(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】直接原子層堆積及び/又はエッチング方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20241210BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241210BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241210BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20241210BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20241210BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20241210BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C23C16/44 A
B33Y10/00
B33Y30/00
B82Y40/00
B82Y30/00
H05K3/10 D
H05K3/06 A
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527073
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2022080734
(87)【国際公開番号】W WO2023079030
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524168622
【氏名又は名称】アトラント スリーディー
【氏名又は名称原語表記】ATLANT 3D
【住所又は居所原語表記】Maarkaervej 2B, 2630 Taastrup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】クンドラタ、イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ウィスナー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】プラクホットヌク、マクシム
(72)【発明者】
【氏名】バックマン、ジュリエン
(72)【発明者】
【氏名】カルノイ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ファンディン ラ クール、マッテ
【テーマコード(参考)】
4K030
5E339
5E343
【Fターム(参考)】
4K030BB11
4K030BB12
4K030BB14
4K030DA08
4K030HA01
5E339BE11
5E339EE10
5E343DD20
5E343GG20
(57)【要約】
本開示に係る原子層堆積及び/又はエッチング方法は、第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線を基板上に描画するステップと、第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線を基板上に描画するステップとを含む。第1の線及び第2の線は、第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、第1の線及び第2の線は、第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい量だけ互いに横方向に離隔し、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線を基板上に描画するステップと、
第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線を前記基板上に描画するステップと、を含み、
前記第1の線及び前記第2の線は、前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、前記第1の線及び前記第2の線は、前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔し、
横方向の最大幅が前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される、原子層堆積及び/又はエッチング方法。
【請求項2】
前記第1の線の描画は、前記第1の前駆体流体を使用して、第1の層を前記第1の線として堆積するステップ、又は、前記第1の前駆体流体を使用して、第1の溝を前記第1の線としてエッチングするステップを含み、
前記第2の線の描画は、前記第2の前駆体流体を使用して、第2の層を前記第2の線として堆積するステップ、又は、前記第2の前駆体流体を使用して、第2の溝を前記第2の線としてエッチングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の凸部又は前記第1の凹部の前記最大幅は、前記第1の線幅又は前記第2の線幅の最大50%、好ましくは最大25%、より好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大5%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の線及び前記第2の線は、ALD/ALEヘッドで描画され、
前記ALD/ALEヘッドは、基板に対して不動であるときに、スポットを堆積及び/又はエッチングするように構成され、
前記第1の線及び/又は前記第2の線は、前記ALD/ALEヘッドと前記基板を線の長手方向に互いに相対的に移動させることによって描画される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1の凸部又は前記第1の凹部の幅は、前記第1の線に対する前記第2の線の前記基板上の位置を制御することによって制御される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の線の前記基板上の位置と前記第2の線の前記基板上の位置を個別に制御するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の線と前記第2の線は互いに平行に延在し、細長い第1の凸部及び/又は第1の凹部を形成する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の線と前記第2の線の線幅は一定で、任意で等しい、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の線は第1の直線部分を含み、及び/又は、前記第2の線は第2の直線部分を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の前駆体流体は第1の材料であり、前記第2の前駆体流体は第1の材料とは異なる第2の材料である、請求項2~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
第3の前駆体流体を使用して、横方向に第3の線幅を有して長手方向に延びる第3の線を描画するステップを含み、
前記第3の線は前記第2の線に所定の量だけ横方向に部分的に重なり、最大幅が前記第1、第2及び第3の線幅よりも小さい第2の凸部及び/又は第2の凹部が形成される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第3の線の描画は、前記第3の前駆体流体を使用して、第3の層を前記第3の線として堆積するステップ、又は、前記第3の前駆体流体を使用して、第3の溝を前記第3の線としてエッチングするステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の凸部及び/又は前記第2の凹部の幅は、前記第1の凸部及び/又は前記第1の凹部の幅と等しい、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の凸部及び/又は前記第1の凹部と、前記第2の凸部及び/又は前記第2の凹部との間の横方向の距離は、前記第1、第2、又は第3の線幅よりも小さい、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の線は、少なくとも部分的に、前記第1の線から所定の量だけ横方向に離隔している、請求項12、13又は14に記載の方法。
【請求項16】
第4の前駆体流体を使用して、横方向に第4の線幅を有して長手方向に延びる第4の線を描画するステップを含み、
前記第4の線は前記第2の線から所定の量だけ横方向に離隔し、最大幅が前記第1、第2及び第4の線幅よりも小さい第3の凹部及び/又は第3の凸部が形成される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第4の線の描画は、前記第4の前駆体流体を使用して、第4の層を前記第4の線として堆積するステップ、又は、前記第4の前駆体流体を使用して、第4の溝を前記第4の線としてエッチングするステップを含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第1、第2、第3及び/又は第4の層を堆積した後、前記第1、第2、第3、第4の層のいずれか1つを少なくとも部分的に選択的に除去するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
第5の前駆体流体を使用して、横方向に第5の線幅を有して長手方向に延びる第5の線を描画するステップと、
第6の前駆体流体を使用して、横方向に第6の線幅を有して長手方向に延びる第6の線を描画するステップと、を含み、
前記第5の線及び前記第6の線は、前記第1の線及び前記第2の線とは異なる方向を長手方向として延在し、
前記第5の線及び前記第6の線は、前記第5の線幅及び前記第6の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、前記第5の線及び前記第6の線は、前記第5の線幅及び前記第6の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔し、
横方向の最大幅が前記第5の線幅及び前記第6の線幅よりも小さい第4の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が前記第5の線幅及び前記第6の線幅よりも小さい第4の凹部が形成される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第5の線の描画は、前記第5の前駆体流体を使用して、第5の層を前記第5の線として堆積するステップ、又は、前記第5の前駆体流体を使用して、第5の溝を前記第5の線としてエッチングするステップを含み、
前記第6の線の描画は、前記第6の前駆体流体を使用して、第6の層を前記第6の線として堆積するステップ、又は、前記第6の前駆体流体を使用して、第6の溝を前記第6の線としてエッチングするステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
原子層堆積及び/又は原子層エッチングによって得られるナノ構造であって、
横方向に線幅を有して長手方向に延びる線として材料層が堆積及び/又は溝がエッチングされ、
線の線幅よりも小さい横方向の最大幅を有する材料構造を含む、ナノ構造。
【請求項22】
第1の前駆体流体を使用して描画され、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線と、
第2の前駆体流体を使用して描画され、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線と、を含み、
前記第1の線及び前記第2の線は、前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、前記第1の線及び前記第2の線は、少なくとも部分的に、前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔し、
横方向の最大幅が前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される、請求項21に記載のナノ構造。
【請求項23】
前記第1の線は、前記第1の前駆体流体を使用して、第1の層を前記第1の線として堆積する、又は、前記第1の前駆体流体を使用して、第1の溝を前記第1の線としてエッチングすることにより描画され、
前記第2の線は、前記第2の前駆体流体を使用して、第2の層を前記第2の線として堆積する、又は、前記第2の前駆体流体を使用して、第2の溝を前記第2の線としてエッチングすることにより描画される、請求項22に記載のナノ構造。
【請求項24】
基板を支持するように構成された基板プレートと、
横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線、及び/又は、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線を、前記基板上に描画するように構成されたALD/ALEヘッドと、
前記ALD/ALEヘッドと前記基板とを相対的に位置決めする位置決めシステムと、
前記ALD/ALEヘッドと前記位置決めシステムを制御するように構成されたコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記第1の線及び前記第2の線が所定の量だけ横方向に部分的に重なり合うように、及び/又は、前記第1の線及び前記第2の線が少なくとも部分的に所定の量だけ互いに横方向に離隔するように、前記ALD/ALEヘッドと前記位置決めシステムを制御し、
横方向の最大幅が前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が前記第1の線幅及び前記第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される、原子層堆積及び/又はエッチングシステム。
【請求項25】
前記ALD/ALEヘッドは、前記基板に対して不動であるときに、スポットを堆積及び/又はエッチングするように構成され、
前記コントローラは、前記第1の線及び/又は前記第2の線を描画しながら、前記ALD/ALEヘッドと前記基板を線の長手方向に互いに相対的に移動させるように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラは、前記第1の線に対する前記第2の線の前記基板上の位置を制御することにより、前記第1の凸部又は前記第1の凹部の幅を制御するように構成される、請求項24又は25に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラは、前記第1の線の前記基板上の位置と前記第2の線の前記基板上の位置を個別に制御するように構成される、請求項24、25又は26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層堆積方法及びそれを用いたナノ構造の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)は、基板上にプロセス材料の薄膜を堆積させてナノスケール構造を製造する技術として知られている。ALDは一般に、表面材料(例えば基板)を順次前駆体に暴露し、前駆体を表面材料と反応させる工程を含む。
【0003】
領域選択的ALDでは、材料の薄層が基板の選択された所定の領域に堆積され、これは、基板上に局所的にのみ層を堆積するように構成された特定の堆積ヘッドを使用することで実現できる。堆積ヘッドを基板に対して相対的に移動させることにより、連続した材料の層を得ることができる。
【0004】
Z方向、すなわち基板の平面に直交する方向では、原子スケールの解像度が得られるが、X-Y平面、すなわち基板の平面に平行な面における面内解像度は、例えば50~400マイクロメートルオーダーと、制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
領域選択的原子層堆積法の面内解像度を向上させることを目的とする。
【0006】
一態様によれば、原子層堆積方法及び/又は原子層エッチング方法、特に、直接原子層堆積方法及び/又は原子層エッチングパターニング方法が提供される。本方法は、第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線を基板上に描画するステップと、第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線を基板上に描画するステップとを含む。第1の線及び第2の線は、第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、第1の線及び第2の線は、第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔し、それにより、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される。第1の線と第2の線の描画を用いて、基板上に直接パターニングすることができる。パターニングは、堆積及び/又はエッチングを含んでもよい。特に、重なり及び/又は間隙は、高解像度のパターニングを可能にする。基板は、均質な基板であってもよいし、異なる材料層及び/又は構造を含む基板であってもよい。
【0007】
任意の選択として、第1の線の描画は、第1の前駆体流体を使用して第1の層を第1の線として堆積するステップ、又は、第1の前駆体流体を使用して第1の溝を第1の線としてエッチングするステップを含む。任意の選択として、第2の線の描画は、第2の前駆体流体を使用して第2の層を第2の線として堆積するステップ、又は、第2の前駆体流体を使用して第2の溝を第2の線としてエッチングするステップを含む。したがって、各線は、堆積された層又はエッチングされた溝のいずれかによって形成されてもよい。
【0008】
よって、本態様により提供される原子層堆積方法、特に領域選択的原子層堆積方法は、第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線として、第1の層を、例えば基板上に堆積するステップと、第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線として、第2の層を、例えば基板上に堆積するステップとを含み、第1の線及び第2の線は所定の量だけ横方向に部分的に重なり合って堆積され、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成され、第1の線及び第2の線は少なくとも部分的に所定の量だけ互いに横方向に離隔して堆積され、間隙部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される。
【0009】
あるいは/さらに、本態様によれば、原子層エッチング方法、特に領域選択的原子層エッチング方法が提供される。原子層エッチング方法は、本明細書で説明する原子層堆積方法と同様であってもよく、原子層を堆積する代わりに原子溝がエッチングされる、つまり、材料層が選択的に除去される。原子層エッチング方法は、第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線として、第1の溝をエッチングするステップと、第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線として、第2の溝をエッチングするステップとを含んでもよく、第1の線及び第2の線は所定の量だけ横方向に部分的に重なり合ってエッチングされ、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成され、第1の線及び第2の線は少なくとも部分的に所定の量だけ互いに横方向に離隔してエッチングされ、間隙部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される。
【0010】
第1の線は、ALD/ALEヘッドを使用して描画、すなわち堆積又はエッチングしてもよい。ここで、ALD/ALEヘッドとは、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)及び/又は原子層エッチング(Atomic Layer Etching:ALE)用に構成されたヘッドを指す。ALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドが基板に対して不動であるときに、第1の前駆体流体を使用してスポットを堆積及び/又はエッチングするように構成されてもよい。したがって、ALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドが基板に対して不動であるときに、第1の前駆体流体を使用して線を堆積及び/又はエッチングするように構成された別のALD/ALEヘッドとは異なっていてもよい。基板に対して不動であるときに、第1の前駆体流体を使用して線を堆積及び/又はエッチングするALD/ALEヘッドは、一般に細長い堆積/エッチングスリットを有し、基板に対して相対的に移動するときには第1の前駆体流体によるブランケット堆積/エッチングに使用される。基板に対して不動であるときに、第1の前駆体流体を使用してスポットを堆積及び/又はエッチングするALD/ALEヘッドは、基板に平行な面内の全方向において同等の寸法を有する堆積/エッチングノズルを有してもよい。ノズルは、例えば円形であってもよい。基板に対して不動であるときに、第1の前駆体流体を使用してスポットを描画するALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドを基板に沿って、例えば第1の線の長手方向に移動させることにより、第1の層を線として堆積/エッチングするために使用されてもよい。第1の層の線幅は、ノズルの寸法によって決定され得ることが理解されよう。ALD/ALEヘッドは基板に対して不動であるときにスポットを堆積/エッチングするため、第1の層の線幅は、ALD/ALEヘッドが基板に対して移動する方向(x方向、y方向、又はそれらの組み合わせ)に関係なく、実質的に一定とすることができることは明らかであろう。
【0011】
第2の線は、ALD/ALEヘッドを使用して描画、すなわち堆積又はエッチングしてもよい。ALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドが基板に対して不動であるときに、第2の前駆体流体を使用してスポットを堆積及び/又はエッチングするように構成されてもよい。したがって、ALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドが基板に対して不動であるときに、第2の前駆体流体を使用して線を堆積及び/又はエッチングするように構成された別のALD/ALEヘッドとは異なっていてもよい。基板に対して不動であるときに、第2の前駆体流体を使用して線を堆積及び/又はエッチングするALD/ALEヘッドは、一般に細長い堆積/エッチングスリットを有し、基板に対して相対的に移動するときには第2の前駆体流体のブランケット堆積/エッチングに使用される。基板に対して不動であるときに、第2の前駆体流体を使用してスポットを堆積及び/又はエッチングするALD/ALEヘッドは、基板に平行な面内の全方向において同等の寸法を有する堆積/エッチングノズルを有してもよい。ノズルは、例えば円形であってもよい。基板に対して不動であるときに、第2の前駆体流体を使用してスポットを描画するALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドを基板に沿って、例えば第2の層の長手方向に移動させることにより、第2の層を線として堆積/エッチングするために使用されてもよい。第2の層の線幅は、ノズルの寸法によって決定され得ることが理解されよう。ALD/ALEヘッドは基板に対して不動であるときにスポットを堆積/エッチングするため、第2の層の線幅は、ALD/ALEヘッドが基板に対して移動する方向(x方向、y方向、又はそれらの組み合わせ)に関係なく、実質的に一定とすることができることは明らかであろう。
【0012】
任意の選択として、第1の線と第2の線は、単一のALD/ALEヘッドを使用して堆積及び/又はエッチングされる。特に、第1の前駆体流体と第2の前駆体流体が同じである場合、1つの同じALD/ALEヘッドを使用して、第1の線と第2の線を堆積/エッチングしてもよい。また、第1のALD/ALEヘッドを使用して第1の線を堆積/エッチングし、第2のALD/ALEヘッドを使用して第2の線を堆積/エッチングしてもよい。
【0013】
よって、本方法は、基板に平行なX-Y平面において、個々の堆積層の面内解像度よりも小さな幅を持つ、例えば3次元形状の製造を可能にする。本方法は、基板に対するALD/ALEヘッドの正確かつ精密な位置決め機能を利用し、個別に堆積された層及び/又はエッチングされた溝の構造解像度と比較して、製造されたナノ構造の空間解像度を向上させる。本方法により、例えば、直線状及び/又は曲線状のリッジ、直線状及び/又は曲線状の溝などの、突起及び窪みを形成する個々の第1層及び第2層のX-Y寸法より実質的に小さいX-Y平面内の寸法を有する自立型の突起及び窪みを含む、様々な形状のナノ構造を製造することができる。
【0014】
例えば、第1の層と第2の層を堆積する場合、第1の層と第2の層の重なり部に、第1の層と第2の層の幅よりも小さい幅を有する凸部を形成することができる。また、隣接する2つの層の間の、第1の層と第2の層の幅よりも小さい幅を有する間隙に、凹部を形成することができる。
【0015】
また、例えば、第1の溝と第2の溝をエッチングする場合、第1の溝と第2の溝の重なり部に、第1の溝と第2の溝の幅よりも小さい幅を有する凹部を形成することができる。また、隣接する2つの溝の間の、第1の溝と第2の溝の幅よりも小さい幅を有する間隙に、凸部を形成することができる。
【0016】
また、例えば、第1の線を堆積し、第2の線をエッチングする場合、又はその逆の場合、第1の線と第2の線の幅よりも小さい幅を有する凸部及び凹部を形成することができる。
【0017】
凸部の幅及び/又は凹部の幅は、第1の線及び第2の線を堆積/エッチングする1つ又は複数のALD/ALEヘッドの基板に対する位置を制御することによって制御することができる。第1の線及び第2の線を堆積/エッチングする1つ又は複数のALD/ALEヘッドの基板に対する位置決めは、位置決めシステムを使用して行うことができる。位置決めシステムは、ALD/ALEヘッド及び/又は基板を移動させるように構成されてもよい。コントローラは、ALD/ALEヘッド及び位置決めシステムを制御するように構成されてもよい。コントローラは、凸部の幅及び/又は凹部の幅を制御するように構成されてもよい。凸部の幅及び/又は凹部の幅は、ユーザが定義可能であってもよい。ユーザは、例えば、コントローラのユーザインタフェースで、凸部の幅及び/又は凹部の幅を設定してもよい。このようにして、例えば複数の重ね合わせた層を用いて、様々なナノ構造を製造することができる。
【0018】
第1の線及び/又は第2の線は、ALD/ALEヘッドと基板とを互いに相対的に線の長手方向に移動させることによって堆積/エッチングしてもよく、ALD/ALEヘッドは、基板に対して不動であるときに、スポットを堆積/エッチングするように構成される。本方法は、第1の線の基板上の位置と第2の線の基板上の位置を個別に制御するステップを含んでもよい。第1の凸部又は第1の凹部の幅は、第1の線に対する第2の線の基板上の位置を制御することによって制御してもよい。
【0019】
堆積/エッチングされた各線は最小幅を持っていてもよい。線の最小幅は、線の長手方向に直交する方向に定義してもよく、この長手方向は、堆積/エッチング方向、例えば印刷又は描画方向に対応してもよい。堆積/エッチング方向は、特に、ALD/ALEヘッドが材料を堆積しながら基板に対して相対的に移動する方向に関連してもよい。最小幅は、堆積/エッチングされた線の最小線幅と考えてもよい。より詳細には、最小幅は、領域選択的ALD/ALEシステムが製造できる、実際に達成可能な最小線幅と考えてもよい。堆積/エッチングされた線は、実質的に一定の幅を持ち得ることが理解されよう。堆積/エッチングされた線は、堆積/エッチングされた線の基板上での方向に関係なく、実質的に一定の幅を持つことができる。
【0020】
層の堆積及び/又は溝のエッチングはALD/ALEプリンタヘッドを有するALD/ALEシステムを使用して行ってもよい。そのようなALD/ALEシステムは、例えば、国際公開第2020/245230号(A1)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。ALD/ALEヘッドを基板に対して相対的に移動させ、様々なパターンで複数の線を堆積/エッチングすることで、例えば、マイクロスケール及びナノスケールの電気機械システム、光電子システム、光機械システム、又はそれらの組み合わせの製造に使用する、ナノピラー、ナノリッジ、ナノホールを含む様々なナノ構造を作成することができる。
【0021】
第1の層/溝と第2の層/溝は部分的に重なっていてもよい。したがって、第1の線と第2の線との重なり部は、第1の線の一部と第2の線の一部のみに及ぶ。したがって、重なり部は第1の線全体にも第2の線全体にも及ばない。例えば、第2の線の一部だけが第1の線を覆っている場合、第1の線の一部だけが第2の線で覆われることになる。例えば、第1の線は、第1の線が第2の線によって覆われる重なり領域と、第1の線が第2の線によって覆われない非重なり領域とを含む。したがって、この例では、第2の線は、第2の線が第1の線を覆う重なり領域と、第2の線が第1の線を覆わない非重なり領域とを含んでもよい。重なり量は、基板に対してALD/ALEヘッドを適切に位置決めすることによって選択してもよい。
【0022】
重なり量は事前に決定してもよいが、線全体を含まない。重なり量は、例えばALD/ALEヘッド及び/又は基板を適切に位置決めすることによって調整してもよい。
【0023】
任意の選択として、第1の凸部又は第1の凹部の最大幅は、第1の線幅又は第2の線幅の最大50%、好ましくは最大25%、より好ましくは最大10%、さらに好ましくは最大5%である。
【0024】
任意の選択として、第1の線と第2の線は、細長い第1の凸部及び/又は第1の凹部を形成するために、少なくともその長さの一部に沿って互いに平行に延在する。したがって、狭いリッジや狭い溝を作製することができる。第1の線と第2の線が堆積された場合、第1の線と第2の線の重なり部にリッジが形成され、第1の線と第2の線の間の間隙に溝が形成される。第1の線と第2の線がエッチングされた場合、第1の線と第2の線の重なり部に溝が形成され、第1の線と第2の線の間の間隙にリッジが形成される。例えば、第1の層と第2の層は、長手方向に延在し、長手方向に直交する幅方向に部分的に重なり合う平行な線として、連続して堆積されてもよい。この場合、第2の層が第1の層に部分的に重なっても、その逆でもよい。あるいは、第1の層と第2の層は、長手方向に延在し、長手方向に直交する幅方向に互いに離隔する平行な線として、連続して又は同時に堆積されてもよい。第1の線及び第2の線は直線及び/又は曲線であってもよい。
【0025】
例えば、1つ又は複数のさらなる線を第2の線に重ねて堆積及び/又はエッチングして、さらなるリッジや溝を形成してもよい。このようにして、各々が個々の堆積された線の幅よりも小さい幅を有する、複数の平行なリッジ及び/又は溝を形成することができる。
【0026】
第1の線及び第2の線は、非平行な線、例えば1つ又は複数の位置で部分的に重なる曲線として堆積/エッチングしてもよい。第1の層又は溝及び第2の層又は溝もまた、非平行な線、例えば1つ又は複数の位置で部分的に重なる曲線として堆積又はエッチングしてもよい。
【0027】
任意の選択として、第1の層又は溝は、一定の第1の線幅を有する第1の線として堆積又はエッチングされ、第2の層又は溝は、一定の第2の線幅を有する第2の線として堆積又はエッチングされる。第1の線幅と第2の線幅は等しくてもよいし、異なつていてもよい。線幅は、X-Y平面において、特に、例えば印刷方向によって決定する線の長さ方向に直交する方向で定義され、堆積/エッチングヘッドの特性に依存する。
【0028】
任意の選択として、第1の線は直線部分を含み、及び/又は第2の線は直線部分を含む。第1の線と第2の線は、例えば、互いに平行に真っ直ぐに延在してもよい。
【0029】
任意の選択として、第1の層は第1の材料の層であり、第2の層は第1の材料とは異なる第2の材料の層である。任意の選択として、第1の前駆体流体は第1の材料であり、第2の前駆体流体は第2の材料である。これにより、例えば、電荷の輸送を方向付けるための導電性又は絶縁性の経路を形成したり、電荷キャリアを生成して輸送するための光活性表面を形成したりするなど、多材料構造を形成することができる。異なる材料を使用することにより、得られるナノ構造の電子的、機械的、光学的特性を調整することができる。
【0030】
任意の選択として、第1の線は第1の温度で堆積又はエッチングされ、第2の線は第1の温度とは異なる第2の温度で堆積又はエッチングされる。
【0031】
任意の選択として、第1の材料の第1の層は第1の温度で堆積され、第2の材料の第2の層は第1の温度とは異なる第2の温度で堆積される。
【0032】
任意の選択として、本方法は、第3の前駆体流体を使用して、横方向に第3の線幅を有して長手方向に延びる第3の線を描画するステップを含み、第3の線は、第2の線に所定の量だけ横方向に部分的に重なり、最大幅が第1、第2及び第3の線幅よりも小さい第2の凸部及び/又は第2の凹部が形成される。
【0033】
任意の選択として、第3の線の描画は、第3の前駆体流体を使用して、第3の層又は第3の溝を第3の線として堆積又はエッチングするステップを含む。
【0034】
任意の選択として、本方法は、第3の前駆体流体を使用して第3の層を堆積するステップを含む。第3の層は、横方向に第3の線幅を有して長手方向に延びる第3の線として堆積されてもよく、第3の線は、第2の線に所定の量だけ横方向に部分的に重なるように堆積され、例えば、第2の線との重なり部において、最大幅が第1、第2及び第3の線幅よりも小さい第2の凸部又は第2の凹部が形成される。
【0035】
任意の選択として、本方法は、第3の前駆体流体を使用して第3の溝をエッチングするステップを含む。第3の溝は、横方向に第3の線幅を有して長手方向に延びる第3の線としてエッチングされてもよく、第3の線は、第2の線に所定の量だけ横方向に部分的に重なるようにエッチングされ、例えば、第2の線との重なり部において、最大幅が第1、第2及び第3の線幅よりも小さい第2の凸部又は第2の凹部が形成される。第3の線は、第1の線や第2の線と同様であってもよい。したがって、第1の線又は第2の線に関連して説明した特徴は、第3の線にも同様に適用できる。
【0036】
例えば、第1、第2及び第3の層及び/又は溝は、長手方向に延在し、長手方向に直交する幅方向に部分的に重なり合う平行な線として、連続して堆積及び/又はエッチングされてもよい。この場合、第2の層は第1の層に部分的に重なり、第3の層は第2の層に部分的に重なる。重なり量は、例えば、層及び/又は溝を堆積及び/又はエッチングする際に、ALD/ALEヘッドを適切に位置決めすることによって、予め決定することができる。
【0037】
任意の選択として、第2の凸部及び/又は第2の凹部の幅は、第1の凸部及び/又は第1の凹部の幅と等しい。これにより、重なり合う層の規則的なパターンを形成して、例えばリッジを形成することができる。
【0038】
任意の選択として、第3の層は、第1の層に所定の量だけ部分的に重なる。これにより、例えば段差構造を形成するために、第3の層を第1の層及び第2の層に重ねてよい。この場合、第3の層は第1の層と接触する必要はないことが理解されよう。第3の層は、例えば、第1の層の一部上に堆積された第2の層の一部上に堆積されてもよい。例えば、重なり部で層が積層された、第1、第2及び第3の層が重なる重なり領域が存在してもよい。
【0039】
任意の選択として、第3の層と第1の層との重なり量は、第1の層と第2の層との重なり量よりも小さい。これにより、段差構造を形成することができる。
【0040】
任意の選択として、第1の凸部と第2の凸部との間の横方向の距離は、第1、第2、又は第3の線幅よりも小さい。任意の選択として、第1の凹部と第2の凹部との間の横方向の距離は、第1、第2、又は第3の線幅よりも小さい。これにより、複数のナノ構造、例えば複数のリッジ及び/又は溝を、ALD/ALEヘッドの最小線幅よりも小さいスペース(X及び/又はY)内に製造することができる。
【0041】
任意の選択として、第3の線は、第1の線から横方向に離隔して配置される。したがって、第3の線は第1の線とは重ならない。このようにして、例えば、第1の線、第2の線及び第2の線が堆積される場合に、第1の線と第2の線とが重なる重なり領域と第2の線と第3の線とが重なる重なり領域との間に画定される、横方向に、第1、第2、又は第3の線幅よりも小さい幅を有する凹部が形成されてもよい。
【0042】
任意の選択として、本方法は、第4の前駆体流体を使用して、横方向に第4の線幅を有して長手方向に延びる第4の線を描画するステップを含み、第4の線は、第2の線から所定の量だけ横方向に離隔し、最大幅が第1、第2及び第4の線幅よりも小さい第3の凹部及び/又は第の3凸部が形成される。
【0043】
任意の選択として、本方法は、第4の前駆体流体を使用して第4の層又は溝を堆積及び/又はエッチングするステップを含み、第4の層又は溝は第4の線として堆積又はエッチングされる。
【0044】
任意の選択として、本方法は、第4の前駆体流体を使用して第4の層を堆積するステップを含み、第4の層は、横方向に第4の線幅を有して長手方向に延びる第4の線として堆積され、第4の線は、少なくとも部分的に第2の線から所定の量だけ横方向に離隔して堆積され、第4の線と第2の線の間の間隙部に、第1、第2及び第4の線幅よりも小さい最大幅を有する第3の凹部が形成される。
【0045】
任意の選択として、本方法は、第4の前駆体流体を使用して第4の溝をエッチングするステップを含み、第4の溝は、横方向に第4の線幅を有して長手方向に延びる第4の線としてエッチングされ、第4の線は、少なくとも部分的に第1、第2及び第4の線幅よりも小さい所定の量だけ第2の線から横方向に離隔してエッチングされる。したがって、第4の線は第2の線から離隔して配置されてもよく、第2の線は第1の線と部分的に重なってもよいし、第1の線から離隔して配置されてもよい。例えば、第1、第2及び第4の層は、長手方向に延びる平行な線として連続して堆積され、第1の線と第2の線は長手方向に直交する幅方向に部分的に重なり合ってもよい。この場合、第2の線は第1の線と部分的に重なり、第4の線は幅方向において第2の線から横方向に離隔して、第4の線と第2の線との間に、堆積された線のいずれかの最小幅よりも小さい間隙幅を有する間隙を画定する。あるいは、例えば、第1、第2及び第4の層は、長手方向に互いに隣接して延在する平行な線として連続して又は同時に堆積され、第1、第2及び第4の層は、長手方向に直交する幅方向において互いに横方向に離隔して配置されてもよい。連続する層の間の間隔部は、例えば、規則的なパターンの窪みを形成するために等しくてもよい。
【0046】
ALD/ALE法は、基板の平面に直交するZ方向の厚さ要件に応じて、複数の第1、第2、第3及び/又は第4の層及び/又は溝を堆積及び/又はエッチングするステップを含んでもよいことが理解されよう。
【0047】
本方法は、例えば、複数の第1の層をZ方向に積層するステップ、及び/又は複数の第2の層をZ方向に積層するステップを含む。積層ステップは、複数の層を互いの上に堆積する正のZ方向に行われるものでも、複数の溝を互いの下にエッチングする負のZ方向に行われるものでもよい。積層された個々の層又は溝の縁部がずれることにより、ナノ構造の縁部がわずかに傾斜することがある。傾斜した縁部の相互オフセット又は重なりを利用して、凹部又は凸部を製造することができる。例えば、凹部又は凸部は、積層された第1の層又は溝と積層された第2の層又は溝との間に形成されてもよい。複数の同一幅の層又は溝をZ方向に積層する場合、横方向のアライメントのずれを利用してナノ構造の側壁の形状を形成することができる。ナノ構造の側壁の形状は、幅の異なる複数の線を積層することによっても形成できる。
【0048】
任意の選択として、ALD/ALE法は、第1、第2、第3及び/又は第4の層を堆積した後、第1、第2、第3、第4の層のいずれか1つを少なくとも部分的に選択的に除去するステップを含む。このようにして、例えばナノ構造内に空洞を形成することができる。堆積された層のうちの1つ又は複数は、除去することを前提に形成された犠牲層であってもよい。層は、例えばエッチングによって除去されてもよい。例えば堆積された層がそれぞれ異なる材料である場合、材料選択エッチングを使用してもよい。
【0049】
別の態様によれば、原子層堆積及び/又はエッチング方法が提供される。本方法は、第5の前駆体流体を使用して、横方向に第5の線幅を有して長手方向に延びる第5の線を描画するステップと、第6の前駆体流体を使用して、横方向に第6の線幅を有して長手方向に延びる第6の線を描画するステップとを含み、第5の線及び第6の線は、第1の線及び第2の線とは異なる方向を長手方向として延在し、第5の線及び第6の線は、第5の線幅及び第6の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、第5の線及び第6の線は、第5の線幅及び第6の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔し、それにより、横方向の最大幅が第5の線幅及び第6の線幅よりも小さい第4の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が第5の線幅及び第6の線幅よりも小さい第4の凹部が形成される。第5の線及び/又は第6の線は、第1の線及び/又は第2の線に対して、例えば、直交して、斜めに、又はその他の異なる方向に延在してもよい。
【0050】
したがって、本態様により提供される原子層堆積及び/又はエッチング方法は、第5の前駆体流体を使用して、横方向に第5の線幅を有して長手方向に延びる第5の線として、第5の層又は溝を堆積又はエッチングするステップと、第6の前駆体流体を使用して、横方向に第6の線幅を有して長手方向に延びる第6の線として、第6の層又は溝を堆積又はエッチングするステップとを含み、第5の線及び第6の線は、第1の線及び第2の線とは異なる方向を長手方向として延在する。第5の線及び/又は第6の線は、第1の線及び/又は第2の線に対して、例えば、直交して、斜めに、又はその他の異なる方向に延在してもよい。
【0051】
よって、本態様により提供される原子層堆積方法は、第5の前駆体流体を使用して、横方向に第5の線幅を有して長手方向に延びる第5の線として、第5の層を、例えば基板上に堆積するステップと、第6の前駆体流体を使用して、横方向に第6の線幅を有して長手方向に延びる第6の線として、第6の層を、例えば基板上に堆積するステップとを含み、第5の線及び第6の線は、第1の線及び第2の線とは異なる方向を長手方向として延在する。第5の線及び/又は第6の線は、第1の線及び/又は第2の線に対して、例えば、直交して、斜めに、又はその他の異なる方向に延在してもよい。第5の線及び第6の線は所定の量だけ横方向に部分的に重なり合って堆積され、重なり部において、横方向の最大幅が第5の線幅又は第6の線幅よりも小さい第4の凸部が形成される、及び/又は、第5の線及び第6の線は少なくとも部分的に所定の量だけ互いに横方向に離隔して堆積され、間隙部において、横方向の最大幅が第5の線幅又は第6の線幅よりも小さい第4の凹部が形成される。
【0052】
また、本態様により提供される原子層エッチング方法は、第5の前駆体流体を使用して、横方向に第5の線幅を有して長手方向に延びる第5の線として、第5の溝をエッチングするステップと、第6の前駆体流体を使用して、横方向に第6の線幅を有して長手方向に延びる第6の線として、第6の溝をエッチングするステップとを含み、第5の線及び第6の線は、第1の線及び第2の線とは異なる方向を長手方向として延在する。第5の線及び/又は第6の線は、第1の線及び/又は第2の線に対して、例えば、直交して、斜めに、又はその他の異なる方向に延在してもよい。第5の線及び第6の線は所定の量だけ横方向に部分的に重なり合ってエッチングされ、重なり部において、横方向の最大幅が第5の線幅又は第6の線幅よりも小さい第4の凹部が形成される、及び/又は、第5の線及び第6の線は少なくとも部分的に所定の量だけ互いに横方向に離隔して堆積され、間隙部において、横方向の最大幅が第5の線幅又は第6の線幅よりも小さい第4の凸部が形成される。
【0053】
ALD/ALE法は、基板の平面に直交するZ方向の厚さ要件に応じて、複数の第1、第2、第3、第4、第5及び/又は第6の層及び/又は溝を堆積及び/又はエッチングするステップを含んでもよいことが理解されよう。
【0054】
別の態様によれば、本明細書に記載の原子層堆積及び/又はエッチング方法によって得られるナノ構造が提供される。
【0055】
特に、原子層堆積及び/又はエッチングによって得られるナノ構造であって、横方向に線幅を有して長手方向に延びる材料線として材料層が堆積及び/又は溝がエッチングされ、線の線幅よりも小さい横方向の最大幅を有する材料構造を含むナノ構造が提供される。
【0056】
任意の選択として、ナノ構造は、第1の前駆体流体を使用して描画され、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線と、第2の前駆体流体を使用して描画され、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線とを含み、第1の線及び第2の線は、第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、及び/又は、第1の線及び第2の線は、少なくとも部分的に、第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔し、それにより、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される。
【0057】
任意の選択として、第1の線の描画は、第1の前駆体流体を使用して第1の層又は溝を第1の線として堆積又はエッチングするステップを含み、第2の線の描画は、第2の前駆体流体を使用して第2の層又は溝を第2の線として堆積又はエッチングするステップを含む。
【0058】
任意の選択として、ナノ構造は、第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線として堆積される第1の層と、第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線として堆積される第2の層とを含む。第1の線及び第2の線は所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される、及び/又は、第1の層及び第2の層は、少なくとも部分的に、所定の量だけ互いに横方向に離隔し、間隙部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい凹部が形成される。
【0059】
任意の選択として、ナノ構造は、第1の前駆体流体を使用して、横方向に第1の線幅を有して長手方向に延びる第1の線としてエッチングされる第1の溝と、第2の前駆体流体を使用して、横方向に第2の線幅を有して長手方向に延びる第2の線としてエッチングされる第2の溝とを含む。第1の線及び第2の線は所定の量だけ横方向に部分的に重なり合い、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成される、及び/又は、第1の溝及び第2の溝は、少なくとも部分的に、所定の量だけ互いに横方向に離隔し、間隙部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい凸部が形成される。
【0060】
一態様によれば、例えば、本明細書に記載される任意の方法に従って、原子層堆積及び/又はエッチング方法が提供される。本方法は、長手方向に延在し、少なくとも部分的に長手方向に重なり合う平行な線として、複数の層及び/又は溝を堆積及び/又はエッチングするステップを含み、線の端部は、長手方向に厚さが変化する材料層が形成されるように、所定の量だけ長手方向に互いにシフトされる。例えば、それぞれの線は異なる長さを有してもよく、及び/又は互いに相対的にシフトされてもよい。従って、線を重ね合わせることにより、材料層の厚さを長手方向に段階的に増加及び/又は減少させることができる。材料の厚さは、例えば、徐々に増加又は減少してもよい。
【0061】
本明細書に記載される方法は、原子層堆積システム及び/又は原子層エッチングシステムを使用して実行してもよいことが理解されよう。例示的なALD/ALEシステムは、基板を保持するための基板プレートと、基板プレートと対向して配置されたALD/ALEヘッド、例えばプリンタヘッドとを含んでもよい。ALD/ALEヘッドは、例えばヘッドプレートに設けられる、1つ又は複数の第1の出口開口部を含む複数の開口部と、第1の出口開口部に接続され、第1の出口開口部を通して第1の前駆体流体を基板上に導く1つ又は複数の第1の供給チャネルとを含んでもよい。1つ又は複数の第1の出口開口部はそれぞれ、ALD/ALEヘッドが基板プレートに対して不動であるときに、第1の前駆体流体をスポットとして供給するように構成されてもよい。1つ又は複数の第1の出口開口部はそれぞれ、基板プレートに平行な面内の全方向において同等の寸法を有してもよい。1つ又は複数の第1の出口開口部は円形であってもよい。
【0062】
本システムはまた、1つ又は複数の第2の出口開口部と、第2の出口開口部に接続され、第2の出口開口部を通して第2の前駆体流体を基板上に導く1つ又は複数の第2の供給チャネルとを含んでもよい。1つ又は複数の第2の出口開口部はそれぞれ、ALD/ALEヘッドが基板プレートに対して不動であるときに、第2の前駆体流体をスポットとして供給するように構成されてもよい。1つ又は複数の第2の出口開口部はそれぞれ、基板プレートに平行な面内の全方向において同等の寸法を有してもよい。1つ又は複数の第2の出口開口部は円形であってもよい。本システムはまた、1つ又は複数の第3の出口開口部と、第3の出口開口部に接続され、第3の出口開口部を通して不活性流体を基板上に導く1つ又は複数の第3の供給チャネルとを含んでもよい。
【0063】
ALD/ALEヘッドは、例えば、互いに直交するX軸とY軸によって定義されるX-Y平面において、基板プレートに対して相対的に、例えば軸に沿って移動可能であってもよく、任意でX-Y平面に垂直なZ軸に沿って移動可能であってもよい。システムは、ALD/ALEヘッド及び/又は基板を移動させるように構成された位置決めシステムを含んでもよい。
【0064】
一態様によれば、原子層堆積及び/又はエッチングシステム、特にパターニングシステムが提供される。本システムは、基板を支持するように構成された基板プレートと、基板上に第1の線及び/又は第2の線を描画、例えば堆積及び/又はエッチングするように構成されたALD/ALEヘッドとを含み、第1の線は横方向に第1の線幅を有して長手方向に延在し、第2の線は横方向に第2の線幅を有して長手方向に延在する。本システムは、ALD/ALEヘッドと基板とを相対的に位置決めする位置決めシステムを備える。本システムはコントローラを備え、コントローラは、第1の線及び第2の線が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい所定の量だけ横方向に部分的に重なり合って描画されるように、及び/又は、第1の線及び第2の線が少なくとも部分的に第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい所定の量だけ互いに横方向に離隔して描画されるように、ALD/ALEヘッド及び位置決めシステムを制御し、それにより、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部又は凹部が形成される、及び/又は、間隙部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部及び/又は凸部が形成される。
【0065】
任意の選択として、ALD/ALEヘッドは、基板に対して不動であるときに、スポットを堆積及び/又はエッチングするように構成され、コントローラは、第1の線及び/又は第2の線を堆積及び/又はエッチングしながら、ALD/ALEヘッドと基板を線の長手方向に互いに相対的に移動させるように構成される。
【0066】
任意の選択として、コントローラは、第1の線に対する第2の線の基板上の位置を制御することにより、第1の凸部又は第1の凹部の幅を制御するように構成される。
【0067】
任意の選択として、コントローラは、第1の線の基板上の位置と第2の線の基板上の位置を個別に制御するように構成される。
【0068】
同一のALD/ALEヘッドを使用して第1の線及び第2の線を描画してもよい。あるいは、第1のALD/ALEヘッドを使用して第1の線を描画し、第2のALD/ALEヘッドを使用して第2の線を描画してもよい。第1及び第2のALD/ALEヘッドは同じものであってもよい。
【0069】
本明細書で説明される態様、特徴、及び選択肢は、いずれも1つ又は複数を組み合わせることが可能であることが理解されよう。特に、原子層堆積法の観点から説明された態様、特徴、及び選択肢のいずれも、ナノ構造及びシステムに等しく適用され、その逆もまた同様であることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
以下、次の添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【
図1A】原子層堆積及び/又はエッチング方法によって形成された例示的なナノ構造の概略断面図である。
【
図1B】原子層堆積及び/又はエッチング方法によって形成された例示的なナノ構造の概略断面図である。
【
図2】原子層堆積及び/又はエッチング方法によって形成された例示的なナノ構造の概略断面図である。
【
図3】原子層堆積及び/又はエッチング方法による例示的なナノ構造の概略断面図である。
【
図4A】原子層堆積及び/又はエッチング方法を用いた例示的なナノ構造の形成を模式的に示す図である。
【
図4B】原子層堆積及び/又はエッチング方法を用いた例示的なナノ構造の形成を模式的に示す図である。
【
図4C】原子層堆積及び/又はエッチング方法を用いた例示的なナノ構造の形成を模式的に示す図である。
【
図5A】原子層堆積及び/又はエッチング方法を用いた例示的なナノ構造の形成を模式的に示す図である。
【
図5B】原子層堆積及び/又はエッチング方法を用いた例示的なナノ構造の形成を模式的に示す図である。
【
図5C】原子層堆積及び/又はエッチング方法を用いた例示的なナノ構造の形成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1A及び
図1Bは、原子層堆積(ALD/ALE)法によって得られる例示的なナノ構造の概略断面図であり、基板50の選択的な第1の領域に第1の層100が堆積されている状態を示す。第1の層100は、例えば、国際公開第2020/245230号(A1)に記載されているような、堆積ヘッドを使用して堆積してもよい。
【0072】
この例では、第1の層100は、Z方向に測定される原子スケールの厚さを有する。基板の平面(X-Y平面)において、第1の層100は、ここではX方向に測定される第1の幅を有する。この例では、第1の幅は約50マイクロメートルである。
【0073】
第1の層100を堆積した後、第1の層100が堆積された第1の領域とは異なる基板の選択的な第2の領域に、第2の層200が堆積される。この例では、第2の層200は、Z方向に測定される原子スケールの厚さを有する。基板の平面(X-Y平面)において、第2の層200は、ここではX方向に測定される第2の幅を有する。この例では、第2の幅は約50マイクロメートルである。
【0074】
この例では、
図11に示すように、原子層堆積(ALD)及び/又は原子層エッチング(ALE)システム600(以下、ALD/ALEシステム600という)を使用して層を堆積する。ここで、ALD/ALEシステム600は、ALD/ALEヘッド610と、基板50を支持するための基板プレート620とを含む。ALD/ALEシステム600は、ALD/ALEヘッド610を基板50に対して相対的に移動させるように構成された位置決めシステム630を含む。
【0075】
ALD/ALEヘッド610は、第1及び/又は第2の前駆体流体の流れ640を基板50に導くことによって、第1及び/又は第2の層を堆積するように構成されている。あるいは又はさらに、ALD/ALEヘッド610は、第1及び/又は第2の前駆体流体の流れ640を基板50に導くことによって、基板に第1及び/又は第2の溝をエッチングするように構成されてもよい。
【0076】
ここで、ALD/ALEシステム600は、ALD/ALEヘッド610及び位置決めシステム630を制御するように構成されたコントローラを含む。したがって、コントローラ650は、ALD/ALEヘッドが第1及び/又は第2の層を堆積する、又は第1及び/又は第2の溝をエッチングする基板上の位置を決定してもよい。
【0077】
この例では、第1の層100は、ALD/ALEヘッド610を使用して堆積される。ALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドが基板50に対して不動であるときに、第1の前駆体をスポットとして基板に供給するように構成される。スポットサイズは実質的に第1の幅に等しい。ここで、基板上の堆積又はエッチングのスポットサイズは直径約50マイクロメートルである。ここで、スポットは基板上の全方向において同等の寸法を持つ。この例では、スポットはほぼ円形である。第1の前駆体を連続的に供給しながらALD/ALEヘッド610を基板50に対して相対的に移動させることにより、幅として第1の幅、ここでは約50マイクロメートルと、ALD/ALEヘッドの基板プレートに対する相対的な移動により決定される長さ(ここではY方向の長さ)を有する線が堆積又はエッチングされる。よって、ALD/ALEシステムは、堆積及び/又はエッチングによる基板上のパターニングを可能にする。この例では、第2の層200は、同一の又は異なるALD/ALEヘッドを使用して堆積される。ALD/ALEヘッドは、ALD/ALEヘッドが基板に対して不動であるときに、第2の前駆体をスポットとして基板に供給するように構成される。スポットサイズは実質的に第2の幅に等しい。ここで、基板上の堆積又はエッチングのスポットサイズは直径約50マイクロメートルである。ここで、スポットは基板上の全方向において同等の寸法を持つ。この例では、スポットはほぼ円形である。第2の前駆体を連続的に供給しながらALD/ALEヘッドを基板に対して相対的に移動させることにより、幅として第2の幅、ここでは約50マイクロメートルと、ALD/ALEヘッドの基板プレートに対する相対的な移動により決定される長さ(ここではY方向の長さ)を有する線が堆積又はエッチングされる。よって、ALD/ALEシステムは、堆積及び/又はエッチングによる基板上のパターニングを可能にする。ALD/ALEヘッドを基板プレートに対して位置決めするための位置決めシステムを設けてもよい。コントローラ650は、第2の線が第1の線と一定量だけ横方向に重なるように、第1の線の位置に対して第2の線を位置決めするように構成され、それにより、堆積時に、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凸部が形成される。あるいは又はさらに、コントローラ650は、第1の線と第2の線が一定量だけ互いに離隔するように、第1の線の位置に対して第2の線を位置決めするように構成され、それにより、堆積時に、重なり部において、横方向の最大幅が第1の線幅及び第2の線幅よりも小さい第1の凹部が形成されてもよい。コントローラ650は、第1及び/又は第2の線を、直線、曲線、直線部分及び/又は曲線部分を有する連続線などとして位置決めするように構成されてもよい。
【0078】
図1Aの例では、第2の層200は、第1の層100と部分的に重なっている。これにより、第1の層100と第2の層200との間に重なり領域150が形成される。第1の層100及び第2の層200は部分的にのみ重なり合うため、第1の層100及び第2の層200は、層が重なり合わない非重なり領域も含む。
【0079】
重なり領域150において、堆積された材料の厚さは、第1の層の厚さと第2の層の厚さの合計に相当する。したがって、重なり領域150には、凸部160が形成される。重なり領域150の外側では、堆積された材料の厚さは小さくなり、例えば、第1の層又は第2の層の厚さのいずれかになる。
【0080】
X方向における凸部160の幅は、例えば、第2の層を堆積する際に、第1の層に対してALD/ALEヘッドを適宜位置決めすることによって調整することができる。重なり合う層によって形成される凸部の幅は、第1の層100及び第2の層200のそれぞれの幅よりも小さい。
【0081】
この例では、第1の層100及び第2の層200は、それぞれ、
図1の面内に向かう長手方向(ここではY方向)に延びる第1の線及び第2の線として堆積される。X方向における層の幅は実質的に固定であり、堆積ヘッド610の特性に依存する。特に、X方向における層の幅は、ここではALD/ALEヘッドによる堆積のスポットサイズに依存する。材料を堆積しながら基板50に対して堆積ヘッドを長手方向に移動させることによって、線構造を堆積することができる。したがって、第1の層のY方向の長さは、基板50と堆積ヘッド610との間の相対的な動きによって調整することができる。これにより、この例では、重なり領域150は、
図1の面内に向かう長手方向に延びるリッジを形成する。ナノ構造は、Z方向の厚さ要件に応じて積層された複数の第1及び第2の層を含んでもよいことが理解されよう。
【0082】
図1Bでは、第1の層100と第2の層100は、その間に間隙部120を形成するように互いに離隔している。間隙部120は、第1の層100及び第2の層200のそれぞれの幅よりも小さい間隙幅を有する。間隙幅は、例えば、ALD/ALEヘッドを使用して事前に決定することができる。これにより、第1の層100と第2の層200との間に凹部170が形成される。
【0083】
この例では、第3の層300も堆積され、第3の層300は、ここでは第1の層100及び第2の層200と重なる。この例では、2つの重なり領域の間、つまり、第3の層300の第1の層100との重なり領域と第3の層300の第2の層200との重なり領域の間に、凹部が形成される。凹部の幅は間隙幅に等しい。ナノ構造は、Z方向の厚さ要件に応じて積層された複数の第1、第2及び第3の層を含んでもよいことが理解されよう。
【0084】
図2は、原子層堆積(ALD/ALE)法によって得られる別の例示的なナノ構造の概略断面図であり、このナノ構造は
図1に示すものと類似している。この例では、
図1に示す例の重なり領域150と比較して、第1の層100と第2の層200との重なり領域150が大きい。また、第3の層300が堆積され、第3の層300は第2の層200と部分的に重なる。この例では、規則的なパターンを形成するように、重なり領域150は、第3層300と第2層200との重なり領域250と等しい。この例では、第3の層300は第1の層100とも部分的に重なる。したがって、重なり領域150と重なり領域250の重なり部では、第1層、第2層、第3層がZ方向に積層される。
【0085】
さらに、第4の層400が堆積され、同様に、第4の層400は第3の層300と部分的に重なり、その重なり領域350はここでは前述の重なり領域150、250と等しい。第4の層400はまた、第2の層200とも部分的に重なる。ナノ構造は、より多くの層を追加することによって拡張できることが理解さされよう。ナノ構造は、Z方向の厚さ要件に応じて積層された複数の第1、第2及び第3の層を含んでもよいことが理解されよう。
【0086】
したがって、重なり合う層のアレイが堆積され、実質的に平坦な上面と、例えば規則的に段差のある縁部を有するナノ構造が形成される。
【0087】
図3は、複数の第1の層100及び複数の第2の層200がZ方向に積層され、それぞれ第1の積層部110及び第2の積層部210を形成する例示的なナノ構造を示す。この例では、積層された第2の層200の第2の積層部210は、積層された第1の層100の第1の積層部110と部分的に重なる。各積層部の個々の層の縁部がずれることにより、積層部の縁部がわずかに傾斜することがある。
【0088】
積層された層の横方向のアライメントのずれを利用してナノ構造の側壁の形状を形成することができる。積層部の個々の層は、例えば、互いに横方向にずれて配置されてもよい。積層された層を部分的に重ね合わせることで、さまざまなナノ構造を作成できる。
【0089】
図3に示す例では、第1の積層部110は8つの第1の層100を含み、第2の積層部210は8つの同一幅の第2の層200を含み、第2の積層部210は第1の積層部110と部分的に重なっている。2つの積層部の間には、Z方向に幅が変化する凹部が形成される。
【0090】
図4A~
図4Cは、例示的なALD/ALE法を示しており、
図4Aに示す第1段階では、複数(ここでは4つ)の層が、Y方向を長手方向として延びる線として重なるように連続して堆積される。ここで、線は平行に、図の面内に向かって延びている。各線は、部分的に前回堆積された線の上に堆積される。したがって、各線は横方向(ここではX方向)において隣接する線と部分的に重なり、重なり領域において、この例では3本の平行なリッジのアレイが形成され、各リッジは、堆積した線の線幅よりも非常に小さい幅を有する。
【0091】
図4Bに示す例示的な方法の第2段階では、さらに複数(ここでは4つ)の層が、Y方向を長手方向として延びる線として、第1段階で堆積された層の上に堆積される。より詳細には、この例では、方法の第1段階と第2段階は同様であるが、第2段階では、線が所定の量だけ横方向であるX方向にシフトしており、そのため、方法の第1段階で形成されたリッジの間に平行なリッジのアレイが形成される。したがって、この例では、単一の堆積された線の幅内に 2つのリッジが形成される。より一般的には、この方法では、複数(例えば、2、3、4、5、6、8、10、20以上)のナノ構造、例えば、複数のリッジ又は他の構造を、ALD/ALEヘッドの最小線幅よりも小さいスペース(X及び/又はY)内に製造できることが理解されよう。
【0092】
この例では、例示的な方法の第3段階及び第4段階は、堆積する線の長手方向の向きを変更して(この例ではZ軸を中心に90度回転させて)、それぞれ実質的に第1段階及び第2段階を繰り返す。したがって、この例では、第1及び第2段階では、堆積される線はY方向を長手方向として延びる線であり、第3及び第4段階では、堆積される線はX方向を長手方向として延びる線である。第3段階及び第4段階において、線の向きは直角ではなく他の方向でもよいことが理解されよう。
【0093】
図4Cは、重ね合わせた線の概略的な高さマップを示す。変化する厚さプロファイルを持つナノ構造が作成される。この例では、X-Y平面において規則的に分布した自立型ナノピラーの格子が形成され、X-Y平面における各ナノピラーの幅寸法は、個別に堆積された線の幅寸法よりも非常に小さい。ナノピラーは、この例では積層された6つの層によって形成される。ナノピラーは、特にリッジの交差部に形成され、各リッジは、堆積されたいずれの線よりも小さい幅を有する。
図4A~4Cの例では、Z方向における構造の厚さを増加させるために、方法のステップを、例えば同様に繰り返してもよいことは明らかであろう。
【0094】
図5Aは、原子層堆積及び/又はエッチング方法によって得られる別の例示的なナノ構造の概略断面図である。この例では、ブランケット層100が基板上に堆積される。ここでは、第1の溝200と第2の溝300がそれぞれ第1の線と第2の線としてエッチングされ、第1の溝と第2の溝との間に間隙部120が設けられる。ここで、第1の溝200と第2の溝300のエッチングにより、ブランケット層100の材料が選択的に除去される。ここでは基板50の中央部の、第1の溝200と第2の溝300との間の間隙部120に、自立型の凸部が形成される。また、ここでは、第1の線100の横方向の両端に、さらに2つの自立型の凸部が形成される。
【0095】
図5Bは、原子層堆積及び/又はエッチング方法によって得られる別の例示的なナノ構造の概略断面図である。ここで、第1の層100は第1の線として堆積され、第2の層200は第2の線として堆積され、第1の層100と第2の層200との間に間隙部120を画定するための間隙が設けられる。ここで、第3の溝300と第4の溝400が、それぞれ第3の線と第4の線としてエッチングされる。第3の線300と第4の線400のエッチングにより、第1の層100と第2の層200の材料がそれぞれ除去され、間隙部120によって隔てられた、ここでは等しい幅150を有する2つの自立型の凸部が得られる。2つの自立型の凸部は、第1、第2、第3及び第4の線の線幅よりも小さい幅を有する。また、間隙部120の幅は、第1、第2、第3及び第4の線の線幅よりも小さい。ここで、第1、第2、第3及び第4の線は等しい線幅を有する。
【0096】
図5Cは、原子層堆積及び/又はエッチング方法によって得られる別の例示的なナノ構造の概略断面図である。ここで、第1の層100と第2の層200は、それぞれ比較的幅の広い第1の線と第2の線として互いに重なるように、すなわち積層されるように堆積される。第3の溝300と第4の溝400は、ここでは、それぞれ第3の線と第4の線として重なってエッチングされる。ここでは基板50の中央部の重なり部150に、第3の線幅及び第4の線幅よりも小さい幅を有する凹部が形成される。
【0097】
図6は、平行な重ならない線として堆積される層のアレイによって形成される例示的なナノ構造のイメージングエリプソメトリーマップであり、各線の間に、個別に堆積された線の線幅よりも非常に小さい凹部が形成されている。さらに、この例では、堆積された線が延在する方向に材料勾配がついている。ここで、堆積された線のY方向の長さが徐々に減少しており、その結果、材料の厚さが徐々に変化している。したがって、この例では、ナノ構造に傾斜面が設けられる。材料の厚さを徐々に変化させるために、徐々に長さが減少する線を所望の順序で堆積させてもよいことが理解されよう。
【0098】
図7は、部分的に重なる層のアレイによって形成される例示的なナノ構造のイメージングエリプソメトリーマップである。堆積された層は、部分的に重なる平行な線として堆積され、単一方向に延在している。左右の縁部で堆積構造の厚さが段階的に増加しており、その間にX方向に一定の厚さを持つ台地部が見られる。この例では、左右の縁部から8つの厚み段差で台地部に到達している。この例では、この8つの厚み段差の幅を合わせると、1本の堆積された線の線幅に相当する。また、
図7の堆積構造は、材料の厚さがY方向に徐々に変化していることを示している。さらに、Y方向の暗い色の線は、隣接する線の間に存在する間隙が堆積構造に凹部を形成している場所を示している。
【0099】
図8は、部分的に重なる層のアレイによって形成される例示的なナノ構造の高さマップ画像である。堆積された線は、
図4A~
図4Cに関連して説明したように、2つの直交する方向に延在し、突起と窪みのラスター状の構造を形成している。この例では、左、右、上、下の縁部で堆積構造の厚さが段階的に増加しており、その間に一定の厚さを持つ台地部が見られる。この例では、左、右、上、下の縁部から8つの厚み段差で台地部に到達している。この例では、この8つの厚み段差の幅を合わせると、1本の堆積された線の線幅に相当する。さらに、X方向とY方向の明るい色の線は、堆積した線の特定の重なりによって台地部にリッジが形成された場所を示している。
【0100】
図9は、
図8に示すナノ構造と同様の突起(明るい色の線)と窪み(暗い色の線)のラスター状パターンを有する、クローズアップしたナノ構造のイメージングエリプソメトリーマップである。
【0101】
図10は、クローズアップしたナノ構造、特に連続して堆積された原子線の間の間隙領域の別のイメージングエリプソメトリーマップである。
【0102】
以上、本発明の実施形態の具体例を参照して本発明を説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変や変更が可能であることは明らかであろう。明確かつ簡潔な説明のために、本明細書では同一又は別個の実施形態の一部として特徴を説明したが、これらの別個の実施形態で説明した特徴のすべて又は一部の組み合わせを有する代替実施形態も考えられる。
【0103】
実施例では、層は直線として堆積されているが、代替的に、又は追加的に、曲線が堆積されてもよいことが理解されよう。また、線は、その長さの一部に沿って重なって、及び/又は離隔して堆積されてもよい。
【0104】
また、その他の改変、変形、置換も可能である。したがって、本明細書、図面及び実施例は、限定的なものではなく、例示的なものとしてみなされるべきである。
【0105】
明確かつ簡潔な説明のために、本明細書では同一又は別個の実施形態の一部として特徴を説明したが、本発明の範囲には、説明した特徴のすべて又は一部の組み合わせを有する実施形態が含まれ得ることが理解されよう。
【0106】
特許請求の範囲において、括弧付きの参照符号は特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む(comprising)」という用語は、特許請求の範囲に記載されるもの以外の特徴やステップの存在を排除するものではない。さらに、「a」及び「an」という語は、「1つだけ」に限定して解釈されるべきではなく、「少なくとも1つ」という意味で使用され、複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。
【国際調査報告】