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特表2024-545955電子部品用ヒートパイプ付きヒートシンクおよび対応するアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-16
(54)【発明の名称】電子部品用ヒートパイプ付きヒートシンクおよび対応するアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20241209BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01L23/46 B
H05K7/20 R
H05K7/20 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534326
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 DE2022100955
(87)【国際公開番号】W WO2023134815
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022100756.1
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Auf dem Stuetzelberg,35745 Herborn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カショ アロンゾ,ユアン カルロス
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB03
5E322DB08
5E322EA11
5E322FA04
5F136BA02
5F136CA06
5F136CC13
5F136CC16
5F136CC20
5F136CC22
5F136DA44
(57)【要約】
本発明は、電子部品(100)用のヒートシンク(1)に関するものであり、ヒートシンク(1)は空気熱交換器(2)を有し、空気熱交換器(2)には空気熱交換器(2)を通る空気ダクト(5)を区切る複数のフィン(3、4)が設けられ、フィン(3、4)は少なくとも部分的にヒートパイプ(6)の形態をしていることを特徴とする。さらに、対応するアセンブリが記載されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(100)用のヒートシンク(1)であって、ヒートシンク(1)は空気熱交換器(2)を有し、空気熱交換器(2)には空気熱交換器(2)を通る空気ダクト(5)を区切る複数のフィン(3、4)が設けられ、フィン(3、4)は少なくとも部分的にヒートパイプ(6)の形態をしていることを特徴とするヒートシンク(1)。
【請求項2】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3、4)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の作動媒体(8)が案内される少なくとも1つの垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)を有する、請求項1に記載のヒートシンク(1)。
【請求項3】
空気熱交換器(2)は、好ましくは順方向流および逆方向流がなく、密閉された作動媒体(8)の容積を有するマイクロチャネル熱交換器である、請求項1または2に記載のヒートシンク(1)。
【請求項4】
マイクロチャネル熱交換器のマイクロチャネル(7)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の1つである請求項3に記載のヒートシンク(1)。
【請求項5】
マイクロチャネル熱交換器は蒸発ゾーン(10)を有し、蒸発ゾーン(10)の中にマイクロチャネル(7)の第1の端部が開口し、蒸発ゾーン(10)を介してマイクロチャネル(7)が互いに流体的に接続される、請求項3または4に記載のヒートシンク(1)。
【請求項6】
蒸発ゾーン(10)は、冷却される電子部品(100)にヒートシンク(1)を取り付けるためのヒートシンク(1)の取り付け面(9)と熱的に接触する、請求項5に記載のヒートシンク(1)。
【請求項7】
マイクロチャネル熱交換器は空洞(11)を有し、空洞(11)の中にマイクロチャネル(7)が、第1の端部の反対側に配置された第2の端部を開口する、請求項3~6のいずれかに記載のヒートシンク(1)。
【請求項8】
マイクロチャネル熱交換器は、ヒートパイプ(6)として形成されたフィン(3)に加えて、互いに実質的に平行に延び、互いに間隔をあけ、ヒートパイプ(6)として形成されたフィン(3)に対して実質的に垂直に延びるさらなるフィン(4)を有する、請求項3~7のいずれかに記載のヒートシンク(1)。
【請求項9】
さらなるフィン(4)は熱伝導性材料で作られた中実のフィンの形態であり、ヒートパイプ(6)の形態の隣接するフィン(3)は、複数のさらなるフィン(4)を介して互いに熱的に結合される、請求項8に記載のヒートシンク(1)。
【請求項10】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)は、互いに平行に延び、互いの間隔が10mm未満、好ましくは8mm未満、特に好ましくは6mm未満である、請求項1~9のいずれかに記載のヒートシンク。
【請求項11】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)の長手方向に互いに前後して配置された複数の垂直かつ平行なマイクロチャネル(7)を有する、請求項1~10のいずれかに記載のヒートシンク(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の少なくとも1つのヒートシンク(1)と電子部品(100)とを含むアセンブリであって、ヒートシンク(1)は電子部品(100)と熱的に接触して配置され、ヒートパイプ(6)は少なくとも部分的に電子部品(100)に対して垂直かつ直交する方向に延びる垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)を有する、アセンブリ。
【請求項13】
ヒートシンク(1)は、ヒートパイプ(6)の蒸発ゾーン(10)の熱結合側であるヒートシンク(1)の取り付け面を介して電子部品(100)と熱的に接触する、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
ヒートシンク(1)は、蒸発ゾーン(10)の反対側の外側に、ヒートパイプ(6)の垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)が開口する空洞(11)を有する、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
気流発生器(12)、好ましくはファンを備え、気流発生器によって空気が空気伝導チャネル(5)を通して輸送され、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3、4)の周囲に空気が流れる、請求項12~14のいずれかに記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用のヒートシンクに基づいており、このヒートシンクは、空気熱交換器を通る空気ダクトの境界を定める複数のフィンを備えた空気熱交換器を有する。このようなヒートシンクは、ドイツ特許公報10 2004 023 037 B4に記載されている。
【背景技術】
【0002】
IT部品やインバータなどの電子部品の電力密度が増加し、マイクロチップ(CPU、GPU)の計算能力が増加すると、発熱も増加する。これまで使用されてきた空気熱交換器はアルミニウムブロックの形態であることが多く、したがって放散能力が限られている。例えばマイクロチップ技術の分野におけるさらなる開発により、チップあたり最大400ワットのチップ電力が可能になる。電力密度の増加により、既知の空気熱交換器は、結果として生じる電力損失を十分な程度に放散するのにもはや適していない。「直接チップ冷却」などの新しい冷却技術により、部品を効果的に冷却できるが、これらの技術は、例えばCPUやGPUに統合された空気熱交換器に比べて大幅に複雑で、故障に対する耐性が比較的低くなる。銅管およびアルミニウムフィンをベースとする従来技術から知られているヒートパイプもまた、限られた冷却能力しか有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、可能な限り高い冷却電力密度を有するような空気熱交換器を備えたヒートシンクをさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を備えたヒートシンクによって達成される。独立請求項12は、対応するアセンブリに関する。有利な実施形態はそれぞれ従属請求項の主題である。
【0005】
したがって、ヒートシンクには、空気熱交換器のフィンが少なくとも部分的にヒートパイプの形態となるように設けられる。ヒートパイプの使用により、電力損失が空気熱交換器の体積全体に効率的に分散され、その結果、空気熱交換器を流れる空気への熱交換が向上し、その結果、空気熱交換器を流れる空気との熱交換が改善され、ヒートシンクの効率が向上する。
【0006】
ヒートパイプの形態のフィンは、それぞれ、ヒートパイプの作動媒体が案内される少なくとも1つの垂直中空導体またはマイクロチャネルを有することができる。したがって、フィンは、媒体案内用の中空のフィンの形態であってもよい。中空のフィンは、空気熱交換器の下部領域の蒸発ゾーンと空気熱交換器の上部領域の空洞との間に形成され、後者に開口することができる。好ましくは、ヒートパイプまたはフィンは、互いに平行に延びることができる。したがって、中空のフィンの形態のフィンは、蒸発ゾーンの媒体容積を空洞に流体接続することができ、すべてのヒートパイプは、蒸発ゾーンおよび空洞を介して互いに流体接続することができる。
【0007】
空気熱交換器は、好ましくは順方向流および逆方向流がなく、密閉された作動媒体の容積を有するマイクロチャネル熱交換器であってもよい。空気熱交換器は、例えば、市販のマイクロチャネル熱交換器の場合、マイクロチャネル熱交換器が作動媒体、例えば2相冷媒で満たされた後、存在する可能性のある順方向流および逆方向流が閉じられ、作動媒体が閉じられたマイクロチャネル熱交換器内に密閉されるようにすることによって提供されてもよい。
【0008】
マイクロチャネル熱交換器は、それぞれがヒートパイプの1つを形成する複数のマイクロチャネルを備えることができる。マイクロチャネルは、蒸発ゾーンと、場合によっては上部空洞によって互いに接続されてもよい。これにより、すべてのマイクロチャネルにわたる電力損失の分散が改善され、その結果、放熱能力が向上する。これは、電子部品のホットスポットを回避することにも役立つ。さらに、電子部品とヒートシンクの接触面積を超えて損失面積が大幅に増加する可能性がある。
【0009】
好ましくは、マイクロチャネル熱交換器の複数のマイクロチャネルの各マイクロチャネルは、それぞれの場合においてヒートパイプの1つを形成する。
【0010】
マイクロチャネル熱交換器は、蒸発ゾーンを有することができ、その中にマイクロチャネルの第1の端部が開口し、そこを介してマイクロチャネルが互いに流体的に接続されてもよい。蒸発ゾーンは、マイクロチャネルによって形成されるヒートパイプの作動媒体の貯蔵庫となり得る。
【0011】
蒸発ゾーンは、冷却される電子部品にヒートシンクを取り付けるためのヒートシンクの取り付け面と直接または間接的に熱的に接触することができる。好ましくは、ヒートシンクの取り付け面とヒートシンクの他の構成要素、特にヒートシンクのヒートパイプ、例えばヒートパイプを提供するマイクロチャネル熱交換器は、一体型に形成され、好ましくは同じ材料から形成される。このようなヒートシンクは、例えば、ビルドアップ溶接などの付加製造法を用いて製造することができる。一体型の性質により、取り付け面とヒートパイプとの間、または取り付け面とヒートパイプの蒸発ゾーンとの間の熱伝達が最適になる。適切な材料は、アルミニウムまたはアルミニウム含有合金である。
【0012】
マイクロチャネル熱交換器は、空洞を有することができ、その中にマイクロチャネルが、第1の端部の反対側に配置された第2の端部を開口してもよい。空洞は、ヒートパイプの凝縮ゾーンの構成要素となり得る。しかし、機能上、凝縮は、空気が空気熱交換器を通過することによってヒートパイプの形態のフィンに沿って起こるため、ヒートシンクは、従来技術で既知のヒートパイプ配置で知られているような、別個の凝縮ゾーンを必要としない。したがって、空洞は、特に、ヒートパイプ間の流体交換を行い、その結果、ヒートシンクの体積全体にわたって冷却負荷をより適切に分散させることによってヒートシンクの効率を最適化するために、複数のヒートパイプの第2の端部を互いに接続するという機能を有することができる。
【0013】
好ましい実施形態では、マイクロチャネル熱交換器は、ヒートパイプの形態のフィンに加えて、互いに実質的に平行に延び、互いに間隔をあけ、ヒートパイプの形態のフィンに対して実質的に垂直に延びるさらなるフィンを有する。設置状況では、ヒートパイプの形態のフィンは、ヒートパイプの最適な機能を確保するために、垂直、または実質的に垂直、または少なくとも部分的に垂直に配向される。したがって、好ましい実施形態で追加的に存在するさらなるフィンは、設置状況で実質的に水平に配向されてもよい。さらなるフィンは、実質的に2つの機能を有することができる。第1に、フィンはヒートパイプ間の熱伝達に役立ち、その結果、必要な冷却負荷がヒートシンクの体積全体にわたってより適切に分散されるか、または冷却される電子部品の局所的な電力損失が最適な方法で放散されることによって、ヒートシンクの効率を高めることに役立つ。第2に、さらなるフィンは、ヒートシンクとヒートシンクを流れる空気との間、特にヒートパイプとヒートシンクを流れる空気との間の熱伝達のための追加の表面を形成する。
【0014】
したがって、さらなるフィンは、熱伝導性材料で作られた中実のフィンの形態とすることができ、ヒートパイプの形態の隣接するフィンは、複数のさらなるフィンを介して互いに熱的に結合される。
【0015】
ヒートパイプの形態のフィンは、互いに平行に延びることができ、互いの間隔が10mm未満、好ましくは8mm未満、特に好ましくは6mm未満である。
【0016】
ヒートパイプの形態のフィンは、それぞれ、ヒートパイプの形態のフィンの長手方向に互いに前後して配置された複数の垂直かつ平行なマイクロチャネルを有することができる。ヒートパイプを形成するための垂直に配向されたフィンについてここで言及される場合、電子部品上でのヒートシンクの設置状況がここで説明されるが、ヒートパイプの効率を可能な限り最大にするために、ヒートパイプが垂直に配向されるようにヒートシンクが配向されることが好ましい。この目的のために、例えば、ヒートパイプが、冷却される電子部品上にヒートシンクが取り付けられる取り付け面に対して垂直に延びることが必要である場合がある。この目的のために、CPUの場合にすべて慣用されているように、例えば、実質的に水平な固定面を有してもよく、これを介してヒートシンクが取り付けられてもよく、電子部品が周囲にその電力損失を放散する。
【0017】
ヒートパイプの形態のフィンはそれぞれ、ヒートパイプの形態のフィンの長手方向に前後して配置された複数の垂直かつ平行なマイクロチャネルを有することができる。
【0018】
別の態様によれば、少なくとも1つの上記タイプのヒートシンクと電子部品とを含むアセンブリが記載され、ヒートシンクは電子部品に熱的に接触して配置される。この場合、ヒートパイプは垂直中空導体またはマイクロチャネルの形態であるか、またはそのような垂直中空導体またはマイクロチャネルを有する。垂直中空導体またはマイクロチャネルは、ヒートパイプの最適な機能を確保するために、少なくとも部分的に垂直に延びてもよい。ヒートパイプは、垂直に対して角度をつけて配置されてもよく、この場合、ヒートパイプの機能は、蒸発ゾーンと上端、例えば凝縮ゾーンとの間の高さの差が減少するにつれて低下する。同様に、ヒートパイプは、電子部品からの熱の放散を最適化するために、冷却される電子部品に対して実質的に垂直に延びるべきである。
【0019】
ヒートシンクは、ヒートパイプの蒸発ゾーンの熱結合側である場合があるヒートシンクの取り付け面を介して電子部品と熱的に接触することができる。
【0020】
ヒートシンクは、蒸発ゾーンの反対側の外側に、ヒートパイプの垂直中空導体またはマイクロチャネルが開口する空洞を有し、これにより、ヒートパイプ間の流体遷移が空洞を介して提供されてもよい。
【0021】
さらに、アセンブリは、例えばファンなどの気流発生器を備え、これにより空気が空気伝導チャネルを通して輸送され、ヒートパイプの形態のフィンの周囲に空気が流れてもよい。ファンは、例えばラジアルファンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のさらなる詳細は、以下の図を参照して説明される。
図1】ヒートシンクの例示的な実施形態を示す部分断面斜視図である。
図2図1の実施形態を示す水平断面図である。
図3】ヒートシンクとIT部品を含む本発明によるアセンブリの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2は、本発明によるヒートシンク1の第1の実施形態を示す。ヒートシンク1は、一体型で提供されることができ、例えば、ビルドアップ溶接などの付加製造法で、熱伝導性材料、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金から構築されることができる。従来技術から知られている付加製造法は、図1によるヒートシンク1の実施形態の実質的な構成要素であるマイクロチャネル熱交換器のような微細構造を形成するのに特に適している。
【0024】
したがって、ヒートシンク1は、従来技術で知られているIT部品用のヒートシンクの場合に原理的に知られているように、空気熱交換器2を通る空気ダクト5を区切る複数のフィン3、4を備えた空気熱交換器2を備えている。本発明によるヒートシンクは、フィン3、4が少なくとも部分的にヒートパイプ6の形態になっていることを特徴とする。この場合、図では垂直になっているフィン3は、ヒートパイプ6の作動媒体8が案内される中空導体またはマイクロチャネル7の形態になっている。ベース領域において、ヒートシンク1は取り付け面9を備えており、これを介してヒートシンク1を冷却対象のIT部品(図示せず、図3のIT部品100を参照)に取り付けることができる。冷却対象のIT部品によって放散される電力損失を、取り付け面9を介してヒートパイプ6の蒸発ゾーン10に直接結合することができる。すべてのヒートパイプ6は蒸発ゾーンを介して互いに流体接続されており、それによって、冷却対象のIT部品の形状と設計に依存するなどして取り付け面への熱結合が局所的に発生する場合でも、取り付け面9または蒸発ゾーン10にわたる電力損失の最適な分散が行われ、したがってヒートパイプ6は均等にまたはほぼ同じように作用し、結果として電力損失の放散に貢献することができる。
【0025】
中空導体またはマイクロチャネル7の形態のフィン3は、実質的に垂直に配向され、互いに平行に離間しており、垂直フィン3の間隔を10mm未満にすることができる。垂直フィン3およびヒートパイプの充填密度が高いため、ヒートシンク1の構造容積が比較的小さい場合でも、高い冷却能力が得られる。隣接する垂直フィン3は、さらなる水平に配向された中実のフィン4を介して互いに接続されており、垂直フィン3およびさらなる水平フィン4の両方の熱伝導性が良好であるため、ヒートシンク1を通過する空気流の場合、ヒートパイプと空気流との間で最適な熱交換を行うことができる。したがって、水平フィン4は、熱伝達を有効にする空気とヒートシンク1との間の有効表面積を増加させるだけでなく、ヒートパイプ間の熱伝達および負荷均等化にも役立つ。
【0026】
ヒートシンク1の上部水平外側には、ヒートシンク1の取り付け面9の反対側に配設された空洞11が形成されており、これを介して蒸発ゾーン10の反対側のヒートパイプ6の端部が互いに流体接続され、その結果、ヒートパイプ6の凝縮ゾーンの領域におけるヒートパイプ6間の流体遷移も提供される。原則として、この空洞11、特にヒートパイプ6を互いに接続する凝縮ゾーンは、必ずしも必要ではない。これは、ヒートパイプ6が垂直フィン3内にマイクロチャネルとして形成されているため、ヒートシンク1を通過する空気流によってヒートパイプ6がその全長にわたって作用され、したがって、実質的にその垂直長さ全体にわたって分布した凝縮ゾーンを有するという事実と関連している。
【0027】
図2は、ヒートシンク1、特にその空気熱交換器2が、マイクロチャネル熱交換器の原理に従って形成され、ヒートシンク1の全深さにわたって熱交換器を通る空気流方向に延びる垂直フィン3が、それぞれがヒートパイプを形成する複数の直接隣接しているが流体的に相互に分離したマイクロチャネル7を有し、各フィン3が実際に複数のヒートパイプを有することを示している。
【0028】
図3の実施形態は、冷却されるIT部品100、例えばCPUチップセットに、その取り付け面9を介して取り付けられるヒートシンク1のさらなる実施形態を含むアセンブリを示す。ラジアルファン12は、矢印の方向にヒートシンク1を通過する空気量の流れを生成するように構成される。ラジアルファン12は、取り付けフランジ13を介して空気熱交換器2に取り付けられてもよい。
【0029】
上記の説明、図面、および請求の範囲に開示された本発明の特徴は、本発明を個別に、また任意の組み合わせで実施するために不可欠なものとなり得る。
【符号の説明】
【0030】
1 ヒートシンク
2 空気熱交換器
3 フィン
4 さらなるフィン
5 空気誘導チャネル
6 ヒートパイプ
7 マイクロチャネル
8 作動媒体
9 取り付け面
10 蒸発ゾーン
11 空洞
12 気流発生器
100 電子部品
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(100)用のヒートシンク(1)であって、ヒートシンク(1)は、順方向流および逆方向流がなく、密閉された作動媒体(8)の容積を有するマイクロチャネル熱交換器(2)と、マイクロチャネル熱交換器(2)を通る空気ダクト(5)を区切る複数のフィン(3、4)とを有し、フィン(3、4)は少なくとも部分的にヒートパイプ(6)の形態をしており、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3、4)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の作動媒体(8)が案内される少なくとも1つの垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)を有する、媒体導通用の中空のフィン(3、4)として形成され、
中空のフィン(3、4)は、マイクロチャネル熱交換器(2)の下部領域の蒸発ゾーン(10)とマイクロチャネル熱交換器(2)の上部領域の空洞(11)との間に形成され、後者に開口し、中空のフィン(3、4)は、蒸発ゾーン(10)の媒体容積を空洞(11)に流体接続して、すべてのヒートパイプ(6)は、蒸発ゾーン(10)および空洞(11)を介して互いに流体接続し、
マイクロチャネル熱交換器は、ヒートパイプ(6)として形成されたフィン(3)に加えて、互いに実質的に平行に延び、互いに間隔をあけ、ヒートパイプ(6)として形成されたフィン(3)に対して実質的に垂直に延びるさらなるフィン(4)を有する、ヒートシンク(1)。
【請求項2】
マイクロチャネル熱交換器のマイクロチャネル(7)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の1つである請求項1に記載のヒートシンク(1)。
【請求項3】
蒸発ゾーン(10)は、冷却される電子部品(100)にヒートシンク(1)を取り付けるためのヒートシンク(1)の取り付け面(9)と熱的に接触する、請求項2に記載のヒートシンク(1)。
【請求項4】
マイクロチャネル熱交換器は空洞(11)を有し、空洞(11)の中にマイクロチャネル(7)が、第1の端部の反対側に配置された第2の端部を開口する、請求項1~3のいずれかに記載のヒートシンク(1)。
【請求項5】
さらなるフィン(4)は熱伝導性材料で作られた中実のフィンの形態であり、ヒートパイプ(6)の形態の隣接するフィン(3)は、複数のさらなるフィン(4)を介して互いに熱的に結合される、請求項1に記載のヒートシンク(1)。
【請求項6】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)は、互いに平行に延び、互いの間隔が10mm未満、好ましくは8mm未満、特に好ましくは6mm未満である、請求項1~5のいずれかに記載のヒートシンク。
【請求項7】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)の長手方向に互いに前後して配置された複数の垂直かつ平行なマイクロチャネル(7)を有する、請求項1~6のいずれかに記載のヒートシンク(1)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の少なくとも1つのヒートシンク(1)と電子部品(100)とを含むアセンブリであって、ヒートシンク(1)は電子部品(100)と熱的に接触して配置され、ヒートパイプ(6)は少なくとも部分的に電子部品(100)に対して垂直かつ直交する方向に延びる垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)を有する、アセンブリ。
【請求項9】
ヒートシンク(1)は、ヒートパイプ(6)の蒸発ゾーン(10)の熱結合側であるヒートシンク(1)の取り付け面を介して電子部品(100)と熱的に接触する、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
気流発生器(12)、好ましくはファンを備え、気流発生器によって空気が空気伝導チャネル(5)を通して輸送され、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3、4)の周囲に空気が流れる、請求項8または9に記載のアセンブリ。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(100)用のヒートシンク(1)であって、ヒートシンク(1)は、順方向流および逆方向流がなく、密閉された作動媒体(8)の容積を有するマイクロチャネル熱交換器(2)と、マイクロチャネル熱交換器(2)を通る空気ダクト(5)を区切る複数のフィン(3、4)とを有し、フィン(3、4)は少なくとも部分的にヒートパイプ(6)の形態をしており、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3、4)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の作動媒体(8)が案内される少なくとも1つの垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)を有する、媒体導通用の中空のフィン(3、4)として形成され、
中空のフィン(3、4)は、マイクロチャネル熱交換器(2)の下部領域の蒸発ゾーン(10)とマイクロチャネル熱交換器(2)の上部領域の空洞(11)との間に形成され、後者に開口し、中空のフィン(3、4)は、蒸発ゾーン(10)の媒体容積を空洞(11)に流体接続して、すべてのヒートパイプ(6)は、蒸発ゾーン(10)および空洞(11)を介して互いに流体接続し、
マイクロチャネル熱交換器は、ヒートパイプ(6)として形成されたフィン(3)に加えて、互いに実質的に平行に延び、互いに間隔をあけ、ヒートパイプ(6)として形成されたフィン(3)に対して実質的に垂直に延びるさらなるフィン(4)を有する、ヒートシンク(1)。
【請求項2】
マイクロチャネル熱交換器のマイクロチャネル(7)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の1つである請求項1に記載のヒートシンク(1)。
【請求項3】
蒸発ゾーン(10)は、冷却される電子部品(100)にヒートシンク(1)を取り付けるためのヒートシンク(1)の取り付け面(9)と熱的に接触する、請求項2に記載のヒートシンク(1)。
【請求項4】
マイクロチャネル熱交換器は空洞(11)を有し、空洞(11)の中にマイクロチャネル(7)が、第1の端部の反対側に配置された第2の端部を開口する、請求項に記載のヒートシンク(1)。
【請求項5】
さらなるフィン(4)は熱伝導性材料で作られた中実のフィンの形態であり、ヒートパイプ(6)の形態の隣接するフィン(3)は、複数のさらなるフィン(4)を介して互いに熱的に結合される、請求項1に記載のヒートシンク(1)。
【請求項6】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)は、互いに平行に延び、互いの間隔が10mm未満、好ましくは8mm未満、特に好ましくは6mm未満である、請求項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)は、それぞれ、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3)の長手方向に互いに前後して配置された複数の垂直かつ平行なマイクロチャネル(7)を有する、請求項に記載のヒートシンク(1)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の少なくとも1つのヒートシンク(1)と電子部品(100)とを含むアセンブリであって、ヒートシンク(1)は電子部品(100)と熱的に接触して配置され、ヒートパイプ(6)は少なくとも部分的に電子部品(100)に対して垂直かつ直交する方向に延びる垂直中空導体またはマイクロチャネル(7)を有する、アセンブリ。
【請求項9】
ヒートシンク(1)は、ヒートパイプ(6)の蒸発ゾーン(10)の熱結合側であるヒートシンク(1)の取り付け面を介して電子部品(100)と熱的に接触する、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
気流発生器(12)、好ましくはファンを備え、気流発生器によって空気が空気伝導チャネル(5)を通して輸送され、ヒートパイプ(6)の形態のフィン(3、4)の周囲に空気が流れる、請求項に記載のアセンブリ。
【国際調査報告】