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特表2024-545971ロストモーションロッカーブレーキの付勢及びストローク制限システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ロストモーションロッカーブレーキの付勢及びストローク制限システム
(51)【国際特許分類】
   F01L 1/18 20060101AFI20241209BHJP
   F01L 1/08 20060101ALI20241209BHJP
   F01L 1/14 20060101ALI20241209BHJP
   F01L 1/12 20060101ALI20241209BHJP
   F01L 1/245 20060101ALI20241209BHJP
   F01L 9/11 20210101ALI20241209BHJP
   F01L 13/00 20060101ALI20241209BHJP
   F01L 13/06 20060101ALI20241209BHJP
   F02M 26/01 20160101ALI20241209BHJP
【FI】
F01L1/18 D
F01L1/08 A
F01L1/14 E
F01L1/12 A
F01L1/245 E
F01L9/11
F01L13/00 302E
F01L13/06
F01L13/00 302F
F02M26/01 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538752
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 IB2023050091
(87)【国際公開番号】W WO2023131898
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/266,505
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ガブリエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】メッツサック、オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ベナー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リリー、ライアン
【テーマコード(参考)】
3G016
3G018
3G062
【Fターム(参考)】
3G016AA02
3G016AA06
3G016AA19
3G016BA35
3G016BB22
3G016BB30
3G016BB37
3G018AB05
3G018AB16
3G018BA02
3G018DA03
3G018DA17
3G018DA28
3G018DA31
3G018FA20
3G018FA23
3G062AA10
(57)【要約】
内燃機関におけるバルブ作動のためのシステムは、付勢及びストローク制限構成要素を利用することによって、ロッカーアーム及び他のバルブトレイン構成要素の制御を提供する。そのような特徴部は、eフットアセンブリ又はプッシュロッドアセンブリを含む、任意のバルブトレイン構成要素において実装されてよい。付勢構成要素は、ロストモーションロッカーのカム側をカムに向かって付勢することができる。各構成要素は、付勢機構がバルブトレイン構成要素を常に制御された位置に保つことを可能にするために、伸長可能であってもよい。ストローク制限特徴部は、改善された潤滑のために、機関サイクル中、バルブトレイン構成要素間の小さなギャップの形成を促進し得る。ストローク制限特徴部はまた、エンジン又はバルブ作動システム内に設置されていないときであっても、バルブトレイン構成要素を組み立てられた構成に保持し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関において2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるためのシステムであって、
主イベント運動プロファイル及び補助運動プロファイルを定義する運動源と、
前記運動源から前記少なくとも1つのエンジンバルブに運動を伝達するためのバルブトレインであって、少なくとも2つのバルブトレイン構成要素を有する、バルブトレインと、
前記バルブトレイン構成要素のうちの少なくとも1つを制御状態に維持するために付勢力を加えるように構成された付勢構成要素と、
前記付勢構成要素と協働し、前記少なくとも2つのバルブトレイン構成要素間にラッシュギャップを生成するように適合されたストローク制限構成要素と、を含む、システム。
【請求項2】
前記付勢構成要素は、eフットアセンブリの一部として構成されたバネである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記eフットアセンブリは、伸長可能部分を含み、前記ばねは、前記伸長可能部分を伸長位置に向かって付勢するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記eフットアセンブリは、伸縮部分を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ストローク制限構成要素はeフットアセンブリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記eフットアセンブリは、伸長可能部分を含み、前記伸長可能部分は、前記伸長可能部分の伸長を制限するための止め具を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記付勢構成要素は、プッシュロッドアセンブリの一部として構成されたばねである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プッシュロッドアセンブリは、伸長可能部分を含み、前記ばねは、前記伸長可能部分を伸長位置に向かって付勢するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プッシュロッドアセンブリは、伸縮部分を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ストローク制限構成要素はプッシュロッドアセンブリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プッシュロッドアセンブリは、伸長可能部分を含み、前記伸長可能部分は、前記伸長可能部分の伸長を制限するための止め具を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記バルブトレインは、タイプ3のオーバーヘッドカムバルブトレインである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記付勢構成要素又は前記ストローク制限構成要素は、eフットアセンブリを備え、前記eフットアセンブリは、ねじボス、スイベルボス、ピン、キャップ、及び付勢ばねを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ストローク制限構成要素はプッシュロッド調整ねじである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記バルブトレインは、タイプ4のオーバーヘッドバルブバルブトレインである、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記付勢構成要素又は前記ストローク制限構成要素は、プッシュロッドアセンブリを備え、前記プッシュロッドアセンブリは、ねじボス、プッシュロッドボス、ピン、及び付勢ばねを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記ストローク制限構成要素は、伸長可能部分の伸長を制限するためのピン、リップ、Cクリップ、又はステップを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記付勢構成要素は、前記ロッカーアームの慣性力を制御して、カムのサブベース円とベース円との間の非追従状態を防止するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記付勢構成要素は、カムのサブベース円においてロッカーとバルブブリッジとの間にゼロ付勢荷重のギャップを提供するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記バルブトレインと協働するロストモーション構成要素をさらに備え、前記ロストモーション構成要素は、前記ロストモーション構成要素が前記補助運動を吸収する第1のモードと、前記ロストモーション構成要素が前記補助運動を伝達する第2のモードと、に構成可能である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照及び優先権の主張)
本出願は、2022年1月6日に出願された「LOST MOTION ROCKER BRAKE BIASING AND STROKE LIMITING SYSTEMS」と題する米国仮出願第63/266,505号の優先権を主張するものである。本出願はまた、2021年5月7日に出願された「ROCKER CONTROL IN LOST MOTION ENGINE VALVE ACTUATION SYSTEMS」と題する国際出願PCT/IB2020/053904(WO2022106907)の優先権を主張するものであり、これは、2020年11月20日に出願された「LOST MOTION ROCKER BRAKE BIASING SYSTEM」と題する米国仮出願第63/198,902号の優先権を主張するものである。上に挙げられた出願の主題及び明細書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、広義には、弁を作動させるためのシステムに関するものであり、また広義には、内燃機関用のロストモーションロッカーブレーキに関するものである。本開示はまた、ロッカーアーム運動を制御するためのシステム及び構成要素に関するものであり、またロストモーションロッカーブレーキのバルブトレイン構成要素のストローク制限及び付勢に関するものである。
【背景技術】
【0003】
内燃機関は、動作中に1つ以上の燃焼室への可燃性成分、通常は燃料及び空気の流れを制御するためのバルブ作動システムを必要とする。そのようなシステムは、エンジン動作中の吸気バルブ及び排気バルブの運動及びタイミングを制御する。正出力モードでは、燃料及び空気を燃焼用のシリンダに入れるために吸気バルブが開かれ、続いて燃焼生成物がシリンダから逃げることを可能にするように排気バルブが開かれる。この動作は、通常、エンジンの「正出力」動作と呼ばれ、正出力動作中にバルブに適用される運動は、通常、「主イベント」バルブ作動運動と呼ばれる。エンジンブレーキ(動力吸収)をもたらす運動などの補助バルブ作動運動は、エンジンバルブのうちの1つ以上に付与される「補助」イベントを使用して達成され得る。
【0004】
主イベントの正出力動作モード中のバルブの動きは、通常、運動源として1つ以上の回転カムによって制御される。バルブトレイン内に配設されたカムフォロア、プッシュロッド、ロッカーアーム、及び他の要素は、カム表面からバルブへの運動の直接転送を提供する。バルブブリッジを使用すると、単一の上流バルブトレインから複数のバルブに運動を付与し得る。補助イベントの場合、補助イベントバルブの動きを容易にするために、「ロストモーション」デバイスがバルブトレインにおいて利用され得る。ロストモーションデバイスは、それぞれのカム表面単独による作動がゆえに別様に発生する運動と比較して、バルブ運動が修正される技術解決策のクラスを指す。ロストモーションデバイスは、バルブの主イベント動作に加えて、あるいはその代替として、補助イベントの選択的発生を容易にするために、その長さ、剛性、又は圧縮性が変化及び制御されるデバイスを含み得る。補助イベントはまた、別個の補助又はブレーキカム及びバルブトレインを使用して、1つ以上のバルブに補助運動を付与して、補助イベントの選択的発生を容易にし得る、専用カムシステムによって容易にされ得る。
【0005】
ブレーキ、及び他の補助ロストモーション用途では、複数のバルブイベントは、アクチュエータピストンなどのロストモーション要素の選択的伸長又は後退に基づいて、アクティブ化又は非アクティブ化される同じカムローブ及び異なるイベントに組み込まれ得る。ロストモーションカムシステムは、通常、同じカムローブ上に異なるプロファイルのリフトセクションを有する少なくとも1つのカムを使用して、それぞれの主イベント及び1つ以上の補助イベントに運動を付与する。これらの異なるプロファイルのリフトセクションは、バルブトレイン内に位置するピストン又はアクチュエータなど、別個のロストモーション機構を使用してアクティブ化又は非アクティブ化される。補助イベントの例は、エンジンブレーキ、早期排気バルブ開放(early exhaust valve opening、EEVO)、遅延吸気バルブ閉鎖(late intake valve closing、LIVC)リフトイベント、及び内部排気ガス再循環イベント(internal exhaust gas recirculation event、IEGR)を含み、バルブセット内の1つ以上のバルブ(すなわち、それぞれのシリンダについて2つの排気バルブ)に付与され得る。ロストモーションブレーキシステムなどのロストモーション補助バルブリフトシステムは、ロストモーションカムに関連付けられた単一のロッカーと、主イベント運動において2つのエンジンバルブを作動させるためのロッカーに関連付けられたバルブブリッジと、を採用し得る。バルブのうちの1つにおける補助バルブリフト又はブレーキ運動は、補助バルブリフト又はブレーキアクチュエータによって容易にされ、この補助バルブリフト又はブレーキアクチュエータは、ロッカー内に収納され得、ブリッジ内に配設されたブリッジピンを介して、バルブに補助又はブレーキ運動を選択的に付与し得る、ロストモーションデバイスである。ブリッジピンは、2つのエンジンバルブのうちの一方の、2つのエンジンバルブのうちの他方に対する独立した運動を提供する。補助バルブリフト又はブレーキアクチュエータは、ロストモーションカム上の補助又はブレーキイベントリフトプロファイルセクション又はローブが、所望のときにブリッジピンの移動及び1つのエンジンバルブの補助又はブレーキ運動を引き起こすように、選択的に作動され得る。
【0006】
いくつかのロストモーションバルブ作動システムは、1つ以上のカム上のサブベース円ロストモーションプロファイルを利用し得る。そのようなシステムでは、主イベントバルブリフトプロファイルが、カムベース円の上のカムに提供され得るが、ロストモーションプロファイルは、カムベース円の下の同じカムに提供される。主イベント運動中、ロストモーションアクチュエータが非アクティブ化された状態で、ロストモーションギャップがバルブトレイン内で生成され、サブベース円プロファイルは、結果として、失われ、エンジンバルブに渡されない。ロストモーションアクチュエータがアクティブ化されると、バルブトレイン内のロストモーションギャップが取り上げられ、補助運動プロファイルはエンジンバルブに伝達され得る。
【0007】
そのようなロストモーション環境におけるロッカー制御のための既存の解決策は、ロッカーのカム側をカムに向かって付勢し得る付勢機構を利用しており、これにより、そうでなければバルブトレインにギャップを引き起こすイベント中でも、ロッカーカムフォロアはカムと常に接触しているので、これらのイベント中のロッカーの制御されていない運動が防止される。これらの結果を達成する付勢機構は、ばねバー、アクチュエータピストンばね、又はアンダーマウントロッカー付勢ばねを含み得る。
【0008】
先行技術のカム側ロッカー付勢の解決策は、欠点を有さないわけではない。例えば、そのような解決策では、特にサブベース円補助イベントが利用されるとき、補助運動リフトアクチュエータが非アクティブ化状態にあるとき、ブレーキオフ状態でカムローラ(フォロア)とカムローブとの間の接触を維持するために、数百ニュートン程度の力の強い付勢力、及び適切に設計された付勢構成要素が必要とされ得る。そのような付勢力が必要とされる理由は、補助運動リフトアクチュエータが非アクティブ化されたときに、ロッカーアームの全質量が、典型的にはカムによって生成される加速力及び減速力にさらされ、結果として、ロッカーアーム及びカムフォロアが、別様にカム表面から分離する傾向があり得るためである。
【0009】
ロストモーションロッカーブレーキは、内燃機関用のバルブトレイン及びバルブ作動システム設計の技術分野において一般的に知られている。ロストモーションシステムは、ロストモーションアクチュエータピストンなどのロストモーション要素の選択的伸長又は後退に基づいてアクティブ化又は非アクティブ化される複数のバルブイベントを同じ排気カムローブ及び異なるイベントに組み込むことを可能にする。
【0010】
ロストモーションロッカーブレーキに関する1つの懸念は、ブレーキが非作動又は「オフ」状態にあるときに、ロストモーション要素の後退によって大きなギャップが生じる可能性があることである。より具体的には、ロストモーション要素と、運動源又はカムなどの他のバルブトレイン構成要素との間にギャップが形成され得る。このギャップは、ロッカーブレーキを無負荷又は拘束されないままにする可能性があり、したがって、ロッカーブレーキの制御されない運動を許す可能性がある。この問題に対処することを意図した過去の解決策は、ロッカーブレーキをバルブブリッジと常に接触した状態に保ち、バルブトレインにおける制御されない運動を回避するために、ロストモーションロッカーブレーキをバルブに向かって付勢する付勢機構を利用してきた。
【0011】
本開示は、ロストモーションロッカーブレーキシステムに特に適合可能な付勢及びストローク制限のための追加の実施形態の詳細を説明する。本開示の実施形態は、e-フット、プッシュロッド、ならびに他のバルブトレイン構成要素及び環境に特に適合可能である。
【発明の概要】
【0012】
前述の課題に対して、一態様によれば、本開示は、ロストモーションシステムにおいて適用され得るロッカー運動を制御するための特徴部を有するバルブ作動システムの様々な実施形態を提供する。より具体的には、本開示は、付勢構成要素が、カムに向かう方向にロッカーのカム側を付勢するように構成及び適合されたシステムを説明する。追加の態様は、バルブブリッジと協働してギャップを排除し、ロッカー及びバルブブリッジの制御を更に強化する、eフット上の付勢構成要素を提供し得る。eフットは、バルブサイクル中にオイルの層が形成されることを可能にするように、バルブトレイン構成要素間のギャップの形成を容易にするために、規定されたストロークをさらに備えてもよい。eフットには、eフットが別のバルブトレイン構成要素(すなわち、バルブブリッジ)と接触していないときであっても、eフットを組み立てられた状態に維持するために、保持用の特徴部が更に提供され得る。説明されるシステムは、ロストモーション構成要素の非アクティブ化中であってもロッカー制御を容易にし、潤滑を改善し、組み立てを容易にする。
【0013】
一態様によれば、本開示は、内燃機関において2つ以上のエンジンバルブのうちの少なくとも1つを作動させるためのシステムを提供し、当該システムは、主イベント運動プロファイル及び補助運動プロファイルを定義する運動源と、運動源から少なくとも1つのエンジンバルブに運動を伝達するためのバルブトレインであって、少なくとも2つのバルブトレイン構成要素を有する、バルブトレインと、バルブトレイン構成要素のうちの少なくとも1つを制御状態に維持するために付勢力を加えるように構成された付勢構成要素と、付勢構成要素と協働し、少なくとも2つのバルブトレイン構成要素間にラッシュギャップを生成するように適合されたストローク制限構成要素と、を備える。さらなる態様によれば、本システムは、バルブトレインと協働するロストモーション構成要素をさらに備えてもよく、当該ロストモーション構成要素は、ロストモーション構成要素が補助運動を吸収する第1のモードと、ロストモーション構成要素が補助運動を伝達する第2のモードと、に構成可能である。
【0014】
さらなる態様によれば、付勢構成要素は、eフットアセンブリの一部として構成されたばねであってもよい。さらなる態様では、eフットアセンブリは、伸長可能部分を含んでもよく、ばねは、伸長可能部分を伸長位置に向かって付勢するように構成されてもよい。さらなる態様では、eフットアセンブリは伸縮部分を含んでもよい。
【0015】
さらなる態様によれば、ストローク制限構成要素はeフットアセンブリであってもよい。eフットアセンブリは、伸長可能部分を含んでもよい。伸長可能部分は、伸長可能部分の伸長を制限するための止め具を含んでもよい。
【0016】
さらなる態様によれば、付勢構成要素は、プッシュロッドアセンブリの一部として構成されたばねであってもよい。さらなる態様において、プッシュロッドアセンブリは、伸長可能部分を含んでもよい。さらなる態様において、ばねは、伸長可能部分を伸長位置に向かって付勢するように構成されてもよい。さらなる態様では、プッシュロッドアセンブリは伸縮部分を含んでもよい。
【0017】
さらなる態様によれば、ストローク制限構成要素は、プッシュロッドアセンブリであってもよい。さらなる態様では、プッシュロッドアセンブリは、伸長可能部分を含んでもよく、当該伸長可能部分は、伸長可能部分の伸長を制限するための止め具を含んでもよい。さらなる態様によれば、付勢構成要素は、ロッカーの運動源(カム)側を運動源(カム)に向かって付勢するように構成されてもよい。
【0018】
更なる態様によれば、本システムは、eフットを他のバルブトレイン構成要素と接触させたままに維持するためのeフット付勢構成要素を更に備える。
【0019】
更なる態様によれば、eフットは、ストロークを規定するために長さが伸長可能となるように構成される。さらなる態様によれば、付勢構成要素又はストローク制限構成要素は、ねじボス、スイベルボス、ピン、キャップ、及び付勢ばねを備えるeフットアセンブリを備えてもよい。さらなる態様によれば、付勢構成要素又はストローク制限構成要素は、ねじボス、スイベルボス、プッシュロッドボス、ピン、及び付勢ばねを備えるプッシュロッドアセンブリを備えてもよい。別の態様では、ストローク制限構成要素は、プッシュロッド調整ねじを備えてもよい。さらなる態様では、ストローク制限構成要素は、伸長可能部分の伸長を制限するためのピン、リップ、Cクリップ、又はステップを備えてもよい。さらなる態様によれば、付勢構成要素は、ロッカーアームの慣性力を制御して、カムのサブベース円とベース円との間の非追従状態を防止するように構成されてもよい。さらなる態様によれば、付勢構成要素は、カムのサブベース円においてロッカーとバルブブリッジとの間にゼロ付勢荷重のギャップを提供するように適合されてもよい。
【0020】
さらなる態様によれば、バルブトレインは、タイプ3のオーバーヘッドカムバルブトレイン又はタイプ4のバルブトレイン又はタイプ5のバルブトレインであってもよい。
【0021】
本開示の他の態様及び利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、上記の態様は、包括的又は限定的であるとみなされるべきでない。上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、本開示の発明的態様の実施例を提供することを意図しており、決して、添付の特許請求の範囲で定義された範囲を限定又は拘束するものと解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上記の特徴及び付随する利点、並びにその他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することから明らかになるであろう。次に、同様の参照番号が同様の要素を表す添付図面を参照して、1つ又は複数の実施形態について単に説明のための例として述べるが、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定することは意図されていない。
図1】本開示による付勢ストローク制限型eフットアセンブリを有する組み立てられたロストモーションロッカーブレーキシステムの斜視図である。
図2図1のロストモーションロッカーブレーキシステムの斜視図であり、付勢ストローク制限型eフットアセンブリを分解図で示している。
図3】バルブブリッジ及びカムと協働し、ロストモーション構成要素が非アクティブ化状態にある、図1の例示的なロストモーションロッカー及びeフットの内部特徴を示す断面図である。
図4】バルブブリッジ及びカムと協働し、ロストモーション構成要素がアクティブ化状態にある、図1の例示的なロストモーションロッカー及びeフットの内部特徴を示す断面図である。
図5】組み立てられた伸長構成にある、図1図4の付勢ストローク制限型eフットアセンブリの断面図である。
図6図5の付勢ストローク制限型eフットアセンブリの断面図である。図5の平面に直交する平面におけるものである。
図7】組み立てられた後退構成にある、図5の付勢ストローク制限型eフットアセンブリの断面図である。
図8図6の付勢ストローク制限型eフットアセンブリの断面図である。
図9】付勢ストローク制限型プッシュロッドが分解図で示されたロストモーションロッカーブレーキの斜視図である。
図10図9の付勢ストローク制限型プッシュロッドを備えたロストモーションロッカーブレーキの別の斜視図である。
図11】本開示の一態様による付勢ストローク制限型プッシュロッドの断面図である。
図12図11の平面に直交する平面で見た、図7の付勢ストローク制限型プッシュロッドの断面図である。
図13】伸長状態にある図11のプッシュロッドの断面図である。
図14】伸長状態にある図12のプッシュロッドの断面図である。
図15】本開示の一態様による付勢ストローク制限型プッシュロッドの第2の実施形態の断面図である。
図16図15の平面に直交する平面で見た、図9の付勢ストローク制限型プッシュロッドの断面図である。
図17】伸長状態にある図15のプッシュロッドの断面図である。
図18】伸長状態にある図16のプッシュロッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図8は、本開示の態様による一体化された付勢ストローク制限型eフットアセンブリを有する例示的なロストモーションロッカーブレーキを示す。認識されるように、本開示は、ロッカーブレーキの運動受容(フォロア)側がエンジンの運動源/カム側に向かって、バルブから離れるように付勢されるような方向に、ロッカーアームに付勢力を提供するための構成要素を特徴とする。本開示はまた、eフットアセンブリ又は他のバルブトレイン構成要素のストロークを制限するための構成要素を特徴とする。ストローク制限及び付勢特徴部は、各実施形態において互いに組み合わせて説明されているが、これらの特徴部及び関連する教示は、本開示の態様によるロストモーションロッカーブレーキの制御を改善するために別々に利用され得ることが認識されるであろう。
【0024】
特に図1図4を参照すると、例示的な弁作動システムは、ロッカー100と、ロストモーション構成要素200と、バルブブリッジ310に接触するように適合されたeフット又は台座690を有するeフットアセンブリ600と、を含み得る。ロッカー100は、ロッカーシャフトジャーナル102の両側のバルブ側110及びカム側120を含み得る。ロッカー100及び関連する構成要素のさらなる詳細が以下に説明される。
【0025】
依然として図1図4を参照すると、例示的なバルブ作動システム10は、ロッカー100と、ロストモーション構成要素200と、バルブブリッジ及びeフットアセンブリ600と、ロッカー付勢構成要素680と、を含み得る。ロッカー100は、主ロッカー本体104を含み得る。ロッカーカム側120は、カム500の形態(図3及び図4参照)の運動源から運動を受容し得るカムローラ又はフォロア122を含み得る。カムフォロア122は、フォロアシャフト124によって主ロッカー本体104に固設され得る。前述のように、ロッカー本体104は、ロストモーション構成要素200を収容するための一体型ボア及び空洞、並びに当技術分野で一般に知られているように、ロストモーション構成要素200をアクティブ化及び非アクティブ化するために使用される油圧流体を制御するための制御構成要素及び通路を含み得る。
【0026】
ロッカー100のバルブ側110は、eフットアセンブリ600及びバルブブリッジ310を含んでもよい。eフットアセンブリは、主イベント運動をロッカー100からバルブブリッジ310に、最終的には、バルブブリッジ310からの運動を受容するように構成されている2つのエンジンバルブ(図4参照)に伝達するための主イベント負荷経路の一部分を構成し得る。ブリッジピン312は、ブリッジボア314内に延在して、ロストモーション構成要素200(アクティブ化時)からの運動をエンジンバルブのうちの1つに伝動し、それによって、この1つのエンジンバルブの補助イベント及び補助運動を提供し得る。
【0027】
図3及び図4に最もよく見られるように、ロストモーション構成要素200は、アクティブ化モードにおいて伸長されたときに、ブリッジピン312の端部に係合して、それに運動を伝動するアクチュエータピストン210を含み得る。アクチュエータピストン210は、ロストモーションアクチュエータポスト220及びロストモーションアクチュエータばねと協働して、アクチュエータピストン210をロッカー100に対して付勢することができる。アクチュエータピストン210は、ロストモーション構成要素200がアクティブ化されたとき、油圧下で延伸し、ロストモーション構成要素200が非アクティブ化されたとき、ロストモーションアクチュエータばねの力の下で後退し得る。ロストモーションアクチュエータポスト220は、ロッカー100に対するロストモーションアクチュエータポスト220の軸方向位置の調整を可能にするように、ねじ付き締結具222でロッカー100に固設され得る。本開示から認識されるように、ロストモーション構成要素200は、ロストモーション構成要素200がアクティブ化されると、補助運動をロッカー100からブリッジピン312に、及びエンジンバルブのうちの1つに伝達して、この1つのエンジンバルブの補助運動をサポートする、補助負荷経路の一部分を構成し得る。図3は、ロストモーション構成要素200が非アクティブ化状態にあるときのeフットアセンブリ600の例示的な状態を示し、ピストン210は、ロッカー100内に後退している。図4は、ロストモーション構成要素200がアクティブ化状態にあるときのeフットアセンブリ600の例示的な状態を示しており、この状態では、ピストン210がロッカー100から延びてブリッジピン312に係合することができ、このブリッジピンは、バルブブリッジ310に対して(下方に)変位することができる。図4では水平位置で示されているが、バルブブリッジ310はわずかな傾き(ブリッジピン/ブレーキバルブ側が反対側の非ブレーキバルブ側よりも低い)を受けてもよく、eフットアセンブリはそのような傾きに対応してもよく、完全には圧縮されていないがほぼ完全に圧縮された状態であってもよい。
【0028】
本開示から認識されるように、ロストモーション構成要素200がアクティブ化されると、運動源のサブベース円補助運動プロファイルは、エンジンバルブのうちの1つに伝達され得る。図3及び図4に示されるように、例示的な運動源500は、主イベントバルブ運動を定義するためにベース円530を越えて半径方向に延在する主イベントプロファイル520を有するカム510を含み得る。補助イベントを定義し得る補助イベントプロファイル540及び550は、ベース円530内(下)に提供され得る。図3及び図4には、カム500が概略的に示されている。カム500の回転位置、ならびにロッカー100及びeフットアセンブリ600の向きは、エンジン及び/又はブレーキサイクルにおける異なる時間において図示されるものと異なってもよいことが認識されるであろう。例えば、補助イベントプロファイル540は、ピストンアクチュエータ210が伸長位置にあるブレーキ動作モード中にカムフォロア122に係合することができる。ロストモーション構成要素200が非アクティブ化されると、主イベント運動のみがカム510から伝達される。ロストモーション構成要素の非アクティブ化状態では、カム500のサブベース円表面がカムフォロア122に遭遇すると、カムローラ122と運動源500との間にギャップが形成される傾向があり、それにより、補助運動プロファイル540及び550によって定義されるサブベース円補助運動は、ロッカー100に伝達されなくなる。一方、ロストモーション構成要素200がアクティブ化されると、補助運動プロファイル540及び550は、カムフォロア122と係合することになり、それにより、それらによって定義される補助運動は、ブリッジピン312を介して、エンジンバルブのうちの1つに伝達されることになる。
【0029】
図5図8をさらに参照すると、付勢構成要素は、eフットアセンブリ600に一体化されてもよい。eフットアセンブリ600は、伸縮式に互いに対して移動するように構成及び適合された上側部分620及び下側部分650を含むことができる。上側部分620は、ロッカー100のボア内に受容され、それによってねじ付き締結具(ナット)322(図3及び図4)と共にロッカー100に締結される円筒形締結ポスト624を含むことができる。上側部分620は、環状肩部626を含むことができ、これは、ばね680などの付勢構成要素のための上側着座表面と同様に、追加の取付け支持を提供する。上側部分620はまた、下側部分650の相補的形状の突起652を受容するための軸方向に延在する空洞又はボア628(図5及び図6参照)を有する下側環状スカート630を含んでもよい。下側部分650は、ばね680のための下側座部を提供する環状肩部656を含むことができる。したがって、下側部分650及び上側部分620は、伸長可能な伸縮式eフットポストを提供し、このeフットポストは、ばね680によって伸長位置に付勢されて、ロッカーに付勢力を及ぼすことができ、この付勢力は、ロッカーの運動源側を運動源に向かって移動させる傾向がある。したがって、ロッカー付勢構成要素は、この実施形態の特徴によってeフットアセンブリに一体化され得る。
【0030】
本開示の態様によれば、ストローク制限構成要素もeフットアセンブリ600に一体化され得る。下側部分650の突出部652には、軸方向に延在するスロット又はチャネル654が設けられてもよい。上側部分620には、保持ピン670を受容する横方向ボア658が設けられてもよい。保持ピン670は、下側部分650の横方向ボア658とスロット654の両方を通って延び、したがって、下側部分650を上側部分620内に保持し、上側部分620に対する下側部分650の移動を制限する。ストローク長さ「S」は、上側部分620に対する下側部分650の移動範囲によって規定されてもよく、これは、異なる部分の接触によって規定されてもよい。例えば、上側部分620内の下側部分650の移動の上限は、上側部分620の下側環状スカート630の寸法によって規定されてもよく、これは、上側部分620内の下側部分650の移動上限を規定するように肩部656に影響を与え得る。図7及び図8は、移動の上限にある下側部分650を示す。代替的に、突出部652は、移動上限を規定するようにボア628内で底に達してもよい。上側部分620に対する下側部分650の移動下限は、図5及び図6に示されるように、スロット654の上側表面との保持ピン670の衝突によって規定され得る。認識されるように、ストローク「S」は、運動源(カム)上に画定される運動のそれぞれの部分の所望の吸収及び伝達を達成し、したがって、特にカム500のサブベース円部分と組み合わせてバルブ運動の対応する所望の修正を達成するように構成されてもよい。例えば、ストロークは、カムフォロアが運動源のサブベース円部分によって係合されるときに、eフットとブリッジとの間及び/又はカムフォロアとカムとの間にギャップが形成されて、バルブ運動サイクルのその部分の間に潤滑膜が発生することを可能にし得るように制限され得る。eフットアセンブリのストローク長は、小さなギャップ又はゼロ付勢荷重のギャップのみが形成されるように選択及び調整されてもよく、それによって、ロッカー位置の制御の損失をもたらすバルブトレインにおけるギャップサイズ又は遊びが回避される。
【0031】
したがって、この実施形態及び他の実施形態では、本開示の態様と一致して、ストローク制限型eフットは、ロッカーがカムのサブベース円部分に遭遇したときにeフットとバルブブリッジとの間に小さなギャップを提供するように構成され得る。この構成は、eフットの取り外しを可能にし、eフットキャップとブッシングとの間、及びバルブトレイン内の他の場所(バルブトレイン構成要素界面)等のeフットアセンブリ内の潤滑層の形成又は再形成を可能にする。この構成はまた、任意のバルブばね予荷重の低減又は無効化を提供し得る。eフットアセンブリはまた、カムのサブベースとベース円との間をストロークした後に機構が底に達するように構成されてもよい。
【0032】
本開示から認識されるように、上述したようなロストモーションロッカーブレーキシステムは、ロッカーブレーキをエンジンのカムに向かって、バルブから離れるように付勢する。これは、ロッカーブレーキをバルブトレインに組み付けるのに必要な構成要素の減少を含むいくつかの利点を有する。加えて、ストローク制限型eフットは、余分なオイルが侵入し得るロストモーションギャップによるバルブブリッジ及びeフットキャップの摩耗を低減する。さらに、ストローク制限型特徴部は、ロッカーのデューティサイクルの100%の間にブッシング面積に負荷をかけることから生じるブッシング摩耗を低減する。
【0033】
以下の動作説明は、本開示の態様及び説明される構成要素の相互作用をさらに例示する役割を果たす。「ブレーキオフ」モードでは、カムフォロアがカムのサブベース円部分に遭遇し、アクチュエータピストンが後退させられると、eフットアセンブリは、伸長位置にあって、バルブブリッジとの係合を維持してもよい。システムが依然としてブレーキオフモードにあるが、カムフォロアがカムのベース円部分に遭遇するとき(アクチュエータピストンが依然として後退している)、eフットアセンブリは、eフットアセンブリばねの圧縮及びeフットが依然としてバルブブリッジとの接触を維持し、ロッカーカム側をカムに向かって付勢しながら、その伸長位置から部分的圧縮を受けることができる。
【0034】
「ブレーキオン」モードでは、アクチュエータピストンが伸長され(しかし、場合によってはブリッジピンに接触しない)、カムフォロアがカムのサブベース円部分に遭遇した状態で、eフットアセンブリは、eフットとバルブブリッジとの間の接触を維持するために伸長位置にあってもよい。依然として「ブレーキオン」モードでは、アクチュエータピストンが伸長された状態で、バルブブリッジは、ブリッジピンとの接触に起因してわずかな傾斜を受ける場合がある。eフットアセンブリは、eフットとバルブブリッジとの接触を維持するために圧縮状態にあってもよい。
【0035】
本開示の態様によれば、付勢及びストローク制限特徴部は、上述したように、eフットアセンブリ以外のバルブトレイン構成要素に組み込まれてもよい。例えば、付勢及びストローク制限特徴部は、図9図18の2つの実施形態に示されるように、プッシュロッド構成の構成要素に組み込まれてもよい。特に図9図14を参照すると、プッシュロッド付勢及びストローク制限アセンブリ700は、摺動、伸縮運動のために、下側部分750の突出部752を受容する上側部分720を含んでもよい。上側部分720は、ロッカー上のボア内に嵌合する締結ポスト724を含むことができる。下側部分750は、突出部752上に形成されたチャネル754を含むことができる。円形の(外向きに付勢された)ばねクリップ770は、ばねクリップ770がチャネル754内に位置付けられ、それによって、上側部分720に対する下側部分750の移動を制限するように、上側部分720の内壁上の内部溝内に設置されてもよい。すなわち、チャネル754は、下側部分750の制限された移動を可能にするが、そうでなければ、ばねクリップ770の位置によって規定される制限を超えて上下に移動することができない。このようにして、ばねクリップ770及びチャネル754は、制限されたストローク「S」(図11)を規定する。
【0036】
付勢構成要素は、図9図14の実施形態においても実装され得る。コイルばね780は、上側部分720のボア728内に収容されてもよく、上側部分720のボア728の上側内壁729は、上側ばね着座表面を画定する。下側部分750の上側表面759は、下側ばね着座表面を画定することができる。したがって、コイルばね780は、下側構成要素750を上側部分720に対して伸長位置に付勢することができる。図11及び図12は、プッシュチューブアセンブリの収縮位置又は状態を示し、図13及び図14は、プッシュチューブアセンブリの伸長位置又は状態を示す。
【0037】
図15図18は、プッシュロッド環境に適した付勢及びストローク制限構成要素の別の実施形態を示す。この構成では、付勢及びストローク制限プッシュロッドアセンブリ800は、伸縮相対運動のために構成及び適合された上側部分820及び下側部分850を含むことができる。横方向に延在する保持ピン870は、上側部分820上の横方向ボアを通り、下側部分850内の軸方向に延在するスロット854を通って延在する。図1図8の実施形態と同様に、ピン870は、上側部分820に対する下側部分850の軸方向移動を制限し、それによって、プッシュロッド構成要素の制限されたストローク「S」を提供する。この実施形態では、付勢特徴部は、プッシュロッドアセンブリを伸長位置に付勢するために、上側部分820及び下側部分850のそれぞれの環状肩部826と環状肩部856との間に着座された外部コイルばね880を含んでもよい。図15及び図16は、収縮又は圧縮位置又は状態にあるプッシュロッドアセンブリを示し、図17及び図18は、伸長位置又は状態にあるプッシュロッドアセンブリを示す。
【0038】
図5図10のプッシュロッド実施形態のストローク制限及び付勢構成は、前述のeフット環境を含む他のバルブトレイン構成要素に適合され得ることが認識されるであろう。例えば、図5図8の実施形態におけるばねクリップ770及びチャネル754は、図1図4の実施形態におけるピン及びスロット制限構成に取って代わるように適合され得る。この点に関して、ストロークを制限するため及び付勢するためのこれらの様々な機械的器具は、本明細書で説明されるeフット及びプッシュロッド環境以外の異なるバルブトレイン構成要素に交換可能かつ適合可能であると見なされるべきである。
【0039】
本開示から認識されるように、上述したようなロストモーションロッカーブレーキシステムは、ロッカーブレーキをエンジンのバルブ側に向かって、カムから離れるように付勢する。これは、ブレーキオフ状態においてロッカーブレーキを制御するのに必要な付勢力の大幅な低減を含むいくつかの利点を有する。バルブトレインは、プッシュロッド側に必要とされる付勢力をより小さくする設計がより容易になる。より軽い付勢力により、システム全体をより軽くすることができ、潜在的なコストも同様に低くなる。
【0040】
上述のストローク制限特徴部はまた、利点を提供する。ストローク制限機能は、付勢構成要素と組み合わせて、ブレーキ「オフ」(又はロストモーション非アクティブ化)動作状態を含む、全ての動作条件に対してeフット又はプッシュロッド位置の調節を促進し得る、バルブトレイン内の所定のストロークを提供する。これは、次に、eフットとバルブブリッジとの間、又は他のバルブトレイン構成要素間の望ましいギャップ形成を可能にし得る。加えて、ストローク制限特徴部は、組立て済みのe-フット又はプッシュロッドシステムが、現場での別個の設置又は組立ステップを伴わずに、より大きいエンジン環境に容易に設置され得る組立て済みの構成要素として組み立てられ、出荷されることを可能にする保持特徴部として機能してもよい。
【0041】
特定の実施形態が図示及び説明されてきたが、当業者は、本教示から逸脱することなく変更及び修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、上で説明される教示のありとあらゆる修正、変形、又は同等物は、上で開示される基本的な基礎原理の範囲内にあると考えられる。
【0042】
例えば、上記の例は、タイプ3のバルブトレイン(センターピボット)ロッカー又はタイプ5のバルブトレイン(プッシュロッド)の文脈で説明されているが、説明された付勢構成要素及びストローク制限構成要素は、タイプ2(エンドピボットロッカー)又はタイプ4(フォロアを有するセンターピボットロッカー)などの他のバルブトレインタイプに実装されてもよいことが認識されるであろう。
【0043】
さらに、開示された付勢構成要素及びストローク制限構成要素は、eフット及びプッシュロッドの例示的な実施形態を使用して説明されているが、説明された付勢構成要素及びストローク制限構成要素は、例えば、カムフォロアなどの他のバルブトレイン構成要素の一部として実装されてもよいことが認識されるであろう。
【0044】
さらに、開示された実施形態は、ロストモーション構成要素をバルブトレインの一部として特徴付けることができるが、開示された実施形態の付勢及びストローク制限特徴部は、ロストモーション構成要素を組み込まないバルブトレインシステムにおいて利用されてもよいことが認識されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】