-ブロモリゼルグ酸(B)への塩基性加水分解によって進行した。
【0342】
(一般的反応)
水酸化カリウム(KOH)の水溶液を、ほぼ室温でブロモクリプチンメシラートに加え、得られた混合物を、種々の温度で加熱した。エタノール、THF、2-メチル-THF、及びイソプロピルアルコール(IPA)などの種々の水混和性溶媒を準備して、固体の凝集を減らした。得られた混合物を、種々の温度で加熱した。より短い反応時間が達成され、比較的スムーズな生成物の濾過が達成された。反応混合物を、約5℃まで冷却し、約2.5当量のHClで約6.0のpHまで中和した。生じた固体を濾過し、乾燥し、MTBEなどのエーテルで洗浄した。残留水を完全に除去するために、THFを、MTBE/水混合物に添加し、共沸蒸留を実施した。さらなる水の除去は、生成物をTHFに溶解させ、1回以上溶媒留去又は濾過することによって達成することができる。
【0343】
(化学物質)
化学物質及び溶媒は全て、商業的供給元から購入し、さらに精製することなく用いた(例えば、ブロモクリプチンメシラート(CAS 22260-51-1)は、Teva Pharmaceutical Industries社;IPA、水、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、及びテトラヒドロフラン(THF)は、Caledon Laboratories社;濃HClは、Fisher Scientific社より購入)。
【0344】
(反応設備及び条件)
オイルポンプ(Vacuubrand Model RZ 6)を用いることによって、高真空(0.02ミリバール(2Pa))を生じさせた。
【0345】
反応は、そうでないと記載されている場合を除きマグネチックスターラーを用いて撹拌した。
【0346】
TLC検出用の染色剤として使用した過マンガン酸カリウム(KMnO4)溶液は、以下のように調製された:過マンガン酸カリウムKMnO4(約1.5g)及び炭酸カリウムK2CO3(約10g)を、室温で蒸留水(約150mL)に溶解させた。
【0347】
(反応)
冷却器、温度計、オーバーヘッド攪拌、及び窒素導入口を取り付けた5Lの3つ口フラスコに、ブロモクリプチンメシラート(約250g、0.333mol、1.0当量)、IPA(約500mL、2vol)、及び水(約1500mL、6vol)を入れた。約25℃の温度で、KOH 45%w/w水溶液(約394mL、1.6vol)を一度に添加し、反応混合物を調節して、約2~3時間穏やかにリフラックス(約85℃)させた。混合物は、穏やかにリフラックスさせて加熱すると、ゆっくりと溶解して暗褐色溶液となる。反応溶液を、約22℃まで冷却した。超高速液体クロマトグラフ(UPLC)分析は、出発材料の完全なコンバージョンを示す。
【0348】
スケールアップでは、約23.4kgのブロモクリプチンを、400Lグラスライニング反応器に入れ、それに続き、窒素パージしながら約36.8kgのイソプロピルアルコール(2体積)を入れた。混合後、約140.4kgの脱イオン水(6体積)を、反応器に添加した。混合物の温度を、約22±3℃に調節し、混合物をさらに約30分撹拌した。撹拌後、約13.8当量の水酸化カリウムを、反応器に添加して、約53.6kgの45%w/w水溶液を得た。全ての水酸化カリウムを、確実に反応器に添加するために、添加経路を、約9.4kgの脱イオン水で流した。混合物の温度を、約81℃まで上昇させ、混合物を約2時間リフラックスした。反応器は、プロセスの全期間にわたり窒素下に保たれた。リフラックス後に、混合物を、約25℃まで冷却した。UPLC分析によって、反応後に約0.05%未満のブロモクリプチンが残っていることが示された。
【0349】
(ワークアップ)
溶液を、減圧下約45℃の内温で約8.0~9.0vol(約2.0~2.3L)となるまで蒸留し。次いで、残った溶液を、約25℃の温度まで冷却し、水(約500mL、2.0vol)を入れた。次いで、反応フラスコを、約3℃(約0~6℃)の内温となるよう調節した。内温を約10℃に維持しながら、約2.5M HCl溶液(約1125mL、4.5vol)を、反応フラスコに添加し、約15分間撹拌して、pH値を約5.8~6.2に調節した。次いで、混合物を、室温まで昇温させ、約1~2時間撹拌した。沈殿物を、窒素を流しながら濾紙及びポリエステルの濾布を用いて準備したブフナー漏斗を通して減圧濾過し、水(2×約500mL)、MTBE(2×約250mL)で洗浄し、窒素を流しながら約18時間減圧乾燥した。
【0350】
スケールアップでは、混合物を、約10℃まで冷却し、約-12.8psig(-88.3kPaG)の真空下で蒸留した。真空に到達した後に、混合物を、約24℃に加熱し、反応混合物の体積を、約200Lまで減少させた。さならる約46.8kgの脱イオン水(2体積)を、反応器に入れ、温度を、約4.0℃まで低下させた。約4.5体積の約2.5M HClを、冷却して反応混合物の温度を約5.0~約5.8℃に維持しながら、約1時間かけて反応器に添加した。pHを、約43.3Lの追加の2.5 M HClを添加することにより約13.3から約5.75に調整した。混合物の温度を、約22℃まで上昇させ、約1.5時間撹拌した。得られたスラリーから、窒素下かつ遮光された二層式綿/ポリエステル濾布での濾過によって沈殿物を集めた。反応器を、各回約2体積の脱イオン水で2回すすぎ、これを、ほぼ室温まで温め、次いで、濾過ケーキを洗浄するのに用いた。次いで、反応器及び濾過ケーキを各回約1体積のMTBEで2回洗浄した。固体を通して引いた窒素流を用いて、生成物を約116時間約45℃で乾燥させた。UPLC分析によって、(5R,8R) 2-ブロモ-リゼルグ酸の純度が、約93.5%であったことが示された。主要な不純物は、立体異性体である(5R,8S) 2-ブロモ-リゼルグ酸であり、約4.6%であった。
【0351】
(精製及び共沸乾燥)
THF(約1250mL、5vol)を、蒸留装置及び温度計を取り付けた5Lの3つ口反応フラスコに入れた単離されたウエットな生成物に添加した。懸濁液を約30分ほぼ室温で撹拌し、減圧下濃縮し、内温を約40℃まで上昇させて、約1.5~2.0vol(約375~500mL)の最終体積を目標とした。このプロセスを、約3回繰り返した。沈殿物を、窒素を流しながら濾紙及びポリエステル濾布を用いて準備したブフナー漏斗を通して減圧濾過し、THF(2×約125mL)で洗浄し、窒素を流しながら約18時間減圧乾燥した。生成物を、約2~8℃で暗所で保管した。
【0352】
スケールアップでは、約9kgの乾燥させた(5R,8R) 2-ブロモ-リゼルグ酸を、約104kgのテトラヒドロフラン(約5体積)と共に反応器に入れ、約15分間混合した。反応器の温度を、約7℃に調節し、約-13.3psig(-91.7kPaG)真空の真空とした。温度を、約約10℃まで上昇させ、体積を窒素下で約45Lまで減少させた。約104kgのテトラヒドロフラン(約5体積)を添加し、今回は、約-13.8psig(-95.1kPaG)かつ約15℃で蒸留をまた実施した。3回目の約104kgのテトラヒドロフランを添加し、最後の蒸留をまた実施した。温度を約21℃に調節し、生成物を約1時間撹拌した。沈殿物を二層式綿/ポリエステル濾布での濾過によって回収した。反応器をすすぎ、濾過ケーキを、約0.5体積の洗浄液で3回洗浄した。ケーキを、減圧及び窒素下で約40℃で約106時間乾燥した。UPLC分析によって、(5R,8R) 2-ブロモ-リゼルグ酸の純度が、95.3%であったことが示された。主要な不純物は、立体異性体である(5R,8S) 2-ブロモ-リゼルグ酸であり、これは、2.4%であった。
【0353】
(小スケールバッチの最終分析)
KF:約0.93%、HPLC:約98.55%、及び収量:約86g、74%。
【化41】
化学式:C16H15BrN2O2
精密質量:346.03
分子量:347.21
【0354】
(13C及び1H核磁気共鳴スペクトル)
(B)のDMSO-d6中での500MHz 1H-NMR及び125MHz 13C-NMRスペクトルは、以下の通りである(図1A及び図1Bも参照されたい):
【化42】
【0355】
(高分解能質量スペクトル)
エレクトロスプレーイオン化の質量スペクトル(B)を、図2A及び図2Bに示す。
【0356】
((ii) 2-ブロモ-LSD(C)が、2-ブロモリゼルグ酸(B)とジエチルアミンとから調製される。
【化43】
本反応は、カップリング剤の存在下での、2-ブロモリゼルグ酸(B)の、そのジエチルアミンとの反応時の塩基を触媒とするアミド結合形成によって進行した。2-ブロモ-LSD遊離塩基(C)を、析出によって回収した。
【0357】
(一般的反応)
種々のカップリング剤、溶媒、反応物質を混合する温度、速度、及び順序、並びに反応時間を、完成させた。本反応は、5R,8S異性体も生成するものの、一般に、完全なものであり、5R,8R異性体に対して特異的なものである。カップリング後に、反応混合物を、約5℃まで冷却し、水を添加し、次いで、pHを、水性HCl溶液などの種々の酸を用いて約6~約8の範囲の種々のpH値まで低下させた。沈殿物を濾過によって集めた。さらなる精製が、生成物をTHFに溶解させること、及びそれに続く濃縮及び濾過によって実施された。
【0358】
(化学物質)
化学物質及び溶媒は全て、上述のように商業的供給元から購入し、さらに精製することなく用いた。
【0359】
(反応設備及び条件)
高真空(0.02ミリバール(2Pa))を、オイルポンプ(Vacuubrand Model RZ 6)を用いることによって生じさせた。
【0360】
反応は、そうでないと記載されている場合を除き、マグネチックスターラーを用いて撹拌した。
【0361】
TLC検出用の染色剤として使用した過マンガン酸カリウム(KMnO4)溶液は、以下のように調製された:過マンガン酸カリウムKmnO4(約1.5g)及び炭酸カリウムK2CO3(約10g)を、室温で蒸留水(約150mL)に溶解させた。
【0362】
(反応)
THF(約3volすなわち15.6mL)中の2-ブロモ-リゼルグ酸(B)(約5.20g)及びN-メチルモルホリン(NMM)(約3当量、すなわち、4.56g)の混合物を、約1時間ほぼ室温で撹拌し、THF(約5volすなわち26mL)中のカルボニルジイミダゾール(CDI)(約2当量、すなわち、14.6g)の溶液で処理した。溶液をほぼ室温で約2時間撹拌し、約0℃まで冷却した。ジエチルアミン(DEA)(2.2当量、すなわち、7.25g)を約0℃で添加し、反応溶液をほぼ室温まで昇温させ、この温度で撹拌した。混合物を、HPLCによってモニタリングし、約18時間後に出発材料の完全な消費が確認された。
【0363】
(ワークアップ)
溶液を、約5℃まで冷却し、約5体積の水で希釈し、HCl(約1M、7当量、1.7vol/vol)約3時間でゆっくり処理して、pH値を約5.9に調節した。さらなる18.3体積の水を添加した。沈殿した生成物を濾過し、水(3×2体積)で洗浄した。
【0364】
(最終分析)
KF:0.93%、HPLC:98.55%
(高分解能質量スペクトル)
エレクトロスプレーイオン化の質量スペクトル(C)を、図4に示す。
【化44】
化学式:C20H24BrN3O
精密質量:401.11
分子量:402.34
【0365】
(13C及び1H核磁気共鳴スペクトル)
DMSO-d6中の(C)の125MHz 13C-NMRスペクトルは、以下の通りである)
【化45】
【0366】
(カップリング剤の選択)
工程2の反応の構成要素の1つは、カップリング剤である。任意の適当なカップリング剤を用い得る。カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5 トリアジン(CDMT)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(HATU)、プロピルホスホン酸無水物(T3P)、及びオキシ塩化リン(POCl3)などのカップリング剤が、評価されている。カップリング剤スクリーニングの結果を、下記表IIに示す:
(表II)
【表8】
【0367】
(異性化の向上)
2-ブロモリゼルグ酸(B)のアミド化を行う場合、表IIIに例示されるように、出発材料の品質(仕込み比率)にかかわらず、類似の(5R,8R)-2-ブロモ-LSD及び(5R,8S)-2-ブロモ-イソ-LSDのラセミ混合物が形成されることが分かった:
(表III)
【表9】
【0368】
(5R,8S)-2-ブロモ-イソ-LSDが、塩基性条件によって形成され、(5R,8R)-2-ブロモ-LSD異性体が、酸性条件によって形成されることが分かった。加えて、N-メチルモルホリン(NMM)のTHFスラリーへの添加も、(5R,8R)-2-ブロモ-LSDの生成を優勢とした。それに続き、異性体が、経時的に相互変換することができ、(5R,8S)-2-ブロモ-イソ-LSDよりも(5R,8R)-2-ブロモ-LSDに有利に働くことが分かった。以下に示されるように、酸の添加後の撹拌時間を、約30分から約6時間へと増加させた場合、収率及び純度が双方とも増加する場合がある。
【0369】
5℃で、約6時間で、99%に近い全体としての異性体純度で、収率は、約44%から約48%へと向上した(表IV)。
【0370】
(表IV)
【表10】
【0371】
予想外に、収率及び異性体純度は、用いられる塩酸の濃度、最終pH目標値、並びに用いられる水及び塩酸の体積によって影響を受けることがある。表Vは、これらのパラメーターの種々の組合せ及び収率及び異性体純度に対する作用を例示する。
(表V)
【表11】
【0372】
収率及び純度に対するpHの作用は、互いに逆の影響を受けるようであった。pHは、E405の収率に影響を及ぼさないようであった(図3A及び図3B参照)。
【0373】
HClの濃度及び添加される水の量などの二次的因子が調査され、上で言及したような実験的な利点をもたらすことが分かった。
【0374】
((iii) 2-ブロモ-LSD酸性塩(D)は、2-ブロモ-LSD(C)を有機酸と合わせることによって調製される)
【化46】
2-ブロモ-LSD酸性塩(D)を、イソプロピルアルコール(IPA)などの適当な溶媒中で2-ブロモ-LSD(C)を対応する酸と加熱することで調製した。
【0375】
生成物を、溶媒からの再結晶化によって精製した。クロマトグラフィーによって精製することは必要ではなかった。
【0376】
(ヘミ-酒石酸塩)
((a) 2-ブロモ-LSD・D-酒石酸塩: (5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩)
(塩の生成)
IPA(約7volすなわち約21mL)中の2-ブロモリゼルグ酸ジアミド(C)(約3.0g)を、約65℃に約30分間加熱した。この溶液に、IPA(約8vol)中のD-酒石酸(約1当量)を添加したところ、合わせた溶液はクリアになった。それを、約65℃でさらに加熱した。約30分後に、混合物を、ほぼ室温とし、約30分かけて約5℃まで冷却した。固体(約2.77g)を濾過によって集め、約18時間乾燥させた。HPLCによって、生成物(5R,8R):異性体(5R,8S)の比が、約87:13であることが示された。
【0377】
(再結晶化)
(D)(6g)を、EtOH(8vol)中に懸濁させ、約65℃に約1時間加熱し、ほぼ室温まで冷却し、次いで、約1時間かけて約5℃まで冷却した。固体を濾過し、乾燥させて、約3.54gの目的生成物(D)を得た。
【0378】
(最終分析)
HPLC[5R,8R]:99.67%、収率:約64%
【0379】
不純物は、主として、(5R,8S)-2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩、2-ブロモ-リゼルグ酸、及びLSDであった。
【0380】
別の方法では、D-酒石酸(約1当量)を、約3.3体積のエタノールに溶解させ、約40℃に調節し、E405(約1当量)を、約6.7体積のエタノールに溶解させた。E405溶液を、D-酒石酸溶液に添加し、温度を約50℃まで上昇させ、少なくとも約30分撹拌した。次いで、温度を約2~3時間かけて約22℃に調節し、約30~60分撹拌した。次いで、温度を約1~2時間かけて約50℃まで上昇させ、約1~2時間撹拌し、次いで、再び約22℃まで約2~3時間かけて低下させ、約1~2時間撹拌した。次いで、結晶性のスラリーを濾過し、約55℃未満で少なくとも約14時間減圧乾燥した。結果として得られたE559の純度は、約99.85%であり、収率は、約61%であった。結果は、5R,8R-2-ブロモ-LSDのヘミ-D-酒石酸塩であった。
【0381】
さらなる最適化の後に、E559結晶化を、約15g及び約200gスケールで実施した。E559とする結晶化は、約99.71%(15gスケール)及び約99.85%(200gスケール)のキラル純度をもたらした。結果は、5R,8R-2-ブロモ-LSDのヘミ-D-酒石酸塩であり、これは、L-酒石酸塩よりも吸湿性が低く(75%の相対湿度で約3.4%増加対約6.3%)、それよりも高い融点(約193℃対約169℃)を有し、それよりも良好な長期安定性を示した(下で説明される方法)。
【0382】
別の実施例において、2-ブロモ-LSDを結晶化させ、エタノールから再結晶化させた。2-ブロモ-LSD遊離塩基を、約6.7体積当量のエタノールに溶解させ、約50℃に加熱する。約1当量のD-酒石酸を、追加の約3.3体積のエタノールに添加し、撹拌する。2つの溶液を合わせ、次いで、合わせた溶液を、約2時間かけて約28℃まで冷却する。溶液を、約50℃まで再加熱し、撹拌し、最後に、再び約1.5時間かけて室温まで冷却する。最後に、得られた結晶スラリーを濾過し、洗浄し、窒素でパージしながら減圧乾燥し、ひとまとめにした。この方法で調製された4回のバッチで、表VIに示されるような4回の種々のスケール間で同程度の結果が得られた。
(表VI)
【表12】
【0383】
約26g及び約350gのスケールにおいて、確認された残留LSDの量は、それぞれ、約27ppm及び約18ppmであった。これらは、非常に低いレベルの残留LSDであり、質量分析ベースのアッセイの定量限界近くである。表VIIに示されるように、医薬活性成分に関する他の仕様は全て満たされていた。
(表VII)
【表13】
【0384】
(再結晶化)
(D)(約5.99g)を、IPA(約20vol)中に懸濁させ、約65℃に約1時間加熱し、ほぼ室温まで冷却し、次いで、約5℃まで約1時間かけて冷却した。固体を濾過し、乾燥させて、約2.52gの目的生成物(D)を得た。
【0385】
(最終分析)
HPLC (5R,8R): 99.52%、収率:約56%
(D-酒石酸塩(E559)の1H核磁気共鳴スペクトル)
DMSO-d6中の500MHz 1H-NMRを、図5に示す。
(D-酒石酸塩(E559)の高分解能PXRD)
D-酒石酸塩(E559)のPXRDデータを、図6A図6D及び表VIIIに示す。種々のスケールでのIPA及びエタノールからの再結晶化では、同じ2-ブロモ-LSDの(5R,8R) ヘミ-D-酒石酸塩が得られ、同じ結晶構造であった。図6Aは、エタノールからの小スケール結晶化を示し、図6Bは、IPAからの結晶化を示す。図6Cは、エタノール(黒)及びIPA(赤)からの結晶化の重ね合わせを示し、図6Dは、約350gスケールで行われたエタノールからの結晶化を示す。
(表VIII)
【表14】
【0386】
(高分解能質量スペクトル)
(D)-(D-酒石酸塩)E559のMSスペクトルは、予想される形態と一致する(図7Aを参照).
【0387】
(SEM画像)
エタノールからの(D)-(D-酒石酸塩)E559のSEM画像(図7B(粗体塩)及び7C(再結晶塩)を参照)。SEM画像は、IPAからのD-酒石酸塩E559について類似の形態を示した(データは示さず)。SEM画像は、L-酒石酸塩E560について同程度の形態を示した(データは示さず)。
【0388】
((b) 2-ブロモ-LSD・L-酒石酸塩: (5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-L-酒石酸塩)
(塩の生成)
IPA(約7vol)中の2-ブロモリゼルグ酸ジアミド(C)(約6.0g)を、約65℃に約30分間加熱した。この溶液に、IPA(約8vol)中のL-酒石酸(約1当量)を添加したところ、合わせた溶液は、クリアになり、これを、約65℃でさらに加熱した。約30分後に、混合物をほぼ室温とし、約30分かけて約5℃まで冷却した。固体(約4.77g)を濾過によって集め、約18時間乾燥させた。HPLCは、生成物(5R,8R):異性体(5R,8S)の比が、約87:13であることを示す。
【0389】
(再結晶化)
(D)(5.99g)を、IPA(20vol)中に懸濁させ、約65℃に約1時間加熱し、ほぼ室温まで冷却し、次いで、約1時間かけて約5℃まで冷却した。固体を濾過し、乾燥させて、約2.52gの目的生成物(D)を得た。
【0390】
(最終分析)
HPLC: 99.52%、収率:約56%
(L-酒石酸塩(E560)の高分解能PXRD)
L-酒石酸塩(E560)のPXRDデータを、図8に示す。
【0391】
((D)-ヘミ-酒石酸塩(E559及びE560)の特性評価)
FTIRスペクトルを、図9に示す。
【0392】
((D)-ヘミ-(D,L)-酒石酸塩(E559及びE560)の比較データ)
表IXは、追加の比較データを示す。
(表IX)
【表15】
【0393】
スクリーニングを、種々の酸及び溶媒に対して行って、他の結晶形態が、2-ブロモ-LSDに可能であるか否かを決定した。用いられた溶媒及び酸を、表Xに示す。
(表X)
【表16】
【0394】
スクリーニングを、96ウェルプレートにおいて小スケールで行い、結晶化後に、得られた結晶を、インサイチュX線回折によって分析した。X線回折の結果を、表XIに示す。
(表XI)
【表17】
【0395】
これらの結果は、2-ブロモ-LSDの結晶性塩への他の経路を示す。表XIIは、2-ブロモ-LSDの結晶化を示した溶媒及び酸の組合せの例を列挙する。
(表XII)
【表18】
【0396】
(実施例2: LSD誘導体多形は、幻覚誘発活性がない)
LSDなどの幻覚剤は、素早い左右回転性頭部運動として記述される首振り反応(head-twitch response)(HTR)を齧歯動物において(例えば、ラット及びマウスにおいて)誘導する。HTRマウスモデルは、ヒトにおける幻覚誘発活性の代理行動アッセイとして広く用いられる[Halbertstadらの文献、Neuropharmacology, 2020, V167: 107933; Halberstadtらの文献、Psychopharmacology (Berl). 2013, 227(4):727-39]。
【0397】
実施例1の(5R,8R) 2-ブロモ-LSDヘミ-D-酒石酸塩多形化合物(本明細書では、「E559多形」と呼ばれる)は、HTRマウスモデルで試験された全ての用量でHTRにおいて効果がない(negative)ことが示された(図10A及び図10B)。手短にいうと、磁石インプラントを有する7群の雄のC57BL/6Jマウス(1群あたりn=5)に、ビヒクル(陰性対照)、0.1、0.3、1、3、及び10mg/kgの「E559多形」、又はLSD(0.1mg/kg)を腹腔内注射し、次いで、行動を磁力計室内で60分間記録した。磁石インプラントの据えつけ及び磁力計評価は、以前に記載されているように行った(Halberstadtらの文献、Psychopharmacology (Berl). 2013 227(4): 727-739)。データは、60分の試験セッション全体についての群平均±標準偏差(図10A)及び2分のブロックあたりの個々のデータポイント(図10B)として表される。アステリスクは、対照(0mg/kg)との比較による統計学的な有意性を示す。
【0398】
0.1mg/kgで強いHTRを誘発したLSDとは著しく対照的に、「E559多形」は、10mg/kgの最大用量を含むどの試験用量でもベースラインを超えるHTRを誘導しなかった(図10A)。このHTRサロゲートマウスモデルに基づけば、「E559多形」は、ヒトにおける幻覚誘発活性がないと予測される。
【0399】
(実施例3: LSD誘導体多形は、生体利用可能であり、血液脳関門を越える)
「E559多形」の薬物動態学的(PK)試験を、CD-1マウスでの単回腹腔内(IP)注射後に行った。「E559多形」のPK分析を、注射後の種々の時点で採取された血漿試料及び脳組織で行った。雄のマウス及びの3つの群及び雌のマウスの3つの群(1群あたりn=24)は、時点ゼロでのIP注射によって種々の用量(0.75、2.25、又は6.75mg/kg)での「E559」の投与を受けた。各用量群において、投与前及び投与後0.17、0.5、1、2、4、8、及び24時間に、各性別3頭のマウスを屠殺して、血漿及び脳試料を集めた。血漿及び脳組織中の「E559多形」のレベルを、LC-MS/MS法によって評価した。簡単に述べると、血漿試料を抽出するために、10ng/mLのLSD-d3を含有する200μLのアセトニトリルを、50μLの血漿に添加した。混合物を激しくボルテックスし、2分間4℃で遠心分離し(13,000rpm)、次いで、50μLの上清を、LC-MS/MS分析用に200μLのメタノール/水(1:1、v/v)と合わせた。脳組織を秤量し、1:1.5(w/v)の脳組織対抽出溶媒の比の冷アセトニトリル中で約1分間均質化させた。次いで、脳試料を13,000rpmで2分間4℃で遠心分離し、上清をLC-MS/MS分析用に集めた。LC-MS/MS法において、分析時間を6.5分とする25℃のACE Excel 5 SuperC18TMカラムでの一定組成での溶出を行った。移動相は、0.8mL/分の流量のメタノール-水(8:2、v/v)と0.1% NH4OHとからなっていた。注入体積は、10μL/試料であった。MS/MS分析には、エレクトロスプレーイオン化を、正イオンモード(ガス温度350℃、ガス流量13L/分;ネブライザー60psi(0.41MPa)、キャピラリー電圧4kV)で用いた。
【0400】
「E559多形」を、以下の質量遷移(2-Br-LSD m/z 403.3→302、LSD-d3 内部標準m/z 327.2 →226.1)の選択反応モニタリングによって定量した。試料中の「E559多形」濃度の定量は、適切な較正標準を用いることによって達成された。検量線は、加重係数(1/x2)を用いて直線的にフィッティングさせた。薬物動態学的パラメーターを、バリデーション済みの Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)バージョン8.2ソフトウェア(Certara社)を用いるノンコンパートメント解析によって決定した。
【0401】
血漿試料中の「E559多形」のPK分析は、「E559多形」の血漿レベルが、雄及び雌のマウスの全ての投薬群で時間依存的及び用量依存的な様式で増加し、投与後に血漿中に急速に(10分)現れることを示す(図11A及び図11B;血漿試料中の「E559多形」濃度を、ng/mL血漿として示す)。
【0402】
脳試料中の「E559多形」レベルのPK分析は、化合物に対する脳組織の曝露が、時間依存的及び用量依存的な様式で比例的に増加することを示し(図11C及び図11D;脳試料中の試験「多形HT化合物」濃度を、ng/g脳組織として示す)、これは、同じ動物の血漿中にみられるPKプロファイルを反映している(図11A及び図11Bと比較)。また、脳PKデータは、「E559多形」が、雄及び雌双方のマウスにおいて血液脳関門を容易に越えることができることを示す。
【0403】
(実施例4: LSD誘導体多形は、摂食状況による影響を受けない良好な経口バイオアベイラビリティを示す)
単回投与比較薬物動態学的(PK)試験を、ビーグル犬において実施して、経口バイオアベイラビリティ及び「E559多形」に対する食品の作用を評価した(図12)。4頭の雄イヌを、少なくとも3日間の休薬期間が各試験群(群1、2、及び3)間に設けられたクロスオーバーデザインの3つの試験群で用いた。群1では、4頭の雄イヌが、0.0324mg/kgの「多形E559」の単回の静脈内(IV)投与を受けた。群2では、同じ4頭のイヌが、空腹時に0.324mg/kgの「多形E559」の単回の経口用量を受けた。群3では、同じ4頭のイヌが、食後に0.324mg/kgの「E559多形」の単回の経口用量を受けた(群2でのものと同一の経口投与量)。投与前及び投与の0.08、0.25、0.5、1、2、4、8、及び24時間後に、血液試料を全てのイヌから採取し、実施例3に記載されているように行われたLC-MS/MS法によって「E559多形」レベルを測定した。
【0404】
図12に示されるように、「E559多形」は、空腹時のイヌと食後のイヌとの間の平均絶対及び相対経口バイオアベイラビリティに差のない良好な経口バイオアベイラビリティを示した(血漿試料中の濃度は、ng/mL血漿として示される)。データは、群平均±標準偏差として表される。
【0405】
(実施例5: LSD誘導体多形は、催幻覚性化合物の幻覚誘発作用を阻止する)
「E559多形」を、マウスHTRモデルにおいて、その幻覚薬2,5-ジメトキシ-4-ヨードアンフェタミン(DOI)の幻覚誘発性(HTR)反応を阻止する作用に関して試験した。DOIは、HTRモデルにおいて陽性対照としてよく用いられるセロトニン作動性幻覚誘発性化合物である[Halberstadtらの文献、Psychopharmacology (Berl). 2013 Jun;227(4):727-39]。HTR試験を、実施例2に記載したように以下のように行った:5群のマウス(1群あたりn=6~7、合計31)に、ビヒクル(生理食塩水)で又は0.1、0.3、1、もしくは3mg/kgの「E559多形」でのいずれかでの処置を行った。10分後、全てのマウスは、DOI(1mg/kg)を注射され、次いで、HTR活性が30分間評価された。図13Aに示されるように、「E559多形」でのマウスの事前処置は、DOIのマウスにおいてHTRを誘導する能力を顕著に弱めた。「E559多形」の用量は全て、用量依存的な様式でDOIに対する反応を阻止するのに有効であった。データは、群平均±標準偏差として表され、アステリスクは、ビヒクル(生理食塩水)対照(図13Aの0mg/kg)と比較した統計学的な有意性(*p<0.0001)を示す。
【0406】
DOI誘導性HTRの「E559多形」による遮断の経時的推移を調査した。HTR試験を、実施例2に記載したように以下のように行った:2つの群のマウス(1群あたりn=6)に、ビヒクル又は1mg/kgの「E559多形」いずれかでの処置を行った。10分後、全てのマウスは、DOI(1mg/kg)を注射され、次いで、HTR活性が30分間評価された。図13Bに示されるように、マウスの「E559多形」での事前処置は、はじめの10分間はDOI誘導性HTRをほとんど完全に阻止し、この閉塞は、40~60分後に、阻止がもはや検出されなくなるまで徐々に低下した。データは、群平均±標準偏差として表され、アステリスクは、ビヒクル(生理食塩水)対照(図13Bの0mg/kg)と比較した統計学的な有意性(*p<0.0001)を示す。DOI誘導性HTRの「E559多形」による遮断の経時的推移は、マウス脳組織における「E559多形」の薬物動態の経時的推移(実施例3に示される)を反映している。
【0407】
(実施例6: LSD誘導体多形は、5HT2Aアゴニストである)
「E559多形」の神経受容体結合及び機能的作用を、神経生理学的障害における一連の重要な受容体に対する結合親和性[Ki(nM)]、機能的アゴニスト活性[EC50(nM)]、及び機能的アンタゴニスト活性[IC50(nM)]を分析することによって調査した。結合及び機能アッセイを、0.0003、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、及び10μMの「E559多形」濃度で行った。結合アッセイにおいて、各受容体標的を発現している細胞膜ホモジネートを、数種類の濃度の「E559多形」化合物の非存在下又は存在下で対応する放射性リガンドとインキュベートした。「E559多形」の結合親和性の測定を、各受容体での放射性標識された参照リガンドの結合のパーセント阻害として計算されたKi(nM)によって表XIIIに示す。機能アッセイでは、各受容体標的を発現しているHEK-293細胞を、バッファーに懸濁させ、マイクロプレートに分配し、バッファー単独(基礎対照)、参照アゴニストもしくはアンタゴニスト、又は「E559多形」の存在下で室温又は37℃で30分インキュベートした。インキュベーション後に、細胞を溶解させ、適切な蛍光プローブ(Ca2+フラックス、cAMP、又はIP1)を60分間添加して、マイクロプレートリーダーを用いて適切な波長での蛍光移動を測定した。細胞のアゴニスト作用(EC50)を、公知の参照アゴニストに対する対照反応のパーセントとして計算し、細胞アンタゴニスト作用(IC50)を、各受容体についての対照参照アゴニスト反応のパーセント阻害として計算した。
【0408】
表XIIIに示されるように、「E559多形」は、5-HT2A受容体アゴニストであり、これは、「E559多形」が、非幻覚誘発性であるために新規かつ驚くべきものであり(実施例2を参照)、セロトニン作動性化合物による幻覚は、5-HT2A受容体活性化作用によって媒介されると考えられている(Halberstadtらの文献、Behav Brain Res. 2015, 277: 99-120)。
【0409】
本スクリーニング(表XIII)では、5-HT2Aに加えて、「E559多形」が、5-HT1B及びα1A受容体での強力なアゴニスト活性を示す。「E559多形」は、5-HT2B受容体でのアンタゴニスト活性を示す。「E559多形」受容体機能プロファイルが、実施例7及び8でさらに詳細に評価される。これらの結果は、「E559多形」が、さまざまな神経心理学的/精神神経/神経障害における薬理学的及び治療的可能性を有するCNS活性薬物であることを明らかとしている。
【0410】
(表XIII)
【表19】
【0411】
(実施例7: LSD誘導体多形は、5-HT2Bアゴニストではなく、LSDと比較してより安全な心血管プロファイルを有する)
5-HT2B受容体活性化作用は、薬物と共に観察される場合、それが、ヒトにおいて心臓弁膜症を引き起こすことが報告されているために、心臓の安全性に不利である(Caveroらの文献、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods 69, 2014, p150-161)。LSDは、5-HT2Bアゴニストであることが知られている(Horvathらの文献、Mov. Disord., 2004, 19:656-662)。「E559多形」を調査して、その結合及び5HT2B受容体に対する機能的作用を決定した。驚くべきことに、かつ5-HT2BアゴニストであるLSDとは顕著に対照的に、「E559多形」は、5-HT2B受容体に結合する(表XIII-Kiの列)が、5-HT2B受容体でのアゴニスト活性がない(表XIII-機能的アゴニストの列)ことが分かっており、実際には、「E559多形」は、5-HT2Bアンタゴニストであることが分かっている(表XIII-機能的アンタゴニストの列)。
【0412】
5-HT2B受容体での「E559多形」の活性を、HEK293T細胞における生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)アッセイを用いる5-HT2B介在性Gq解離(図14A)、5-HT2B介在性β-アレスチン2動員(図14B)、及び5-HT2B Gq介在性カルシウムフラックス評価(図14C)によってさらに評価した(図14 A~図14C、5-HTは、セロトニンを意味する)。これらのアッセイは、実施例8に記載されるように行われた。5-HT2Bアンタゴニストアッセイにおいて、「E559多形」の拮抗作用を、5-HTによる5-HT2B受容体活性化を阻止する能力によって測定した。
【0413】
図14A図14B、及び図14Cに示されるように、LSDは、3種の機能評価の全てによって分かるような5-HT2B受容体の強力な受容体活性化作用を示し、その一方で、「E559多形」は、LSDでみられる受容体活性化作用を示さない。「E559多形」拮抗作用が、3つの全てのアッセイにおける5-HT2B受容体の5-HT介在性活性化の阻止において観察された(それぞれ、図14A図14B、及び図14Cの5-HT対2-Br-LSD+5-HT曲線の比較)。
【0414】
ヒト遅延整流性カリウムイオン(human ether-related-to-go; hERG)チャネルは、その阻害が心不整脈に関連するカリウムチャネルである(Abbottらの文献、Cell, 1999, V97(2); p175-187)。hERGチャネルに対する「E559多形」の作用を、細胞ベースのhERGアンタゴニストアッセイで実施した。手短にいうと、CHO-K1細胞を、ヒトhERG cDNAで安定にトランスフェクトし、培養下で全細胞構成を達成させた。細胞は、-80mVで保持され、-40mVとする500msのパルスが送達されて、オンラインでテール電流から減算される漏れ電流が測定される。次いで、細胞が、+40mVに500msの間、次いで、100msの勾配で-80mVまで脱分極されて、hERGテール電流が誘発される。この枠組みを、8秒毎に1回実施して、電流振幅をモニタリングする。本アッセイは、室温で行われる。次いで、「E559多形」が、低濃度から高濃度まで(0.0003、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、10、30、及び100μM)順次に5分間細胞に適用される。アステルミゾール(Astermizole)が、参照化合物として複数の濃度で用いられ、「多形E559」によるhERGチャネルのパーセント阻害が算出される。
【0415】
図14Dに示されるように、「E559多形」は、非常に高い高濃度(EC50=31.6μM)でチャネル活性の弱い遮断のみを生じさせた。このことは、「E559多形」が、ヒトにおいて心不整脈を引き起こすリスクが低いことを示している。
【0416】
全体として、本実施例で示したデータは、驚くべきことに、「E559多形」が、LSDと比較してかなり安全である心血管毒性プロファイルを有していることを予測する。
【0417】
(実施例8: LSD誘導体多形は、重要なCNS受容体/標的において活性を示す)
本実施例で示されるデータは、BRETベースのGタンパク質解離アッセイを用いて12種のヒトセロトニン(5-HT)受容体及び非5-HTアミン作動性GPCRの21種のメンバー(D1-D5ドーパミン;α1A/1B、α2A、B、C及びβ1/2-アドレナリン作動性、H1-H4ヒスタミン、並びにM1-M5ムスカリン性サブタイプを含む)の全体にわたってLSDと並列に実施された「E559多形」の詳細な薬理学的プロファイルを示す(図15図17A、及び表XIV)。加えて、Gタンパク質介在性cAMP阻害(Gi/o)及び蓄積(Gs)、Gq-カルシウムフラックス(図16A/B)、並びにβ-アレスチン2動員BRET(図17B)アッセイを含む二次メッセンジャーアッセイを、選んだ5-HT又はドーパミン受容体全体にわたって行った。本実施例でのアッセイは、以前に説明されているように実施された(Cameronらの文献、Nature, 2021, 589, p474-479)。手短にいうと、アッセイの48時間前に、HEK293T又はGq-KO又はGs-KO HEK293T細胞を、1:1:1:1の標的受容体:Gα-Rluc8: Beta:GFP2-γ構築体の比率でリバーストランスフェクション法を用いてトランスフェクトした。5-HT受容体のヒトアイソフォームを、pCDNAベクター内の受容体構築体を用いることによって哺乳動物細胞系で発現させた。安定発現5-HT2A/2B/2C受容体Flp-In 293 T-Rexテトラサイクリン誘導系を、カルシウムフラックスアッセイに使用した。cAMP蓄積/阻害アッセイでは、HEK293T細胞を、「脱Tango(de-Tango)」構築体が生じるようにV2tail/TEV/tTAコード化領域を欠失させたコドン最適化されたTango pcDNA3.1ライブラリーで1:1の比率で共トランスフェクトした。β-アレスチン2動員アッセイでは、細胞を、1:15の比の5-HT-Rluc8:GFP2融合ヒトβ-アレスチン2でトランスフェクトした。アッセイ当日に、全ての試験化合物の薬物希釈を、McCorvyバッファー[1×HBSS、20mM HEPES、pH 7.4、0.3% BSA脂肪酸不含(GoldBio)、及び0.03%アスコルビン酸を追加]中に行い、処理された細胞を、加湿インキュベーター内で60分間又は特定の時点37℃でインキュベートした。FLIPR TETRAシステム(Molecular Devices)でのプレートの読み取りの前に、5μMセレンテラジンを、プレートに添加した。直後に、プレートを、400nm Rluc8及び510nm GFP2発光フィルタでPheraStarFSX(BMB Lab Tech)を用いて1ウェルあたり0.8秒読み取った。510/400発光のBRET比を、ウェルごとに計算し、Graphpad Prism5又は9(Graphpad Software社、 San Diego, CA)を用いて薬物濃度の関数としてプロットした。データを、非線形回帰「log(アゴニスト)対反応」を用いて解析して、Emax及びEC50パラメーター推定値を得た。データを、濃度・反応曲線が各プレート上に存在する%陽性対照(各受容体の参照リガンド)刺激に対して規格化した。データは、参照リガンド誘発性最大反応の百分率として、及び群平均±標準偏差として示される。
【0418】
(A. 5-HT1受容体ファミリー)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下の5-HT1受容体サブタイプ:5-HT1A、1B、1D、1E、及び1FにおいてLSDと比較した。
【0419】
図15及び図16A/Bに示されるように、「E559多形」は、5-HT1受容体サブタイプの全てにわたる中程度から強力なアゴニストであり、LSDと比較してEmax(最大薬物作用)がわずかに低下している。「E559多形」は、5-HT1F及び5-HT1D受容体で最大の効力(受容体活性化作用)を示す(図15及び図16A/B)。
【0420】
(B. 5-HT2受容体ファミリー)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下の5-HT2受容体サブタイプ:5-HT2A、5-HT2B、及び5-HT2CにおいてLSDと比較した。5-HT2A受容体での受容体活性化作用が、セロトニン作動性幻覚剤の幻覚誘発作用及びそのような化合物の有望な治療成果の多くの主要経路であると理解されている(Prellerらの文献、Current Biology, 2017, 27(3), p451-457)。
【0421】
図15及び図16A/Bに示されるように、「E559多形」は、5-HT2Aの強力な部分アゴニストであり、その一方で、LSDは、強力なほぼ完全な5-HT2Aアゴニストである。「E559多形」の5-HT2Aのリガンドポケットへの結合は、Gq解離(図17A)及びβ-アレスチン2動員(図17B)アッセイによって評価した場合に「E559多形」が5-HT活性化と拮抗する競争(アンタゴニスト)実験によって示されるように、親リガンド5-HTのそれと非常に類似している。実施例2及び実施例6でも例示されるように、「E559多形」は、予想外にも、幻覚誘発性を示さないのと同時に、5-HT2Aアゴニストでもある。「E559多形」は、5-HT2A受容体活性化作用の度合いにおいてLSDとさらに区別される(図15及び図16)。
【0422】
5-HT2B受容体での詳細な機能プロファイルより、5-HT2BのアゴニストであるLSDとは対照的に、「E559多形」が、5-HT2B受容体でのアゴニストとして不活性であり(図15及び図16A/B)、従って、5-HT2Bアゴニスト化合物に関連する心臓の安全性への懸念がないという実施例7で導かれる結論の正しさが確認された(Caveroらの文献、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods 69, 2014, p150-161)。
【0423】
5-HT2C受容体での詳細な機能プロファイルは、「E559多形」が、LSDと比較して、その5-HT2Cに対する作用に関してほどほどに異なっていることを示す。図15及び図16A/Bに示されるように、LSDは、5-HT2Cでのほぼ完全なアゴニストであり、その一方で、「E559多形」は、5-HT2Cで部分的な受容体活性化作用を示す。
【0424】
(C. 他の5-HT受容体)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下の他の5-HT受容体:5-HT4、5-HT5A、5-HT6、及び5-HT7AにおいてLSDと比較した。
【0425】
5-HT4受容体では、「E559多形」と、LSDとは、双方ともがGタンパク質解離アッセイにおける5-HT4受容体での強力なアゴニスト活性がなという点で類似する(図15)。
【0426】
5-HT5A受容体では、LSDは、部分アゴニストとして働き、その一方で、「E559多形」は、著しく対照的に、この受容体サブタイプに拮抗的に作用する(図15)。
【0427】
5-HT6受容体では、LSDと類似の「E559多形」は、Gタンパク質解離(図15)及びcAMP蓄積セカンドメッセンジャー(図16A/B)アッセイの双方で非常に強力な部分アゴニストとして働く。
【0428】
5-HT7受容体では、「E559多形」は、この受容体でLSDよりもかなり高い逆受容体活性化作用を示すものの、「E559多形」及びLSDは、類似しており、双方ともが、Gタンパク質解離(図15)及びcAMP蓄積セカンドメッセンジャーアッセイ(図16A/B)によって確認されるように強力なアンタゴニスト及びインバースアゴニストとして働く。
【0429】
(D. アルファ受容体ファミリー)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下のアドレナリン作動性受容体:α1A、α1B、α2A、α2B、α2C、β1、及びβ2においてLSDと比較した。
【0430】
α1A、α1B、β1、及びβ2アドレナリン作動性受容体では、「E559多形」は、LSDと同様に、アンタゴニストであるが、「E559多形」拮抗作用の程度が、LSDの場合にみられる程度よりも大きい(表XIV)。
【0431】
α2Cアドレナリン作動性受容体では、「E559多形」は、LSDと同様に部分アゴニストであるが、LSDは、よりも強力な部分アゴニストである「E559多形」(表XIV)。
【0432】
α2A及びα2Bアドレナリン作動性受容体では、「E559多形」の活性は、驚くべきことに、LSDの活性とは著しく異なる。これらの受容体の双方で、LSDは、部分アゴニストとして働き、その一方、「E559多形」は、双方の受容体でアンタゴニストのようにうふるまう(表XIV)。
【0433】
(E. ドーパミン受容体ファミリー)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下のドーパミン受容体:D1、D2、D3、D4、及びD5受容体においてLSDと比較した。
【0434】
D1受容体では、「E559多形」の活性は、驚くべきことに、LSDの活性とかなり異なっていた。LSDは、部分アゴニストとして振る舞い、その一方で、「多形HT化合物」は、この受容体においてアンタゴニストとして振る舞う(表のXIV)。
【0435】
D2受容体では、「E559多形」は、LSDと同様に、強力なアゴニストであるが、「E559多形」の受容体活性化作用の効力は、LSDでみられるものよりも僅かに高い(図16A/B及び表XIV)。
【0436】
D3受容体では、「E559多形」は、LSDと同様に、部分アゴニストであるが、「多形HT化合物」の部分的な受容体活性化作用の度合いは、LSDでみられるものよりも顕著に低い(表XIV)。
【0437】
D4受容体では、「E559多形」は、LSDと同様に、類似の強力な受容体活性化作用活性を有する(図16A/B及び表XIV)。
【0438】
D5受容体では、「E559多形」は、EC50値に基づきLSDよりも高い活性を有するアゴニストである(表XIV)。
【0439】
(F. ムスカリン性アセチルコリン受容体ファミリー)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下のムスカリン受容体:M1、M2、M3、M4、及びM5受容体においてLSDと比較した。試験された全てのムスカリン受容体において、LSD及び「E559多形」は双方とも、作用のアゴニスト及びアンタゴニスト双方のモードで、弱い活性を示すか又は全く活性を示さなかった(表XIV)。
【0440】
(G. ヒスタミン作動性受容体ファミリー)
「E559多形」の詳細な機能活性プロファイルを、以下のヒスタミン作動性受容体:H1、H2、H3、及びH4受容体においてLSDと比較した。H1、H3、及びH4受容体では、「E559多形」は、LSDと同様に、弱い受容体活性化作用を示すか、又は全く受容体活性化作用を示さなかった(表XIV)。H2受容体では、「E559多形」は、LSDの活性よりも僅かに大きかった部分アゴニスト活性を示すことによって、LSDと僅かに異なっている(表XIV)。
(表XIV)
【表20】
【0441】
(実施例9: CNS受容体でのLSD誘導体多形の活性は、立体化学依存的である)
「E559多形」の5R:8S立体異性体(5R:8S E558)の機能的アゴニスト活性[EC50(nM)、Emax]及び機能的アンタゴニスト活性[IC50(nM)]を、選択されたセロトニン受容体で「E559多形」(5R:8R立体異性体)と比較した。アッセイは、実施例6で記載したように行われた。
【0442】
表XVに示されるように、「E559多形」と比較して、5R:8S E558は、試験されたセロトニン受容体(アゴニスト及びアンタゴニスト双方のモード)での顕著に低下したセロトニン作動性受容体機能活性(EC50及びEmaxに基づく)を示す。これらの新規の結果は、「E559多形」の立体化学が、そのセロトニン作動性受容体活性において非常に重要な役割を果たし、異なる立体異性体が、異なる薬理学的プロファイル及び活性を示すと期待されるであろうすことを明らかとしている。差異のあるプロファイルは、さまざまな治療に選択され得る。
(表XV)
【表21】
【0443】
(実施例10: LSD誘導体多形は、神経可塑性の強力なプロモーターである)
「E559多形」の神経可塑性を誘導する能力を、インビトロで評価した。インビトロ樹状突起形成(dendritogenesis)及びスパイン形成アッセイを、初代ラット胚性皮質ニューロンを用いて行った。簡単に述べると、培養した初代皮質ニューロン(ラット)を、インビトロ第3日(DIV3)に、増加する濃度(1、10、及び100nM、1及び10mM)の「E559多形」で3時間処理し、樹状突起分枝の複雑性(樹状突起形成)の形態学的変化を、固定されたニューロンの微小管結合タンパク質2(MAP2、微小管マーカー)、F-アクチン(細胞骨格系マーカー)、及びファロイジン(アクチンフィラメントマーカー)での免疫蛍光染色並びにそれに続く蛍光顕微鏡法及びニューロン画像のショール分析によってDIV6に評価した。図18Bは、ショール分析の概略図を示す。スパイン密度評価(スパイン形成)を、DIV18に行った。細胞生存率評価を、死亡及び生存ニューロン細胞用の蛍光プローブを含むNeurite Outgrowth Staining Kitを用いてDIV6に行った。ケタミンを、対照薬及び陽性対照として使用した。ケタミンは、樹状突起形成を誘導することが知られており、それのシナプス可塑性に対する作用が、その抗うつ作用を媒介すると考えられている(Aguilar-Vallesらの文献、Nature, 2021, 590, p315-319)。代表的なビヒクル(無薬物対照)又は「E559多形」で処理されたMAP2染色ラット皮質ニューロンの画像を、図18Aに示す。
【0444】
図19Aは、ビヒクル(対照)又は増加する濃度の「E559多形」で処理されたニューロンの代表的なショールトレースを示す。図19Bは、ビヒクル(対照)、「E559多形」、又はケタミンでの処理後のMAP2陽性神経突起によるショール半径交差の総数を示す。図19Cは、図19A及び図19Bのニューロンの樹状突起分枝長の総数を示す。図19Dは、ビヒクル(対照)、「E559多形」、又はケタミンでの皮質ニューロン処理における樹枝状スパインの代表的な蛍光画像を示す。図19Eは、第1の分岐点評価された最長の尖端樹状突起での10μmの断面あたりのスパインの総数を示す(図18Bを参照)。図19Fは、細胞生存率アッセイにおけるランダムに選択された40倍の目的視野内の生存ニューロン細胞の死亡ニューロン細胞に対する比を示す。図の全てのパネルにおける横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表す。
【0445】
「E559多形」は、インビトロで、評価されたニューロンの可塑性のパラメーターの全てにおいて用量依存的な様式でニューロンの可塑性を顕著に誘導し、ニューロンの可塑性の増加は、1nMという低さの化合物濃度で検出可能であり、1μMという低さの濃度で統計学的な有意性に到達した(図19B、19C及び19E)。化合物は、ニューロン可塑性大部分のパラメーターで、陽性対照薬物であるケタミン(10mMという非常に高い高濃度で試験された)よりもかなり良好な働きを示した。簡単に述べると、「E559多形」は、ショール半径と交差する総樹状突起の数をかなり増加させ、上位2つの濃度(1及び10mM)で最大の作用に到達した(図19B;対照対1μM 2-Br-LSD *p=0.0113、対照対10μM 2-Br-LSD *p=0.0193、及び対照対ケタミン**p=0.0096)。樹状突起分枝の全長も、対照と比較して、1及び10μMで「E559多形」で処理されたニューロンにおいて増加した(図19C;対照対1μM 2-Br-LSD **p=0.0019、対照対10μM 2-Br-LSD **p=0.003、及び対照対ケタミン **p=0.0096)。また、「E559多形」は、1及び10μM濃度で3時間のインキュベーション後のスパイン密度を増加させた(図19D及び図19E、対照対1μM 2-Br-LSD *p=0.0322、対照対10μM 2-Br-LSD ***p<0.0001、及び対照対ケタミン***p<0.0001)。培養された初代ラットニューロンの生存率に対する「E559多形」の作用が試験され、細胞傷害活性は、試験された濃度の全てで観察されなかった(図19F)。
【0446】
(実施例11: LSD誘導体多形に誘導される神経可塑性は、5-HT2A受容体の関与を伴う(インビトロ))
5-HT2A受容体は、セロトニン作動性幻覚剤及びその誘導体の機能において重要な役割を果たす(Jasterらの文献、Psychopharmacology, 2022, 239, p1665-1677.)。本発明者らは、「E559多形」が、樹状突起形成及びスパイン形成アッセイにおいて神経可塑性を誘導することを示している(実施例10を参照)。インビトロ樹状突起形成アッセイを、選択的5-HT2Aアンタゴニストであるボリナンセリンの存在下又は非存在下で繰り返した。手短にいうと、図20Aは、0.1、0.5、又は1mMのボリナンセリン(Vol))で処理され、それに続き、ビヒクル又は「E559多形」(1μM)のいずれかで処理された皮質ニューロン(DIV3)のトレースを表す。ショール半径は、10μm間隔とする。図20Bは、図20Aの処理されたニューロンについてのショール交差の総数を示す。図20Cは、図20Aの処理されたニューロンについての総樹状突起分枝長を表す。図20B及び図20Cにおいて、バイオリン図は、個々の細胞(n=15/処理)の分布を表し、その一方で、点は、独立した実験1つあたりの平均を表す(n=5/処理)。本試験において、初代皮質ニューロン(ラット)は、「多形HT化合物」(1μM 2-Br-LSD)の投与の前に、選択された5-HT2A受容体アンタゴニストであるボリナンセリン(0.1~1μM)で処理された。
【0447】
図20に示されるように、ボリナンセリン単独(ビヒクルと呼ばれる)は、樹状突起分枝の複雑性に関連するパラメーター(神経可塑性のマーカー)をいずれも変化させなかった。しかしながら、試験された各濃度でのボリナンセリンでの事前処置は、ショール交差分析によって観察されるように、樹状突起分枝の複雑性に対する「E559多形」(1μM)の作用を、対照ニューロンでみられるレベルまで阻止した(図20B;対照-Volなし、2-Br-LSDなし-、対Vol及び2-Br-LSD ***p<0.0001)。また、ボリナンセリンは、「E559多形」によって誘導される総樹状突起長の増加を阻止した(図20C;対照-Volなし、「E559多形」なし-、対Vol及び「E559多形」***p<0.0001)。
【0448】
本実施例におけるデータは、5-HT2A受容体が、「E559多形の」神経可塑性向上活性で役割を果たすことを示す。
【0449】
(実施例12: LSD誘導体多形の反復投与は、耐性を誘導しない)
幻覚薬又は5-HT受容体アゴニストでよく認められる耐性(タキフィラキシーとも称される)又は交差耐性が、薬物反復投与又は他のCNS活性薬物との併用療法の治療有効性を制限する可能性がある(Douglasらの文献、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 2014, 351(3) p485-491)。LSDの反復投与は、大部分の他の幻覚薬と同様に、応答性の低下又は耐性を招く。患者が身体的及び精神的な耐性から完全に回復するのに、3日間のLSDの休薬で十分であったことが研究によって示されている(Buchbornらの文献、「薬物依存及び物質濫用の「神経病理学(Neuropathology of Drug Addictions and Substance Misuse)」、第79章, Academic Press, 2016, p846-858)。5-HT受容体を介するβ-アレスチン動員は、耐性の誘導に関与する2つの機構である受容体内部移行及び下方制御を担う(Reiterらの文献、Annu Rev Pharmacol Toxicol. 2012; 52:p179-97)。従って、5-HT受容体を介するβ-アレスチン動員の評価は、耐性誘導を予測するための良好なサロゲートである。
【0450】
図21Aに示されるように、「E559多形」は、5-HT2A受容体でのBRETベースのβ-アレスチン2動員アッセイ(実施例8に記載)を用いるβ-アレスチン2の弱い動員因子(recruiter)である。試験された対照薬は、LSD、DOI、及び親リガンド5-HTであった。「E559多形」とは対照的に、LSD、DOI、及び5-HTは、β-アレスチン2の強力な動員因子(recruiter)である。データは、5-HT誘発性最大反応の百分率及び群平均±標準偏差として示される。
【0451】
「E559多形」のインビトロでβ-アレスチン介在性5-HT2A受容体内部移行を誘導する能力を評価するために、5-HT2A受容体の表面発現の喪失を、HEK293T細胞にクローニングされたNanoBit N-terminal HiBit-fused 5-HT2Aコンストラクトを用いて測定した(1:15の比の5-HT2A: β-アレスチン2)。手短にいうと、細胞を、1時間又は特定の時点試験化合物の段階希釈物で処理した。読み取りの約15分前に、LgBit及びセレンテラジン(5μM)を、細胞プレートに添加し、PheraStar FSX又はMithras LB940プレートリーダーにおいて485nmで37℃で、受容体内部移行又は表面発現の喪失のタイムキャプチャー定量(time-capture quantification)のために読み取った。発光は、Graphpad Prism 5又は9(Graphpad Software社、 San Diego, CA)を用いて薬物濃度の関数としてプロットされた。図21Bに示されるように、「E559多形」のみでの単回の1時間処置は、LSD、DOI、及び5-HTでみられる強力な内部移行とは対照的に弱い5-HT2A受容体内部移行を示すのみである。データは、5-HT誘発性最大反応の百分率、及び群平均±標準偏差として示される。
【0452】
「E559多形」の反復投与が、インビボで耐性を誘導することがあるか否かを決定するために、実施例2及び5に記載したHTR実験を繰り返した。マウスが、ビヒクル、DOI(10mg/kg/日)、又は「E559多形」(3mg/kg/日;1日1回、7連日)のIP注射を受け、次いで、24時間後にDOI(1mg/kg)を負荷された。図22に示されるデータは、全60分の試験セッションの群平均±標準偏差である。アステリスクは、ビヒクル対照(ビヒクルは、生理食塩水である)と比較して、統計学的な有意性を示す。図22にみられるように、DOIでの反復処置が、減少したHTRカウントにより示されるように著しい度合いのタキフィラキシー/耐性を誘導する(図22、ビヒクル対DOI*p<0.001)ものの、耐性は、「E559多形」で反復処置されたマウスでは観察されなかった。「E559多形」の反復投与が、LSDでそうであることが知られているように、耐性を誘導しないことは、驚くべき結果である。これは、LSDなどの他の耐性誘導性5-HT受容体アゴニストでは可能ではない投薬頻度である、1日1回、又はさらには1日に複数回などを含む短い間隔での「多形HT化合物」の投薬頻度を可能とするであろう。
【0453】
(実施例13: LSD誘導体多形は、慢性ストレス動物モデルにおいて抗うつ/抗不安薬活性を示す)
「多形HT化合物」(実施例1のもの)を、その抗うつ/不安活性に関して、自己グルーミングスプラッシュ試験及びオープンフィールド試験(OFT)によって評価される慢性変動ストレス(CVS)マウスモデルにおいて試験した[Strekalovaらの文献、Psychopharmacology (Berl). 2022, 239(3):663-693; Willner, P. Neurobiol Stress, 2017, 6:78-93]。手短にいうと、C57BL/6Jマウスに対して、35日間にわたる1日あたり2回のストレス因からなるCVSプロトコールを行った。無処置マウス(CVSに曝されていない)を、CVS誘発性うつ活性についての対照として使用する。35日間のCVS後に、マウスに対して、以下のように腹腔内注射(IP)による「E559多形」での処置を行った(図23):CVSの最終日の後の単回投与(3mg/kg)又はCVSの第28に開始され48時間毎に実施される4回の投与(1mg/kg)。生理食塩水を、ビヒクル対照として使用した。プラッシュ試験及びOFTを、(Aguilar-Vallesらの文献、Nature, 2021, 590, p315-319)に既に記載されているように行った。手短にいうと、図23Aは、上述のような試験設計を示す。図23Bは、E559多形での処置を受けた雌のマウスによるオープンフィールドでの移動距離を表す。図23Cは、図23Bのマウスのオープンフィールドの中央で過ごした時間を表す。図23Dは、図23Aに記載されているような処置を受けた雌のマウスがスプラッシュ試験において自己グルーミングして過ごした時間を示す。横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表し、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。
【0454】
図23Cに示されるように、CVSは、総移動距離を変化させることなく、マウスがオープンフィールドの中央を探索して過ごした時間について55.95±19.3秒の減少を誘導した(無処置-生理食塩水対CVS-生理食塩水 *p=0.0069)(図23B)。1mg/kgの「E559多形」反復投与での処置を受けたCVS群において、このCVSで誘導された活動領域中央の探索の時間の減少は、対照(無処置-生理食塩水)群でみられるレベルまで完全に元に戻り(図23C;CVS-生理食塩水対CVS-E559多形 4×1mg/kg **p=0.0044)、自発運動が影響を受けることはなかった(図23B)。3mg/kgの「E559多形」単回投与での処置は、この群が、CVS-生理食塩水群と無処置-生理食塩水群の中間の長さの時間を、オープンフィールドの中央で費やしており、CVSの作用を一部回復させた(図25C)。図23Dに示されるように、スプラッシュ試験においてCVSマウスは、セルフケア挙動及びうつ病様の挙動の尺度であるグルーミングにかなり少ない時間を費やした(無処置-生理食塩水対CVS-生理食塩水 *p=0.0282)。「E559多形」は、「E559多形処置CVSマウスにおけるグルーミング時間を無処置-生理食塩水群及びCVS-生理食塩水群の中間のレベルまで増加させることによって、このCVSに誘発される作用を一部元に戻した(図23D)。
【0455】
同じコホートのCVSマウスを、最終の「E559多形」処置の28日後に試験した。OFTの中央での時間を減少させるCVSの作用は、最終の「E559多形」処置の28日後に反転したままであり(「E559多形」の急性作用と類似のレベル)、「E559多形」の長期的な抗うつ及び抗不安作用を支持している(図24A;CVS-生理食塩水対CVS-E559多形4×1mg/kg **p=0.0052)。図24Bは、図23Aで示された最終の「E559多形」処置の28日後に雌のマウスがスプラッシュ試験において自己グルーミングして過ごした時間を表す。
【0456】
(実施例14: LSD誘導体多形は、急性ストレス動物モデルにおいて抗うつ薬/抗不安薬活性を示す)
「E559多形」は、ストレスを与えないマウスモデルにおいて、抗うつ薬及び抗不安薬治療のスクリーニングを行うのに用いられている2種の行動試験、すなわち、強制水泳試験(FST)及びオープンフィールド試験(OFT)によって評価して、抗うつ及び抗不安活性を示した(Strekalovaらの文献、Psychopharmacology (Berl). 2022, 39(3):663-693)。手短にいうと、ストレスを与えないマウスに対して、生理食塩水(対照)又は0.3、1、もしくは3mg/kg用量レベルでの「E559多形」の単回投与のいずれかでの処置(IP注射)を行い、処置の24時間(OFT)及び25時間(FST)後に評価を行った。実施例13で記載したOFTが、行われた。FSTは、以前に記載されているように行われた(Aguilar-Vallesらの文献、Nature, 2021, 590, p315-319)。手短に言うと、FSTは、処置の24時間後に、マウスを(一頭ずつ)35℃の水の4リットルの広口フラスコに入れることによって行った。マウスの活動を、6分間記録し、動物が、うつ病様の挙動の徴候である不動のままでいる総時間を評価した。図25Aは、雌/雄のマウス(n=10/群/性別)が、「E559多形」又はビヒクル(生理食塩水)でのIP注射による処置を受け、それに、処置の24時間後にオープンフィールド及び強制水泳試験を続けた試験設計を表す。図25B及び図25Eは、それぞれ、雌及び雄のマウスでのビヒクル又は「E559多形」の24時間後のオープンフィールド試験での総移動距離を表す。図25C及び25Fは、それぞれ、雌及び雄のマウスによるオープンフィールドの中央での時間を表す。図25D及び図25Gは、それぞれ、雌及び雄のマウスでの強制水泳試験の最後の4分の間の無動時間を表す。横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表し、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。
【0457】
OFTにおいて、雌のマウスは、1及び3mg/kgの「E559多形」での処置後に活動領域中央の探索の増加を示し(図25C;ビヒクル(0mg/kg)対1mg/kg 2-Br-LSD ***p=0.0001、ビヒクル対3mg/kg 2-Br-LSD*p=0.0459)、1mg/kgの用量で最大の作用(88.18±18.89秒の増加)であった。「E559多形」によるオープンフィールドのストレス因となるエリアの探索の増加は、雄のマウスでは明らかではなかった(図25F)。
【0458】
FSTにおいて、35.18±10.03秒の無動の減少が、1mg/kg「E559多形」用量の雌でみられた(図25D;ビヒクル対1mg/kg E559多形 **p=0.0069)。類似の作用が、アッセイされた全ての濃度の雄で観察された(図25G;ビヒクル対0.3mg/kg E559多形 *p=0.0464、ビヒクル対1mg/kg E559多形 **p=0.0056、ビヒクル対3mg/kg E559多形 **p=0.0014)。雄における0.3、1、及び3mg/kg用量による無動の減少(それぞれ、20.89±8.249;27.27±8.226;かつ 31.36±8.226秒)は、雌において1mg/kg「E559多形」用量によって誘導されるものと同程度であった。
【0459】
FSTでの試験後に、前頭前皮質領域におけるスパイン密度分析のために脳を採取した(処置の約26時間後;図25H)。対照と比較して、平均スパイン密度の著しい増加が、「E559多形」処置の後に双方の性別で観察された(図25I雌のマウス:ビヒクル対1mg/kg E559多形 *p=0.0447及び図25I雄のマウス:ビヒクル対1mg/kg E559多形 **p=0.0028)。
【0460】
本実施例のデータは、「E559多形」が、急性ストレス環境におけるマウスのうつ及び不安様行動を減らすことができること、及びこの作用が、脳の前頭前皮質領域における神経可塑性の向上と相関していることを示す。
【0461】
(実施例15: LSD誘導体多形の抗うつ/抗不安作用は、5-HT2A受容体の関与を伴う(インビボ))
5-HT2A受容体は、多くのセロトニン作動性幻覚剤及びそれらの誘導体の機能において重要な役割を果たす(Jasterらの文献、Psychopharmacology, 2022, 239, p1665-1677.)。本発明者らは、マウスうつ/不安モデルにおけるインビボでの「E559多形」の抗うつ剤及び抗不安薬的性質を示している(実施例13及び14を参照)。これらのインビボモデルでの「E559多形」作用における5-HT2A受容体の役割をさらに調査するために、実施例14に記載したようなマウスにおけるオープンフィールド試験及び強制水泳試験を、選択的5-HT2Aアンタゴニストであるボリナンセリンでの処置を伴って及び伴わずに繰り返した。簡単に述べると、ボルナンセリン(volnanserin)(0.125mg/kg)を、無ストレス処置マウスに「E559多形」(1mg/kg、IP)の投与の1時間前に投与(IP注射)し、実施例14に記載したような強制水泳試験を24時間後に行った。手短にいうと、図26Aは、強制水泳試験での、ビヒクル又はボリナンセリン、及びそれに続くビヒクル(生理食塩水)又は「E559多形」(1mg/kg)のいずれかで事前処理された雌のマウス(n=12/group)の無動時間を表す。図26Bは、図26Aと同様な処置を受け、FSTにおいて無動に関して測定された雄のマウスを示す(n=12/group)。図26Cは、雌のマウス(n=12)において処置(図26Aと同様)の24時間後に測定されたオープンフィールドでの移動距離を表す。図26Dは、雄のマウス(n=12)において処置(図26Cと同様)の24時間後に測定されたオープンフィールドでの移動距離を示す。図26の横線は、平均±平均の標準誤差(S.E.M.)を表し、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。
【0462】
図26に示されるように、ボリナンセリン事前処置は、FSTにおいて、雌(図26A;ビヒクル及びE559多形対Vol及びE559多形 ***p=0.0006)並びに雄のマウス(図26B;ビヒクル及びE559多形対Vol及びE559多形 *p=0.0187)の双方で、「E559多形」によって誘導される無動の減少を阻止した。ボリナンセリンもボリナンセリンと「E559多形」との組合せも、OFTにおいて雌又は雄のマウスの自発運動に影響を及ぼさなかった(図26C及び図26D)。これらのデータは、5-HT2A受容体が、インビボでの「E559多形」の抗うつ及び抗不安作用において役割を果たすことを示す。
【0463】
(実施例16: LSD誘導体多形は、神経部分損傷における神経障害性疼痛を弱める)
神経障害性疼痛における「E559多形」の機能を評価するために、機械的アロディニア試験を、「E559多形」での処置の前及び後にラット神経部分損傷(SNI)モデルにおけるフォン・フレイフィラメントによって評価した。SNIモデル及びフォン・フレイフィラメント試験を、既に述べられているように行った(Decosterd及びWoolfの文献、 Pain, 2000, v87, p149-158)。簡単に述べると、フォン・フレイ機械的アロディニア試験を用いて評価された<15gの疼痛閾値を有する動物を、実験群に無作為に配置した。各ラット群は、10頭の雄のラットからなっていた。外科的処置後第7日に、処置を開始した。処置は、「E559多形」、陰性対照としてのビヒクルのみ(生理食塩水)、又は陽性対照としてのガバペンチンのいずれかでのものであった。
【0464】
図27は、外科的処置後の第7日での「E559多形」の単回投与処置後の疼痛反応評価結果を示す。疼痛反応(フォン・フレイ試験)を、外科的処置前第0日(図27においてベースラインと表記)、外科的処置後第6日(図27において第6日グループ分け前と表記)、並びにビヒクル、又は0.3、1、3、もしくは10mg/kgでの「E559多形」(図27においてBETR-001と表記)、又は150mg/kgのガバペンチンのいずれかの単回経口投与の2、4、6、及び24時間後に評価した。データは、群平均±標準偏差として示され、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。「E559多形」の単回投与処置は、ベースライン及びビヒクルと比較して、投与の2及び4時間後の時点で神経障害性疼痛の著しい用量依存的阻害を示した(図27;ビヒクル対3mg/kg BETR-001 *p<0.05、ビヒクル対10mg/kg BETR-001 4hr **p<0.01、ビヒクル対10mg/kg BETR-001 2hr ***p<0.001、ビヒクル対ガバペンチン ****p<0.0001)。
【0465】
図28は、外科的処置後の第7日に開始した「E559多形」の複数回投与処置後の疼痛反応評価結果を示す。ラット群は、ビヒクル、又は20mg/kgの「E559多形」(図28においてBETR-001と表記)、又は150mg/kgのガバペンチンいずれかでの処置を(経口投与によって)受けた。処置は、外科的処置後の第7、9、11、13、及び15日に行われた。疼痛反応(フォン・フレイ試験)を、外科的処置前第0日(図28においてベースラインと表記)、外科的処置後第6日(図28において第6日グループ分け前と表記)、及び所与の外科的処置後の第7、11、及び15日に実施された処置の2時間後に評価した。「E559多形」の反復投与は、機構アロディニア(mechanism allodynia)に対する阻害作用をガバペンチン陽性対照と同程度のレベルまで向上させた(図28、ビヒクル対BETR-001第7、11、及び15日並びにビヒクル対ガバペンチン第7、11、及び15日****p<0.0001)。データは、群平均±標準偏差として表され、アステリスクは、統計学的な有意性を示す。
【0466】
これらの知見によって、「E559多形」が、神経障害性疼痛モデルにおける単一及び反復投与の双方で、強力な鎮痛活性を示すことが示された。
【0467】
上記の開示は、本発明を一般的に説明する。特定の用語が、本明細書において採用されているものの、そのような用語は、記述的な意味で意図され、制限する目的のためには意図されない。
【0468】
特許出願、特許、及び刊行物は、記載される実施態様の理解を助けるために本明細書で引用されている。そのような本明細書で引用される参考文献は全て、各個の刊行物又は特許又は特許出願が、具体的かつ個別に、その全体があらゆる目的のために引用により組み込まれていると示されているのと同程度まで、引用によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。引用により組み込まれる刊行物及び特許又は特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する場合においては、本明細書は、いかなるそのような矛盾する材料を代替すること、及び/又はそれに優先されることが意図される。
【0469】
発明の具体的な実施態様を、本明細書に詳細に記載してきたが、当業者には、本発明の趣旨や添付の特許請求の範囲から逸脱することなくこれらに対して変形を行い得ることが理解されるであろう。
【0470】
上述の実施態様の上述の構造、機能、及び作用のうちのあるものが、必ずしも本発明を実践するものではなく、単に例示的な実施態様(単数又は複数)の完全性を目的として説明に含まれていることが理解されるであろう。加えて、上述のパテントファミリー及び刊行物に記載される特定の構造、機能、及び作用を、本発明とともに実施することができるが、それらが、その実施に必須なものではないことが理解されるであろう。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨及び範囲から離れることなく、具体的に記載されているものとは別のやり方で実施され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-C】
図6D
図7A
図7B-C】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【国際調査報告】