(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-16
(54)【発明の名称】気体放電ランプ、高動作電圧用のランプパネル及びこのようなランプの使用
(51)【国際特許分類】
H01J 61/36 20060101AFI20241209BHJP
H01J 61/90 20060101ALI20241209BHJP
H01J 61/52 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01J61/36 B
H01J61/90
H01J61/52 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533089
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 DE2022200093
(87)【国際公開番号】W WO2023098949
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021131801.7
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524207817
【氏名又は名称】フラクステク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】グロース・ハーラルト
【テーマコード(参考)】
5C043
【Fターム(参考)】
5C043AA07
5C043CC14
5C043CD01
5C043DD11
5C043DD17
5C043EB15
(57)【要約】
【課題】高い動作電圧について、電気的なシールについての要求を満たす気体放電ランプを提供する。
【解決手段】気体で満たされた放電容器01と、放電容器01の一端及び放電容器01の内部に配置された、気体放電を生成する電極02’,02”と、電極02’,02”の電気的な接触のための電気的な導体04’,04”と、放電容器01の壁部に隣接する電気的な導体04’,04”の外側の部分を電気的に絶縁して包囲するシールとを含む気体放電ランプにおいて、電気的なシールが絶縁性の遮蔽部30’,30”によって形成されており、遮蔽部30’,30”が、放電容器01へ向いた遮蔽部30’,30”の第1の端部が放電容器01に気密に結合されており、第1の端部とは反対側の第2の端部が開放されているように、電気的な導体04’,04”の外側の部分を電気的な導体04’,04”に対して間隔をもって包囲する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器(01)であって、その中空空間が気体で満たされた前記放電容器(01)と、それぞれ該放電容器(01)の一端及び該放電容器(01)の内部に配置された、気体放電を生成する2つの電極(02’,02”)と、前記放電容器(01)の壁部におけるそれぞれ1つの貫通路を貫通してそれぞれ1つの前記電極(02’,02”)の電気的な接触のための2つの電気的な導体(04’,04”)と、前記放電容器の前記壁部に隣接する前記電気的な導体(04’,04”)の外側の部分を電気的に絶縁して包囲し、以下では電気的なシール(13’,13”)とも呼ばれる少なくとも1つのシールとを含む気体放電ランプにおいて、
少なくとも1つの前記電気的なシール(13’,13”)が電気的に絶縁性の遮蔽部(30’,30”)によって形成されており、該遮蔽部が、前記放電容器(01)へ向いた前記遮蔽部(30’,30”)の第1の端部が前記放電容器に気密に結合されており、前記第1の端部とは反対側の第2の端部が開放されているように、前記電気的な導体(04’,04”)の上述の外側の部分を前記電気的な導体(04’,04”)に対して少なくとも部分的に存在する間隔をもって包囲することを特徴とする気体放電ランプ。
【請求項2】
前記遮蔽部(30’,30”)の材料が、本質的な成分としての電気的に絶縁性の固体を含んでおり、前記遮蔽部(30’,30”)の材料及びその前記放電容器(01)との接続部がポリマを含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の気体放電ランプ。
【請求項3】
電気的な接続ライン(11’,11”)が、前記遮蔽部(30’,30”)内でポリマから成る電気的に絶縁性の材料を有さないことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項4】
前記気体放電ランプが該気体放電ランプの電気的な接触のための2つの接触電極(03’,03”)を更に含んでおり、該接触電極が、それぞれ前記放電容器の端部及び外部に配置されていること、及び各遮蔽部(30’,30”)が対応する前記接触電極(03’,03”)を越えて突出する長さを有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の気体放電ランプ。
【請求項5】
少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)の内面が、その第1の端部(32’32”)と第2の端部(33’,33”)の間で、両端部(32’,32”,33’,33”)間の表面長さを拡大する三次元的に形成された幾何学的な構造部を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の気体放電ランプ。
【請求項6】
少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)が、円筒状に、及び/又は前記放電容器(01)に対して同軸に、及び/又は前記放電容器(01)と一体的に、及び/又は前記放電容器(01)に少なくとも隣接して前記放電容器(01)と同一の材料で形成されており、及び/又は前記第1の端部(32’,32”)に、若しくは前記第1の端部(32’,32”)と前記第2の端部(33’,33”)の間に狭窄部(34’,34”)を備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の気体放電ランプ。
【請求項7】
1つの遮蔽部(30’,30”)の開放された前記第2の端部(33’,33”)が閉鎖可能に形成されており、閉鎖部が電気的な導体のための導通部を備えていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の気体放電ランプ。
【請求項8】
前記気体放電ランプが、ランプブラケット(14’,14”)及び/又は光レフレクタ(15’,15”)を備えており、前記ランプブラケット(14’,14”)が前記遮蔽部(30’,30”)に配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の気体放電ランプ。
【請求項9】
前記気体放電ランプが、前記放電容器(01)を径方向の間隔Aで包囲する流れ管路(20)を備えており、該流れ管路が、両側でそれぞれ1つの接続プレート(18’,18”)で閉鎖されているか、又は閉鎖可能であり、各接続プレート(18’,18”)が、流れ媒体及び前記気体放電ランプの電気的な接続ライン(17’,17”)のための貫通路(16’,16”)を備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の気体放電ランプ。
【請求項10】
前記接続プレート(18’,18”)が、前記気体放電ランプのための、及び/又は前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)のための、及び/又は前記流れ管路(20)のためのブラケットとして形成されていることを特徴とする請求項9に記載の気体放電ランプ。
【請求項11】
前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)が、前記流れ媒体に対して密に前記接続プレート(18’,18”)と結合されているか、又は結合可能であることを特徴とする請求項9又は10に記載の気体放電ランプ。
【請求項12】
少なくとも2つの気体放電ランプを含むランプパネルであって、前記気体放電ランプが、1つの平面において、かつ、互いに対して平行に位置して、内側の間隔Lをもって配置されている前記ランプパネルにおいて、
前記気体放電ランプが請求項1~11のいずれか1項に従って形成されており、前記間隔Lが、前記気体放電ランプの円筒状の前記放電容器(01)の平均外径のオーダー又は次により小さなオーダーにあることを特徴とするランプパネル。
【請求項13】
最大値が1~100キロボルトの操作中に印加される電圧で、及び/又は1~100kW/cm
2の操作中に放射される光出力で基層を照射するための、請求項1~11のいずれか1項に従い形成された気体放電ランプの使用。
【請求項14】
複合部材を照射するための、少なくとも2つの気体放電ランプを含み請求項12に従って形成されたランプパネルの使用であって、前記複合材料が、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の構成要素又はコーティングされた建築用ガラスであることを特徴とする使用。
【請求項15】
少なくとも1つの気体放電ランプがフラッシュランプとして動作されることを特徴とする請求項13又は14に記載の、少なくとも1つの気体放電ランプの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い動作電圧において高い光強度(光度)を生成するために形成され、例えば空冷又は水冷される一般的な気体放電ランプに関するものである。本発明は、特に、互いに密に隣り合って配置された複数の気体放電ランプ装置を含むランプパネルに関するものである。本発明は、このような気体放電ランプの使用に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
一般的な気体放電ランプは、磁気ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器を含んでおり、放電容器の中空空間は気体で満たされている。気体放電ランプは、それぞれ放電容器の一端及び内部に配置された、気体放電を生成するための2つの電極を更に含んでいる。当該2つの電極は2つの電気的な導体によって接触されており、当該電気的な導体は、放電容器の壁部において気密に形成されたそれぞれ1つの貫通路を通して電極へ案内されている。
【0003】
アース電位に対して高い電位にある少なくとも1つの電気的な導体は、放電容器の壁部に隣接する外側の部分において電気的に絶縁されて包囲される。当該包囲は、一般的に電気的なシールと呼ばれ、電気的な導体から隣り合う気体放電ランプの装置又は構成部材へのフラッシュオーバー(アーク)を防止する。
【0004】
高い動作電圧とは、数キロボルトから数十キロボルトまで、特別なケースでは百キロボルトまでの電圧を意図している。密に隣り合うランプとは、プラズマ管の直径のオーダーでの直接隣り合うものの間隔を意図している。高い光強度とは、放電容器の表面からの1kW/cm2より大きく約100kW/cm2までの光出力を意図している。
【0005】
典型的には、このような光強度を有する気体放電ランプは、0.5メートルより長く数メートルまで、特別なケースは10メートルまでのアーク長を有している。個別の気体放電ランプに代えて、複数のランプを直列に接続することが可能であり、個々のランプのアーク長が全アーク長へ合計される。そして、一次近似として同一の動作パラメータを得るために、ランプ列の両端には、ランプ列の全アーク長に対応するアーク長を有する1つのランプの場合と同一の電圧が印加される。
【0006】
いくつかの用途については、気体放電ランプは、1秒より短い、例えば1ミリ秒以下の長さ、またマイクロ秒の範囲で短時間のみフラッシュランプとして動作される。例えば百平方センチメートル又は数平方メートルのかなり大きな面積を高い光強度で均等に照明するために、円筒状の幾何形状を有する複数のフラッシュランプを一平面において互いに対して平行に配置することが可能である。このようなランプパネルは、いわゆる「フラッシュランプアニール」又は「フォトニック焼結」又はコーティングされた建築用ガラスにおいて使用される。
【0007】
高い光強度、例えば1ミリ秒の期間について1平方センチメートル当たり10キロワットにおいては、ポリマは、特にフラッシュランプによる紫外線(UV)の光の発出においてかなり劣化(分解)してしまう。ランプスペクトルにおけるUV部分(割合)は、フラッシュランプのガラス体にセリウムをドープすることでほぼ完全に吸収されることが可能である。ただし、これにより、フラッシュランプの寿命が短縮されるか、又は照明パルスにおいてガラス体の過熱に至ってしまう。いくつかの用途、例えば呼気の殺菌又は排水の洗浄はUV光の作用に基づいているため、ドープは不可能である。
【0008】
上述のかなり大きな面積の露光のための一平面における気体放電ランプ平行な配置においては、均等な同時の照明において高い光強度を生成するのに必要なわずかな間隔により、いわゆる沿面距離(沿面区間)又は空隙をしばしば遵守することができない。
【0009】
沿面距離とは、絶縁体の表面における距離(区間)を意図しており、当該距離では、絶縁体に隣接する媒体としての空気において、2つの電気的な導体の間でスライド電荷が移動可能である。
【0010】
空隙とは、2つの電気的な導体間の間隔を意図しており、これらの間には、空気又は不活性ガスのみが存在する。例えば気体放電ランプの冷却に用いられることが可能な脱イオン化された水又は他の気体状の媒体は、適当な沿面距離及び液体区間において得られる。
【0011】
直流電圧について一般に知られた規則として、キロボルト当たり少なくとも1センチメートルの沿面距離と、キロボルト当たり少なくとも0.5センチメートルの空隙を設定することができ、当該空隙は、大きな規模での空気のスライド電荷又はイオン化を防止し、あるいは導体間の電気的なフラッシュオーバーを防止するために必要である。例えば、30キロボルトの電圧差において、空隙は、2つのワイヤ間で15センチメートルを下回るべきではない。表面の幾何形状は、実際の大きさにかなりの影響を有している。例えば、導体における小さな突起により電界強度が高まるため、空気のイオン化は、より小さな電圧でも可能である。水膜及び汚れを有する電気的に絶縁された表面についても同様である。
【0012】
例えば、高い光強度を得るためにフラッシュランプの2つの供給ラインの間に1センチメートルの間隔が望まれる場合には、20キロボルトの動作電圧において、供給ラインの間に追加的な絶縁体(アイソレータ)を設ける必要がある。なぜなら、必要な最小空隙が10倍の大きさとなるためである。したがって、典型的には、供給ラインは、セラミック又はポリマのような絶縁体で覆われている。セラミック材料は、手間をかけて製造され得るとともに、機械的にあまりフレキシブルではなく、ポリマに比してわずかな耐熱衝撃性を有している。そのため、 キロボルト範囲の電圧において、特にポリマが電気的な供給ラインに用いられる。
【0013】
間隔が小さい場合の上述の高い電圧範囲での気体放電ランプにおける電気的な絶縁についての特別な要求は、電気的な供給ラインの端部と気体放電ランプのガラス体の間で生じ、以下では「電気的なシール」と呼ばれる。これらは、特に、いくつかのケースでは室温よりも数百ケルビンまで高いことがある高い動作温度、非常に高いUV安定性、ランプのガラス体及び供給ラインのポリマにおける良好な付着性、高い機械的なフレキシビリティ又は少なくともガラス体とほぼ同一の熱膨張係数及び十分に高い電気的な絶縁耐力である。
【0014】
電気的なシールは、シール材料自体と気体放電ランプのガラス体の間及びシール材料と供給ラインのポリマの間のリーク電流も阻止する必要があり、すなわち、上述の材料への気密な接続部を備える必要がある。特に気体放電ランプの光が大きなUV割合を有する場合に、気体放電ランプの光による電気的なシールの経年劣化が定期的に問題となる。その結果、電気的なシールは、使用中にその電気的な絶縁が失われ、これはリーク電流の発生に結びつく可能性があり、リーク電流は、最終的に気体放電ランプ及びランプが用いられる設備の別の構成要素の破壊をもたらす。
【0015】
当該劣化プロセスは、非常に迅速に、すなわち動作中に数分以内に進行することがある。当該プロセスは、様々な措置によって遅らせることはできるものの、防止あるいは満足に長く遅らせることはできない。一般的に、十分に高いUV安定性を有するポリマは存在しない。なぜなら、光子エネルギーはポリマにおける結合エネルギーよりもはるかに大きいためである。上述のように、電気的なシールについての全ての要求を満たす他の材料はこれまで発見されていない。
【0016】
石英ガラスと類似の膨張係数を有するセラミックの接着剤も限定的にしか適していない。なぜなら、当該接着剤は、フラッシュランプとしての気体放電ランプの動作においてガラスに対して表面における十分な耐熱衝撃性を有していない、すなわち動作中にセラミックのはがれに至るためである。そのほか、セラミックによって、供給ラインのポリマに対する気密な結合を永続的に保証することは困難である。定期的なランプ交換においてセラミックが収縮ホースに比して容易に切断され得ることが別の重要な態様である。したがって、ランプ交換時には、供給管路を新しくする必要がある。
【0017】
これまで、電気的なシールの上述の全ての要求を満足に満たす適切な材料を発見することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述の従来技術を基礎として、上述の高い動作電圧について、電気的なシールについての要求を満たすことが可能な気体放電ランプを提供するという課題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
当該課題は、請求項1の主題において解決され、電気的なシールの電気的に絶縁された材料についてのこれまでの要求が気体放電ランプの構造形態の変更によって回避され、したがって、従来技術について説明した電気的なシールの問題が回避され、少なくとも低減され、気体放電ランプの寿命が大幅に延長されることが考慮されている。
【0020】
変更された構造形態により、とりわけハウジングにおけるランプの取付に関して別の利点につながっている。特に、変更された気体放電ランプは、個々の気体放電ランプ間の冒頭で述べたわずかな間隔を有するランプパネルにおける配置に適している。
【0021】
本発明による気体放電ランプは、1つ又は複数の電気的に絶縁された遮蔽部を含んでおり、当該遮蔽部は、1キロボルト、好ましくは10キロボルトよりも高く100キロボルトまでの電圧で動作される気体放電管の外側の構成部材を包囲している。遮蔽部は、第1の端部で放電容器に結合されているとともに、第1の端部とは反対側の第2の端部で開放されている。
【0022】
従来技術による導体の電気的に絶縁されたジャケット部とは異なり、遮蔽部は、少なくとも部分的に、包囲された、すなわち少なくとも電気的な導体の表面に対する間隔をもって形成されている。電気的な導体へ向いた遮蔽部の内側の表面と電気的な導体との間の間隔は、少なくとも各遮蔽部において、放電容器との遮蔽部の結合部に隣接する部分を形成している。オプションで、間隔は、遮蔽部の長さにわたってその第2の端部まで延びている。離間した遮蔽部の長さは、特に気体放電ランプの遮蔽されるべき構成部材の長さに基づき生じる。
【0023】
少なくとも1つの遮蔽部は、従来技術から知られた電気的なシールに代わるものであり、1つ又は複数の電極に高い動作電位がかかる気体放電ランプの放電容器の少なくとも一端あるいは両端に結合されている。以下に、気体放電ランプの1つのみの電気的にシールされるべき端部について本発明を説明する。類似のように、本発明は、2つの電気的なシールに応用可能である。
【0024】
気体放電ランプの放電容器は、紫外線範囲から赤外線範囲までの電磁ビーム(電磁放射線)についてのその高い透明性、小さな熱膨張係数及びこれに関連する高い耐熱衝撃性並びに高い電気的な絶縁耐力に基づき、現時点では一般的にガラス、特に石英ガラスで構成されている。当該特性により、石英ガラスは、特に上述の高い動作電圧、高い導光性能及びこれに伴うフラッシュランプで実現可能な急峻な温度勾配における使用に適している。しかし、本発明は、ガラス、特に石英ガラスに匹敵する、上記特性を有する透明で電気的に絶縁された材料を用いる気体放電ランプにも応用可能である。これは、例えばセラミックガラスにおける材料開発が進むにつれて将来的に利用可能となり得るこのような気体放電ランプについても当てはまる。
【0025】
本発明による電気的なシールは、選択される材料に基づき、電気的に絶縁されたジャケット部を実現する。本発明の構成に対応して、遮蔽部の材料は、本質的な成分として電気的に絶縁された固体を含む。しかし、遮蔽部及びその放電容器との結合部の材料はポリマを含まない。
【0026】
本質的な成分としてとしての電気的に絶縁された固体を含む材料は、ここでは、本質的で電気的な絶縁性を決定する成分が電気的に絶縁された固体であるこのような材料組成と理解されるべきである。これは、遮蔽部の製造又は例えば光学的な特性の調整及び維持に有用な技術的に起因する不純物又は技術的に起因する混合物を含み得ることを含んでいる。このような不純物又は技術的な混合物は、多くの場合は固体の10%未満の数%の範囲にある。
【0027】
特に、従来技術から知られた問題を回避することができるように、遮蔽部がポリマを含まないことが有利である。加えて、電気的な導体に対して離間した遮蔽部により、本発明の別の構成に対応して、電気的な導体もポリマジャケット部なしに用いられることが可能であることが許容される。
【0028】
例えば、遮蔽部及び放電容器は、同一の材料、例えば石英ガラス又は両構成部材に適した他の材料で構成されることが可能である。これにより、気体放電ランプの両構成部材の一体的な(統合された)形成が許容される。この場合、同一又は少なくともほぼ同一の膨張係数及び互いに結合される両材料の耐熱衝撃性も有利である。このことから、気体放電ランプの放電容器に関する将来の材料開発も遮蔽部のために利用することが可能である。
【0029】
遮蔽部は、放電容器の壁部を通して放電容器に配置されたアノードあるいはカソードへ延びている少なくとも電気的な導体を包囲する。
【0030】
電気的な導体が放電容器の外部で電気的な接触電極と結合されている限り、本発明の構成に対応して接触電極も遮蔽部によって包囲される。この場合、遮蔽部は、接触電極と、接触電極とは異なる電位を有する導電的な表面との間の絶縁して遮蔽された沿面距離(沿面区間)及び空隙の拡大のために電気的な接触電極の範囲を越えて広がる。
【0031】
すなわち、遮蔽部は、空隙のリーク電流又は衝突イオン化が生じる構成要素を包囲している(覆っている)。このような構成要素は、例えば、接触ソケット、覆われるか、又はオプションで接触ソケットにつづいて所定の部分にわたって絶縁されていない電気的なライン又は他の構成要素であり得る。遮蔽部は沿面距離及び空隙を延長するため、遮蔽部の範囲における従来の電気的なシールの形成を完全に、又は少なくとも部分的に省略することが可能である。この目的のために、とりわけ動作電圧によって設定される最小の沿面距離又は空隙に依存して遮蔽部の長さを自由に選択することが可能である。好ましくは、必要な最小沿面距離あるいは最小空隙は遮蔽部によって維持され、すなわち、遮蔽部の開放された第2の端部の突出は、動作パラメータにより期待される最小沿面距離及び最小空隙以上である。電気的なシールもオプションで使用可能であるが、当該電気的なシールについては、従来技術について説明した要求よりもわずかな要求であり得る。
【0032】
遮蔽部の開放された第2の端部により、接触ソケットは、気体放電ランプのための接続ラインの端部において遮蔽部の内部に位置する接触電極に容易に差し込まれることが可能である。これにより、定期的なランプ交換を非常に容易に行うことが可能である。
【0033】
沿面距離の更なる延長は、気体放電ランプの構成に対応して、遮蔽部の適切な構造化によって行われることが可能である。断面において見て、少なくとも遮蔽部の内側の表面には、遮蔽部によって包囲される空間へ突出し、したがって遮蔽部の内側の表面を拡大する三次元的で幾何学的な構造部を形成することが可能である。例えば、蛇行状又は他の表面推移が沿面距離の更なる延長に適している。これに代えて、及び同一の効果をもって、遮蔽部の壁部がこのような推移を有することが可能である。
【0034】
遮蔽部は、様々な構成に対応して気体放電ランプの円筒状のガラス管と一体的に形成されることができるか、又は当該ガラス管に結合されることが可能である。放電容器との遮蔽部の結合部が一体的に形成されていれば、遮蔽部は、放電容器の製造時に既に追加されることが可能である。このとき、同一の材料、例えば石英ガラスから成る遮蔽部の構成が有利である。互いに組み合わされる材料が十分に両立可能な(相性の良い)膨張特性を示す限り、遮蔽部の他の構成が可能である。結合が当該気体放電ランプ又は隣り合う気体放電ランプの光によって劣化又は破壊されない限り、同一の要件の下で他の、また後からの結合が可能である。
【0035】
遮蔽部は、好ましくは、オプションで接触電極が放電容器の円筒の主軸に位置し得る円筒状の管で構成されている。
【0036】
特に当該箇所にランプブラケット、光レフレクタ又は気体放電ランプの主軸近傍の他の構成部材を配置するために、遮蔽部は狭窄部を備えることが可能である。狭窄部は、気体放電ランプの放電容器の対応する端部での先細部に接続されることができるか、又は遮蔽部と放電容器の間の境界部を形成することが可能である。狭窄部のこのような位置には光レフレクタを配置することができ、当該光レフレクタは、壁部の低減された直径を密に包囲し、したがって、気体放電ランプの遮蔽部に位置する構成要素のその光からの最大限の保護を許容する。明らかに、光レフレクタに用いられる材料によっては、光レフレクタが放電容器の壁部及び/又は遮蔽部に対して周囲の隙間を有していれば有利であり得る。
【0037】
好ましくは、遮蔽部は、気体放電ランプの円筒状のガラス管の内径と同一、それより大きな、又はそれより小さな内径を有している。上記バリエーションに依存して、遮蔽部内の接触電極への良好なアクセス性又は必要空間の削減又は少ない手間で製造可能なコンパクトな気体放電ランプを提供可能である。気体放電ランプの応用の別の要件は、遮蔽部の形状にとって重要であり得る。
【0038】
遮蔽部は、気体放電ランプのガラス体とは反対のその第2の端部において開放されているか、又は閉鎖可能であってよい。閉鎖部は、気体放電ランプの被覆管への冷却媒体の導入のための、及び/電気的なラインの導通のための貫通路を備えることが可能である。加えて、遮蔽部の閉鎖部は、ランプブラケットを用いて形成されることが可能であり、当該ランプブラケットは、例えばハウジング又は複合的な装置において気体放電ランプを取り付けるのに適している。
【0039】
したがって、ランプブラケットは本質的に光源から離間していることができるため、ブラケットに対するポリマの使用時には、当該ブラケットは本質的にかなりわずかにしかUVビームにさらされず、及び/又は上述の光レフレクタのような保護装置を用いることが可能である。光レフレクタは、例えば気体放電容器の端部に配置されることが可能である。例えば、光レフレクタは、例えば遮蔽部の第1の端部に配置された遮蔽部の狭窄部に配置されることが可能である。
【0040】
接触電極から出る接続ラインは、好ましくは閉鎖された遮蔽部内にジャケット部を有さずに形成されることが可能である。特に、ポリマから成る電気的に絶縁される材料を省略することができ、したがって、接続ラインの寿命を延長することも可能である。
【0041】
従来の電気的なシールに代えて遮蔽部を形成することは、冷却液による気体放電ランプの冷却も補助するものである。なぜなら、遮蔽部は、接続ラインの周囲の体積、好ましくは接触電極の周囲の体積も閉鎖するように形成されることができるためである。
【0042】
このとき、間隔Aをもって放電容器を包囲し冷却媒体を導く流れ管路は、遮蔽部も含むため、中に含まれる電気的なラインと、場合によっては接続ラインと、両ラインを接続する接触電極とが冷却媒体において直接位置せず、したがって、当該範囲について電気的な絶縁も不要である。したがって、ポリマを絶縁のために用いる必要がないため、接触電極は、動作においてより高い温度を受けることが可能である。電気的な接続ラインは、閉鎖された遮蔽部の第2の端部から初めてポリマから成る絶縁性の材料を有する。このようにして、ポリマの使用部と光源との間の従来技術に比して大幅に拡大された間隔が達成される。より大きな間隔により、とりわけUV安定性又は耐熱性に関する材料についての要求が低減される。
【0043】
したがって、電気的なラインのジャケット部のほかに、遮蔽部を気密に、したがって水密に閉鎖する接続プレートも少なくとも1つのポリマ材料で構成されることが可能である。このような接続プレートは、電圧及び冷却媒体のような媒体のライン又は信号ラインの導通部のほかに、同時に、気体放電ランプ及び流れ管路のためのブラケットとしても用いられることが可能である。
【0044】
気体放電ランプの上述の利点により、当該気体放電ランプは、従来技術に比して低減された間隔をもって互いに対して配置されることが可能な2つ以上の気体放電ランプを含むランプパネルにおいて用いられるのに適している。直接隣り合うランプの内側の間隔Lは、ランプパネルの円筒状の放電容器の平均の外径のオーダーに、又は次により小さなオーダーにあり得る。平均の外径が所定の長さの単位の101のオーダーにあれば、隣り合う2つの放電容器の内側の間隔は、同一の長さの単位の1(=1×100)から99(=9.9×101)の範囲にあり得る。明らかに、ここでは、各構成及び用いられるべき気体放電ランプの配置についての通常の公差が加えられるべきである。
【0045】
本発明によれば、気体放電ランプは、上述の説明によるそれぞれ1つの遮蔽部をランプの少なくとも1つの端部に備えている。ランプパネルの平行性及び平面に関する状態は、例えば、気体放電ランプの放電容器の円筒軸線又は円筒状の壁部に基づいて設定されることが可能である。
【0046】
円筒状の放電容器の外径を決定するために、幾何形状を決定する円筒の部分が考慮される。上述の狭窄部のような局所的に限定されたくびれ部又は類似の延長部は考慮されないままである。平均の外径は、ランプパネルの気体放電ランプのこのように決定された全ての外径の平均に基づき得られる。
【0047】
一般的に、その測定単位を考慮して値の1桁分が「オーダー」と呼ばれる。したがって、例えば102mmのオーダーには、100~999mmの値を有する全ての長さが含まれ、上記限界値の10%以下のわずかな超過又は不足が含まれ得ることは、「オーダー」という用語の使用につきものである。
【0048】
当該気体放電ランプについての説明は、ランプパネルにおける、及び/又は上記可能性を有するその使用にも対応して適用可能である。気体放電ランプの利点は、対応して使用に関連している。
【0049】
そのため、本発明の別の態様は、上述の気体放電ランプの使用に関するものである。例えばガラス又は他の適切な材料からなる遮蔽部を用いた電気的なシールの構成と、光源の直近におけるポリマの回避又は少なくとも低減とにより、照明中に電圧が印加されるときに1~100キロボルトの範囲の高い電圧と、これによる高い光出力とを達成可能である。上記電圧値は、照射の開始時に電圧が取り得る最大値を指す。
【0050】
これには、本発明の別の一態様が関連している。本発明による気体放電ランプの上記特性及び利点により、特に、複数の気体放電ランプを、しかしそのうち少なくとも2つをランプパネルにおいて使用することが許容される。このようなランプパネルは、例えば部材の様々なフォーマットについて高い光線量で処理するのに適している。例えば、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の部材又はいわゆるLow-Eコーティングを有する建築用ガラス又はその他のもののような大きなフォーマットの複合部材も効果的かつ均一に処理可能である。半導体産業又は他の技術分野における他の用途についてもこのようなランプパネルを応用可能である。
【0051】
このような処理には、急峻な温度勾配及び隣り合う層の最小限の影響を有する材料の薄い境界層のみを達成可能なフラッシュランプがしばしば所望されている。本発明による気体放電ランプは、個別ランプとしても、またランプパネルにおいても、このような使用もサポートする。
【0052】
関連する図面に基づき、上述の特徴を明確に、しかしこれに限定せずに、例において説明する。当業者は、有益であり合理的であると思われる限り、本発明の上述の様々な構成における特徴と、後述の実施例において実現される特徴を更なる実施形態において組み合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】従来技術による気体放電ランプの構成の断面図である。
【
図2】
図1による空冷式の気体放電ランプの左半部の詳細な図示の一部である。
【
図3】
図1による水冷式の気体放電ランプの左半部の詳細な図示の一部である。
【
図4】ランプの両側に配置された電気的なシールを有する、本発明による気体放電ランプの構成を示す図である。
【
図5】光レフレクタと、ランプブラケットと、接続ラインとを有する
図4による空冷式の気体放電ランプの構成をランプの左端部の詳細な図において示す図である。
【
図6】光レフレクタと、ランプブラケットと、接続ラインと、水冷部とを有する
図4による気体放電ランプの別の構成をランプの左端部の詳細な図において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図面には、本発明を説明するために必要な程度に概略的にのみ装置が示されている。図面は、完全性又は規模(縮尺)についての要求を課すものではない。
【0055】
図面には、本発明を説明するために必要な程度に概略的にのみ装置が示されている。図面は、完全性又は規模(縮尺)についての要求を課すものではない。同一の符号で示される構成要素は、同一の機能を実施する。
【0056】
以下に説明する全ての図面は、回転対称の部材の断面を示し、回転軸線は、紙面において水平である。
【0057】
図1には、円筒状の放電容器01、例えば石英ガラスから成るガラス体で構成された気体放電ランプの従来技術についての一例が示されている。放電容器01の中空空間は、貴ガス、例えばキセノンで満たされている。放電容器01の中空空間では、各端部においてそれぞれ1つの電極02’,02”、例えば気体放電ランプのアノードあるいはカソードを表す2つのタングステン電極が配置されている。電極02’,02”間では、気体放電ランプの実際の光源としてのアーク長06が延在している。気体で満たされた空間の外部には、気体放電ランプの両側の電気的な接触のための2つの接触電極03’,03”と、例えばタングステンから成り接触電極03’,03”との電極02’,02”の接続に用いられる2つのロッド状の導体04’,04”とが配置されている。放電容器01の熱膨張係数と電気的な導体04’,04”の熱膨張係数の間の値である熱膨張係数を有する2つの移行ガラス05’,05”により、放電容器01の中空空間への電流通過が可能となる。図示の場合では、移行ガラス05は、放電容器01の内部範囲に配置されている。ガラス円筒の小さな直径、例えば16mm未満の直径を有する気体放電ランプにおいては、移行ガラスは、ランプの光出力及び用途に重大な影響を与えることなく、しばしば外部範囲に設けられる。
【0058】
図2には、抜粋において、
図1による気体放電ランプの左半部の詳細な図示が示されており、右半部は、鏡面対称な構造を有している。単に鏡面対称な図示の明確化のために、対応する鏡像状の構成要素が図面に図示されていない場合にも、図示の符号はダッシュ「’」を有している。
【0059】
このとき、中空空間における電極02’,02”の形状及びそのドーピングは異なっていてよい。例えば、カソードは電子のより容易な放出のためにより高いドーピングを有している。実際には、非対称な、又は円筒形状とは異なる構造が生じるが、当該構造は、用いられる材料とは特に異なるものではない。
【0060】
図1における図示に補足して、
図2は気体放電ランプの別の構成要素が図示されている。当該別の構成要素は、ポリマ、例えばシリコンで包囲された電気的な接続ライン11’と、接触電極03’にはめ込まれる電気的な接触ソケット12’と、不図示のハウジングで気体放電ランプを固定するために用いられる、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成るランプブラケット14’と、アーク長06の光を反射させるという機能のほかに、例えばランプブラケット又はハウジングの他の部材又は電気的な供給ラインをUVビーム又は過熱から保護するような別の役割を有し得る光レフレクタ15’である。
【0061】
接続ライン11’,11”のポリマと気体放電ランプのガラス体01の間の電気的なシール13’,13”は、例えば、気密な結合のための内側に位置する接着部を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る収縮ホースである。また、他の気密で電気的に絶縁された電気的なシールも使用可能である。
【0062】
特に、光レフレクタ15’,15”は気体放電ランプのガラス体をこれに接触することなくできる限り密に包囲するため、
図2における構成要素の配置は、従来技術による空冷式の気体放電ランプについて典型的なものである。これにより、光、特にUVビームでの部材、特に用いられるポリマの曝露が最小化される。
【0063】
図3には、気体放電ランプの水冷のために修正された構造が示されている。このために、多くの場合には、フローチューブとも呼ばれ例えば石英ガラスから成る流れ管路20が用いられ、当該流れ管路を通して高度に純化され脱イオン化された水が圧送される。流れ管路20における気体放電ランプの心合わせはランプブラケット14’,14”によって行われ、当該ランプブラケットは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成り例えば冷却水の流れ(矢印で示され、その方向は単に例示的であり、これに制限されずに図示されている)のための貫通孔のような適切な貫通路16’,16”を備えている。本実施例では、光レフレクタ15’,15”は流れ管路20の外側に配置されている。
【0064】
図1~
図3による気体放電ランプは、従来技術による一実施例を示している。様々な構成部材は、同一の機能において、例えば幾何形状において、材料において、空間的な配置又は別の構成部材若しくは他の詳細との協働において、異なるように構成されることが可能である。
【0065】
従来技術を反映した以上の全ての図では、光レフレクタ15’,15”又はランプブラケット14’,14”による遮光にもかかわらず、気体放電ランプによって生成される光の大部分が電気的なシール12’,12”に、しかも少なくとも電気的なシール12’,12”が気体放電ランプの放電容器01と接触する面に入射する。1つの結果は、電気的なシール12’,12”の接着の上述のはがれ並びに最終的には電気的なフラッシュオーバー(アーク)あるいは気体放電ランプの破壊につながる、リーク電流の形成及び進行する拡大である。冒頭で従来技術について説明したように、移行ガラス05’,05”もいくつかの用途においてのみ気体放電ランプの寿命を延長する。
【0066】
図4には、円筒状の放電容器01内に一般的な構成要素を有する本発明による気体放電ランプが示されている。当該構成要素は、アーク長を生成し維持するためのタングステンから成る2つの電極02’,02”と、電気的な導体04’,04”を用いたその電気的な接続部と、移行ガラス05’,05”を用いた放電容器01の壁部を通る電気的な導体04’,04”の貫通部である。ガラスから成る遮蔽部30’,30”への放電容器01の移行部は、本実施例では、両側で狭窄部34’,34”によって形成されている。上述の材料特性が保証され得る限り、遮蔽部30’,30”の材料は、放電容器01の材料に対応し得るか、又は少なくとも個々の成分においてこれとは異なり得る。
【0067】
気体放電ランプは、放電容器01の両端部において、それぞれ1つの電気的に絶縁されそこでの接触電極03’,03”を包囲する遮蔽部30’,30”を含んでいる。遮蔽部30’,30”は、その第1の端部32’,32”において放電容器01と一体的に結合されているとともに、反対側の第2の端部33’,33”では開放されている。遮蔽部は、そこでは接触電極03’,03”を越えて突出している。
【0068】
遮蔽部30’,30”の配置及び長さにより、接触電極03’、03”も、またこれにつづくべき電極03’,03”の電気的な供給ラインの一部も遮蔽部30’,30”によって包囲されている。加えて、気体放電ランプの接続ライン11’,11”の一部も包囲されることが可能である。
【0069】
しかし、
図4における遮蔽部30’,30”は、例示的なものであって、円筒状のガラス管延長部として原適して形成されているわけではないとともに、気体放電ランプの製造時に既に付け加えられることが可能である。補足して、開放して示される遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”を閉鎖することが可能である。
【0070】
図4に図示される遮蔽部30’,30”の直径は、タングステン電極02’,02”間の形状を特徴付ける部分において放電容器01の円筒に対応する。しかし、原則的には、各直径は、気体放電ランプの動作パラメータを変更することなく特定の要求に依存し得る。同様に、表面構造を有するか、又は表面構造を有さない遮蔽部30’,30”の長さあるいは接触電極32’,32”の端部を越える遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”の内側の突出部31’,31”は、上述のように自由に選択されることが可能である。
【0071】
従来技術から知られた光レフレクタ及びランプブラケットを有する形成当同様に、
図5による実施形態はこれら構成部材を備えている。
図5には、光レフレクタ15’,15”及びランプブラケット14’,14”を有する
図4による気体放電ランプの一構成が示されている。
【0072】
プレート状の光レフレクタ15’,15”は、一体的に形成された放電容器01のガラス管と遮蔽部30’,30”の間の狭窄部34’,34”においてアーク長06の光から放電容器01の外部にある構成要素を最適に保護するために配置されているとともに、径方向に延在している。
【0073】
同様にプレート状のランプブラケット14’,14”は、遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”に取り付けられることができ、そこでは、光レフレクタ15’,15”によって気体放電ランプの有害なビームから保護されている。ランプブラケットは、ハウジング(不図示)における気体放電ランプの保持に寄与する。このとき、ランプブラケットは、気体放電ランプの空冷に使用可能なハウジング壁部に対する間隔を形成することが可能である。
【0074】
図4による気体放電ランプの別の一実施例では、気体放電ランプが水冷されている(
図6)。この目的のために、気体放電ランプは流れ管路20に配置されている。放電容器01の両側に配置されたそれぞれ1つのランプブラケット14’,14”は、流れ管路20を閉鎖するとともに、放電容器01に対して、ひいてはガラス管延長部として形成される遮蔽部30,30”に対して間隔をもって当該流れ管路を保持する。流れ管路20のように、遮蔽部はランプブラケット14’,14”において終わって(途切れて)いるため、ランプブラケット14’,14”は遮蔽部30’,30”も閉鎖する。
【0075】
ランプブラケット14’,14”は、気体放電ランプの接続ライン11’,11”を遮蔽部30’,30”へ及び接触電極03’,03”へ向けて導通させるための適切な貫通路16’,16”を備えている。遮蔽部30’,30”の外部に位置する別の貫通路16’,16”は、例えば水若しくは空気又は他の適切な流体のような適切な冷却媒体(矢印で図示)の供給及び排出に寄与する。
【0076】
接続プレート14’,14”による遮蔽部30’,30”の閉鎖により、接触電極03’,03”及びこれに接続されるライン04’,04”,11’,11”は冷却媒体と接触しないため、これらライン04’,04”,11’,11”は、絶縁性のジャケットなしに、特にポリマから成るこのようなジャケットなしに使用可能である。覆われていないか、又は異なるように覆われた当該接続ラインの部分は、区別のために符号17’,17”で示されている。
【0077】
放電容器01の側ごとの光レフレクタ15’,15”は、オプションで、狭窄部34’,34”の範囲における流れ管路20の外部に配置されている。
【0078】
図7には、
図4の気体放電ランプに基づく気体放電ランプが示されている。両ランプは、遮蔽部30’,30”の壁部の構成によって異なっている。遮蔽部は、当該遮蔽部30’,30”の上面、特に内側の表面が拡大するように、第2の端部33’,33”から第2の端部32’,32”の近傍まで蛇行状に形成されている。
【0079】
図8には、
図4による複数の気体放電ランプが1つの平面、ここでは紙面において隣り合ってかつ互いに対して平行に配置されたランプパネル(ランプフィールド)が図示されている。放電容器01の壁部間で測定したその互いに対する内側の間隔Lは、ランプパネルの円筒状の放電容器の均一な外径の次により小さいオーダーにある。ランプパネルの気体放電ランプの構成については、
図4についての説明が参照される。
【符号の説明】
【0080】
01 放電容器
02’,02” 電極
03’,03” 接触電極
04’,04” 導体
05’,05” 移行ガラス
06 アーク長
11’,11” 接続ライン
12’,12” 接触ソケット
13’,13” 電気的なシール
14’,14” ランプブラケット
15’,15” 光レフレクタ
16’,16” 貫通路
17’,17” 接続ライン
18’,18” 接続プレート
20 流れ管路
30’,30” 遮蔽部
31’,31” 内側の突出部
32’,32” 第1の端部
33’,33” 第2の端部
34’,34” 狭窄部
A 放電容器と流れ管路の間の間隔
L 2つの気体放電ランプ間の内側の間隔
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い動作電圧において高い光強度(光度)を生成するために形成され、例えば空冷又は水冷される一般的な気体放電ランプに関するものである。本発明は、特に、互いに密に隣り合って配置された複数の気体放電ランプ装置を含むランプパネルに関するものである。本発明は、このような気体放電ランプの使用に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
一般的な気体放電ランプは、磁気ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器を含んでおり、放電容器の中空空間は気体で満たされている。気体放電ランプは、それぞれ放電容器の一端及び内部に配置された、気体放電を生成するための2つの電極を更に含んでいる。当該2つの電極は2つの電気的な導体によって接触されており、当該電気的な導体は、放電容器の壁部において気密に形成されたそれぞれ1つの貫通路を通して電極へ案内されている。
【0003】
比較的小さな動作電圧を有する気体放電ランプが例えば原動機付き車両用ヘッドライトから知られている(特許文献1~3)。このようなランプは、気体放電容器につづいて、隣接する電気的な導体を包囲する様々なシールと、原動機付き車両における取付のためのランプソケット(ランプ口金)とを備えている。このようなランプは、連続動作において動作されるとともに、電気的なシールに関して以下に説明する一般的な気体放電ランプよりもはるかにわずかな要求を有している。同様のことは、定期的に連続的に動作され、大きな電圧又は大きな電流又は高い出力で動作されないUVランプについて当てはまる(特許文献4)。
【0004】
アース電位に対して高い電位にある少なくとも1つの電気的な導体は、放電容器の壁部に隣接する外側の部分において電気的に絶縁されて包囲される。当該包囲は、一般的に電気的なシールと呼ばれ、電気的な導体から隣り合う気体放電ランプの装置又は構成部材へのフラッシュオーバー(アーク)を防止する。
【0005】
高い動作電圧とは、数キロボルトから数十キロボルトまで、特別なケースでは百キロボルトまでの電圧を意図している。密に隣り合うランプとは、プラズマ管の直径のオーダーでの直接隣り合うものの間隔を意図している。高い光強度とは、放電容器の表面からの1kW/cm2より大きく約100kW/cm2までの光出力を意図している。
【0006】
典型的には、このような光強度を有する気体放電ランプは、0.5メートルより長く数メートルまで、特別なケースは10メートルまでのアーク長を有している。個別の気体放電ランプに代えて、複数のランプを直列に接続することが可能であり、個々のランプのアーク長が全アーク長へ合計される。そして、一次近似として同一の動作パラメータを得るために、ランプ列の両端には、ランプ列の全アーク長に対応するアーク長を有する1つのランプの場合と同一の電圧が印加される。
【0007】
いくつかの用途については、気体放電ランプは、1秒より短い、例えば1ミリ秒以下の長さ、またマイクロ秒の範囲で短時間のみフラッシュランプとして動作される。例えば百平方センチメートル又は数平方メートルのかなり大きな面積を高い光強度で均等に照明するために、円筒状の幾何形状を有する複数のフラッシュランプを一平面において互いに対して平行に配置することが可能である。このようなランプパネルは、いわゆる「フラッシュランプアニール」又は「フォトニック焼結」又はコーティングされた建築用ガラスにおいて使用される。
【0008】
高い光強度、例えば1ミリ秒の期間について1平方センチメートル当たり10キロワットにおいては、ポリマは、特にフラッシュランプによる紫外線(UV)の光の発出においてかなり劣化(分解)してしまう。ランプスペクトルにおけるUV部分(割合)は、フラッシュランプのガラス体にセリウムをドープすることでほぼ完全に吸収されることが可能である。ただし、これにより、フラッシュランプの寿命が短縮されるか、又は照明パルスにおいてガラス体の過熱に至ってしまう。いくつかの用途、例えば呼気の殺菌又は排水の洗浄はUV光の作用に基づいているため、ドープは不可能である。
【0009】
上述のかなり大きな面積の露光のための一平面における気体放電ランプ平行な配置においては、均等な同時の照明において高い光強度を生成するのに必要なわずかな間隔により、いわゆる沿面距離(沿面区間)又は空隙をしばしば遵守することができない。
【0010】
沿面距離とは、絶縁体の表面における距離(区間)を意図しており、当該距離では、絶縁体に隣接する媒体としての空気において、2つの電気的な導体の間でスライド電荷が移動可能である。
【0011】
空隙とは、2つの電気的な導体間の間隔を意図しており、これらの間には、空気又は不活性ガスのみが存在する。例えば気体放電ランプの冷却に用いられることが可能な脱イオン化された水又は他の気体状の媒体は、適当な沿面距離及び液体区間において得られる。
【0012】
直流電圧について一般に知られた規則として、キロボルト当たり少なくとも1センチメートルの沿面距離と、キロボルト当たり少なくとも0.5センチメートルの空隙を設定することができ、当該空隙は、大きな規模での空気のスライド電荷又はイオン化を防止し、あるいは導体間の電気的なフラッシュオーバーを防止するために必要である。例えば、30キロボルトの電圧差において、空隙は、2つのワイヤ間で15センチメートルを下回るべきではない。表面の幾何形状は、実際の大きさにかなりの影響を有している。例えば、導体における小さな突起により電界強度が高まるため、空気のイオン化は、より小さな電圧でも可能である。水膜及び汚れを有する電気的に絶縁された表面についても同様である。
【0013】
例えば、高い光強度を得るためにフラッシュランプの2つの供給ラインの間に1センチメートルの間隔が望まれる場合には、20キロボルトの動作電圧において、供給ラインの間に追加的な絶縁体(アイソレータ)を設ける必要がある。なぜなら、必要な最小空隙が10倍の大きさとなるためである。したがって、典型的には、供給ラインは、セラミック又はポリマのような絶縁体で覆われている。セラミック材料は、手間をかけて製造され得るとともに、機械的にあまりフレキシブルではなく、ポリマに比してわずかな耐熱衝撃性を有している。そのため、 キロボルト範囲の電圧において、特にポリマが電気的な供給ラインに用いられる。
【0014】
間隔が小さい場合の上述の高い電圧範囲での気体放電ランプにおける電気的な絶縁についての特別な要求は、電気的な供給ラインの端部と気体放電ランプのガラス体の間で生じ、以下では「電気的なシール」と呼ばれる。これらは、特に、いくつかのケースでは室温よりも数百ケルビンまで高いことがある高い動作温度、非常に高いUV安定性、ランプのガラス体及び供給ラインのポリマにおける良好な付着性、高い機械的なフレキシビリティ又は少なくともガラス体とほぼ同一の熱膨張係数及び十分に高い電気的な絶縁耐力である。空冷及び水冷の実現のために放電容器が流れ管路によって包囲されている気体放電ランプは、例えば特許文献5及び6から知られている。これらも連続動作において用いられる。
【0015】
電気的なシールは、シール材料自体と気体放電ランプのガラス体の間及びシール材料と供給ラインのポリマの間のリーク電流も阻止する必要があり、すなわち、上述の材料への気密な接続部を備える必要がある。特に気体放電ランプの光が大きなUV割合を有する場合に、気体放電ランプの光による電気的なシールの経年劣化が定期的に問題となる。その結果、電気的なシールは、使用中にその電気的な絶縁が失われ、これはリーク電流の発生に結びつく可能性があり、リーク電流は、最終的に気体放電ランプ及びランプが用いられる設備の別の構成要素の破壊をもたらす。
【0016】
当該劣化プロセスは、非常に迅速に、すなわち動作中に数分以内に進行することがある。当該プロセスは、様々な措置によって遅らせることはできるものの、防止あるいは満足に長く遅らせることはできない。一般的に、十分に高いUV安定性を有するポリマは存在しない。なぜなら、光子エネルギーはポリマにおける結合エネルギーよりもはるかに大きいためである。上述のように、電気的なシールについての全ての要求を満たす他の材料はこれまで発見されていない。
【0017】
石英ガラスと類似の膨張係数を有するセラミックの接着剤も限定的にしか適していない。なぜなら、当該接着剤は、フラッシュランプとしての気体放電ランプの動作においてガラスに対して表面における十分な耐熱衝撃性を有していない、すなわち動作中にセラミックのはがれに至るためである。そのほか、セラミックによって、供給ラインのポリマに対する気密な結合を永続的に保証することは困難である。定期的なランプ交換においてセラミックが収縮ホースに比して容易に切断され得ることが別の重要な態様である。したがって、ランプ交換時には、供給管路を新しくする必要がある。
【0018】
これまで、電気的なシールの上述の全ての要求を満足に満たす適切な材料を発見することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,032,758号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19640666号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10342801号明細書
【特許文献4】特開2017-216158号公報
【特許文献5】特開2009-26478号公報
【特許文献6】特開2010-67474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上述の従来技術を基礎として、上述の高い動作電圧について、電気的なシールについての要求を満たすことが可能な気体放電ランプを提供するという課題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
当該課題は、請求項1の主題において解決され、電気的なシールの電気的に絶縁された材料についてのこれまでの要求が気体放電ランプの構造形態の変更によって回避され、したがって、従来技術について説明した電気的なシールの問題が回避され、少なくとも低減され、気体放電ランプの寿命が大幅に延長されることが考慮されている。
【0022】
変更された構造形態により、とりわけハウジングにおけるランプの取付に関して別の利点につながっている。特に、変更された気体放電ランプは、個々の気体放電ランプ間の冒頭で述べたわずかな間隔を有するランプパネルにおける配置に適している。
【0023】
本発明による気体放電ランプは、1つ又は複数の電気的に絶縁された遮蔽部を含んでおり、当該遮蔽部は、1キロボルト、好ましくは10キロボルトよりも高く100キロボルトまでの電圧で動作される気体放電管の外側の構成部材を包囲している。遮蔽部は、第1の端部で放電容器に結合されているとともに、第1の端部とは反対側の第2の端部で開放されている。
【0024】
従来技術による導体の電気的に絶縁されたジャケット部とは異なり、遮蔽部は、少なくとも部分的に、包囲された、すなわち少なくとも電気的な導体の表面に対する間隔をもって形成されている。電気的な導体へ向いた遮蔽部の内側の表面と電気的な導体との間の間隔は、少なくとも各遮蔽部において、放電容器との遮蔽部の結合部に隣接する部分を形成している。オプションで、間隔は、遮蔽部の長さにわたってその第2の端部まで延びている。離間した遮蔽部の長さは、特に気体放電ランプの遮蔽されるべき構成部材の長さに基づき生じる。
【0025】
少なくとも1つの遮蔽部は、従来技術から知られた電気的なシールに代わるものであり、1つ又は複数の電極に高い動作電位がかかる気体放電ランプの放電容器の少なくとも一端あるいは両端に結合されている。以下に、気体放電ランプの1つのみの電気的にシールされるべき端部について本発明を説明する。類似のように、本発明は、2つの電気的なシールに応用可能である。
【0026】
気体放電ランプの放電容器は、紫外線範囲から赤外線範囲までの電磁ビーム(電磁放射線)についてのその高い透明性、小さな熱膨張係数及びこれに関連する高い耐熱衝撃性並びに高い電気的な絶縁耐力に基づき、現時点では一般的にガラス、特に石英ガラスで構成されている。当該特性により、石英ガラスは、特に上述の高い動作電圧、高い導光性能及びこれに伴うフラッシュランプで実現可能な急峻な温度勾配における使用に適している。しかし、本発明は、ガラス、特に石英ガラスに匹敵する、上記特性を有する透明で電気的に絶縁された材料を用いる気体放電ランプにも応用可能である。これは、例えばセラミックガラスにおける材料開発が進むにつれて将来的に利用可能となり得るこのような気体放電ランプについても当てはまる。
【0027】
本発明による電気的なシールは、選択される材料に基づき、電気的に絶縁されたジャケット部を実現する。本発明の構成に対応して、遮蔽部の材料は、本質的な成分として電気的に絶縁された固体を含む。しかし、遮蔽部及びその放電容器との結合部の材料はポリマを含まない。
【0028】
本質的な成分としてとしての電気的に絶縁された固体を含む材料は、ここでは、本質的で電気的な絶縁性を決定する成分が電気的に絶縁された固体であるこのような材料組成と理解されるべきである。これは、遮蔽部の製造又は例えば光学的な特性の調整及び維持に有用な技術的に起因する不純物又は技術的に起因する混合物を含み得ることを含んでいる。このような不純物又は技術的な混合物は、多くの場合は固体の10%未満の数%の範囲にある。
【0029】
特に、従来技術から知られた問題を回避することができるように、遮蔽部がポリマを含まないことが有利である。加えて、電気的な導体に対して離間した遮蔽部により、本発明の別の構成に対応して、電気的な導体もポリマジャケット部なしに用いられることが可能であることが許容される。
【0030】
例えば、遮蔽部及び放電容器は、同一の材料、例えば石英ガラス又は両構成部材に適した他の材料で構成されることが可能である。これにより、気体放電ランプの両構成部材の一体的な(統合された)形成が許容される。この場合、同一又は少なくともほぼ同一の膨張係数及び互いに結合される両材料の耐熱衝撃性も有利である。このことから、気体放電ランプの放電容器に関する将来の材料開発も遮蔽部のために利用することが可能である。
【0031】
遮蔽部は、放電容器の壁部を通して放電容器に配置されたアノードあるいはカソードへ延びている少なくとも電気的な導体を包囲する。
【0032】
電気的な導体が放電容器の外部で電気的な接触電極と結合されている限り、本発明の構成に対応して接触電極も遮蔽部によって包囲される。この場合、遮蔽部は、接触電極と、接触電極とは異なる電位を有する導電的な表面との間の絶縁して遮蔽された沿面距離(沿面区間)及び空隙の拡大のために電気的な接触電極の範囲を越えて広がる。
【0033】
すなわち、遮蔽部は、空隙のリーク電流又は衝突イオン化が生じる構成要素を包囲している(覆っている)。このような構成要素は、例えば、接触ソケット、覆われるか、又はオプションで接触ソケットにつづいて所定の部分にわたって絶縁されていない電気的なライン又は他の構成要素であり得る。遮蔽部は沿面距離及び空隙を延長するため、遮蔽部の範囲における従来の電気的なシールの形成を完全に、又は少なくとも部分的に省略することが可能である。この目的のために、とりわけ動作電圧によって設定される最小の沿面距離又は空隙に依存して遮蔽部の長さを自由に選択することが可能である。好ましくは、必要な最小沿面距離あるいは最小空隙は遮蔽部によって維持され、すなわち、遮蔽部の開放された第2の端部の突出は、動作パラメータにより期待される最小沿面距離及び最小空隙以上である。電気的なシールもオプションで使用可能であるが、当該電気的なシールについては、従来技術について説明した要求よりもわずかな要求であり得る。
【0034】
遮蔽部の開放された第2の端部により、接触ソケットは、気体放電ランプのための接続ラインの端部において遮蔽部の内部に位置する接触電極に容易に差し込まれることが可能である。これにより、定期的なランプ交換を非常に容易に行うことが可能である。
【0035】
沿面距離の更なる延長は、気体放電ランプの構成に対応して、遮蔽部の適切な構造化によって行われることが可能である。断面において見て、少なくとも遮蔽部の内側の表面には、遮蔽部によって包囲される空間へ突出し、したがって遮蔽部の内側の表面を拡大する三次元的で幾何学的な構造部を形成することが可能である。例えば、蛇行状又は他の表面推移が沿面距離の更なる延長に適している。これに代えて、及び同一の効果をもって、遮蔽部の壁部がこのような推移を有することが可能である。
【0036】
遮蔽部は、様々な構成に対応して気体放電ランプの円筒状のガラス管と一体的に形成されることができるか、又は当該ガラス管に結合されることが可能である。放電容器との遮蔽部の結合部が一体的に形成されていれば、遮蔽部は、放電容器の製造時に既に追加されることが可能である。このとき、同一の材料、例えば石英ガラスから成る遮蔽部の構成が有利である。互いに組み合わされる材料が十分に両立可能な(相性の良い)膨張特性を示す限り、遮蔽部の他の構成が可能である。結合が当該気体放電ランプ又は隣り合う気体放電ランプの光によって劣化又は破壊されない限り、同一の要件の下で他の、また後からの結合が可能である。
【0037】
遮蔽部は、好ましくは、オプションで接触電極が放電容器の円筒の主軸に位置し得る円筒状の管で構成されている。
【0038】
特に当該箇所にランプブラケット、光レフレクタ又は気体放電ランプの主軸近傍の他の構成部材を配置するために、遮蔽部は狭窄部を備えることが可能である。狭窄部は、気体放電ランプの放電容器の対応する端部での先細部に接続されることができるか、又は遮蔽部と放電容器の間の境界部を形成することが可能である。狭窄部のこのような位置には光レフレクタを配置することができ、当該光レフレクタは、壁部の低減された直径を密に包囲し、したがって、気体放電ランプの遮蔽部に位置する構成要素のその光からの最大限の保護を許容する。明らかに、光レフレクタに用いられる材料によっては、光レフレクタが放電容器の壁部及び/又は遮蔽部に対して周囲の隙間を有していれば有利であり得る。
【0039】
好ましくは、遮蔽部は、気体放電ランプの円筒状のガラス管の内径と同一、それより大きな、又はそれより小さな内径を有している。上記バリエーションに依存して、遮蔽部内の接触電極への良好なアクセス性又は必要空間の削減又は少ない手間で製造可能なコンパクトな気体放電ランプを提供可能である。気体放電ランプの応用の別の要件は、遮蔽部の形状にとって重要であり得る。
【0040】
遮蔽部は、気体放電ランプのガラス体とは反対のその第2の端部において開放されているか、又は閉鎖可能であってよい。閉鎖部は、気体放電ランプの被覆管への冷却媒体の導入のための、及び/電気的なラインの導通のための貫通路を備えることが可能である。加えて、遮蔽部の閉鎖部は、ランプブラケットを用いて形成されることが可能であり、当該ランプブラケットは、例えばハウジング又は複合的な装置において気体放電ランプを取り付けるのに適している。
【0041】
したがって、ランプブラケットは本質的に光源から離間していることができるため、ブラケットに対するポリマの使用時には、当該ブラケットは本質的にかなりわずかにしかUVビームにさらされず、及び/又は上述の光レフレクタのような保護装置を用いることが可能である。光レフレクタは、例えば気体放電容器の端部に配置されることが可能である。例えば、光レフレクタは、例えば遮蔽部の第1の端部に配置された遮蔽部の狭窄部に配置されることが可能である。
【0042】
接触電極から出る接続ラインは、好ましくは閉鎖された遮蔽部内にジャケット部を有さずに形成されることが可能である。特に、ポリマから成る電気的に絶縁される材料を省略することができ、したがって、接続ラインの寿命を延長することも可能である。
【0043】
従来の電気的なシールに代えて遮蔽部を形成することは、冷却液による気体放電ランプの冷却も補助するものである。なぜなら、遮蔽部は、接続ラインの周囲の体積、好ましくは接触電極の周囲の体積も閉鎖するように形成されることができるためである。
【0044】
このとき、間隔Aをもって放電容器を包囲し冷却媒体を導く流れ管路は、遮蔽部も含むため、中に含まれる電気的なラインと、場合によっては接続ラインと、両ラインを接続する接触電極とが冷却媒体において直接位置せず、したがって、当該範囲について電気的な絶縁も不要である。したがって、ポリマを絶縁のために用いる必要がないため、接触電極は、動作においてより高い温度を受けることが可能である。電気的な接続ラインは、閉鎖された遮蔽部の第2の端部から初めてポリマから成る絶縁性の材料を有する。このようにして、ポリマの使用部と光源との間の従来技術に比して大幅に拡大された間隔が達成される。より大きな間隔により、とりわけUV安定性又は耐熱性に関する材料についての要求が低減される。
【0045】
したがって、電気的なラインのジャケット部のほかに、遮蔽部を気密に、したがって水密に閉鎖する接続プレートも少なくとも1つのポリマ材料で構成されることが可能である。このような接続プレートは、電圧及び冷却媒体のような媒体のライン又は信号ラインの導通部のほかに、同時に、気体放電ランプ及び流れ管路のためのブラケットとしても用いられることが可能である。
【0046】
気体放電ランプの上述の利点により、当該気体放電ランプは、従来技術に比して低減された間隔をもって互いに対して配置されることが可能な2つ以上の気体放電ランプを含むランプパネルにおいて用いられるのに適している。直接隣り合うランプの内側の間隔Lは、ランプパネルの円筒状の放電容器の平均の外径のオーダーに、又は次により小さなオーダーにあり得る。平均の外径が所定の長さの単位の101のオーダーにあれば、隣り合う2つの放電容器の内側の間隔は、同一の長さの単位の1(=1×100)から99(=9.9×101)の範囲にあり得る。明らかに、ここでは、各構成及び用いられるべき気体放電ランプの配置についての通常の公差が加えられるべきである。
【0047】
本発明によれば、気体放電ランプは、上述の説明によるそれぞれ1つの遮蔽部をランプの少なくとも1つの端部に備えている。ランプパネルの平行性及び平面に関する状態は、例えば、気体放電ランプの放電容器の円筒軸線又は円筒状の壁部に基づいて設定されることが可能である。
【0048】
円筒状の放電容器の外径を決定するために、幾何形状を決定する円筒の部分が考慮される。上述の狭窄部のような局所的に限定されたくびれ部又は類似の延長部は考慮されないままである。平均の外径は、ランプパネルの気体放電ランプのこのように決定された全ての外径の平均に基づき得られる。
【0049】
一般的に、その測定単位を考慮して値の1桁分が「オーダー」と呼ばれる。したがって、例えば102mmのオーダーには、100~999mmの値を有する全ての長さが含まれ、上記限界値の10%以下のわずかな超過又は不足が含まれ得ることは、「オーダー」という用語の使用につきものである。
【0050】
当該気体放電ランプについての説明は、ランプパネルにおける、及び/又は上記可能性を有するその使用にも対応して適用可能である。気体放電ランプの利点は、対応して使用に関連している。
【0051】
そのため、本発明の別の態様は、上述の気体放電ランプの使用に関するものである。例えばガラス又は他の適切な材料からなる遮蔽部を用いた電気的なシールの構成と、光源の直近におけるポリマの回避又は少なくとも低減とにより、照明中に電圧が印加されるときに1~100キロボルトの範囲の高い電圧と、これによる高い光出力とを達成可能である。上記電圧値は、照射の開始時に電圧が取り得る最大値を指す。
【0052】
これには、本発明の別の一態様が関連している。本発明による気体放電ランプの上記特性及び利点により、特に、複数の気体放電ランプを、しかしそのうち少なくとも2つをランプパネルにおいて使用することが許容される。このようなランプパネルは、例えば部材の様々なフォーマットについて高い光線量で処理するのに適している。例えば、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の部材又はいわゆるLow-Eコーティングを有する建築用ガラス又はその他のもののような大きなフォーマットの複合部材も効果的かつ均一に処理可能である。半導体産業又は他の技術分野における他の用途についてもこのようなランプパネルを応用可能である。
【0053】
このような処理には、急峻な温度勾配及び隣り合う層の最小限の影響を有する材料の薄い境界層のみを達成可能なフラッシュランプがしばしば所望されている。本発明による気体放電ランプは、個別ランプとしても、またランプパネルにおいても、このような使用もサポートする。
【0054】
関連する図面に基づき、上述の特徴を明確に、しかしこれに限定せずに、例において説明する。当業者は、有益であり合理的であると思われる限り、本発明の上述の様々な構成における特徴と、後述の実施例において実現される特徴を更なる実施形態において組み合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】従来技術による気体放電ランプの構成の断面図である。
【
図2】
図1による空冷式の気体放電ランプの左半部の詳細な図示の一部である。
【
図3】
図1による水冷式の気体放電ランプの左半部の詳細な図示の一部である。
【
図4】ランプの両側に配置された電気的なシールを有する、本発明による気体放電ランプの構成を示す図である。
【
図5】光レフレクタと、ランプブラケットと、接続ラインとを有する
図4による空冷式の気体放電ランプの構成をランプの左端部の詳細な図において示す図である。
【
図6】光レフレクタと、ランプブラケットと、接続ラインと、水冷部とを有する
図4による気体放電ランプの別の構成をランプの左端部の詳細な図において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面には、本発明を説明するために必要な程度に概略的にのみ装置が示されている。図面は、完全性又は規模(縮尺)についての要求を課すものではない。
【0057】
同一の符号で示される構成要素は、同一の機能を実施する。
【0058】
以下に説明する全ての図面は、回転対称の部材の断面を示し、回転軸線は、紙面において水平である。
【0059】
図1には、円筒状の放電容器01、例えば石英ガラスから成るガラス体で構成された気体放電ランプの従来技術についての一例が示されている。放電容器01の中空空間は、貴ガス、例えばキセノンで満たされている。放電容器01の中空空間では、各端部においてそれぞれ1つの電極02’,02”、例えば気体放電ランプのアノードあるいはカソードを表す2つのタングステン電極が配置されている。電極02’,02”間では、気体放電ランプの実際の光源としてのアーク長06が延在している。気体で満たされた空間の外部には、気体放電ランプの両側の電気的な接触のための2つの接触電極03’,03”と、例えばタングステンから成り接触電極03’,03”との電極02’,02”の接続に用いられる2つのロッド状の導体04’,04”とが配置されている。放電容器01の熱膨張係数と電気的な導体04’,04”の熱膨張係数の間の値である熱膨張係数を有する2つの移行ガラス05’,05”により、放電容器01の中空空間への電流通過が可能となる。図示の場合では、移行ガラス05は、放電容器01の内部範囲に配置されている。ガラス円筒の小さな直径、例えば16mm未満の直径を有する気体放電ランプにおいては、移行ガラスは、ランプの光出力及び用途に重大な影響を与えることなく、しばしば外部範囲に設けられる。
【0060】
図2には、抜粋において、
図1による気体放電ランプの左半部の詳細な図示が示されており、右半部は、鏡面対称な構造を有している。単に鏡面対称な図示の明確化のために、対応する鏡像状の構成要素が図面に図示されていない場合にも、図示の符号はダッシュ「’」を有している。
【0061】
このとき、中空空間における電極02’,02”の形状及びそのドーピングは異なっていてよい。例えば、カソードは電子のより容易な放出のためにより高いドーピングを有している。実際には、非対称な、又は円筒形状とは異なる構造が生じるが、当該構造は、用いられる材料とは特に異なるものではない。
【0062】
図1における図示に補足して、
図2は気体放電ランプの別の構成要素が図示されている。当該別の構成要素は、ポリマ、例えばシリコンで包囲された電気的な接続ライン11’と、接触電極03’にはめ込まれる電気的な接触ソケット12’と、不図示のハウジングで気体放電ランプを固定するために用いられる、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成るランプブラケット14’と、アーク長06の光を反射させるという機能のほかに、例えばランプブラケット又はハウジングの他の部材又は電気的な供給ラインをUVビーム又は過熱から保護するような別の役割を有し得る光レフレクタ15’である。
【0063】
接続ライン11’,11”のポリマと気体放電ランプのガラス体01の間の電気的なシール13’,13”は、例えば、気密な結合のための内側に位置する接着部を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る収縮ホースである。また、他の気密で電気的に絶縁された電気的なシールも使用可能である。
【0064】
特に、光レフレクタ15’,15”は気体放電ランプのガラス体をこれに接触することなくできる限り密に包囲するため、
図2における構成要素の配置は、従来技術による空冷式の気体放電ランプについて典型的なものである。これにより、光、特にUVビームでの部材、特に用いられるポリマの曝露が最小化される。
【0065】
図3には、気体放電ランプの水冷のために修正された構造が示されている。このために、多くの場合には、フローチューブとも呼ばれ例えば石英ガラスから成る流れ管路20が用いられ、当該流れ管路を通して高度に純化され脱イオン化された水が圧送される。流れ管路20における気体放電ランプの心合わせはランプブラケット14’,14”によって行われ、当該ランプブラケットは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成り例えば冷却水の流れ(矢印で示され、その方向は単に例示的であり、これに制限されずに図示されている)のための貫通孔のような適切な貫通路16’,16”を備えている。本実施例では、光レフレクタ15’,15”は流れ管路20の外側に配置されている。
【0066】
図1~
図3による気体放電ランプは、従来技術による一実施例を示している。様々な構成部材は、同一の機能において、例えば幾何形状において、材料において、空間的な配置又は別の構成部材若しくは他の詳細との協働において、異なるように構成されることが可能である。
【0067】
従来技術を反映した以上の全ての図では、光レフレクタ15’,15”又はランプブラケット14’,14”による遮光にもかかわらず、気体放電ランプによって生成される光の大部分が電気的なシール12’,12”に、しかも少なくとも電気的なシール12’,12”が気体放電ランプの放電容器01と接触する面に入射する。1つの結果は、電気的なシール12’,12”の接着の上述のはがれ並びに最終的には電気的なフラッシュオーバー(アーク)あるいは気体放電ランプの破壊につながる、リーク電流の形成及び進行する拡大である。冒頭で従来技術について説明したように、移行ガラス05’,05”もいくつかの用途においてのみ気体放電ランプの寿命を延長する。
【0068】
図4には、円筒状の放電容器01内に一般的な構成要素を有する本発明による気体放電ランプが示されている。当該構成要素は、アーク長を生成し維持するためのタングステンから成る2つの電極02’,02”と、電気的な導体04’,04”を用いたその電気的な接続部と、移行ガラス05’,05”を用いた放電容器01の壁部を通る電気的な導体04’,04”の貫通部である。ガラスから成る遮蔽部30’,30”への放電容器01の移行部は、本実施例では、両側で狭窄部34’,34”によって形成されている。上述の材料特性が保証され得る限り、遮蔽部30’,30”の材料は、放電容器01の材料に対応し得るか、又は少なくとも個々の成分においてこれとは異なり得る。
【0069】
気体放電ランプは、放電容器01の両端部において、それぞれ1つの電気的に絶縁されそこでの接触電極03’,03”を包囲する遮蔽部30’,30”を含んでいる。遮蔽部30’,30”は、その第1の端部32’,32”において放電容器01と一体的に結合されているとともに、反対側の第2の端部33’,33”では開放されている。遮蔽部は、そこでは接触電極03’,03”を越えて突出している。
【0070】
遮蔽部30’,30”の配置及び長さにより、接触電極03’、03”も、またこれにつづくべき電極03’,03”の電気的な供給ラインの一部も遮蔽部30’,30”によって包囲されている。加えて、気体放電ランプの接続ライン11’,11”の一部も包囲されることが可能である。
【0071】
しかし、
図4における遮蔽部30’,30”は、例示的なものであって、円筒状のガラス管延長部として原適して形成されているわけではないとともに、気体放電ランプの製造時に既に付け加えられることが可能である。補足して、開放して示される遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”を閉鎖することが可能である。
【0072】
図4に図示される遮蔽部30’,30”の直径は、タングステン電極02’,02”間の形状を特徴付ける部分において放電容器01の円筒に対応する。しかし、原則的には、各直径は、気体放電ランプの動作パラメータを変更することなく特定の要求に依存し得る。同様に、表面構造を有するか、又は表面構造を有さない遮蔽部30’,30”の長さあるいは接触電極32’,32”の端部を越える遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”の内側の突出部31’,31”は、上述のように自由に選択されることが可能である。
【0073】
従来技術から知られた光レフレクタ及びランプブラケットを有する形成当同様に、
図5による実施形態はこれら構成部材を備えている。
図5には、光レフレクタ15’,15”及びランプブラケット14’,14”を有する
図4による気体放電ランプの一構成が示されている。
【0074】
プレート状の光レフレクタ15’,15”は、一体的に形成された放電容器01のガラス管と遮蔽部30’,30”の間の狭窄部34’,34”においてアーク長06の光から放電容器01の外部にある構成要素を最適に保護するために配置されているとともに、径方向に延在している。
【0075】
同様にプレート状のランプブラケット14’,14”は、遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”に取り付けられることができ、そこでは、光レフレクタ15’,15”によって気体放電ランプの有害なビームから保護されている。ランプブラケットは、ハウジング(不図示)における気体放電ランプの保持に寄与する。このとき、ランプブラケットは、気体放電ランプの空冷に使用可能なハウジング壁部に対する間隔を形成することが可能である。
【0076】
図4による気体放電ランプの別の一実施例では、気体放電ランプが水冷されている(
図6)。この目的のために、気体放電ランプは流れ管路20に配置されている。放電容器01の両側に配置されたそれぞれ1つのランプブラケット14’,14”は、流れ管路20を閉鎖するとともに、放電容器01に対して、ひいてはガラス管延長部として形成される遮蔽部30,30”に対して間隔をもって当該流れ管路を保持する。流れ管路20のように、遮蔽部はランプブラケット14’,14”において終わって(途切れて)いるため、ランプブラケット14’,14”は遮蔽部30’,30”も閉鎖する。
【0077】
ランプブラケット14’,14”は、気体放電ランプの接続ライン11’,11”を遮蔽部30’,30”へ及び接触電極03’,03”へ向けて導通させるための適切な貫通路16’,16”を備えている。遮蔽部30’,30”の外部に位置する別の貫通路16’,16”は、例えば水若しくは空気又は他の適切な流体のような適切な冷却媒体(矢印で図示)の供給及び排出に寄与する。
【0078】
接続プレート14’,14”による遮蔽部30’,30”の閉鎖により、接触電極03’,03”及びこれに接続されるライン04’,04”,11’,11”は冷却媒体と接触しないため、これらライン04’,04”,11’,11”は、絶縁性のジャケットなしに、特にポリマから成るこのようなジャケットなしに使用可能である。覆われていないか、又は異なるように覆われた当該接続ラインの部分は、区別のために符号17’,17”で示されている。
【0079】
放電容器01の側ごとの光レフレクタ15’,15”は、オプションで、狭窄部34’,34”の範囲における流れ管路20の外部に配置されている。
【0080】
図7には、
図4の気体放電ランプに基づく気体放電ランプが示されている。両ランプは、遮蔽部30’,30”の壁部の構成によって異なっている。遮蔽部は、当該遮蔽部30’,30”の上面、特に内側の表面が拡大するように、第2の端部33’,33”から第2の端部32’,32”の近傍まで蛇行状に形成されている。
【0081】
図8には、
図4による複数の気体放電ランプが1つの平面、ここでは紙面において隣り合ってかつ互いに対して平行に配置されたランプパネル(ランプフィールド)が図示されている。放電容器01の壁部間で測定したその互いに対する内側の間隔Lは、ランプパネルの円筒状の放電容器の均一な外径の次により小さいオーダーにある。ランプパネルの気体放電ランプの構成については、
図4についての説明が参照される。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.電磁ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器(01)であって、その中空空間が気体で満たされた前記放電容器(01)と、それぞれ該放電容器(01)の一端及び該放電容器(01)の内部に配置された、気体放電を生成する2つの電極(02’,02”)と、前記放電容器(01)の壁部におけるそれぞれ1つの貫通路を貫通してそれぞれ1つの前記電極(02’,02”)の電気的な接触のための2つの電気的な導体(04’,04”)と、前記放電容器の前記壁部に隣接する前記電気的な導体(04’,04”)の外側の部分を電気的に絶縁して包囲し、以下では電気的なシール(13’,13”)とも呼ばれる少なくとも1つのシールとを含む気体放電ランプにおいて、
少なくとも1つの前記電気的なシール(13’,13”)が電気的に絶縁性の遮蔽部(30’,30”)によって形成されており、該遮蔽部が、前記放電容器(01)へ向いた前記遮蔽部(30’,30”)の第1の端部が前記放電容器に気密に結合されており、前記第1の端部とは反対側の第2の端部が開放されているように、前記電気的な導体(04’,04”)の上述の外側の部分を前記電気的な導体(04’,04”)に対して少なくとも部分的に存在する間隔をもって包囲することを特徴とする気体放電ランプ。
2.前記遮蔽部(30’,30”)の材料が、本質的な成分としての電気的に絶縁性の固体を含んでおり、前記遮蔽部(30’,30”)の材料及びその前記放電容器(01)との接続部がポリマを含んでいないことを特徴とする上記1.に記載の気体放電ランプ。
3.電気的な接続ライン(11’,11”)が、前記遮蔽部(30’,30”)内でポリマから成る電気的に絶縁性の材料を有さないことを特徴とする上記1.又は2.に記載の気体放電ランプ。
4.前記気体放電ランプが該気体放電ランプの電気的な接触のための2つの接触電極(03’,03”)を更に含んでおり、該接触電極が、それぞれ前記放電容器の端部及び外部に配置されていること、及び各遮蔽部(30’,30”)が対応する前記接触電極(03’,03”)を越えて突出する長さを有していることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
5.少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)の内面が、その第1の端部(32’32”)と第2の端部(33’,33”)の間で、両端部(32’,32”,33’,33”)間の表面長さを拡大する三次元的に形成された幾何学的な構造部を有していることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
6.少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)が、円筒状に、及び/又は前記放電容器(01)に対して同軸に、及び/又は前記放電容器(01)と一体的に、及び/又は前記放電容器(01)に少なくとも隣接して前記放電容器(01)と同一の材料で形成されており、及び/又は前記第1の端部(32’,32”)に、若しくは前記第1の端部(32’,32”)と前記第2の端部(33’,33”)の間に狭窄部(34’,34”)を備えていることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
7.1つの遮蔽部(30’,30”)の開放された前記第2の端部(33’,33”)が閉鎖可能に形成されており、閉鎖部が電気的な導体のための導通部を備えていることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
8.前記気体放電ランプが、ランプブラケット(14’,14”)及び/又は光レフレクタ(15’,15”)を備えており、前記ランプブラケット(14’,14”)が前記遮蔽部(30’,30”)に配置されていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
9.前記気体放電ランプが、前記放電容器(01)を径方向の間隔Aで包囲する流れ管路(20)を備えており、該流れ管路が、両側でそれぞれ1つの接続プレート(18’,18”)で閉鎖されているか、又は閉鎖可能であり、各接続プレート(18’,18”)が、流れ媒体及び前記気体放電ランプの電気的な接続ライン(17’,17”)のための貫通路(16’,16”)を備えていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
10.前記接続プレート(18’,18”)が、前記気体放電ランプのための、及び/又は前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)のための、及び/又は前記流れ管路(20)のためのブラケットとして形成されていることを特徴とする上記9.に記載の気体放電ランプ。
11.前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)が、前記流れ媒体に対して密に前記接続プレート(18’,18”)と結合されているか、又は結合可能であることを特徴とする上記9.又は10.に記載の気体放電ランプ。
12.少なくとも2つの気体放電ランプを含むランプパネルであって、前記気体放電ランプが、1つの平面において、かつ、互いに対して平行に位置して、内側の間隔Lをもって配置されている前記ランプパネルにおいて、
前記気体放電ランプが上記1.~11.のいずれか1つに従って形成されており、前記間隔Lが、前記気体放電ランプの円筒状の前記放電容器(01)の平均外径のオーダー又は次により小さなオーダーにあることを特徴とするランプパネル。
13.最大値が1~100キロボルトの操作中に印加される電圧で、及び/又は1~100kW/cm
2
の操作中に放射される光出力で基層を照射するための、請求項1~11のいずれか1項に従い形成された気体放電ランプの使用。
14.複合部材を照射するための、少なくとも2つの気体放電ランプを含み上記12.に従って形成されたランプパネルの使用であって、前記複合材料が、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の構成要素又はコーティングされた建築用ガラスであることを特徴とする使用。
15.少なくとも1つの気体放電ランプがフラッシュランプとして動作されることを特徴とする上記13.又は14.に記載の、少なくとも1つの気体放電ランプの使用。
【符号の説明】
【0082】
01 放電容器
02’,02” 電極
03’,03” 接触電極
04’,04” 導体
05’,05” 移行ガラス
06 アーク長
11’,11” 接続ライン
12’,12” 接触ソケット
13’,13” 電気的なシール
14’,14” ランプブラケット
15’,15” 光レフレクタ
16’,16” 貫通路
17’,17” 接続ライン
18’,18” 接続プレート
20 流れ管路
30’,30” 遮蔽部
31’,31” 内側の突出部
32’,32” 第1の端部
33’,33” 第2の端部
34’,34” 狭窄部
A 放電容器と流れ管路の間の間隔
L 2つの気体放電ランプ間の内側の間隔
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器(01)であって、その中空空間が気体で満たされた前記放電容器(01)と、それぞれ該放電容器(01)の一端及び該放電容器(01)の内部に配置された、気体放電を生成する2つの電極(02’,02”)と、前記放電容器(01)の壁部におけるそれぞれ1つの貫通路を貫通してそれぞれ1つの前記電極(02’,02”)の電気的な接触のための2つの電気的な導体(04’,04”)と、前記放電容器の前記壁部に隣接する前記電気的な導体(04’,04”)の外側の部分を電気的に絶縁して包囲し、以下では電気的なシール(13’,13”)とも呼ばれる少なくとも1つのシールとを含む
、フラッシュランプとしての動作のために形成された気体放電ランプにおいて、
少なくとも1つの前記電気的なシール(13’,13”)が電気的に絶縁性の遮蔽部(30’,30”)によって形成されており、該遮蔽部が、前記放電容器(01)へ向いた前記遮蔽部(30’,30”)の第1の端部が前記放電容器に気密に結合されており、前記第1の端部とは反対側の第2の端部が開放されているように、前記電気的な導体(04’,04”)の上述の外側の部分を前記電気的な導体(04’,04”)に対して少なくとも部分的に存在する間隔をもって包囲することを特徴とする気体放電ランプ。
【請求項2】
前記遮蔽部(30’,30”)の材料が、本質的な成分としての電気的に絶縁性の固体を含んでおり、前記遮蔽部(30’,30”)の材料及びその前記放電容器(01)との接続部がポリマを含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の気体放電ランプ。
【請求項3】
電気的な接続ライン(11’,11”)が、前記遮蔽部(30’,30”)内でポリマから成る電気的に絶縁性の材料を有さないことを特徴とする請求項1又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項4】
前記気体放電ランプが該気体放電ランプの電気的な接触のための2つの接触電極(03’,03”)を更に含んでおり、該接触電極が、それぞれ前記放電容器の端部及び外部に配置されていること、及び各遮蔽部(30’,30”)が対応する前記接触電極(03’,03”)を越えて突出する長さを有していることを特徴とする請求項1
又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項5】
少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)の内面が、その第1の端部(32’32”)と第2の端部(33’,33”)の間で、両端部(32’,32”,33’,33”)間の表面長さを拡大する三次元的に形成された幾何学的な構造部を有していることを特徴とする請求項1
又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項6】
少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)が、円筒状に、及び/又は前記放電容器(01)に対して同軸に、及び/又は前記放電容器(01)と一体的に、及び/又は前記放電容器(01)に少なくとも隣接して前記放電容器(01)と同一の材料で形成されており、及び/又は前記第1の端部(32’,32”)に、若しくは前記第1の端部(32’,32”)と前記第2の端部(33’,33”)の間に狭窄部(34’,34”)を備えていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項7】
1つの遮蔽部(30’,30”)の開放された前記第2の端部(33’,33”)が閉鎖可能に形成されており、閉鎖部が電気的な導体のための導通部を備えていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項8】
前記気体放電ランプが、ランプブラケット(14’,14”)及び/又は光レフレクタ(15’,15”)を備えており、前記ランプブラケット(14’,14”)が前記遮蔽部(30’,30”)に配置されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項9】
前記気体放電ランプが、前記放電容器(01)を径方向の間隔Aで包囲する流れ管路(20)を備えており、該流れ管路が、両側でそれぞれ1つの接続プレート(18’,18”)で閉鎖されているか、又は閉鎖可能であり、各接続プレート(18’,18”)が、流れ媒体及び前記気体放電ランプの電気的な接続ライン(17’,17”)のための貫通路(16’,16”)を備えていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の気体放電ランプ。
【請求項10】
前記接続プレート(18’,18”)が、前記気体放電ランプのための、及び/又は前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)のための、及び/又は前記流れ管路(20)のためのブラケットとして形成されていることを特徴とする請求項9に記載の気体放電ランプ。
【請求項11】
前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)が、前記流れ媒体に対して密に前記接続プレート(18’,18”)と結合されているか、又は結合可能であることを特徴とする請求項
9に記載の気体放電ランプ。
【請求項12】
少なくとも2つの気体放電ランプを含むランプパネルであって、前記気体放電ランプが、1つの平面において、かつ、互いに対して平行に位置して、内側の間隔Lをもって配置されている前記ランプパネルにおいて、
前記気体放電ランプが請求項1
又は2に従って形成されており、前記間隔Lが、前記気体放電ランプの円筒状の前記放電容器(01)の平均外径のオーダー又は次により小さなオーダーにあることを特徴とするランプパネル。
【請求項13】
最大値が1~100キロボルトの操作中に印加される電圧で、及び/又は1~100kW/cm
2の操作中に放射される光出力で基層を照射するための、請求項1
又は2に従い形成された気体放電ランプの使用。
【請求項14】
最大値が1~100キロボルトの操作中に印加される電圧で、及び/又は1~100kW/cm
2
の操作中に放射される光出力で基層を照射するための、請求項6に従い形成された気体放電ランプの使用。
【請求項15】
複合部材を照射するための、少なくとも2つの気体放電ランプを含み請求項12に従って形成されたランプパネルの使用であって、前記複合材料が、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の構成要素又はコーティングされた建築用ガラスであることを特徴とする使用。
【請求項16】
気体放電ランプがフラッシュランプとして動作されることを特徴とする請求項
15に記載
のランプ
パネルの使用。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い動作電圧において高い光強度(光度)を生成するために形成され、例えば空冷又は水冷される一般的な気体放電ランプに関するものである。本発明は、特に、互いに密に隣り合って配置された複数の気体放電ランプ装置を含むランプパネルに関するものである。本発明は、このような気体放電ランプの使用に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
一般的な気体放電ランプは、磁気ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器を含んでおり、放電容器の中空空間は気体で満たされている。気体放電ランプは、それぞれ放電容器の一端及び内部に配置された、気体放電を生成するための2つの電極を更に含んでいる。当該2つの電極は2つの電気的な導体によって接触されており、当該電気的な導体は、放電容器の壁部において気密に形成されたそれぞれ1つの貫通路を通して電極へ案内されている。
【0003】
比較的小さな動作電圧を有する気体放電ランプが例えば原動機付き車両用ヘッドライトから知られている(特許文献1~3)。このようなランプは、気体放電容器につづいて、隣接する電気的な導体を包囲する様々なシールと、原動機付き車両における取付のためのランプソケット(ランプ口金)とを備えている。このようなランプは、連続動作において動作されるとともに、電気的なシールに関して以下に説明する一般的な気体放電ランプよりもはるかにわずかな要求を有している。同様のことは、定期的に連続的に動作され、大きな電圧又は大きな電流又は高い出力で動作されないUVランプについて当てはまる(特許文献4)。
【0004】
アース電位に対して高い電位にある少なくとも1つの電気的な導体は、放電容器の壁部に隣接する外側の部分において電気的に絶縁されて包囲される。当該包囲は、一般的に電気的なシールと呼ばれ、電気的な導体から隣り合う気体放電ランプの装置又は構成部材へのフラッシュオーバー(アーク)を防止する。
【0005】
高い動作電圧とは、数キロボルトから数十キロボルトまで、特別なケースでは百キロボルトまでの電圧を意図している。密に隣り合うランプとは、プラズマ管の直径のオーダーでの直接隣り合うものの間隔を意図している。高い光強度とは、放電容器の表面からの1kW/cm2より大きく約100kW/cm2までの光出力を意図している。
【0006】
典型的には、このような光強度を有する気体放電ランプは、0.5メートルより長く数メートルまで、特別なケースは10メートルまでのアーク長を有している。個別の気体放電ランプに代えて、複数のランプを直列に接続することが可能であり、個々のランプのアーク長が全アーク長へ合計される。そして、一次近似として同一の動作パラメータを得るために、ランプ列の両端には、ランプ列の全アーク長に対応するアーク長を有する1つのランプの場合と同一の電圧が印加される。
【0007】
いくつかの用途については、気体放電ランプは、1秒より短い、例えば1ミリ秒以下の長さ、またマイクロ秒の範囲で短時間のみフラッシュランプとして動作される。例えば百平方センチメートル又は数平方メートルのかなり大きな面積を高い光強度で均等に照明するために、円筒状の幾何形状を有する複数のフラッシュランプを一平面において互いに対して平行に配置することが可能である。このようなランプパネルは、いわゆる「フラッシュランプアニール」又は「フォトニック焼結」又はコーティングされた建築用ガラスにおいて使用される。
【0008】
高い光強度、例えば1ミリ秒の期間について1平方センチメートル当たり10キロワットにおいては、ポリマは、特にフラッシュランプによる紫外線(UV)の光の発出においてかなり劣化(分解)してしまう。ランプスペクトルにおけるUV部分(割合)は、フラッシュランプのガラス体にセリウムをドープすることでほぼ完全に吸収されることが可能である。ただし、これにより、フラッシュランプの寿命が短縮されるか、又は照明パルスにおいてガラス体の過熱に至ってしまう。いくつかの用途、例えば呼気の殺菌又は排水の洗浄はUV光の作用に基づいているため、ドープは不可能である。
【0009】
上述のかなり大きな面積の露光のための一平面における気体放電ランプ平行な配置においては、均等な同時の照明において高い光強度を生成するのに必要なわずかな間隔により、いわゆる沿面距離(沿面区間)又は空隙をしばしば遵守することができない。
【0010】
沿面距離とは、絶縁体の表面における距離(区間)を意図しており、当該距離では、絶縁体に隣接する媒体としての空気において、2つの電気的な導体の間でスライド電荷が移動可能である。
【0011】
空隙とは、2つの電気的な導体間の間隔を意図しており、これらの間には、空気又は不活性ガスのみが存在する。例えば気体放電ランプの冷却に用いられることが可能な脱イオン化された水又は他の気体状の媒体は、適当な沿面距離及び液体区間において得られる。
【0012】
直流電圧について一般に知られた規則として、キロボルト当たり少なくとも1センチメートルの沿面距離と、キロボルト当たり少なくとも0.5センチメートルの空隙を設定することができ、当該空隙は、大きな規模での空気のスライド電荷又はイオン化を防止し、あるいは導体間の電気的なフラッシュオーバーを防止するために必要である。例えば、30キロボルトの電圧差において、空隙は、2つのワイヤ間で15センチメートルを下回るべきではない。表面の幾何形状は、実際の大きさにかなりの影響を有している。例えば、導体における小さな突起により電界強度が高まるため、空気のイオン化は、より小さな電圧でも可能である。水膜及び汚れを有する電気的に絶縁された表面についても同様である。
【0013】
例えば、高い光強度を得るためにフラッシュランプの2つの供給ラインの間に1センチメートルの間隔が望まれる場合には、20キロボルトの動作電圧において、供給ラインの間に追加的な絶縁体(アイソレータ)を設ける必要がある。なぜなら、必要な最小空隙が10倍の大きさとなるためである。したがって、典型的には、供給ラインは、セラミック又はポリマのような絶縁体で覆われている。セラミック材料は、手間をかけて製造され得るとともに、機械的にあまりフレキシブルではなく、ポリマに比してわずかな耐熱衝撃性を有している。そのため、 キロボルト範囲の電圧において、特にポリマが電気的な供給ラインに用いられる。
【0014】
間隔が小さい場合の上述の高い電圧範囲での気体放電ランプにおける電気的な絶縁についての特別な要求は、電気的な供給ラインの端部と気体放電ランプのガラス体の間で生じ、以下では「電気的なシール」と呼ばれる。これらは、特に、いくつかのケースでは室温よりも数百ケルビンまで高いことがある高い動作温度、非常に高いUV安定性、ランプのガラス体及び供給ラインのポリマにおける良好な付着性、高い機械的なフレキシビリティ又は少なくともガラス体とほぼ同一の熱膨張係数及び十分に高い電気的な絶縁耐力である。空冷及び水冷の実現のために放電容器が流れ管路によって包囲されている気体放電ランプは、例えば特許文献5及び6から知られている。これらも連続動作において用いられる。
【0015】
電気的なシールは、シール材料自体と気体放電ランプのガラス体の間及びシール材料と供給ラインのポリマの間のリーク電流も阻止する必要があり、すなわち、上述の材料への気密な接続部を備える必要がある。特に気体放電ランプの光が大きなUV割合を有する場合に、気体放電ランプの光による電気的なシールの経年劣化が定期的に問題となる。その結果、電気的なシールは、使用中にその電気的な絶縁が失われ、これはリーク電流の発生に結びつく可能性があり、リーク電流は、最終的に気体放電ランプ及びランプが用いられる設備の別の構成要素の破壊をもたらす。
【0016】
当該劣化プロセスは、非常に迅速に、すなわち動作中に数分以内に進行することがある。当該プロセスは、様々な措置によって遅らせることはできるものの、防止あるいは満足に長く遅らせることはできない。一般的に、十分に高いUV安定性を有するポリマは存在しない。なぜなら、光子エネルギーはポリマにおける結合エネルギーよりもはるかに大きいためである。上述のように、電気的なシールについての全ての要求を満たす他の材料はこれまで発見されていない。
【0017】
石英ガラスと類似の膨張係数を有するセラミックの接着剤も限定的にしか適していない。なぜなら、当該接着剤は、フラッシュランプとしての気体放電ランプの動作においてガラスに対して表面における十分な耐熱衝撃性を有していない、すなわち動作中にセラミックのはがれに至るためである。そのほか、セラミックによって、供給ラインのポリマに対する気密な結合を永続的に保証することは困難である。定期的なランプ交換においてセラミックが収縮ホースに比して容易に切断され得ることが別の重要な態様である。したがって、ランプ交換時には、供給管路を新しくする必要がある。
【0018】
これまで、電気的なシールの上述の全ての要求を満足に満たす適切な材料を発見することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,032,758号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19640666号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10342801号明細書
【特許文献4】特開2017-216158号公報
【特許文献5】特開2009-26478号公報
【特許文献6】特開2010-67474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上述の従来技術を基礎として、上述の高い動作電圧について、電気的なシールについての要求を満たすことが可能な気体放電ランプを提供するという課題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
当該課題は、請求項1の主題において解決され、電気的なシールの電気的に絶縁された材料についてのこれまでの要求が気体放電ランプの構造形態の変更によって回避され、したがって、従来技術について説明した電気的なシールの問題が回避され、少なくとも低減され、気体放電ランプの寿命が大幅に延長されることが考慮されている。
【0022】
変更された構造形態により、とりわけハウジングにおけるランプの取付に関して別の利点につながっている。特に、変更された気体放電ランプは、個々の気体放電ランプ間の冒頭で述べたわずかな間隔を有するランプパネルにおける配置に適している。
【0023】
本発明による気体放電ランプは、1つ又は複数の電気的に絶縁された遮蔽部を含んでおり、当該遮蔽部は、1キロボルト、好ましくは10キロボルトよりも高く100キロボルトまでの電圧で動作される気体放電管の外側の構成部材を包囲している。遮蔽部は、第1の端部で放電容器に結合されているとともに、第1の端部とは反対側の第2の端部で開放されている。
【0024】
従来技術による導体の電気的に絶縁されたジャケット部とは異なり、遮蔽部は、少なくとも部分的に、包囲された、すなわち少なくとも電気的な導体の表面に対する間隔をもって形成されている。電気的な導体へ向いた遮蔽部の内側の表面と電気的な導体との間の間隔は、少なくとも各遮蔽部において、放電容器との遮蔽部の結合部に隣接する部分を形成している。オプションで、間隔は、遮蔽部の長さにわたってその第2の端部まで延びている。離間した遮蔽部の長さは、特に気体放電ランプの遮蔽されるべき構成部材の長さに基づき生じる。
【0025】
少なくとも1つの遮蔽部は、従来技術から知られた電気的なシールに代わるものであり、1つ又は複数の電極に高い動作電位がかかる気体放電ランプの放電容器の少なくとも一端あるいは両端に結合されている。以下に、気体放電ランプの1つのみの電気的にシールされるべき端部について本発明を説明する。類似のように、本発明は、2つの電気的なシールに応用可能である。
【0026】
気体放電ランプの放電容器は、紫外線範囲から赤外線範囲までの電磁ビーム(電磁放射線)についてのその高い透明性、小さな熱膨張係数及びこれに関連する高い耐熱衝撃性並びに高い電気的な絶縁耐力に基づき、現時点では一般的にガラス、特に石英ガラスで構成されている。当該特性により、石英ガラスは、特に上述の高い動作電圧、高い導光性能及びこれに伴うフラッシュランプで実現可能な急峻な温度勾配における使用に適している。しかし、本発明は、ガラス、特に石英ガラスに匹敵する、上記特性を有する透明で電気的に絶縁された材料を用いる気体放電ランプにも応用可能である。これは、例えばセラミックガラスにおける材料開発が進むにつれて将来的に利用可能となり得るこのような気体放電ランプについても当てはまる。
【0027】
本発明による電気的なシールは、選択される材料に基づき、電気的に絶縁されたジャケット部を実現する。本発明の構成に対応して、遮蔽部の材料は、本質的な成分として電気的に絶縁された固体を含む。しかし、遮蔽部及びその放電容器との結合部の材料はポリマを含まない。
【0028】
本質的な成分としてとしての電気的に絶縁された固体を含む材料は、ここでは、本質的で電気的な絶縁性を決定する成分が電気的に絶縁された固体であるこのような材料組成と理解されるべきである。これは、遮蔽部の製造又は例えば光学的な特性の調整及び維持に有用な技術的に起因する不純物又は技術的に起因する混合物を含み得ることを含んでいる。このような不純物又は技術的な混合物は、多くの場合は固体の10%未満の数%の範囲にある。
【0029】
特に、従来技術から知られた問題を回避することができるように、遮蔽部がポリマを含まないことが有利である。加えて、電気的な導体に対して離間した遮蔽部により、本発明の別の構成に対応して、電気的な導体もポリマジャケット部なしに用いられることが可能であることが許容される。
【0030】
例えば、遮蔽部及び放電容器は、同一の材料、例えば石英ガラス又は両構成部材に適した他の材料で構成されることが可能である。これにより、気体放電ランプの両構成部材の一体的な(統合された)形成が許容される。この場合、同一又は少なくともほぼ同一の膨張係数及び互いに結合される両材料の耐熱衝撃性も有利である。このことから、気体放電ランプの放電容器に関する将来の材料開発も遮蔽部のために利用することが可能である。
【0031】
遮蔽部は、放電容器の壁部を通して放電容器に配置されたアノードあるいはカソードへ延びている少なくとも電気的な導体を包囲する。
【0032】
電気的な導体が放電容器の外部で電気的な接触電極と結合されている限り、本発明の構成に対応して接触電極も遮蔽部によって包囲される。この場合、遮蔽部は、接触電極と、接触電極とは異なる電位を有する導電的な表面との間の絶縁して遮蔽された沿面距離(沿面区間)及び空隙の拡大のために電気的な接触電極の範囲を越えて広がる。
【0033】
すなわち、遮蔽部は、空隙のリーク電流又は衝突イオン化が生じる構成要素を包囲している(覆っている)。このような構成要素は、例えば、接触ソケット、覆われるか、又はオプションで接触ソケットにつづいて所定の部分にわたって絶縁されていない電気的なライン又は他の構成要素であり得る。遮蔽部は沿面距離及び空隙を延長するため、遮蔽部の範囲における従来の電気的なシールの形成を完全に、又は少なくとも部分的に省略することが可能である。この目的のために、とりわけ動作電圧によって設定される最小の沿面距離又は空隙に依存して遮蔽部の長さを自由に選択することが可能である。好ましくは、必要な最小沿面距離あるいは最小空隙は遮蔽部によって維持され、すなわち、遮蔽部の開放された第2の端部の突出は、動作パラメータにより期待される最小沿面距離及び最小空隙以上である。電気的なシールもオプションで使用可能であるが、当該電気的なシールについては、従来技術について説明した要求よりもわずかな要求であり得る。
【0034】
遮蔽部の開放された第2の端部により、接触ソケットは、気体放電ランプのための接続ラインの端部において遮蔽部の内部に位置する接触電極に容易に差し込まれることが可能である。これにより、定期的なランプ交換を非常に容易に行うことが可能である。
【0035】
沿面距離の更なる延長は、気体放電ランプの構成に対応して、遮蔽部の適切な構造化によって行われることが可能である。断面において見て、少なくとも遮蔽部の内側の表面には、遮蔽部によって包囲される空間へ突出し、したがって遮蔽部の内側の表面を拡大する三次元的で幾何学的な構造部を形成することが可能である。例えば、蛇行状又は他の表面推移が沿面距離の更なる延長に適している。これに代えて、及び同一の効果をもって、遮蔽部の壁部がこのような推移を有することが可能である。
【0036】
遮蔽部は、様々な構成に対応して気体放電ランプの円筒状のガラス管と一体的に形成されることができるか、又は当該ガラス管に結合されることが可能である。放電容器との遮蔽部の結合部が一体的に形成されていれば、遮蔽部は、放電容器の製造時に既に追加されることが可能である。このとき、同一の材料、例えば石英ガラスから成る遮蔽部の構成が有利である。互いに組み合わされる材料が十分に両立可能な(相性の良い)膨張特性を示す限り、遮蔽部の他の構成が可能である。結合が当該気体放電ランプ又は隣り合う気体放電ランプの光によって劣化又は破壊されない限り、同一の要件の下で他の、また後からの結合が可能である。
【0037】
遮蔽部は、好ましくは、オプションで接触電極が放電容器の円筒の主軸に位置し得る円筒状の管で構成されている。
【0038】
特に当該箇所にランプブラケット、光レフレクタ又は気体放電ランプの主軸近傍の他の構成部材を配置するために、遮蔽部は狭窄部を備えることが可能である。狭窄部は、気体放電ランプの放電容器の対応する端部での先細部に接続されることができるか、又は遮蔽部と放電容器の間の境界部を形成することが可能である。狭窄部のこのような位置には光レフレクタを配置することができ、当該光レフレクタは、壁部の低減された直径を密に包囲し、したがって、気体放電ランプの遮蔽部に位置する構成要素のその光からの最大限の保護を許容する。明らかに、光レフレクタに用いられる材料によっては、光レフレクタが放電容器の壁部及び/又は遮蔽部に対して周囲の隙間を有していれば有利であり得る。
【0039】
好ましくは、遮蔽部は、気体放電ランプの円筒状のガラス管の内径と同一、それより大きな、又はそれより小さな内径を有している。上記バリエーションに依存して、遮蔽部内の接触電極への良好なアクセス性又は必要空間の削減又は少ない手間で製造可能なコンパクトな気体放電ランプを提供可能である。気体放電ランプの応用の別の要件は、遮蔽部の形状にとって重要であり得る。
【0040】
遮蔽部は、気体放電ランプのガラス体とは反対のその第2の端部において開放されているか、又は閉鎖可能であってよい。閉鎖部は、気体放電ランプの被覆管への冷却媒体の導入のための、及び/電気的なラインの導通のための貫通路を備えることが可能である。加えて、遮蔽部の閉鎖部は、ランプブラケットを用いて形成されることが可能であり、当該ランプブラケットは、例えばハウジング又は複合的な装置において気体放電ランプを取り付けるのに適している。
【0041】
したがって、ランプブラケットは本質的に光源から離間していることができるため、ブラケットに対するポリマの使用時には、当該ブラケットは本質的にかなりわずかにしかUVビームにさらされず、及び/又は上述の光レフレクタのような保護装置を用いることが可能である。光レフレクタは、例えば気体放電容器の端部に配置されることが可能である。例えば、光レフレクタは、例えば遮蔽部の第1の端部に配置された遮蔽部の狭窄部に配置されることが可能である。
【0042】
接触電極から出る接続ラインは、好ましくは閉鎖された遮蔽部内にジャケット部を有さずに形成されることが可能である。特に、ポリマから成る電気的に絶縁される材料を省略することができ、したがって、接続ラインの寿命を延長することも可能である。
【0043】
従来の電気的なシールに代えて遮蔽部を形成することは、冷却液による気体放電ランプの冷却も補助するものである。なぜなら、遮蔽部は、接続ラインの周囲の体積、好ましくは接触電極の周囲の体積も閉鎖するように形成されることができるためである。
【0044】
このとき、間隔Aをもって放電容器を包囲し冷却媒体を導く流れ管路は、遮蔽部も含むため、中に含まれる電気的なラインと、場合によっては接続ラインと、両ラインを接続する接触電極とが冷却媒体において直接位置せず、したがって、当該範囲について電気的な絶縁も不要である。したがって、ポリマを絶縁のために用いる必要がないため、接触電極は、動作においてより高い温度を受けることが可能である。電気的な接続ラインは、閉鎖された遮蔽部の第2の端部から初めてポリマから成る絶縁性の材料を有する。このようにして、ポリマの使用部と光源との間の従来技術に比して大幅に拡大された間隔が達成される。より大きな間隔により、とりわけUV安定性又は耐熱性に関する材料についての要求が低減される。
【0045】
したがって、電気的なラインのジャケット部のほかに、遮蔽部を気密に、したがって水密に閉鎖する接続プレートも少なくとも1つのポリマ材料で構成されることが可能である。このような接続プレートは、電圧及び冷却媒体のような媒体のライン又は信号ラインの導通部のほかに、同時に、気体放電ランプ及び流れ管路のためのブラケットとしても用いられることが可能である。
【0046】
気体放電ランプの上述の利点により、当該気体放電ランプは、従来技術に比して低減された間隔をもって互いに対して配置されることが可能な2つ以上の気体放電ランプを含むランプパネルにおいて用いられるのに適している。直接隣り合うランプの内側の間隔Lは、ランプパネルの円筒状の放電容器の平均の外径のオーダーに、又は次により小さなオーダーにあり得る。平均の外径が所定の長さの単位の101のオーダーにあれば、隣り合う2つの放電容器の内側の間隔は、同一の長さの単位の1(=1×100)から99(=9.9×101)の範囲にあり得る。明らかに、ここでは、各構成及び用いられるべき気体放電ランプの配置についての通常の公差が加えられるべきである。
【0047】
本発明によれば、気体放電ランプは、上述の説明によるそれぞれ1つの遮蔽部をランプの少なくとも1つの端部に備えている。ランプパネルの平行性及び平面に関する状態は、例えば、気体放電ランプの放電容器の円筒軸線又は円筒状の壁部に基づいて設定されることが可能である。
【0048】
円筒状の放電容器の外径を決定するために、幾何形状を決定する円筒の部分が考慮される。上述の狭窄部のような局所的に限定されたくびれ部又は類似の延長部は考慮されないままである。平均の外径は、ランプパネルの気体放電ランプのこのように決定された全ての外径の平均に基づき得られる。
【0049】
一般的に、その測定単位を考慮して値の1桁分が「オーダー」と呼ばれる。したがって、例えば102mmのオーダーには、100~999mmの値を有する全ての長さが含まれ、上記限界値の10%以下のわずかな超過又は不足が含まれ得ることは、「オーダー」という用語の使用につきものである。
【0050】
当該気体放電ランプについての説明は、ランプパネルにおける、及び/又は上記可能性を有するその使用にも対応して適用可能である。気体放電ランプの利点は、対応して使用に関連している。
【0051】
そのため、本発明の別の態様は、上述の気体放電ランプの使用に関するものである。例えばガラス又は他の適切な材料からなる遮蔽部を用いた電気的なシールの構成と、光源の直近におけるポリマの回避又は少なくとも低減とにより、照明中に電圧が印加されるときに1~100キロボルトの範囲の高い電圧と、これによる高い光出力とを達成可能である。上記電圧値は、照射の開始時に電圧が取り得る最大値を指す。
【0052】
これには、本発明の別の一態様が関連している。本発明による気体放電ランプの上記特性及び利点により、特に、複数の気体放電ランプを、しかしそのうち少なくとも2つをランプパネルにおいて使用することが許容される。このようなランプパネルは、例えば部材の様々なフォーマットについて高い光線量で処理するのに適している。例えば、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の部材又はいわゆるLow-Eコーティングを有する建築用ガラス又はその他のもののような大きなフォーマットの複合部材も効果的かつ均一に処理可能である。半導体産業又は他の技術分野における他の用途についてもこのようなランプパネルを応用可能である。
【0053】
このような処理には、急峻な温度勾配及び隣り合う層の最小限の影響を有する材料の薄い境界層のみを達成可能なフラッシュランプがしばしば所望されている。本発明による気体放電ランプは、個別ランプとしても、またランプパネルにおいても、このような使用もサポートする。
【0054】
関連する図面に基づき、上述の特徴を明確に、しかしこれに限定せずに、例において説明する。当業者は、有益であり合理的であると思われる限り、本発明の上述の様々な構成における特徴と、後述の実施例において実現される特徴を更なる実施形態において組み合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】従来技術による気体放電ランプの構成の断面図である。
【
図2】
図1による空冷式の気体放電ランプの左半部の詳細な図示の一部である。
【
図3】
図1による水冷式の気体放電ランプの左半部の詳細な図示の一部である。
【
図4】ランプの両側に配置された電気的なシールを有する、本発明による気体放電ランプの構成を示す図である。
【
図5】光レフレクタと、ランプブラケットと、接続ラインとを有する
図4による空冷式の気体放電ランプの構成をランプの左端部の詳細な図において示す図である。
【
図6】光レフレクタと、ランプブラケットと、接続ラインと、水冷部とを有する
図4による気体放電ランプの別の構成をランプの左端部の詳細な図において示す図である。
【
図7】
図4の気体放電ランプに基づく気体放電ランプを示す図である。
【
図8】
図4による複数の気体放電ランプが1つの平面に配置されたランプパネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面には、本発明を説明するために必要な程度に概略的にのみ装置が示されている。図面は、完全性又は規模(縮尺)についての要求を課すものではない。
【0057】
同一の符号で示される構成要素は、同一の機能を実施する。
【0058】
以下に説明する全ての図面は、回転対称の部材の断面を示し、回転軸線は、紙面において水平である。
【0059】
図1には、円筒状の放電容器01、例えば石英ガラスから成るガラス体で構成された気体放電ランプの従来技術についての一例が示されている。放電容器01の中空空間は、貴ガス、例えばキセノンで満たされている。放電容器01の中空空間では、各端部においてそれぞれ1つの電極02’,02”、例えば気体放電ランプのアノードあるいはカソードを表す2つのタングステン電極が配置されている。電極02’,02”間では、気体放電ランプの実際の光源としてのアーク長06が延在している。気体で満たされた空間の外部には、気体放電ランプの両側の電気的な接触のための2つの接触電極03’,03”と、例えばタングステンから成り接触電極03’,03”との電極02’,02”の接続に用いられる2つのロッド状の導体04’,04”とが配置されている。放電容器01の熱膨張係数と電気的な導体04’,04”の熱膨張係数の間の値である熱膨張係数を有する2つの移行ガラス05’,05”により、放電容器01の中空空間への電流通過が可能となる。図示の場合では、移行ガラス05は、放電容器01の内部範囲に配置されている。ガラス円筒の小さな直径、例えば16mm未満の直径を有する気体放電ランプにおいては、移行ガラスは、ランプの光出力及び用途に重大な影響を与えることなく、しばしば外部範囲に設けられる。
【0060】
図2には、抜粋において、
図1による気体放電ランプの左半部の詳細な図示が示されており、右半部は、鏡面対称な構造を有している。単に鏡面対称な図示の明確化のために、対応する鏡像状の構成要素が図面に図示されていない場合にも、図示の符号はダッシュ「’」を有している。
【0061】
このとき、中空空間における電極02’,02”の形状及びそのドーピングは異なっていてよい。例えば、カソードは電子のより容易な放出のためにより高いドーピングを有している。実際には、非対称な、又は円筒形状とは異なる構造が生じるが、当該構造は、用いられる材料とは特に異なるものではない。
【0062】
図1における図示に補足して、
図2は気体放電ランプの別の構成要素が図示されている。当該別の構成要素は、ポリマ、例えばシリコンで包囲された電気的な接続ライン11’と、接触電極03’にはめ込まれる電気的な接触ソケット12’と、不図示のハウジングで気体放電ランプを固定するために用いられる、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成るランプブラケット14’と、アーク長06の光を反射させるという機能のほかに、例えばランプブラケット又はハウジングの他の部材又は電気的な供給ラインをUVビーム又は過熱から保護するような別の役割を有し得る光レフレクタ15’である。
【0063】
接続ライン11’,11”のポリマと気体放電ランプのガラス体01の間の電気的なシール13’,13”は、例えば、気密な結合のための内側に位置する接着部を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る収縮ホースである。また、他の気密で電気的に絶縁された電気的なシールも使用可能である。
【0064】
特に、光レフレクタ15’,15”は気体放電ランプのガラス体をこれに接触することなくできる限り密に包囲するため、
図2における構成要素の配置は、従来技術による空冷式の気体放電ランプについて典型的なものである。これにより、光、特にUVビームでの部材、特に用いられるポリマの曝露が最小化される。
【0065】
図3には、気体放電ランプの水冷のために修正された構造が示されている。このために、多くの場合には、フローチューブとも呼ばれ例えば石英ガラスから成る流れ管路20が用いられ、当該流れ管路を通して高度に純化され脱イオン化された水が圧送される。流れ管路20における気体放電ランプの心合わせはランプブラケット14’,14”によって行われ、当該ランプブラケットは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成り例えば冷却水の流れ(矢印で示され、その方向は単に例示的であり、これに制限されずに図示されている)のための貫通孔のような適切な貫通路16’,16”を備えている。本実施例では、光レフレクタ15’,15”は流れ管路20の外側に配置されている。
【0066】
図1~
図3による気体放電ランプは、従来技術による一実施例を示している。様々な構成部材は、同一の機能において、例えば幾何形状において、材料において、空間的な配置又は別の構成部材若しくは他の詳細との協働において、異なるように構成されることが可能である。
【0067】
従来技術を反映した以上の全ての図では、光レフレクタ15’,15”又はランプブラケット14’,14”による遮光にもかかわらず、気体放電ランプによって生成される光の大部分が電気的なシール12’,12”に、しかも少なくとも電気的なシール12’,12”が気体放電ランプの放電容器01と接触する面に入射する。1つの結果は、電気的なシール12’,12”の接着の上述のはがれ並びに最終的には電気的なフラッシュオーバー(アーク)あるいは気体放電ランプの破壊につながる、リーク電流の形成及び進行する拡大である。冒頭で従来技術について説明したように、移行ガラス05’,05”もいくつかの用途においてのみ気体放電ランプの寿命を延長する。
【0068】
図4には、円筒状の放電容器01内に一般的な構成要素を有する本発明による気体放電ランプが示されている。当該構成要素は、アーク長を生成し維持するためのタングステンから成る2つの電極02’,02”と、電気的な導体04’,04”を用いたその電気的な接続部と、移行ガラス05’,05”を用いた放電容器01の壁部を通る電気的な導体04’,04”の貫通部である。ガラスから成る遮蔽部30’,30”への放電容器01の移行部は、本実施例では、両側で狭窄部34’,34”によって形成されている。上述の材料特性が保証され得る限り、遮蔽部30’,30”の材料は、放電容器01の材料に対応し得るか、又は少なくとも個々の成分においてこれとは異なり得る。
【0069】
気体放電ランプは、放電容器01の両端部において、それぞれ1つの電気的に絶縁されそこでの接触電極03’,03”を包囲する遮蔽部30’,30”を含んでいる。遮蔽部30’,30”は、その第1の端部32’,32”において放電容器01と一体的に結合されているとともに、反対側の第2の端部33’,33”では開放されている。遮蔽部は、そこでは接触電極03’,03”を越えて突出している。
【0070】
遮蔽部30’,30”の配置及び長さにより、接触電極03’、03”も、またこれにつづくべき電極03’,03”の電気的な供給ラインの一部も遮蔽部30’,30”によって包囲されている。加えて、気体放電ランプの接続ライン11’,11”の一部も包囲されることが可能である。
【0071】
しかし、
図4における遮蔽部30’,30”は、例示的なものであって、円筒状のガラス管延長部として原適して形成されているわけではないとともに、気体放電ランプの製造時に既に付け加えられることが可能である。補足して、開放して示される遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”を閉鎖することが可能である。
【0072】
図4に図示される遮蔽部30’,30”の直径は、タングステン電極02’,02”間の形状を特徴付ける部分において放電容器01の円筒に対応する。しかし、原則的には、各直径は、気体放電ランプの動作パラメータを変更することなく特定の要求に依存し得る。同様に、表面構造を有するか、又は表面構造を有さない遮蔽部30’,30”の長さあるいは接触電極32’,32”の端部を越える遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”の内側の突出部31’,31”は、上述のように自由に選択されることが可能である。
【0073】
従来技術から知られた光レフレクタ及びランプブラケットを有する形成当同様に、
図5による実施形態はこれら構成部材を備えている。
図5には、光レフレクタ15’,15”及びランプブラケット14’,14”を有する
図4による気体放電ランプの一構成が示されている。
【0074】
プレート状の光レフレクタ15’,15”は、一体的に形成された放電容器01のガラス管と遮蔽部30’,30”の間の狭窄部34’,34”においてアーク長06の光から放電容器01の外部にある構成要素を最適に保護するために配置されているとともに、径方向に延在している。
【0075】
同様にプレート状のランプブラケット14’,14”は、遮蔽部30’,30”の第2の端部33’,33”に取り付けられることができ、そこでは、光レフレクタ15’,15”によって気体放電ランプの有害なビームから保護されている。ランプブラケットは、ハウジング(不図示)における気体放電ランプの保持に寄与する。このとき、ランプブラケットは、気体放電ランプの空冷に使用可能なハウジング壁部に対する間隔を形成することが可能である。
【0076】
図4による気体放電ランプの別の一実施例では、気体放電ランプが水冷されている(
図6)。この目的のために、気体放電ランプは流れ管路20に配置されている。放電容器01の両側に配置されたそれぞれ1つのランプブラケット14’,14”は、流れ管路20を閉鎖するとともに、放電容器01に対して、ひいてはガラス管延長部として形成される遮蔽部30,30”に対して間隔をもって当該流れ管路を保持する。流れ管路20のように、遮蔽部はランプブラケット14’,14”において終わって(途切れて)いるため、ランプブラケット14’,14”は遮蔽部30’,30”も閉鎖する。
【0077】
ランプブラケット14’,14”は、気体放電ランプの接続ライン11’,11”を遮蔽部30’,30”へ及び接触電極03’,03”へ向けて導通させるための適切な貫通路16’,16”を備えている。遮蔽部30’,30”の外部に位置する別の貫通路16’,16”は、例えば水若しくは空気又は他の適切な流体のような適切な冷却媒体(矢印で図示)の供給及び排出に寄与する。
【0078】
接続プレート14’,14”による遮蔽部30’,30”の閉鎖により、接触電極03’,03”及びこれに接続されるライン04’,04”,11’,11”は冷却媒体と接触しないため、これらライン04’,04”,11’,11”は、絶縁性のジャケットなしに、特にポリマから成るこのようなジャケットなしに使用可能である。覆われていないか、又は異なるように覆われた当該接続ラインの部分は、区別のために符号17’,17”で示されている。
【0079】
放電容器01の側ごとの光レフレクタ15’,15”は、オプションで、狭窄部34’,34”の範囲における流れ管路20の外部に配置されている。
【0080】
図7には、
図4の気体放電ランプに基づく気体放電ランプが示されている。両ランプは、遮蔽部30’,30”の壁部の構成によって異なっている。遮蔽部は、当該遮蔽部30’,30”の上面、特に内側の表面が拡大するように、第2の端部33’,33”から第2の端部32’,32”の近傍まで蛇行状に形成されている。
【0081】
図8には、
図4による複数の気体放電ランプが1つの平面、ここでは紙面において隣り合ってかつ互いに対して平行に配置されたランプパネル(ランプフィールド)が図示されている。放電容器01の壁部間で測定したその互いに対する内側の間隔Lは、ランプパネルの円筒状の放電容器の均一な外径の次により小さいオーダーにある。ランプパネルの気体放電ランプの構成については、
図4についての説明が参照される。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.電磁ビームについて少なくとも可視範囲において透光性の閉鎖された放電容器(01)であって、その中空空間が気体で満たされた前記放電容器(01)と、それぞれ該放電容器(01)の一端及び該放電容器(01)の内部に配置された、気体放電を生成する2つの電極(02’,02”)と、前記放電容器(01)の壁部におけるそれぞれ1つの貫通路を貫通してそれぞれ1つの前記電極(02’,02”)の電気的な接触のための2つの電気的な導体(04’,04”)と、前記放電容器の前記壁部に隣接する前記電気的な導体(04’,04”)の外側の部分を電気的に絶縁して包囲し、以下では電気的なシール(13’,13”)とも呼ばれる少なくとも1つのシールとを含む気体放電ランプにおいて、
少なくとも1つの前記電気的なシール(13’,13”)が電気的に絶縁性の遮蔽部(30’,30”)によって形成されており、該遮蔽部が、前記放電容器(01)へ向いた前記遮蔽部(30’,30”)の第1の端部が前記放電容器に気密に結合されており、前記第1の端部とは反対側の第2の端部が開放されているように、前記電気的な導体(04’,04”)の上述の外側の部分を前記電気的な導体(04’,04”)に対して少なくとも部分的に存在する間隔をもって包囲することを特徴とする気体放電ランプ。
2.前記遮蔽部(30’,30”)の材料が、本質的な成分としての電気的に絶縁性の固体を含んでおり、前記遮蔽部(30’,30”)の材料及びその前記放電容器(01)との接続部がポリマを含んでいないことを特徴とする上記1.に記載の気体放電ランプ。
3.電気的な接続ライン(11’,11”)が、前記遮蔽部(30’,30”)内でポリマから成る電気的に絶縁性の材料を有さないことを特徴とする上記1.又は2.に記載の気体放電ランプ。
4.前記気体放電ランプが該気体放電ランプの電気的な接触のための2つの接触電極(03’,03”)を更に含んでおり、該接触電極が、それぞれ前記放電容器の端部及び外部に配置されていること、及び各遮蔽部(30’,30”)が対応する前記接触電極(03’,03”)を越えて突出する長さを有していることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
5.少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)の内面が、その第1の端部(32’32”)と第2の端部(33’,33”)の間で、両端部(32’,32”,33’,33”)間の表面長さを拡大する三次元的に形成された幾何学的な構造部を有していることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
6.少なくとも1つの遮蔽部(30’,30”)が、円筒状に、及び/又は前記放電容器(01)に対して同軸に、及び/又は前記放電容器(01)と一体的に、及び/又は前記放電容器(01)に少なくとも隣接して前記放電容器(01)と同一の材料で形成されており、及び/又は前記第1の端部(32’,32”)に、若しくは前記第1の端部(32’,32”)と前記第2の端部(33’,33”)の間に狭窄部(34’,34”)を備えていることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
7.1つの遮蔽部(30’,30”)の開放された前記第2の端部(33’,33”)が閉鎖可能に形成されており、閉鎖部が電気的な導体のための導通部を備えていることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
8.前記気体放電ランプが、ランプブラケット(14’,14”)及び/又は光レフレクタ(15’,15”)を備えており、前記ランプブラケット(14’,14”)が前記遮蔽部(30’,30”)に配置されていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
9.前記気体放電ランプが、前記放電容器(01)を径方向の間隔Aで包囲する流れ管路(20)を備えており、該流れ管路が、両側でそれぞれ1つの接続プレート(18’,18”)で閉鎖されているか、又は閉鎖可能であり、各接続プレート(18’,18”)が、流れ媒体及び前記気体放電ランプの電気的な接続ライン(17’,17”)のための貫通路(16’,16”)を備えていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の気体放電ランプ。
10.前記接続プレート(18’,18”)が、前記気体放電ランプのための、及び/又は前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)のための、及び/又は前記流れ管路(20)のためのブラケットとして形成されていることを特徴とする上記9.に記載の気体放電ランプ。
11.前記遮蔽部(30’,30”)の前記第2の端部(33’,33”)が、前記流れ媒体に対して密に前記接続プレート(18’,18”)と結合されているか、又は結合可能であることを特徴とする上記9.又は10.に記載の気体放電ランプ。
12.少なくとも2つの気体放電ランプを含むランプパネルであって、前記気体放電ランプが、1つの平面において、かつ、互いに対して平行に位置して、内側の間隔Lをもって配置されている前記ランプパネルにおいて、
前記気体放電ランプが上記1.~11.のいずれか1つに従って形成されており、前記間隔Lが、前記気体放電ランプの円筒状の前記放電容器(01)の平均外径のオーダー又は次により小さなオーダーにあることを特徴とするランプパネル。
13.最大値が1~100キロボルトの操作中に印加される電圧で、及び/又は1~100kW/cm
2
の操作中に放射される光出力で基層を照射するための、請求項1~11のいずれか1項に従い形成された気体放電ランプの使用。
14.複合部材を照射するための、少なくとも2つの気体放電ランプを含み上記12.に従って形成されたランプパネルの使用であって、前記複合材料が、光起電モジュール、ディスプレイ又は「集光型太陽熱発電」の分野の構成要素又はコーティングされた建築用ガラスであることを特徴とする使用。
15.少なくとも1つの気体放電ランプがフラッシュランプとして動作されることを特徴とする上記13.又は14.に記載の、少なくとも1つの気体放電ランプの使用。
【符号の説明】
【0082】
01 放電容器
02’,02” 電極
03’,03” 接触電極
04’,04” 導体
05’,05” 移行ガラス
06 アーク長
11’,11” 接続ライン
12’,12” 接触ソケット
13’,13” 電気的なシール
14’,14” ランプブラケット
15’,15” 光レフレクタ
16’,16” 貫通路
17’,17” 接続ライン
18’,18” 接続プレート
20 流れ管路
30’,30” 遮蔽部
31’,31” 内側の突出部
32’,32” 第1の端部
33’,33” 第2の端部
34’,34” 狭窄部
A 放電容器と流れ管路の間の間隔
L 2つの気体放電ランプ間の内側の間隔
【国際調査報告】