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特表2024-546026GLP-1受容体及びGIP受容体二重アゴニストの医薬組成物及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-17
(54)【発明の名称】GLP-1受容体及びGIP受容体二重アゴニストの医薬組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/26 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241210BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241210BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K9/08
A61K9/19
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/26
A61P3/10
A61P3/04
C07K14/605 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527503
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2022131375
(87)【国際公開番号】W WO2023083301
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111341752.0
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524173372
【氏名又は名称】福建盛迪医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】FUJIAN SHENGDI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.308 Wengjiao Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361026, China
(71)【出願人】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】李 振斌
(72)【発明者】
【氏名】陳 菁
(72)【発明者】
【氏名】曹 雪騰
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076BB11
4C076CC21
4C076DD23Z
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076DD37R
4C076DD38D
4C076FF14
4C076FF36
4C076FF39
4C076FF61
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA36
4C084CA59
4C084DB35
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA44
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC351
4C084ZC352
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA01
4H045BA19
4H045BA50
4H045DA30
4H045EA20
(57)【要約】
GLP-1受容体及びGIP受容体二重アゴニストの医薬組成物並びにその使用を提供する。具体的には、当該医薬組成物は、一般式(I)に示されるGLP-1類似体及びリン酸塩緩衝剤などの緩衝剤を含み、上記組成物は、プロピレングリコール、塩化ナトリウム又はマンニトールなどの浸透圧調整剤を更に含んでもよい。当該医薬組成物は、良好な生物学的活性及び安定性を有する。一般式(I):R-X-X-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-R
(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)及び(b)を含む医薬組成物であって、
(a)一般式(I)に示されるGLP-1類似体又はその薬用可能な塩であり、
-X-X-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-R
(I)
そのうち、
はH、アルキル基、アセチル基、ホルミル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、pGluであり、又は存在せず、
は-NH、-OHであり、又は存在せず、
、X、X10、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X23、X24、X27、X28、X29及びX30は、独立的に任意の天然又は非天然アミノ酸残基から選ばれ、及び
(b)酢酸塩緩衝剤、ヒスチジン塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤及びクエン酸緩衝剤から選ばれる何れか1種の緩衝剤であり、好ましくはリン酸塩緩衝剤、より好ましくはリン酸水素二ナトリウムである、医薬組成物。
【請求項2】
はTyr又はHisであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はVal又はTyr又はY1であり、X12はSer又はIle又はY1であり、X13はTyr又はAla又はY1であり、X14はLeu又はNle又はY1であり、X15はAsp又はGluであり、X16はArg、Glu、Gly、Lys又はAib又はY1であり、X17はGlu、Ile又はGln又はY1であり、X18はAla、Aib又はHisであり、X19はAla、Aib又はGlnであり、X20はGln、Glu、Lysであり、X23はIle又はValであり、X24はAla、Asn又はGlnであり、X27はVal又はLeuであり、X28はArg又はAlaであり、X29はGly又はGlnであり、X30はGly、Lysであり、
Y1は側鎖に置換基が含まれるLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、前記置換基は、式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHを有し、
aは1~3の整数であり、
bは1又は2であり、
cは10~30の整数である、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
はTyrであり、XはAibであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はY1であり、X15はAsp又はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGlnであり、X23はIle又はValであり、X24はAsnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
16はLysであり、X23はValであり、X27はLeuである、
請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
はTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はY1であり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
はTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はY1であり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
はTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はY1であり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
はTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はY1であり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
はAibであり、X20はGlnであり、X24はAsnである、
請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
はTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はY1であり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
はAibであり、X14はLeuであり、X20はGlnであり、X24はAsnである、
請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
はTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はY1であり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、
Y1は、請求項2に限定された通りである、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
aは2であり、bは1又は2であり、cは16~20の整数である、
請求項2~12の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
cは16、18又は20である、
請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
Y1は側鎖に置換基が含まれるLys残基であり、前記置換基は、式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHを有し、
aは2であり、
bは1又は2であり、
cは16又は18である、
請求項2~14の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記置換基は、アミド結合を介して前記側鎖上のアミノ基に共有結合する、
請求項2~15の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
Y1はK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)又はK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)であり、
そのうち、K(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)は下記の構造を有する:
【化1】
好ましくは下記の構造を有する:
【化2】
K(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)は下記の構造を有する:
【化3】

好ましくは下記の構造を有する:
請求項2~16の何れか一項に記載の医薬組成物。
【化4】
【請求項18】
前記置換基は、アミド結合を介して前記側鎖上のεアミノ基に共有結合する、
請求項2~17の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記GLP-1類似体は、配列番号20に示される配列を有し、
好ましくは、前記GLP-1類似体は、下記の番号1~18の何れか一項に示される化合物から選ばれる:
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記GLP-1類似体は、下記の番号1#~18#の何れか一項に示される化合物から選ばれる:
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記GLP-1類似体は、図3の7#、12#、13#、14#、15#、16#、17#、又は18#に示される化合物から選ばれる、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物は、浸透圧調整剤を更に含み、
好ましくは、前記浸透調整剤は、プロピレングリコール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、ラクトース、トレハロース、スクロース、グルコース、塩化ナトリウム、リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ホウ酸及び酒石酸ナトリウムから選ばれる1種又は複数種であり、
より好ましくは、前記浸透圧調整剤は、プロピレングリコール、塩化ナトリウム又はマンニトールであり、
最も好ましくは、前記浸透圧調整剤は、プロピレングリコール又は塩化ナトリウムである、
請求項1~21の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記医薬組成物は、静菌剤を更に含み、
好ましくは、前記静菌剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、2-フェノキシエタノール、ブチルパラベン、2-フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、エタノール、クロロブタノール及びチメロサール、ブロノプロピレングリコール、安息香酸、イミド尿素、クロルヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、エチルパラベン、塩化ベンゼトニウム又はその混合物から選ばれ、
より好ましくは、前記静菌剤は、フェノールである、
請求項1~22の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物は、pH調整剤を更に含み、好ましくは、前記pH調整剤は、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸である、
請求項1~23の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物のpHは7.0~8.0、好ましくは7.1~7.7、最も好ましくは約7.5又は約7.4である、
請求項1~24の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記GLP-1類似体又はその薬用可能な塩の濃度は0.1mg/mL~500mg/mL、好ましくは1.0mg/mL~100mg/mL、より好ましくは1.0mg/mL~30.0mg/mL、最も好ましくは2.0mg/mL~10.0mg/mLである、
請求項1~25の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
医薬組成物中の緩衝剤の濃度は1.0mM~35.0mM、好ましくは1.0mM~25.0mM、より好ましくは2.0mM~10.0mMである、
請求項1~26の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
医薬組成物中のプロピレングリコールの濃度は10mg/mL~20mg/mL、好ましくは12mg/mL~16mg/mL、より好ましくは約14mg/mLであり、或いは医薬組成物中のマンニトールの濃度は30mg/mL~45mg/mL、好ましくは30mg/mL~40mg/mL、より好ましくは約31.5mg/mLであり、或いは医薬組成物中の塩化ナトリウムの濃度は2mg/mL~18mg/mL、好ましくは8mg/mL~10mg/mL、より好ましくは約9mg/mLである、
請求項22~27の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
医薬組成物中の静菌剤の濃度は4.0mg/mL~7.0mg/mL、好ましくは4.4mg/mL~6.8mg/mL、より好ましくは5.5mg/mL~6.6mg/mL、最も好ましくは約5.5mg/mLである、
請求項23~28の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
医薬組成物であって、
図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
リン酸二水素ナトリウム、及び
プロピレングリコール、マンニトール又は塩化ナトリウムを含み、
選択可能的に、前記医薬組成物はフェノールを更に含む、
医薬組成物。
【請求項31】
A)~J)の何れか一項を含み、且つ前記医薬組成物のpHは6.5~9.0であり、そのうち、
A)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、及び
10mg/mL~20mg/mLのプロピレングリコール又は30mg/mL~40mg/mLのマンニトール、
或いは、
B)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、及び
2mg/mL~18mg/mLの塩化ナトリウムを含み、
或いは、
C)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
10mg/mL~20mg/mLのプロピレングリコール、又は15mg/mL~45mg/mLのマンニトール、又は2mg/mL~18mg/mLの塩化ナトリウムを含み、
選択可能的に、前記医薬組成物は、4.0mg/mL~7.0mg/mLのフェノールなどの抗菌剤を更に含み、
D)1.0mg/mL~30.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~25.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
11mg/mL~18mg/mLのプロピレングリコール、又は20mg/mL~40mg/mLのマンニトール、又は3mg/mL~15mg/mLの塩化ナトリウム、
4.2mg/mL~6.9mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
且つ前記医薬組成物のpHは7.0~8.0であり、
E)2.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
2.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は25mg/mL~35mg/mLのマンニトール、又は8mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
且つ前記医薬組成物のpHは7.1~7.7であり、
F)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
10mg/mL~20mg/mLのプロピレングリコール、又は15mg/mL~45mg/mLのマンニトール、又は2mg/mL~18mg/mLの塩化ナトリウム、
4.0mg/mL~7.0mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ前記医薬組成物のpHは6.5~9.0であり、
G)1.0mg/mL~30.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~25.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
11mg/mL~18mg/mLのプロピレングリコール、又は20mg/mL~40mg/mLのマンニトール、又は3mg/mL~15mg/mLの塩化ナトリウム、
4.2mg/mL~6.9mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ前記医薬組成物のpHは7.0~8.0であり、
H)2.0mg/mL~20.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
2.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は25mg/mL~35mg/mLのマンニトール、又は7mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ前記医薬組成物のpHは7.1~7.7であり、
I)5.0mg/mL~15.0mg/mL又は5.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
5.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は7mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、又は8mg/mL~9mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ前記医薬組成物のpHは7.1~7.7であり、
J)5.0mg/mL~15.0mg/mL又は5.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
4.0mM~8.0mM又は4.0mM~6.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は7mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、又は8mg/mL~9mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ前記医薬組成物のpHは7.1~7.7である、
請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
(1)前記医薬組成物は、約2.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4であり、
(2)前記医薬組成物は、約4.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4であり、
(3)前記医薬組成物は、約5.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4であり、
(4)前記医薬組成物は、約6.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4であり、
(5)前記医薬組成物は、約8.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4であり、
(6)前記医薬組成物は、約10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4であり、
或いは
(7)医薬組成物は、約2.0mg/mL、約4.0mg/mL、約5.0mg/mL、約6.0mg/mL、約8.0mg/mL、10mg/mL又は約20mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約9mg/mLの塩化ナトリウム、及び任意選択的に約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つ前記医薬組成物のpHは約7.5又は約7.4である、
請求項30~31の何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
請求項1~32の何れか一項に記載の医薬組成物を調製する方法であって、
前記GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を溶解するステップを含む、方法。
【請求項34】
凍結乾燥製剤であって、
前記凍結乾燥製剤を再溶解した後に請求項1~32の何れか一項に記載の医薬組成物を形成することができるか、又は前記凍結乾燥製剤は請求項1~32の何れか一項に記載の医薬組成物を凍結乾燥することにより得られる、凍結乾燥製剤。
【請求項35】
再溶解溶液であって、
請求項17に記載の凍結乾燥製剤を再溶解することで調製して得られる、再溶解溶液。
【請求項36】
製品であって、
請求項1~32の何れか一項に記載の医薬組成物、請求項34に記載の凍結乾燥製剤、又は請求項35に記載の再溶解溶液が収容されている容器を含む、製品。
【請求項37】
インスリン非依存型糖尿病、インスリン依存型糖尿病、肥満症、非アルコール性脂肪肝疾患、肝脂肪変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、インスリン抵抗、インスリン抵抗に関連する脂質異常症、及び/又は糖尿病に関連する脂質異常症を治療するための薬物の調製における、請求項1~33の何れか一項に記載の医薬組成物、請求項34に記載の凍結乾燥製剤、請求項35の再溶解溶液又は請求項36の製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬製剤分野に関し、具体的には、GLP-1受容体及びGIP受容体二重アゴニストを含む医薬組成物及びその医薬的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、liraglutide、semaglutide及びdulaglutideなど、主にT2DMの治療に用いられる多くGLP-1クラスの薬物が市販されており、そのうち、liraglutideはまた、抗肥満薬としてFDAによって市販が承認されている。生理的環境下では、活性GLP-1は、30アミノ酸からなり、食後に腸L細胞から、PC1/3酵素でグルカゴンプロエートを切断して分泌される。T2DM患者では、食後GLP-1の分泌は顕著に抑制されているが、薬理濃度でのGLP-1に対する患者のGLP-1Rの応答は正常人と有意差がなく、当該標的のより大きい治療可能性が更に実証されている。GLP-1Rアゴニストは、糖減少や体重減少などの治療効果において優位性が顕著であるが、中枢及び胃に対する作用により、吐き気や嘔吐、即ち用量依存的な胃腸の副作用が生じる。GLP-1クラス薬物の治療用量が制限され、用量を増加し続けることにより、より顕著な糖減少、体重減少及び他の治療効果を達成することはできず、他の治療計画を補充して治療効果を増強するか、又はGLP-1クラス薬物の副作用の発生率を低減する必要がある。
【0003】
グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドGIP(Glucose-dependent insulinotropic polypepide)もインクレチンに属し、活性GIPは42アミノ酸を含み、腸内分泌K細胞においてPC1/3酵素によりGIP前駆体を切断することにより、神経系及び内分泌系に対する総合的な調節作用を同時に発揮することができ、更に代謝を改善する役割を果たす。GLP-1は、中枢、膵臓、胃に直接影響を及ぼし、及び肝臓に間接的に作用して効果を発揮し、更に脂肪や筋肉組織に効果を発揮する活性成分を重畳することにより、総合的な代謝改善効果を奏することができる。研究によると、インスリン非依存型糖尿病患者の体内で、GIPポリペプチドのインクレチン機能が大幅に低下することにより、患者はインクレチン効果を欠けたり、失ったりしてしまうことが明らかになる。研究によると、血糖レベルが正常に回復された場合に、これらの糖尿病患者に発生されたGIPポリペプチドの抑制性は大幅に弱くなることが明らかになる。
【0004】
従って、インスリン非依存型糖尿病患者のGIPポリペプチドへの耐受性を回復し、更にGIPポリペプチドのインクレチン効果に合わせてより強い臨床上の血糖降下効果を得るために、臨床上、GIPポリペプチドによるインスリン非依存型糖尿病の治療方法及び臨床的に有効な血糖降下薬の組み合わせが必要となる。
【0005】
PCT/CN2021/096568は、ヒトGLP-1受容体及びヒトGIP受容体に対して二重アゴニスト作用を有する、ヒトGIP受容体に対してアゴニスト活性を有するGLP-1類似体の誘導体を提供する。当該技術分野で公知のGLP-1受容体アゴニストと比較して、血糖低下及び体重減少に対するより強力な治療効果を有し、極めて高い血漿安定性を有し、またヒト対象に1週間に1回皮下注射により投与される薬物動態特性を有する。しかし、化学修飾ポリペプチド薬物は構造が複雑であり、分解、重合又は望ましくない化学修飾などを起こして不安定になりやすく、投与に適し、また保存時及びその後の使用時に安定性を維持し、より高い治療効果を発揮するために、化学修飾ポリペプチド薬物の安定な製剤の研究が特に重要となっている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、
(a)一般式(I)に示されるGLP-1類似体又はその薬用可能な塩、
-X-X-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-X13-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-R
(I)(配列番号19)
そのうち、
は水素(H)、アルキル基、アセチル基、ホルミル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、pGluであり、又は存在せず、
は-NH、-OHであり、又は存在せず、
、X、X10、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X23、X24、X27、X28、X29及びX30は、独立的に任意の天然アミノ酸残基、非天然アミノ酸残基、或いは天然アミノ酸残基及び/又は非天然アミノ酸残基からなるペプチド断片から選ばれる、並びに、
(b)緩衝剤、(c)浸透圧調整剤、(d)pH調整剤、(e)静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含む、医薬組成物を提供する。
【0007】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、一般式(I)に示されるGLP-1類似体又はその薬用可能な塩及び緩衝剤を含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、緩衝剤は、酢酸塩緩衝剤、ヒスチジン塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤及びクエン酸緩衝剤から選ばれる1種又は複数種である。
【0009】
幾つかの実施形態において、緩衝剤は、リン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤である。
【0010】
幾つかの実施形態において、XはTyr又はHisであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はVal又はTyrであり、X12はSer又はIleであり、X13はTyr又はAlaであり、X14はLeu又はNleであり、X15はAsp又はGluであり、X16はArg、Glu、Gly、Lys又はAibであり、X17はGlu、Ile又はGlnであり、X18はAla、Aib又はHisであり、X19はAla、Aib又はGlnであり、X20はGln、Glu、Lysであり、X23はIle又はValであり、X24はAla、Asn又はGlnであり、X27はVal又はLeuであり、X28はArg又はAlaであり、X29はGly又はGlnであり、X30はGly、Lysである。
【0011】
幾つかの実施形態において、そのうち、XはTyr又はHisであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はVal又はTyr又はY1であり、X12はSer又はIle又はY1であり、X13はTyr又はAla又はY1であり、X14はLeu又はNle又はY1であり、X15はAsp又はGluであり、X16はArg、Glu、Gly、Lys又はAib又はY1であり、X17はGlu、Ile又はGln又はY1であり、X18はAla、Aib又はHisであり、X19はAla、Aib又はGlnであり、X20はGln、Glu、Lysであり、X23はIle又はValであり、X24はAla、Asn又はGlnであり、X27はVal又はLeuであり、X28はArg又はAlaであり、X29はGly又はGlnであり、X30はGly、Lysであり、Y1は、例えばLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基の側鎖に修飾基を有する、置換されたLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基である。
【0012】
幾つかの実施形態において、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数(1、2、3が挙げられる)、bは1又は2、cは10~30の整数(10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30が挙げられる)である。
【0013】
幾つかの実施形態において、そのうち、XはTyrであり、XはAibであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はY1であり、X15はAsp又はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGlnであり、X23はIle又はValであり、X24はAsnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHを有する置換基に連結するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0014】
幾つかの実施形態において、そのうち、XはTyrであり、XはAibであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はY1であり、X15はAsp又はGluであり、X16はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGlnであり、X23はValであり、X24はAsnであり、X27はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0015】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はY1であり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0016】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はY1であり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0017】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はY1であり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0018】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はY1であり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0019】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAibであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はY1であり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGlnであり、X23はIle又はValであり、X24はAsnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0020】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はY1であり、X17はIleであり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0021】
幾つかの実施形態において、XはTyrであり、XはAib又はD-Alaであり、X10はTyrであり、X12はIleであり、X13はTyrであり、X14はLeu又はNleであり、X15はGluであり、X16はArg又はLysであり、X17はY1であり、X18はAlaであり、X19はAlaであり、X20はGln又はLysであり、X23はIle又はValであり、X24はAsn又はGlnであり、X27はIle又はLeuであり、X28はAlaであり、X29はGlyであり、X30はGlyであり、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、そのうち、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0022】
幾つかの実施形態において、X10、X12、X13、X14、X16及びX17はそれぞれ独立的にY1から選ばれ、そのうち、Y1は側鎖に置換基を有するLys、Orn、Dap、Dab又はCys残基であり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは1~3の整数、bは1又は2、cは10~30の整数である。
【0023】
幾つかの実施形態において、aは2、bは1又は2、cは16~20の整数(例えば、cは16、17、18、19、20)である。
【0024】
幾つかの実施形態において、aは2、bは1又は2、cは16、18又は20である。
【0025】
幾つかの実施形態において、X10はY1であり、Y1は側鎖に置換基を有するLysであり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは2、bは1又は2、cは16又は18である。
【0026】
幾つかの実施形態において、X12はY1であり、Y1は側鎖に置換基を有するLysであり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは2、bは1又は2、cは16又は18である。
【0027】
幾つかの実施形態において、X13はY1であり、Y1は側鎖に置換基を有するLysであり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは2、bは1又は2、cは16又は18である。
【0028】
幾つかの実施形態において、X14はY1であり、Y1は側鎖に置換基を有するLysであり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは2、bは1又は2、cは16又は18である。
【0029】
幾つかの実施形態において、X16はY1であり、Y1は側鎖に置換基を有するLysであり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは2、bは1又は2、cは16又は18である。
【0030】
幾つかの実施形態において、X17はY1であり、Y1は側鎖に置換基を有するLysであり、上記置換基は式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}-(y-Glu)-CO-(CH-COOHに示される構造であり、aは2、bは1又は2、cは16又は18である。
【0031】
幾つかの実施形態において、Y1のLys残基の側鎖アミノ基は、アミド結合を形成することによって置換基に共有結合する。
【0032】
幾つかの実施形態において、Y1はK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)又はK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)であり、そのうち、K(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)は下記の構造を有する:
【化1】

K(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)は下記の構造を有する:
【化2】
【0033】
幾つかの実施形態において、Y1はK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)又はK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)であり、そのうち、
K(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)は下記の構造を有する:
【化3】
K(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)は下記の構造を有する:
【化4】
【0034】
幾つかの実施形態において、Y1のLys残基のεアミノ基は、アミド結合を介して置換基に共有結合し、Lys残基のαアミノ基はペプチド鎖に連結する。
【0035】
幾つかの実施形態において、XはTyrから選ばれ、XはAibから選ばれ、X10はTyrから選ばれ、X12はIleから選ばれ、X13はTyrから選ばれ、X14はY1から選ばれ、X15はAsp又はGluから選ばれ、X16はArg又はLysから選ばれ、X17はIleから選ばれ、X18はAlaから選ばれ、X19はAlaから選ばれ、X20はGlnから選ばれ、X23はIle又はValから選ばれ、X24はAsnから選ばれ、X27はIle又はLeuから選ばれ、X28はAlaから選ばれ、X29はGlyから選ばれ、X30はGlyから選ばれ、Y1はK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)又はK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)であり、そのうち、K(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)は下記の構造を有する:
【化5】
K(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)は下記の構造を有する:
【化6】
【0036】
幾つかの実施形態において、XはTyrから選ばれ、XはAibから選ばれ、X10はTyrから選ばれ、X12はIleから選ばれ、X13はTyrから選ばれ、X14はY1から選ばれ、X15はAsp又はGluから選ばれ、X16はArg又はLysから選ばれ、X17はIleから選ばれ、X18はAlaから選ばれ、X19はAlaから選ばれ、X20はGlnから選ばれ、X23はIle又はValから選ばれ、X24はAsnから選ばれ、X27はIle又はLeuから選ばれ、X28はAlaから選ばれ、X29はGlyから選ばれ、X30はGlyから選ばれ、Y1はK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)又はK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)であり、そのうち、K(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)は下記の構造を有する:
【化7】
K(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)は下記の構造を有する:
【化8】
【0037】
本開示の幾つかの実施形態において、GLP-1類似体は一般式(II)に示される(配列番号20):
H-YAibEGTFTSDYSIYX141516IAAQEFX23NWLX27AGGPSSGAPPPS-NH(II)であり、そのうち、X14はK又はL、X15はD又はE、X16はK又はR、X23はV又はI、X27はI又はLである。
【0038】
本開示の幾つかの実施形態において、GLP-1類似体は、下記の番号1~18に示される化合物から選ばれる:
【0039】
本開示の幾つかの実施形態において、上記GLP-1類似体は、下記の番号1#~18#に示される化合物から選ばれる:
【0040】
幾つかの実施形態において、本開示のGLP-1類似体は、図3の7#、12#、13#、14#、15#、16#、17#、又は18#に示される化合物から選ばれる。
【0041】
幾つかの実施形態において、医薬組成物中のGLP-1類似体又はその薬用可能な塩の濃度は0.01mg/mL~1000mg/mLであり、例えば0.1mg/mL~500mg/mL、0.1mg/mL~400mg/mL、0.1mg/mL~300mg/mL、0.1mg/mL~200mg/mL、0.1mg/mL~100mg/mL、0.5mg/mL~200mg/mL、0.5mg/mL~150mg/mL、0.5mg/mL~100mg/mL、0.5mg/mL~50mg/mL、0.5mg/mL~25mg/mL、1.0mg/mL~100mg/mL、1.0mg/mL~90mg/mL、1.0mg/mL~80mg/mL、1.0mg/mL~70mg/mL、1.0mg/mL~60mg/mL、1.0mg/mL~50mg/mL、1.0mg/mL~40mg/mL、1.0mg/mL~30mg/mL、1.0mg/mL~20mg/mL、1.0mg/mL~10mg/mL、1.0mg/mL~9.0mg/mL、1.0mg/mL~8.0mg/mL、1.0mg/mL~7.0mg/mL、1.0mg/mL~6.0mg/mL、1.0mg/mL~5.0mg/mL、2.0mg/mL~50mg/mL、2.0mg/mL~40mg/mL、2.0mg/mL~30mg/mL、2.0mg/mL~20mg/mL、2.0mg/mL~10mg/mL、2.0mg/mL~9.0mg/mL、2.0mg/mL~8.0mg/mL、2.0mg/mL~7.0mg/mL、2.0mg/mL~6.0mg/mL、2.0mg/mL~5.0mg/mL、5.0mg/mL~1000mg/mL、5.0mg/mL~500mg/mL、5.0mg/mL~400mg/mL、5.0mg/mL~300mg/mL、5.0mg/mL~200mg/mL、5.0mg/mL~100mg/mL、5.0mg/mL~90mg/mL、5.0mg/mL~80mg/mL、5.0mg/mL~70mg/mL、5.0mg/mL~60mg/mL、5.0mg/mL~50mg/mL、5.0mg/mL~40mg/mL、5.0mg/mL~30mg/mL、5.0mg/mL~20mg/mL、5.0mg/mL~10mg/mL、6.0mg/mL~1000mg/mL、6.0mg/mL~500mg/mL、6.0mg/mL~400mg/mL、6.0mg/mL~300mg/mL、6.0mg/mL~200mg/mL、6.0mg/mL~100mg/mL、6.0mg/mL~90mg/mL、6.0mg/mL~80mg/mL、6.0mg/mL~70mg/mL、6.0mg/mL~60mg/mL、6.0mg/mL~50mg/mL、6.0mg/mL~40mg/mL、6.0mg/mL~30mg/mL、6.0mg/mL~20mg/mL、又は6.0mg/mL~10mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中のGLP-1類似体又はその薬用可能な塩の濃度は、約1.0mg/mL、約2.0mg/mL、約3.0mg/mL、約4.0mg/mL、約5.0mg/mL、約6.0mg/mL、約7.0mg/mL、約8.0mg/mL、約9.0mg/mL、約10.0mg/mL、約11.0mg/mL、約12.0mg/mL、約13.0mg/mL、約14.0mg/mL、約15.0mg/mL、、約16.0mg/mL、約17.0mg/mL、約18.0mg/mL、約19.0mg/mL、約20.0mg/mL、約21.0mg/mL、約22.0mg/mL、約23.0mg/mL、約24.0mg/mL、約25.0mg/mL、約26.0mg/mL、約27.0mg/mL、約28.0mg/mL、約29.0mg/mL、約30.0mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中のGLP-1類似体又はその薬用可能な塩の濃度は約2.0mg/mL又は約10.0mg/mLである。
【0042】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、浸透圧調整剤を更に含む。上記浸透圧調整剤は、塩(例えば、塩化ナトリウム、リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ホウ酸及び酒石酸ナトリウム)、糖又は糖アルコール(ラクトース、トレハロース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)、アミノ酸(例えば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、ポリヒドロキシ糖アルコール[例えば、グリセリン、1,2-プロピレングリコール(本開示において、プロピレングリコールとも呼ばれる)、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール]、ポリエチレングリコール(例えばPEG 400)又はそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0043】
幾つかの実施形態において、上記浸透調整剤は、プロピレングリコール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、ラクトース、トレハロース、スクロース、グルコース、塩化ナトリウム、リン酸塩、クエン酸ナトリウム、ホウ酸及び酒石酸ナトリウムから選ばれる1種又は複数種である。
【0044】
幾つかの実施形態において、上記浸透調整剤は、塩化ナトリウムである。
【0045】
幾つかの実施形態において、上記浸透圧調整剤は、プロピレングリコール又はマンニトールである。
【0046】
幾つかの実施形態において、医薬組成物中のプロピレングリコールの濃度は10mg/mL~20mg/mLであり、例えば10mg/mL~19mg/mL、10mg/mL~18mg/mL、10mg/mL~17mg/mL、10mg/mL~16mg/mL、10mg/mL~15mg/mL、11mg/mL~20mg/mL、11mg/mL~19mg/mL、11mg/mL~18mg/mL、11mg/mL~17mg/mL、11mg/mL~16mg/mL、11mg/mL~15mg/mL、12mg/mL~20mg/mL、12mg/mL~19mg/mL、12mg/mL~18mg/mL、12mg/mL~17mg/mL、12mg/mL~16mg/mL、12mg/mL~15mg/mL、13mg/mL~20mg/mL、13mg/mL~19mg/mL、13mg/mL~18mg/mL、13mg/mL~17mg/mL、13mg/mL~16mg/mL、13mg/mL~15mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中のプロピレングリコールの濃度は12mg/mL~16mg/mLであり、例えば約14mg/mLである。
【0047】
幾つかの実施形態において、医薬組成物中の塩化ナトリウムの濃度は1mg/mL~20mg/mLであり、例えば1mg/mL~19mg/mL、1mg/mL~18mg/mL、1mg/mL~17mg/mL、1mg/mL~16mg/mL、1mg/mL~15mg/mL、2mg/mL~18mg/mL、2mg/mL~17mg/mL、2mg/mL~16mg/mL、2mg/mL~15mg/mL、3mg/mL~18mg/mL、3mg/mL~17mg/mL、3mg/mL~16mg/mL、3mg/mL~15mg/mL、4mg/mL~14mg/mL、5mg/mL~13mg/mL、6mg/mL~12mg/mL、7mg/mL~11mg/mL、7mg/mL~10.5mg/mL、7mg/mL~10mg/mL、7mg/mL~9mg/mL、7mg/mL~9.5mg/mL、7mg/mL~9mg/mL、7mg/mL~8.5mg/mL、7.5mg/mL~11mg/mL、7.5mg/mL~10.5mg/mL、7.5mg/mL~10mg/mL、7.5mg/mL~9.5mg/mL、7.5mg/mL~9.0mg/mL、7.5mg/mL~8.5mg/mL、8mg/mL~11mg/mL、8mg/mL~10.5mg/mL、8mg/mL~10mg/mL、8mg/mL~9.5mg/mL、8mg/mL~9mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中の塩化ナトリウムの濃度は2mg/mL~18mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中の塩化ナトリウムの濃度は3mg/mL~15mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中の塩化ナトリウムの濃度は7mg/mL~10mg/mLであり、例えば約7.5mg/mL、約7.6mg/mL、約7.7mg/mL、約7.8mg/mL、約7.9mg/mL、約8mg/mL、約8.1mg/mL、約8.2mg/mL、約8.3mg/mL、約8.4mg/mL、約8.5mg/mL、約8.6mg/mL、約8.7mg/mL、約8.8mg/mL、約8.9mg/mL、約9.0mg/mL、約9.1mg/mL、約9.28mg/mL、約9.3mg/mL、約9.4mg/mL、約9.5mg/mL、約9.6mg/mL、約9.7mg/mL、約9.8mg/mL、約9.9mg/mL又は約10mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中の塩化ナトリウムの濃度は7.5mg/mL~9.5mg/mLである。
【0048】
幾つかの実施形態において、医薬組成物中のマンニトールの濃度は10mg/mL~50mg/mLであり、例えば15mg/mL~45mg/mL、20mg/mL~45mg/mL、25mg/mL~45mg/mL、30mg/mL~45mg/mL、15mg/mL~40mg/mL、15mg/mL~35mg/mL、20mg/mL~40mg/mL、20mg/mL~35mg/mL、25mg/mL~40mg/mL、25mg/mL~35mg/mL、30mg/mL~40mg/mL、35mg/mL~40mg/mLである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中のマンニトールの濃度は約25mg/mL、25.5mg/mL、約26mg/mL、26.5mg/mL、約27mg/mL、27.5mg/mL、約28mg/mL、28.5mg/mL、約29mg/mL、29.5mg/mL、約30mg/mL、30.5mg/mL、約31mg/mL、31.5mg/mL、約32mg/mL、32.5mg/mL、約33mg/mL、33.5mg/mL、約34mg/mL、34.5mg/mL、約35mg/mL、35.5mg/mL、約36mg/mL、36.5mg/mL、約37mg/mL、37.5mg/mL、約38mg/mL、38.5mg/mL、約39mg/mL、39.5mg/mL、又は約40mg/mLである。
【0049】
幾つかの実施形態において、医薬組成物中の緩衝剤の濃度は0.5mM~50.0mMであり、例えば0.5mM~40.0mM、0.5mM~30.0mM、0.5mM~20.0mM、0.5mM~10.0mM、1.0mM~40.0mM、1.0mM~35.0mM、1.0mM~30.0mM、1.0mM~25.0mM、1.0mM~20.0mM、1.0mM~15.0mM、1.0mM~10.0mM、2.0mM~40.0mM、2.0mM~35.0mM、2.0mM~30.0mM、2.0mM~25.0mM、2.0mM~20.0mM、2.0mM~15.0mM、2.0mM~10.0mM、又は5.0mM~10.0mMである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中の緩衝剤の濃度は約1.0mM、約2.0mM、約3.0mM、約4.0mM、約5.0mM、約6.0mM、約7.0mM、約8.0mM、約9.0mM、又は約10.0mMである。幾つかの実施形態において、医薬組成物中の緩衝剤の濃度は約5.0mMである。
【0050】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸などのpH調整剤を更に含む。
【0051】
幾つかの実施形態において、医薬組成物のpHは6.5~9.0であり、例えば6.6~9.0、6.7~9.0、6.8~9.0、6.9~9.0、7.0~9.0、7.1~9.0、7.2~9.0、7.3~9.0、7.4~9.0、7.5~9.0、7.6~9.0、7.7~9.0、7.8~9.0、7.9~9.0、8.0~9.0、7.0~8.9、7.0~8.8、7.0~8.7、7.0~8.6、7.0~8.5、7.0~8.4、7.0~8.3、7.0~8.2、7.0~8.1、7.0~8.0、7.1~8.9、7.1~8.8、7.1~8.7、7.1~8.6、7.1~8.5、7.1~8.4、7.1~8.3、7.1~8.2、7.1~8.1、7.1~8.0、7.1~7.9、7.1~7.8、又は7.1~7.7である。幾つかの実施形態において、医薬組成物のpHは約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、約7.5、約7.6、約7.7、約7.8、約7.9、約8.0、約8.1、約8.2、約8.3、約8.4、又は約8.5である。幾つかの実施形態において、医薬組成物のpHは7.0~8.0である。幾つかの実施形態において、医薬組成物のpHは7.1~7.7であり、例えば約7.5又は約7.4である。
【0052】
幾つかの実施形態において、上記医薬組成物は、薬学的に許容される静菌剤を更に含む。
【0053】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容される静菌剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、2-フェノキシエタノール、ブチルパラベン、2-フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、エタノール、クロロブタノール及びチメロサール、ブロノプロピレングリコール、安息香酸、イミド尿素、クロルヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、エチルパラベン、塩化ベンゼトニウム又はその混合物を含むが、これらに限定されない。
【0054】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容される静菌剤は、フェノールである。
【0055】
幾つかの実施形態において、医薬組成物中の静菌剤の濃度は4.0mg/mL~7.0mg/mLであり、例えば4.2mg/mL~6.9mg/mL、4.4mg/mL~6.9mg/mL、4.6mg/mL~6.9mg/mL、4.8mg/mL~6.9mg/mL、5.0mg/mL~6.9mg/mL、5.1mg/mL~6.9mg/mL、5.2mg/mL~6.9mg/mL、5.3mg/mL~6.9mg/mL、5.4mg/mL~6.9mg/mL、5.5mg/mL~6.9mg/mL、4.2mg/mL~6.8mg/mL、4.4mg/mL~6.8mg/mL、4.6mg/mL~6.8mg/mL、4.8mg/mL~6.8mg/mL、5.0mg/mL~6.8mg/mL、5.1mg/mL~6.8mg/mL、5.2mg/mL~6.8mg/mL、5.3mg/mL~6.8mg/mL、5.4mg/mL~6.8mg/mL、5.5mg/mL~6.8mg/mL、4.4mg/mL~6.7mg/mL、4.6mg/mL~6.7mg/mL、4.8mg/mL~6.7mg/mL、5.0mg/mL~6.7mg/mL、5.1mg/mL~6.7mg/mL、5.2mg/mL~6.7mg/mL、5.3mg/mL~6.7mg/mL、5.4mg/mL~6.7mg/mL、5.5mg/mL~6.7mg/mL、4.4mg/mL~6.6mg/mL、4.6mg/mL~6.6mg/mL、4.8mg/mL~6.6mg/mL、5.0mg/mL~6.6mg/mL、5.1mg/mL~6.6mg/mL、5.2mg/mL~6.6mg/mL、5.3mg/mL~6.6mg/mL、5.4mg/mL~6.6mg/mL、5.5mg/mL~6.6mg/mLである。幾つかの実施形態において、静菌剤の濃度は4.2mg/mL~6.9mg/mLである。幾つかの実施形態において、静菌剤の濃度は5.5mg/mL~6.6mg/mLであり、例えば約5.5mg/mLである。
【0056】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、下記の1)~6)の何れか1つを含む:
1)図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
緩衝剤、例えば、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、
プロピレングリコール又はマンニトール、
及びフェノールなどの任意選択的な抗菌剤、
2)図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
緩衝剤、例えば、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、
塩化ナトリウム、
及びフェノールなどの任意選択的な抗菌剤、
3)図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
緩衝剤、例えば、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、
プロピレングリコール又はマンニトール、
フェノールなどの任意選択的な抗菌剤、
並びに、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸などのpH調整剤、
4)図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
緩衝剤、例えば、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、
塩化ナトリウム、
フェノールなどの任意選択的な抗菌剤、
並びに、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸などのpH調整剤、
5)図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
緩衝剤、例えば、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、
プロピレングリコール又はマンニトール、
フェノールなどの任意選択的な抗菌剤、
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸などのpH調整剤、
並びに、注射用水、
6)図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
緩衝剤、例えば、リン酸二水素ナトリウムなどのリン酸塩緩衝剤、
塩化ナトリウム、
フェノールなどの任意選択的な抗菌剤、
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸などのpH調整剤、
並びに、注射用水。
【0057】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、リン酸二水素ナトリウム、プロピレングリコール又はマンニトール、フェノール、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸、並びに注射用水からなる。
【0058】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、リン酸二水素ナトリウム、プロピレングリコール又はマンニトール、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸、並びに注射用水からなる。
【0059】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、フェノール、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸、並びに注射用水からなる。
【0060】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸、並びに注射用水からなる。
【0061】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、A~Kの何れか1つを含む:
A)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、及び
10mg/mL~20mg/mLのプロピレングリコール又は10mg/mL~50mg/mLのマンニトール、
且つ上記医薬組成物のpHは6.5~9.0である。
【0062】
B)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、及び
2mg/mL~18mg/mLの塩化ナトリウム、
且つ上記医薬組成物のpHは6.5~9.0である。
【0063】
C)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
10mg/mL~20mg/mLのプロピレングリコール、又は15mg/mL~45mg/mLのマンニトール、又は2mg/mL~18mg/mLの塩化ナトリウム、
4.0mg/mL~7.0mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
且つ上記医薬組成物のpHは6.5~9.0である。
【0064】
D)1.0mg/mL~30.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~25.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
11mg/mL~18mg/mLのプロピレングリコール、又は20mg/mL~40mg/mLのマンニトール、又は3mg/mL~15mg/mLの塩化ナトリウム、
4.2mg/mL~6.9mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
且つ上記医薬組成物のpHは7.0~8.0である。
【0065】
E)2.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
2.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は25mg/mL~35mg/mLのマンニトール、又は8mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
且つ上記医薬組成物のpHは7.1~7.7である。
【0066】
F)1.0mg/mL~100mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~35.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
10mg/mL~20mg/mLのプロピレングリコール、又は15mg/mL~45mg/mLのマンニトール、又は2mg/mL~18mg/mLの塩化ナトリウム、
4.0mg/mL~7.0mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ上記医薬組成物のpHは6.5~9.0である。
【0067】
G)1.0mg/mL~30.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~25.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
11mg/mL~18mg/mLのプロピレングリコール、又は20mg/mL~40mg/mLのマンニトール、又は3mg/mL~15mg/mLの塩化ナトリウム、
4.2mg/mL~6.9mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ上記医薬組成物のpHは7.0~8.0である。
【0068】
H)2.0mg/mL~20.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
2.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は25mg/mL~35mg/mLのマンニトール、又は7mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ上記医薬組成物のpHは7.1~7.7である。
【0069】
I)5.0mg/mL~15.0mg/mL又は5.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
5.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は7mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、又は8mg/mL~9mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ上記医薬組成物のpHは7.1~7.7である。
【0070】
J)5.0mg/mL~15.0mg/mL又は5.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
4.0mM~8.0mM又は4.0mM~6.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
12mg/mL~16mg/mLのプロピレングリコール、又は7mg/mL~10mg/mLの塩化ナトリウム、又は8mg/mL~9mg/mLの塩化ナトリウム、
4.4mg/mL~6.8mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
並びに、注射用水、
且つ上記医薬組成物のpHは7.1~7.7である。
【0071】
K)1.0mg/mL~20.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
1.0mM~25.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
11mg/mL~18mg/mLのプロピレングリコール、又は20mg/mL~40mg/mLのマンニトール、又は3mg/mL~15mg/mLの塩化ナトリウム、
4.2mg/mL~6.9mg/mLのフェノールなどの選択可能な抗菌剤、
且つ上記医薬組成物のpHは7.0~8.0である。
【0072】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、
6.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
2.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、及び
30mg/mL~40mg/mLのマンニトールを含む。
【0073】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、
6.0mg/mL~10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、
2.0mM~10.0mMのリン酸二水素ナトリウム、
及びグリセリンを含み、上記グリセリンの濃度は10~30であり、例えば10、20又は30mgである。
【0074】
幾つかの実施形態において、本開示は、下記の医薬組成物を提供する:
(1)約2.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(2)約4.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(3)約5.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(4)約6.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(5)約8.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(6)約10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(7)約20.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、及び約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(8)約2.0mg/mL、約4.0mg/mL、約5.0mg/mL、約6.0mg/mL、約8.0mg/mL、10mg/mL又は約20mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約8~9mg/mL(例えば約8.2mg/mL)の塩化ナトリウム、及び任意選択的に約5.5mg/mLのフェノールを含み、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(9)リン酸二水素ナトリウムを5.0mMから10.0mMに置き換えた(1)~(8)の医薬組成物、
(10)浸透圧調整剤を、濃度が例えば20mgであるグリセリンで置き換えた(1)~(9)の医薬組成物、或いは
(11)定容を必要とする場合、注射用水を用いて1mLに定容し、その最終体積を1mLとする(1)~(10)の医薬組成物。
【0075】
幾つかの実施形態において、本開示は、下記の医薬組成物を提供する:
(1)約2.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、約5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(2)約4.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、約5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(3)約5.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、約5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(4)約6.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、約5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(5)約8.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は約31.5mg/mLのマンニトール、約5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(6)10.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は31.5mg/mLのマンニトール、5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが7.5又は約7.4である医薬組成物、
(7)20.0mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、約14.0mg/mLのプロピレングリコール又は31.5mg/mLのマンニトール、5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが7.5又は約7.4である医薬組成物、
(8)約2.0mg/mL、約4.0mg/mL、約5.0mg/mL、約6.0mg/mL、約8.0mg/mL、約10mg/mL又は約20mg/mLの図3の18#に示される化合物又はその薬用可能な塩、約5.0mMのリン酸二水素ナトリウム、8~9mg/mL(例えば約8.2mg/mL)の塩化ナトリウム、及び任意選択的に約5.5mg/mLのフェノール、適量な水酸化ナトリウム及び/又は適量な塩酸、並びに残部の注射用水からなり、且つpHが約7.5又は約7.4である医薬組成物、
(9)リン酸二水素ナトリウムを5.0mMから10.0mMに置き換えた(1)~(8)の医薬組成物、
(10)浸透圧調整剤を、濃度が例えば20mgであるグリセリンで置き換えた(1)~(9)の医薬組成物、或いは
(11)定容を必要とする場合、注射用水を用いて1mLに定容し、その最終体積を1mLとする(1)~(10)の医薬組成物。
【0076】
本開示の医薬組成物は、既に十分な創薬安定性を持っており、長期間安定に放置することができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、上記医薬組成物は、2℃~8℃で少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月又は少なくとも36ヶ月間安定している。幾つかの実施形態において、上記医薬組成物は、25℃で少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月又は少なくとも24ヶ月間安定している。幾つかの実施形態において、上記医薬組成物は、40℃で少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも28日、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月又は少なくとも24ヶ月間安定している。
【0078】
本開示は、上記の医薬組成物を調製する方法であって、上記GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を溶解するステップを含む、方法を提供する。
【0079】
薬品の運搬を容易にするために、本開示の医薬組成物は、更に凍結乾燥製剤として調製することができる。
【0080】
本開示は、再溶解された後、上記何れか1つに記載の医薬組成物を形成することができることを特徴とする、凍結乾燥製剤を提供する。
【0081】
本開示は、GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を含む凍結乾燥製剤を調製する方法であって、上記医薬組成物を凍結乾燥させるステップを含む、方法を更に提供する。選択的な実施形態において、上記凍結乾燥は、予備凍結、一次乾燥及び二次乾燥のステップを順に含む。
【0082】
本開示は、GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を含む凍結乾燥製剤を調製する上記の方法により調製された、GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を含む凍結乾燥製剤を更に提供する。
【0083】
本開示は、GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を含む凍結乾燥製剤の再溶解溶液を調製する方法であって、上記凍結乾燥製剤を再溶解するステップを含み、その再溶解に用いられる溶液が注射用水、生理食塩水又はグルコース溶液から選ばれるが、これらに限定されない、方法を更に提供する。
【0084】
本開示は、GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を含む凍結乾燥製剤の再溶解溶液を調製する上記方法により得られた、GLP-1類似体又はその薬用可能な塩を含む凍結乾燥製剤の再溶解溶液を更に提供する。
【0085】
本開示は、本明細書に記載の任意の安定した医薬組成物が収容された容器を含む、製品又は試薬キットを更に提供する。幾つかの実施形態において、当該ガラス瓶は、中性ホウケイ酸ガラス管製の注射剤ボトルである。
【0086】
本開示は、上記医薬組成物又は凍結乾燥製剤又は凍結乾燥製剤の再溶解溶液が収容された容器を含む製品を更に提供する。
【0087】
本開示は、疾患又は病状を治療・予防する方法に使用される医薬組成物又は凍結乾燥製剤又は凍結乾燥製剤の再溶解溶液を更に提供する。
【0088】
本開示は、上記医薬組成物又は凍結乾燥製剤又は凍結乾燥製剤の再溶解溶液の、疾患又は病状を治療及び/又は予防するための薬剤の調製における使用を更に提供する。
【0089】
本開示は、疾患又は病状を治療及び予防する方法であって、必要とする患者に治療有効量の上記の医薬組成物又は凍結乾燥製剤又は凍結乾燥製剤の再溶解溶液を投与することを含む、方法を更に提供する。
【0090】
本開示は、インスリン非依存型糖尿病、インスリン依存型糖尿病、肥満症、非アルコール性脂肪肝疾患、肝脂肪変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、インスリン抵抗、インスリン抵抗に関連する脂質異常症、及び/又は糖尿病に関連する脂質異常症を治療するための薬物の調製における、医薬組成物の使用を提供する。
【0091】
本開示は、インスリン非依存型糖尿病/II型糖尿病、インスリン依存型糖尿病、肥満症、非アルコール性脂肪肝疾患、肝脂肪変性、インスリン抵抗性関連脂質異常症、及び/又は糖尿病に関連する脂質異常症を治療するための医薬組成物を提供する。
【0092】
本開示は、インスリン非依存型糖尿病/II型糖尿病、インスリン依存型糖尿病、肥満症、非アルコール性脂肪肝疾患、肝脂肪変性、インスリン抵抗性関連脂質異常症、及び/又は糖尿病に関連する脂質異常症を治療するための方法であって、それを必要とする対象に本開示の医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0093】
本開示は、GLP-1受容体及びGIP受容体を同時に活性化することができる化合物を提供し、幾つかの実施形態において、上記GLP-1類似体は、GLP-1Rに対するアゴニスト活性がGIP受容体に対するアゴニスト活性よりも高い。
【0094】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示のGLP-1類似体は、GLP-1Rに対するアゴニスト活性とGIP受容体に対するアゴニスト活性の比率が(1~10):1、(1.1~10):1、(1.1~9.5):1、(1.1~9):1、(1.1~8.5):1、(1.1~8):1、(1.1~7.5):1、(1.1~7):1、(1.1~6.5):1、(1.1~6):1、(1.2~10):1、(1.2~9.5):1、(1.2~9):1、(1.2~8.5):1、(1.2~8):1、(1.2~7.5):1、(1.2~7):1、(1.2~6.5):1、(1.2~6):1、(1.3~10):1、(1.3~9.5):1、(1.3~9):1、(1.3~8.5):1、(1.3~8):1、(1.3~7.5):1、(1.3~7):1、(1.3~6.5):1、(1.3~6):1、(1.4~10):1、(1.4~9.5):1、(1.4~9):1、(1.4~8.5):1、(1.4~8):1、(1.4~7.5):1、(1.4~7):1、(1.4~6.5):1、(1.4~6):1、(1.5~10):1、(1.5~9.5):1、(1.5~9):1、(1.5~8.5):1、(1.5~8):1、(1.5~7.5):1、(1.5~7):1、(1.5~6.5):1、(1.5~6):1、(2~10):1、(2~9.5):1、(2~9):1、(2~8.5):1、(2~8):1、(2~7.5):1、(2~7):1、(2~6.5):1、(2~6):1、(2.5~10):1、(2.5~9.5):1、(2.5~9):1、(2.5~8.5):1、(2.5~8):1、(2.5~7.5):1、(2.5~7):1、(2.5~6.5):1、(2.5~6):1、(3~10):1、(3~9.5):1、(3~9):1、(3~8.5):1、(3~8):1、(3~7.5):1、(3~7):1、(3~6.5):1、(3~6):1、(3.5~10):1、(3.5~9.5):1、(3.5~9):1、(3.5~8.5):1、(3.5~8):1、(3.5~7.5):1、(3.5~7):1、(3.5~6.5):1、(3.5~6):1、(4~10):1、(4~9.5):1、(4~9):1、(4~8.5):1、(4~8):1、(4~7.5):1、(4~7):1、(4~6.5):1、(4~6):1、(4.5~10):1、(4.5~9.5):1、(4.5~9):1、(4.5~8.5):1、(4.5~8):1、(4.5~7.5):1、(4.5~7):1、(4.5~6.5):1、(4.5~6):1、(5~10):1、(5~9.5):1、(5~9):1、(5~8.5):1、(5~8):1、(5~7.5):1、(5~7):1、(5~6.5):1、(5~6):1、(5~5.5):1、(5.1~5.5):1、(5.2~5.4):1、(5.2~5.3):1又はその間の任意の数値範囲又は数値点であり、例えば約1:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約3:1、約3.5:1、約4:1、約4.5:1、約5:1、約5.2:1、約5.3:1、約5.4:1、約5.5:1、約6:1、約6.5:1、約7:1、約7.5:1、約8:1、約8.5:1、約9:1、約9.5:1、約10:1である。上記比率は、対応するアゴニスト活性体外測定法からのデータに対して正規化された比率である。例えば、対応するアゴニスト活性は、cAMP-Gs動態試薬キットで測定されてもよい。文脈において、(1~10):1という表現と1:1~10:1という表現は、同じ意味である。
【0095】
別の実施形態において、本開示は、以上のGLP-1類似体及びその薬学的に許容される塩を提供する。本開示により提供されるGLP-1類似体は、酸性も塩基性も示すことができる両性化合物に属する。当業者は、公知の技術によって酸性又は塩基性化合物を使用して本開示により提供されるGLP-1類似体と反応させて塩を形成することができる。
【0096】
本開示によるGLP-1類似体を含む医薬組成物は、非経口投与により、このような治療を必要とする患者の治療に用いることができる。非経口投与経路は、皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射を選択することができる。本開示のポリペプチド二重アゴニスト化合物は、経皮経路による投与を更に選択してもよく、イオン導入パッチを選択することができ、又は経粘膜経路による投与を選択してもよい。
【0097】
本開示により提供されるGLP-1類似体は、固相合成の方法により合成される。一例として、合成ベクターは、Rink-amide MBHA(西安藍暁科技)樹脂である。合成中に、使用されるアミノ酸誘導体のα-アミノ基は、Fmoc基(エフモック基)で保護される。例として、アミノ酸の側鎖は、官能基によって次から選ばれる保護基で保護され、即ち、システイン側鎖のスルフヒドリル基、アスパラギン及びグルタミン側鎖のアミノ基、ヒスチジン側鎖のイミダゾリル基は、Trt(トリチル基)で保護され、アルギニン側鎖のグアニジン基は、Pbf(2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル基)で保護され、トリプトファン側鎖のインドリル基、リジン側鎖のアミノ基は、Boc(tert-ブトキシカルボニル基)で保護され、アスパラギン酸及びグルタミン酸側鎖のカルボキシ基、トレオニン側鎖のヒドロキシ基、チロシン側鎖のフェノール基、セリン側鎖のヒドロキシ基は、t-Bu(tert-ブチル基)で保護される。例として、合成中に、まず、ポリペプチドのC末端アミノ酸残基のカルボキシ基をアミド結合の形態で高分子の不溶性Rink-amide MBHA樹脂に縮合し、そして20%の4-メチルピペリジンを含むN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液でα-アミノ基におけるFmoc保護基を除去し、更に過剰の場合に、当該固相ベクターは、ポリペプチド配列における次のアミノ酸誘導体と縮合してアミド結合を形成し、ペプチド鎖を延長する。「縮合→洗浄→脱保護→洗浄→次のアミノ酸縮合」の操作を繰り返すことで、合成されるポリペプチド鎖長が得られ、最後にトリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン(例として、90:5:5、v:v:v)の混合溶液を樹脂と反応させてポリペプチドを固相ベクターから分解し、更に5倍体積の凍結メチルtert-ブチルエーテルで沈降させた後にGLP-1類似体の固体粗生成物を得る。ポリペプチド固体粗生成物を、0.1%のトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水の混合溶液で溶解した後、C-18逆相分取クロマトグラフィーカラムで精製分離してからGLP-1類似体の純品を得る。
【0098】
幾つかの実施形態によれば、本開示は、
-本開示によるGLP-1類似体又はその薬学的に許容される塩と、
-抗肥満症剤、抗糖尿病剤、抗高血圧剤、脂質低下剤の何れか1つ又は組み合わせから選ばれる他の治療剤と、
を含む、医薬キット(kit-of-parts)を更に提供する。そのうち、上記GLP-1類似体又はその薬学的に許容される塩は、上記他の治療剤とは別々の容器にある。幾つかの実施形態において、上記GLP-1類似体又はその薬用可能な塩は、上記他の治療剤と別個に又は合わせて対象に投与される(例えば、同時又は順次に投与される)。
【0099】
ある実施形態において、本開示の医薬組成物は、投与装置(例えば、注射器、注射用ペン、又は自動注射器)と組み合わせて提供される。一例として、本開示の医薬組成物は、対象が自宅で自ら投与できるように、投与装置に予備充填される。別の例として、本開示の医薬組成物は、投与装置と別々に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1】本開示に係る化合物による食餌誘発性の肥満マウスにおける体重変化率への影響を示す。
図2】本開示に係る化合物による食餌誘発性の肥満マウスにおける1日の摂食量への影響を示す。
図3】本開示の例示的な化合物の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
本開示が更に容易に理解されるように、以下、幾つかの技術及び科学用語を具体的に定義する。本願で別途明確に定義しない限り、本願に使用される他の技術及び科学用語の全ては、当業者に通常理解されている意味を持っている。
【0102】
本開示のアミノ酸配列には、20種類のアミノ酸の標準な1文字又は3文字コードが含まれ、特に明記しない限り、本開示における全てのアミノ酸残基の好ましい立体配置はL-型である。なお、Aibはαアミノイソ酪酸、D-AlaはD-アラニン、Ornはオルニチン、Dapは2,3-ジアミノプロピオン酸、Dabは2,4-ジアミノ酪酸である。
【0103】
「アゴニスト」という用語は、GLP-1受容体又はGIP受容体に対して活性化作用を有する物質と定義される。
【0104】
本開示の文脈に使用される「GLP-1/GIP二重アゴニスト」という用語は、GLP-1受容体とGIP受容体を活性化することができる物質又はリガンドを指す。
【0105】
本開示において、「治療」という用語は、現在の症状又は疾患の進行又は重症度を阻害し、緩和し、停止させ、又は逆転させることを含む。
【0106】
「天然のアミノ酸」とは、20種類の通常のアミノ酸、即ち、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)及びチロシン(Y)である。
【0107】
「非天然アミノ酸」とは、非天然にコードされるアミノ酸、又は何れの生体の遺伝暗号にも発現されないアミノ酸である。例えば、非天然アミノ酸は、純粋に合成された化合物であってもよい。非天然アミノ酸の実例は、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、O-ホスホセリン、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、tert-ブチルグリシン、2,4-ジアミノイソ酪酸(Dap)、デスモシン(desmosine)、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dab)、N-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ピペコリン酸、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン(allo-hydroxylysine)、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン(isodesmosine)、アロイソロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルペンチルグリシン、N-メチルバリン、ナフチルアラニン(naphthalanine)、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン(Orn)、D-オルニチン、D-アルギニン、p-アミノフェニルアラニン、ペンチルグリシン、ピペコリン酸(pipecolic acid)及びチオプロリンを含むが、これらに限定されない。また、当該用語は、天然アミノ酸(又は非天然アミノ酸)のC末端カルボキシ基(又はN末端アミノ基及び/又はその側鎖官能基)で化学的に修飾されて得られた誘導体も含む。
【0108】
「アルキル基」という用語は、1個~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基である飽和脂肪族炭化水素基であり、例えば1個~8個の炭素原子を含むアルキル基、例えば1個~6個の炭素原子を含むアルキル基、例えば1個~3個の炭素原子を含むアルキル基である。非限定的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、n-オクチル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-メチル-2-エチルペンチル基、2-メチル-3-エチルペンチル基、n-ノニル基、2-メチル-2-エチルヘキシル基、2-メチル-3-エチルヘキシル基、2,2-ジエチルペンチル基、n-デシル基、3,3-ジエチルヘキシル基、2,2-ジエチルヘキシル基、及びその種々の分岐鎖異性体などを含む。アルキル基は、例えば、1個~6個の炭素原子を含む低級アルキル基であってもよく、その非限定的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基などを含む。アルキル基は置換でも非置換でもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な(accessible)接続部位で置換されてもよく、上記置換基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、スルフヒドリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基、オキソ基、カルボキシ基又はカルボン酸エステル基から独立的に選ばれる1つ又は複数の基であってもよい。本開示の置換されたアルキル基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、ハロアルキル基、重水素化アルキル基、アルコキシ基で置換されたアルキル基又はヒドロキシ基で置換されたアルキル基であってもよい。
【0109】
本開示において、「XはA、B又はCから選ばれる」、「XはA、B及びCから選ばれる」、「XはA、B又はCである」、「XはA、B及びCである」などの異なる用語は、何れも同じ意味を表し、即ち、XがA、B、Cの何れか1つ又は複数であってもよいことを表す。
【0110】
本開示に記載されるアミノ酸の「修飾」は、アミノ酸の置換、添加又は欠失を意味し、20種類の天然アミノ酸の何れか1種又は複数種の置換又は添加を含む。
【0111】
「天然GLP-1」という用語は、ペプチドのグルカゴンファミリー又はエキセンジンファミリーの天然に存在する分子を指し、そのうち、ペプチドのグルカゴンファミリーは、プログルカゴン遺伝子でコードされるもので、高い相同性の3種の小ペプチド、即ち、グルカゴン(1-29)と、GLP-1(1-37)と、GLP-2(1-33)と、を含み、エキセンジンは、トカゲにおいて発現されるペプチドであり、且つGLP-1と類似しており、インスリンの分泌を促進するものである。幾つかの実施形態において、「天然GLP-1」という用語は、ヒトGLP-1(7-37)とヒトGLP-1(7-36)も指す。
【0112】
「GLP-1類似体」という用語は、天然GLP-1と比べ(特にヒトGLP-1(7-37)及びヒトGLP-1(7-36)と比べ)、25個以下、24個以下、23個以下、22個以下、21個以下、20個以下、19個以下、18個以下、17個以下、16個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個のアミノ酸修飾又は化学修飾を有するものを指し、上記アミノ酸修飾は、アミノ酸の置換、付加及び/又は欠失であってもよく、上記化学修飾は、アミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、ポリエチレングリコール(PEG)基、シアリル基、グリコシル化基などから選ばれる化学修飾であってもよい。
【0113】
本開示に記載されるアミノ酸の「置換」は、1つのアミノ酸残基が別のアミノ酸残基で置換されることを指す。
【0114】
「ポリエチレングリコール」又は「PEG」という用語は、エチレンオキシドと水の重縮合物の混合物を指し、直鎖又は分岐鎖形で存在し、一般式H(OCHCHOHで示され、そのうち、nは9以上である。更なる説明のない限り、この用語は、平均総分子量が5,000ダルトン~40,000ダルトンから選ばれるポリエチレングリコールの重合体を含む。
【0115】
「脂肪酸」という用語は、長鎖脂肪酸族尾(鎖)を持つカルボン酸を指し、飽和又は不飽和のものであってもよく、本開示において脂肪酸は、C4~C30の直鎖又は分岐鎖の脂肪族基を持つカルボン酸である。
【0116】
本開示に使用される用語「ペプチド」は、修飾されたアミノ末端とカルボキシ末端を持つペプチドの範囲をカバーする。例えば、アミド基で末端カルボン酸を置換したアミノ酸鎖も、天然アミノ酸と命名されたアミノ酸配列に含まれる。
【0117】
本開示に記載される水素原子は、何れもその同位体(プロチウム、ジュウテリウム、トリチウム)で置換されてもよく、本開示に係る本開示の化合物における何れかの水素原子も、同位体原子で置換されてもよい。
【0118】
「任意選択的」又は「任意選択的に」とは、その次に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、当該表現には、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合が含まれる。例えば、「任意選択的にアルキル基で置換されるヘテロシクリル基」とは、アルキル基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、この説明は、ヘテロシクリル基がアルキル基で置換される場合と、ヘテロシクリル基がアルキル基で置換されない場合と、を含む。
【0119】
「置換される」とは、基の中の1つ又は複数の水素原子、好ましくは5個以下、より好ましくは1個~3個の水素原子が互いに独立的に置換基で置換されることを意味する。置換基は、それらの化学的に可能な部位にしか位置せず、当業者はそれほど努力せずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を決定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノ基又はヒドロキシ基は不飽和(例えば、オレフィン)結合を有する炭素原子と結合する場合、不安定になる可能性がある。
【0120】
「医薬組成物」は、1種又は複数種の本明細書に記載される化合物又はその生理学的/薬学的に許容される塩又はプロドラッグと、他の化学成分とを含む混合物を表し、そのうち、上記他の化学成分は、生理学的/薬学的に許容されるベクターや賦形剤などである。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して更に生物活性を発揮するためのものである。
【0121】
「アゴニスト活性」は、本開示による化合物のヒトGIP受容体とヒトGLP-1受容体への活性化能力を表す。幾つかの例において、「アゴニスト活性」は、相対活性の形で表現され、具体的には、本開示に係る化合物のGLP-1Rに対する活性化能力とGIP受容体に対する活性化能力の比率を指す。
【0122】
「薬学的に許容される塩」とは、本開示に係る化合物の塩であり、このような塩は哺乳動物の体に使用される場合に安全性と有効性を有し、且つ所望の生物活性を有する。そのような塩は、一般的に、酸付加塩又は塩基性塩である。酸付加塩は、無機酸塩及び有機酸塩を含む。
【0123】
セマグルチドは、デンマークのノボノルディスク社により開発された週1回のGLP-1受容体シングルアゴニストポリペプチド薬を指し、現在、既にアメリカ、日本と欧州連合で承認を得て市販されている。
【0124】
LY3298176は、イーライリリー社により開発された週1回のGIP受容体/GLP-1受容体二重アゴニストポリペプチド薬を指し、現在、多数の国で第III相臨床試験中である。構造は以下の通りである。
【0125】
であり、そのうち、下記の脂肪酸
【化9】
が20番目のKに修飾されている。
【0126】
「緩衝剤」は、その酸-塩基共役成分の作用によりpHの変化に耐える緩衝剤を指す。pHを適当な範囲に制御する緩衝剤の例は、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、グルコン酸塩、ヒスチジン塩、シュウ酸塩、乳酸塩、リン酸塩、枸櫞酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、グリシルグリシン及び他の有機酸緩衝剤を含む。
【0127】
「ヒスチジン塩緩衝剤」は、ヒスチジンイオンを含む緩衝剤である。ヒスチジン塩緩衝剤の実例は、ヒスチジン-塩酸塩、ヒスチジン-酢酸塩、ヒスチジン-リン酸塩、ヒスチジン-硫酸塩などの緩衝剤、例えば、ヒスチジン-酢酸塩緩衝剤又はヒスチジン-塩酸塩緩衝剤を含み、ヒスチジン-酢酸塩緩衝剤は、ヒスチジンと酢酸により調製されたもので、ヒスチジン塩緩衝剤はヒスチジンと塩酸により調製されたものである。
【0128】
「クエン酸塩緩衝剤」は、クエン酸イオンを含む緩衝剤である。クエン酸塩緩衝剤の実例は、クエン酸-クエン酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸カリウム、クエン酸-クエン酸カルシウム、クエン酸-クエン酸マグネシウムなどを含む。枸櫞酸塩緩衝剤は、枸櫞酸-枸櫞酸ナトリウムであってもよい。
【0129】
「コハク酸塩緩衝剤」は、コハク酸イオンを含む緩衝剤である。コハク酸塩緩衝剤の実例は、コハク酸-コハク酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸カリウム、コハク酸-コハク酸カルシウム塩などを含む。コハク酸塩緩衝剤は、コハク酸-コハク酸ナトリウムであってもよい。
【0130】
「リン酸塩緩衝剤」は、リン酸イオンを含む緩衝剤である。リン酸塩緩衝剤の実例は、リン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム-クエン酸などを含む。リン酸塩緩衝剤は、リン酸水素二ナトリウム-リン酸二水素ナトリウムであってもよい。
【0131】
「酢酸塩緩衝剤」は、酢酸イオンを含む緩衝剤である。酢酸塩緩衝剤の実例は、酢酸-酢酸ナトリウム、酢酸ヒスチジン塩、酢酸-酢酸カリウム、酢酸-酢酸カルシウム、酢酸-酢酸マグネシウムなどを含む。酢酸緩衝剤は、酢酸-酢酸ナトリウムであってもよい。
【0132】
「医薬組成物」は、1種又は複数種の本願に記載される化合物又はその生理学的/薬学的に許容される塩又はプロドラッグと、生理学的/薬学的に許容されるベクター及び賦形剤などの他の化学成分とを含む混合物を示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して更に生物活性を発揮するためのものである。本願において、「医薬組成物」及び「製剤」は、入れ替えて使用されてもよい。
【0133】
本開示に記載される医薬組成物の溶液形態は、特に説明のない限り、その中の溶媒は何れも水である。
【0134】
「凍結乾燥製剤」は、液体若しくは溶液形態の医薬組成物又は溶液製剤を真空下で凍結乾燥するステップの後に得られた製剤又は医薬組成物を示す。
【0135】
本願に使用される「約」又は「ほぼ」という用語は、数値が当業者により測定される具体値の許容可能な誤差範囲にあることを意味し、上記数値部分は、如何に計測又は測定するか(即ち、計測システムの限度)によって決められる。例えば、この分野での各回の実行において「約」は、1以内又は1を超えた標準差を意味してもよい。或いは、「約」又は「基本的に含む」は、多くとも±20%の範囲を意味してもよく、例えば、約5.5のpHは、pH5.5±1.1を意味する。更に、特に生物学的システム又は過程について、当該用語は、多くとも1桁又は数値の多くとも5倍を意味してもよい。特に説明のない限り、具体値が本願及び特許請求の範囲に現れる場合、「約」又は「基本的に含む」の意味は、当該具体値の許容可能な誤差範囲内にあると仮定すべきである。
【0136】
本開示に記載される医薬組成物は、安定的な効果を達成することができ、即ち、そのうちのGLP-1類似体が貯蔵後に基本的にその物理的安定性及び/又は化学的安定性及び/又は生物学的活性を保持しており、例えば、医薬組成物は貯蔵後に基本的にその物理的・化学的安定性及びその生物学的活性を保持している。貯蔵期間は、一般的に医薬組成物の所定の保存期間に基づいて選択される。現在、タンパク質の安定性を測定する分析技術が複数種あり、所定の温度で、所定の期間貯蔵した後の安定性を測定することができる。
【0137】
安定した薬物製剤は、冷蔵温度(2℃~8℃)で少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年間、少なくとも2年間、最大2年間も保存した場合に、顕著な変化が認められない製剤である。また、安定した液体製剤は、25℃を含む温度で1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、又は40℃で1ヶ月を含む期間保存した後、所望の特徴を示している液体製剤を含む。安定性の典型的な許容可能な基準は、SEC-HPLCによって測定され、通常、約10%を超えず、例えば、約5%を超えないGLP-1類似体モノマーが分解されることである。視覚的分析により、薬物製剤は無色であるか、又は透明からやや乳白色である。上記製剤の濃度、pH及び重量モル浸透圧濃度は、±10%を超えない変化を有する。通常、約10%を超えず、例えば、約5%を超えない切断が見られ、通常、約10%を超えず、例えば、約5%を超えない凝集が形成される。
【0138】
色及び/又は透明度を目視で検査したところ、又はUV光散乱、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び動的光散乱(DLS)により測定したところ、GLP-1類似体が顕著な凝集の増加、沈殿及び/又は変性を示さない場合、上記GLP-1類似体は、薬物製剤において「その物理的安定性を保持している」とする。タンパク質の配座の変化は、蛍光分光法(タンパク質の三次構造を確定するもの)により、及びFTIR分光法(タンパク質の二次構造を確定するもの)により評価されてもよい。
【0139】
GLP-1類似体が顕著な化学的変化を示さない場合、上記GLP-1類似体は、薬物製剤において「その化学的安定性を保持している」とする。化学的安定性は、化学的に形態が変化されたタンパク質を検出・定量することにより、評価することができる。タンパク質の化学構造を常に変化させる分解プロセスは、加水分解又は切断(サイズ排除クロマトグラフィー及びSDS-PAGEなどの方法により評価される)、酸化(質量分析法又はMALDI/TOF/MSと組み合わせるペプチドマッピングなどの方法により評価される)、脱アミド化(イオン交換クロマトグラフィー、キャピラリー等電点電気泳動、ペプチドマッピング、イソアスパラギン酸の測定などの方法により評価される)及び異性化(イソアスパラギン酸の含有量の測定、ペプチドマッピングなどにより評価される)を含む。
【0140】
所定の期間におけるGLP-1類似体の生物活性が薬物製剤の調製時に示された生物活性の所定範囲にあると、上記GLP-1類似体は、薬物製剤において「その生物活性を保持している」とする。GLP-1類似体の生物活性は、例えば、抗原結合測定によって決定することができる。
【0141】
本開示に使用されるアミノ酸の3文字コードと1文字コードは、J. biol. chem, 243, p3558(1968)に記載された通りである。
【実施例
【0142】
本開示をより詳細に説明するために、本明細書は、以下の発明を実施するための形態を提供するが、本開示の形態は、これらに限定されない。本開示の実施例において具体的な条件が明記されていない実験方法は、一般的に従来の条件に従い、又は原料や商品のメーカーにより勧められた条件に従う。具体的な供給源が明示されていない試薬は、市販される通常の試薬である。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【0145】
実施例1.化合物18#の化学合成
1、ポリペプチド骨格の合成
Rink-amide MBHA樹脂(置換度:0.48mmole/g、0.1mmol)を秤量してポリプロピレンポリペプチド合成固相反応管に入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)を加えて窒素ブロー(nitrogen-blowing)下で樹脂を10分間膨潤し、真空でDMFを抜き、DMF(10mL)を加えて樹脂を洗浄し、樹脂の洗浄を2回繰り返した後、Prelude-Xポリペプチド全自動合成装置でFmoc/tBu戦略によりポリペプチド固相の合成を行い、そのうち、HCTUと4-メチルモルホリンで活性化されたアミノ酸残基10当量(HCTU、4-メチルモルホリン、アミノ酸残基のモル比が1:2:1)を使用し、DMFにおいて室温で、25分間反応させてアミド結合の縮合を行うことで、カップリングを実現した。20%の4-メチルピペリジンを含むDMF溶液を使用し、室温で2回(毎回10分間)反応させてN末端Fmoc保護基の脱保護を行った。ポリペプチド骨格の合成中に、N末端アミノ酸残基はBoc-L-Tyr(tBu)-OHを選択して構築し、且つ二次縮合を行い、これは、粗生成物であるペプチドの品質の改善に必要なことである。
【0146】
2、樹脂ペプチド保護基Mttの選択的な脱保護及び側鎖脂肪酸の修飾
上記ポリペプチド骨格(又は、樹脂ペプチドともいう)の延長が完了した後、30%のヘキサフルオロイソプロパノールを含むジクロロメタン混合溶液(10mL)を加え、室温で45分間振とうして反応させた後、混合溶液を抜き、更に30%のヘキサフルオロイソプロパノールを含むジクロロメタンの混合溶液(10mL)を加え、室温で45分間振とうして反応させた後、混合溶液を抜いた。反応終了後、DMFで樹脂を6回洗浄した。Prelude-X全自動ポリペプチド合成装置で14番目のリジン側鎖を延長し、付加的なカップリング/脱保護循環は、アミノ酸構成要素であるFmoc-NH-PEG-COOHとFmoc-L-Glu-OtBuに関わっている。全てのカップリングに、HCTUと4-メチルモルホリンで活性化されたアミノ酸残基(HCTU、4-メチルモルホリン、アミノ酸残基のモル比が1:2:1)10当量を使用し、DMFにおいて室温で、25分間反応させてカップリングを行った。20%の4-メチルピペリジンを含むDMF溶液を使用し、室温で毎回10分間、2回反応させてN末端Fmoc保護基の脱保護を行った。最後に得られた樹脂をDCMとDMFでそれぞれ3回洗浄した後、10当量のHOOC-(CH18-COOtBu、10当量のHCTU及び20当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を含むDMF混合液(8mL)を加え、室温で4時間反応させ、側鎖の脂肪酸の修飾を完了させた。
【0147】
3、生成物の分解
前のステップで得られた樹脂ペプチドを順にDMFとDCMで3回洗浄してから真空で乾燥し、その後、調製した直後の分解液(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:水=90:5:5、体積比)を加えて室温で3時間~4時間振とうして反応させた。反応終了後にろ過し、トリフルオロ酢酸で樹脂を2回洗浄し、ろ液を合併した後に大量の凍結メチルtert-ブチルエーテルを加えて固体を析出させ、遠心分離した後に上清液を除去して化合物18#のポリペプチド粗生成物を得た。
【0148】
4、逆相液体クロマトグラフィーによる精製
化合物18#のポリペプチド粗生成物を0.1%のトリフルオロ酢酸、20%のアセトニトリル、20%の酢酸/水を含む混合溶剤に溶解し、0.22μmのフィルムでろ過し、WATERS Prep150 LC逆相高速液体クロマトグラフィーシステムにより分離し、緩衝液をA(0.1%のトリフルオロ酢酸、10%のアセトニトリル、水溶液)とB(0.1%のトリフルオロ酢酸、90%のアセトニトリル、水溶液)とした。そのうち、クロマトグラフィーカラムは、X-SELECT OBD C-18逆相クロマトグラフィーカラムであり、精製中にクロマトグラフの検出波長は220nmに設定され、流速は15mL/minとされた。生成物に関連する留出物を収集して凍結乾燥すると、化合物1#のポリペプチド純品を得て、収率が18%であった。ポリペプチド純品は、分析用高速液体クロマトグラフィー及び超高速液体クロマトグラフィー/質量分析によって化合物の純度を確定し、そのうち、純度が92.81%であった。化合物18#の分子構造:
、構造式は図3の18#構造に示されている。
【0149】
実施例2.他の化合物の化学合成
実施例1の実験計画により表3の化合物を合成した:
【表3】
【0150】
分析用高速液体クロマトグラフィー及び超高速液体クロマトグラフィー/質量分析によって化合物の純度を確定し、一部の化合物の純度は下記の表4に示されている:
【表4】
【0151】
生物学的試験と評価
以下、試験例と合わせて本開示を更に説明するが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するためのものではない。
【0152】
実施例3.本開示に係る化合物のグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)に対するアゴニスト活性の評価
【0153】
1、実験の目的:
当該試験例は、本開示に係る化合物のグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)に対するアゴニスト活性を測定することを目的とする。
【0154】
2、実験の方法:
液体窒素容器から冷凍保存されたCHO-K1/GLP-1R/CRE-luc安定形質転換細胞株(この分野における一般的な方法で調製して得ることができる)を取り出し、37℃の水浴釜に入れて急速に溶融させ、DMEM/F12培地で再懸濁し、遠心分離した後に細胞を1回洗浄し、実験緩衝液である0.1%のカゼインを含むDMEM/F12培地で再懸濁し、実験緩衝液により細胞密度を調整し、2500個の細胞/5μL/ウェルの密度で384ウェルプレート(Sigma Cat# CLS4514)に播種し、そして各ウェルに、緩衝液で調製されたIBMXの最終濃度が0.5mMのIBMX作動液(Sigma Cat# I7018)2.5μL、及び勾配希釈されたポリペプチド試料2.5μLを加え、1000rpmで1分間遠心分離し、30秒間振とうして均一に混合し、室温で静置して30分間インキュベートした。Cisbio cAMP-Gs Dynamic kit(Cisbio Cat#62AM4PEC)により検出し、cAMP-d2とAnti-cAMP-Eu3+-CryptateをそれぞれcAMP Lysis & Detection Bufferで20倍希釈して均一に混合した。各ウェルに希釈されたcAMP-d2溶液5μLを加えてから、希釈されたAnti-cAMP-Eu3+-Cryptate溶液5μLを加え、30秒間振とうして均一に混合し、室温で遮光して1時間インキュベートした。
【0155】
3、実験データの処理方法:
マイクロプレートリーダーBiotek Synergy H1によりHTRFの信号を読み取り、励起波長が320nm、発光波長が620nmと665nmであった。信号比(665nm/620nm×10,000)を算出し、そしてGraphPad Prism 6にて信号比と試料濃度を4変数方程式で非線形フィッティングし、EC50値を得て、具体的なデータは下記の表5に示されている。
【0156】
実施例4.本開示に係る化合物のグルコース依存型インスリン分泌促進ペプチド受容体(GIPR)におけるアゴニスト活性の評価
【0157】
1、実験の目的:
化合物のグルコース依存型インスリン分泌促進ペプチド受容体(GIPR)におけるアゴニスト活性を試験した。
【0158】
2、実験の方法:
野生型CHO-K1細胞を収集し、細胞懸濁液を適当な密度に調整し、1ウェル当たり2mLで6ウェルプレートに播種し、37℃、5%のCOインキュベーターに入れて壁に一晩付着し、トランスフェクション混合物(hGIP受容体プラスミド、Fugene HD(Promega Cat# E2311)、OptiMEM(Gibco Cat# 31985070)を均一に混合し、そして室温で15分間静置し、100μLの体積で対応する細胞ウェルに加え、24時間トランスフェクションしてCHO-K1細胞表面にhGIP受容体を過剰発現させた。一過性トランスフェクションが終了した後、6ウェルプレートにおける細胞を収集し、実験緩衝液である0.1%のカゼイン(Sigma Cat# C3400)を含むDMEM/F12培地(Gibco Cat# 11330032)で1回洗浄し、実験緩衝液により細胞密度を調整し、5000個の細胞/5μL/ウェルの密度で384ウェルプレート(Sigma Cat# CLS4514)に播種してから、各ウェルに、緩衝液で調製されたIBMXの最終濃度が0.5mMのIBMX作動液(Sigma Cat# I7018)2.5μL、及び勾配希釈されたポリペプチド試料2.5μLを加え、1000rpmで1分間遠心分離し、30秒間振とうして均一に混合し、室温で静置して30分間インキュベートした。Cisbio cAMP-Gs Dynamic kit(Cisbio Cat# 62 AM4PEC)により検出し、cAMP-d2とAnti-cAMP-Eu3+-CryptateをそれぞれcAMP Lysis & Detection Bufferで20倍希釈して均一に混合した。各ウェルに希釈されたcAMP-d2溶液5μLを加えてから、希釈されたAnti-cAMP-Eu3+-Cryptate溶液5μLを更に加え、30秒間振とうして均一に混合し、室温で遮光して1時間インキュベートした。
【0159】
3、実験データの処理方法:
マイクロプレートリーダーBiotek Synergy H1によりHTRFの信号を読み取り、励起波長が320nm、発光波長が620nmと665nmであった。信号比(665nm/620nm×10,000)を算出し、そしてGraphPad Prism 6にて信号比と試料濃度を4変数方程式で非線形フィッティングし、EC50値を得て、具体的な数値は下記の表5及び表6に示されている。
【0160】
【表5】
【0161】
【表6】
【0162】
4、実験の結論:
ポリペプチド骨格に対する設計及び後続きの脂肪酸の部位特異的修飾により、この分野における多くのGLP-1/GIPR二重アゴニストポリペプチドと比べて、本開示に係る化合物は、より強いGLP-1/GIPRアゴニスト活性を有するので、代謝系疾患のより良い治療の可能性を持っている。更に、LY3298176は、GIPRに対する優先的な活性を示しているとは異なり、本開示に係る化合物12#~18#は、GLP-1Rに対する優先的な活性を示している。
【0163】
実施例5.一部の本開示に係る化合物の安定性試験
ポリペプチド系薬剤は、血漿中のポリペプチド加水分解酵素及びタンパク質分解酵素に感受性がある可能性が大きいため、血漿中の安定性は治療用ポリペプチド系薬剤に対して重要である。血漿における不安定なポリペプチドは、その半減期と治療効果が影響を受ける。
【0164】
1、実験の目的:
本実験は、一部の本開示に係る化合物のヒト血漿における安定性を試験することを目的とする。
【0165】
2、実験の方法:
濃度が20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000ng/mLの試料5μLをヒト血漿45μLに加え、LC-MSの方法でその中の化合物の含有量を検出して基準曲線を作成した。濃度が1mg/mLのポリペプチド溶液5μLをヒト血漿45μLに加えた。それぞれの被験化合物のために5つの試料を用意し、そしてそれぞれ0分間、30分間、60分間、120分間と240分間後に1つの試料を取り出してLC-MSの方法でその中に残った化合物の含有量を検出し、0分間を基準(100%)として、他の時点での試料に残った化合物の相対含有量を算出した。LC-MSによる化合物の検出方法は、5%のアセトニトリル溶液を溶液Aとして調製し、95%のアセトニトリル溶液を溶液Bとして調製し、0.6mL/minの流速で、下記の表9に示される時間と溶液の配合比で溶液勾配を形成し、15μLの試料を注入し、Raptor Biphenyl 2.7ミクロン検出カラムにより化合物の含有量を検出し、表7を参照する。
【0166】
【表7】
【0167】
3、実験の結果:
一部の本開示に係る化合物の血漿における安定性データは、下記の表8に示されている。
【0168】
【表8】
【0169】
実験の結論:
研究によると、本開示に係る化合物7#は、化合物LY3298176と比べて4時間という時点でヒト血漿において類似する安定性を有する(相対含有量>90%)ことが明らかになった。
【0170】
実施例6.一部の本開示に係る化合物のマウス体内での薬物動態特性
血漿安定性は、ポリペプチド薬剤の薬物動態に影響を及ぼす要因の一つである。ポリペプチド薬剤の体内での薬物動態は更に、その体内での吸収とクリアランスなどの要因から影響を受ける。
【0171】
1、実験の目的:
本実験は、Balb/cマウスを試験動物として、本開示に係る化合物の単回静脈内注射投与のマウス体内(血漿)での薬物動態的挙動を研究することを目的とする。
【0172】
2、実験の方法:
体重が18g~30gで週齢が7週~9週の雄のBalb/cマウスを、上海傑思捷実験動物有限公司(Shanghai Jiesijie Laboratory Animal Co.,Ltd.)から購入した。20mMのクエン酸を含む緩衝液(pH=7.0)で化合物7#を調製した後、30nmol/kg体重という用量で尾静脈から化合物7#をマウス体内に注射し、0時間、0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間と32時間という時点で0.2mL採血した。4℃の温度で、採取されたマウス血を6000rpmの速度で6分間遠心分離して血漿を分離した。実施例3.3の実験方法によりマウス血漿中の化合物7#の含有量を検出した。
【0173】
3、実験の結果:
上記の実験方法によると、具体的なデータは下記の表9に示されている:
【表9】
【0174】
4、実験の結論:
研究によると、本開示に係る化合物7#は、マウス体内に静脈内注射投与された後、良好な薬物動態特性を持つことが明らかになり、それは疾患の治療において優位性を持つことが示され、例えば、人体への週1回の皮下注射投与をサポートすることができる。
【0175】
実施例7.一部の本開示に係る化合物のマウス体内での薬物動態特性
【0176】
1、実験の目的:
本実験は、Balb/cマウスを試験動物として、本開示に係る化合物の単回皮下注射投与のマウス体内(血漿)での薬物動態的挙動を研究することを目的とする。
【0177】
2、実験の方法:
体重が18g~30gで週齢が7週~9週の雄のBalb/cマウスを、上海傑思捷実験動物有限公司から購入した。20mMのクエン酸を含む緩衝液(pH=7.0)で化合物7#を調製した後、30nmol/kg体重という用量で左側腹部皮下から化合物7#をマウス体内に注射し、0時間、0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間と32時間という時点で0.2mL採血した。4℃の温度で、採取されたマウス血を6000rpmの速度で6分間遠心分離して血漿を分離した。実施例5.2の実験方法によりマウス血漿中の化合物7#の含有量を検出した。
【0178】
3、実験の結果:
上記の実験方法によると、具体的なデータは下記の表10に示されている:
【表10】
【0179】
4、実験の結論:
研究によると、本開示に係る化合物は、マウス体内に皮下注射投与された後、良好な薬物動態特性を持つことが明らかになり、それは疾患の治療において優位性を持つことが示され、例えば、人体への週1回の皮下注射投与をサポートすることができる。
【0180】
実施例8.一部の本開示に係る化合物の体内薬効
【0181】
1、実験の目的:
一部の本開示に係る化合物及び化合物LY3298176の単回皮下投与による正常なマウス血糖への調節作用を試験する。
【0182】
2、実験の方法:
週齢が10週~12週の雄のC57BL/6マウスを、上海傑思捷実験動物有限公司から購入した。C57BL/6マウスに皮下注射により化合物7#又は化合物LY3298176(用量:10nmol/kg体重)及び対照緩衝液を投与した後、断食させるが、断水させず、18時間後に腹腔を介して濃度が0.2g/mLのグルコース溶液を注射した。実験設計によって、0分間、15分間、30分間、60分間、120分間という時点でマウスの尾部から採血し、血糖値を測定した。具体的な方法は、物理的方法でマウスを固定し、しっぽを露出させて尾部を少し切り離し、しっぽを押して出血させ、1滴目の血を捨てた後にロシュアクティブ血糖測定器で血糖を検出した。各時点の結果により血糖曲線下面積(AUC)を算出した。
【0183】
3、実験の結果:
上記の実験方法によると、具体的なデータは下記の表11に示されている:
【表11】
【0184】
4、実験の結論:
本実験において、10nmol/kg体重の用量で、本開示に係る化合物7#は正常なマウスで顕著な血糖降下作用を示し、化合物7#群の血糖曲線下面積がプラセボ(即ち、ブランク溶媒)と比べて60%以上低減された。
【0185】
実施例9.一部の本開示に係る化合物の体重低減効果
【0186】
1、実験の目的:
番号付き化合物の皮下投与による食餌誘発性肥満マウスの体重への調節作用を試験する。
【0187】
2、実験の方法:
高脂肪食物で誘発された肥満な雄のC57BL/6マウス(体重が35g~55g、週齢が10週~12週で、上海傑思捷実験動物有限公司から購入された)である。食餌誘発性肥満C57BL/6マウスに皮下注射で化合物LY3298176(10nmol/kg体重)、7#(10nmol/kg体重)、18#(3つの用量で、それぞれ3nmol/kg、10nmol/kg、100nmol/kg体重であり、3日間ごとに1回投与した)を投与した。実験設計により、0日目、3日目、6日目のように27日目まで類推してそしてそれぞれのマウスの体重を秤量して記録し、各群のマウスの体重の平均値を算出し、初日の体重を基準として体重変化曲線を描いた。終了後にマウスの各部位の脂肪及び他の臓器を取り出して体重を秤量し、それぞれのマウスの各部位の脂肪臓/脳比を算出し、各群のマウスの異なる部位の脂肪の臓器/脳の変化を比較するにより薬剤の脂肪への作用を確定した。
【0188】
3、実験の結果:
上記の実験方法によると、具体的なデータは下記の表12~表14及び図1に示されている:
【表12】
【0189】
4、実験の結論:
本実験において、3nmol/kg、10nmol/kgと100nmol/kgの用量で、本開示に係る化合物7#と18#は、高脂肪食物で誘発された肥満マウスに対する顕著な体重低減作用を示し、且つ顕著な用量関連性を示している。化合物18#は、10nmol/kg用量被験群の体重が27日目に20.0%以上低減されたのに対して、対照化合物LY3298176は、同等用量条件下で被験群の体重が約13.4%低減された。また、化合物18#の異なる用量被験群の各部位の脂肪含有量(肩甲骨脂肪を除く)は、何れもプラセボ(即ち、ブランク溶媒)群に対して顕著に減少されている。
【表13】
【0190】
【表14】
【0191】
【表15】
【0192】
実施例10.本開示に係る化合物によるマウスの摂食量への影響
試験中に各群のマウスの摂食量を毎日測定し、結果は表1及び図2に示されている。
【0193】
モデル対照群DIO(diet-induced obsisity)マウスは、全試験中に1日の平均摂食量が2.5gであり、異なる用量の化合物18#又はLY3298176が皮下注射された後、各群のマウスの摂食量は何れも異なる程度の低下がある。
【0194】
投与後1日目に、各投与群のマウスの摂食量は明らかに低くなり、3nmol/kg、10nmol/kg、100nmol/kgの化合物18#群のマウスの摂食量はそれぞれ0.6g、0.3gと0.2gであり、モデル対照群(2.5g)と比べて差が顕著で、且つ比較的良い用量反応関係を示している。
【0195】
モデル対照群のマウスは、投与後5日間での累積摂食量が12.8gであるのに対し、3nmol/kg、10nmol/kg、100nmol/kg用量の化合物18#群のマウスは、投与後5日間での累積摂食量が7.2g、3.9g、1.8gであり、モデル対照群よりも明らかに低く、且つ比較的良い用量反応関係を示している。
【0196】
各投与群の1日の摂食量は、投与後1日目になるたびに低減され始め、2、3日目から回復された。1日の摂食量は、投与中に全体的に上昇回復傾向がある。投与後の28日に、化合物18#の3つの用量群の累積摂食量は、それぞれ58.2g、46.8gと36.7gであり、モデル対照群(70.8g)よりも明らかに低く、且つ良好な用量依存性を示している。従って、化合物18#は、DIOマウスの摂食量を明らかに低減することができる。
【表16】
【0197】
【表17】
【0198】
実施例11.一部の本開示に係る化合物によるdb/dbマウスの糖代謝レベルへの改善効果
【0199】
1、実験の目的:
番号付き化合物の皮下投与によるdb/dbマウスの糖代謝レベルへの改善効果を試験する。
【0200】
2、実験の方法:
C57BL/KsJ-db/dbマウスに対して皮下注射によりブランク溶媒(20mMのクエン酸ナトリウム+0.05% Tween-80、pH7.5)、化合物LY3298176(100nmol/kg体重)と18#(3つの用量で、それぞれ10nmol/kg、30nmol/kg、100nmol/kg体重である)を投与し、投与時間はそれぞれ0日目、3日目、7日目、10日目、14日目、17日目、21日目、24日目及び27日目であった。各投与群は、10匹のdb/dbマウスを含んだ。実験設計により、0日目、7日目、14日目、21日目と28日目に針で尾静脈血を採取して血糖測定器と血糖試験紙により空腹時血糖レベルを検出し、各採血時点で採血する前に6時間断食させた。3日目、10日目、17日目、24日目と27日目に針で尾静脈血を採取して血糖測定器によりランダム血糖レベルを検出した。最後、28日目に実験が終了した後、全ての投与群の動物を2%~5%のイソフルレンの吸入で麻酔し、眼窩から100μLのEDTA-K2抗凝固全血を採取し、糖化ヘモグロビンの測定に用いた。
【0201】
3、実験の結果:
上記の実験方法によると、具体的なデータは下記の表16~表18に示されている。
【0202】
【表18】
【0203】
【表19】
【0204】
【表20】
【0205】
4、実験の結論:
本実験において、10nmol/kg、30nmol/kgと100nmol/kgの用量で、本開示に係る化合物18#は、db/dbマウスの糖代謝レベルに対して優れた改善効果を示し、且つ顕著な用量関連性を示している。化合物18#は、100nmol/kg用量被験群の糖化ヘモグロビンレベルが実験終了時に3.78%であったのに対して、対照化合物LY3298176は、同等用量条件下で被験群の糖化ヘモグロビンレベルが4.58%であり、化合物18#は、db/dbマウス糖代謝レベルを改善する薬効が同等用量条件下で対照化合物LY3298176よりも顕著に優れている。
【0206】
実施例12~実施例16で使用したGLP-1類似体は、何れも化合物18#であった。
【0207】
実施例12.医薬組成物の調製プロセス
本開示の医薬組成物は、以下のプロセスに従って調製することができる:
ステップ1:調製
1.溶液1の調製:容器に適量の注射用水を入れ、そして処方量のリン酸水素二ナトリウムを溶解し、処方量のGLP-1類似体を加えるか、又は最後に加えた。
【0208】
2.溶液2の調製:処方量のプロピレングリコール及びフェノールをそれぞれ秤量し、別の容器に注射用水に加えて溶解するまで撹拌した。
【0209】
3.溶液2を溶液1に加え、均一に撹拌した。塩酸溶液又は水酸化ナトリウム溶液で薬液のpHを7.4~7.8に調整し、注射用水を処方量まで追加し、撹拌した。
ステップ2:除菌及びろ過
調製完了後、薬液は除菌カートリッジ(孔径:0.22μm)を通してろ過した。
ステップ2の除菌ろ過後の薬液を、1.57mL~1.67mL(目標充填量1.62mL)でバイアルに充填し、キャップを閉め、目視検査した。
【0210】
実施例13.製剤pHスクリーニング
表19に示される製剤を調製し、性状、関連物質及びオリゴペプチドを指標としてpH6.5、7.0、7.5、8.0、8.5及び9.0での製剤の安定性状況を調べ、結果は表20に示されている。
【0211】
【表21】
【0212】
【表22】
【0213】
安定性試験の結果は、中間体溶液がpH6.5の製剤では濁りが認められ、pH8.5及びその以上の製剤では関連物質の増殖幅が比較的大きく、pH7.0、pH7.5、及びpH8.0の製剤の安定性が比較的良好であることを示した。総合的に考えると、中間体溶液のpH値の許容される範囲は7.0~8.0であることを確認した。
【0214】
実施例14.緩衝液濃度スクリーニング
性状、関連物質及びオリゴペプチドを指標として、リン酸水素二ナトリウム濃度が0mM、5mM、10mM及び40mMでの製剤の安定性状況をそれぞれ調べ、結果は表21に示されている。
【0215】
【表23】
【0216】
試験結果は、リン酸水素二ナトリウムを添加した製剤の方が、リン酸水素二ナトリウム(0mM)を添加しない製剤よりもオリゴペプチドの成長がやや速く、そのうち、リン酸水素二ナトリウムの濃度が比較的高い40mM製剤の方はオリゴペプチドの成長幅が比較的大きく、5mM及び10mM製剤の方はオリゴペプチドの成長幅が比較的小さく、各製剤のオリゴペプチドは何れも限界範囲内であることを示した。
【0217】
実施例15.静菌剤使用量スクリーニング
GLP-1類似体注射液は、単回用量の形態でも、複数回用量の包装の形態でも使用することができ、使用中の無菌性の要求を保証するために、注射液中の微生物の増殖を抑制できる使用量の静菌剤を添加する必要がある。濃度が5.5mg/mLのフェノールを選択し、当該濃度を100%として、相対濃度で80%、100%、120%となるように製剤を調製し、静菌効力の調査を行い、結果は表22に示されている。
【0218】
【表24】
【0219】
試験結果は、GLP-1類似体の製剤について、フェノール含有量が4.40mg/mL~6.60mg/mLである場合、何れも静菌効力を有し、フェノール濃度が5.50mg/mL及び6.60mg/mLの場合に静菌効果がより優れることを示した。
【0220】
実施例16.GLP-1類似体濃度スクリーニング
プロピレングリコールを浸透圧調整剤として、GLP-1類似体濃度が2mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、8mg/mL及び10mg/mLの試料をそれぞれ調製し、製剤は表23に示されている。
【0221】
【表25】
【0222】
上記表のデータから分かるように、
(1)各濃度試料は初期に何れも、無色透明液体であり、GLP-1類似体の溶解状況が良好であり、且つ各濃度試料のpH、関連物質、オリゴペプチドの何れも有意差がないことを示した。
【0223】
(2)25℃の条件で3ヶ月間放置すると、各濃度試料は何れも、無色透明液体であり、pH値、関連物質の成長傾向に有意差がなかった。試料濃度が高いほど、オリゴペプチド含有量は低かった。各濃度群の不純物増殖に有意差がなく、5mg/mL~10mg/mLの濃度の不純物及びオリゴペプチド増殖に有意差がなかった。
【0224】
(3)また、各濃度試料を40℃で10日間、30日間放置しても、pH値及び関連物質の増加傾向に有意差がないことを見出した。
【0225】
GLP-1類似体製剤を調製するために、浸透圧調整剤であるグリセリン及びマンニトールでプロピレングリコールを置き換える試みを行い、1つの例示的な単位用量製剤は表24に示されている:
【表26】
【0226】
試料の40℃での安定性を調べ、安定性結果は表25に示されている。
【0227】
【表27】
【0228】
上記表のデータから分かるように、
(1)各製剤は初期に何れも、無色透明液体であり、GLP-1類似体の溶解状況が良好であった。各製剤試料のpH、関連物質、オリゴペプチド及び含有量に何れも有意差がなかった。
【0229】
(2)各製剤試料を40℃で30日間放置しても、依然として透明液体であり、何れも顆粒状或いはシート状のものが観察されなかった。そのうち、マンニトールを浸透圧調整剤とした2群の製剤及びグリセリンを浸透圧調整剤とした1群の製剤は何れも、淡黄色を呈しているが、その色変化が極めて明らかではなかった。グリセリンを浸透圧調整剤とした製剤は、マンニトールを浸透圧調整剤とした製剤と比較して、関連物質及びオリゴペプチドの増加がより顕著であり、含有量の低下もより顕著であった。
【0230】
マンニトールの使用量が4.5% w/vである場合、試料の浸透圧の値は350mOsm以上であり、皮下注射経路の適切な浸透圧範囲(300±30mOsm)より高いので、マンニトールの使用量を減少させて試料を調製し、1つの例示的な単位用量製剤は表26に示され、試料の40℃での安定性を調べ、安定性結果は表27に示されている。
【0231】
【表28】
【0232】
【表29】
【0233】
上記表のデータから分かるように、
(1)マンニトールを浸透圧調整剤として用い、マンニトールの使用量が3.15% w/v及び3.6% w/vであり、何れも濃度10mg/mLのGLP-1類似体を完全に溶解することができ、GLP-1類似体の溶解状況が良好であった。各製剤試料のpH、関連物質、オリゴペプチド及び含有量に何れも有意差がなかった。
【0234】
(2)40℃で30日間放置すると、マンニトールの使用量が3.15% w/v及び3.6% w/vであり、製剤試料は何れも、淡黄色の透明液体であったが、この色変化が極めて顕著ではなく、可視異物が認められなかった。マンニトールの使用量が3.15% w/vの製剤は、オリゴペプチドの成長及び含有量の低下がより緩やかであった。
【0235】
明らかに理解されるように、図面と実例によって上記発明を詳しく説明したが、説明と実例は、本開示の範囲を制限するものと解釈すべきではない。本明細書に引用された全ての特許と科学文献の開示内容は、引用により完全且つ明らかに組み込まれている。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
【配列表】
2024546026000001.xml
【国際調査報告】