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特表2024-546008光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車および建物用建具
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  • 特表-光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車および建物用建具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車および建物用建具
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20241210BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241210BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241210BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20241210BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20241210BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 1/10 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 1/18 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 1/20 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 3/06 20060101ALI20241210BHJP
   B60J 3/04 20060101ALI20241210BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20241210BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/13 505
G02F1/1335 510
G02F1/1343
G02F1/1333 500
E06B9/24 C
B60J1/00 H
B60J1/02 Z
B60J1/10 Z
B60J1/18 F
B60J1/20 A
B60J3/06
B60J3/04
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527233
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 KR2022016881
(87)【国際公開番号】W WO2023080588
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0152322
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン,ホン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-フィ
(72)【発明者】
【氏名】オ,ピョン-ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ソン-フン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H149
2H190
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088FA02
2H088FA29
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088HA16
2H088HA18
2H088JA05
2H088JA06
2H088MA20
2H092HA04
2H092PA02
2H092PA11
2H092QA07
2H092RA10
2H149AA00
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA12
2H149CA02
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2H149EA12
2H149EA22
2H149EA29
2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA03Y
2H149FA04Y
2H149FA05Y
2H149FA08X
2H149FA12X
2H149FA12Y
2H149FA13Y
2H149FA13Z
2H149FA24W
2H149FA41Z
2H149FA54Z
2H149FA63
2H149FA66
2H149FA67
2H149FA68
2H149FA69
2H149FC01
2H149FC03
2H149FC04
2H149FD09
2H149FD14
2H149FD37
2H149FD47
2H149FD48
2H190JA19
2H190JB03
2H190JB08
2H190JD04
2H190JD05
2H190KA05
2H190LA01
2H190LA02
2H190LA21
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA23X
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2H291FB02
2H291FB05
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2H291GA05
2H291HA06
2H291HA11
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2H291MA20
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(57)【要約】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相bが-6.0ないし-3.0である、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車および建物用建具に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1偏光板と、
前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、
前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、
前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、
前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、
前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相b値が-6.0ないし-3.0である、透過率可変光学積層体。
【請求項2】
前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相b値が-5ないし-3.5である、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項3】
前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、保護層、位相差調節層および屈折率調節層からなる群より選択される1種以上の機能層を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項4】
前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、30ないし200μmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項5】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、20ないし70nmの厚さを有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項6】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、30ないし280Ω/□の面抵抗値を有する、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項7】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板との間に別途の基材を含まず、直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項8】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板との間に易接着層を含み、直接接触して形成される、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項9】
前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性高分子、導電性インクおよびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項10】
前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項11】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1ないし10μmである、請求項10に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項12】
前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%ないし10%である、請求項10に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項13】
前記透過率可変光学積層体は、配向膜、粘接着層、紫外線吸樹脂およびハードコーティング層からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項1に記載の透過率可変光学積層体。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のうちいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体の製造方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のうちいずれか一項に記載の透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウ。
【請求項16】
請求項15に記載のスマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した、自動車。
【請求項17】
請求項15に記載のスマートウィンドウを含む、建物用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過率可変光学積層体およびその製造方法と、これを含むスマートウィンドウ、これを適用した自動車および建物用建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両などの移動手段のガラス窓に外光遮断コーティングを施す場合が多い。しかし、従来の移動手段のガラス窓は透過率が固定されており、外光遮断コーティングも透過率が固定されている。したがって、このような従来の移動手段のウィンドウは全体透過率が固定されていて、事故を誘発することがある。例えば、全体的な透過率が低く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には問題がないが、周辺に光量が十分ではない夜間などの場合には、運転者などが移動手段の周辺をきちんと確認するにおいて困難性があるしかないという問題点があった。または全体的な透過率が高く設定されていたら、周辺に光量が十分な昼間には運転者などの眩しさを引き起こすことがあるという問題点があった。これにより、電圧が印加されると、光の透過性を変化させることができる透過率可変光学積層体が開発された。
【0003】
前記透過率可変光学積層体は、電圧印加によって液晶を駆動させて透過率を可変させることによって駆動されるが、現在まで開発された透過率可変光学積層体は、液晶の駆動のための導電層を別途の基材上に形成した後、これを偏光板などの他の素子と結合して製作される。
【0004】
例えば、日本国特開第2018-010035号も、所定の厚さを有するポリカーボネート(PC)基板などに形成された透明電極層を含む透過率可変光学積層体を開示している。
【0005】
しかし、このように導電層を形成するために別途の基材を含む場合、製作工程が複雑になることによって製造費用が上昇し、積層体の厚さが厚くなり、位相差が発生することによって透過率が変化するという問題がある。
【0006】
また、ITO(Indium Tin Oxide)などのように、一部の透明電極層に用いられる物質は、黄色系の(Yellowish)の固有色相値を有するが、透過率可変光学積層体は一般的なディスプレイ装置とは異なり、別途のバックライトを含まず、特に透光モードでの電極材料による色透け現象などが発生して、製品の中立(Neutral)色相を具現し難いという問題がある。
【0007】
したがって、導電層を形成するための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化し、厚さを減少させることができ、電極材料の固有色相値による色透け現象が少ない、透過率可変光学積層体に対する開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、偏光板の単体透過色相を調節することによって、導電層形成に用いられる電極材料による色透け現象が減少された透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0009】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、製作工程が簡素化した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0010】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、厚さが顕著に減少された透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0011】
また、本発明は、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、透光モードでの透過率が向上した透過率可変光学積層体を提供することを発明の目的とする。
【0012】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含むスマートウィンドウおよびこれを適用した自動車または建物用建具を提供することを発明の目的とする。
【0013】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相b値が-6.0ないし-3.0である、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0015】
本発明は、その第1観点において、前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相b値が-5ないし-3.5のものであってもよい。
【0016】
本発明は、その第2観点において、前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、保護層、位相差調節層および屈折率調節層からなる群より選択される1種以上の機能層を含むものであってもよい。
【0017】
本発明は、その第3観点において、前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、30ないし200μmの厚さを有するものであってもよい。
【0018】
本発明は、その第4観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、20ないし70nmの厚さを有するものであってもよい。
【0019】
本発明は、その第5観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、30ないし280Ω/□の面抵抗値を有するものであってもよい。
【0020】
本発明は、その第6観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板との間に別途の基材を含まず、直接接触して形成されるものであってもよい。
【0021】
本発明は、その第7観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板との間に易接着層を含み、直接接触して形成されるものであってもよい。
【0022】
本発明は、その第8観点において、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性高分子、導電性インクおよびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0023】
本発明は、その第9観点において、前記液晶層は、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0024】
本発明は、その第10観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)は、直径が1ないし10μmのものであってもよい。
【0025】
本発明は、その第11観点において、前記ボールスペーサー(Ball spacer)の液晶層内での占有面積は、液晶層面積の0.01%ないし10%のものであってもよい。
【0026】
本発明は、その第12観点において、前記透過率可変光学積層体は、配向膜、粘接着層、紫外線吸樹脂およびハードコーティング層からなる群より選択される1種以上をさらに含むものであってもよい。
【0027】
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体の製造方法に関するものである。
また、本発明は、前記透過率可変光学積層体を含む、スマートウィンドウに関するものである。
【0028】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した、自動車に関するものである。
【0029】
また、本発明は、前記スマートウィンドウを含む、建物用建具に関するものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の単体透過色相を調節することによって、従来の光学積層体に比べて電極材料による色透け現象が顕著に減少されたものになり得る。
【0031】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、従来の光学積層体の形成のために基材上に導電層を形成し、これを他の部材と貼り合わせるなどの工程を略することができ、従来の光学積層体に比べて製作工程が簡素化することができる。
【0032】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に比べて厚さが顕著に減少されたものになり得る。
【0033】
また、本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の一面上に直接導電層が形成され、導電層の形成のための別途の基材を含まないことで、従来の光学積層体に比べて透光モードでの透過率が向上したものになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
図2図2は、本発明の一または複数の実施例に係る偏光板の積層構造を示した図である。
図3図3は、本発明の他の実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、偏光板の一面上に液晶の駆動のための透明導電層を直接形成することによって、導電層の形成のための別途の基材を含まないため積層体の厚さが減少され、透光モードでの透過率が向上し、偏光板の単体透過色相を調節することによって電極材料による色透け現象などを防止することができる、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0036】
より詳しくは、第1偏光板と、前記第1偏光板の一面上に形成される第1透明導電層と、前記第1偏光板と対向する第2偏光板と、前記第2偏光板の一面上に形成され、前記第1透明導電層と対向する第2透明導電層と、前記第1透明導電層および第2透明導電層の間に備えられる液晶層と、を含み、前記第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層は、前記第1偏光板および第2偏光板のうちいずれか一つの偏光板と直接接触して形成され、前記第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相bが-6.0ないし-3.0である、透過率可変光学積層体に関するものである。
【0037】
本発明の透過率可変光学積層体は、電圧の印加によって光の透過性を変化させることができる技術分野に特に適しており、例えば、スマートウィンドウ(smart window)などに用いることができる。
【0038】
スマートウィンドウ(smart window)とは、電気的信号の印加によって光の透過性を変化させて通過される光または熱の量を制御する光学構造物を意味する。すなわち、スマートウィンドウ(smart window)は、電圧によって透明、不透明または半透明の状態に変化できるように備えられ、透過度可変ガラス、調光ガラスまたはスマートガラス(smart glass)などとも呼ばれる。
【0039】
スマートウィンドウ(smart window)は、車両および建築物の内部空間の区画用またはプライバシー保護用仕切りに活用するか、建築物の開口部に配置された採光窓として活用することもできる。また、高速道路表示板、掲示板、点数板、時計または広告スクリーンにも活用することができ、自動車、バス、航空機、船舶または汽車の窓(windows)またはサンルーフのような運送手段のガラスを代替して活用可能である。
【0040】
本発明の透過率可変光学積層体も、前述した多くの技術分野のスマートウィンドウ(smart window)として活用が可能であるが、導電層が偏光板に直接形成されることによって、導電層の形成のための別途の基材を含まないため厚さが薄く、屈曲特性に有利であり、車両用または建物用スマートウィンドウ(smart window)に特に適合に用いることができる。一または複数の実施形態において、本発明の透過率可変光学積層体が適用されたスマートウィンドウ(smart window)は、自動車の前面窓、後面窓、側面窓およびサンルーフ窓、または建物用建具などに用いることができ、外光遮断用途以外にも、内部仕切りなどのように自動車または建物などの内部空間区画用またはプライバシー保護用にも用いることができる。
【0041】
以下、図面を参考にして、本発明の実施形態をより具体的に説明することにする。ただ、本明細書に添付の以下の図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するものであって、前述の発明の内容とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役目を果たすものであるので、本発明は、それらの図面に記載の事項にだけ限定されて解釈されてはならない。
【0042】
本明細書で使用される用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は文句で特に言及しない限り複数形も含む。例えば、本明細書で使用される「偏光板」は、第1偏光板および第2偏光板のうち少なくとも一つの偏光板を意味するものであってもよく、「透明導電層」は、第1透明導電層および第2透明導電層のうち少なくとも一つの透明導電層を意味するものであってもよい。
【0043】
本明細書で使用される含む(comprises)および/または含む(comprising)は言及された構成要素、ステップ、動作および/または素子以外の一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作および/または素子の存在または追加を排除しない意味で使用される。明細書全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を称する。
【0044】
空間的に相対的な用語である「下」、「底面」、「下部」、「上」、「上面」、「上部」などは、図面に示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子を覆す場合、他の素子の「下」または「下部」と記述された素子は他の素子の「上」に置かれることもある。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をいずれも含むことができる。素子は他の方向にも配向することができ、これによって空間的に相対的な用語は、配向に応じて解釈することができる。
【0045】
本明細書内で使用された、「平面方向」は、偏光板および/または透明導電層に対して直交する方向、すなわちユーザーの視認側で眺める方向として解釈することができる。
【0046】
図1は、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図であり、図2は、本発明の一または複数の実施例に係る偏光板の積層構造を示した図であり、図3は、本発明の他の実施例に係る透過率可変光学積層体の積層構造を示した図である。
【0047】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る透過率可変光学積層体は、第1偏光板100-1、第2偏光板100-2、第1透明導電層200-1、第2透明導電層200-2および液晶層300を含むものであってもよい。
【0048】
前記第1偏光板100-1および第2偏光板100-2のうち少なくとも一つの偏光板は、単体透過色相b値が、-6.0ないし-3.0のものであってもよく、好ましくは、-5ないし-3.5のものであってもよい。
【0049】
前記偏光板100の単体透過色相b値が前記範囲を満足する場合、透明導電層200の固有色相値による色透け現象などを顕著に減少させることによって、光学積層体の透光モードでの中立(Neutral)色相を確保することができるという面で利点がある。
【0050】
具体的に、単体透過色相b値は、マイナス(-)方向に大きいほど青色味が強いことを示し、プラス(+)方向に大きいほど青色味が強いことを示すが、透明導電層に主に用いられるITO(Indium Tin Oxide)などの電極材料は、正の単体透過色相b値を有する。
【0051】
一方、画像表示装置も駆動のための透明導電層を含むが、LCD(Liquid Crystal Display)などのように通常の画像表示装置は、青色バックライトユニット(BLU)あるいは白色バックライトユニット(BLU)などを光源として用いるので、電極材料による色透け現象がユーザーに大きく視認されなかった。
【0052】
したがって、従来の画像表示装置などの技術分野では、画像表示装置の適切な光学特性の具現のために主に単体透過色相b値が-1.0以上の偏光板が用いられており、光源の色再現率の確保および電力効率を高めるための理由で、単体透過色相b値が-2.5以下の偏光板は、画像表示装置の適切な光学特性を具現することができないため、不良なものとして取り扱いされた。
【0053】
しかし、透過率可変光学積層体は、一般的な画像表示装置とは異なり、別途の光源を用いず、光学積層体を透過した外部自然光が光源として作用するので、従来の画像表示装置の属した技術分野で通常用いられる偏光板を含んで透過率可変光学積層体を製作する場合、電極材料による色透け現象の発生するという問題があった。
【0054】
これにより、本発明の発明者は、単体透過色相b値が-6.0ないし-3.0である偏光板を備えることによって、電極材料による黄色透け現象を顕著に減少させることができる透過率可変光学積層体を開発した。
【0055】
一方、一または複数の実施例において、前記透過率可変光学積層体に備えられる偏光板および透明導電層結合の積層構造物は、上部および/または下部に、第1偏光板100-1および第1透明導電層200-1の積層構造物;および/または第2偏光板100-2および第2透明導電層200-2の積層構造物を含んでもよく、前記積層構造物は、単体透過色相b値が-1.0ないし1.0のものを含んでもよく、好ましくは、0のものであってもよい。この場合、前記積層構造物を含む透過率可変光学積層体の透光モードでの中立(Neutral)色相の確保に容易であるという利点がある。本発明で中立色相は、導電層あるいはこれに用いられる電極材料など、色透けを示す構成や材料の影響を受けない色相を意味することができる。
【0056】
図2を参照すると、前記偏光板100は、偏光子110を含み、前記偏光子110の一面または両面上に、保護層120、位相差調節層130および屈折率調節層140などのような機能層をさらに含むものであってもよい。例えば、偏光板100は、偏光子110および前記偏光子110の一面または両面上に積層された保護層120を含むもの(図2aおよび図2b参照)であってもよい。または、偏光子110、前記偏光子110の一面上に積層された保護層120および前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に積層された位相差調節層130を含むもの(図2c参照)であってもよい。または、偏光子110、前記偏光子の一面上に積層された保護層120および前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順に積層された位相差調節層130および屈折率調節層140を含むもの(図2d参照)であってもよい。または、偏光子110、前記偏光子の一面上に積層された保護層120および前記偏光子110の前記一面に対向する他面上に順に積層された保護層120および位相差調節層130を含むもの(図2e参照)であってもよい。
【0057】
前記偏光子110は、従来のまたは以後に開発される偏光子を用いることができ、例えば、延伸型偏光子またはコーティング型偏光子などを用いることができる。
【0058】
一実施例において、前記延伸型偏光子は、延伸されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂を含んでもよい。前記ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol;PVA)系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をせっけん化して得たポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル以外に、酢酸ビニルとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。前記他の単量体としては、不飽和カルボン酸系、不飽和スルホン酸系、オレフイン系、ビニルエーテル系、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などであってもよい。また、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂は変性されたものを含み、例えば、アルデヒド類に変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールであってもよい。
【0059】
一実施例において、前記コーティング型偏光子は、液晶コーティング用組成物によって形成されてもよく、このとき、前記液晶コーティング用組成物は、反応性液晶化合物および異色性染料などを含んでもよい。
【0060】
前記反応性液晶化合物は、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また重合性官能基を一つ以上含む化合物を意味することができる。このような反応性液晶化合物はいわゆるRM(Reactive Mesogen)という名称で多様に公知されている。前記反応性液晶化合物は、光または熱によって重合され、液晶配列が維持されるとともに、高分子ネットワークが形成された硬化膜を構成することができる。
【0061】
前記反応性液晶化合物は、単官能性または多官能性反応性液晶化合物であってもよい。前記単官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を1つ有する化合物であり、多官能性反応性液晶化合物は、重合性官能基を2つ以上含む化合物を意味することができる。
【0062】
前記異色性染料は、液晶コーティング用組成物に含まれて偏光特性を付与する成分であって、分子の長軸方向での吸光度と短縮方向での吸光度が異なる性質を有する。前記異色性染料は、従来のまたは以後に開発される異色性染料を用いることができ、例えば、アゾ染料(azo dyes)、アントラキノン染料(anthraquinone dyes)、ペリレン染料(perylene dyes)、メロシアニン染料(merocyanine dyes)、アゾメチン染料(azomethine dyes)、フタロペリレン染料(phthaloperylene dyes)、インディゴ染料(indigo dyes)、ジオキサジン染料(diozadine dyes)、ポリチオフェン染料(polythiophene dyes)およびフェノキサジン染料(phenoxazine dyes)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0063】
前記液晶コーティング用組成物は、前記反応性液晶化合物および前記異色性染料を溶解させることができる溶剤をさらに含んでもよく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン(xylene)およびクロロホルム(chloroform)などを用いることができる。また、前記液晶コーティング用組成物は、コーティング膜の偏光特性を阻害しない範囲内でレーベリング剤、重合開始剤などをさらに含んでもよい。
【0064】
前記保護層120は、後工程および外部環境から偏光子110の偏光特性を保存するためのものであって、保護フィルムなどの形態で具現することができる。
【0065】
前記保護層120は、図2aおよび図2bに示されているように、偏光子110の一面または両面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、前記保護層は、一つ以上の保護層が連続的に積層された複層構造として用いられてもよく、他の機能層と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0066】
一または複数の実施例において、前記保護層120は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンイソフタレート(polyethylene isophthalate;PEI)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate;PEN)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate;PBT)、ジアセチルセルロース(diacetyl cellulose)、トリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリメチルアクリレート(polymethyl acrylate;PMA)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate;PMMA)、ポリエチルアクリレート(polyethyl acrylate;PEA)、ポリエチルメタクリレート(polyethyl methacrylate;PEMA)および環状オレフイン系ポリマー(cyclic olefin polymer;COP)からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
【0067】
前記位相差調節層130は、光学積層体の光学特性を補うためのものであって、位相差フィルムなどの形態で具現することができ、従来のまたは以後に開発される位相差フィルムなどを用いることができる。例えば、光の位相を遅延させるための四分の一波長板(1/4波長板)または半波長板(1/2波長板)などを用いてもよく、これらを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
【0068】
前記位相差調節層130は、図2cおよび図2dに示されているように、偏光子110の一面上に直接接触して形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、図2eに示されているように、前記位相差調節層130が保護層120の一面上に形成され、偏光子110、保護層120および位相差調節層130が順次に積層されるものであってもよい。
【0069】
前記位相差調節層130は、延伸により光学異方性を付与可能な高分子フィルムを適切な方式で延伸した高分子延伸フィルムまたは液晶重合フィルムを用いてもよい。
【0070】
一実施例において、前記高分子延伸フィルムは、ポリエチレン(polyethylene;PE)またはポリプロピレン(polypropylene;PP)などのポリオレフイン、ポリノルボルネン(polynorbornene)などの環状オレフインポリマー(COP:cyclo olefin polymer)、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリスルホン(polysulfone;PSU)、アクリル樹脂(acryl resin)、ポリカーボネート(polycarbonate;PC)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)などのポリエステル、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl acholol;PVA)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose;TAC)などのセルロースエステル系ポリマーや、前記ポリマーを形成する単量体の中で2種以上の単量体の共重合体などを含む高分子層を用いてもよい。
【0071】
前記高分子延伸フィルムを得る方法は特に制限されず、例えば、前記高分子材料をフィルム形態に成形した後、延伸することによって得られる。前記フィルム形態への成形方法は特に制限されるものではなく、射出成形、シート成形、ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、圧出成形、発砲成形、キャスト成形など公知方法でフィルムに成形することが可能であり、圧空成形、真空成形などの2次加工成形法も用いることができる。その中でも、圧出成形、キャスト成形が好ましく用いられる。このとき、例えば、Tダイ、円形ダイなどが取り付けられた圧出機などを用いて未延伸フィルムを圧出成形することができる。圧出成形によって成形品を得る場合には、事前に各種樹脂成分、添加剤などを溶融混錬した材料を用いることができれば、圧出成形時に溶融混錬を経って成形することもできる。また、各種樹脂成分に共通の溶媒、例えば、クロロホルム、2塩化メチレンなどの溶媒を用いて各種樹脂成分を溶解した後、キャスト乾燥固化することによって未延伸フィルムをキャスト成形することもできる。
【0072】
前記高分子延伸フィルムは、前記成形されたフィルムを機械的流れ方向(MD;Mechanical Direction、縦方向または長さ方向)に1軸延伸、機械的流れ方向の横方向(TD;Transverse Direction、横方向または幅方向)に1軸延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の順次二軸延伸法、テンター延伸による同時二軸延伸法、チューブラー延伸による二軸延伸法などによって延伸することによって二軸延伸フィルムを製造することもできる。
【0073】
前記液晶重合フィルムは、反応性液晶化合物を重合された状態で含んでもよい。前記反応性液晶化合物は、前述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容を同様に適用することができる。
【0074】
一または複数の実施例において、前記位相差調節層130の厚さは、高分子延伸フィルムの場合には、10μmないし100μmであってもよく、液晶重合フィルムの場合には、0.1μmないし5μmであってもよい。
【0075】
前記屈折率調節層140は、前記透明導電層200による光学積層体の屈折率差を補償するために備えられるものであって、屈折率差を減少させることによって視認特性などを改善させるための役目を果たすものであってもよい。また、前記屈折率調節層140は、前記透明導電層200に起因する色相を補正するために備えられるものであってもよい。一方、前記透明導電層がパターンを有する場合には、前記屈折率調節層140を通じて前記パターンが形成されているパターン領域とパターンが形成されていない非パターン領域の間の透過率差を補償することができる。
【0076】
具体的に、前記透明導電層200は、これと屈折率が異なる他の部材(例えば、偏光子110など)に隣接して積層され、隣接した他層との屈折率差によって光透過率の差が誘発されることがあり、特に透明導電層にパターンが形成された場合、パターン領域と非パターン領域を区分することができるように視認されるという問題点が発生することがある。したがって、前記屈折率調節層140を含むことによって、屈折率を補償するようにして光学積層体の光透過率の差を減少できるようにして、特に透明導電層にパターンが形成された場合には、パターン領域および非パターン領域が区分されて視認されないようにする。
【0077】
一実施例において、前記屈折率調節層140の屈折率は、隣接した他の部材の材料によって適切に選択されてもよいが、1.4ないし2.6のものが好ましく、より好ましくは、1.4ないし2.4であってもよい。この場合、前記偏光子110などの他の部材と透明導電層200の間の急激な屈折率差による光損失を防止することができる。
【0078】
前記屈折率調節層140は、偏光子110などの他の部材と透明導電層200の間の急激な屈折率差を防止できるものであれば、特に制限されず、従来のまたは以後に開発される屈折率調節層の形成に用いられる化合物を用いることができ、例えば、重合性イソシアヌレート化合物を含む屈折率調節層形成組成物から形成されるものであってもよい。
【0079】
一実施例において、前記偏光板100は、前述した機能層以外にも偏光子の特性を補助または強化するための他の機能層をさらに含んでもよく、例えば、機械的耐久性をより向上させるために、オーバーコート層などをさらに含むものであってもよい。
【0080】
一または複数の実施例において、前記偏光板100は、30ないし200μmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、30ないし170μmであってもよく、より好ましくは、50ないし150μmのものであってもよい。この場合、前記偏光板100は、光学特性を維持するとともに、薄い厚さの光学積層体の製造が可能である。
【0081】
前記透明導電層200は、液晶層300の駆動のために備えられるものであって、前記偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。例えば、図1に示されているように、第1透明導電層200-1および第2透明導電層200-2はそれぞれ第1偏光板100-1および第2偏光板100-2に直接接触して形成されるものであってもよい。
【0082】
従来のスマートウィンドウ(smart window)などの製造に用いられる光学積層体は、液晶の駆動のための導電層を基材の一面上に形成し、前記基材の他面を偏光板と貼り合わせることによって製造された。しかし、本発明に係る透過率可変光学積層体は、導電層の形成のための別途の基材を含まず、偏光板の一面上に導電層を直接形成することによって、積層体の厚さを減少させるとともに、透光モードでの透過率および屈曲特性を向上させることを特徴とする。
【0083】
一実施例において、前記透明導電層200は、前記偏光板100の一面上に直接蒸着されて形成されるものであってもよい。このとき、前記透明導電層200は、偏光板100との接着力の向上のために、偏光板100の一面上にコロナ処理またはプラズマ処理などの前処理を施した後、前記偏光板100の前処理を施した面と直接接触して形成されるものであってもよい。前記前処理は、コロナ処理またはプラズマ処理に限定されるものではなく、本発明の目的を害しない範囲内で、従来のまたは以後に開発される前処理工程を用いてもよい。
【0084】
他の実施例において、前記透明導電層200は、偏光板100との接着力の向上のために、偏光板100の一面上に備えられた易接着層(図示せず)を挟んで、偏光板100と直接接触して形成されるものであってもよい。
【0085】
前記透明導電層200は、可視光に対する透過率が50%以上のものが好ましく、例えば、透明導電性酸化物、金属、炭素系物質、導電性高分子、導電性インクおよびナノワイヤからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、より好ましくは、透明導電性酸化物を含むものであってもよい。
【0086】
一または複数の実施例において、前記透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)、フローリンスズ酸化物(FTO)および亜鉛酸化物(ZnO)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。また、前記金属は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)およびこれらのうち少なくとも一つを含む合金などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金または銅-カルシウム(CuCa)合金を含んでもよい。前記炭素系物質は、炭素ナノチューブ(CNT)およびグラフェン(graphene)などからなる群より選択される1種以上を含むものであってもよく、前記導電性高分子は、ポリピロール(polypyrrole)、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアセンチレン(polyacetylene)、ピードット(PEDOT)およびポリアニリン(polyaniline)などからなる群より選択される1種以上を含んでもよい。前記導電性インクは、金属パウダーと硬化性高分子バインダーとが混合したインクであってもよく、ナノワイヤは、例えば、シルバーナノワイヤ(AgNW)であってもよい。
【0087】
また、前記透明導電層200は、前記物質を組み合わせて、2層以上の構造に形成されてもよい。例えば、入射光の反射率を下げ、透過率を高めるように金属層および透明導電性酸化物層を含む2層構造に形成されてもよい。
【0088】
一実施例において、前記透明導電層200は、20ないし70nmの厚さを有するものであってもよく、好ましくは、25ないし65nmの厚さを有するものであってもよく、より好ましくは、30ないし60nmの厚さを有するものであってもよい。
【0089】
前記透明導電層200の厚さが前記範囲を満足する場合、透過率可変光学積層体の駆動に適した面抵抗値を有し、光学積層体の中立(Neutral)色相の確保が容易であるという利点がある。
【0090】
一実施例において、前記透明導電層200は、30ないし280Ω/□の面抵抗値を有するものであってもよく、好ましくは、50ないし255Ω/□の面抵抗値を有するものであってもよい。
【0091】
前記透明導電層200の面抵抗値が前記範囲を満足する場合、透過率可変光学積層体の駆動が円滑なだけでなく、光学積層体の中立(Neutral)色相の確保が容易な透明導電層200の厚さの具現が容易であるという利点がある。
【0092】
前記透明導電層200は、当該分野で通常用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレイコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法などのコート工程;スクリーン印刷法、スプレイ印刷法、インクジェット印刷法、凸板印刷法、凹板印刷法、平板印刷法などの印刷工程;およびCVD(chemical vapor deposition)、PVD(physical vapor deposition)、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)などの蒸着工程などの方式のうち、適切な工程を選択して形成されてもよい。
【0093】
前記液晶層300は、電界によって一または複数の方向から入射される光の透過度を調節することによって、前記光学積層体の駆動モードを変更させることができる。
【0094】
前記液晶層300は、液晶化合物を含むものであってもよく、例えば、光制御領域で第1偏光板100-1および第2偏光板100-2の間に備えられるシーラント600およびスペーサー(図示せず)によって提供される空間内に位置してもよい。
【0095】
前記液晶化合物は、電界によって駆動されるものであって、光の透過率を制御できるものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発される液晶化合物を用いることができ、例えば、前述したコーティング型偏光子の反応性液晶化合物に関する内容を同様に適用することができる。
【0096】
前記液晶層300の液晶挙動方式は特に制限されるものではなく、例えば、TN(Twisted nematic)モード、STN(Super twisted nematic)モード、VA(Vertical alignment)モードなどを用いることができる。
【0097】
前記シーラント600は、ベース樹脂として硬化性樹脂を含んでもよい。前記ベース樹脂としては、当業界でシーラント600に用いられるものと公知された紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いてもよい。前記紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性単量体の重合体であってもよい。前記熱硬化性樹脂は、熱硬化性単量体の重合体であってもよい。
【0098】
前記シーラント600のベース樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂または前記樹脂の混合物を用いてもよい。一実施例において、前記ベース樹脂は、アクリレート系樹脂であってもよく、前記アクリレート系樹脂は、アクリル単量体の重合体であってもよい。前記アクリル単量体は、例えば、多官能性アクリレートであってもよい。他の実施例において、前記シーラント600は、ベース樹脂に単量体成分をさらに含んでもよい。前記単量体成分は、例えば、単官能性アクリレートであってもよい。本明細書で単官能性アクリレートは、アクリル基を1つ有する化合物を意味することができ、多官能性アクリレートは、アクリル基を2つ以上有する化合物を意味することができる。前記硬化性樹脂は、紫外線の照射および/または加熱によって硬化することができる。前記紫外線の照射条件または加熱条件は、本出願の目的を損なわない範囲内で適切に行うことができる。前記シーラント600は必要な場合、開始剤、例えば、光開始剤または熱開始剤をさらに含んでもよい。
【0099】
前記シーラント600は、当該分野で通常用いられる方法によって形成されてもよく、例えば、ノズルを備えるディスペンサーを用いてシーラント600を前記液晶層の外郭(すなわち、非活性領域)にドローイングして形成されてもよい。
【0100】
前記スペーサーは、ボールスペーサー(Ball spacer)およびコラムスペーサー(Column spacer)のうち少なくとも一つ以上のスペーサーを含んでもよく、特にボールスペーサー(Ball spacer)であることが好ましい。前記ボールスペーサー(Ball spacer)は一つ以上であってもよく、直径が1ないし10μmであることが好ましい。また、平面方向から見たとき、前記ボールスペーサー(Ball spacer)が液晶層300で占める面積は、ユーザーの視認性および透光モードでの透過率の向上の面で、液晶層300の面積に対して0.01ないし10%であることが好ましい。
【0101】
一実施例において、前記液晶層300は、必要によって配向膜400をさらに含むもの(図3参照)であってもよく、例えば、液晶化合物を含む液晶層300の両面上に形成されるものであってもよい。
【0102】
前記配向膜400は、液晶化合物に配向性を付加するためのものであれば特に制限されない。例えば、前記配向膜400は、配向性高分子、光重合開始剤および溶剤を含む配向膜コーティング組成物を塗布および硬化することによって製作されてもよい。前記配向性高分子は特に限定されないが、ポリアクリレート系樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリイミド系樹脂、シンナメート基を含む高分子などを用いてもよく、従来のまたは以後に開発される配向性を示すことができる高分子を用いてもよい。
【0103】
本発明の透過率可変光学積層体は、本発明の目的を損なわない範囲内で他の部材をさらに含むものであってもよく、例えば、粘接着層500をさらに含むもの(図3b参照)であってもよく、紫外線吸樹脂、ハードコーティング層などをさらに含むものであってもよい。
【0104】
前記粘接着層500は、接着剤または粘着剤を用いて形成されてもよく、光学積層体の取り扱い時に剥離、気泡などが発生しないように適切な粘接着力を有するとともに、透明性および熱安定性を有することが好ましい。
【0105】
前記接着剤は、従来のまたは以後に開発される接着剤を用いてもよく、例えば、光硬化性接着剤を用いてもよい。
【0106】
前記光硬化性接着剤は、紫外線(Ultraviolet、UV)、電子線(Electron Beam、EB)など活性エネルギー線を受けて、架橋および硬化して強い接着力を示すものであって、反応性オリゴマー、反応性モノマー、光重合開始剤などで構成されてもよい。
【0107】
前記反応性オリゴマーは、接着剤の特性を決める重要な成分であって、光重合反応によって高分子結合を形成して硬化被膜を形成する。使用可能な反応性オリゴマーは、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコーン係樹脂などが挙げられる。
【0108】
前記反応性モノマーは、前述の反応性オリゴマーの架橋剤、希釈剤としての役目を果たし、接着特性に影響を及ぼす。使用可能な反応性モノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、エポキシ系モノマー、ビニルエーテル類、環状エーテル類などが挙げられる。
【0109】
前記光重合開始剤は、光エネルギーを吸収してラジカルあるいは陽イオンを生成させて光重合を開始する役目を果たすものであって、光重合樹脂によって適したものを選択して用いてもよい。
【0110】
前記粘着剤は、従来のまたは以後に開発される粘着剤を用いてもよく、一または複数の実施形態において、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いてもよい。前記粘着剤は、粘着力と粘弾性を有するものであれば特に制限されないが、入手容易性などの面で、好ましくは、アクリル系粘着剤であってもよく、例えば、(メタ)アクリレート共重合体、架橋剤および溶剤などを含むものであってもよい。
【0111】
前記架橋剤は、従来のまたは以後に開発される架橋剤を用いてもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマーなどを含むものであってもよく、好ましくは、ポリイソシアネート化合物を含むものであってもよい。
【0112】
前記溶剤は、樹脂組成物分野で用いられる通常の溶媒を含んでもよく、例えば、メタノール、エチルアルコール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールメトキシアルコールなどのアルコール系化合物;メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン系化合物;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメトキシアセテートなどのアセテート系化合物;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブなどのセロソルブ系化合物;ヘクサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系化合物などの溶媒が用いられてもよい。これらは、単独であるいは2種以上が組合されて用いられてもよい。
【0113】
前記粘接着層500の厚さは、粘接着剤の役目を果たす樹脂の種類、粘接着強度、粘接着剤が用いられる環境などによって適切に決められてもよい。一実施例において、前記粘接着層は、十分な粘接着力を確保して光学積層体の厚さを最小化するために、0.01ないし50μmであってもよく、好ましくは、0.05ないし20μm、より好ましくは、0.1ないし10μmの厚さを有するものであってもよい。
【0114】
一実施例において、前記粘接着層500は、ラミネート方式によって偏光板の一面または両面上に形成されてもよい。
【0115】
前記紫外線吸樹脂は、紫外線による光学積層体の劣化を防止するためのものであれば特に制限されず、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤(フェニルサリシレート、p-tert-ブチルサリシレートなど)、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-(1-メチル-1-フェニルエチル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートと2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートの混合物など)、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(2’-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3-(3’,4’-メチレンジオキシフェニル)-アクリレートなど)、トリアジン系紫外線吸収剤などを用いてもよく、透明性が高く、偏光板や透過率可変層の劣化を防止する効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、分光吸収スペクトルがより適切なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ビス(Bis)化したものであってもよく、例えば、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノール)、6,6’-メチレンビス(2-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール)などであってもよい。
【0116】
前記ハードコーティング層は、外部の物理的、化学的衝撃から偏光板、透過率可変層などの部材を保護するためのものであれば特に制限されず、従来のまたは以後に開発されるハードコーティング層が用いられてもよい。
【0117】
一実施例において、前記ハードコーティング層は、他の部材上にハードコーティング層形成用組成物を塗布した後、光または熱によって硬化させて形成されてもよい。前記ハードコーティング層形成用組成物は特に制限されず、例えば、光硬化性化合物および光開始剤を含んでもよい。
【0118】
前記光硬化性化合物および光開始剤は、当分野で一般的に用いられるものを制限されることなく用いることができ、例えば、前記光硬化性化合物は、光重合性モノマー、光重合性オリゴマーなどであってもよく、例えば、単官能および/または多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、光開始剤は、オキシムエステル系などが挙げられる。
【0119】
本発明は、前記透過率可変光学積層体に加えて、これを含むスマートウィンドウを含む。また、本発明は、前記スマートウィンドウを前面窓、後面窓、側面窓、サンルーフ窓、および内部仕切りのうち少なくとも一つ以上に適用した自動車および前記スマートウィンドウを含む建物用建具を含む。
【0120】
例えば、本発明のスマートウィンドウを含む自動車は、偏光板100、透明導電層200、液晶層300、配向膜400、粘接着層500およびシーラント600を含む光学積層体の両面上に車両用ガラス700を接合したもの(図4参照)であってもよく、例えば、光学積層体の両面上に接着フィルムおよび車両用ガラスを載せた後、Press machineを用いて温度90°および約1barの真空状態で10~20分加熱して製造されたものであってもよく、前記接着フィルムは、EVAフィルム、PVBフィルムなどを含むものであってもよい。
【0121】
また、前記光学積層体の両面(図5参照)または一面(図6参照)上に建物用建具(建具用ガラス、800)を接合したものであってもよく、光学積層体の両面上に建具用ガラスをUV接着剤を塗布して接合した後、UV硬化して、図5と同一な構成の建具用スマートウィンドウ製品を製造したものであってもよく、光学積層体の一面上に建具用ガラスにラミネート方式で接合して、図6と同一な構成の建具用スマートウィンドウ製品を製造したものであってもよい。
【0122】
以下、具体的に本発明の実施例を記載する。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現することができ、ただ、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【実施例
【0123】
製造例:偏光板の製作
(1)膨潤処理工程
厚さ60μmのポリビニルアルコールフィルム(原反フィルム)(株式会社クラレ社製造、商品名「クラレポバールフィルムVF-PE#6000」、平均重合度2400、せっけん化度99.9モル%)を原反ロールから連続的に繰り出して搬送し、20℃の純水が入った膨潤浴に30秒間浸漬した。この膨潤処理工程では、ニップロールの間に周速度の差をつけてロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。原反フィルムを基準とする延伸倍率は2.5倍にした。
【0124】
(2)染色処理工程
次いで、ニップロールを通過したフィルムを、純水/ヨウ化カリウム/ヨード/ホウ酸(質量比)が100/2/0.01/0.3である30℃の染色浴に120秒間浸漬した。この染色処理においても、ニップロールの間に周速度の差をつけてロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。膨潤処理工程後のフィルムを基準とする延伸倍率は1.1倍にした。
【0125】
(3)架橋処理工程
次いで、ニップロールを通過したフィルムを、純水/ヨウ化カリウム/ホウ酸(質量比)が100/12/4である56℃の第1架橋浴に70秒間浸漬した。ニップロールと、第1架橋浴と第2架橋浴の間に設けられたニップロールとの間に周速度の差をつけてロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。染色処理工程後のフィルムを基準とする延伸倍率は1.9倍にした。
【0126】
(4)補色処理工程
次いで、架橋処理後のフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/純水(質量比)が9/2.9/100である40℃の第2架橋浴に10秒間浸漬した。
【0127】
(5)洗浄処理工程
次いで、第2架橋処理後のフィルムを、14℃の純水が入った洗浄浴に5秒間浸漬させ、シャワー量5m/hおよびシャワー温度14℃で洗浄した。
【0128】
このとき、短波長領域帯を吸収する[PVA ]錯体は、水に弱い特性があって単体透過色相b値は、洗浄液温度、洗浄液滞留時間、シャワー量、シャワー温度、PVA水分率によって大きく変わる。
【0129】
(6)乾燥処理工程
次いで、洗浄処理工程後のフィルムを、乾燥炉に通過させることによって、80℃で190秒間加熱乾燥させて偏光子フィルムを製作した。乾燥後の水分率は13.6%であり、得られた偏光子フィルムの厚さは、約21μmであった。
【0130】
(7)接合処理工程
次いで、接着剤として、水100質量部に対してポリビニルアルコールを5質量部含む水系接着剤を調剤した。以後、前記偏光子フィルムの両側に、調剤したUV接着剤を用いて保護フィルムを積層させた。得られた積層体にUV露光を行い、接着剤を硬化させて偏光板を製作した。また、得られた偏光板における接着剤層の厚さは、約2μmであった。
【0131】
実施例および比較例:光学積層体の製作
実施例1
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を8℃、滞留時間を30秒、シャワー量を6.5m/h、乾燥後のPVA水分率を25.8%に変更したことを除いては、前記製造例と同様に偏光板を製作した。
【0132】
以後、ロールツーロールスパッタリング装置((株)エスエンテック社製造)に前記偏光板を入れて、450W DC電力を印加してスパッタガンを作動させた後、ITO(10wt% Sn doped In)ターゲットにプラズマを誘導して44nm厚さの透明導電層を形成させることによって、偏光板/透明導電層の積層構造を有する上部および下部積層構造物をそれぞれ製作した。前記上部および下部積層構造物が形成された透明導電層に50W DCパワーでイオンガンを作動させてイオン処理した。このとき、前記ロールツーロール工程は、常温で圧力を3mTorrに維持し、アルゴンガスおよび酸素ガスを30sccmおよび1sccmでそれぞれ供給しながらローリングスピード(rolling speed)1cm/secで行った。このとき、ITO厚さは、FT-SEMで測定しており、ITO面抵抗(Ω/□)は、Four point probeを用いて測定した。
【0133】
その後、前記上部および下部積層構造物のITO面上に配向膜をコーティングした後、下部積層構造物のITO面上にシーラントディスペンサーを用いて、製品サイズに合わせてシーラントを塗布した。その後、上部および下部偏光板の配向膜が互いに0゜または90゜で平行に配置した状態で、下部積層構造物の配向膜の上に液晶をODF工程方式で注入しながら上部および下部積層構造物を接合して実施例1の透過率可変光学積層体を製作した。
【0134】
実施例2
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を3℃、滞留時間を55秒、シャワー量を8m/h、乾燥後のPVA水分率を28.5%、透明導電層の厚さを58nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例2の透過率可変光学積層体を製作した。
【0135】
実施例3
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を5℃、滞留時間を50秒、シャワー量を7.7m/h、乾燥後のPVA水分率を27.6%、透明導電層の厚さを54nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例3の透過率可変光学積層体を製作した。
【0136】
実施例4
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を6℃、滞留時間を45秒、シャワー量を7.4m/h、乾燥後のPVA水分率を27.2%、透明導電層の厚さを51nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例4の透過率可変光学積層体を製作した。
【0137】
実施例5
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を7℃、滞留時間を40秒、シャワー量を7.1m/h、乾燥後のPVA水分率を26.6%、透明導電層の厚さを48nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例5の透過率可変光学積層体を製作した。
【0138】
実施例6
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を8℃、滞留時間を35秒、シャワー量を6.8m/h、乾燥後のPVA水分率を26.2%、透明導電層の厚さを45nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例6の透過率可変光学積層体を製作した。
【0139】
実施例7
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を9℃、滞留時間を30秒、シャワー量を6.5m/h、乾燥後のPVA水分率を25.3%、透明導電層の厚さを42nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例7の透過率可変光学積層体を製作した。
【0140】
実施例8
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を10℃、滞留時間を25秒、シャワー量を6.2m/h、乾燥後のPVA水分率を25.1%、透明導電層の厚さを40nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例8の透過率可変光学積層体を製作した。
【0141】
実施例9
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を11℃、滞留時間を20秒、シャワー量を5.9m/h、乾燥後のPVA水分率を24.5%、透明導電層の厚さを37nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例9の透過率可変光学積層体を製作した。
【0142】
実施例10
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を12℃、滞留時間を15秒、シャワー量を5.6m/h、乾燥後のPVA水分率を24%、透明導電層の厚さを34nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例10の透過率可変光学積層体を製作した。
【0143】
実施例11
洗浄処理工程の洗浄およびシャワー温度を13℃、滞留時間を10秒、シャワー量を5.3m/h、乾燥後のPVA水分率を23.5%、透明導電層の厚さを30nmに変更したことを除いては、実施例1と同様の方法によって、実施例11の透過率可変光学積層体を製作した。
【0144】
比較例1
前記製造例の偏光板を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法によって、比較例1の透過率可変光学積層体を製作した。
【0145】
比較例2
透明導電層の厚さを58nmに変更したことを除いては、比較例1と同様の方法によって、比較例2の透過率可変光学積層体を製作した。
【0146】
比較例3
透明導電層の厚さを30nmに変更したことを除いては、比較例1と同様の方法によって、比較例3の透過率可変光学積層体を製作した。
【0147】
実験例:光学特性の評価
前記実施例1ないし11および比較例1ないし3の光学積層体およびこれに含まれた偏光板と積層構造物に対して、分光測色計(CM-3700d、Konica Minolta社)を用いて透過率、単体透過色相aおよびbを測定し、下記の表1ないし3に示した。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
前記表1ないし3を参照すると、単体透過色相b値が-6.0ないし-3.0の範囲を満足する偏光板を含む実施例1ないし11の積層構造物(偏光板/透明導電層)は、単体透過色相b値が0であり、これを含む光学積層体は、単体透過色相b値が6.5である。
【0152】
一方、単体透過色相b値が3.2または3.6である偏光板を含む比較例1ないし3の積層構造物(偏光板/透明導電層)は、単体透過色相b値が6.2ないし9.7であり、これを含む光学積層体は、単体透過色相b値が14.3ないし19.5である。
【0153】
したがって、偏光板の単体透過色相b値が-6.0ないし-3.0の範囲を満足する実施例の光学積層体が電極材料による色透け現象が減少して透光モードでの中立(Neutral)色相の具現に容易であることが分かる。
【0154】
また、単体透過色相b値が-2.1または-2.0である偏光板を含む比較例4の積層構造物(偏光板/透明導電層)は、面抵抗値が452Ω/□であり、単体透過色相b値が-7.2または-7.0である偏光板を含む比較例5の積層構造物(偏光板/透明導電層)は、面抵抗値が14Ω/□であり、面抵抗が過度に高いと、駆動電圧が持続的に多く必要になって製品の電力効率および安全性が低下し、材料の耐久度が減る。面抵抗が過度に低いと、必要なブラインド効果を示す透過率可変範囲が多く減り、原料費用も上昇する。
【0155】
したがって、偏光板の単体透過色相b値が-6.0ないし-3.0の範囲を満足する実施例の光学積層体が光学積層体の駆動の面においても利点があることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明に係る透過率可変光学積層体によると、偏光板の単体透過色相を調節することによって、従来の光学積層体に比べて電極材料による色透け現象が顕著に減少されたものになり得る。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
【国際調査報告】