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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】エアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20241210BHJP
   D03D 1/02 20060101ALI20241210BHJP
   D04C 1/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B60R21/2338
D03D1/02
D04C1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527194
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2022078553
(87)【国際公開番号】W WO2023083555
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021129762.1
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ソープ,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ケジエルスク,マテウス
(72)【発明者】
【氏名】ウートン,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ドルマン,ジェズ
(72)【発明者】
【氏名】ディーン,ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】ホリーズ,アンディ
(72)【発明者】
【氏名】ガウダ,シャシャンク
(72)【発明者】
【氏名】マジェフスカ,ドナタ
(72)【発明者】
【氏名】バラゲ,ヘンリク
【テーマコード(参考)】
3D054
4L046
4L048
【Fターム(参考)】
3D054AA07
3D054CC11
4L046AA01
4L046BB00
4L048BA02
4L048DA25
(57)【要約】
【課題】膨張時にエアバッグに湾曲を引き起こす膨張式エアバッグの提供。
【解決手段】エアバッグ(1)は、膨張式チャンバ(7)を層(2、3)の間に画定するように配置された布層(2、3)から形成される。布層(2、3)は、糸(4)を含み、層(2、3)は、膨張式チャンバ(7)内で層(2、3)間に延在するテザー糸(8)によって相互接続される。各テザー糸(8)は、第1の接続領域(9a)において層(2)の構造に関与し、第2の接続領域(9b)において層(3)の構造に関与する。第1の接続領域(9a)は、各テザー糸(8)の長さ方向において第2の接続領域(9b)よりも広く、第2の接続領域(9b)は、膨張式チャンバ(7)を挟んで第1の接続領域(9a)のいずれにも対向しないようにオフセットされている。各テザー糸(8)は、エアバッグ(1)の膨張式チャンバ(7)が膨張したときに、エアバッグ(1)に湾曲を引き起こす。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス源によって膨張されるように構成されたエアバッグ(1)であって、
前記エアバッグ(1)は、膨張ガスを受け入れるための膨張式チャンバ(7)を第1の布層(2)と第2の布層(3)との間に画定するように重ね合わせて配置された該第1の布層(2)および該第2の布層(3)から形成され、
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のそれぞれは、少なくとも1本の糸(4、5)を含む構造を有し、
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)は、前記膨張式チャンバ(7)内で前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)の間に延在する少なくとも1本のテザー糸(8)によって相互接続され、
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、複数の第1の接続領域(9a)内で前記第1の布層(2)の構造に関与し、複数の第2の接続領域(9b)内で前記第2の布層(3)の構造に関与し、
各前記第1の接続領域(9a)は、前記テザー糸(8)または各テザー糸(8)の長さ方向において各前記第2の接続領域(9b)よりも広く、
前記第2の接続領域(9b)は、前記膨張式チャンバ(7)を挟んで前記第1の接続領域(9a)のいずれにも対向しないように、前記第1の接続領域(9a)に対してオフセットされ、
少なくとも1本の前記テザー糸(8)は、それによって、前記エアバッグ(1)の膨張式チャンバ(7)が膨張したときに前記エアバッグ(1)に湾曲を引き起こすように機能することを特徴とする、
エアバッグ(1)。
【請求項2】
前記第1の接続領域(9a)は、前記第1の布層(2)の少なくとも一部分にわたって互いに離間しており、
前記第2の接続領域(9b)は、前記第2の布層(3)の少なくとも対向する部分にわたって互いに離間している、
請求項1に記載のエアバッグ(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第2の接続領域(9b)の前記第2の布層(3)の位置が、2つの隣接する第1の接続領域(9a)の前記第1の布層(2)の位置の間に挟まれている、請求項2に記載のエアバッグ(1)。
【請求項4】
前記テザー糸(8)は、前記第2の接続領域(9b)間の前記第1の布層(2)の構造に関与することなく、前記第2の接続領域(9b)のいずれの間にも延在しない、請求項2に記載のエアバッグ(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第1の接続領域(9a)は、複数の離間した接続サブ領域(9a’)を含み、
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、前記第1の布層(2)の前記構造に関与し、
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、前記接続サブ領域(9a’)間の前記第1の布層(2)または前記第2の布層(3)のいずれの構造にも関与することなく、前記第1の接続領域または各第1の接続領域(9a)の前記接続サブ領域(9a’)間に延在する、
請求項2に記載のエアバッグ(1)。
【請求項6】
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のそれぞれは、織られており、複数の概ね平行な織り糸(4)を含む織り組織を有する、請求項5に記載のエアバッグ(1)。
【請求項7】
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、各前記第1の接続領域(9a)内で前記第1の布層(2)の糸(4)と織り合わされ、各前記第2の接続領域(9b)内で前記第2の布層(3)の糸(4)と織り合わされる、請求項6に記載のエアバッグ(1)。
【請求項8】
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、前記接続領域(9a、9b)内でのみ前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のいずれかの糸(4)と織り合わされる、請求項7に記載のエアバッグ(1)。
【請求項9】
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、前記接続サブ領域(9a’)内でのみ前記第1の布層(2)の糸(4)と織り合わされ、前記第2の接続領域(9b)内でのみ前記第2の布層(3)の糸(4)と織り合わされる、請求項6に記載のエアバッグ(1)。
【請求項10】
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のそれぞれの前記概ね平行な織り糸(4)は、縦糸(4)であり、
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のそれぞれは、複数の概ね平行な横糸(5)をさらに含み、
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、前記横糸(5)に概ね平行に延在する、
請求項6に記載のエアバッグ(1)。
【請求項11】
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のそれぞれの前記概ね平行な織り糸は、縦糸(4)であり、
前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)のそれぞれは、複数の概ね平行な横糸(5)をさらに含み、
前記エアバッグ(1)は、複数の前記テザー糸(8)を含み、
前記テザー糸(8)は、前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)の前記横糸(5)に概ね平行に延在する、
請求項6に記載のエアバッグ(1)。
【請求項12】
各前記接続領域(9a、9b)は、概ね細長く、
前記第1の接続領域(9a)および第2の接続領域(9b)は、前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)の複数の横糸(5)を横断するように、互いに概ね平行にかつ前記エアバッグ(1)のそれぞれの前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)を横切って延在する、
請求項11に記載のエアバッグ(1)。
【請求項13】
前記第1の接続領域(9a)および第2の接続領域(9b)は、前記複数の横糸(5)を前記横糸(5)に対して斜角で横断し、複数の縦糸(4)を前記縦糸(4)に対して斜角で横断する、請求項12に記載のエアバッグ(1)。
【請求項14】
前記エアバッグ(1)は、前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)の一方の織り組織の糸(4、5)が、前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)の他方の織り組織の糸(4、5)と織り合わされている領域によって画定される少なくとも1つの一体に織られた継ぎ目(6)を含むワンピース製織エアバッグである、請求項6に記載のエアバッグ(1)。
【請求項15】
前記テザー糸または各テザー糸(8)は、前記接続領域(9a、9b)内で前記第1の布層(2)および前記第2の布層(3)の織り組織に一体的に織り込まれる、請求項14に記載のエアバッグ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張ガスの供給源によって膨張されるように構成されたエアバッグに関し、より詳細には、膨張時にエアバッグに湾曲を引き起こす一体型テザー配置を有する膨張式エアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両に事故が発生した場合に、乗員の頭部または身体と車両の構造との間の有害な衝撃の可能性を低減することによって乗員を保護するために、エアバッグが膨張して、車両乗員の頭部または身体と自動車両の構造との間の膨張位置をとるように、自動車両にエアバッグを設けることは周知であり、現在では非常に一般的な方法である。また、自動車両の外部にエアバッグを設けて、歩行者やサイクリストなどの他の交通弱者との衝突が検出または予測された場合にエアバッグが膨張して、事故の際に自動車両との衝撃を和らげることによって交通弱者に同様の保護を提供することも一般的になってきている。
【0003】
さらに、高リスクタスクを行う人々によって着用されるように構成された個人保護装置の一部としてエアバッグを提供するいくつかの提案もある。例えば、個人用落下保護システムは、落下から生じる傷害に対する保護を提供するために、着用者が落下する可能性があることを検出すると膨張し、それによって、ヒップエリア等の着用者の身体の一部に対して膨張位置をとるように構成された1つ以上のエアバッグを含んでもよい。
【0004】
効果的な保護の提供を確実にするために、膨張時にいくらか湾曲または屈曲した形状をとるように構成されたエアバッグを提供することが望ましいことが多い。ここでの例は、自動車両の客室内に設けられ、側面衝突の場合に乗員を保護するために、車両の乗員と車両の側部構造との間で膨張位置をとるように構成された側面衝撃エアバッグである。このような側面衝撃エアバッグの場合、乗員の頭部および/または胴体を「捕らえる」ために、エアバッグが乗員に向かっていくらか凹んだ膨張形状をとり、それによって、乗員の頭部または胴体が慣性力の下でエアバッグを横切って前方または後方にスライドし、エアバッグとの保護接触から外れる可能性を低減することが有利となり得る。いわゆるニーエアバッグは、湾曲した膨張形状が有利であり得るエアバッグの別の例である。ニーエアバッグは、典型的には、自動車両の足元空間の低い位置(例えば、車両のダッシュボードの下側)に設置され、乗員の膝に十分な保護を提供するために、膨張構成において上方に湾曲して設置位置からダッシュボードの周りに延在するように構成され得る。
【0005】
いわゆる膨張式カーテン(IC)エアバッグがまた、それらの保護性能を改善するために、膨張時にいくらか湾曲した形状をとるように有利に構成されてもよい。膨張式カーテンエアバッグは、側面衝突または横転事故を含む事故の場合に、エアバッグが膨張して車両の側面と車両乗員の頭部との間に配設され、乗員の頭部が車両の側面の窓に接触したり通過したりしないように保護するような位置で自動車両内に設けられる。典型的には、膨張式カーテンエアバッグは、自動車両のサイドウィンドウ領域全体にわたって延在するように構成され、そのようなエアバッグの膨張形状に誘導されるある程度の湾曲が、例えば、サイドウィンドウがフロントガラスの後方傾斜フレームと交わる自動車両のAピラー領域において、エアバッグの適用範囲の面積を増加させるのに有効であり得ることが見出されている。
【0006】
個人用落下保護装置は、幾分湾曲した膨張形状を有することによって保護性能を改善することができるエアバッグの別の例を表す。例えば、ヒッププロテクタエアバッグは、最適な保護を提供するために、ユーザーから離れる方向に展開するのではなく、展開するときにユーザーの周りに巻き付くように構成されるべきである。さらに、ヒッププロテクタエアバッグは、2つのタイプの湾曲、すなわち、ユーザーの垂直軸の周りの第1の湾曲(エアバッグが展開時に着用者のヒップの側部の周りに延在するように)、およびユーザーの矢状軸の周りの第2の湾曲(エアバッグが、特に着座位置にあるときにユーザーのヒップおよび臀部の下に延在するように)をその膨張構成に誘導する構成を有することによって、性能をさらに最適化することができるエアバッグの例を表す。
【0007】
当業者が容易に理解するように、例えば、ベスト、ズボン、ヘルメット、ショーツ、ズボンなどの形態の個人用落下保護衣類など、展開時に二方向の曲がりまたは2つのタイプの湾曲が望ましいエアバッグの多くの他の例がある。
【0008】
また、エアバッグの膨張時に湾曲形状を達成する便利な方法は、あらゆる種類の異なる用途のためのエアバッグの提供を容易にすることができると考えられる。例えば、複数の異なる領域で曲がるように構成されたエアバッグは、膨張時に一続きの階段の形状を達成するように構成することができる。
【0009】
本発明は、上記を考慮して考案されたものである。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様によれば、ガス源によって膨張されるように構成されたエアバッグが提供され、エアバッグは、膨張ガスを受け入れるための膨張式チャンバを層間に画定するように重ね合わせて配置された第1および第2の布層から形成され、各布層は、少なくとも1本の糸を含む構造を有し、2つの層は、膨張式チャンバ内で層の間に延在する少なくとも1本のテザー糸によって相互接続されている。当該テザー糸または各テザー糸は、複数の第1の接続領域内で第1の層の構造に関与し、複数の第2の接続領域内で第2の層の構造に関与する。各当該第1の接続領域は、当該テザー糸または各テザー糸の長さ方向において各当該第2の接続領域よりも広く、当該第2の接続領域は、当該第2の接続領域が膨張式チャンバを挟んで当該第1の接続領域のいずれにも対向しないように、当該第1の接続領域に対してオフセットされている。少なくとも1本のテザー糸は、エアバッグの膨張式チャンバが膨張したときにエアバッグに湾曲を引き起こす役割を果たす。
【0011】
布層は織られていてもよく、その場合、各布層の構造は、複数の平行な縦糸と複数の平行な横糸とを含む織り組織である。例えば、布層は平織り組織を有してもよいが、代わりに他の織り構成を有してもよい。
【0012】
あるいは、布層が編まれ得ることも想定され、その場合、布層の構造は、インターロックループを形成する少なくとも1本の糸を含むニットである。例えば、布層の編みは、単一の糸を含むいわゆる横編みであってもよい。あるいは、布層の編みは、別々の糸から形成されたループを含むいわゆる縦編みであってもよい。
【0013】
好都合なことに、当該第1の接続領域は、当該第1の層の少なくとも一部分にわたって互いに離間しており、当該第2の接続領域は、当該第2の層の少なくとも対向する部分にわたって互いに離間している。
【0014】
少なくとも1つの当該第2の接続領域の当該第2の布層の位置は、2つの隣接する第1の接続領域の当該第1の布層の位置の間に挟まれていてもよい。
【0015】
当該テザー糸または各テザー糸は、当該第2の接続領域間の第1の層の構造に関与することなく、当該第2の接続領域のいずれの間にも延在しないように配置されていてもよい。
【0016】
有利には、少なくとも1つの当該第1の接続領域は、複数の離間した接続サブ領域を含んでもよく、その中で当該テザー糸または各テザー糸は、当該第1の層の構造に関与し、当該テザー糸または各テザー糸は、当該接続サブ領域間の第1の層または第2の層のいずれかの構造にも関与することなく、当該第1の接続領域または各第1の接続領域の当該接続サブ領域間に延在してもよい。
【0017】
任意選択的に、各当該布層は織られており、複数の概ね平行な織り糸を含む織り組織を有する。
【0018】
有利には、当該テザー糸または各テザー糸は、各当該第1の接続領域内で第1の層の糸と織り合わされ、各当該第2の接続領域内で第2の層の糸と織り合わされる。
【0019】
好都合には、当該テザー糸または各テザー糸は、当該接続領域内でのみ当該層のいずれかの糸と織り合わされる。
【0020】
当該テザー糸または各テザー糸は、当該接続サブ領域内でのみ第1の層の糸と織り合わされてもよく、また当該第2の接続領域内でのみ第2の層の糸と織り合わされてもよい。
【0021】
エアバッグは、複数の当該テザー糸を含んでもよく、テザー糸は、互いに概ね平行に延在し、第1および第2の層の織り組織の当該概ね平行な織り糸に概ね直交する。
【0022】
任意選択的に、各布層の当該概ね平行な織り糸は縦糸であり、各布層は複数の概ね平行な横糸をさらに含み、当該テザー糸または各テザー糸は当該横糸に概ね平行に延在する。
【0023】
各布層の当該概ね平行な織り糸は縦糸であってもよく、各布層は、複数の概ね平行な横糸をさらに含んでもよい。膨張式エアバッグは、複数の当該テザー糸を含んでもよく、テザー糸は、布層の当該横糸に概ね平行に延在する。
【0024】
あるいは、当該テザー糸または各テザー糸は、当該縦糸に概ね平行に延在してもよいことが想定される。
【0025】
互いに並んだ関係で配置されたかなりの数のテザー糸が提供されてもよく、例えば、テザー糸は、2つの布層の横糸の間に分配されて、横糸に対して概ね平行に、縦糸に対して垂直に、あるいはその逆に延在し、それによって、布の縦糸方向(または横糸方向)に沿ってある距離に延在する幅を有するテザーを集合的に画定する。実際、いくつかの実施形態では、テザー糸は、縦糸およびテザー糸の第3のセットから織られた第3の布層内に提供されてもよく、テザー糸は、第3の布層の横糸を画定することが想定される。それに代わって、テザー糸は、テザー糸が第3の層の縦糸を画定するような様式で織られた布の第3の層内に提供されてもよい。
【0026】
任意選択的に、各当該接続領域は概ね細長く、当該第1および第2の接続領域は、布層の複数の横糸(または縦糸)を横断するように、互いに概ね平行にかつエアバッグのそれぞれの布層を横切って延在する。
【0027】
また任意選択的に、第1および第2の接続領域は、当該複数の横糸を当該横糸に対して斜角で横断してもよく、当該複数の縦糸を当該縦糸に対して斜角で横断してもよい。
【0028】
エアバッグは、任意選択的に、一方の当該層の織り組織の糸が他方の当該層の織り組織の糸と織り合わされている領域によって画定される少なくとも1つの一体に織られた継ぎ目を含むワンピース製織エアバッグである。当該テザー糸または各テザー糸は、当該接続領域内の当該層の織り組織に一体的に織り込まれてもよい。
【0029】
第2の態様によれば、ガス源によって膨張されるように構成されたエアバッグが提供され、エアバッグは、膨張ガスを受け入れるための膨張式チャンバを層間に画定するように重ね合わせて配置された第1および第2の布層から形成され、各布層は、少なくとも1本の糸を含む構造を有し、2つの層は、膨張式チャンバ内で層の間に延在する少なくとも1本のテザー糸によって相互接続されている。テザー糸のうちの少なくともいくつかは、テザー糸が第1の層の構造に関与する複数の第1の接続領域と、テザー糸が第2の層の構造に関与する複数の第2の接続領域と、を含む接続領域の第1のグループにおいて、当該層の構造に関与する。テザー糸のうちの少なくともいくつかは、テザー糸が第1の層の構造に関与する複数の第1の接続領域と、テザー糸が第2の層の構造に関与する複数の第2の接続領域と、を含む接続領域の第2のグループにおいて、当該層の構造に関与する。接続領域の各当該グループ内で、各当該第1の接続領域は、テザー糸の長さ方向において各当該第2の接続領域よりも広い。第2の接続領域は、第2の接続領域が膨張式チャンバを挟んで第1の接続領域と対向しないように、第1の接続領域に対してオフセットされている。各グループ内の第1および第2の接続領域は細長く、互いに概ね平行にかつエアバッグのそれぞれの層を横切って延在しており、第1のグループの接続領域は第2のグループの接続領域に対して非平行である。テザー糸は、膨張式チャンバが膨張したときに、第1のグループの接続領域を介してエアバッグに第1の湾曲を引き起こす役割を果たし、また第2のグループの接続領域を介してエアバッグに第2の湾曲を引き起こす役割を果たす。
【0030】
第2の態様のエアバッグは、第1の態様と同様に、織られていても編まれていてもよい。
【0031】
有利には、各接続領域は、それぞれの延在軸に沿って延在し、当該グループの一方の接続領域の少なくともいくつかは、他方のグループの接続領域の少なくともいくつかが延在する延在軸を横切って延在する。
【0032】
接続領域の2つのグループは、互いに直接隣接してもよい。例えば、第1のグループの接続領域は、第2のグループの接続領域に直接隣接して設けられてもよい。
【0033】
任意選択的に、第1のグループの接続領域は、第2のグループの接続領域の延長部に対して斜角で延在する。
【0034】
布層が織られる場合、第1および第2のグループの接続領域は、2つの布層の縦糸と横糸の両方に対して斜角で延在してもよい。
【0035】
好都合には、接続領域の当該グループのうちの少なくとも1つは、当該第1および第2の接続領域の第1のセットと、第1および第2の接続領域の第2のセットと、を含み、当該第1のセットの各第1の接続領域は、当該第2のセットのそれぞれの第1の接続領域に対して共線的に延在し、当該第1のセットの各第2の接続領域は、当該第2のセットのそれぞれの第2の接続に対して共線的に延在し、接続領域の当該第1のセットと第2のセットは、第1の布層と第2の布層とを相互接続する屈曲継ぎ目によって互いに分離される。屈曲継ぎ目は、したがって、屈曲継ぎ目が提供される接続領域のグループによって引き起こされるエアバッグの湾曲を伝搬するように構成されてもよい。
【0036】
任意選択的に、当該屈曲継ぎ目は、実質的に直線状であり、グループ内の接続領域の第1および第2のセットの当該接続領域の延在部に対して概ね直交して延在する。
【0037】
布層が織られる場合、当該テザー糸は、互いに概ね平行に、かつ布層の当該横糸に概ね平行に延びるように配置されてもよい。あるいは、テザー糸は、当該縦糸に対して概ね平行に延在し得ることが想定される。
【0038】
有利には、接続領域の各当該グループ内で、当該第1の接続領域は、当該第1の層の一部分にわたって互いに離間しており、当該第2の接続領域は、当該第2の層の対向する部分にわたって互いに離間している。
【0039】
有利には、接続領域の各当該グループ内で、テザー糸は、当該第2の接続領域間の第1の層の構造に関与することなく、当該第2の接続領域のいずれの間にも延在しない。
【0040】
任意選択的に、接続領域の少なくとも1つの当該グループ内で、少なくとも1つの当該第1の接続領域は、複数の離間した接続サブ領域を含み、その中で当該テザー糸が当該第1の層の構造に関与し、当該テザー糸は、当該接続サブ領域間の第1の層または第2の層のいずれの構造にも関与せずに当該接続サブ領域間に延在する。
【0041】
任意選択的に、各当該布層は織られており、複数の概ね平行な織り糸を含む織り組織を有する。
【0042】
テザー糸は、各当該第1の接続領域内で第1の層の糸と織り合わされてもよく、またテザー糸は、各当該第2の接続領域内で第2の層の糸と織り合わされてもよい。
【0043】
好都合には、テザー糸は、当該接続サブ領域内でのみ第1の層の糸と織り合わされ、当該第2の接続領域内でのみ第2の層の糸と織り合わされる。
【0044】
布層が織られる場合、第1および第2のグループの接続領域は、2つの布層の縦糸と横糸の両方に対して斜角で延在してもよい。
【0045】
任意選択的に、第2の態様のエアバッグは、一方の当該層の織り組織の糸が他方の当該層の織り組織の糸と織り合わされる領域によって画定される少なくとも1つの一体に織られた継ぎ目を含むワンピース製織エアバッグであり、当該テザー糸は、当該接続領域内で当該層の織り組織に一体的に織り込まれる。好都合なことに、当該少なくとも1つの一体に織られた継ぎ目は、前述した屈曲継ぎ目を含むことができる。
【0046】
テザー糸が、織られたエアバッグの縦糸の間あるいは部分的に周りを通過することによって(例えば、その縦糸と織り合わされることによって)構成織物層の織り組織に関与する実施形態が本明細書に記載され、添付の図面に示されるが、他の実施形態では、テザー糸は、代わりに、エアバッグの横糸の間あるいは少なくとも部分的に周りを通過するように(例えば、その横糸と織り合わされることによって)配置されてもよいことが提案される。したがって、そのような実施形態では、テザー糸は、本明細書に開示される特定の実施形態を参照して説明されるように、横糸の間ではなく、構成布層の縦糸の間に分配されることが理解されるであろう。
【0047】
エアバッグの布層、および任意選択でテザー糸によって画定される内部テザーには、表面コーティングまたはフィルムが設けられてもよい。エアバッグの主要構成布層の場合、コーティングまたはフィルムは、それらの内側表面、それらの外側表面のいずれか、あるいは両方に適用され得る。例えば、インフレータによって生成される膨張ガスの高温に起因して膨張中に生じ得る高温から布および糸を保護するために、耐熱性コーティングまたはフィルムが布層および/またはテザーに適用され得ることが提案される。それに代わって、あるいはそれに加えて、コーティングまたはフィルムは、膨張中におけるエアバッグの糸の間の膨張ガスの漏れを防止または低減するのに有効なシーリング機能を提供してもよい。これは、テザー糸がエアバッグの膨張中に張力を受けるときにテザー糸が布層の縦糸または横糸を互いから引き離す傾向があり得、それによって膨張ガスが漏れ得る小さな間隙が開かれるので、テザー糸が布層の構造(例えば、織り組織)に関与する2つの布層の接続領域の周りで特に有利であり得る。
【0048】
本発明は、記載された態様と好ましい特徴の組み合わせを、そのような組み合わせが明らかに許容されないかあるいは明示的に回避される場合を除いて含む。
【0049】
当業者は、相互に排他的である場合を除いて、上記の態様のいずれか1つに関連して記載された特徴またはパラメータが、任意の他の態様に適用され得ることを理解するであろう。さらに、相互に排他的である場合を除いて、本明細書に記載される任意の特徴またはパラメータは、任意の態様に適用されてもよく、かつ/または本明細書に記載される任意の他の特徴若しくはパラメータと組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明がより容易に理解され、その更なる特徴が理解され得るように、本発明の実施形態を例示の目的で添付の図面を参照して説明する。
図1】内部テザー配置を示す、エアバッグの一部を通る断面の斜視図である。
図2】エアバッグ内に設けられた従来の内部テザー配置の概略断面図である。
図3】エアバッグ内の別の従来の内部テザー配置の概略断面図である。
図4】本発明の一態様による、エアバッグ内に設けられた内部テザー配置の概略断面図である。
図5】テザー糸がエアバッグの層の織り組織に関与し得る1つの方法を示す概略断面図である。
図6】テザー糸がエアバッグの層の織り組織に関与し得る別の方法を示す概略断面図である。
図7】テザー糸がエアバッグの層の織り組織に関与し得る複数の接続領域を示すエアバッグの概略図である。
図8図4と同様の概略断面図であるが、膨張時にエアバッグに湾曲を引き起こすテザー配置を示す。
図9】膨張時にエアバッグに引き起こされる湾曲を示す、膨張したエアバッグの断面図である。
図10】本発明の一態様による膨張していないエアバッグの斜視図である。
図11図10に示されたエアバッグの別の斜視図であるが、膨張し湾曲した構成のエアバッグを示す。
図12】人のヒップ領域を保護するために人のヒップ領域の周囲で膨張した一対の特定のエアバッグの正面から見た概略図である。
図13】人のヒップ領域の周囲で膨張した図12の一対のエアバッグの下から見た概略図である。
図14図12と同様の概略図であるが、図12および図13のエアバッグとは別の構成の一対の特定のエアバッグを示している。
図15】人のヒップ領域の周囲で膨張した図14の一対のエアバッグの下から見た概略図である。
図16】本発明の一態様による一対のエアバッグが内部に形成された、織布の対向する層を含むワンピース製織ウェブの概略平面図である。
図17図16に示されたウェブから得られた一対のエアバッグを示す、上から見た平面図である。
図18図17のエアバッグのうちの1つを示す、上から見た概略平面図である。
図19図12および図14と同様であるが、代わりに、人のヒップ領域を保護するために人のヒップ領域の周りで膨張した図17のエアバッグを示す、正面から見た概略図である。
図20図13および図15と同様であるが、代わりに、人のヒップ領域を保護するために人のヒップ領域の周囲で膨張した図17のエアバッグを示す、下から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
次に、添付の図面を参照して本発明の態様および実施形態を説明する。更なる態様および実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0052】
最初に図1を参照すると、ガス源によって膨張されるように構成されたエアバッグ1の領域が示されている。理解されるように、また従来のように、エアバッグ1は、布2、3の第1の(上部)層および第2の(下部)層から形成され、その各々は、縦糸4および横糸5から織られ、したがって、織物の形態の構造を有する。しかしながら、本発明は、布層が編物層であるエアバッグに代替的に適用されてもよく、その場合、それらの層は、少なくとも1本の糸を含む編物の形態の構造を有することを理解されたい。
【0053】
布2、3の2つの層は、重ね合わせて配置され、周辺継ぎ目6(その一部のみが図1に示される)によってそれらの周辺縁部の周りで相互接続され、それによって、既知の方法で、ガス発生器などのインフレータ(図示せず)から膨張ガスを受け取るための膨張式チャンバ7を層2、3の間に画定する。エアバッグ1は、いわゆるワンピース製織技術によって織られてもよく、この場合、2つの層2、3は同時に織られ、2つの層2、3の糸4、5は所定の領域で織り合わされて、エアバッグ1の一体的な構造的特徴として周辺継ぎ目6(また任意選択で、図1に示されていない他の継ぎ目および/または他の相互接続)を形成する。
【0054】
エアバッグを製作するための例示的なワンピース製織技術は、国際公開第199009295(A)号により詳細に記載されている。
【0055】
図1に示されるエアバッグ1は、一体的に織られた内部テザー配置の既知の構成を有する。図1に概略的に示され、図2により詳細に示されるように、層2、3全体にわたる選択された位置において、追加のテザー糸8もまた布の織り組織に織り込まれる。テザー糸8は、布の横糸5と実質的に平行に(したがって縦糸4と実質的に垂直に)延在するように織られ、所定の接続領域9内で連続する縦糸4の上および下を通過して、接続領域9において層2、3の織り組織に関与する。テザー糸8は、欧州特許第2407353(A)号に記載されているように、布層2、3の縦糸4および横糸5とは異なる構成を有してもよい。
【0056】
各接続領域9の縁部において、テザー糸8は、それらが織られているそれぞれの布層2、3から出て、対向する層3、2に向かって延在する。図1および図2に示される特定の配置では、テザー糸8はそれぞれ、対向する布層3、2内に延在し、別の接続領域9でそれと一体的に織られる。図2から分かるように、テザー糸8は、互いに交差するように配置され、一方の布層2、3から出て、他方の布層3、2内に延在する。テザー糸9は、このように協働してテザー10を画定し、テザー10は、エアバッグ1の膨張式チャンバ7内で、またチャンバ7を横切って2つの布層2、3を相互接続する役割を果たす。図2に示されるように、各テザー10は、複数のテザー糸8によって、この場合は2対の交差テザー糸8によって画定され得る。
【0057】
図3は、2つの布層2、3のより大きな広がりを示しており、そこから、テザー糸8がそれぞれ、複数の接続領域9において2つの層2、3の構造(すなわち、織り組織)に関与していることが分かる。図3に示される従来技術の配置では、各層2、3は、複数の離間した接続領域9を有し、その中でテザー糸がそれぞれの層2、3の布と織り合わされる。さらに、第1の層2の各接続領域9は、2つの層2、3の間に画定された膨張式チャンバ7を挟んで、第2の層3のそれぞれの接続領域9の反対側に配置されることに留意されたい。
【0058】
図3は、エアバッグ1の膨張していない状態における状況のように、互いにほぼ隣接して配置された2つの布層2、3を示す。当業者には理解されるように、膨張式チャンバ7内への膨張ガスの注入によってエアバッグ1が膨張されると、エアバッグ1の第1の層2と第2の層3は、エアバッグが膨張可能な構成を達成し始めるように離れ始める。膨張中、テザー糸8は引っ張られ、それによって、エアバッグ1が膨張されるときに2つの層2、3が互いから離れる更なる移動に抵抗するように協働するが、これは、自動車両内の安全な配置でエアバッグ1の使用を伴うものなど、特定のエアバッグ装備においてエアバッグ1の膨張深さまたは厚さを制御する際に重要な役割を果たし得る。
【0059】
次に図4を参照すると、本発明の一実施形態によるエアバッグ1用のテザー配置が示されており、このテザー配置は、上述され、特に図2および図3に示された従来の配置に対して著しい利点を提供する。当業者には明らかなように、図4に示すテザー配置は、図2および図3に示す従来の配置といくつかの特徴および類似点を共有しており、したがって、再度詳細には説明しない。それにもかかわらず、本発明によるエアバッグ1はまた、国際公開第199009295(A)号に開示されているようなワンピース製織技術によって形成されてもよく、欧州特許第2407353(A)号に記載されているようなエアバッグの布層2、3の縦糸4および横糸5とは異なる構成を有するテザー糸8を組み込んでもよいことに留意されたい。
【0060】
観察されるように、図4に示される配置では、テザー糸8は、一方の布層の織り組織から出て他方の布層の織り組織に入るときに互いに交差しない。図2および図3に示される従来の配置とは対照的に、テザー糸8は、代わりに、2つの層2、3の織り組織を通る実質的に同様の経路をそれぞれたどる。特に、テザー糸8は、複数の第1の接続領域9a内で(例えば、第1の層2の縦糸4と織り合わされることによって)第1の層2の織り組織にそれぞれ関与し、複数の第2の接続領域9b内で(例えば、第1の層2の縦糸4と織り合わされることによって)第2の層3の織り組織にそれぞれ関与する経路をたどることが観察される。テザー糸8は、接続領域9a、9b内でのみ布層2、3の糸と織り合わされる。縦糸8は、布層2、3自体が同時に織られるワンピース製織プロセスの間に、接続領域9a、9b内で、2つの布層2、3の織り組織に一体的に織られることが想定される。
【0061】
図4に示すように、図示の特定の配置では、各第1の接続領域9aは、実際には、第1の布層2の横糸方向11に互いに離間した一対の接続サブ領域9a’を含む。各第1の接続領域9a内では、テザー糸8が、接続サブ領域9a’内でのみ第1の布層2の糸と織り合わされていることが観察される。したがって、テザー糸8は、第1の層2(または実際には第2の層3)の織り構造に関与することなく、各第1の接続領域9a内の接続サブ領域9a’の間を通過する。接続サブ領域9a’の間で、テザー糸8は、エアバッグの膨張式チャンバ7内で、第1の布層2に隣接して単に通過する。しかしながら、他の実施形態では、テザー糸8は、各第1の接続領域9aの(横糸方向11における)幅全体にわたって第1の布層2の糸と織り合わされてもよく、この場合、上述のような別個のサブ領域9a’は存在しないことを理解されたい。
【0062】
第1の接続領域9a自体も、第1の布層2の横糸方向11において互いに離間しており、実際に、第2の接続領域9bも、第2の布層3の横糸方向11において互いに離間している。重要なことに、テザー糸8は、各第1の接続領域9aがテザー糸8の長さ方向(すなわち、この実施形態では横糸方向11に対応する)において第2の接続領域9bのそれぞれよりも広い配置で、布層2、3の織り組織に関与することが観察される。また、第2の接続領域9b(すなわち、テザー糸8が第2の層3の織り組織に関与する)よりも多数の接続サブ領域9a’(すなわち、テザー糸8が第1の層2の織り組織に実際に関与する)が存在することも観察されるであろう。さらに、第1の布層2の第1の接続領域9aが膨張式チャンバ7を挟んで第2の布層3の第2の接続領域9bのいずれにも対向せず、逆もまた同様となるように、第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bが織物層2、3の横糸方向11において互いに対してオフセットされていることが観察される。この配置は、第2の接続領域9bがそれぞれ、横糸方向11において、2つの隣接する第1の接続領域9aの間に挟まれるようなものである。
【0063】
図5は、テザー糸8がそれぞれ布層2、3のいずれかの織り組織に関与し得る1つの方式を示す。便宜上、図5は、第1の接続領域9aのサブ領域9a’内の第1の布層2の織り組織に関与する単一のテザー糸8を示すが、テザー糸8は、実質的に同じ様式で、第2の接続領域9b内の第2の布層3の織り組織に関与し得ることを理解されたい。観察されるように、テザー糸8は、エアバッグの膨張式チャンバ7内から第1の布層2の2つの隣接する縦糸4の間を通過し、次いで、膨張式チャンバ7の側部で布層2から外に通過する(次いで、隣接するサブ領域9a’に向かって、あるいは図5に示されていない第2の布層3に向かって延在する)前に、サブ領域9a’内で平織りで布層2の隣接する縦糸4の間に織り込まれる(すなわち、1つおきの縦糸4の上/下を通過する)。図5に示されるサブ領域9a’は、テザー糸8が織り合わされる5本の隣接する縦糸4のグループを含む。他の構成では、サブ領域9a’または第2の接続領域9bは、テザー糸8が膨張式チャンバ7の側部からサブ領域9a’または第2の接続領域9bに出入りするように、より多数のまたはより少数の、例えば、3本、7本、9本、11本、13本、あるいは実際には任意の好都合な奇数本の縦糸4を含んでもよいことが想定される。テザー糸8が、第1の接続領域9aの(横糸方向11の)幅全体にわたって第1の布層2の糸と織り合わされている配置では、第1の接続領域9aが、5本を超える、例えば、7本、9本、11本、13本、あるいは実際には任意の好都合な奇数本の隣接する縦糸4を含み得ることが提案される。
【0064】
図6は、テザー糸8がそれぞれ布層2、3のいずれかの織り組織に関与し得る別の方式を示す。便宜上、図6は、第1の接続領域9a内の第1の布層2の織り組織に関与する単一のテザー糸8を示すが、テザー糸8は、実質的に同じ様式で第2の接続領域9b内の第2の布層3の織り組織に関与し得ることを理解されたい。この配置において、第1の接続領域9aは、第1の部分9aと、第2の部分9aと、第3の部分9aと、を含む。接続領域9aの各部分9a1~3は、布層2のそれぞれの数の縦糸4と、テザー糸8が縦糸4の間または上を通る配置と、を含む。
【0065】
接続領域9aの第1の部分9aにおいて、テザー糸8は、2つの隣接する縦糸4a、4bの間を、膨張式チャンバ7を画定する布層2の内側に向けられた側から布層2の外側へと通過し、次いで2つの隣接する縦糸4b、4cの周りを部分的に通過する。テザー糸8がこのようにして2本以上の隣接する縦糸の周りを部分的に通過する場合、テザーは隣接する縦糸6の上に「浮く」と言われる。他の構成では、テザー糸8は、接続領域9aの第1の部分9aにおいて3本以上の隣接する縦糸4の上に浮いていてもよい。例えば、テザー糸8は、接続領域9aの第1の部分9aにおいて3本の隣接する縦糸4の上に浮いていてもよい。
【0066】
接続領域9aの第2部分9aでは、テザー糸8が2本の縦糸4c、4dの間を布層2の外側から内側に向けられた側へと通過し、テザー糸8は所定数の隣接する単一の縦糸4d~4jと平織りで織り合わされている。図6に示す配置では、テザー糸8は、接続領域9aの第2の部分9a内で7本の隣接する単一の縦糸4d~4jと織り合わされており、テザー糸8は、布層2の外側の3本の縦糸4e、4g、および4iの周りを少なくとも部分的に通過する。しかしながら、他の配置では、テザー糸8は、7本を超える単一の隣接する縦糸4と織り合わされてもよい。例えば、テザー糸8は、接続領域9aの第2の部分9aにおいて、9本、または11本、または13本の単一の隣接する縦糸4と織り合わされてもよい。
【0067】
接続領域9aの第3の部分9aでは、テザー糸8は、2つの隣接する縦糸4j、4kの間を布層2の内側に向けられた側から布層2の外側へと通過し、次いで、布層2の外側で2本の隣接する縦糸4k、4lの上に浮く。次いで、テザー糸8は、更なる2本の隣接する縦糸4l、4mの間を通過し、エアバッグ1の膨張式チャンバ7内に戻る。他の構成では、テザー糸8は、接続領域9aの第3の部分9aにおいて3本以上の隣接する縦糸4の上に浮いていてもよい。例えば、テザー糸8は、接続領域9aの第3の部分9aにおいて3本の隣接する縦糸4の上に浮いていてもよい。
【0068】
図6を参照して上述した配置において、テザー糸8は、接続領域9aの第1の部分9aおよび第3の部分9aにおいて少なくとも2本の隣接する縦糸4の上に浮いており、接続領域9aの第2の部分9aにおいて単一の隣接する縦糸4d~4jと織り合わされている。接続領域9aの第1の部分9aおよび第3の部分99aにおける布層2の片側の少なくとも2本の隣接する縦糸の上にテザー糸8を浮かせることは、テザー糸8と布層2の固有糸4、5との間のいくらかの移動を可能にし、それによって、エアバッグ1が膨張したときの衝撃荷重のいくらかが吸収される。これは、エアバッグ1が膨張したときにテザー糸8が切れる可能性を低減するのに役立つことができる。
【0069】
テザー糸8が図6に示される様式で両方の布層2、3の織り組織に関与する配置において、第1の接続領域9aは、テザー糸8が、各第2の接続領域9bの同等の第2の部分内と比べて、各第1の接続領域9aの第2の部分9a内でより多くの隣接する縦糸4と織り合わせられるように構成され得ることが想定される。このようにして、テザー糸8は、第1の接続領域9aが、テザー糸が第2の層3の織り組織に関与する第2の接続領域9bよりも横糸方向11に広くなるように、各第1の接続領域9a全体にわたって第1の布層2の織り組織に関与してもよい。それに代わって、各第1の接続領域9aが図6に示される構成を有してもよく、各第2の接続領域9bが図5に示される(より短い)構成を有してもよいことが想定される。
【0070】
便宜上、また明確にするために、図4は、2本の例示的なテザー糸8のみを示し、図5および図6はそれぞれ、単一の例示的なテザー糸8のみを示す。しかしながら、実際の実施形態では、互いに並んだ関係で配置された非常に多くのテザー糸8が存在してもよく、テザー糸8は、2つの布層2、3の横糸5の間に分配され、横糸5に概ね平行に、縦糸4に垂直に延在し、それによって、布の縦糸方向に沿って(すなわち、図4図6が見られるときにページの中に)ある距離だけ延在する幅を有するテザーを集合的に画定することが理解されるべきである。実際に、いくつかの実施形態では、テザー糸8は、縦糸およびテザー糸8の第3のセットから織られた布の第3の層内に提供されてもよく、テザー糸8は、第3の布層の横糸を画定することが想定される。それに代わって、テザー糸8は、テザー糸8が第3の層の縦糸を画定するような様式で織られた布の第3の層内に提供されてもよい。
【0071】
図7は、第1(上部)の布層2が第2(下部)の布層3の上に重ねられた状態で、上から見たエアバッグ1の領域を概略的に示す。2つの層2、3の縦糸4は、矢印12によって示される方向に実質的に整列され、横糸5は、矢印11によって示される方向に実質的に整列されている。複数の概ね平行なテザー糸8が横糸の間に設けられている。縦糸は、布層2、3の横糸方向11に離間された複数の第1の接続領域9a(1つの完全な第1の接続9aのみが示されている)において上層2の織り組織に関与しており、その各々は、一対の接続サブ領域9a’を含む。テザー糸8はまた、上述の様式で複数の第2の接続領域9bにおいて下層3の織り組織に関与しているが、図7に示されたエアバッグ1の領域の範囲内では、単一の第2の接続9bのみが示されている。観察されるように、各接続サブ領域9a’および各第2の接続領域9bは、縦糸方向12にある長さを有するように細長い。したがって、各接続領域9a、9bは、複数の横糸を横断するように、それぞれの布層2、3の領域にわたって延在する。したがって、理解されるように、テザー糸8は協働して、布層2、3の縦糸方向12に幅wを有するテザー10を画定する。
【0072】
図7の配置では、テザー糸8はすべて、2つの布層2、3を通って延びる同じ縦糸4と織り合わされ、それにより、第1の接続領域9aのサブ領域9a’と第2の接続領域9bはすべて互いに平行であり、それらの長さ方向が縦糸方向12に実質的に平行であり、横糸方向11に垂直であるように配向される。しかしながら、これは必須ではなく、実際、いくつかの状況では、連続するテザー糸8が縦糸4の異なるグループと互いに織り合わされることによって布層2、3の織り組織に関与するように、テザー糸8を配置することが有益であり得る。当業者によって理解されるように、この効果は、接続領域9a、9bの細長い延長部が複数の横糸5を横糸に対して斜角で、したがって縦糸4に対しても斜角で横断するように、接続領域9a、9bを配向することであり得る。
【0073】
図8は、図4とほぼ同様の図であるが、部分的に膨張した状態のエアバッグ1を示しており、初期体積の膨張ガスがエアバッグ1の膨張式チャンバ7内に導かれて、エアバッグに湾曲を引き起こし始めている。図9は、図4および図8に示されるタイプのテザー構成を有するエアバッグ1の横断面を示す斜視図であるが、実質的に完全に膨張した状態のエアバッグ1を示す。図9は、テザー糸8によって画定される内部テザー10の幅をより明確に示す。両図から理解されるように、膨張ガスは、エアバッグ1が膨張式チャンバ全体にわたってある程度の膨張深さを達成するように、2つの布層2、3を互いから離れるように付勢する。布層2、3の互いから離れる動きは、エアバッグ1を通って延びるテザー糸8によって拘束される。理解されるように、テザー糸8は、この状態で張力下に置かれ、ひずみを受ける。テザー糸8がそれぞれ第1の布層2および第2の布層3の織り組織に関与する第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bの上述の構成により、第1の布層2の第1の接続領域9aは、テザー糸8の長さ方向において第2の布層3の第2の接続領域9bよりも大きい幅を有するので、第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bは、互いに異なるレベルのひずみを受ける。この効果は、図8にまた特に図9に示すように、エアバッグ1が膨張したときにエアバッグ1に湾曲を引き起こすことであることが分かっている。観察されるように、上述のテザー構成は、エアバッグ1に湾曲を引き起こすのに有効であり、その湾曲は、第1の布層2(より広いテザー接続領域9aを有する層)の側で凸状であり、第2の布層3(より狭いテザー接続領域9bを有する層)の側で凹状である。したがって、エアバッグ1は、膨張時に第2の布層3に向かって曲がるように構成されている。理解されるように、エアバッグ1は、第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bの長手延在方向の周りに屈曲する。
【0074】
図10は、平らに置かれた膨張前の構成にある、本発明によるワンピース製織エアバッグ1を示す。エアバッグ1は、幾分細長い構成を有し、その第2の布層3(より狭い第2の接続領域9bを有する層)が上向きに示されている。図示されたエアバッグ1の一体的な周辺継ぎ目6は、結果として得られるエアバッグの膨張式チャンバ7が、より狭い領域7cによって流体的に相互接続された2つの主要なチャンバ領域7a、7bを呈する、眼鏡に似た形状を有するように、凹形領域を有する回り道をたどる。膨張式チャンバ7の外側の周辺継ぎ目6の凹形領域に隣接して、2つの布層2、3の糸が織り合わされて、布のより厚いウェブのように、エアバッグの非膨張領域13を画定する。
【0075】
テザー糸8が第2の布層3の織り組織に関与する第2の接続領域9bも、図10において明確に見ることができる。観察されるように、第2の接続領域9bの第1のグループは、第1のチャンバ領域7aを画定する布層3の領域に設けられ、第2の接続領域9bの第2のグループは、第2のチャンバ領域7bを画定する布層3の領域に設けられる。図10では見えないが、テザー糸8が下にある第1の布層2の織り組織に関与する第1の接続領域9aも提供される。第2の接続領域9bと同様に、第1の接続領域9aは、同様に2つのグループ、すなわち、第1のチャンバ領域7aを画定する下にある第1の布層2の領域に設けられた第1のグループと、第2のチャンバ領域7bを画定する下にある第1の布層2の領域に設けられた第2のグループと、に分割される。第1のグループの接続領域9a、9b(すなわち、第1のチャンバ領域7aに対応する)は、互いに平行に延在するように配置され、第2のグループの接続領域9a、9b(すなわち、第2のチャンバ領域7bに対応する)も、互いに平行に延在するように配置されている。しかしながら、第1のグループの接続領域9a、9bは、第2のグループの接続領域9a、9bに対して平行ではないことが観察される。
【0076】
ここで図11を参照すると、図10のエアバッグ1が膨張状態で示されている。注目されるように、第1のグループ(すなわち、第1のチャンバ領域7aに対応する)の第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bを形成するテザー糸8は、エアバッグ1の第1のチャンバ領域7aが上方に屈曲するように、第1の湾曲を第1のチャンバ領域7aに引き起こす役割を果たす。同様に、第2のグループ(すなわち、第2のチャンバ領域7bに対応する)の第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bを形成するテザー糸8は、エアバッグ1の第2のチャンバ領域7bも上方に屈曲するように、第2の湾曲を第2のチャンバ領域7bに引き起こす役割を果たす。理解されるように、第1のチャンバ領域7aは、したがって、接続領域9a、9bの第1のグループの長手延在方向の周りに屈曲する膨張形状を達成するようにされ、第2のチャンバ領域7aは、したがって、接続領域9a、9bの第2のグループの長手延在方向の周りに屈曲する膨張形状を達成するようにされる。このように、この配置では、各チャンバ領域7a、7bは、単一方向に曲がるように構成され、2つの方向は互いに異なり、布層2、3の局所領域にわたる接続領域9a、9bの延在方向によって画定される。
【0077】
図12および図13は、上述の方法で単一方向に曲がるように構成されたエアバッグ1の実際の実施形態を示す。図示された配置は、座位にある人14にヒップ保護を提供するように配置および構成された一対のヒップ保護エアバッグ1を含む。図12に示すように、各エアバッグ1には、ある体積の膨張ガスをエアバッグ1の内部チャンバ7内に導くためのガス発生器15などのそれぞれのインフレータが設けられている。エアバッグ1は、人14が着用するように構成された衣服などの中に設けられてもよいことが想定される。エアバッグ1は、人のそれぞれのヒップエリアの周りのそれぞれの展開位置へと膨張するように配置される。
【0078】
エアバッグ1がそれぞれユーザーのヒップの下に延在するようにするため、図12および図13のエアバッグ1は、ユーザーの矢状軸(図13において16で示される)の周りの良好な曲げ特性を提供するように最適化されるように構成されている。これは、接続領域9a、9b(その中でテザー糸8がエアバッグの構成布層2、3に関与する)を、それらがユーザーの横断面(図12の17で示される)に概ね平行またはほぼ平行に延在するように配向することによって達成され得る。しかしながら、エアバッグ1は、ユーザーの矢状軸16の周りにのみ曲がるように構成されているので、ユーザーのヒップの側部の周りに曲がるのにはあまり適しておらず、その結果、エアバッグ1は、ユーザーの後部ヒップエリアから外側に広がり、ユーザーの脚と各エアバッグ1との間に間隙18を残してユーザーの上腿から離れることができるそれぞれの膨張構成を達成する。
【0079】
図14および図15は、図12および図13に示されているヒップ保護エアバッグ1の代替構成を示しており、これらのヒップ保護エアバッグ1も、上述した様式で単一方向に曲がるように構成されている。しかしながら、この配置では、エアバッグ1は、ユーザーの垂直軸(図14の19で示される)の周りの良好な曲げ特性を提供するように最適化されるように構成され、その結果、エアバッグは、展開時にユーザーのヒップの側部の周りにより良好に延在し、それによって、図12および図13に示されるエアバッグ1の潜在的な欠点に対処する。これは、接続領域9a、9b(その中でテザー糸8がエアバッグの構成布層2、3に関与する)を、それらがユーザーの矢状面(図12の20で示される)に概ね平行またはほぼ平行に延在するように配向することによって達成され得る。しかしながら、エアバッグ1は、ユーザーの垂直軸19の周りにのみ曲がるように構成されているので、ユーザーのヒップの下で曲がるのにはあまり適しておらず、その結果、エアバッグ1は、図15図13と比較することによって分かるように、図12および図13のエアバッグよりもユーザーのヒップの下での有効範囲が少ないそれぞれの膨張構成を達成する。
【0080】
したがって、状況によっては、単に一方向ではなく二方向に曲がるように最適化することができるエアバッグを提供することが望ましい場合がある。
【0081】
図16は、対向する第1の布層2と第2の布層3を含む、短尺のワンピース製織生産ウェブ21を示す。生産ウェブ21は、2つの布層2、3が単一の特別に構成された織機上でそれ自体既知の方法で同時に織られるように、ワンピース製織技術によって織られる。布の縦糸4は縦糸方向12に延在し、布の横糸5は横糸方向11に延在する。図16に示される短尺のウェブ21は、一対の一体的に形成されたヒップ保護エアバッグ1を含むことが分かり、2つのエアバッグ1は、長手方向(すなわち、縦糸方向12に整列された)軸22にわたって互いの鏡像としてウェブ内に形成される。エアバッグ1は、それぞれの周辺継ぎ目6によって画定され、周辺継ぎ目6内では、2つの布層2、3の糸が、各周辺継ぎ目6がそれぞれのエアバッグ1の布の一体構造特徴部として形成されるように織り合わされる。
【0082】
各エアバッグ1の周辺継ぎ目6は、エアバッグの主要な膨張可能領域を画定するが、インフレータを受け入れるように構成されると理解される細長い入口領域23も画定する。図16に示す配置では、各エアバッグ1が、実質的に直線状であり、周辺継ぎ目6から内側に延在する追加の一体的に形成された継ぎ目24を有することも分かる。以下でより詳細に説明するように、各エアバッグの追加の継ぎ目24は、屈曲継ぎ目を表し、エアバッグ1が膨張したときにエアバッグ1に湾曲を引き起こすのを助けるために設けられる。
【0083】
エアバッグ1の各々は、周辺継ぎ目6の周りでウェブの布層2、3を切断することによって生産ウェブ21から除去されてもよい。得られたエアバッグ1は、生産ウェブ21から除去された後、図17に示されており、エアバッグ1が図16とは異なる向きで示されていることに留意されたい。
【0084】
先の実施形態におけるように、図16および図17に示されるエアバッグ1もまた、先に説明されたものと同じ一般的な構成の内部テザー配置を備え、したがって、第1の接続領域9a(その各々が一対の接続サブ領域9a’を含む)において第1の布層2の織り組織に関与し、第2の接続領域9bにおいて第2の布層3の織り組織に関与する複数のテザー糸8を含む。第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bは、すべて細長く、縦糸方向12と横糸方向11の両方に対して斜角で延在するように配置されている。したがって、接続領域9a、9bは、布層2、3の縦糸4および横糸5に対して斜角で延在する。先の実施形態の前述の説明から理解されるように、テザー糸8は、横糸5の間に設けられ、したがって横糸方向11をたどる。テザー糸8は、第1の接続領域9a内で第1の布層2の縦糸4と織り合わされ、第2の接続領域9b内で第2の布層3の縦糸4と織り合わされる。
【0085】
この実施形態における接続領域9a、9bの特定の配置は、図18を参照すると最も明確に理解され得るが、ここで、第1の接続領域9aのサブ領域9a’(その中でテザー糸8が第1の布層2の織り組織に関与する)は実線で示され、第2の接続領域9b(その中でテザー糸8が第2の布層3の織り組織に関与する)は破線で示されている。
【0086】
特に、図18において、接続領域9a、9bは、接続領域の2つの別個のグループ、すなわち、第1の概念上の矩形領域25内に位置付けされた第1のグループと、第2の概念上の矩形領域26内に位置付けされた第2の(より大きい)グループとに設けられていることが観察される。2つのグループ25、26は互いに隣接して配置され、また理解されるように、接続領域の各グループ25、26は、第1の接続領域9a(その中でテザー糸8が第1の布層2の織り組織に関与する)と第2の接続領域9b(その中でテザー糸が第2の層3の織り組織に関与する)の両方を含む。
【0087】
観察されるように、第1のグループ25内の接続領域9a、9bはすべて互いに実質的に平行であり、一方、第2のグループ26内の接続領域9a、9bも互いに実質的に平行である。しかしながら、第1のグループ25の接続領域9a、9bは、第2のグループ26の接続領域9a、9bに対して非平行である。したがって、第1のグループ25の接続領域9a、9bは、第2のグループ26の接続領域9a、9bの延長部に対して斜角で延在する。
【0088】
図16図18に示されるエアバッグ1の構成と、図10および図11に示される先の実施形態(接続領域9a、9bの2つの別個のグループも有する)との間の重要な違いは、第1のグループ25の接続領域9a、9bと第2のグループ26の接続領域9a、9bとの間の関係に関する。
【0089】
図16図18の構成では、第2のグループ26の第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bのサブ領域9a’の少なくともいくつかは、第1のグループ25の第1の接続領域9aおよび第2の接続領域9bのサブ領域9a’が延在する延在軸27を横切って延在することに留意されたい。前述の説明に照らして理解されるように、接続領域9a、9bの第1のグループ25を形成するテザー糸は、膨張時にエアバッグ1に第1の湾曲を引き起こして、エアバッグ1を接続領域9a、9bの第1のグループの長手延在方向の周りに(すなわち、延在軸27の周りに)曲げる役割を果たす。したがって、理解されるように、接続領域9a、9bの第2のグループ26は、接続領域の第1のグループがエアバッグ1に湾曲を引き起こす軸27を横断する。これにより、接続領域9a、9bの第2のグループ26は、接続領域9a、9bの第1のグループによって湾曲が引き起こされるエアバッグ1の領域内に配置される。さらに、接続領域9a、9bの第2のグループ26を形成するテザー糸は、膨張時にエアバッグ1に第2の湾曲を引き起こして、エアバッグ1を接続領域9a、9bの第2のグループの長手延在方向の周りに曲げる役割を果たす。接続領域9a、9bの第2のグループ26が接続領域9a、9bの第1のグループ25に対して非平行であるとすると、第2の湾曲は、第1の湾曲とは異なる方向または向きであることが理解されるであろう。接続領域9a、9bの第2のグループ26は、接続領域9a、9bの第1のグループ25がエアバッグ1に第1の湾曲を引き起こす軸27を横断するので、その効果は、エアバッグ1の同じ領域に2つの異なる方向の湾曲を引き起こし、それによってエアバッグを2つの異なる方向に効果的に曲げることである。
【0090】
接続領域9a、9bの第2のグループ26に特に注目すると、図18から、第2のグループ26は、接続領域9a、9bの2つのセット、すなわち、屈曲継ぎ目24の一方の側に位置する第1のセット28と、屈曲継ぎ目24の反対側に位置する第2のセット29とに分割されることに留意されたい。したがって、屈曲継ぎ目24は、第2のグループ内の接続領域9a、9bの2つのセット28、29を分離する。さらに、屈曲継ぎ目24は、第2のグループ26内の接続領域9a、9bの延長部に対してほぼ直交して延在することに留意されたい。同様に観察されるように、第1のセット28の第1の接続領域9aの各サブ領域9a’は、第2のセット29のそれぞれのサブ領域9a’と整列され、その結果、整列された接続サブ領域9a’の各対は同一直線上に延在する。同様に、第1のセット28の各第2の接続部9bは、第2のセット29のそれぞれの第2の接続領域9bと整列され、その結果、整列された第2の接続領域9bの各対は、同一直線上に延在する。
【0091】
屈曲継ぎ目24がエアバッグ1の2つの布層2、3を相互接続することに留意すると、屈曲継ぎ目24は、したがって、第2のグループ26内の接続領域9a、9bの2つのセット28、29の間の膨張式チャンバ7の膨張深さを制限する役割を果たすことが理解されるであろう。このようにして、屈曲継ぎ目24は、接続領域9a、9bの第2のグループ26がエアバッグ1に第2の湾曲を引き起こすことを可能にするのを助けることができ、屈曲継ぎ目24は、接続領域9a、9bの第2のグループ26がエアバッグ1をより容易に曲げることができる折り目を効果的に画定する。
【0092】
図19および図20は、図16図18を参照して上述した構成の一対のエアバッグ1を示しており、着座位置にある人14に対して改善されたヒップ保護を提供するために膨張状態にあるエアバッグ1を示している。両方のエアバッグ1は、それらの第1の布層2が外側に向けられ、それらの第2の布層3がユーザー14に向かって内側に向けられるように配置されている。
【0093】
理解されるように、図19および図20に示されるエアバッグ1は、2つの異なる方向に、すなわち、エアバッグ1がユーザーのヒップの下に延在するようにユーザーの矢状軸16の周りに、またエアバッグ1がユーザーのヒップの側部の周りに延在するようにユーザーの垂直軸19の周りに、良好な曲げ特性を提供するように最適化されている。
【0094】
接続領域9a、9bの第1のグループ25は、エアバッグ1の上部領域内に位置付けられ、ユーザーの矢状面16に概ね平行またはほぼ平行に延在するように配向されている。したがって、第1のグループ25の接続領域は、エアバッグに第1の湾曲を引き起こすように構成されており、ユーザーの垂直軸19の周りにエアバッグ1を曲げるが、その結果、図12および図13の単一曲げ配置で観察されたように外側に広がる代わりに、ユーザーのヒップの側部の周りにタイトに延在するようになっている。
【0095】
接続領域9a、9bの第2のグループ26は、エアバッグ1の下部領域内に位置付けられ、ユーザーの横断面17に概ね平行またはほぼ平行に延在するように配向されている。したがって、第2のグループ25の接続領域は、エアバッグに第2の湾曲を引き起こすように構成されており、エアバッグ1をユーザーの矢状軸16の周りで曲げるが、その結果、エアバッグ1はユーザーのヒップの下にも延在し、それによって、図14および図15の単一曲げ配置と比較して、ユーザーのヒップの下に改善された被覆率が提供されるようになっている。特定の形態であるいは開示された機能を行うための手段または開示された結果を適宜得るための方法若しくは工程に関して表された、上記説明または以下の特許請求の範囲または添付の図面に開示された特徴は、別個にまたはかかる特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用されてよい。
【0096】
本発明は、上述の例示的な実施形態と関連して説明されてきたが、本開示が与えられた場合、当業者には多くの同等な変更および変形が明らかであろう。したがって、上に示された本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないと見なされる。記載された実施形態に対する様々な変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0097】
疑義を回避するために、本明細書で提供される任意の理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも束縛されることを望まない。
【0098】
本明細書で使用される任意のセクション見出しは、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0099】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「有する(have)」、「含む(comprise)」および「含む(include)」という語、並びに「有する(having)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」および「含む(including)」などの変形例は、記載された整数若しくはステップまたは整数若しくはステップの群れを含むことを意味するが、任意の他の整数若しくはステップまたは整数若しくはステップの群れを除外することを意味しないと理解される。
【0100】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」が、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数のものを含むことに留意しなければならない。範囲は、本明細書において、「約(about)」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、かつ/または他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関する用語「約」は任意選択であり、例えば、+/-10%を意味する。
【0101】
用語「好ましい(preferred)」および「好ましくは(preferably)」は、本明細書において、いくつかの状況下で特定の利益を提供し得る本発明の実施形態を指すために使用される。しかしながら、他の実施形態も、同じまたは異なる状況下で好ましい場合があることを理解されたい。したがって、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味または暗示するものではなく、本開示の範囲から、または特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図19
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【国際調査報告】